説明

熱可塑性ポリエステル組成物およびその製造方法

【課題】本発明の課題は、成形品からの揮発分が少なく、揮発成分による内容物の汚染が抑制された熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】上記課題は、(A)芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を主とする芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族および/または脂環族のジヒドロキシ化合物を主とするグリコール成分、ならびに平均分子量が400〜4000のポリアルキレンエーテルグリコールが共重合されてなるポリエステル−ポリエーテル共重合体と、
(B−1)酸化防止剤および(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤からなり、
(A)ポリエステル−ポリエーテル共重合体100質量部、(B−1)と(B−2)の合計が0.1〜10質量部とからなる熱可塑性ポリエステル組成物により解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品からの揮発成分が少なく、揮発成分による内容物の汚染が抑制された熱可塑性ポリエステル組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハーやマスクガラス等の基板を輸送、保管する際に使用する基板収納容器は、キャリア、容器本体、蓋体、押え部材、ガスケット部材等を備えて構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ガスケット部材は、通常、基板収納容器本体と蓋体との嵌合部の間に、外周に沿って設置され、基板収納容器本体と蓋体との嵌合によって圧縮されることで基板収納容器の内外部の環境を遮断して、保管ないし輸送中に基板収納容器外部からのパーティクルを主とするコンタミネーションを防止ばかりでなく、航空機輸送による外圧変化に伴う基板収納容器内の圧力変動を緩和し、結果的に基板収納容器内へのパーティクルの侵入や基板収納容器内の気流の動きによるパーティクルの移動を防止して、収納する基板の汚染を低減するものである。ガスケット部材には、上述の通り、圧縮されて変形し、それなりの気密性を有し、かつ、蓋を開ける等で圧力が取り除かれた場合に元の形状に復帰する性能が要求されるため、適度なゴム弾性(表面硬度)が必要とされる。また、ウェハー押え部材も保管、運搬、移送、輸送中等に受ける外的な振動や衝撃からウェハーの破損や回転を防止する目的により、ガスケット部材と同様に適度なゴム弾性(表面硬度)が求められる。
【0004】
これらの部材に関しては、従来、ポリスチレンやポリオレフィン等を主成分とする熱可塑性エラストマーに対して、そのゴム弾性(表面硬度)を調整するためにパラフィンオイルをはじめとする外部軟化剤を配合した比較的高い柔軟性を有する熱可塑性エラストマー組成物が使用されてきた。
【0005】
しかしながら、上記の熱可塑性エラストマー組成物では成形条件、使用環境等の様々な要因によって成形表面への軟化剤のブリードアウト、揮散、揮発に伴うアウトガスとしての有機物成分を放出するため、結果として、これらの有機物成分が原因となって発生するウェハー類の汚染が問題となった。
【0006】
そのため、近年は熱可塑性ポリエステルエラストマーが耐熱性や耐クリープ性の点から多用されつつある。熱可塑性ポリエステルエラストマーはゴムの柔軟性とエンジニアリングプラスチックの耐熱性との両特性を有するため、基板収納容器の構成部品だけでなく、自動車外装部品(ギヤ、ブーツ、ベルト、チューブ等)、工業用品(パッキン、シート等)等の多岐に亘る用途にて使用されている。
【0007】
しかし、熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいても、安定剤を添加しない場合には使用環境の影響によってポリマーの劣化とともに、ポリマー自身から発生するアウトガスとしての有機物成分によるウェハー類の汚染が問題となる。
【0008】
そのため、熱可塑性ポリエステルエラストマーには酸化防止剤、光安定剤、加水分解防止剤等の添加剤が使用される。但し、安定剤の配合は安定剤の種類と配合量が不適切である場合は特性を改善できないばかりか、安定剤に起因したアウトガスとしての有機物成分によるウェハー類の汚染を招く恐れがある。
【0009】
また、熱可塑性ポリエステルエラストマーに対する安定剤組成物の添加および混合方法としては、押出機を使用して、熱可塑性ポリエステルエラストマーと安定剤組成物とを同時に添加および混合することができる(例えば、特許文献2〜4参照。)。
【0010】
しかしながら、この手法では少量の安定剤組成物を熱可塑性ポリエステルエラストマーに対して添加および混合する場合、押出機のホッパー内にて熱可塑性ポリエステルエラストマーと安定剤組成物の分級を生じて、得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中での安定剤の組成ムラを引き起こす恐れがある。
【0011】
さらに、多量の安定剤組成物を熱可塑性ポリエステルエラストマーに対して添加および混合する場合、安定剤組成物の飛散、押出機のホッパー内壁への安定剤組成物が付着して所定量が添加されない事態を生じる可能性がある。また、加熱ロールやバンバリーミキサーを使用する場合でも安定剤組成物投入時の安定剤の飛散等によって、所定量が添加されない事態を生じる可能性がある。
【0012】
【特許文献1】特開平11−163115号公報
【特許文献2】特開2001−026697号公報
【特許文献3】特開2003−003050号公報
【特許文献4】特開2003−221494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、成形品からの揮発分が少なく、揮発成分による内容物の汚染が抑制された熱可塑性ポリエステル組成物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、上記の課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は
(A)芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を主とする芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族および/または脂環族のジヒドロキシ化合物を主とするグリコール成分、ならびに平均分子量が400〜4000のポリアルキレンエーテルグリコールが共重合されてなるポリエステル−ポリエーテル共重合体と、
(B−1)酸化防止剤および(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤からなり、
