説明

熱可塑性樹脂組成物

【課題】低温物性および引張特性に優れた硬化物を形成できる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】構成モノマーの70質量%以上がエチレンであるエチレン重合体と、(B)アクリルゴムとを、質量比で9:1〜8:2の範囲で含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いて得られる成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
各種ホース材、チューブ材等として用いられる樹脂としては、折り曲げ等が自在な柔軟性を有することが必要であり、オレフィン系樹脂にエラストマー成分を添加した熱可塑性樹脂組成物が知られている(特許文献1〜3)。
特許文献1は、プロピレン樹脂等のオレフィン樹脂に、架橋点となる不飽和基を有するアクリルゴム、無機充填剤および架橋剤を配合し、混練下で動的に架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物を開示する。特許文献2および3は、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン共重合体等の強度付与成分と、柔軟性付与成分としてのエチレンアクリルゴムとを含む樹脂組成物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3543810号公報
【特許文献2】特開2004−238558号公報
【特許文献3】特開2004−238559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の樹脂組成物において、エラストマー成分を含むことで、その柔軟性は改善されているが、発明者の検討によれば、硬化物の低温特性についてさらなる改善が必要であることが判明した。具体的には、たとえば自動車用電線保護チューブ等の自動車部品に用いられる場合、マイナス40℃という低温下でも折り曲げ可能であることが必要とされるのに対し、従来技術の樹脂組成物から得られる硬化物は、このような苛酷な条件では使用に適さない恐れがあった。さらに、エラストマー成分を多量に配合した場合は、硬化物の引張強度が低下してしまう恐れもあることが判明した。
【0005】
そこで本発明は、柔軟性とともに、引張強度等の引張特性と低温特性にも優れた硬化物を形成できる熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、(A)構成モノマーの70質量%以上がエチレンであるエチレン重合体と、(B)アクリルゴムとを、質量比で9:1〜8:2の範囲で含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
本発明の別の一側面によれば、上記本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を電離性放射線により架橋して得られる硬化物を含む成形品が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と記す場合もある。)は、ベース樹脂として特定のエチレン系ポリマーを用い、このベース樹脂に対し特定の配合比でアクリルゴムを使用するようにしているので、架橋後の硬化物において、柔軟性の向上が得られるとともに、引張強度および低温特性の低下を抑制することができる。
その結果、本発明によれば、柔軟性、引張特性、および低温特性のいずれにも優れ、自動車部品用材料としても好適に使用できる熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、ベース樹脂として、(A)構成モノマーの70質量%以上がエチレンであるエチレン重合体を使用する。すなわち、このエチレン重合体は、エチレン単独重合体とエチレン共重合体の双方を意味しており、エチレン(共)重合体とも記載できる。このエチレン重合体として、少なくとも1種類の単独重合体および/または共重合体を含むことができ、たとえば1種類以上の単独重合体と1種類以上の共重合体とを組み合わせて使用してもよい。
【0009】
エチレン重合体構成モノマー中に占めるエチレンの割合、すなわちエチレン重合体においてエチレンに由来する繰り返し単位の割合は、硬化物の柔軟性を確保する観点から70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
エチレン重合体の分子量(質量平均分子量;GPC法により測定、標準ポリスチレン換算)については、特に限定はされないが、成形性の観点から2万〜30万程度であることが好ましい。
【0010】
エチレン単独重合体(ポリエチレン)は、枝分れのない直鎖状のポリマーであっても、枝分れのあるポリマーであってもよいが、柔軟性、引張強度等の引張特性の観点から、直鎖状のポリマーであることが好ましい。
さらにポリエチレンは、柔軟性の観点から、低密度ポリエチレンであることが好ましい。ここで、低密度ポリエチレンとは、密度が0.93g/cm以下のものを意味する。密度の下限値については、特に限定はされないが、0.89g/cm以上であることが好ましく、0.90g/cm以上であることがより好ましく、0.91〜0.93g/cmのものが一層好ましい。
【0011】
エチレン共重合体は、コモノマーとしてエチレンを含む共重合体である。このエチレン以外のコモノマー(共重合成分)の量は、実質的に含まれていればよいが、引張強度等の引張特性、耐油性の観点から、構成モノマー中の30質量%未満の量で含まれることが重要であり、20質量%以下であることがより好ましい。
