説明

熱可塑性エラストマー樹脂

本発明は、溶融重合により製造された熱可塑性エラストマーに鎖延長剤及び加水分解安定剤をヒドロキシカルボン酸化合物の存在下に導入し、混合物を反応押出させてエラストマー樹脂の分子量及び架橋度を増加させることによって製造された、溶融粘度、溶融張力及び耐熱性に優れた熱可塑性エラストマー樹脂に関する。本発明に係る熱可塑性エラストマー樹脂は、自動車部品、特に等速ジョイント用ブーツ及びベローズのための優れた性質を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた溶融粘度、溶融張力及び耐熱性を有するため、自動車部品、特に等速ジョイント用ブーツ及びベローズに適した、新規な熱可塑性エラストマー樹脂及びその製造方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、ジエチレングリコールビスフェノール−A(以後、“DEG−BPA”と呼ぶ)を溶融重合し、重合生成物を、ヒドロキシカルボン酸化合物、ジイソシアネート及びカルボジイミドを使用して反応押出することを含む、優れた性質を有する熱可塑性エラストマー樹脂及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル系熱可塑性エラストマー(以下、“TPE”)は、優れた低温衝撃特性だけでなく、良好な耐油性、耐薬品性を有しているため、自動車分野及び電気/電子分野で広く利用されている。しかし、とりわけ、自動車部品用に広く利用されているクロロプレン・ゴム(CR)は、耐久性が乏しいという問題を有している。従って、近年は、CRがTPEに代替されつつある。TPEの使用は、TPEがCRに比べて優れた軽量性、耐疲労性、耐薬品性、耐オゾン性を有していることから、北米及びヨーロッパで拡大している。特に、押出ブローのためのTPEは、溶融状態でブロー過程を経て生産されるため、溶融状態の樹脂が優れた溶融粘度及び溶融張力を有していなければならず、押出ブローの間、加工製品の厚さ分布が一定に維持されなければならない。
【0003】
一般的に言えば、TPEは、溶融状態では低溶融粘度及び低溶融張力であるため、押出ブローを行うことができない。分枝剤を使用した溶融重合において、TPEの溶融粘度と溶融張力は高くなり得るものの、十分ではない。このような問題を解決するために、溶融重合後に押出機内で架橋剤を使用することにより、TPEの溶融粘度及び溶融張力を増大させることが試みられたが、TPEの一定の物性を得ることができなかった。例えば、特許文献1によると、ジイソシアネートまたはポリカルボジイミドを使用し、エラストマーの末端基であるヒドロキシル基とカルボン酸基を反応させて溶融粘度及び溶融張力を増大させることにより、押出ブロー可能なTPEを得ている。しかし、押出機内での滞留時間が過度に長いため、その生産性に問題があった。特許文献2には、TPEの末端基であるヒドロキシル基とカルボン酸基を完全に反応させるためにTPEの末端基の数を調整し、イソシアネート基とヒドロキシル基との反応、及びカルボン酸基とポリエポキシ化合物との反応を誘発してブロー用のTPEを得ることが記載されている。しかし、上記方法では、耐熱性と滞留時間の問題は依然として解決されていなかった。ジイソシアネート基はヒドロキシル基と迅速な反応性を示し、ポリエポキシ化合物はカルボン酸と迅速な反応性を示し、その結果、粘度上昇を引き起こす。しかし、これらの基間の反応速度の差を調節するためには十分な押出機内の滞留時間が必要であり、これは生産性に密接に関わる。特に、ジイソシアネートは鎖中のヒドロキシル基と主に反応するが、押出機内での滞留時間が不十分なときは、十分な反応が起こらない。その結果として、押出ブロー時に未反応のジイソシアネートによるガスが発生する。また、未反応のジイソシアネートは高分子加工時に再溶融される過程で継続的な反応を誘発し得るものであり、これは高分子加工条件の制御にも影響を及ぼす。従って、ジイソシアネートの反応は完全に行なわなければならず、反応性を高めることにより、製品ロット単位の物性の偏差は、最小化されなければならない。
【特許文献1】米国特許第4,071,503号公報
【特許文献2】米国特許第5,733,986号公報
【発明の開示】
【0004】
上記した問題点を解決するために、本発明者らは持続的な研究を遂行した結果、熱可塑性エラストマーの製造において、芳香族ジカルボン酸、低分子量のジオール、ポリアルキレンオキサイド、及びジエチレングリコールビスフェノール−Aを含有する熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)を溶融重合で形成した後、分子量を増加させてブロー用に使用するために、重合生成物にヒドロキシカルボン酸化合物と共に鎖延長剤及び加水分解安定剤を添加することによって、溶融粘度、溶融張力及び耐熱性に優れた熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)を製造できることを見出した。本発明は、上記発見に基づいて完成された。
【0005】