(A)ポリエステル−ポリエーテル共重合体100質量部、(B−1)と(B−2)の合計が0.1〜10質量部とからなる熱可塑性ポリエステル組成物およびその熱可塑性ポリエステル組成物の製造方法であり、当該発明により上記課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱可塑性ポリエステル組成物は揮発成分が少なく、半導体ウェハーやマスクガラス等の基板を輸送、保管する際に使用する基板収納容器の部材に使用するのに好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明における(A)熱可塑性ポリエステル組成物を構成するポリエステル−ポリエーテル共重合体とは、芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を主とする芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族および/または脂環族のジヒドロキシ化合物を主とするグリコール成分とから構成されたポリエステル、および、主として分子量が400〜4000のポリアルキレンエーテルグリコールが結合されてなるポリエステル−ポリエーテル共重合体である。当該ポリエステル−ポリエーテル共重合体は、芳香族ジカルボン酸成分、グリコール成分、ポリアルキレンエーテルグリコールの共重合率がそれぞれ適正は範囲内にある際には、熱可塑性ポリエステルエラストマーとなり得る。以下本発明におけるポリエステル−ポリエーテル共重合体を「熱可塑性ポリエステルエラストマー」と称することがある。
【0017】
本発明における(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーのポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸等より選ばれる一種もしくは二種以上の組み合わせを用いることが好ましく、より好ましくは2,6−ナフタレンジカルボン酸を選ぶことである。芳香族ジカルボン酸の共重合率は全酸成分の70モル%以上100モル%以下、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上である。「主とする」とはこれらの共重合率の範囲内であることを表している。
【0018】
その他の酸成分(非芳香族ジカルボン酸成分)としてはアジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、これらの一種もしくは二種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。これらの酸成分の共重合率は全酸成分に対して0モル%以上30モル%未満、好ましくは20モル%未満、より好ましくは10モル%未満である。
【0019】
本発明における(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーのポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸等の低級アルキルエステルより選ばれる一種もしくは二種以上の組み合わせを用いることが好ましく、より好ましくは2,6−ナフタレンジカルボン酸の低級ジアルキルエステルを選択することであり、更に好ましくは2,6−ナフタレンジカルボン酸のジメチルエステルを選択することである。芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体は全酸成分のエステル形成性誘導体の70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。
【0020】
その他の酸成分のエステル形成性誘導体としては、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステルより選ばれる一種もしくは二種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。低級ジアルキルエステルとは具体的にはジメチルエステル、ジエチルエステルを表す。これらの酸のエステル形成性誘導体成分は、全酸成分のエステル形成性誘導体の30モル%未満、好ましくは20モル%未満である。
【0021】
本発明における(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーのポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステルとしてはジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル等の一種もしくは二種以上の組み合わせを用いることが好ましく、より好ましくはジメチルエステルである。これらの芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル形成性誘導体成分は、全酸の低級ジアルキルエステル成分に対して70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。
【0022】
また、少量のトリメリット酸のような三官能性以上のカルボン酸成分を用いてもよく、無水トリメリット酸のような酸無水物を少量用いてもよい。また、乳酸、グリコール酸のようなヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル等を少量用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。
【0023】
本発明における(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーのポリエステルを構成するグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ(オキシ)エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリメチレングリコール等のアルキレングリコールの一種もしくは二種以上の組み合わせを用いることが好ましく、より好ましくは1,4−ブタンジオールである。すなわち、芳香族ポリエステルを構成するポリエステルとしてより好ましいポリブチレンなフタレートである。
【0024】
さらに少量のグリセリンのような3価以上の多価アルコール成分を用いてもよい。また少量のエポキシ化合物を用いてもよい。これらのグリコール成分は、全グリコール成分に対して0モル%以上30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
【0025】
かかるグリコール成分の熱可塑性ポリエステルエラストマー製造工程における使用量は、前記芳香族ジカルボン酸もしくは芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体に対して1.1モル倍以上1.4モル倍以下であることが、製造工程の円滑な操業には好ましい。グリコール成分の使用量が1.1モル倍に満たない場合にはエステル化あるいはエステル交換反応が十分に進行せず好ましくない。また、1.4モル倍以上を超える場合にも、理由は定かではないが反応速度が遅くなり、過剰のグリコール成分として1,4−ブタンジオールが存在していた場合には、その化合物由来の副生成物の1種であるテトラヒドロフランの副生量が大となり好ましくない。
【0026】
