説明

熱収縮性ポリエステル系フィルム

【課題】安定した熱収縮性を示してラベル印刷歪み現象およびラベル不均一収縮現象を抑制でき、強固な包装状態を維持できる熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明は、分子鎖の配向角度が主収縮方向を基準として0°〜±約10°の範囲にあり、分子配向度(MOR)が約1.29〜約2.5の範囲にある、優れた熱収縮性を持つ熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するもので、このフィルムから製造されたラベルのカール現象および波現象を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた熱収縮特性を持つ熱収縮性ポリエステル系フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱収縮性フィルムは、各種容器(例えば瓶や缶など)および細長い物(例えばパイプ、棒など)の被覆用、結束用または外装用として用いられるもので、各種包装材またはラベル用として使われる。このために、熱収縮性フィルムを平面に製造し、これを一定のサイズに折って重なり合い部分を接着させ、これらの間を開けて目的の瓶や缶などの外部に被せた後、熱収縮させることにより、包装または結束がなされる。
【0003】
このような熱収縮性フィルムは、耐熱性、耐薬品性、耐候性および印刷特性などの基本的な特性だけでなく、容器の密封性や収縮均一性などの優れた熱収縮性が要求される。
【0004】
ところが、従来の熱収縮フィルム素材として多く使われているポリ塩化ビニルまたはポリスチレン熱収縮性フィルムの場合、耐熱性、耐薬品性、耐候性および熱収縮特性が不十分であるという問題点がある。特にポリ塩化ビニル熱収縮性フィルムの場合、塩素成分を含んでいるため、焼却廃棄の際に環境新和力が非常に劣悪である。そして、ポリスチレンフィルムは、印刷性が不良であって一般プラスチックフィルム用インクを使用することができないため、特殊インクを使用しなければならないうえ、自然収縮率が大きくて保管が難しく、印刷工程においても印刷不良などの工程上の問題を引き起こすという問題点がある。
【0005】
これと比較し、ポリエステルフィルムは、耐熱性、耐候性および耐溶剤性に優れるが、(i)高温で結晶化が促進され、(ii)収縮後の高温殺菌などの加工工程における熱履歴によって強度が低下し、(iii)摩擦や衝撃などの外力によって傷、亀裂などが発生し易いという欠点がある。したがって、高速で熱収縮加工工程または熱収縮後の輸送工程などのようにフィルム面が摩擦、衝撃を受ける過程で、フィルムの傷や亀裂が頻発し、実用化の面で大きな問題となってきた。
【0006】
最近、このようなポリエステルフィルムの問題点を解決するためにいろいろの試みが行われている。その一例として、米国特許第4996291号などではポリエステルフィルムの収縮率を限定して強度の弱点を補完した。
【0007】
一方、従来の熱収縮性フィルムは、収縮度が不均一でその特性が不良であり、高温で短時間内に収縮させたときに(i)皺、(ii)端部のカールなどが発生するおそれがある。これは、ラベリングする瓶の外観を不良にして製品の品質を低下させる結果をもたらす問題となってきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、安定した熱収縮性を示してラベル印刷歪み現象およびラベル不均一収縮現象を抑制でき、強固な包装状態を維持できる熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係るポリエステル系フィルムは、熱収縮がほぼ完璧に主収縮方向の一方向にのみ発生し、その直交する方向の収縮は最も少なく発生する。本発明の一実施形態によれば、次の式1によって決定されたI(θ)値が最大値I(θ)maxのときのθ値で表現される分子鎖の配向角度が主収縮方向を基準として0°〜±約10°の範囲にあり、次の式2によって決定されたマイクロ波分子配向度(MOR)が約1.29〜約2.5の範囲にある熱収縮性ポリエステル系フィルムが提供される。
【数1】

・・・・・・式1
分子配向度(MOR)=Imax/Imin・・・・式2
ここで、I(θ)は回転角度(θ)におけるマイクロ波透過強度、I0は共振点におけるマイクロ波透過強度、Iavは全回転角度による平均マイクロ波透過強度、W0は共振角周波数、Wは角周波数、θは回転角度、Qは共振角周波数(W0)/共振曲線の半波広さ(ΔW)を示し、Imaxはマイクロ波透過強度の最大値であり、Iminはマイクロ波透過強度の最小値を示す。
【0010】
これらの式1および式2は、GHzの高周波を用いて任意の測定試料フィルムの分子双極子モーメントと偏極したマイクロ波間の相互作用を用いて任意の測定試料の回転角によるマイクロ波透過光度の変化を感知し、異方性を測定して分子配向を決定する原理によって導出されるものである。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、約55〜約80℃のガラス転移温度および約0.5〜約0.8dl/gの固有粘度を持つ。
【0012】
