説明

熱分析装置及びその乾燥方法

【課題】冷却装置の接続状態によって乾燥条件を適切に選択して乾燥動作の制御を行なうことで、手動による作業手間を少なくすることができ、しかも確実に水分等を取り除くことができる。
【解決手段】熱分析装置10は、ヒーター及び冷却装置30を使用してパージボックス11内の温度を上昇又は下降させるものである。熱分析装置10の乾燥方法は、予め、冷却装置30の接続状態に応じた乾燥条件を設定しておき、熱分析装置10を起動させると共に始業時乾燥の制御が開始され、選択された冷却装置30の接続状態に対応した乾燥条件にしたがって、冷却装置30が停止された状態で所定量の乾燥ガスPをパージボックス11内に供給し、その乾燥ガスPの温度を温度制御部21で制御することで乾燥動作を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、示差走査熱量計などの熱分析装置及びその乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、示差走査熱量計などの熱分析装置では、その内部に炉体を備え、その炉体内にサンプル(試料)を収容し、加熱装置及び冷却装置を用いてそのサンプルの温度を上昇或いは下降させて温度変化させることでサンプルの熱の出入りをその熱量で測定し、分析していた。この測定中、常時或いは一時的に炉体は例えば−70℃〜−150℃の温度に低下させている。すなわち、炉体部やその周囲などは継続して冷やした状態であって結露しやすい状態となっている。とくにサンプルを熱分析装置に出し入れする際に、熱分析装置の開閉蓋を開けると、外気が炉体及びケース内に流れ込み、炉体部やその周囲、さらには熱電対などの温度センサーなどに結露が発生して水滴や霜が付着することがある。このように霜がついた状態で測定を行うと、測定温度に変動が生じ、測定されるデータにノイズが発生して正確な測定値が得られない原因となっていた。そこで、熱分析装置に所定量の乾燥ガスを連続して供給することで装置内を乾燥状態とし、必要に応じて大量の追加乾燥ガスを手動で供給する方法が行われていた。
【0003】
そこで、このような手動で行われている乾燥ガスの供給を自動供給して結露の発生を抑制させる方法が、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1は、熱分析装置の外郭をなす外側ケースに設けられている開閉蓋の開閉状態を検知する開閉検知スイッチが設けられ、この開閉検知スイッチのON/OFF信号によって乾燥ガスの供給を制御するものである。すなわち、サンプルの出し入れ時などで開閉蓋を開けた際に大量の乾燥ガスを熱分析装置内の炉体の周囲に供給する構成であるため、開閉蓋からの外気の侵入を遮蔽することができ、炉体の周辺に結露や着霜が生じないようにするものである。
【特許文献1】特開平10−104182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で用いられる熱分析装置は、その電源を起動させる時点、すなわち冷却装置を作動させる前において熱分析装置の内部湿度が外気と同等になっていることが考えられ、その状態で冷却装置を作動させると、装置内に残留した水分が原因で熱分析装置内に結露や霜などが発生することになる。これらの水分、とくに冷却部に付着した水分等は、その後で乾燥ガスを供給したり、試料周辺を加熱してもなかなか取り除くことができないといった欠点があった。したがって、特許文献1のような開閉蓋の開閉時に追加乾燥ガスを自動供給するだけでは、測定時に既に付着している水分を十分に取り除くことができなく、この水分が温度を変動させる原因となり、測定データのノイズを発生させていた。
また、別途、冷却装置の作動前に追加乾燥ガスを手動により供給して乾燥させると共に試料周辺のヒーターブロックを加熱して乾燥を加速させる事も行われているが、冷却装置の作動前にガス乾燥とヒーターブロックの加熱との併用で乾燥を行う場合、乾燥温度を上げ過ぎると、例えば冷却装置が電気冷却装置の場合に、熱分析装置に挿入接続されている冷却部(冷却棒の先端)が破損するといった問題があった。このように、冷却装置の種類や接続状態など冷却方法によって好適となる乾燥時間や乾燥温度が異なることから、その管理が難しく手間のかかる作業となっていた。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、冷却装置の接続状態によって乾燥条件を適切に選択して乾燥動作の制御を行なうことで、手動による作業手間を少なくすることができ、しかも確実に水分等を取り除くことができる熱分析装置及びその乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る熱分析装置では、試料を内部に収容するヒーターブロックに冷却ブロックが接続され、これらの外郭をなすパージボックスを備えた炉体部をもつ熱分析装置において、熱分析装置の起動に反応して炉体部を所定時間乾燥する炉体部乾燥手段を有することを特徴としている。
また、本発明に係る熱分析装置の乾燥方法では、試料を加熱するヒーターブロックを備える共にヒーターブロックに接続された冷却ブロックと、これらの外郭をなすパージボックスをもつ熱分析装置おいて、熱分析装置の起動を受けて、試料の熱分析測定前に炉体部を乾燥する工程を有することを特徴としている。
