説明

熱スイング吸着及び熱増強圧力スイング吸着のための方法及び装置

【課題】迅速な温度スイング及び迅速なサイクリングが可能であるコンパクトな吸着システムであり、熱スイング吸着及び熱増強圧力スイング吸着の新規な方法を提供する。
【解決手段】いくつかの面では、ガスを吸着剤中に通すので、吸着剤のすべての部分に対して熱交換器を非常に近接させることができ且つ熱交換器による空間使用を少なくすることができる。別の面では、吸着媒体を選択的に加熱するのでエネルギーコストが減少する。改良されたエネルギー効率を有し且つサイクル時間が短いガスを吸着/脱着する方法及びシステムも説明する。更に別の面では、装置及び方法は、等しい熱束を提供するように調節された体積を有する様々な長さの熱交換チャンネルを用いる。燃料電池始動方法も説明する。本発明の利点としては、従来のシステムと比較して(典型的には)1/30〜1/100の吸着剤量を用い得る点が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アメリカ合衆国エネルギー省から受けた契約DE-ACO676RLO 1830によって政府の援助下で行なわれた。政府は本発明に関して一定の権利を有する。
関連出願
本出願は、2001年4月30日に出願された米国特許出願第09/845,776号の一部継続出願である。35 U.S.C.sect.119(e)にしたがって、この出願は、2002年3月11日に出願された米国仮出願第60/363,858号に対して優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、吸着装置及びガス吸着法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの工業プロセスにおいてガスの分離は重要であった。二酸化炭素の除去は、人間が水中及び宇宙で生活するために空気を精製する場合おいて今なお重要である。ガス分離に関する改良を利用できる他の重要な技術としては:燃料電池、アンモニア製造、肥料製造、石油精製、合成燃料製造、天然ガススイートニング(natural gas sweetening)、油回収及び鋼溶接が挙げられる。
【0004】
吸着剤上へのガス種の吸着能力は、通常は、文献として出版されている及び吸着剤の製造者と供給者によって広範に出版されている吸着等温線及び吸着等圧線においてグラフ形状で表される。ガス種の吸着に関して、その能力は、典型的には、吸着剤の単位質量あたりに吸着されるガス種の平衡質量(例えば、種kg/吸着剤100kg)として表される。吸着能力は、温度及び吸着される種の分圧(濃度)の関数として変化する。充填率又は能力は、典型的には、吸着剤床の温度が低下するか又はガス相における吸着された種の分圧が増大するにつれて増加する。
【0005】
温度及び圧力による吸着能力の変動を用いて、ガス種を分離させることができる。例えば、圧力スイング吸着(PSA)では、ガス種は、比較的高圧では、吸着剤上へと吸着され、供給流からガス種が除去される傾向がある。再生PSAプロセスでは、充填された吸着剤床に関して絶対圧力を低下させるか(例えば、真空を施用する)又は充填された吸着剤床中により低濃度のパージガスを押し流すことによってガス相における吸着された種の分圧を低下させて、吸着剤を再生させる。PSAプロセスのサイクル時間は典型的には分単位で測定される(Humphrey and Keller,"Separation Process Technology,McGraw Hill,1997)。再生温度でのスイング吸着(TSA)プロセス又は熱スイング吸着プロセスでは、低温では種は吸着され、その充填能力は比較的高く、また高温では、(少なくとも部分的に)脱着されるので、更なるサイクルのために吸着能力が回復する。
【0006】
ガス種の分離に加えて、TSAを用いて、熱化学的にガスを圧縮することができる。熱化学圧縮に基づく吸着は、冷凍サイクル及び熱ポンプサイクル(Sywulkaに与えられた米国特許第5,419,156号を参照されたい)及び一般的な化学処理に対して適用可能である。
【0007】
ガス吸着は、広範なガス種(例えば、Kohl and Nielsen,Gas Purification,5th Ed.,Gulf Pubi.Co.,Houston,TXを参照されたい)に対して適用可能であることは公知である。KohlとNielsenは、従来のTSAガス精製プロセスでは、吸着剤床の充填サイクル及び未充填サイクルは典型的には約数時間であることを報告している。
【0008】
2000年5月にPNNLウェブサイトに掲載されている報告("Microscale Adsorption for Energy and Chemical Systems")では、Viswanathan,Wegeng及びDrostは、短時間でのマイクロチャンネル吸着に関する研究のための計算及び実験の結果を報告していた。COの95%が、半無限拡散に基づいて30秒でゼオライト粒子に到達するという報告された推定からすると、この推定は、「フロースルー(flow-through )」配置ではなく、「フローバイ(flow-by)」配置においてゼオライト吸着剤を含むことは明らかである。「フローバイ」配置とは、吸着剤が、流路の全断面積未満を占有し、ガス流は主に吸着剤の近傍に存在していて、吸着媒体と吸着されるガス種(一種又は複数種)との接触が、吸着構造体中へと且つ該構造体を通過して質量拡散することによって主として生起することが要求される配置であり、一方、「フロースルー」配置とは、流体が、吸着構造体に隣接して流れるのではなく、直接に吸着構造体「中を通過して」流れるように、吸着剤が流路内に実質的に配置されるような配置である。
【0009】
それらの従来知られている使用及び重要性にもかかわらず、ガス吸着分離技術に関する複数の問題が今尚存在している。これらの問題としては:過剰なエネルギーの使用、大きな装置又は低容量、コスト、及びガスの分離速度が遅い及び/又は分離されるガスの質量が小さいことが挙げられる。
【発明の概要】
【0010】
一つの面では、本発明は、吸着媒体を含む吸着メソチャンネル(adsorption mesochannel)を含む吸着層と、該吸着層と熱接触する熱交換器とを含む吸着ポンプを提供する。熱交換器は少なくとも1本のマイクロチャンネルを含む。吸着層は、ガスが、最初に接触器材料を通過せずに、吸着媒体と直接接触するようにガス入口を含む。
【0011】
別の面では、本発明は、吸着媒体を含む吸着メソチャンネルを含む少なくとも1つの吸着層を含むガス吸着脱着装置を提供する。吸着メソチャンネルは、長さ、幅及び高さを有し;高さは少なくとも1.2mmである。装置は、1立方センチメートルあたり約0.67gのかさ密度を有する等体積の13xゼオライトで吸着媒体を置換し、次に、760mmHg及び5℃において二酸化炭素で飽和させ、更に次に、760mmHgにおいて90℃以下に加熱すると、加熱開始から1分以内に、装置1mLあたりCOが少なくとも0.015g脱着されるような能力を有する。「90℃以下」に加熱するとは、典型的には、熱交換器に90℃の水を通すことを意味しているが;また、例えば電気抵抗ヒーターのような他の手段による加熱も包含している。好ましくは装置は、吸着層と熱接触する少なくとも1つの熱交換器を含む。好ましい態様では、装置は、1立方センチメートルあたり約0.67gのかさ密度を有する等体積の13xゼオライトで吸着媒体を置換し、次に、760mmHg及び5℃において二酸化炭素に1分間曝露し、更に次に、760mmHgにおいて90℃以下に加熱すると、加熱開始から1分以内に、装置1mLあたりCOが少なくとも0.015g脱着される能力を有する。
【0012】
更に別の態様では、装置は、吸着剤が選択的に加熱されるように配置される。「選択的に」とは、装置の他の部分に優先して吸着剤材料が加熱されるように、更に特に、吸着剤は吸着層の一部分のみを占有していて、熱が、吸着層の他の部分に優先して吸着剤に加えられるように装置が配置されていることを意味している。例えば、少なくとも1つの熱交換器では、熱交換流体流路は吸着チャンネル(単数又は複数)の領域と実質的にオーバーラップするように配置できると考えられる。又は、装置は、吸着チャンネル(単数又は複数)とオーバーラップしている比較的熱伝導性の材料と、吸着チャンネル又は吸着剤材料と実質的にオーバーラップしていない比較的断熱性の材料とを含むことができると考えられる。「実質的にオーバーラップしている」とは、吸着チャンネル及び熱交換器が積重ねられている流れの方向に対して直角な方向から見たときに、吸着チャンネル(単数又は複数)及び熱伝導性材料の領域が少なくとも約80%オーバーラップしていることを意味している。
【0013】
更なる面では、本発明は、吸着媒体を含む吸着チャンネルを含む吸着層と、該吸着層と熱接触しているメソチャンネル熱交換器とを含む吸着ポンプを提供する。メソチャンネル熱交換器は、該熱交換器中を流れる高い熱拡散率を有する流体を有するので、メソチャンネル熱交換器を併用した該流体に関する特有の熱輸送時間は10秒以下である。
【0014】
また、本発明は、吸着/脱着セルが接続されていて総エネルギー効率が向上している装置も提供する。各セルは、入口及び/又は出口を有する少なくとも1本の吸着メソチャンネルを含む。典型的には、各セルは、共通のヘッダー及びフッターを共有していて、且つ一緒に運転される複数の吸着メソチャンネルを含む。好ましくは、各吸着チャンネルは、少なくとも1つの熱交換器と熱接触している。各吸着チャンネルは吸着媒体を含む。典型的には、装置は、熱源及びヒートシンクも含むか、又は熱源及びヒートシンクと一緒に用いられる。いくつかの態様では、ヒートシンクは、装置中に通され且つ装置から除去される非吸着ガスであり得ると考えられる。装置は、各セルと熱源及びヒートシンクとの間に伝熱管を含み、また各セルと少なくとも2つの他のセルとの間に伝熱管も含む。運転時は、伝熱管は、熱交換流体を運ぶか、又は熱伝導性材料を含むことができる。また、装置は、少なくとも1本の吸着チャンネル中に流れるガス流を制御できるバルブも含む。セル体積は、一緒に運転される吸着チャンネル(単数又は複数)の体積と規定され、更に次のものが存在する場合は、熱交換チャンネル(単数又は複数)の体積、前記チャンネル間の体積、セルの外壁の体積、及び入口と出口のフッターの体積を含む。
【0015】
更に、本発明は、吸着層中にガスを通してガスの少なくとも一部を吸着媒体上へと吸着させて吸着されたガスを形成させる工程、その吸着層から、1cm、好ましくは2mm以下の距離を介して熱交換器中へと熱を選択的に除去する工程;及び、続いて、熱交換器から1cm、好ましくは2mm以下の距離を介して吸着媒体を選択的に加熱してガスを脱着させる工程を含むガスの吸着脱着法を提供する。ガスは、最初に接触器材料を通過せずに、吸着媒体と直接接触する。より迅速な伝熱(而して、より速いサイクリング)のためには、吸着チャンネルは、例えば金属のフィン又はピン又はグラファイト繊維のような伝熱剤を含むことができる。
【0016】
また、本発明は、吸着層中にガスを通してガスの少なくとも一部を吸着媒体上へと吸着させて吸着されたガスを形成させる工程、その吸着層から、1cm以下の距離を介して熱交換器中へと熱を選択的に除去する工程;及び、続いて、熱交換器から1cm以下の距離を介して吸着媒体を選択的に加熱してガスを脱着させる工程を含むガスを吸着及び脱着する方法も提供する。いくつかの場合では、距離は、吸着層の中心線と熱交換器の中心線との間と規定される。該中心線は、図から明らかであるか、又は任意の積重ねられた(積層された)デバイスにおいて確認できる;又は、この限定は、吸着剤中の任意のポイントが熱交換器の上記距離(典型的には1cm)以内に存在するという等しい長さによる限定で置き換えることができる。
【0017】
更に、本発明は、少なくとも1本の吸着メソチャンネルと少なくとも1つの熱交換器とを含むガス吸着脱着装置においてガスを吸着及び脱着する方法も提供する。この方法では、少なくとも1本の吸着メソチャンネル中にある吸着媒体中にガスが吸着され、同時に、その吸着媒体から熱吸収熱交換器中に熱が取り出される。続いて、熱供給熱交換器から、少なくとも1本の吸着メソチャンネル中にある吸着媒体へと熱が加えられ、その吸着媒体からガスが脱着される。ガスを吸着しガスを脱着する組合せ工程は完全なサイクルを形成し;完全なサイクルでは、装置1リットルあたり少なくとも0.1モルのガスが吸着及び脱着される。装置は、複数の吸着メソチャンネル(例えば、2本、10本以上)及び複数の熱交換器を含むことができる。複数のメソチャンネル又は熱交換器を用いるときは、それらは異なるタイプであることができる。例えば、熱供給熱交換器は電気抵抗ヒーターであることができ、熱吸収熱交換器は熱電気クーラーの要素であることができると考えられる。又は、熱供給熱交換器及び熱吸収熱交換器は、そこを通って低温流体次に高温流体が流れる同じチャンネル(好ましくは、他で考察されるように、熱交換器はマイクロチャンネルを含む)であることができると考えられる。本方法のいくつかの態様では、吸着と脱着との間の吸着媒体の温度差は、好ましくは200℃未満、更に好ましくは100℃未満であり、またいくつかの態様では、温度差は、50℃ 〜 200℃である。本方法のいくつかの態様では、サイクル時間は、好ましくは5分未満、更に好ましくは2分未満であり、またいくつかの態様では、0.5 〜 10分である。本方法のいくつかの態様では、装置1リットルあたり1分間につき0.1モル 〜 1モルのガスが、完全なサイクルにおいて吸着及び脱着される。この方法は、本明細書に記載してある特性及び条件のいずれかを含むことができ、例えば、デバイス特性の任意の特性を用いることができると考えられる。
【0018】
また、本発明は:各吸着セルが少なくとも1つの吸着層を含む少なくとも6つの吸着セルと、少なくとも1つの熱交換器層とを含むマルチセル吸着ポンプも提供する。熱接続は、各吸着セルを、少なくとも2つの他の吸着セルに対して且つ熱源に対して且つヒートシンクに対して接続しており、その結果として、各吸着セルは、熱源から熱を受容する前に該少なくとも2つの他の吸着セルから熱を連続的に受容し、次に、ヒートシンクへと熱を捨てる前に少なくとも2つの他の吸着セルに対して熱を連続的に捨て、その結果として、熱回収が提供されることによって、吸着から脱着へと熱的に循環でき、また吸着へと戻ることができる。
【0019】
また、本発明は、ガスの少なくとも一部が吸着媒体上へと吸着されて、吸着されたガスを形成する第一吸着媒体を含む第一吸着層中にガスを通す工程、及び1cm以下の距離を介して該吸着層から第一熱交換器中へと熱を除去する工程を含む第一工程を含むガスを吸着及び脱着する方法も提供する。次に、第二工程では、吸着媒体を、第一熱交換器から1cm以下の距離を介して加熱し、ガスを脱着させる。第一工程と同時に、熱交換器流体は、熱交換器中を流れ、吸着剤と熱交換する。この熱交換流体は、第二熱交換器中へと流れ、今度は、第二吸着媒体を含む第二吸着層と熱交換する。
【0020】
また、本発明は:熱源から少なくとも2つの第一セル中へと熱を伝達し、該少なくとも2つの第一セルのそれぞれからガスを脱着させ、そして少なくとも2つの第二セルから少なくとも2つの第三セルへと熱を伝達する第一工程;少なくとも2つの第二セルからヒートシンクに対して熱を伝達し、その少なくとも2つの第二セル中へとガスを吸着させ、そしてその少なくとも2つの第一セルから少なくとも2つの第三セルへと熱を伝達する第二工程;熱源から少なくとも2つの第三セル中へと熱を伝達し、少なくとも2つの第三セルのそれぞれからガスを脱着させ、そして少なくとも2つの第一セルから少なくとも2つの第二セルへと熱を伝達する第三工程;及び少なくとも2つの第一セルからヒートシンクへと熱を伝達し、少なくとも2つの第一セル中へガスを吸着させ、そして少なくとも2つの第三セルから少なくとも2つの第二セルへと熱を伝達する第四工程を含むガスを吸着及び脱着する方法も提供する。この方法では、各セルは、少なくとも1つの吸着剤及び少なくとも1つの熱交換器を含む。
【0021】
また、本発明は、PSA吸着を熱で増強させて、PSA単独で達成されると考えられる吸着媒体の利用率をより大きくする吸着脱着法も提供する。その方法は、吸着種(一種又は複数種)のより多くの量を吸着できるように、吸着種(一種又は複数種)のある分圧における吸着中に吸着媒体を冷却する工程、及び/又は脱着種(一種又は複数種)のより多くの量を脱着できるように、脱着種(一種又は複数種)のより低い分圧における脱着中に吸着媒体を加熱する工程を含む。一般的に、本明細書で説明される方法は、熱スイング吸着、熱増強圧力スイング吸着、及び熱化学圧縮に適用可能である。
【0022】