本発明の例示的な実施形態によれば、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、(a)ホモポリエステル;(b)(i)テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、およびジフェニルエーテルジカルボン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸成分と、(ii)エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール成分から得られるコポリエステル;または(c)ホモポリエステルとコポリエステルの混合物を含む。
【0013】
ここで、コポリエステルは、テレフタル酸単位がジカルボン酸単位の約70モル%以上で含まれ、エチレングリコール単位がジオール単位の約60モル%以上で含まれる。
【0014】
ここで、コポリエステルは、ガラス転移温度が約60〜約80℃であり、固有粘度が約0.55〜約0.75dl/gである。
【0015】
前記ホモポリエステルは、ポリブチレンテレフタレートであってもよい。熱収縮性ポリエステルフィルムは、2種またはそれ以上のホモポリエステル、または少なくとも1種のホモポリエステルと少なくとも1種のコポリエステルとの混合物を含んでなる。ポリブチレンテレフタレートがホモポリエステルとして使用されるとき、ポリブチレンテレフタレートを全体ポリエステル樹脂の約3〜25質量%で含んでもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、(a)約200〜約350℃でポリエステルを押し出す押出工程、および(b)前記ポリエステルのガラス転移温度(Tg)〜ガラス転移温度(Tg)+約30℃でいずれか一方向に元の長さに対して約3.0〜約5.0倍延伸させる延伸工程を含んで製造されたものである。また、本発明の一実施形態によれば、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、延伸工程の後、ガラス転移温度(Tg)+約30℃以下で約20秒間以下熱処理する熱処理工程をさらに含んで製造されたものである。また、本発明の一実施形態によれば、延伸工程は約12〜約100m/minの延伸速度で行われてもよい。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、ポリエステルを押出および延伸して熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造する方法であって、(a)ポリエステルを約200〜約350℃で押し出す押出工程と、(b)前記ポリエステルのガラス転移温度(Tg)〜ガラス転移温度(Tg)+約30℃の温度範囲で前記ポリエステルのいずれか一方向に元の長さに対して約3.0〜約5.0倍延伸させる延伸工程とを含み、得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムは、 次の式1によって決定されたI(θ)値が最大値(I(θ)max)のときのθ値で表現される分子鎖の配向角度が主収縮方向を基準として0°〜±約10°の範囲にあり、 次の式2によって決定されたマイクロ波分子配向度が約1.29〜約2.5の範囲にある熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法が提供される。
【数2】

・・・・・・式1
分子配向度(MOR)=Imax/Imin・・・・式2
ここで、I(θ)は回転角度(θ)におけるマイクロ波透過強度、I0は共振点におけるマイクロ波透過強度、Iavは全回転角度による平均マイクロ波透過強度、W0は共振角周波数、Wは角周波数、θは回転角度、Qは共振角周波数(W0)/共振曲線の半波広さ(ΔW)を示し、Imaxはマイクロ波透過強度の最大値であり、Iminはマイクロ波透過強度の最小値を示す。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法は、延伸工程(b)の後、ポリエステルのガラス転移温度(Tg)〜ガラス転移温度(Tg)+約30℃以下で20秒間以下熱処理する熱処理工程をさらに含んでもよい。
【0019】
前記ポリエステル組成は、少なくとも1種のホモポリエステル、少なくとも1種のコポリエステル、または前記ホモポリエステルと前記コポリエステルの混合物を含んでもよい。前記コポリエステルは、上述したそれらから選択されてもよい。前記コポリエステルは、ガラス転移温度が約60〜約80℃であり、固有粘度が約0.55〜約0.75dl/gであってもよい。
【0020】
前記コポリエステルは、ポリブチレンテレフタレートであってもよい。前記ポリエステル組成がポリブチレンテレフタレートを含むとき、ポリブチレンテレフタレートを全体ポリエステル組成の約3〜約25質量%で含んでもよい。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、約55〜80℃のガラス転移温度および約0.5〜約0.8dl/gの固有粘度を持つ。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、延伸工程における延伸速度は約12〜約100m/minであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、特定の方向に対して安定した熱収縮性を示してラベル印刷よれ現象とラベル印刷歪み現象を防止することができるので、強固な包装状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
