説明

熱可塑性ポリマーをベースとする粒子の製造方法及び得られる粉末

本発明は、熱可塑性ポリマーをベースとする平均直径1mm未満の粒子の製造方法に関する。本発明の方法は、より特定的には、熱可塑性ポリマー及び添加剤を含む組成物を調製する工程、該組成物を冷却する工程及び熱可塑性ポリマー分散体を砕壊する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリマーをベースとする粒子から成る粉末の製造方法に関する。本発明の方法は、より特定的には、熱可塑性ポリマー及び添加剤を含む溶融状態のブレンドを調製する工程、前記ブレンドを冷却する工程並びに砕壊(解凝集)によって粉末を回収する工程を含む。本発明はまた、本発明の方法によって得ることができる粉末にも関する。
【背景技術】
【0002】
粉末の形、特に一般的に直径1mm未満、好ましくは直径100μm未満の球状粒子の形にある熱可塑性ポリマーは、多くの用途において有利である。特定的には、ポリアミド粉末のような熱可塑性ポリマー粉末は、特に塗料中の添加剤として、例えば滑らない特性を有していなければならないスポーツホール(屋内スポーツ施設)の床をコーティングするための塗料中の添加剤として、用いられる。熱可塑性ポリマー粉末はまた、化粧品、例えばサンクリーム、ボディーケア又はフェイスケア用クリーム及びメーキャップ除去用製品中にも導入される。これらはまた、インク及び紙の分野にも用いられる。
【0003】
熱可塑性ポリマー粉末を得るための様々な方法が当業者に知られている。
【0004】
熱可塑性ポリマー粉末は、例えば初期平均直径約3mmの熱可塑性ポリマー粒体を粉砕又は極低温粉砕することによって、得ることができる。しかしながら、これらのサイズリダクションによる機械的変換によって得られる粒子は、形状が不規則なことが多く、しかもその寸法はめったに100μm未満にならない。また、これらの粒子は広い寸法分布を有することが多く、工業的規模で用いるのが難しいことがある。
【0005】
また、ポリマーを溶剤中に溶解させ、次いで沈殿させることによって熱可塑性ポリマー粉末を製造することも知られている。しかしながら、例えばポリアミドのようなポリマー用の溶剤は腐蝕性が高く且つ揮発性が高いので、安全性の条件が厳しく、この方法は工業的規模で採用することができない。さらに、この方法に従うと、粒子の形状を制御するのが難しく、このことはある種の用途にとっては有害となり得る。
【0006】
別の方法に従えば、熱可塑性ポリマー粉末は、該ポリマーのモノマーを重合させる際にその場で製造される。
【0007】
例えば、溶液状でのラクタムのアニオン重合によってポリアミド粉末のようなポリマー粉末を得ることが知られている。この重合は、モノマー、該モノマー用の溶剤、開始剤、触媒及び活性剤の存在下で実施され、ほぼ110℃の温度において撹拌しながら実施される。この方法は、ラクタムタイプのモノマーから得られるポリアミドに特異的なものである。この方法は、それほど融通性があるものではなく、粉末に望まれる最終特性に応じて例えばモノマーの性状を変えることによって粉末の性状を変えるということができない。また、ラクタム及びラクトンのアニオン重合によってコポリエステルアミド粉末を得ることも知られている。アニオン重合ルートによるこれらの方法は、特にアニオンルートの高い反応性のせいで、制御するのが難しい。
【特許文献1】フランス国特許第2793252号明細書
【特許文献2】国際公開WO03/051993号パンフレット
【特許文献3】フランス国特許第2743077号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、寸法が小さく、粒子寸法分布が狭く、形状が実質的に均一な粒子から成る熱可塑性材料粉末の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的で、本発明は、平均直径1mm未満の粒子から成る熱可塑性材料粉末の製造方法であって、
a.前記熱可塑性材料Pの離散粒子の分散体を得るために、前記熱可塑性材料Pと化合物又は添加剤Aとの溶融ブレンドを形成させ、ここで、前記化合物又は添加剤Aは、前記熱可塑性材料と相容性(compatible)である少なくとも1つの構造部分及び前記熱可塑性材料と非相容性(non compatible)であり且つ該熱可塑性材料中に不溶性である少なくとも1つの構造部分を含むポリマー材料から成り、
b.前記ブレンドを前記熱可塑性材料の軟化温度より低い温度まで冷却し、
c.熱可塑性材料の離散粒子の砕壊を起こさせるために前記の冷却されたブレンドを処理する
ことから成ることを特徴とする前記製造方法を提供する。
【0010】
本発明の別の特徴に従えば、前記ブレンドは、前記熱可塑性材料を溶融させ、固体の形又は溶融した形の前記化合物Aを添加し、混合エネルギーを加えて、有利には化合物Aによって構成される連続相中に分散した熱可塑性材料の離散粒子を形成させることによって、形成される。
【0011】
本発明の別の具体例において、このブレンドは、前記熱可塑性材料Pの粒子及び前記添加剤Aの粒子を固体状態でブレンドし(混合し)、粒子のこのブレンドを溶融させ、溶融ブレンドに混合エネルギーを加えて、有利には化合物Aによって構成される連続相中に分散した熱可塑性材料Pの離散粒子を形成させることによって、得ることができる。
【0012】
本発明のさらに別の特徴に従えば、前記ブレンド中の添加剤Aの重量濃度は、1%〜50%の範囲、有利には3%〜30%の範囲にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
より一般的には、前記ブレンドは、前記熱可塑性材料の加工用に採用される温度及び圧力条件に適合する任意の好適な装置、例えばエンドレススクリューミキサー又は撹拌ミキサーを用いて得ることができる。
【0014】
本発明の好ましい具体例に従えば、前記溶融ブレンドは、冷却工程の前に例えばフィラメント(糸)又はレース(紐)(joncs)の形に造形する。この造形は、ダイに通す押出プロセスによって有利に実施することができる。
【0015】
本発明の好ましい具体例に従えば、特に溶融ブレンドを造形する場合、この溶融ブレンドは、押出ダイを提供する押出機を用いて調製するのが好ましい。
【0016】
この溶融ブレンドは、任意の好適な手段によって冷却することができる。これらの中では、空気冷却又は液体中での急冷が好ましい。
【0017】
熱可塑性材料粉末の回収工程は、熱可塑性材料の離散粒子を砕壊するために処理することから成るのが有利である。この砕壊は、前記の冷却されたブレンドに剪断力を加えることによって成し遂げることができる。
【0018】
本発明の別の具体例に従えば、熱可塑性材料から作られた粒子の砕壊は、熱可塑性材料についての溶剤ではない液体であってしかし有利には添加剤Aについての溶剤である液体中で前記の冷却された溶融ブレンドを急冷することによって行われる。
【0019】
本発明の方法は、規則的な又は不規則な多面体形状の粒子から成る熱可塑性材料粉末を得ることを可能にする。熱可塑性材料粉末を構成するこれらの粒子は、多孔性を何ら示さず、その孔容積は0cm3/g又はその近辺である。
【0020】
本発明の方法は、任意の熱可塑性材料から粒子を製造することを可能にする。
【0021】
熱可塑性ポリマーの例としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン(例えばポリエチレン又はポリプロピレン)、ポリスチレン等を挙げることができる。
【0022】
本発明の方法の特定的な具体例に従えば、好ましい熱可塑性ポリマーはポリアミドである。
【0023】
当業者に周知の任意のポリアミドを本発明において用いることができる。このポリアミドは一般的に、ジカルボン酸及びジアミンから出発する重縮合によって得られるタイプのポリアミド又はラクタム及び/若しくはアミノ酸の重縮合によって得られるタイプのポリアミドである。本発明のポリアミドは、異なるタイプのポリアミドのブレンド並びに/又は同じタイプのポリアミドのブレンド、並びに/又は前記の同じタイプのポリアミド及び/若しくは異なるタイプのポリアミドに対応する様々なモノマーから出発して得られるコポリマーであることができる。
【0024】
本発明にとって好適であることができるポリアミドの例としては、ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、ポリアミド−11、ポリアミド−12、ポリアミド−4,6、ポリアミド−6,10、ポリアミド−6,12、ポリアミド−12,12、ポリアミド−6,36、半芳香族ポリアミド、例えばテレフタル酸及び/又はイソフタル酸から得られるポリフタルアミド、例えばAmodelの商品名で販売されているポリアミド、それらのコポリマー並びにそれらのアロイを挙げることができる。
【0025】
本発明の好ましい具体例に従えば、前記ポリアミドは、ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、それらのブレンド及びそれらのコポリマーから選択される。
【0026】
本発明の特定的な具体例に従えば、前記熱可塑性ポリマーは、星形マクロ分子鎖を含むポリマーである。かかる星形マクロ分子鎖を含むポリマーは、例えばフランス国特許第2743077号、同第2779730号の両明細書、米国特許第5959069号明細書、ヨーロッパ特許公開第0632703号、同第0682057号及び同第0832149号の各公報に開示されている。これらの化合物は、同じ分子量を有する線状ポリアミドと比較して改善された流動性を示すことが知られている。
【0027】
本発明の別の特定的な具体例に従えば、前記熱可塑性ポリマーは、
・次式(I):
【化1】