別の面では、本発明は:吸着媒体を含む吸着メソチャンネルを含む吸着層;及び該吸着層に隣接していて、且つ第一熱交換流体経路を含む第一領域と第二熱交換流体経路を含む第二領域とを含む熱交換器層を含む吸着ポンプを提供する。第一流体経路はヘッダー及びフッターと接続している。第二流体経路も、ヘッダー及びフッターと接続している。第一流体経路は、第二流体経路に比べて平均長が短い。長さは、熱交換器層を通る正味の流体流の方向で測定される。第二流体経路の平均幅と平均高さとの積(幅x高さ)は、第一流体経路の平均幅と平均高さとの積(幅x高さ)に比べて大きい。より広い面では、本発明は、単独で又は熱交換を必要としている任意の層と一緒に、上記熱交換器を提供する。
【0023】
「領域」という用語は、熱交換器層における選択された隣接体積を指している。その領域は、任意に選択してもよいが、熱交換器中に配置されている流体経路の長さに対して平行な二面を含んでいるべきである。「領域」の高さは、典型的には、熱交換器層の高さで決まる。結合されていないスタック状態の熱交換器の高さは、熱交換器シム(単数又は複数)の高さであるが、結合されたスタック又は一体型デバイスでは、熱交換流体経路の最大の高さである。「流体経路」は、熱交換流体の流れを通すチャンネル、開放空間、又は任意の領域である。
【0024】
更に、本発明は:第一温度において、吸着メソチャンネル中にある吸着剤上へとガスを吸着させて、吸着されたガスを形成させる工程;第一温度に比べて高い温度の熱交換流体を第一及び第二流体経路中に通す工程;及び吸着されたガスの少なくとも一部分を脱着させる工程を含む、上記吸着ポンプのいずれかにおいてガスを吸着及び脱着させる方法も提供する。
【0025】
別の面では、本発明は:中心軸の周囲に配置された少なくとも3つのセルを含み、且つ各セルが少なくとも1つのユニットを含み、且つ各ユニットが熱交換器層と、その熱交換器層に隣接している吸着層とを含む;その場合、前記層は、幅、高さ及び長さの相互に直角な寸法を有する実質的な平面であって、その長さは各層中を流れる正味の流体流の方向で測定され、各層の高さは、その幅に比べて小さく、その長さに比べて小さく、また、各層の高さは、中心軸に対して実質的に平行である一体型マルチセル吸着ポンプを提供する。
【0026】
本発明の様々な面は、水素を含む任意のガスに対して一般的に適用可能であるが、水素に対して特に適しているいくつかの好ましい態様が存在する。例えば、水素は、金属水素化物(金属水素化物吸着剤は、水素化物形態で、更に典型的には、その場で水素化物へと転化される金属として、まず最初に供給することができる)中に吸着させることができ、また本明細書で説明されている装置及び方法を用いて迅速に脱着させることができる。特有な面では、本発明は、水素を吸着及び脱着する工程を含む燃料電池を始動させる方法を提供する。この面では、本発明は:(a)改質装置から水素を製造し、改質装置によって製造された水素の一部を、吸着ポンプ内にあるメソチャンネル中に配置されている水素吸着剤に吸着させる工程、(b)その吸着ポンプおいて、メソチャンネル中に配置されている水素吸着剤を加熱して、水素を脱着させ;その脱着させた水素の少なくとも一部を動作していない燃料電池中に通す工程;及び(c)脱着させた水素を用いて燃料電池を始動させる工程を含む燃料電池を始動させる方法を提供する。
【0027】
一般的に、本発明は、本明細書で説明されている部材(例えば、独立したシム又はシムの集合体)又はデバイス(例えば、積重ねシム、入口及び/又は出口を有し且つ/又は流体管などに接続されている積重ねシム)のいずれかを提供する。シムのシリーズとして様々な態様が示されているが、シムによって本発明が特徴付けられる必要はないが、ある種の接続、流路、及び/又は吸着構造(adsorbent configurations)などを有するデバイスによって特徴付けられることを認識すべきである。デバイス及び部材は、試験結果によって証拠が提示された特性に限定されないが、それらの機能及び/又は特性によって(例えば、それらの効率によって)、更に、もしくは二者択一的に特徴付けられる(且つ請求される)。また、本発明は、例えば吸着ポンプ、熱交換器、及びガス吸着脱着装置のようなデバイスも含む。いくつかの態様では、これらのデバイスは、それらの機能と一緒に特徴付けることができる。
【0028】
また、本発明は、部材又はデバイスのいずれか(本明細書で説明されている部材又はデバイスの任意の部分)を用いるプロセスも含む。また、本発明は、ガスを吸着及び/又は脱着させる方法及び/又は熱を交換させる方法も含む。いくつかの態様では、本発明方法は、本明細書で説明されている特性もしくは他の特徴又は上記デバイスもしくは本明細書中の他の説明から得られる特性もしくは他の特徴と一緒に特徴付けることができる。
【0029】
本発明は、積重ねプレアセンブリとして結合させる前に、結合させて積層デバイス又は積重ねシムとされたシムの群を含む。
更に、本発明は、本明細書で説明されている特徴の1つ以上を有するシムを積重ねることを含む工程によって部材又はデバイスを作製する方法を提供する。積重ねたら、例えば 拡散結合又は(低温用途には)接着剤のような方法によってシムを典型的に結合させる。
【0030】
本発明の様々な態様は:迅速なサイクリング、迅速な吸着剤再生、必要とされる吸着剤質量の関数として吸着時間の短縮及び/又は吸着されるガスの体積増加、優れたデバイス安定性、低コスト、接触器を介しての拡散を必要としない吸着媒体中への直接吸着、吸着器構造の他の要素に比べてより強く吸着媒体を選択的に加熱/冷却できるという利点、エネルギー効率の良い温度スイング分離及び/又はよりエネルギー効率の良い熱化学圧縮を可能にする伝熱式熱交換を有する吸着ユニットの構成を含む多くの利点を提供することができる。
【0031】
本発明の主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され且つ厳密に請求される。しかしながら、構成及び運転方法の両方、ならびにそれらの更なる利点及び目的は、同じ参照番号は同じ要素を指している添付の図面と一緒に記載される以下の説明を参照することによって最も良く理解できる。
【0032】
用語解説
本発明において、「マイクロチャンネル」という用語は、好ましくはチャンネルを通る正味の流れに対して直角な方向において、少なくとも1本の寸法が1mm以下であるチャンネルを指している。「メソチャンネル」という用語は、チャンネルを通る正味の流れに対して直角な方向において、少なくとも1本の寸法が1cm以下であるチャンネルを指している。上記2種類のチャンネルに関して、最適な設計は、通常、迅速な熱及び/又は質量輸送が望まれる方向にチャンネルの高さを配向させることを含む。フロースルーデバイスの「吸着層」は、吸着剤のみを含むが、積層フローバイデバイスでは、「吸着層」は、吸着剤と接触器(存在する場合)と吸着剤及び/又は接触器に隣接している開放領域を含む。
【0033】
吸着剤の量の「理論容量」は、それ以上ガスが実質的に吸着されなくなるまでの充分な時間、第一温度において且つ吸着されるガス種(一種又は複数種)の分圧を固定した状態で、吸着剤を維持する工程、次に、ガス流を停止させ、それ以上ガスが実質的に吸着されなくなるまで、吸着されるガス種(一種又は複数種)に関して同じ固定分圧で又は別の固定分圧において、第二温度まで加熱してガスを脱着させる工程、及び脱着されたガスの量を測定する工程によって決定される;脱着されたガスの量は、そのプロセス条件のセットに関する吸着材料の「理論容量」であると規定される。作動している吸着ポンプ内における実際の「利用された容量」は、同じ圧力及び温度条件ではあるが、選択された限られた時間において測定されるので、理論容量に比べて下回っている可能性がある。
【0034】
吸着ポンプは、システムが異なる温度及び/又は圧力に移行するときに、吸着媒体の表面上へとガス又はガス内の成分を捕獲し、次に、捕獲したガスの少なくとも一部を脱着するデバイスと規定される。吸着ポンプは、温度及び/又は圧力の条件が変わるときに起こる吸着剤の平衡吸着能力における変化を利用する。メソチャンネル吸着ポンプは、メソチャンネル内に吸着剤材料を含み、そのメソチャンネルは、熱交換器、好ましくはマイクロチャンネル熱交換器と熱接触していて、それにより、吸着剤メソチャンネルと熱交換器マイクロチャンネルとの間に迅速な伝熱が提供される。
【0035】
マイクロチャンネルとメソチャンネルとの間の輸送現象は、一般的に、ミリ秒から数十秒の特有な熱及び質量輸送時間を示す。而して、適当に選択された伝熱流体を併用したマイクロチャンネルとメソチャンネルとのシステムは、およそ数十秒又は数秒以下で、過渡的な熱及び質量の輸送応答速度を示すように設計することができ、而して、メソチャンネル吸着ポンプは、数分以内に、又はいくつかの場合では、数十秒以下の内に、完全なTSAサイクルによって運転できるべきである。
【0036】
ハードウェア体積又は装置体積に関して説明される本発明の面に関して、該体積は、吸着媒体、熱交換器、エンドプレート及びヘッダーとフッターを含むが、外部導管を含まない。例えば、装置は、外部導管を除いて、図15に示してある装置全体を含むと考えられる。
【0037】
メソチャンネル吸着ポンプの理論及び設計
ハードウェア体積あたりの生産性が高い吸着ポンプ設計を得るために、吸着媒体を迅速に循環させる必要がある。それは、マイクロチャンネル及びメソチャンネルによって提供することができるタイプの高速な熱輸送及び質量輸送によって促進される。
【0038】
マイクロチャンネル及びメソチャンネルにおける流体内の熱輸送及び質量輸送は、通常は、拡散によって支配される;すなわち、マイクロチャンネルにおける流体流は、ほとんど常に、層流領域(すなわち、乱流ではない)にあるので、熱輸送及び質量輸送は、主に、流体内における拡散によって得られる。
【0039】
メソチャンネル吸着ポンプの迅速なサイクリングでは、特に、以下で考察されるように高度に効率的な熱回収が望まれる場合には、熱交換チャンネル、吸着チャンネル、及びこれら2セットのチャンネルを分離している壁の中における過渡的な熱応答に注意する必要がある。好ましくは、メソチャンネル吸着ポンプは、壁を横断する熱輸送距離が、システムのサイクル時間又は性能に有意に影響を与えないように充分に小さくなるように設計される。
【0040】
熱交換器チャンネルにおける特有な熱輸送時間(tht)は、実質的な程度の熱拡散が生起するのに要する時間と関係がある。より厳密には、拡散によって熱輸送が支配されているメソチャンネル内における層流に関しては、特有な熱輸送時間は、下式
ht = h/∝
(式中、hはチャンネルの高さであり、及び∝は流体の熱拡散率である)のように熱輸送距離及び熱交換流体の熱拡散の関数であると規定される。例えば、高さ250ミクロンのチャンネルを流れる水(300K、1バールにおいて熱拡散率 ∝ = 1.46x10−7/秒)は:
ht = h/∝
= [(250ミクロン)(10−6m/ミクロン)]/(1.46x10−8/秒)
= 0.43秒
の特有な熱輸送時間を有する。この方法で特有な熱輸送時間を規定することは、数学的には、無次元フーリエ数(F)を1とおいたことに等しい。Fを1とおくプロセスに関しては、実質的な量の拡散が起こったが;流体の過渡的な熱応答はまだ完了していない。熱平衡が近づくにつれて正味の拡散は遅延するので、熱交換器チャンネル内における熱平衡の望ましい近似を達成するためには、thtの追加の時間刻み(time step)が必要であるかもしれない。
【0041】
比較すると、空気(300K、1バールにおいて熱拡散率 ∝ = 2.20x10−5/秒)及び液体ナトリウム(473K、1バールにおいて熱拡散率 ∝ = 4.78x10−5/秒)は、高さ250ミクロンのチャンネルにおいて、それぞれ2.84ミリ秒及び1.31ミリ秒の特有な熱輸送時間を有する。
【0042】
また、メソチャンネル吸着ポンプの設計では、吸着チャンネル内における且つ吸着チャンネル中への質量輸送に関して注意を払う必要もある。例えば、多くの用途では、吸着ポンプがプロセス流体から溶質を実質的に除去することが期待される。例えば、燃焼ガス流からCOを除去すること、又はプロセス流から酸性ガス(例えば、HS,COなど)を除去することが望ましい。
【0043】
このタイプのプロセスのためには、有意な設計調節(design tradeoff)を行なわなければならない。一つは、各サイクルにおいてほとんど完全に吸着媒体を充填して吸着媒体能力を最大限に利用することであり、もう一つは、供給流から溶質をできる限り多く除去することである。吸着媒体をまず最初に迅速に充填する。その場合、吸着媒体は、流動ガス流に対して近い位置にあり、すなわち質量輸送距離が極めて短い。吸着床の完全な又は実質的に完全な充填が起こり、流動ガス流から最も離れている吸着床の部分まで続く。このために、流れの方向に対して直角方向において測定された、流動ガス流から吸着媒体の最も離れている区画までの距離が重要である。
【0044】
吸着チャンネルにおける特有な質量輸送時間(tmt)は、吸着チャンネル中へと及び吸着チャンネル内において、実質的な程度の質量拡散が起こるのに要する時間と関係がある。特有な熱輸送時間と同様に、層流システムに関する特有な質量輸送時間は、下式:
mt = L/D
(式中、Lは質量輸送距離であり、Dは全流体中の拡散種(一種又は複数種)の有効質量拡散率である)のように、全流体内における、質量輸送距離と、溶質(一種又は複数種)の有効質量拡散率との関数と規定される。而して、特有な質量輸送時間は、流体特性、チャンネル寸法、及び吸着媒体の構造の属性である。特有な質量輸送時間を計算するために、有効質量拡散率は、流体質量拡散率と、吸着媒体のくねり係数(tortuosity factor)及び多孔度との関数であると規定される。而して、
= Dε/τ
(式中、Dは流体中にある吸着種(一種又は複数種)の質量拡散率であり、ε及びτは、それぞれ吸着チャンネルに存在している吸着材料の多孔度及びくねり係数である)
と表される。
【0045】
特有な質量輸送時間を計算する場合、幾何学的配置を考えることが重要である。一般的に、2つのタイプの吸着システムが重要である。1つのタイプは、「フロースルー」システムと呼ばれており、処理されるガスを吸着チャンネルの中に直接流す。もう一方のタイプは、「フローバイ」システムと呼ばれているものであり、処理されるガスは吸着チャンネルを通過する;「フローバイ」システムに関しては、ガスを直接流しているチャンネルから吸着媒体を分離させるために、Drostらに与えられた米国特許第6,126,723号で説明されている接触器を用いることができる。この場合、ガスが接触器中に入り、そして吸着媒体中に拡散するときに吸着が起こる。又は、別の「フローバイ」システムは、吸着媒体に隣接しているが、直接には吸着媒体中を通っていない優先流路(preferential flow path)が存在するように、ガスを流すために用いられるのと同じメソチャンネル内に配置された吸着媒体を有することを含む。例えば、吸着媒体は、チャンネルの壁上に又はチャンネルの全高を占めない「挿入物(insert)」上に塗布される。
【0046】
吸着チャンネルが吸着構造によって実質的に充填される、接触器ベースの「フローバイ」システムに関して、吸着チャンネルの高さは、吸着チャンネル内における質量輸送長さでもある。吸着剤に関する多孔度対くねり係数の比(ε/τ)が1/6であって、流体の質量拡散率が1.67x10−5/秒(298Kで1atmにおけるN流中のCOに相当する)である高さ1mmの吸着チャンネルの場合は、特有な質量輸送時間は:
mt = L/D
= (1x10−3m)(6)/(1.67x10−5/秒)
=0.359秒
と計算される。同様に、吸着チャンネルの高さが1cmである場合、特有な質量輸送時間は35.9秒と計算される。
【0047】
特有な質量輸送時間の評価は、様々なメソチャンネル吸着ポンプ構造を考慮するときに役立ち得るが;追加の詳細は吸着ポンプを設計するときに考えなければならない。過渡的応答及びサイクル時間を評価するためには、吸着に関する化学(容量及び運動速度(kinetic rate))、吸着チャンネルの正確な幾何学的形状及び寸法、及び吸着チャンネル中にある吸着媒体、ならびにシステムが達成することを意図している理論容量のパーセントに対しても注意を払わなければならない。
【0048】
更に一般的には、メソチャンネル吸着ポンプのためのサイクリング速度は、化学、質量輸送(全ガス流内における及び吸着チャンネル内における溶質の質量拡散を含む)、及び熱輸送(吸着チャンネル内におけるガス及び固体物質の熱拡散率と、吸着チャンネル、任意の熱交換チャンネル(単数又は複数)及びチャンネルを接続している構造材料の組合せに関する特有な熱輸送時間とを含む)の関数である。
【0049】
