説明

熱交換器、およびそれを備えた給湯装置

【課題】複数の熱媒体間で熱交換を行い、熱媒体毎に熱交換量を調整できる熱交換器およびそれを備えた給湯装置を得る。
【解決手段】熱源となる冷媒が流通する冷媒配管1’と、冷媒配管と隣接して配置され、給湯用の水が流通する給湯配管9’と、冷媒配管と隣接して配置され、浴槽用の水が流通する風呂配管12’とを備え、給湯配管と冷媒配管と風呂配管とが順をなして積層されて、給湯用の水および浴槽用の水と冷媒とが熱交換を行う第一の積層部が複数積層され、給湯配管または風呂配管の何れか一方と冷媒配管とが順をなして積層されて、給湯用の水または浴槽用の水の何れか一方と冷媒とが熱交換を行う第二の積層部200が第一の積層部100に積層された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器およびそれを備えた給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプサイクルを熱源とする冷媒回路を循環する冷媒と、床暖房回路に循環される熱媒体と、給湯回路に供給される水との間で熱交換を行う熱交換器がある。
従来の熱交換器では、熱媒体の流量に応じて熱交換器配管の管径を変えていた。すなわち、床暖房回路に多量の温水が必要な場合には、給湯回路の配管径を小さくして給湯回路を流れる水の温度を床暖房回路に流れる熱媒体の温度より高くし、給湯回路から床暖房回路へ熱を伝熱させることで床暖房に必要な熱量を補っていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−243747号公報(段落[0004]、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の熱媒体間での熱交換を行う熱交換器においては、熱媒体毎に熱交換量を調整できることが望まれている。
【0005】
上記特許文献1に記載の熱交換器では、熱交換器配管の管径を変えることで一部の熱媒体の温度を高くしている。しかしながら、上記特許文献1のような熱交換器にあっては、床暖房回路の配管径が給湯回路および冷媒回路の配管径より大きいため、配管同士の伝熱部に係わる部分以外の表面積が大きくなる。このため、床暖房回路用の配管からの放熱ロスが多くなる、という問題点があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、複数の熱媒体間で熱交換を行い、熱媒体毎に熱交換量を調整できる熱交換器およびそれを備えた給湯装置を得るものである。
また、熱交換器の配管による放熱ロスが少ない熱交換器およびそれを備えた給湯装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る熱交換器は、熱源となる第一の熱媒体が流通する第一の流路と、前記第一の流路と隣接して配置され、第二の熱媒体が流通する第二の流路と、前記第一の流路と隣接して配置され、第三の熱媒体が流通する第三の流路とを備え、前記第二の流路と前記第一の流路と前記第三の流路とが順をなして積層されて、前記第二の熱媒体および前記第三の熱媒体と前記第一の熱媒体とが熱交換を行う第一の積層部が複数積層され、前記第二の流路または第三の流路の何れか一方と前記第一の流路とが順をなして積層されて、前記第二の熱媒体または前記第三の熱媒体の何れか一方と前記第一の熱媒体とが熱交換を行う第二の積層部が前記第一の積層部に積層されたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、第二の流路と第一の流路と第三の流路とが順をなして積層されて、第二の熱媒体および第三の熱媒体と第一の熱媒体とが熱交換を行う第一の積層部が複数積層され、第二の流路または第三の流路の何れか一方と第一の流路とが順をなして積層されて、第二の熱媒体または第三の熱媒体の何れか一方と第一の熱媒体とが熱交換を行う第二の積層部が第一の積層部に積層されている。このため、複数の熱媒体間で熱交換を行い、熱媒体毎に熱交換量を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1による熱交換器を備えた給湯装置の主要部分を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1による熱交換器の配管構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1による熱交換器の配管断面を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1による熱交換器のヘッダーの一端部を示す図である。
【図5】熱交換器の配管構成の他の例を模式的に示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2による熱交換器の配管断面を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。
