説明

熱交換器

【課題】部品点数を削減しうるとともに、部品の組み付け作業が容易な熱交換器を提供する。
【解決手段】エバポレータ1のヘッダタンク2,3が、熱交換チューブ12側の第1部材17、熱交換チューブ12とは反対側の第2部材18、および第1部材17と第2部材18との間に配置され、かつ両ヘッダタンク2,3の風下側および風上側ヘッダ部5,6,7,8内をそれぞれ上下方向に2つの空間5a,5b,6a,6b,7b,7a,8b,8aに仕切る仕切部21,22を有する第3部材19を備えている。3つのヘッダ部6,7,8の上下両空間5a,5b,6a,6b,7b,7a内を、第3部材19の仕切部21,22に切り曲げ加工を施すことにより形成された仕切壁28,29,31,32,43,44,65,64,56,55によって複数の区画に分割する。仕切部21,22により仕切られた上下両空間5a,5b,6a,6b,7b,7aどうしを、仕切部21,22に切り曲げ加工を施すことにより形成された貫通穴を介して通じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンのエバポレータとして好適に使用される熱交換器に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、各図面の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
カーエアコンのエバポレータに使用される熱交換器として、上下方向に間隔をおいて配置された1対のヘッダタンク間に、長手方向を上下方向に向けるとともにヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ上下両端部が両ヘッダタンクに接続された複数の熱交換チューブからなるチューブ列が、通風方向に間隔をおいて2列設けられており、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた風下側ヘッダ部および風上側ヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部間にそれぞれ1列のチューブ列が配置されるとともに、熱交換チューブの両端部が風下側および風上側ヘッダ部に接続され、上側ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の一端部に冷媒入口が設けられるとともに、上側ヘッダタンクの風上側ヘッダ部における冷媒入口と同一端部に冷媒出口が設けられ、風下側チューブ列および風上側チューブ列に、それぞれ複数の熱交換チューブからなりかつ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、複数の熱交換チューブからなりかつ冷媒が下から上に流れる上昇流チューブ群とが交互に設けられ、冷媒入口から流入した冷媒が、すべてのチューブ群を通過して冷媒出口から流出するようになされている熱交換器が知られている(特許文献1および2参照)。
【0004】
特許文献1および2記載の熱交換器によれば、両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部内を、適当な位置において、両ヘッダタンクとは別個に形成された仕切板により両ヘッダ部の長さ方向に複数の区画に仕切ることによって、風下側チューブ列および風上側チューブ列に、それぞれ下降流チューブ群と上昇流チューブ群とを交互に設けるとともに、冷媒入口から流入した冷媒が、すべてのチューブ群を通過して冷媒出口から流出するようにしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1および2記載の熱交換器においては、両仕切板が両ヘッダタンクを構成する部材とは別個に形成されているので、部品点数が多くなるとともに、仕切板を適切な位置に配置する作業が面倒であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−305990号公報
【特許文献2】特許第3391339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、前記問題を解決し、部品点数を削減しうるとともに、部品の組み付け作業が容易な熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0009】
1)上下方向に間隔をおいて配置された1対のヘッダタンク間に、長手方向を上下方向に向けた状態でヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ上下両端部が両ヘッダタンクに接続された複数の熱交換チューブからなるチューブ列が、通風方向に間隔をおいて複数列設けられており、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた風下側ヘッダ部および風上側ヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部間にそれぞれ少なくとも1列のチューブ列が配置されるとともに、熱交換チューブの両端部が両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部に接続され、一方のヘッダタンクの風下側ヘッダ部の一端部に冷媒入口が設けられるとともに、同じく風上側ヘッダ部における冷媒入口と同一端部に冷媒出口が設けられ、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部に接続されたチューブ列および風上側ヘッダ部に接続されたチューブ列に、それぞれ複数の熱交換チューブからなりかつ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、複数の熱交換チューブからなりかつ冷媒が下から上に流れる上昇流チューブ群とが交互に設けられ、冷媒入口から流入した冷媒が、すべてのチューブ群の熱交換チューブを通過して冷媒出口から流出するようになされている熱交換器において、