サイクルの吸着部分中に、吸着されたガスは相転移を経験し、熱(吸着熱)が放出される。吸着熱が発生したときに熱を除去しないと、吸着床内の温度が上昇し、それにより、吸着できるガスの量が制限される。同様に、脱着中、ガスの発生はエネルギーを消費するので;吸着床を加熱(脱着の熱に相当する)しないと、温度が低下し、それにより、脱着できるガス量が制限される。
【0050】
熱増強PSA
メソチャンネル吸着ポンプは、PSA吸着を行うこともでき、原則として、熱増強によってPSA吸着サイクルの生産性を向上させることができる。上記したように、吸着システムは、典型的には、吸着中には熱を発生し、また脱着中には、熱を消費するので、サイクルの脱着部分では吸着媒体の温度が低下する。従来のPSAシステムでは、吸着熱は吸着媒体内に残留しており、脱着熱はその吸着媒体から取り出され、吸着媒体は冷却される。従来のPSAシステムに関する正味の効果は、吸着中に熱を除去し及び/又は脱着中に熱を加えた場合に比べて、吸着媒体の理論容量が低下するということである。
【0051】
熱増強は、通常は、従来のPSAシステムに関して試みられる。なぜならば熱輸送距離が非常に長いので、極めて長いサイクル時間が必要とされるからである。上記したように、従来のPSAシステムは、典型的には数分のサイクル時間を有するのに対して、従来のTSAシステムは、典型的には数時間のサイクル時間を有する。
【0052】
しかしながら、メソチャンネル吸着ポンプは、PSAシステムと同様により短いサイクル時間を提供する。而して、メソチャンネル吸着ポンプは、熱増強されたPSA吸着及び/又は脱着を行うことができるので、所定量の吸着剤の利用度を向上させることができる。更に詳しくは、熱交換及び吸着/脱着用にメソチャンネルが組み込まれている熱増強PSA吸着ポンプは、ある圧力(又は分圧)におけるガス種(一種又は複数種)の吸着中において吸着媒体に冷却を提供し、且つ/又はより低い圧力(又は分圧)における脱着中に吸着媒体に対して加熱を提供する。この運転は、典型的には、プロセスを動作させるために熱エネルギーを必要とするが、吸着システムの大きさは縮小し、吸着媒体の量は減少する。又は、いくつかの用途では、従来のPSAシステムは、圧縮機の運転を支えるために電気エネルギー又は機械エネルギーを要する吸着用高圧運転を必要とするかもしれないのに対して、熱増強PSAメソチャンネル吸着ポンプは、より低い入口圧力を必要とする(而して、圧縮機のコストが低下する)プロセスサイクルの一部として運転できると考えられる。特に、このことは、比較的低い温度熱と関係がある低位発熱量に比べて、電気的又は機械的な力と関係がある高位発熱量が認められる運転にとっては価値があるかもしれない。特に廃熱が適当な質で別の運転から利用可能である場合には、価値があるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1a】単純化された吸着プロセスの概略図である。
【図1b】単純化された脱着プロセスの概略図である。
【図2】螺旋状の吸着チャンネルを有する吸着層のトップダウン図である。
【図3】一体化された吸着/脱着サイクルを行なうシステム及び方法を概略示している図である。
【図4a】一体化された吸着/脱着サイクルを行なうシステム及び方法を概略示している図である。
【図4b】一体化された吸着/脱着サイクルを行なうシステム及び方法を概略示している図である。
【図4c】一体化された吸着/脱着サイクルを行なうシステム及び方法を概略示している図である。
【図4d】一体化された吸着/脱着サイクルを行なうシステム及び方法を概略示している図である。
【図4e】一体化された吸着/脱着サイクルを行なうシステム及び方法を概略示している図である。
【図4f】一体化された吸着/脱着サイクルを行なうシステム及び方法を概略示している図である。
【図5】宇宙飛行士などのために空気を回収するためのシステム及び方法を概略示している図である。
【図6】脱着されたガス体積に関する選択測定値が白丸で示してある、本発明装置の複数サイクルの時間に対する吸着剤温度について実験的に得られたプロットである。
【図7】熱交換器を通る熱交換流体の様々な流量における、本発明装置の1サイクルの時間に対する吸着剤温度について実験的に得られたプロットである。
【図8a】全プラスチック製、全金属製、及び金属・プラスチック複合材料製である装置において、同じ条件下で加熱したときの時間に対する吸着剤温度ついて実験的に得られたプロットである。
【図8b】全プラスチック製、全金属製、及び金属・プラスチック複合材料製である装置において、同じ条件下で加熱したときの時間に対する脱着ガス体積分率ついて実験的に得られたプロットである。
【図9】多孔質吸着剤において距離Lが0.8mmの場合の半無限拡散(ε=0.5,τ=3,及びD=1.67x10−5/s)に関して、時間(上)及び特有な質量輸送時間の回数(下)の関数としての相対CO濃度の予測変動を示している質量拡散グラフである。
【図10】特定の基準条件下で試験した場合における本発明による吸着ポンプの予測生産性に関するプロットである。
【図11】フローバイマルチチャンネル吸着器の1つの繰返しユニットに関する横断面図である。
【図12】8セル吸着器の八角形対称を示している繰返しユニット中にあるシムに関する平面図である。
【図13】フローバイ吸着器のための繰返しユニット中にあるシムに関する斜視図である。
【図14】最終仕上げ前の結合されたマルチセルマルチチャンネル吸着器である。
【図15】8つのセルのそれぞれ上にある吸着ガスヘッダー/フッタープレートと、エンドプレートの周囲から延びている熱交換流体ヘッダー/フッター管スタブとを有する完成吸着器である。
【図16】表面が、可変幅フィンと交互に並んでいる可変幅エッチド流体チャンネル(ハッチングされた領域)を含む本発明の態様のための熱交換シムの表面に関する図である。
【図17】吸着脱着運転温度の3つのセットに関して、図15に示してあるような吸着圧縮機のユニットハードウェア体積あたりの予測COガス生成速度を圧縮比の関数として示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
好ましい態様の説明
図1は、吸着プロセスの単純化された概略図である。供給ガスは、管4及びバルブ6を通し、入口7を通して、吸着層8の中に供給される。同時に、層8を通してガスを流すと共に、冷却剤はバルブ9を通って流れ、次に、吸着層8から熱を除去する熱交換器10を通る。低温で更に多くのガスが吸着されるので、また吸着は熱を発生させるので、冷却は必要である。吸着層で吸着されないガスは、出口12及びバルブ14を通って流れ出る。吸着サイクルの最後には、供給ガスは止められる。
【0055】
脱着モード時の装置は図1bに概略示してある。熱交換媒体制御バルブ9を切り替えて、熱交換器10の中に比較的熱い流体を通す。高温では更に多くのガスが脱着されるので、また脱着によって吸着層8が冷却されるので、熱が必要である。バルブ14を切り替えて、流れを向け直すことができ、所望ならば、脱着されたガスを捕集することができる。
【0056】
図2は螺旋状吸着メソチャンネル22を有する吸着層20のトップダウン図である。運転中、吸着メソチャンネル22は吸着媒体(図示されていない)を含む。熱交換流体ヘッダー24は、熱交換器チャンネルの多重層にへと流体を輸送できる。
【0057】
吸着チャンネル22は様々な形状をとることができるが、螺旋形状はいくつかの用途にとって望ましいかもしれない。吸着チャンネルの高さ(高さは、図2のページから外の方向にあって、吸着チャンネルの底部から頂部まで測定される)は、1cm以下、更に好ましくは0.1 〜 10mm、なお更に好ましくは1 〜 5mmである。高さを調節することは重要である。なぜならば、熱輸送及び質量輸送のための時間を限定し、サイクル時間をより短縮できるからである。吸着チャンネル22の長さは、ガス入口からガス出口までの正味の流れの方向に存在していて、通常は、許され得る圧力低下と、他の考慮事項、例えば本発明が用いられることになる用途に基づいて決定される。チャンネルの長さに関しては制限はないが;ほとんどの用途のためには、吸着チャンネルの長さは、25cm以下、更に好ましくは10cm以下、なお更に好ましくは1 〜 6cmである。吸着チャンネル22の幅は、特定の態様の設計の関数でもあって、しばしば、内部設計の考慮事項、例えば吸着チャンネルの幅を画定して本発明の作製中に構造リブとして役立つ壁に関するニーズに基づいて決定される。幅は、一般的に、高さ及び長さに対して直角であり、流路の任意の横断面において測定され、好ましくは10cm以下、更に好ましくは5cm以下、又は、なお更に好ましくは5 〜 3cmである。
【0058】
吸着層用の構造材料は、金属でもよいが、好ましくは例えばプラスチックのような低熱質量材料(low thermal mass material)である。吸着チャンネルに対する金属熱交換器インターフェイスと組合せたプラスチック吸着層は、時間の関数として脱着されるガスの部分として測定される脱着特性が優れ、このためにより速いサイクル時間が可能になることを見出した。好ましくは、チャンネルは、吸着層を貫通して完全に切り開かれ、吸着媒体は、好ましくは、2つの側面で熱交換器と接触する。吸着層が薄いと、デバイスサイズ、重量及び熱質量が減少する(更に迅速な温度スイングが可能になる)。
【0059】
ガス吸着媒体(固体である)は、当業において公知であり、所望のガスに対する選択率を基準にして選択できる。二酸化炭素及び水蒸気に関しては、13Xゼオライトペレットは一つの好ましい例である。容量を最大にするためには、吸着チャンネルに存在する吸着媒体の量を最大にすることが望ましいが;質量輸送速度に関する制限とは二律背反であって、吸着チャンネルが更に完全に充填されると、所定の圧力低下においてガス流量が減少する。而して、粒子の間隙を通って流れ且つ拡散できるように、ペレット又は粒子を用いることが好ましい。他の好ましい吸着媒体の形態として、多孔質フロースルーフォーム、フェルト及びハニカムが挙げられる。好ましい態様では、吸着チャンネルは、50%超、更に好ましくは少なくとも80%充填される。吸着媒体は、吸着チャンネルの総体積の百分率として測定され、粒子及びその間隙は「充填されている」とみなされる。他の好ましい態様では、吸着媒体は、吸着チャンネルの少なくともある部分の横断面の少なくとも60%、更に好ましくは80%、なお更に好ましくは少なくとも90%を充填し、この方法では、短い吸着チャンネルでも通過する実質的にすべてのガスが吸着媒体と接触する。ガスを直接に吸着剤中に通す利点としては、加熱/冷却流を吸着媒体の両側に配置することができ、脱着がより小さい空隙中へと起こり、而して、(熱化学圧縮機用途のために)より大きな圧縮が提供されるので、吸着媒体に対して加熱及び冷却を提供する機会がより良好に与えられる点が挙げられる。吸着媒体に加えて、いくつかの好ましい態様では、吸着チャンネルは、例えばチャンネル壁から突出しているフィン又はピンのような熱交換体、又は例えばグラファイトもしくは金属繊維もしくは金属フレークのような散在された熱伝導性材料も含む。
【0060】
本発明の装置は、好ましくは、吸着層と接触している少なくとも1つのマイクロチャンネル熱交換器を含む。「マイクロチャンネル」という用語は、1mm以下の少なくとも1本の寸法を有するチャンネルを指している。マイクロチャンネルは、好ましくは最大の高さ1mm及び幅10cm以下及び任意の長さ(高さはチャンネルを通過する流体流の方向である)を有し、更に好ましくは100 〜 500マイクロメートル(μm)の高さを有する。いくつかの好ましい構造では、各吸着層は熱交換器の間にサンドイッチされる。好ましくは、熱交換器層は、熱交換流体チャンネルと、その熱交換チャンネルと吸着層との間にある壁とを含んでいて、(吸着層(単数又は複数)への/からの熱輸送の方向において)200 〜 2000μmの厚さを有する。
【0061】
好ましくは、熱交換器は、高度に熱伝導性の材料から完全に又は少なくとも部分的に構成されており;熱交換構造にとっては低熱質量も望ましい。いくつかの好ましい態様では、熱交換器は、熱交換器層内において、ヘッダー(単数又は複数)及びフッター(単数又は複数)を接続している様々な長さのチャンネルを有していて;好ましくは、これらの異なる長さのチャンネルの体積は、熱流束が熱交換領域(熱交換器及び吸着剤へと/から熱が輸送される領域)全面で等しくなるように調節される。図11 〜 16に関する以下の考察を参照されたい。いくつかの好ましい態様では、熱交換器の高度に熱伝導性の材料は、好ましくは、吸着チャンネルとほぼ同じ形状を有する(例えば、螺旋形状の吸着チャンネルの上に及び/又は下にある螺旋形状の熱輸送材料)。なぜならば、この構造は、吸着媒体を選択的に加熱するように動作して、デバイスの他の部材、例えば吸着層の他の部分を加熱することが減り、また熱サイクル速度も速くなるかもしれないからである。いくつかの好ましい態様では、熱交換器の高度に熱伝導性の材料は、吸着チャンネル(単数又は複数)と少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%オーバーラップしている。逆に、吸着チャンネル(単数又は複数)は、熱交換器の流体流部分の好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%とオーバーラップしている。「オーバーラップ」は、積み重なっている方向を見て、一つの要素上におけるもう一方の要素の重複像を計量することによって測定される。吸着チャンネルの形状に適合する螺旋構造に造形されている熱交換器に関してデバイスを試験したが、本発明者は、非熱伝導性材料から成る周囲領域を有する成形された熱伝導性マイクロチャンネル領域を有する熱交換器層も構想している。
【0062】
流体のためのチャンネルの代わりに又は流体のためのチャンネルに加えて、熱源は、電気抵抗ヒーター、光吸収表面又は放射性同位体を含むことができる。例えば発熱化学反応器(exothermic chemical reactor)又は原子力リアクターのような他のプロセス技術も熱源となり得る。吸着媒体と接触するガスの非吸着成分は、吸着中に熱を除去することもできるので、ヒートシンク又はヒートシンクの一部として役立つ。又は、熱源及び/又はヒートシンクは、それぞれ、吸着層からの低温熱を、脱着層のための高温熱へと上昇させるヒートポンプシステムの一部であってもよい。いくつかの態様では、他のプロセス技術からの廃熱が本発明装置のための熱源であるように、又は本発明装置のためのヒートシンクが、吸着中にもしくは吸着前に熱が除去されるおおよその温度において低温熱を必要とする別のプロセス技術であってもよいように、本発明装置は、低温廃熱を生成する他のプロセス技術と一緒に構成される。
【0063】
熱交換器における熱輸送流体は好ましくは水であるが、任意の適当な伝熱流体を用いてもよい。例えば、液体金属、炭化水素ベース及びシリコーンベースの流体、多くのガス(例えば、空気、窒素、二酸化炭素又は水素)及び相転移流体(例えば、冷媒)も、本発明の様々な態様のための適当な熱伝達流体である。実施例のところで説明しているように、流量が多いと熱変化速度が増すので、サイクル時間が短縮するが;過度に流量が増加すると、熱力学的な不可逆性が増大するので、システムのエネルギー効率が低下することがある。
【0064】
良好な熱輸送特性、コンパクトで且つ組み立て易いために、吸着層(単数又は複数)及び熱交換器(単数又は複数)は、部材が互いの頂部上に積み重なるように、平らな表面又は相補的な表面(鍵と鍵穴)を有することが好ましい。
【0065】
本発明の別の面では、熱交換流体を介する伝熱式熱交換が提供されるように吸着セルの一群を配置する。図3には、12個のメソチャンネル吸着セル(各セルは、吸着媒体を有する1本以上のメソチャンネルと、1つ以上の熱交換器とを有する)を用いるこのアプローチに関する一つの概略図が記載してある。システムのある部分は吸着であるが、別の部分は脱着であり、残りのセルは、熱交換流体を用いて、予熱(脱着のために)又は冷却(吸着のために)されている。脱着セル(単数又は複数)からの熱交換流体は、吸着剤を予熱している別のセル(単数又は複数)の中に入り、それと同時に、吸着セル(単数又は複数)の熱交換器からの熱交換流体は、吸着剤を予冷している別のセル(単数又は複数)の中に入る。熱交換流体は、各吸着/脱着セル内に埋設されているメソチャンネル中の経路をとることができると考えられる。このアプローチは、米国特許第5,419,156号(その内容を本明細書に引用したものとする)で説明されている概念と同様である。前記特許は、吸着圧縮機に関して全般的な概念を一般的に説明しているが、メソチャンネル又はマイクロチャンネルを用いる吸着/脱着に対して吸着圧縮機を適用していない。
【0066】