共重合成分の種類や数について、特に限定はされないが、たとえば、炭素数3〜8のオレフィン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸低級(炭素数1〜6)アルキルエステル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独で、または複数種を組み合わせて使用できる。ここで、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸とメタクリル酸の双方を意味しており、それらの誘導体の表示についても同様である。
【0012】
上記エチレン以外のコモノマーが含まれることにより、柔軟性の向上などの効果が期待できる。
特に、成分(B)のアクリルゴムとの組み合わせの観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(たとえば、エチレン−エチルアクリレート共重合体等)を使用することが好ましい。これらの共重合体において、エチレン以外のコモノマーの量は、全モノマー中の20質量%以下であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
【0013】
さらに好ましい実施態様において、成分(A)として、ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体が併用される。両者を併用することにより、より一層バランス良く各種特性を実現することができる。
両者を併用する場合、質量比でポリエチレン:エチレン−酢酸ビニル共重合体が9:1〜5:5の範囲であることが好ましく、7:3〜5:5であることが好ましく、約6:約4であることが一層好ましい。
【0014】
成分(B)のアクリルゴムは、アクリル酸エステルの重合またはアクリル酸エステルを主体とする共重合により得られるゴム状弾性体である。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸シアノアルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられ、複数種のアクリル酸エステルが含まれていてもよい。なかでも、アクリル酸アルキルエステルが含まれていることが好ましい。
アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を好ましく使用できる。
【0015】
アクリル酸シアノアルキルエステルとしては、シアノメチルアクリレート、1−シアノエチルアクリレート、1−シアノプロピルアクリレート、2−シアノプロピルアクリレート、3−シアノプロピルアクリレート等が挙げられる。
アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
【0016】
アクリル酸エステルの共重合成分は、架橋用として用いられ、たとえばアクリロニトリル、2−クロロエチルビニルエーテル、メチルビニルケトンなどが挙げられる。これらの共重合成分の2種以上が含まれていてもよい。
【0017】
アクリルゴムのムーニー粘度は、成分(A)への分散性の観点から、10〜60(ML1+4、100℃)であることが好ましく、20〜40(ML1+4、100℃)であることがより好ましい。
【0018】
上記成分(A)と(B)は、質量比で(A):(B)=9:1〜8:2の割合で配合されることが好ましい。ベース樹脂(A)にアクリルゴム(B)を配合することにより柔軟性が付与されるが、一方で硬化物の低温物性および引張強度が低下する恐れがあるため、アクリルゴムの配合量を必要最低限に抑えることが重要である。本発明では、構成モノマーの70質量%以上がエチレンであるエチレン重合体をベース樹脂(A)として使用しているので、アクリルゴムの配合量を抑制しても柔軟性を確保することができ、その結果、柔軟性、低温特性、および引張特性の全てをバランスよく向上させることができる。
【0019】
架橋後の樹脂組成物(硬化物)の特性として具体的には、脆化温度(JIS K7216に準拠)が−40℃以下であることが好ましく、また、引張強さ(JIS K7161に準拠)は15MPa以上であることが好ましい。さらに、架橋後の引張伸び(JIS K7161に準拠)は100%以上であることが好ましく、200%以上であることがより好ましく、300%以上であることがさらに好ましい。
柔軟性については、引張弾性率(JIS K7161に準拠)が350MPa以下であることが好ましく、300MPa以下であることがより好ましく、200MPa以下であることが一層好ましい。
上記架橋後の特性はいずれも、いわゆる初期の値であり、熱処理前の測定値を意味する。
【0020】
本発明に係る樹脂組成物は、この成分(A)と(B)を必須の成分とするが、本発明の効果を阻害しない範囲内で、これら以外の成分を含んでいてもよい。
たとえば、樹脂成分として、エチレン(共)重合体以外のポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、プロピレン・ブテン−1共重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ペンテン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブタジエン、ポリイソプレン等)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、石油樹脂系炭化水素(石油樹脂、水添石油樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂等)、芳香族系ビニル系ゴム(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−プロピレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴム等)が挙げられ、これらの複数種を併用してもよい。
