熱可塑性ハンドレールの押出方法及び装置
物品の押出方法および装置が提供される。ダイ組立体は、熱可塑性材料の流れを補強ケーブルのアレイに塗布して複合押出を形成できる。複合押出物の一面にスライダ織物を接合できる。ダイ組立体を出た後、細長のマンドレルに沿って通過する押出物を、スライダ織物が支持するように作用する。マンドレルがスライダ織物の基体を平坦なプロフィールから物品の最終内部プロフィールへと変形させる。押し出された物品はその後冷却されて材料を固化させる。ダイはスライダ織物用の冷却と、補強用ケーブル中への熱可塑性材料の浸透を促進する手段とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、エスカレータ、動く歩道及びその他の輸送装置用の熱可塑性ハンドレールに関し、また、連続押出加工技術による実質的に一定断面を有するそのようなハンドレールあるいはその他の物品の製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の節は、そこで述べる内容のいずれも従来技術もしくは当業者の知識の一部であることを認めるものではない。
【0003】
ハンドレールは任意のエスカレータ、動く斜面、動く歩道、またはこれに類似した他の輸送装置における周知の標準的な部品である。従来、かかるハンドレールは大部分がゴムで形成されてハンドレールの外部カバーを構成し、利用者が掴むのに快適なC字型の外面を形成している。また、スチールの補強ケーブル及び織物層も含み、これがハンドレールの寸法安定性をもたらす作用をしている。
【0004】
ハンドレールを設置し、自在に移動できるようにするために、下側にT字型のスロットが設けられる。このスロットは対応するT字型部即ちガイドと係合する。このガイドは磨きスチール、プラスチックやそれに類似したものでできており、エスカレータに沿って設けられる。そしていずれの端部も大型のプーリホイールや湾曲ガイド、ローラで係合されている。エスカレータの下側には適切な駆動機構が設けられる。ハンドレールが自由にスライドできるようにするために、T字型スロットは普通、織物で内張りされている。それは綿あるいは合成素材であり、通常「スライダ」と呼ばれている。
【0005】
また、ハンドレールは通常、長手方向への伸びに対する十分な抵抗を与えることのできる抗張体として、スチールケーブルやその他の比較的伸びの小さい材料によって長手方向に補強されている。ハンドレールは、その本体の中に沢山の補強要素や層を組み込む必要がある。それは長手方向の可撓性を損なわずに少なくともハンドレールの横方向の剛性を充分に高めて、ハンドレールが偶発的及び意図的にガイドから外れないようにするためである。これらの層は通常、直交異方性を有する織物である。即ちこれらは一方向に対してはある程度の剛性を示し、もう一方向にはより大きな可撓性を示す。抗張体は、少なくとも適度な精度で配置されなければならない。より重要なのは、ハンドレールがプーリなどの周りを通過する際に自由に曲がることができるように、一般的には均一な深さの共通の曲げの中立軸上に配置されるべきことである。ハンドレールにはT字型のスロットが形成されなければならない。そしてそこには更にハンドレールの一方の側にだけ接合されるスライダ層も設ける必要がある。使用時にハンドレールがしっかりと保持されるために、このT字型のスロットは精度よく形成されなければならない。
【0006】
このような要件のために、ハンドレールは従来、分離された区分単位で生産されてきた。また、ゴム引き布の使用も必要であった。ゴム引き布の層、コード(撚り糸)、生ゴムが互いに積層され、金型の中で組立てられて熱及び圧力をかけて圧縮成形され、その複合物を硬化及び成形して特徴的なハンドレールのC型が作られる。型は通常10〜20フィート(約3.0〜6.1m)程度の長さであり、その長さのハンドレールを一度に成形できる。1つの部分が成形されると、ハンドレールは型の長さだけ前送りされる。そうして次の部分が成形される。このようにして1つのハンドレールの全長が製造され、各端部の約5フィート(約1.5m)を除いて硬化される。この端の部分は、後で互いに継ぎ合わされて成形、硬化されてエンドレスのハンドレールとなる。この製造プロセスは手間がかかり、かなりの手作業を必要とし、かつ製造速度は、一般的に10分程度かかるゴムの硬化反応の速度と型の長さとで決まる。
【0007】
使用時のハンドレールはT字型断面の部材の上に配置される。ハンドレールが偶発的、あるいは意図的な変位に耐える力は、大部分が横方向の剛性、すなわちハンドレールのリップ強度にかかっている。押出ハンドレールの主要成分はエラストマ材料であり、エラストマ材料の硬度が重要な因子である。他の材料と同様に、エラストマ材料の硬度の選択は、横方向剛性と長手方向の柔軟性との兼ね合いによる。エスカレータや動く歩道の終端における転回部の周りのハンドレールガイドに追随できるために、ハンドレールは十分な長手方向の柔軟性を持つ必要がある。駆動機構を通り、ハンドレールの下側に戻す様々なプーリに追随できることもまた必要である。
【0008】
これらの要件はあるが、ハンドレールは均一の断面を有しているので、理論的には長さ方向に連続的に製造し、後から個々の用途に合わせて裁断するということが可能である。従って、押出加工技術により製造するのに適していると言える。
【0009】
アンジヨレッチらによる特許文献1に、C字型断面を有する、エラストマ材料でできたハンドレールの押出装置及び連続製造方法が開示されている。この押出装置は、ハンドレールの様々な要素を導入するための分離した個々の開口と、これらの要素を連続的に整形し、かつエラストマ材料中の相互に適正な位置にこれらを連続的に配置する手段と、を備えている。
【0010】
ウェザーオールらによる特許文献2に、エスカレータ、動く歩道及びその他の輸送装置用の、概ねC字型断面を有し、内部に概ねT字型のスロットを画成する移動用ハンドレール構造が開示されている。このハンドレールは押出加工によって成形され、T字型スロットの周りに延在する熱可塑性材料の第1の層を含む。熱可塑性材料の第2の層は第1の層の外側の周りに延在し、このハンドレールの外面プロフィールを画成する。スライダ層がT字型スロットを内張りし、第1の層に接合されている。抗張体が第1の層の内部に延在している。第1の層は第2の層よりも硬い熱可塑性樹脂で形成され、これがリップ特性を改良し、直線駆動方式の駆動特性を改良することがわかっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,087,223号明細書
【特許文献2】米国特許第6,237,740号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一定の断面を有し、第1の熱可塑性材料と、抗張体と、物品の一方の側に設けられた織物ウェブと、を含む物品の押出加工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この方法は、ダイ組立体に抗張体を供給するステップと、ダイ組立体に第1の熱可塑性材料を溶融状態で供給するステップであって、第1の熱可塑性材料の押出温度が抗張体の融点よりも低いステップと、第1の熱可塑性材料を抗張体と共に供給し、それにより抗張体を第1の熱可塑性材料の内部に埋設するステップと、一定幅の細長い可撓性の織物ウェブを供給するステップであって、第1の熱可塑性材料の押出温度が織物の融点よりも低いステップと、第1の熱可塑性材料に対して前記織物を導入するステップであって、それにより第1の熱可塑性材料と抗張体と織物とが複合押出物を形成するステップと、押出物を冷却し固化させるステップと、を含む。
【0014】
一定の断面を有し、熱可塑性材料と、物品の一方の側に織物ウェブとを含む物品の別の押出加工方法は、熱可塑性材料を溶融状態でダイ組立体に供給するステップと、一定幅の細長い可撓性の織物ウェブを供給するステップと、熱可塑性材料を材料のクロスオーバ温度より高く維持して材料が溶融しているが安定しているだけの粘性を有する状態で、ダイ組立体から熱可塑性材料を押し出して中間断面の押出物を形成するステップと、熱可塑性材料に対して織物を導入し、一定断面の物品を完成させるステップと、を含む。
【0015】
連続押出によりハンドレールを形成する方法は、所望断面のハンドレールを形成するために溶融状態の熱可塑性エラストマと抗張体と補強スライダ織物とを結合させるステップであって、熱可塑性材料が初期の溶融状態であるが形状が安定するために充分粘性を有するように、エラストマのクロスオーバ温度より高い温度にあるステップと、ハンドレールをその長さに沿って外面から冷却し、ハンドレールの外面の周りの外部層の殆どを固化させ、かつ、その後にハンドレールの内面を冷却、固化してリップ強度を向上させるためにハンドレールにプレストレスを与えるステップと、を含む。
【0016】
均一な断面を有する物品を押し出すための装置が、熱可塑性材料用の第1の入口を有するダイ組立体と、熱可塑性材料の一方の側に接合する細長の織物を導入するための入口スロットと、少なくとも熱可塑性材料から成り、中間断面を有する押出物を形成するための出口ダイと、出口ダイから延在し、まだ溶融状態にある押出物を支持するための支持面を有する主マンドレルと、を含む。ここで、織物が相対的スライド移動のためにマンドレルに当接し、出口ダイに隣接する一端の支持面が中間押出物の一方の側のプロフィールに相当し、かつ主マンドレルの長さに沿って連続的に変化して他端において最終プロフィールとなり、最終プロフィールは押出物の所望の最終断面に相当する。
【0017】
別の装置は、抗張体を導入するための入口と、熱可塑性材料のための第1の入口と、熱可塑性材料の一方の側に接合するための細長の織物を導入するための入口スロットと、結合した押出流用のダクトを含む結合ゾーンであって、結合ゾーンの中への入口開口と、ダイ組立体の第1の入口とダクトとの間を接続する第1および第2のマニフォールドとを有し、抗張体の一方の側に第1の主マニフォールドからの第1の流れとして熱可塑性材料を供給し、かつ抗張体の反対側に第2の主マニフォールドからの第2の流れとして前記熱可塑性材料を供給し、抗張体を結合押出流の内部に埋設し、抗張体を埋設した後に織物を結合押出流に対して導入するための結合ゾーンと、少なくとも熱可塑性材料と抗張体とを含む押出物を形成する出口ダイと、を含むダイ組立体を備える。
【0018】
熱可塑性材料と抗張体とを含む一定断面の物品の押出方法は、ダイ組立体に抗張体を供給するステップと、抗張体の融点より低い温度での溶融状態で熱可塑性材料をダイ組立体に供給するステップと、抗張体と熱可塑性材料を流れ断面積の制限された要素に通過させ、熱可塑性材料を抗張体の中に浸透させやすくするための背圧を生成するステップと、を含む。
【0019】
熱可塑性エラストマと抗張体とを含む物品を押し出すためのダイ組立体は、熱可塑性エラストマ用の第1の入口と、抗張体用の入口と、抗張体が熱可塑性エラストマの中に埋設される結合ゾーンと、熱可塑性エラストマの抗張体の中への浸透を促進するために背圧を発生させる、熱可塑性エラストマ及び抗張体が通過する流れ断面積を制限された要素と、を含む。
【0020】
熱可塑性材料と抗張体とを含む一定断面の物品の押出方法は、ダイ組立体に抗張体を供給するステップと、抗張体の融点より低い温度での溶融状態で熱可塑性材料をダイ組立体に供給し、抗張体が熱可塑性材料の中に埋設されるステップと、細長の織物ウェブをダイ組立体に供給し、織物が熱可塑性材料の一方の側に接合されるようにするステップと、織物への熱移動を低減するために、i)織物と接触するダイ組立体を冷却するステップと、ii)織物と接触するダイ組立体の要素に少なくとも何らかの熱分離を設けるステップと、の少なくとも1つのステップと、を含む。
【0021】
熱可塑性材料と抗張体とを含む物品を押し出すためのダイ組立体は、熱可塑性材料用の第1の入口と、抗張体用の入口と、抗張体が熱可塑性エラストマの中に埋設される結合ゾーンと、細長の織物ウェブ用の入口スロットと、織物がダイ組立体を通過する際に接触するダイ組立体要素であって、(i)冷却用要素(cooling for the element)と、(ii)織物への熱移動を低減するためにダイ組立体の他の要素からの熱的な分離と、の少なくとも1つを含むダイ組立体の要素と、を含む。
【0022】
熱可塑性材料と伸長防止用のケーブルアレイとを含む物品を押し出すためのダイ組立体は、ケーブル供給用のケーブルマンドレルと、ケーブルマンドレルに固定された少なくとも1つの第1のランナプレートであって、第1の熱可塑性材料の供給を受けるための第1の入口に接続され、ケーブルマンドレルから供給されたケーブルを埋設するように第1の熱可塑性材料の流れを方向づけるチャネルを含む少なくとも1つの第1のランナプレートと、少なくとも1つの第1のランナプレートに固定された少なくとも1つの第2のランナプレートであって、第2の熱可塑性材料の供給を受けるための第2の入口に接続され、第1の熱可塑性材料の上に第2の熱可塑性材料の流れを方向づけるチャネルを含む、少なくとも1つの第2のランナプレートと、を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明のこれら及びその他の態様は、ハンドレールやコンベヤベルト及びさまざまなその他の物品に適用可能である。例えば、本明細書で記述する押出方法及び装置は、車両用のドアやその他の額縁の生産に適用可能である。これらは、熱可塑性材料、植毛加工面、及び所望によりメタリック層やその類似のもので構成されうる。本明細書で説明される冷却技術は、押出物品にプレストレスをかけるのに有利である。ハンドレールの場合、これによりリップ強度が向上する。ドア用額縁及びその類似物の場合には、側面部分が内側に付勢され、より良好なグリップが得られる。
これら及びその他の出願人の教示の態様あるいは特徴が本明細書に記述される。
【0024】
当業者であれば以下に記述する図面は説明を目的とするものであることが理解されるであろう。図面はいかなる点においても本出願人の教示の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、押出装置の斜視図である。
【図2a】図2aは、ハンドレール用の冷却タンクおよび巻取組立体の斜視図である。
【図2b】図2bは、冷却タンクの一端の垂直断面図であり、ウォータカーテンを示している。
【図3】図3は、補強ケーブル用のチューブ組立体の斜視図である。ダイ組立体の他の要素は鎖線の外形線で示す。
【図4】図4は、ダイの内部におけるプロフィールの形成過程を示す模式的な斜視図である。
【図5】図5及び図6は、ダイから出た後のハンドレールの連続的プロフィール形成過程を示す図である。
【図6】図5及び図6は、ダイから出た後のハンドレールの連続的プロフィール形成過程を示す図である。
【図7】図7及び図8は、ダイの出口における押出を終わった断面を示す図である。
【図8】図7及び図8は、ダイの出口における押出を終わった断面を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、エスカレータ、動く歩道及びその他の輸送装置用の熱可塑性ハンドレールに関し、また、連続押出加工技術による実質的に一定断面を有するそのようなハンドレールあるいはその他の物品の製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の節は、そこで述べる内容のいずれも従来技術もしくは当業者の知識の一部であることを認めるものではない。
【0003】
ハンドレールは任意のエスカレータ、動く斜面、動く歩道、またはこれに類似した他の輸送装置における周知の標準的な部品である。従来、かかるハンドレールは大部分がゴムで形成されてハンドレールの外部カバーを構成し、利用者が掴むのに快適なC字型の外面を形成している。また、スチールの補強ケーブル及び織物層も含み、これがハンドレールの寸法安定性をもたらす作用をしている。
【0004】
ハンドレールを設置し、自在に移動できるようにするために、下側にT字型のスロットが設けられる。このスロットは対応するT字型部即ちガイドと係合する。このガイドは磨きスチール、プラスチックやそれに類似したものでできており、エスカレータに沿って設けられる。そしていずれの端部も大型のプーリホイールや湾曲ガイド、ローラで係合されている。エスカレータの下側には適切な駆動機構が設けられる。ハンドレールが自由にスライドできるようにするために、T字型スロットは普通、織物で内張りされている。それは綿あるいは合成素材であり、通常「スライダ」と呼ばれている。
【0005】
また、ハンドレールは通常、長手方向への伸びに対する十分な抵抗を与えることのできる抗張体として、スチールケーブルやその他の比較的伸びの小さい材料によって長手方向に補強されている。ハンドレールは、その本体の中に沢山の補強要素や層を組み込む必要がある。それは長手方向の可撓性を損なわずに少なくともハンドレールの横方向の剛性を充分に高めて、ハンドレールが偶発的及び意図的にガイドから外れないようにするためである。これらの層は通常、直交異方性を有する織物である。即ちこれらは一方向に対してはある程度の剛性を示し、もう一方向にはより大きな可撓性を示す。抗張体は、少なくとも適度な精度で配置されなければならない。より重要なのは、ハンドレールがプーリなどの周りを通過する際に自由に曲がることができるように、一般的には均一な深さの共通の曲げの中立軸上に配置されるべきことである。ハンドレールにはT字型のスロットが形成されなければならない。そしてそこには更にハンドレールの一方の側にだけ接合されるスライダ層も設ける必要がある。使用時にハンドレールがしっかりと保持されるために、このT字型のスロットは精度よく形成されなければならない。
【0006】
このような要件のために、ハンドレールは従来、分離された区分単位で生産されてきた。また、ゴム引き布の使用も必要であった。ゴム引き布の層、コード(撚り糸)、生ゴムが互いに積層され、金型の中で組立てられて熱及び圧力をかけて圧縮成形され、その複合物を硬化及び成形して特徴的なハンドレールのC型が作られる。型は通常10〜20フィート(約3.0〜6.1m)程度の長さであり、その長さのハンドレールを一度に成形できる。1つの部分が成形されると、ハンドレールは型の長さだけ前送りされる。そうして次の部分が成形される。このようにして1つのハンドレールの全長が製造され、各端部の約5フィート(約1.5m)を除いて硬化される。この端の部分は、後で互いに継ぎ合わされて成形、硬化されてエンドレスのハンドレールとなる。この製造プロセスは手間がかかり、かなりの手作業を必要とし、かつ製造速度は、一般的に10分程度かかるゴムの硬化反応の速度と型の長さとで決まる。
【0007】
使用時のハンドレールはT字型断面の部材の上に配置される。ハンドレールが偶発的、あるいは意図的な変位に耐える力は、大部分が横方向の剛性、すなわちハンドレールのリップ強度にかかっている。押出ハンドレールの主要成分はエラストマ材料であり、エラストマ材料の硬度が重要な因子である。他の材料と同様に、エラストマ材料の硬度の選択は、横方向剛性と長手方向の柔軟性との兼ね合いによる。エスカレータや動く歩道の終端における転回部の周りのハンドレールガイドに追随できるために、ハンドレールは十分な長手方向の柔軟性を持つ必要がある。駆動機構を通り、ハンドレールの下側に戻す様々なプーリに追随できることもまた必要である。
【0008】
これらの要件はあるが、ハンドレールは均一の断面を有しているので、理論的には長さ方向に連続的に製造し、後から個々の用途に合わせて裁断するということが可能である。従って、押出加工技術により製造するのに適していると言える。
【0009】
アンジヨレッチらによる特許文献1に、C字型断面を有する、エラストマ材料でできたハンドレールの押出装置及び連続製造方法が開示されている。この押出装置は、ハンドレールの様々な要素を導入するための分離した個々の開口と、これらの要素を連続的に整形し、かつエラストマ材料中の相互に適正な位置にこれらを連続的に配置する手段と、を備えている。
【0010】
ウェザーオールらによる特許文献2に、エスカレータ、動く歩道及びその他の輸送装置用の、概ねC字型断面を有し、内部に概ねT字型のスロットを画成する移動用ハンドレール構造が開示されている。このハンドレールは押出加工によって成形され、T字型スロットの周りに延在する熱可塑性材料の第1の層を含む。熱可塑性材料の第2の層は第1の層の外側の周りに延在し、このハンドレールの外面プロフィールを画成する。スライダ層がT字型スロットを内張りし、第1の層に接合されている。抗張体が第1の層の内部に延在している。第1の層は第2の層よりも硬い熱可塑性樹脂で形成され、これがリップ特性を改良し、直線駆動方式の駆動特性を改良することがわかっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,087,223号明細書
【特許文献2】米国特許第6,237,740号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一定の断面を有し、第1の熱可塑性材料と、抗張体と、物品の一方の側に設けられた織物ウェブと、を含む物品の押出加工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この方法は、ダイ組立体に抗張体を供給するステップと、ダイ組立体に第1の熱可塑性材料を溶融状態で供給するステップであって、第1の熱可塑性材料の押出温度が抗張体の融点よりも低いステップと、第1の熱可塑性材料を抗張体と共に供給し、それにより抗張体を第1の熱可塑性材料の内部に埋設するステップと、一定幅の細長い可撓性の織物ウェブを供給するステップであって、第1の熱可塑性材料の押出温度が織物の融点よりも低いステップと、第1の熱可塑性材料に対して前記織物を導入するステップであって、それにより第1の熱可塑性材料と抗張体と織物とが複合押出物を形成するステップと、押出物を冷却し固化させるステップと、を含む。
【0014】
一定の断面を有し、熱可塑性材料と、物品の一方の側に織物ウェブとを含む物品の別の押出加工方法は、熱可塑性材料を溶融状態でダイ組立体に供給するステップと、一定幅の細長い可撓性の織物ウェブを供給するステップと、熱可塑性材料を材料のクロスオーバ温度より高く維持して材料が溶融しているが安定しているだけの粘性を有する状態で、ダイ組立体から熱可塑性材料を押し出して中間断面の押出物を形成するステップと、熱可塑性材料に対して織物を導入し、一定断面の物品を完成させるステップと、を含む。
【0015】
連続押出によりハンドレールを形成する方法は、所望断面のハンドレールを形成するために溶融状態の熱可塑性エラストマと抗張体と補強スライダ織物とを結合させるステップであって、熱可塑性材料が初期の溶融状態であるが形状が安定するために充分粘性を有するように、エラストマのクロスオーバ温度より高い温度にあるステップと、ハンドレールをその長さに沿って外面から冷却し、ハンドレールの外面の周りの外部層の殆どを固化させ、かつ、その後にハンドレールの内面を冷却、固化してリップ強度を向上させるためにハンドレールにプレストレスを与えるステップと、を含む。
【0016】
均一な断面を有する物品を押し出すための装置が、熱可塑性材料用の第1の入口を有するダイ組立体と、熱可塑性材料の一方の側に接合する細長の織物を導入するための入口スロットと、少なくとも熱可塑性材料から成り、中間断面を有する押出物を形成するための出口ダイと、出口ダイから延在し、まだ溶融状態にある押出物を支持するための支持面を有する主マンドレルと、を含む。ここで、織物が相対的スライド移動のためにマンドレルに当接し、出口ダイに隣接する一端の支持面が中間押出物の一方の側のプロフィールに相当し、かつ主マンドレルの長さに沿って連続的に変化して他端において最終プロフィールとなり、最終プロフィールは押出物の所望の最終断面に相当する。
【0017】
別の装置は、抗張体を導入するための入口と、熱可塑性材料のための第1の入口と、熱可塑性材料の一方の側に接合するための細長の織物を導入するための入口スロットと、結合した押出流用のダクトを含む結合ゾーンであって、結合ゾーンの中への入口開口と、ダイ組立体の第1の入口とダクトとの間を接続する第1および第2のマニフォールドとを有し、抗張体の一方の側に第1の主マニフォールドからの第1の流れとして熱可塑性材料を供給し、かつ抗張体の反対側に第2の主マニフォールドからの第2の流れとして前記熱可塑性材料を供給し、抗張体を結合押出流の内部に埋設し、抗張体を埋設した後に織物を結合押出流に対して導入するための結合ゾーンと、少なくとも熱可塑性材料と抗張体とを含む押出物を形成する出口ダイと、を含むダイ組立体を備える。
【0018】
熱可塑性材料と抗張体とを含む一定断面の物品の押出方法は、ダイ組立体に抗張体を供給するステップと、抗張体の融点より低い温度での溶融状態で熱可塑性材料をダイ組立体に供給するステップと、抗張体と熱可塑性材料を流れ断面積の制限された要素に通過させ、熱可塑性材料を抗張体の中に浸透させやすくするための背圧を生成するステップと、を含む。
【0019】
熱可塑性エラストマと抗張体とを含む物品を押し出すためのダイ組立体は、熱可塑性エラストマ用の第1の入口と、抗張体用の入口と、抗張体が熱可塑性エラストマの中に埋設される結合ゾーンと、熱可塑性エラストマの抗張体の中への浸透を促進するために背圧を発生させる、熱可塑性エラストマ及び抗張体が通過する流れ断面積を制限された要素と、を含む。
【0020】
熱可塑性材料と抗張体とを含む一定断面の物品の押出方法は、ダイ組立体に抗張体を供給するステップと、抗張体の融点より低い温度での溶融状態で熱可塑性材料をダイ組立体に供給し、抗張体が熱可塑性材料の中に埋設されるステップと、細長の織物ウェブをダイ組立体に供給し、織物が熱可塑性材料の一方の側に接合されるようにするステップと、織物への熱移動を低減するために、i)織物と接触するダイ組立体を冷却するステップと、ii)織物と接触するダイ組立体の要素に少なくとも何らかの熱分離を設けるステップと、の少なくとも1つのステップと、を含む。
【0021】