収縮フィルムは、低温一軸延伸を介して極大の一軸配向を成し、また、熱処理による残留応力の解消部分を排除し、一軸配向された分子鎖がそのままその残留応力を持っていて、最終収縮工程でその残留応力の力によって収縮する原理から製造される。したがって、短時間内にフィルムを収縮させたとき、フィルムの皺または端部のカールなどの収縮特性は一軸配向された主収縮方向の分子鎖の配向角度に大きく依存することができる。
【0025】
このため、本発明の一実施形態によれば、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、次の式1によって決定されたI(θ)値が最大値(I(θ)max)のときのθ値で表現される分子鎖の配向角度が主収縮方向を基準として0°〜±約10°の範囲にあり、次の式2によって決定されたマイクロ波分子配向度が約1.29〜約2.5の範囲にある、熱収縮性ポリエステル系フィルムである。
【数3】

・・・・・・式1
分子配向度(MOR)=Imax/Imin・・・・式2
ここで、I(θ)は回転角度(θ)におけるマイクロ波透過強度、I0は共振点におけるマイクロ波透過強度、Iavは全回転角度による平均マイクロ波透過強度、W0は共振角周波数、Wは角周波数、θは回転角度、Qは共振角周波数(W0)/共振曲線の半波広さ(ΔW)を示し、Imaxはマイクロ波透過強度の最大値であり、Iminはマイクロ波透過強度の最小値を示す。
【0026】
MORの測定にはマイクロ波分子配向分析器が使用できる。
【0027】
前記分子鎖の配向角度が主収縮方向に対して約±10°を超過する場合、主収縮方向(例えば、幅方向(TD))に垂直な方向(例えば、機械方向(MD))に収縮されてフィルムの皺または端部のカールが発生するおそれがある。
【0028】
また、分子配向度が約1.29未満の場合には、主収縮方向(例えば幅方向(TD))への配向が弱化して主収縮方向への収縮性が低下し、フィルムのよれ現象、歪み現象および不均一な収縮現象が現れるおそれがある。
【0029】
前記および以下の説明において、主収縮方向とは、熱水または熱風などの熱媒に一定の時間晒されたとき、最も多く収縮が発生する方向と定義できる。
【0030】
前述したようなフィルム特性を満足する本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムは、(a)ホモポリエステル;(b)(i)テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、およびジフェニルエーテルジカルボン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸成分と、(ii)エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール成分から得られるコポリエステル;または(c)ホモポリエステルとコポリエステルの混合物から得られる。
【0031】
ここで、コポリエステルは、テレフタル酸単位がジカルボン酸単位の約70モル%以上を構成し、エチレングリコール単位がジオール単位の約60モル%以上を構成するコポリエステルであってもよい。本発明において、前記コポリエステル自体は、一般に行われているポリエステルの製造方法によって製造することができる。例えば、ジカルボン酸に対してジオールを直接反応させる直接エステル化法、ジカルボン酸のジメチルエステルにジオールを作用させるエステル交換法などを挙げることができる。
【0032】
本発明の実施形態によれば、コポリエステルのガラス転移温度は約60〜約80℃であり、その固有粘度は約0.55〜約0.75dl/gである。ここで、ガラス転移温度は重合体の製造に使用された単量体の組成によって調節でき、固有粘度は重合度によって異なるので、本発明では、このような調節によってガラス転移温度と固有粘度が前記範囲内にあるコポリエステルを使用することができる。一方、2種以上のポリエステル、すなわちポリエステル樹脂の混合物の場合には、ポリエステル樹脂混合物の総ジカルボン酸単位の約70モル%以上がテレフタル酸であり、ポリエステル樹脂混合物の総ジオール単位の約60モル%以上がエチレングリコール単位であるものを使用することができる。
【0033】
その一例として、本発明では、ホモポリエステルとしてポリブチレンテレフタレート樹脂を含み、このようなポリブチレンテレフタレート樹脂とコポリエステルとの混合物を用いてフィルムを製造することができる。ここで、ポリブチレンテレフタレート樹脂の含量は全体ポリエステル樹脂の約3〜約25質量%であってもよい。本発明の一実施形態では、ポリブチレンテレフタレート樹脂の含量が全体ポリエステルの約5〜約15質量%である。
【0034】