本発明では、反応押出時に加えるヒドロキシカルボン酸化合物は、そのイソシアネート基と反応し得るヒドロキシル基の数を最適に保つことにより、鎖延長剤であるジイソシアネートの反応性を最適にするものである。また、耐加水分解性を増大させるためにカルボジイミドを使用しているため、2軸押出機内で鎖延長剤と加水分解安定剤がエラストマーと完全に反応でき、耐熱性に優れ、製品物性に偏差のない熱可塑性エラストマーを製造することができる。また、ヒドロキシカルボン酸化合物を熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)製造時に添加することによって硬度調節を容易、且つ自由に行うことができる。熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)の硬度は、熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)製造時に添加されるポリアルキレンオキサイドの含量で調節することができる。従って、用途によって硬度レベルが異なるエラストマーを製造するために、従来は、ポリアルキレンオキサイドの含量を調整して重合反応を行ってきた。しかし、本発明では、ポリアルキレンオキサイド含量を調節する代わりに、反応押出時にヒドロキシカルボン酸化合物を使用することによって、短時間の反応を通して硬度を調節することができるという利点を持っている。
【0006】
従って、本発明の目的は、芳香族ジカルボン酸、低分子量のジオール、及びポリアルキレンオキサイドと共にジエチレングリコールビスフェノール−A(DEG−BPA)0.3〜9.0重量%を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記TPE−Aと共にヒドロキシカルボン酸化合物、ジイソシアネート及びカルボジイミドを含有することを特徴とし、溶融粘度、溶融張力及び耐熱性に優れていることから、自動車部品、特に、等速ジョイント用ブーツ及びベローズに適している熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は上記熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)の製造方法を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)は、芳香族ジカルボン酸、低分子量のジオール、ポリアルキレンオキサイド、及びジエチレングリコールビスフェノール−A(DEG−BPA)を含有する。熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)は、上記熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)と共に、ヒドロキシカルボン酸化合物、ジイソシアネート、及びカルボジイミドを含有する。
【0010】
熱可塑性エラストマー樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントとがブロック共重合された熱可塑性高分子である。本発明に係る熱可塑性エラストマー樹脂(TPE)は、ハードセグメント成分として芳香族ジカルボン酸と低分子量のジオールを、ソフトセグメント成分としてポリアルキレンオキサイドを使用する。
【0011】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)、1,5−ジナフタレンジカルボン酸(1,5−NDCA)、2,6−ジナフタレンジカルボン酸(2,6−NDCA)、及び二価酸をジメチル基で置換したジメチルテレフタルレート(DMT)とジメチルイソフタルレート(DMI)、及びそれらの混合物が挙げられるが、DMTが好ましい。本発明に係る熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)の製造において、芳香族ジカルボン酸は、30〜45重量%、好ましくは33〜40重量%の量で使用される。芳香族ジカルボン酸が30重量%未満または45重量%超過の量で使用される場合には、反応バランスが崩れて反応が妨げられる。
【0012】
本発明に係る低分子量のジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられるが、好ましくは1,4−ブタンジオールである。低分子量のジオールは、15〜30重量%、好ましくは20〜25重量%の量で使用される。低分子量のジオールが15重量%未満または30重量%超過で使用された場合には、芳香族ジカルボン酸のように、反応バランスが崩れて反応が妨げられる。
【0013】
ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMEG)などが使用でき、中でも、PTMEGが好ましい。特に、PTMEGの好ましい数平均分子量は1,000〜3,000であり、より好ましい数平均分子量は2,000である。一般的に言えば、ポリエステル系エラストマーの硬度はショア硬度−D(Shore−D)で示され、ポリアルキレンオキサイドの含量によって硬度が決定される。即ち、ポリアルキレンオキサイドの含量が多いほど、硬度(ショア硬度−D)が低くなる。
【0014】
本発明に係る熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)の製造に当たり、ポリアルキレンオキサイドを20〜50重量%、好ましくは30〜45重量%使用する。ポリアルキレンオキサイドが20重量%未満の場合には、TPEの硬度が高くなり、高分子加工後製品状態で摩擦による耐摩耗性が大きくなる。50重量%を超える場合には、TPE自体の耐熱性が低くなり、問題となる。
【0015】
ジエチレングリコールビスフェノール−A(DEG−BPA)は、下記式(1)で示すことができる。
【0016】
【化1】

