説明

熱伝導性樹脂組成物およびそれからなる成形体

【課題】柔軟性や耐衝撃性などに優れ、また、耐熱性、耐湿熱性に優れた熱伝導性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】共重合ポリエステル樹脂(A)と熱伝導性充填材(B)とを含有し、(A)と(B)との容量比(A/B)が、30/70〜90/10である樹脂組成物であり、(A)が、酸成分として、芳香族ジカルボン酸とダイマー酸とを含有し、グリコール成分として、1,4-ブタンジオールとポリブタジエングリコール類とを含有し、酸成分中のダイマー酸の含有量が10〜50モル%であり、グリコール成分中の1,4-ブタンジオールの含有量が80モル%以上であり、グリコール成分中のポリブタジエングリコール類の含有量が1〜20モル%であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性に優れた樹脂組成物に関するものであり、柔軟性や耐衝撃性に優れ、さらには、溶融成形時の加工性に優れた熱伝導性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の電子機器においては、高性能化、小型化および軽量化に伴い、各種の電子部品で発生する熱を効果的に外部へ放散させる熱対策が非常に重要な課題になっており、その構成材料である樹脂成形材料の放熱性改良を求める声が大きくなってきている。
【0003】
従来、樹脂成形材料の放熱性を改良する手段としては、熱伝導率の高い充填材料、すなわち、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、黒鉛等の熱伝導性充填材を配合する方法が知られている。
例えば、特許文献1には熱可塑性樹脂に黒鉛粉末を配合した熱伝導性樹脂成形品が、また特許文献2にはポリフェニレンスルフィド樹脂に酸化マグネシウムや酸化アルミニウムを配合した樹脂製放熱板が記載されている。しかしながら、高熱伝導性樹脂組成物を得るためには、熱伝導性充填材を多量に添加する必要が有り、そのために樹脂組成物の成形加工性が著しく低下してしまい、用途が限られてしまうという問題があった。
【0004】
このような充填材が多量に添加された樹脂組成物の加工性を改善する方法として、可塑剤を樹脂組成物に添加する方法が知られている。しかしながら、樹脂組成物に可塑剤を添加すると強度が著しく低下する上、可塑剤がブリードアウトするといった問題があった。
【0005】
一方、ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートを主成分とし、これに脂肪族ジカルボン酸または各種グリコールを共重合させた共重合ポリエステル樹脂は、優れた耐熱性、耐候性、耐溶剤性、柔軟性等を有しているため、フィルム、繊維、シート、接着剤、シーラントとして広く利用されている。
【0006】
充填材を大量に配合する樹脂組成物においては、ベースとなる樹脂の溶融流動性を高めるために、たとえば、共重合ポリエステル樹脂の分子量を下げることが考えられる。しかしながら、分子量を下げると樹脂が脆くなるという問題があり、このため、低温や常温での柔軟性、耐衝撃性に欠けるといった問題点を有していた。
【0007】
このような欠点を改善するために、ポリエステル樹脂にソフトセグメントを共重合する方法が考えられている。ポリエーテル化合物をソフトセグメントとするポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体は、樹脂のガラス転移点が低く、流動性が高く、分子量を低下させても樹脂に柔軟性がある。このため、電気・電子部品あるいは自動車部品などで利用される成形材料などの素材として広く利用されている。このようなポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体は、例えば特許文献3に開示されている。
【0008】
しかしながら、このポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体はハードセグメントのエステル結合により加水分解が起きやすく、さらにソフトセグメントであるポリエーテル化合物は高温にさらされたとき、酸化分解や熱分解などが起こりやすいなどの問題があり、この結果、共重合体自体の耐熱耐久性や耐湿耐久性などに問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−131033号公報
【特許文献2】特開2001−151905号公報