通常、収縮フィルムの商業的使用時には、収縮フィルムを溶剤で溶かして付ける方式の接着方式を採用するが、ポリブチレンテレフタレートの含量が過小であると、溶剤接着力が低下して商業的使用が難しくなるおそれがある。これに対し、その含量が過剰になると、主収縮方向(例えば、幅方向(TD))に対する収縮率が低くなるおそれがあり、主収縮方向に対して垂直な方向(例えば、機械方向(MD))の機械的物性(強度および伸度)が低下するおそれがある。通常、フィルムは、商業的使用の際に多くのロール工程を経るにつれて、機械方向の機械的物性が要求され、機械的物性が悪ければ、フィルムの切れまたは破断などが発生するおそれがある。
【0035】
その他に、フィルムの製造において、滑り性を改善するために、例えば二酸化チタン、シリカ粉末、炭酸カルシウムなどの滑剤を添加してもよく、必要に応じて、例えば帯電防止剤、老化防止剤、紫外線防止剤、染料などの各種添加剤を加えてもよい。
【0036】
前記特性を持つ本発明のポリエステル熱収縮フィルムは、例えば下記の製造工程によって製造できる。
【0037】
ポリエステルフィルムを製造するための材料を通常の乾燥機を用いて乾燥させた後、約200〜約350℃で押し出す。前記押出のために、T−ダイ押出法またチューブラ押出法などの公知のいずれの方法でも使用することができる。
【0038】
押し出された生成物を例えば正電荷接触法などの方法によって急速冷却させて非延伸フィルムを得る。
【0039】
得られた非延伸フィルムをガラス転移温度(Tg)〜ガラス転移温度(Tg)+約30℃の温度で延伸させる。一実施形態では、ガラス転移温度に近い低温延伸を行うことができる。
【0040】
一般に、延伸は順次二軸延伸、同時二軸延伸、一軸延伸またはこれらの組み合わせなどで行われるが、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの場合、一軸延伸を行って極大の一軸配向を成すようにすることができる。
【0041】
前記一軸延伸は、いずれか一方向に元の長さに対して約3.0〜約5.0倍となるように約1〜約10秒間延伸させることができる。
【0042】
前記延伸温度が過小であると、延伸が旨く行われなくて破断が生ずるか、或いは不均一な延伸になるおそれがある。前記延伸温度が過剰になると、収縮率が低下するおそれがある。よって、延伸温度はTg〜Tg+約30℃の範囲内で決定できる。
【0043】
また、収縮フィルムの延伸比が過小である場合、収縮率が低下するおそれがあり、収縮フィルムの延伸比が過剰にしても、破断が生ずるか或いは物性の向上をあまり期待することが難しいため、延伸比増加の意味がない。よって、延伸比は元の長さに対して約3.0倍〜約5.0倍の範囲内で選定することができる。
【0044】
本発明の一実施形態においては、延伸時の延伸速度は約12〜100m/minであってもよいが、延伸速度はポリエステルの固有粘度、ガラス転移温度などによって適宜調節し、および/または延伸後の熱処理条件などを考慮して適宜調節できる。これらの因子の組み合わせは前述した分子鎖の配向角度または分子配向度の条件を満足させるために適宜調節できる。
【0045】
一方、延伸速度が遅い場合は、配向角度の絶対値が大きくなり、分子配向度が低くなるおそれがある。
【0046】
前記延伸方法としては、通常の装置が使用され、ロール延伸、テンター延伸、チューブラ延伸などの公知の方法を適用することができる。
【0047】
前記延伸工程を経た後、熱処理を施さないか、或いはガラス転移温度(Tg)+30℃以下の温度で約20秒間以下熱処理する。
【0048】
このように得られた本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、約55〜約80℃のガラス転移温度および約0.5〜約0.8dl/gの固有粘度を持つことが、前述したようなフィルム特性を満足させることができる。
【0049】
通常、フィルムのガラス転移温度は、原料樹脂のガラス転移温度に依存するが、フィルムの固有粘度は、押出条件などに応じて、原料樹脂の固有粘度とは異なる値を示し得る。よって、前述した熱収縮特性を考慮して押出条件などを調節し、フィルムの固有粘度を前記範囲内に調節することができる。具体的に、フィルムの固有粘度が低くなると、主配向軸には大きい影響を及ぼさないが、相対的に短くなった分子鎖により相対的に主配向軸にずれている分子鎖が多くなるか、或いは多くなる確率が高くなる。したがって、総分子鎖が主配向軸にある確率または部分(portion)を意味する値である分子配向度(MOR)の値が低くなる。これは、結果的に、主配向軸に垂直な方向の収縮率は増加し、主配向軸の収縮率は減少するという問題を引き起こす。よって、前述したフィルムの収縮特性を満足させるためには、フィルムの固有粘度が少なくとも0.5dl/g以上であってもよい。
【0050】
一方、フィルムの固有粘度が大きくなっても、フィルムの収縮特性に影響を及ぼすものではないが、フィルムの固有粘度を高めるためには、それほど原料組成の固有粘度が高くなければならない。これは工程上の問題を引き起こすおそれがあるので、かかる点を考慮して一定の程度まで固有粘度を高めることができる。