に相当するマクロ分子鎖30〜100モル%(境界を含む);及び
・次式(II):
【化2】

に相当するマクロ分子鎖0〜70モル%(境界を含む):
から成る重縮合物である。
(ここで、
X−Y−は、2個の反応性官能基F1及びF2の重縮合から得られる基であり、
1及びF2は、F1が−X−基の前駆体であり且つF2が−Y−基の前駆体であるか、又はその逆であるかであり、
1官能基同士は縮合によって互いに反応することができず、
2官能基同士は縮合によって互いに反応することができず、
Aは共有結合又は1〜20個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族炭化水素基であり、
2は2〜20個の炭素原子を有する分岐鎖状又は非分岐鎖状の脂肪族又は芳香族炭化水素基であり、
3及びR4は水素、ヒドロキシル基又は炭化水素基を表わし、
1は少なくとも2個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状又は環状の芳香族又は脂肪族炭化水素基であり、
n、m及びpはそれぞれ50〜500の範囲の数、好ましくは100〜400の範囲の数を表わす。)
【0028】
かかる重縮合物は、国際公開WO05/019510号パンフレットに開示されているので、必要ならばこれを参照されたい。この重縮合物は、
・次式(I):
【化3】

に相当するマクロ分子鎖30〜100モル%(境界を含む);及び
・次式(II):
【化4】

に相当するマクロ分子鎖0〜70モル%(境界を含む):
から成り、
X及びYが、Xが
【化5】

であり且つYが
【化6】

であるか、又はXが
【化7】

であり且つYが
【化8】

であるかのいずれかであり、
Aが共有結合又は1〜20個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族炭化水素基であり、
2が2〜20個の炭素原子を有する分岐鎖状又は非分岐鎖状の脂肪族又は芳香族炭化水素基であり、
3及びR4が水素、ヒドロキシル基又は
【化9】

若しくは
【化10】

基を含む炭化水素基を表わし、
5が水素又は1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基を表わし、
1が少なくとも2個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状又は環状の芳香族又は脂肪族炭化水素基であり、
n、m及びpはそれぞれ50〜500の範囲の数、好ましくは100〜400の範囲の数を表わす
ポリアミドであるのが有利である。
【0029】
本発明において用いられる熱可塑性ポリマーには、艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、顔料、染料又は充填剤、特に抗摩耗充填剤のような各種添加剤を含ませることができる。例として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ又は硫化亜鉛を特に挙げることができ、これらは艶消し剤及び/又は抗摩耗剤として用いられる。
【0030】
本発明の別の特徴に従えば、添加剤Aはブロックタイプ、シーケンス(序列)タイプ、櫛形タイプ、多分岐タイプ又は星形タイプのポリマーであるのが有利である。かくして、熱可塑性材料と相容性の構造が、ブロック、シーケンス、櫛の主鎖若しくは歯、又は星形ポリマー若しくは多分岐ポリマーの中心部若しくは分岐を構成する。
【0031】
本発明の好ましい具体例に従えば、添加剤Aの相容性構造は、熱可塑性ポリマーPの官能基と化学的に同一の官能基を含む。
【0032】
本発明の好ましい具体例に従えば、添加剤Aは、少なくとも1つのポリ(アルキレンオキシド)ブロックを含む、下に定義するポリマーD及び多分岐ポリマーEより成る群から選択される。
【0033】
前記ポリマーDは、熱可塑性特性を有するポリマーであって、以下のような熱可塑性ポリマーブロック及び少なくとも1つのポリ(アルキレンオキシド)ブロックを含む:
・前記熱可塑性ポリマーブロックは、少なくとも3つの同一の反応性官能基を含む少なくとも1つの多官能性中心部に少なくとも1つの分岐又はセグメントが結合して成る星形又はHマクロ分子鎖を含む;
・前記ポリ(アルキレンオキシド)ブロック(群)は、前記星形又はHマクロ分子鎖の自由端部(これは熱可塑性ポリマーの分岐又はセグメントの端部及び多官能性中心部の端部から選択される)の少なくとも一部に結合する。
【0034】
かかる熱可塑性ポリマー及びそれらの製造方法は、特に国際公開WO03/002668号パンフレットに開示されているので、必要ならばこれを参照されたい。
【0035】
前記ポリマーDの星形マクロ分子鎖は、以下の(a)〜(c)を含むモノマーの混合物から出発する共重合によって得られる星形ポリアミドであるのが有利である:
(a)アミン官能基及びカルボン酸官能基から選択される少なくとも3つの同一の反応性官能基を含む多官能性化合物、
(b)次の一般式(IIa)及び/又は(IIb)のモノマー:
【化11】

