説明

熱可塑性ポリシロキサン−ウレアコポリマーを有するラミネート

本発明は、次のもの:
(A)無機ガラス及び/又は有機ガラスを有する少なくとも1つの層、
(B)熱可塑性シロキサンコポリマーを有する少なくとも1つの層
(C)少なくとも1つの感光層を有する少なくとも1つのユニット、及び場合により
(D)有機ポリマー、有機ケイ素ポリマー、金属材料、鉱物材料及び木材を有するグループから選択される少なくとも1つの更なる層を有するラミネートに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、熱可塑性ポリシロキサン−ウレアコポリマーの少なくとも1つの層と、1つ以上の太陽電池ユニットの少なくとも1つの更なる層を有するラミネート、それらの製法ならびに使用である。
【0002】
ラミネート(ラテン語lamina:層)とは一般には多層の材料を意味し、これは積層、すなわち加圧と同時に接着により、同種又は異種の材料の少なくとも二組の層が生じる。ガラスラミネートは長年公知であり、かついわゆる積層安全ガラスとして、自動車製造、乗り物製造及び航空機製造ならびに製造工業において更なる利用分野がある。積層ガラスは、サンドウィッチのように組み立てられ、かつ少なくとも1つのガラスプレートと、その上に存在するポリマー層から成る。最も頻繁には、ポリマー中間層として軟化したポリビニルブチラール(PVB)をフィルムの形で使用できる。更に、中間層はポリウレタン又はポリアクリレートから成るか、又は複数の種々の材料の組合せから成ることもできる。
【0003】
太陽光発電ソーラーモジュールは、積層ガラスに似た、層のような構造を有するラミネートに加え、適切な方法で接触路を介して1つ以上の光電池(以後、"太陽電池ユニット"と称する)に相互接続する少なくとも1つの感光性半導体層を有する。このような構造のラミネートは、一般的に"太陽光発電モジュール"、"太陽電池モジュール"、"ソーラーモジュール"、"ソーラーパネル"又はこのような用語でも公知である。これに関しては、例えばUllmanns’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版、1992、A24巻、393〜395頁を参照されたい。
【0004】
太陽光発電ソーラーモジュールは、通常、外部の影響を保護するために、透明な保護被覆を備えた1つ以上の相互に接続した太陽電池ユニットから成っている。この場合に、しばしば太陽電池ユニットは、ガラス板と、多少は硬質の裏側のカバープレート(同様にガラス又は有機ポリマー/コポリマー、例えば、フッ化ポリビニル(PVF)又はポリエチレンテレフタレート(PET)をベースとするようなものから成っていることができる)の間に、透明の接着層を用いて積層される(堅いソーラーモジュール)。更に、一定の範囲で曲げることができる屈曲性のソーラーモジュールも公知である。この場合に、表側の保護被覆層は、例えば透明な有機(コ)ポリマーから成っているのに対して、裏側のカバープレートは、薄い金属プレート又は樹脂プレートから成るか、もしくは樹脂及び/又は金属をベースとする適切な複合材料から成っている。
【0005】
積層に必要な透明な接着層には多くの課題があり、それに応じて使用材料への要求が高くなる。従って、接着層は太陽電池ユニットを完全に覆い、かつ例えば、湿度及び酸素の侵入のような外部の影響から十分に遮断することで、接着層は一方では外部の敏感な太陽電池ユニットにとって保護性の挿入材料として機能する。しかし同時に、接着層は感光性材料の光学特性を阻害してはならない。更に、使用される挿入材料は十年を越えても高度に透明で、かつUV安定性でなくてはならない。ならびにサンドウィッチのような材料複合体の持続的な結合は、太陽光発電ソーラーモジュールの全体の寿命にわたり保証されなくてはならない。更なる要求は、簡単な加工性、関連する基板上での良好な接着ならびに積層工程後の高い透明性と気泡の無さである。
【0006】
透明な接着材料又は挿入材料として、しばしば有機注型樹脂、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、エポキシド及びアクリレートをベースとするもの、ならびに架橋可能なシリコンベース系、例えば、シリコンゲルが使用される。これらの接着系は、未硬化の状態で、最小の空洞が完全に充填され、かつ太陽電池ユニットが気泡無しに包囲されるほど低い粘度に調節できる。既に接着系に含まれるか、もしくは更に添加すべき硬化剤又は架橋剤は、加硫を誘導し、かつ機械的抵抗力のある接着層が得られる。
【0007】
記載した挿入材料の欠点は、相応するソーラーモジュールの費用のかかる製造である。それというのも、積層工程はマルチ成分系と接触し、かつ太陽電池ユニットの挿入もしくは流し込みの際に多くの細心の注意を必要とするからである;これは特に大きな面積のエレメントの場合に当てはまる。更に有機注型樹脂系の場合には、硬化は制御しにくいプロセスである。更に、幾つかの注型樹脂は、数年後には気泡形成、濁り又は層間剥離を生じる傾向がある。
【0008】
硬化すべき系の1つの代替は、積層安全ガラスの製造に類似して、有機ポリマー又はコポリマーをベースとする、特にポリビニルブチラール(PVB)又はエチレン−酢酸ビニル(EVA)をベースとする熱可塑性フィルムの使用である。このために、太陽電池ユニットをポリマーフィルムの間に挿入し、次に高圧及び高温下に所望のカバー材料で結合してラミネートにする。しかし、熱可塑性EVAフィルム又はPVBフィルムの使用は、太陽光発電ソーラーモジュールの品質にも製造コストにもマイナスの結果をもたらす幾つかの欠点と関連している。
【0009】
ソーラーモジュール構造内で幅広く分布したEVAは有機過酸化物を含有し、積層工程の間にオリジナルの熱可塑性材料が後から架橋され、ひいては挿入材料のクリープ強度が著しく改善される。しかし、この過酸化物は、しばしば積層の間に完全に消費されないので、場合によって生じる過剰の過酸化物は、後の酸化又は分解、特にEVAの黄変を助長し得る。従って、例えば過酸化物で後から架橋したEVAは、おそらく野外でソーラーモジュールを運転する際に生じるような長年の広範囲に及ぶ太陽光の影響下に黄変することが公知である。しかし、これはモジュールの太陽エネルギー収率の軽度の減少につながる。更に、積層工程は、平行して進行する過酸化物に誘導される後架橋ゆえに真空で行わなくてはならない。この原因は、空気中の酸素がラジカルにより進行する架橋反応にマイナスに影響し、架橋度、かつそれゆえ後架橋したEVAのクリープ強度が減少するという事実に基づく。他方で有機過酸化物は、その分裂生成物や分解生成物と同じように、比較的に反応性の化合物であり、これはしばしばEVA−積層装置内に含まれる膜を予定より早く消耗させてしまう。更に、EVAは製造条件下に少量の酢酸を遊離し、これは後に太陽電池ユニット内で金属接触腐食を促進し得る。更に、溶融、EVAの比較的に遅い架橋ならびに材料複合体の積層は、約150℃及び真空下に、1モジュール当たり約15〜30分間のサイクル時間を生じる。
【0010】
ソーラーモジュール構造の開発の初めに、広く分布したPVBは同様に重要な欠点を有する:PVBは周知のように著しく吸湿性であり、かつ湿気を吸収する傾向が強い。従って、規定の気候条件下に積層工程まで貯蔵しなくてはならない。更に、積層ガラス分野からのマイナスの経験に基づいて、PVBが積層状態でもゆっくり湿気を吸収し、かつこの場合に多少は強く濁ることが分かっている。他方で、濁りはラミネート層の光の透過性を減少させるので、このような場合に、モジュールの太陽エネルギー収率は著しく減少する。ソーラーモジュールの完全な寿命のために、積層媒体に対する大気中の湿気の影響を出来るだけ少なく維持するために、特殊な充填系、又は他の充填材料での付加的な周囲のパッキングが必要である。これは相応するソーラーモジュールの構造を費用のかかる高価なものにしてしまう。
【0011】