熱回収も、吸着に基づく吸着ポンプによって達成できる。例えば、図3の概略図は、マルチセルメソチャンネル吸着ポンプに関する一つの可能な概念を図示している。そのサイクルは、Sywulkaに与えられた米国特許第5,419,156号で説明されているサイクルと同様である。概念的には、セルは、サイクル中は時計回りに移動するが、伝熱流体は、各セル中に存在する伝熱チャンネル中を反時計回りに循環する。脱着が起こっている図の上部にあるセルでは、温度が最も高くなっている。伝熱流体が最も温度が高いこの段階を出るとき、伝熱流体は、脱着工程の方へとサイクルしている左側にあるセルに対して熱を連続的に捨てる。下部では、最低温度のセルが吸着している。伝熱流体がセルを通って右側に上がると、該流体は、脱着工程の方へと下がっているセルを冷却する。この様式で、熱質量と関係がある熱の大部分は、有効に回収される。脱着器では、いくらかの熱を提供し、吸着器では除去して、システムを、圧縮仕事を行なう熱エンジンとして動作させなければならない。実際には、セルは物理的に回転させることはできないことに留意されたい。仮想の回転は、入口及び出口のポイントならびに加熱と冷却が起こるポイントを移行させることによって達成できる。
【0067】
Sywulkaの概念では、実質的な量のバルビング(a substantial amount of valving)が必要である。熱回収メソチャンネル吸着ポンプのための流体ポンプ及びバルブは、吸着ポンプ構造内にバルブを埋設することによって、又は前記構造に接続されている導管に対して外部バルブを接触することによって、提供できる。
【0068】
熱回収に関する他のオプションはマルチセル吸着ポンプであり、該吸着ポンプの全般的な目的は、冷却しているセルからの熱エネルギーを利用することであり、吸着を支援することであり、及び加熱を必要とする別のセルに対して熱を提供して脱着を支援することである。図4a 〜 4fに示してあるように、Sywulkaの連続流体プロセスループは、各セルと直ぐ隣に存在するセルとの間の熱接続で代替される。熱接続は、熱交換流体ループを用いて、又は例えば熱スイッチを用いることによって作ることができる。また、流体ポンプ及びバルブを内部又は外部に提供することができる。
【0069】
エネルギー効率の良い運転では、伝熱式熱交換が高度に効率が良いことが必要である。熱交換チャンネル及び吸着チャンネルは、システムを運転することに関わる熱エネルギーの少なくとも60%以上、又は更に好ましくは80%以上、なお更に好ましくは90%が回収されるように、共同して働く。
【0070】
別の装置は図4a 〜 4fに概略示してある。好ましくは、このスキームでは、3の倍数個のセルを利用する。図示されているデバイス(各図は上から見下ろしている図である)は、9個のセルを含み、各セルは箱型で表してある。図4aでは、熱は、矢印42で示してある経路に沿って熱源40からセル44中に伝達される。熱源40は、例えば、パイプを通過する熱流体、光吸収表面、抵抗器、又は放射性同位体を有する容器、又は別のプロセス技術から熱流を提供する熱スイッチもしくは他の熱導管を含むことができると考えられる。サイクルの最も高い温度で動作するセル44は、ガス46を脱着し、脱着されたガスはバルブ付出口(図示されていない)を通って出る。同時に、温セル48は、隣接している冷セル50に対して熱49を伝達する。
【0071】
図4bに図示してある次の工程では、セル44の出口は閉じられ、セル44からの熱51が移動されて、隣接セル50を温める。同時に、ガス52はセル48に吸着され、熱54はヒートシンク(図示されていない)へと伝達される。そのヒートシンクは、例えば、熱交換器中の冷却流体、ほぼ吸着温度もしくは吸着温度を下回る温度において熱を要求する別のプロセス技術、又は単純に大気であることができると考えられる。
【0072】
図4cに図示してある次の工程では、熱源からの熱は、吸着されたガスを脱着させるセル50へと伝達される。同時に、温セル44は隣接冷セル48へと熱を伝達する。
図4dに図示してある次の工程では、セル50の出口は閉じられ、セル50からの熱は伝達されて、隣接セル48を温める。同時に、ガス52はセル44で吸着され、熱54はヒートシンク(図示されていない)へと伝達される。次の工程は図4e及び4fに示してある。
【0073】
また、本発明は、吸着層(単数又は複数)と熱交換器とを結合させることを含む吸着装置を作製する方法も含む。すべて金属製のユニットでは、結合は、好ましくは拡散結合によるものである。プラスチック含有ユニットは、接着剤、圧縮取り付け、拡散、又は他の方法によって結合させることができる。また、装置は、セラミックを含むか又はセラミックから組み立てることができ、また様々な方法でシールすることができる。
【0074】
本発明のすべてのガス吸着法は、ガスを吸着媒体上へと吸着し、次に吸着させる工程を含む。ある面では、ガスは、吸着媒体を含むチャンネル中に通され(好ましくは、最初に接触器中を通過させることなく)、それと同時に、熱は、熱交換器へと、又は熱交換器から、約1cm未満の正味の距離のところに存在する吸着媒体の任意のポイントへと輸送される。言い換えれば、吸着剤のすべてのポイントは、熱交換器から約1cm以下の距離内にある。正味の効果は、ガスが濃縮又は圧縮されることであり、プロセスのためのエネルギーは熱エネルギー(熱)である。熱源及びヒートシンクが要求されるので、熱力学サイクルは、熱エンジンのそれである。更に、熱及び質量の輸送距離が短いので、マイクロチャンネル及び/又はメソチャンネルの最も短い寸法に沿って、システムは速いサイクル速度で動作する。吸着媒体の任意のポイントから最も長い熱輸送距離は、約1cm未満であり;更に好ましくは約8mm未満であり、なお更に好ましくは5mm未満である。いくつかの場合では、熱輸送距離はもっと長くてもよい。熱輸送を増強するために、多孔質導体を吸着チャンネル中に配置できると考えられる。別の面では、熱は、選択的に加えられそして、吸着層の他の部分への伝熱が比較的低いレベルである吸着層から選択的に除去される。更に別の面では、熱は、高い熱伝導性材料から成る熱交換器と、比較的低い熱伝導性材料から成る吸着層との間で伝達される。
【0075】
更にもう一つ別の面では、ガスは、圧力スイングによって、吸着チャンネル中にある吸着剤から脱着される。熱交換器は圧力スイング吸着には必要ではないが、速さ及び/又は容量を増強するためには熱交換器が存在できると考えられる。
【0076】
また、本発明は、プロセスにおける工程として本発明のガス吸着法を含むガス分離法も含む。例としては、呼気からのCOの分離、天然ガスを「仕上げる」ために天然ガスからHSを除去すること、燃料電池発電所のために水素富化流から(例えば、改質装置から)CO及び/又はCOを除去すること、(空気を乾燥させるために)空気から水を除去すること、及び更に複雑な分離が挙げられ、その場合、吸着デバイスは、例えば機器用途のためのようにアルゴン又は窒素を精製するためのような、プロセスの一部分ではない。
【0077】
サイズ、組成などに関して本発明を説明することとは別に又は説明することに加えて、本発明は、他の測定可能な特性、例えば迅速なサイクル性(cyclability)及びハードウェア体積の関数としてのガス吸着/脱着について説明することができる。
【0078】
細い吸着チャンネルを用いると、伝熱(伝熱出力密度として表すことができる)を更に速くすることができる。迅速なサイクリングを可能にするために、熱は、吸着チャンネルと熱交換チャンネルとの間で、1立方センチメートルあたり少なくとも0.5ワットの速度で、更に好ましくは1立方センチメートルあたり少なくとも1.0ワットを超える速度で、なお更に好ましくは1立方センチメートルあたり少なくとも5.0ワットを超える速度で交換される。前記の値は、既に上で規定したように体積は吸着セル体積であって、完全な冷却加熱サイクルに関して測定される。本発明における伝熱の上限は、吸着層の厚さが0に近づくにつれて限定される。いくつかの好ましい態様では、伝熱速度は、約1.0 〜 6.0W/ccである。好ましい方法では、吸着剤の理論容量の少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも80%、なあ更に好ましくは少なくとも95%は、3分間、更に好ましくは1分間、なお更に好ましくは20秒以下の熱スイングサイクル(真空を施用しない又はパージガスもしくはスイープガスを加えない)で利用され、いくつかの態様では3分 〜 30秒の熱スイングサイクルで利用される。
【0079】
いくつかの好ましい態様では、本発明装置は、吸着媒体を等体積の13Xゼオライト(1立方センチメートルあたり0.67gのかさ密度を有する)で置換する場合、このゼオライトを、760mmHg及び5℃において二酸化炭素で飽和させ、次に、760mmHgにおいて出力を保ちながら(熱交換器(単数又は複数)中に90℃の水を通すことによって)90℃まで温め、次に、ゼオライトの理論容量の少なくとも50%が1分以内に脱着されるような迅速な脱着能力を有する。更に好ましくは、吸着された二酸化炭素の少なくとも70%、なお更に好ましくは少なくとも90%は1分以内に脱着される。また、本発明は、生産性によって特徴付けられる。別の試験では、上記したものと同じ条件下で、装置1mlあたり少なくとも0.015gのCO、更に好ましくは少なくとも0.025g、いくつかの態様では0.015 〜 約0.04gのCOが1分以内に脱着される。本発明の迅速な脱着能力は、一般的に、吸着媒体のタイプに影響されない;このような本発明のある種の態様を特徴付ける目的は、ハードウェアの設計を特徴付けるために、而して、本発明の迅速な脱着特性を特徴付けるために用いることができる測定可能な判定基準を提供することにある。
【0080】
好ましい態様では、本発明は、吸着媒体の理論容量の少なくとも70%(更に好ましくは約80% 〜 約95%)が少なくとも2つの連続吸着脱着サイクルにおいて用いられるような迅速なサイクル性を有する。前記各サイクルは、総ガス量が理論容量(時間が無限大のときの吸着剤の容量)の1.5倍に等しくなるような流量で、各サイクルの吸着部分のために、1分間、吸着チャンネル中にパージガスを通し、それと同時に、10℃の水を、熱交換器中に通し、次に、そのガス流を止め、各サイクルの脱着部分のときに、1分間、熱交換器(単数又は複数)中に90℃の水を通すことによって、吸着層(単数又は複数)を加熱する試験によって測定すると、2分間で達成される。この測定では、選択された吸着媒体のための典型的な標的ガスに適合するようにパージガスを選択すべきである。この迅速なサイクリングは、真空を施用せず且つパージガス又はスイープガスを加えない純粋な熱スイング吸着によって得られる。
【0081】
また、本発明のシステムは、優れた安定性も示すことができ、好ましい態様では、生産性は、100サイクル後でも10%未満低下するだけである。
典型的な用途では、複数の吸着層を複数の熱交換器層と交互に配置して単一ユニットにする。好ましくは、一体化されたユニットは、2つの熱交換器の間に各吸着層をサンドイッチしている。更に好ましくは、ユニットは少なくとも5つの吸着層及び6つの熱交換器層を含む。いくつかの態様では、51の熱交換器と交互に配置された少なくとも50の吸着層を含むユニットによってより大量のガスを分離することができる。
【0082】
好ましい態様では、メソチャンネル吸着セルは、結合後に吸着媒体を加えたり除去できるように設計される。吸着チャンネル(単数又は複数)は、熱交換チャンネルに比べて、より長く作ることができるか又は片側に付け加えて配置できる。この設計では、セルは(例えば、切ったり又はボルトを取り除くことによって)開けることができ、熱交換チャンネルを開けなくても吸着媒体を取り出したり且つ/又は加えたりできる。ユニットは、溶接、圧縮固定又は他の方法によって再シールされる。
【0083】
図5には宇宙飛行士などのための空気処理システムが図示してある。水吸着器はシリカゲル、又はゼオライト、又は他の適当な吸着剤を含むことができ;同様に、CO吸着器はゼオライト又は他の好ましい吸着剤を含むことができる。吸着されるそれぞれの種(例えば、水及びCO)のために、2種類の吸着セルが存在し、一つは、処理のために所定の時間用いられる吸着セルであり、もう一つは、熱を添加することによって再生されている吸着セルである。好ましい態様では、システムは、それぞれの種のための複数の吸着セルから成っていて、改良された熱回収を提供する。同じ吸着媒体を用いる非再生システムに比べて、同時再生を行なうと、要求される吸着剤質量は減少する。要求される質量及び体積は、サイクル時間が短くなるにつれて線形的に減少する。典型的な4時間の運転のために、4分のサイクルで再生されるシステムでは、従来の非再生システムに比べて、要求される吸着剤量は約1/60未満である。
【0084】
特に好ましいマルチセル吸着ポンプは図11 〜 16に図示してある。単一フローバイセルにおける単一フローバイユニットの横断面概略図は図11に示してある。面と面を接触させて積重ねられた一対のシムAは熱交換器を形成し;シムBそれぞれはシムを通過して吸着メソチャンネルを創出しているチャンネルを有し;シムCはガス流チャンネルを提供し;及びシムDそれぞれは、吸着剤とガス流チャンネルとの間に拡散質量輸送を可能にする多孔質接触器である。A,B,及びDがそれぞれ2つ及びCが1つである7つのシムによって繰返しユニットが創出される。言い換えると、複数の繰返しユニットを積重ねると、吸着セル中において、吸着チャンネルの数と吸着剤体積とが垂直方向に増大し、熱及び質量の輸送効率において不利益は無い。そのようなセルにおけるシムの適当な設計及び結合によって、熱交換流体は、吸着剤と吸着ガスとを含むチャンネルから密閉隔離される。
【0085】
図12は、平面図で示された八角形対称(octagonal symmetry)の8セルフローバイ吸着器のための4つのシム設計を図示しており、図13は、同じシムの斜視図である。好ましくは、多孔質接触器120のためのシム材料(例えば、チタン)は、パターンをエッチングすることによって二次加工されて、メッシュ様のパターンを創出する孔及び/又は肋状組織(ribbing)を提供する。この二次加工は、光化学エッチング又は他の公知の手段によって達成できる。シムの台形オクタントのそれぞれの内にある2つの三角形のカットアウト170、171は、繰返しユニット及びセルのための熱交換流体ヘッダー及びフッターを形成する。
【0086】
図12及び13は、フローバイ吸着器のための繰返しユニットの積層順序を示している。フロースルーデバイスは、繰返しユニットからガス流と多孔質接触器シムC及びDとを除去することによって、図11 〜 13で規定されたシムから容易に得られる。そのユニットは、望ましい容量のために、例えば、少なくとも2、少なくとも12又は2 〜 100の繰返しユニットを繰返して積重ねることができる。好ましくは、更に1本の熱交換チャンネルを、繰返しユニットスタック(repeat unit stack)の各末端で用いて、熱交換チャンネルの末端をキャップする。
【0087】
結合された形態のデバイスの構造は図14に示してある。吸着ガスヘッダー/フッタープレート160を機械加工し取り付けると、図14の結合構造は図15に示した8セル吸着器にすることができる。エンドプレート140は、結合プロセスで有益であり、熱交換流体のための外部ヘッダーフッター接続のために用いることができる。典型的な製造プロセスでは、シムを積層し(好ましくは、拡散結合によって)、その側面は、切り離され、吸着剤を吸着チャンネル中に挿入する。次に、プレート160で開放面をキャップし、それを溶接することができる。好ましくは、プレート160は、吸着層の中に及び吸着層の外へとガス流を指向するヘッダー及びフッター(図示されていない)を含む。結合後にエンドプレートから材料の有意な部分(fraction)を除去することは、2つの機能に役立つ:すなわち、第一はデバイス質量を減少させること、第二は熱サイクル中にデバイス質量を加熱し冷却する仕事を減少させることに役立つ。後者は、エンドプレート材料が熱伝導性であって、大きな熱容量を有する場合は、特に重要である。冷却され加熱される吸着剤以外の他の構造の質量が減少する場合、又は熱エネルギーがサイクルからサイクルまで効率的に回収される場合、冷から熱から冷などのセルの熱サイクリングと関係があるエネルギー損失が最少化される。
【0088】
いくつかの態様では、吸着器の「熱質量」を更に最小化するために、また結合された金属によって提供される耐久性を維持するために、ステンレス鋼に比べてより低密度でより熱容量が低い材料、例えばチタンを用いることが望ましい。チタンは、ステンレス鋼の体積を基準にすると、密度はほぼ半分であり、熱容量もほぼ半分である。
【0089】
