説明

熱可塑剤中に埋設された核酸抗原

ポリ核酸を固体の熱可塑性材料にし得る溶融材料と化合し、当該溶融材料を固体にすることによって検定装置が製造される。このように形成された熱可塑性材料は、ポリ核酸が特異的な結合によって結合パートナーと結合し得る配向で当該熱可塑性の固体材料の表面に露出したポリ核酸の少なくともいくつかの分子を有している。本発明は、さらに、そこに埋め込まれたポリ核酸を有する固相の基材に関する。本発明は、さらに、抗核酸抗体を検出するハイブリダイゼーション検定用および免疫学的検定用に埋め込まれたポリ核酸を有する固相の基材の用途に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リボ核酸および/または核酸を包含する固定化抗原の作製、および同様に免疫検定における固定化抗原の使用方法、および他の生物医療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫検定は、サンプル中の抗原または抗体の定性および定量的存在について分析する手段として数十年使用されてきた。免疫検定は、疾患の特徴である抗原を検出することによる所定の疾患の診断、および有害な物質または生物、または有害な物質または生物の存在に関連した抗体を検出することによる、血液または他の流動体のスクリーニングを含めて、多くの実用的用途を有する。たとえば、DNAに対する自己抗体について血液または他の流動体をスクリーニングすることは、自己免疫疾患の診断に使用されうる。
【0003】
最も一般的な免疫検定技術の内の1つは、抗原または抗体のいずれかが結合される固相マトリックスを使用する。たとえば、典型的なエリザシステムは、抗原物質または抗体の最適な結合を提供するのに適合および/または修正されたプラスチック製(ポリスチレン)96穴プレート(マイクロタイター・プレート)を使用する。
【0004】
エリザプレートのような表面に分子を付着させるための種々の方法が知られている。これらの方法は、溶媒中に溶解される分子と、表面を共有結合させるか、または被覆することによって、誘導される表面に、分子を付着させることを包含し、その結果、分子は、溶媒が蒸散するときに表面に付着する。
【0005】
これらの方法は、再現性、感度および定量化に関する種々の不利益を示す。固相免疫検定では、リガンド/受容体結合に関与する分子の特定の部位が露出されるように、そして結合部位が、改変または曲げられるように、付着した抗原または抗体が、一方向で表面に存在することが重要である。言い換えると、免疫検定で特定の分子が有用になる特性は、分子を表面に付着させる工程で破壊されないことが重要である。さらに、再現性を保証するために、付着した抗原または抗体は、免疫検定の典型的な過酷な条件のあいだに、損傷、改変または除去に対して耐性があるべきである。
【0006】
分子を、共有結合により誘導された表面に付着させる場合、結合事象のあいだに起こる化学的反応が、受容体/リガンド−結合部位も改変する見込みがある。さらに、その分子は、特定の受容体/リガンド−結合部位が利用可能でないような一方向に付着されうる。これは、免疫検定の感度を減少させる。
【0007】
分子は、被覆剤および溶媒蒸散の方法によって表面に付着される場合、分子が、再現可能な手段で表面に結合されることを保証する上で困難がある。さらに、抗原または抗体が、疎水性である傾向のある未処理プラスチックの表面に被覆される場合、抗原または抗体は、使用される特定の溶質および表面によって、抗原または抗体の疎水性部分が、疎水性プラスチック表面に付着するようにそれ自身に配向しうる。その後、抗原または抗体の受容体/リガンド結合部分が覆い隠され、そして感度が減少される可能性がある。
【0008】
予め形成された表面に抗原および抗体を付着させる典型的な方法に伴う別の問題は、これらの方法が、高価で、そして労働集約的である傾向があることである。
【0009】
DNAに対する自己抗体についてのエリザをベースにした試験は、自己免疫性について評価するために典型的に行われる。この型の試験についての包括的名称は、「ANA(抗核抗体)」であり、そして抗核抗体を意味する。本発明は、ポリスチレンに埋設されたDNAに対する自己抗体が、既知ANA陽性活性を示す患者で容易に検出可能であることを示す。埋設DNAを使用することの利益は、多面的であり、そしてエリザ(ELISA)をベースにしたANA試験の伝統的な方法にわたる利点を示す。第一に、エリザプレートウエルに対する非特異的(静電気的)粘着に依るプラスチックの従来の「被覆剤」を使用している場合、埋設DNAは、ともかくプラスチックを減らさない。したがって、プラスチックに埋設されるDNAの標準濃度がありえて、そしてこれは、試験を行うもの、および試験が行われる場所に関係なく変化しない。第二に、埋設されたDNA抗原は、不明確な貯蔵寿命を示す。第三に、DNAをプラスチック保存液と混合することによって、プレートウエルを「被覆」するために必要とされる高価な技師の時間を必要としない。第四に、望ましい場合、DNA埋設ウエルは、低pHを加えて、結合抗体を除去することによって、再利用されうる。固形支持体での抗原分子の数と、サンプル使用から生じる結合抗体分子の数とのあいだの相互関係があるので、血中の抗体の濃度を定量するために、再現性のある標準検定を持たなければならない。