本発明における(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーに用いられる分子量が400〜4000のポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えばポリ(エチレンオキサイド)グリコール、ポリ(プロピレンオキサイド)グリコール、ポリ(トリメチレンオキサイド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコール等のポリアルキレンエーテルグリコールおよびこれらの混合物、更にこれらのポリアルキレンエーテルグリコール成分を共重合した共重合ポリエーテルグリコール等が挙げられる。製造コストや成形性の点から、ポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコールが好ましく、重合反応性を考慮すると平均分子量が1000〜3000であることが好ましい。また、ポリアルキレンエーテルグリコールの含有量は熱可塑性ポリエステルエラストマー全重量の5重量%〜75重量%であることが好ましく、特にガスケット部材やウェハー押え部材用途としての使用環境を考慮すると10重量%〜70重量%であることが好ましい。
【0027】
本発明における(B)安定剤組成物は(B−1)酸化防止剤および(B−2)分子量2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤よりなることが必要であり、(B−1)と(B−2)との質量比[(B−2)/(B−1)]が1.0〜5.0であることが好ましい。(B−2)/(B−1)が1.0未満の場合、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の耐久性、特に耐乾熱劣化性が低下するので好ましくない。また、(B−2)/(B−1)が5.0より高くなった場合、成形時の析出、成形金型の汚染、成形品の外観低下を生じる恐れがあり好ましくない。
【0028】
(B−1)酸化防止剤および(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤の具体的な添加量は、熱可塑性ポリエステルエラストマー100質量部に対して(B−1)酸化防止剤および(B−2)光安定剤の合計が0.1〜10質量部配合されていることが必要である。好ましくは(B−1)と(B−2)の合計が0.5〜5質量部配合されていることであり、より好ましくは(B−1)酸化防止剤が0.1〜5.0質量部、(B−2)分子量2000以上の光安定剤が0.1〜5.0質量部であることであり、最も好ましくは(B−1)酸化防止剤が0.25〜2.5質量部、(B−2)分子量2000以上の光安定剤が0.25〜2.5質量部であることである。
【0029】
本発明における(B)安定剤組成物に用いられる(B−1)酸化防止剤および(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤は、具体的には(B−1)酸化防止剤がヒンダードフェノール系酸化防止剤であり、(B−2)分子量が2000以上、かつ、蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤であることが好ましい。詳細にはヒンダードフェノール系酸化防止剤とはヒンダードフェノール基を有する酸化防止剤であり、ヒンダードアミン系光安定剤とはヒンダードアミン基を有する光安定剤である。ここでヒンダードフェノール基とは、2,6−ジメチルフェノール基、2−メチル−6−ブチルフェノール基、2,6−ジブチルフェノール基、2−メチル−6−tert−ブチルフェノール基および2,6−ジ−tert−ブチルフェノール基からなる群より少なくとも1つ選ばれる官能基を表す。あるいはこれらのメチル基、ブチル基(tert−ブチル基)の少なくとも1つがエチル基、プロピル基で置換されている官能基も含むものとする。更にヒンダードアミン基とは、2,6−ジメチルアニリン基、2−メチル−6−ブチルアニリン基、2,6−ジブチルアニリン基、2−メチル−6−tert−ブチルアニリン基および2,6−ジ−tert−ブチルアニリン基からなる群より少なくとも1つ選ばれる官能基を表す。あるいはこれらのメチル基、ブチル基(tert−ブチル基)の少なくとも1つがエチル基、プロピル基で置換されている官能基も含むものとする。ヒンダードアミン系光安定剤の分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の要件を満たさないと、安定剤に起因したアウトガスとしての有機物成分によるウェハー類の汚染、成形品外観の低下、耐久性の低下等を招く恐れがあるので好ましくない。
【0030】
(B−1)酸化防止剤の例としては、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオジエチレン−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)〕、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)〕、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート〕、ヘキサメチレン−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,6−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0031】
(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤の例としては、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(蒸気圧=2.5×10−6Pa)、N,N′,N″,N′″−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル)−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンとコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物との混合物、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン)とN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(蒸気圧=7.0×10−10Pa)、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5,−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ〕〕(蒸気圧=6.0×10−10Pa)等が挙げられる。
【0032】
(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーに対する(B)安定剤組成物の添加および混合方法としては、加熱ロール、押出機、バンバリーミキサー等の混練機を使用して、これらの混合機に(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーと(B)安定剤組成物とを同時に添加および混合することができる。また、エステル交換反応前もしくは重縮合反応前のオリゴマー、または重縮合反応中の溶融ポリマー(ポリエステル−ポリエーテル共重合体)に対して添加および混合することもできる。(B−1)酸化防止剤と(B−2)光安定剤からなる(B)安定剤組成物は、共に溶融した状態で(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーに添加及び混合することが、早期に良好な分散状態に達し均一な物性を有する熱可塑性ポリエステル組成物を得られる点で好ましい。
【0033】