熱可塑性材料と抗張体とを含む物品を押し出すためのダイ組立体は、熱可塑性材料用の第1の入口と、抗張体用の入口と、抗張体が熱可塑性エラストマの中に埋設される結合ゾーンと、細長の織物ウェブ用の入口スロットと、織物がダイ組立体を通過する際に接触するダイ組立体要素であって、(i)冷却用要素(cooling for the element)と、(ii)織物への熱移動を低減するためにダイ組立体の他の要素からの熱的な分離と、の少なくとも1つを含むダイ組立体の要素と、を含む。
【0022】
熱可塑性材料と伸長防止用のケーブルアレイとを含む物品を押し出すためのダイ組立体は、ケーブル供給用のケーブルマンドレルと、ケーブルマンドレルに固定された少なくとも1つの第1のランナプレートであって、第1の熱可塑性材料の供給を受けるための第1の入口に接続され、ケーブルマンドレルから供給されたケーブルを埋設するように第1の熱可塑性材料の流れを方向づけるチャネルを含む少なくとも1つの第1のランナプレートと、少なくとも1つの第1のランナプレートに固定された少なくとも1つの第2のランナプレートであって、第2の熱可塑性材料の供給を受けるための第2の入口に接続され、第1の熱可塑性材料の上に第2の熱可塑性材料の流れを方向づけるチャネルを含む、少なくとも1つの第2のランナプレートと、を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明のこれら及びその他の態様は、ハンドレールやコンベヤベルト及びさまざまなその他の物品に適用可能である。例えば、本明細書で記述する押出方法及び装置は、車両用のドアやその他の額縁の生産に適用可能である。これらは、熱可塑性材料、植毛加工面、及び所望によりメタリック層やその類似のもので構成されうる。本明細書で説明される冷却技術は、押出物品にプレストレスをかけるのに有利である。ハンドレールの場合、これによりリップ強度が向上する。ドア用額縁及びその類似物の場合には、側面部分が内側に付勢され、より良好なグリップが得られる。
これら及びその他の出願人の教示の態様あるいは特徴が本明細書に記述される。
【0024】
当業者であれば以下に記述する図面は説明を目的とするものであることが理解されるであろう。図面はいかなる点においても本出願人の教示の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、押出装置の斜視図である。
【図2a】図2aは、ハンドレール用の冷却タンクおよび巻取組立体の斜視図である。
【図2b】図2bは、冷却タンクの一端の垂直断面図であり、ウォータカーテンを示している。
【図3】図3は、補強ケーブル用のチューブ組立体の斜視図である。ダイ組立体の他の要素は鎖線の外形線で示す。
【図4】図4は、ダイの内部におけるプロフィールの形成過程を示す模式的な斜視図である。
【図5】図5及び図6は、ダイから出た後のハンドレールの連続的プロフィール形成過程を示す図である。
【図6】図5及び図6は、ダイから出た後のハンドレールの連続的プロフィール形成過程を示す図である。
【図7】図7及び図8は、ダイの出口における押出を終わった断面を示す図である。
【図8】図7及び図8は、ダイの出口における押出を終わった断面を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の断面を有し、第1の熱可塑性材料と、抗張体と、物品の一方の側の織物ウェブと、を含む物品の押出加工方法であって、
a)ダイ組立体に前記抗張体を供給するステップと、
b)前記ダイ組立体に前記第1の熱可塑性材料を溶融状態で供給するステップであって、前記第1の熱可塑性材料の押出温度が前記抗張体の融点よりも低いステップと、
c)前記第1の熱可塑性材料を前記抗張体と共に供給し、それにより前記抗張体を前記第1の熱可塑性材料の内部に埋設するステップと、
d)一定幅の細長い織物ウェブを供給するステップであって、前記第1の熱可塑性材料の押出温度が前記織物の融点よりも低いステップと、
e)前記第1の熱可塑性材料に対して前記織物を導入するステップであって、それにより前記第1の熱可塑性材料と、前記抗張体と、前記織物とが、複合押出物を形成するステップと、
f)前記押出物を冷却し固化させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ステップ(f)が、中間断面の状態で、かつ、前記第1の熱可塑性材料が溶融しているが安定するだけの粘性を有する前記第1の熱可塑性材料のクロスオーバ温度を超えた温度で、前記押出物を前記ダイ組立体から押し出すステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の溶融熱可塑性材料を支持するために前記織物が敷かれた通路に沿って前記中間押出物を通過させ、前記通路に沿って前記押出物が連続的に最終の所望断面に整形される追加のステップが、前記ステップ(f)と(g)の間において更に遂行される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記追加のステップが、前記押出物のプロフィールを決定する細長い主マンドレルの支持面上に前記織物を支えるステップを含み、前記支持面の一端は前記中間断面の一方の側に相当するプロフィールを有し、かつ前記マンドレルの前記プロフィールは長さ方向に沿って連続的に変化し、前記支持面のもう一方の端は前記最終断面の一方の側に相当するプロフィールを有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記押出物及び前記織物が前記マンドレルの前記支持面に対して押しつけられるようにするために真空を適用するステップを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記最終断面を形成した後に、前記押出物を外部から冷却して充分に熱を排除し、前記押出物の外面の周りの外部層の殆どを固化させるステップを含む請求項3から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法がハンドレールを形成するステップを含み、前記織物が細長のスライダ織物を含み、前記抗張体が複数の補強用ケーブルを含み、前記第1の熱可塑性材料が熱可塑性エラストマを含み、前記追加のステップにおいて前記押出物が概ねC字型断面に形成される請求項3から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記中間断面が平坦な基体とそれに対して垂直に延在する側縁とを有し、前記ダイ組立体の中で前記方法が、前記織物を前記細長の基体に沿わせ、かつ前記中間断面の側縁部を覆うように折り畳むステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記マンドレルが、垂直のステムと水平部分とから成り、前記水平部分の端部に丸い角を有し、前記ステムと前記水平部分との間に傾斜した角を有して、内部にT字型を有するC字型の前記ハンドレールの最終断面を形成できるような形状をしている請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハンドレールを、前記ハンドレールの外面を冷却して固化するために前記ハンドレールの外面を液体冷媒で冷却する冷却ユニットの中を通過させるステップを含み、前記液体冷媒は水を含み、冷却時に前記方法が、前記主マンドレルから延長した第2のマンドレル上に前記ハンドレールを支持するステップを含み、これにより水が前記ハンドレールの外面のみを冷却する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(c)において、前記第1の熱可塑性材料が、前記抗張体の概ね対向する側への2つの分離した流れとして供給される請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(c)の後に、第2の熱可塑性材料を別の流れとして溶融状態で前記ダイ組立体に供給するステップと、前記第2の熱可塑性材料の流れを前記織物との関係で前記第1の熱可塑性材料の反対側に導入し、前記第1と第2の熱可塑性材料が前記押出物の中で分離した層を画成するステップと、が追加で実行される請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2の熱可塑性材料が異なる硬度を有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
一定の断面を有し、熱可塑性材料と、物品の一方の側の織物ウェブと、を含む物品の押出加工方法であって、
a)前記熱可塑性材料を溶融状態でダイ組立体に供給するステップと、
b)一定幅の細長い可撓性の織物ウェブを供給するステップと、
c)前記熱可塑性材料を材料のクロスオーバ温度より高く維持して前記材料が溶融しているが安定するだけの粘性を有する状態で、前記ダイ組立体から前記熱可塑性材料を押し出して中間断面の押出物を形成するステップと、
d)前記熱可塑性材料に対して前記織物を導入し、一定断面の物品を完成させるステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記中間押出物を、前記熱可塑性材料を支持するために前記織物が敷かれた通路に沿って通過させ、かつ、前記物品が冷却されて固化する前に、前記押出物が前記中間断面から最終の所望断面に前記通路に沿って連続的に整形される追加のステップを、更に含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記押出物のプロフィールを決定する細長い主マンドレルの支持面上に前記織物を支えるステップを含み、前記支持面は一端において前記中間断面の一方の側に相当するプロフィールを有し、かつ前記マンドレルの長さ方向に沿って連続的に変化し、前記最終断面の一方の側に相当するプロフィールとなる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記押出物が前記マンドレルの前記支持面に押圧されるように真空を適用する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記外面層を冷却して固化するために、前記物品を、前記物品の前記外面を液体冷媒で冷却する冷却ユニットの中を通過させるステップを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
連続押出によりハンドレールを形成する方法であって、
a)所望断面のハンドレールを形成するために溶融状態の熱可塑性エラストマと、抗張体と、補強スライダ織物と、を結合させるステップであって、前記熱可塑性材料が初期の溶融状態であるが形状が安定するために充分粘性を有するように、前記エラストマのクロスオーバ温度より高い温度にあるステップと、
b)前記ハンドレールをその長さに沿って前記外面から冷却し、前記ハンドレールの前記外面の周りの殆どの外部層を固化させ、かつ、その後に前記ハンドレールの前記内面を冷却、固化してリップ強度を向上させるために前記ハンドレールにプレストレスを与えるステップと、
を含む方法。
【請求項20】
前記ステップ(b)が、前記ハンドレールが通過するマンドレルを含む細長い冷却ユニットを、前記ハンドレールを連続的に通過させるステップと、前記ハンドレールの外面を冷却するために前記ハンドレールへ冷却用流体を塗布するステップと、を含み、前記マンドレルが前記ハンドレール用の内部のT字型スロットを画成する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
均一な断面を有する物品を押し出すための装置であって、
熱可塑性材料用の第1の入口を有するダイ組立体と、
前記熱可塑性材料の一方の側に接合する細長の織物を導入するための入口スロットと、
少なくとも前記熱可塑性材料から成り、中間断面を有する押出物を形成するための出口ダイと、
前記出口ダイから延在し、まだ溶融状態にある前記押出物を支持するための支持面を有する主マンドレと、
を含み、
前記織物が相対的スライド移動のために前記マンドレルに当接し、前記出口ダイに隣接する一端の前記支持面が前記中間押出物の一方の側のプロフィールに対応し、かつ前記主マンドレルの長さに沿って連続的に変化して他端において最終プロフィールとされ、前記最終プロフィールは前記押出物の所望の最終断面に対応するものとされている装置。
【請求項22】
前記マンドレルが、真空を適用して前記押出物を前記マンドレルの前記支持面に押圧するために、複数の開口と前記開口に連通する長さ方向に沿った穴とを含む請求項21に記載の装置。
【請求項23】
均一な断面を有する物品を押し出すための装置であって、前記装置は、
抗張体を導入するための入口と、
熱可塑性材料のための第1の入口と、
前記熱可塑性材料の一方の側に接合するための細長の織物を導入するための入口スロットと、
結合した押出流用のダクトを含む結合ゾーンであって、前記結合ゾーンの中への入口開口と、前記ダイ組立体の前記第1の入口と前記ダクトとの間を接続する第1および第2の主マニフォールドとを有し、前記抗張体の一方の側に前記第1の主マニフォールドからの第1の流れとして前記熱可塑性材料を供給し、かつ、前記抗張体の反対側に前記第2の主マニフォールドからの第2の流れとして前記熱可塑性材料を供給し、前記抗張体を前記結合押出流の内部に埋設し、前記抗張体を埋設した後に前記織物を前記結合押出流に対して導入するための結合ゾーンと、
少なくとも前記熱可塑性材料と前記抗張体とを含む押出物を形成する出口ダイと、
を含むダイ組立体を備える装置。
【請求項24】
熱可塑性材料の第2の流れを提供する第2の入口と、前記第2の流れを前記押出物の反対の側に供給するために、前記第2の入口を前記結合ゾーンの下流の前記ダクトの前記入口スロットから遠い側に接続する個々の第2のマニフォールドと、を含む請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記押出物のプロフィールを画成する細長の主マンドレルを含み、一端における前記支持面が、前記出口ダイから出た直後の前記押出物の中間断面に相当するプロフィールを有し、前記マンドレルの前記プロフィールがその長さに沿って連続的に変化し、前記支持面のもう一方の端において前記押出物の最終断面の一方の側に対応するプロフィールを有する請求項23あるいは24に記載の装置。
【請求項26】
前記マンドレルが、前記支持面における複数の開口と、真空源に接続するための前記開口と連通する穴とを含み、前記真空源は、前記押出物に真空を作用させて前記マンドレルの前記支持面に対して前記織物を押し付けさせる請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ハンドレールが前記主マンドレルを離れた後に前記ハンドレールの前記外面を急速に冷却するための冷却ユニットを含む請求項23から26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記冷却ユニットが、細長のタンクと、前記ハンドレールを支持するために前記主マンドレルと同じ大きさを持つ第2のマンドレルと、前記ハンドレールの前記外面に冷却液を作用させるための液体源と、を含む請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記流体源は、前記第2のマンドレルの上に位置する複数のノズルを含む請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記ハンドレールが前記冷却ユニットに入った際に前記ハンドレールを冷却して被膜を形成するために、前記流体源が前記冷却ユニットの入口近くに位置する少なくとも1つのノズルを含み、かつ、前記ハンドレールの外部プロフィールを整えるために、前記ノズルより上流に少なくとも1つのローラと、前記ノズルより下流に少なくとも1つのローラを更に含む請求項28に記載の装置。
【請求項31】
熱可塑性材料と抗張体とを含む一定断面の物品の押出方法であって、
a)ダイ組立体に抗張体を供給するステップと、
b)前記抗張体の融点より低い温度での溶融状態で前記熱可塑性材料を前記ダイ組立体に供給するステップと、
c)前記抗張体と前記熱可塑性材料を流れ断面積を制限された要素を介して通過させ、前記熱可塑性材料を前記抗張体の中に浸透させやすくするための背圧を発生するステップと、
を含む方法。
【請求項32】
前記流れ断面積を制限された要素が、複数のスロットを有する櫛状体部を含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記櫛状体が、複数の垂直スロットと少なくとも1つの水平スロットとを含み、前記抗張体が複数のケーブルを含み、前記複数のケーブルを前記櫛状体組立体の1つの水平スロットに通過させるステップを含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
細長の可撓性織物ウェブを前記ダイ組立体の前記熱可塑性材料及び前記抗張体の流れの下に供給し、前記織物の温度をその融点より低く維持することを更に含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ダイ組立体に前記織物を有する前記押出物を支える押出物支持ブロックを設け、前記押出物支持ブロックを冷却することを含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記押出物支持ブロックと前記ダイのその他の要素との間を熱的に分離し、前記押出物を前記押出物支持ブロックより高い温度に加熱するように前記ダイを加熱することを更に含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
熱可塑性エラストマと抗張体とを含む物品を押し出すためのダイ組立体であって、
a)熱可塑性エラストマ用の第1の入口と、
b)前記抗張体用の入口と、
c)前記抗張体が前記熱可塑性エラストマの中に埋設される結合ゾーンと、
d)前記熱可塑性エラストマの前記抗張体の中への浸透を促進するために背圧を発生させる、前記熱可塑性エラストマ及び前記抗張体が通過する流れ断面積を制限された要素と、
を含むダイ組立体。
【請求項38】
第2の結合ゾーンと、第2の熱可塑性ポリマ用の入口とを含み、前記第2の結合ゾーンにおいて前記第2の熱可塑性ポリマが前記第1の熱可塑性ポリマと前記抗張体の流れに一方の側から結合される請求項37に記載のダイ組立体。
【請求項39】
前記熱可塑性ポリマの一方の側に接合するための細長の織物ウェブ用の入口スロットを含む請求項38に記載のダイ組立体。
【請求項40】
押出物支持ブロックを含み、前記織物が前記押出物支持ブロックの上を通過して前記押出物を支持するように前記ダイ組立体が構成されている請求項39に記載のダイ組立体。
【請求項41】
a)前記押出物支持ブロック用の冷却と、
b)前記押出物支持ブロックから離れている前記ダイ組立体の要素用の加熱と、
の少なくとも1つを含む請求項40に記載のダイ組立体。
【請求項42】
前記押出物支持ブロックが、流体を冷やし、前記ダイ組立体の他の要素から前記冷媒支持ブロックへの熱移動を制限するための、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを含む請求項41に記載のダイ組立体。
【請求項43】
熱可塑性材料と抗張体とを含む一定断面の物品の押出方法であって、
a)ダイ組立体に抗張体を供給するステップと、
b)前記抗張体の融点より低い温度での溶融状態で前記熱可塑性材料を前記ダイ組立体に供給し、前記抗張体が前記熱可塑性材料の中に埋設されるステップと、
c)細長の織物ウェブを前記ダイ組立体に供給し、前記織物が前記熱可塑性材料の一方の側に接合されるようにするステップと、
d)前記織物への熱移動を低減するために、
i)前記織物と接触する前記ダイ組立体を冷却するステップと、
ii)前記織物と接触する前記ダイ組立体の要素に少なくとも何らかの熱分離を
設けるステップと、
の少なくとも1つのステップと、
を含む方法。
【請求項44】
前記ダイ組立体が、前記熱可塑性材料から形成され、前記抗張体を含む押出物用の出口を含み、前記出口に隣接する前記押出物に対して前記織物が導入され、前記押出物が冷却され固化する間、前記押出物を支持する請求項43に記載の方法。
【請求項45】
熱可塑性材料と抗張体とを含む物品を押し出すためのダイ組立体であって、
a)熱可塑性材料用の第1の入口と、
b)前記抗張体用の入口と、
c)前記抗張体が前記熱可塑性エラストマの中に埋設される結合ゾーンと、
d)細長の織物ウェブ用の入口スロットと、
e)前記織物が前記ダイ組立体を通過する際に接触する前記ダイ組立体の要素であって、
i)前記要素用の冷却と、
ii)前記織物への熱移動を低減するために前記ダイ組立体の他の要素からの熱
的な分離と、
の少なくとも1つを含む前記ダイ組立体の要素と、
を含むダイ組立体。
【請求項46】
前記ダイ組立体が、前記熱可塑性材料から形成され、前記抗張体を含む押出物用の出口を含み、前記入口スロットが前記出口に隣接するように配置されて、前記押出物が冷却され固化する間前記押出物を支持するために前記織物が前記押出物に対して導入される請求項45に記載のダイ組立体。
【請求項47】
熱可塑性材料と伸長防止用のケーブルアレイとを含む物品を押し出すためのダイ組立体であって、
a)ケーブル供給用のケーブルマンドレルと、
b)前記ケーブルマンドレルに固定された少なくとも1つの第1のランナプレートであって、第1の熱可塑性材料の供給を受けるための第1の入口に接続され、前記ケーブルマンドレルから供給された前記ケーブルを埋設するように前記第1の熱可塑性材料の流れを方向づけるチャネルを含む、前記の少なくとも1つの第1のランナプレートと、
c)前記少なくとも1つの第1のランナプレートに固定された少なくとも1つ第2のランナプレートであって、第2の熱可塑性材料の供給を受けるための第2の入口に接続され、前記第1の熱可塑性材料の上に前記第2の熱可塑性材料の流れを方向づけるチャネルを含む、前記の少なくとも1つの第2のランナプレートと、
を含むダイ組立体。
【請求項48】
前記少なくとも1つの第1のランナプレートと前記少なくとも1つの第2のランナプレートとの間に固定された櫛状体プレートを更に含み、前記櫛状体プレートは前記第1の熱可塑性材料の流れに背圧を生成するために流れ断面積を絞り込んだスロットを含む請求項47に記載のダイ組立体。
【請求項49】
前記ケーブルマンドレル、前記少なくとも1つの第1のランナプレート、前記櫛状体プレート、及び前記少なくとも1つの第2のランナプレートのそれぞれは洗浄を容易にするために相互に分解できるように構成されている請求項48に記載のダイ組立体。
【請求項50】
添付の図面を参照して以上に実質的に説明され、もしくは添付の図面に実質的に示された熱可塑性ハンドレールの押出方法。
【請求項51】
添付の図面を参照して以上に実質的に説明され、もしくは添付の図面に実質的に示された熱可塑性ハンドレールの押出装置。
【請求項1】
一定の断面を有し、第1の熱可塑性材料と、抗張体と、物品の一方の側の織物ウェブと、を含む物品の押出加工方法であって、
a)ダイ組立体に前記抗張体を供給するステップと、
b)前記ダイ組立体に前記第1の熱可塑性材料を溶融状態で供給するステップであって、前記第1の熱可塑性材料の押出温度が前記抗張体の融点よりも低いステップと、
c)前記第1の熱可塑性材料を前記抗張体と共に供給し、それにより前記抗張体を前記第1の熱可塑性材料の内部に埋設するステップと、
d)一定幅の細長い織物ウェブを供給するステップであって、前記第1の熱可塑性材料の押出温度が前記織物の融点よりも低いステップと、
e)前記第1の熱可塑性材料に対して前記織物を導入するステップであって、それにより前記第1の熱可塑性材料と、前記抗張体と、前記織物とが、複合押出物を形成するステップと、
f)前記押出物を冷却し固化させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ステップ(f)が、中間断面の状態で、かつ、前記第1の熱可塑性材料が溶融しているが安定するだけの粘性を有する前記第1の熱可塑性材料のクロスオーバ温度を超えた温度で、前記押出物を前記ダイ組立体から押し出すステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の溶融熱可塑性材料を支持するために前記織物が敷かれた通路に沿って前記中間押出物を通過させ、前記通路に沿って前記押出物が連続的に最終の所望断面に整形される追加のステップが、前記ステップ(f)と(g)の間において更に遂行される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記追加のステップが、前記押出物のプロフィールを決定する細長い主マンドレルの支持面上に前記織物を支えるステップを含み、前記支持面の一端は前記中間断面の一方の側に相当するプロフィールを有し、かつ前記マンドレルの前記プロフィールは長さ方向に沿って連続的に変化し、前記支持面のもう一方の端は前記最終断面の一方の側に相当するプロフィールを有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記押出物及び前記織物が前記マンドレルの前記支持面に対して押しつけられるようにするために真空を適用するステップを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記最終断面を形成した後に、前記押出物を外部から冷却して充分に熱を排除し、前記押出物の外面の周りの外部層の殆どを固化させるステップを含む請求項3から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法がハンドレールを形成するステップを含み、前記織物が細長のスライダ織物を含み、前記抗張体が複数の補強用ケーブルを含み、前記第1の熱可塑性材料が熱可塑性エラストマを含み、前記追加のステップにおいて前記押出物が概ねC字型断面に形成される請求項3から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記中間断面が平坦な基体とそれに対して垂直に延在する側縁とを有し、前記ダイ組立体の中で前記方法が、前記織物を前記細長の基体に沿わせ、かつ前記中間断面の側縁部を覆うように折り畳むステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記マンドレルが、垂直のステムと水平部分とから成り、前記水平部分の端部に丸い角を有し、前記ステムと前記水平部分との間に傾斜した角を有して、内部にT字型を有するC字型の前記ハンドレールの最終断面を形成できるような形状をしている請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハンドレールを、前記ハンドレールの外面を冷却して固化するために前記ハンドレールの外面を液体冷媒で冷却する冷却ユニットの中を通過させるステップを含み、前記液体冷媒は水を含み、冷却時に前記方法が、前記主マンドレルから延長した第2のマンドレル上に前記ハンドレールを支持するステップを含み、これにより水が前記ハンドレールの外面のみを冷却する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(c)において、前記第1の熱可塑性材料が、前記抗張体の概ね対向する側への2つの分離した流れとして供給される請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(c)の後に、第2の熱可塑性材料を別の流れとして溶融状態で前記ダイ組立体に供給するステップと、前記第2の熱可塑性材料の流れを前記織物との関係で前記第1の熱可塑性材料の反対側に導入し、前記第1と第2の熱可塑性材料が前記押出物の中で分離した層を画成するステップと、が追加で実行される請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2の熱可塑性材料が異なる硬度を有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