【0021】
本発明に係る樹脂組成物を難燃性樹脂組成物として使用する場合は、任意の難燃剤を配合することができる。難燃剤の種類は特に限定されないが、引張弾性率等の特性を低下させることなく少ない配合量で高い難燃効果を発揮させる観点から、(C)ハロゲン系難燃剤とアンチモン系難燃剤を組み合わせて使用することが好ましい。成分(C)のハロゲン系難燃剤とアンチモン系難燃剤は、成分(A)と(B)の合計(ただし、その他の樹脂を含む場合はその樹脂量も含め)100質量部に対して、両者の合計量が30質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることが一層好ましい。一方、この両者の合計量は80質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることが一層好ましい。より高い難燃効果を得るために、ハロゲン系難燃剤とアンチモン系難燃剤は、約2:約1の質量比で使用することが好ましい。
難燃化樹脂組成物の場合、その酸素指数(JIS K7201−2)は23 O%以上であることが好ましく、23.5 O%以上であることがより好ましい。
【0022】
ハロゲン系難燃剤としては、公知のものを使用することができ、たとえば、テトラブロモビスフェノールA、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ポリスチレン等の臭素化合物、または塩素化パラフィン、パークロロペンタシクロデカン等の塩素化合物を例示することができ、これらの2種以上を併用していもよい。
アンチモン系難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン等を例示することができる。
【0023】
耐熱性向上の観点から、樹脂組成物は任意の無機充填材を含むことができる。好ましく配合できる無機充填材としては、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、亜鉛華などを例示することができ、これらの2種類以上を併用してもよい。
なかでも、上記成分(C)と組み合わせて亜鉛華(酸化亜鉛)を用いることが好ましい。亜鉛華の配合量は、成分(A)と(B)の合計(ただし、その他の樹脂を含む場合はその樹脂量も含め)100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、一方、硬化物の各種特性を確保する観点から15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
【0024】
成形性を向上させる観点から、シリコーンオイル、シリコーンゴム、または固体状のシリコーン樹脂(ケイ素樹脂)等の各種シリコーンポリマー、脂肪族カルボン酸またはその金属塩を樹脂組成物に配合してもよい。成形後の架橋を円滑に行なうために、公知の架橋剤や架橋助剤を配合してもよい。
樹脂組成物には、さらに、本発明の効果を阻害しない範囲内で、通常使用される各種の添加剤、たとえば着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、分散剤、滑剤、増粘剤、発泡剤等の1種以上を必要に応じて含むことができる。
【0025】
樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、通常の方法で各成分を混合して製造することができる。たとえば、パウダー状またはペレット状のベース樹脂成分(A)に、成分(B)のアクリルゴムと必要に応じてその他の任意成分(成分(C)、無機充填材、その他の樹脂、添加剤等)を添加し、タンブラーやヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンフィーダー、スーパーミキサー等を用いて混合した後、単軸または多軸の押出機(好ましくは脱気ができる溶融混練装置)、ロール等により、混練温度150℃〜200℃、好ましくは150℃〜170℃で溶融混練し、ペレット等にする方法が好適である。各配合成分の添加順序は任意であり、上記例示の方法とは異なる順序で各成分を混合してもよい。さらに、他の添加剤等を高濃度に濃縮配合したマスターバッチを作成し、混合使用することもできる。
【0026】
このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物は、柔軟性、低温物性、引張特性等に優れているため、電気・電子部品、機械部品、車両用部品、建材などの様々な用途に使用することができる。なかでも、この樹脂組成物は柔軟性にすぐれ、低温特性も良好であるため、車両用のホース、チューブ等の成形品に好ましく使用できる。
【0027】
本発明に係る成形品は、上記本発明に係る樹脂組成物を用いて形成される。成形品の製造方法、成形品の具体的形状やサイズなどは特に限定されない。たとえばホースの場合であれば、本発明に係る樹脂組成物から得られる単層のホースだけではなく、本発明に係る樹脂組成物から得られる層に、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の他の樹脂からなる層を内層、中間層または外層として組み合わせた多層のホースであってもよいし、補強糸あるいはワイヤーを設けた構造でもよい。
【0028】