【0051】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの分子配向の分析に適用された原理と、これから導出される分子鎖の配向角度および分子配向度の定義は、次の通りである。
【0052】
(1)原理
GHzの高周波を用いて測定試料フィルムの分子双極子モーメントと偏極したマイクロ波間の相互作用を用いてサンプル試料回転角によるマイクロ波透過強度の変化を感知し、異方性を測定して分子配向を決定する原理である。ここで、分子鎖の配向に対する異方性は、マイクロ波透過強度の各依存度から決定することができる。回転角度による透過強度は、次の式1で表わされる。
【数4】

・・・・・・式1
式中、I0、Iav、W0、W、θ、Q、ImaxおよびIminは前述した定義のとおりである。
【0053】
前記の原理を用いて分子鎖主鎖の配向角、電気的、異方性(分子配向度、フィルム幅方向の透過強度/機械方向の透過強度から)に対する情報を得ることができる。ここで、配向化角度は厚さと関係がないが、配向化度(MOR値)は厚さ依存性があるので、均一厚さのサンプルを利用する。また、フィルムのサンプリング部位別差異を考慮して押しロールを基準として最も配向程度の弱い幅方向の辺部サンプルを利用した。これらの情報を用いてフィルム製造時の機械的、物理的条件およびフィルムの異方性などが分かる。
【0054】
(2)配向角
幅方向(TD)を基準軸として0°とし、反時計方向を「+」、時計方向を「−」と表記し、角度は分子鎖主軸の配向方向を示す。
【0055】
前記式1によって決定されたI(θ)値が最大値(I(θ)max)のときの角度を分子鎖の配向角度で定義し、本発明では主収縮方向を基準とした分子鎖の配向角度を表現したものである。
【0056】
(3)分子配向度(MOR)
マイクロ波透過強度の最小値(Imin)に対するマイクロ波透過強度の最大値(Imax)の比(Imax/Imin)で、全分子鎖の配向が前記主配向軸にどれ程の部分で分布されているかを示す異方性を表示する指標として使用される。
【0057】
以上のような原理を実現する機器の一例として、以下の実施例および比較例では分子配向分析器(Molecular Orientaion Analyzer−20001A、KS−System、Japan)を使用した。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例でより詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
本発明で使用された評価法は、次の通りである。
【0060】
(1)固有粘度
フェノールとテトラクロロエタンの50/50混合溶媒20mLに試片200mgを入れ、約110℃で1時間混合物を加熱した後、30℃で測定した。
【0061】
(2)ガラス転移温度
The Perkin−Elmer Corp.の製品であるDSC−7を用いて20℃/分の速度で試片を加熱することにより測定した。
【0062】
(3)フィルムの収縮特性
試験フィルムを印刷し、円筒状に作った。
【0063】
この円筒状フィルム(ラベル)を耐熱性PET瓶に付着させ、100℃のオーブンで15秒間収縮させた後、フィルムの収縮完成品をラベルの印刷よれ及びラベルの印刷歪みに対して肉眼で評価した。
【0064】
また、ラベルに予め機械方向(MD)および幅方向(TD)に長さを予め測定した線を描いておき、その数値の変化によって印刷よれ及び印刷縮みを評価した。
【0065】
前記2つの項目それぞれに対して、
○(フィルムに殆ど欠点がない)
Δ(フィルムに若干欠点があるが、実際的に使用することができる)
×(フィルムに欠点が多いため、実際的には使用することができない)と等級を付けた。
【0066】
*印刷よれ:PET瓶の円周方向の線が水平とずれた程度、
印刷歪み:PET瓶の円周方向と直交する方向の線が収縮した程度
(5)熱収縮率
フィルムを20cm×20cmの正方向に裁断し、95℃±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間熱収縮させた後、フィルムの機械方向(MD)、幅方向(TD)の数値を測定し、下記式3によって熱収縮率を求めた。
【数5】

・・・・・・式3
【0067】
実施例1
二塩基酸成分としてテレフタル酸100モル%を、グリコール成分としてエチレングリコール82モル%、およびネオペンチルグリコール18モル%を使用し、触媒として三酸化アンチモン0.05モル(酸成分に対して)を用いて直接エステル化法によって重縮合した。このように得られた重合物に平均粒径0.8μmの二酸化チタン粉末500ppmを添加して従来の方法で乾燥させ、固有粘度0.75dl/gおよびガラス転移温度70℃のコポリエステルを製造した。
【0068】
一方、テレフタル酸100モル%、1,4−ブタンジオール100モル%を用いて、触媒としてテトラブチルチタネート0.015重量部を投入してポリブチレンテレフタレート樹脂を得た(固有粘度1.03dl/g、ガラス転移温度30℃)。
【0069】
前記コポリエステル90質量%とポリブチレンテレフタレート10質量%を混合して280℃の押出器から押し出した後、急速冷却させ、固形化させて非延伸フィルムを得た。
【0070】