一定の断面を有し、熱可塑性材料と、物品の一方の側の織物ウェブと、を含む物品の押出加工方法であって、
a)前記熱可塑性材料を溶融状態でダイ組立体に供給するステップと、
b)一定幅の細長い可撓性の織物ウェブを供給するステップと、
c)前記熱可塑性材料を材料のクロスオーバ温度より高く維持して前記材料が溶融しているが安定するだけの粘性を有する状態で、前記ダイ組立体から前記熱可塑性材料を押し出して中間断面の押出物を形成するステップと、
d)前記熱可塑性材料に対して前記織物を導入し、一定断面の物品を完成させるステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記中間押出物を、前記熱可塑性材料を支持するために前記織物が敷かれた通路に沿って通過させ、かつ、前記物品が冷却されて固化する前に、前記押出物が前記中間断面から最終の所望断面に前記通路に沿って連続的に整形される追加のステップを、更に含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記押出物のプロフィールを決定する細長い主マンドレルの支持面上に前記織物を支えるステップを含み、前記支持面は一端において前記中間断面の一方の側に相当するプロフィールを有し、かつ前記マンドレルの長さ方向に沿って連続的に変化し、前記最終断面の一方の側に相当するプロフィールとなる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記押出物が前記マンドレルの前記支持面に押圧されるように真空を適用する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記外面層を冷却して固化するために、前記物品を、前記物品の前記外面を液体冷媒で冷却する冷却ユニットの中を通過させるステップを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
連続押出によりハンドレールを形成する方法であって、
a)所望断面のハンドレールを形成するために溶融状態の熱可塑性エラストマと、抗張体と、補強スライダ織物と、を結合させるステップであって、前記熱可塑性材料が初期の溶融状態であるが形状が安定するために充分粘性を有するように、前記エラストマのクロスオーバ温度より高い温度にあるステップと、
b)前記ハンドレールをその長さに沿って前記外面から冷却し、前記ハンドレールの前記外面の周りの殆どの外部層を固化させ、かつ、その後に前記ハンドレールの前記内面を冷却、固化してリップ強度を向上させるために前記ハンドレールにプレストレスを与えるステップと、
を含む方法。
【請求項20】
前記ステップ(b)が、前記ハンドレールが通過するマンドレルを含む細長い冷却ユニットを、前記ハンドレールを連続的に通過させるステップと、前記ハンドレールの外面を冷却するために前記ハンドレールへ冷却用流体を塗布するステップと、を含み、前記マンドレルが前記ハンドレール用の内部のT字型スロットを画成する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
均一な断面を有する物品を押し出すための装置であって、
熱可塑性材料用の第1の入口を有するダイ組立体と、
前記熱可塑性材料の一方の側に接合する細長の織物を導入するための入口スロットと、
少なくとも前記熱可塑性材料から成り、中間断面を有する押出物を形成するための出口ダイと、
前記出口ダイから延在し、まだ溶融状態にある前記押出物を支持するための支持面を有する主マンドレと、
を含み、
前記織物が相対的スライド移動のために前記マンドレルに当接し、前記出口ダイに隣接する一端の前記支持面が前記中間押出物の一方の側のプロフィールに対応し、かつ前記主マンドレルの長さに沿って連続的に変化して他端において最終プロフィールとされ、前記最終プロフィールは前記押出物の所望の最終断面に対応するものとされている装置。
【請求項22】
前記マンドレルが、真空を適用して前記押出物を前記マンドレルの前記支持面に押圧するために、複数の開口と前記開口に連通する長さ方向に沿った穴とを含む請求項21に記載の装置。
【請求項23】
均一な断面を有する物品を押し出すための装置であって、前記装置は、
抗張体を導入するための入口と、
熱可塑性材料のための第1の入口と、
前記熱可塑性材料の一方の側に接合するための細長の織物を導入するための入口スロットと、
結合した押出流用のダクトを含む結合ゾーンであって、前記結合ゾーンの中への入口開口と、前記ダイ組立体の前記第1の入口と前記ダクトとの間を接続する第1および第2の主マニフォールドとを有し、前記抗張体の一方の側に前記第1の主マニフォールドからの第1の流れとして前記熱可塑性材料を供給し、かつ、前記抗張体の反対側に前記第2の主マニフォールドからの第2の流れとして前記熱可塑性材料を供給し、前記抗張体を前記結合押出流の内部に埋設し、前記抗張体を埋設した後に前記織物を前記結合押出流に対して導入するための結合ゾーンと、
少なくとも前記熱可塑性材料と前記抗張体とを含む押出物を形成する出口ダイと、
を含むダイ組立体を備える装置。
【請求項24】
熱可塑性材料の第2の流れを提供する第2の入口と、前記第2の流れを前記押出物の反対の側に供給するために、前記第2の入口を前記結合ゾーンの下流の前記ダクトの前記入口スロットから遠い側に接続する個々の第2のマニフォールドと、を含む請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記押出物のプロフィールを画成する細長の主マンドレルを含み、一端における前記支持面が、前記出口ダイから出た直後の前記押出物の中間断面に相当するプロフィールを有し、前記マンドレルの前記プロフィールがその長さに沿って連続的に変化し、前記支持面のもう一方の端において前記押出物の最終断面の一方の側に対応するプロフィールを有する請求項23あるいは24に記載の装置。
【請求項26】
前記マンドレルが、前記支持面における複数の開口と、真空源に接続するための前記開口と連通する穴とを含み、前記真空源は、前記押出物に真空を作用させて前記マンドレルの前記支持面に対して前記織物を押し付けさせる請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ハンドレールが前記主マンドレルを離れた後に前記ハンドレールの前記外面を急速に冷却するための冷却ユニットを含む請求項23から26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記冷却ユニットが、細長のタンクと、前記ハンドレールを支持するために前記主マンドレルと同じ大きさを持つ第2のマンドレルと、前記ハンドレールの前記外面に冷却液を作用させるための液体源と、を含む請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記流体源は、前記第2のマンドレルの上に位置する複数のノズルを含む請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記ハンドレールが前記冷却ユニットに入った際に前記ハンドレールを冷却して被膜を形成するために、前記流体源が前記冷却ユニットの入口近くに位置する少なくとも1つのノズルを含み、かつ、前記ハンドレールの外部プロフィールを整えるために、前記ノズルより上流に少なくとも1つのローラと、前記ノズルより下流に少なくとも1つのローラを更に含む請求項28に記載の装置。
【請求項31】
熱可塑性材料と抗張体とを含む一定断面の物品の押出方法であって、
a)ダイ組立体に抗張体を供給するステップと、
b)前記抗張体の融点より低い温度での溶融状態で前記熱可塑性材料を前記ダイ組立体に供給するステップと、
c)前記抗張体と前記熱可塑性材料を流れ断面積を制限された要素を介して通過させ、前記熱可塑性材料を前記抗張体の中に浸透させやすくするための背圧を発生するステップと、
を含む方法。
【請求項32】
前記流れ断面積を制限された要素が、複数のスロットを有する櫛状体部を含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記櫛状体が、複数の垂直スロットと少なくとも1つの水平スロットとを含み、前記抗張体が複数のケーブルを含み、前記複数のケーブルを前記櫛状体組立体の1つの水平スロットに通過させるステップを含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
細長の可撓性織物ウェブを前記ダイ組立体の前記熱可塑性材料及び前記抗張体の流れの下に供給し、前記織物の温度をその融点より低く維持することを更に含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ダイ組立体に前記織物を有する前記押出物を支える押出物支持ブロックを設け、前記押出物支持ブロックを冷却することを含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記押出物支持ブロックと前記ダイのその他の要素との間を熱的に分離し、前記押出物を前記押出物支持ブロックより高い温度に加熱するように前記ダイを加熱することを更に含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
熱可塑性エラストマと抗張体とを含む物品を押し出すためのダイ組立体であって、
a)熱可塑性エラストマ用の第1の入口と、
b)前記抗張体用の入口と、
c)前記抗張体が前記熱可塑性エラストマの中に埋設される結合ゾーンと、
d)前記熱可塑性エラストマの前記抗張体の中への浸透を促進するために背圧を発生させる、前記熱可塑性エラストマ及び前記抗張体が通過する流れ断面積を制限された要素と、
を含むダイ組立体。
【請求項38】
第2の結合ゾーンと、第2の熱可塑性ポリマ用の入口とを含み、前記第2の結合ゾーンにおいて前記第2の熱可塑性ポリマが前記第1の熱可塑性ポリマと前記抗張体の流れに一方の側から結合される請求項37に記載のダイ組立体。
【請求項39】
前記熱可塑性ポリマの一方の側に接合するための細長の織物ウェブ用の入口スロットを含む請求項38に記載のダイ組立体。
【請求項40】
押出物支持ブロックを含み、前記織物が前記押出物支持ブロックの上を通過して前記押出物を支持するように前記ダイ組立体が構成されている請求項39に記載のダイ組立体。
【請求項41】
a)前記押出物支持ブロック用の冷却と、
b)前記押出物支持ブロックから離れている前記ダイ組立体の要素用の加熱と、
の少なくとも1つを含む請求項40に記載のダイ組立体。
【請求項42】
前記押出物支持ブロックが、流体を冷やし、前記ダイ組立体の他の要素から前記冷媒支持ブロックへの熱移動を制限するための、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを含む請求項41に記載のダイ組立体。
【請求項43】
熱可塑性材料と抗張体とを含む一定断面の物品の押出方法であって、
a)ダイ組立体に抗張体を供給するステップと、
b)前記抗張体の融点より低い温度での溶融状態で前記熱可塑性材料を前記ダイ組立体に供給し、前記抗張体が前記熱可塑性材料の中に埋設されるステップと、
c)細長の織物ウェブを前記ダイ組立体に供給し、前記織物が前記熱可塑性材料の一方の側に接合されるようにするステップと、
d)前記織物への熱移動を低減するために、
i)前記織物と接触する前記ダイ組立体を冷却するステップと、
ii)前記織物と接触する前記ダイ組立体の要素に少なくとも何らかの熱分離を
設けるステップと、
の少なくとも1つのステップと、
を含む方法。
【請求項44】
前記ダイ組立体が、前記熱可塑性材料から形成され、前記抗張体を含む押出物用の出口を含み、前記出口に隣接する前記押出物に対して前記織物が導入され、前記押出物が冷却され固化する間、前記押出物を支持する請求項43に記載の方法。
【請求項45】
熱可塑性材料と抗張体とを含む物品を押し出すためのダイ組立体であって、
a)熱可塑性材料用の第1の入口と、
b)前記抗張体用の入口と、
c)前記抗張体が前記熱可塑性エラストマの中に埋設される結合ゾーンと、
d)細長の織物ウェブ用の入口スロットと、
e)前記織物が前記ダイ組立体を通過する際に接触する前記ダイ組立体の要素であって、
i)前記要素用の冷却と、
ii)前記織物への熱移動を低減するために前記ダイ組立体の他の要素からの熱
的な分離と、
の少なくとも1つを含む前記ダイ組立体の要素と、
を含むダイ組立体。
【請求項46】
前記ダイ組立体が、前記熱可塑性材料から形成され、前記抗張体を含む押出物用の出口を含み、前記入口スロットが前記出口に隣接するように配置されて、前記押出物が冷却され固化する間前記押出物を支持するために前記織物が前記押出物に対して導入される請求項45に記載のダイ組立体。
【請求項47】
熱可塑性材料と伸長防止用のケーブルアレイとを含む物品を押し出すためのダイ組立体であって、
a)ケーブル供給用のケーブルマンドレルと、
b)前記ケーブルマンドレルに固定された少なくとも1つの第1のランナプレートであって、第1の熱可塑性材料の供給を受けるための第1の入口に接続され、前記ケーブルマンドレルから供給された前記ケーブルを埋設するように前記第1の熱可塑性材料の流れを方向づけるチャネルを含む、前記の少なくとも1つの第1のランナプレートと、
c)前記少なくとも1つの第1のランナプレートに固定された少なくとも1つ第2のランナプレートであって、第2の熱可塑性材料の供給を受けるための第2の入口に接続され、前記第1の熱可塑性材料の上に前記第2の熱可塑性材料の流れを方向づけるチャネルを含む、前記の少なくとも1つの第2のランナプレートと、
を含むダイ組立体。
【請求項48】
前記少なくとも1つの第1のランナプレートと前記少なくとも1つの第2のランナプレートとの間に固定された櫛状体プレートを更に含み、前記櫛状体プレートは前記第1の熱可塑性材料の流れに背圧を生成するために流れ断面積を絞り込んだスロットを含む請求項47に記載のダイ組立体。
【請求項49】
前記ケーブルマンドレル、前記少なくとも1つの第1のランナプレート、前記櫛状体プレート、及び前記少なくとも1つの第2のランナプレートのそれぞれは洗浄を容易にするために相互に分解できるように構成されている請求項48に記載のダイ組立体。
【請求項50】
添付の図面を参照して以上に実質的に説明され、もしくは添付の図面に実質的に示された熱可塑性ハンドレールの押出方法。
【請求項51】
添付の図面を参照して以上に実質的に説明され、もしくは添付の図面に実質的に示された熱可塑性ハンドレールの押出装置。
【図8】図8a〜図8eは、異なるハンドレールの完成プロフィールを示す断面図である。
【図9】図9は、ダイの出口を前方から見返した図である。
【図10】図10は、ハンドレールの内部プロフィールを形成するための整形マンドレル部分を示す斜視図である。
【図11】図11は、ダイの中の様々な通路を破線の外形線で示した側面図である。
【図12】図12は、ダイの中の様々な通路を破線の外形線で示した平面図である。
【図13】図13は、ダイ組立体要素の斜視図である。
【図14】図14は、接着剤の塗布、乾燥、予備加熱を示すケーブル供給ユニットの部分側面図である。
【図15a】図15aは、ダイ組立体を後方上部から見た斜視図である。
【図15b】図15bは、ダイ組立体を前方上部から見た斜視図である。
【図15c】図15cは、ダイ組立体を下方から見た斜視図である。
【図16】図16a〜図16fは、ダイ組立体の異なる部品の連続的な組み立てを示す斜視図である。
【図17a】図17aおよび図17bは、ダイ組立体の部分を構成するケーブルマンドレルを別々の端から見た斜視図である。
【図17b】図17aおよび図17bは、ダイ組立体の部分を構成するケーブルマンドレルを別々の端から見た斜視図である。
【図17c】図17cは、図17aおよび17bのケーブルマンドレルの端面図である。
【図17d】図17dおよび図17eは、図17cを線BB及びAAに沿って見たそれぞれの断面図である。
【図17e】図17dおよび図17eは、図17cを線BB及びAAに沿って見たそれぞれの断面図である。
【図18a】図18aは一端から見た櫛状体ユニットの斜視図であり、図18bは別の一端から見た櫛状体ユニットの斜視図である。
【図18c】図18cは、櫛状体ユニットの端面図である。
【図18d】図18dは、図18cの線DDに沿って見た断面図である。
【図19】図19a、図19b、図19cは、出口ダイブロックの斜視図である。
【図20】図20aおよび図20bは、押出物支持ブロックの斜視図である。
【図21b】図21bは、上部ダイブロックの斜視図である。
【図21c】図21cは、図21a及び21bの上部ダイブロックを下から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
請求の範囲に記載のそれぞれの発明の実施形態の例を提供するために、以下にさまざまな装置あるいは方法について説明する。下記の実施形態はいずれも、クレームされた発明を制限するものではなく、また何れのクレームされた発明も、以下に記載されていない装置あるいは方法を包含してもよい。クレームされた発明は、以下に記載された任意の1つの装置あるいは方法のすべての特徴を有する装置あるいは方法に限定されるものではないし、以下に記載された複数あるいはすべての装置に共通の特徴に限定されるものでもない。以下に記載された、あるいは本明細書の別の部分で説明する、装置要素あるいは方法ステップの組合せ、あるいは部分的組合せの中に、1つまたは複数の発明が存在し得る。以下に記載された装置あるいは方法が、クレームされた発明のいずれの実施形態でもないこともあり得る。出願人、発明者、および/または所有者は、本明細書でクレームされていなくて、下記説明の装置あるいは方法において開示されたいかなる発明についても権利を留保する。そしてかかる発明のいかなるものも本明細書における開示によって、遺棄、権利放棄したり、公共の用に供するものではない。
【0027】
先ず図1を参照すると、例示の装置が全体として符号20で表されている。装置20は、ダイ組立体22、ケーブル供給ユニット100、スライダ織物のロール搭載機構60、等のいくつかの重要なコンポーネントを含んでいる。
【0028】
ハンドレール用の熱可塑性材料とは、選択された硬度を有する熱可塑性エラストマである。図に示すようにダイ組立体22は、高温、溶融熱可塑性材料用の、主たる第1入口34と第2入口70とを有する。入口34,70は従来のスクリュー押出機からの出口であってもよい。所望の材料を所要の温度及び圧力条件で提供可能な任意の適当な機械が設けられてもよい。以下に詳細を述べるように、機械は材料を所望の流速で供給できることが必要である。
【0029】
ダイ組立体22からマンドレル112、134が延伸している。以下で詳細を述べるように、マンドレル112、134はいくつかの分離した部分から成っていてもよい。それらは相互に結合されていて、後で説明するように、少なくとも先頭部分に真空が供給されていて、ハンドレールが適切な内部プロフィールを取れるようになっている。
【0030】
図2aを参照すると、マンドレル112、134は、ハンドレールの冷却のために容器即ちタンク132に中へ入る。タンク132を出ると、ハンドレールは駆動ユニット150を通過して巻取りローラ155上に巻き取られる。
【0031】
ここでダイ組立体22の詳細を、図3、4、7、9、11、12と関連付けて説明する。先ず図11と12でよくわかるように、ダイ組立体22はいくつかの分離したゾーンから成り、それらが結合してダイ組立体全体を構成する。
【0032】
入口ゾーン24において入口34からのポリマがケーブルアレイの上下の2つの流れに分割される。この後、チョークゾーン26があり、ここは通路が相対的に狭くなっていてポリマの流れを絞って均一な背圧を与え、2つの流れが実質的に均等な流れになるようにする。
【0033】
その次にケーブル結合ゾーン28がある。これは、ポリマの上の流れと下の流れがケーブルアレイの上と下から合流する上流ゾーン28aと、ポリマがケーブルアレイを均一に挟み込んで内部にケーブルを埋設する下部ゾーン28bとからなる。以下に記載されたように、櫛状体(comb)が実装されて背圧を発生し、ポリマがケーブルアレイの中に浸透しやすいようにする。
【0034】
次はスライダ結合ゾーン30である。ここで、スライダ織物の層が導入されて、形成された押出プロファイルに導入される。
【0035】
最後に出口ソーン32があって、そこでポリマの第2の流れが導入され、結合された押出流に合流してハンドレールの外部層を形成する。
【0036】
ここで図3を参照すると、第1入口34が従来式のスクリュー押出機の出口に接続される。従来式のスクリュー押出機は、所要の温度及び圧力条件で、選ばれたエラストマあるいはその他の熱可塑性材料を分配できるものであれば任意の好適な押出機であってよい。所望に依っては、スクリュー押出機に加えて溶融ポンプを使用してもよい。あるいは、従来式のスクリュー押出機の代わりにツイン式スクリュー押出機を使用してもよい。ツイン式スクリュー押出機ではポリマ混合物の使用が可能である。
【0037】
短い入口ダクト36が分岐し、下部と上部の分配ダクト38、39に接続される。図11では分離したダクト38、39がよくわかる。また図12では、平面図でダクト38、39が90度まで曲がって、第1の、すなわち下部マニフォールド40と第2の、即ち上部のマニフォールド41へ接続される様子が示されている。このようにして入口34が第1の入口手段を提供する。この第1の入口手段は上記の代わりに、2つの別々の押出機が2つのダクト38、39に別々に接続されてもよいことは理解されるであろう。
【0038】
マニフォールド40、41が流れを均等に所望の幅に分散させ、第1即ち下部チョーク42と第2即ち上部チョーク43へとつなげる。チョーク42、43は一定の幅を有してもよいが、図11からわかるように、マニフォールド40、41に比べて深さがかなり減じられている。この理由は、上部チャネルと下部チャネルのそれぞれに制御された流れの抵抗を与えて、上部チャネル及び下部チャネルを通る所望の流れを確保するためである。上部チョーク43は下部チョーク42よりも幅を大きくしてより大きな流れを与えられるようにしてもよい。こうするとケーブルアレイを、結合した押出流の底部の方へ所望通りに維持するのに効果的である。
【0039】
チョーク42,43は上部結合ダクト44と下部結合ダクト45へと繋がる。これらのダクト44、45は図11からわかるようにより大きい深さとなっている。そしてその幅は、図12でわかるように内側方向に向かって斜めになって、スライダ織物の幅に相当する幅になる。
【0040】
次に図3でよくわかるように、中間の楔形ブロック46がチョーク42、43と結合ダクト44、45とを分離する。複数のチューブ48がブロック46に組み込まれる。以下で詳細を述べるように、チューブ48は、ハンドレールの補強用ケーブル50にぴったり合うような寸法となっているが、図3の矢印52で示すようにケーブル50を自由にスライド移動できるようになっている。
【0041】
チューブ48は下流結合ゾーン28bで終わる。図には示されていないが、チューブ48の端部に隣接してダクトを横切って延在する櫛状体があってもよい。比較的小さい製造速度でのテストの目的のために、ポリマをケーブル50に浸透させるための十分な背圧を発生させるためにこの櫛状体が設けられてもよい。大きな製造速度の場合には、ダイの内部では必然的により高い圧力となり、これでポリマが良好に浸透するための所要の内部圧力が十分に生成されるので、図に示すように櫛状体は省略されてもよい。
【0042】
下流の結合ゾーン28bでは単一の矩形部ダクト56がある。従って、図11に示すように、ケーブル50はチューブ48を抜ける時にポリマの上下の流れでサンドイッチされ、ともにダクト56を下流方向に向かって通過する。
【0043】