多量の(B)安定剤組成物を(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーに添加および混合する際、押出機を用いた場合には押出機のホッパー内壁に(B)安定剤組成物が付着して所定量が添加されない事態を生じる可能性がある。また、加熱ロールやバンバリーミキサーを使用する場合でも(B)安定剤組成物投入時の安定剤の飛散等によって、所定量が添加されない事態を生じる可能性がある。
【0034】
エステル交換反応前もしくは重縮合反応前のオリゴマー、または重縮合反応中の溶融ポリマーに(B)安定剤組成物を添加および混合することが好ましい。より好ましくは重縮合反応前のオリゴマーに対して添加および混合することであるが、最も好ましいのは重縮合反応中、とりわけ(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーの固有粘度が1.0〜3.0dL/gの範囲に到達した時点で添加および混合することである。より好ましくは固有粘度が1.5〜2.8dL/gの範囲に到達した時点で添加等することである。
【0035】
(B)安定剤組成物をエステル交換反応前もしくは重縮合反応前のオリゴマーに対して添加および混合する場合、重縮合反応終了までの間、長時間に亘って安定剤組成物がオリゴマーの融点以上、あるいは(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点以上の高温に晒されるので、(B)安定剤組成物が揮散しやすくなり、結果として所定量の安定剤組成物が添加されていない事態を招く恐れがある。
【0036】
従って、(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーの固有粘度が1.0〜3.0dL/gの範囲に到達した時点で(B)安定剤組成物を添加および混合すれば、(B)安定剤組成物が高温に晒される時間も短く、(B)安定剤組成物の揮散も抑制される。更に、(B)安定剤組成物を予め溶融してから添加および混合すれば、未溶融状態にて(B)安定剤組成物を添加および混合するよりも短時間で(B)安定剤組成物を(A)熱可塑性ポリエステルエラストマー中に混合および分散させることができる。
【0037】
(B)安定剤組成物の添加および混合は、(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーの固有粘度が1.0〜3.0dL/gの範囲に到達した時点で行うことが好ましい。固有粘度が1.0dL/g未満では得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの機械的強度が劣るので好ましくない。また、固有粘度が3.0dL/gを超えると成形加工性が大幅に低下するので好ましくない。
【0038】
本発明における(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて重合触媒成分として用いられるチタン化合物としては、テトラアルキルチタネートが好ましく、具体的にはテトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネートなどが挙げられ、これらの混合チタネートとして用いても良い。これらのチタン化合物のうち、特にテトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートが好ましく、最も好ましいのはテトラ−n−ブチルチタネートである。
【0039】
これらの重合触媒成分として用いられるチタン化合物の添加量は生成した熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子含有量として、200ppm以下であることが好ましく、より好ましくは150ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子量が200ppmを超える場合は、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の色調および熱安定性が低下するために好ましくない。
【0040】
また、本発明における(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーには、例えば、オクタアルキルトリチタネートもしくはヘキサアルキルジチタネートなどのテトラアルキルチタネート以外のアルキルチタネート、酢酸チタンやシュウ酸チタンなどのチタンの弱酸塩、酸化チタンなどのチタン酸化物、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキサイドなどの有機スズ化合物、塩化カリウム、カリウムミョウバン、ギ酸カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸水素二カリウム、クエン酸二水素カリウム、グルコン酸カリウム、コハク酸カリウム、酪酸カリウム、シュウ酸二カリウム、シュウ酸水素カリウム、ステアリン酸カリウム、フタル酸カリウム、フタル酸水素カリウム、メタリン酸カリウム、リンゴ酸カリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、亜硝酸カリウム、安息香酸カリウム、酒石酸水素カリウム、重蓚酸カリウム、重フタル酸カリウム、重酒石酸カリウム、重硫酸カリウム、硝酸カリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸水素カリウム、乳酸カリウム、硫酸カリウム硫酸水素カリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、シュウ三二ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸水素ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酒石酸水素ナトリウム、重シュウ酸ナトリウム、重フタル酸ナトリウム、重酒石酸ナトリウム、、重硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、乳酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化リチウム、ギ酸リチウム、クエン酸三リチウム、クエン酸水素二リチウム、クエン酸二水素リチウム、グルコン酸リチウム、コハク酸リチウム、酪酸リチウム、シュウ酸二リチウム、シュウ酸水素リチウム、ステアリン酸リチウム、フタル酸リチウム、フタル酸水素リチウム、メタリン酸リチウム、リンゴ酸リチウム、リン酸三リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸二水素リチウム、亜硝酸リチウム、安息香酸リチウム、酒石酸水素リチウム、重シュウ酸リチウム、重フタル酸リチウム、重酒石酸リチウム、重硫酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、乳酸リチウム、硫酸リチウム、硫酸水素リチウムなどのアルカリ金属塩、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酪酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酪酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩の1種もしくは2種以上をチタン化合物と組み合わせても良い。