【化12】

(c)適宜に次の一般式(III)のモノマー:
【化13】

(ここで、
Zは前記多官能性化合物の反応性官能基と同一の官能基を表わし、
1及びR2は2〜20個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含んでいてもよい同一の又は異なる置換又は非置換の脂肪族又は環状脂肪族又は芳香族炭化水素基を表わし、
Yは、Xがカルボン酸官能基を表わす場合には第1アミン官能基であり、Xが第1アミン官能基を表わす場合にはカルボン酸官能基を表わす)。
【0036】
前記ポリマーDの熱可塑性ポリマーブロックのHマクロ分子鎖は、以下の(a)〜(d)を含むモノマーの混合物から出発する共重合によって得られるHポリアミドであるのが有利である:
(a)アミン官能基及びカルボン酸官能基から選択される少なくとも3つの同一の反応性官能基を含む多官能性化合物、
(b)ラクタム及び/又はアミノ酸、
(c)ジカルボン酸又はジアミンから選択される二官能性化合物、
(d)官能基がアミン官能基又はカルボン酸官能基のいずれかである一官能性化合物
(ここで、
(c)及び(d)の官能基は(a)の官能基が酸である場合にはアミンであり、(a)の官能基がアミンである場合には酸であり、
(a)の官能基対(c)及び(d)の官能基の合計の当量比は1.5〜0.66の範囲であり、
(c)の官能基対(d)の官能基の当量比は0.17〜1.5の範囲である)。
【0037】
星形又はHマクロ分子鎖の多官能性化合物は、式(IV)によって表わされるものであるのが有利である。
【化14】

(ここで、
1は少なくとも2個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状又は環状の芳香族又は脂肪族炭化水素基であり、
Aは共有結合又は1〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、
Zは第1アミン基又はカルボン酸基を表わし、
mは3〜8の範囲の整数である。)
【0038】
前記多官能性化合物は、2,2,6,6−テトラ(β−カルボキシエチル)シクロヘキサノン、トリメシン酸、2,4,6−トリ(アミノカプロン酸)−1,3,5−トリアジン又は4−アミノエチル−1,8−オクタンジアミンから選択するのが好ましい。
【0039】
前記ポリマーDのポリ(アルキレンオキシド)PAOブロックは、線状のものであるのが好ましい。これは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(トリメチレンオキシド)又はポリ(テトラメチレンオキシド)ブロックから選択することができる。前記のブロックがポリ(エチレンオキシド)をベースとする場合、これはブロックの端部にプロピレングリコール単位を含むことができる。ポリマーDのポリ(アルキレンオキシド)ブロックは、ポリ(エチレンオキシド)ブロックであるのが好ましい。
【0040】
前記ポリマーDの熱可塑性ポリマーブロックのマクロ分子鎖の自由端部のすべてがポリ(アルキレンオキシド)ブロックに結合しているのが有利である。
【0041】
本発明に従う用語「多分岐ポリマーE」とは、2より大きい官能性を有する化合物の存在下における重合によって得られ、完全には制御されない構造を有する、分岐したポリマー構造を意味するものとする。これらはランダムコポリマーであることが多い。多分岐ポリマーは、例えば、特にそれぞれが少なくとも2個の異なる重合用反応性官能基を有する多官能性モノマー同士(例えば三官能性モノマー及び二官能性モノマー)の間の反応によって得ることができる。
【0042】
本発明の多分岐ポリマーEは、多分岐ポリエステル、ポリエステルアミド及びポリアミドから選択するのが有利である。
【0043】
本発明の多分岐ポリマーEは、次のものの間の反応によって得られるタイプの多分岐コポリアミドであるのが好ましい:
・次式(I)の少なくとも1種のモノマー:
【化15】

(ここで、
Aは第1のタイプの重合用反応性官能基であり、
BはAと反応することができる第2のタイプの重合用反応性官能基であり、
Rは炭化水素単位であり、
fはモノマー1個当たりの反応性官能基Bの総数であり、2以上、好ましくは2〜10の範囲の数である);
・次式(II)の少なくとも1種のモノマー又は対応するラクタム:
【化16】

(ここで、
A'、B'及びR'は式(I)においてA、B及びRについてそれぞれ上に与えたものと同じ定義を有する);
・次式(III)の少なくとも1種の「中心部」モノマー又は次式(IV)の少なくとも1種の「連鎖制限用」モノマー:
【化17】

(ここで、
1はシリコーンタイプ、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキルタイプ、芳香族タイプ、アルキルアリールタイプ、アリールアルキルタイプ又は環状脂肪族タイプの置換又は非置換炭化水素基であって、不飽和及び/又はヘテロ原子を含んでいてもよく、
B''はB又はB'と同じ性状の反応性官能基であり、
nは1以上、好ましくは1〜100の範囲の数である);
【化18】

