説明

熱交換器

【課題】2つの流体間の熱交換効率を向上しうる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器1は、流体流通部3を有する基板2と、基板2に巻き付けられかつ基板2の流体流通部3を流れる流体とは異なる種類の流体が流れるアルミニウム管4とを備えている。基板2は互いに積層状に接合された2枚のアルミニウム板5からなる。流体流通部3を、基板2を構成する2枚のアルミニウム板5のうちいずれか一方のアルミニウム板5を外方に膨出させることにより両アルミニウム板5間に形成する。流体流通部3は、並列状に配置された複数の直線部6および隣り合う直線部6どうしを長手方向の両端部において交互に連結する屈曲部7からなる蛇行状である。アルミニウム管4の一部分が基板2の流体流通部3における隣り合う直線部6間に位置するように、アルミニウム管4を基板2に巻き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえばヒートポンプ式給湯装置に用いられる熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や、電気自動車などの比較的廃熱の少ない車両においては、車室内を暖房するための熱源が不足することがあるので、上述した車両の電力変換装置のIGBTなどのパワーデバイスを冷却するのに用いられて加熱された水を、冷房用冷凍サイクルの圧縮機により圧縮されて高温高圧となった冷房用冷凍サイクルの冷媒の有する熱を利用して熱交換器により加熱することが考えられている。
【0003】
高温高圧の冷媒により水を加熱する熱交換器として、互いに平行に配置された2枚の平坦状金属板、および両金属板間に配置されて両金属板にろう付された波状のフィンよりなり、かつ内部に水通路が設けられた水流通部材と、水流通部材の回りに巻き付けられた横断面円形の冷媒流通管とを備えており、冷媒流通管の外周面の一部が水流通部材の金属板の外面に接触した状態でろう付された熱交換器が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の熱交換器においては、冷媒流通管の外周面と水流通部材の金属板の外面との接触面積が比較的小さくなって冷媒と水との間の伝熱性が不足し、十分な熱交換効率が得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−121712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、2つの流体間の熱交換効率を向上しうる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)流体流通部を有する基板と、基板に巻き付けられかつ基板の流体流通部を流れる流体とは異なる種類の流体が流れる金属管とを備えており、基板が、互いに積層状に接合された2枚の金属板からなるとともに、流体流通部が、基板を構成する2枚の金属板のうち少なくともいずれか一方の金属板を外方に膨出させることにより両金属板間に形成され、流体流通部が、並列状に配置された複数の直線部および隣り合う直線部どうしを長手方向の両端部において交互に連結する屈曲部からなる蛇行状であり、金属管の一部分が基板の流体流通部における隣り合う直線部間に位置するように、金属管が基板に巻き付けられている熱交換器。
【0009】
2)流体流通部が、基板を構成する2枚の金属板のうちいずれか一方の金属板のみを外方に膨出させることにより両金属板間に形成されている上記1)記載の熱交換器。
【0010】
3)互いに積層状に接合された2枚の金属板からなり、かつ両金属板間に異なる種類の流体が流れる2つの流体流通部が独立して設けられている基板を備えており、流体流通部が、基板を構成する2枚の金属板のうち少なくともいずれか一方の金属板を外方に膨出させることにより両金属板間に形成され、複数の基板が、各基板の一方の流体流通部どうしおよび他方の流体流通部どうしが連通するように配置されている熱交換器。
【0011】
4)長手方向が同一方向を向くように互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の金属製丸管と、幅方向を丸管の長手方向を向けるとともに、丸管の長さ方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の金属製扁平管とを備えており、丸管の外周面の一部と扁平管の外周面の一部とが接触させられ、全丸管どうしおよび全扁平管どうしがそれぞれ連通させられている熱交換器。