【特許文献3】特開平2−3429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決するものであって、充填材を大量に配合する熱伝導性樹脂組成物において、脆さを改良して常温での柔軟性や耐衝撃性などに優れ、また、耐熱性、耐湿熱性に優れた熱伝導性樹脂組成物を提供することを技術的な課題とするものであり、さらには、溶融時の流動性に優れ、低圧での射出成形が可能であり、薄肉や複雑な形状を有する部品にもモールディングが可能な熱伝導性樹脂組成物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決するために検討した結果、特定組成の共重合ポリエステル樹脂を含有する樹脂組成物を使用することにより、上記課題が解決できることを見出し本発明に到達した。すなわち、すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)共重合ポリエステル樹脂(A)と熱伝導性充填材(B)とを含有し、(A)と(B)との容量比(A/B)が、30/70〜90/10である樹脂組成物であり、(A)が、酸成分として、芳香族ジカルボン酸とダイマー酸とを含有し、グリコール成分として、1,4-ブタンジオールとポリブタジエングリコール類とを含有し、酸成分中のダイマー酸の含有量が10〜50モル%であり、グリコール成分中の1,4-ブタンジオールの含有量が80モル%以上であり、グリコール成分中のポリブタジエングリコール類の含有量が1〜20モル%であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
(2)熱伝導性充填材(B)が、鱗片状黒鉛、六方晶系結晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、タルクから選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)記載の熱伝導性樹脂組成物。
(3)上記(1)または(2)に記載の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる成形体。
(4)上記(1)または(2)に記載の熱伝導性樹脂組成物を含有する電気・電子部品用封止材。
(5)上記(4)記載の封止材で封止されてなる電気・電子部品。
【発明の効果】
【0012】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、常温での柔軟性、耐衝撃性に優れており、脆さが改良され、フィルム、繊維、シート、接着剤等の各種の用途に使用することができる。
さらに、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、溶融時の流動性が高いため、薄肉や複雑な形状を有する部品にモールドすることが可能であり、耐熱性、耐湿熱性にも優れており、低圧で射出成形する電子・電気部品のホットメルトモールディング用途に好適なものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、共重合ポリエステル樹脂(A)と熱伝導性充填材(B)とを含有し、共重合ポリエステル樹脂(A)は、芳香族ジカルボン酸とダイマー酸とを含有する酸成分と、1,4-ブタンジオールとポリブタジエングリコール類とを含有するグリコール成分とからなる。
【0014】
まず、共重合ポリエステル樹脂(A)の酸成分について説明する。本発明において、共重合ポリエステル樹脂(A)は、酸成分として、芳香族ジカルボン酸とダイマー酸とを含有する。
本発明において、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
芳香族ジカルボン酸は、共重合ポリエステル樹脂(A)の融点を高め、耐熱性を付与するとともに機械的強度を高めることに寄与するものであり、その含有量は酸成分中50〜90モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が50モル%未満であると、共重合ポリエステル樹脂(A)は融点が低くなり、耐熱性に劣るとともに、機械的強度も低くなりやすい。一方、芳香族ジカルボン酸の含有量が90モル%を超えると、ダイマー酸の含有量が少なくなり、共重合ポリエステル樹脂(A)の柔軟性が乏しくなりやすい。
【0015】
本発明において、共重合ポリエステル樹脂(A)の酸成分として、上記芳香族ジカルボン酸とともにダイマー酸を使用する。ダイマー酸とは、乾性油や半乾性油から得られる精製植物脂肪酸等の不飽和脂肪酸を熱重合して得られる不飽和脂肪酸、又はそれを部分的もしくは完全に水素添加して得られる飽和脂肪酸をいう。これらダイマー酸は、不飽和脂肪酸の二量体又はその水素添加物を主体とするものであるが、三量体、四量体等も含む。市販品として「プリポール」、「プライプラスト」(クローダ社製)、「エンポール」、「ソバモール」(コグニス社製)、「ユニダイム」(アリゾナケミカル社製)、「ツノダイム」(築野食品工業社製)等を用いることができる。
