説明

熱伝導性樹脂組成物

【課題】エラストマー成分に炭素繊維が大量に充填されているにもかかわらず、ゴム弾性があり平面方向の熱伝導性が高い熱伝導組成物を提供する。
【解決手段】本発明の熱伝導性組成物は、(a)エラストマー成分100質量部と、(b)平均繊維長50〜300μm、平均繊維径5〜15μmの炭素繊維又は平均粒径1〜150μmのグラファイト粉50〜600質量部、(c)セラミックス粉体(d)に比べて相対的に小粒径のセラミックス粉体50〜500質量部、(d)金属系フィラー又はセラミックス粉体(c)に比べて相対的に大粒径のセラミックス粉体0〜500質量部、(e)硬化剤又は加硫剤0.05〜20質量部を含み、平面方向の熱伝導率が8W/m・K以上であり、硬化している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品などの熱伝導部品などに使用される熱伝導性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイ,ノートパソコン,燃料電池,発光ダイオード(LED)等の電子部品は熱が偏在すると出力,性能が低下することがある。そのため熱の偏在なくす(以下、均熱という)ことをおこなう必要がある。近年の発熱量は増大であるためより素早く均熱する熱伝導組成物放熱が求められている。最近は均熱にはグラファイトシートがよく使われる。また、ポリフェニレンサルファイド(PPS),ポリプロピレンに炭素繊維を練り込んだコンパウンドが販売されており、これらの加工品が使われる場合もある。しかし、グラファイトは弾力性がなく、シートの形状として平面に限られ、用途が限定されていた。また、PPS,ポリプロピレンに炭素繊維,グラファイト粉を添加又は練り込んだコンパウンドは硬く、脆いため、薄いフィルムにすることが困難であった。そのため近年エラストマーに炭素繊維を充填することが提案されている。しかし、主たる目的は剛性強化改良である。熱伝導性向上についても提案はあるが、炭素繊維添加コンパウンドを加硫することは困難であり、加えてエラストマーへの炭素繊維の高充填も困難であることから平面方向の熱伝導率が低いという問題があった。また、グラファイト粉含有コンパウンドは加硫又は硬化は一部の過酸化物でしか加硫することがでないため加工方法も限定され、かつ使用できるエラストマー成分も限定されるという問題もあった。
【0003】
これら問題を解決するために従来からさまざまな手法が提案されてきた。熱可塑性エラストマーに炭素繊維を充填する提案(特許文献1)、シリコーンゴムに炭素繊維を充填する提案(特許文献2)
セラミックス粉体と炭素繊維を組み合わせて充填する提案(特許文献3,4)、熱可塑性エラストマーにグラファイト粉を充填する提案(特許文献5)、シリコーンゴムにグラファイト粉を充填する提案(特許文献6)、シリコーンゴムにセラミックス粉体と炭素繊維を組み合わせて充填する提案(特許文献7)がある。
【0004】
しかし、特許文献1は、熱可塑性エラストマー及びその放熱シートに関する発明である。エラストマーは硬化していないため耐熱性がよくないという問題がある。変性ポリフェニレンエーテルは耐熱性に優れているがゴム弾性に乏しく弾性体とはいえないという課題がある。
【0005】
特許文献2は、シリコーンゴムに所定の炭素繊維を配合した熱伝導性シリコーンゴム及びその熱伝導装置に関する発明である。炭素繊維の処理温度の規定があるがエラストマーに添加しやすくするための技術の記述がない、この方法ではエラストマーの硬化反応が不安定で物理特性が一定しないという課題がある。
【0006】
特許文献3は、繊維補強された複合材料に関する発明である。炭素繊維とセラミックス粉体を併用する配合物の記述があるが熱伝導性を技術課題とした発明ではない。炭素繊維は高分子ポリマに充填しにくいという課題があり、さらにはセラミックス粉を高分子に混合する事は極めて困難であるという課題がある。
【0007】
特許文献4は、熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素と炭素繊維を配合する放熱シートである。セラミックス粉どうしの熱伝導を補助するための添加剤として炭素繊維が使われているもので、炭素繊維は主たる熱伝導性材料とし作用していないという課題がある。
【0008】
特許文献5は、燃料電池用のセパレータに関する発明である。前記、特許文献1と同様にエラストマーは硬化していないので耐熱性が充分でないという課題がある。
【0009】
特許文献6は、シリコーンゴムにグラファイト粉を添加した放熱用シートに関する発明である。しかし、メソカーボンマイクロビーズと呼ばれる球状グラファイト粉はシリコーンゴムの硬化機構が阻害される。大量に充填しても平面方向の熱伝導率が向上しない問題がある。
【0010】
特許文献7は、シリコーンにグラファイト粉と金属粒子を配合した放熱材及びその製造方法に関する発明である。シリコーンゲルを用いた放熱シートではなく熱伝導接着剤の発明である、発熱体と放熱体の間に配置される放熱シートであるのでシートは硬化しなくても良い。
【特許文献1】特開2003−113272号公報
【特許文献2】特開平11−279406号公報
【特許文献3】特開平8−157620号公報
【特許文献4】特開2001−110961号公報
【特許文献5】特開2006−156131号公報