各ヘッダタンクが、熱交換チューブが接続された第1部材、第1部材に接合されかつ第1部材における熱交換チューブとは反対側を覆う第2部材、ならびに第1部材と第2部材との間に配置され、かつ両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部内をそれぞれ上下方向に2つの空間に仕切る仕切部を有する第3部材を備えており、両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部に設けられた全ての上下両空間のうち少なくとも1つの空間内が、第3部材の仕切部に切り曲げ加工を施すことにより形成された仕切壁によってヘッダタンクの長さ方向に複数の区画に分割され、仕切壁が形成された仕切部により仕切られた上下両側の空間どうしが、仕切部に切り曲げ加工を施すことにより形成された貫通穴を介して通じさせられている熱交換器。
【0010】
2)冷媒入口および冷媒出口を有する前記一方のヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部の他端部、ならびに他方のヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部の両端部が、それぞれ第3部材の仕切部に切り曲げ加工を施すことにより形成された閉鎖壁によって閉鎖されている上記1)記載の熱交換器。
【0011】
3)両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部間にそれぞれ1列のチューブ列が配置され、風下側チューブ列に3以上のチューブ群が設けられ、風上側チューブ列に風下側チューブ列のチューブ群の数よりも1つ少ないチューブ群が設けられ、風下側チューブ列の冷媒入口から最も遠い位置にある最遠チューブ群、および風上側チューブ列の冷媒出口から最も遠い位置にある最遠チューブ群において冷媒が同方向に流れるようになされており、両最遠チューブ群の熱交換チューブの冷媒流れ方向上流側に位置する風下側および風上側ヘッダ部の上下両空間のうち上下方向内側空間に、最遠チューブ群の熱交換チューブが通じる上下方向内側最遠区画が設けられるとともに、同じく上下方向外側空間に、上下方向内側最遠区画に通じる上下方向外側最遠区画が設けられ、風下側および風上側ヘッダ部の上下方向外側最遠区画どうしが通じさせられている上記1)または2)記載の熱交換器。
【0012】
4)冷媒入口および冷媒出口が上ヘッダタンクに設けられ、風下側および風上側チューブ列の最遠チューブ群が下降流チューブ群であり、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の上下両空間が、それぞれ仕切壁によって風下側チューブ列のチューブ群と同数の区画に分割されるとともに、上下にならんだ区画どうしが、仕切部に切り曲げ加工を施すことにより形成された仕切部の貫通穴を介して通じさせられ、風下側チューブ列の各チューブ群の熱交換チューブの上端が上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の下空間の各区画に通じさせられ、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の上空間における最遠チューブ群の熱交換チューブが通じる上側最遠区画と、これに隣接する区画との間に形成された仕切壁に、両区画を通じさせる連通穴が形成されている上記3)記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0013】
前記1)〜4)の熱交換器によれば、各ヘッダタンクが、熱交換チューブが接続された第1部材、第1部材に接合されかつ第1部材における熱交換チューブとは反対側を覆う第2部材、ならびに第1部材と第2部材との間に配置され、かつ両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部内をそれぞれ上下方向に2つの空間に仕切る仕切部を有する第3部材を備えており、両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部に設けられた全ての上下両空間のうち少なくとも1つの空間内が、第3部材の仕切部に切り曲げ加工を施すことにより形成された仕切壁によってヘッダタンクの長さ方向に複数の区画に分割され、仕切壁が形成された仕切部により仕切られた上下両側の空間どうしが、仕切部に切り曲げ加工を施すことにより形成された貫通穴を介して通じさせられているので、ヘッダタンクを構成する第1〜第3部材以外の部品を用いることなく、風下側ヘッダ部に接続されたチューブ列および風上側ヘッダ部に接続されたチューブ列に、それぞれ複数の熱交換チューブからなりかつ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、複数の熱交換チューブからなりかつ冷媒が下から上に流れる上昇流チューブ群とを設けるとともに、冷媒入口から流入した冷媒を、すべてのチューブ群を通過して冷媒出口から流出させることが可能になる。したがって、特許文献1および2記載の熱交換器と比較して、部品点数が少なくなるとともに部品の組み付け作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の熱交換器を適用したエバポレータの全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】図1のエバポレータの構成を概略的に示すとともに冷媒の流れを示す斜視図である。
【図3】図1のエバポレータの構成を概略的に示す図1のA−A線断面に相当する図である。
【図4】図1の熱交換器の構成を概略的に示す図1のB−B線断面に相当する図である。