PVBの代替として、PVBと同様に簡単に加工でき、しかし同時にPVBによる上記問題を有することが知られていない熱可塑性ポリウレタン系(TPU)が示されている。これについては、DE20220444U1を参照されたい。使用される熱可塑性ポリウレタンは、脂肪族ジイソシアネートと有機ポリオールの反応生成物であり、その際、場合により有機ポリオールをベースとする更なる鎖長延長剤を添加することができる。しかし、記載された接着系の欠点は純粋な有機合成成分の使用であり、これは長期UV安定性を減少させ、ひいては更にUV安定剤を添加する必要がある。またEVAの場合と同様にその他の点では、高周波可視領域ならびにUV-A領域とUV-B領域でラミネートの低い透明度を生じ、これは特にシリコンベースの太陽電池では興味をひかない。更に、有機ポリオールを合成成分として使用するのは望ましくない。それというのも、これらの化合物は周知のように極性かつ親水性であり、このことが水蒸気拡散のバリケードとして作用し、それにより開示したラミネートの長期耐候安定性を妨げてしまうからである。更に、使用したTPUの物質クラスは比較的に高いガラス転移温度を有するので、特に低温で限定的な屈曲性を有する。しかし、ガラス転移温度の付近での弾性率は温度に著しく依存するので、このようなソーラーモジュールの運転を低温(例えば、0℃以下)で運転する際に、接着層に強い張力が加わり、かつ壊れやすいソーラーモジュールならびに結合導体に影響を与え、このことがモジュールの全体の故障又は初期の層間剥離を生じさせる。
【0012】
本発明の対象は、次のもの:
(A)無機ガラス及び/又は有機ガラスを有する少なくとも1つの層、
(B)熱可塑性シロキサンコポリマーを有する少なくとも1つの層
(C)少なくとも1つの感光層を有する少なくとも1つのユニット、及び場合により
(D)有機ポリマー、有機ケイ素ポリマー、金属材料、鉱物材料及び木材を有するグループから選択される少なくとも1つの更なる層
を有するラミネートである。
【0013】
本発明の意味する範囲内での無機ガラス又は有機ガラス(A)は、硬化又は未硬化ミネラルガラスならびに透明な有機ポリマーとコポリマーをベースとする有機ガラスである。
【0014】
ミネラルガラスの例は、工業用ガラス、例えば、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウ酸鉛ガラス、フロートガラス、積層安全ガラス及び部分的に電圧を加えたガラスならびにガラスセラミックである。更なる例は、Ullmanns’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、1991, A18巻:201〜202頁に光学ガラスの例に関して挙げられていて、これらを本出願の開示内容に含めることにする。
【0015】
有機ガラスの例は、ポリカーボネートから成るガラス、アクリルガラス、例えば、Degussa AG社(ドイツ)より商標名Plexiglas(R)として得られるようなもの、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、PVC、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、フッ化炭化水素をベースとするポリマー、例えば、旭硝子株式会社(日本)より商標名Fluon(R)で得られるようなもの、ならびに前記ポリマーから成るコポリマーから成るガラスである。更なる例は、Ullmanns’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、1991, A18巻:204〜205頁に有機ポリマーをベースとする光学ガラスの例に関して挙げられていて、これらを本出願の開示内容に含めることにする。
【0016】
本発明により使用されるガラス(A)は、25℃で、有利には−1*10-6〜100*10-5 K-1、特に0〜100*10-6K-1の熱膨張係数を有する。
【0017】
有利には、本発明により使用されるガラス(A)は、高度に透明な材料である。すなわち、少なくとも80%、特に有利には少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%の透過率D65(DIN5036、第3部による)を有するガラスである。
【0018】
本発明により使用されるガラスは、それぞれ周囲雰囲気の圧力で、すなわち900〜1100hPaで、60℃を上回る、特に有利には80℃を上回る融点もしくは軟化点を有する。
【0019】
本発明による無機又は有機ガラスは、プレート、シート又はフィルムの形で存在できる。コラミネートは種々のガラス(A)であることができる。有利には、層(A)は、1つのプレートから成るか、又は1つ以上のフィルムから成る。
【0020】
層(A)は、単一の材料から成るか、又はそれ自体が複数の層から構成されていてもよい。(A)の多層の層構造の例は、積層安全ガラスとしての又は反射防止フロートガラスとしての無機ガラス(A)の仕上げである。
【0021】
無機ガラス又は有機ガラスは、例えば層(A)の機械的耐性を改善するか又は光反射もしくはモジュールの過剰な加熱による収率損失を減らすために、所望の場合には表面処理をしてもよい。表面処理の例は、アンチスクラッチ層及び/又は反射防止層(例えば、US2005/0074591 A1、EP1328483 B1、DE10250564 A1及びDE 10342401 A1に記載されているようなもの)、自浄作用を生じる層、DE 19963866 A1に記載されているような帯電防止装備の塗布、DE102004053708 A1に記載されているような防曇被覆の塗布又は仕上げ面粗さの変更である。
【0022】
本発明により使用される熱可塑性シロキサンコポリマーは、これまでに公知の任意の熱可塑性化合物であってよい。
【0023】
層(B)の熱可塑性シロキサンコポリマーは、一般式
【化1】

[式中、
Rは、同じ又は異なっていてよく、かつ一価のSi−結合した、場合によりハロゲン原子により置換された炭化水素基であり、前記基は酸素原子により中断されていてもよい、
Xは、同じ又は異なっていてよく、かつ1〜20個の炭素原子を有するアルキレン基であり、その際、互いに隣り合わないメチレン単位は基−O−で置換されていてもよい、
Aは、同じ又は異なっていてよく、かつ酸素原子又はアミノ基−NR’−であり、
Zは、同じ又は異なっていてよく、かつ酸素原子又はアミノ基−NR’−であり、
R’は、同じ又は異なっていてよく、かつ水素原子又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
Yは、同じ又は異なっていてよく、かつ二価の、場合によりハロゲン原子で置換された1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、前記基は酸素原子により中断されていてもよい、
Dは、同じ又は異なっていてよく、かつ二価の、場合によりハロゲン原子又はC1〜C6−アルキルエステル基で置換された炭化水素基であり、その際、互いに隣り合わないメチレン単位は基−O−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−で置換されていてもよい、
nは同じ又は異なっていてよく、かつ1〜4000の数である、
aは、少なくとも1の数であり、
bは、0又は1〜1000の数であり、かつ
cは、0又は1〜1000の数である]
の化合物であるのが有利である。
【0024】
Rの例は、アルキル基、例えば、メチル−、エチル−、n−プロピル−、イソプロピル−、1−n−ブチル−、2−n−ブチル−、イソ−ブチル−、t−ブチル−、n−ペンチル−、イソ−ペンチル−、ネオ−ペンチル−、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソ−オクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル−、シクロヘキシル−、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えば、ビニル−、1−プロペニル−及び2−プロペニル基;アリール基、例えばフェニル−、ナフチル−、アントリル−及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基;キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基である。