ポリマを両側からケーブルに対して導入するこの構成は利点が多いことがわかるであろう。この構成ではケーブルが正確にかついつも安定して完成製品の中に配置され、ポリマの横断流により変位させられるということがない。この構成では他の形態の抗張体を用いることも可能となる。例えば、ポリマ中に埋設されたスチールテープあるいはスチールケーブルから成るテープを用いることも可能である。いかなるテープ(及びカーボンファイバテープ174が図8bに示されている)が用いられても、ポリマが両側から供給されてハンドレールを正確に形成できるようにすることが重要である。
【0044】
スチールケーブルがサンドイッチ構造を有する複合テープの形に形成されることもまた可能である。ここではスチールケーブルは2層のポリマの間に埋設され、そのそれぞれの側に2層の織物があってサンドイッチ構造を完成させる。このような複合テープはここで説明している装置と類似の装置を利用して形成することが可能である。こうして、スチールケーブルがダイに供給され、ポリマがケーブルの上下から供給される。これとは別に、ケーブルを複合ポリマ流の中に埋設した後、所要の織物の2つのテープが、スライダ織物62としてスロットを介してダイの中へ導入される。更に、そのような構成はダイ組立体22の追加のステージとして組み込まれてもよい。要するに、複合テープが上流で連続的に形成されて、ケーブル結合ゾーン28へ供給される。この技術の利点は、グレードの異なるポリウレタンあるいは他のポリマを複合サンドイッチ構造の中でケーブル直近に存在させることができることである。そのような構造を図8cに示す。ここでは追加のテープ即ち織物層が190で示され、追加のポリマ層が188で示されている。
【0045】
ハンドレール構造における周知の問題点は、ケーブルのフレッチング(fretting)である。直線駆動のようなある種のハンドレール駆動において、ケーブルを含むハンドレール本体部分は、対になった駆動ローラを通過する際に、極度の締付け荷重を受ける。これがケーブルのフレッチングを起こし、ケーブルを周りのポリマから分離させてしまう可能性がある。他のタイプの駆動装置では別の荷重が掛かる。ケーブルを分離して埋設して複合テープとし、ポリマの適切なグレードを選択することにより、ハンドレールの特性を調整することができる。高圧の櫛状体を半可撓性の接着剤との組合せで用いれば、それぞれのケーブル中のワイヤへの浸透がよく起こり、それぞれのケーブルを保護してフレッチングを防止、あるいは少なくとも軽減できることがわかってきている。
【0046】
図1及び11を参照すると、スライダ織物用のリール60がシャフト(図示せず)上に取り付けられている。このシャフトは、スライダ織物に所望の張力をかけるための駆動機構に接続されている。スライダ織物62は平坦な帯としてリール60から出てゆく。このスライダ織物62は、入口スロット64にから上流結合ゾーン28aへ入ってゆく。このスロット64はコーナ64aを有し、ここで織物バンドが約70度曲げられる。更にはコーナ64bがありそこから先ではスライダバンドは水平に延在する。コーナ64a、64bは、摩擦を低減するためにテフロン(登録商標)(TEFLON(登録商標))、あるいはその他のもので被覆されていてもよい。摩擦が大きいとスライダ織物が伸びやすく、プレテンションを持ってしまう。そうすると、出来上がったハンドレールが駆動機構を通過する際の後方への曲がりが困難になってくる。コーナ64の後、スライダ織物62は複合押出物58の底部に導入されて結合する。
【0047】
スライダ織物62は、通常、概ね一定の幅を持ったシート状材料の細長の柔軟なウェブである。スライダ織物62は比較的低い摩擦係数を持つので、ハンドレールがガイド上をスライドすることが可能となる。スライダ織物62の幅は、ハンドレールの寸法によって変わるが、例えば、125〜60mmである。ある実施例では、スライダ織物62は、綿のような天然材料かあるいはポリエステルやナイロンのような合成材料のいずれかによる織布で構成されてもよい。しかし、本明細書で用いられる「織物」という用語は、好適な特性を有するその他の不織シート材料も含んでいることは理解されたい。
【0048】
熱可塑性エラストマと織布との組合せ基づく押出物製品の曲げモジュラスは、その織物の特性に強く依存することが確認されている。このことは、曲げの中立軸が、織物からかなりの離れた位置にある高モジュラス部材(例えばケーブルアレイ)に依って画成されるハンドレールの場合には特によく当てはまる。クロスヘッド押出プロセスにおいて織物は、長手方向の引張り力を受け、織物がねじれて伸びることがある。この伸びは織物の特性、外力、温度の関数である。クロスヘッド押出ダイにおいては、ダイおよび溶融ポリマの温度は合成織布を弱めるレベルのものであり、その結果、比較的小さい荷重であってもかなりの伸びを生じる。織物が一旦伸ばされてから冷却されると、特性が変化し製品の中に固定されてしまう。そうすると製品の特性上逆効果をもたらす可能性がある。かなりの伸びのプロセスを経験した織物は、処理前の織物に比べて一般的により高いモジュラスを有し、破壊までの伸びが小さくなる。
【0049】
スライダ織物62は前以って収縮させておくこともできる。前以って収縮させていない場合には、伸びの性能が限定され、特にハンドレールが駆動機構において後方に曲げられる所でそうであることがわかっている。前以って収縮させた織物は、一般的に引張りにおいてより大きな伸びが可能となる。予備収縮は、織物62がダイ組立体22に入る直前に、加熱されたプレートの間を通すことによって与えられる。更に、予備加熱が織物の熱可塑性材料への接着も向上させることがわかっている。
【0050】
スライダ層の前処理の方法および装置の実施例が、出願人により2007年9月10日に出願された、「押出による複合ハンドレール用スライダ層の前処理のための方法および装置(“Method And Apparatus For Pretreatmen
t Of A Slider Layer For Extruded Composite Handrails”)」という名称の米国仮特許出願第60/971,156号
明細書、及び2008年9月10日出願の対応するPCT出願明細書に開示されており、参照により、両方の開示内容の全体がここに包含される。
【0051】
図4に示すように、複合押出物58は最初、スライダ62の全幅に亘って延在する。結合ゾーン30(図11)においては、矩形断面で示されている押出物の両側を上へ延伸させるために、スライダ62の両端は上へ折り畳まれる。この効果は、押し出された部分、すなわち結合された押出流58の幅を減らすためである(図4)。そうすると一定の断面積を維持するために、それに対応して厚さが増加する。
【0052】
図13はダイインサート160を示し、これは相互に鏡像対称であり、またスライダ結合ゾーン28の一部をなしている。ダイインサート160は、スライダ織物の両端63(図5に示す)を曲げる役割を有する。それぞれのダイインサート160はランプ面162を有し、これは一方の端で平坦即ち水平であり、次第に回転してインサートのもう一方の端では垂直になっており、端部を上方に屈曲させる効果を有する。
【0053】
図11の164で模式的に示すように、ブレーカ層または追加の層をハンドレール断面に挿入することも可能である。実際に織物の追加層が、複合押出物58と入口70からの第2の流れとの間に導入される。こうして図11に示すように、スロット64と類似のスロットをスライダ結合ゾーンと出口ゾーンとの間に設けることができる。この、織物の両方の側に、ポリマ即ちポリウレタンの2つの流れを別々に提供するこの基本技術は様々な方法で適用可能であることが更に理解されるであろう。例えば、追加層は必ずしも第1の入口と第2の入口からの2つの流れの間に導入される必要はない。例えば、これらの入口のいずれか1つからの流れの一部を分岐させて、主たる流れと分岐させた流れとの間に追加層をサンドイッチすることも可能である。
【0054】
第2の入口70は、もう1つの入口と同様に、従来式のスクリュー押出機に接続することが可能であり、また所望によっては溶融ポンプとの組合せで任意の好適な押出機を使用することも可能である。入口70はダクト72を介して出口ゾーン即ちブロック32に繋がる。ダクト72は、ハンガー型マニフォールドとして知られる、標準型のマニフォールド74に接続される。これは、複合押出物即ち押出流58の幅全体に亘って、流れを実質的に均一に分散させる。マニフォールド74は、断面では2つのチャネルがその両側に延伸して下がっており、2つのチャネル間の部分は比較的狭く、これは上から下へ向かって拡がっている。
【0055】
図9はダイを上流方向に向かって見た端面図である。図に示すように、出口ゾーン32は、穴82の中のボルトにより普通の方法で互いに固定された、下部ダイ部材80と上部ダイ部材81とを有する。ハンガー型マニフォールド74が点線の外形線で示されている。
【0056】
下部ダイ部材80が矩形のチャネル84を画成し、織物スライダ62が複合押出物と共にそこに受け入れられる。第2の入口70からの追加の材料を収容するために、かつ所要のハンドレールプロフィールを形成するために、上部ダイ部材81は2つのピークを持つ曲線プロフィール86を画成する。
【0057】
マニフォールド74より上流にある複合押出物58(図4)用のダクトのプロフィールは、ライン88で示されている(図7及び図9)。このライン88の形状は、押し出されるハンドレールの形状に依存する。この例では、入口70及びそれに関連する押出機は比較的小さい容量であり、従って入口70から充填される断面、つまりライン88とプロフィール86との間の断面は限られている。
【0058】
小さいハンドレールに関しては、ライン88は直線となり、マニフォールド74より上流では、複合押出物58は図7に示すように単純な矩形となる。図9に示すように大きなサイズのハンドレールに対しては、ライン88は台形の中央部分を含む、即ち、押出物58は台形を上乗せした矩形のプロフィールとなる。これはスライダ織物62の両端が折り畳まれた場合にそうなる。これは入口70から充填される実効断面を減らす効果がある。図に示すように、入口70からの第2の材料が常に断面の端部へ延在する配置となる。第2の流れのみが所望の着色をされる。それはこれがハンドレールの外面を形成するからであり、第1の流れは透明あるいは無着色であってよい。2つの流れに対して、着色材料及び透明材料の任意の組合せが使用可能であることは理解されよう。例えば、追加の層164が供給される場合、第1の流れが着色され、第2の流れが透明であって、追加層の模様が目視可能であるようにしてもよい。第2の流れの追加は、図4の矢印90で模式的に示されている。
【0059】
次に、ケーブル供給ユニット100を図1および14との関連で説明する。複数のケーブルリール102が設けられ、それぞれにハンドレールに好適なタイプの複数撚りのスチールケーブル1本が巻かれている。ケーブルリール100はブレーキ手段を有するシャフト(図示せず)に取り付けられ、ケーブルに適当な張力を掛ける。所望によっては、ケーブルリール100は、接着剤を塗布する前の腐食を防止するために、温度と湿度を制御したハウジングの中に入れてもよい。ケーブル50は転回ローラ104を通って接着剤塗布機106を通過する。ただし転回ローラ104は任意である。
【0060】
ハンドレールは一般的に時間の経過と共に縮むことがあることを理解されたい。これはスチールケーブルの個々の撚り線のこすれや摩耗によるものである。元々スチールであったものの破片がケーブルの隙間を埋める。鉄の酸化がこの物質を成長させて、ケーブルの断面積を膨張させ、長さを減少させる。ケーブルを接着剤で完全に含浸させれば、優れた耐摩耗性と共に、上記の効果を防止ないしは少なくとも低減することができる。
【0061】
接着剤塗布機106は、液体の接着剤溶液を入れる容器92を備えている。入口及び出口94があり、それぞれに硬質織物パッドあるいはスポンジパッドを有し、その間をケーブル50が通過する。そしてそれらは接着剤溶液で飽和しており、ケーブルの内部への接着剤の浸透を促進する。パッドは容器92を密封する役目もする。多量の接着剤の被覆を行うために、塗布機は出口側にチューブを備えることができ、ケーブル50がそこを通過する。チューブは所望の厚さの接着剤を付与できるサイズとなっている。接着剤塗布機106は同時にケーブルに張力をかけることもできる。ダイ組立体22に入る前に、ケーブルはファン96の上を通過し、溶媒が飛ばされてケーブル上に接着剤が残る。ケーブル50はその次に、ヒータ98あるいはその他の高温空気源を持つファンに接続された、高温空気トンネル108を通過する。これは被覆されたケーブル50を、約300°F(約149°C)、もしくは接着剤の良好な接着を促進するような温度へ予備加熱する。これに代わって赤外線パネルや他の加熱装置を設けてもよい。わかりやすくするためにケーブルはローラ104の周りを通る時に分離して広がっているように示されているが、塗布機106からファン96の上を通ってトンネル108を通過するまで、ケーブルは実質的に平行で等間隔となっていてもよい。
【0062】
次にダイ組立体22から押し出された断面が図7に示され、この断面は中間押出物110を有する。ダイの内部での温度条件は、ポリマがダイから出るときにまだ溶融している、即ち一般的にクロスオーバ温度より高くなっている状態である。クロスオーバ温度より低い場合には、剪断弾性率が材料の損失弾性率より大きく、逆に、クロスオーバ温度より上では、損失弾性率が剪断弾性率より大きくなる。剪断弾性率は材料が変形前の寸法に戻ろうとする傾向に関連する弾性応答成分であり、一方、損失弾性率はエネルギ損失応答成分であり、変形中の流動に関連する(エクシュタイン(Eckstein)他:「熱可塑性ポリウレタンの熱成形」、プラスチックエンジニアリング(1995年5月)、ページ29参照)。その温度では、ポリマは未だ液体ではあるが高い粘性を示す。従ってポリマはほぼ安定しており、2つの丸いピークを有するプロフィールをしばらくの間は維持することができ、急速に平坦なプロフィールに崩れたりしない。それと同時に液体の特性を示して、詳細は後述するが、変形前の形状に戻ろうとする傾向を持たず、成形して断面形状を変化させることが可能である。具体的には、比較的鋭角的な形状を容易に形成することができる。
【0063】
ハンドレールにはこのような押出技術を採用可能とする2つの特徴がある。第1に、ハンドレールにはスライダ62が含まれる。マンドレル112に沿って通過する間、スライダ62がまだ溶融状態にあるTPUを支持するコンベアベルトの役目を実効的に果たす。この段階では、TPUはきわめて粘度が高く、他の固体表面に接触すればそれに粘着する傾向があり、換言すればマンドレル112との直接接触をさせることはできない。実際、成形ローラかその類のものがTPUに接触しなければならないとすると、それを冷却して、TPUが少なくとも局所的に「薄皮で覆われて」粘着しないようにしなければならない。
【0064】
第2の特徴は、ハンドレールが、単純な、丸まった外部形状を有することである。この形状はマンドレル上で容易に形成することができる。これとは対照的に突起部、窪み、およびとがった角を持つ複雑な外部表面はこの手法では形成するのは困難であり、適切な形状のダイによる成形を必要とするであろう。
【0065】
中間押出物110をハンドレール126の最終プロフィールにするために、細長の主マンドレル112が与えられる。マンドレル112は多数のセクションから成る。図10に示すように、マンドレルは基体114及び支持面を画成する上部セクション116を有する。上部セクション116のプロフィールは、連続的かつ滑らかに変化してハンドレールプロフィールを形成する。上部セクション116の長手方向には穴118があり、そこまでスロット120が開いている。横断する吸込み口122が穴118まで通じている。吸込み口122は真空源に接続される。これにより穴118内部が、水銀柱8〜12インチ程度の真空に保たれる。真空にする目的は、スライダ織物62を、従って押し出された部分を、常にマンドレル112密接させるためである。真空の程度は、マンドレル112のプロフィールに充分正確に追随させるのに必要で、かつ同時に余計な抵抗を発生させないような大きさで決められる。もし真空度を高くした場合には、ハンドレールをマンドレルに沿って引っ張るのにより大きな張力をかけることが必要となり、スライダ織物62を延伸させてしまう可能性がある。
【0066】
図5および6はプロフィール変化の進行を示す。図5に示すように、押し出されたプロフィールの両端が最初下方向へ落ちる。これは、図7に示す元のプロフィールにある2つの山を小さくする効果が出るようにするためである。図5の符号63で示されるスライダ側縁部は、マンドレル112の側部に当接していることに注意されたい。図5においては、緩和された中間押出物のプロフィールが110aで示されている。これらの側縁部63はマンドレル112に沿って連続的に支持されている。プロフィール110aの側部は連続的に下に落ち、ハンドレールのC字型プロフィールの丸まった端部の一部を形成して垂直となる。その次に内側及び上側に回転を続けて、図6に示すようなハンドレールの最終的なC字型のプロフィールを形成する。マンドレル112の正確な長さは、予定する生産速度に依存する。
【0067】
マンドレル112は、押出物を理想的な形成温度に維持するために加熱も冷却もできる。これは、このプロセスの最初から最後まで固体のままである織物ウェブが接触面を形成し、溶融材料がマンドレルに接触せず、従ってマンドレルに粘着することがないことによって可能となる。押出物がマンドレル223の端から端まで移動する速度である製造速度によって、例えば50℃の適切な工具温度にマンドレルを維持するために、現実に冷却が必要な場合がある。
【0068】
マンドレル112の端で、最終のハンドレールプロフィール126が形成される。このハンドレールプロフィールは図6と8aに示されている。前述のとおり、マンドレルに沿って動く間、材料は溶融状態に維持される。周知のように、熱可塑性エラストマ、特に熱可塑性ポリウレタンには明確な融点がない。それよりもむしろ、この材料には弾性的に挙動し材料が変形前の寸法に戻ろうとする傾向に関連する弾性応答の成分である剪断弾性率があり、またエネルギ損失応答成分であり、変形中の流動に関連する損失弾性率がある。tanδで表現されることもあるこの2つの因子即ち弾性率の比が、材料の状態をよく示す。tanδが1よりはるかに小さい場合には材料は固体として振る舞い、tanδが1より大きい場合には材料は粘性流体として振る舞う。これら2つの弾性率は、かなりの温度に亘って連続的に変化する。例えば分子量152,000のポリウレタンは、約150℃から200℃以上の範囲に亘って両方の弾性率が連続的に減少する。この時剪断弾性率の減少が損失弾性率の減少よりもより急である。その結果、165℃付近において、tanδの値が1を超え、粘性特性が優勢になることを示している。一般的に材料は、マンドレルの全長に沿って1より大きいtanδを持つべきである。適用例によっては、マニフォールドの長さの少なくとも一部分において材料がこの点よりわずかに低くなることは容認され得る場合がある。また、外表面からの熱を失うために、ハンドレールの外側の温度は内側より低くなる。そして重要なのは、プロフィールが相対的に複雑な変化をするT字型スロットの周りの内部温度である。外部層は単に、比較的緩やかな湾曲を受けるだけである。従って、外側が軽く「被膜形成」、即ち固化し始めても許容される。しかし、マンドレル112の端においてポリマはまだ適切には固化はしていない。図7の中間押出物の初期の2つの山を持つプロフィールは、マンドレル112の反対側の端において所望の最終プロフィールが得られるように選択されるものである。
【0069】
従ってポリマを冷却し固化させるために、次に、冷却タンク(cooling trough)132(図2a)を含む冷却ユニット130の中を通過させる。図1に示したように、タンク132は第2のマンドレル134を含んで構成されている。この第2のマンドレルは最終のハンドレール126のプロフィールを持つ。このマンドレルの少なくとも最初の部分が、マンドレル112のように、スロットが切られ、穴を持っており、これもまた真空源に接続されている。この実施例では、冷却タンク132は長さが12フィートであり、マンドレル134はそれに対応する長さを有し、正確な長さは製造速度に依存して変わる。タンク132中のマンドレル134の最初の3フィートにはスロットが切られていて真空源に接続されている。その理由は、ハンドレールが十分に冷却されて完全に安定し、少なくとも部分的に固化して形状を保持することができるまでは、ハンドレールをマンドレル134に密接させるためである。
【0070】
図に示すように、タンク134には、入口138と複数のスプレーノズル140を有するスプレーバー136が設けられている。ある実施例では、図2a、2bからわかるように、タンク134の入口のスロット形のノズル142がウォータナイフあるいはウォータカーテンを提供することができる。この地点で押出物にまだ被膜ができていない場合には、この方法により即座に均一な被膜を形成することができる。被膜ができていない状態でスプレーを受けると、個々の液滴が表面に痕跡をつけがちである。均一なウォータカーテンあるいはウォータナイフを適用することにより、この問題が回避され、概ね固体材料の被膜が形成される。被膜ができてしまうと、外観に影響を及ぼすことなしに、ランダムなスプレーでハンドレールをたやすく冷却することができる。ノズル142は、痕跡がつかないように、ウォータカーテンの方向をハンドレールに対して内側方向の浅い角度とすることができる。概ね円形の要素の中にある供給チャンバ144はカーテン146用の水の入口146を有する。
【0071】
ウォータナイフの代わりに、1本のノズル(図示せず)などのような水源が、第1の上流ローラ148を冷却水で濡らすために使用されることもある。押出物を冷却して外表面に被膜を作り、ダイによる線を消すために、複数のローラ148を実装することもできる。ローラ148は押出物で駆動される。第1の上流ローラ148によって押出物に散布された水は、第1の上流ローラ148と第2の下流ローラ148との間の押出物表面に集まる。第2の下流ローラ148もまた、ハンドレールの外側表面を整形するのに利用できる。
使用時には、スプレーノズル140を介して水が散布され、ハンドレール126を冷却する。タンク132は水の排水口を含んで構成され、水は排出されるか、あるいは冷却ユニットを通って入口138に循環される。スプレーノズル140からの水はハンドレール126を冷却し、ポリマを固化することができる。これによりハンドレール126のリップ強度が向上することが見出されている。この理由は充分にはわかっていないが、考えられる解釈の1つは以下の通りである。
【0072】
ハンドレール126が冷却されると、先ず外側が固化する。そして周知のごとく、固化の過程において材料が収縮し密度が上がる。このように、最初は固化されるのは外部層であり、内部は溶融したままである。実施例のあるものでは、マンドレル134そのものは冷却する必要がないことに注意されたい。ハンドレール126の内部が冷えて固化すると、今度は収縮しようとし、即ちより高密度になろうとする。これはハンドレールにプレストレスをかける効果があるものと考えられ、結果として、図8a、8b、8cに129で示すリップが互いの方向へ押しやられる。更には、ハンドレールのプロフィールはスライダ織物62によって維持されるものと考えられる。いずれにせよ、材料の与えられた硬度の割には、リップ強度が向上する結果が得られることがわかった。
【0073】
また、押出物から排除される熱量、及びこの熱の排除されるタイミングが重要であることも分かった。効果的なプレストレスを与えるために、熱が主としてハンドレールの外側から排除され、かつこの排熱は、ハンドレールに残存する熱が排除される前に行われるべきであることがわかった。ハンドレールの外側の周りのかなりの層を固化するために充分な熱が排除され、その結果、続く内部の冷却及びそれによる収縮がプレストレスをもたらす。この熱量が先ず外部表面から排除されるとすると、ハンドレールの外側の層は十分に冷却されて固化することができ、その結果、ハンドレールの内部が固化する際にプレストレス効果が発生する。ここで、ウォータスプレーの構成では熱は殆ど外表面のみから排除され、内部から排除される熱の量は少量でしかないが、これは全く偶発的なものである。表示した実施例においては、マンドレル134を介して排熱することは全く意図されていない(図2a)。しかし一方で、マンドレルからのそのような熱の消失を防止するために特別に絶縁するような手立ては取られていない。しかし上述したように、最大速度で運転する場合にはツール温度を適切に維持するために冷却が必要になる場合もあるであろう。
【0074】
通常、ハンドレールにはリップ強度が要求される。これは標準のテストに従って、リップ間の距離を規定量だけ変位させるのに要する力が10kg以上である。ここで、ハンドレールが自然冷却されて内部および外部表面の双方から均等に冷却されると、リップ強度は弱過ぎてこのテストを満たすことはできないことがわかっている。その一方、上記の冷却手法によりもたらされたプレストレスがある場合、リップ強度は10kgより大きく、10〜20kgの範囲が達成できる。これは通常のハンドレールに匹敵する。
【0075】
ここで開示した方法及び装置により押し出されたハンドレールのリップの開放力は典型的には15kgであり、ショア「A」硬度85の熱可塑性ポリウレタンに対して、つかみ部幅30mmで、7mmの撓みに対する測定値は少なくとも10kgより大きい。これは、均等な加熱および冷却のコンプレッションモールド法で製造された、均質でプレストレスなしのサンプルの場合の約6kgと対比される。
【0076】
タンク132を出るとすぐに、ハンドレール126は駆動ユニット150を通過する。駆動ユニット150は上部駆動組立体151と下部駆動組立体152とを含み、そのそれぞれはローラ上にかけられたバンドを含み、このバンドがハンドレール126に係合する。下部駆動組立体152は、ハンドレールの内側でスライダと係合するように構成されている。このようなユニットは押出成形には一般的である。ここでこの駆動ユニットはタコメータによるフィードバック付きの直流モータを有し、ハンドレールの速度を正確に制御できる。ある実施例では、これにより速度制御を0.1%以内の精度で行うことができる。