【図5】図1のエバポレータの上側ヘッダタンクを示す分解斜視図である。
【図6】図1のエバポレータの下側ヘッダタンクを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。以下に述べる実施形態は、この発明による熱交換器をカーエアコンを構成する冷凍サイクルのエバポレータに適用したものである。
【0016】
なお、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0017】
また、以下の説明において、隣接する熱交換チューブどうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1および図2に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとし、図1〜図4の左右を左右というものとする。
【0018】
図1はこの発明の熱交換器を適用したエバポレータの全体構成を示し、図2〜図4はその構成を概略的に示す。また、図5および図6は図1のエバポレータの要部の構成を示す。
【0019】
図1および図2において、エバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製上ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製下ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)の間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
【0020】
上ヘッダタンク(2)は、風下側(前側)に位置する風下側ヘッダ部(5)と、風上側(後側)に位置しかつ風下側ヘッダ部(5)に一体化された風上側ヘッダ部(6)とを備えている。ここでは、風下側ヘッダ部(5)と風上側ヘッダ部(6)とは、上ヘッダタンク(2)を垂直仕切部(2a)により前後に仕切ることによって設けられている。下ヘッダタンク(3)は、風下側(前側)に位置する風下側ヘッダ部(7)と、風上側(後側)に位置しかつ風下側ヘッダ部(7)に一体化された風上側ヘッダ部(8)とを備えている。ここでは、風下側ヘッダ部(7)と風上側ヘッダ部(8)とは、下ヘッダタンク(3)を垂直仕切部(3a)により前後に仕切ることによって設けられている。以下の説明において、上ヘッダタンク(2)の風下側ヘッダ部(5)を風下側上ヘッダ部、下ヘッダタンク(3)の風下側ヘッダ部(7)を風下側下ヘッダ部、上ヘッダタンク(2)の風上側ヘッダ部(6)を風上側上ヘッダ部、下ヘッダタンク(3)の風上側ヘッダ部(8)を風上側下ヘッダ部というものとする。風下側上ヘッダ部(5)の右端部に冷媒入口(9)が設けられ、風上側上ヘッダ部(6)の右端部に冷媒出口(11)が設けられている。
【0021】
熱交換コア部(4)は、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で左右方向に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム製扁平状熱交換チューブ(12)からなるチューブ列(13)(14)が、前後方向に並んで2列設けられ、各チューブ列(13)(14)の隣接する熱交換チューブ(12)どうしの間の通風間隙および左右両端の熱交換チューブ(12)の外側に、それぞれ前後両チューブ列(13)(14)の熱交換チューブ(12)に跨るようにアルミニウム製コルゲートフィン(15)が配置されて熱交換チューブ(12)にろう付され、左右両端のコルゲートフィン(15)の外側にそれぞれアルミニウム製サイドプレート(16)が配置されてコルゲートフィン(15)にろう付されることにより構成されている。風下側チューブ列(13)の熱交換チューブ(12)の上下両端部は、風下側上下両ヘッダ部(5)(7)内に突出するように挿入された状態で両ヘッダ部(5)(7)に連通状に接続され、風上側チューブ列(12)の熱交換チューブ(12)の上下両端部は、風上側上下両ヘッダ部(6)(8)内に突出するように挿入された状態で両ヘッダ部(6)(8)に連通状に接続されている。なお、風下側チューブ列(13)の熱交換チューブ(12)の数と風上側チューブ列(14)の熱交換チューブ(12)の数とは等しくなっている。
【0022】
図2〜図4に示すように、風下側チューブ列(13)には、左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブ(12)からなる3つのチューブ群(13A)(13B)(13C)が、右端から左端に向かって並んで設けられ、風上側チューブ列(14)には、左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブ(12)からなる2つ(風下側チューブ列(13)のチューブ群の数よりも1つ少ない数)のチューブ群(14A)(14B)が、左端から右端に向かって並んで設けられている。ここで、風下側チューブ列(13)の3つのチューブ群(13A)(13B)(13C)を冷媒入口(9)側端部(右端部)から他端部(左端部)に向かって第1〜第3チューブ群といい、風上側チューブ列(14)の2つのチューブ群(14A)(14B)を冷媒出口(11)とは反対側の端部(左端部)から冷媒出口(11)側端部(右端部)に向かって第4〜第5チューブ群というものとする。
【0023】