本発明では、熱分析装置を起動させたときにパージボックス内の乾燥を開始させて、冷却装置の作動前に付着している結露や霜などの水分を測定時前の時点で確実に取り除くことができる。すなわち、試料の熱分析測定前には乾燥された状態となることから、測定時のデータに水分によるノイズを発生させることがなく、正確な測定を行うことができる。
【0007】
また、本発明に係る熱分析装置では、炉体部乾燥手段は、炉体部に乾燥用ガスを流入させるガス流入手段と、ヒーターブロックの温度を制御するヒーターブロック温度制御手段とからなることが好ましい。
本発明では、ガス流入手段によって乾燥ガスをパージボックス内に供給し、ヒーターブロックの温度をヒーターブロック温度制御手段によって温度制御して乾燥動作を行なうことができる。
【0008】
また、本発明に係る熱分析装置では、炉体部乾燥手段は、冷却ブロックに接続する冷却装置の種類に応じて、ガス流入条件、制御温度条件を変えることが好ましい。
本発明では、冷却ブロックに接続されている冷却装置の種類に好適な乾燥条件、すなわち乾燥ガスの供給量、乾燥温度にしたがって乾燥を行うことができる。
【0009】
また、本発明に係る熱分析装置では、冷却装置が電気冷却装置であるときに、ヒーターブロック温度制御手段は、ヒーターブロックの温度を、冷却装置の停止状態において第一温度にし、電気冷却装置の起動を確認した後、第一温度より高温となる第二温度にすることが好ましい。
本発明では、電気冷却装置の冷却部を破損しない程度の第一温度で乾燥させ、その後、電気冷却装置を作動させて冷却部(冷却棒)の周囲を冷却してから高温の第二温度に上げて乾燥させることができ、二段階で念入りな乾燥が行える。
【0010】
また、本発明に係る熱分析装置では、試料を内部に収容するヒーターブロックに冷却ブロックが接続され、これらの外郭をなすパージボックスを備えた炉体部をもつ熱分析装置において、熱分析装置の終業指示操作に反応して、電源が切れる前に炉体部を所定時間乾燥する炉体部乾燥手段を有することを特徴としている。
本発明では、終業時に、終業指示操作を行うことでパージボックス内の乾燥が行われ、次に熱分析装置を使用するときにパージボックスの内部が結露しないようにすることができる。とくに、電気冷却装置を使用する場合、熱分析装置の電源切断後においてもしばらく冷却ブロックが冷えた状態となっており、その周囲に結露などが発生することがあったが、電源が切れる前に乾燥を行うことでパージボックス内における冷却状態を防ぐことができ、このような結露の発生を抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係る熱分析装置の乾燥方法では、乾燥工程は、乾燥ガスをパージボックス内に供給し、ヒーターブロックの温度を温度制御部で管理して乾燥動作を制御する工程であることが好ましい。
本発明では、パージボックス内に供給された乾燥ガスのガス流量とヒーターブロックの温度を制御して、例えば冷却装置の接続状態に応じた乾燥制御を行なうことができる。
【0012】
また、本発明に係る熱分析装置の乾燥方法では、予め、冷却装置の接続状態に応じた乾燥条件を設定しておく工程と、熱分析装置の起動に連動させて始業時乾燥の制御を開始する工程と、冷却装置の接続状態を選択する工程と、選択した冷却装置の接続状態に対応した乾燥条件にしたがって、試料の熱分析測定前に炉体部を乾燥する乾燥工程を有することが好ましい。
本発明では、熱分析装置の電源を入れた時点で始業時乾燥の制御が開始され、熱分析装置を冷却するための冷却装置の接続状態を選択する操作を行うことで、冷却装置の接続状態に応じて設定された乾燥条件、すなわち乾燥ガスの供給量、供給時間、乾燥温度などにしたがって乾燥動作を自動制御することができる。そのため、従来のように乾燥条件に基づいて手動操作して管理するといった手間をなくすことができる。
【0013】
また、本発明に係る熱分析装置の乾燥方法では、冷却装置が電気冷却装置であるときに、電気冷却装置の停止状態においてヒーターブロックの温度を制御して、第一温度で一次乾燥させた後、冷却装置を作動させて第一温度より高温となる第二温度で二次乾燥させることが好ましい。
本発明では、例えば電気冷却の場合において、ヒーターブロックの温度を制御して、電気冷却装置の冷却部を破損しない程度の第一温度で一次乾燥させ、その後、電気冷却装置を作動させて冷却部(冷却棒)の周囲を冷却してから高温の第二温度に上げて二次乾燥させることができ、二段階で念入りな乾燥が行える。これにより、一次乾燥で取りきれない部分を第二温度にして、二次乾燥で確実に取り除いて仕上げを行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る熱分析装置の乾燥方法では、冷却装置が電気冷却装置であるときに、二次乾燥を行う前に熱分析装置と電気冷却装置との接続状態を確認することが好ましい。