【0077】
押出技術においては周知のように、押出速度が注意深く制御され、かつ2つの入口34、70を通る流速も注意深く制御されれば、押し出されたハンドレール126のプロフィール、及び単位フィート当りのその重量は所望の公差の範囲内で一定である。良好な制御がなされれば、単位長さあたりの重量の公差は1%よりもよい値が達成できる。押出機は必要な一定流速を与えるために一定のスクリュー速度で運転され、例えば温度、圧力などの他の因子が一定であれば、一定流速が実現できる。溶融ポンプを利用すれば、更に制御を向上させ、変動を減少させられる。
【0078】
155で示すように、完成ハンドレール126を巻き取るためのスプールが設けられる。ハンドレールのループを形成するために、選ばれた長さのハンドレールを継ぎ合わせることができる。これは例えば、出願人による「熱可塑性物品を継ぎ合わせるための方法および装置」という名称の米国特許第6,086,806号明細書に開示されている。参照によりここにその全体の内容がこの明細書の内容に包含される。
【0079】
図8aは、ケーブル50とスライダ織物62を有するハンドレール126の最終完成プロフィールを示す。熱可塑性エラストマは2層として形成されている。内層128は第1の入口34から供給された熱可塑性プラスチックであり、外層127は第2の入口70から供給された熱可塑性プラスチックである。ケーブル50は内層128内の同一平面上に配置され、ケーブル50は構造126の折曲げの中立軸を画成する。
【0080】
次に例示の材料については、スライダ織物62は、1平方ヤード当り20オンスの平織のポリエステルであってよい。
【0081】
ケーブルは、接着剤がワイヤの中に浸透できるように比較的開放的な構造をもつものが選択される。例えば、好適なスチールケーブルは、それぞれが、0.20+/−0.01mmの3本ストランド芯線と0.36+/−0.01mmの6本の外側ストランドとからなっている。好適な仕様を有する、真鍮メッキされた高張力鋼コードはベルギー、コルトレイク市のべカルト社(Bekaert SA, of Kortrijk, Belgium)から調達できる。
【0082】
使用される接着剤は溶媒型の接着剤であってよい。ただし、例えば反応性ホットメルト接着剤のような、任意の好適な接着剤を用いてもよい。ケーブルに塗布する接着剤としては、一例として、モートンインタナショナル社(Morton International Inc.)の一部門であるモートンオートモーティブアドヒーシブ社(Morton Automotive Adhesives)から販売されているTHIXON(登録商標)405がある。ただしこれに限定されるものではない。
【0083】
熱可塑性エラストマに関しては、2つの層127,128共に、ショア「A」硬度85のルーブリゾール(Lubrizol)社のESTANE(登録商標)58206であってよい。用途によっては、ハンドレールの外側をより硬い熱可塑性プラスチックで形成することが好ましい場合がある。この目的には、ショア「D」硬度45のルーブリゾール(Lubrizol)社のESTANE(登録商標)58277を使用できる。次に、内層126にはより柔らかい材料の、ショア「A」硬度72のルーブリゾール(Lubrizol)社のESTANE58661などが用いられる。屋外での用途に対しては、ハンドレールが雨などに晒される可能性があるので、外層127としては、ショア「A」硬度85のルーブリゾール(Lubrizol)社のESTANE58300などのような、ポリエーテル型の耐水性熱可塑性材料が用いられる。ルーブリゾール(Lubrizol)社のESTANE58226も用途によっては好適である。その他の熱可塑性材料も使用可能である。
【0084】
図8b、8cはハンドレール断面の変形例を示す。図8bにおいては、第2のハンドレールの断面170がスライダ62と熱可塑性材料の内層171、外層172とを含む。ここでは、個々のケーブル50はカーボンファイバテープ174で置き換えられている。
【0085】
図8cに180で示されたハンドレールの第3の変形例においては、前のものと同様にスライダ62がある。ハンドレール180は内層181と外層182とを有す。ここで、抗張体はマトリックス184で与えられ、これは熱可塑性エラストマ188の層の中に埋設されたケーブル186から成っている。エラストマ188の両側には織物層190があり、サンドイッチ構造を形成している。前述のとおり、このサンドイッチ構造は、ハンドレール形成プロセス全体の中の重要な一部として、ダイ組立体の重要な構成要素としてのダイ組立体の入り口部分において形成される。
【0086】
たハンドレールのプロフィールの変形例126a、126bが図8d、8eに示されている。ハンドレール126に比較して、ハンドレール126a、126bは、過酷な屈曲条件下でのケーブルの座屈の可能性が小さく、歪及び曲げ応力が小さく、繰返し荷重条件下での疲労寿命が長くなる。これは、出願人による2007年9月10日出願の「修正ハンドレール」という名称の米国仮特許出願第60/971,163号明細書、及び2008年9月10日出願の対応するPCT出願明細書に開示されている。この両出願の全内容は参照によりこの明細書の内容に包含される。
【0087】
マンドレル112に沿って移動した後に所望のプロフィールが得られるように、曲線86のプロフィールが選択される。このプロフィールは必ずしも正確ではないことを理解されたい。そうなるために、図2dに147及び148で示す、1つまたは複数のトリミング用のローラや、サイジングローラが設けられる。このように、全体の幅をある公差内に抑えるために、少なくとも1組のローラ147が設けられてもよい。上部の厚さを所望の公差内に抑えるために、少なくとも1つのローラ148が設けられてもよい。この地点では、十分に冷却されて外表面に被膜ができており、ローラはハンドレール材料とは粘着しないので、ハンドレールをローラに接触させることができる。
【0088】
ある実施例ではローラは基本的に円筒形であってよい。しかし、少なくとも上部ローラ148はハンドレールの上部の所望のプロフィールに相当するプロフィールを有することができる。即ちこれによりハンドレールの中高の上部表面を画成する。ローラの直径の変化はあまり極端であってはならない。というのはローラの一部分とハンドレールとの間にスリップが起きやすいからである。
【0089】
摩擦を低減するために様々な部品をTEFLON(登録商標)で被覆、ないしはその他の処理を行って、摩擦係数を下げることができる。従って、コーナ64a、64b(図11)をTEFLONで被覆してもよい。同様に、マンドレル112、及び第2のマンドレル134の少なくとも最初の部分はTEFLONで被覆されてよい。真空によってスライダ織物62をマンドレルに押圧する強い圧力があり、これがかなりの摩擦効果を生じる。
【0090】
ここでの教示は、エスカレータやその類似のもののためのハンドレールに関して主として説明してきたが、一定の断面を持つ様々な細長の物品にこの教示を適用できることを理解されたい。より具体的には、本体が熱可塑性エラストマで形成され、それを貫通する強化手段あるいは抗張手段を有し、かつ一方の側に追加の織物シート層もしくは類似のものが接合されたような物品に適用可能である。そのような構造はコンベヤベルトによく見られる。通常、コンベヤベルトは一般的に矩形断面をしており、コンベヤベルトの幅全体に亘ってほぼ均一な性質を有している。
【0091】
従って、普通、コンベヤベルトにハンドレールのような複雑なプロフィールを作り込む必要はない。従って、マンドレル112上での形成プロセスは省略できる。ここで説明した方法によれば、コンベヤベルト本体内の所望の深さの共通曲げ中立軸上に補強ケーブルないしはそれと同様なものを正確に配置したコンベヤベルトを形成することが可能である。また、ベルトがその一方の側に織物層を持つこともできる。また、上記の同時係属出願と同様に、そのようなコンベヤベルトは継ぎ合わせることが可能である。
【0092】
使用するポリマ材料は、任意の熱可塑性エラストマであってよい。実験及び検査の結果、ハンドレール製造にはショア「A」硬度85の熱可塑性ポリウレタン(TPU)が好適であることがわかった。この材料を用いてハンドレールの本体を形成する場合、スライダ織物との接着は、接着剤やのりを用いないでも問題がない。スライダ材料がポリエステルの織布織物であれば、最終製品でのTPUへの接着強度は、90度剥離テストで代表的には1インチ幅当り(p.i.w.)60ポンドである。例として、ダイ温度が200℃に設定されたダイを通してポリエステル織物が押し出され、その接着強度が1インチ幅当り20〜30ポンドであった。これに対して215℃のダイの場合には、接着強度は1インチ幅当り55〜60ポンドであった。
【0093】
これらのテストに対しては、モノフィラメント横糸の軽量ポリエステルが使用された。一般的に、モノフィラメント材料は良好な接着力を得るにはより大きな問題が生じる。熱プレス中で織物をTPU上に成形して、ベンチテストを行った。TPUは110℃で予備乾燥した。プレス温度215℃でTPUは完全に織物を含浸した。しかしそれにも拘らず、剥離強度はわずか1インチ幅当り20ポンドであった。その一方、織物を200℃まで、TPUを215℃まで予備加熱し、その後ラミネートしたサンプルは、接着強度が1インチ幅当り65ポンドを超えた。
【0094】
図11のように、製品設計の自由度を上げるために、追加の織物層164が加えることができることにも注意されたい。これは、補強物を追加するときと同じように、ダイ中の流れが分岐しているところではどこででもハンドレールの厚さの任意の深さに追加することができる。
【0095】
本明細書では、第2の流れの色を変えることにより、もしくは外部シート層がある場合にはそれを変えることにより、ハンドレールやその他の物品の色を迅速に変えることのできる押出技術を提供できるということを理解されたい。
【0096】
本明細書では、それぞれのステップが本質的に単純ないくつかのステップに分離することのできる押出プロセスを提供でき、従って多くの複雑な押出操作を同時に行う必要がないことも理解されたい。実際の押出物のプロフィールは比較的単純であり、この技術は、すべての要素を押し出しプロフィールの適正な位置に正確に配置することができるものである。ハンドレールのスライダ織物は、ハンドレールの最終形状の形成時に押出物を支持するコンベヤベルトとして利用できる。ハンドレール形状の最終形態は、ハンドレールの内側となるものの連続的な変化により形成され、外面プロフィールに必ずしも接触する必要がない。そうすることにより外表面が冷却、固化されて光沢のある仕上げとなる。外表面は、リップにプレストレスを与えて適切なリップ強度を付与するために、例えば水などの流体を散布して冷却することができる。更に、スライダ織物が関係する押し出しダイ部品を冷却することにより織物の伸びを制限でき、柔軟なハンドレール製品とすることができる。
【0097】
本明細書の教示によれば、ハンドレールを連続的、かつ簡単に製造することができ、従来のハンドレールに必要とされた、広範囲に及ぶ手順の手動設定を必要としなくなる。ポリマとしてポリウレタンを使用すれば、高い光沢仕上げを維持するために、所望の高い光沢仕上げと、切り込みや摩耗に対する抵抗の両方を満たすグレードの選択が可能となる。
【0098】
ハンドレールの構造は従来のハンドレールとは違って単純であり、所望の強度及び耐久特性を与えるための複雑な層の組合せを必要としない。むしろ、外表面の冷却をすることでリップにプレストレスをもたらし、結果として比較的軟らかいグレードのポリウレタンでも、十分なリップ強度を得ることができる。
【0099】
また、スライダ織物とポリウレタンとを高温で結合させることにより、優れた接着特性が実現され、従来の接着技術に比べてより大きな剥離強度が得られることも分かった。
【0100】
このハンドレールは、無制限の長さでの製造が可能である。ハンドレールの完全な環を形成するために、例えば出願人の米国特許第6,086,806号明細書に開示されたような、継ぎ合わせが可能である。この継ぎ合わせ技術では、一般の人には気付かれない継ぎ合わせを行うことができ、ハンドレールの高い光沢仕上げと外観の連続性を維持することが可能である。
【0101】
分離した2つの流れをダイ組立体に供給することにより、異なるポリマを供給することが可能となる。外層を形成する第2の流れにのみ、所望の外観と色特性を持つことが要求される。主たる流れは任意の好適な材料で構成することが可能であり、着色の必要がない。さまざまな異なる色を持つ、リサイクル材料を含めることも可能である。戸外用途には、外表面層に耐候性ポリウレタンを使うことが可能であり、その一方で、第1の入口からの主たる流れにはこれを用いる必要はない。
【0102】
本明細書の更なる態様は、ハンドレールの製造時に、スライダのあるT字型スロットの公差を外部プロフィールよりもはるかに厳しくすることができることである。一般的に、T字型スロットの公差は0.5mmであり、外部プロフィールの公差は1mm程度である。T字型スロットは対応する形状のガイドに追随する必要があり、従って公差は非常に重要であることは理解されるであろう。その一方で、外面プロフィールは、高々駆動輪に接触するだけであり、そこには大きな公差が容易に許容される。また、ハンドレールの利用可能な上部の走行域の両端において、ハンドレールは開口部から出て、もう1つの開口部を通過してエスカレータの下に取り込まれてゆく。これらの開口部は、利用者の指などが巻き込まれるのを防ぐような寸法となっている。しかしここでもそのための外部プロフィールに対する公差は相対的に緩い。従って、内部表面の整形に超硬質工具を用いれば十分である。
【0103】
次に図15〜18を参照するが、これらの図面には、符号200で全体が表示されているダイ組立体の別の実施例の詳細が示されている。ダイ組立体200は、202で示された入口、即ちスチールケーブルやスチールテープなどの抗張体や補強材の入口を有し、これはダイ組立体の後ろにある、後述のケーブルマンドレル300の中に設けられている。ダイ組立体200の前側には、押出物の出口開口204がある。前述の第1の実施例の場合と同様に、スチールケーブル50がケーブル供給ユニット100から供給されるが、ケーブル供給ユニット100は、温度及び湿度を制御した囲いの中に収容されていてもよい。
【0104】
第1の入口210が第1のポリマ用に設けられ、第2の入口212が第2のポリマ用に設けられている。以下に詳述するように、ダイ組立体200は周知の方法で相互に固定された、いくつかの別々の要素から成っている。これらの要素は、溶融ポリマの漏れを防ぐために適当なシールが施され、互いにボルト止めされるか、他の方法で相互に固定される。図16a〜16fはダイ組立体200の個々の部品の詳細を示し、それらがダイ組立体全体を構成する様子を示している。また、ケーブルマンドレル300が図17a〜17eに詳細に示され、櫛状体ユニット400が図18a〜18dに示されている。
【0105】
先ず図16aを参照すると、第1のランナプレート220が示されている。第1のランナプレート220には第1の入口ランナ222が形成されており、それは入口210によって、溶融熱可塑性材料即ちポリマの供給源に周知の方法で接続される。前述したように、熱可塑性材料即ちポリマは、普通、スクリュー押出機か類似のもので供給される。図に示すように、1つの第1のランナプレート220は概ね円筒形で、ケーブルマンドレル300が入る円筒形の穴224を有する。図16aに示すように、ケーブルマンドレル300は、円筒形の穴224に合う円筒形のプラグ部302を有し、またケーブルマンドレル300を第1のランナプレート220へねじ止めするための環状フランジ304も含んでいる。
【0106】
図16aに示すように、第1の入口ランナ222が穴を有し、この穴は第1のランナプレート220の前面228上に半円形のチャネル226へと繋がっている。矢印で示すように、チャネル226は溶融ポリマを矢印の方向に導くようになっている。
【0107】
図16bを参照すると、もう1つの第1のランナプレート240が、第1のランナプレート220の面228に対応する背面(図示せず)を有し、ここにもまた半円形のチャネルが設けられてランナチャネルを形成し、これらの面が相互に取付られて密封される。もう1つの第1のランナプレート240は、背面から前面244に延在する開口242を含む。前面244には、窪み246が設けられてチャネル即ちマニフォールドを形成し、ポリマの流れを面244の中心に向けさせ、従って50で示される補強材、即ち抗張ケーブルの周りに向かわせる。
【0108】
図16cを参照すると、櫛状体プレート250がもう1つの第1のランナプレート240の前面244に取り付けられている。櫛状体プレート250は細長の矩形スロット252を有し、櫛状体ユニット400がそこに取り付けられる。スロット252は図に示すように、櫛状体ユニット400のプロフィールに相当するプロフィールを有している。櫛状体ユニット400の目的は、スチールワイヤ即ちケーブル50を整列した状態に維持し、ポリマの流れに所望の背圧を生成するために流れの断面積を減少させたスロットを提供し、その結果としてケーブル50のワイヤの個々の撚り線の中にポリマを浸透させるようにするためのものである。
【0109】
櫛状体ユニット400はまた、同一平面上の補強アレイの製造を可能とするように構成されている。これは、ケーブルアレイを歪ませる傾向のある横方向の流れを制御し制限することにより実現される。より具体的は、櫛状体ユニット400は、横方向の流れを防止できる発散型の出口チャネル402を含む。
【0110】
もう1つの第1のランナプレート240と櫛状体プレート250との間に、第1の結合チャンバもしくは結合ゾーンが形成され、そこで、ケーブル50が第1のポリマ流と結合して、その中に埋設される。
【0111】
第2のポリマ流用の入口ランナの構成の詳細が図16dと16eに示されている。第2の入口ランナ260が、入口212から、一対の第2のランナプレート262、264の間に画成されるランナまでの第2のポリマ流を提供する。図16dに示すように、第2のランナプレート262は流れ領域、即ちマニフォールドを画成する窪み部分266を前面268に有し、これが流れを発散し、第1のポリマと補強用のワイヤ、即ちケーブル50とを含む押出物部分の全幅に亘って均一な流れを提供する。第2の入口ランナ260は、平面プレートである、第2のランナプレート264を終端とする。第1のポリマの場合と同様に、第2の入口ランナ260は、例えばスクリュー押出機もしくはそれに類似の装置などの、好適な第2のポリマ源に接続される。
【0112】
第2の入口ランナの窪み即ちマニフォールド266は、底部要素272で画成される第2の結合ゾーン即ちチャンバ270に繋がる。底部要素272は第1の部分274と第2の部分276とを含む。これらの部分274、276の1つがチャンバ270の部分を画成するが、洗浄を容易にするために2つの部分274、276が設けられる。
【0113】
図に示すように、第2の部分276は278において窪んでいてスロットが形成され、そこに280で示したスライダ織物ウェブが引き込まれるようになっている。
【0114】
図16e、16fを参照すると、押出物は次に、第1の底部ダイブロック284と第2の底部ダイブロック286とを含む出口ゾーン282へ至る。これらのダイブロック284、286はチャネル288を画成し、押出物支持ブロック290がその中へ取り付けられる。このブロック290には冷媒を流すための開口292が設けられている。冷媒は、水又は油であってよい。また、押出物支持ブロック290は、底部ダイブロック284、286から押出物支持ブロック290への熱移動を低減するために、底部ダイブロック284、286から離間して取り付けられてもよい。セラミック被覆を利用することもできる。
【0115】
ある実施例では、冷却ブロック290はスチール製である。別の実施例では、冷却ブロック290は、例えば、CELAZOLE(登録商標)あるいはTORLON(登録商標)などの耐熱性プラスチックで形成されていてもよい。ただしこれに限定するものではない。耐熱性プラスチックは一般的に熱容量と熱伝導率が比較的低く、その結果、ダイの中でのスライダ織物への熱移動が少ない。しかし、製造及び摩耗特性の両面からコストが安くつくスチールが、冷却ブロック290には好適な材料である。
【0116】
押出物を支持するスライダの案内を支援するために、押出物支持ブロック290の上部表面には2本の浅い矩形のスロット即ちガイド294が設けられてもよい。図16eに示すように、ブロック290の両側縁は内側に向かって斜めになっており、スライダ織物280の両側縁を次第に上へ折り曲げて、溶融熱可塑性材料の両端を包み込むようにさせる。
【0117】
図16dは、第2のポリマ流と織物が加えられるダイの位置を示す。第2のポリマはマニフォールドにおいて第1のポリマと補強材の上に塗布される。織物280は底部からダイの中に入り、ポリマと補強材アレイの結合物の下に送り込まれる。織物は、溶融物あるいはダイの温度より低い温度、場合によってははるかに低い温度の、約50℃でダイへ供給される。これによって、プロセス中で織物が到達する最高温度を制限する。織物はまた、ダイ外側の直近に供給装置を設けることにより、前以って縮んだ状態で、かつ実効的に張力がゼロで供給される。スライダの好適な前処理に関する更なる詳細は、出願人による2007年9月10日出願の「複合押出ハンドレール用スライダ層の前処理方法および装置」という名称の米国仮特許出願第60/971,156号明細書、及び2008年9月10日出願の対応するPCT出願明細書に開示されている。
【0118】
図16d、16fを参照すると、出口ゾーン282を完成させるために、上部ダイブロック296が第1の出口ダイブロック284の上に取り付けられ、一対の上部ダイブロック297、298が第2の底部ダイブロック286の上に取り付けられる。
【0119】
上部ダイブロック296、297、298は、例えば間隔を設けることにより、少なくともある程度は底部ダイブロック284、286から熱的に隔離される。そうすると、これらは押出物支持ブロック290から離間されるかあるいは別の形で、熱的に隔離される。上部ダイブロック296、297、298は、押し出された熱可塑性ポリマを所望の温度に保つためにバンドヒータで加熱することができる。どのような熱分離も決して完全ではなく、高々熱移動を低減するだけであることは理解されるであろう。
【0120】
ケーブルマンドレル300が図17a〜図17eに示されている。既に述べたようにマンドレルには、円筒形プラグ302とフランジ304とが含まれる。プラグ302の内部には内部穴306がある。
【0121】
円筒形プラグ302の先端には、共通の面上に複数の小さい穴308が設けられている。これらの穴308のそれぞれは、小さい直径の部分と大きい直径の部分とを持っている。穴308の小径部には、皮下注射用の肉厚の小さい(hypodermic)スチールチューブ310が取り付けられる。スチールチューブ310は必要があれば個別に交換できる。
【0122】
図に示すように、円筒形プラグ302の正面には少し突き出た隆起部312があり、チューブ310の端がこの隆起部312の頂点上に開口している。
【0123】
ダイ組立体200の部品を組立てるために、ねじの切られた、あるいは平坦な、またはその他の適切な組立用の穴が、周知の方法で設けられてもよい。
【0124】
櫛状体ユニット400の詳細が図18a〜図18dに示されている。櫛状体ユニット400は基本的に第1の矩形ブロック404と第2の矩形ブロック406とからなる。末広がりの出口チャネル402が、第2の矩形ブロック406の上部表面上に設けられる。それ以外はブロック404と406の上面は同一平面となっている。
【0125】
中央部分に、第1の矩形ブロック404の上部表面方向へ伸びた、櫛状体部410がある。この櫛状体部410は矩形スロット412と414とで画成される。スロット412は櫛状体410の外側に向かって設けられ、櫛状体部410の全深さに亘って延在する。
【0126】
櫛状体部410の中央部に、スロット414が櫛状体部410の全体の途中まで延在する。そしてその下に、図18c、図18dからよくわかるように、2つの水平スロット、即ち開口416がある。この実施例では、スロット414が18個と、スロット412が10個の、計28スロットがある。この実施例では20本のスチールケーブル、即ちワイヤ50があり、これらが上側の水平開口416を貫通して同一平面内に保持される。
【0127】
第1のポリマは第1のランナプレート220を介して供給され、スロット412、414、それにスチールケーブルが入っていなければスロット開口416を、強制的に通過させられる。これは背圧を発生させ、ポリマ、即ち熱可塑性プラスチックを、各ワイヤ、ケーブルや抗張体50の個々の撚り線の間の隙間に押し込む働きをする。
【0128】
ここで述べた実施例ではケーブルは20本でスロットは412、414合わせて28個であるが、これらの数は所望により変化し得ることに注意されたい。また、この構成は他のタイプの抗張体を収容できるように改変してもよい。例えば、スチールテープの抗張体の場合、そのような抗張体を収容できる水平のスロットが1つあればよい。用途によっては、スチールケーブルを先ず押出装置に通して、スチールケーブルが埋設された熱可塑性材料の成形ストリップを形成することが好ましい場合もある。そのような熱可塑性材料のストリップは一般的に断面が矩形であり、好適な押出装置に供給して、スチールテープ抗張体の場合とほぼ同様に押し出してハンドレールの完成断面を形成する。
【0129】
使用時には、スチールケーブル50が先ず処理されて、図14あるいは類似の手法で、例えば変性エポキシ接着剤などの接着剤が付与される。そうして、スチールケーブル50がケーブルマンドレル300のチューブ310に供給される。同時に、第1のポリマが第1のランナプレート220に供給され、チャネル226を介して結合チャンバ234へ送られる。そこでポリマがケーブル50の両側の周りに流れ込み、ケーブル50を熱可塑性材料の流れの中に埋設する。
【0130】