フローバイ吸着ポンプの特に好ましい態様では、ガスは入口111を通り、(好ましくは吸着層の全高まで延びている)壁115の周囲を流れ、そして吸着されていないガスは出口117を通って流れ出る。入口及び出口は、結合された装置の8つの側面のそれぞれから壁119を除去することによって、創出される。ガスは、多孔質接触器120を通って、チャンネル118中に含まれている吸着剤中に又は吸着剤から外へ拡散する。好ましくは、吸着層中にある全空間118は吸着剤で充填される。熱交換流体は導管152を経て熱交換ヘッダー中に流れ、そして各セルに取り付けられている導管154を経て熱交換フッターから出る。ガスは、プレート160において導管156を通って、装置中に存在するセルの中に流れ、そして導管158を通ってセルから出る。いくつかの好ましい態様では、ガス流及び熱交換流体流は、同じ一体化マルチセルデバイス内で一つのセルから別のセルへと送られる。そのルーティング(routing)は、本明細書の他の部分で提供されるマルチセル運転の説明にしたがって指示される。
【0090】
熱交換シムAの詳細は図16に示してある。平らな熱伝達表面は吸着層と接触している。シムソリッドオーバーラップ(shim solids overlap)がオーバーラップしている領域において、前記表面と吸着シムBとを効果的に結合(例えば、金属の場合は拡散結合)させると、熱交換チャンネル中にある流体から、吸着層内にある吸着剤とガスとが密閉隔離される。
【0091】
図16は、同じ熱交換シムの他の表面を示していて、その表面では、熱交換流体チャンネル及びフィンを表面改質(例えば、光化学エッチング)することによって画定できる。この場合では、図面のハッチングされた領域は、例えば、シムの厚さの半分である深さ0.005インチ(0.125mm)でエッチング(又は機械加工又はスタンプ)できる。ハーフエッチングされた部分は流体チャンネル174を画定し、各チャンネルの間にあるエッチングされない材料は熱伝達フィン173である。
【0092】
図16で認められるように、フィンは、台形の内側(より小さい)エッジの方へより広くなっていて、チャンネルはより狭くなっている。この設計の特徴により、吸着層と、吸着層に隣接している支持構造とに対して、ほとんど一定の熱束を提供する。その設計は、熱伝達領域全体にわたって一定の熱束を可能にする。前記熱伝達領域は、最も広い流体チャンネルによって外側エッジ上に、最も狭い流体チャンネルによって内側エッジ上に、及び三角形の流体ヘッダー及びフッター170,171によって末端上に結合されている。而して、いくつかの好ましい態様では、熱交換器は、複数の(好ましくは、少なくとも6、更に好ましくは少なくとも16)の熱交換チャンネル(好ましくは、マイクロチャンネル)を含む。その熱交換チャンネルにおいては、そのチャンネルは、セル部材の外側(より大きな)エッジの方へとより広く及び/又はより深くなっている。
【0093】
様々なチャンネル及びフィンの幅に関するニーズは、ヘッダー及びフッターを接続する流体チャンネルの長さに起因している。ヘッダー及びフッターは比較的大きく且つ開放しているので、ヘッダー及びフッターそれぞれの中の圧力は実質的に一定である。言い換えると、ヘッダー又はフッター内を流れている流体の圧力低下は、ヘッダー及びフッターを接続するチャンネル中を流れている流体の圧力低下に比して、無視できる。ヘッダー内の一定の流体圧力と、フッター中のより低い一定の圧力とを仮定すると、接続長方形チャンネルにおける体積流量は、圧力差(ΔP)、流体粘度、及びチャンネル長、幅及び高さの関数である。そこで、チャンネルの高さは、エッチングの深さによって画定され、一定と考えられるが、二次加工されるユニットで変化させることができる。チャンネル幅が一定である場合、流量は最も短いチャンネル(台形の内側エッジ上にある)で最も多くなる。流量が多くなると共に、チャンネル内の流体で運ばれる熱容量はより大きくなり、そして比較的高い熱束により、チャンネルに隣接している局所的な熱伝達領域が生じる。而して、チャンネルを通る体積流量を減少させるために、また熱伝達領域全体にわたって一定の熱束を提供するために、最も短いチャンネルをより狭くすることが望ましい。熱は、吸着層へ、及びフィンならびに流体チャンネルに(の上に又はの下に)隣接している関連構造要素へ伝達されるので、フィン幅も変化する。フィンそれら自体が、考慮しなければならない熱質量を有し、またフィンは、熱交換流体チャンネルによって与えられる局所的な熱伝達領域(及び総熱質量)を画定するのに役立つ。
【0094】
8セル部材178は中心軸172の周囲に配置される。説明のために、各セル部材は、任意の数の領域を有するものとして見ることができる;例えば、セル部材178は、フィン179によって分離された2つの領域、すなわち、熱交換流路(この場合は、9つの熱交換チャンネル)の少なくとも一部を含む中心軸方向に向かっている側面上にある第一領域と、熱交換流路(この場合は、8つの熱交換チャンネル)の少なくとも一部を含む装置の外側エッジ方向に向かっている第二領域へと分割されたものとして見ることができる。位置合せ穴176を有する位置合せタブ175は、シムを結合させて積層デバイスを形成した後で除去される。図示されている装置は、温度をモニターするためのアクセスポート177を含む。
【0095】
特定の態様が図11 〜 16に示してあるが、(1)本明細書の他のところで考察したファクター(例えば、好ましい吸着剤タイプ及び厚さ、運転条件など)のすべてがマルチセル態様に対して施用でき、また(2)本発明は、詳細に説明した態様に比べて発明の範囲ははるかに広範である、ことを認識すべきである。マルチセルデバイスは2,3つ以上のセル(例えば、8つ以上)を有することができる。好ましくは、セルは、中心軸の周囲に配置され、またセルを互いの隣に配置するとき、セルは、中心軸から離れて延びていくのでサイズが大きくなる。好ましくは、熱交換器を通る流路は、中心軸からの距離が増大すると、それに比例して、その長さが増す。その流路はメソチャンネルであることができ、更に好ましくはマイクロチャンネルであることができる。複数のチャンネルが好ましいが、熱交換器は、単一流路;例えば、熱交換チャンネル中にエッチングされ、且つ中心軸から離れて延びて行く(図16で考察した同じ方向に流れる)ときに傾斜している(高さ及び体積の増加)台形形状の流路を有することができると考えられる。
【0096】
好ましいマルチセル構造では、熱交換流体は、共通のヘッダー及びフッターを介して、セル中のすべての熱交換流体層へと送達され、またすべての熱交換流体層から集められ、そして吸着ガス種は、第二の共通のヘッダー/フッターシステムによって送達され集められる。それによって、セルに対する外部の流体接続の数が最少化される。本発明のいくつかの他の態様では、1つ以上の熱交換流体をデバイスに送達できる。層内の複数のフッター及びヘッダー、ならびにセル内の複数の共通のフッター及びヘッダーは、複数の熱交換器流体チャンネルへと送達される及び熱交換器流体チャンネルから集められるいくつかの分離熱交換流体を収容できる。例えば、第一熱交換流体は、第一の共通の熱交換器流体ヘッダー及びフッターを介して、複数の熱交換器チャンネル(又は層)へと送達でき、且つ複数の熱交換器チャンネル(又は層)から集めることができる。第二熱交換器流体は、第二の共通の熱交換器流体ヘッダー及びフッターを介して、複数の熱交換器チャンネル(又は層)へと送達でき、且つ複数の熱交換器チャンネル(又は層)から集めることができる。而して、複数の熱交換流体は、各熱交換器流体の専用とされる複数の共通のヘッダー及びフッターを用いることによって、収容できる。
【0097】
同様に、吸着ガス種を含む複数のガスは、複数の共通のヘッダー及びフッターを用いることによって、流す。例えば、第一ガス流の吸着ガス種は、第一の共通のヘッダー及びフッターによって送達され且つ集められ、及び第二ガス流は、第二の共通のヘッダー及びフッターによって送達され且つ集められる。而して、単一デバイスは、異なるガス流及び/又は異なる熱交換流体を、同時に(すなわち、上記したように平行に)、又は連続して(例えば、外部バルビングを用いて、異なる熱交換流体又は異なるガス流を送達する)収容できる。ガス流及び/又は熱交換流体のこの多様性は、(例えば、マルチユニット積層物から成る様々なユニットにおいてヘッダー及びフッターを配管することによって)単一セル中で達成でき、又はマルチセル装置において達成できる。例えば、マルチセル(例えば、8つのセル101 〜 108)は、複数の(例えば、8つの異なる)熱交換器流体及び複数の(例えば、8つの異なる)ガス流を収容できるように設計できる。この設計では、複数の共通のヘッダー及びフッター(例えば、8つの共通のヘッダー及び8つの共通のフッター)は、複数の熱交換器流体及びガスフローラインを収容できる。
【0098】
マルチセルマルチチャンネルデバイスでは、吸着及び脱着の工程は同時であることができ、1つ以上のセルは、その中に含まれている吸着剤上にガス種を吸着すると同時に、1つ以上の他のセルは吸着剤からガスを脱着又は発生させる。このアプローチでは、吸着及び脱着を続けることができる。
【0099】
本発明の吸着熱化学圧縮機を用いて圧縮比を増加させる一つの方法は、吸着及び脱着間の温度差を広げることである。各サイクルにおける、ユニットセル体積あたりで脱着される量が正味に増加すると、最終分圧がより高くなる。
【0100】
複数の吸着熱化学圧縮機段階を連続して運転すると、固定温度範囲において、圧縮比が増加する。例えば、図15に示してあるタイプの2つの装置は、二段階システムの各段階と考える。第一段階では、12.5xの圧縮比、例えば0.8kPa(6トル) 〜 10.0kPaCOが容易に達成できる。第二段階では、第一段階脱着セル(単数又は複数)からの圧縮されたCOを、冷却された吸着セル(単数又は複数)に供給する。第一段階と同じ(又は、任意には異なる)温度範囲及び動作特性を用いて、第二段階で熱スイング吸着/脱着プロセスによって、COを更に圧縮する。第二段階圧縮比10xが達成される場合、総圧縮係数125xが実現され、0.1MPaの最終CO分圧が達成される。計算によると、多くの段階を連続して動作させると、特定の速度及び圧縮比で、圧縮された吸着流を生成させるのに必要とされる吸着剤の総量が減少する。而して、少なくとも2つの圧縮機を連続して運転すると、より高い圧縮が得られる。
【0101】
図15に記載されている吸着圧縮機のユニットハードウェア体積あたりの予測されるCO生成速度は、図17に示してある。特定生産性は、圧縮比と、吸着及び脱着運転温度との関数として変化する。図は、設計の基準となるユニットの運転特性を強調している。設計基準(design basis)は、吸着温度0℃及び脱着温度100℃で運転し、マーズ・サンプル・リターンミッションのために0.81kgCO/時を生成し、そして火星の分圧0.8kPa 〜 10.8kPaから13.5だけCOを圧縮するフローバイ吸着圧縮機である。このハードウェアは、125 〜 0.1MPa(1バール)だけCOを圧縮できる2つの同じユニットの第一段階である。予期されるように、流出流(脱着された流れ)及び供給流(吸着された流れ)におけるCO分圧の割合と規定される圧縮比が減少すると、特定生産性は増大する。
【0102】
所定の圧縮比では、特定生産性は、吸着温度及び脱着温度の関数であって、吸着温度が低く(固定された脱着温度に対して)又は脱着温度が高い(固定された吸着温度に対して)と、特定生産性が高くなる傾向がある。設計の基準となるハードウェアを、−50 〜 100℃又は0 〜 200℃で運転すると、一段でCOを125倍圧縮できる。125倍圧縮では、これらの高いΔTの場合の特定生産性は、設計の基準となる要求条件(3.5g CO/分/Lハードウェア)に比べて大きい。而して、全設計容量で運転すると、総CO2生産量は、目標の0.81kg CO/時を超える。ハードウェア体積は、一体型熱交換チャンネルと、その中で吸着チャンネルを充填しているゼオライト13Xと、及び構造を密閉しているすべてのヘッダープレート及びエンドプレートとを含む吸着ユニット全体の体積である。
【0103】
図17の結果は、吸着剤のタイプ及び質量、供給流の組成(二成分、1つの種のみが吸着された)、サイクル周波数、及び吸着脱着運転温度限界の関数として、理論的な吸着質生成(ストリッピング)速度、圧縮係数、及び熱エネルギー要求条件を評価するために開発された平衡に基づくモデルから計算された。図17の結果を得るために、次の仮定をした:すなわち、分圧0.8kPaにおける95%純粋なCO供給;COに関して吸着剤容量の90%が各サイクルで用いられる;及びTSAサイクル時間2分。また、上記モデルからは、吸着ポンプ構造の質量と体積も明らかになり、図17に示された結果によるとチタンであると仮定された。所定の温度における分圧の関数として、吸着質の特定容量に関する情報を提供する吸着等温線は、モデルの重要な要素である。製造供給元の文献から得られたゼオライト13xに関する吸着等温線を、モデルにおいて適用するために、Langmuir−Freundlich等温式に適合させた。
【0104】
熱伝達フィン173は、結合プロセスにおいて構造要素として役立つことができる。例えば、熱伝達フィン173は、面と面を接触させて積重ねられた2つの熱交換シムのための結合領域を提供する。好ましくは、フィンは、少なくとも0.020インチ(0.5mm)の最小幅を有し、また隣接している流体チャンネルは、好ましくは0.070インチ(1.8mm)の最大幅を有する。最小のチャンネル幅は、圧力低下を考慮して選択することができ、一定の大きさに合理的に作られたチャンネルによって供給されるフィン領域を保つ。チャンネルが極めて小さくなると、チャンネルフィンのペアのほとんどすべての幅はフィンに起因するものである。チャンネルにおける流体流が熱伝達のために要求される場合、有限チャンネル幅は維持されなければならない。
【0105】
本発明は、二酸化炭素に特に注目して説明してきたが、本発明の装置及び方法は他のガスにも等しく適用可能であることを認めるべきである。例えば、条件及び吸着媒体を適当に選択することによって、本発明の装置及び方法を用いて:冷媒、HS、CO、HO、CO、H、炭化水素ガス、及び多くの他の有機及び無機のガス種又は蒸気種などの分圧を分離又は変更することができると考えられる。
【0106】
燃料電池の始動
燃料電池を動力源とする乗物に関する問題の一つは、炭化水素燃料から、燃料電池用の水素を生成する化学反応器システムによって要求される始動時間が長いことである。この問題の解決法は、通常の運転中に製造される水素の少量を貯蔵し、次に、その貯蔵された水素を放出して燃料電池を再始動させる方法である。典型的には、運転中に生成される水素の極めて少量、好ましくは10%未満、更に好ましくは1%未満を吸着ポンプに貯蔵する。少なくとも1つの水素貯蔵吸着ポンプから少なくとも1つの燃料電池へと水素が流れるシステムは、一体型ユニットか、又は適当な導管によって接続された分離ユニットであることができる。そのシステムは、改質装置からの生成物のすべて又はほんの一部が吸着ポンプ(単数又は複数)を通過するように配置することができる。典型的には、本発明のシステムは、単一の燃料電池に対してガスを提供する単一の改質装置ユニットと一緒に動作するが(ガス精製手段及び水素吸着ポンプを介在させる);複数のユニット(例えば、2つ以上の燃料電池、2つ以上の改質装置、又は2つ以上の吸着ポンプ)をシステム内に組み込み得ることを評価すべきである。好ましくは、本発明のシステムは、乗物に積載され、動力を提供するために二次的な非燃料電池システムを必要とせずに、燃料電池を動力源とする乗物を短い始動時間で動作させることを可能にする。このシステムは再使用可能であり、外部から水素を供給する必要も無く、10,100,1000以上の運転サイクルが可能である。
【0107】
水素貯蔵吸着ポンプは、金属水素化物のような水素吸着剤を含むメソチャンネル(単数又は複数)(又はマイクロチャンネル)を含む。吸着剤はメソチャンネル(又はマイクロチャンネル)中に存在しているので、吸着された水素は、比較的少ない加熱で迅速に高い割合で脱着される。熱は、任意の市販されている熱源から吸着剤に供給できるが;いくつかの好ましい態様では、熱は、1本以上の隣接している熱交換器チャンネル(好ましくは、熱交換器チャンネル(単数又は複数)はマイクロチャンネル(単数又は複数)である)を介して吸着剤に供給される。いくつかの好ましい態様では、脱着中の熱交換流体は、小型の燃焼器によって生成される燃焼ガスであるか又は燃焼ガスを含む。
【0108】
水素貯蔵及び燃料電池の始動に用いることができる一つの好ましい吸着ポンプは図14に示してある。更に一般的には、そのような吸着ポンプは、積層デバイスにおいて、吸着メソチャンネルを、好ましくは2、更に好ましくは少なくとも10含む。
【0109】