(ここで、
2はシリコーンタイプ、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキルタイプ、芳香族タイプ、アリールアルキルタイプ、アルキルアリールタイプ又は環状脂肪族タイプの置換又は非置換炭化水素基であって、1個以上の不飽和及び/又は1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、
A''はA又はA'と同じ性状の反応性官能基である);
(ここで、(I)/(II)のモル比I/IIは、0.05<I/II、好ましくは0.125≦I/II≦2とし;
モノマー(I)又はモノマー(II)の少なくとも一方のR又はR'単位の少なくとも1つは脂肪族、環状脂肪族又はアリール脂肪族であり;
1及び/又はR2はポリオキシアルキレン基である)。
【0044】
かかるコポリアミドは、国際公開WO00/68298A1号パンフレット(特に第11頁第3〜6行)に開示されているので、必要ならばこれを参照されたい。
【0045】
重合用反応性官能基A、B、A'及びB'は、カルボン酸官能基及びアミン官能基より成る群から選択するのが有利である。
【0046】
前記の多分岐コポリアミドの式(I)のモノマーは、Aがアミン官能基を表わし、Bがカルボン酸官能基であり、Rが芳香族基を表わし且つfが2である化合物であるのが有利である。
【0047】
1及び/又はR2は、Jeffamine(登録商標)タイプのアミノ化ポリオキシアルキレン基であるのが有利である。
【0048】
前記組成物には、ポリマーP及び添加剤Aに加えて、他の化合物を含ませることができる。
【0049】
本発明の1つの具体例において、前記添加剤Aは、熱可塑性材料P中に不溶性であり且つ熱可塑性材料Pと非相容性である化合物Bとの組合せとして用いられる。この化合物Bは、化合物Aの構造の少なくとも一部と相容性の化学構造、特に化合物Pと非相容性の構造部分を有するのが有利である。本発明にとって好適な化合物Bの例としては、多糖類、ポリ(アルキレングリコール)及びポリオレフィンの類に属する化合物を挙げることができる。化合物Bは、化合物Aとは別に添加することもでき、化合物Aの少なくとも一部とのブレンドの形で添加することもできる。
【0050】
これはまた、材料Pとの予備ブレンドにすることもできる。
【0051】
本発明に従うブレンドを調製するためには、当業者に周知の任意のブレンド調製方法を採用することができる。例えば、熱可塑性ポリマーPの粒体と添加剤Aとの緊密ブレンド操作又は熱可塑性ポリマーPの粒体と添加剤Aの粒体とのブレンド操作を実施することができる。熱可塑性ポリマーPはまた、添加剤でコーティングされた粒体の形で提供することもできる。添加剤Aは、重合プロセスの間、有利には重合の終わりに、ポリマーP中に導入することができる。また、溶融状態のポリマーに添加剤Aを導入することもできる。
【0052】
工程(a)は、撹拌しながら溶融ブレンドを調製することから成る。
【0053】
この工程は、熱可塑性材料を加工するための圧力及び温度条件に適合する任意の混合装置を用いて実施するのが有利である。工程(a)は、押出機中で実施するのが好ましく、二軸スクリュー又は多軸スクリュー押出機中で実施するのがより一層好ましい。
【0054】
前記ブレンドは、上記の方法に従って調製することができ、次いで工程(a)の際に用いられる押出装置中に導入することができる。前記ブレンドは、固体又は液体の形、例えば溶融状態で導入することができる。
【0055】
前記ブレンドは、工程(a)の際に用いるのと同じ押出装置中でその場で調製することもできる。
【0056】
工程(a)の際の撹拌は、組成物の剪断及び熱可塑性材料と添加剤Aとの効率的な混合を可能にする。加えられる剪断エネルギーは、ブレンドされるべき物質の性状及び熱可塑性材料粒子に望まれる寸法に応じて決定される。
【0057】
前記のブレンドは、工程(b)に従って冷却する前に、当業者に周知の慣用の方法でダイに通して押出することによってレース、ストランド又はフィルムの形に造形することができる。
【0058】
工程(b)は少なくとも前記熱可塑性ポリマーを固化させるために前記ブレンドを冷却することから成る。この冷却は、空気又は水を使って慣例的に実施することができる。
【0059】
冷却されたブレンドから出発して熱可塑性ポリマー粒子を砕壊する工程は、様々な方法に従って実施することができる。
【0060】
かくして、第1の方法は、この砕壊を起こさせるのに必要な機械力、例えば擦り、剪断又は捻りを加えることから成る。
【0061】
別の具体例においては、冷却されたブレンドを例えば水のような液体中に導入した時に即座に砕壊が起こる。
【0062】
さらに別の具体例において、前記液体は添加剤Aについての溶剤であるのが有利である。これにより、添加剤Aの大部分を回収することができ、例えばこれを再利用することもできる。さらには、熱可塑性ポリマー粉末中に含まれる不純物や添加剤Aの量が少なくなる。
【0063】
別の場合においては、添加剤Aを除去せずに熱可塑性材料粒子の表面に存在させたままとしてこれらの粒子の表面特性を変性するのが有利なこともある。
【0064】
有利には、工程(b)及び(c)を同時に実施する。例えば、ブレンドを、ダイに通した押出の後に、添加剤Aについての溶剤であってポリマーPについての非溶剤を含ませた反応器中に直接導入することができる。
【0065】
随意に、ポリマーPの粒子を溶剤/添加剤A溶液から単離する。この単離は、液相から懸濁状態の固相を分離することを可能にする任意の手段によって実施することができる。単離は、例えば濾過、沈降分離、遠心分離又は噴霧から成ることができる。
【0066】
例えば水性分散体に関しては、例えば噴霧によって単離を実施することによって、分散体中に存在するものと同等の寸法を有する個々の粒子及び/又は粒子の凝集体から成る粉末を回収することができる。これらの凝集体は一般的に水のような水性媒体中に容易に再分散させることができ、また、振動を加えることによっても粉末にすることができる。水を除去するため又は粉末を回収するための別の手段を採用することもでき、例えば濾過又は遠心分離し、次いで濾過ケーク乾燥をさせることができる。
【0067】
こうして得られたポリマーPの粒子を、洗浄し、乾燥させることができる。
【0068】
本発明の方法は、特に工程(a)の際の撹拌、化合物A及び/又はBの性状、温度並びにブレンドの各種成分の濃度を調節することによって、制御された幾何学構造の粒子を得ることを可能にする。
【0069】
本発明の方法によって得ることができる熱可塑性材料粉末も、本発明の主題事項の1つである。
【0070】
本発明の方法に従って得られる粒子は、球状粒子であるのが有利である。
【0071】
用語「球状粒子」とは、本質的に球状形態の粒子を意味するものとする。
【0072】
これらの球状粒子の平均直径は、100μm未満であるのが好ましい。
【0073】
用語「平均直径」とは、粒子の寸法分布のほぼ中心となる値を意味するものとする。
【0074】
本発明の方法に従って得られる粒子は、30μm又はそれ未満の平均直径を示すのが有利である。これらは、好ましくは10μm又はそれ未満、より一層好ましくは5μm又はそれ未満、特に1μm未満、特に0.1μm程度の平均直径を示す。粒子の寸法分布は一般的に、当業者に周知の方法に従ってレーザー粒度分析によって決定される。
【実施例】
【0075】
本発明のその他の詳細や利点は、以下に与えた実施例や添付した図面(得られた分散体の写真を表わす)を見ればより一層明らかになるであろう。
【0076】
例1:
【0077】
用いた材料は、次のものである。
ポリマーP:相対粘度2.6のポリアミド6,6
添加剤A:次の方法で調製した親水性星形ポリアミド−ポリ(アルキレンオキシド)コポリマー。
【0078】
機械式撹拌機を備えた7.5リットルのオートクレーブ中に、1116.0gのε−カプロラクタム(9.86モル)、57.6gの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(0.27モル)、1826.4gのJeffamine(登録商標)M2070(0.82モル)、1.9gのUltranox(登録商標)236及び3.5gの50%(w/w)次亜リン酸水溶液を導入する。
【0079】
この反応混合物を窒素下で大気圧において250℃にし、この温度に1時間保つ。この系を次いで30分かけて徐々に圧力を下げて5ミリバールの真空にし、次いでさらに1時間真空下に保つ。この系を次いでプレート上に注ぐ。
【0080】
Thermo Electron社より販売されているPrism 24D二軸スクリュー押出機中に、ポリマーPの粒体を容量による供給を用いて導入し、ペレットの形の添加剤Aは重量による供給を用いて導入する。これら2つの計量供給装置の処理量は、添加剤Aを10重量%含むブレンドが得られるように調節する。このブレンドを1.66kg/時間の処理量で押出する。押出機の様々な帯域の温度は、265〜295℃の範囲とする。スピードは200rpmに設定する。記録された圧力は、11〜12バールの範囲である。得られたレースをダイ出口において水流によって急冷し、金属バスケット中に採集し、水切りし、次いで乾燥させる。
【0081】
採集されたレースを次いで単純に機械的に撹拌することによって水中に分散させる。こうして得られた分散体を、レースの非分散性断片のような大きい固体状不純物を除去するために、200μmの篩を用いて篩分けする。篩分け後の重量による回収効率は97%超である。分散体中に存在する粒子の粒子寸法分布は、Malvern Instruments社より販売されているMasterSizer 2000装置を用いて測定する。超音波を当てた後に得られた容量によって表わされるこの分布は単峰型(単一モード)であり、0.750μmの粒子直径付近を中心としていた。添付した図1に、得られた分散体の写真を示す。
【0082】
この水性分散体を次いで通気オーブン中で乾燥させることによって、分散体中に存在するものと同等の寸法を有する個々の粒子及び/又は粒子の凝集体を含むポリアミド粉末を回収する。これらの凝集体は、水のような水性媒体中に容易に再分散され、又は超音波を当てることによって寸法が小さくなる。
【0083】
例2〜14:
【0084】
これらの例のために用いた材料は、次のものである:
ポリマーP:相対粘度2.6のポリアミド6,6
添加剤A:例1に記載した通りの親水性星形ポリアミド−ポリ(アルキレンオキシド)コポリマー。
【0085】
Thermo Electron社より販売されているPrism 24D二軸スクリュー押出機中に、ポリマーPの粒体を容量による供給を用いて導入し、ペレットの形の添加剤Aは重量による供給を用いて導入する。これら2つの計量供給装置の処理量は、添加剤Aの濃度を変化させることができるように調節する。各ブレンドについての押出条件(処理量kg/時間及びスピードrpm)を下記の表Iに示す。押出スクリューの様々な帯域における温度は、260〜300℃の範囲とする。
【0086】
得られたレースをダイ出口において水流によって急冷し、金属バスケット中に採集し、水切りし、次いで乾燥させる。
【0087】
採集されたレースを次いで単純に機械的に撹拌することによって水中に分散させる。得られた分散体を篩分けし、例1に記載した手順に従って特徴測定をする。その結果を下記の表Iに示す。
【0088】
【表1】