【0041】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を構成する(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーは、芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を主とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主とするグリコール成分、ポリアルキレンエーテルグリコールを一括して仕込んだのちに、チタン化合物の存在下にてエステル化あるいはエステル交換反応工程と、それに続く重縮合反応工程とを経由して製造される。
【0042】
エステル化あるいはエステル交換反応終了の際に180℃以上220℃以下の範囲にある事が好ましい。当該反応が220℃を超える場合には反応速度は大きくなるが、テトラヒドロフランの副生が多くなり好ましくない。また、180℃未満では反応が進行しなくなる。エステル化あるいはエステル交換反応により得られた反応生成物は、当該反応生成物を熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点以上260℃以下の温度において0.4kPa(3Torr)以下の減圧下で重縮合させることが好ましい。重縮合反応温度が260℃を超える場合にはむしろ反応速度が低下して、着色も大となるので好ましくない。
【0043】
重縮合反応において、重合触媒として通常用いられている触媒を前記チタン化合物と併用することも可能であるが、前記チタン化合物をエステル化あるいはエステル交換反応および重縮合反応の共通触媒として用いることが好ましい。他の触媒を併用すると熱可塑性ポリエステルエラストマーの着色が大となり、ひいては熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の色調も低下するので好ましくない。また、重縮合反応速度も前記チタン化合物を単独にて使用した場合と比較して大差が無く、併用効果が得られない。
【0044】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を構成する(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーの末端カルボキシル基濃度は40eq(当量)/10kg以下であり、好ましくは35eq/10kgである。末端カルボキシル基濃度が40eq/10kgを超える場合には熱安定性や加水分解性が低下し、ひいては熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の熱安定性や加水分解性も低下するので好ましくない。
【0045】
本発明により得られる熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の色調はL値は70.0以上が好ましく、L値が70.0未満では色調が暗く好ましくない。また、b値は15.0以下が好ましい。特にb値が15.0を超える場合には熱可塑性ポリエステルエラストマーの色調が黄色味を帯びてしまうので好ましくない。上記のような製造条件にて熱可塑性エラストマーを製造することにより当該末端カルボキシル基濃度、色調を当該範囲内にすることができる。具体的にはエステル化あるいはエステル交換反応終了の際に180℃以上220℃以下の範囲にあること、エステル化反応若しくはエステル交換反応により得られた反応生成物は、当該反応生成物を熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点以上260℃以下の温度において0.4kPa(3Torr)以下の減圧下で重縮合させること、の少なくともいずれか一方または双方の条件を実施することである。
【0046】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物には、必要に応じてヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤以外の安定剤を添加することもできる。安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜流酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛系安定剤;カリウム、マグネシウム、バル有無、亜鉛、カドミウム鉛等の金属と2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘニン酸等の脂肪酸とから誘導される金属石鹸系安定剤;アルキル基、エステル基と脂肪酸塩、マレイン酸塩、含硫化物から誘導される有機錫系安定剤;Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系等の複合金属石鹸系安定剤;バリウム、亜鉛等の金属と、2−エチルヘキサン酸イソデカン酸、トリアルキル酢酸等の分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ナフテン酸等の脂肪環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体等の芳香族酸といった通常2種以上有機酸とから誘導される金属塩系安定剤;これらの安定剤を、石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体等の有機溶媒に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等の金属系安定剤;エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等のエポキシ化合物、リンがアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基等で置換され、かつプロピレングリコールなどの2価アルコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等の芳香族化合物を有する有機亜リン酸エステル、サリチル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、ニッケル錯塩の光安定剤、カーボンブラック、ルチル型酸化チタン等の紫外線遮蔽剤、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコール、β−アミノクロトン酸エステル2−フェニルインドール、ジフェニルチオ尿素、ジシアンジアミドなどの含窒素化合物、ジアルキルチオプロピオン酸エステル等の含硫黄化合物、アセト酢酸エステル、デヒドロ酢酸、β−ジケトン等のケト化合物、有機珪素化合物、ほう酸エステルなどといった非金属系安定剤が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物には、本発明の特性を損なわない限りにおいてゴム含有グラフト共重合体や共重合体ゴムも併用することもできる。