説明

熱シール装置

【課題】ヒータの熱膨張による断線を抑制できる熱シール装置を得る。
【解決手段】リボンヒータ30の端子32が固定された端子台36の貫通孔42、44に、ヒータ側シール部材14のベースプレート15に取り付けられた軸50、52が挿通されており、端子台36が軸50、52に沿って移動可能となっている。このため、リボンヒータ30が熱膨張により伸縮した場合には、端子台36が軸50、52に沿って、リボンヒータ30の伸縮方向へ移動する。この結果、「ばね」の付勢力に抗してヒータが収縮する構成に比べ、収縮時にリボンヒータ30が受ける負荷を低減できるので、リボンヒータ30の熱膨張による断線を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動包装機等に適用され、フィルム袋の開口部を閉じる熱シール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱シール装置としては、例えば、特許文献1がある。この従来技術では、一対の開閉板における一方の表面にポリテトラフルオロエチレンコーティングしたヒータを取付け、これらの開閉板によって、順次給送されて来るフィルム袋の開口部を、その両側面外方から一時的に挟圧して熱シールする構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−84612号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ヒータの熱膨張による伸縮を考慮すると、一例として、ヒータの両端部に設けた端子の一方を開閉板の一端に固定し、他方の端子は「ばね」を介して開閉板の他端に固定する構成が必要となる。そして、このように「ばね」を使用した場合には、ヒータへの通電によって、ヒータが熱膨張し、その後、ヒータへの通電を停止することによって、ヒータが冷却され、「ばね」の付勢力に抗して収縮する。このため、ヒータが収縮する際に、ヒータに強い引張り応力が作用する。この結果、ヒータのオンオフを繰り返すことで、収縮時の引張り応力によりヒータが疲労して断線することがある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、ヒータの熱膨張による断線を抑制できる熱シール装置を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明の熱シール装置は、フィルム袋の開口部を、その両側面外方から挟圧する一対のシール部材と、前記一対のシール部材の少なくとも一方に設けられ、前記フィルム袋の開口部を熱シールすると共に、両端部に端子が設けられたヒータと、前記一対のシール部材の少なくとも一方に連結され、前記一対のシール部材を前記挟圧方向と反挟圧方向とへ移動するためのシール部材移動手段と、前記シール部材の端部に設けられ、前記ヒータの端子が固定される端子台と、前記シール部材の端部に設けられ、前記端子台を前記シール部材に対して、前記ヒータの熱膨張による伸縮方向へ移動可能とするための端子台移動手段と、を有する。
【0007】
請求項1に記載の本発明の熱シール装置では、一対のシール部材の少なくとも一方に連結されたシール部材移動手段によって、一対のシール部材が相対的に挟圧方向へ移動し、フィルム袋の開口部を、その両側面外方から挟圧する。また、一対のシール部材の少なくとも一方に設けられたヒータが発熱することによって、フィルム袋の開口部が熱シールされる。また、ヒータの両端部に設けられた端子が固定される端子台が、シール部材の端部に設けられており、シール部材の端部には、ヒータの熱膨張による伸縮方向へ端子台を移動可能とするための端子台移動手段が設けられている。このため、ヒータが熱膨張により伸縮した場合には、端子台移動手段によって、端子台がヒータの熱膨張による伸縮方向へ移動する。この結果、「ばね」の付勢力に抗してヒータが収縮する構成に比べ、収縮時にヒータが受ける引張り応力を低減できるので、ヒータの熱膨張による断線を抑制できる。
【0008】
請求項2記載の本発明は請求項1に記載の熱シール装置において、前記端子台移動手段は、前記シール部材に設けられた軸部材と、前記端子台に形成され前記軸部材が挿通されたガイド部である。
【0009】
請求項2記載の本発明の熱シール装置では、端子台移動手段が、シール部材に設けられた軸部材と、端子台に形成され軸部材が挿通されたガイド部とで構成されている。このため、簡単な構成でヒータの熱膨張による断線を抑制できる。