共重合ポリエステル樹脂(A)酸成分中のダイマー酸の含有量は、10〜50モル%であることが必要であり、20〜40モル%であることが好ましい。ダイマー酸を共重合成分として含有することにより、得られる共重合ポリエステル樹脂(A)は、柔軟性に優れたものとなり、また耐湿熱性も向上する。ダイマー酸の含有量が10モル%未満であると、得られる共重合ポリエステル樹脂(A)に柔軟性を付与することが困難となり、耐湿熱性の向上効果にも乏しくなる。一方、ダイマー酸の含有量が50モル%を超えると、得られる共重合ポリエステル樹脂(A)の融点が低くなり、耐熱性に劣るとともに、機械的強度も低くなりやすい。
【0016】
本発明において、共重合ポリエステル樹脂(A)は、酸成分として、上記芳香族ジカルボン酸とダイマー酸とを含有するが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、これら以外の酸成分を含有してもよい。このような酸成分としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いる共重合ポリエステル樹脂(A)は、グリコール成分として、1,4−ブタンジオールとポリブタジエングリコール類とを含有する。グリコール成分中の1,4−ブタンジオールの含有量は、80モル%以上であることが必要であり、85〜98モル%であることが好ましい。グリコール成分として、1,4−ブタンジオールを80モル%以上含有することで、得られる共重合ポリエステル樹脂(A)は、融点が高くなり、耐熱性に優れるとともに、成形性にも優れる。1,4−ブタンジオールに代えて、例えば、1,2−エチレングリコールを用いると、得られる共重合ポリエステル樹脂は、結晶化速度が遅くなり成形性に劣るものとなり、また、1,6−ヘキサンジオールを用いると、得られる共重合ポリエステル樹脂は、融点が低くなり、耐熱性に劣るものとなる。
【0018】
本発明において、共重合ポリエステル樹脂(A)のグリコール成分として、上記1,4−ブタンジオールとともにポリブタジエングリコール類を使用する。グリコール成分中のポリブタジエングリコール類の含有量は、1〜20モル%であることが必要であり、2〜15モル%であることが好ましい。グリコール成分中にポリブタジエングリコール類を含有することにより、得られる共重合ポリエステル樹脂(A)は、耐湿熱性、柔軟性に優れたものとなる。ポリブタジエングリコール類の含有量が1モル%未満であると、ポリブタジエングリコール類を添加する効果が得られにくくなる。一方、ポリブタジエングリコール類の含有量が20モル%を超えると、得られる共重合ポリエステル樹脂(A)の融点が低くなり、耐熱性に劣るとともに、機械的強度も低くなりやすい。
ポリブタジエングリコール類は、平均分子量が350〜6000であることが好ましく、500〜4500であることがより好ましい。ポリブタジエングリコール類の平均分子量が6000を超えると、相溶性が低下して、共重合することが困難になりやすい。一方、分子量が350未満では、得られる共重合ポリエステル樹脂(A)の柔軟性が低下しやすい。
ポリブタジエングリコール類としては、1,2−ポリブタジエングリコール、1,4−ポリブタジエングリコール等のほか、これらを水素還元して得られる水素添加型ポリブタジエングリコールが使用できる。より具体的には、例えばブタジエンをアニオン重合により重合し、末端処理により両末端に水酸基又は水酸基を有する基を導入して得られるジオール(ポリブタジエングリコール)、これらの二重結合を水素還元して得られるジオール(水素添加型ポリブタジエングリコール)等が挙げられる。
ポリブタジエングリコール類は、公知のもの又は市販品を使用することができる。具体的には、1,4−繰り返し単位を主に有するポリブタジエングリコール(例えば、出光興産社製、「Poly bd R−45HT」、「Poly bd R−15HT」)、1,2−繰り返し単位を主に有するポリブタジエングリコール(例えば、日本曹達社製「G−1000」、「G−2000」、「G−3000」)、1,2−繰り返し単位を主に有する水素添加型ポリブタジエングリコール(例えば、日本曹達社製「GI−1000」、「GI−2000」、「GI−3000」)等が挙げられる。
【0019】
本発明において、共重合ポリエステル樹脂(A)は、グリコール成分として、上記1,4−ブタンジオールとポリブタジエングリコール類とを含有するが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、これら以外のグリコール成分を含有してもよい。このようなグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物およびプロピレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いる共重合ポリエステル樹脂(A)は、耐熱性にも優れるものであるが、融点は120〜180℃であることが好ましく、130〜170℃であることがより好ましい。融点が120℃未満では耐熱性に乏しく、用いる用途が限定される。一方、180℃を超えると成形時の加工温度を高くする必要があり、コスト的に不利になると同時に、樹脂の熱劣化が大きくなる。