【特許文献6】特開平10−298433号公報
【特許文献7】特開2002−299534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はエラストマー成分に炭素繊維又はグラファイト粉が大量に充填されているにもかかわらず、ゴム弾性があり平面方向の熱伝導性が高い熱伝導組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の熱伝導性組成物は、
(a)エラストマー成分100質量部と、
(b)平均繊維長50〜300μm、平均繊維径5〜15μmの炭素繊維又は平均粒径1〜150μmのグラファイト粉50〜600質量部と、
(c)セラミックス粉体(d)に比べて相対的に小粒径のセラミックス粉体50〜500質量部と、
(d)金属系フィラー又はセラミックス粉体(c)に比べて相対的に大粒径のセラミックス粉体0〜500質量部と、
(e)硬化剤又は加硫剤0.05〜20質量部
を含み、平面方向の熱伝導率が8W/m・K以上であり、硬化していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明はエラストマー成分に炭素繊維又はグラファイト粉が大量に充填されているにもかかわらず、ゴム弾性があり平面方向の熱伝導性が高い熱伝導組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1Aは本発明の一実施例におけるコの字形押し出し品の断面図、図1Bは電池に前記押し出し品を組み込んだ断面図である。
【図2】図2Aは本発明の別の実施例における半円形押し出し品の断面図、図2Bは電池に前記押し出し品を組み込んだ断面図である。
【図3】図3Aは同さらに別の実施例における平形押し出し品の断面図、図3Bは前記押し出し品を発熱素子とヒートシンクとの間に組み込んだ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に用いられる(a)成分はエラストマーであることが好ましい。エラストマー成分はシリコーン,オレフィン系、アクリル系,フッ素系,ウレタン系およびジエン系から選ばれる少なくとも一つエラストマーでありエラストマーは単独で使用してよいし、二種以上の混合物を好適に用いることも可能であるし、一部を変性したエラストマーを使用してもよい。具体的にはシリコーン変性アクリル,シリコーン変性ウレタンなどがありこれらに限定されるものではない。
【0016】
本発明に用いられる(b)成分はピッチ系,ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維であることが好ましく、平面方向の熱伝導率を考慮するとピッチ系炭素繊維であることがより好ましい。また、繊維長分布0.5μm〜1500μmであり平均繊維長は50〜300μmであることが好ましい。さらに、平均繊維径は5〜15μmであることが好ましい。短い繊維長が多ければ平面方向の熱伝導率が低下し、逆に長い繊維長が多ければエラストマーへの充填性及び加工性が悪くなる。本発明に用いられる(b)成分は平均粒径1〜150μmのグラファイト粉でもよい。グラファイト粉は結晶化が進んだものがよい。
【0017】
炭素繊維又はグラファイト粉はM(OR)n、但しMは3〜6価の金属原子(好ましい金属はSi,Ti,Al,Zr)、nは3〜6、Rはメチル基,エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,iso−ブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,フェニル基である金属アルコキシド、もしくはその部分加水分解物で被覆処理しておくのが好ましい。前記金属アルコキシドの量は炭素繊維又はグラファイト粉の量の0.5〜1.5重量%であることが好ましい。金属アルコキシドの量が前記の範囲であれば、炭素繊維又はグラファイト粉表面を金属アルコキシドで充分覆うことができ、ゴムの硬化性にも影響はなく、硬化ゴムの耐熱性も低下しない。
【0018】
炭素繊維又はグラファイト粉への金属アルコキシドの処理は、シランカップリング剤の処理方法を参考にすることができる。処理方法としては乾式法,湿式法などがある。金属アルコキシドの取り扱いを考えると湿式法にて処理することが好ましい。炭素繊維又はグラファイト粉を容器に入れ溶剤を浸し、規定量の金属アルコキシドを溶剤で希釈しそれを薬剤とし、溶剤で浸してある炭素繊維又はグラファイト粉を入れた溶液に薬剤を滴下する方法である。使用する溶剤はアルコールがよい。使う容器類は事前に水分を取り除くことはもちろん、使う金属アルコキシドによっては希ガスでの置換しながら作業を進めることが好ましい。溶剤希釈金属アルコキシド溶液を滴下した後に室温で12時間以上放置したら溶剤を除去する。溶剤を完全に除去したら例えば200℃で2〜4時間加熱をおこない、その後冷却することで処理する。
【0019】
ゾルゲル法のように800〜1000℃の焼成はしない。例えば、200℃で2〜4時間の加熱は、金属アルコキシドを分解することになる。本発明では金属アルコキシドを完全に金属酸化物にすることは目指していない。金属酸化物になる途中の化学物質でもよい。炭素繊維又はグラファイト粉の活性が高いところ、例えば断面や角に金属アルコキシドの分解物を載せることが大切である。こうすることによって硬化剤などが吸収又は吸着,分解されないようにすることが可能になる。