【0010】
請求項3記載の本発明は請求項2に記載の熱シール装置において、前記軸部材と前記ガイド部は平行に複数設けられている。
【0011】
請求項3記載の本発明の熱シール装置では、軸部材とガイド部が平行に複数設けられている。このため、端子台が軸部材に沿って移動する際に、端子台が移動方向に対して傾くのを防止できる。この結果、ヒータの伸縮にともなう端子台の摺動抵抗の増加を抑制できるので、ヒータの熱膨張による断線をさらに抑制できる。
【0012】
請求項4記載の本発明は請求項2または請求項3の熱シール装置において、前記軸部材の断面が円形で、前記ガイド部が円形の孔である。
【0013】
請求項4記載の本発明の熱シール装置では、軸部材の断面が円形で、ガイド部が円形の孔である。このため、端子台が軸部材に沿って移動する際に、端子台が移動方向に対してねじれた場合、即ち、軸部材と孔とが相対回転した場合にも、この相対回転を可能とすることで、ヒータの伸縮にともなう端子台の摺動抵抗の増加を抑制できる。このため、ヒータの熱膨張による断線をさらに抑制できる。
【0014】
請求項5記載の本発明は請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の熱シール装置において、前記軸部材の端部に前記端子台が前記軸部材から脱落するのを防止するためのストッパが設けられている。
【0015】
請求項5記載の本発明の熱シール装置では、軸部材の端部に端子台が軸部材から脱落するのを防止するためのストッパが設けられている。このため、シール部材に端子台を組み付ける際に、軸部材の先端部から端子台が脱落するのを防止できる。この結果、熱シール装置の組付性が向上する。
【0016】
請求項6記載の本発明は請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の熱シール装置において、前記ヒータを間に挟むポリテトラフルオロエチレンシートを有し、前記ヒータは前記ポリテトラフルオロエチレンシートに沿って伸縮する。
【0017】
請求項6記載の本発明の熱シール装置では、ヒータがポリテトラフルオロエチレンシートの間に設けられており、ヒータはポリテトラフルオロエチレンシートに沿って伸縮する。このため、ポリテトラフルオロエチレンシートによってヒータが伸縮する際の摩擦抵抗を低減することができる。この結果、ヒータの熱膨張による断線をさらに抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の本発明の熱シール装置は、上記構成としたので、ヒータの熱膨張による断線を抑制できる。
【0019】
請求項2に記載の本発明の熱シール装置は、上記構成としたので、簡単な構成でヒータの熱膨張による断線を抑制できる。
【0020】
請求項3に記載の本発明の熱シール装置は、上記構成としたので、ヒータの熱膨張による断線をさらに抑制できる。
【0021】
請求項4に記載の本発明の熱シール装置は、上記構成としたので、ヒータの熱膨張による断線をさらに抑制できる。
【0022】
請求項5に記載の本発明の熱シール装置は、上記構成としたので、組付性を向上できる。
【0023】
請求項6に記載の本発明の熱シール装置は、上記構成としたので、ヒータの熱膨張による断線をさらに抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱シール装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る熱シール装置を示すヒータ配置面側から見た正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る熱シール装置の要部を示す分解斜視図である。
【図4】図1の4−4断面線に沿った拡大断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る熱シール装置の挟圧状態を示す図4に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の熱シール装置の一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の熱シール装置10は、一対のシール部として、ヒータ側シール部材14と押さえ側シール部材16とを備えている。また、ヒータ側シール部材14と押さえ側シール部材16とは、互いに対向する位置に配置されており、内部に充填物が収納された合成樹脂等からなるフィルム袋12の開口部12Aを、その両側面外方から一時的に挟圧するようになっている。