【0089】
例16〜18:
【0090】
これらの例において用いた熱可塑性ポリマーPは、次のものである:
ポリマーP1:相対粘度2.7のポリアミド6、又は
ポリマーP2:相対粘度4.0のポリアミド6
添加剤Aは前の例において用いたものと同一である。
【0091】
Thermo Electron社より販売されているPrism型24D二軸スクリュー押出機中に、ポリマーP(P1又はP2)の粒体を容量による供給を用いて導入し、ペレットの形の添加剤Aは重量による供給を用いて導入する。2つの計量供給装置の処理量は、ブレンド中の添加剤Aの量を変化させることができるように調節する(下記の表IIを参照されたい)。これらのブレンドを1.9〜2.2kg/時間の範囲の一定処理量で押出する。押出機の様々な帯域の温度は、245〜280℃の範囲とする。スピードは200rpmに固定する。記録された圧力は11バールである。得られたレースをダイ出口において水流によって急冷し、金属バスケット中に採集し、水切りし、次いで乾燥させる。
【0092】
採集されたレースを次いで単純に機械的に撹拌することによって水中に分散させる。得られた分散体を篩分けし、例1に記載した手順に従って特徴測定をする。装填した材料に対する重量による回収効率は、90%より高かった。分散体中のポリアミド6粒子の粒子寸法分布は単峰型だった。それぞれの組成物の粒子の中心直径を下記の表に示す。
【0093】
【表2】