【0020】
本発明に用いられる(c)成分は、平均粒径0.02〜1.5μmの金属酸化物,窒化物でありこれらから選ばれる一種又は二種以上の混合物であり、それらがR(CH3aSi(OR')3-a(Rは炭素数6〜20の非置換または置換有機基、R'は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)のシラン、もしくはその部分加水分解物で被覆処理されるセラミックス粉体が好ましい。形状は球状,鱗片状,多面体状などがあるが比表面積は0.6〜80m2/gの範囲であればどのような形状のものを使用してもよい。なおここでいう比表面積ほBET比表面積であり、測定方法はJIS R1626による。
【0021】
金属酸化物にはアルミナ,酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化珪素,酸化チタンがあり、窒化物には窒化硼素,窒化アルミニウム,窒化チタンなどがあり、金属酸化物はアルミナ,酸化亜鉛、窒化物は窒化アルミニウムをなどがありこれらを一種又は二種以上の混合物として選択して配合されることが好ましい。
【0022】
小粒径セラミックス粉体はR(CH3aSi(OR')3-a(Rは炭素数6〜20の非置換または置換有機基、R'は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)のシラン、もしくはその部分加水分解物で表面を被覆処理されることが好ましい。R(CH3aSi(OR')3-a(Rは炭素数6〜20の非置換または置換有機基、R’は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)のシランは一種又は二種以上の混合物が好適に用いることができる。
【0023】
R(CH3aSi(OR')3-a(Rは炭素数6〜20の非置換または置換有機基、R'は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)のシランにはヘキシルトリメトキシラン,ヘキシルトリエトキシシラン,オクチルトリメトキシシラン,オクチルトリエトキシラン,デシルトリメトキシシラン,デシルトリエトキシシラン,ドデシルトリメトキシシラン,ドデシルトリエトキシシラン,ヘキサドデシルトリメトキシシラン,ヘキサドデシルトリエトキシシシラン,オクタデシルトリメトキシシラン,オクタデシルトリエトキシシシランなどがありここに挙げた限りでない。
【0024】
被覆処理方法としては、(1)乾式法、(2)湿式法、(3)インテグラルブレンド法等があるが、インテグラルブレンド法は揮発成分が多くなることから、好ましくない。
【0025】
(1)乾式法
乾式法は、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、振動ミルのような機械的な撹拌により熱伝導性無機粉体を撹拌しながら、これに薬剤を滴下して表面処理をおこなう方法である。薬剤にはシランをアルコール溶剤で希釈した溶液や、シランをアルコール溶剤で希釈し、さらに水を添加した溶液や、シランをアルコール溶剤で希釈しさらに水、酸を添加した溶液等がある。薬剤の調整方法はシランップリング剤製造会社のカタログ等に記載されているが、どの方法を選択するかはシランの加水分解速度や熱伝導性無機粉体の種類によってどのような方法で処理するかを決める。
【0026】
(2)湿式法
湿式法は、熱伝導性無機粉体を薬剤に直接浸漬しておこなう方法である。薬剤はシランをアルコール溶剤で希釈した溶液や、シランをアルコール溶剤で希釈しさらに水を添加した溶液や、シランをアルコール溶剤で希釈しさらに水、酸を添加した溶液等があり、薬剤の調整方法は、どのような方法を選択するかはシランの加水分解速度や熱伝導性無機粉体の種類によってどのような方法で処理するかを決める。
【0027】
(3)インテグラルブレンド法
インテグラルブレンド法は、樹脂と熱伝導性無機粉体を混合するときにシランを原液またはアルコール等で希釈したものを混合機の中に直接添加し、撹拌する方法である。薬剤の調整方法は乾式法及び湿式法と同様であるが、インテグラルブレンド法でおこなう場合のシラン量は前記、乾式法、湿式法に比べて多くすることが一般的である。
【0028】
乾式法及び湿式法においては、薬剤の乾燥を必要に応じて適宜おこなう。アルコール等を使用した薬剤を添加した場合は、アルコールを揮発させる必要がある。アルコールが最終的に配合物に残るとポリマー分に悪影響を及ぼし、製品からガスとなって発生することになる。乾燥温度は使用した溶剤の沸点以上にすることが好ましい。さらには熱伝導性無機粉体と反応しなかったシランを迅速に除去するために装置を用い、高い温度に加熱することが好ましいが、シランの耐熱性も考慮しシランの分解点未満の温度に保つのが好ましい。処理温度は約80〜150℃、処理時間は0.5〜4時間が好ましい。乾燥温度と時間は処理量により適宜選択することによって溶剤や未反応シランも除去することが可能になる。
【0029】
熱伝導性無機粉体の表面を処理するのに必要なシラン量は次式で計算することができる。