本発明では、始業時乾燥の制御開始時に選択した電気冷却装置の接続状態を、二次乾燥前の段階で再確認することができる。つまり、二次乾燥で高温乾燥する前の段階で電気冷却装置の作動状態を確認し、電気冷却装置の破損などを防止することができ、冷却方法選択の間違いの有無などもチェックすることができる。その確認方法としては、例えばヒーターブロックの温度を第一温度より低い温度であって室温以下のとなるように制御温度を設定し、その制御温度に低下する場合は電気冷却装置が正常に作動しているものと判断し、継続して高温(第二温度)で二次乾燥を行う。一方、制御温度に低下しない場合は、電気冷却装置が正常に作動していないものと判断し、例えばエラー表示するなどして電気冷却装置の接続状態を再確認することができる。
【0015】
また、本発明に係る熱分析装置の乾燥方法では、測定の終業指示操作を行ったときに、終業時乾燥の制御が開始され、所定量の乾燥ガスをパージボックス内に供給して乾燥動作を行うようにすることが好ましい。
本発明では、終業時に、終業指示操作を行うことで乾燥制御が実施され、次に熱分析装置を使用するときにパージボックスの内部が結露しないようにすることができる。とくに、電気冷却装置を使用する場合、熱分析装置の電源切断後においてもしばらく冷却ブロックが冷えた状態となっており、その周囲に結露などが発生することがあったが、終業時乾燥を行うことでパージボックス内における冷却状態を防ぐことができ、このような結露の発生を抑制することができる。
【0016】
また、本発明に係る熱分析装置の乾燥方法では、終業時乾燥における乾燥動作が終了した後に、熱分析装置の電源を自動で切断させるように制御することが好ましい。
本発明では、例えば熱分析装置に主電源切断装置を備えておき、所定時間経過後に作動するように制御させることで、乾燥終了時に熱分析装置を自動で切断することができる。
【0017】
また、本発明に係る熱分析装置の乾燥方法では、終業時乾燥では、熱分析装置の周囲と同温度で乾燥させることが好ましい。
本発明では、測定終了後に試料が、熱分析装置内に収容された状態の場合であっても、乾燥温度が高温でなく熱分析装置の周囲と同温度であるため、試料が溶けるような不具合をなくすことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の熱分析装置及びその乾燥方法によれば、熱分析装置を起動させたときにパージボックス内の乾燥を開始させ、冷却装置の作動前に付着している結露や霜などの水分を測定時前の時点で確実に取り除くことができる。そのため、測定時のデータに水分によるノイズを発生させることがなく、正確な測定を行うことができる。また、例えば冷却装置の接続状態に応じた乾燥条件、すなわち乾燥ガスの供給量、供給時間、乾燥温度などを炉体部乾燥手段によって乾燥制御することで、従来のように手動操作によって乾燥条件を管理するといった手間がなくなり、効率よく、しかも確実に乾燥させることができる。さらに長時間装置を使用しない場合、乾燥ガスを流し続けなくても、使用時に適切に乾燥できるため、乾燥ガスを長期間流す無駄を防ぐ効果がある。
また、本発明の熱分析装置では、終業時に、終業指示操作を行うことでパージボックス内の乾燥動作を制御させることができ、次に熱分析装置を使用するときにパージボックスの内部が結露しないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態による熱分析装置及びその乾燥方法について、図1乃至図8に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態による熱分析装置の乾燥方法の全体概要を示すブロック図、図2は熱分析装置を示す図、図3は電気冷却以外を選択したときの始業時乾燥のフローチャート、図4は電気冷却以外を選択したときの始業時乾燥のシーケンス図、図5は電気冷却選択時における始業時乾燥のフローチャート、図6は電気冷却選択時における始業時乾燥のシーケンス図、図7は終了時乾燥のフローチャート、図8は終了時乾燥のシーケンス図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態による熱分析装置の乾燥方法は、物質に起こる物性変化(構造相転移、熱変性、融解、結晶化等)を検出するために熱分析を行い、熱の出入りの量を測定することができる示差走査熱量計などの熱分析装置10に採用されるものである。
【0021】
先ず、熱分析装置10の構成について図面に基づいて説明する。
図2に示すように、本実施の形態による熱分析装置10は、外郭をなすパージボックス11内に測定対象となるサンプルM(試料)と熱的に不活性な基準物質をなす基準サンプルNとを収容させるためのヒートシンク12(ヒーターブロック)を設けたものである。そして、このヒートシンク12の温度を上昇或いは下降させながら、サンプルMと基準サンプルNとの温度差を熱電対などの温度センサー(図示省略)を用いて検出することにより、単位時間当たりにサンプルMに出入りする熱流量を測定するものである。
サンプルMおよび基準サンプルNは、それぞれヒートシンク12の底盤12aに設置されたサンプルホルダ13、13に収納され、ヒートシンク12内部のほぼ中央に配置されている。ここで、サンプルMは測定対象となる物質であり、基準サンプルNは熱的に不活性な物質であり、サンプルMと同じ特性のサンプルホルダ13内に収納されている。
【0022】