【0027】
図4に示すように、ヒータ側シール部材14の基体を構成するベースプレート15は棒状となっており、長手方向(図1の矢印L方向)から見た形状が略矩形となっている。また、ベースプレート15のシール側面15Aの幅方向(図4の矢印W方向)の中央部には、押さえ側シール部材16に向かって突出した凸部18が形成されている。この凸部18は、ヒータ側シール部材14の長手方向に沿って形成されており、長手方向から見た形状は矩形となっている。また、凸部18の頂部18Aには、断熱シート19が取り付けられている。さらに、断熱シート19をポリテトラフルオロエチレンシートであるテフロン(登録商標)シート20の頂部20Aが覆っており、テフロンシート20の頂部20Aから幅方向へ延設された両端部20Bは、凸部18の両側部18Bに達している。
【0028】
テフロンシート20の頂部20Aには、ヒータとしての帯状のリボンヒータ30が設けられており、リボンヒータ30はテフロンシート31の頂部31Aによって覆われている。また、テフロンシート31の頂部31Aから延設された両端部31Bは、テフロンシート20の両端部20Bを覆うと共に、ベースプレート15のシール側面15Aの全域を覆っている。従って、リボンヒータ30はテフロンシート20とテフロンシート31との間に設けられており、テフロンシート20とテフロンシート31とに沿って熱膨張により伸縮するようになっている。
【0029】
ベースプレート15のシール側面15Aにおける凸部18を挟んだ両側の部位には、一対のテフロンシート押さえ33がビス等の取付部材35によって取り付けられている。これらのテフロンシート押さえ33は、長尺の板材で構成されており、テフロンシート押さえ33とベースプレート15のシール側面15Aとで、テフロンシート31の両端部31Bを挟持している。なお、これらのテフロンシート押さえ33のシール側面33Aは、凸部18の頂部18Aに対して僅かに低い位置に設定されており、凸部18の頂部18Aが一対のテフロンシート押さえ33のシール側面33Aから僅かに突出している。一方、押さえ側シール部材16は棒状となっており、長手方向(図1の矢印L方向)から見た形状が矩形となっている。また、押さえ側シール部材16は一例としてシリコンラバーで構成されている。
【0030】
ベースプレート15のシール側面15Aと反対側の面となる裏面15Bには、シール部材移動手段としてのピストンシリンダ24のロッド24Aがブラケット23を介して連結されている。また、押さえ側シール部材16の押さえ面16Aと反対側の面となる裏面16Bには、シール部材移動手段としてのピストンシリンダ25のロッド25Aがブラケット27を介して連結されている。なお、押さえ側シール部材16は長手方向全域において、ブラケット27によって支持されている。
【0031】
従って、ピストンシリンダ24、25が作動し、ロッド24A、25Aが伸縮することによって、ヒータ側シール部材14と押さえ側シール部材16とが挟圧方向(図5の矢印A方向)と反挟圧方向(図5の矢印B方向)とへ移動するようになっている。なお、ヒータ側シール部材14と押さえ側シール部材16とは、それぞれの移動方向に沿って配置されたレール等のガイド(図示省略)によって、図4に示す開放位置と図5に示す挟圧位置との間を平行移動するようになっている。
【0032】
図5に示すように、ヒータ側シール部材14と押さえ側シール部材16とが、フィルム袋12の開口部12Aを挟圧した場合には、ヒータ側シール部材14のリボンヒータ30と、押さえ側シール部材16との間に、フィルム袋12の開口部12Aが挟まれるようになっている。このとき、フィルム袋12の開口部12Aと、リボンヒータ30との間にテフロンシート31が介在するようになっている。
【0033】
図2に示すように、リボンヒータ30は、ヒータ側シール部材14の長手方向に沿って設けられており、リボンヒータ30の長手方向の両端部には、給電用の端子32が設けられている。
【0034】
図3に示すように、ヒータ側シール部材14の長手方向端部には、端子台36が設けられている。また、リボンヒータ30の端子32は、ボルト及びナット等の取付部材34によって端子台36に固定されている。なお、リボンヒータ30の端子32には、電源コード38の端子38Aが取付部材34によって連結されている。
【0035】