スチールケーブルと熱可塑性材料の結合した流れが次に櫛状体ユニット400の櫛状体部410を通過する。櫛状体部410で流れの断面積が制限されていることにより大きな背圧が生じ、それが熱可塑性材料を空間、即ちケーブル50の個々の撚り線の間の空隙の中へ強制的に、つまり加圧して押し込む働きをする。
【0131】
櫛状体ユニット400を通過した後、スチールケーブル50を含んだ第1の熱可塑性材料の流れは第2の結合チャンバ即ちゾーン270に入る。ここで第2のポリマ流が供給されて押出物上に上部層を形成する。この第2のポリマ流は第2の入口212から第2の入口ランナ260を通って供給される。
【0132】
流れが押出物支持ブロック290の上を通過するときに、スロット278から導入された織物ウェブ280と合流し、これらは出口ゾーン282で結合する。
【0133】
ダイ組立体200の全体は標準のバンドヒータで均一に加熱され、温度は、例えば、175〜210℃の間に制御される。冷却されたブロック290の下のダイの2つの部品284、286は加熱する必要がなく、この2つと上にあるダイの最終部品との接触は最小化される。このダイの最終ゾーンへの加熱は上側からのみ行われる。こうして、溶融ポリマに接触するダイ部品と、織物に接触する冷却されたブロックとの間に最大可能な温度差をもたらすことができる。図に示すような構成を用いることにより、冷却されたブロック290の温度を75℃より低く保持し、ダイのその他の部分を200℃とすることが可能となる。それでも溶融ポリマとの接触で温度は上昇するが、温度上昇は冷却ゾーンがない場合に比べるとはるかに小さい。この構成を用いることで、ダイの中における織物の伸びを4%未満に抑えることが可能である。
【0134】
温度及びその他のパラメータに関する例示的な値を挙げたが、これらは使用されている材料の特性やその他のパラメータで変わり得ることは理解されるであろう。
【0135】
完成した押出物は最終開口204を通ってダイから出てくる。そうして以前の図で示したように支持マンドレルへ送られる。
【0136】
所望の形状を作るための押出物の更なる処理、例えば、マンドレル上での押出ハンドレールの整形ステップが前述したようにこの次に行われる。マンドレル、即ち整形機はダイに固定する必要はない。ダイ組立体とマンドレルとの間がある程度の相対的変位をすることも可能である。
【0137】
図19a〜19cを参照すると、出口ダイブロック284と286は相互に一体的に形成されてもよい。図に示すように、ダイブロック284、286は、ベース部320と、相互に鏡像関係となっている側部321、322とを有す。それぞれの側部321、322は、高さの異なる2つの外側部324、326を含んでいる。外側部324、326の内側に、傾斜部328と内側部329がある。傾斜部328と内側部329は押出物支持ブロック290のプロフィールに一致するように構成されている。図20a、20bとの関連で以下に詳説する。
【0138】
図20a、20bを参照すると、押出物支持ブロック290は概ね平坦で、スライダ織物280を支持するための概ね平坦な中央面330を含んでいる。符号332で示すように丸められた端部が設けられていて、スライダ織物280がスロット278を通って平坦な上部、即ち中央面330へ抵抗なく通過できるようになっている。
【0139】
支持ブロック290は、出口ダイブロック284、286の部分328、330に一致するように構成された側面を有する。このように、押出物支持ブロック290は、第1の短い側面334と、斜めになった側面部336と、嵌めこみの平坦な側面部338とをそれぞれの側に含む。ここで平坦な側面部334、338はすべて互いに平行となっている。
【0140】
側面部334、336、338は上方向に伸びて、それぞれの側に上部リップ340を形成する。それぞれの上部リップ340の内側面342は、概ね垂直な上部分と、上面330に円滑に繋がっている丸められた下部分とを含んでいる。図面からわかるように、各リップ340は傾斜した部分と、ダイの軸に平行に芯合わせされた直線部分とを有する。この形状は、スライダ織物280の端部が連続的に押出物の周りに折り畳まれていくようにすることを意図したものである。
【0141】
図20bでよくわかるように、押出物支持ブロック290の底部には一連の幅の狭いリブ346が設けられている。これは、出口ダイブロック284、286に取り付けられた場合、接触面積を最小化し、少なくともダイの様々な要素間での伝導による熱移動の減少に資するためである。冷却剤を流すための開口292も図20aに示されている。
【0142】
図21a、21b、21cを参照すると、ダイブロック296、297、298が類似のユニットとして同じように作られている。図21cでよくわかるように、ブロック296と297の間には部分的にスロット350が延在している。ここで、ブロック284、286は側面及び底面でスロットにより実質的に分離されていることに注意されたい。
【0143】
ブロック296、297、298の上面は概ね平坦である。側面に沿って、前方のブロック297、298はほぼ同じ断面の突起352、353を持ち、最後尾のブロック296はより浅い突起354を持っている。突起352、353、354は両側でそれぞれ鏡像となっていることが理解されるであろう。
【0144】
ブロック296、297、298は、全体として符号358で示されている中央部を有し、これは下方向に突き出ていて、それぞれの側に概ね共通の外側面356を備えている。
【0145】
最後尾のブロック296の中央部358は、押出物支持ブロック290の後部プロフィールに相当するプロフィールを持っている。傾斜した側縁部360も含まれる。中央部表面362は中央部358の前方に向かって上方向に延在し、かつ斜めになった側面364が中央面362と傾斜して交わる。外側面366は同一平面上にあり、中央面362よりも小さい角度で上方向に傾斜している。外側側縁面368も備えられている。スライダ織物の上端をガイドするのを支援するために、浅い溝370も設けられる。中央面362の中で、丸みを持った面370が始まる。このプロフィールは図21bの372に最もよく表されている。
【0146】
丸みを持った面370は、符号374で示されるブロック297の中央部へと続く。このブロック297は、ほぼ垂直な短い側面376と、下向きに突き出て側面374に平行な幅の狭い突起378を、両側に含んでいる。突起378もまた、スライダ織物の両側縁をガイドするのを支援するためのものである。
【0147】
最前面のダイブロック298もまた、丸みを持ち、端372で示される形状に倣った中央面を有する。幅の狭い突起378はダイブロック298へと続き、ダイブロック298から出る前で終了する。それは押出物がダイから出る前に最終プロフィールとなることができるようにするためである。
【0148】
出願人の教示を様々な実施形態との関連で説明したが、出願人の教示がそのような実施形態に限定されることを意図するものではない。出願人の教示は、当業者に理解されるように、さまざまな代替案、改変物、等価物を包含する。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16a】
【図16b】
【図16c】
【図16d】
【図16e】
【図16f】
【図17a】
【図17b】
【図17c】
【図17d】
【図17e】
【図18a】
【図18b】
【図18c】
【図18d】
【図19a】
【図19b】
【図19c】
【図20a】
【図20b】
【図21a】
【図21b】
【図21c】
【図9】図9は、ダイの出口を前方から見返した図である。
【図10】図10は、ハンドレールの内部プロフィールを形成するための整形マンドレル部分を示す斜視図である。
【図11】図11は、ダイの中の様々な通路を破線の外形線で示した側面図である。
【図12】図12は、ダイの中の様々な通路を破線の外形線で示した平面図である。
【図13】図13は、ダイ組立体要素の斜視図である。
【図14】図14は、接着剤の塗布、乾燥、予備加熱を示すケーブル供給ユニットの部分側面図である。
【図15a】図15aは、ダイ組立体を後方上部から見た斜視図である。
【図15b】図15bは、ダイ組立体を前方上部から見た斜視図である。
【図15c】図15cは、ダイ組立体を下方から見た斜視図である。
【図16】図16a〜図16fは、ダイ組立体の異なる部品の連続的な組み立てを示す斜視図である。
【図17a】図17aおよび図17bは、ダイ組立体の部分を構成するケーブルマンドレルを別々の端から見た斜視図である。
【図17b】図17aおよび図17bは、ダイ組立体の部分を構成するケーブルマンドレルを別々の端から見た斜視図である。
【図17c】図17cは、図17aおよび17bのケーブルマンドレルの端面図である。
【図17d】図17dおよび図17eは、図17cを線BB及びAAに沿って見たそれぞれの断面図である。
【図17e】図17dおよび図17eは、図17cを線BB及びAAに沿って見たそれぞれの断面図である。
【図18a】図18aは一端から見た櫛状体ユニットの斜視図であり、図18bは別の一端から見た櫛状体ユニットの斜視図である。
【図18c】図18cは、櫛状体ユニットの端面図である。
【図18d】図18dは、図18cの線DDに沿って見た断面図である。
【図19】図19a、図19b、図19cは、出口ダイブロックの斜視図である。
【図20】図20aおよび図20bは、押出物支持ブロックの斜視図である。
【図21b】図21bは、上部ダイブロックの斜視図である。
【図21c】図21cは、図21a及び21bの上部ダイブロックを下から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
請求の範囲に記載のそれぞれの発明の実施形態の例を提供するために、以下にさまざまな装置あるいは方法について説明する。下記の実施形態はいずれも、クレームされた発明を制限するものではなく、また何れのクレームされた発明も、以下に記載されていない装置あるいは方法を包含してもよい。クレームされた発明は、以下に記載された任意の1つの装置あるいは方法のすべての特徴を有する装置あるいは方法に限定されるものではないし、以下に記載された複数あるいはすべての装置に共通の特徴に限定されるものでもない。以下に記載された、あるいは本明細書の別の部分で説明する、装置要素あるいは方法ステップの組合せ、あるいは部分的組合せの中に、1つまたは複数の発明が存在し得る。以下に記載された装置あるいは方法が、クレームされた発明のいずれの実施形態でもないこともあり得る。出願人、発明者、および/または所有者は、本明細書でクレームされていなくて、下記説明の装置あるいは方法において開示されたいかなる発明についても権利を留保する。そしてかかる発明のいかなるものも本明細書における開示によって、遺棄、権利放棄したり、公共の用に供するものではない。
【0027】
先ず図1を参照すると、例示の装置が全体として符号20で表されている。装置20は、ダイ組立体22、ケーブル供給ユニット100、スライダ織物のロール搭載機構60、等のいくつかの重要なコンポーネントを含んでいる。
【0028】
ハンドレール用の熱可塑性材料とは、選択された硬度を有する熱可塑性エラストマである。図に示すようにダイ組立体22は、高温、溶融熱可塑性材料用の、主たる第1入口34と第2入口70とを有する。入口34,70は従来のスクリュー押出機からの出口であってもよい。所望の材料を所要の温度及び圧力条件で提供可能な任意の適当な機械が設けられてもよい。以下に詳細を述べるように、機械は材料を所望の流速で供給できることが必要である。
【0029】
ダイ組立体22からマンドレル112、134が延伸している。以下で詳細を述べるように、マンドレル112、134はいくつかの分離した部分から成っていてもよい。それらは相互に結合されていて、後で説明するように、少なくとも先頭部分に真空が供給されていて、ハンドレールが適切な内部プロフィールを取れるようになっている。
【0030】
図2aを参照すると、マンドレル112、134は、ハンドレールの冷却のために容器即ちタンク132に中へ入る。タンク132を出ると、ハンドレールは駆動ユニット150を通過して巻取りローラ155上に巻き取られる。
【0031】
ここでダイ組立体22の詳細を、図3、4、7、9、11、12と関連付けて説明する。先ず図11と12でよくわかるように、ダイ組立体22はいくつかの分離したゾーンから成り、それらが結合してダイ組立体全体を構成する。
【0032】
入口ゾーン24において入口34からのポリマがケーブルアレイの上下の2つの流れに分割される。この後、チョークゾーン26があり、ここは通路が相対的に狭くなっていてポリマの流れを絞って均一な背圧を与え、2つの流れが実質的に均等な流れになるようにする。
【0033】
その次にケーブル結合ゾーン28がある。これは、ポリマの上の流れと下の流れがケーブルアレイの上と下から合流する上流ゾーン28aと、ポリマがケーブルアレイを均一に挟み込んで内部にケーブルを埋設する下部ゾーン28bとからなる。以下に記載されたように、櫛状体(comb)が実装されて背圧を発生し、ポリマがケーブルアレイの中に浸透しやすいようにする。
【0034】
次はスライダ結合ゾーン30である。ここで、スライダ織物の層が導入されて、形成された押出プロファイルに導入される。
【0035】
最後に出口ソーン32があって、そこでポリマの第2の流れが導入され、結合された押出流に合流してハンドレールの外部層を形成する。
【0036】
ここで図3を参照すると、第1入口34が従来式のスクリュー押出機の出口に接続される。従来式のスクリュー押出機は、所要の温度及び圧力条件で、選ばれたエラストマあるいはその他の熱可塑性材料を分配できるものであれば任意の好適な押出機であってよい。所望に依っては、スクリュー押出機に加えて溶融ポンプを使用してもよい。あるいは、従来式のスクリュー押出機の代わりにツイン式スクリュー押出機を使用してもよい。ツイン式スクリュー押出機ではポリマ混合物の使用が可能である。
【0037】
短い入口ダクト36が分岐し、下部と上部の分配ダクト38、39に接続される。図11では分離したダクト38、39がよくわかる。また図12では、平面図でダクト38、39が90度まで曲がって、第1の、すなわち下部マニフォールド40と第2の、即ち上部のマニフォールド41へ接続される様子が示されている。このようにして入口34が第1の入口手段を提供する。この第1の入口手段は上記の代わりに、2つの別々の押出機が2つのダクト38、39に別々に接続されてもよいことは理解されるであろう。
【0038】
マニフォールド40、41が流れを均等に所望の幅に分散させ、第1即ち下部チョーク42と第2即ち上部チョーク43へとつなげる。チョーク42、43は一定の幅を有してもよいが、図11からわかるように、マニフォールド40、41に比べて深さがかなり減じられている。この理由は、上部チャネルと下部チャネルのそれぞれに制御された流れの抵抗を与えて、上部チャネル及び下部チャネルを通る所望の流れを確保するためである。上部チョーク43は下部チョーク42よりも幅を大きくしてより大きな流れを与えられるようにしてもよい。こうするとケーブルアレイを、結合した押出流の底部の方へ所望通りに維持するのに効果的である。
【0039】
チョーク42,43は上部結合ダクト44と下部結合ダクト45へと繋がる。これらのダクト44、45は図11からわかるようにより大きい深さとなっている。そしてその幅は、図12でわかるように内側方向に向かって斜めになって、スライダ織物の幅に相当する幅になる。
【0040】
次に図3でよくわかるように、中間の楔形ブロック46がチョーク42、43と結合ダクト44、45とを分離する。複数のチューブ48がブロック46に組み込まれる。以下で詳細を述べるように、チューブ48は、ハンドレールの補強用ケーブル50にぴったり合うような寸法となっているが、図3の矢印52で示すようにケーブル50を自由にスライド移動できるようになっている。
【0041】
チューブ48は下流結合ゾーン28bで終わる。図には示されていないが、チューブ48の端部に隣接してダクトを横切って延在する櫛状体があってもよい。比較的小さい製造速度でのテストの目的のために、ポリマをケーブル50に浸透させるための十分な背圧を発生させるためにこの櫛状体が設けられてもよい。大きな製造速度の場合には、ダイの内部では必然的により高い圧力となり、これでポリマが良好に浸透するための所要の内部圧力が十分に生成されるので、図に示すように櫛状体は省略されてもよい。
【0042】
下流の結合ゾーン28bでは単一の矩形部ダクト56がある。従って、図11に示すように、ケーブル50はチューブ48を抜ける時にポリマの上下の流れでサンドイッチされ、ともにダクト56を下流方向に向かって通過する。
【0043】
ポリマを両側からケーブルに対して導入するこの構成は利点が多いことがわかるであろう。この構成ではケーブルが正確にかついつも安定して完成製品の中に配置され、ポリマの横断流により変位させられるということがない。この構成では他の形態の抗張体を用いることも可能となる。例えば、ポリマ中に埋設されたスチールテープあるいはスチールケーブルから成るテープを用いることも可能である。いかなるテープ(及びカーボンファイバテープ174が図8bに示されている)が用いられても、ポリマが両側から供給されてハンドレールを正確に形成できるようにすることが重要である。
【0044】
スチールケーブルがサンドイッチ構造を有する複合テープの形に形成されることもまた可能である。ここではスチールケーブルは2層のポリマの間に埋設され、そのそれぞれの側に2層の織物があってサンドイッチ構造を完成させる。このような複合テープはここで説明している装置と類似の装置を利用して形成することが可能である。こうして、スチールケーブルがダイに供給され、ポリマがケーブルの上下から供給される。これとは別に、ケーブルを複合ポリマ流の中に埋設した後、所要の織物の2つのテープが、スライダ織物62としてスロットを介してダイの中へ導入される。更に、そのような構成はダイ組立体22の追加のステージとして組み込まれてもよい。要するに、複合テープが上流で連続的に形成されて、ケーブル結合ゾーン28へ供給される。この技術の利点は、グレードの異なるポリウレタンあるいは他のポリマを複合サンドイッチ構造の中でケーブル直近に存在させることができることである。そのような構造を図8cに示す。ここでは追加のテープ即ち織物層が190で示され、追加のポリマ層が188で示されている。
【0045】
ハンドレール構造における周知の問題点は、ケーブルのフレッチング(fretting)である。直線駆動のようなある種のハンドレール駆動において、ケーブルを含むハンドレール本体部分は、対になった駆動ローラを通過する際に、極度の締付け荷重を受ける。これがケーブルのフレッチングを起こし、ケーブルを周りのポリマから分離させてしまう可能性がある。他のタイプの駆動装置では別の荷重が掛かる。ケーブルを分離して埋設して複合テープとし、ポリマの適切なグレードを選択することにより、ハンドレールの特性を調整することができる。高圧の櫛状体を半可撓性の接着剤との組合せで用いれば、それぞれのケーブル中のワイヤへの浸透がよく起こり、それぞれのケーブルを保護してフレッチングを防止、あるいは少なくとも軽減できることがわかってきている。
【0046】
図1及び11を参照すると、スライダ織物用のリール60がシャフト(図示せず)上に取り付けられている。このシャフトは、スライダ織物に所望の張力をかけるための駆動機構に接続されている。スライダ織物62は平坦な帯としてリール60から出てゆく。このスライダ織物62は、入口スロット64にから上流結合ゾーン28aへ入ってゆく。このスロット64はコーナ64aを有し、ここで織物バンドが約70度曲げられる。更にはコーナ64bがありそこから先ではスライダバンドは水平に延在する。コーナ64a、64bは、摩擦を低減するためにテフロン(登録商標)(TEFLON(登録商標))、あるいはその他のもので被覆されていてもよい。摩擦が大きいとスライダ織物が伸びやすく、プレテンションを持ってしまう。そうすると、出来上がったハンドレールが駆動機構を通過する際の後方への曲がりが困難になってくる。コーナ64の後、スライダ織物62は複合押出物58の底部に導入されて結合する。
【0047】
スライダ織物62は、通常、概ね一定の幅を持ったシート状材料の細長の柔軟なウェブである。スライダ織物62は比較的低い摩擦係数を持つので、ハンドレールがガイド上をスライドすることが可能となる。スライダ織物62の幅は、ハンドレールの寸法によって変わるが、例えば、125〜60mmである。ある実施例では、スライダ織物62は、綿のような天然材料かあるいはポリエステルやナイロンのような合成材料のいずれかによる織布で構成されてもよい。しかし、本明細書で用いられる「織物」という用語は、好適な特性を有するその他の不織シート材料も含んでいることは理解されたい。
【0048】
熱可塑性エラストマと織布との組合せ基づく押出物製品の曲げモジュラスは、その織物の特性に強く依存することが確認されている。このことは、曲げの中立軸が、織物からかなりの離れた位置にある高モジュラス部材(例えばケーブルアレイ)に依って画成されるハンドレールの場合には特によく当てはまる。クロスヘッド押出プロセスにおいて織物は、長手方向の引張り力を受け、織物がねじれて伸びることがある。この伸びは織物の特性、外力、温度の関数である。クロスヘッド押出ダイにおいては、ダイおよび溶融ポリマの温度は合成織布を弱めるレベルのものであり、その結果、比較的小さい荷重であってもかなりの伸びを生じる。織物が一旦伸ばされてから冷却されると、特性が変化し製品の中に固定されてしまう。そうすると製品の特性上逆効果をもたらす可能性がある。かなりの伸びのプロセスを経験した織物は、処理前の織物に比べて一般的により高いモジュラスを有し、破壊までの伸びが小さくなる。
【0049】
スライダ織物62は前以って収縮させておくこともできる。前以って収縮させていない場合には、伸びの性能が限定され、特にハンドレールが駆動機構において後方に曲げられる所でそうであることがわかっている。前以って収縮させた織物は、一般的に引張りにおいてより大きな伸びが可能となる。予備収縮は、織物62がダイ組立体22に入る直前に、加熱されたプレートの間を通すことによって与えられる。更に、予備加熱が織物の熱可塑性材料への接着も向上させることがわかっている。
【0050】
スライダ層の前処理の方法および装置の実施例が、出願人により2007年9月10日に出願された、「押出による複合ハンドレール用スライダ層の前処理のための方法および装置(“Method And Apparatus For Pretreatmen
t Of A Slider Layer For Extruded Composite Handrails”)」という名称の米国仮特許出願第60/971,156号
明細書、及び2008年9月10日出願の対応するPCT出願明細書に開示されており、参照により、両方の開示内容の全体がここに包含される。
【0051】
図4に示すように、複合押出物58は最初、スライダ62の全幅に亘って延在する。結合ゾーン30(図11)においては、矩形断面で示されている押出物の両側を上へ延伸させるために、スライダ62の両端は上へ折り畳まれる。この効果は、押し出された部分、すなわち結合された押出流58の幅を減らすためである(図4)。そうすると一定の断面積を維持するために、それに対応して厚さが増加する。
【0052】
図13はダイインサート160を示し、これは相互に鏡像対称であり、またスライダ結合ゾーン28の一部をなしている。ダイインサート160は、スライダ織物の両端63(図5に示す)を曲げる役割を有する。それぞれのダイインサート160はランプ面162を有し、これは一方の端で平坦即ち水平であり、次第に回転してインサートのもう一方の端では垂直になっており、端部を上方に屈曲させる効果を有する。
【0053】
図11の164で模式的に示すように、ブレーカ層または追加の層をハンドレール断面に挿入することも可能である。実際に織物の追加層が、複合押出物58と入口70からの第2の流れとの間に導入される。こうして図11に示すように、スロット64と類似のスロットをスライダ結合ゾーンと出口ゾーンとの間に設けることができる。この、織物の両方の側に、ポリマ即ちポリウレタンの2つの流れを別々に提供するこの基本技術は様々な方法で適用可能であることが更に理解されるであろう。例えば、追加層は必ずしも第1の入口と第2の入口からの2つの流れの間に導入される必要はない。例えば、これらの入口のいずれか1つからの流れの一部を分岐させて、主たる流れと分岐させた流れとの間に追加層をサンドイッチすることも可能である。
【0054】
第2の入口70は、もう1つの入口と同様に、従来式のスクリュー押出機に接続することが可能であり、また所望によっては溶融ポンプとの組合せで任意の好適な押出機を使用することも可能である。入口70はダクト72を介して出口ゾーン即ちブロック32に繋がる。ダクト72は、ハンガー型マニフォールドとして知られる、標準型のマニフォールド74に接続される。これは、複合押出物即ち押出流58の幅全体に亘って、流れを実質的に均一に分散させる。マニフォールド74は、断面では2つのチャネルがその両側に延伸して下がっており、2つのチャネル間の部分は比較的狭く、これは上から下へ向かって拡がっている。
【0055】
図9はダイを上流方向に向かって見た端面図である。図に示すように、出口ゾーン32は、穴82の中のボルトにより普通の方法で互いに固定された、下部ダイ部材80と上部ダイ部材81とを有する。ハンガー型マニフォールド74が点線の外形線で示されている。
【0056】
下部ダイ部材80が矩形のチャネル84を画成し、織物スライダ62が複合押出物と共にそこに受け入れられる。第2の入口70からの追加の材料を収容するために、かつ所要のハンドレールプロフィールを形成するために、上部ダイ部材81は2つのピークを持つ曲線プロフィール86を画成する。
【0057】
マニフォールド74より上流にある複合押出物58(図4)用のダクトのプロフィールは、ライン88で示されている(図7及び図9)。このライン88の形状は、押し出されるハンドレールの形状に依存する。この例では、入口70及びそれに関連する押出機は比較的小さい容量であり、従って入口70から充填される断面、つまりライン88とプロフィール86との間の断面は限られている。