【0010】
本発明の別の実施態様では、特異的配列を示すポリ核酸(polynucleic acid)は、ウイルスまたは細菌性DNAまたはRNAのようなポリ核酸の相補的鎖を検出するハイブリダイゼーション検定で使用するための固形材料に埋設されうる。この目的のための埋設DNAの使用は、それが、信頼性が大きいこと、貯蔵寿命が改善されたこと、製造の費用が少ないことおよび再利用性を含めて、免疫検定で有するのと同じ利点を、従来のハイブリダイゼーション検定にわたって示す。
【発明の開示】
【0011】
ハイブリダイゼーション検定または免疫検定に関与するのに有用な方向で、表面に露出されたポリ核酸および/またはポリリボ核酸を有する固形材料の標準で、そして安定な製剤であって、その固形材料が、操作者による注意深い使用方法に依ることなく、大規模に容易に再現される方法によって生成されるものである製剤を提供することが、本発明の目的である。
【0012】
粒子の表面上のポリ核酸の分配が、予め明確にされた量のものであるように、固形材料中にくまなく均等にポリ核酸を有する熱可塑性または熱硬化性固形材料を提供することが、本発明の別の目的である。
【0013】
ポリ核酸が、固相粒子から濾過または溶出しないように、固形材料中にくまなく均等に結合剤を有する熱可塑性または熱硬化性固形材料を提供することが、本発明の別の目的である。
【0014】
材料が、ハイブリダイゼーション検定または免疫検定で使用された後、結合された結合相手は、取り除かれ得て、そしてその粒子は、同じまたは他の目的のために再使用される固形材料中にくまなく均等にポリ核酸を有する熱可塑性または熱硬化性固形材料を提供することが、本発明の別の目的である。
【0015】
ポリ核酸に対する抗ポリ核酸抗体の結合を含む免疫検定のための固形材料中にくまなく均等に分配されたポリ核酸を有する熱可塑性または熱硬化性固形材料を提供することが、本発明の別の目的である。
【0016】
固定化されたポリ核酸に対するポリ核酸の相補鎖の結合を含むハイブリダイゼーション検定のための固形材料中にくまなく均等に分配されたポリ核酸を有する熱可塑性または熱硬化性固形材料を提供することが、本発明の別の目的である。
【0017】
これらおよび他の目的は、ポリ核酸の分子が、材料中にくまなく均等に、そして未放出で分散され、核酸の分子が、固形材料に化学的に結合されず、ポリ核酸の分子の少なくともいくらかは、特異的結合によりポリ核酸が結合相手(ポリ核酸の相補鎖またはポリ核酸に対する抗体のような)に結合可能である方向で、固形材料の表面に露出されるものである、ポリ核酸含有の一体の熱可塑性または熱硬化性固形材料を提供することによって達成される。ポリ核酸含有の材料は、固形材料になる予定である流動体材料と、ポリ核酸を混合させて、その結果、ポリ核酸が、流動体材料内に均等に分配されて、混合物を形成し、その混合物を型に加え、そしてその混合物を、固形化させて、その結果、混合物が、材料中くまなく均等に分配されるポリ核酸の分子を有する固形材料に形成され、そしてその材料の表面に露出されることによって作製される。それが成型された後、固形材料は、型から放出される。
【0018】
上に記述されるとおりのポリ核酸含有の固形材料は、そこに固定化されたポリ核酸を有する材料を要求するあらゆる従来の免疫検定またはハイブリダイゼーション検定フォーマットで使用されうる。
【0019】
本発明で、表面にポリ核酸を付着させる先行技術の方法に関連した問題は避けられる。ポリ核酸の分子が、その材料の表面に共有結合で結合されず、そしてもしそうでなければ付着工程のあいだに化学反応(重合のような)に関与されないので、化学反応により抗原性またはハイブリダイゼーション結合部位の損失の程度が低い。ポリ核酸の分子は、その材料に埋設され、そしてその材料の表面にちょうど被覆されないので、抗体または抗原の除去または損失の危険が少なく、そして材料の表面上のポリ核酸の安定性が、時間に渡って維持される。本発明は、被覆剤での変動、表面上の変わりやすさ、および一貫しない結果を生じた被覆段階を避ける。