【0025】
ハロゲン化基Rの例は、ハロゲンアルキル基、例えば、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロ−イソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基及びハロゲンアリール基、例えばo−、m−及びp−クロロフェニル基である。
【0026】
有利には、基Rは一価の場合によりフッ素−及び/又は塩素原子で置換された1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に有利には1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特にメチル基、エチル基、ビニル基及びフェニル基である。
【0027】
基Rの例は、基Yで挙げたアルキレン基である。
【0028】
有利には、基Xは1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基であり、特に有利にはメチレン基及びn−プロピレン基である。
【0029】
基R’は、水素原子であるのが有利である。
【0030】
有利にはAは、基−NR’−であり、R’は先に挙げた意味と同じであり、特に有利には基−NH−である。
【0031】
有利には基Zは−O−又は−NH−である。
【0032】
基Yの例は、アルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、t−ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基及びオクタデシレン基;シクロアルキレン基、例えば、シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、イソホロニレン基及び4,4’−メチレン−ジシクロヘキレン基;アルケニレン基、例えば、ビニレン基、n−ヘキセニレン基、シクロヘキセニレン基、1−プロペニレン基、アリレン基、ブテニレン基及び4−ペンテニレン基;アルキニレン基、例えばエチニレン基及びプロパルギレン基;アリーレン基、例えば、フェニレン基、ビスフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基及びフェナントリレン基;アルカリーレン基、例えば、o−、m−、p―トルイレン基、キシリレン基及びエチルフェニレン基;及びアラルキレン基、例えばベンジレン基、4,4’−メチレン−ジフェニレン基、α−及びβ−フェニルエチレン基である。
【0033】
有利には、基Yは3〜13個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に有利にはアラルキレン基、線状又は環状アルキレン基である。
【0034】
基Dの例は、Yで挙げた例であり、ならびにポリオキシアルキレン基、例えばポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基である。
【0035】
有利にはDは、二価の、場合によりフッ素原子、塩素原子又はC1〜C6−アルキルエステル基で置換された1〜800個の炭素原子を有する炭化水素基又はポリオキシアルキレン基である。Dが場合により置換された同じ炭化水素基である場合には、これは有利には少なくとも2〜12個の炭素原子、特に少なくとも4〜12個の炭素原子を有するアルキレン基である。Dが同じポリオキシアルキレン基である場合には、これは有利には20〜800個の炭素原子、特に有利には100〜800個の炭素原子、特に100〜200個の炭素原子を有するものであり、その際、これは特に有利にはポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基である。
【0036】
指数nは、有利には3〜800、特に有利には3〜400、特に25〜250の数である。
【0037】
有利には、aは1〜1000、特に有利には多くとも250、特に多くとも150の数である。
【0038】
bが0に等しくない場合には、bは有利には多くとも250、特に多くとも50の数である。
【0039】
cは、有利には0又は多くとも10、特に0又は多くとも5の数である。
【0040】
式(1)の本発明により使用される化合物中、aオルガノポリシロキサン−ブロック、bポリウレア−ブロック、かつcポリウレタン−ブロックは任意に、例えばランダムに分布していてよい。
【0041】
式(1)の本発明により使用される化合物の末端基として、従来技術による通常の末端基が存在し、これはアミノ末端基又はイソシアナト末端基のように、このようなポリマーの合成の際に通常の方法で生じる。これは、合成の際に又は後から更なる基、例えば、アミノ−シラン又はイソシアナト−シランと反応させることもできる。更に、すでに合成の際に、イソシアナト基と反応性である単官能性有機化合物、例えば、第一又は第二アルコール又はアミンを加えることができ、それにより巧みな方法で、更に熱可塑性シロキサンコポリマー(B)のレオロジー特性と分子量をコントロールすることができる。従って、熱可塑性シロキサンコポリマー(B)は、有利には末端基として、官能性又は非官能性有機又はケイ素−有機基を有する。
【0042】
成分(B)として使用できる熱可塑性シロキサンコポリマー及びその製法は例えば、EP1412416B1とEP1489129B1に記載されていて、これに関する開示も本出願の対象であるものとする。
【0043】
式(1)の熱可塑性シロキサンコポリマーの例は、以下のもの:
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−p−C6H4−CH2−p−C6H4−ならびに、a=40〜70であり、かつ
水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−p−C6H4−CH2−p−C6H4−ならびに、a=40〜70であり、かつ
水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2O)35-45(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=
【化2】

ならびにa=25〜35であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=
【化3】

ならびにa=25〜35であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2O)35-45(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=
【化4】

かつa=60〜70であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=
【化5】