図5に詳細に示すように、上ヘッダタンク(2)は、風下側上ヘッダ部(5)および風上側上ヘッダ部(6)の下部を形成し、かつ両チューブ列(13)(14)の熱交換チューブ(12)が接続されたアルミニウム製第1部材(17)と、第1部材(17)にろう付されかつ第1部材(17)における熱交換チューブ(12)とは反対側(上側)を覆って風下側上ヘッダ部(5)および風上側上ヘッダ部(6)の上部を形成するアルミニウム製第2部材(18)と、第1部材(17)と第2部材(18)との間に配置され、かつ風下側上ヘッダ部(5)内および風上側上ヘッダ部(6)内をそれぞれ上下方向に2つの空間(5a)(5b)(6a)(6b)に仕切る前後両仕切部(21)(22)を有するアルミニウム製第3部材(19)と、冷媒入口(9)および冷媒出口(11)が設けられかつ第1〜第3部材(17)(18)(19)の右端部にろう付されたエンド部材(23)とを備えている。第1〜第3部材(17)(18)(19)およびエンド部材(23)は、たとえば両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートによって形成されている。なお、第3部材(19)はアルミニウムベア材から形成されていてもよい。
【0024】
第1部材(17)は、風下側上ヘッダ部(5)の前側壁の下部および下壁、風上側上ヘッダ部(6)の後側壁の下部および下壁、ならびに仕切部(2a)の下部を構成する。第1部材(17)における風下側および風上側上ヘッダ部(5)(6)の下壁を構成する部分(17a)に、それぞれ前後方向に長いチューブ挿入穴(24)が左右方向に間隔をおいて形成されており、チューブ挿入穴(24)に熱交換チューブ(12)の上端部が挿入されて熱交換チューブ(12)が第1部材(17)にろう付されている。
【0025】
第2部材(18)は、風下側上ヘッダ部(5)の前側壁の上部および上壁、風上側上ヘッダ部(6)の後側壁の上部および上壁、ならびに仕切部(2a)の上部を構成する。第2部材(18)の仕切部(2a)の上部を構成する部分(18a)における第3チューブ群(13C)が設けられている位置に、その下端から複数の切り欠き(25)が左右方向に間隔をおいて形成されている。
【0026】
第3部材(19)における風下側上ヘッダ部(5)内を上下方向に2つの空間(5a)(5b)に仕切る前側仕切部(21)と、同じく風上側上ヘッダ部(6)内を上下方向に2つの空間(6a)(6b)に仕切る後側仕切部(22)とは、第1部材(17)における仕切部(2a)の下部を構成する部分(17b)と、第2部材(18)における仕切部(2a)の上部を構成する部分(18a)との間に介在させられて両部分(17b)(18a)にろう付された連結部(19a)により一体に連結されている。そして、第2部材(18)の切り欠き(25)の下端が連結部(19a)により塞がれている。なお、前側仕切部(21)の前側縁部は第1部材(17)における風下側上ヘッダ部(5)の前側壁の下部を構成する部分と、第2部材(18)における風下側上ヘッダ部(5)の前側壁の上部を構成する部分との間に介在させられて両部分にろう付され、後側仕切部(22)の後側縁部は第1部材(17)における風上側上ヘッダ部(6)の後側壁の下部を構成する部分と、第2部材(18)における風上側上ヘッダ部(6)の後側壁の上部を構成する部分との間に介在させられて両部分にろう付されている。
【0027】
第3部材(19)の前側仕切部(21)における第1チューブ群(13A)と第2チューブ群(13B)との間の部分、および第2チューブ群(13B)と第3チューブ群(13C)との間の部分に、それぞれ前側仕切部(21)に切り曲げ加工を施すことによって、上下両空間(5a)(5b)内を上ヘッダタンク(2)の長さ方向に風下側チューブ列(13)のチューブ群(13A)(13B)(13C)と同数の区画(26A)(26B)(26C)および(27A)(27B)(27C)に分割する仕切壁(28)(29)および(31)(32)が、前側仕切部(21)と一体に形成されている。第1チューブ群(13A)と第2チューブ群(13B)との間および第2チューブ群(13B)と第3チューブ群(13C)との間に形成され、かつ上空間(5a)内を分割する仕切壁(28)および(31)と下空間(5b)内を分割する仕切壁(29)および(32)とは左右方向に若干ずれている。第3部材(19)の前側仕切部(21)における第3チューブ群(13C)よりも左側の部分に、前側仕切部(21)に切り曲げ加工を施すことによって、風下側上ヘッダ部(5)の上下両空間(5a)(5b)の左端部を閉鎖する閉鎖壁(33)(34)が、前側仕切部(21)と一体に形成されている。前側仕切部(21)の上下両閉鎖壁(33)(34)は左右方向に若干ずれている。したがって、風下側上ヘッダ部(5)の上下両空間(5a)(5b)内は、それぞれ仕切壁(28)(29)(31)(32)によって風下側チューブ列(13)のチューブ群(13A)(13B)(13C)と同数の区画(26A)(26B)(26C)および(27A)(27B)(27C)に分割されている。ここで、風下側上ヘッダ部(5)の上下両空間(5a)(5b)の3つの区画(26A)(26B)(26C)および(27A)(27B)(27C)を、冷媒入口(9)側端部(右端部)から他端部(左端部)に向かって第1〜第3区画というものとする。下空間(5b)の第1〜第3区画(27A)(27B)(27C)に、それぞれ第1〜第3チューブ群(13A)(13B)(13C)の熱交換チューブ(12)が通じている。さらに、上空間(5a)における冷媒入口(9)から最も遠い位置にある第3区画(26C)と、これに隣接する第2区画(26B)との間の仕切壁(31)に、両区画(26C)(26B)を通じさせる連通穴(39)が形成されている。
【0028】