端子台36は略矩形のブロック状となっており、ヒータ側シール部材14のベースプレート15の長手方向の各端面15Cと対向する部位にそれぞれ設けられている。端子台36のヒータ配置面36Aの中央部にはヒータ側シール部材14の長手方向に沿って凹部37が形成されており、凹部37の底部37Aには、取付部材34を固定するための取付孔40が貫通されている。また、端子台36には、リボンヒータ30の長手方向に沿って端子台移動手段であるガイド部としての円形の貫通孔42、44が貫通している。これらの貫通孔42、44は、端子台36の側面36Bの幅方向(図3の矢印S方向)の略中央部に、上下方向に離間して形成されている。また、取付孔40は、貫通孔42と貫通孔44との上下方向中央部に形成されている。
【0036】
端子台36の貫通孔42、44には、それぞれ端子台移動手段である軸部材としての軸50、52が挿通されている。これらの軸50、52は断面が円形となっており、軸50、52の軸径は、貫通孔42、44の孔径より小さくなっている。
【0037】
軸50、52の一方の端部には、螺子部50A、52Aが形成されており、これらの螺子部50A、52Aは、ヒータ側シール部材14のベースプレート15の端面15Cに形成された螺子孔54、56に螺合している。なお、軸50、52はベースプレート15に溶接等の他の方向で固定してもよい。また、軸50、52の一方の端部には、他の部位に比べて大径とされたストッパ50B、52Bが形成されており、ストッパ50B、52Bの外径は、貫通孔42、44の孔径より大きくなっている。
【0038】
従って、端子台36の貫通孔42、44に、それぞれ軸50、52を挿通し、軸50、52の螺子部50A、52Aをベースプレート15の端面15Cに形成された螺子孔54、56に螺合することで、ベースプレート15に端子台36を軸50、52に沿って移動可能に取り付けることができるようになっている。なお、円柱状の軸50、52の端部をベースプレート15の端面15Cに溶接等によって結合する構成としてもよい。
【0039】
また、詳細な説明は省略するが、ヒータ側シール部材14のベースプレート15の他方の端面にも、同様にして端子台36が軸50、52に沿って移動可能に取り付けられている。
【0040】
従って、リボンヒータ30が熱膨張により伸縮した場合には、端子台36が軸50、52に沿って伸縮方向(図2の矢印C方向または矢印D方向)へ移動するようになっている。
【0041】
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用と効果について説明する。
本実施形態の熱シール装置10では、図4に示すように、ヒータ側シール部材14のベースプレート15にブラケット23を介してピストンシリンダ24のロッド24Aが連結されており、押さえ側シール部材16にピストンシリンダ25のロッド25Aがブラケット27を介して連結されている。このため、図5に示すように、ピストンシリンダ24、25が作動し、ロッド24A、25Aが伸長されると、ヒータ側シール部材14と押さえ側シール部材16とが、互いに接近する挟圧方向(図5の矢印A方向)移動する。これにより、ヒータ側シール部材14のリボンヒータ30と、押さえ側シール部材16との間に、フィルム袋12の開口部12Aが挟まれる。なお、リボンヒータ30とフィルム袋12の開口部12Aとの間にはテフロンシート31が介在する。
【0042】
この状態で、リボンヒータ30への給電が開始され、リボンヒータ30が発熱することで、フィルム袋12の開口部12Aが溶融し閉塞される。この際、リボンヒータ30は、テフロンシート20とテフロンシート31との間で滑りながら熱膨張により長手方向(図1の矢印L方向)へ沿って伸びる。
【0043】
その後、リボンヒータ30への給電が停止されると、フィルム袋12の開口部12Aが冷却され閉塞した状態で固化する。また、リボンヒータ30は、長手方向に沿って縮み、元の長さに戻る。
【0044】
また、ピストンシリンダ24、25のロッド24A、ロッド25Aが収縮され、ヒータ側シール部材14と押さえ側シール部材16とが、反挟圧方向(図5の矢印B方向)へ移動し、図4に示す元の開放位置に戻る。
【0045】
このように、本実施形態では、リボンヒータ30の端子32が固定された端子台36の貫通孔42、44に、ヒータ側シール部材14のベースプレート15に取り付けられた軸50、52が挿通されており、端子台36が軸50、52に沿って移動可能となっている。このため、リボンヒータ30が熱膨張により伸縮した場合には、端子台36が軸50、52に沿ってリボンヒータ30の熱膨張による伸縮方向(図2の矢印C方向と矢印D方向)へ移動する。