かつa=60〜70であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2O)35-45(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−(CH26−ならびにa=25〜35であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−(CH26−ならびにa=25〜35であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2O)35-45(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−(CH26−ならびにa=50〜70であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−(CH26−ならびにa=50〜70であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2O)35-45(CH23−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−C(CH32−m−C6H4−C(CH32−ならびにa=25〜35であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−C(CH32−m−C6H4−C(CH32−ならびにa=25〜35であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2 O)35-45(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−C(CH32−m−C6H4−C(CH32−ならびにa=50〜70であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−C(CH32−m−C6H4−C(CH32−ならびにa=50〜70であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2 O)35-45(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−p−C6H10−CH2−p−C6H10−ならびにa=25〜35であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−p−C6H10−CH2−p−C6H10−ならびにa=25〜35であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2 O)35-45(CH23−NH −CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−p−C6H10−CH2−p−C6H10−ならびにa=50〜70であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、b=0、c=0、
Y=−p−C6H10−CH2−p−C6H10−ならびにa=50〜70であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2 O)35-45(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=140〜155、b=0、c=0、Y=−C(CH32−m−C6H4−C(CH32−ならびにa=50〜70であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2140-155(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=140〜155、b=0、c=0、Y=−C(CH32−m−C6H4−C(CH32−ならびにa=50〜70であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2140-155(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=140〜155、b=0、c=0、Y=−C(CH32−m−C6H4−C(CH32−ならびにa=20〜35であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2140-155(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=140〜155、b=0、c=0、Y=−C(CH32−m−C6H4−C(CH32−ならびにa=20〜35であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2140-155(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、Y=−C(CH26−、a=15〜25、b=15〜25ならびにc=0であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、Y=−(CH26−、a=15〜25、b=15〜25ならびにc=0であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2(OSiMe2O)35-45(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、
Y=
【化6】

、a=15〜25、b=15〜25ならびにc=0であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2−(OSiMe235-45(CH23−NH2がカルボニル炭素原子に末端を成すもの;
R=CH3−、X=−(CH23−、A=−NH−、n=35〜45、
Y=
【化7】

、a=15〜25、b=15〜25ならびにc=0であり、かつ水素原子が基Aに、かつ基−NH(CH23SiMe2−(OSiMe2O)35-45(CH23−NH−CO−NH−Y−NCOがカルボニル炭素原子に末端を成すもの。
【0044】
シロキサン含有量、使用されるシロキサンポリマーの鎖長及びウレタン基もしくはウレア基の含有量の相互作用により、式(1)の熱可塑性シロキサンコポリマーの軟化点を目的通りに調節できる。本発明により使用される層(B)の熱可塑性シロキサンコポリマーは、周囲雰囲気の圧力、すなわち900〜1100hPaの間で、有利には少なくとも40℃の軟化点、特に有利には100〜180℃の範囲内の軟化点を有する。
【0045】
有利には、一般式(1)の熱可塑性シロキサンコポリマーは、50〜99.9質量%、有利には80〜98質量%、特に90〜95質量%のシロキサン含有量を有する。
【0046】
式(1)の熱可塑性シロキサンコポリマーの重量平均分子量Mwは、有利には10000〜10・106g/mol、特に有利には30000〜106g/mol、とりわけ50000〜500000g/molである。
【0047】
本発明による接着複合体の高度な長期安定性を保証するために、層(B)は、例えばソーラーモジュールの運転で加熱サイクルと冷却サイクルの際にシリコン(2×10-6-1)に対して、例えば窓ガラス(7.5×10-6-1)、特に工業用プラスチックの様々な熱膨張係数(50〜150×10-6-1)によって生じる力を補正しなくてはならない。このために、一方では良好な機械特性が必要である。他方では、層(B)は、柔らかすぎてはならず、特定の硬度と強度を有さなくてはならず、これは例えば弾性率により特徴付けることができる。しかし、高すぎる弾性率を有する層(B)も同様に避けなくてはならない。それというのも、これは堅くなり過ぎ、かつ壊れやすい太陽電池ユニットが熱膨張の際に裂けてしまうからである。従って、層(B)に関しては、例えば式(1)の熱可塑性シロキサンコポリマーの使用により可能であるような機械強度、硬度及び弾性率の間でバランスのとれた妥協を見出すべきである。
【0048】
本発明により使用される熱可塑性シロキサンコポリマー(B)の硬度は、ショアーAスケールの平均範囲内で変化する。すなわち、DIN53505により20〜80ShA、特に30〜60ShAの硬度を有するコポリマーが有利である。
【0049】
本発明により使用される熱可塑性コポリマーの弾性率は、DIN53504S2により、室温にて100%伸び率で、3N/mm2、有利には0.5〜2.5N/mm2の値に達する。
【0050】
本発明により使用される熱可塑性コポリマーの引っ張り強度は、DIN53504S2により、有利には少なくとも1.5N/mm2、有利には少なくとも3N/mm2、特に少なくとも4.5N/mm2である。
【0051】
本発明により使用される熱可塑性コポリマーの引き裂き抵抗は、ASTM624Bにより有利には少なくとも10N/mm、又は少なくとも20N/mmである。
【0052】
本発明により使用される熱可塑性コポリマーは、通常1.4〜1.45の間の屈折率を有する。しかし、コポリマーのシロキサン部分にフェニル基を導入することにより、1.5までの屈折率を達成できる。
【0053】
熱可塑性シロキサンポリマーの熱膨張係数は、室温で有利には100・10-6〜750・10-6K-1、特に有利には250・10-6〜500・10-6K-1である。