【図8】本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。
【図9】本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。
【図10】本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。
【図11】本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。
【図12】本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。
【図13】本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による熱交換器を備えた給湯装置の主要部分を示す図である。
図1に示すように、給湯装置は、冷媒回路1、給湯回路9、および風呂回路12を備える。
冷媒回路1は、圧縮機2、凝縮器として動作する熱交換器3、膨張弁4、および蒸発器5を環状に接続し、冷媒を循環させる。圧縮機2は、冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にするものである。圧縮機2は、例えば容量制御可能なインバータ圧縮機等で構成すると良い。熱交換器3は、冷媒回路1を循環する冷媒と、給湯回路9を循環する給湯用の水(後述)および風呂回路12を循環する浴槽用の水(後述)の少なくとも一方とで熱交換を行うものである。また、熱交換器3は、凝縮器として機能し、冷媒を凝縮液化するものである。熱交換器3の詳細は後述する。膨張弁4は、冷媒を減圧して膨張させるものである。この膨張弁4は、開度が可変に制御可能なもの、例えば電子式膨張弁等で構成すると良い。蒸発器5は、ファン6から供給される空気と冷媒との間で熱交換を行い、冷媒を蒸発ガス化するものである。
なお、「冷媒回路1」は、本発明における「ヒートポンプサイクル」に相当する。
【0011】
給湯回路9は、給湯タンク7、熱交換器3、および給湯ポンプ8を環状に接続し、給湯用の水を循環させて給湯タンク7に貯留する。給湯タンク7は、給湯用の水を貯留するものである。給湯ポンプ8は、給湯回路9の配管を流通する水を循環させるものである。この給湯ポンプ8は、例えば容量制御可能なポンプ等で構成すると良い。
給湯回路9は、給湯タンク7の下部から流出した低温の水を給湯ポンプ8で循環させ、熱交換器3で吸熱して高温になった高温の水を給湯タンク7の上部から流入させて貯留する。また、給湯タンク7の下部には、例えば水道水などを供給する給水14が設けられている。さらに、熱交換器3を流通した水と給湯タンク7に貯留された給湯用の水とを混合して流出が可能な蛇口13が設けられている。また、蛇口13からの給湯用の水は、例えば水道水などを供給する給水14と混合して適温にした温水を流出する。蛇口13からの温水は浴槽10の湯はり等に給湯できる。
なお、「蛇口13」は、本発明における「給湯口」に相当する。
【0012】
風呂回路12は、熱交換器3、および風呂ポンプ11を環状に接続し、浴槽用の水を循環させる。風呂ポンプ11は、風呂回路12の配管を流通する水を循環させるものである。この風呂ポンプ11は、例えば容量制御可能なポンプ等で構成すると良い。風呂回路12では、浴槽10に貯められた湯(浴槽用の水)を浴槽10の下部から風呂ポンプ11で循環させ、熱交換器3で吸熱して高温になった浴槽用の水を再び浴槽10に戻すことで追い焚きが可能である。
なお、「風呂回路12」は、本発明における「温熱利用回路」に相当する。
なお、「風呂ポンプ11」は、本発明における「循環ポンプ」に相当する。
【0013】
熱交換器3は、冷媒回路1の冷媒が流通する冷媒配管1’と、給湯回路9の給湯用の水が流通する給湯配管9’と、風呂回路12の浴槽の水が流通する風呂配管12’とを備えている。この熱交換器3は、熱源となる冷媒と給湯用の水との熱交換、および、熱源となる冷媒と浴槽用の水との熱交換が可能である。
なお、「冷媒配管1’」は、本発明における「第一の流路」に相当する。
なお、「給湯配管9’」は、本発明における「第二の流路」に相当する。
なお、「風呂配管12’」は、本発明における「第三の流路」に相当する。
なお、「冷媒」は、本発明における「第一の熱媒体」に相当する。
なお、「給湯用の水」は、本発明における「第二の熱媒体」に相当する。
なお、「浴槽用の水」は、本発明における「第三の熱媒体」に相当する。
【0014】
図2は本発明の実施の形態1による熱交換器の配管構成を模式的に示す図である。
図3は本発明の実施の形態1による熱交換器の配管断面を示す図である。
図4は本発明の実施の形態1による熱交換器のヘッダーの一端部を示す図である。