【0020】
1つの態様では、本発明は、溶融状態まで加熱された熱可塑性材料と、ポリ核酸を混合することに関する。その後、混合物を、従来の注入および吹込成型で使用して、固相を形成する。その方法は、プラスチック製材料でのポリ核酸の均等な分配および一定の濃度を供する。
【0021】
別の態様では、本発明は、加熱および/または重合触媒または架橋剤の存在下で、重合できるモノマーと、ポリ核酸を混合すること、そしてその後、重合を起こさせて、固形材料を形成することに関する。この工程は、プラスチック製材料でのポリ核酸の均等な分配および均一な濃度も供する。
【0022】
図面は、本発明の所定の特性を示すために描かれ、そして他の構成要素に関して縮尺で描かれていない。さらに、所定の構成要素は、非常に多くの異なる設計および検定フォーマットが、本発明を実施するのに可能である場合に概略で描かれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の1つの実施態様は、固相支持体、特にプラスチック製材料へのポリ核酸の組込み、それにより生成される製品(管、ビーズおよび多孔プレートのような)、およびこれらの製品を使用した結合検定に関する。ある種の特定の例がエリザを含む一方で、本発明は、なんら特定の免疫検定またはハイブリダイゼーションフォーマットに限定されない。
【0024】
ポリ核酸を、プラスチック製材料に組込んで、検定で使用するための固相埋設ポリ核酸を作製する。固相支持体12で、ポリ核酸11は、固相支持体12中にくまなく均一に分配され、そして埋設される。固相支持体12は、穴のような容器形態でありうる。結合相手14を含有する液体サンプル13を、容器に添加し、そして結合相手が、結合剤に結合する。図2に描写されるとおり、結合相手は、簡単な可視化のために拡大された抗体分子でありうる。その後、液体サンプルを、傾瀉するか、または吸引および洗浄する。その後、結合相手14に結合する標識剤15を、容器に添加した。容器を、再度傾瀉するか、または吸引および洗浄して、あらゆる未結合標識剤を除去する。その後、標識16を、特定の標識に適切な手段で検出する。蛍光標識を使用した場合、標識の存在は、適切な波長の光にそれをさらし、そして蛍光標識に対応する他の波長の放出を観察することによって直接的に観察されうる。標識は、定性で検出されるか、または定量で測定され得て、そして固相支持体に、または未結合標識剤を含有する除去液体中のいずれかで結合される。(図面では、ポリ核酸、結合相手および結合剤は、縮尺で描かれない)。
【0025】
ここで使用される場合、用語「ポリ核酸」は、天然の源または人工的に合成されたあらゆる一本または二本鎖DNAまたはRNAに該当する。ポリ核酸の鎖は、核酸がハイブリダイゼーション検定または免疫検定に有用であるように十分長く、そしてそれが硬化するときにその鎖の一方または両方の末端が、固形材料に捕捉できるように十分長くなるべきである。いくつかの目的のために、2つまたはそれより多くの核酸塩基のオリゴヌクレオチドが、十分でありうる。特定のポリ核酸は、固形材料の特定の意図される用途によって選択される。たとえば、固形材料が、患者の血清(serum)中のDNA結合抗体の存在について一般に調べる免疫検定で使用されるべきである場合、ポリ核酸は、ゲノムDNAの粗標品でありうる。ハイブリダイゼーション検定については、標的DNAまたはRNAに相補的である特異的配列は、ポリ核酸として使用されるだろう。
【0026】
用語「結合パートナー」は、液体中で遊離であり、そして先に埋設したポリ核酸に結合して、不溶になる構成要素に該当する。たとえば、結合相手は、ポリ核酸に対する抗体、または固定化ポリ核酸にハイブリッド形成するポリ核酸の相補的鎖でありうる。
【0027】
固形材料について適した材料の例としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル(たとえばダクロン)、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、PVP、メチルメタクリレート、のような熱可塑性重合体、および組織または生物学的流動体と接触して使用される他の重合体が挙げられる。
【0028】