【0054】
層(B)は、単一の材料から構成されるか、又はそれ自体が熱可塑性シロキサンコポリマーの種々の層から成る多層から構成されるか、又は異なる種類のポリマーから成るラミネートであることができ、このうち、少なくとも1つは熱可塑性シロキサンコポリマーから成っていなくてはならない。
【0055】
本発明により使用されるユニット(c)は、非晶質、単結晶、微結晶又は多結晶の形ならびにこれらの組み合わせの形で存在できる1つ以上の感光性半導体の層を有する。適切な半導体層は、例えば、非晶質、単結晶、微結晶又は多結晶シリコン、ガリウム―アルセニド、銅―インジウム―ジスルフィド、銅―インジウム―ジセレニド、銅―インジウム―ガリウム―ジセレニド、カドミウム―テルリド又は他の半導体元素及び元素の組合せをベースに構成されたものである。記載された種類のユニット(C)は、一般に公知であり、かつUllmanns's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版、1992, A20巻、164-175ページに記載されている。
【0056】
光収率を最適化するために、半導体層は更に例えば、二酸化チタン、二酸化ケイ素、ケイ素―ニトリド又は同様のものをベースとする特殊表面構造又は反射防止層(いわゆる、ARコーティング、反射防止コーティング)を備えることができる。これにより反射により場合により生じる収率損失を減少させることができる。半導体層のテクスチャ表面の製造法は、例えばDE 10352423B3に記載されている。DE 19919742A1には、反射防止層の製造が開示されている。本発明の意味する範囲内では、両方の方法は同じように半導体層の調節に有利である。
【0057】
ユニット(C)は、独自の構造としても、担体材料上、例えばガラス、又は有機ポリマーから成るフィルム上に担持した形でも存在できる。
【0058】
ユニット(C)は公知の方法により適切な方法でコンタクトパスにより、1つ以上の太陽電池に接続することができる。その際、本発明の範囲内では太陽電池の概念は、光起電力効果の利用下に光を電流に転換できる全ての構造グループが含まれると解釈される。更に、複数の太陽電池をグループ(いわゆる太陽電池ストリング)に相互に結合することもできる。このことは、従来技術の任意の方法により、例えば、ハンダ付け、加圧又は伝導性接着剤を用いる接着により行うことができる。
本発明によるラミネートは、場合により更なる層(D)を有してもよく、これは有利には金属材料、鉱物材料、有機ポリマー及び有機ケイ素ポリマー、例えば、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、ポリウレア、ポリ塩化ビニル、エポキシド、ポリエステル、(メタ)−アクリレート、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、PVC、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ化有機炭化水素ポリマー、シリコーン、シリコーン樹脂ポリマー、変性シリコーンポリマー、ホットメルト接着剤、コーティング、充填材料及びプラスチゾル、ならびにそれらの混合物、コポリマー及びラミネートから成るグループから選択され、その際、層(D)の材料は層(A)、(B)、(C)のものとは異なっている。
【0059】
適切な有機ポリマーは、例えば、ポリフッ化ビニル(PVF)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)とのそれらのコラミネート(例えば、DuPont社から商標名TEDLAR(R)で得られるもの)である。適切なシリコーンは、例えばUV―シリコーン又は高度架橋シリコーン、冷橋2−K−シリコーン及び80%未満の透過率D65(DIN5036、第3部による)を有する湿式架橋シリコーンである。適切な金属材料は、例えばアルミニウムプレート及びアルミニウムフィルム又はそれらのコラミネート、例えば、PVF/アルミニウム/PVF積層フィルム又はPVF/アルミニウム/PET積層フィルムである。
【0060】
場合により存在する更なる層(D)が有機ポリマー及びそれらの相互のラミネートならびに金属材料とのそれらのラミネートである場合に特に有利である。
【0061】
本発明によるラミネートは、有利には少なくとも1つの層(D)を有する。
【0062】
本発明によるラミネートは、サンドウィッチのように構成され、かつ各々の層(A)、(B)、(C)及び場合により(D)のうち1つは、1つ以上の層を有することができる。例えば、ラミネートは付加的に更なる層(B)を有し、例えば層(C)と付加的に存在する層(D)もしくは2番目の層(A)を結合させることができる。
【0063】
1つの有利な実施態様では、本発明によるラミネートは無機ガラスから成る層(A)、熱可塑性シロキサンコポリマーの層(B)及び少なくとも1つの感光層を有するユニット(C)を有する。
【0064】
もう1つの有利な実施態様では、本発明によるラミネートは有機ガラスから成る層(A)、熱可塑性シロキサンコポリマーの層(B)及び少なくとも1つの感光性半導体層から成る層(C)を有する。
【0065】
特に有利な実施態様では、本発明によるラミネートは、無機もしくは有機ガラス(A)又は金属材料又は有機ポリマー及びコポリマー(D)から成る少なくとも1つの更なる層を有する。層(D)が本発明によるラミネート中に存在する場合には、これはフィルムの形で存在し、その際、層(D)は積層フィルムであるのが特に有利である。
【0066】
層(A)は、有利には1μm以上の層厚を示す。10μm〜20mmの層厚が特に有利である。
【0067】
層(B)は、有利には1μm以上の層厚を示すのが有利であり、その際、10μm〜3mmの層厚が特に有利である。特に層厚は10μm〜1mmである。
【0068】
層(C)は、有利には1μm以上の層厚を示すのが有利であり、その際、5μm〜10mmの層厚が特に有利である。特に層厚は10μm〜2mmである。
【0069】
場合により存在する更なる層(D)は、有利には1μm以上の層厚を示すのが有利であり、その際、それぞれ10μm〜20mmの層厚が特に有利である。
【0070】
本発明によるラミネートは、有利には12μm〜100nm、特に有利には20μm〜50mm、特に20μm〜30mmの厚さを有するのが有利である。
【0071】
本発明によるラミネートは、良好な光学品質を示し、(B)と(A)もしくは(B)と(C)の良好な接着、ならびに(B)の特に水に関して傑出した特性を生じる。
【0072】
接着を改善するために、層(B)の熱可塑性シロキサンコポリマーに接着促進性シラン、例えば、加水分解可能な基及びSiC−結合ビニル基、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、イソシアナト基、エポキシ基、酸無水物基、酸基、エステル基又はエーテル基を有するシランならびにそれらの部分加水分解産物及び混合加水分解産物を添加することもできる。
【0073】
場合により使用される接着促進剤の例は、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルジメトキシメチルシラン、3−イソシアナトプロピルジエトキシメチルシラン、3−イソシアナトプロピルメトキシジメチルシラン、3−イソシアナトプロピルエトキシジメチルシラン、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルジメトキシメチルシラン、イソシアナトメチルジエトキシメチルシラン、イソシアナトメチルメトキシジメチルシラン及びイソシアナトメチルエトキシジメチルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びグリシドキシプロピルトリエトキシシランである。
【0074】