また、共重合ポリエステル樹脂(A)は、200℃での溶融粘度が1〜300Pa・sであることが好ましく、10〜150Pa・sであることがより好ましい。溶融粘度がこの範囲内であることにより、熱伝導性充填材(B)を大量に配合した場合においても、低圧での成形加工が可能となり、ホットメルトモールディング用途に好適なものとなる。溶融粘度が300Pa・sを超えると、流動性が低くなり、低圧での成形が困難となる。また溶融粘度を低下させるために溶融温度を高くすると、装置への負荷が大きくなるほか、共重合ポリエステル樹脂(A)の熱劣化も顕著なものとなる。一方、溶融粘度が1Pa・s未満であると、共重合ポリエステル樹脂(A)の強度が低くなる。
さらに、本発明に用いる共重合ポリエステル樹脂(A)は、柔軟性に優れるが、柔軟性を示す指標として、20℃でのヤング率が100MPa以下であることが好ましく、50MPa以下であることがより好ましい。20℃でのヤング率が100MPaを超えると、共重合ポリエステル樹脂(A)は柔軟性に乏しいものとなりやすい。
【0021】
次に、本発明に用いる共重合ポリエステル樹脂(A)の製造方法について説明する。上記のジカルボン酸及びグリコール成分を、150〜250℃でエステル化反応後、減圧しながら230〜300℃で重縮合することにより、共重合ポリエステル樹脂(A)を得ることができる。あるいは、上記のジカルボン酸のジメチルエステル等の誘導体とグリコール成分とを用いて、150〜250℃でエステル交換反応後、減圧しながら230〜300℃で重縮合することにより、共重合ポリエステル樹脂(A)を得ることができる。
【0022】
本発明では、樹脂組成物に熱伝導性を付与するために、熱伝導性充填材(B)を配合する。熱伝導性充填材(B)としては、導電性、電気絶縁性何れのものを用いることが可能であるが、10W/(m・K)以上の熱伝導率を有するものが好ましい。熱伝導性充填材(B)の熱伝導率は、たとえば、その焼結品を用いて測定することができる。熱伝導性充填材(B)の具体的な例としては(括弧内に熱伝導率の代表値(単位:W/(m・K))を記す。)、酸化アルミニウム(36)、酸化マグネシウム(60)、酸化亜鉛(25)、炭酸マグネシウム(15)、炭化ケイ素(160)、窒化アルミニウム(170)、窒化ホウ素(50〜200)、窒化ケイ素(40)、金属シリコン(148)、カーボン(10〜数百)、黒鉛(10〜数百)、タルク(10)、カオリン(10)等の無機系充填材、銀(427)、銅(398)、アルミニウム(237)、チタン(22)、ニッケル(90)、錫(68)、鉄(84)、ステンレス(15)等の金属系充填材などが挙げられる。
これらの中でも、黒鉛、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛もしくはタルクが特に好ましく、また、これらは2種以上併用することができる。
【0023】
熱伝導性充填材(B)の形態としては、粒状もしくは繊維状が挙げられる。熱伝導性充填材(B)の形態が粒状である場合、平均粒子径は、1〜300μmであることが好ましく、5〜150μmであることがより好ましい。平均粒径が1μm未満では樹脂組成物中において分散不良により凝集塊が生じやすくなり、均一な樹脂組成物が得られず機械的物性が低下したり熱伝導性にばらつきが生じたりする傾向にある。平均粒径が300μmを超えると樹脂組成物中に高濃度に充填することが難しくなったり、得られる成形体の表面が粗くなったりする場合がある。また、形状が真球状である場合は、樹脂組成物の溶融流動性が向上する傾向にあるため好ましい。
熱伝導性充填材(B)の形態が繊維状である場合、平均繊維径は1〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。平均繊維径が1μm未満では、十分な熱伝導率が得られず、平均繊維径が30μmを超えると加工性などが低下することがある。また、平均繊維長は、1〜20mmであることが好ましく、3〜15mmであることがより好ましい。平均繊維長が1mm未満では、樹脂組成物とした際に十分な熱伝導が得られない傾向にある。平均繊維長が長いほど樹脂組成物の熱伝導率が高くなるだけでなく、曲げ強度や曲げ弾性率も大きくなるが、平均繊維長が20mmを超えると樹脂組成物の溶融流動性の低下が大きくなる傾向にあり、加工性などの点で好ましくない。
本発明においては、熱伝導性充填材(B)として、平均粒径1〜300μmの鱗片状黒鉛、平均粒径1〜200μmの六方晶系結晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素、平均粒径0.5〜150μmの酸化アルミニウム、平均粒径0.5〜150μmの炭酸マグネシウム、平均粒径0.5〜150μmの酸化亜鉛、平均粒径0.5〜150μmのタルクが好ましい。