熱硬化性重合体のような他のプラスチック材料を、使用しうる。このような状況では、ポリ核酸を、モノマーまたはオリゴマーと混合し、そしてその後、それを加熱して、組成物を重合または架橋し、それによりポリ核酸を捕捉する。プラスチック製支持体は、化学的、紫外線または同様に他の非熱重合方法によって作製されうる。多様な硬化剤、透明剤および可塑剤は、支持体にそれの望ましい物理特性を付与するために添加されうる。このような状況では、硬化剤または重合剤の添加の前または同時に、ポリ核酸を、支持体形成材料(たとえばモノマー)と混合しうる。例としては、エポキシ、および熱可塑性重合体下で、上に列挙されるのと同じ重合体のいくつかが挙げられる。
【0029】
固形材料を形成する材料は、ポリ核酸の温度および化学的限度を調整するために注意深く選択されるか、または修飾されうる。たとえば、所定のポリスチレンは、比較的低い温度で溶融する。これらの温度は、ポリヌクレオチドから作られる結合剤、多くのタンパク質、脂質およびほとんどの有機化合物に適合性がある。実際に、所定のポリスチレンは、それらを、ポリアクリルアミドゲルにさせる、特に熱変性段階の前の抗原の製造で使用されるのと同じくらいの熱さのほんの2倍の温度で溶融する。熱可塑性ポリスチレンが溶融する温度は、種々の化合物の添加によりさらに低下させられうる。プラスチック材料の物理的および光学的特性の修飾は、それ自身知られている。固相で存在するポリ核酸の量は、広範に変化しうる;たとえば、1000重量部の材料当たり約0.00000001から約500重量部までが、固相を形成する。典型的には、添加されるポリ核酸の重量は、プラスチックの重量に比較してかなり小さく、したがって、それの特性に明らかに影響を及ぼしそうにない。同じものは、他の材料を使用しても明言されうる。
【0030】
好ましくは、固形材料は、一体の固形材料であり、そしてそれは、ポリ核酸の分子が埋設される不連続の固体であり、そしてそれに、ポリ核酸の分子の部分が露出されうる表面を有することを意味する。言い換えると、固形材料は、ゲル、ワックスまたは膜のような非硬化材料でない。一体の固形材料は、そこに埋設されるポリ核酸を有するのに十分なサイズの粒子の形態にありうる。
【0031】
埋設DNAを有する固形材料を構築する熱可塑性または熱硬化性固形材料は、粒子、ビーズ、管、フラスコ、多孔プレートなどのようなあらゆる形態で成型されうる。さらに、埋設DNAを有する固形材料を、切断、破砕または他の機械的加工にかけて、多量の表面積を露出させうる。その後、たとえば、ノリまたは他の手段によって、埋設DNAを有する固形材料の粉砕粒子を、不活性固形支持体または担体に付着させうる。たとえば、図4に示されるとおり、埋設されたDNA24を有する付着熱可塑性固形粒子22を有する固形担体20は、桿形またはスティック、または容易に扱うことができ、そしてサンプル溶液に挿入できる他の矩形体のような形態でありうる。
【0032】
エリザプレートのような全体の物体は、本発明の固相組成物から作製される必要はない;むしろ、液体サンプルと接触した固相部分のみが、このような材料から作製されることを必要とする。たとえば、多孔プレートのウエルまたはウエルのストリップは、本発明の組成物から作製され得るのに対して、多孔プレートの平衡は、あらゆる従来のプラスチックまたは金属さえから作製されうる。この装置は、さらなる分析のために個々のウエルを除去することを可能にする。さらに、本発明の組成物は、ポリ核酸なしの固相材料よりいっそう高価であるので、有益な節約手段は、サンプルを含有する液体と接触させられる所定の部品を作製するために、組合せを使用して得られる。
【0033】
本発明の固形材料を作製するのに関与した物理的段階としては、固相または支持体になるべき材料とポリ核酸を混合することが挙げられる。その材料が熱可塑性である場合、埋設されるべきポリ核酸を、少量のプラスチック製ペレット保存物と混合し、そして溶融するまで加熱しうるか、またはポリ核酸を、それ自身溶融プラスチックと混合させうる。ポリ核酸およびプラスチックペレットを混合させる上で均質性は、熱水で核酸を可溶化させ、ペレットと混合し、そして水を蒸散させることによって強化されうる。DNA/ポリスチレン混合物を親液化することは、蒸散を促進しうる。これは、プラスチックペレットでのよりいっそうの分配、および混合物中くまなく一貫した分配を保証する。その後、溶融プラスチックを、あらゆる所望の形状のプラスチック製容器に成型する。ポリ核酸は、プラスチック製容器中くまなく均等に分配される。典型的には、化学反応で、プラスチック製支持体とポリ核酸とのあいだに起こるものも、化学反応が、特に望ましいものもない。プラスチック材料が、分子がそれを適所に保持するために十分に周囲を固めるので、ポリ核酸の個々の分子は、プラスチック製支持体に保持される。(適所に保持されないあらゆるポリ核酸分子は、単に過剰として洗い流される。)埋設ポリ核酸を有する固形材料が、免疫検定およびハイブリダイゼーション検定に有用である理由は、混合され、そしてプラスチック材料中くまなく任意に分配されるポリ核酸の分子の全ての中から、それらの少なくともいくつかは、材料の表面に露出され、そしてその表面に露出される分子の少なくともいくつかは、結合検定に有用である方向にあることである。いったん固形材料が、固められると、有用な方向で表面にさらされるポリ核酸の量は、固定される。固形材料は、有用な方向で表面に固定され、そして測定されるポリ核酸の量を測定するために試験されうる。