第3部材(19)における仕切壁(28)(29)(31)(32)および閉鎖壁(33)(34)が形成された前側仕切部(21)により仕切られた風下側上ヘッダ部(5)の上下両空間(5a)(5b)どうしは、前側仕切部(21)に切り曲げ加工を施すことにより形成された貫通穴(35)を介して通じさせられている。前側仕切部(21)における第1チューブ群(13A)と第2チューブ群(13B)との間の仕切壁(28)(29)よりも右側の部分に、その右端から下側の仕切壁(29)を形成することによりできた貫通穴(35)の近傍に至る左右方向に長い切り欠き(36)が形成されており、切り欠き(36)によって上下両空間(5a)(5b)が相互に通じさせられるとともに、冷媒入口(9)が上下両空間(5a)(5b)に通じさせられている。第3部材(19)の前側仕切部(21)における右側の下の仕切壁(29)および左側の上の仕切壁(31)を形成することによりできた2つの貫通穴(35)間に、左右方向に長い長穴(37)が貫通状に形成されており、この長穴(37)により上下両空間(5a)(5b)が通じさせられている。さらに、第3部材(19)の前側仕切部(21)における左側の下の仕切壁(32)および上の閉鎖壁(33)を形成することによりできた2つの貫通穴(35)間に、前後方向に長い複数の長穴(38)が左右方向に間隔をおいて貫通状に形成されており、この長穴(38)により上下両空間(5a)(5b)が通じさせられている。したがって、風下側上ヘッダ部(5)の下空間(5b)(上下方向内側空間)に、冷媒入口(9)から最も遠い位置にある最遠チューブ群である第3チューブ群(13C)の熱交換チューブ(12)が通じる第3区画(27C)(上下方向内側最遠区画)が設けられるとともに、同じく上空間(5a)(上下方向外側空間)に、下空間(5b)の第3区画(27C)に通じる第3区画(26C)(上下方向外側最遠区画)が設けられ、両第3区画(27C)(26C)どうしが通じさせられている。
【0029】
第3部材(19)の後側仕切部(22)における第4チューブ群(14A)と第5チューブ群(14B)との間の部分に、後側仕切部(22)に切り曲げ加工を施すことによって、上下両空間(6a)(6b)内を上ヘッダタンク(2)の長さ方向に風上側チューブ列(14)のチューブ群(14A)(14B)と同数の区画(41A)(41B)および(42A)(42B)に分割する仕切壁(43)(44)が、後側仕切部(22)と一体に形成されている。上下両仕切壁(43)(44)は左右方向に若干ずれている。第3部材(19)の後側仕切部(22)における第4チューブ群(14A)よりも左側の部分に、後側仕切部(22)に切り曲げ加工を施すことによって、風上側上ヘッダ部(6)の上下両空間(6a)(6b)の左端部を閉鎖する閉鎖壁(45)(46)が、後側仕切部(22)と一体に形成されている。後側仕切部(22)の上下両閉鎖壁(45)(46)は左右方向に若干ずれている。したがって、風上側上ヘッダ部(6)の上下両空間(6a)(6b)内は、それぞれ仕切壁(43)(44)によって風上側チューブ列(14)のチューブ群(14A)(14B)と同数の区画(41A)(41B)および(42A)(42B)に分割されている。ここで、風上側上ヘッダ部(6)の上下両空間(6a)(6b)の2つの区画(41A)(41B)および(42A)(42B)を、冷媒出口(11)とは反対側の端部(左端部)から冷媒出口(11)側端部(右端部)に向かって第4〜第5区画というものとする。下空間(6b)の第1〜第2区画(42A)(42B)に、それぞれ第1〜第2チューブ群(14A)(14B)の熱交換チューブ(12)が通じている。
【0030】
第3部材(19)における仕切壁(43)(44)および閉鎖壁(45)(46)が形成された後側仕切部(22)により仕切られた風上側上ヘッダ部(6)の上下両空間(6a)(6b)どうしは、後側仕切部(22)に切り曲げ加工を施すことにより形成された貫通穴(47)を介して通じさせられている。後側仕切部(22)における仕切壁(43)(44)よりも右側の部分に、その右端から上側の仕切壁(43)を形成することによりできた貫通穴(47)の近傍に至る左右方向に長い切り欠き(48)が形成されており、切り欠き(48)によって上下両空間(6a)(6b)が相互に通じさせられるとともに、冷媒出口(11)が上下両空間(6a)(6b)に通じさせられている。第3部材(19)の後側仕切部(22)における下の仕切壁(44)および上の閉鎖壁(45)を形成することによりできた2つの貫通穴(47)間に、左右方向に長い長穴(49)が貫通状に形成されており、この長穴(49)により上下両空間(6a)(6b)が通じさせられている。
【0031】
風下側上ヘッダ部(5)の上空間(5a)における冷媒入口(9)から最も遠い位置にある第3区画(26C)(上下方向外側最遠区画)と、風上側上ヘッダ部(6)の上空間(6a)における冷媒出口(11)から最も遠い位置にある第4区画(41A)(上下方向内側最遠区画)とは、第2部材(18)における仕切部(2a)の上部を構成する部分(18a)に形成され、かつ第3部材(19)の連結部(19a)により塞がれた切り欠き(25)を介して通じさせられている。
【0032】
なお、風下側上ヘッダ部(5)における第1区画(26A)(27A)と第2区画(26B)(27B)の左右方向の合計長さは、風上側上ヘッダ部(6)における第5区画(41B)(42B)の左右方向の長さと等しく、風下側上ヘッダ部(5)の第3区画(26C)(27C)の左右方向の長さは、風上側上ヘッダ部(6)の第4区画(41A)(41B)の左右方向の長さと等しくなっている。
【0033】
図6に詳細に示すように、下ヘッダタンク(3)は上ヘッダタンク(2)とほぼ同様な構成であり、上ヘッダタンク(2)とは上下逆向きに配置されている。そして、第1部材(17)が風下側下ヘッダ部(7)および風上側下ヘッダ部(8)の上部を形成し、第2部材(18)が第1部材(17)における熱交換チューブ(12)とは反対側(下側)を覆って風下側下ヘッダ部(7)および風上側下ヘッダ部(8)の下部を形成する。また、第3部材(19)の前側仕切部(21)が風下側下ヘッダ部(7)内を上下方向に2つの空間(7b)(7a)に仕切り、後側仕切部(22)が風上側下ヘッダ部(8)内を上下方向に2つの空間(8b)(8a)に仕切る。下ヘッダタンク(3)の第1部材(17)および第2部材(18)は上ヘッダタンク(2)の第1部材(17)および第2部材(18)と同一の構成である。なお、下ヘッダタンク(3)には冷媒入口(9)および冷媒出口(11)は設けられておらず、したがってエンド部材も備えていない。