【0058】
小さいハンドレールに関しては、ライン88は直線となり、マニフォールド74より上流では、複合押出物58は図7に示すように単純な矩形となる。図9に示すように大きなサイズのハンドレールに対しては、ライン88は台形の中央部分を含む、即ち、押出物58は台形を上乗せした矩形のプロフィールとなる。これはスライダ織物62の両端が折り畳まれた場合にそうなる。これは入口70から充填される実効断面を減らす効果がある。図に示すように、入口70からの第2の材料が常に断面の端部へ延在する配置となる。第2の流れのみが所望の着色をされる。それはこれがハンドレールの外面を形成するからであり、第1の流れは透明あるいは無着色であってよい。2つの流れに対して、着色材料及び透明材料の任意の組合せが使用可能であることは理解されよう。例えば、追加の層164が供給される場合、第1の流れが着色され、第2の流れが透明であって、追加層の模様が目視可能であるようにしてもよい。第2の流れの追加は、図4の矢印90で模式的に示されている。
【0059】
次に、ケーブル供給ユニット100を図1および14との関連で説明する。複数のケーブルリール102が設けられ、それぞれにハンドレールに好適なタイプの複数撚りのスチールケーブル1本が巻かれている。ケーブルリール100はブレーキ手段を有するシャフト(図示せず)に取り付けられ、ケーブルに適当な張力を掛ける。所望によっては、ケーブルリール100は、接着剤を塗布する前の腐食を防止するために、温度と湿度を制御したハウジングの中に入れてもよい。ケーブル50は転回ローラ104を通って接着剤塗布機106を通過する。ただし転回ローラ104は任意である。
【0060】
ハンドレールは一般的に時間の経過と共に縮むことがあることを理解されたい。これはスチールケーブルの個々の撚り線のこすれや摩耗によるものである。元々スチールであったものの破片がケーブルの隙間を埋める。鉄の酸化がこの物質を成長させて、ケーブルの断面積を膨張させ、長さを減少させる。ケーブルを接着剤で完全に含浸させれば、優れた耐摩耗性と共に、上記の効果を防止ないしは少なくとも低減することができる。
【0061】
接着剤塗布機106は、液体の接着剤溶液を入れる容器92を備えている。入口及び出口94があり、それぞれに硬質織物パッドあるいはスポンジパッドを有し、その間をケーブル50が通過する。そしてそれらは接着剤溶液で飽和しており、ケーブルの内部への接着剤の浸透を促進する。パッドは容器92を密封する役目もする。多量の接着剤の被覆を行うために、塗布機は出口側にチューブを備えることができ、ケーブル50がそこを通過する。チューブは所望の厚さの接着剤を付与できるサイズとなっている。接着剤塗布機106は同時にケーブルに張力をかけることもできる。ダイ組立体22に入る前に、ケーブルはファン96の上を通過し、溶媒が飛ばされてケーブル上に接着剤が残る。ケーブル50はその次に、ヒータ98あるいはその他の高温空気源を持つファンに接続された、高温空気トンネル108を通過する。これは被覆されたケーブル50を、約300°F(約149°C)、もしくは接着剤の良好な接着を促進するような温度へ予備加熱する。これに代わって赤外線パネルや他の加熱装置を設けてもよい。わかりやすくするためにケーブルはローラ104の周りを通る時に分離して広がっているように示されているが、塗布機106からファン96の上を通ってトンネル108を通過するまで、ケーブルは実質的に平行で等間隔となっていてもよい。
【0062】
次にダイ組立体22から押し出された断面が図7に示され、この断面は中間押出物110を有する。ダイの内部での温度条件は、ポリマがダイから出るときにまだ溶融している、即ち一般的にクロスオーバ温度より高くなっている状態である。クロスオーバ温度より低い場合には、剪断弾性率が材料の損失弾性率より大きく、逆に、クロスオーバ温度より上では、損失弾性率が剪断弾性率より大きくなる。剪断弾性率は材料が変形前の寸法に戻ろうとする傾向に関連する弾性応答成分であり、一方、損失弾性率はエネルギ損失応答成分であり、変形中の流動に関連する(エクシュタイン(Eckstein)他:「熱可塑性ポリウレタンの熱成形」、プラスチックエンジニアリング(1995年5月)、ページ29参照)。その温度では、ポリマは未だ液体ではあるが高い粘性を示す。従ってポリマはほぼ安定しており、2つの丸いピークを有するプロフィールをしばらくの間は維持することができ、急速に平坦なプロフィールに崩れたりしない。それと同時に液体の特性を示して、詳細は後述するが、変形前の形状に戻ろうとする傾向を持たず、成形して断面形状を変化させることが可能である。具体的には、比較的鋭角的な形状を容易に形成することができる。
【0063】
ハンドレールにはこのような押出技術を採用可能とする2つの特徴がある。第1に、ハンドレールにはスライダ62が含まれる。マンドレル112に沿って通過する間、スライダ62がまだ溶融状態にあるTPUを支持するコンベアベルトの役目を実効的に果たす。この段階では、TPUはきわめて粘度が高く、他の固体表面に接触すればそれに粘着する傾向があり、換言すればマンドレル112との直接接触をさせることはできない。実際、成形ローラかその類のものがTPUに接触しなければならないとすると、それを冷却して、TPUが少なくとも局所的に「薄皮で覆われて」粘着しないようにしなければならない。
【0064】
第2の特徴は、ハンドレールが、単純な、丸まった外部形状を有することである。この形状はマンドレル上で容易に形成することができる。これとは対照的に突起部、窪み、およびとがった角を持つ複雑な外部表面はこの手法では形成するのは困難であり、適切な形状のダイによる成形を必要とするであろう。
【0065】
中間押出物110をハンドレール126の最終プロフィールにするために、細長の主マンドレル112が与えられる。マンドレル112は多数のセクションから成る。図10に示すように、マンドレルは基体114及び支持面を画成する上部セクション116を有する。上部セクション116のプロフィールは、連続的かつ滑らかに変化してハンドレールプロフィールを形成する。上部セクション116の長手方向には穴118があり、そこまでスロット120が開いている。横断する吸込み口122が穴118まで通じている。吸込み口122は真空源に接続される。これにより穴118内部が、水銀柱8〜12インチ程度の真空に保たれる。真空にする目的は、スライダ織物62を、従って押し出された部分を、常にマンドレル112密接させるためである。真空の程度は、マンドレル112のプロフィールに充分正確に追随させるのに必要で、かつ同時に余計な抵抗を発生させないような大きさで決められる。もし真空度を高くした場合には、ハンドレールをマンドレルに沿って引っ張るのにより大きな張力をかけることが必要となり、スライダ織物62を延伸させてしまう可能性がある。
【0066】
図5および6はプロフィール変化の進行を示す。図5に示すように、押し出されたプロフィールの両端が最初下方向へ落ちる。これは、図7に示す元のプロフィールにある2つの山を小さくする効果が出るようにするためである。図5の符号63で示されるスライダ側縁部は、マンドレル112の側部に当接していることに注意されたい。図5においては、緩和された中間押出物のプロフィールが110aで示されている。これらの側縁部63はマンドレル112に沿って連続的に支持されている。プロフィール110aの側部は連続的に下に落ち、ハンドレールのC字型プロフィールの丸まった端部の一部を形成して垂直となる。その次に内側及び上側に回転を続けて、図6に示すようなハンドレールの最終的なC字型のプロフィールを形成する。マンドレル112の正確な長さは、予定する生産速度に依存する。
【0067】
マンドレル112は、押出物を理想的な形成温度に維持するために加熱も冷却もできる。これは、このプロセスの最初から最後まで固体のままである織物ウェブが接触面を形成し、溶融材料がマンドレルに接触せず、従ってマンドレルに粘着することがないことによって可能となる。押出物がマンドレル223の端から端まで移動する速度である製造速度によって、例えば50℃の適切な工具温度にマンドレルを維持するために、現実に冷却が必要な場合がある。
【0068】
マンドレル112の端で、最終のハンドレールプロフィール126が形成される。このハンドレールプロフィールは図6と8aに示されている。前述のとおり、マンドレルに沿って動く間、材料は溶融状態に維持される。周知のように、熱可塑性エラストマ、特に熱可塑性ポリウレタンには明確な融点がない。それよりもむしろ、この材料には弾性的に挙動し材料が変形前の寸法に戻ろうとする傾向に関連する弾性応答の成分である剪断弾性率があり、またエネルギ損失応答成分であり、変形中の流動に関連する損失弾性率がある。tanδで表現されることもあるこの2つの因子即ち弾性率の比が、材料の状態をよく示す。tanδが1よりはるかに小さい場合には材料は固体として振る舞い、tanδが1より大きい場合には材料は粘性流体として振る舞う。これら2つの弾性率は、かなりの温度に亘って連続的に変化する。例えば分子量152,000のポリウレタンは、約150℃から200℃以上の範囲に亘って両方の弾性率が連続的に減少する。この時剪断弾性率の減少が損失弾性率の減少よりもより急である。その結果、165℃付近において、tanδの値が1を超え、粘性特性が優勢になることを示している。一般的に材料は、マンドレルの全長に沿って1より大きいtanδを持つべきである。適用例によっては、マニフォールドの長さの少なくとも一部分において材料がこの点よりわずかに低くなることは容認され得る場合がある。また、外表面からの熱を失うために、ハンドレールの外側の温度は内側より低くなる。そして重要なのは、プロフィールが相対的に複雑な変化をするT字型スロットの周りの内部温度である。外部層は単に、比較的緩やかな湾曲を受けるだけである。従って、外側が軽く「被膜形成」、即ち固化し始めても許容される。しかし、マンドレル112の端においてポリマはまだ適切には固化はしていない。図7の中間押出物の初期の2つの山を持つプロフィールは、マンドレル112の反対側の端において所望の最終プロフィールが得られるように選択されるものである。
【0069】
従ってポリマを冷却し固化させるために、次に、冷却タンク(cooling trough)132(図2a)を含む冷却ユニット130の中を通過させる。図1に示したように、タンク132は第2のマンドレル134を含んで構成されている。この第2のマンドレルは最終のハンドレール126のプロフィールを持つ。このマンドレルの少なくとも最初の部分が、マンドレル112のように、スロットが切られ、穴を持っており、これもまた真空源に接続されている。この実施例では、冷却タンク132は長さが12フィートであり、マンドレル134はそれに対応する長さを有し、正確な長さは製造速度に依存して変わる。タンク132中のマンドレル134の最初の3フィートにはスロットが切られていて真空源に接続されている。その理由は、ハンドレールが十分に冷却されて完全に安定し、少なくとも部分的に固化して形状を保持することができるまでは、ハンドレールをマンドレル134に密接させるためである。
【0070】
図に示すように、タンク134には、入口138と複数のスプレーノズル140を有するスプレーバー136が設けられている。ある実施例では、図2a、2bからわかるように、タンク134の入口のスロット形のノズル142がウォータナイフあるいはウォータカーテンを提供することができる。この地点で押出物にまだ被膜ができていない場合には、この方法により即座に均一な被膜を形成することができる。被膜ができていない状態でスプレーを受けると、個々の液滴が表面に痕跡をつけがちである。均一なウォータカーテンあるいはウォータナイフを適用することにより、この問題が回避され、概ね固体材料の被膜が形成される。被膜ができてしまうと、外観に影響を及ぼすことなしに、ランダムなスプレーでハンドレールをたやすく冷却することができる。ノズル142は、痕跡がつかないように、ウォータカーテンの方向をハンドレールに対して内側方向の浅い角度とすることができる。概ね円形の要素の中にある供給チャンバ144はカーテン146用の水の入口146を有する。
【0071】
ウォータナイフの代わりに、1本のノズル(図示せず)などのような水源が、第1の上流ローラ148を冷却水で濡らすために使用されることもある。押出物を冷却して外表面に被膜を作り、ダイによる線を消すために、複数のローラ148を実装することもできる。ローラ148は押出物で駆動される。第1の上流ローラ148によって押出物に散布された水は、第1の上流ローラ148と第2の下流ローラ148との間の押出物表面に集まる。第2の下流ローラ148もまた、ハンドレールの外側表面を整形するのに利用できる。
使用時には、スプレーノズル140を介して水が散布され、ハンドレール126を冷却する。タンク132は水の排水口を含んで構成され、水は排出されるか、あるいは冷却ユニットを通って入口138に循環される。スプレーノズル140からの水はハンドレール126を冷却し、ポリマを固化することができる。これによりハンドレール126のリップ強度が向上することが見出されている。この理由は充分にはわかっていないが、考えられる解釈の1つは以下の通りである。
【0072】
ハンドレール126が冷却されると、先ず外側が固化する。そして周知のごとく、固化の過程において材料が収縮し密度が上がる。このように、最初は固化されるのは外部層であり、内部は溶融したままである。実施例のあるものでは、マンドレル134そのものは冷却する必要がないことに注意されたい。ハンドレール126の内部が冷えて固化すると、今度は収縮しようとし、即ちより高密度になろうとする。これはハンドレールにプレストレスをかける効果があるものと考えられ、結果として、図8a、8b、8cに129で示すリップが互いの方向へ押しやられる。更には、ハンドレールのプロフィールはスライダ織物62によって維持されるものと考えられる。いずれにせよ、材料の与えられた硬度の割には、リップ強度が向上する結果が得られることがわかった。
【0073】
また、押出物から排除される熱量、及びこの熱の排除されるタイミングが重要であることも分かった。効果的なプレストレスを与えるために、熱が主としてハンドレールの外側から排除され、かつこの排熱は、ハンドレールに残存する熱が排除される前に行われるべきであることがわかった。ハンドレールの外側の周りのかなりの層を固化するために充分な熱が排除され、その結果、続く内部の冷却及びそれによる収縮がプレストレスをもたらす。この熱量が先ず外部表面から排除されるとすると、ハンドレールの外側の層は十分に冷却されて固化することができ、その結果、ハンドレールの内部が固化する際にプレストレス効果が発生する。ここで、ウォータスプレーの構成では熱は殆ど外表面のみから排除され、内部から排除される熱の量は少量でしかないが、これは全く偶発的なものである。表示した実施例においては、マンドレル134を介して排熱することは全く意図されていない(図2a)。しかし一方で、マンドレルからのそのような熱の消失を防止するために特別に絶縁するような手立ては取られていない。しかし上述したように、最大速度で運転する場合にはツール温度を適切に維持するために冷却が必要になる場合もあるであろう。
【0074】
通常、ハンドレールにはリップ強度が要求される。これは標準のテストに従って、リップ間の距離を規定量だけ変位させるのに要する力が10kg以上である。ここで、ハンドレールが自然冷却されて内部および外部表面の双方から均等に冷却されると、リップ強度は弱過ぎてこのテストを満たすことはできないことがわかっている。その一方、上記の冷却手法によりもたらされたプレストレスがある場合、リップ強度は10kgより大きく、10〜20kgの範囲が達成できる。これは通常のハンドレールに匹敵する。
【0075】
ここで開示した方法及び装置により押し出されたハンドレールのリップの開放力は典型的には15kgであり、ショア「A」硬度85の熱可塑性ポリウレタンに対して、つかみ部幅30mmで、7mmの撓みに対する測定値は少なくとも10kgより大きい。これは、均等な加熱および冷却のコンプレッションモールド法で製造された、均質でプレストレスなしのサンプルの場合の約6kgと対比される。
【0076】
タンク132を出るとすぐに、ハンドレール126は駆動ユニット150を通過する。駆動ユニット150は上部駆動組立体151と下部駆動組立体152とを含み、そのそれぞれはローラ上にかけられたバンドを含み、このバンドがハンドレール126に係合する。下部駆動組立体152は、ハンドレールの内側でスライダと係合するように構成されている。このようなユニットは押出成形には一般的である。ここでこの駆動ユニットはタコメータによるフィードバック付きの直流モータを有し、ハンドレールの速度を正確に制御できる。ある実施例では、これにより速度制御を0.1%以内の精度で行うことができる。
【0077】
押出技術においては周知のように、押出速度が注意深く制御され、かつ2つの入口34、70を通る流速も注意深く制御されれば、押し出されたハンドレール126のプロフィール、及び単位フィート当りのその重量は所望の公差の範囲内で一定である。良好な制御がなされれば、単位長さあたりの重量の公差は1%よりもよい値が達成できる。押出機は必要な一定流速を与えるために一定のスクリュー速度で運転され、例えば温度、圧力などの他の因子が一定であれば、一定流速が実現できる。溶融ポンプを利用すれば、更に制御を向上させ、変動を減少させられる。
【0078】
155で示すように、完成ハンドレール126を巻き取るためのスプールが設けられる。ハンドレールのループを形成するために、選ばれた長さのハンドレールを継ぎ合わせることができる。これは例えば、出願人による「熱可塑性物品を継ぎ合わせるための方法および装置」という名称の米国特許第6,086,806号明細書に開示されている。参照によりここにその全体の内容がこの明細書の内容に包含される。
【0079】
図8aは、ケーブル50とスライダ織物62を有するハンドレール126の最終完成プロフィールを示す。熱可塑性エラストマは2層として形成されている。内層128は第1の入口34から供給された熱可塑性プラスチックであり、外層127は第2の入口70から供給された熱可塑性プラスチックである。ケーブル50は内層128内の同一平面上に配置され、ケーブル50は構造126の折曲げの中立軸を画成する。
【0080】
次に例示の材料については、スライダ織物62は、1平方ヤード当り20オンスの平織のポリエステルであってよい。
【0081】
ケーブルは、接着剤がワイヤの中に浸透できるように比較的開放的な構造をもつものが選択される。例えば、好適なスチールケーブルは、それぞれが、0.20+/−0.01mmの3本ストランド芯線と0.36+/−0.01mmの6本の外側ストランドとからなっている。好適な仕様を有する、真鍮メッキされた高張力鋼コードはベルギー、コルトレイク市のべカルト社(Bekaert SA, of Kortrijk, Belgium)から調達できる。
【0082】
使用される接着剤は溶媒型の接着剤であってよい。ただし、例えば反応性ホットメルト接着剤のような、任意の好適な接着剤を用いてもよい。ケーブルに塗布する接着剤としては、一例として、モートンインタナショナル社(Morton International Inc.)の一部門であるモートンオートモーティブアドヒーシブ社(Morton Automotive Adhesives)から販売されているTHIXON(登録商標)405がある。ただしこれに限定されるものではない。
【0083】
熱可塑性エラストマに関しては、2つの層127,128共に、ショア「A」硬度85のルーブリゾール(Lubrizol)社のESTANE(登録商標)58206であってよい。用途によっては、ハンドレールの外側をより硬い熱可塑性プラスチックで形成することが好ましい場合がある。この目的には、ショア「D」硬度45のルーブリゾール(Lubrizol)社のESTANE(登録商標)58277を使用できる。次に、内層126にはより柔らかい材料の、ショア「A」硬度72のルーブリゾール(Lubrizol)社のESTANE58661などが用いられる。屋外での用途に対しては、ハンドレールが雨などに晒される可能性があるので、外層127としては、ショア「A」硬度85のルーブリゾール(Lubrizol)社のESTANE58300などのような、ポリエーテル型の耐水性熱可塑性材料が用いられる。ルーブリゾール(Lubrizol)社のESTANE58226も用途によっては好適である。その他の熱可塑性材料も使用可能である。
【0084】
図8b、8cはハンドレール断面の変形例を示す。図8bにおいては、第2のハンドレールの断面170がスライダ62と熱可塑性材料の内層171、外層172とを含む。ここでは、個々のケーブル50はカーボンファイバテープ174で置き換えられている。
【0085】
図8cに180で示されたハンドレールの第3の変形例においては、前のものと同様にスライダ62がある。ハンドレール180は内層181と外層182とを有す。ここで、抗張体はマトリックス184で与えられ、これは熱可塑性エラストマ188の層の中に埋設されたケーブル186から成っている。エラストマ188の両側には織物層190があり、サンドイッチ構造を形成している。前述のとおり、このサンドイッチ構造は、ハンドレール形成プロセス全体の中の重要な一部として、ダイ組立体の重要な構成要素としてのダイ組立体の入り口部分において形成される。
【0086】
たハンドレールのプロフィールの変形例126a、126bが図8d、8eに示されている。ハンドレール126に比較して、ハンドレール126a、126bは、過酷な屈曲条件下でのケーブルの座屈の可能性が小さく、歪及び曲げ応力が小さく、繰返し荷重条件下での疲労寿命が長くなる。これは、出願人による2007年9月10日出願の「修正ハンドレール」という名称の米国仮特許出願第60/971,163号明細書、及び2008年9月10日出願の対応するPCT出願明細書に開示されている。この両出願の全内容は参照によりこの明細書の内容に包含される。
【0087】
マンドレル112に沿って移動した後に所望のプロフィールが得られるように、曲線86のプロフィールが選択される。このプロフィールは必ずしも正確ではないことを理解されたい。そうなるために、図2dに147及び148で示す、1つまたは複数のトリミング用のローラや、サイジングローラが設けられる。このように、全体の幅をある公差内に抑えるために、少なくとも1組のローラ147が設けられてもよい。上部の厚さを所望の公差内に抑えるために、少なくとも1つのローラ148が設けられてもよい。この地点では、十分に冷却されて外表面に被膜ができており、ローラはハンドレール材料とは粘着しないので、ハンドレールをローラに接触させることができる。
【0088】
ある実施例ではローラは基本的に円筒形であってよい。しかし、少なくとも上部ローラ148はハンドレールの上部の所望のプロフィールに相当するプロフィールを有することができる。即ちこれによりハンドレールの中高の上部表面を画成する。ローラの直径の変化はあまり極端であってはならない。というのはローラの一部分とハンドレールとの間にスリップが起きやすいからである。
【0089】
摩擦を低減するために様々な部品をTEFLON(登録商標)で被覆、ないしはその他の処理を行って、摩擦係数を下げることができる。従って、コーナ64a、64b(図11)をTEFLONで被覆してもよい。同様に、マンドレル112、及び第2のマンドレル134の少なくとも最初の部分はTEFLONで被覆されてよい。真空によってスライダ織物62をマンドレルに押圧する強い圧力があり、これがかなりの摩擦効果を生じる。
【0090】
ここでの教示は、エスカレータやその類似のもののためのハンドレールに関して主として説明してきたが、一定の断面を持つ様々な細長の物品にこの教示を適用できることを理解されたい。より具体的には、本体が熱可塑性エラストマで形成され、それを貫通する強化手段あるいは抗張手段を有し、かつ一方の側に追加の織物シート層もしくは類似のものが接合されたような物品に適用可能である。そのような構造はコンベヤベルトによく見られる。通常、コンベヤベルトは一般的に矩形断面をしており、コンベヤベルトの幅全体に亘ってほぼ均一な性質を有している。
【0091】
従って、普通、コンベヤベルトにハンドレールのような複雑なプロフィールを作り込む必要はない。従って、マンドレル112上での形成プロセスは省略できる。ここで説明した方法によれば、コンベヤベルト本体内の所望の深さの共通曲げ中立軸上に補強ケーブルないしはそれと同様なものを正確に配置したコンベヤベルトを形成することが可能である。また、ベルトがその一方の側に織物層を持つこともできる。また、上記の同時係属出願と同様に、そのようなコンベヤベルトは継ぎ合わせることが可能である。
【0092】
使用するポリマ材料は、任意の熱可塑性エラストマであってよい。実験及び検査の結果、ハンドレール製造にはショア「A」硬度85の熱可塑性ポリウレタン(TPU)が好適であることがわかった。この材料を用いてハンドレールの本体を形成する場合、スライダ織物との接着は、接着剤やのりを用いないでも問題がない。スライダ材料がポリエステルの織布織物であれば、最終製品でのTPUへの接着強度は、90度剥離テストで代表的には1インチ幅当り(p.i.w.)60ポンドである。例として、ダイ温度が200℃に設定されたダイを通してポリエステル織物が押し出され、その接着強度が1インチ幅当り20〜30ポンドであった。これに対して215℃のダイの場合には、接着強度は1インチ幅当り55〜60ポンドであった。
【0093】
これらのテストに対しては、モノフィラメント横糸の軽量ポリエステルが使用された。一般的に、モノフィラメント材料は良好な接着力を得るにはより大きな問題が生じる。熱プレス中で織物をTPU上に成形して、ベンチテストを行った。TPUは110℃で予備乾燥した。プレス温度215℃でTPUは完全に織物を含浸した。しかしそれにも拘らず、剥離強度はわずか1インチ幅当り20ポンドであった。その一方、織物を200℃まで、TPUを215℃まで予備加熱し、その後ラミネートしたサンプルは、接着強度が1インチ幅当り65ポンドを超えた。