そして、熱分析装置10には、ヒートシンク12を加熱するためのヒーター14(加熱装置)が設けられている。このヒーター14によりヒートシンク12を加熱することで、サンプルMを例えば500℃程度に上昇させて測定を行うことができる。また、熱分析装置10には、サンプルMを例えば−150℃程度の室温以下に下降させて測定を行うために、熱伝導体15を介してヒートシンク12を下方から冷却する冷却ブロック16が設けられている。
【0023】
そして、図2に示すように、ヒートシンク12、ヒーター14、熱伝導体15及び冷却ブロック16は、架台17に載置された状態でバージボックス11内に装備されている。このパージボックス11は、上部に開口が形成され、その開口に手動或いは電動によって開閉可能な外蓋18が設けられ、その外蓋18の閉鎖時にパージボックス11の内部を密閉できるようになっている。ここで、本発明の炉体部とは、パージボックス11と、そのパージボックス11内でヒートシンク12や冷却ブロック16が配置されている空間とに相当する。
また、ヒートシンク12は、その内部の温度分布を均一にするために、銀や銅等の熱伝導性の良い金属を用いて製作された肉厚の容器状をなし、上端開口部に同様の金属製の内蓋19が設けられている。
【0024】
図2に示すヒーター14は、上述したようにヒートシンク12を加熱するための加熱手段であり、このヒートシンク12の側面周囲を囲むようにコイル状に配置された電熱ヒーターなどが採用されている。なお、このような電熱ヒーター以外のヒーターを用いることも勿論可能である。
そして、図1に示すように、ヒーター14は、温度制御部21(後述する)によって制御されるようになっている。また、ヒートシンク12内には、このヒートシンク12の温度を検出するための熱電対などの温度センサー(図示省略)が備えられている。
【0025】
図1に示すように、温度センサーによって検出されたサンプルMと基準サンプルNの温度は、それぞれアンプ22に送られ、示唆走査熱量測定信号(以下、DSC信号とする)としてCPU40に送られる。そして、熱分析装置10は、ヒートシンク12の温度を所定の温度プログラム23にしたがって温度制御部21で制御しながら、この時のサンプルMと基準サンプルNとの温度差からDSC信号を測定してデータ処理装置(CPU40)で熱分析処理するものである。
【0026】
ここで、CPU40は、記憶部を有し、パーソナルコンピュータ(以下、「パソコン42」と略称する)に接続されると共に、アンプ22、温度プログラム23、後述する乾燥ガス供給手段50の電磁弁コントローラ53、主電源切断装置41のそれぞれに接続されている。
また、CPU40の記憶部には、詳しくは後述するが、冷却装置の接続状態(本実施の形態では電気冷却又は電気冷却以外の二種類)に応じて異なる乾燥条件(例えば乾燥ガスの供給量、乾燥時間、乾燥温度、冷却装置のON/OFFなど)が予め設定されている。そして、乾燥制御の実行中にはこれらの乾燥条件に基づいて各機器を制御して、熱分析装置10(パージボックス11)内を好適な乾燥条件により乾燥させるように構成されている。
なお、主電源切断装置41は、後述する終業時乾燥の制御を動作させたときに、乾燥終了後に熱分析装置10の電源をOFFにするものである。主電源切断装置41の詳細につては、後述の乾燥方法で説明する。
【0027】
また、熱分析装置10には、通常、測定の際にヒートシンク12内にパージガスを例えば50mL/min程度の流量で流し続けるため、外部からヒートシンク12内にパージガスを供給するためのパージガス管路60(詳しくは後述する)が配設されている。
【0028】
図2に示す冷却ブロック16は、ヒートシンク12を冷却するための冷却手段である。図1に示すように、この冷却ブロック16は、パージボックス11の外方に設けられる液化窒素冷却装置(符号30Aとする)や電気冷却装置(符号30Bとする)などの冷却装置30を選択して着脱(交換)可能な構成により接続されている。
液化窒素冷却装置30Aは、窒素ガスなどの冷媒を冷却ブロック16内を通過させ、そのガス流量を調整することで冷却ブロック16の温度を変えることができる。電気冷却装置30Bは、冷却棒(図示省略)の先端を冷却ブロック16の略中央に達するように挿入させ、ほぼ一定温度で冷却ブロック16を冷却するものである。
また、冷却装置30には、ON/OFF制御盤31を介してCPU40に接続されている。これにより、冷却装置30は、必要に応じてCPU40によってON/OFF制御がなされ、起動と停止の動作が管理されている。
【0029】
図1に示すように、温度制御部21は、温度プログラム23を介してCPU40に接続され、このヒートシンク12の温度が所定の温度プログラム23に追従するように、ヒーター14の加熱量と冷却ブロック16の吸熱量を制御する装置である。
すなわち、ヒートシンク12の温度が温度プログラム23で設定された温度よりも低くなると、ヒーター14による加熱量を増加させ、ヒートシンク12の温度が高すぎると加熱量を減少させたり加熱を停止させる。また、このヒートシンク12の温度を室温よりも低い温度まで低下させたり、急速に温度を降下させる場合には、冷却装置30を用いて吸熱量を調整する。ただし、冷却ブロック16は、電気冷却装置30Bのように常時、ほぼ一定温度で冷却させる場合には、吸熱量の調整ができないことから、温度制御部21は、ヒーター14のみを制御して温度制御を行う。