【0034】
第3部材(19)の前側仕切部(21)における第2チューブ群(13B)と第3チューブ群(13C)との間の部分に、前側仕切部(21)に切り曲げ加工を施すことによって、上下両空間(7b)(7a)内を下ヘッダタンク(3)の長さ方向に風下側チューブ列(13)のチューブ群(13A)(13B)(13C)の数よりも1つ少ない区画(52A)(52B)および(51A)(51B)に分割する仕切壁(56)(55)が、前側仕切部(21)と一体に形成されている。上下の仕切壁(56)(55)は左右方向に若干ずれている。第3部材(19)の前側仕切部(21)における第1チューブ群(13A)よりも右側の部分に、前側仕切部(21)に切り曲げ加工を施すことによって、風下側下ヘッダ部(7)の上下両空間(7b)(7a)の右端部を閉鎖する閉鎖壁(58)(57)が、前側仕切部(21)と一体に形成されている。また、前側仕切部(21)における第3チューブ群(13C)よりも左側の部分に、前側仕切部(21)に切り曲げ加工を施すことによって、風下側下ヘッダ部(7)の上下両空間(7b)(7a)の左端部を閉鎖する閉鎖壁(61)(59)が、前側仕切部(21)と一体に形成されている。前側仕切部(21)の上下両閉鎖壁(58)(57)および(61)(59)は左右方向に若干ずれている。したがって、風下側下ヘッダ部(7)の上下両空間(7b)(7a)内は、それぞれ仕切壁(56)(55)によって風下側チューブ列(13)のチューブ群(13A)(13B)(13C)よりも1つ少ない数の区画(52A)(52B)および(51A)(51B)に分割されている。ここで、風下側下ヘッダ部(7)の上下両空間(7b)(7a)の2つの区画(52A)(52B)および(51A)(51B)を、冷媒入口(9)側端部(右端部)から他端部(左端部)に向かって第1〜第2区画というものとする。上空間(7b)の第1区画(52A)に第1〜第2チューブ群(13A)(13B)の熱交換チューブ(12)が通じるとともに、第2区画(52B)に第3チューブ群(13C)の熱交換チューブ(12)が通じている。また、第3部材(19)の前側仕切部(21)における第2チューブ群(13B)の左右方向の範囲内の部分に、前側仕切部(21)に切り曲げ加工を施すことによって、上下両空間(7b)(7a)の第1区画(52A)(51A)内を下ヘッダタンク(3)の長さ方向に分割しかつ第2チューブ群(13B)への冷媒の分流を制御する分流制御壁(54)(53)が、前側仕切部(21)と一体に形成されている。上下の分流制御壁(54)(53)は左右方向に若干ずれている。分流制御壁(54)(53)には、連通穴(65)(64)が形成されている。
【0035】
第3部材(19)における仕切壁(56)(55)、分流制御壁(54)(53)および閉鎖壁(58)(57)(61)(59)が形成された前側仕切部(21)により仕切られた風下側下ヘッダ部(7)の上下両空間(7b)(7a)どうしは、前側仕切部(21)に切り曲げ加工を施すことにより形成された貫通穴(62)を介して通じさせられている。前側仕切部(21)における上の分流制御壁(54)および下の仕切壁(55)を形成することによりできた2つの貫通穴(62)間、下の分流制御壁(53)および右側の下の閉鎖壁(57)を形成することによりできた2つの貫通穴(62)間、ならびに上の仕切壁(56)および左側の下の閉鎖壁(59)を形成することによりできた2つの貫通穴(62)間に、それぞれ左右方向に長い長穴(63)が貫通状に形成されており、この長穴(63)により上下両空間(7b)(7a)が通じさせられている。
【0036】
第3部材(19)の後側仕切部(22)の左右両端部に、後側仕切部(22)に切り曲げ加工を施すことによって、風上側下ヘッダ部(8)の上下両空間(8b)(8a)の左右両端部を閉鎖する閉鎖壁(67)(66)および(69)(68)が、後側仕切部(22)と一体に形成されている。後側仕切部(22)の左右両端の閉鎖壁(67)(66)および(69)(68)はそれぞれ左右方向に若干ずれている。したがって、風上側下ヘッダ部(8)の上下両空間(8b)(8a)内の全体が、風上側チューブ列(14)のチューブ群(14A)(14B)よりも1つ少ない数の区画(74)(73)となっている。ここで、当該区画(74)(73)を第3区画というものとする。上空間(8b)の第3区画(74)に、第4〜第5チューブ群(14A)(14B)のすべての熱交換チューブ(12)が通じている。また、第3部材(19)の後側仕切部(22)における第5チューブ群(14B)の左右方向の範囲内の部分に、後側仕切部(22)に切り曲げ加工を施すことによって、上下両空間(8b)(8a)の第3区画(74)(73)内を下ヘッダタンク(3)の長さ方向に分割しかつ第5チューブ群(14B)への冷媒の分流を制御する分流制御壁(87)(86)が、後側仕切部(22)と一体に形成されている。上下の分流制御壁(87)(86)は、前側仕切部(21)の仕切壁(56)(55)と分流制御壁(54)(53)との間に位置している。上下の分流制御壁(87)(86)は左右方向に若干ずれている。下側の分流制御壁(86)には、連通穴(88)が形成されている。
【0037】
第3部材(19)における閉鎖壁(67)(66)(69)(68)および分流制御壁(87)(86)が形成された後側仕切部(22)により仕切られた風上側下ヘッダ部(8)の上下両空間(8b)(8a)どうしは、後側仕切部(22)に切り曲げ加工を施すことにより形成された貫通穴(71)を介して通じさせられている。後側仕切部(22)における左端の下の閉鎖壁(66)および上側の分流制御壁(87)を形成することによりできた2つの貫通穴(71)間、ならびに右端の下の閉鎖壁(68)および下側の分流制御壁(86)を形成することによりできた2つの貫通穴(71)間に、それぞれ左右方向に長い長穴(72)が貫通状に形成されており、この長穴(72)により上下両空間(8b)(8a)が通じさせられている。