【0034】
従来の結合検定フォーマットのいずれかは、結合相手を添加する前にポリ核酸が固相に最初に埋設される場合、使用されうる。特許文献は、免疫検定、核酸ハイブリダイゼーション検定および生物特異的結合検定の技術で数十の様々の結合フォーマットが豊富である。一般の結合フォーマットとしては、図2−3に示されるサンドイッチ検定が挙げられる。二次結合相手が、それらがポリ核酸に結合するために競争するように結合相手を添加する前、あいだ、または後に添加される競合結合検定が、使用されうる。代わりに、標識剤は、ポリ核酸との競争で結合相手に結合するように使用されうる。典型的には、結合相手または二次結合相手のいずれかが、結合または遊離標識の簡潔な検出のための標識剤により、直接または間接的に標識される。
【0035】
ここで使用される場合、用語「サンプル」は、結合相手を含むか、または結合相手の存在について試験されるべきあらゆる源から得られるあらゆる組成物に該当する。典型的には、結合相手は、本発明による結合検定での使用の前に流動体で可溶化される。サンプルは、好ましくは、生物学上のサンプル、さらに好ましくは、生物学上の流動体である。
【0036】
多くの結合検定フォーマットについては、標識剤は、ポリ核酸および結合相手が、実際に、互いに結合するかどうかを決定するために、ポリ核酸および結合相手に加えて必要とされる。標識剤は、典型的に、2つの特性を有する接合化合物である。第一に、標識剤は、標識を含有しなければならない;第二に、標識剤は、結合相手またはポリ核酸に物理的に、または化学的に結合しなければならない。特に、これらの2つの特性は、2つの部分が一緒に化学的に結合される標識剤の様々な部分に属する。
【0037】
適切な標識の例としては、放射活性部分、酵素またはその部分、酵素支持体、蛍光部分、化学発光部分、消光剤、光または他の電磁照射を反射または吸収する部分、磁性、常磁性または超磁性粒子、磁気共鳴により検出可能な化合物、固形または多孔性粒子またはシート、または直接容易に検出可能であるか、または別の物質(別の化学的部分、重合化開始剤などのような)と相互作用して、検出可能な変化を生じるあらゆる部分が挙げられる。
【0038】
結合相手に結合する標識剤の部分の例としては、抗体、抗原、ハプテン、プロテインAまたはG、DNA、結合相手または結合剤の吸着剤、ビオチン、アビジン/ストレプトアビジン、および結合相手または結合剤と化学的に結合する部分が挙げられる。
【0039】
検出剤は、酵素グルコースオキシダーゼで標識され、そして別の溶液で別個に遊離であるウサギ抗マウスIgG抗体、酵素基質グルコース、二次酵素ペルオキシダーゼおよび色素原として3,3’,5,5’テトラメチルベンジジンのような複数の部分にありうる。
【0040】
本発明のポリ核酸含有固形材料は、従来の結合検定に関する不溶化構成要素を有する従来の材料より明瞭な利点を示す。本発明により固形材料中にポリ核酸を埋設されるのは、それに、そうでなければ許されない化学的および/または物理的条件に、核酸さらさせる。たとえば、エリザ検定を行うときに、遮断段階は除外でき、そして代わりに、0.05%ツイーンのような洗剤を、緩衝液に添加しうる。検定が完了したとき、希酸、カオトリピック剤、変性またはポリ核酸が固形材料に単に吸着される場合に使用され得ない他のむしろ過酷な技術を使用して、結合した結合相手を剥ぎうる。これは、新たな固形材料を作製および測定する時間と努力を節約するのと同じ固形材料を再使用することを可能にする。
【0041】
さらに、結合相手が、埋設結合剤を有する固形材料に害することなく、ポリ核酸のような埋設結合剤から剥がされうるという事実は、本発明の材料の使用が、結合親和性またはハイブリダイゼーションの強度を決定させる。たとえば、開始段階で結合相手の存在を測定した後、結合相手は、弱いカオトロピック剤で出発し、そして徐々に強いカオトロピック剤で継続しながら、各段階の後残りの結合の範囲を測定しつつ部分的に剥がされうる。この技術は、ANAを診断する上で有用でありうる。正常な個人でさえ、ある程度の小さな濃度の抗DNA抗体を有するが、しかし、それは、ある例(結果は示されず)では、ANA患者によって産生される抗体が、正常な個人により産生される抗体よりDNAに対していっそう強固に結合することが知見された。したがって、DNAに対する個人の抗DNA抗体の結合の強度は、上の技術によって測定されうる。