好ましくは、所望の強度を得るために、樹脂組成物を成形した後、架橋(硬化)させる。この架橋方法は、特に限定はされず、たとえば放射線照射架橋、有機過酸化物架橋、あるいはシラン架橋のいずれの方法でもよいが、架橋度および耐熱性の観点から電離性放射線を用いた放射線照射架橋を行なうことが好ましい。放射線照射架橋は具体的にはたとえば、γ線または電子線を放射線源として使用して行なわれ、これらを樹脂に照射することにより分子中にラジカルが発生し、これらラジカル同士がカップリングすることにより分子間の架橋結合が形成される。
放射線照射架橋に際し、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、2,2−ビス{4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル}プロパン、トリアリルイソシアネート等の架橋助剤を添加してもよい。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例および比較例>
表に示す配合比で、エチレン(共)重合体に各成分を配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合した。得られた混合物を、ベント付37mmψ押出機で溶融混練し、ストランドカットによってペレット化した。さらに、このペレットを用いて、プレス成形して、1mm厚プレスシートをダンベルで3号型に打抜いた試験片(1)または2mm厚プレスシートの試験片(2)を得た。架橋は、電子線照射架橋法により、印加電圧750kV、160kGyの条件で行なった。
【0030】
使用した成分は次のとおりである。
EVA樹脂(1):三井デュポンポリケミカル(株)製「エバフレックスEV460」(エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量19質量%、メルトフローレート2.5g/10分)
EVA樹脂(2):三井デュポンポリケミカル(株)製「エバフレックスP1205」(エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量12質量%、メルトフローレート2.5g/10分)
直鎖状低密度ポリエチレン:(株)プライムポリマー製「エボリューSP2030」(密度0.922g/cm
ポリプロピレン:(株)プライムポリマー製「E−150GK」
アクリルゴム:(株)トウペ製「トアアクロンAR−601」(アクリル酸メチルを含むアクリル酸エステル類とアクリロニトリルとのゴム状共重合体、ムーニー粘度25〜35ML1+4(100℃))
臭素系難燃剤:アルベマール社製「SAYTEX8010」(エチレンビス(ペンタブロモフェニル))
三酸化アンチモン:日本精鉱(株)製「PATOX−M」
亜鉛華:堺化学工業(株)「酸化亜鉛2種」
【0031】
【表1】

【0032】
得られた試験片(1)または(2)を用いて次の試験を行なった。評価結果を併せて表に示す。
<引張強度>
JIS K 7161に準拠し、試験片(1)を用い、引っ張り速度は50mm/分として測定した。
<引張伸び>
JIS K 7161に準拠し、試験片(1)を用い、引っ張り速度は50mm/分として測定した。
【0033】
<引張弾性率>
JIS K 7161に準拠し、試験片(1)を用い、引張速度1mm/分の速度で測定した。
<酸素指数>
JIS K7201−2に準拠し、試験片(2)を用いて測定した。
【0034】
<脆化温度>
JIS K7216に準拠し、試験片(2)を用いて測定した。
<耐熱性>
試験片(1)を用い、これを180℃のオーブンで熱処理後、JIS K7161に準拠して引張試験を実施し、伸び50%を下回る時間を測定した。
得られた結果を、表1に併せて示す。
【0035】
実施例の樹脂組成物を用いて得られた成形品では、評価したすべての特性に優れていることが確認された。
これに対し、比較例のチューブは、いずれかの特性が不良となることが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)構成モノマーの70質量%以上がエチレンであるエチレン重合体と、(B)アクリルゴムとを、質量比で9:1〜8:2の範囲で含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記成分(A)のエチレン重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体および/またはエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を含む、請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記成分(A)のエチレン重合体が、密度0.93g/cm以下の直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
架橋後の引張強さが15MPa以上であり、かつ、脆化温度が−40℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
(C)ハロゲン系難燃剤およびアンチモン系難燃剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物を電離性放射線により架橋して得られる硬化物を含む成形品。

【公開番号】特開2011−126961(P2011−126961A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284972(P2009−284972)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】