【0024】
本発明に用いる熱伝導性充填材(B)は、共重合ポリエステル樹脂(A)との密着性を向上させるため、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等で表面処理を施してもよい。カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノシラン系カップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系カップリング剤、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートなどのチタン系カップリング剤等が挙げられる。これらは単独で使用しても、併用してもよい。
【0025】
本発明の樹脂組成物において、共重合ポリエステル樹脂(A)と熱伝導性充填材(B)との容量比(A/B)は、30/70〜90/10であることが必要であり、40/60〜70/20であることがより好ましい。共重合ポリエステル樹脂(A)が30容量%未満では、樹脂組成物の溶融流動性が著しく低下する傾向にあり、成形加工時の負荷が高くなりすぎ、操業性が低下する場合がある。また、共重合ポリエステル樹脂(A)が90容量%を超えると、十分な熱伝導性を得ることができなくなる傾向にある。
【0026】
本発明の樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、およびそれらの共重合体等の樹脂を添加してもよい。
【0027】
本発明の樹脂組成物には、機械的強度、耐熱性等の諸特性をさらに向上させるために、繊維状充填材を配合することも可能である。繊維状充填材の具体例としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、金属繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、ケナフに代表される天然繊維等が挙げられる。これら繊維状充填材は、2種以上併用することができる。なお、樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。
【0028】
本発明の樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、結晶核剤等を添加することができる。
熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤が使用できるが、環境を配慮した場合、非ハロゲン系難燃剤の使用が望ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水和金属化合物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等)、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)、無機系化合物(硼酸塩、Mo化合物等)が挙げられる。
無機充填材としては、層状珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。なお、本発明の熱伝導性樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。
【0029】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、共重合ポリエステル樹脂(A)と、熱伝導性充填材(B)と、さらには必要に応じて各種添加物を一般的な押出機、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール混錬機、ブラベンダー等を用いて溶融混練することにより製造することができる。このとき、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも効果的である。混練状態をよくするためには、二軸押出機を使用することが好ましい。各組成の添加方法としては、特に限定されるものではないが、押出機においては、ホッパーから、あるいは、サイドフィーダーなどを用いて同時に、もしくは逐次に添加することができる。
【0030】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、シート成形など通常公知の溶融成形法を用いて所望の形状に成形して成形体とすることができる。
