説明

熱分析装置

【課題】 本発明の課題は、一定速度で昇温または降温する温度プログラムを使用して試料の加熱または冷却を行う際、試料温度を温度プログラムに精密に追従させる熱分析装置を提供することにある。
【解決手段】 本発明における熱分析装置は、試料温度に対する試料1と加熱炉3の間の温度偏差の近似式ならびに温度偏差計測時の昇温または降温速度を保持する温度偏差近似式保持器6と、温度プログラムの昇温または降温速度に比例してプログラム温度の補正を行うプログラム温度補正器8を備え、温度プログラムの昇温または降温速度に比例して温度偏差の補正を行うため、昇温または降温を行う温度プログラムを使用して加熱または冷却を行う際、試料と加熱炉の間の温度偏差をより小さくするように制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料の物性の温度依存性を測定する熱分析装置に関し、特に試料を加熱する加熱炉を一定の速度で昇温または降温を行う温度プログラムに従って温度制御することによって材料の物性の温度依存性を測定する熱分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱分析装置においては、例えば特許文献1に開示されている如く、測定に先立って加熱炉を一定温度で保持し試料温度に対する試料と加熱炉の間の温度偏差の関係を調べておき、実際の測定においてはその温度偏差をプログラム温度に加算して加熱炉をプログラム温度より高めに制御することで試料温度をプログラム温度に近づけるように温度制御することが行われている。
【0003】
また、加熱炉の温度制御を行うフィードバックループにおいて、加熱炉温度に替わって試料温度をフィードバック量として用いることで、試料温度をプログラム温度に近づけるように温度制御を行う方法も行われている。
【特許文献1】特開平1-174954
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱分析装置においては加熱炉の温度をプログラム温度に一致させるように加熱炉に対してPID制御等のフィードバック制御が行われる。これにより加熱炉温度は常にプログラム温度に従うように制御される。しかしながら、加熱炉と試料の間には熱抵抗による損失や時間遅れが存在し、加熱炉と試料の間には常に温度偏差が存在する。この温度偏差が一定であれば問題ないが、実際は加熱炉温度および昇降温速度に依存して変動する。一般に加熱炉温度が高くなるほど、および昇温速度または降温速度が速くなるほどこの偏差は増大する傾向にある。
【0005】
加熱炉温度と試料温度の関係を実測した例を図3と図5に示す。図3が昇温、図5が降温の場合である。温度域が高くなればなるほど、昇温(降温)速度が速くなればなるほど、加熱炉と試料の間の温度偏差が増大する。同じデータを、X軸を試料温度、Y軸を加熱炉と試料の間の温度偏差にしたものを図4と図6に示す。温度偏差は昇温(降温)速度にほぼ比例して増大している。なお、図4に各温度に一定温度保持した場合の温度偏差の近似曲線を0℃/minの曲線として追加して示した。このように、一定温度に保持した場合(昇温速度0の場合)は昇温させた場合より小さい温度偏差となっている。
【0006】
上記従来技術においては、前者の場合、各温度に一定温度に保持した状態で温度偏差を調べ、加熱炉温度と試料温度との関係を
加熱炉温度=f(試料温度)
となるように多項式近似し、測定時にその近似式fを用いて補正するようになっている。一定温度に保持する温度プログラムの場合には、目的通り加熱炉と試料の温度がよく一致するように保たれる。
【0007】
しかしながら、一定の速度で昇温または降温を行う温度プログラムの場合には、加熱炉と試料の間の温度偏差が大きくなってしまうという問題があった。特に、昇温速度または降温速度が大きくなればなるほど、大きな温度偏差が生じるという問題があった。
【0008】