シラン量(g)=熱伝導性無機粉体の量(g)×熱伝導性無機粉体の比表面積(m2/g)/シランの最小被覆面積(m2/g)
「シランの最小被覆面積」は次の計算式で求める。
シランの最小被覆面積(m2/g)=(6.02×1023)×(13×10-20)/シランの分子量
前記式中、6.02×1023:アボガドロ定数
13×10-20:1分子のシランが覆う面積(0.13nm2
必要なシラン量はこの計算式で計算されるシラン量の0.5倍以上1.0倍未満であることが好ましい。上限が1.0倍未満であるのは未反応分を考慮して実際に熱伝導性無機粉体表面に存在するシラン量を1.0より小さくするためである。下限値を上記計算式で計算される量としたのは0.5倍量でもゴムへの熱伝導性無機粉体充填性の向上には充分効果のある量であるためである。
【0030】
炭素繊維又はグラファイト粉を金属アルコキシドで処理した粉体をさらに小粒径セラミックス粉体同様にR(CH3aSi(OR')3-a(Rは炭素数6〜20の非置換または置換有機基、R'は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)のシラン、もしくはその部分加水分解物で表面処理してもよい。そのときのシラン量は0.5〜1.5重量%であることが好ましい。処理方法は小粒径セラミックス粉体と同じ方法が使用できる。
【0031】
本発明に用いられる(d)成分である金属系フィラーは金,銀,銅,白金,鉄,錫,亜鉛,インジウム,ニッケル,クロムから選ばれる一種又は二種以上の混合物であることが好ましい。また、ここに列記した金属から選ばれる合金でもよい。また、大粒径セラミックス粉体は金属酸化物,窒化物などがあり粉体の種類としては小粒径セラミックス粉体と同様なものが使用することができる。(d)成分である金属系フィラーの又は大粒径セラミックス粉体の形状は球状,鱗片状,多面体状などがあるがどのような形状のものを使用してもよい。平均粒径は10〜150μmであることが好ましい。また、金属系フィラー又は大粒径セラミックス粉体単独の使用もできるし、金属系フィラーと大粒径セラミックス粉体の混合物でも使用もできる。
【0032】
本発明に用いられる(d)成分は、M(OR)n、但しMは3〜6価の金属原子(好ましい金属はSi,Ti,Al,Zr)、nは3〜6、Rはメチル基,エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,iso−ブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,フェニル基である金属アルコキシド、もしくはその部分加水分解物で表面処理し、さらにR'(CH3aSi(OR")3-a(但し、R'は炭素数6〜20の非置換または置換有機基、R"は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)のシラン、もしくはその部分加水分解物で表面処理してもよい。しかし、シランカップリング剤,チタンカップリング剤,アルミニウムカップリング剤,ジルコニウムカップリング剤で十分な場合が多い。すなわち、(d)成分はM(OR)nの表面処理のみだけでよい。
【0033】
本発明に用いられる(e)成分である硬化剤又は、加硫剤はエラストマー成分を硬化させる物質である。エラストマー成分によって硬化形態がことなるので硬化剤は適宜選択する必要がある。また、硬化剤の添加量も使用するエラストマーによってさまざまである。
【0034】
ポリマー成分で構成された軟化剤はエラストマー成分でナフテン系,パラフィン系などがあり適宜選択するエラストマー成分により選択される。
【0035】
燐酸エステルなどポリマー成分で構成されていない軟化剤はエラストマー成分としない。しかし、硬化によりエラストマーとなる成分についてはエラストマー成分とする。
【0036】
熱伝導無機粉体の表面処理としてチタンカップリング剤,アルミニウムカップリング剤,ジルコニウムカップリング剤を使用してもよくさらに、R(CH3aSi(OR')3-a(Rは炭素数6〜20の非置換または置換有機基、R'は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)のシランは一種又は二種以上の混合物で処理した熱伝導無機粉体と同時に用いることができる。
【0037】
その他の添加剤として、顔料,耐熱剤,難燃剤などを適宜目的に応じて添加してもよい。顔料としては無機系と有機系があるが耐熱性の視点から無機系が好ましい。具体例として酸化鉄,酸化コバルトなどがあるがここに挙げた限りではない。耐熱剤は樹脂に応じて適宜選択できる。フェノール系酸化防止剤,ホスファイト系酸化防止剤,チオエーテル系酸化防止剤,金属酸化物の採用が無難でありがここに挙げた限りではない。難燃剤も燐系,燐酸系,金属酸化物,カーボン,金属水酸化物などがありここに挙げた限りではない。いずれも樹脂の硬化,加硫反応などを阻害せず、さらには樹脂成分の物性に影響のないものを一種又は二種以上の混合物として適宜選択して配合する。
【実施例】
【0038】
本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【0039】
(実施例1〜24、比較例1〜12)
まず炭素繊維又はグラファイト粉の表面処理を検討した。以下検討した炭素繊維又はグラファイト粉の一覧を表1に示す。