【0012】
5)扁平管が波状であり、波頂部または波底部の屈曲内側部分が丸管の外周面の片側部分のみに接触している上記4)記載の熱交換器。
【0013】
6)扁平管が波状であり、波頂部の屈曲内側部分が丸管の外周面の一方の片側部分に接触するとともに波底部の屈曲内側部分が丸管の外周面の他方の片側部分に接触している上記4)記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0014】
上記1)および2)の熱交換器によれば、流体流通部を有する基板と、基板に巻き付けられかつ基板の流体流通部を流れる流体とは異なる種類の流体が流れる金属管とを備えており、基板が、互いに積層状に接合された2枚の金属板からなるとともに、流体流通部が、基板を構成する2枚の金属板のうち少なくともいずれか一方の金属板を外方に膨出させることにより両金属板間に形成され、流体流通部が、並列状に配置された複数の直線部および隣り合う直線部どうしを長手方向の両端部において交互に連結する屈曲部からなる蛇行状であり、金属管の一部分が基板の流体流通部における隣り合う直線部間に位置するように、金属管が基板に巻き付けられているので、基板の流体流通部の外面と金属管の外周面との接触面積が、特許文献1記載の熱交換器における冷媒流通管の外周面と水流通部材の金属板の外面との接触面積よりも大きくなり、基板の流体流通部を流れる流体と金属管内を流れる流体との間の伝熱性が向上して熱交換効率が向上する。
【0015】
上記3)の熱交換器によれば、互いに積層状に接合された2枚の金属板からなり、かつ両金属板間に異なる種類の流体が流れる2つの流体流通部が独立して設けられている基板を備えており、流体流通部が、基板を構成する2枚の金属板のうち少なくともいずれか一方の金属板を外方に膨出させることにより両金属板間に形成され、複数の基板が、各基板の一方の流体流通部どうしおよび他方の流体流通部どうしが連通するように配置されているので、各基板の2つの流体流通部を流れる異なる種類の流体間の伝熱性が向上し、両流体間の熱交換効率が向上する。また、2つの流体流通部を流れる流体に合わせて回路の設定を自由に行うことができる。
【0016】
上記4)〜6)の熱交換器によれば、長手方向が同一方向を向くように互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の金属製丸管と、幅方向を丸管の長手方向を向けるとともに、丸管の長さ方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の金属製扁平管とを備えており、丸管の外周面の一部と扁平管の外周面の一部とが接触させられ、全丸管どうしおよび全扁平管どうしがそれぞれ連通させられているので、丸管の外周面と扁平管の外周面との接触面積が、特許文献1記載の熱交換器における冷媒流通管の外周面と水流通部材の金属板の外面との接触面積よりも大きくなり、基板の流体流通部を流れる流体と金属管内を流れる流体との間の伝熱性が向上して熱交換効率が向上する。
【0017】
上記5)および6)の熱交換器によれば、丸管の外周面と扁平管の外周面との接触面積を比較的簡単に大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施形態1の熱交換器を示す正面図である。
【図2】図1の熱交換器を示す斜視図である。
【図3】図1の熱交換器に用いられる基板を示す斜視図である。
【図4】図1のA−A線拡大断面図である。
【図5】図1のB−B線拡大断面図である。
【図6】この発明の実施形態2の熱交換器を示す斜視図である。
【図7】図6の熱交換器を示す正面図である。
【図8】図6の熱交換器を構成する基板を示す正面図である。
【図9】図7のC−C線拡大断面図である。
【図10】図7のD−D線拡大断面図である。
【図11】図7のE−E線拡大断面図である。
【図12】この発明の実施形態3の熱交換器を示す斜視図である。
【図13】図12の熱交換器の丸管と扁平管との構成を示す図である。
【図14】この発明の実施形態4の熱交換器を示す斜視図である。