また、後者の場合は、制御対象である加熱炉の温度変化がフィードバック量(試料温度)の変化となって現れるまでの時間遅れにより安定した制御を行うことが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、一定の速度で昇温または降温を行う温度プログラムにおいても試料の温度をプログラム温度に精密に追従させる熱分析装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、試料を加熱する加熱炉を一定の速度で昇温または降温を行う温度プログラムに従って温度制御することによって材料の物性の温度依存性を測定する熱分析装置において、試料と加熱炉の間の温度偏差の補正を温度プログラムの昇温速度または降温速度に比例して行うようにした。
【0011】
即ち、上記の課題を解決する本発明の熱分析装置は、物性値センサーを備え試料を加熱する加熱炉と、加熱炉の物性値センサーから物性信号を入力し測定信号として出力する測定部と、プログラム温度を時間の関数として発生するプログラム温度発生器と、ある昇温または降温速度における試料と加熱炉の間の温度偏差近似式と、その昇温または降温速度とを保持する温度偏差近似式保持器と、プログラム温度を補正して補正プログラム温度として出力するプログラム温度補正器と、加熱炉温度をフィードバック量として補正プログラム温度に加熱炉温度が一致するように加熱炉ヒーター電力値を出力するフィードバック制御回路と、加熱炉に加熱炉ヒーター電力を供給する加熱炉制御器とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、試料と加熱炉の間の温度偏差の補正を温度プログラムの昇温速度または降温速度に比例して行うようにしたため、温度プログラムの昇温速度または降温速度に応じて常に最適な温度偏差の補正が行われ、試料を温度プログラムに従って精密に温度変化させることができる。
【0013】
さらに、加熱炉温度制御フィードバックループにおいて、制御対象である加熱炉の温度を直接フィードバック量として使用するため、フィードバックループの時間遅れが少なく常に安定した制御が行えるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を、実施例1と実施例2について図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の実施例1の熱分析装置である。図中1は測定すべき試料であり、物性値センサー2を備える加熱炉3に載置されている。測定部4は加熱炉3に接続され、物性値センサー2の出力する物性値信号を入力し、演算を施し測定信号としてPC等のデータ処理装置(図示せず)に出力する。DSC装置の場合、測定信号は試料温度、示差熱量などであり、TG/DTA装置の場合、測定信号は試料温度、重量、示差熱などである。プログラム温度発生器5は、試料1を加熱する温度プログラムを保持し、時間の関数としてプログラム温度を出力する。
【0016】
ここで、試料温度に対する試料1と加熱炉温度3の間の温度偏差の関係を次式のように関数fとおくと、加熱炉を加熱または冷却しながら試料温度に対する温度偏差を計測し、多項式近似して関数fを算出することができる。
【0017】
温度偏差=f(試料温度) ・・・(1)
以降、上記のように多項式近似により求めた関数fを温度偏差近似式fと呼ぶ。
【0018】
温度偏差近似式保持器6は、温度偏差近似式fと、温度偏差計測時の昇温または降温速度とを保持する。プログラム温度補正器8は、測定部4とプログラム温度発生器5と温度偏差近似式保持器6とフィードバック制御回路9に接続され、測定部4から試料温度と、プログラム温度発生器5からプログラム温度と、温度偏差近似式保持器6から温度偏差近似式と温度偏差計測時の昇温または降温速度とを入力し、試料温度と温度偏差近似式と温度偏差計測時の昇温または降温速度とに基づいてプログラム温度を補正し、その結果を補正プログラム温度としてフィードバック制御回路9に出力する。
【0019】
フィードバック制御回路9は、加熱炉3とプログラム温度補正器8と加熱炉制御器10に接続され、加熱炉3から入力した加熱炉温度がプログラム温度補正器8から入力した補正プログラム温度に一致するようによく知られたPID演算を行い、その結果を加熱炉ヒーター電力値として加熱炉制御器10に出力する。加熱炉制御器10は、フィードバック制御回路9から入力した加熱炉ヒーター電力値に従って加熱炉ヒーター電力を加熱炉3に供給する。フィードバック制御回路9、加熱炉制御器10、加熱炉3とで加熱炉温度を補正プログラム温度に一致させるためのフィードバックループを構成している。