(式中、nは1〜5の正の整数を示し、好ましくは1〜3である。)
【0017】
本発明に係るTPE−Aの製造に当たり、上記式(1)のDEG−BPAを、芳香族ジカルボン酸と反応させる。芳香族ジカルボン酸と低分子量のジオールのハードセグメントの一部が、DEG−BPAに置換され、それにより耐熱性が良好となる。
【0018】
本発明に係るTPE−Aを製造する際、上記DEG−BPAは、0.3〜9.0重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%、より好ましくは、1.5〜4.0重量%の量で使用する。DEG−BPAが0.3重量%未満の場合には、弾性回復率及び加工性の改善が低度である。9.0重量%を超える場合は、TPEの硬度調節が難しくなる。
【0019】
本発明に係る熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)に対して、分枝剤などの添加剤を使用することもできる。分枝剤はエラストマーの溶融粘度及び溶融張力を高めることができる。分枝剤としては、グリセロール、ペンタエリトリトール、ネオペンチルグリコールなど、好ましくはグリセロールを0.05〜0.10重量%の量で使用できる。分枝剤が0.05重量%未満の場合には、溶融粘度の上昇が期待し難くなる。0.10重量%を超える場合には、TPE−Aの溶融粘度が過度に上昇して溶融重合時に固有粘度の調節が難しくなる。
【0020】
本発明に係る熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)の製造方法は、オリゴマー化反応及び重縮合反応の2工程からなる。オリゴマー化反応は、140〜215℃で、3〜4時間、触媒としてチタニウムブトキシド(TBT)を0.025〜0.03重量%使用して行われる。重縮合反応は、760トール(0.10MPa)から0.3トール(40Pa)まで段階的に減圧することにより進行させる。
【0021】
上記重縮合反応の際に、PTMEGの分解によりテトラヒドロキシフラン(THF)が発生し得るが、このTHFは揮発性が強く、高分子加工時に臭いとガスの発生による成形製品の外観不良を引き起こすことがある。従って、本発明ではTHFの発生を最大限抑制するために、760トール(0.10MPa)から0.3トール(40Pa)まで1時間減圧して、さらに3〜4時間、0.3トール(40Pa)未満の真空条件を適用し、反応器の温度は210℃から250℃まで2時間上昇させて、最終温度である250℃で、残りの2〜3時間保持するような重縮合方法を使用する。
【0022】
上記溶融重合によって製造された分枝ポリエステル系エラストマー(TPE−A)は、芳香族ジカルボン酸30〜45重量%、低分子量のジオール15〜30重量%、ポリアルキレンオキサイド20〜50重量%、及び式(1)で示されるジエチレングリコールビスフェノール−A0.3〜9.0重量%を含有する。TPE−Aは、重縮合反応器の攪拌機にかかるトルクを基に、分子量を予測して得る。得られた熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)の分子量は、固有粘度(I.V)で表示される。その固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン(TCE)=50/50の溶媒下で測定したときに、1.6〜1.8dl/gの値である。
【0023】
本発明に係るTPE−Aは、DEG−BPAを含まないTPEに比べて、弾性回復率及び加工性に優れている。即ち、TPE−Aは、DEG−BPAを含まないTPEに比べて、樹脂の溶融温度が10〜20℃低くなるので、低い温度で加工することができる。TPE−Aのメルトインデックス(MI)は230℃下で、2.16kgで13〜17g/10分、好ましくは14〜16g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0024】
さらに、DEG−BPAは、TPE−Aの溶融温度を低くするので、TPE−Aは、芳香族ジカルボン酸、低分子量のジオール、及びポリアルキレンオキサイドのみによって重合されたTPEに比べて、押出後、高分子加工時の加工温度が低く、加工性に優れている。しかし、TPE−A自体は依然として溶融粘度や溶融張力が低く、等速ジョイント用ブーツやベローズ用に適した押出ブローに対する最適の物性を有していない。
【0025】
TPE−Aの分子量と架橋度の増加は、溶融粘度の上昇及び溶融張力の増加につながり、優れた押出特性を得ることができる。従って、本発明では上記方法によって製造されたTPE−Aの分子量と架橋度を増加させるための手段として、ジイソシアネートとヒドロキシカルボン酸化合物、すなわち鎖延長剤、及びカルボジイミド、すなわち加水分解安定剤を加えて反応性を向上させることによって、本発明の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)を製造する。即ち、TPE−Aと、鎖延長剤であるジイソシアネート、ヒドロキシカルボン酸化合物、及び加水分解安定剤であるカルボジイミドとを一緒に反応させれば、ジイソシアネートとカルボジイミドの反応率を高めることができる。
【0026】