ゴム含有グラフト共重合体や共重合体ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン系共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系共重合体、ブタジエンゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体、ブタジエンゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、アクリルゴム含有メタクリル酸メチルグラフト共重合体、アクリルゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、アクリルゴム含有アクリロニトリル−スチレン系共重合体、シリコーン含有アクリル系ゴム含有メタクリル酸メチルグラフト共重合体、シリコーン含有アクリル系ゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン含有アクリル系ゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン系ゴム含有メタクリル酸メチルグラフト共重合体、シリコーン系ゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)のジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、プロペニルノルボルネン等が使用される。これらのゴム含有グラフト共重合体や共重合体ゴムは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物には、必要に応じて滑剤を添加することもできる。滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン等の純炭化水素系;ハロゲン化炭化水素系;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)、等のエステル系;金属石鹸、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル系の滑剤を挙げることができる。
【0049】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物には、必要に応じて加工助剤を添加することもできる。加工助剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−マレイミド共重合体等が挙げられる。
【0050】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物には、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジノルマルオクチルフタレート、2−エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデジルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、オクチルベンジルフタレート、ノルマルヘキシルノルマルデシルフタレート、ノルマルオクチルノルマルデシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;トリクレジルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、2−エチルへキシルジフェニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルへキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ノルマルオクチル−ノルマルデシルアジペート、ノルマルヘプチル−ノルマルノニルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソノルマルオクチルアジペート、ジノルマルオクチルアジペート、ジデシルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤;ジブチルセバケート、ジ−2−エチルへキシルセバケート、ジイソオクチルセバケート、ブチルベンジルセバケート等のセバチン酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルへキシルアゼレート、ジヘキシルアゼレート、ジイソオクチルアゼレートなどのアゼライン酸エステル系可塑剤;クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル等のクエン酸エステル系可塑剤;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のグリコール酸系可塑剤;トリブチルトリメリテート、トリ−ノルマルヘキシルトリメリテート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリ−ノルマルオクチルトリメリテート、トリ−イソオクチルトリメリテート、トリ−イソデシルトリメリテート等のトリメリット酸系エステル可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルイソフタレート、ジ−2−エチルヘキシルテレフタレート等のフタル酸異性体エステル系可塑剤;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート等のリシリノール酸系エステル可塑剤;ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケートおよびこれらの変型ポリエステル等のポリエステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレート、エポキシ(2−エチルヘキシル)ステアレート、エポキシ化あまに油、2−エチルヘキシルエポキシトーレート等のエポキシ系可塑剤などが挙げられる。これらは必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物には、本発明の特性を損なわない限りにおいて、充填剤を添加することができる。充填剤としては、金属、酸化物、水酸化物、珪酸または珪酸塩、炭酸塩、炭化珪素、合成繊維、動物性繊維、植物性繊維などが挙げられ、これらの具体的な代表例としては、アルミニウム粉、銅粉、鉄粉、アルミナ、天然木材、紙、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、クレー、ゼオライト、タルク、ウォラストナイト、アセテート粉、絹粉、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズなどが挙げられる。
【0052】
さらに充填剤として再生充填剤材料も必要に応じて添加できる。再生充填剤材料としては、籾殻、フスマ、米糠、とうもろこし屑、芋ガラ、脱脂大豆、胡桃殻、ココナッツヤシ殻、スソコ、バガスなどの農産廃棄物、焼酎などの蒸留酒の蒸留粕、ビール麦芽粕、ワインブドウ粕、酒粕、醤油粕、茶滓、コーヒー滓、柑橘絞り滓などの飲料工場からの各種滓、オカラ、クロレラなどの食品加工廃棄物、牡蠣殻などの貝殻、海老や蟹の甲羅などの水産廃棄物、おが屑、廃ほだ木、樹皮、伐採竹、製剤所での木材切削や、木造家屋の解体などで発生する廃木材などの木質系廃棄物、古紙や製紙業から発生する廃パルプ、紙片などの廃棄物が挙げられる。
【0053】