【0094】
図11のように、製品設計の自由度を上げるために、追加の織物層164が加えることができることにも注意されたい。これは、補強物を追加するときと同じように、ダイ中の流れが分岐しているところではどこででもハンドレールの厚さの任意の深さに追加することができる。
【0095】
本明細書では、第2の流れの色を変えることにより、もしくは外部シート層がある場合にはそれを変えることにより、ハンドレールやその他の物品の色を迅速に変えることのできる押出技術を提供できるということを理解されたい。
【0096】
本明細書では、それぞれのステップが本質的に単純ないくつかのステップに分離することのできる押出プロセスを提供でき、従って多くの複雑な押出操作を同時に行う必要がないことも理解されたい。実際の押出物のプロフィールは比較的単純であり、この技術は、すべての要素を押し出しプロフィールの適正な位置に正確に配置することができるものである。ハンドレールのスライダ織物は、ハンドレールの最終形状の形成時に押出物を支持するコンベヤベルトとして利用できる。ハンドレール形状の最終形態は、ハンドレールの内側となるものの連続的な変化により形成され、外面プロフィールに必ずしも接触する必要がない。そうすることにより外表面が冷却、固化されて光沢のある仕上げとなる。外表面は、リップにプレストレスを与えて適切なリップ強度を付与するために、例えば水などの流体を散布して冷却することができる。更に、スライダ織物が関係する押し出しダイ部品を冷却することにより織物の伸びを制限でき、柔軟なハンドレール製品とすることができる。
【0097】
本明細書の教示によれば、ハンドレールを連続的、かつ簡単に製造することができ、従来のハンドレールに必要とされた、広範囲に及ぶ手順の手動設定を必要としなくなる。ポリマとしてポリウレタンを使用すれば、高い光沢仕上げを維持するために、所望の高い光沢仕上げと、切り込みや摩耗に対する抵抗の両方を満たすグレードの選択が可能となる。
【0098】
ハンドレールの構造は従来のハンドレールとは違って単純であり、所望の強度及び耐久特性を与えるための複雑な層の組合せを必要としない。むしろ、外表面の冷却をすることでリップにプレストレスをもたらし、結果として比較的軟らかいグレードのポリウレタンでも、十分なリップ強度を得ることができる。
【0099】
また、スライダ織物とポリウレタンとを高温で結合させることにより、優れた接着特性が実現され、従来の接着技術に比べてより大きな剥離強度が得られることも分かった。
【0100】
このハンドレールは、無制限の長さでの製造が可能である。ハンドレールの完全な環を形成するために、例えば出願人の米国特許第6,086,806号明細書に開示されたような、継ぎ合わせが可能である。この継ぎ合わせ技術では、一般の人には気付かれない継ぎ合わせを行うことができ、ハンドレールの高い光沢仕上げと外観の連続性を維持することが可能である。
【0101】
分離した2つの流れをダイ組立体に供給することにより、異なるポリマを供給することが可能となる。外層を形成する第2の流れにのみ、所望の外観と色特性を持つことが要求される。主たる流れは任意の好適な材料で構成することが可能であり、着色の必要がない。さまざまな異なる色を持つ、リサイクル材料を含めることも可能である。戸外用途には、外表面層に耐候性ポリウレタンを使うことが可能であり、その一方で、第1の入口からの主たる流れにはこれを用いる必要はない。
【0102】
本明細書の更なる態様は、ハンドレールの製造時に、スライダのあるT字型スロットの公差を外部プロフィールよりもはるかに厳しくすることができることである。一般的に、T字型スロットの公差は0.5mmであり、外部プロフィールの公差は1mm程度である。T字型スロットは対応する形状のガイドに追随する必要があり、従って公差は非常に重要であることは理解されるであろう。その一方で、外面プロフィールは、高々駆動輪に接触するだけであり、そこには大きな公差が容易に許容される。また、ハンドレールの利用可能な上部の走行域の両端において、ハンドレールは開口部から出て、もう1つの開口部を通過してエスカレータの下に取り込まれてゆく。これらの開口部は、利用者の指などが巻き込まれるのを防ぐような寸法となっている。しかしここでもそのための外部プロフィールに対する公差は相対的に緩い。従って、内部表面の整形に超硬質工具を用いれば十分である。
【0103】
次に図15〜18を参照するが、これらの図面には、符号200で全体が表示されているダイ組立体の別の実施例の詳細が示されている。ダイ組立体200は、202で示された入口、即ちスチールケーブルやスチールテープなどの抗張体や補強材の入口を有し、これはダイ組立体の後ろにある、後述のケーブルマンドレル300の中に設けられている。ダイ組立体200の前側には、押出物の出口開口204がある。前述の第1の実施例の場合と同様に、スチールケーブル50がケーブル供給ユニット100から供給されるが、ケーブル供給ユニット100は、温度及び湿度を制御した囲いの中に収容されていてもよい。
【0104】
第1の入口210が第1のポリマ用に設けられ、第2の入口212が第2のポリマ用に設けられている。以下に詳述するように、ダイ組立体200は周知の方法で相互に固定された、いくつかの別々の要素から成っている。これらの要素は、溶融ポリマの漏れを防ぐために適当なシールが施され、互いにボルト止めされるか、他の方法で相互に固定される。図16a〜16fはダイ組立体200の個々の部品の詳細を示し、それらがダイ組立体全体を構成する様子を示している。また、ケーブルマンドレル300が図17a〜17eに詳細に示され、櫛状体ユニット400が図18a〜18dに示されている。
【0105】
先ず図16aを参照すると、第1のランナプレート220が示されている。第1のランナプレート220には第1の入口ランナ222が形成されており、それは入口210によって、溶融熱可塑性材料即ちポリマの供給源に周知の方法で接続される。前述したように、熱可塑性材料即ちポリマは、普通、スクリュー押出機か類似のもので供給される。図に示すように、1つの第1のランナプレート220は概ね円筒形で、ケーブルマンドレル300が入る円筒形の穴224を有する。図16aに示すように、ケーブルマンドレル300は、円筒形の穴224に合う円筒形のプラグ部302を有し、またケーブルマンドレル300を第1のランナプレート220へねじ止めするための環状フランジ304も含んでいる。
【0106】
図16aに示すように、第1の入口ランナ222が穴を有し、この穴は第1のランナプレート220の前面228上に半円形のチャネル226へと繋がっている。矢印で示すように、チャネル226は溶融ポリマを矢印の方向に導くようになっている。
【0107】
図16bを参照すると、もう1つの第1のランナプレート240が、第1のランナプレート220の面228に対応する背面(図示せず)を有し、ここにもまた半円形のチャネルが設けられてランナチャネルを形成し、これらの面が相互に取付られて密封される。もう1つの第1のランナプレート240は、背面から前面244に延在する開口242を含む。前面244には、窪み246が設けられてチャネル即ちマニフォールドを形成し、ポリマの流れを面244の中心に向けさせ、従って50で示される補強材、即ち抗張ケーブルの周りに向かわせる。
【0108】
図16cを参照すると、櫛状体プレート250がもう1つの第1のランナプレート240の前面244に取り付けられている。櫛状体プレート250は細長の矩形スロット252を有し、櫛状体ユニット400がそこに取り付けられる。スロット252は図に示すように、櫛状体ユニット400のプロフィールに相当するプロフィールを有している。櫛状体ユニット400の目的は、スチールワイヤ即ちケーブル50を整列した状態に維持し、ポリマの流れに所望の背圧を生成するために流れの断面積を減少させたスロットを提供し、その結果としてケーブル50のワイヤの個々の撚り線の中にポリマを浸透させるようにするためのものである。
【0109】
櫛状体ユニット400はまた、同一平面上の補強アレイの製造を可能とするように構成されている。これは、ケーブルアレイを歪ませる傾向のある横方向の流れを制御し制限することにより実現される。より具体的は、櫛状体ユニット400は、横方向の流れを防止できる発散型の出口チャネル402を含む。
【0110】
もう1つの第1のランナプレート240と櫛状体プレート250との間に、第1の結合チャンバもしくは結合ゾーンが形成され、そこで、ケーブル50が第1のポリマ流と結合して、その中に埋設される。
【0111】
第2のポリマ流用の入口ランナの構成の詳細が図16dと16eに示されている。第2の入口ランナ260が、入口212から、一対の第2のランナプレート262、264の間に画成されるランナまでの第2のポリマ流を提供する。図16dに示すように、第2のランナプレート262は流れ領域、即ちマニフォールドを画成する窪み部分266を前面268に有し、これが流れを発散し、第1のポリマと補強用のワイヤ、即ちケーブル50とを含む押出物部分の全幅に亘って均一な流れを提供する。第2の入口ランナ260は、平面プレートである、第2のランナプレート264を終端とする。第1のポリマの場合と同様に、第2の入口ランナ260は、例えばスクリュー押出機もしくはそれに類似の装置などの、好適な第2のポリマ源に接続される。
【0112】
第2の入口ランナの窪み即ちマニフォールド266は、底部要素272で画成される第2の結合ゾーン即ちチャンバ270に繋がる。底部要素272は第1の部分274と第2の部分276とを含む。これらの部分274、276の1つがチャンバ270の部分を画成するが、洗浄を容易にするために2つの部分274、276が設けられる。
【0113】
図に示すように、第2の部分276は278において窪んでいてスロットが形成され、そこに280で示したスライダ織物ウェブが引き込まれるようになっている。
【0114】
図16e、16fを参照すると、押出物は次に、第1の底部ダイブロック284と第2の底部ダイブロック286とを含む出口ゾーン282へ至る。これらのダイブロック284、286はチャネル288を画成し、押出物支持ブロック290がその中へ取り付けられる。このブロック290には冷媒を流すための開口292が設けられている。冷媒は、水又は油であってよい。また、押出物支持ブロック290は、底部ダイブロック284、286から押出物支持ブロック290への熱移動を低減するために、底部ダイブロック284、286から離間して取り付けられてもよい。セラミック被覆を利用することもできる。
【0115】
ある実施例では、冷却ブロック290はスチール製である。別の実施例では、冷却ブロック290は、例えば、CELAZOLE(登録商標)あるいはTORLON(登録商標)などの耐熱性プラスチックで形成されていてもよい。ただしこれに限定するものではない。耐熱性プラスチックは一般的に熱容量と熱伝導率が比較的低く、その結果、ダイの中でのスライダ織物への熱移動が少ない。しかし、製造及び摩耗特性の両面からコストが安くつくスチールが、冷却ブロック290には好適な材料である。
【0116】
押出物を支持するスライダの案内を支援するために、押出物支持ブロック290の上部表面には2本の浅い矩形のスロット即ちガイド294が設けられてもよい。図16eに示すように、ブロック290の両側縁は内側に向かって斜めになっており、スライダ織物280の両側縁を次第に上へ折り曲げて、溶融熱可塑性材料の両端を包み込むようにさせる。
【0117】
図16dは、第2のポリマ流と織物が加えられるダイの位置を示す。第2のポリマはマニフォールドにおいて第1のポリマと補強材の上に塗布される。織物280は底部からダイの中に入り、ポリマと補強材アレイの結合物の下に送り込まれる。織物は、溶融物あるいはダイの温度より低い温度、場合によってははるかに低い温度の、約50℃でダイへ供給される。これによって、プロセス中で織物が到達する最高温度を制限する。織物はまた、ダイ外側の直近に供給装置を設けることにより、前以って縮んだ状態で、かつ実効的に張力がゼロで供給される。スライダの好適な前処理に関する更なる詳細は、出願人による2007年9月10日出願の「複合押出ハンドレール用スライダ層の前処理方法および装置」という名称の米国仮特許出願第60/971,156号明細書、及び2008年9月10日出願の対応するPCT出願明細書に開示されている。
【0118】
図16d、16fを参照すると、出口ゾーン282を完成させるために、上部ダイブロック296が第1の出口ダイブロック284の上に取り付けられ、一対の上部ダイブロック297、298が第2の底部ダイブロック286の上に取り付けられる。
【0119】
上部ダイブロック296、297、298は、例えば間隔を設けることにより、少なくともある程度は底部ダイブロック284、286から熱的に隔離される。そうすると、これらは押出物支持ブロック290から離間されるかあるいは別の形で、熱的に隔離される。上部ダイブロック296、297、298は、押し出された熱可塑性ポリマを所望の温度に保つためにバンドヒータで加熱することができる。どのような熱分離も決して完全ではなく、高々熱移動を低減するだけであることは理解されるであろう。
【0120】
ケーブルマンドレル300が図17a〜図17eに示されている。既に述べたようにマンドレルには、円筒形プラグ302とフランジ304とが含まれる。プラグ302の内部には内部穴306がある。
【0121】
円筒形プラグ302の先端には、共通の面上に複数の小さい穴308が設けられている。これらの穴308のそれぞれは、小さい直径の部分と大きい直径の部分とを持っている。穴308の小径部には、皮下注射用の肉厚の小さい(hypodermic)スチールチューブ310が取り付けられる。スチールチューブ310は必要があれば個別に交換できる。
【0122】
図に示すように、円筒形プラグ302の正面には少し突き出た隆起部312があり、チューブ310の端がこの隆起部312の頂点上に開口している。
【0123】
ダイ組立体200の部品を組立てるために、ねじの切られた、あるいは平坦な、またはその他の適切な組立用の穴が、周知の方法で設けられてもよい。
【0124】
櫛状体ユニット400の詳細が図18a〜図18dに示されている。櫛状体ユニット400は基本的に第1の矩形ブロック404と第2の矩形ブロック406とからなる。末広がりの出口チャネル402が、第2の矩形ブロック406の上部表面上に設けられる。それ以外はブロック404と406の上面は同一平面となっている。
【0125】
中央部分に、第1の矩形ブロック404の上部表面方向へ伸びた、櫛状体部410がある。この櫛状体部410は矩形スロット412と414とで画成される。スロット412は櫛状体410の外側に向かって設けられ、櫛状体部410の全深さに亘って延在する。
【0126】
櫛状体部410の中央部に、スロット414が櫛状体部410の全体の途中まで延在する。そしてその下に、図18c、図18dからよくわかるように、2つの水平スロット、即ち開口416がある。この実施例では、スロット414が18個と、スロット412が10個の、計28スロットがある。この実施例では20本のスチールケーブル、即ちワイヤ50があり、これらが上側の水平開口416を貫通して同一平面内に保持される。
【0127】
第1のポリマは第1のランナプレート220を介して供給され、スロット412、414、それにスチールケーブルが入っていなければスロット開口416を、強制的に通過させられる。これは背圧を発生させ、ポリマ、即ち熱可塑性プラスチックを、各ワイヤ、ケーブルや抗張体50の個々の撚り線の間の隙間に押し込む働きをする。
【0128】
ここで述べた実施例ではケーブルは20本でスロットは412、414合わせて28個であるが、これらの数は所望により変化し得ることに注意されたい。また、この構成は他のタイプの抗張体を収容できるように改変してもよい。例えば、スチールテープの抗張体の場合、そのような抗張体を収容できる水平のスロットが1つあればよい。用途によっては、スチールケーブルを先ず押出装置に通して、スチールケーブルが埋設された熱可塑性材料の成形ストリップを形成することが好ましい場合もある。そのような熱可塑性材料のストリップは一般的に断面が矩形であり、好適な押出装置に供給して、スチールテープ抗張体の場合とほぼ同様に押し出してハンドレールの完成断面を形成する。
【0129】
使用時には、スチールケーブル50が先ず処理されて、図14あるいは類似の手法で、例えば変性エポキシ接着剤などの接着剤が付与される。そうして、スチールケーブル50がケーブルマンドレル300のチューブ310に供給される。同時に、第1のポリマが第1のランナプレート220に供給され、チャネル226を介して結合チャンバ234へ送られる。そこでポリマがケーブル50の両側の周りに流れ込み、ケーブル50を熱可塑性材料の流れの中に埋設する。
【0130】
スチールケーブルと熱可塑性材料の結合した流れが次に櫛状体ユニット400の櫛状体部410を通過する。櫛状体部410で流れの断面積が制限されていることにより大きな背圧が生じ、それが熱可塑性材料を空間、即ちケーブル50の個々の撚り線の間の空隙の中へ強制的に、つまり加圧して押し込む働きをする。
【0131】
櫛状体ユニット400を通過した後、スチールケーブル50を含んだ第1の熱可塑性材料の流れは第2の結合チャンバ即ちゾーン270に入る。ここで第2のポリマ流が供給されて押出物上に上部層を形成する。この第2のポリマ流は第2の入口212から第2の入口ランナ260を通って供給される。
【0132】
流れが押出物支持ブロック290の上を通過するときに、スロット278から導入された織物ウェブ280と合流し、これらは出口ゾーン282で結合する。
【0133】
ダイ組立体200の全体は標準のバンドヒータで均一に加熱され、温度は、例えば、175〜210℃の間に制御される。冷却されたブロック290の下のダイの2つの部品284、286は加熱する必要がなく、この2つと上にあるダイの最終部品との接触は最小化される。このダイの最終ゾーンへの加熱は上側からのみ行われる。こうして、溶融ポリマに接触するダイ部品と、織物に接触する冷却されたブロックとの間に最大可能な温度差をもたらすことができる。図に示すような構成を用いることにより、冷却されたブロック290の温度を75℃より低く保持し、ダイのその他の部分を200℃とすることが可能となる。それでも溶融ポリマとの接触で温度は上昇するが、温度上昇は冷却ゾーンがない場合に比べるとはるかに小さい。この構成を用いることで、ダイの中における織物の伸びを4%未満に抑えることが可能である。
【0134】
温度及びその他のパラメータに関する例示的な値を挙げたが、これらは使用されている材料の特性やその他のパラメータで変わり得ることは理解されるであろう。
【0135】
完成した押出物は最終開口204を通ってダイから出てくる。そうして以前の図で示したように支持マンドレルへ送られる。
【0136】
所望の形状を作るための押出物の更なる処理、例えば、マンドレル上での押出ハンドレールの整形ステップが前述したようにこの次に行われる。マンドレル、即ち整形機はダイに固定する必要はない。ダイ組立体とマンドレルとの間がある程度の相対的変位をすることも可能である。
【0137】
図19a〜19cを参照すると、出口ダイブロック284と286は相互に一体的に形成されてもよい。図に示すように、ダイブロック284、286は、ベース部320と、相互に鏡像関係となっている側部321、322とを有す。それぞれの側部321、322は、高さの異なる2つの外側部324、326を含んでいる。外側部324、326の内側に、傾斜部328と内側部329がある。傾斜部328と内側部329は押出物支持ブロック290のプロフィールに一致するように構成されている。図20a、20bとの関連で以下に詳説する。
【0138】
図20a、20bを参照すると、押出物支持ブロック290は概ね平坦で、スライダ織物280を支持するための概ね平坦な中央面330を含んでいる。符号332で示すように丸められた端部が設けられていて、スライダ織物280がスロット278を通って平坦な上部、即ち中央面330へ抵抗なく通過できるようになっている。
【0139】
支持ブロック290は、出口ダイブロック284、286の部分328、330に一致するように構成された側面を有する。このように、押出物支持ブロック290は、第1の短い側面334と、斜めになった側面部336と、嵌めこみの平坦な側面部338とをそれぞれの側に含む。ここで平坦な側面部334、338はすべて互いに平行となっている。
【0140】
側面部334、336、338は上方向に伸びて、それぞれの側に上部リップ340を形成する。それぞれの上部リップ340の内側面342は、概ね垂直な上部分と、上面330に円滑に繋がっている丸められた下部分とを含んでいる。図面からわかるように、各リップ340は傾斜した部分と、ダイの軸に平行に芯合わせされた直線部分とを有する。この形状は、スライダ織物280の端部が連続的に押出物の周りに折り畳まれていくようにすることを意図したものである。
【0141】
図20bでよくわかるように、押出物支持ブロック290の底部には一連の幅の狭いリブ346が設けられている。これは、出口ダイブロック284、286に取り付けられた場合、接触面積を最小化し、少なくともダイの様々な要素間での伝導による熱移動の減少に資するためである。冷却剤を流すための開口292も図20aに示されている。
【0142】
図21a、21b、21cを参照すると、ダイブロック296、297、298が類似のユニットとして同じように作られている。図21cでよくわかるように、ブロック296と297の間には部分的にスロット350が延在している。ここで、ブロック284、286は側面及び底面でスロットにより実質的に分離されていることに注意されたい。
【0143】
ブロック296、297、298の上面は概ね平坦である。側面に沿って、前方のブロック297、298はほぼ同じ断面の突起352、353を持ち、最後尾のブロック296はより浅い突起354を持っている。突起352、353、354は両側でそれぞれ鏡像となっていることが理解されるであろう。
【0144】
ブロック296、297、298は、全体として符号358で示されている中央部を有し、これは下方向に突き出ていて、それぞれの側に概ね共通の外側面356を備えている。
【0145】
最後尾のブロック296の中央部358は、押出物支持ブロック290の後部プロフィールに相当するプロフィールを持っている。傾斜した側縁部360も含まれる。中央部表面362は中央部358の前方に向かって上方向に延在し、かつ斜めになった側面364が中央面362と傾斜して交わる。外側面366は同一平面上にあり、中央面362よりも小さい角度で上方向に傾斜している。外側側縁面368も備えられている。スライダ織物の上端をガイドするのを支援するために、浅い溝370も設けられる。中央面362の中で、丸みを持った面370が始まる。このプロフィールは図21bの372に最もよく表されている。
【0146】
丸みを持った面370は、符号374で示されるブロック297の中央部へと続く。このブロック297は、ほぼ垂直な短い側面376と、下向きに突き出て側面374に平行な幅の狭い突起378を、両側に含んでいる。突起378もまた、スライダ織物の両側縁をガイドするのを支援するためのものである。
【0147】
最前面のダイブロック298もまた、丸みを持ち、端372で示される形状に倣った中央面を有する。幅の狭い突起378はダイブロック298へと続き、ダイブロック298から出る前で終了する。それは押出物がダイから出る前に最終プロフィールとなることができるようにするためである。
【0148】
出願人の教示を様々な実施形態との関連で説明したが、出願人の教示がそのような実施形態に限定されることを意図するものではない。出願人の教示は、当業者に理解されるように、さまざまな代替案、改変物、等価物を包含する。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16a】
【図16b】
【図16c】
【図16d】
【図16e】
【図16f】
【図17a】
【図17b】
【図17c】
【図17d】
【図17e】
【図18a】
【図18b】
【図18c】
【図18d】
【図19a】
【図19b】
【図19c】
【図20a】
【図20b】
【図21a】
【図21b】
【図21c】
【公表番号】特表2010−538932(P2010−538932A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524315(P2010−524315)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001596
【国際公開番号】WO2009/033270
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(509198284)イー エイチ シー カナダ インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】EHC Canada,Inc.
【住所又は居所原語表記】1287 Boundary Road,Oshawa,Ontario,L1J 6Z7, Canada
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001596
【国際公開番号】WO2009/033270
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(509198284)イー エイチ シー カナダ インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】EHC Canada,Inc.
【住所又は居所原語表記】1287 Boundary Road,Oshawa,Ontario,L1J 6Z7, Canada
【Fターム(参考)】
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