ヒドロキシカルボン酸化合物としては、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキサンテレフタルレート(PCT)、ポリブチレンテレフタルレート(PBT)などを使用することができる。中でも、PET、PEN、PBN及びPCTは0.5〜1.0dl/gの固有粘度(I.V.)を有するものが望ましく、PBTは0.7〜1.3dl/g、好ましくは0.75〜1.1dl/g、より好ましくは0.8〜0.9dl/gの固有粘度を有し、下記式(2)で示される。
【0027】
【化2】

(式中、nは70〜100の正の整数を示し、好ましくは80〜90である。)
【0028】
TPE−B内のヒドロキシカルボン酸化合物の含量は、3〜28重量%、好ましくは3〜25重量%、より好ましくは、3〜20重量%である。ヒドロキシカルボン酸化合物の含量が3重量%未満の場合には、ジイソシアネートとカルボジイミドの完全な反応性が期待し難く、28重量%を超える場合にはエラストマーの低温での衝撃強さが顕著に低くなるという欠点がある。
【0029】
鎖延長剤であるジイソシアネートは、0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%、より好ましくは1.0〜2.5重量%の量で使用される。ジイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその変性体、あるいはそれらの混合物を使用することができる。ただし、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの反応性は水分との反応によって低下することもあり、保存が容易ではなく、押出反応時に製品のロット毎の物性偏差を調節することが容易ではない。従って、下記式(3)で示される4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの変性体を用いることが好ましい。
【0030】
【化3】

(式中、nは1〜3の正の整数を示し、N=C=Oの含量は29〜30重量%である。)
【0031】
式(3)で示される4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの変性体は、常温にて液状で保持することができるので、押出時の添加が容易であり、長期保存に優れている。従って、製品のロット毎の物性の変動を最小化することができる。さらに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの変性体は、モノマー形態の4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートに比べて、実に少ない添加量でも溶融粘度及び製品加工性の高度の増大を期待することができる。また、加水分解安定剤の添加量は、カルボジイミドが一部含有されているので、さらに低減することができる。
【0032】
また、加水分解安定剤としてのカルボジイミドは、等速ジョイント用ブーツまたはベローズなどの自動車部品に要求される耐久性を有する。本発明に係る加水分解安定剤としてのカルボジイミドは、0.05〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.8重量%、より好ましくは0.2〜0.5重量%の量で使用される。カルボジイミドの使用量が0.05重量%未満の場合は、耐加水分解性を得ることが難しく、1.0重量%を超える場合には架橋化による加工上の問題がある。
【0033】
さらに、熱可塑性エラストマー樹脂に、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、シリコン系マスターバッチ、カーボンブラックマスターバッチなどの追加的な添加剤を含有させてもよい。
【0034】
熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)は、反応押出によって製造される。押出機内での滞留時間は50〜80秒、特に50〜60秒であることが好ましい。押出機内の温度は170〜240℃が好ましく、スクリューのrpmは100〜300rpmであることが好ましい。
【0035】
本方法によって製造された本発明の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)は、TPE−A66〜96.85重量%、ヒドロキシカルボン酸化合物3〜28重量%、ジイソシアネート0.1〜5.0重量%、及びカルボジイミド0.05〜1.0重量%を含有する。また、本発明に係る熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)は、メルトインデックス比(MIR)1.0〜1.5、溶融張力40mN以上、溶融粘度40,000ポアズ以上などの物性を示し、加熱撓み温度(HDT)75℃以上の耐熱性を有している。
【0036】
本発明を下記実施例及び比較例を通じてより具体的に説明する。しかし、これらの実施例及び比較例は本発明を説明することを目的とするが、決して本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0037】
本発明に係るTPE−Bの物性は、下記項目の測定を行って求めた。
1.ショア硬度−D(Shore−D)
TPEの表面硬度であるショア硬度−Dは、ASTM D−2240に従って測定する。その値が小さいほど、よりソフトである。等速ジョイント用ブーツまたはベローズのためのショア硬度−Dは、35〜55の範囲内であり、より好ましくは、40〜50の範囲内である。
【0038】
2.メルトインデックス(MI)