【0042】
本発明について記載する、以下の実施例は、本発明の特定の使用を示すために与えたものであり、そして現在、本発明を実施するために知られている最良の形態を含む。これらの特定の例は、この出願で記述される本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0043】
実施例1
1キログラムのポリスチレン保存ペレットを、ステンレス鋼製ボウル中で鋼鉄製桿状棒により、約1.0kbより大きな平均長を示すポリ−T尾部を有する50ngの親液化オリゴヌクレオチドと混合して、ポリスチレンペレット中くまなくオリゴヌクレオチドを十分に分配させる。混合物を、ポリスチレンを溶融させる加熱寒天に押出し、そしてその混合物を、15cc円錐管としての型に注入する。
【0044】
溶融材料を、冷却により固める。その後、完了した円錐管を型から取出し、そしてなんらポリヌクレオチド被覆剤の添加なしに、即時の使用のために調整されている。
【0045】
実施例2
その後、実施例1で生じた管を、約600bpの平均長を示す0.5ngのサンプルDNA、およびプラスチックに埋設されたオリゴヌクレオチドに相補的な配列を含有するハイブリダイゼーション緩衝液で満たす。サンプルDNAは、サンプルDNA配列中におよそ10%のTTPでジグオキシゲネンを組込んだ。対照管は、サンプルDNAの添加を除外する。ハイブリダイゼーション緩衝液が、2分間、90℃より上のままであるまで、管を、沸騰水浴に入れる。管を取出し、そしてオリゴヌクレオチドについて最適なハイブリダイゼーション温度まで冷却させ、そして60分間、その温度のままにする。液体を管から傾瀉し、そしてそれらを、一連の高塩緩衝液で洗浄する。その管を、室温で、30分間、遮断剤である10%ウシ血清アルブミンで遮断させる。遮断剤を傾瀉した後、ジグオキシゲネンに対するアルカリ性ホスファターゼで標識された抗体を含有する緩衝液を添加し、そして60分間、室温でインキュベートする。その管を、生理食塩水緩衝液で3回洗浄する。ジエタノールアミン緩衝液中のパラニトロフェニルホスフェートを添加し、そして管を、60分間、暗所でインキュベートする。色発生の量を、分光計で測定し、そしてサンプルDNAなしを添加した対照管と比較して、組込まれたDNAを有する管が、DNA結合検定についての固相として有効に役割を果たすことを示すアルカリ性フォスファターゼの存在を測定する。
【0046】
実施例3
仔ウシ胸腺DNA(1グラム)を、ICNバイオメディカルズ(カタログ番号195129号)から得た。DNAを、200mlの精製水で可溶化させた。溶液中にDNAを得ることを促進するために、DNA−水混合物を、一夜、70℃水浴に入れた。DNAが溶液中にあることを保証するために観察した後、DNA−水混合物を、228グラムの医療用級のポリスチレンに添加し、そしてそれを、ブラウンのコーヒー粉砕機で粉末にさせた。形成されたスラリーを、十分混合されるまで攪拌し、その後、凍結乾燥機に配置するために箔のシートに注いだ。親液性DNAポリスチレン混合物を、500mlビーカーに入れ、そしてポリスチレン粉末が、コーヒー粉砕機の製品に似るまで攪拌した。これらの段階を行って、ポリスチレン中のDNAの均質な分布を供した。
【0047】
DNAポリスチレン混合物を、エリザを行うために適した容器またはウエルの形態で射出成型した。DNA埋設ポリスチレン・ウエルを使用してエリザを行うために、トリス緩衝液中の5%BSAで、1時間、ウエルを遮断した。洗浄の後、1%BSA緩衝液に1/20で希釈した患者血清を、ウエルに添加し、そして1時間インキュベートした。さらに洗浄を行い、続いてアルカリ性ホスファターゼで標識した抗ヒトIgGでインキュベートし、そして基質展開を、続行させた。図5aは、5つの既知ANA陽性患者(患者番号によって示される)および1つの陰性対照個人のエリザ試験の結果を描く。非特異的バックグランド(ヒト血清なしのウエル)を、陽性エリザ値から引いた。図5aは、抗DNA抗体が、ANA陽性患者におけるこのエリザ方によって検出しうることを示す。
【0048】
実施例4
埋設DNAを有する固形ポリスチレン材料を、粒子に破砕させた。その後、粒子を、プラスチック製コーヒー攪拌スティックの遠位末端にスーパーグルーで接着させ、それによりそこに付着されたDNA埋設材料の粒子を有する「ディップスティック」を形成した。DNA埋設材料から作製される容器の代わりに、検定(assay)を行うためにディップスティックを使用することを除き、実施例3に類似の方法での抗DNA抗体検出検定に、そのディップスティックを使用した。図5bは、埋設DNAが、この修正ディップスティック実施例で、抗DNA抗体を検出するのに使用されうることを示す。この方法は、手入れ試験の点の展開のために有用である。