【0020】
測定に先立ち、加熱炉3を一定の速度で加熱または冷却しながら試料温度に対する試料1と加熱炉3の間の温度偏差を計測し、多項式近似して温度偏差近似式fを求める。この温度偏差近似式fと、温度偏差計測時の昇温または降温速度とを温度偏差近似式保持器6にセットする。
【0021】
次に、所望の温度プログラムをプログラム温度発生器5にセットし、測定を開始する。測定が開始されると、プログラム温度発生器5は時間の関数としてプログラム温度をプログラム温度補正器8に出力する。プログラム温度補正器8は、測定部4から試料温度、温度偏差近似式保持器6から温度偏差近似式fと昇温(降温)速度とを入力し、それらに基づきプログラム温度を補正し、補正プログラム温度としてフィードバック制御回路9に出力する。フィードバック制御回路9、加熱炉制御器10、加熱炉3とからなるフィードバックループにより、加熱炉3の温度が補正プログラム温度に一致するようフィードバック制御される。
【0022】
プログラム温度補正器8の動作について、詳細に説明する。プログラム温度補正器8はまず、試料温度Tsを温度偏差近似式fに代入し、現在の試料温度Tsにおける試料1と加熱炉3の間の温度偏差近似値ΔTを算出する。(次式)
ΔT=f(Ts) ・・・(2)
温度偏差近似値ΔTは、温度偏差計測時の昇温または降温速度における温度偏差近似値である。
【0023】
以下、昇温で温度偏差の計測を行い、昇温の温度プログラムを使用する場合について説明する。温度偏差は昇温速度に比例するため、現在の昇温速度と温度偏差計測時の昇温速度との比を温度偏差近似値ΔTに乗じて、補正温度偏差近似値ΔT´を求める。現在の昇温速度は、プログラム温度の時間微分であるプログラム昇温速度である。
【0024】
プログラム昇温速度と温度偏差計測時の昇温速度との比を次式のようにaと置く。
【0025】
a=プログラム昇温速度/温度偏差計測時の昇温速度
補正温度偏差近似値ΔT´は次式のようになる。
【0026】
ΔT´ = a×ΔT ・・・(3)
この補正温度偏差近似値ΔT´をプログラム温度に加算し、それを補正プログラム温度として出力する。(次式)
補正プログラム温度 = プログラム温度 + ΔT´
以上、昇温で温度偏差計測し、昇温の温度プログラムを使用する場合について説明したが、降温の温度プログラムの場合も、プログラム昇温速度がマイナス値となって(3)式により補正温度偏差近似値ΔT´がマイナス温度となるため、正しい補正が行われる。
【0027】
図4と図6から分かるように、昇温時と降温時の温度偏差は符号が逆のほぼ同じ形をしているため、昇温で求めた温度偏差近似値で降温の温度プログラムを補正した場合も適切な補正が行われ、その逆も同様である。そのため、昇温または降温のどちらかで温度偏差近似式を求めておけばよく、ひとつの温度偏差近似式で昇温と降温の温度プログラム両方に対応できる。
【0028】
このようにして、温度プログラムの昇温または降温速度に比例して温度偏差の補正が行われるため、いろいろな昇温または降温速度の温度プログラムにおいて試料と加熱炉の間の温度偏差をより小さくするように制御することができ、目的を達する。
【実施例2】
【0029】
図2は本発明の実施例2の熱分析装置である。図中、試料21、物性値センサー22、加熱炉23、測定部24、プログラム温度発生器25、フィードバック制御回路29、加熱炉制御器30については実施例1における試料1、物性値センサー2、加熱炉3、測定部4、プログラム温度発生器5、フィードバック制御回路9、加熱炉制御器10と同様である。
【0030】
実施例1との違いは、温度偏差近似式保持器26が複数組の温度偏差近似式と温度偏差計測時の昇温または降温速度とを保持するようにしたこと、プログラム温度発生器25と温度偏差近似式保持器26とプログラム温度補正器28に接続され、プログラム昇温または降温速度をキーに温度偏差近似式保持器26から温度偏差近似式を検索しプログラム温度補正器28に出力する温度偏差近似式検索器27を備えたこと、プログラム温度補正器28が温度偏差近似式検索器27から入力した温度偏差近似式を使用してプログラム温度を補正し補正プログラム温度として出力するようにしたことである。