【0040】
【表1】

(備考)平均粒径は各社のカタログ値による。なお、平均粒子径はレーザ光散乱法を使用して測定できる。
【0041】
処理は以下のようにおこなう。フィラーをCB−150,金属アルコキシドをチタンテトライソプロポキシドを例として記述するがその他の炭素繊維又はグラファイトも同様な処理をおこなう。
【0042】
(炭素繊維又はグラファイト粉の予備乾燥)
熱風循環式オーブンにて110℃、2時間の乾燥をおこなった後、デシケータ内で冷却した。
【0043】
(金属アルコキシド)
テトライソプロポキシチタン(和光純薬工業社製)
75%テトラn−プロポキシジルコニウム溶液(日本曹達社製)
(カップリング剤)
ヘキシルテトラエトキシシラン(製品名:KBE3063 信越化学工業社製)
イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(製品名:KR−TTS 味の素ファインテクノ社製)
(溶剤)
イソプロピルアルコールは一度素蒸留したものを用意した。
【0044】
(金属アルコキシドでの処理)
500ml三角フラスコにCB−150を100質量部投入し、さらに素蒸留したイソプロピルアルコールを150質量部入れた。均一にCB−150が分散するまでフラスコを振って撹拌した。次にチタンテトライソプロポキシド1質量部に対して、素蒸留したイソプロピルアルコールを10質量部で希釈して調整した薬剤を一気に添加し、すぐにフラスコを振って撹拌した。撹拌は1時間毎に4時間おこない、その後は12時間放置した。12時間経過したらイソプロピルアルコールを完全に揮発させ、200℃で4時間熱風循環式オーブンにて乾燥をした。
【0045】
(カップリング剤での処理)
500ml三角フラスコに金属アルコキシドで処理をしたCB−150を100質量部投入し、さらに素蒸留したイソプロピルアルコールを150質量部入れた。均一にCB−150が分散するまでフラスコを振って撹拌した。次にヘキシルテトラエトキシシラン1質量を一気に添加し、すぐにフラスコを振って撹拌した。撹拌は1時間毎に4時間おこない、その後は12時間放置した。12時間経過したらイソプロピルアルコールを完全に揮発させた。
【0046】
(ゴム硬化性の確認)
二液室温硬化型シリコーンゴム(製品名:CF5036 東レ・ダウコーニング社製)100質量部に対して金属アルコキシドで処理したCB−150又は金属アルコキシドで処理し、さらにカップリング剤での処理したCB−150を130質量部添加し、プラネタリーミキサーで脱泡しながら5分間混練りして、混練りしたコンパウンドを容量50ccのポリプロピレンに20g流し込み、そのまま熱風循環式オーブンにて100℃で10分間熱処理して硬化させた。
【0047】
実施例1〜24と比較例1〜12の条件と結果を表2〜4にまとめて示す。
【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

表2〜4の実施例1〜24と比較例1〜12を比較する。グラファイト又は炭素繊維を金属アルコキシドで処理することによってコンパウンドは硬化する。それに対して処理をしないグラファイト又は炭素繊維を用いたコンパウンドは硬化しない。同様に、シランップリング剤又はチタンカップリング剤で処理したグラファイト又は炭素繊維を用いたコンパウンドも硬化せず、明確な差がでた。しかし、繊維長が長い場合は金属アルコキシドでの処理を行わなくても硬化する。
【0051】
(実施例25〜40、比較例13〜29)
次に上記の実験で確立した金属アルコキシド処理品を使用したグラファイト又は炭素繊維とセラミックス粉体を組み合わせた系の説明をする。検討には以下材料を使用した。
【0052】
(エラストマー成分)
二液室温硬化型シリコーンゴム(製品名:CF5036 東レ・ダウコーニング社製)
ポリイソブチレン(製品名:EP200A カネカ社製)水素化α−オレフィン(製品名:PAO−5010 出光興産社製)
(架橋材)
シリコーン用メチルハイドロジェンポリシロキン(製品名:SE1700キャタリスト 東レ・ダウコーニング社製)ポリイソブチレン用メチルハイドロジェンポリシロキン(製品名:CR300 カネカ社製)
(小粒径セラミックス粉体)
平均粒径0.4μmのアルミナ AL160SG−1 昭和電工株式会社製
平均粒径0.4μmの酸化亜鉛 酸化亜鉛1種 ハクスイテック社製
(金属系フィラー)
平均粒径20〜25μmの銅粉 日鉱マテリアルズ製
(大粒径セラミックス粉体)
平均粒径22μmのアルミナ AS20 昭和電工株式会社製
(硬化剤又は加硫剤)
ポリイソブチレン硬化剤 PT−VTSC−3.0IPA ユミコアプレシャスメタルズ・ジャパン社製
(遅延剤)
サーフィノール61 日信化学工業製
小粒径セラミックス粉体 AL160SG−1,酸化亜鉛1種の処理は以下のようにおこなった。
【0053】
(AL160SG−1)
KBE3063の必要量=熱伝導性無機粉体の量(g)×熱伝導性無機粉体の比表面積(m2/g)/シランの最小被覆面積(m2/g)で算出した。KBE3063の最小被覆面積は315m2/gであることから1000g×7.0m2/g/315m2/g=22.2gとした。KBE3063:22.2g、イソプロパノール:40g、水:2gの割合で混合し薬剤とした。ブレンダーにAL160SG−1を1kg投入し撹拌しながら薬剤を少しずつ添加し、15分撹拌し、1日放置後、100℃で2時間乾燥した。