【0046】
この結果、本実施形態の熱シール装置10では、「ばね」の付勢力に抗してヒータが収縮する構成に比べ、収縮時にリボンヒータ30が受ける引張り応力を低減できる。このため、リボンヒータ30の熱膨張による断線を抑制できる。
【0047】
また、本実施形態の熱シール装置10では、ヒータ側シール部材14のベースプレート15の両端部に設けられた双方の端子台36を軸50、52に沿って移動可能とした。このため、一方の端子台36が移動できなくなった場合にも、他方の端子台36が移動することで、熱膨張によるリボンヒータ30の断線を抑制できる。
【0048】
また、本実施形態の熱シール装置10では、端子台移動手段が、ヒータ側シール部材14のベースプレート15に設けられた軸50、52と、端子台36に形成された貫通孔42、44である。このため、簡単な構成でリボンヒータ30の熱膨張による断線を抑制できる。
【0049】
また、本実施形態の熱シール装置10では、軸50、52が平行に2本設けられている。このため、端子台36が軸50、52に沿って移動する際に、端子台36が移動方向に対して図2の矢印E方向へ傾くのを防止できる。この結果、リボンヒータ30の伸縮にともなう端子台36の摺動抵抗の増加を抑制できるので、リボンヒータ30の熱膨張による断線をさらに抑制できる。
【0050】
また、本実施形態の熱シール装置10では、軸50、52の断面が円形で、端子台36の貫通孔42、44が円形である。このため、端子台36が軸50、52に沿って移動する際に、端子台36が移動方向に対してねじれた場合、即ち、軸50、52に対して貫通孔42、44(端子台36)が軸廻り方向(図3の矢印F方向)へ相対回転した場合にも、この相対回転を可能とすることで、リボンヒータ30の伸縮にともなう端子台36の摺動抵抗の増加を抑制できる。例えば、軸50、52の断面が矩形で、貫通孔42、44が矩形の孔である場合には、貫通孔42、44(端子台36)が軸50、52の軸廻り方向(図3の矢印F方向)へ回転した場合に、軸50、52の外周角部と、貫通孔42、44の内周とが当接し負荷が発生する。このため、本実施形態の熱シール装置10では、リボンヒータ30の熱膨張による断線をさらに抑制できる。
【0051】
また、本実施形態では、軸50、52の端部に、端子台36が軸50、52から脱落するのを防止するためのストッパ50B、52Bが設けられている。このため、ヒータ側シール部材14のベースプレート15に端子台36を組み付ける際に、軸50、52の端部から端子台36が脱落するのを防止できる。この結果、熱シール装置10の組付性が向上する。
【0052】
また、本実施形態では、リボンヒータ30がテフロンシート20とテフロンシート31との間に設けれており、リボンヒータ30はテフロンシート20とテフロンシート31とに沿って伸縮する。このため、テフロンシート20とテフロンシート31とによって、リボンヒータ30が伸縮する際の摩擦抵抗を低減することができる。この結果、リボンヒータ30の熱膨張による断線をさらに抑制できる。
【0053】
(その他の実施形態)
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、シール部材移動手段としてピストンシリンダ24、25を使用したが、ピストンシリンダに代えて、モータ、ソレノイド等の他のシール部材移動手段を使用してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、ヒータ側シール部材14と押さえ側シール部材16との双方をシール部材移動手段としてのピストンシリンダ24、25により挟圧方向と反挟圧方向とへ移動可能とした。これに代えて、ヒータ側シール部材14と押さえ側シール部材16との何れか一方のみをシール部材移動手段により挟圧方向と反挟圧方向とへ移動可能としもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、熱シール装置10の一対のシール部材を、リボンヒータ30を設けたヒータ側シール部材14と、リボンヒータ30を設けない押さえ側シール部材16とで構成したが、熱シール装置10の一対のシール部材の双方にリボンヒータ30を設けた構成としてもよい。また、リボンヒータ30に代えて、断面が円形等の他の形状の長尺状ヒータを使用してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ヒータ側シール部材14の両端部に設けられた双方の端子台36を軸50、52に沿って移動可能とした。