また、追加の吸着ポンプ(単数又は複数)を用いて、水素を圧縮して、水素貯蔵吸着ポンプ(単数又は複数)中に入って行く圧力を高めることもできる。
多くの場合において、燃料電池システム(及び、金属水素化物を含む水素貯蔵吸着ポンプと組合せるとき)は、「不純な」ガス又は非水素生成物ガスに対して敏感である。而して、好ましい態様では、燃料電池システムには、水、CO、炭化水素などを除去し、精製された水素流を生成する、本明細書で説明されているタイプの吸着ポンプ(単数又は複数)が組み込まれる。分離ポンプを用いて、異なる成分(例えば、水及びCO)を除去でき、又は単一の一体型ポンプ内にある個々のセルもしくはユニットを用いて異なる成分を除去できると考えられる。そのような精製システムは補助水素貯蔵吸着ポンプと一緒にシステムで用いることができるが、もちろん前記システムは、ガス精製を利用する任意の燃料電池システム及びこれらのシステムにおいて有利に用いることができる(水素貯蔵吸着ポンプを有しない態様も本発明の一部である)。
【実施例】
【0110】
実施例
小縮尺において熱伝達及び質量伝達の速度を向上させるという理由から、メソチャンネル吸着床及び/又は熱交換器を用いる比較的小さい吸着分離熱化学圧縮ユニットが可能である。これらの改良により、更に迅速に循環でき、且つ目標の分離を達成するのに要する吸着剤の量を減少させることができるTSAデバイスが得られる。
【0111】
(実施例1)迅速な熱サイクリングのための吸着剤質量の減少
実用試験として、ほぼ大気圧においてゼオライト13Xから純粋なCOを吸着及び脱着することについて考察する。製造供給元から与えられた、CO圧力760mmHgにおけるゼオライト13X等圧線は、以下の関係
q = 24.9−0.115T/100
= 0.249−0.00115T (1)
にしたがって、平衡CO容量qが−50℃ 〜 100℃の範囲で温度Tと共にほぼ線形に変化することを示している。qの単位は、kgCO/kgゼオライトであり、Tはセルシウス(C)である。低い床温度Tにおける吸着及びより高い温度Tにおける脱着に関する一サイクルあたりの理論的作業容量qは、
= 0.00115(T−T
= 0.00115ΔT=mdesCO2/mads (2)
と表される。Tにおいて平衡充填までガスが吸着されるとき、作業容量qは、Tで脱着されたガスの最大量である。実験的には、実作業容量は、吸着床中のゼオライトの公知の量と、脱着されたCOの体積とから決定された。脱着体積は、理想気体の法則によって脱着されたCOの質量と関係がある。
【0112】
上記の単純な場合では、単一吸着ユニットは、図1に示した概略図にしたがう吸着段階及び脱着段階で運転される。ガス吸着相と脱着相との組合せは、一つのサイクル時間tcycを規定する。供給ガスからストリップされた且つ「生成物」ガス(この場合はCO)として脱着されたガスの大量生産速度は、単純に下式
gas = rCO2 = mdesCO2/tcyc (3)
によって得られる。(3)を(2)に代入すると、サイクル時間と、所定の生成速度を達成するのに要する吸着剤の質量との間の関係が得られる。
ads = rCO2cyc/0.00115ΔT
= rgascyc/q (4)
而して、メソチャンネル吸着デバイスにおいて達成できる迅速サイクルでは、所定量のガスを処理するのに必要とされる吸着剤の量は減少する。吸着剤の質量は、メソチャンネルを用いる方法に比べて1/100超減少する。なぜならば、作業容量が頻繁に再使用されるからである。
【0113】
一体化されたマイクロチャンネル熱交換器を有するいくつものメソチャンネル吸着器を、定圧(大気圧、典型的には〜750mmHg)条件下で試験し、二相サイクルで運転した。一つの試験では、ゼオライト13X(粒径180 〜 212μm)を1.2g含むステンレス鋼製デバイス(実施例4で詳細に説明している)を、12℃の最低吸着温度T及び77℃の最高吸着温度Tで運転した(水は80mL/分で熱交換器中に流し、ホットリザーバ及びコールドリザーバはそれぞれ90℃及び5℃に設定した)。純粋なCOを、〜50mL/分の速度で〜60秒間、ゼオライトに供給した。吸着相中の吸着剤はTからTまで冷却した。TからTかまで加熱する時間を含む脱着相も〜60秒であった。既に規定したように、サイクル時間tcycは2分であった。CO0.084gに相当するCO約46mL(室温(〜22℃)で測定した)を脱着した。これらの条件から方程式(2)により決定される理論的作業容量はCO0.090gである。而して、実験で得られた作業容量は、理論的作業容量の93%であった。デバイスの最大作業容量を下回った原因は、吸着剤の部分的な水「被毒」によるものであると考えられる。水はゼオライト13X上に強力に吸着され、吸着デバイスは、CO実験前にすべての水を除去するのに充分に加熱されなかった。
【0114】
図6は、一連の1,2,6及び10分の吸着/脱着サイクルの床温度を示している。各脱着サイクルの最後に測定されたガスの体積は白丸で示してある。脱着されたCOの体積は、常に、6分及び10分のサイクル時間で46mlに達し、2分のサイクル時間では約42mlに達した。1分のサイクルではわずか約22mlのCOが脱着されたが;吸着スイング中にはわずか約25mlのCOが床に送達された。より多い供給流量による試験では、回収されたガス体積はより大きかった。測定された温度差に基づく理論的作業容量は、6分及び10分のサイクルに関しては約52mlであり、2分のサイクルに関しては約47mlであった。而して、これらのサイクルのそれぞれにおいて、理論的作業容量の80%を超えていた。図において認められるように、デバイスは、優れたサイクル一貫性を示した。
【0115】
(実施例2)熱化学圧縮スキームに関する吸着剤の質量減少
実施例1は、定圧プロセスを説明しているが、多くの吸着プロセスは定圧プロセスではない。例えば、メソチャンネル吸着システムを用いて熱化学的にCO圧縮を達成する用途について考察する。その用途では、熱スイング吸着プロセスを用いて、低温及び低圧(例えば、〜6mmHg)でCOを捕集(吸着)し、より高温及び高圧(例えば、760mmHg)でCOを燃料製造化学反応器へと送達することが提案される。脱着ではなく吸着は、吸着されるガス種のより高い分圧によって有利になるので、熱化学圧縮サイクルそれぞれにおいてガスの正味の生成を有するのに充分な温度範囲にわたって熱スイングを運転する必要がある。
【0116】
実証するために、−50℃及びCO6mmHgにおける吸着と、100℃及びCO760mmHgにおける脱着を行なって、125倍超の圧縮を提供することを考える。実施例1で考察した実験結果から、ゼオライト13X上COに関する市販の吸着等圧線及び吸着等温線を用いて吸着システムをうまく評価できることが分かる。前記文献から得られた低温及び高温平衡CO容量値における差は、これらの運転条件に関する吸着サイクルあたりの理論的容量(q)である。
= 0.0485 = mdesCO2/mads (5)
また、所定の速度で圧縮COを生成させるのに要するゼオライトの質量はサイクル時間と線形の関係にあることも実施例1における考察から分かる。
ads = rCO2cyc/0.0485ηads (6)
式中、rCO2は、より高い圧力で生成されるCOの速度であり、tcycはサイクル時間である。効率因子ηadsは、システムが容量100%で運転されない場合、必要とされる追加の吸着剤質量を明らかにするために方程式(6)に含まれている。必要とされる追加の吸着剤質量を明らかにすることが求められるのは、平衡状態が達成されるまでシステムが運転されない(すなわち、最大qが各サイクルで達成されない)場合又はCOのための床容量の分率が他の種(例えば、水)によって失われる場合であるかもしれない。定圧条件に関する実験結果に基づいて、0.9を超える効率係数は、適当に配置され且つ調節されたメソチャンネル吸着装置において可能である(実施例1を参照されたい)。
【0117】
両方のプロセスに関して、温度圧力動作限界及び理想的な効率因数0.9を仮定すると、2つの方法のための吸着剤質量要求条件を比較できる。方程式(6)によると、サイクル時間4分のメソチャンネルデバイスにおいて、中間速度(例えば、rCO2≒20kg/日)で圧縮COを生成させるのに必要なゼオライト13Xはわずか〜1.3kgである。一方、典型的な従来のTSAプロセスの場合では、4時間で一周期の吸着熱化学圧縮プロセスには約60倍のゼオライト質量(〜80kg)が必要である。
【0118】
(実施例3)実証されたメソチャンネルデバイスにおける迅速な熱スイング吸着サイクル
図7は、一連の1分間の加熱相冷却相における全金属製の吸着器に関する迅速な熱スイング吸着能力を示している。(分離試験では、図に記載されている熱交換表面で測定された温度は、1 〜 2℃以内にあるゼオライト床温度の代表温度であることが測定された)。熱交換流体流量が20mL/分から80mL/分に増加すると、最高及び最低吸着器温度は、ホット(70℃)リザーバ温度及びコールド(5℃)リザーバ温度に近づく。吸着サイクルと脱着サイクルとの間の温度差が大きくなると、ゼオライトの作業容量が増加し、而して、水の流量が増すと、より高い吸着剤作業容量が予期される。また、図7は、熱交換流体流量が増加すると、最高(又は最低)温度への接近がより速くなることも示している。熱曲線は、指数関数的減衰関数に適合しており、指数関数的な時間定数が推定された。時間定数は、水流量80,40及び20mL/分に関して約6秒、9秒、及び19秒であった。これらのデータは、熱伝達の観点から、メソチャンネル吸着器における迅速な熱サイクリングの可能性を実証している。
【0119】
上記実施例1及び図6と図7が得られた実験では、吸着デバイスはすべてステンレス鋼製の部材から作製した。他の吸着試験デバイスは、プラスチック部材又はプラスチック部材と金属部材との組合せから作製した。プラスチックを用いる目的は、総質量ならびに熱質量を減少させるためである。熱質量は、吸着サイクル及び脱着サイクルにおいて加熱及び冷却しなければならない構造(理想的には、周囲構造ではなく吸着剤だけを加熱及び冷却する)の質量を意味している。より低い密度で断熱性の材料(例えば、プラスチック)を用いると、熱質量が減少する。熱交換チャンネル中に含まれる流体から、隣接層中に含まれる吸着材料への直接熱伝達の速度を速めるために、低質量で熱伝導性の材料から界面を作製することが好ましい。この利得は、比較的熱伝導性の熱伝達界面(例えば、薄い銅シート又は熱伝導性ポリイミドシート)を有する金属プラスチック複合材料製デバイス及びすべてプラスチック製のデバイスで達成できる。
【0120】
実施例4で詳細に説明される代表実験デバイスを、実施例1にしたがう定圧条件下で試験した。図8は、脱着サイクル中における3つの異なるメソチャンネル吸着デバイスの熱伝達及び質量伝達の性能を比較している。すべての場合では、水は、80mL/分で、90℃のリザーバから吸着器熱交換器へと送達した。図8aは、全金属製デバイス及び金属・プラスチック複合材料製デバイスに比べて、全プラスチック製デバイスにおける温度変化の速度はいくぶん遅い。しかしながら、〜70秒後、全プラスチック製デバイスにおける温度は、全金属製デバイスにおける温度と一致しており、更に時間が経過すると、全プラスチック製デバイスにおける温度は、全金属製デバイスにおける温度に比べて数度だけ高い。これは、プラスチック製ユニットと関連がある熱質量及び熱損失が小さいことに起因している。(ステンレス鋼製デバイスに関して示された温度は、外面に関して測定された温度であるのに対して、他のデバイスに関する温度は、ゼオライトチャンネルに埋設された皮下熱電対(hypodermic thermocouple)で測定されたことにも留意すべきである。全金属製デバイスにおける内部温度は、実際には、外面に比べて、最大数度まで高い。)金属・プラスチック複合材料製吸着器に関する温度プロフィールは、他のユニットのそれぞれに比べて優れた質を示す。前記温度プロフィールは、吸着器床への迅速な熱伝達を示しており、温度変化速度は、〜15秒後には、全金属製デバイスを超える。金属・プラスチック複合材料では、全金属製デバイスに比べてわずかに高い最高温度も得られた。そのことは、全プラスチック製デバイスと同様に比較的熱損失が低いことを示唆している。これら3種類のデバイスからのガス発生のプロフィール(図8b)は同様な傾向を示している。ガスの脱着は、金属・プラスチック製デバイスで最も速く、全プラスチック製ユニットで最も遅い。その結果は、質量伝達に比べて熱伝達が、これらのフロースルーメソチャンネル吸着器の回収プロセスにおける主な制限であることを示唆している。
【0121】
図8bでは、ガス体積分率は、脱着された総体積によって標準化された絶対的なガス体積を表している。一般的に、一サイクルあたりに脱着されるCOの絶対体積、すなわち作業容量は、プラスチックを含むデバイスにおける場合(最大で理論容量の62%)に比べて、全金属製吸着器における場合(理論容量の最大93%まで)の方が高いことが観察された。これは、全金属製デバイス(〜195℃)に比べて、プラスチックを有するユニットと一緒に用いられるより低温のデバイス調節温度(〜125℃)に主として起因していると考えられる。大気圧条件に曝露される吸着器の組み立て中に、ゼオライト13X上に吸着される水蒸気は、ゼオライトが水に対して強力な親和性を有しているので、低温では吸着剤からストリップし難い。195℃でも、いくらかの水はゼオライトに付着している。195℃のオーブンで調節された全金属製デバイスに関する作業容量は理論容量の〜81%であった。195℃においてゼオライトが充填された吸着器を更に状態調節(窒素でパージされた真空オーブンにおける処理を含む)すると、作業容量は理論容量の〜93%まで増加した。これらのCO回収結果は、ゼオライト吸着剤による低温運転においては、水被毒に関して事前に注意していなければならないことを示唆している。もちろん、本発明で開発される吸着デバイスは、ゼオライト吸着剤(又はCO加工)に対して特異的ではなく、水に対してより感受性の低い他の吸着剤を用いてもよい。
【0122】
(実施例4)実験的なメソチャンネル吸着デバイスに関する詳細
3種類の実験的なメソチャンネル吸着デバイスタイプ、すなわちステンレス鋼、プラスチック、及び金属・プラスチック複合材料の二次加工に関する詳細を説明する。図1はデバイスアーキテクチャを極力単純化した概略図であることに注意されたい。実際に、熱交換チャンネルは、図に示されているように片側だけでなく、吸着剤床の両側に取り付けた。吸着チャンネルそれぞれが2つの熱伝達表面によって接触されるように、生産メソチャンネル吸着セルは、(少なくともフロースルー吸着チャンネルの場合)熱交換チャンネル間に積層された一連の吸着チャンネルから成ると考えられる。共通のヘッダー及び共通のフッターは、吸着セルにおいて吸着チャンネルを接続していて、分離経路(separate path)は熱交換チャンネルを接続している。吸着チャンネル及び熱交換チャンネルの特定の設計は、本明細書に記載されているチャンネルに限定されない。生産ユニットのための組み立て方法も、有意に変えてもよい。例えば、全ステンレス鋼製デバイスは、様々な層を接合させるために、従来の溶接又は接着剤(例えば、RTVシリコーン)を用いる代わりに、拡散結合プロセス(多くの他のマイクロチャンネルデバイス及びメソチャンネルデバイスを作製するために典型的に用いられる)によって作製されると考えられる。
【0123】
ステンレス鋼製試験デバイス:
図2には、最終組み立て前の吸着層が図示してある。組み立てられたデバイスは、螺旋状吸着剤床シム(シート又はラミネートとも呼ばれる)をサンドイッチしている2つの熱交換チャンネルアセンブリ(図示されていない)を含んでいた。組み立て中に、螺旋状チャンネルをゼオライト又は他の吸着剤材料で充填した。この実験的な試験デバイスの部材を、RTVシリコーンを用いて一時的に結合させて、分解を容易にし、且つ異なる吸着剤と共に再使用した。熱交換アセンブリは、ガス及び熱交換流体の入口管及び出口管が溶接されたブランクステンレス鋼製ヘッダーシム(blank stainless steel header shim)から成っていた。熱交換チャンネルを、本来は別のマイクロチャンネルデバイス用に設計されたマイクロチャンネル熱交換シムと一緒にヘッダープレートに隣接させて形成した。
【0124】