メルトインデックスは、ASTM D−1238に従い、230℃、2.16kgの条件で測定する。押出用のTPEの場合、MIは、0.5〜3.0g/10分、好ましくは1.0〜2.0g/10分、より好ましくは1.0〜1.5g/10分である。MIが0.5g/10分未満の場合には、押出生産性が低くなりすぎてしまい、3.0g/10分を超える場合には、押出時の形状安定性が低下する。
【0039】
3.メルトインデックス比(MIR)
MIRは、MIテスター内に滞留する時間に依存するMIの比であり、式:MIR=G2/G1によって示される。ここで、G1は溶融後1分間の吐出量(g)であり、G2は溶融後5分間の吐出量(g)である。押出用TPEのMIRは、1.0〜1.5、好ましくは1.0〜1.3、より好ましくは1.0〜1.1の範囲内でなければならない。MIRは押出成形時に最も重要な物性である。MIRが1.0未満の場合は、反応押出時に添加されるジイソシアネートの反応が完全に行なわれていないので、MI測定時においても反応が続いていることを意味する。従って、MIRが1.0未満の場合には、高分子加工時に一貫した高分子加工基準を作ることが難しくなる。また、MIRが1.5を超える場合には、押出時の高分子加工自体が難しくなる。
【0040】
4.溶融張力
溶融張力は伸長レオメータ(Extensional rheometer; Goeffert REOTENS 71.97)を使用して測定する。毛管レオメータ(Capillary Rheometer)のダイ(Die)は32/2のL/Dを有する。吐出される溶融ポリマーを巻取して、溶融状態での溶融張力を測定する。溶融張力の値は35〜70mNの範囲内、好ましくは40〜60mNの範囲内である。溶融張力が35mN未満の場合は、押出ブローの時に厚さ分布と形状安定性が低下し、70mNを超えると生産性の低下をもたらす。
【0041】
5.溶融粘度
溶融粘度はRDS(Rheometeric Dynamic Spectrometer)を使用し、押出剪断速度(Shear rate)の範囲内で230℃、240℃、250℃のそれぞれの温度について溶融粘度を測定する。
【0042】
6.加熱撓み温度(HDT)
1/4”試料のHDTは、ASTM D 648に従って4.16kgf/cm下で測定する。
【0043】
7.弾性回復率
ASTM D 638に従って、投入された射出機械試片を温度をかけて治具に取り付け、所望の時間熱処理した後、試片の弾性回復率を測定する。アニーリング後の試片角度とアニーリング前の試片角度との比で弾性回復率を測定する。
【0044】
8.衝撃強さ
衝撃強さは、常温(23℃)と低温(−40℃)の両方でASTM D 256に従って測定する。
【0045】
9.機械的物性
ASTM D 638,790に従って、引張り特性及び曲げ特性を測定する。
【0046】
実施例1
DMT34.6重量%、1,4−ブタンジオール21.2重量%、分子量2,000のPTMEG40.2重量%、DEG−BPA(n=1、HanNong WhaSung、Koremul−BSA−20)3.8重量%、及びグリセロール0.065重量%をオリゴマー化反応器に入れ、触媒としてTBT0.025重量%を加えた。反応温度は140〜215℃の範囲であり、140℃から215℃まで120分間昇温した。温度を215℃に維持しながら、さらに120分間反応を続けた。反応溶離液であるメタノールの量を反応率で換算して反応率が99%以上のときに、反応を終結させた。その後、触媒のTBT0.04重量%、及び熱安定剤のイルガノックス1010 0.07重量%を入れて、重縮合反応を行った。重縮合反応は、215℃から250℃まで120分間昇温し、温度を250℃に維持しながら、さらに120分間反応させることによって行った。この時760トール(0.10MPa)から0.3トール(40Pa)まで1時間減圧し、さらに3時間、真空条件を0.3トール(40Pa)以下に調節し、最終圧力を0.3トール(40Pa)以下に調節してTPE−Aを製造した。
【0047】
上記製造されたTPE−Aについて、2軸型の押出機を使用して反応押出を実施した。TPE−A93重量%とPBT3.0重量%を主成分としながら、好ましい押出特性を得るために、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート変性体(n=1、N=C=Oの含量は29〜30重量%)1.0重量%とカルボジイミド0.2重量%を同時に押出機に投入した。さらに、熱安定剤0.5重量%、酸化防止剤0.5重量%、滑剤0.5重量%、シリコン系マスターバッチ0.6重量%、及びカーボンブラックマスターバッチ0.7重量%を加えて全体成分が100重量%になるようにした後、反応押出を実施した。このとき、2軸型の押出機内の条件は、温度170〜240℃、スクリュー回転数100〜300rpm、及び滞留時間50〜60秒に調節した。このようにして得られたTPE−Bの組成と物性を下記表1、2に示した。
【0048】
実施例2
実施例1と同様にして製造されたTPE−Aを76重量%とPBT20重量%を使用したことを除いて、実施例1と同様にして実施した。このようにして得られたTPE−Bの組成と物性を下記表1、2に示した。
【0049】
実施例3