ここで、本実施の形態では、上述した温度センサー、温度制御部21、アンプ22、温度プログラム23、CPU40が本発明のヒーターブロック温度制御手段に相当する。
【0030】
次に、図1に示すように、本熱分析装置10には、乾燥ガス供給手段50(本発明のガス流入手段に相当)が設けられている。この乾燥ガス供給手段50は、熱分析装置10の外部から電磁弁52を介してパージボックス11内に乾燥ガスPを供給するための乾燥ガス管路51が配設され、電磁弁52の開閉をコントロールする電磁弁コントローラ53を備えて構成されている。乾燥ガス管路51は、乾燥ガスPをパージボックス11内の底部から供給させるようになっている。乾燥ガスPは、結露や着霜を防ぐための、水分をほとんど含まないガスであり、パージガスと同様の不活性ガスでもよいし、空気から湿気を取り除いたもの等を用いることもできる。
【0031】
乾燥ガス管路51は、その中間部において分岐合流部を有し、その一方が後述する乾燥維持ガスP1の流路をなす第一分岐管路51Aとされ、他方が後述する乾燥追加ガスP2の流路をなす第二分岐管路51Bとされる。そして、第一分岐管路51Aには第一電磁弁52Aが設けられ、第二分岐管路51Bには第二電磁弁52Bが設けられている。さらに、この分岐合流部をなす第一及び第二分岐管路51A、51Bより上流側には、減圧弁54が設けられている。
【0032】
第一及び第二電磁弁52A、52Bは、上述したように電磁弁コントローラ53によって流路の開閉を制御させて乾燥ガスPの供給量を可変させるバルブである。電磁弁コントローラ53は、CPU40に接続されていて、後述する始業時乾燥や終業時乾燥の制御動作に応じて第一及び第二電磁弁52A、52Bの流路を開いて、乾燥ガスPをパージボックス11内に流すようになっている。
第一電磁弁52Aを開けたときに所定の流量(これを乾燥維持ガスP1とする)がパージボックス11内に流れ、さらに第二電磁弁52Bを開けたときに所定の流量(これを追加乾燥ガスP2とする)がパージボックス11内に流れる。つまり、両電磁弁52A、52Bの開放時には、例えば1〜5L/min程度の大量の乾燥ガスPを供給できるようになっている。
ここで、本発明の炉体部乾燥手段とは、上述したヒーターブロック温度制御手段と乾燥ガス供給手段50(ガス流入手段)とされる。
【0033】
また、熱分析装置10には、外部からマスフロー61を介してヒートシンク12内にパージガスを供給するためのパージガス管路60が配設されている。パージガスは、ここでは窒素ガス、ヘリウムガス又はアルゴンガス等の不活性ガスを用いる。マスフロー61は、マスフローコントローラ62によってパージガスの流量が制御され、測定の際にヒートシンク12内にパージガスが例えば50mL/min程度の流量で流れるように調整される。
【0034】
次に、熱分析装置10における乾燥方法について、動作フローチャートやシーケンス図などの図面を用いて説明する。
本乾燥方法は、図1に示す熱分析装置10の主電源を、使用者がON操作することで開始される始業時乾燥と、使用者が測定終了時に終業指示操作をすることで開始される終業時乾燥とを自動制御するものである。ここで、冷却装置30の接続状態に対応する乾燥条件は、予めCPU40に設定されているものとする。
先ず、始業時乾燥の動作フロー(乾燥方法)について説明する。
図1及び図3に示すように、ステップS1で熱分析装置10の電源を使用者が手動で入れる(起動する)と、乾燥維持ガスP1の第一電磁弁52AがONとなって開く(ステップS2)。それと共に、パージボックス11内の待機温度K1(図4参照)が例えば30℃となるように、ヒーター14が温度制御部21によって制御される(ステップS3)。これにより、例えば0.5l/minのガス流量の乾燥維持ガスP1が、第一分岐管路51Aを通過して熱分析装置10(パージボックス11)内に供給されることになる。なお、待機温度K1は、30〜40℃に設定することが好ましいとされる。
【0035】
続いて、ステップS4で冷却方法、すなわち熱分析装置10(冷却ブロック16)に接続されている冷却装置30の種類を使用者が選択する。具体的には、電気冷却(電気冷却装置30B)及び電気冷却以外(すなわち、液化窒素冷却装置30Aを使用する場合又は冷却装置31を使用しない場合)のどちらか一方が選択されることになる。ここで、ステップS4における選択操作は、パソコン42を用いて行われる。
【0036】
ステップS4において、電気冷却以外であることが選択された場合(ここでは、冷却装置30として液化窒素冷却装置30Aが冷却ブロック16に接続された状態の場合)、ステップS10に進み、第二電磁弁52BがONとなって開き、第二分岐管路51Bに追加乾燥ガスP2が流れるようになり、熱分析装置10(パージボックス11)内に乾燥維持ガスP1に加えて追加乾燥ガスP2が供給され、乾燥動作が開始される(図4参照)。次いで、図4に示すように、第一乾燥時間T1は例えば60分に設定され、このときの乾燥温度K2は、100℃以上とすることが好ましく、例えば125℃に設定されている(ステップS11)。また、追加乾燥ガスP2のガス流量は、例えば1〜5L/minとされる。
【0037】