【0038】
風下側下ヘッダ部(7)の下空間(7a)の第2区画(51B)と、風上側下ヘッダ部(8)の下空間(8a)の第3区画(73)は、第2部材(18)における仕切部(3a)の下部を構成する部分(18a)に形成され、かつ第3部材(19)の連結部(19a)により塞がれた切り欠き(25)を介して通じさせられている。
【0039】
なお、風下側下ヘッダ部(7)における第1〜第2区画(52A)(52B)(51A)(51B)の左右方向の合計長さは、風上側下ヘッダ部(8)の第4区画(74)(73)の左右方向の長さと等しくなっている。
【0040】
上述のようにして冷媒入口(9)、冷媒出口(11)、切り欠き(25)、区画(26A)(26B)(26C)(27A)(27B)(27C)、仕切壁(28)(29)(31)(32)、貫通穴(35)、切り欠き(36)、長穴(37)(38)、連通穴(39)、区画(41A)(41B)(42A)(42B)、仕切壁(43)(44)、貫通穴(47)、切り欠き(48)、長穴(49)、区画(51A)(51B)(52A)(52B)、分流制御壁(53)(54)、仕切壁(55)(56)、貫通穴(62)、長穴(63)、連通穴(64)(65)、分流制御壁(86)(87)、連通穴(88)、貫通穴(71)、長穴(72)および区画(73)(74)が設けられることによって、冷媒は、第1チューブ群(13A)、冷媒入口(9)から最も遠い位置にある第3チューブ群(13C)(風下側チューブ列(13)の最遠チューブ群)および冷媒出口(11)から最も遠い位置にある第4チューブ群(14A)(風上側チューブ列(14)の最遠チューブ群)の熱交換チューブ(12)内を上から下に流れることになり、これらのチューブ群(13A)(13C)(14A)が下降流チューブ群となっている。また、冷媒は、第2チューブ群(13B)および第5チューブ群(14B)の熱交換チューブ(12)内を下から上に流れることになり、これらのチューブ群(13B)(14B)が上昇流チューブ群となっている。風下側チューブ列(13)における冷媒入口(9)から最も遠い位置にある第3チューブ群(13C)(最遠チューブ群)、および風上側チューブ列(14)における冷媒出口(11)から最も遠い位置にある第4チューブ群(14A)(最遠チューブ群)の熱交換チューブ(12)における冷媒の流れ方向は同一方向である。
【0041】
したがって、冷媒入口(9)から流入した冷媒は、次のように2つの経路を流れて冷媒出口(11)から流出するようになされている。第1の経路は、第1区画(26A)(27A)、第1チューブ群(13A)、第1区画(52A)(51A)、第2チューブ群(13B)、第2区画(27B)(26B)、第3区画(26C)(27C)、第4区画(41A)(42A)、第4チューブ群(14A)、第3区画(74)(73)、第5チューブ群(14B)および第5区画(42B)(41B)であり、第2の経路は、第1区画(26A)(27A)、第1チューブ群(13A)、第1区画(52A)(51A)、第2チューブ群(13B)、第2区画(27B)(26B)、第3区画(26C)(27C)、第3チューブ群(13C)、第2区画(52B)(51B)、第3区画(73)(74)、第5チューブ群(14B)および第5区画(42B)(41B)である。上記第1の経路において、冷媒は、風下側上ヘッダ部(5)の上空間(5a)の第3区画(26C)から切り欠き(25)を通って風上側上ヘッダ部(6)の上空間(6a)の第4区画(41A)内に流入する。また、上記第2の経路において、冷媒は、風下側下ヘッダ部(7)の下空間(7a)の第2区画(51B)から切り欠き(25)を通って風上側下ヘッダ部(8)の下空間(8a)の第3区画(73)内に流入する。
【0042】
上述したエバポレータ(1)は、圧縮機、冷媒冷却器としてのコンデンサおよび減圧器としての膨張弁とともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。カーエアコンの稼働時には、圧縮機、コンデンサおよび膨張弁を通過した冷媒が、上述した2つの経路を通って、冷媒入口(9)から流入するとともに冷媒出口(11)から流出し、冷媒が風下側チューブ列(13)の熱交換チューブ(12)内、および風上側チューブ列(14)の熱交換チューブ(12)内を流れる間に、熱交換コア部(4)の通風間隙を通過する空気(図1および図2矢印X参照)と熱交換をし、空気は冷却され、冷媒は気相となって流出する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明による熱交換器は、カーエアコンを構成する冷凍サイクルのエバポレータに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0044】
(1):エバポレータ(熱交換器)
(2):上ヘッダタンク
(2a):仕切部
(3):下ヘッダタンク
(3a):仕切部
(5):上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部(風下側上ヘッダ部)
(5a):上空間
(5b):下空間
(6):上ヘッダタンクの風上側ヘッダ部(風上側上ヘッダ部)
(6a):上空間
(6b):下空間
(7):下ヘッダタンクの風下側ヘッダ部(風下側下ヘッダ部)
(7b):上空間
(7a):下空間
(8):下ヘッダタンクの風上側ヘッダ部(風上側下ヘッダ部)
(8b):上空間
(8a):下空間
(9):冷媒入口
(11):冷媒出口
(12):熱交換チューブ
(13):風下側チューブ列
(13A)(13B)(13C):第1〜第3チューブ群(13C)
(14):風上側チューブ列
(14A)(14B):第4〜第5チューブ群
(17):第1部材
(18):第2部材
(19):第3部材
(21):前側仕切部
(22):後側仕切部
(26A)(26B)(26C)(27A)(27B)(27C):風下側上ヘッダ部の第1〜第3区画