また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物への分散性を改良するため、予め無水マレイン酸などの多塩基酸無水物、ジクミルペルオキシドなどの有機過酸化物、酸変性された変性ポリオレフィン、ポリエステルなどのワックス、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩、酸化チタンや酸化カルシウムなどの金属酸化物などの微粒子などで表面処理された充填剤も添加できる。
【0054】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物には、本発明の特性を損なわない限りにおいて、その目的に応じて顔料、防曇剤、抗菌剤、帯電防止剤、導電性付与剤、界面活性剤、結晶核剤、耐熱性向上剤等の各種添加剤も添加することができる。
【0055】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を用いて得られる有用な成形品としては、例えば、射出成形による中空成形体、射出成形体等が挙げられる。その具体例としては、電気・電子部品、自動車用部品、機構部品等が挙げられる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本発明をさらい詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各記載中、「部」は質量部、「%」は質量%を示す。また、諸物性の測定は以下の方法により実施した。
【0057】
(1)固有粘度(IV)測定
常法に従って、溶媒であるオルトクロロフェノール中、35℃で測定した。
【0058】
(2)チタン原子含有量測定
熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子量は理学電機社製蛍光X線測定機ZSX100e型を用いて定量した。
【0059】
(3)末端カルボキシル基濃度測定
熱可塑性ポリエステルエラストマーをベンジルアルコールに溶解して、0.1N(規定濃度)−NaOHにて滴定した値であり、1×10g当たりの末端カルボキシル基の当量である。
【0060】
(4)チップ色相(L値、b値)測定
熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物チップの色調はミノルタ社製色彩色差計CR−100を用いて測定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示す。b値は色度を示す。b値はその数値が大きいほど黄色味の度合いが大きいことを示す。
【0061】
(5)アウトガス量測定
ガスクロマトグラフィーは、Agilent Technologies社製6850を使用した。カラムはTC−1701を使用して、カラム温度は50℃にて5分間保持したのち、10℃/分にて250℃まで昇温したのち、250℃にて10分間保持した。キャリアガスにはヘリウムを使用した。
また、アウトガスの採取はPerkinn Elmer社製ヘッドスペースサンプラーを使用して、150℃、30分間の加熱条件にて実施した。
熱可塑性ポリエステルエラストマーから発生したアウトガス量は、ガスクロマトグラフィーによって検出された全てのピークの面積の合計とした。装置によって算出される面積の合計比率にて表示する。
【0062】
[実施例1]
熱可塑性ポリエステルエラストマーの生成量が100質量部となるように、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル27.1部、1,4−ブタンジオール14.0部、分子量2000のポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコール70.0部にテトラ−n−ブチルチタネート0.045部をエステル交換反応槽に入れ、反応槽が190℃となるように昇温しながら210分間エステル交換反応を行った。ついで得られた反応生成物を重縮合反応槽に移して重縮合反応を開始した。
重縮合反応は常圧から0.13kPa(1Torr)以下まで40分かけて徐々に減圧し、同時に所定の反応温度250℃まで昇温し、以降は所定の重合温度、0.13kPa(1Torr)の状態を維持して100分間重縮合反応を行った。100分が経過した時点で(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーを少量採取して固有粘度を測定した。固有粘度は1.85dL/gであった。
【0063】
(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーの固有粘度を確認したのち、150℃にて予め溶融してあった(B−1)ヒンダードフェノール系抗酸化剤0.4質量部と、予め溶融してあった(B−2−1)ヒンダードアミン系光安定剤1.0質量部よりなる(B)安定剤組成物を添加してから20分間攪拌を実施した。20分間経過したのち、重縮合反応を終了して(A)熱可塑性ポリエステルエラストマーをストランド状に抜き出し、水冷しながらチップ状に切断して熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の固有粘度、アウトガス量、末端カルボキシル基濃度、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子含有量、チップ色相の測定を行って、その結果を表1に示した。
【0064】
[実施例2]
ヒンダードアミン系光安定剤を(B−2−2)1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の固有粘度、アウトガス量、末端カルボキシル基濃度、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子含有量、チップ色相の測定を行って、その結果を表1に示した。
【0065】
[実施例3]
ヒンダードアミン系光安定剤を(B−2−1)0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の固有粘度、アウトガス量、末端カルボキシル基濃度、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子含有量、チップ色相の測定を行って、その結果を表1に示した。
【0066】
[実施例4]
ヒンダードアミン系光安定剤を(B−2−2)0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の固有粘度、アウトガス量、末端カルボキシル基濃度、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子含有量、チップ色相の測定を行って、その結果を表1に示した。
の測定を行って、その結果を表1に示した。
【0067】
[比較例1]
(B−1)ヒンダードフェノール系抗酸化剤、(B−2)ヒンダードアミン系光安定剤よりなる(B)安定剤組成物を添加・混合しない以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の固有粘度、アウトガス量、末端カルボキシル基濃度、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子含有量、チップ色相の測定を行って、その結果を表2に示した。
【0068】
[比較例2]