全ステンレス鋼製吸着器のサンプルアセンブリ:すなわち、(a)チャンネル(c)から吸着剤が失われないように口を覆っている多孔質金属スクリーンを含む吸着チャンネルへと供給され且つ吸着チャンネルから回収される流体のための厚さ0.020インチ(0.51mm)のステンレス鋼製ヘッダープレート;(b)該ヘッダープレート(a)に面しているエッチングされた表面を有する厚さ0.020インチのステンレス鋼製シムスタック中にエッチングされた高さ〜0.010インチ(0.25mm)の熱交換流体チャンネル;(c)典型的には厚さ0.060インチ(1.5mm)のステンレス鋼製螺旋状吸着剤シム;(d)ヘッダープレート(e)に面しているエッチングされた表面を有する別の熱交換流体チャンネル(b);及び(e)該熱交換流体チャンネルへと供給され且つ該熱交換流体チャンネルから回収される流体のための厚さ0.020インチのステンレス鋼製ヘッダープレート。螺旋状吸着メソチャンネルは、例えばフライス削り(milling)のような技術によって作製でき、またマイクロチャンネル熱交換器中のマイクロチャンネルは、例えば放電加工のような技術によって作製できる。又はどちらも、光化学機械加工又は他の適当な機械加工技術によって作製できる。
【0125】
全プラスチック製試験デバイス:
ステンレス鋼製デバイスと同様に、全プラスチック製メソチャンネル吸着器は、螺旋状のメソチャンネル吸着床シムを取り囲んでいる2つの熱交換マイクロチャンネルアセンブリを含んでいた。しかしながら、プラスチックユニットでは、吸着シムと熱交換チャンネルの両方をポリイミドから作製し、ヘッダープレートは、例えばポリカーボネートのような透明なプラスチックから作製した。全プラスチック製デバイス及びプラスチック/−金属複合材料製デバイスにおける熱交換器シムは、波長248nmで運転されたResonetics Maestro UVエキシマーレーザーを用いてパターニングした。熱交換チャンネルの螺旋設計は、吸着チャンネルを辿って、吸着剤への有効な熱伝達を最大にした。様々なデバイス層を、適当なパターンに切り取られた両面接着フィルムの薄いシートを用いて組み立てた。そのユニットを、実験室用プレス機でプレスして、結合を促進させた。
【0126】
全プラスチック製吸着器を次に示したシム順序で組み立てた:すなわち、(a)吸着チャンネルへと供給され且つ吸着チャンネルから回収される流体のための厚さ0.25インチのポリカーボネート製ヘッダープレート;(b)接着フィルム;(c)ポリイミドフィルム中にレーザーでレーザーカットされた厚さ〜0.011インチの螺旋状の熱交換流体チャンネル;(d)接着フィルム;(e)ポリイミド又は熱伝導性ポリイミドから作られた薄い(例えば、厚さ0.030インチ)熱交換表面フィルム;小さな穴のパターンを、上記した金属スクリーン[全ステンレス鋼製デバイスの層(a)]として役立つシムのコーナーにおいてレーザー加工した;(f)接着フィルム;(g)全金属製デバイスにおいて用いられているものと同じパターンで機械加工され且つゼオライトで充填された典型的には厚さ0.050インチ(1.3mm)のポリイミド螺旋状吸着シム(図2を参照されたい);(h)接着フィルム;(i)レーザー加工された吸着スクリーンを用いていない以外は熱交換表面(e);(j)接着フィルム;(k)螺旋状熱交換チャンネル(e);(l)接着フィルム;及び(m)熱交換流体チャンネルへと供給され且つ回収される流体のための厚さ0.25インチのポリカーボネート製ヘッダープレート。
【0127】
金属・プラスチック試験デバイス:
金属・プラスチック複合材料製デバイスも作製し試験した。熱交換表面フィルム(e)及び(i)を薄い銅シムと取り替えた以外は、全プラスチック製デバイスについて説明したようにしてユニットを用意した。このタイプの複合材料製デバイスに関する結果は、図8に示してある。
【0128】
金属・プラスチック製メソチャンネル吸着器の別の変体を作製し、限られた数の実験で用いた。前記変体は、中心吸着シム(c)を、他の金属・プラスチック製及び全プラスチック製の吸着器で用いられたものと同様なポリイミド等価物と取り替えた以外は、上記全ステンレス鋼製デバイスと同じである(例えば、厚さ0.050インチ、1.3mm)。
【0129】
全プラスチック製及び金属・プラスチック製の吸着器では、熱交換器の設計は同じであった。全金属製吸着器では、熱交換器の設計は、いくぶん異なっているが、流体チャンネルの厚さは同等であった(0.010インチ、0.25mm)。各デバイスの吸着チャンネルはゼオライト13X吸着剤(PQ Corp.製、篩分率180 〜 212μm)で充填した。試験台は、供給ガス(純粋なCO)及び熱交換流体(水)流量を制御し、且つ吸着器及び熱交換流体の温度、圧力低下、及び発生されるガスの体積をモニターできるように、組み立てた。タイプK表面実装(Type K surface mount)及び水浸探触子熱電対(immersion probe thermocouple)はすべての試験で用い;いくつかの試験では、タイプT皮下熱電対(Omega)を吸着媒体に埋設して、吸着媒体の温度を直接測定した。温度は、出力され、パソコン上でOmegaデータ取得システムに記録された。吸着サイクルと脱着サイクルをスイッチするのに必要な一連のバルブ(図1)は手動で調節した。脱着中、ガスは、実質的に周囲圧力において発生し、管を通って、水で部分的に充填されていて且つその開口部が室温の水リザーバ中に沈んでいる倒立メスシリンダー(inverted graduated cylinder)のヘッドスペースへと流れた。シリンダーから押しのけられた水で、発生したガスの体積を測定した。時間の関数としてガス発生をモニターするために、シリンダーから押しのけられた水の体積を、ガスが発生している間ビデオに録画した。理論的作業容量と比較するために、理想気体の法則を適用して、放出されたCOの等価質量を決定した。
【0130】
(実施例5)理論生産性
本明細書で説明しているメソチャンネル吸着ポンプを用いると、熱スイング吸着によるガス処理のためのプロセス強化手段が提供される。吸着ポンプの単位体積あたりで処理される標的ガスの質量として規定される生産性は、プロセス強化の尺度である。生産性は、サイクル速度、ガス流組成、吸着及び脱着の温度と圧力、及び吸着剤のタイプと状態を含む多くのファクターと関連がある。
【0131】
生産性グラフ(図10を参照されたい)は、基準条件のセットを用いている本発明のいくつかの吸着デバイスに関する生産性を示している。前記条件としては:(a)チャンネル1mLあたりゼオライト〜0.67gの密度まで、清浄で乾燥したゼオライト13X粒子で充填された吸着チャンネル;(b)5℃の熱伝達流体を熱交換チャンネル中に流し、また、純粋なCOを図1aにしたがって吸着剤中に流すことによって、760mmHg及び5℃において平衡に達するまで吸着されたCO;及び(c)図1bにしたがって熱交換チャンネルを通過する90℃の熱伝達流体流(脱着温度を限定する)から生じる圧力760mmHgにおけるCOの脱着が挙げられる。この試験に関する更なる制約条件は、高温熱交換流体が吸着ユニットを通って流れ始める時間又は加熱が開始される時間から1分(又は未満)で起こるデバイスの単一脱着に関して生産性が規定されるということである。而して、生産性グラフにおける生産性の結果は、上記制約条件下にある吸着ポンプ構造の単位体積あたりの単一脱着で脱着されたCOの質量を表している。これらの条件下で脱着されたCOの理論的最大質量は、方程式(2)と、デバイス中に含まれている吸着剤の体積及び密度(質量)とを用いて、推定できる。既に指摘したように、前記運転の実際の作業CO生産は、水蒸気で吸着剤が部分的に充填されているというような様々なファクターに起因して、100%未満である可能性がある。また、吸着剤が熱交換流体の温度に達していない場合、最大生産性は達成されない。このタイプの非効率を説明するために、計算では0.85の効率因子を適用した。効率因子は通常の運転では合っているか又は超えることが予期される。生産性グラフにおける結果は、最大理論生産性の85%である。
【0132】
生産性グラフから、生産性が吸着ポンプの設計と強い相関があることが分かる。これは、吸着ポンプ構造の単位体積あたりに含まれる吸着剤量の直接的な結果である。構造体積は、吸着ユニットの外壁(例えば、プレート)によって画定され、吸着メソチャンネル、熱交換チャンネル、及び熱交換チャンネルと吸着チャンネルから流体を送達且つ集めるのに必要とされる内部ヘッダー及びフッターのチャンネルを含む。生産性グラフに示されているケースでは、吸着ポンプは、各吸着チャンネルが2つの熱交換表面によって接触されるように、11の熱交換チャンネルが散在している10の吸着メソチャンネルから成っていた。熱交換チャンネルの高さ、外壁の熱さ、ヘッダーとフッターのチャンネル横断面、及び吸着チャンネルの幅(5cm)は固定したが、チャンネルの長さ及び吸着メソチャンネルの高さ(厚さ)は変えた。生産性グラフは、長さ1cm,3cm及び5cmのチャンネルに関する計算結果を示している。任意の所定のチャンネル長さにおいて、予期される最大生産性は、吸着メソチャンネルの厚さ(高さ)が増加するにつれて、増大する。なぜならば、吸着剤によって占められるデバイス構造の分率が増加するからである。無限吸着チャンネル高の極限では、吸着ポンプ構造の体積は吸着剤によって支配され、生産性に関して漸近極限が得られる。しかしながら、実際には、吸着チャンネルの厚さは、生産速度を増加させるために、迅速な熱伝達及び迅速なサイクリングに影響を及ぼすように限定されなければならない(実施例1及び2を参照されたい)。また、生産性グラフは、所定の吸着メソチャンネル厚さにおいて、生産性がチャンネル長さの増加と共に増大することも示している。これもまた、長さが長くなることによって吸着剤によって占められる構造体積の分率が増加することに起因している。実際には、チャンネル長さは、圧力低下を考慮して制限しても良い。
【0133】
上記した基準試験条件下では、本発明の様々な構造から得られる生産性が、吸着ポンプ構造体積1mLあたりCO0.015gであるか又はそれを超えることが認められる。
表1には、Karperos,"Operating Characteristics of a Hydrogen Sorption Refrigerator - Part I.Experimental Design and Results," Proceedings of the Fourth International Cryogenic Conference,Easton,Maryland (1986)で説明されている吸着圧縮機に関して計算したCO生産性の推定が要約してある。計算は、吸着剤タイプと、吸着及び脱着の温度及び圧力の動作限界と、本発明のために生産性を決定するのに用いられ且つ生産性グラフと共に説明されている脱着サイクル時間とに関する仮定に基づいて行なった。しかしながら、Karperosのデバイスに関する評価では、運転は、効率100%と仮定しており、その仮定のもとに最大の潜在的な生産性を推定した。Karperosは、吸着チャンネル内で密度20%の銅フォームを用いて熱伝達を促進させていると記載しており;本明細書の計算では、吸着チャンネルの20%がフォームによって占められていて、圧縮機内の吸着剤体積が実質的に減少していると仮定した。
【0134】
【表1】

【0135】
(実施例6)熱伝達出力密度
メソチャンネル吸着ポンプの生産性は、吸着チャンネルと熱交換チャンネルとの間の熱相互作用において得ることができる熱伝達出力密度(heat transfer power density)に一部依存している。計算を行なって、760mmHgから0.5 〜 10バールだけ高い圧力までCOを熱化学圧縮するためにメソチャンネル吸着ポンプセルがCOを捕集するのに必要とする熱伝達出力密度を推定した。上記したように、熱伝達出力密度とは、1立方センチメートルあたりのワット数の単位で、熱が、吸着セルに加えられる速度又は吸着セルから除去される速度である。計算のために、高さ750μm、幅1cm及び長さ5cmを有していてゼオライト13Xを含む吸着メソチャンネルと、高さ250μm、幅1cm及び長さ5cmを有するマイクロチャンネル熱交換器とを組み込んでいる「フローバイ」設計を想定した。ステンレス鋼製構造を、冷却しているセルからの熱エネルギーが加熱しているセルへと伝達されるSwyulkaの回収熱伝達サイクル(recuperative heat transfer cycle)であると仮定した。各サイクルの「デルタT(脱着温度と吸着温度の温度差を表している)」を変化させた。各計算ではデルタTは100℃ 〜 200℃と仮定している。このセットの境界計算(bounding calculation)に関しては、2分及び4分のサイクルも仮定された。
【0136】
計算では、各セルに関する完全な加熱及び冷却の要求条件を考慮した(ユニットの熱質量及び吸着と脱着の熱に関する考慮を含む)。一般的に、この運転(exercise)から計算された熱伝達出力密度は、1.10ワット/cm 〜 5.99ワット/cmであり、最高熱伝達出力密度は最短サイクル時間と一サイクルあたりの最大デルタとに対応している。
【0137】
この運転で計算された熱伝達出力密度は、メソチャンネル熱交換器を組み込んでいるシステムで得ることができる規模であり;実際、ほぼ一桁高い熱伝達出力密度を得ることは困難なことではない。また、熱伝達流体の圧力低下が小さいということは、メソチャンネル吸着ポンプによって、より短いサイクル時間も達成可能であることが示唆される。
【0138】
また、より長いサイクル時間、例えば一サイクルあたり約10分のサイクル時間を仮定した場合、熱伝達出力密度はいくぶん低いと考えられる。而して、メソチャンネル吸着ポンプは、1ワット/cmを超える、また恐らくは数十ワット/cmを超える熱伝達出力密度を要求する特定生産性(ユニットハードウェア体積あたりの出力)を得ることができると推定される。
【0139】
実施例で説明したデバイスはすべて単一チャンネルデバイスであったが;その設計は、ハードウェア体積あたりで考えた場合、少なくとも同等な作業容量性能を有するマルチチャンネルユニットに適している。
【0140】
結語
本発明の好ましい態様を示し説明してきたが、より本発明の広い面において、本発明から逸脱せずに、多くの変更及び改良を行なうことができる。而して、添付の請求項は、本発明の真の精神及び範囲内にあるすべての前記変更及び改良を含むことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着媒体を含む吸着メソチャンネルを含む吸着層;及び
該吸着層と熱接触している熱交換器
を含む吸着ポンプであって;
該熱交換器が少なくとも1本のマイクロチャンネルを含み;且つ
ガスが最初に接触器を通過せずに吸着媒体と直接接触するように、該吸着層がガス入口を有する
前記吸着ポンプ。
【請求項2】
少なくとも2本の吸着メソチャンネルを含む吸着ポンプであって、該吸着メソチャンネルそれぞれが吸着媒体を含み且つ少なくとも3つの熱交換器層と交互に配置されていて、該熱交換器層それぞれが少なくとも1本のマイクロチャンネルを含む前記吸着ポンプ。
【請求項3】
該吸着層がプラスチックを含み、且つ該熱交換器層が金属を含む請求項1記載の吸着ポンプ。
【請求項4】
ガス流が、該入口を通り、該吸着媒体を通って、ガス出口から出ることができるように、該出口が配置されている、該入口から分離しているガス出口を更に含む請求項1記載の吸着ポンプ。
【請求項5】
該吸着媒体が、1立方センチメートルあたり0.67gのかさ密度を有する等量の13Xゼオライトで置換され、760mmHg及び5℃において二酸化炭素で飽和され、次に、760mmHgにおいて90℃以下まで加熱される場合、加熱開始から1分以内に装置1mLあたりCOが少なくとも0.015g脱着されるような能力を該ポンプが有する請求項4記載の吸着ポンプ。
【請求項6】
吸着媒体を含む吸着メソチャンネルを含む少なくとも1つの吸着層;及び
該吸着層と熱接触している少なくとも1つの熱交換器
を含むガス吸着脱着装置であって;
該吸着メソチャンネルが、長さ、幅及び高さを有し;
該高さが、少なくとも1.2mmであり;且つ
該装置が、1立方センチメートルあたり0.67gのかさ密度を有する等量の13Xゼオライトで置換され、760mmHg及び5℃において二酸化炭素で飽和され、次に、760mmHgにおいて90℃以下まで加熱される場合、加熱開始から1分以内に装置1mLあたりCOが少なくとも0.015g脱着されるような能力を有する前記装置。
【請求項7】
少なくとも2本の吸着メソチャンネルを含む装置であって、該吸着メソチャンネルそれぞれが吸着媒体を含み且つ少なくとも3つの熱交換器層と交互に配置されていて、該熱交換器層それぞれが少なくとも1本のマイクロチャンネルを含む、請求項6記載の装置。
【請求項8】
吸着層中にガスを通して該ガスの少なくとも一部を吸着媒体上へと吸着させて吸着されたガスを形成させる工程、及び該吸着層から、2mm以下の距離を介して熱交換器層中へと熱を選択的に除去する工程
を含むガス吸着脱着法であって;
該ガスが、最初に接触器材料中を通らずに、該吸着媒体と直接接触し;
該距離を、該吸着層の中心線から、該熱交換器層の中心線まで測定し;
