説明

熱可塑性樹脂製フィルムまたはシートの製造方法

【課題】濾過装置の分解掃除後、あるいは濾過装置交換後の熱可塑性樹脂フィルムまたはシートの製造方法において、ピンホールや破断が発生しない安定生産が開始されるまでの時間が短い製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂を押出機に投入し加熱することで溶融樹脂を得る溶融工程、
前記溶融樹脂を、濾過装置のハウジング内部に設けられたポリマーフィルターに通して濾過処理する濾過工程、および
濾過処理された溶融樹脂をダイスに導入しダイスリップ口から押し出して製膜する製膜工程
をこの順で経る、フィルムまたはシートの製造方法であって、
前記濾過工程では、樹脂被吸収性ガスで満たされた前記ハウジング内部に、前記溶融樹脂を導入して濾過処理することを特徴とする、前記製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性樹脂製フィルムまたはシートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂製フィルムまたはシートは、ペレット化された樹脂材料を高温条件下で溶融して押し出されて製造される。熱可塑性樹脂から成形されたフィルムまたはシートにはゲル化物等の異物が含まれることがあり、光学用プロテクトフィルムまたはシートや医療用品などの、外観品質が厳しく問われる用途においては著しい商品価値の低下となる。そのために、異物除去を目的として、溶融樹脂を濾過するために濾過装置を取り付けることが広く行われている。
【0003】
一方、濾過装置は、架橋物や異物の蓄積により、目詰まりが生じ、濾過圧力の増加が避けられず、定期的にポリマーフィルターを交換する必要がある。しかし、濾過装置の分解掃除後、あるいは濾過装置交換後、特に濾過装置を地面に対して水平に配置する場合には、濾過装置のハウジング内にガスが長く残留してしまい、この残留ガスが、突発的に樹脂に混ざりこむことによるピンホールや破けが、発生し続ける問題があった。濾過装置の分解掃除や交換を行った場合、異物の発生やピンホールの発生が収まり運転状態が安定化するまでに要する時間は、20時間以上の場合もあり、その間に粗悪なフィルムまたはシートが大量に生産され、生産効率を著しく悪化させていた。
【0004】
特開平11−291304号には、押出機シリンダーや、押出機に装着する濾過装置のハウジングを窒素で充満した後、溶融樹脂を通す事により、空気中の酸素に起因する樹脂の酸化劣化によるゲル化物、炭化物等による異物の発生を抑制する方法が記載されている。
【0005】
しかしながら、上記技術においても、濾過装置のハウジング内に窒素が長く残留するため、フィルムまたはシートにピンホールや破けが発生する状態が続き、安定生産が開始できるまでに長時間を要するという課題が依然として存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−291304号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、濾過装置の分解掃除後、あるいは濾過装置交換後の熱可塑性樹脂フィルムまたはシートの製造方法において、ピンホールや破断が発生しない安定生産が開始されるまでの時間が短い製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題に鑑み、鋭意検討した結果、本発明により、上記課題を解決することを見出した。即ち、本発明は、熱可塑性樹脂を押出機に投入し加熱することで溶融樹脂を得る溶融工程、前記溶融樹脂を、濾過装置のハウジング内部に設けられた濾過装置に通して濾過処理する濾過工程、および濾過処理された溶融樹脂をダイスに導入しダイスリップ口から押し出して製膜する製膜工程をこの順で経る、フィルムまたはシートの製造方法であって、前記濾過工程では、樹脂被吸収性ガスで満たされた前記ハウジング内部に、前記溶融樹脂を導入して濾過処理することを特徴とする、前記製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、濾過装置の分解掃除後、あるいは濾過装置交換後の熱可塑性樹脂フィルムまたはシートの製造方法において、ピンホールや破断が発生しない安定生産が開始されるまでの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る一実施形態の主要装置配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図1を用い以下に説明する。
フィルムまたはシートは、通常、以下の工程(1)〜(6)を経て製造される。
(1)熱可塑性樹脂ペレットを、押出機2のホッパー1から投入し、押出機シリンダー3へ安定的に供給する。
(2)押出機シリンダー3内で、熱可塑性樹脂ペレットがヒーター14からの熱および押出機スクリュー10の剪断摩擦熱を受け、完全に溶融状態になり、溶融樹脂は、押出機スクリュー10により押し出され濾過装置4に送られる。
(3)前記溶融樹脂を、濾過装置4のハウジング5内部に設けられたポリマーフィルター6に通し、濾過処理する。
(4)濾過処理された溶融樹脂を配管7から、ダイス9に送り、リップ口15から押し出して膜状の形に整える。
(5)膜状の溶融樹脂を冷却し、巻取り、フィルムまたはシートにする。
【0012】
本発明の第1の態様は、ポリマーフィルター6の交換や濾過装置4の分解掃除を行った場合のフィルムまたはシート製造のスタートアップにおいて、ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部を樹脂被吸収性ガスで満たして行うものである。