【0094】
例19:
【0095】
螺旋リボンタイプの機械式撹拌機と窒素入口と出口における蒸留カラムとを備えた300ミリリットルの容量の金属製反応器中で調製を実施する。
【0096】
水中のナイロン6,6の塩(ヘキサメチレンジアミンアジピン酸塩)の52%溶液288.5g、即ちナイロン塩0.5717モルを導入する。次いでこの反応器を窒素でパージし、次いで45分かけて126℃に加熱してナイロン塩を70%まで濃縮する。反応器の全ての弁を閉じ、温度を27分かけて231℃に上昇させる。こうして圧力が16.5バールに達する。この反応器を、圧力横ばい状態に48分間放置しながら、その間に温度を250℃に上昇させる。この反応混合物を次いで36分かけて圧抜きし、この間に温度を272℃に上昇させる。
【0097】
例1に記載したようにして調製した親水性星形ポリアミド−ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーである添加剤A32.35gを固体の形で5分かけて添加する。
【0098】
この反応混合物を次いで272℃においてさらに25分間撹拌し続ける。
【0099】
次いで反応器の内容物を僅かに過剰の窒素加圧下で900gの蒸留水中に注ぐ。単純に撹拌することによってポリマーP粒子の分散体が得られる。この分散体を篩分けし、例1に記載したものと同じ手順に従って粒子寸法分布を測定する。分散体の分布は単峰型であり、粒子寸法ピークは950nm付近を中心としていた。
【0100】
例20〜24
【0101】
これらの例で用いた材料は、熱可塑性ポリマーPは相対粘度2.6のポリアミド6,6から成り、添加剤Aは下記の化合物の内の1つである:
【0102】
添加剤A:例1に記載した親水性星形ポリアミド−ポリ(アルキレンオキシド)コポリマー。
【0103】
添加剤A2:次の方法で調製したポリアミド−ポリ(アルキレンオキシド)ジブロックコポリマー:
【0104】
機械式撹拌機を備えた500ミリリットル反応器中に次のものを導入する:
【0105】
73.3gのε−カプロラクタム(648ミリモル)、7.9gの安息香酸(65ミリモル)、138.8gのJeffamine(登録商標)M2070(65ミリモル)、128mgのUltranox(登録商標)236及び185マイクロリットルの50%(w/w)次亜リン酸水溶液。
【0106】
この反応混合物を窒素下で大気圧において160℃にし、この温度に3時間保つ。この反応媒体を次いで250℃にし、次いでこの温度に1時間保つ。この系を次いで徐々に圧力を下げて5ミリバールの真空に到達させ、次いでさらに2時間真空下に保つ。合成の終わりにポリマー195gが採集された。
【0107】
添加剤A3:次の方法で調製したポリアミド−ポリ(アルキレンオキシド)トリブロックコポリマー:
【0108】
添加剤A2について用いたものと同じ反応器中で同じ温度、撹拌及び圧力条件下で反応を実施する。83.6gのε−カプロラクタム(739ミリモル)、4.5gのアジピン酸(31ミリモル)、131.9gのJeffamine(登録商標)M2070(62ミリモル)、143mgのUltranox(登録商標)236及び208マイクロリットルの50%(w/w)次亜リン酸水溶液を反応器中に導入する。合成の終わりにポリマー166gが採集された。
【0109】
添加剤A4:次の方法で調製したポリアミド−ポリ(アルキレンオキシド)トリブロックコポリマー:
【0110】
添加剤A2について用いたものと同じ反応器中で同じ温度、撹拌及び圧力条件下で反応を実施する。83.3gのε−カプロラクタム(737ミリモル)、5.1gのテレフタル酸(31ミリモル)、131.6gのJeffamine(登録商標)M2070(61ミリモル)、143mgのUltranox(登録商標)236及び207マイクロリットルの50%(w/w)次亜リン酸水溶液を反応器中に導入する。合成の終わりにポリマー192gが採集された。
【0111】
添加剤A5:次の方法で調製したポリアミド−ポリ(アルキレンオキシド)トリブロックコポリマー:
【0112】
添加剤A2について用いたものと同じ反応器中で同じ温度、撹拌及び圧力条件下で反応を実施する。121.1gのε−カプロラクタム(1072ミリモル)、3.3gのアジピン酸(22ミリモル)、95.6gのJeffamine(登録商標)M2070(45ミリモル)、200mgのUltranox(登録商標)236及び289マイクロリットルの50%(w/w)次亜リン酸水溶液を反応器中に導入する。合成の終わりにポリマー157gが採集された。
【0113】
DSM Xplore社より15ml Twinscrew Compounderの名前で販売されている再循環チャネルを備えた円錐形二軸スクリューミニ押出機中に、ポリマーPの粒体(80重量%)と懸案下の添加剤(20重量%)(表III)との80/20ブレンド10gを導入する。混合時間(t)、温度(T)及びスクリュースピード(S)はそれぞれ次のように設定する:
t=4分
T=275℃
S=100rpm。
【0114】
得られたレースをダイ出口において水浴中で急冷し、採集し、水切りし、次いで乾燥させる。
【0115】
採集されたレースを次いで、Retsch社よりZM 1000の名前で販売されているミル(2mmスクリーン)を用いて粉砕する。これらの粉砕されたレースを次いで単純に機械的に撹拌することによって水中に分散させる。次いで、得られた分散体のそれぞれに、Bioblock Scientific社よりVibraCell 72412の名前で販売されているプローブを用いて超音波を当てる。それぞれの分散体を次いで、レースの非分散性断片のような大きい固体状不純物を除去するために、200μmの篩を用いて篩分けする。それぞれの分散体について、篩分け後の熱可塑性ポリマーPについての重量による回収効率を下記の表IIIに示す。それぞれの分散体中に存在する粒子の粒子寸法分布を、Malvern Instruments社より販売されているMasterSizer 2000と称される装置を用いて測定する。容量によって表わされるこの分布は単峰型だった。粒子直径として表わした粒子寸法モードピークも下記の表IIIに示す。
【0116】
【表3】

【0117】
例25〜30:
【0118】
これらの例において用いた材料は、下に示すポリマーの内の1種から成る熱可塑性ポリマーP並びに下記の化合物の内の1種である添加剤である:
【0119】
P1:相対粘度2.7のポリアミド6。
【0120】
P3:カプロラクタムの重縮合にアジピン酸1.3重量%(1モル%)を添加することによって得られたポリマー。重縮合プロセスは標準的なポリアミド6のものである。得られたポリマーは67ミリリットル/gのIVを示す。
【0121】
P4:フランス国特許第2743077号明細書に開示された方法に従い、約0.5モル%の2,2,6,6−テトラ(β−カルボキシエチル)シクロヘキサノンの存在下でカプロラクタムから出発する共重合によって得られた星形ポリアミド。
【0122】
添加剤A:例1に記載した親水性星形ポリアミド−ポリ(アルキレンオキシド)コポリマー。
【0123】
添加剤A6:トリブロックコポリマー:ポリ(エチレンオキシド)−ブロック−ポリ(プロピレンオキシド)−ブロック−ポリ(エチレンオキシド);CAS番号:9003−11−6;Aldrich社より販売されている製品(参照番号412325、質量Mn約14600g/モル;PEG82.5重量%)。
【0124】
DSM Xplore社より15ml Twinscrew Compounderの名前で販売されている再循環チャネルを備えた円錐形二軸スクリューミニ押出機中に、ポリマーPの粒体と懸案下の添加剤Aとのブレンド(その組成は下記の表IVに示す)10gを導入する。混合時間、温度及びスクリュースピードは、それぞれ次のように設定する:
t=4分、
T=250℃、
S=100rpm。
【0125】
得られたレースをダイ出口において水浴中で急冷し、採集し、水切りし、次いで乾燥させる。
【0126】
採集されたレースを次いで前記の例番号20〜24におけるように処理する。重量による効率に関する結果及び寸法に関する結果を下記の表IVに示す。
【0127】
【表4】