オリゴマー化反応において、DMT36.3重量%、1,4−ブタンジオール23.4重量%、分子量2,000のPTMEG39.7重量%、DEG−BPA(n=1、HanNong WhaSung Koremul−BSA−20)0.4重量%、及びグリセロール0.065重量%をオリゴマー化反応器に入れ、触媒としてTBT0.025重量%をオリゴマー化反応器にさらに加えたことを除いては、 実施例1と同様にしてTPE−Aを製造した。その後、重縮合反応において、触媒のTBT0.04重量%、及び 熱安定剤のイルガノックス1010 0.07重量%を加えて重縮合反応を行った。このようにして得られたTPE−Aを使用して、実施例1と同様の組成としてTPE−Bを製造した。得られたTPE−Bの組成と物性を下記表1、2に示した。
【0050】
実施例4
オリゴマー化反応において、DMT33.1重量%、1,4−ブタンジオール19.3重量%、分子量2,000のPTMEG40.6重量%、DEG−BPA(n=1、HanNong WhaSung Koremul−BSA−20)6.8重量%、及びグリセロール0.059重量%をオリゴマー化反応器に入れ、触媒としてTBT0.028重量%をオリゴマー化反応器にさらに加えたことを除いては、 実施例1と同様にしてTPE−Aを製造した。その後、重縮合反応において、触媒のTBT0.043重量%、及び 熱安定剤のイルガノックス1010 0.07重量%を添加して重縮合反応を行った。このようにして得られたTPE−Aを使用して、実施例1と同様の組成としてTPE−Bを製造した。得られたTPE−Bの組成と物性を下記表1、2に示した。
【0051】
比較例1
実施例1と同様にして製造したTPE−A96重量%を使用し、PBTを使用しなかったことを除いては、実施例1と同様にして実施した。このようにして得られたTPE−Bの組成と物性を下記表1、2に示した。
【0052】
比較例2
実施例1と同様にして製造したTPE−A66重量%及び、PBT30重量%を使用したことを除いては、実施例1と同様にして実施した。このようにして得られたTPE−Bの組成と物性を下記表1、2に示した。
【0053】
比較例3
ジイソシアネートとカルボジイミドを使用せず、追加的な添加剤を総量で4.0重量%(熱安定剤0.8重量%、酸化防止剤1.2重量%、滑剤0.5重量%、シリコン系マスターバッチ0.8重量%、及びカーボンブラックマスターバッチ0.7重量%)を使用したことを除いては、実施例1と同様にして実施した。このようにして得られたTPE−Bの組成と物性を下記表1、2に示した。
【0054】
比較例4
ジイソシアネートを使用せず、追加的な添加剤を総量で3.8重量%(熱安定剤0.8重量%、酸化防止剤1.0重量%、滑剤0.5重量%、シリコン系マスターバッチ0.8重量%及びカーボンブラックマスターバッチ0.7重量%)を使用したことを除いては、実施例1と同様にして実施した。このようにして得られたTPE−Bの組成と物性を下記表1、2に示した。
【0055】
比較例5
押出機の滞留時間を40秒にしたことを除いては、実施例1と同様にして実施した。このようにして得られたTPE−Bの組成と物性を下記表1、2に示した。
【0056】
比較例6
DEG−BPA無しで得られたTPE96重量%を使用し、PBTを使用しなかったことを除いては、実施例1と同様にして実施した。このようにして得られたTPE−Bの組成と物性を下記表1、2に示した。
【0057】
【表1】

【0058】
*TPE:DEG−BPA無しで重合されたTPE
**追加的な添加剤:熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、シリコン系マスターバッチ、及びカーボンブラックマスターバッチ
PBT:n=80〜90、Sam Yang社製のTRIBIT 1500
ジイソシアネート:BASF社製のLupranate MM103C
カルボジイミド:Bayer社製のStabaxol 1
熱安定剤:SHIPRO Kasei社製の412S
酸化防止剤:SongWon Industrial社製のSongnox1076
滑剤:HENKEL社製のEP861
シリコン系マスターバッチ:DOW CORNING社製のMB−50−010
カーボンブラックマスターバッチ:Hyun Jin Chemical社製のBKA2
【0059】
【表2】

【0060】
1)試験温度:230℃;荷重:2.16kg
2)120℃で20時間アニーリングした後の回復率
3)−:破裂なし
4)剪断速度が1s‐1での溶融粘度
5)RT:室温
6)ASTM D638タイプ1で加工した試片の引張強度
【0061】
上記表1及び2から確認されるように、PBT無しの比較例1は、実施例と比較した場合、MIRが1.0以下であるという加工上の問題がある。また、比較例1は、加工温度が高く、高温での弾性回復率が低い。比較例2は、低温での衝撃強さが低く、加工温度は実施例2より高い。実施例1及び2は、PBT含量が増加すると反応押出時に硬度が増加することを示している。比較例3と4は、TPE−Aと同じ押出特性及び機械的強度を示している。比較例5は、比較例1と同じ加工上の問題点を示している。比較例6は、低い弾性回復率と高い加工温度を示し、MIRが1.0未満であるという加工上の問題を示している。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係るDEG−BPAを使用して溶融重合した後、ヒドロキシカルボン酸化合物、ジイソシアネート、カルボジイミド及び追加的な添加剤を使用することによって反応押出して製造されたポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂は、溶融粘度及びメルトインデックスが向上しており、押出特性、耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れ、種々の自動車部品、特に等速ジョイント用ブーツ、各種ベローズ類に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジカルボン酸30〜45重量%、低分子量のジオール15〜30重量%、ポリアルキレンオキサイド20〜50重量%、及び下記式(1)で示されるジエチレングリコールビスフェノール−A0.3〜9.0重量%を含有する熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【化1】