【0054】
(酸化亜鉛1種)
KBE3063の必要量=熱伝導性無機粉体の量(g)×熱伝導性無機粉体の比表面積(m2/g)/シランの最小被覆面積(m2/g)で算出した。KBE3063の最小被覆面積は315m2/gであることから1000g×4m2/g/315m2/g=12.7gとした。KBE3063:12.7g、イソプロパノール:20g、水:1gの割合で混合し薬剤とした。ブレンダーに酸化亜鉛1種を1kg投入し撹拌しながら薬剤を少しずつ添加し、15分撹拌し、1日放置後、100℃で2時間乾燥した。
【0055】
(コンパウンド作成方法)
プラネタリーミキサーにポリマー成分に炭素繊維又はグラファイト粉,小粒径セラミックス粉体,金属系フィラー又は大粒径セラミックス粉体,硬化剤又は加硫剤を投入して脱泡しながら10分撹拌した。
【0056】
(シート成形方法)
フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムに厚さ2mmの金型を置き、コンパウンドを仕込み、もう一枚のフッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを載せた。これを5MPaの圧力で120℃、30分加熱し、その後冷却し、熱伝導性樹脂組成物を得た。
【0057】
実験で使用したCB−100,RA−301,XN−100N−03Zは以下に示すととおり、上記実施例で処理したものを使用した。
CB−100 :実施例11
RA−301 :実施例17
XN−100N−03Z:実施例23
以上の条件と結果を表5〜6にまとめて示す。
【0058】
【表5】

【0059】
【表6】

(物性の測定方法)
(i)平面方向の熱伝導率:ホットディスク法(京都電子工業株式会社)熱物性測定装置TPA−501(製品名)を使用して測定した。この装置の説明は同社のホームページに掲載されている。測定試料は以下のように作成した。各実施例,比較例で記述してあるシート成形方法にて作成した厚み2mmシートを大きさ縦50mm×横50mmにカットし、これを2個用意した。直径7mmのセンサ−を、用意したシートで上下に挟み、冶具にセットした。冶具を挟むトルクは30N・cmでおこなった。
【0060】
測定方法は、冶具にセットしたら風があたらないよう冶具付属の覆いをし、15分間安定化させた。安定化したら測定を開始し、数字を読みとった。別の試料を測定する場合は同じ作業を繰り返す。
(ii)硬度:ASTM D2240 Shore C
(iii)粘度:精密回転粘度計
実施例25〜32と比較例13,14、これに対応して実施例33〜40と比較例21,22を比較する。各実施例品は、炭素繊維又はグラファイト粉と小粒径セラミックス粉体を併用しても硬度があまり上昇することがない熱伝導性樹脂組成物を得ることができた。そのうえ炭素繊維の系では小粒径セラミックス粉体を添加することでコンパウンドにまとまりがでて粘度が測定できるようになった。これはコンパウンドが、ぱさつかない(粘性を保つ)ことを示しておりシート成形性が格段によくなったことを示す。さらに、実施例25〜32と比較例15〜18これに対応して実施例33〜40と比較例23〜26を比較する。小粒径セラミックス粉体の添加が少ないと平面方向の熱伝導率も向上しないことがわかる。とくに炭素繊維の系は小粒径セラミックス粉体併用の効果が際だっている。小粒径セラミックス粉体の種類にかかわらず炭素繊維又はグラファイト粉と併用することによって平面方向の熱伝導率が向上することもわかる。
【0061】
しかし、実施例25〜32と比較例17,18これに対応して実施例33〜40と比較例25,26を比較してもわかるとおり小粒径セラミックス粉体を添加しすぎると炭素繊維又はグラファイト粉が充填できなくなる場合もある。また、比較例19,20,27,28のように小粒径セラミックス粉体を表面処理しないとコンパウンドの粘度は高くなるうえコンパウンドが硬化しない。
【0062】
比較例29は炭素繊維長が長い場合である検討である。炭素繊維長が長いとエラストマー分に充填できない。
【0063】
(実施例41〜44、比較例30〜34)
これまでは液状のエラストマーの評価であったが、ここからは粘土状のエラストマーの実施例と比較例を説明する。検討には以下の材料を使用した。
【0064】
(エラストマー成分)
ミラブル型シリコーンゴム(製品名:TSE201 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
(架橋材)
シリコーン用架橋材(製品名:TC−25B モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
(小粒径セラミックス粉体)
平均粒径0.4μmのアルミナ AL160SG−1 昭和電工株式会社製
平均粒径0.4μmの酸化亜鉛 酸化亜鉛1種 ハクスイテック社製
(金属系フィラー)
平均粒径20〜25μmの銅粉 日鉱マテリアルズ製
(硬化剤又は加硫剤)
シリコーン用硬化剤(TC−25A モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製社製)
(コンパウンド作成方法)