接着促進剤を成分(B)中で使用する場合には、加水分解可能な基としてエトキシ基又はアセトキシ基を有するビニル基を有するシランならびにエポキシ基を有するシランが有利であり、その際、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びビニルトリアセトキシシラン及び/又はそれらの部分加水分解産物及び混合加水分解産物が特に有利である。
【0075】
接着促進剤を使用する場合には、それぞれ成分(B)の全体量に対して、有利には0.01〜5質量%、特に有利には0.1〜2質量%、特に0.4〜0.7質量%の量である。
【0076】
場合により使用される接着促進剤は、熱可塑性シリコーンコポリマーと簡単に混合できる。
【0077】
接着促進性シラン、それらの加水分解産物及び縮合生成物もしくは有機溶剤中のそれらの溶液は、熱可塑性シロキサンコポリマーから製造されたフィルムの表面上に設置することもできる。
【0078】
有利には、接着促進性シランを熱可塑性シロキサンコポリマーから成るフィルム上に、層(A)、層(C)上に及び/又は場合により使用される更なる層(D)上に設置してもよい。接着促進性シランの設置は、複合体を製造する前に自体公知の方法により行われる。この方法のために、"プライマー"又は"下塗"という概念が一般的に用いられる。
【0079】
更に熱可塑性シロキサンコポリマーに、光学特性を不利に変化させない限り、更なる添加剤を加えてもよい。適切な添加剤の例は、染料、顔料、充填剤、触媒、熱安定剤、軟化剤、架橋剤、防炎加工剤及び光安定剤又はそれらの混合物である。このような添加剤は、ポリウレタン化学及びシリコン化学から当業者に公知であり、かつシロキサンコポリマーと簡単に混合できる。
【0080】
同様に、層(D)の有機ポリマーならびに層(A)の有機ガラスは、添加剤を含有してもよい。これらの全ての添加剤は、材料に特異的であり、かつ当業者から公知である。
【0081】
層(A)、(B)及び(C)の間、もしくは場合により層(C)、(B)及び(D)の間の本発明による複合体の製造は、公知の方法により行うことができる。
【0082】
本発明によるラミネートを製造するために、原則的に多くの可能性がある。1つめの可能性は、層(A)上に、液化した熱可塑性シロキサンコポリマーをナイフ塗り、ローラー塗り又はスクリーン印刷により設置することにあり、これらにより冷却後に、いわばin-situで層(B)が製造される。引き続き本発明によるラミネートは、なお液状の層(B)上に層(C)が置かれ、かつ加圧されて複合体になる。同様に自明ながら液化した層(B)を先に記載したように初めに層(C)上に設置し、この後に層(A)を層(B)上に置き、かつ引き続き全ての層を加圧により結合してラミネートにすることもできる。
【0083】
2つめの可能性は、例えば、ナイフ塗り、ローラー塗り又はスクリーン印刷により層(A)上に、溶剤で液化した熱可塑性シロキサンコポリマー(B)を設置し、かつこの後に溶剤を蒸発させることにある。このように得られる層(A)と(B)から成る二重層の上に、引き続き層(C)が載せられる。本発明によるラミネートは、層(B)の熱可塑性シロキサンコポリマーが軟化するまで温度を高め、かつ同時に複合体を加圧することにより得られる。自明ながら、この方法の場合に、溶剤で液化した層(B)の熱可塑性シロキサンコポリマーを初めに層(C)上に載せ、この後に層(A)を層(B)上に載せ、かつ引き続き全ての層を加圧により結合してラミネートにすることができる。
【0084】
3つめの可能性は、両方の層(A)と(C)を適切なスペーサーによって、規定の幅のスリットが得られるように構成することにある。このスリットでは、層(B)の液化した熱可塑性シロキサンコポリマーが適切に加温した貯蔵器から供給装置を通して取り込まれ、その際、層(A)と(C)のエッジは、ポリマー溶融物が不所望の箇所で漏れずに、層(A)と(C)の間に存在する空気だけが漏出するように閉じられる。
【0085】
ラミネートガラスを製造する4つめの可能性は、熱可塑性シロキサンコポリマーを有する層(B)をフィルムとして製造することにある。規定の表面粗さ(テクスチャ)を有する凹凸フィルムを使用し、積層による空気の混入を最小限にするのが有利である。引き続き、フィルム層(B)を層(A)と(C)の間に置き、かつ層(A)から(C)を加圧と温度下に相互に持続的に結合することにより複合体が得られる。
【0086】
1つ以上の層、例えば層(D)が存在する場合には、例えば層(B)を用いる層(C)と(D)の間でのラミネート複合体の製造は、先に層(A)と(C)の間のラミネート複合体に関して記載したものと同様に行うことができる。自明ながら、上記の全ての場合に、接着剤で層(A)、(B)、(C)及び/又は(D)の前処理を行ってもよい。
【0087】
本発明によるラミネート製造は、徐々に層を構成すること、すなわち、まず例えば層(A)と層(B)から、もしくは場合により層(B)と層(D)から成る1つ以上の複合体層を構成し、引き続き複合体層と層(C)の積層により行うか、又は一度の積層工程で行うことができる。
【0088】
本発明によるラミネートは、これまでソーラーモジュールの製造で使用されてきたような不連続のラミネーターを用いても、ローラーラミネーターを用いても製造できる。後者の場合には、連続的な運転の利点が提供され、かつ層(A)と場合により層(D)のガラスがフィルムの形で存在する場合には、理論的に無限のラミネートの製造が提供される。
【0089】
本発明によるラミネートを製造する有利な方法は、
工程1で、熱可塑性シロキサンコポリマーから成る層(B)ならびに場合により更なる添加剤を有利には0.1〜3mmの厚さを有するフィルムの形で製造し、
工程2で、工程1にて得られたフィルム層(B)を、積層すべき層(A)と層(C)の間ならびに場合により(C)と(D)の間に設置し、かつ
工程3で、有利には使用される熱可塑性シロキサンコポリマーの軟化温度を10〜50℃上回る温度、かつ有利には周囲雰囲気の圧力(すなわち約1000hPa)と20000hPaの間である圧力で、個々の層を結合してラミネートにする
ことに特徴付けられる。
【0090】
有利には、工程1で製造された熱可塑性シロキサンコポリマーのフィルムは、ラミネートフィルムに一般的な表面テクスチャを有し、その際、フィルム製造の際のフィルム表面のテクスチャ化が従来技術により行われる。
【0091】
本発明による方法の工程3での積層温度は、使用される熱可塑性シロキサンコポリマーの軟化温度を20〜40℃上回る、すなわち60〜250℃、特に有利には100〜200℃、とりわけ120〜150℃であるのが特に有利である。
【0092】
工程3での積層圧力は高くとも10000hPaであるのが有利である。
【0093】
本発明による方法の継続は、有利には5秒〜60分、特に有利には15秒〜30分、特に1〜20分の間である。
【0094】
熱可塑性シロキサンコポリマー含有のフィルムの製造は、原則的に公知の方法をもとに決定される。適切なフィルム製法の例は、フィルムブローイング押出法、チルロール押出法、キャスティング法又は同時押出法であり、例えば、これらはUllmanns’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版、1988, A11巻、87〜93頁に記載されている。
【0095】
本発明によるラミネートは、有利には太陽光発電ソーラーモジュールの製造に使用され、その際、これは更なる構成成分、例えば、ケーブル、フレーム部材、モジュール−ホルダー、電気及び電子構成部材を有していてもよい。
【0096】
特殊な実施態様では、本発明によるラミネートは防音特性ならびに積層安全ガラスに似た特性を有するので、これをファサード部材、屋根、サンルームのカバー、防音壁、バルコニー部材又は手すり壁の部材として、窓表面の部材として又は建築物を囲む表面と空間内の造形的エレメントとして使用できる。
【0097】
本発明によるラミネートは、一連の利点を有する。1つには、コポリマー層(B)は広いスペクトル範囲、特に例えばシリコンベースの太陽電池に関連する運転範囲内で極めて高い透明度を有し、このことは高い太陽エネルギー収率を生じる。コポリマー層(B)は、全てのシリコンベース系のように長期間UV安定性である。従って、成分(B)を有するフィルムは、例えばEVAとPVBから成るフィルムとは対照的に、黄変又は混濁のようなマイナスの効果を生じ得るUV−安定剤を添加してはならない。更に、ポリマー層(B)−PVB以外−は、高疎水性であり、かつ関連する全ての物質、例えばガラス、工業樹脂及び太陽電池ユニットに対して目的に合わせて調節可能な優れた接着性を有する。従って、同様に離層効果は通常の方法でソーラーモジュールを運転する際に支配的温度を生じない。