中でも、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、ホットメルトモールディング用樹脂として好適なものである。本発明でいうホットメルトモールディングとは、ホットメルト接着剤(熱可塑性樹脂)を金型内に0.1〜10MPaの低圧で注入する成形技術である。従来一般的なプラスチックの成形では平均100MPa程度での高圧での射出成形が行われる。これに比べて、ホットメルトモールディングは、非常に低圧で行われる成形技術であり、樹脂を溶融させた後、電気・電子部品をセットした金型の中に低圧で注入して、該樹脂で部品を包み込むようにして成形することができ、デリケートな電気・電子部品を破壊することなくモールドすることができるものである。
このように、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、電気・電子部品用の封止材としても好適に使用することができる。
【0031】
本発明の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる成形体の具体例としては、コイル、半導体素子や抵抗などの封止物、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、コンピュータ関連部品等の電気・電子部品、VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具等の家庭電気製品部品、放熱シートやヒートシンク、ファンなどの電子部品からの熱を外部に逃すための放熱部材、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジングなど照明器具部品、コンパクトディスク、レーザーディスク(登録商標)、スピーカー等の音響製品部品、光ケーブル用フェルール、携帯電話機、固定電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器部品、分離爪、ヒータホルダー等の複写機、印刷機関連部品、インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース等の機械部品、自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品、マイクロ波調理用鍋、耐熱食器等の調理用器具、航空機、宇宙機、宇宙機器用部品、センサー類部品等が挙げられる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の製造例、実施例および比較例において、各種物性値の試験方法は、次のとおりである。
(1)融点
製造例で得られた共重合ポリエステル樹脂について、パーキンエルマー社ダイヤモンドDSCを使用し、10℃/分で昇温、降温し、融解ピークの温度で測定した。
(2)溶融粘度
フローテスター(島津製作所社製、型式CFT−500)にて、ノズル径1.0mmφ、ノズル長10mmのノズルを用い、剪断速度1000sec−1の時の溶融粘度を測定した。
(3)共重合ポリエステル樹脂組成
製造例で得られた共重合ポリエステル樹脂を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にてH-NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から求めた。
(4)引張破壊ひずみ
実施例および比較例で得られた熱伝導性樹脂組成物について、ISO規格527−2に記載の方法に準じ、日精樹脂工業社製の射出成形機「PS20E2ASE」を用いて射出成形して試験片を作製し、引張破壊ひずみを測定した。
(5)シャルピー衝撃強さ
実施例および比較例で得られた熱伝導性樹脂組成物について、ISO規格179−1に記載の方法に準じ、日精樹脂工業社製の射出成形機「PS20E2ASE」を用いて射出成形してノッチ付試験片を作製し、シャルピー衝撃強さを測定した。
(6)耐湿熱性
恒温恒湿器(ヤマト科学社製IG400型)を用い、上記(4)で得られた引張試験片を、温度60℃湿度95%RHの環境下に200時間保存処理し、(4)と同様にして引張破壊ひずみを測定し、湿熱処理前後におけるひずみ保持率で耐湿熱性を評価した。ひずみ保持率(%)は、(ひずみ保持率)=(処理後の引張破壊ひずみ)/(処理前の引張破壊ひずみ)×100 として算出した。
(7)熱伝導率
熱伝導率λは、熱拡散率α、密度ρ、比熱Cpを下記方法により求め、その積として次式で算出した。
λ=αρCp
λ:熱伝導率(W/(m・K))
α:熱拡散率(m/sec)
ρ:密度(g/m
Cp:比熱(J/(g・K))
熱拡散率αは、実施例および比較例で得られた熱伝導性樹脂組成物を射出成形機にて30mmφの円板状に成形し、得られた成形品から所定のサイズに切り出した試料について、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000(アルバック理工社製)を用い、レーザーフラッシュ法にて測定した。密度ρは、電子比重計ED−120T(ミラージュ貿易社製)を用いて測定した。比熱Cpは、示差走査熱量計DSC―7(パーキンエルマー社製)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