【図15】この発明の実施形態5の熱交換器を示す斜視図である。
【図16】図15の熱交換器の丸管と扁平管との構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0021】
また、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
実施形態1
この実施形態は図1〜図5に示すものである。
【0023】
図1および図2はこの発明の実施形態1の熱交換器の全体構成を示し、図3〜図5はその要部の構成を示す。
【0024】
なお、実施形態1の熱交換器についての説明において、図1の上下、左右を上下、左右といい、図5の右側(図4の上側)を前、これと反対側を後というものとする。
【0025】
図1および図2において、熱交換器(1)は、流体流通部(3)を有する基板(2)と、基板(2)に巻き付けられかつ基板(2)の流体流通部(3)を流れる流体とは異なる種類の流体が流れるアルミニウム管(4)(金属管)とを備えている。
【0026】
図1〜図3に示すように、基板(2)は、互いに積層状に接合された2枚のアルミニウム板(5)(金属板)からなり、基板(2)を構成する2枚のアルミニウム板(5)のうち少なくともいずれか一方、ここでは一方のアルミニウム板(5)のみを外方に膨出させることにより、両アルミニウム板(5)間に流体流通部(3)が形成されている。流体流通部(3)は、上下方向にのびるとともに互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の直線部(6)および隣り合う直線部(6)どうしを長手方向の両端部において交互に連結する屈曲部(7)からなる蛇行状である。流体流通部(3)の右端部の直線部(6)の下端部は右方に屈曲して基板(2)の右側縁に開口し、ここに水流入口(8)が設けられており、同じく左端部の直線部(6)の下端部は左方に屈曲して基板(2)の左側縁に開口し、ここに水流出口(9)が設けられている。図4に示すように、流体流通部(3)の直線部(6)の左右両側壁間の間隔は、後方に向かって徐々に広がっているとともに、隣り合う直線部(6)間の間隔がアルミニウム管(4)の外径よりも小さくなっている。基板(2)は、2枚のアルミニウム板(5)の合せ面のうちの少なくともいずれか一方の面に圧着防止剤を所要パターンに印刷し、この状態で2枚のアルミニウム板(5)を圧着して非圧着部を有する合せ板をつくり、合せ板の非圧着部に流体圧を導入することによって流体流通部(3)を一挙に形成する、いわゆるロールボンド法によって製造される。また、基板(2)は、プレス加工が施されて流体流通部(3)を形成するための外方膨出部が設けられたアルミニウム板(5)と、平坦なアルミニウム板(5)とをろう付などの適当な方法で接合することによって製造される。
【0027】
アルミニウム管(4)は、基板(2)に略螺旋状に巻き付けられており、基板(2)の前側においては、上下方向に伸びる直管部(11)が基板(2)の流体流通部(3)の隣り合う直線部(6)間に位置し、アルミニウム管(4)の外周面は、左右両隣の直線部(6)の左右両側壁、および基板(2)の前面の隣り合う直線部(6)間の部分に接触している。なお、図5に示すように、アルミニウム管(4)は、基板(2)の流体流通部(3)の屈曲部(7)においては、若干前方の曲げられて屈曲部(7)を乗り越えるようになされている。
【0028】
上述した熱交換器(1)は、ハイブリッド自動車や、電気自動車などの比較的廃熱の少ない車両において、車室内を暖房するための熱を得るために用いられる。すなわち、冷房用冷凍サイクルの圧縮機により圧縮されて高温高圧となった冷房用冷凍サイクルの冷媒が、アルミニウム管(4)の左端から送り込まれるとともに右端から排出され、上述した車両の電力変換装置のIGBTなどのパワーデバイスを冷却するのに用いられて加熱された水が、基板(2)の流体流通部(3)の水流入口(8)から送り込まれるとともに水流出口(9)から流出する。そして、水が基板(2)の流体流通部(3)内を流れる間に、冷媒の有する熱により加熱される。
【0029】
なお、基板(2)の流体流通部(3)に冷媒が流れ、アルミニウム管(4)に水が流れるようになっていてもよい。
【0030】
実施形態2
この実施形態は図6〜図11に示すものである。
【0031】