【0098】
更にコポリマー層(B)を有する本発明によるラミネートは、従来技術による挿入材料を有するラミネートに対して、プロセス技術上の利点も有する。一つには、熱可塑性シリコーンコポリマーを有するフィルムの加工は実施が簡単であり、かつ積層安全ガラスの製造と似ている。有機注型樹脂又はEVAとは対照的に、更なるプロセス助剤、例えば、プロセスを浪費し、かつラミネートを複雑にしやすい触媒又は架橋剤の必要がない。EVAを有するラミネートの製造とは異なり、特殊な真空積層装置が必要ない。更に熱可塑性ブロックコポリマー(B)との接着は可逆性である;従って場合によって生じ得る積層の欠陥は、ラミネート製造の直後に簡単な方法で修正することができる。
【0099】
本発明によるラミネートのもう1つの利点は、その簡単なリサイクル性である。後架橋したEVA、架橋シリコーン又はもはや溶融可能ではない有機注型樹脂を有するラミネートから成る高価な太陽電池ユニットは、手間のかかる熱分解による多段階プロセスによってしか回収できず、かつその際に、更に費用のかかる精製プロセスを通過しなくてはならないのに対して、本発明によるラミネートは、高温でのコポリマー層(B)の簡単な溶融により離層できる。このように回収された太陽電池ユニットは、引き続き例えばイソプロパノールのようなアルコールだけで、場合によって生じ得る付着性コポリマー(B)から精製され、かつ次に原料サイクルに再び直接に供給できる。それゆえに、本発明によるラミネートはその製造だけではなく、そのリサイクルにおいても持続的に環境と協調性があり、かつ資源を大切に扱う。
【0100】
コポリマー(B)の完全に可逆性の溶融挙動は本発明によるラミネートのもう1つの利点を与える。EVA、有機注型樹脂又は架橋シリコーンを接着層として有するソーラーモジュールとは対照的に、ソーラーモジュールを有するブロックコポリマー(B)は、簡単な方法で、溶融、離層及び新たな積層により、例えば、個々のソーラーモジュールユニットが欠損した場合には、その場で修復することができる。このような野外での修復は、例えば、ソーラー設置施工者自身により実施できる;ソーラーモジュール製造者による修正処置は、例外的な場合にだけ必要である。
【0101】
更に、本発明によるラミネートは、これが0℃を大きく下回るまで高い屈曲性を有するという利点を有する。
【0102】
以下の実施例では、部及び百分率の全てのデータは、特記されない限り質量に対して示されている。特記されない限りは、以下の実施例は周囲雰囲気の圧力、すなわち約1000hPaで、及び室温、すなわち約20℃もしくは、室温で反応体を結合させる際に付加的な加熱又は冷却をせずに調節した温度で実施された。実施例に挙げられている全ての粘度データは25℃の温度で示されている。
【0103】
引裂強さはASTM D624-B-91(又はISO 34、方法C)により測定した。
【0104】
破壊応力はDIN53504-85S1により測定した。
【0105】
破断点伸びはDIN53504-85S1により測定した。
【0106】
ショアーA硬度はDIN(ドイツ規格協会)53505(2000年8月刊行)により測定した。
【0107】
引張強度、破断点伸び及びモジュール(100%伸び率での張力)は、S2型の試験体を用いてDIN53504(1994年5月刊行)により測定した。
【0108】
例1
a)フィルムB1の製造
Wacker Chemie AGより商標名GENIOMER(R)140で得られるような、92質量%のシロキサン含有量、約120000g/molの質量平均分子量Mw及び約125℃の軟化点を有するウレア基含有熱可塑性シロキサンコポリマーから、"チルロール"法によりフィルムを製造した。このために、顆粒状に得られる原料を螺旋型押出機により、下流のローラー装置の冷却ローラー("チルロール")上に直接押し出した。その際に以下の機械配置を使用した:
10個の加熱ゾーンを有する1−螺旋型押出機による押出し:
ゾーン1(入り口):70℃
ゾーン2と3: 170℃
ゾーン4〜7: 195℃
ゾーン8と9: 170℃
ゾーン10(噴射口)170℃
押出機の回転数:30rpm
押出速度:50kg/h
可変ワイドスリットノズル、垂直ノズル配置、幅約60cm;
冷却ローラー("チルロール")の温度:15℃
排出速度:約3.5m/分。
【0109】
ワイドスリットノズルのスリット幅は、0.38mmのフィルム厚が生じるように調節するか、もしくは自動的に層厚測定が追跡できるようにした。更に、ローラー装置はエンボスロールを含み、これを用いて特殊な表面テクスチャを有するフィルムを用意できる。製造されたフィルムは、適正な形に切断した後に、50cm幅でフィルムローラーに巻き取った。
【0110】
b)フィルムB2の製造
フィルムB1の製造と同様に、a)で記載したように同時押出しにより、ウレア基含有熱可塑性シロキサンコポリマーを有するPE−フィルムラミネートを製造した。
【0111】
このために、"チルロール"法により、顆粒の形で得られたシロキサン原料を同様に押し出したLDPEフィルム上に螺旋型押出機を用いて直接に積層し、かつ冷却ローラー("チルロール")を経て下流のローラー装置を運転することによりフィルムラミネートを製造した。その際に以下の機械配置を使用した:
10個の加熱ゾーンを有する1−螺旋型押出機によるGENIOMER(R)−押出し:
ゾーン1(入り口):70℃
ゾーン2と3: 170℃
ゾーン4〜7: 195℃
ゾーン8と9: 170℃
ゾーン10(噴射口)170℃
押出機の回転数:30rpm
押出速度:50kg/h
可変ワイドスリットノズル、垂直ノズル配置、幅約60cm;
冷却ローラー("チルロール")の温度:15℃
排出速度:約3.5m/分。
【0112】
10個の加熱ゾーンを有する1−螺旋型押出機によるLDPE−押出し:
ゾーン1(入り口):70℃
ゾーン2と3: 190℃
ゾーン4〜7: 195℃
ゾーン8と9: 180℃
ゾーン10(噴射口)175℃
押出機の回転数:30rpm
押出速度:8kg/h
可変ワイドスリットノズル、垂直ノズル配置、幅約60cm;
冷却ローラー("チルロール")の温度:15℃
排出速度:約3.5m/分。
【0113】
ワイドスリットノズルのスリット幅は、0.45mmのフィルム全体の厚さが生じるように調節するか、もしくは自動的に層厚測定が追跡できるようにした。更に、ローラー装置はエンボスロールを含み、これを用いて特殊な表面テクスチャを有するGENIOMER(R)−層を用意できる。このように製造されたフィルムを適正な形に切断した後に、50cm幅でフィルムローラーに巻き取った。
【0114】
多結晶シリコンから成り、かつ10cm×10cmの寸法を有する市販の太陽電池を上記a)で製造した熱可塑性シロキサンコポリマーフィルムB1で完全に覆った。引き続きフィルムを太陽電池に軽く押し当て、場合によりフィルムと太陽電池の間に閉じこめられた空気を完全に逃がすことができた。次に熱可塑性シロキサンコポリマーフィルム層上に、例えばInterfloat Corporation(リヒテンシュタイン)社から商標名AFG Solatexで入手されるような10cm×10cmの寸法と0.4cmの厚さを有する鉄不含の板ガラスを、場合によりガラスとフィルムの間に閉じこめられた空気を完全に逃がすことができるように載せ、かつフィルム層に押し当てた。引き続き、このサンドウィッチを500gの重量で負荷しながら熱風炉内で15分間160℃で加熱した。炉から取り出し、かつ太陽電池ラミネートを冷却した後に、太陽電池から生じた電流を測定し、かつ比較した。
【0115】
純粋な太陽電池(100qcm):100%
太陽電池+鉄不含ガラス:95%
太陽電池+熱可塑性シロキサンコポリマー層B1+鉄不含ガラス:94%。
【0116】