【0033】
以下の実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)共重合ポリエステル樹脂
・製造例1(A1)
酸成分として、テレフタル酸62質量部、イソフタル酸9質量部、炭素数36の水素添加ダイマー酸(クローダージャパン社製、Pripol 1009)76質量部、ジオール成分として、1,4−ブタンジオール59質量部、ポリブタジエングリコール(1,2−繰り返し単位を主に有する水素添加型ポリブタジエングリコール;日本曹達社製、「GI−1000」、平均分子量1500)65質量部を用い、テトラ−n−ブチルチタネート2質量部を添加し、240℃に加熱して、エステル交換反応を行った。次に、温度240℃にて60分間で徐々に真空度を上げながら10〜30Paの高真空までもっていき、その後4時間重縮合反応を行い、反応終了後に払い出し、切断して共重合ポリエステル樹脂A1を得た。(融点148℃、溶融粘度60Pa・s、密度1.10g/cm
【0034】
・製造例2〜9(A2〜A5、a1〜a4)
テレフタル酸、イソフタル酸、水素添加ダイマー酸、1,4−ブタンジオール、1,2−ポリブタジエングリコールの種類や添加量を変更した以外は、製造例1と同様に行い、共重合ポリエステル樹脂を得た。なお製造例5では、ポリブタジエングリコールとして、1,2−繰り返し単位を主に有するポリブタジエングリコール(日本曹達社製、「G−2000」、平均分子量2000)を使用して、共重合ポリエステル樹脂(A5)を製造した。
【0035】
表1に製造例1〜9で得られた共重合ポリエステル樹脂の組成、融点、溶融粘度を示す。
【0036】
【表1】

【0037】
(2)熱伝導性充填材(B)
・ALO:酸化アルミニウム(電気化学工業社製、平均粒径10μm、熱伝導率38W/(m・K)、密度3.97g/cm
・MgCO:炭酸マグネシウム(神島化学社製、平均粒径10μm、熱伝導率15W/(m・K)、密度3.05g/cm
・ZnO:酸化亜鉛(堺化学工業社製、平均粒径10μm、熱伝導率25W/(m・K)、密度5.78g/cm
・TC:タルク(日本タルク社製 K−1、平均粒径8μm、熱伝導率10W/(m・K)、密度2.7g/cm
・Gr:鱗片状黒鉛(日本黒鉛工業社製、平均粒径40μm、熱伝導率100W/(m・K)、密度2.25g/cm
・BN:六方晶系鱗片状窒化ホウ素(電気化学工業社製、熱伝導率80W/(m・K)、平均粒径15μm、密度2.26g/cm
【0038】
実施例1
二軸押出機(東芝機械社製:TEM26SS、スクリュ径26mm)の主ホッパーに、製造例1で得られた共重合ポリエステル樹脂(A1)60容量部と、熱伝導性充填材(B)としての酸化アルミニウム(ALO)40容量部とを供給し、200℃で溶融混練した。そしてストランド状に押出して冷却固化した後、ペレット状に切断して、樹脂組成物を得た。
【0039】
実施例2〜16
共重合ポリエステル樹脂(A)、熱伝導性充填材(B)をそれぞれ表2に示す種類と量に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
【0040】
比較例1、2
共重合ポリエステル樹脂(A)、熱伝導性充填材(B)をそれぞれ表2に示す種類と量に変更し、230℃で溶融混練を行った以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
【0041】
比較例3〜6
共重合ポリエステル樹脂(A)、熱伝導性充填材(B)をそれぞれ表2に示す種類と量に変更し、150℃で溶融混練を行った以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
【0042】
比較例7〜12
共重合ポリエステル樹脂(A)、熱伝導性充填材(B)をそれぞれ表2に示す種類と量に変更し、200℃で溶融混練を行った以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
【0043】
実施例1〜16、比較例1〜12で得られた樹脂組成物について、溶融粘度、引張破壊ひずみ、シャルピー衝撃強さ、熱伝導率、耐湿熱性を評価した。その評価結果を表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
表2から明らかなように、実施例1〜16で得られた樹脂組成物は、本発明を満足する組成のものであったため、引張破壊ひずみが高く柔軟性に優れており、かつ耐衝撃性も高く脆さが改良されたものであり、グリコール成分中にポリブタジエングリコール類を所定量含む共重合ポリエステル樹脂(A)を用いているために、耐熱性と耐湿熱性にも優れていた。
【0046】
一方、比較例1および2で得られた樹脂組成物は、用いた共重合ポリエステル樹脂の酸成分中のダイマー酸の含有量が少ないものであったため、柔軟性、耐衝撃性、耐湿熱性に劣るものであった。