ヒンダードアミン系光安定剤を(B−2−3)1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の固有粘度、アウトガス量、末端カルボキシル基濃度、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子含有量、チップ色相の測定を行って、その結果を表2に示した。
【0069】
[比較例3]
ヒンダードアミン系光安定剤を(B−2−3)0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の固有粘度、アウトガス量、末端カルボキシル基濃度、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子含有量、チップ色相の測定を行って、その結果を表2に示した。
【0070】
[比較例4]
(B−1)ヒンダードフェノール系抗酸化剤0.4質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の固有粘度、アウトガス量、末端カルボキシル基濃度、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のチタン原子含有量、チップ色相の測定を行って、その結果を表2に示した。
【0071】
尚、(B)安定剤組成物に使用した各成分の詳細は以下の通りである。
・(B−1)ヒンダードフェノール系抗酸化剤:住友化学社製 商品名:スミライザーGA−80
・(B−2)ヒンダードアミン系光安定剤
(B−2−1)チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 商品名:キマソーブ119
分子量:2300 蒸気圧:2.5×10−6Pa
(B−2−2)チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 商品名:キマソーブ2020
分子量:3400 蒸気圧:7.0×10−10Pa
(B−2−3)(株)アデカ社製 商品名:アデカスタブLA−52
分子量:790 蒸気圧:8.4×10−4Pa
【0072】
【表1】

【0073】
表1から、熱可塑性ポリエステルエラストマーに対して(B−1)酸化防止剤および(B−2)分子量が2000以上、蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤よりなる(B)安定剤組成物を添加、混合することにより、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物より発生するアウトガス量が大きく抑制されることが認められる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は揮発成分が少なく、半導体ウェハーやマスクガラス等の基板を輸送、保管する際に使用する基板収納容器の部材に使用するのに好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を主とする芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族および/または脂環族のジヒドロキシ化合物を主とするグリコール成分、ならびに平均分子量が400〜4000のポリアルキレンエーテルグリコールが共重合されてなるポリエステル−ポリエーテル共重合体と、
(B−1)酸化防止剤および(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤からなり、
(A)ポリエステル−ポリエーテル共重合体100質量部、(B−1)と(B−2)の合計が0.1〜10質量部とからなる熱可塑性ポリエステル組成物。
【請求項2】
(B−1)酸化防止剤および(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤の質量比[(B−2)/(B−1)]が1.0〜5.0である請求項1記載の熱可塑性ポリエステル組成物。
【請求項3】
(B−1)酸化防止剤がヒンダードフェノール基を有する酸化防止剤であり、(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤がヒンダードアミン基を有する光安定剤である請求項1または2記載の熱可塑性ポリエステル組成物。
【請求項4】
熱可塑性ポリエステル組成物中のチタン原子含有量が200ppm以下であり、且つ熱可塑性ポリエステル組成物の末端カルボキシル基濃度が40eq/10kg以下であり、熱可塑性ポリエステル組成物の色調はL値で70.0以上b値が15.0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の熱可塑性ポリエステル組成物。
【請求項5】
ポリエステル−ポリエーテル共重合体がポリブチレンナフタレートとポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコールの共重合体である請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性ポリエステル組成物。
【請求項6】
(A)芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を主とする芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族および/または脂環族のジヒドロキシ化合物を主とするグリコール成分、ならびに平均分子量が400〜4000のポリアルキレンエーテルグリコールが共重合されてなるポリエステル−ポリエーテル共重合体100質量部に対して、
予め溶融した(B−1)酸化防止剤および予め溶融した(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤の(B−1)と(B−2)の合計0.1〜10質量部を、(A)ポリエステル−ポリエーテル共重合体の固有粘度が1.0〜3.0dL/gの範囲に到達した時点で添加して得られる熱可塑性ポリエステル組成物の製造方法。
【請求項7】
(B−1)酸化防止剤および(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤の質量比[(B−2)/(B−1)]が1.0〜5.0である請求項6記載の熱可塑性ポリエステル組成物の製造方法。
【請求項8】
(B−1)酸化防止剤がヒンダードフェノール基を有する酸化防止剤であり、(B−2)分子量が2000以上且つ蒸気圧が1×10−5Pa以下の光安定剤がヒンダードアミン基を有する光安定剤である請求項6または7記載の熱可塑性ポリエステル組成物の製造方法。
【請求項9】
ポリエステル−ポリエーテル共重合体がポリブチレンナフタレートとポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコールの共重合体である請求項6〜8のいずれか1項記載の熱可塑性ポリエステル組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項記載の熱可塑性ポリエステル組成物を成形して得られるポリエステル組成物成形品。

【公開番号】特開2010−13554(P2010−13554A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174477(P2008−174477)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】