そして、第一乾燥時間T1の経過が確認されると(ステップS12:YES)、乾燥動作が終了し(ステップS13)、第二電磁弁52Bが閉じて追加乾燥ガスP2の供給が停止され、図4に示すようにパージボックス11内に乾燥維持ガスP1のみが供給されて、乾燥状態が継続されることになる(ステップS14)。さらに、そのときの待機温度K3は、乾燥動作前の待機温度K1と同温で、例えば30℃となるように制御される(ステップS15)。ここまでが始業時乾燥の動作フローであり、測定準備が完了する(ステップS16)。
【0038】
次に、図3で説明したステップS4で電気冷却が選択された場合の動作フローについて、図5、図6などを用いて説明する。
図5は電気冷却が選択された場合の動作フローを示したものであり、ステップS1〜S4までは、上述した図3の電気冷却以外の場合と同様であるため説明を省略する。
図1及び図5に示すように、ステップS4において、電気冷却(電気冷却装置30B)が選択された場合、ステップ20に進み、第二電磁弁52BがONとなって開き、第二分岐管路51Bに追加乾燥ガスP2が流れるようになり、熱分析装置10(パージボックス11)内に乾燥維持ガスP1に加えて追加乾燥ガスP2が供給され、乾燥動作が開始される(図6参照)。このときの乾燥を一次乾燥とする。
【0039】
図6に示すように、第二乾燥時間T2は例えば60分に設定され、ヒートシンク制御温度K4(本発明の第一温度に相当)は、例えば125℃に設定されている(ステップS21)。なお、このときの追加乾燥ガスP2のガス流量は、例えば1〜5L/minとされる。また、この時点における電気冷却装置30Bの電源はOFF(停止状態)となっており、さらに、乾燥維持ガスP1と乾燥追加ガスP2が継続して供給されている状態となっている。この一次乾燥時において、制御温度K4は、作動していない電気冷却装置30Bの先端(冷却ブロック16への挿入部)が高温により破損することのない程度のヒートシンク制御温度(本実施の形態では、上述したように125℃に設定)に設定することが好ましい。
【0040】
第二乾燥時間T2(60分)の経過が確認されると(ステップS22:YES)、電気冷却装置30Bの電源がON/OFF制御盤31によってONとなり、冷却ブロック16が冷却される。そして、電気冷却装置30BがONになってから所定時間(これを第一固定時間T3とし、例えば10分とする)が経過したときにステップS23で電気冷却装置30Bの接続確認が実施される。つまり、ステップS23では、熱分析装置10内のヒートシンク12の制御温度(確認温度K5とする)を例えば5℃に設定し、例えば5分(これを第二固定時間T4とする)の間、確認温度K5で制御する。
【0041】
そして、電気冷却装置30Bが作動していてヒートシンク12の温度が確認温度K5(5℃)になった場合(ステップS23:YES)、ステップS25に進む。一方、熱分析装置10内の乾燥ガスPの温度が、設定された確認温度K5(5℃)にならないとき(ステップS23:NO)には冷却装置30が正常に作動していないものと判断され、ステップS24で例えばエラー表示がなされる。
なお、ステップS23においてNOとなる場合としては、電気冷却装置30B(冷却棒)が取り付けられていない場合(液化窒素冷却装置30Aなどが接続されている場合)や電気冷却装置30Bの故障などが推定される。つまり、電気冷却装置30B以外の冷却装置や接続されていない場合には、5℃に下がらないため、冷却装置30の接続状態を正常にセットしなおすなど再確認する必要がある。なお、電気冷却装置30Bが正常に接続されていれば、制御温度の5℃に下がる。
【0042】
次に、ステップS23で電気冷却装置30Bが正常に接続され且つ作動されているものと判断されると、電気冷却装置30Bを作動させた状態でヒートシンク制御温度K6(本発明の第二温度に相当)を例えば450℃となるように温度制御させて二次乾燥が開始される(ステップS25)。そして、このときの第三乾燥時間T5は例えば45分に設定される。すなわち、一次乾燥開始から二次乾燥終了までは2時間となる。
【0043】
そして、第三乾燥時間T5(45分)の経過が確認され(ステップS26:YES)、二段階(一次乾燥及び二次乾燥)の乾燥動作が終了すると(ステップS27)、第二電磁弁52Bが閉じて追加乾燥ガスP2の供給が停止され、図6に示すようにパージボックス11内には乾燥維持ガスP1のみが供給され、乾燥状態が維持されることになる(ステップS28)。そして、そのときの待機温度K7は、乾燥動作前の待機温度K1と同温で、例えば30℃となるように設定される(ステップS29)。ここまでが電気冷却装置30Bが接続されている場合の始業時乾燥の動作フローであり、測定準備が完了する(ステップS201)。
【0044】
上述した液化窒素による冷却の場合は、そのガス供給を停止させれば冷却が停止するが、電気冷却の場合、電気冷却装置30Bの冷却部(冷却棒)を破損しない程度の乾燥温度K4(125℃)で一次乾燥させ、その後、電気冷却装置30Bを作動させて冷却ブロック16の周囲を冷却してから高温の乾燥温度K6(450℃)に上げて二次乾燥させることで始業時乾燥を行う。このように、一次乾燥と二次乾燥の二段階で念入りに乾燥させることで、冷却装置30の作動前に付着している結露や霜などの水分を確実に取り除くことができる。つまり、一次乾燥で取りきれない部分を、二次乾燥で仕上げを行うことができる。