比較例3および4で得られた樹脂組成物は、用いた共重合ポリエステル樹脂の酸成分中のダイマー酸の含有量が多いものであったため、融点が測定できず、耐熱性に劣るものであった。
比較例5および6で得られた樹脂組成物は、用いた共重合ポリエステル樹脂のグリコール成分中のポリブタジエングリコール類の含有量が多いものであったため、融点が低く、耐熱性に劣るものであった。
比較例7および8で得られた樹脂組成物は、用いた共重合ポリエステル樹脂のグリコール成分中にポリブタジエングリコール類を含んでいないものであったため、耐湿熱性に劣るものであった。
比較例9および10で得られた樹脂組成物は、熱伝導性充填材(B)の配合量が少ないものであったため、熱伝導率が低かった。
比較例11および12で得られた樹脂組成物は、熱伝導性充填材(B)の配合量が多すぎるために溶融粘度が高すぎて射出成形ができなかった。
【0047】
実施例17
ガラス強化ポリブチレンテレフタレート製のコイルボビンに、ポリアミドイミド樹脂被覆銅線を巻回してコイルを作製した。このコイルを80℃に保った金型内に置き、実施例2で得られた樹脂組成物を縦型射出成形機(TNS100R12V)へ供給して、シリンダー温度200℃、射出圧力20MPaの条件にて金型内に射出成形してコイル全体が封止されたコイル部材を作製した。得られたコイル部材の表面にはクラックの発生は見られず、また、切断して断面を観察したところ、ボイドやクラックの発生は見られなかった。
次に同様にして作製したコイル部材を100℃で1時間加熱した後、0℃で1時間冷却することを1サイクルとする冷熱サイクルを100サイクル繰り返したところ、サイクル終了後も表面にはクラックの発生は見られず、また、切断して断面を観察したところ、ボイドやクラックの発生は見られなかった。
【0048】
比較例13
樹脂組成物を比較例1で得られたものに変更し、射出圧力40MPaで射出成形した以外は、実施例17と同様にしてコイル部材を作製した。得られたコイル部材の表面にはクラックが発生していた。
【0049】
比較例14
樹脂組成物を比較例5で得られたものに変更し、シリンダー温度150℃、射出圧力40MPaで射出成形した以外は、実施例17と同様にしてコイル部材を作製した。得られたコイル部材の表面にはクラックの発生は見られず、また、切断して断面を観察したところ、ボイドやクラックの発生は見られなかった。
次に同様にして作製したコイル部材を、実施例17と同様にして冷熱サイクルを100サイクル繰り返したところ、サイクル終了後コイル部材が変形していた。
【0050】
比較例15
樹脂組成物を比較例6で得られたものに変更し、シリンダー温度150℃、射出圧力50MPaで射出成形した以外は、実施例17と同様にしてコイル部材を作製した。得られたコイル部材の表面にはクラックの発生は見られず、また、切断して断面を観察したところ、ボイドやクラックの発生は見られなかった。
次に同様にして作製したコイル部材を、実施例17と同様にして冷熱サイクルを100サイクル繰り返したところ、サイクル終了後コイル部材が変形していた。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合ポリエステル樹脂(A)と熱伝導性充填材(B)とを含有し、(A)と(B)との容量比(A/B)が、30/70〜90/10である樹脂組成物であり、
(A)が、酸成分として、芳香族ジカルボン酸とダイマー酸とを含有し、グリコール成分として、1,4-ブタンジオールとポリブタジエングリコール類とを含有し、
酸成分中のダイマー酸の含有量が10〜50モル%であり、
グリコール成分中の1,4-ブタンジオールの含有量が80モル%以上であり、
グリコール成分中のポリブタジエングリコール類の含有量が1〜20モル%であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
【請求項2】
熱伝導性充填材(B)が、鱗片状黒鉛、六方晶系結晶構造を有する鱗片状窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、タルクから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる成形体。
【請求項4】
請求項1または2に記載の熱伝導性樹脂組成物を含有する電気・電子部品用封止材。
【請求項5】
請求項4記載の封止材で封止されてなる電気・電子部品。



【公開番号】特開2012−117044(P2012−117044A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232358(P2011−232358)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【出願人】(000228073)日本エステル株式会社 (273)
【Fターム(参考)】