図2〜図4に示すように、冷媒回路1の一端からヘッダー20を介して複数の冷媒配管1’が分岐されている。また、給湯回路9の一端からヘッダー20を介して複数の給湯配管9’が分岐されている。また、風呂回路12の一端からヘッダー20を介して複数の風呂配管12’が分岐されている。そして、各回路の反対の端部では分岐した各配管がヘッダー20に集合されている。
【0015】
図2(a)では給湯配管9’は冷媒配管1’と隣接して配置される。風呂配管12’は冷媒配管1’と隣接して配置される。給湯配管9’と冷媒配管1’と風呂配管12’とが順をなして積層されて、給湯用の水および浴槽用の水と冷媒とが熱交換を行う第一の積層部100が形成されている。つまり、第一の積層部100では、給湯回路9を構成する給湯配管9’、冷媒回路1を構成する冷媒配管1’、風呂回路12を構成する風呂配管12’が順次積層した構造となっている。また、互いに隣接する接合面は例えば密着接合されて熱的に結合されている。第一の積層部100では、冷媒回路1からの熱を冷媒配管1’に隣接して配置された給湯配管9’と風呂配管12’に放熱することで、冷媒と給湯用の水との熱交換、および冷媒と浴槽用の水との熱交換が行われる。
【0016】
このような構成により、第一の積層部100の積層数(分岐した配管の本数)が多い場合、給湯用の水および浴槽用の水の熱交換量は多くなる。また、第一の積層部100の積層数(分岐した配管の本数)が少ない場合、給湯用の水および浴槽用の水の熱交換量は少なくなる。このため、第一の積層部100の積層数によって、給湯用の水および浴槽用の水の熱交換量を調整することができる。
【0017】
また、熱交換器3には、給湯配管9’または風呂配管12’の何れか一方と冷媒配管1’とが順をなして積層されて、給湯用の水または浴槽用の水の何れか一方と冷媒とが熱交換を行う第二の積層部200が形成されている。例えば図2および図3の紙面下側に示すように、第二の積層部200は、給湯配管9’と冷媒配管1’とが順をなして積層されて、給湯用の水と冷媒とが熱交換を行う。つまり、第二の積層部200では、2本の配管が順次積層されており、冷媒回路1からの熱を冷媒配管1’に隣接して配置された給湯配管9’に放熱する。
【0018】
このような構成により、給湯用の水または浴槽用の水の何れか一方の熱交換量を、他方より多くすることができる。また、第二の積層部200の積層数(分岐した配管の本数)が多い場合は熱交換量が多くなる。また、第二の積層部200の積層数(分岐した配管の本数)が少ない場合は熱交換量が少なくなる。このため、第二の積層部200の積層数によって、給湯用の水または浴槽用の水の何れか一方の熱交換量を調整することができる。さらに、第一の積層部100および第二の積層部200のそれぞれの積層数によって、給湯用の水および浴槽用の水の熱交換量をそれぞれ調整することができる。
【0019】
図2(b)では給湯配管9’は冷媒配管1’と隣接して配置される。風呂配管12’は冷媒配管1’と隣接して配置される。給湯配管9’と冷媒配管1’と風呂配管12’とが順をなして積層されて、給湯用の水および浴槽用の水と冷媒とが熱交換を行う第一の積層部100が形成されている。また、給湯配管9’または風呂配管12’の何れか一方が他方より短く冷媒配管1’とが順をなして積層されている第二の積層部200が形成されている。例えば図では風呂配管12’が給湯配管9’より短く給湯配管9’と冷媒配管1’が順をなして積層されている第二の積層部200部分が長くなっている。第二積層部200では給湯配管9’と冷媒配管1’が順をなして積層される。このため積層部の長さの違いにより給湯用の水および浴槽用の水の熱交換量を調整することができる。
【0020】
また、冷媒配管1’、給湯配管9’、および風呂配管12’の断面形状が略同一に形成されている。例えば図3に示すように、配管断面が矩形状に形成され、長辺および短辺がそれぞれ略同一寸法である。つまり、各配管の長辺部分が、配管同士の熱伝導に係る部分となり、短辺部分が熱伝導に係る部分以外の部分となる。
このように、各配管の断面形状を略同一に形成することで、配管同士の熱伝導に係わる部分以外の表面積を大きくすることがない。したがって、熱交換器の配管による放熱ロスを少なくすることができる。
【0021】
なお、冷媒が流れる冷媒配管1’の材質は銅やアルミが適用できる。特にアルミの場合は軽量化が図れる。また、水が流れる給湯配管9’および風呂配管12’の材質は銅が適用できる。
なお、冷媒配管1’、給湯配管9’、および風呂配管12’の接合は、ろう付けやはんだ付け、あるいは接着による接合が可能である。
【0022】
以上のように本実施の形態においては、複数の熱媒体間で熱交換を行い、熱媒体毎に熱交換量を調整できる。また、熱交換器の配管による放熱ロスが少ない熱交換器を得ることができる。また、1つの熱交換器3により複数の熱媒体間で熱交換することができるので、熱交換器3の数を低減することができ、低コストで省エネ性のある給湯装置を得ることができる。したがって、配管からの放熱ロスが少ない3つ以上の熱媒体間で熱交換を行う熱交換器およびそれを備えた給湯装置を得ることができる。