二本ロールでポリマー成分に炭素繊維又はグラファイト粉,小粒径セラミックス粉体,金属系フィラー,硬化剤又は加硫剤を投入して10分撹拌した。
【0065】
(シート成形方法)
フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムに厚さ2mmの金型を置きコンパウンドを仕込みもう一枚のフッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを載せた。これを5MPaの圧力で25℃、1分で仮成形した。仮成形したシートを120℃に設定した熱風循環式オーブンで30分加熱し、取り出し冷却することによって熱伝導性樹脂組成物を得た。
【0066】
【表7】

実施例41〜44と比較例30〜31を比較する。グラファイト粉又は炭素繊維を表面処理しないとエラストマーの硬化が不充分になることがわかる。
【0067】
また、実施例41〜44と比較例32〜35を比較してもわかるとおり炭素繊維又はグラファイト粉と小粒径セラミックス粉体を併用することによって小粒径セラミックス粉体を併用しない場合よりも平面方向の熱伝導率が向上する。しかしながら小粒径セラミックス粉体を添加しすぎると炭素繊維又はグラファイト粉が充填できなくなる。小粒径セラミックス粉体は適度な添加量であることが重要であることがわかる。
【0068】
(実施例45〜46、比較例36〜41)
次はエラストマー成分をポリイソブチレンにして検討をおこなった。
【0069】
(エラストマー成分)
ポリイソブチレン(製品名:EP200A カネカ社製)
水素化α−オレフィン(製品名:PAO−5010 出光興産製)
(架橋材)
ポリイソブチレン用メチルハイドロジェンポリシロキン(製品名:CR300 カネカ社製)
(小粒径セラミックス粉体)
平均粒径0.4μmのアルミナ AL160SG−1 昭和電工株式会社製
平均粒径0.4μmの酸化亜鉛 酸化亜鉛1種 ハクスイテック社製
なお、小粒径セラミックス粉体AL160SG−1,酸化亜鉛1種は表面処理をおこなった。処理方法は前記実施例同様とした。
【0070】
(金属系フィラー)
平均粒径20〜25μmの銅粉 日鉱マテリアルズ製
(硬化剤又は加硫剤)
ポリイソブチレン硬化剤 PT−VTSC−3.0IPA ユミコアプレシャスメタルズ・ジャパン社製
(遅延剤)
サーフィノール61 日信化学工業製
(コンパウンド作成方法)
プラネタリーミキサーにポリマー成分に炭素繊維又はグラファイト粉,小粒径セラミックス粉体,大粒径セラミックス粉体,硬化剤又は加硫剤を投入して脱泡しながら5分間撹拌した。
【0071】
(シート成形方法)
フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムに厚さ2mmの金型を置き、コンパウンドを仕込み、もう一枚のフッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを載せる。これを5MPaの圧力で120℃、30分加熱し、その後冷却し熱伝導性樹脂組成物を得た。
【0072】
以上の条件と結果を表8に示す。
【0073】
【表8】

測定方法は前記実施例同様でおこなった。可塑度についてはウォーレス可塑度計を用いて測定した。
【0074】
実施例45,46と比較例36,37を比較すると、小粒径セラミックス粉体を表面処理しないとコンパウンドの粘度は高くなるうえコンパウンドが硬化しないことがわかる。実施例45,46と比較例38〜41を比較すると、グラファイト粉又は炭素繊維を表面処理しないとエラストマーの硬化が不充分になることがわかる。
【0075】
以上の実施例から、炭素繊維又はグラファイト粉を金属アルコキシドで処理することによってその炭素繊維又はグラファイト粉含有エラストマーの硬化ができるようになった。それに加え、シランで表面処理した小粒径セラミックス粉体を添加することで、平面方向の熱伝導率が向上し、かつコンパウンドが、ぱさつき性がなくなり、コンパウンドにまとまり性が発現した。とくに炭素繊維の場合は効果絶大であった。また、白金触媒による硬化が可能になったことで押し出し成形が可能となった。
【0076】
実施例45のコンパウンド(配合物)を用いて押し出し成形をした。その形状を図1〜3に示す。図1Aはコの字形押し出し品1の断面図、図1Bは電池2に前記押し出し品1を組み込んだ断面図、図2Aは半円形押し出し品3の断面図、図2Bは電池4に前記押し出し品3を組み込んだ断面図、図3Aは平形押し出し品6の断面図、図3Bは前記押し出し品6を発熱素子5とヒートシンク7との間に組み込んだ断面図である。本発明の実施例品は、このような用途に好適であるほか、一般的な発熱体からの熱伝導シートとしても有用である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、プラズマディスプレイ、ノートパソコン、ゲーム機、燃料電池、発光ダイオード(LED)等の発熱性電子部品の熱伝導シートとして有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 コの字形押し出し品
2,4 電池
3 半円形押し出し品
5 発熱素子
6 平形押し出し品
7 ヒートシンク



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エラストマー成分100質量部と、