【0128】
例31〜33:
【0129】
これらの例において用いた材料は、熱可塑性ポリマーPは以下に示すポリマーの内の1種から成り、添加剤Aは例1に記載した親水性星形ポリアミド−ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーである:
【0130】
P5:Degussa社よりPA6-12 Vestamid D16(登録商標)の名前で販売されているポリアミド6,12;
【0131】
P6:Atofina社よりPPH 7059(登録商標)の名前で販売されているポリプロピレン;
【0132】
P7:VIPO-Polymer NK社より74A40 PC 95(登録商標)の名前で販売されているポリエステル。
【0133】
DSM Xplore社より15ml Twinscrew Compounderの名前で販売されている再循環チャネルを備えた円錐形二軸スクリューミニ押出機中に、ポリマーPの粒体と懸案下の添加剤Aとのブレンド(その組成は下記の表Vに示す)10gを導入する。混合時間及びスクリュースピードは、それぞれ次のように設定する:
t=4分、
S=100rpm。
【0134】
それぞれの添加剤−ポリマーの組合せについての混合温度は、下記の表Vに示す。
【0135】
得られたレースをダイ出口において水浴中で急冷し、採集し、水切りし、次いで乾燥させる。
【0136】
採集されたレースを次いで前記の例番号20〜24におけるように処理する。重量による効率に関する結果及び寸法に関する結果を下記の表Vに示す。
【0137】
【表5】

【0138】
例34:
【0139】
この例において用いた材料は、相対粘度2.7のポリアミド6であるポリマーP1及び国際公開WO03/051993号パンフレットの例2に従うアルキルを末端基とする多分岐ポリアミドコポリマーである添加剤A7である。
【0140】
DSM Xplore社より15ml Twinscrew Compounderの名前で販売されている再循環チャネルを備えた円錐形二軸スクリューミニ押出機中に、ポリアミド6の粒体(60重量%)と添加剤A7(40重量%)とから成るブレンド10gを導入する。混合時間、温度及びスクリュースピードは、それぞれ次のように設定する。
t=4分、
T=250℃、
S=100rpm。
【0141】
得られたレースをダイ出口において水浴中で急冷し、採集し、水切りし、次いで乾燥させる。
【0142】
採集されたレースを次いで電磁式で撹拌しながらシクロヘキサン中に分散させる。光学顕微鏡による観察で、1〜25μmの寸法を有するポリアミド6から成る球状粉末の存在が示された。
【0143】
例35〜37:
【0144】
これらの例で用いた材料は、熱可塑性ポリマーPは下に示すポリマーの内の1種から成り、添加剤AはRhodia 社よりRepel-O-Tex SRP6(登録商標)の名前で販売されているポリエチレングリコール-ポリエステルコポリマー添加剤(添加剤A8)である:
【0145】
P1:相対粘度2.7のポリアミド6、
【0146】
P7:VIPO-Polymer NK社より74A40 PC 95の名前で販売されているポリエステル。
【0147】
DSM Xplore社より15ml Twinscrew Compounderの名前で販売されている再循環チャネルを備えた円錐形二軸スクリューミニ押出機中に、ポリマーPの粒体と懸案下の添加剤A8とから成るブレンド(その組成は下記の表VIに示す)10gを導入する。混合時間及びスクリュースピードは、それぞれ次のように設定する:
t=4分
S=100rpm。
【0148】
それぞれの添加剤−ポリマーの組合せについての混合温度を、下記の表VIに示す。
【0149】
得られたレースをダイ出口において水浴中で急冷し、採集し、水切りし、次いで乾燥させる。
【0150】
採集されたレースを次いで前記の例番号20〜24におけるように処理する。重量による効率に関する結果及び寸法に関する結果を下記の表VIに示す。
【0151】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】例1において得られた分散体の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均直径1mm未満の粒子から成る熱可塑性材料Pから作られた粉末の製造方法であって、
a.前記熱可塑性材料Pの離散粒子の分散体を得るために、前記熱可塑性材料Pと添加剤Aとの溶融ブレンドを形成させ、ここで、前記添加剤Aは、前記熱可塑性材料Pと相容性である少なくとも1つの構造部分及び前記熱可塑性材料Pと非相容性であり且つ該熱可塑性材料P中に不溶性である少なくとも1つの構造部分を含むポリマー材料から成り、
b.前記ブレンドを前記熱可塑性材料Pの軟化温度より低い温度まで冷却し、
c.熱可塑性材料Pの離散粒子の砕壊を起こさせるために前記の冷却されたブレンドを処理する
ことから成ることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記熱可塑性材料Pを溶融させ、固体の形又は溶融した形の前記添加剤Aを添加し、混合エネルギーを加えて、熱可塑性材料の離散粒子の形成を起こさせることによって、前記ブレンドを形成させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱可塑性材料Pの粒子及び前記添加剤Aの粒子を固体状態でブレンドし、粒子のこのブレンドを溶融させ、溶融したブレンドに混合エネルギーを加えて、熱可塑性材料Pの離散粒子を形成させることによって、前記ブレンドを形成させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ブレンド中の添加剤Aの重量濃度を1%〜50%の範囲にすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ブレンド中の添加剤Aの重量濃度を3%〜30%の範囲にすることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記溶融ブレンドを冷却工程の前に造形することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記の造形工程がダイに通す押出プロセスであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶融ブレンドを押出ダイを提供する押出機中で調製することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却が空気冷却であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記冷却が液体中での急冷によって達成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
熱可塑性材料Pから作られた粒子を砕壊するための処理を、前記の冷却されたブレンドに剪断力を加えることによって行うことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性材料Pから作られた粒子を砕壊するための処理を、前記の冷却された溶融ブレンドを該熱可塑性材料Pについての溶剤ではない液体中で急冷することによって行うことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記液体が添加剤Aについての溶剤であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱可塑性材料P粉末を構成する粒子が規則的な又は不規則な多面体形状を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記熱可塑性ポリマーがポリアミド又はポリエステルであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記熱可塑性ポリマーがポリアミド−6、ポリアミド−6,6、ポリアミド−11、ポリアミド−12、ポリアミド−4,6、ポリアミド−6,10、ポリアミド−6,12、ポリアミド−12,12、ポリアミド−6,36、それらのコポリマー及びそれらのアロイより成る群から選択されるポリアミドであることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記熱可塑性ポリマーが艶消し剤、熱及び/又は光安定剤、顔料、染料並びに充填剤、特に抗摩耗充填剤より成る群から選択される添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記添加剤Aがブロックタイプ、シーケンスタイプ、櫛形タイプ、多分岐タイプ又は星形タイプのポリマーであることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記熱可塑性材料と相容性の構造が、ブロックタイプのポリマーのブロック、シーケンスポリマーのシーケンス、櫛形ポリマーの歯、又は星形ポリマー若しくは多分岐ポリマーの中心部若しくは分岐を構成することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記添加剤Aの相容性構造が前記熱可塑性ポリマーの官能基と同一の官能基を含むことを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記添加剤Aが次の熱可塑性ポリマーブロック及び少なくとも1つのポリ(アルキレンオキシド)ブロックを含むブロックコポリマーDであり、
前記熱可塑性ポリマーブロックが、少なくとも3つの同一の反応性官能基を含む少なくとも1つの多官能性中心部に少なくとも1つの分岐又はセグメントが結合して成る星形又はHマクロ分子鎖を含み、
前記ポリ(アルキレンオキシド)ブロック(群)が、熱可塑性ポリマーの分岐又はセグメントの端部及び多官能性中心部の端部から選択される前記星形又はHマクロ分子鎖の自由端部の少なくとも一部に結合する
ことを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記ポリマーDの熱可塑性ポリマーブロックのHマクロ分子鎖が、
(a)アミン官能基及びカルボン酸官能基から選択される少なくとも3つの同一の反応性官能基を含む多官能性化合物、
(b)ラクタム及び/又はアミノ酸、
(c)ジカルボン酸又はジアミンから選択される二官能性化合物、
(d)官能基がアミン官能基又はカルボン酸官能基のいずれかである一官能性化合物
(ここで、
(c)及び(d)の官能基は、(a)の官能基が酸である場合にはアミンであり、(a)の官能基がアミンである場合には酸であり、
(a)の官能基対(c)及び(d)の官能基の合計の当量比は1.5〜0.66の範囲であり、
(c)の官能基対(d)の官能基の当量比は0.17〜1.5の範囲である)
を含むモノマーの混合物から出発する共重合によって得られるHポリアミドであることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記多官能性化合物が次式(IV):
【化1】