【0023】
なお、本実施の形態では、各回路の一端をヘッダー20を介して複数の配管に分岐する構成について説明したが本発明はこれに限るものではない。例えば図2(a)に対しては図5に示すように、冷媒配管1’、給湯配管9’および風呂配管12’を円筒状に巻いて積層するようにしても良い。この場合においても、冷媒配管1’、給湯配管9’および風呂配管12’の3連の配管を積層する第一の積層部100と、給湯配管9’および風呂配管12’の何れか一方と冷媒配管1’との2連の配管を積層する第二の積層部200とを形成することで、同様に熱交換量を調整することができ、上述した効果と同様の効果を奏することができる。図2(b)に対しても図示しないが、冷媒配管1’、給湯配管9’および風呂配管12’とが順をなして積層される第一の積層部100を円筒状に巻いて積層するようにしても良い。この場合においても、冷媒配管1’、給湯配管9’および風呂配管12’の3連の配管を積層する第一の積層部100と、給湯配管9’および風呂配管12’の何れか一方と冷媒配管1’との2連の配管を積層する第二の積層部200とを形成することで、同様に熱交換量を調整することができ、上述した効果と同様の効果を奏することができる。なお、各配管の巻き方は円筒状に限らず、平面視矩形状やジグザグ状に積層しても良い。
【0024】
なお、本実施の形態では、3つの回路を流通する3つの熱媒体間で熱交換を行う構成について説明したが、これに限らず4つ以上の回路を流通する4つ以上の熱媒体間で熱交換を行うようにしても良い。例えば4つの回路を用いる場合には、4連の配管を積層する積層部と、任意の3つを積層する第一の積層部100と、任意の2つの配管を積層する第二の積層部200とを形成することで、それぞれの熱交換量を調整することができる。
【0025】
実施の形態2.
本実施の形態2では、冷媒配管1’、給湯配管9’、および風呂配管12’の配管内部の構成について説明する。なお、その他の構成は上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
【0026】
図6は本発明の実施の形態2による熱交換器の配管断面を示す図である。
本実施の形態における冷媒配管1’、給湯配管9’、および風呂配管12’の少なくとも1つは、内部を隔壁で区切り複数の流路21を形成した。例えば図6(a)に示すように、冷媒配管1’の内部を隔壁で区切り、複数の流路21を形成した。
このような流路を形成することで冷媒配管1’内部の表面積が増加して伝熱性能を向上することができる。
なお、冷媒配管1’の外径寸法は、長辺が約8mmから約30mm、短辺が約2mmから約5mmであり、内部の流路21は長辺が約1mmから約8mm、短辺が約1mmから約4.5mm程度である。なお、流路21は矩形に限らず直径約1mmから約4mm程度の丸穴でも良い。
【0027】
また、冷媒配管1’、給湯配管9’、および風呂配管12’の少なくとも1つは、内部に溝22を設けた。例えば図6(a)に示すように、給湯配管9’および風呂配管12’の内部には溝22が形成されている。溝22は流路方向に直線状でも良く、空調器の熱交換器に使用されているような流路方向から角度を持たせて形成されたものでも良い。
このような流路22を形成することで配管内の流れが乱流となって伝熱性能が向上することができる。
なお、溝22の寸法は配管の寸法に合わせて決めることができ、高さが約0.1mmから約1.5mm、幅は約0.1mmから約0.5mm程度である。
【0028】
また、冷媒配管1’、給湯配管9’、および風呂配管12’の少なくとも1つは、内部にくぼみ状のディンプル形状23を設けた。例えば図6(b)に示すように、給湯配管9’および風呂配管12’の内部には、くぼみや突起などのディンプル形状23が形成されている。
このような流路を形成することで配管内の流れが乱流となって伝熱性能が向上することができる。また、ディンプル形状23を風呂配管12’に適用することで、浴槽10からの毛髪などにより風呂配管12’のごみ詰まり等を防止しつつ伝熱性能を向上できる効果がある。
なお、ディンプル形状23の寸法は配管の寸法に合わせて決めることができ、高さが約0.1mmから約1.5mm、円形状のディンプル形状23の場合は直径約1mmから約10mm程度である。
【0029】
なお、冷媒配管1’、給湯配管9’、および風呂配管12’のうち、流路21や溝22やディンプル形状23を形成した配管は適時組み合わせて使用できる。
なお、溝22を形成した扁平管あるいはくぼみや突起などのディンプル形状23を形成した扁平管は丸管の溝付伝熱管を扁平にプレスすることでも製造できる。
【0030】
実施の形態3.