(28)(29)(31)(32)(43)(44)(55)(56):仕切壁
(33)(34)(45)(46)(57)(58)(59)(61)(66)(67):閉鎖壁
(35)(47)(63)(72):貫通穴
(39):連通穴
(41A)(41B)(42A)(42B):風上側上ヘッダ部の第1〜第2区画
(51A)(51B)(52A)(52B):風下側下ヘッダ部の第1〜第2区画
(73)(74):風上側下ヘッダ部の第3区画

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に間隔をおいて配置された1対のヘッダタンク間に、長手方向を上下方向に向けた状態でヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ上下両端部が両ヘッダタンクに接続された複数の熱交換チューブからなるチューブ列が、通風方向に間隔をおいて複数列設けられており、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた風下側ヘッダ部および風上側ヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部間にそれぞれ少なくとも1列のチューブ列が配置されるとともに、熱交換チューブの両端部が両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部に接続され、一方のヘッダタンクの風下側ヘッダ部の一端部に冷媒入口が設けられるとともに、同じく風上側ヘッダ部における冷媒入口と同一端部に冷媒出口が設けられ、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部に接続されたチューブ列および風上側ヘッダ部に接続されたチューブ列に、それぞれ複数の熱交換チューブからなりかつ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、複数の熱交換チューブからなりかつ冷媒が下から上に流れる上昇流チューブ群とが交互に設けられ、冷媒入口から流入した冷媒が、すべてのチューブ群の熱交換チューブを通過して冷媒出口から流出するようになされている熱交換器において、
各ヘッダタンクが、熱交換チューブが接続された第1部材、第1部材に接合されかつ第1部材における熱交換チューブとは反対側を覆う第2部材、ならびに第1部材と第2部材との間に配置され、かつ両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部内をそれぞれ上下方向に2つの空間に仕切る仕切部を有する第3部材を備えており、両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部に設けられた全ての上下両空間のうち少なくとも1つの空間内が、第3部材の仕切部に切り曲げ加工を施すことにより形成された仕切壁によってヘッダタンクの長さ方向に複数の区画に分割され、仕切壁が形成された仕切部により仕切られた上下両側の空間どうしが、仕切部に切り曲げ加工を施すことにより形成された貫通穴を介して通じさせられている熱交換器。
【請求項2】
冷媒入口および冷媒出口を有する前記一方のヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部の他端部、ならびに他方のヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部の両端部が、それぞれ第3部材の仕切部に切り曲げ加工を施すことにより形成された閉鎖壁によって閉鎖されている請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
両ヘッダタンクの風下側および風上側ヘッダ部間にそれぞれ1列のチューブ列が配置され、風下側チューブ列に3以上のチューブ群が設けられ、風上側チューブ列に風下側チューブ列のチューブ群の数よりも1つ少ないチューブ群が設けられ、風下側チューブ列の冷媒入口から最も遠い位置にある最遠チューブ群、および風上側チューブ列の冷媒出口から最も遠い位置にある最遠チューブ群において冷媒が同方向に流れるようになされており、両最遠チューブ群の熱交換チューブの冷媒流れ方向上流側に位置する風下側および風上側ヘッダ部の上下両空間のうち上下方向内側空間に、最遠チューブ群の熱交換チューブが通じる上下方向内側最遠区画が設けられるとともに、同じく上下方向外側空間に、上下方向内側最遠区画に通じる上下方向外側最遠区画が設けられ、風下側および風上側ヘッダ部の上下方向外側最遠区画どうしが通じさせられている請求項1または2記載の熱交換器。
【請求項4】
冷媒入口および冷媒出口が上ヘッダタンクに設けられ、風下側および風上側チューブ列の最遠チューブ群が下降流チューブ群であり、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の上下両空間が、それぞれ仕切壁によって風下側チューブ列のチューブ群と同数の区画に分割されるとともに、上下にならんだ区画どうしが、仕切部に切り曲げ加工を施すことにより形成された仕切部の貫通穴を介して通じさせられ、風下側チューブ列の各チューブ群の熱交換チューブの上端が上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の下空間の各区画に通じさせられ、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の上空間における最遠チューブ群の熱交換チューブが通じる上側最遠区画と、これに隣接する区画との間に形成された仕切壁に、両区画を通じさせる連通穴が形成されている請求項3記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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