(式中、nは1〜5の正の整数を示す。)
【請求項2】
固有粘度(I.V.)が1.6〜1.8dl/gである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【請求項3】
さらに、グリセロール0.05〜10重量%を含む請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【請求項4】
芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ジナフタレンジカルボン酸、2,6−ジナフタレンジカルボン酸、ジメチルテレフタルレート、ジメチルイソフタルレート、及びそれらの混合物からなる群より選択されるものである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【請求項5】
低分子量のジオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及びそれらの混合物からなる群より選択されるものである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【請求項6】
ポリアルキレンオキサイドが、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、及びそれらの混合物からなる群より選択されるものである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【請求項7】
TPE−A66〜96.85重量%、ヒドロキシカルボン酸化合物3〜28重量%、ジイソシアネート0.1〜5.0重量%、及びカルボジイミド0.05〜1.0重量%を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【請求項8】
ヒドロキシカルボン酸化合物が、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキサンテレフタルレート(PCT)、ポリブチレンテレフタルレート(PBT)、及びそれらの混合物からなる群より選択されるものである請求項7に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【請求項9】
ヒドロキシカルボン酸化合物が、下記式(2)で示されるポリブチレンテレフタルレート(PBT)である請求項8に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【化2】

(式中、nは70〜100の正の整数を示す。)
【請求項10】
ジイソシアネートが、下記式(3)で示される4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの変性体である請求項7に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【化3】

(式中、nは1〜3の正の整数を示し、N=C=Oの含量は29〜30重量%である。)
【請求項11】
メルトインデックス比(MIR)が、1.0〜1.5である請求項7に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【請求項12】
PBTの固有粘度が、0.7〜1.3dl/gである請求項9に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【請求項13】
(a)芳香族ジカルボン酸30〜45重量%、低分子量のジオール15〜30重量%、ポリアルキレンオキサイド20〜50重量%、請求項1に定義されたジエチレングリコールビスフェノール−A0.3〜9.0重量%、及びグリセロール0.05〜0.10重量%を溶融重合してTPE−Aを製造する工程;及び
(b)上記(a)で製造されたTPE−A66〜96.85重量%、ジイソシアネート0.1〜5.0重量%、及びカルボジイミド0.05〜1.0重量%を反応押出してTPE−Bを製造する工程;
を含む熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)の製造方法。
【請求項14】
ジイソシアネートが、請求項10に定義された4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの変性体である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)で、押出機での滞留時間が50〜80秒である請求項13に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジカルボン酸30〜45重量%、低分子量のジオール15〜30重量%、ポリアルキレンオキサイド20〜50重量%、及び下記式(1)で示されるビスフェノール−alt−エチレングリコールオリゴマー0.3〜9.0重量%を含有する熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【化1】