【0049】
特定の実施態様の前述の説明は、最新の知識を用いることによって、他者が、全般的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施態様を、種々の用途のために十分に修飾および/または適合させうるように本発明の全般的な特性を示し、したがって、このような適合化および修飾は、開示された実施態様の等価物の意味および範囲内に内包されるべきであり、そしてそう意図される。ここに使用される表現方法または専門用語は、説明の目的のためのものであって、限定のためのものではないと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】試験管中にくまなく分散されるポリ核酸の分子と、熱可塑性固形材料から作製される試験管の断面図である。
【図2】結合相手を含有するサンプル液が添加され、そして結合相手がポリ核酸に結合するのに十分な時間放置された後の同じ試験管である。
【図3】試験管上に不溶化された結合相手に結合する標識剤(標識抗体またはプロテインG)を洗浄および添加した後の図2と同じ試験管である。
【図4】試験管中くまなく分散されるポリ核酸の分子を有する熱可塑性固形材料の粒子を付着させた支持体の断面図である。
【図5】図5aは、5つの既知ANA陽性特許(patents)および1つの陰性対照のエリザ試験の結果を示す棒線グラフである。図5bは、センター・フォー・ディジース・コントロール(Centers for Disease Control)から得た国際水準ANA血清に比較した低および高陽性ANA血清サンプルを示す棒グラフである。図5aでのデータは、「ディプスティック」方法論(図4を参照)を使用することによって得られ、そしてそれは、プラスチック製ストローの遠位末端にノリによって付着される破砕DNA埋設ポリスチレンより構成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ核酸が、固形材料に化学的に結合されず、そしてポリ核酸が、ポリ核酸が固形材料から濾過または溶出しないように固形材料に保持され、ポリ核酸の分子の少なくとも1分画が、ポリ核酸が特異的結合により結合相手に結合可能である方向で、固形材料の表面に露出されるものである、固形材料中くまなく均質に分散されるポリ核酸の分子を有する熱可塑性または熱硬化性固形材料を包含する組成物。
【請求項2】
熱可塑性または熱硬化性固形材料が、ビーズ、プレート、管またはウエルの形態である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組成物が、免疫検定デバイスの構成要素である請求項1記載の組成物。
【請求項4】
組成物が、ハイブリダイゼーション検定・デバイスの構成要素である請求項1記載の組成物。
【請求項5】
ポリ核酸が、固形材料に化学的に結合されず、そして結合剤が、ポリ核酸が固形材料から濾過または抽出しないように固形材料に保持され、ポリ核酸の分子の少なくとも一分画が、ポリ核酸が特異的結合により結合相手に結合可能である方向で、固形材料の表面に露出されるものであり、十分に均等に分散されたポリ核酸を有する固形材料が、
結合剤が、流動体と固形材料内に均等に分配されるように固形材料になる予定である流動体材料と、ポリ核酸を混合して、混合物を形成し、
その混合物を特定の形状に成型し、そして混合物を固めて、特定の形状を示す固形材料を形成させ、そしてポリ核酸が、混合物を固める反応に関与しないものである段階を包含する方法によって成型されるものである、固形材料中くまなく均等に分散されるポリ核酸の分子を有する熱可塑性または熱硬化性固形材料を包含する組成物。
【請求項6】
特定の形状を示す固形材料が、粒子に破砕される請求項5記載の組成物。
【請求項7】
粒子が、固形担体に付着される請求項6記載の組成物。
【請求項8】
固形担体が、サンプル溶液で浸されうるような形状を示す請求項7記載の組成物。
【請求項9】
ポリ核酸が、固形材料に化学的に結合されず、そして結合剤が、ポリ核酸が固形材料から濾過または抽出しないように固形材料に保持され、ポリ核酸の分子の少なくとも一分画が、ポリ核酸が特異的結合により結合相手に結合可能である方向で、固形材料の表面に露出されるものであり、その方法が、