【0031】
この実施例2においては、測定に先立ち温度偏差近似式を算出する際、複数の昇温または降温速度で温度偏差計測を行い、複数個の温度偏差近似式を算出しておく。測定時に使用する予定の昇温または降温速度を使用して温度偏差計測を行っておくことが望ましい。ひとつの温度偏差近似式とそれに対応する温度偏差計測時の昇温または降温速度をひとつの組にする。複数の組ができるので、それらを温度偏差近似式保持器26にセットする。なお、測定時に一定温度で保持する温度プログラムも使用する場合には、各温度で一定温度保持させた温度偏差近似式を求め(図4の0℃/minの曲線)、昇温速度0の温度偏差近似式として温度偏差近似式保持器26にセットしておく。それにより、一定温度に保持する温度プログラムの場合も最適な補正を行うことができる。
【0032】
測定が開始されると、プログラム温度発生器25は時間の関数としてプログラム温度を出力する。温度偏差近似式検索器27は、プログラム温度発生器25からプログラム温度を入力し、プログラム温度の時間微分であるプログラム昇温速度と一致するものを温度偏差近似式保持器26の保持する温度偏差計測時の昇温または降温速度の中から検索する。一致するものが見つかると、温度偏差近似式検索器26はその温度偏差計測時の昇温または降温速度と組になる温度偏差近似式fを温度偏差近似式保持器26から取得し、プログラム温度補正器28に出力する。
【0033】
もし温度偏差近似式検索器27は完全に一致する昇温または降温速度が見つからない場合、次に述べる方法のいずれかを用いて温度偏差近似式を出力する。
【0034】
その第一の方法は、プログラム昇温または降温速度に最も近い値の温度偏差計測時の昇温または降温速度を温度偏差近似式保持器26から検索し、それと組になる温度偏差近似式fを温度偏差近似式保持器26から検索し、その温度偏差近似式fとしてプログラム温度補正器28に出力する方法である。
【0035】
第二の方法は、まず上記第一の方法で温度偏差近似式fを見つけ、次式に示すようにプログラム昇温速度と温度偏差計測時の昇温速度との比aをその温度偏差近似式fに乗じて新しい温度偏差近似式fnewを作成する。
【0036】
a = プログラム昇温速度/温度偏差計測時の昇温速度
fnew = a×f
このfnewを温度偏差近似式fとして出力する。
【0037】
プログラム温度補正器28は、温度偏差近似式検索器27から温度偏差近似式fを、測定部24から試料温度Tsを入力し、次式により温度偏差近似値ΔTを算出する。
【0038】
ΔT = f(Ts)
温度偏差ΔTを次式のようにプログラム温度に加算し、補正プログラム温度として出力する。
【0039】
補正プログラム温度 = プログラム温度 + ΔT
フィードバック制御回路29と加熱炉制御器30と加熱炉23からなるフィードバックループにより、加熱炉23の温度が補正プログラム温度に一致するようにフィードバック制御される。
【0040】
このように、事前に測定時の昇温または降温速度を使用して試料と加熱炉の間の温度偏差の計測を行っておけば、測定時の昇温または降温速度に合わせて最適な温度偏差の補正が行われ、また温度偏差計測と測定時とで昇温または降温速度が一致しない場合においても、より近い昇温速度の温度偏差近似値を用いて温度偏差の補正が行われ、試料の温度制御を精密に行うことができる。
【0041】
本実施例で示した例は、加熱炉と試料が空間を隔てて離れており、さらにガスパージ用の隔壁も設けているので、加熱炉と試料の温度差が大きい場合の例である。このような構成である場合は、原理が分かりやすく効果も大きい。もちろん、この例に限らず一般の熱分析装置でも同様な効果がある。
【0042】
なお、本実施例においてはフィードバック制御回路9および29において、PID演算を利用して行う例を挙げているが、PID演算に限らず他のフィードバック制御を行う方法を用いても本発明が実施可能なことはもちろんである。