裂け目や割れ目の無い熱可塑性シロキサンコポリマー層を用いて太陽電池をガラス層と貼り付けた。ガラス、熱可塑性シロキサンコポリマーB1及び太陽電池の間の結合は完全に透明で(熱可塑性接着層の透明度:約99%)、気泡が無く、かつ高い強度であった。
【0117】
例2
例1と同様に、例1で挙げた層に加えて、もう1つの更なるガラス層と熱可塑性シロキサンコポリマーB1から成る層を有するラミネートを製造した。これはすなわち以下の形の構造を有した:
鉄不含ガラス/熱可塑性シロキサンコポリマー層B1/太陽電池/熱可塑性シロキサンコポリマー層B1/鉄不含ガラス。
【0118】
このように得られたラミネートの様な構造を有するソーラーモジュールは、積層していない純粋な太陽電池(100qcm)の電流の94%に相当する電流を提供した。太陽電池とガラス層の間の結合は極めて強く、かつ機械的に著しく高いエネルギー消費とガラス層の破壊を伴って分けることができた。
【0119】
例3
例1と同様に、例えば、Isovolta AG社から商標名Icosolar(R)-2442で入手されるような10cm×10cmの寸法と0.35cmの厚さを有するPVF/PET/PVF−コラミネートフィルムを更に使用しながら、以下の形の構造を有するラミネートを製造した:
PVF/PET/PVF−コラミネートフィルム層/熱可塑性シロキサンコポリマー層B1/太陽電池/熱可塑性シロキサンコポリマー層B1/鉄不含ガラス。
【0120】
このように得られたラミネートの様な構造を有するソーラーモジュールは、積層していない純粋な太陽電池(100qcm)の電流の94%に相当する電流を提供した。太陽電池とPVF/PET/PVF−コラミネートフィルムの間の結合は極めて強く、かつ機械的に著しく高いエネルギー消費を伴って分けることができた。
【0121】
例4
例1に倣って、ローラーラミネーターを用い、かつそれぞれ12個の太陽電池(多結晶性シリコン、寸法10×10cm)、1b)で製造された熱可塑性シロキサンコポリマーフィルムB2、片側をコロナ処理したPE/PTFE−コポリマーフィルム(例えば、旭硝子株式会社(日本)より商標名Fluon(R) ETFEで入手されるようなもの)ならびに更にPVF/PET/PVF−コラミネートフィルム(例えば、Isovolte AG社から商標名Icosolar(R)-2442で入手されるようなもの)から成る、隣り合って平行に存在する3つ組みの市販の太陽電池ストリングを使用しながら、次の形の構造:Fluon(R) ETFE/熱可塑性シロキサンコポリマー層B2’/太陽電池ストリング/熱可塑性シロキサンコポリマー層B2’/PVF/PET/PVF−コラミネートフィルムを有するラミネートを製造した。この場合に、PE/PTFE−コポリマーフィルムのコロナ処理した側が、熱可塑性シロキサンコポリマー層の側に来るように置いた。更に、ローラーラミネーターへの入口の前に、1b)で記載したGENIOMER(R)−同時押出しフィルムB2のLDPE−部分をフィルムローラーから繰り出される際に、ガイドローラーにより取り除いた(B2’)。積層ロールの温度は、160℃であり、ローラーは1.2mmのスリット幅を有し、かつローラーラミネーターの供給速度は0.15m/分であり、その結果50cmの幅と約130cmの長さを有する本発明によるラミネートを約9分で製造することができた。
【0122】
このように得られたラミネートの様な構造を有するソーラーモジュールは、積層していない純粋な太陽電池ストリング(3600qcm)の電流の94%に相当する電流を提供した。太陽電池と個々の層の間の結合は極めて強く、かつ機械的に著しく高いエネルギー消費を伴って分けることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のもの:
(A)無機及び/又は有機ガラスを有する少なくとも1つの層、
(B)熱可塑性シロキサンコポリマーを有する少なくとも1つの層、
(C)少なくとも1つの感光層を有する少なくとも1つのユニット、及び場合により
(D)有機ポリマー、有機ケイ素ポリマー、金属材料、鉱物材料及び木材を有するグループから選択される少なくとも1つの更なる層
を有するラミネート。
【請求項2】
層(B)の熱可塑性シロキサンコポリマーは、一般式
【化1】

[式中、
Rは、同じ又は異なっていてよく、かつ一価のSi−結合した、場合によりハロゲン原子により置換された炭化水素基であり、前記基は酸素原子により中断されていてもよい、
Xは、同じ又は異なっていてよく、かつ1〜20個の炭素原子を有するアルキレン基であり、その際、互いに隣り合わないメチレン単位は基−O−で置換されていてもよい、
Aは、同じ又は異なっていてよく、かつ酸素原子又はアミノ基−NR’−であり、
Zは、同じ又は異なっていてよく、かつ酸素原子又はアミノ基−NR’−であり、
R’は、同じ又は異なっていてよく、かつ水素原子又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
Yは、同じ又は異なっていてよく、かつ二価の、場合によりハロゲン原子で置換された1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、前記基は酸素原子により中断されていてもよい、
Dは、同じ又は異なっていてよく、かつ二価の、場合によりハロゲン原子又はC1〜C6−アルキルエステル基で置換された炭化水素基であり、その際、互いに隣り合わないメチレン単位は基−O−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−で置換されていてもよい、
nは同じ又は異なっていてよく、かつ1〜4000の数である、
aは、少なくとも1の数であり、
bは、0又は1〜1000の数であり、かつ
cは、0又は1〜1000の数である]
の化合物である、請求項1に記載のラミネート。
【請求項3】
層(B)の熱可塑性シロキサンコポリマーは、周囲雰囲気の圧力、すなわち900〜1100hPaの間で少なくとも40℃の軟化点を有する、請求項1又は2に記載のラミネート。
【請求項4】
層(B)の熱可塑性シロキサンコポリマーは、周囲雰囲気の圧力、すなわち900〜1100hPaの間で100〜180℃の軟化点を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のラミネート。
【請求項5】
熱可塑性コポリマーの弾性率は、室温にて100%伸び率で、3N/mm2までの値である、請求項1から4までのいずれか1項に記載のラミネート。
【請求項6】
層(D)は、金属材料、鉱物材料、有機ポリマー及び有機ケイ素ポリマーならびにそれらの混合物、コポリマー及びラミネートから成るグループから選択される、請求項1から5までのいずれか1項に記載のラミネート。
【請求項7】
少なくとも1つの層(D)を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載のラミネート。
【請求項8】
工程1で、熱可塑性シロキサンコポリマーから成る層(B)ならびに場合により更なる添加剤をフィルムの形で製造し、
工程2で、工程1にて得られたフィルム層(B)を、積層すべき層(A)と層(C)の間ならびに場合により(C)と(D)の間に設置し、かつ
工程3で、個々の層を結合してラミネートにする
ことに特徴付けられる、請求項1から7までのいずれか1項に記載のラミネートを製造する方法。
【請求項9】
工程3は、使用される熱可塑性シロキサンコポリマーの軟化温度を10〜50℃上回る温度で、かつ周囲雰囲気の圧力、すなわち約1000hPaと20000hPaの間である圧力で実施される、請求項8に記載の方法。

【公表番号】特表2010−505670(P2010−505670A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531821(P2009−531821)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060693
【国際公開番号】WO2008/043749
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】