図6および図7は実施形態2の熱交換器の全体構成を示し、図8〜図11はその要部の構成を示す。
【0032】
なお、実施形態2の熱交換器についての説明において、図7の上下、左右を上下、左右といい、図9〜図11の下側(図7の紙面表側)を前、これと反対側を後というものとする。
【0033】
図6および図7において、熱交換器(20)は、異なる種類の流体が流れる2つの流体流通部(22)(23)が独立して設けられている複数の略縦長円形基板(21)が、幅方向を左右方向に向けて前後方向に並べられるとともに、各基板(21)の一方の流体流通部(22)(以下、第1流体流通部(22)と称する)どうしおよび他方の流体流通部(23)(以下、第2流体流通部(23)と称する)どうしが連通するようにろう付され、前後両端部の基板(21)の前後方向外側部分に、第1流体流通部(22)に通じる第1ヘッダ部(25)および第2流体流通部(23)に通じる第2ヘッダ部(26)を有するヘッダ部材(24)がろう付されたものである。
【0034】
図6〜図8に示すように、基板(21)は、互いに積層状に接合された2枚のアルミニウム板(27)(金属板)からなり、基板(21)を構成する2枚のアルミニウム板(27)のうち少なくともいずれか一方、ここでは両方のアルミニウム板(27)を外方に膨出させることにより、両アルミニウム板(27)間に両流体流通部(22)(23)が形成されている。基板(21)の第1流体流通部(22)は、上下方向にのびるとともに左右方向に間隔をおいて設けられた複数の直線部(28)と、すべての直線部(28)の上下両端が通じる上下両連通部(29)とよりなる。基板(21)の第2流体流通部(23)は、第1流体流通部(22)の隣り合う直線部(28)間に間隔をおいて設けられ、かつ上下方向にのびる複数の直線部(31)からなる。基板(21)は、2枚のアルミニウム板(27)の合せ面のうちの少なくともいずれか一方の面に圧着防止剤を所要パターンに印刷し、この状態で2枚のアルミニウム板(27)を圧着して非圧着部を有する合せ板をつくり、合せ板の非圧着部に流体圧を導入することによって両流体流通部(22)(23)を一挙に形成する、いわゆるロールボンド法によって製造される。また、基板(21)は、プレス加工が施されて両流体流通部(22)(23)を形成するための外方膨出部が設けられたアルミニウム板(27)どうしを、ろう付などの適当な方法で接合することによって製造される。
【0035】
図9〜図11に示すように、熱交換器(20)における前後方向に隣り合う2つの基板(21)は、第1流体流通部(22)の上下両連通部(29)のうちの少なくともいずれか一方の連通部(29)が通じるとともに、第2流体流通部(23)の各直線部(31)の上下両端部のうち少なくともいずれか一方で通じるようにろう付されている。隣り合う2つの基板(21)は、第1流体流通部(22)の直線部(28)の外面どうしがろう付されるとともに、一方の基板(21)の連通部(29)に形成された貫通穴(33)の周囲に設けられた凸部(32)が他方の基板(21)の連通部(29)に形成された貫通穴(34)に挿入された状態でろう付され、さらに第2流体流通部(23)の直線部(31)の外面どうしがろう付されるとともに、一方の基板(21)の直線部(31)に形成された貫通穴(36)の周囲に設けられた凸部(35)が他方の基板(21)の直線部(31)に形成された貫通穴(37)に挿入された状態でろう付されている。
【0036】
熱交換器(20)において、一方、ここでは前側ヘッダ部材(24)の第1ヘッダ部(25)内に流入した冷媒が、全ての基板(21)の第1流体流通部(22)を流れて後側ヘッダ部材(24)の第1ヘッダ部(25)から流出し、後側ヘッダ部材(24)の第2ヘッダ部(26)内に流入した水が、全ての基板(21)の第2流体流通部(23)を流れて前側ヘッダ部材(24)の第2ヘッダ部(26)から流出するようになっている。たとえば、熱交換器(20)に、隣接する複数の基板(21)に設けられた第1流体流通部(22)の直線部(28)からなり、かつ冷媒が同方向に流れる複数のパスが設けられており、隣り合うパスでの冷媒の流れ方向が逆向きで、各パスを構成する直線部(28)を有する基板(21)の数が、流れ方向上流側から下流側に向かって順次減少するように、隣り合う2つの基板(21)が、第1流体流通部(22)の上下両連通部(29)のうちの少なくともいずれか一方の連通部(29)において通じていることが好ましい。また、熱交換器(20)の隣り合う2つの基板(21)において、第2流体流通部(23)の直線部(31)における水の流れ方向が異なるように、隣り合う2つの基板(21)が、第2流体流通部(23)の直線部(231の上下両端のうちのいずれか一方において通じていることが好ましい。