本実施の形態3では給湯装置の動作について説明する。
なお、本実施の形態3における給湯装置の構成は上記実施の形態1と同様である。また、熱交換器3の構成は上記実施の形態1または2と同様である。
【0031】
図7は本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。なお、図中の矢印は冷媒と水または湯の流れを示す。
図7において、冷媒回路1が動作すると、低温低圧のガス冷媒が圧縮機2によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は熱交換器3に流入する。このとき、冷媒が給湯用の水および浴槽用の水を加熱しながら冷却され低温高圧の液冷媒となる。熱交換器3から流出した低温高圧の液冷媒は膨張弁4で膨張・減圧し低温低圧の気液二相状態になる。膨張弁4を出た低温低圧の気液二相状態の冷媒は蒸発器5に流入する。そして、ファン6からの空気により冷媒が加熱され低温低圧のガス冷媒となる。
【0032】
給湯回路9において、給湯タンク7内の水の沸上げ(加熱された水の貯留)の動作をすると、給湯タンク7の下部から流出した水を給湯ポンプ8で熱交換器3に流入させる。このとき給湯用の水は冷媒と熱交換して加熱される。熱交換器3で吸熱して高温になった給湯用の水は給湯タンク7の上部から流入して給湯タンク7内に貯留される。なお、このとき給湯タンク7と蛇口13とを接続する配管は図示しない開閉弁により閉じられている。
【0033】
風呂回路12において、浴槽10に貯められた湯を加熱する追い焚きの動作をすると、浴槽10の下部から流出した水を風呂ポンプ11で熱交換器3に流入させる。このとき浴槽用の水は冷媒と熱交換して加熱される。熱交換器3で吸熱して高温になった浴槽用の水は再び浴槽10に戻される。
【0034】
このように、熱交換器3は冷媒配管1’、給湯配管9’および風呂配管12’を備え、冷媒回路1、給湯回路9および風呂回路12が接続される。このため、給湯タンク7内の水の沸き上げと浴槽10の追い焚きとを1つの熱交換器3で行うことができる。
【0035】
図8は本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。図中の矢印は冷媒と水または湯の流れを示す。
図8において、給湯タンク7内の水の沸上げの後、浴槽10に湯を貯める(湯はり)を行う場合には、給湯タンク7内に貯留された水(湯)を蛇口13から給湯する。また、このとき、給湯タンク7の湯のみだけでなく、冷媒回路1と給湯回路9の給湯ポンプ8を動作させながら湯はりを行う。
すなわち、冷媒回路1は上述の通り動作し、給湯回路9では給湯タンク7の下部から流出した水を給湯ポンプ8で熱交換器3に流入させる。そして、熱交換器3の給湯配管9’を流通して加熱された水と、給湯タンク7の上部から流出した貯留された湯とを混合して、蛇口13から給湯する。なお、給湯タンク7内の水量は、水道水などを供給する給水14により一定量に調整される。また、蛇口13からの給湯用の水は、例えば水道水などを供給する給水14と混合して適温に調整される。
【0036】
このように、熱交換器3の給湯配管9’を流通した水と、給湯タンク7から流出した給湯用の水とを混合して流出することで、給湯タンク7内の湯温が浴槽10の必要温度より低い場合でも湯はりを行うことができる。また、給湯タンク7と給水14とから湯はりを行うので湯はり時間の短縮ができる。
【0037】
図9は本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。なお、図中の矢印は冷媒と水または湯の流れを示す。
図9において、給湯タンク7内の水の沸上げの後、浴槽10の追い焚きを行う場合には、給湯回路9の給湯ポンプ8を動作させて、加熱された給湯用の水(湯)を熱交換器3に流通させる。なお、このとき給湯タンク7と蛇口13とを接続する配管は図示しない開閉弁により閉じられている。風呂回路12は、浴槽10内の水を風呂ポンプ11で熱交換器3に流入させ、給湯用の水と熱交換して追い焚きをする。このとき、冷媒回路1は停止状態である。
【0038】
このように、給湯タンク7内に十分湯が残っている場合には給湯タンク7の熱を使って浴槽10の追い焚きができる。
【0039】
図10は本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。なお、図中の矢印は冷媒と水または湯の流れを示す。