【0045】
なお、とくに図示はしないが、ステップS4とステップS10(ステップS20)との間に、乾燥作業の実行の有無を選択する動作を介すようにしてもかまわない。そして、実行されれば、ステップS10(ステップS20)に進み、実行されなければそれ以降の乾燥作業を行わず、測定準備段階となるように制御させてもよい。
【0046】
次に、終業時乾燥の動作フロー(乾燥方法)について図7、図8などを用いて説明する。ここで、終業時乾燥では、冷却方法にかかわらず、電気冷却装置30B又は液化窒素冷却装置30Aに共通である。
図7に示すように、サンプルMの測定が完了し(ステップS30)、熱分析装置10の電源を切断する際に、ステップS31で使用者がパソコン42により終業指示操作を行う。なお、この段階においてパージボックス11内に供給される乾燥ガスPは、乾燥維持ガスP1のみであり、その待機温度K1は上述したように30℃で温度制御されている(図8参照)。さらに、冷却装置30は、作動している状態となっている。
【0047】
続いて、ステップS32で冷却装置30がOFFになり、ステップS33で第二電磁弁52BがONとなって開き、第二分岐管路51Bに追加乾燥ガスP2が流れるようになり、熱分析装置10(パージボックス11)内に乾燥維持ガスP1に加えて追加乾燥ガスP2が供給され、乾燥動作が開始される。図8に示すように、第四乾燥時間T6は例えば120分に設定され、このときのヒートシンク制御温度K8は、例えば室温より少し高い温度に設定することが好ましく、例えば40℃に設定されている(ステップS34)。また、追加乾燥ガスP2のガス流量は、例えば1〜5L/minとされる。
【0048】
そして、第四乾燥時間T6が経過したことが確認され(ステップS35:YES)、乾燥動作が終了し(ステップS36)、第二電磁弁52Bが閉じて追加乾燥ガスP2の供給が停止され、図8に示すようにパージボックス11内に乾燥維持ガスP1のみが供給された状態となる。その後、所定の時間をもって第一電磁弁52Aを閉じて乾燥維持ガスP1の供給が停止する、すなわち乾燥ガス流量がゼロになる(ステップS37)。そのときの待機温度K9は、例えば30℃となるように設定される(ステップS38)。
次いで、ステップS39で主電源切断装置41が作動し、熱分析装置10の電源がOFFとなる。ここまでが終業時乾燥の動作フローとなる。
【0049】
このように、終業時乾燥では、次に熱分析装置10を使用するときにパージボックス11の内部が結露しないようにすることができる。とくに、電気冷却装置30Bを使用する場合、熱分析装置10の電源切断後においてもしばらく冷却ブロック16が冷えた状態となっており、その周囲に結露などが発生することがあったが、終業時乾燥を行うことでパージボックス11内における冷却状態を防ぐことができ、このような結露の発生を抑制することができる。
また、終業時乾燥では、始業時乾燥に比べて低い温度で長い時間で乾燥させるようにすることで、測定終了後にサンプルMを取り出すのを忘れて熱分析装置10内に収容したままの状態であっても、乾燥温度が高温でなく熱分析装置10の周囲と同温度であるため、サンプルMが溶け、センサー部にダメージを与えるような不具合をなくすことができる。
【0050】
上述のように本実施の形態による熱分析装置及びその乾燥方法では、熱分析装置10を起動させたときにパージボックス11内の乾燥を開始させ、冷却装置30の作動前に付着している結露や霜などの水分を測定時前の時点で確実に取り除くことができる。そのため、測定時のデータに水分によるノイズを発生させることがなく、正確な測定を行うことができる。
また、冷却装置30の接続状態に応じた乾燥条件、すなわち乾燥ガスPの供給量、供給時間、乾燥温度などを炉体部乾燥手段によって乾燥制御することで、従来のように手動操作によって乾燥条件を管理するといった手間がなくなり、効率よく、しかも確実に乾燥させることができる。
さらに長時間装置10を使用しない場合、乾燥ガスを流し続けなくても、使用時に適切に乾燥できるため、乾燥ガスを長期間流す無駄を防ぐ効果がある。
また、本実施の形態による熱分析装置では、終業時に、終業指示操作を行うことでパージボックス11内の乾燥動作を制御させることができ、次に熱分析装置10を使用するときにパージボックス11の内部が結露しないようにすることができる。
【0051】
以上、本発明による熱分析装置及びその乾燥方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、始業時乾燥、終業時乾燥の乾燥条件、つまり、乾燥維持ガスや追加乾燥ガスの供給量、乾燥温度、乾燥時間、冷却装置のON/OFFのタイミングなどの具体的な条件その他は、熱分析装置の設置条件や、使用されるサンプルに応じて使用者が任意に設定すればよい。また、本実施の形態では選択される乾燥条件に対応する冷却方法を電気冷却と電気冷却以外としているが、この二種類に限定されることはない。
さらに、本実施の形態では、電気冷却装置の始業時乾燥では一次乾燥と二次乾燥の二段階の乾燥温度で乾燥しているが、三段階以上としてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態による熱分析装置の乾燥方法の全体概要を示すブロック図である。