【0037】
両ヘッダ部材(24)は、互いに積層状に接合された2枚のアルミニウム板(38)(金属板)からなり、ヘッダ部材(24)を構成する2枚のアルミニウム板(38)のうち少なくともいずれか一方、ここでは両方のアルミニウム板(31)を外方に膨出させることにより、両アルミニウム板(31)間に両ヘッダ部(25)(26)が形成されている。前側ヘッダ部材(24)の第1ヘッダ部(25)に冷媒流入管(41)が接続されるとともに第2ヘッダ部(26)に水流出管(42)が接続され、後側ヘッダ部材(24)の第1ヘッダ部(25)に冷媒流出管(43)が接続されるとともに第2ヘッダ部(26)に水流入管(44)が接続されている。
【0038】
上述した熱交換器(20)は、ハイブリッド自動車や、電気自動車などの比較的廃熱の少ない車両において、車室内を暖房するための熱を得るために用いられる。すなわち、冷房用冷凍サイクルの圧縮機により圧縮されて高温高圧となった冷房用冷凍サイクルの冷媒が、冷媒流入管(41)を通って前側ヘッダ部材(24)の第1ヘッダ部(25)内に流入し、全ての基板(21)の第1流体流通部(22)を通って後側ヘッダ部材(24)の第1ヘッダ部(25)内に流入し、冷媒流出管(42)から流出する。一方、上述した車両の電力変換装置のIGBTなどのパワーデバイスを冷却するのに用いられて加熱された水が、水流入管(43)を通って後側ヘッダ部材(24)の第2ヘッダ部(26)内に流入し、全ての基板(21)の第2流体流通部(23)を流れて前側ヘッダ部材(24)の第2ヘッダ部(26)内に流入し、水流出管(44)から流出する。そして、水が基板(21)の第2流体流通部(23)内を流れる間に、第1流体流通部(22)内を流れる冷媒の有する熱により加熱される。
【0039】
なお、基板(21)の第1流体流通部(22)に水が流れ、第2流体流通部(23)に冷媒が流れるようになっていてもよい。
【0040】
実施形態3
この実施形態は図12および図13に示すものである。
【0041】
図12は実施形態3の熱交換器の全体構成を示し、図13はその要部の構成を示す。
【0042】
図12において、熱交換器(50)は、長手方向が同一方向を向くように互いに間隔をおいて並列状に配置された複数のアルミニウム製丸管(51)(金属製丸管)と、幅方向を丸管(51)の長手方向を向けるとともに、丸管(51)の長さ方向に間隔をおいて並列状に配置された複数のアルミニウム製扁平管(52)(金属製扁平管)とを備えており、丸管(51)の外周面の一部と扁平管(52)の外周面の一部とが接触させられ、全丸管(51)どうしおよび全扁平管(52)どうしがそれぞれ連通させられたものである。
【0043】
全ての丸管(51)の両端部は、それぞれ長手方向を丸管(51)の長手方向と直交する方向に向けて配置されたアルミニウム製ヘッダタンク(53)(54)に接続されている。全ての扁平管(52)の両端部は、それぞれ長手方向を丸管(51)の長手方向に向けて配置されたアルミニウム製ヘッダタンク(55)(56)に接続されている。
【0044】
図13に示すように、扁平管(52)は波状であり、波頂部(57)および波底部(58)のうちのいずれか一方、ここでは波頂部(57)の屈曲内側部分が、丸管(51)の外周面の上側部分のみに接触しており、この状態で扁平管(52)が丸管(51)にろう付されている。図示は省略したが、扁平管(52)には幅方向に並んだ複数の流路が設けられている。
【0045】
丸管(51)が接続された一方のヘッダタンク(53)の一端に水流入口(59)が設けられるとともに、他方のヘッダタンク(54)の他端に水流出口(61)が設けられている。また、扁平管(52)が接続された両ヘッダタンク(55)(56)のうちの水流入口(59)側に位置するヘッダタンク(55)の水流出口(61)が設けられたヘッダタンク(54)側の端部に冷媒流入口(62)が設けられるとともに、他方のヘッダタンク(56)における水流入口(59)が設けられたヘッダタンク(53)側の端部に冷媒流出口(63)が設けられている。