【0043】
また、測定部4および24、プログラム温度発生器5および25、温度偏差近似式保持器6および26、温度偏差近似式検索器27、プログラム温度補正器8および28、フィードバック制御回路9および29は、ハードウェアによる構成とすることも、ソフトウェアによる構成とすることも可能であり、その選択が本発明の内容を制限しないことは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1を示す熱分析装置である。
【図2】本発明の実施例2を示す熱分析装置である。
【図3】昇温時の加熱炉温度に対する試料温度のグラフである。
【図4】昇温時の試料温度に対する試料と加熱炉の間の温度偏差のグラフである。
【図5】降温時の加熱炉温度に対する試料温度のグラフである。
【図6】降温時の試料温度に対する試料と加熱炉の間の温度偏差のグラフである。
【符号の説明】
【0045】
1 試料
2 物性値センサー
3 加熱炉
4 測定部
5 プログラム温度発生器
6 温度偏差近似式保持器
8 プログラム温度補正器
9 フィードバック制御回路
10 加熱炉制御器
21 試料
22 物性値センサー
23 加熱炉
24 測定部
25 プログラム温度発生器
26 温度偏差近似式保持器
27 温度偏差近似式検索器
28 プログラム温度補正器
29 フィードバック制御回路
30 加熱炉制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を加熱する加熱炉を一定の速度で昇温または降温を行う温度プログラムに従って温度制御することによって材料の物性の温度依存性を測定する熱分析装置において、試料と加熱炉の間の温度偏差の補正を温度プログラムの昇温速度または降温速度に比例して行うようにしたことを特徴とする熱分析装置。
【請求項2】
試料の物性値を計測する物性値センサーを備え前記試料の温度を変化させる加熱炉と、前記物性値センサーの出力する物性信号を入力し測定信号として出力する測定部と、時間の関数としてプログラム温度を出力するプログラム温度発生器と、前記測定部と前記プログラム温度発生器に接続され、前記プログラム温度を補正して補正プログラム温度として出力するプログラム温度補正器と、前記加熱炉と前記プログラム温度補正器に接続され、前記加熱炉の温度をフィードバック量として前記補正プログラム温度に前記加熱炉の温度が一致するように加熱炉ヒーター電力値を出力するフィードバック制御回路と、前記加熱炉と前記フィードバック制御回路に接続され前記加熱炉ヒーター電力値に等しい加熱炉ヒーター電力を前記加熱炉に供給する加熱炉制御器と、前記プログラム温度補正器に接続され、ある昇温速度または降温速度における試料と加熱炉の間の温度偏差を関数近似した温度偏差近似式と、前記昇温速度または降温速度とを保持する温度偏差近似式保持器とを備え、前記プログラム温度補正器は前記温度偏差近似式と前記昇温速度または降温速度と前記試料の温度に基づいて前記プログラム温度を補正し、前記補正プログラム温度として出力することを特徴とする熱分析装置。
【請求項3】
前記温度偏差近似式保持器は、温度偏差近似式と昇温速度または降温速度の組を複数保持し、前記プログラム温度発生器と前記温度偏差近似式保持器と前記プログラム温度補正器に接続され、プログラム温度の時間微分値であるプログラム昇温速度または降温速度をキーに前記温度偏差近似式保持器からひとつの温度偏差近似式を検索し前記プログラム温度補正器に出力する温度偏差近似式検索器を備え、前記プログラム温度補正器は、前記温度偏差近似式検索器の出力する温度偏差近似式と前記試料の温度とに基づいて前記プログラム温度を補正して前記補正プログラム温度として出力することを特徴とする請求項2記載の熱分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−322364(P2007−322364A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155996(P2006−155996)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】