上記図9で説明した動作では、給湯タンク7内の湯を使って浴槽10の追い焚きを行うと、浴槽10の水と熱交換した後の温度が低下した湯が給湯タンク7に戻ってくる。給湯タンク7に貯留された湯の温度が低下した場合には給湯等にも使うことができない。また給湯タンク7内の温度が約30℃から約40℃になると、この温度の湯を冷媒回路1との熱交換で再び高温に沸き上げるには熱交換器3での冷媒の凝縮温度が高くなるため効率が悪くなる。
一方、図10においては、冷媒回路1は、上記図7の説明と同様に、圧縮機2から吐出した高温の冷媒を熱交換器3の冷媒配管1’に流通させる。そして、風呂回路12は、浴槽10内の水を風呂ポンプ11で熱交換器3の風呂配管12’に流通させ、冷媒と熱交換して追い焚きをする。このとき、給湯回路9での水の循環は停止状態である。
【0040】
このように、浴槽10の追い焚きを冷媒回路1の冷媒との熱交換で行うことができるため、給湯タンク7内の湯温を低下させることがない。したがって省エネ効果がある。
【0041】
図11は本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。なお、図中の矢印は冷媒と水または湯の流れを示す。
図11において、冷媒回路1は、上記図7の説明と同様に、圧縮機2から吐出した高温の冷媒を熱交換器3の冷媒配管1’に流通させる。また、給湯回路9は、上記図9の説明と同様に、給湯タンク7内の水の沸上げの後、加熱された給湯用の水(湯)を熱交換器3の給湯配管9’に流通させる。そして、風呂回路12は、浴槽10内の水を風呂ポンプ11で熱交換器3の風呂配管12’に流通させ、冷媒および給湯用の水と浴槽用の水とを熱交換して追い焚きをする。
【0042】
このように、浴槽10の追い焚きを、冷媒回路1の冷媒および給湯タンク7の湯とを併用して行う。こうすることで浴槽10の追い焚きに伴い給湯タンク7内の湯の温度低下を防止することができ、給湯タンク7内の湯温を低下させることがない。したがって省エネ効果がある。
【0043】
図12は本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。なお、図中の矢印は冷媒と水または湯の流れを示す。
冷媒回路1を動作させるとヒートポンプサイクルにより吸熱する外気の温度や湿度条件によっては蒸発器5に着霜する場合があり、この霜を除霜して除去する必要がある。
図12において、給湯回路9は、給湯タンク7内の水の沸上げの後、加熱された給湯用の水(湯)を熱交換器3の給湯配管9’に流通させる。冷媒回路1は、圧縮機2から吐出した高温の冷媒を熱交換器3の冷媒配管1’に流通させる。このとき冷媒と給湯用の水(湯)との温度差は、上記図7で説明した場合と比較して小さくなり、凝縮器として動作する熱交換器3での凝縮温度が高くなる。これにより、蒸発器5での蒸発温度が上昇し、蒸発器5に着霜した霜を溶かすことができる。
このように、給湯タンク7内の熱を使って蒸発器5の除霜を行うことができる。
【0044】
図13は本発明の実施の形態3による熱交換器を備えた給湯装置の動作図である。なお、図中の矢印は冷媒と水または湯の流れを示す。
図13において、風呂回路12は、浴槽10内に貯められた浴槽用の水(湯)を風呂ポンプ11で熱交換器3の風呂配管12’に流通させる。冷媒回路1は、圧縮機2から吐出した高温の冷媒を熱交換器3の冷媒配管1’に流通させる。このとき冷媒と浴槽用の水(湯)との温度差は、上記図7で説明した場合と比較して小さくなり、凝縮器として動作する熱交換器3での凝縮温度が高くなる。これにより、蒸発器5での蒸発温度が上昇し、蒸発器5に着霜した霜を溶かすことができる。
このように、浴槽10内の熱を使って蒸発器5の除霜を行うことができる。また、浴槽10においては入浴後(使用後)の熱を用いることで排熱を除霜に用いることができる。したがって省エネ効果がある。
【0045】