前記非延伸フィルムを直ちにテンターに入れ、75℃で幅に対して4.0倍延伸させた後(延伸処理時間8.4秒、延伸区間の長さ7m、延伸速度31m/min)、約3%幅方向(TD)に伸長させながらテンター内の熱処理区間に追加の加熱なしでフィルムを通過させた。得られたフィルムは厚さ50μmの熱収縮フィルムである。フィルムの物性値は表1に示した。
【0071】
実施例2
前記実施例1と同一の方法で得た非延伸フィルムを使用した。前記非延伸フィルムを直ちにテンターに入れ、95℃で幅に対して4.0倍延伸させた後(延伸処理時間8.4秒、延伸区間の長さ7m、延伸速度31m/min)、約3%幅方向(TD)に伸長させながらテンター内の熱処理区間に追加の加熱なしでフィルムを通過させた。得られたフィルムは厚さ50μmの熱収縮フィルムである。フィルムの物性値は表1に示した。
【0072】
実施例3
前記実施例1と同様の方法で得た非延伸フィルムを使用した。前記非延伸フィルムを直ちにテンターに入れ、95℃で幅に対して4.0倍延伸させた後(延伸処理時間8.4秒、延伸区間の長さ7m、延伸速度31m/min)、約3%幅方向(TD)に伸長させながら95℃で10秒間熱処理させた。得られたフィルムは厚さ50μmの熱収縮フィルムである。フィルムの物性値は表1に示した。
【0073】
実施例4
前記実施例1と同様の方法で得た非延伸フィルムを使用した。前記非延伸フィルムを直ちにテンターに入れ、75℃で幅に対して3.0倍延伸させた後(延伸処理時間8.4秒、延伸区間の長さ7m、延伸速度20.7m/min)、約3%幅方向(TD)に伸長させながらテンター内の熱処理区間に追加の加熱なしでフィルムを通過させた。得られたフィルムは厚さ50μmの熱収縮フィルムである。フィルムの物性値は表1に示した。
【0074】
実施例5
前記実施例1と同様の方法で得た非延伸フィルムを使用した。前記非延伸フィルムを直ちにテンターに入れ、75℃で幅に対して5.0倍延伸させた後(延伸処理時間8.4秒、延伸区間の長さ7m、延伸速度41.4m/min)、約3%幅方向(TD)に伸長させながらテンター内の熱処理区間に追加の加熱なしでフィルムを通過させた。得られたフィルムは厚さ50μmの熱収縮フィルムである。フィルムの物性値は表1に示した。
【0075】
実施例6
二塩基酸成分としてテレフタル酸100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール85モル%およびネオペンチルグリコール15モル%を使用し、触媒として三酸化アンチモン0.05モル(酸成分に対して)を用いて直接エステル化法によって重縮合した。このように得られた重合物に平均粒径0.8μmの二酸化チタン粉末500ppmを加えて従来の方法で乾燥させ、固有粘度0.75dl/gおよびガラス転移温度72℃のコポリエステルを製造した。
【0076】
一方、テレフタル酸100モル%、1,4−ブタンジオール100モル%を用い、触媒としてテトラブチルチタネート0.015重量部を投入して、ポリブチレンテレフタレート樹脂を得た(固有粘度1.03dl/g、ガラス転移温度30℃)。
【0077】
前記コポリエステル90質量%とポリブチレンテレフタレート10質量%を混合して280℃の押出器から押し出した後、急速冷却させ、固形化させて非延伸フィルムを得た。
【0078】
得られた非延伸フィルムを直ちにテンターに入れ、75℃で幅に対して4.0倍延伸させた後(延伸処理時間8.4秒、延伸区間の長さ7m、延伸速度31m/min)、約3%幅方向(TD)に伸長させながらテンター内の熱処理区間に追加の加熱なしでフィルムを通過させた。得られたフィルムは厚さ50μmの熱収縮フィルムである。フィルムの物性値は表1に示した。
【0079】
実施例7
実施例1と同様の方法で熱収縮フィルムを製造するが、但し、コポリエステルとして、重合度を調節して固有粘度が0.65dl/g、ガラス転移温度が70℃となるように製造したコポリエステルを使用した。
【0080】
実施例8
実施例1と同様の方法で熱収縮フィルムを製造するが、但し、コポリエステルとして、重合度を調節して固有粘度が0.55dl/g、ガラス転移温度が70℃となるように製造したコポリエステルを使用した。
【0081】
比較例1
実施例1と同様の方法で熱収縮フィルムを製造するが、但し、コポリエステルとして、重合度を調節して固有粘度が0.53dl/g、ガラス転移温度が70℃となるように製造したコポリエステルを使用した。
【0082】
比較例2
前記実施例1と同様の方法で熱収縮フィルムを製造するが、但し、コポリエステルは、二塩基酸成分としてテレフタル酸100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール78モル%およびネオペンチルグリコール32モル%を用い、触媒として三酸化アンチモン0.05モル(酸成分に対して)を用いて直接エステル化法によって重縮合し、このように得られた重合物に平均粒径0.8μmの二酸化チタン粉末500ppmを添加して従来の方法で乾燥させて得た固有粘度0.75dl/gおよびガラス転移温度52℃のコポリエステルを使用した。
【0083】
比較例3