これに代えて、ヒータ側シール部材14の両端部に設けられた端子台36の何れか一方のみを軸50、52に沿って移動可能としてもよい。また、リボンヒータ30の一方の端子32を移動可能な端子台36に固定し、他方の端子をヒータ側シール部材14の端部に固定した構成としてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、端子台移動手段をヒータ側シール部材14の軸50、52と、端子台36の貫通孔42、44とで構成した。これに代えて、端子台移動手段をヒータ側シール部材14に設けたレールと、端子台36に設けられ前記レールを移動可能に保持する溝部等の他の構成としてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、軸部材としての軸50、52を平行に2本設けた。これに代えて、軸部材は1本でもよく、3本以上設けてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、軸50、52の断面を円形とし、ガイド部を円形の貫通孔42、44としたが、軸50、52の断面を矩形等の他の断面形状とし、貫通孔42、44を軸50、52の断面形状に合わせた矩形等の他の形状としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、軸50、52の端部に端子台36が軸50、52から脱落するのを防止するためのストッパ50B、52Bを設けたが、ストッパ50B、52Bを設けない構成としてもよい。このように、軸部材にストッパを設けない構成とした場合には、シール部材に軸部材を予め固定し、その後、軸部材に端子台を取り付けることが可能になる。
【符号の説明】
【0061】
10 熱シール装置
12 フィルム袋
14 ヒータ側シール部材(一対のシール部材の一方)
15 ヒータ側シール部材のベースプレート
16 押さえ側シール部材(一対のシール部材の他方)
20 テフロンシート
24 ピストンシリンダ(シール部材移動手段)
25 ピストンシリンダ(シール部材移動手段)
30 リボンヒータ(ヒータ)
31 テフロンシート
32 リボンヒータの端子
36 端子台
38 電源コード
42 貫通孔(端子台移動手段、ガイド部)
44 貫通孔(端子台移動手段、ガイド部)
50 軸(端子台移動手段、軸部材)
50B 軸のストッパ
52 軸(端子台移動手段、軸部材)
52B 軸のストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム袋の開口部を、その両側面外方から挟圧する一対のシール部材と、
前記一対のシール部材の少なくとも一方に設けられ、前記フィルム袋の開口部を熱シールすると共に、両端部に端子が設けられたヒータと、
前記一対のシール部材の少なくとも一方に連結され、前記一対のシール部材を前記挟圧方向と反挟圧方向とへ移動するためのシール部材移動手段と、
前記シール部材の端部に設けられ、前記ヒータの端子が固定される端子台と、
前記シール部材の端部に設けられ、前記端子台を前記シール部材に対して、前記ヒータの熱膨張による伸縮方向へ移動可能とするための端子台移動手段と、
を有する熱シール装置。
【請求項2】
前記端子台移動手段は、前記シール部材に設けられた軸部材と、前記端子台に形成され前記軸部材が挿通されたガイド部である請求項1に記載の熱シール装置。
【請求項3】
前記軸部材と前記ガイド部は平行に複数設けられている請求項2に記載の熱シール装置。
【請求項4】
前記軸部材の断面が円形で、前記ガイド部が円形の孔である請求項2または請求項3に記載の熱シール装置。
【請求項5】
前記軸部材の端部に前記端子台が前記軸部材から脱落するのを防止するためのストッパが設けられている請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の熱シール装置。
【請求項6】
前記ヒータを間に挟むポリテトラフルオロエチレンシートを有し、前記ヒータは前記ポリテトラフルオロエチレンシートに沿って伸縮する請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の熱シール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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