(ここで、
1は少なくとも2個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状又は環状の芳香族又は脂肪族炭化水素基であり、
Aは共有結合又は1〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、
Zは第1アミン基又はカルボン酸基を表わし、
mは3〜8の範囲の整数である)
で表わされることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記多官能性化合物が2,2,6,6−テトラ(β−カルボキシエチル)シクロヘキサノン、トリメシン酸、2,4,6−トリ(アミノカプロン酸)−1,3,5−トリアジン又は4−アミノエチル−1,8−オクタンジアミンから選択されることを特徴とする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマーDのポリ(アルキレンオキシド)ブロックが線状のものであることを特徴とする、請求項21〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記ポリマーDのポリ(アルキレンオキシド)ブロックがポリ(エチレンオキシド)ブロックであることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ポリマーDの熱可塑性ポリマーブロックのマクロ分子鎖の自由端部がポリ(アルキレンオキシド)ブロックに結合していることを特徴とする、請求項21〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記添加剤Aが多分岐ポリエステル、ポリエステルアミド及びポリアミドから選択される多分岐ポリマーEであることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記多分岐ポリマーEが次のもの:
・次式(I)の少なくとも1種のモノマー:
【化2】

(ここで、
Aは第1のタイプの重合用反応性官能基であり、
BはAと反応することができる第2のタイプの重合用反応性官能基であり、
Rは炭化水素単位であり、
fはモノマー1個当たりの反応性官能基Bの総数であり、2以上、好ましくは2〜10の範囲の数である);
・次式(II)の少なくとも1種のモノマー又は対応するラクタム:
【化3】

(ここで、
A'、B'及びR'は式(I)においてA、B及びRについてそれぞれ上に与えたものと同じ定義を有する);
・次式(III)の少なくとも1種の「中心部」モノマー又は次式(IV)の少なくとも1種の「連鎖制限用」モノマー:
【化4】

(ここで、
1はシリコーンタイプ、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキルタイプ、芳香族タイプ、アルキルアリールタイプ、アリールアルキルタイプ又は環状脂肪族タイプの置換又は非置換炭化水素基であって、不飽和及び/又はヘテロ原子を含んでいてもよく、
B''はB又はB'と同じ性状の反応性官能基であり、
nは1以上、好ましくは1〜100の範囲の数である);
【化5】

(ここで、
2はシリコーンタイプ、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキルタイプ、芳香族タイプ、アリールアルキルタイプ、アルキルアリールタイプ又は環状脂肪族タイプの置換又は非置換炭化水素基であって、1個以上の不飽和及び/又は1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、
A''はA又はA'と同じ性状の反応性官能基である);
の間の反応によって得られるタイプの多分岐コポリアミドであり、
ここで、(I)対(II)のモル比I/IIは0.05<I/II、好ましくは0.125≦I/II≦2とし;
モノマー(I)又はモノマー(II)の少なくとも一方のR又はR'単位の少なくとも1つは脂肪族、環状脂肪族又はアリール脂肪族であり;
1及び/又はR2はポリオキシアルキレン基である:
ことを特徴とする、請求項19又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記の重合用反応性官能基A、B、A'及びB'がカルボン酸官能基及びアミン官能基より成る群から選択されることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記の式(I)のモノマーが、Aがアミン官能基を表わし、Bがカルボン酸官能基を表わし、Rが芳香族基を表わし且つfが2である化合物であることを特徴とする、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
熱可塑性材料P中に不溶性であり且つ熱可塑性材料Pと非相容性である化合物Bを前記ブレンドに含ませることを特徴とする、請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記化合物Bが化合物Aの構造の少なくとも一部と相容性の構造を有することを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物Bが多糖類、ポリ(アルキレングリコール)及びポリオレフィンの類に属する化合物から選択されることを特徴とする、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれかに記載の方法に従って得ることができる。熱可塑性材料P粉末。

【図1】
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【公表番号】特表2008−516037(P2008−516037A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535197(P2007−535197)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/FR2005/002462
【国際公開番号】WO2006/040443
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】