二塩基酸成分としてテレフタル酸100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール82モル%およびネオペンチルグリコール18モル%を用い、触媒として三酸化アンチモン0.05モル(酸成分に対して)を用いて直接エステル化法によって重縮合した。このように得られた重合物に平均粒径0.8μmの二酸化チタン粉末500ppmを添加して従来の方法で乾燥させ、固有粘度0.75dl/gおよびガラス転移温度70℃のコポリエステルを製造した。
【0084】
一方、テレフタル酸100モル%、1,4−ブタンジオール100モル%を用い、触媒としてのテトラブチルチタネート0.015重量部を投入して、ポリブチレンテレフタレート樹脂を得た(固有粘度1.03dl/g、ガラス転移温度30℃)。
【0085】
前記コポリエステル90質量%とポリブチレンテレフタレート10質量%を混合して280℃の押出器から押し出した後、急速冷却させ、固形化させて非延伸フィルムを得た。
【0086】
前記非延伸フィルムを直ちにテンターに入れ、105℃で幅に対して4.0倍延伸させた後(延伸処理時間8.4秒、延伸区間の長さ7m、延伸速度31m/min)、約3%幅方向(TD)に伸長させながらテンター内の熱処理区間に追加の加熱なしでフィルムを通過させた。得られたフィルムは厚さ50μmの熱収縮フィルムである。フィルムの物性値は表1に示した。
【0087】
比較例4
比較例3と同様の方法で得た非延伸フィルムを使用した。前記非延伸フィルムを直ちにテンターに入れ、95℃で幅に対して4.0倍延伸させた後(延伸処理時間8.4秒、延伸区間の長さ7m、延伸速度31m/min)、約3%幅方向(TD)に伸長させながら150℃で10秒間熱処理させた。得られたフィルムは厚さ50μmの熱収縮フィルムである。フィルムの物性値は表1に示した。
【0088】
比較例5
比較例3と同様の方法で得た非延伸フィルムを使用した。前記非延伸フィルムを直ちにテンターに入れ、75℃で幅に対して2.0倍延伸させた後(延伸処理時間8.4秒、延伸区間の長さ7m、延伸速度10.6m/min)、約3%幅方向(TD)に伸長させながらテンター内の熱処理区間に追加の加熱なしでフィルムを通過させた。得られたフィルムは厚さ50μmの熱収縮フィルムである。フィルムの物性値は表1に示した。
【0089】
【表1】

【0090】
前記物性測定の結果、マイクロ波分子配向分析器(MOA)を用いて測定した分子鎖の配向角度が主収縮方向を基準として0°〜±約10°の範囲にあり、分子配向度(MOR)が約1.29〜約2.5の範囲にある本発明の実施例は、主収縮方向である幅方向(TD)の熱収縮率が高く、これに垂直な方向である機械方向(MD)の熱収縮性が著しく低いことが分かる。また、比較例で見られたラベル印刷よれ現象、ラベル印刷歪み現象および幅方向(TD)の収縮率の低下は実施例では見られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1によって決定されたI(θ)値が最大値(I(θ)max)のときのθ値で表現される分子鎖の配向角度が主収縮方向を基準として0°〜±約10°の範囲にあり、式2によって決定されたマイクロ波分子配向度(MOR)が約1.29〜約2.5の範囲にある熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【数1】

・・・・・・式1
分子配向度(MOR)=Imax/Imin・・・・式2
(式中、I(θ)は回転角度(θ)におけるマイクロ波透過強度、I0は共振点におけるマイクロ波透過強度、Iavは全回転角度による平均マイクロ波透過強度、W0は共振角周波数、Wは角周波数、θは回転角度、Qは共振角周波数(W0)/共振曲線の半波広さ(ΔW)を示し、Imaxはマイクロ波透過強度の最大値であり、Iminはマイクロ波透過強度の最小値を示す。)
【請求項2】
熱収縮性ポリエステル系フィルムは、約55〜約80℃のガラス転移温度および約0.5〜約0.8dl/gの固有粘度を持つ請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項3】
熱収縮性ポリエステル系フィルムは、
(a)ホモポリエステル;
(b)(i)テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、およびジフェニルエーテルジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸成分と、(ii)エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール成分から得られるコポリエステル;及び
(c)ホモポリエステルとコポリエステルとの混合物、からなる群より選ばれるポリエステル樹脂を含む請求項1または2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項4】
コポリエステルは、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位の約70モル%以上で含み、エチレングリコール単位をジオール単位の約60モル%以上で含む請求項3に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項5】