【0046】
上述した熱交換器(50)は、ハイブリッド自動車や、電気自動車などの比較的廃熱の少ない車両において、車室内を暖房するための熱を得るために用いられる。すなわち、冷房用冷凍サイクルの圧縮機により圧縮されて高温高圧となった冷房用冷凍サイクルの冷媒が、冷媒流入口(62)を通って一方のヘッダタンク(55)内に流入し、分流して全ての扁平管(52)を通って他方のヘッダタンク(56)内に流入し、冷媒流出口(63)から流出する。一方、上述した車両の電力変換装置のIGBTなどのパワーデバイスを冷却するのに用いられて加熱された水は、水流入口(59)を通って一方のヘッダタンク(53)内に流入し、分流して全ての丸管(51)を通って他方のヘッダタンク(54)内に流入し、水流出口(61)から流出する。そして、水が丸管(51)内を流れる間に、扁平管(52)内を流れる冷媒の有する熱により加熱される。
【0047】
実施形態4
この実施形態は図14に示すものである。
【0048】
図14は実施形態4の熱交換器の全体構成を示す。
【0049】
図14に示す熱交換器(65)の場合、丸管(51)が接続された一方のヘッダタンク(54)の一端に水流入口(59)が設けられるとともに、他方のヘッダタンク(53)における水流入口(59)と同一端に水流出口(61)が設けられている。また、扁平管(52)が接続された2つのヘッダタンク(55)(56)のうち水流入口(59)および水流出口(61)とは反対側に位置するヘッダタンク(55)内が、仕切部材(66)により長手方向に2つのヘッダ部(67)(68)に区画されており、ヘッダタンク(55)における水流出口(61)が設けられたヘッダタンク(53)側の端部に、一方のヘッダ部(67)内に通じるように冷媒流入口(62)が設けられ、同じく他端部に、他方のヘッダ部(68)内に通じるように冷媒流出口(63)が設けられている。
【0050】
その他の構成は実施形態3の熱交換器(60)と同様であり、同一部分には同一符号を付す。
【0051】
上述した熱交換器(65)は、ハイブリッド自動車や、電気自動車などの比較的廃熱の少ない車両において、車室内を暖房するための熱を得るために用いられる。すなわち、冷房用冷凍サイクルの圧縮機により圧縮されて高温高圧となった冷房用冷凍サイクルの冷媒が、冷媒流入口(62)を通ってヘッダタンク(55)の一方のヘッダ部(67)内に流入し、ヘッダ部(67)に通じる全ての扁平管(52)を通って他方のヘッダタンク(56)側に流れ、さらに他方のヘッダ部(68)に通じる全ての扁平管(52)を通ってヘッダタンク(55)の他方のヘッダ部(68)内に流入し、冷媒流出口(63)から流出する。一方、上述した車両の電力変換装置のIGBTなどのパワーデバイスを冷却するのに用いられて加熱された水は、水流入口(59)を通って一方のヘッダタンク(54)内に流入し、分流して全ての丸管(51)を通って他方のヘッダタンク(53)内に流入し、水流出口(61)から流出する。そして、水が丸管(51)内を流れる間に、扁平管(52)内を流れる冷媒の有する熱により加熱される。
【0052】
実施形態5
この実施形態は図15および図16に示すものである。
【0053】
図15は実施形態5の熱交換器の全体構成を示し、図16はその要部の構成を示す。
【0054】
図15および図16に示す熱交換器(70)の場合、扁平管(71)は波状であり、波頂部(72)の屈曲内側部分が丸管(51)の外周面の上側部分(一方の片側部分)に接触するとともに、波底部(73)の屈曲内側部分が丸管(51)の外周面の下側部分(他方の片側部分)に接触した状態で、扁平管(71)が丸管(51)にろう付されている。
【0055】
その他の構成は実施形態3の熱交換器(70)と同様であり、同一部分には同一符号を付す。
【0056】
上述した熱交換器(70)は、ハイブリッド自動車や、電気自動車などの比較的廃熱の少ない車両において、車室内を暖房するための熱を得るために用いられる。すなわち、冷房用冷凍サイクルの圧縮機により圧縮されて高温高圧となった冷房用冷凍サイクルの冷媒が、冷媒流入口(62)を通って一方のヘッダタンク(55)内に流入し、分流して全ての扁平管(71)を通って他方のヘッダタンク(56)内に流入し、冷媒流出口(63)から流出する。一方、上述した車両の電力変換装置のIGBTなどのパワーデバイスを冷却するのに用いられて加熱された水は、水流入口(59)を通って一方のヘッダタンク(53)内に流入し、分流して全ての丸管(51)を通って他方のヘッダタンク(54)内に流入し、水流出口(61)から流出する。そして、水が丸管(51)内を流れる間に、扁平管(71)内を流れる冷媒の有する熱により加熱される。