ポリ核酸が、流動体材料内に均等に分配されるような固形材料になる予定である流動体材料と、ポリ核酸を混合して、混合物を形成し、
その混合物を特定の形状に成型し、そして混合物を固めさせて、特定の形状を示す固形材料を形成させ、そしてポリ核酸が、混合物を固める反応に関与しないものであり、そして混合の段階のあいだにポリ核酸の分子の任意の運動のため、ポリ核酸の分子の少なくとも1分画が、ポリ核酸が特異的結合により結合相手に結合可能である方向で、固形材料の表面に露出されるものである段階を包含するものである固形材料中くまなく均等に分散されるポリ核酸の分子を有する熱可塑性または熱硬化性固形材料を製造する方法。
【請求項10】
流動体材料は、冷却されたとき、熱可塑性固形材料を形成する熱可塑性溶融材料を包含する請求項9記載の方法。
【請求項11】
流動体材料は、重合または架橋されたとき、熱硬化性固形材料を形成するモノマーまたはオリゴマーを包含する請求項9記載の方法。
【請求項12】
モノマーまたはオリゴマーは、加熱または架橋剤の添加により重合または架橋される請求項11記載の方法。
【請求項13】
特定の形状を示す固形材料を粒子に破砕する別の段階を包含する請求項9記載の方法。
【請求項14】
その粒子を固形担体に付着させる別の段階を包含する請求項13記載の方法。
【請求項15】
固形担体が、それがサンプル溶液中に浸しうるような形状を示す請求項14記載の方法。
【請求項16】
ポリ核酸が、固形材料に化学的に結合されず、そしてポリ核酸が、ポリ核酸が固形材料から濾過または溶出しないように固形材料に保持され、ポリ核酸の分子の少なくとも1分画が、ポリ核酸が特異的結合により結合相手に結合可能である方向で、固形材料の表面に露出されるものである、固形材料中くまなく均等に分散されるポリ核酸の分子を有する熱可塑性または熱硬化性固形材料を包含する組成物を提供し、
存在する場合、結合相手の分子を、固形材料の表面に露出されたポリ核酸の分子に結合させるのに十分な時間および条件下で、結合相手を含有することが推測されるサンプルを、組成物と接触させ、そしてポリ核酸に対する結合相手の結合の存在または不在を検出する段階を包含する、結合相手の存在を検出する結合検定方法。
【請求項17】
さらに、前記結合相手が、ポリ核酸に結合する前後で、結合相手またはポリ核酸と、標識剤を接触させることを包含する請求項16記載の結合検定方法。
【請求項18】
前記結合検定方法が、免疫検定であり、そして結合相手は、ポリ核酸に結合する免疫グロブリンまたは免疫グロブリンフラグメントである請求項17記載の結合検定方法。
【請求項19】
検定方法が、自己免疫疾患に関連した核酸に対する抗体の検出について行われる請求項17記載の結合検定方法。
【請求項20】
前記結合検定方法が、ハイブリダイゼーション検定であり、そして結合相手は、熱可塑性固形材料中のポリ核酸にハイブッド形成する標的ポリ核酸である請求項17記載の結合検定方法。
【請求項21】
前記固形材料が、サンプルを保持するように設計された容器の少なくとも一部を包含する請求項17記載の結合検定方法。
【請求項22】
結合相手を除去する段階が、結合相手と固形材料のポリ核酸とのあいだのあらゆる結合を壊すように、試薬を添加するか、または物理的状態を変化させ、そして熱可塑性固形材料を含まない結合相手を取り除くことによって行われるものである、結合相手を検出する段階の後に結合相手を除去することによって固形材料を変性させる別の段階を含む請求項17記載の結合検定方法。
【請求項23】
結合相手が、酸、塩またはカオトロピック剤によって取り除かれる請求項22記載の方方法。
【請求項24】
結合相手の除去が、各段階の後に残りの結合の範囲を測定しつつ、弱いカオトロピック剤で出発し、そして徐々に強いカオトロピック剤で継続する継続段階で行われて、その結果、結合相手の結合親和性が測定されうる請求項23記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2006−517410(P2006−517410A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503153(P2006−503153)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/002542
【国際公開番号】WO2004/070006
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(505286822)エンベッデッド コンセプツ、エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】