【図2】熱分析装置を示す図である。
【図3】電気冷却以外を選択したときの始業時乾燥のフローチャートである。
【図4】電気冷却以外を選択したときの始業時乾燥のシーケンス図である。
【図5】電気冷却選択時における始業時乾燥のフローチャートである。
【図6】電気冷却選択時における始業時乾燥のシーケンス図である。
【図7】終了時乾燥のフローチャートである。
【図8】終了時乾燥のシーケンス図である。
【符号の説明】
【0053】
10 熱分析装置
11 パージボックス
12 ヒートシンク(ヒーターブロック)
14 ヒーター
16 冷却ブロック
21 温度制御部
30 冷却装置
30A 液化窒素冷却装置
30B 電気冷却装置
40 CPU
41 主電源切断装置
P 乾燥ガス
P1 乾燥維持ガス
P2 追加乾燥ガス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を内部に収容するヒーターブロックに冷却ブロックが接続され、これらの外郭をなすパージボックスを備えた炉体部をもつ熱分析装置において、
前記熱分析装置の起動に反応して前記炉体部を所定時間乾燥する炉体部乾燥手段を有することを特徴とする熱分析装置。
【請求項2】
前記炉体部乾燥手段は、炉体部に乾燥用ガスを流入させるガス流入手段と、前記ヒーターブロックの温度を制御するヒーターブロック温度制御手段とからなることを特徴とする請求項1に記載の熱分析装置。
【請求項3】
前記炉体部乾燥手段は、前記冷却ブロックに接続する冷却装置の種類に応じて、ガス流入条件、制御温度条件を変えることを特徴とする請求項2に記載の熱分析装置。
【請求項4】
前記冷却装置が電気冷却装置であるときに、前記ヒーターブロック温度制御手段は、前記ヒーターブロックの温度を、前記冷却装置の停止状態において第一温度にし、前記電気冷却装置の起動を確認した後、第一温度より高温となる第二温度にすることを特徴とする請求項3に記載の熱分析装置。
【請求項5】
試料を内部に収容するヒーターブロックに冷却ブロックが接続され、これらの外郭をなすパージボックスを備えた炉体部をもつ熱分析装置において、
前記熱分析装置の終業指示操作に反応して、電源が切れる前に前記炉体部を所定時間乾燥する炉体部乾燥手段を有することを特徴とする熱分析装置
【請求項6】
前記炉体部乾燥手段は、炉体部に乾燥用ガスを流入させるガス流入手段と、前記ヒーターブロックの温度を制御するヒーターブロック温度制御手段とからなることを特徴とする請求項5に記載の熱分析装置。
【請求項7】
試料を加熱するヒーターブロックを備える共に前記ヒーターブロックに接続された冷却ブロックと、これらの外郭をなすパージボックスをもつ熱分析装置おいて、
前記熱分析装置の起動を受けて、試料の熱分析測定前に前記炉体部を乾燥する工程を有することを特徴とする熱分析装置の乾燥方法。
【請求項8】
前記乾燥工程は、乾燥ガスを前記パージボックス内に供給し、前記ヒーターブロックの温度を温度制御部で管理して乾燥動作を制御する工程であることを特徴とする請求項7に記載の熱分析装置の乾燥方法。
【請求項9】
予め、前記冷却装置の接続状態に応じた乾燥条件を設定しておく工程と、
前記熱分析装置の起動に連動させて始業時乾燥の制御を開始する工程と、
前記冷却装置の接続状態を選択する工程と、
該選択した冷却装置の接続状態に対応した前記乾燥条件にしたがって、試料の熱分析測定前に前記炉体部を乾燥する乾燥工程を有することを特徴とする請求項7に記載の熱分析装置の乾燥方法。
【請求項10】
前記冷却装置が電気冷却装置であるときに、電気冷却装置の停止状態において前記ヒーターブロックの温度を制御して、第一温度で一次乾燥させた後、前記冷却装置を作動させて第一温度より高温となる第二温度で二次乾燥させることを特徴とする請求項9に記載の熱分析装置の乾燥方法。
【請求項11】
前記冷却装置が電気冷却装置であるときに、前記二次乾燥を行う前に前記熱分析装置と前記電気冷却装置との接続状態を確認するようにしたことを特徴とする請求項10に記載の熱分析装置の乾燥方法。
【請求項12】
測定の終業指示操作を行ったときに、終業時乾燥の制御が開始され、所定量の前記乾燥ガスを前記パージボックス内に供給して乾燥動作を行うようにしたことを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の熱分析装置の乾燥方法。
【請求項13】
前記終業時乾燥における前記乾燥動作が終了した後に、前記熱分析装置の電源を自動で切断させるように制御することを特徴とする請求項12に記載の熱分析装置の乾燥方法。
【請求項14】
前記終業時乾燥では、前記熱分析装置の周囲と同温度で乾燥させるようにしたことを特徴とする請求項12又は13に記載の熱分析装置の乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−32441(P2008−32441A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203849(P2006−203849)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】