(b)平均繊維長50〜300μm、平均繊維径5〜15μmの炭素繊維又は平均粒径1〜150μmのグラファイト粉50〜600質量部と、
(c)セラミックス粉体(d)に比べて相対的に小粒径のセラミックス粉体50〜500質量部と、
(d)金属系フィラー又はセラミックス粉体(c)に比べて相対的に大粒径のセラミックス粉体0〜500質量部と、
(e)硬化剤又は加硫剤0.05〜20質量部
を含み、平面方向の熱伝導率が8W/m・K以上であり、硬化していることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(a)成分は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびゴムから選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(a)成分は、シリコーンゴムである請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(b)成分は、M(OR)n、但しMは3〜6価の金属原子、nは3〜6、Rはメチル基,エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,iso−ブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,フェニル基である金属アルコキシド、もしくはその部分加水分解物で表面処理されている請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(b)成分は、請求項4の表面処理をしたうえでさらにR'(CH3aSi(OR")3-a(但し、R'は炭素数6〜20の非置換または置換有機基、R"は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)のシラン、もしくはその部分加水分解物で表面処理されている請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(a)成分は熱硬化性樹脂であり、加硫剤および/又は硬化剤とを含む請求項2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(a)成分はシリコーンゴムであり、白金触媒により硬化されている請求項3に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項8】
前記熱伝導性樹脂組成物は、押出し成形が可能である請求項1〜7のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項9】
前記(c)成分は、平均粒径0.02〜1.5μmの金属酸化物及び窒化物から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項10】
前記金属酸化物はアルミナ,酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化珪素及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一種であり、前記窒化物は窒化硼素,窒化アルミニウム及び窒化チタンから選ばれる少なくとも一種である請求項9に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項11】
前記(c)成分は、R(CH3aSi(OR')3-a(Rは炭素数6〜20の非置換または置換有機基、R'は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)のシラン、もしくはその部分加水分解物で被覆処理されている請求項1又は9に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項12】
前記(d)成分は、平均粒径10〜150μmの金,銀,銅,白金,鉄,錫,亜鉛,インジウム,ニッケル及びクロムから選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項13】
前記(d)成分は、M(OR)n、但しMは3〜6価の金属原子、nは3〜6、Rはメチル基,エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,iso−ブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,フェニル基である金属アルコキシド、もしくはその部分加水分解物で表面処理されている請求項1又は12に記載の熱伝導性樹脂組成物。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−174139(P2010−174139A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18465(P2009−18465)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000237422)富士高分子工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】