【0057】
上述した実施形態3〜5において、丸管(51)内を冷媒が流れ、扁平管(52)(71)内を水が流れるようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
この発明による熱交換器は、水と高温高圧の冷媒とを熱交換するものであり、比較的廃熱の少ないハイブリッド自動車や電気自動車に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0059】
(1):熱交換器
(2):基板
(3):流体流通部
(4):アルミニウム管(金属板)
(5):アルミニウム板(金属板)
(6):直線部
(7):屈曲部
(20):熱交換器
(21):基板
(22)(23):流体流通部
(27):アルミニウム板(金属板)
(50)(65)(70):熱交換器
(51):丸管
(52)(71):扁平管
(57)(72):波頂部
(58)(73):波底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流通部を有する基板と、基板に巻き付けられかつ基板の流体流通部を流れる流体とは異なる種類の流体が流れる金属管とを備えており、基板が、互いに積層状に接合された2枚の金属板からなるとともに、流体流通部が、基板を構成する2枚の金属板のうち少なくともいずれか一方の金属板を外方に膨出させることにより両金属板間に形成され、流体流通部が、並列状に配置された複数の直線部および隣り合う直線部どうしを長手方向の両端部において交互に連結する屈曲部からなる蛇行状であり、金属管の一部分が基板の流体流通部における隣り合う直線部間に位置するように、金属管が基板に巻き付けられている熱交換器。
【請求項2】
流体流通部が、基板を構成する2枚の金属板のうちいずれか一方の金属板のみを外方に膨出させることにより両金属板間に形成されている請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
互いに積層状に接合された2枚の金属板からなり、かつ両金属板間に異なる種類の流体が流れる2つの流体流通部が独立して設けられている基板を備えており、流体流通部が、基板を構成する2枚の金属板のうち少なくともいずれか一方の金属板を外方に膨出させることにより両金属板間に形成され、複数の基板が、各基板の一方の流体流通部どうしおよび他方の流体流通部どうしが連通するように配置されている熱交換器。
【請求項4】
長手方向が同一方向を向くように互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の金属製丸管と、幅方向を丸管の長手方向を向けるとともに、丸管の長さ方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の金属製扁平管とを備えており、丸管の外周面の一部と扁平管の外周面の一部とが接触させられ、全丸管どうしおよび全扁平管どうしがそれぞれ連通させられている熱交換器。
【請求項5】
扁平管が波状であり、波頂部または波底部の屈曲内側部分が丸管の外周面の片側部分のみに接触している請求項4記載の熱交換器。
【請求項6】
扁平管が波状であり、波頂部の屈曲内側部分が丸管の外周面の一方の片側部分に接触するとともに波底部の屈曲内側部分が丸管の外周面の他方の片側部分に接触している請求項4記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−104591(P2013−104591A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247464(P2011−247464)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(512025676)株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー (25)
【Fターム(参考)】