次に、熱交換器から2mm以下の距離を介して該吸着媒体を加熱して、ガスを脱着させ;
該距離を、該吸着層の中心線から該熱交換器層の中心線まで測定する
前記ガス吸着脱着法。
【請求項9】
1立方センチメートルあたり0.5ワットの熱伝達出力密度で、吸着セル内において、熱が、吸着チャンネルと熱交換チャンネルとの間で交換される請求項8記載の方法。
【請求項10】
該吸着層を選択的に加熱し且つ選択的に冷却する請求項8記載の方法。
【請求項11】
該ガスの少なくとも一部が該吸着媒体上へと吸着される第一吸着媒体を含む第一吸着層中に該ガスを通す工程、及び1cm以下の距離を介して第一交換器中へと該吸着層と熱交換する第一工程
を含むガス吸着脱着法であって;
該距離を、該吸着層の中心線から該熱交換器の中心線まで測定し;
次に、第二工程において、該吸着媒体が、該第一熱交換器から、1cm以下の距離を介して熱交換して、ガスを脱着し;
該距離を、該吸着層の中心線から、該熱交換器の中心線まで測定し;
該第一工程と同時に、熱交換器流体は、該熱交換器中を流れ、該吸着層と熱交換し、次に、該熱交換流体は、第二吸着層と熱交換し且つ第二吸着媒体を含む第二吸着層を冷却する第二熱交換器中へと流れる
前記ガス吸着脱着法。
【請求項12】
ガスを吸着層中に通し、該ガスの少なくとも一部を吸着媒体上へと吸着させて、吸着されたガスを形成させ、且つ1cm以下の距離を介して、熱交換器へと、該吸着層からの熱を選択的に除去する工程;
次に、熱交換器から1cm以下の距離を介して、該吸着媒体を選択的に加熱して、ガスを脱着させる工程
を含むガス吸着脱着法。
【請求項13】
該吸着層が、螺旋状構造を有する請求項12記載の方法。
【請求項14】
該吸着層の構造材料が、プラスチックから構成されている請求項12記載の方法。
【請求項15】
該ガスが、接触器材料中を通過せずに、該吸着媒体と直接接触する請求項12記載の方法。
【請求項16】
該吸着チャンネル中を通る該ガスのすべてが該吸着媒体と接触するように、該吸着媒体が、該吸着チャンネルの断面積の少なくとも80%を占める請求項15記載の方法。
【請求項17】
該熱交換器の流体含有チャンネルが、該吸着チャンネルの少なくとも90%とオーバーラップしている請求項15記載の方法。
【請求項18】
それぞれのセルが少なくとも1つの熱交換器と熱接触している少なくとも1本の吸着メソチャンネルを含む少なくとも4つの吸着/脱着セル
を含むガス吸着脱着装置であって、
該吸着チャンネルが吸着媒体を含み;
該装置が熱源及びヒートシンクに接続していて;且つ
各熱交換器と該熱源及び該ヒートシンクとの間に導管、また、各セル中にある少なくとも1つの熱交換器と別のセル中にある少なくとも1つの熱交換器との間にも導管を含む
前記ガス吸着脱着装置。
【請求項19】
該少なくとも1つの熱交換器が、マイクロチャンネル熱交換器を含む請求項18記載の装置。
【請求項20】
吸着媒体を含む吸着チャンネルを含む吸着層;及び
該吸着層と熱接触しているメソチャンネル熱交換器
を含む吸着ポンプであって、
該メソチャンネル熱交換器が、その中を流れる流体を有し、その結果、該メソチャンネル熱交換器と組合せた該流体の特有な熱輸送時間が10秒以下である
前記吸着ポンプ。
【請求項21】
該流体が、液体金属又はシリコーンベースの流体である請求項20記載の吸着ポンプ。
【請求項22】
各吸着セルが少なくとも1つの吸着層と少なくとも1つの熱交換器層とを含む少なくとも6つの吸着セル;
熱源から熱を受容する前に少なくとも2つの他の吸着セルから熱を連続的に受容し、次に、熱回収が提供されるように、ヒートシンクへと熱を捨てる前に該少なくとも2つの他の吸着セルに対して熱を連続的に捨てることによって、各吸着セルが、吸着から脱着へと更にまた吸着へと戻って熱的に循環できるように、該少なくとも2つの他の吸着セルに対して且つ該熱源に対して且つ該ヒートシンクに対して各吸着セルを接続している熱接続
を含むマルチセル吸着ポンプ。
【請求項23】
熱スイング吸着が達成される請求項11記載の方法。
【請求項24】
該熱源を、電気抵抗器、プロセス技術、太陽エネルギー、原子力から成る群より選択する請求項22記載のマルチセル吸着セル。
【請求項25】
該熱接続が、熱スイッチである請求項22記載のマルチセル吸着セル。
【請求項26】
該熱接続が、流体ループを含む請求項22記載のマルチセル吸着セル。
【請求項27】
該吸着ポンプがメソチャンネル吸着チャンネルを含み、且つ該吸着ポンプがメソチャンネル熱交換チャンネルを含む請求項22記載のマルチセル吸着セル。
【請求項28】
熱源から少なくとも2つの第一セル中へと熱を伝達し;該2つの第一セルのそれぞれからガスを脱着させ;少なくとも2つの第二セルから少なくとも2つの第三セルへと熱を伝達する第一工程;
該少なくとも2つの第二セルからヒートシンクへと熱を伝達し;該少なくとも2つの第二セル中へとガスを脱着させ;該少なくとも2つの第一セルから該少なくとも2つの第三セルへと熱を伝達する第二工程;
熱源から該少なくとも2つの第三セルへと熱を伝達し;該少なくとも2つの第三セルのそれぞれからガスを脱着させ;該少なくとも2つの第一セルから該少なくとも2つの第二セル中へと熱を伝達する第三工程;及び
該少なくとも2つの第一セルからヒートシンクへと熱を伝達し;該少なくとも2つの第一セル中へとガスを脱着させ;該少なくとも2つの第三セルから該少なくとも2つの第二セルへと熱を伝達する第四工程
を含むガス吸着脱着法であって;
各セルが少なくとも1種類の吸着剤と少なくとも1つの熱交換器とを含む
前記ガス吸着脱着法。
【請求項29】
熱化学圧縮が達成される請求項28記載の方法。
【請求項30】
各セルが、少なくとも1つのマイクロチャンネル熱交換器を含む請求項28記載の方法。
【請求項31】
該吸着媒体を、該熱交換チャンネル中に90℃の温水を流すことによって、90℃まで加熱する請求項5記載の吸着ポンプ。
【請求項32】
少なくとも1立方センチメートルあたり少なくとも1.0ワットの熱伝達出力密度で、吸着セル内において、吸着チャンネルと熱交換チャンネルとの間で熱が交換される請求項8記載の方法。
【請求項33】
熱増強圧力スイング吸着が達成される請求項11記載の方法。
【請求項34】
熱化学圧縮が達成される請求項11記載の方法。
【請求項35】
熱源から該少なくとも2つの第二セル中へと熱を伝達し;該少なくとも2つの第二セルのそれぞれからガスを脱着させ、該少なくとも2つの第三セルから少なくとも2つの第一セルへと熱を伝達する第五工程;及び
該少なくとも2つの第三セルからヒートシンクへと熱を伝達し;該少なくとも2つの第三セル中にガスを吸着させ;該少なくとも2つの第二セルから該少なくとも2つの第一セルへと熱を伝達し;それによって熱回収を達成する第六工程
を更に含む請求項28記載の方法。
【請求項36】
酸素源;
該吸着媒体が水吸着剤を含む請求項1記載の吸着ポンプを含む第一吸着セル;
該吸着媒体が水吸着剤を含む請求項1記載の吸着セルを含む第二吸着セル;
該吸着媒体がCO吸着剤を含む請求項1記載の吸着セルを含む第三吸着セル;及び
該吸着媒体がCO吸着剤を含む請求項1記載の吸着セルを含む第四吸着セル
を含む請求項1記載の吸着ポンプを含む空気処理システム。
【請求項37】
該ガスが、水と二酸化炭素とを含む人から呼気された空気を含み;
該ガスの少なくとも一部を第一吸着セル中に通し、そこで、該水の一部を第一吸着剤上へと吸着させ、それと同時に、1cm以下の距離を介して熱交換器中へと熱を選択的に除去し、且つそれと同時に、第二吸着セルにおいて、第二吸着剤へと熱を加えて、該第二吸着剤から水を脱着させる工程;及び
該ガスの少なくとも一部を第三吸着セル中に通し、そこで、該二酸化炭素の一部を第三吸着剤上へと吸着させ、それと同時に、1cm以下の距離を介して熱交換器中へと熱を選択的に除去し、且つそれと同時に、第四吸着セルにおいて、第四吸着剤へと熱を加えて、該第二吸着剤から二酸化炭素を脱着させる工程
を含む請求項12記載の方法。
【請求項38】
1立方センチメートルあたり約0.67gのかさ密度を有する等体積の13xゼオライトで吸着媒体を置換し、次に、760mmHg及び5℃において二酸化炭素に1分間曝露し、更に次に、760mmHgにおいて90℃以下に加熱すると、加熱開始から1分以内に、装置1mLあたりCOが少なくとも0.015g脱着される能力を有する請求項6記載の装置。
【請求項39】
吸着媒体を含む吸着メソチャンネルを含む吸着層;及び
該吸着層に隣接していて、且つ第一熱交換流体経路を含む第一領域と第二熱交換流体経路を含む第二領域とを含む熱交換器層
を含む吸着ポンプであって、
該第一流体経路が、長さ、幅及び高さの相互に直角な寸法を有し、且つヘッダー及びフッターと接続していて;
該第二流体経路が、長さ、幅及び高さの相互に直角な寸法を有し、且つヘッダー及びフッターと接続していて;
長さを、該熱交換器層中を流れる正味の流体流の方向で測定し;
該第一流体経路が、第二流体経路に比べて、平均長が短く;且つ
該第二流体経路の平均幅と平均高さとの積(幅x高さ)が、該第一流体経路の平均幅と平均高さとの積(幅x高さ)に比べて大きい、
前記吸着ポンプ。
【請求項40】
第一経路及び第二経路が、共通のヘッダー及び共通のフッターを共有している請求項39記載の吸着ポンプ。
【請求項41】
第一流体経路及び第二流体経路の全高を拡張しているフィンを更に含む請求項39記載の吸着ポンプ。
【請求項42】
第一流体領域及び第二流体領域それぞれが、熱交換流体経路マイクロチャンネルを含む請求項39記載の吸着ポンプ。
【請求項43】
該吸着層がメソチャンネルを含み、該第二領域が少なくとも2本の熱交換流体経路マイクロチャンネルを含む請求項42記載の吸着ポンプ。
【請求項44】
各セルが:
吸着媒体を含む吸着メソチャンネルを含む吸着層;及び
該吸着層に隣接していて、且つ第一熱交換流体経路を含む第一領域と第二熱交換流体経路を含む第二領域とを含む熱交換器層
を含み;且つ
該第一流体経路が、長さ、幅及び高さの相互に直角な寸法を有し、且つヘッダー及びフッターと接続していて;
該第二流体経路が、長さ、幅及び高さの相互に直角な寸法を有し、且つヘッダー及びフッターと接続していて;
長さを、該熱交換器層中を流れる正味の流体流の方向で測定し;
該第一流体経路が、該第二流体経路に比べて、平均長が短く;及び
該第二流体経路の平均幅と平均高さとの積(幅x高さ)が、該第一流体経路の平均幅と平均高さとの積(幅x高さ)に比べて大きい、
単一ユニットにおいて中心軸の周囲に配置された少なくとも3つのセルを含む請求項39記載の吸着ポンプ。
【請求項45】
該ポンプが、積層された装置である請求項39記載の吸着ポンプ。
【請求項46】
該第一流体経路及び該第二流体経路それぞれが体積を有し、且つ該第二流体経路の体積が、該第一流体経路の体積に等しいか又は該体積に比べて大きい請求項40記載の吸着ポンプ。
【請求項47】
そのそれぞれが同じ幅を有していない少なくとも4つのフィンを含む請求項41記載の吸着ポンプ。
【請求項48】
第一温度において、該吸着メソチャンネル中にある吸着剤上へとガスを吸着させて、吸着されたガスを形成させる工程;
該第一流体経路及び該第二流体経路中に、該第一温度に比べて高い温度の該熱交換流体を通す工程;及び
該吸着されたガスの少なくとも一部を脱着させる工程
を含む請求項39記載の吸着ポンプにおいてガスを吸着及び脱着させる方法。
【請求項49】
該脱着工程を、該吸着剤中に吸着されるガス種の分圧を低下させる工程と同時に行なう請求項48記載の方法。
【請求項50】
中心軸の周囲に配置された少なくとも3つのセルを含み、且つ各セルが少なくとも1つのユニットを含み、且つ各ユニットが、熱交換層と、該熱交換層に隣接している吸着層とを含む一体型マルチセル吸着ポンプであって;
該層が、幅、高さ及び長さの相互に直角な寸法を有する実質的な平面であり、長さを各層中を流れる正味の流体流の方向で測定し、各層の高さが、その幅に比べて小さく、その長さに比べて小さく、各層の高さが、中心軸に対して実質的に平行である、
前記一体型マルチセル吸着ポンプ。
【請求項51】
各セル内に積重ねられている少なくとも2つのユニットを含む請求項50記載の一体型マルチセル吸着ポンプ。
【請求項52】
該吸着層内のすべてのポイントが、熱交換層から1cm以内に存在している請求項50記載の一体型マルチセル吸着ポンプ。
【請求項53】
各セルが:
吸着媒体を含む吸着メソチャンネルを含む吸着層;及び
該吸着層に隣接していて、且つ第一熱交換流体経路を含む第一領域と第二熱交換流体経路を含む第二領域とを含む熱交換器層
を含み;且つ
該第一流体経路が、長さ、幅及び高さの相互に直角な寸法を有し、且つヘッダー及びフッターと接続していて;
該第二流体経路が、長さ、幅及び高さの相互に直角な寸法を有し、且つヘッダー及びフッターと接続していて;
長さを、該熱交換器層中を流れる正味の流体流の方向で測定し;
該第一流体経路が、該第二流体経路に比べて、平均長が短く;及び
該第二流体経路の平均幅と平均高さとの積(幅x高さ)が、該第一流体経路の平均幅と平均高さとの積(幅x高さ)に比べて大きい、
請求項50記載の一体型マルチセル吸着ポンプ。
【請求項54】
(a)改質装置から水素を製造し、該改質装置によって製造された水素の一部を、吸着ポンプ内にあるメソチャンネル中に配置されている水素吸着剤に吸着させる工程、
(b)該吸着ポンプおいて、メソチャンネル中に配置されている該水素吸着剤を加熱して、水素を脱着させ;該脱着させた水素の少なくとも一部を動作していない燃料電池中に通す工程;及び
(c)該脱着させた水素を用いて該燃料電池を始動させる工程
を含む燃料電池を始動させる方法。
【請求項55】
工程(a)〜(c)を少なくとも10回繰返すことを含む請求項54記載の方法。
【請求項56】
該水素吸着剤が金属水素化物を含む請求項54記載の方法。
【請求項57】
熱を、隣接している熱交換チャンネルから該メソチャンネルへと供給する請求項54記載の方法。
【請求項58】
該燃料電池が、自動車に積載されている請求項57記載の方法。
【請求項59】
該吸着ポンプが、請求項1記載の該ポンプを含む請求項57記載の方法。
【請求項60】
コンパクトな燃焼器によって加熱を供給する請求項57記載の方法。
【請求項61】
該吸着ポンプが、該燃料電池から分離しているユニット中に収容されている請求項57記載の方法。
【請求項62】
該改質器によって製造された水素の10%未満を、該吸着ポンプによって脱着させる請求項57記載の方法。
【請求項63】
改質器出力を精製する吸着ポンプを更に含む請求項57記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1本の吸着メソチャンネルと少なくとも1つの熱交換器とを含むガス吸着脱着装置において;
少なくとも1本の吸着メソチャンネル中にある吸着媒体中にガスを吸着させ、それと同時に、該吸着媒体から熱吸収熱交換器中へと熱を除去する工程;
次に、熱供給熱交換器から、少なくとも1本の吸着メソチャンネル中にある該吸着媒体へと熱を加えて、該吸着媒体からガスを脱着させる工程
を含むガス吸着脱着法であって;
ガス吸着とガス脱着とを組合せた工程が完全なサイクルを形成し;及び
完全なサイクリングにおいて、装置1リットルあたり1分間に少なくとも0.1モルのガスが吸着及び脱着される、
前記ガス吸着脱着法。
【請求項65】
単一熱交換器が、吸着熱と供給熱の両方の機能を実行する請求項64記載の方法。
【請求項66】
該ガスがCOを含む請求項65記載の方法。
【請求項67】
該吸着ポンプが、熱化学圧縮機である請求項64記載の方法。
【請求項68】
工程(b)を、該吸着剤において吸着されるガス種の分圧を低下させる工程と同時に行なう請求項54記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−183533(P2012−183533A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−87501(P2012−87501)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2002−585064(P2002−585064)の分割
【原出願日】平成14年4月30日(2002.4.30)
【出願人】(500392933)バッテル メモリアル インスティテュート (10)
【氏名又は名称原語表記】BATTELLE MEMORIAL INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】Pacific Northwest Division, Intellectual Property Services, P.O. Box 999, Richland, WA 99352 U.S.A.
【Fターム(参考)】