(式中、nは1〜5の正の整数を示す。)
【請求項2】
固有粘度(I.V.)が1.6〜1.8dl/gである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【請求項3】
さらに、グリセロール0.05〜10重量%を含む請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【請求項4】
芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ジナフタレンジカルボン酸、2,6−ジナフタレンジカルボン酸、ジメチルテレフタルレート、ジメチルイソフタルレート、及びそれらの混合物からなる群より選択されるものである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【請求項5】
低分子量のジオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及びそれらの混合物からなる群より選択されるものである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【請求項6】
ポリアルキレンオキサイドが、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、及びそれらの混合物からなる群より選択されるものである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−A)。
【請求項7】
TPE−A66〜96.85重量%、ヒドロキシカルボン酸化合物3〜28重量%、ジイソシアネート0.1〜5.0重量%、及びカルボジイミド0.05〜1.0重量%を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【請求項8】
ヒドロキシカルボン酸化合物が、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキサンテレフタルレート(PCT)、ポリブチレンテレフタルレート(PBT)、及びそれらの混合物からなる群より選択されるものである請求項7に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【請求項9】
ヒドロキシカルボン酸化合物が、下記式(2)で示されるポリブチレンテレフタルレート(PBT)である請求項8に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【化2】

(式中、nは70〜100の正の整数を示す。)
【請求項10】
ジイソシアネートが、下記式(3)で示される4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの変性体である請求項7に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【化3】

(式中、nは1〜3の正の整数を示し、N=C=Oの含量は29〜30重量%である。)
【請求項11】
メルトインデックス比(MIR)が、1.0〜1.5である請求項7に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【請求項12】
PBTの固有粘度が、0.7〜1.3dl/gである請求項9に記載の熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)。
【請求項13】
(a)芳香族ジカルボン酸30〜45重量%、低分子量のジオール15〜30重量%、ポリアルキレンオキサイド20〜50重量%、請求項1に定義されたビスフェノール−alt−エチレングリコールオリゴマー0.3〜9.0重量%、及びグリセロール0.05〜0.10重量%を溶融重合してTPE−Aを製造する工程;及び
(b)上記(a)で製造されたTPE−A66〜96.85重量%、ジイソシアネート0.1〜5.0重量%、及びカルボジイミド0.05〜1.0重量%を反応押出してTPE−Bを製造する工程;
を含む熱可塑性エラストマー樹脂(TPE−B)の製造方法。
【請求項14】
ジイソシアネートが、請求項10に定義された4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの変性体である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)で、押出機での滞留時間が50〜80秒である請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2006−512431(P2006−512431A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562991(P2004−562991)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002758
【国際公開番号】WO2004/058891
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(500578515)サムヤン コーポレイション (20)
【Fターム(参考)】