なお、上記実施の形態1〜3では、本発明の「温熱利用回路」の一例として風呂回路を用いた場合を説明したが本発明はこれに限るものではない。例えば床暖房回路を用いても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 冷媒回路、1’ 冷媒配管、2 圧縮機、3 熱交換器、4 膨張弁、5 蒸発器、6 ファン、7 給湯タンク、8 給湯ポンプ、9 給湯回路、9’ 給湯配管、10 浴槽、11 風呂ポンプ、12 風呂回路、12’ 風呂配管、13 蛇口、14 給水、20 ヘッダー、21 流路、22 溝、23 ディンプル形状、100 第一の積層部、200 第二の積層部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源となる第一の熱媒体が流通する第一の流路と、
前記第一の流路と隣接して配置され、第二の熱媒体が流通する第二の流路と、
前記第一の流路と隣接して配置され、第三の熱媒体が流通する第三の流路と
を備え、
前記第二の流路と前記第一の流路と前記第三の流路とが順をなして積層されて、前記第二の熱媒体および前記第三の熱媒体と前記第一の熱媒体とが熱交換を行う第一の積層部が複数積層され、
前記第二の流路または第三の流路の何れか一方と前記第一の流路とが順をなして積層されて、前記第二の熱媒体または前記第三の熱媒体の何れか一方と前記第一の熱媒体とが熱交換を行う第二の積層部が前記第一の積層部に積層された
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記第一の流路、前記第二の流路、および前記第三の流路の断面形状が略同一に形成された
ことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第一の流路、前記第二の流路、および前記第三の流路の少なくとも1つは、内部を隔壁で区切り複数の流路を形成した
ことを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第一の流路、前記第二の流路、および前記第三の流路の少なくとも1つは、内部に溝を設けた
ことを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第一の流路、前記第二の流路、および前記第三の流路の少なくとも1つは、内部にくぼみ状のディンプル形状を設けた
ことを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の熱交換器を備えた
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項7】
圧縮機、前記熱交換器の前記第一の流路、膨張弁、および蒸発器を環状に接続し、前記第一の熱媒体としての冷媒を循環させるヒートポンプサイクルと、
給湯タンク、前記熱交換器の前記第二の流路、および給湯ポンプを環状に接続し、前記第二の熱媒体としての水を循環させて前記給湯タンクに貯留する給湯回路と、
前記熱交換器の前記第三の流路、および循環ポンプを環状に接続し、前記第三の熱媒体を循環させる温熱利用回路と
を備えたことを特徴とする請求項6記載の給湯装置。
【請求項8】
前記給湯回路は、
前記熱交換器の前記第二の流路を流通した前記水と、前記給湯タンクから流出した前記水とを混合して流出する給湯口を備えた
ことを特徴とする請求項7記載の給湯装置。
【請求項9】
前記ヒートポンプサイクルは、
前記圧縮機から吐出した高温の前記冷媒を前記熱交換器の前記第一の流路に流通させ、
前記給湯回路は、
前記冷媒と熱交換して加熱された前記水を前記給湯タンクに貯留し、加熱された前記水を前記熱交換器の前記第二の流路に流通させ、
前記温熱利用回路は、
前記第三の熱媒体を前記熱交換器の前記第三の流路に流通させ、
加熱された前記水および前記冷媒と前記第三の熱媒体とが熱交換して前記第三の熱媒体が加熱される
ことを特徴とする請求項7記載の給湯装置。
【請求項10】
前記ヒートポンプサイクルは、
前記圧縮機から吐出した高温の前記冷媒を前記熱交換器の前記第一の流路に流通させ、
前記温熱利用回路は、
前記第三の熱媒体を前記熱交換器の前記第三の流路に流通させ、
前記冷媒と前記第三の熱媒体とが熱交換して前記第三の熱媒体が加熱される
ことを特徴とする請求項7記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−17900(P2012−17900A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155160(P2010−155160)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】