コポリエステルは、約60〜約80℃のガラス転移温度および約0.55〜約0.75dl/gの固有粘度を持つ請求項3に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項6】
前記ホモポリエステルはポリブチレンテレフタレートである請求項3に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項7】
ポリブチレンテレフタレートを全体ポリエステル樹脂の約3〜25質量%で含む請求項6に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項8】
前記熱収縮性ポリエステル系フィルムは、(a)約200〜約350℃でポリエステルを押し出し、(b)押し出したポリエステルフィルムをそのガラス転移温度(Tg)〜ガラス転移温度(Tg)+約30℃でいずれか一方向に元の長さに対して約3.0〜約5.0倍延伸してなる請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項9】
前記(b)で得られるポリエステル樹脂を、そのガラス転移温度(Tg)+約30℃以下で約20秒間以下熱処理してなる請求項8に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項10】
前記(b)における延伸速度は約12〜約100m/minである請求項8に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項11】
ポリエステルを押出および延伸して熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造する方法であって、
(a)ポリエステルを約200〜約350℃で押し出す押出工程と、
(b)押し出したポリエステルフィルムを、そのガラス転移温度(Tg)〜ガラス転移温度(Tg)+約30℃の温度範囲でいずれか一方向に元の長さに対して約3.0〜約5.0倍延伸させる延伸工程とを含み、
得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムは、式1によって決定されたI(θ)値が最大値(I(θ)max)のときのθ値で表現される分子鎖の配向角度が主収縮方向を基準として0°〜±約10°の範囲にあり、式2によって決定されたマイクロ波分子配向度が約1.29〜約2.5の範囲にある熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
【数2】

・・・・・・式1
分子配向度(MOR)=Imax/Imin・・・・式2
(式中、I(θ)は回転角度(θ)におけるマイクロ波透過強度、I0は共振点におけるマイクロ波透過強度、Iavは全回転角度による平均マイクロ波透過強度、W0は共振角周波数、Wは角周波数、θは回転角度、Qは共振角周波数(W0)/共振曲線の半波広さ(ΔW)を示し、Imaxはマイクロ波透過強度の最大値であり、Iminはマイクロ波透過強度の最小値を示す。)
【請求項12】
前記延伸工程の後、押し出したポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg)〜ガラス転移温度(Tg)+約30℃以下で約20秒間以下熱処理する熱処理工程をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリエステルは、ガラス転移温度約60〜約80℃および固有粘度約0.55〜約0.75dl/gのコポリエステルを含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリエステルはポリブチレンテレフタレートを含む請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリブチレンテレフタレートが前記ポリエステル全体の約3〜約25質量%で含まれる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記熱収縮性ポリエステル系フィルムは、約55〜80℃のガラス転移温度および約0.5〜約0.8dl/gの固有粘度を持つ請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記延伸工程における延伸速度は約12〜約100m/minである請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2009−523899(P2009−523899A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552239(P2008−552239)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000482
【国際公開番号】WO2007/086710
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(597114649)コーロン インダストリーズ インク (99)
【Fターム(参考)】