【0013】
本発明において、樹脂被吸収性ガスとは、常温から溶融状態における熱可塑性樹脂に対する溶解度が、窒素よりも高いものであり、具体的には、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンやブタンなどの低分子量の炭化水素などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし併用してもよい。これらのうち、安全性や経済性を考慮すると、二酸化炭素が好ましい。酸化劣化による架橋反応や、架橋物によるポリマーフィルターの目詰まりなどの問題を引き起こす、酸素分子は、樹脂被吸収性ガスには実質的に含まれないことが好ましい。
【0014】
濾過装置4のハウジング5内部への樹脂被吸収性ガスの充満方法は特に限定しないが、例えば下記の方法が挙げられる。
第1の態様においては、ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部を含み、接続部11から接続部12までの領域が樹脂未充填領域である。ハウジング5へのガス内部の充満は、接続部11を配管8から切り離し、接続部12を配管7から切り離し、一方の接続部から樹脂被吸収性ガスを常圧または微加圧で置換充満させた後、接続部11を配管8に接続し、接続部12を配管7で接続するまでの間は、樹脂未充填領域を純度の高い樹脂被吸収性ガス雰囲気下に保つために、接続部11及び接続部12に、ふた等をすることが望ましい。ふた等には金属板や樹脂板が例示される。例えば、充満後ふたをして、接続部11と配管8、あるいは接続部12と配管7を接触後ふた等を取り外し、その後ボルトおよびナットなどを用いて固定するという手順により、装置内を高い樹脂被吸収性ガス雰囲気に保つことができる。
【0015】
樹脂未充填領域への樹脂被吸収性ガス充満後の樹脂被吸収性ガスの充満度は、必ずしも樹脂未充填領域が樹脂被吸収性ガスで完全に充満されている必要はなく、樹脂未充填領域が実質的に樹脂被吸収性ガス雰囲気である状態で足りる。
【0016】
ハウジング5内部を樹脂被吸収性ガスで充満させた後、溶融樹脂を押出機2から配管8を経由して導入し濾過処理し、引き続き溶融樹脂を製膜してフィルムまたはシートが製造される。
【0017】
本発明の第2の態様は、濾過装置4上流の押出機2から濾過装置4までの全ての装置の分解掃除を行った場合や、押出機2を分解掃除しポリマーフィルター6の交換を行った場合のフィルムまたはシート製造のスタートアップにおいて、ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部、配管8および押出機シリンダー3内部を樹脂被吸収性ガスで満たして行うものである。
【0018】
ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部、配管8および押出機シリンダー3内部への樹脂被吸収性ガスの充満方法は特に限定しないが、例えば下記の方法が挙げられる。
第2の態様においては、押出機シリンダー3から接続部12までが樹脂未充填領域である。ホッパー1の樹脂も取り除いた上で、接続部12を配管7から切り離し、ホッパー1または接続部12から未充填領域に向けて常圧または微加圧で、樹脂被吸収性ガスを置換充満させた後、接続部12を配管7で接続することにより、押出機シリンダー3から接続部12までの間を樹脂被吸収性ガスで充満させることが出来る。また、押出機シリンダー3から接続部12までを樹脂被吸収性ガスで置換後、接続部12を配管7で接続するまでの間は、樹脂未充填領域を純度の高い樹脂被吸収性ガス雰囲気下に保つために、接続部12に、ふた等をすることが望ましい。ふた等には金属板や樹脂板が例示される。例えば、置換後ふたをして、接続部12と配管7を接触後、ふた等を取り外し、その後ボルトおよびナットなどを用いて固定するという手順により、装置内を高い樹脂被吸収性ガス雰囲気に保つことができる。
【0019】
樹脂未充填領域への樹脂被吸収性ガス充満後の樹脂被吸収性ガスの充満度は、必ずしも樹脂未充填領域が樹脂被吸収性ガスで完全に充満されている必要はなく、樹脂未充填領域が実質的に樹脂被吸収性ガス雰囲気である状態で足りる。
【0020】
ハウジング5内部、配管8および押出機シリンダー3内部を樹脂被吸収性ガスで充満させた後、熱可塑性樹脂を押出機に投入し、溶融工程、濾過工程および製膜工程を経てフィルムまたはシートが製造される。
【0021】
本発明の第3の態様は、濾過装置4から濾過装置4下流のダイス9までの全ての装置の分解掃除を行った場合や、ダイス9を分解掃除しポリマーフィルター6の交換を行った場合のフィルムまたはシート製造のスタートアップにおいて、ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部、配管7およびダイスに形成された溶融樹脂が通る流路16の樹脂未充填領域を樹脂被吸収性ガスで満たして行うものである。
【0022】
ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部、配管7および流路16の樹脂未充填領域への樹脂被吸収性ガスの充満方法は特に限定しないが、例えば下記の方法が挙げられる。
第3の態様においては、接続部11から流路16までが樹脂未充填領域である。接続部11を配管8から切り離し、接続部11またはリップ口15から、ハウジング5、配管7および流路16の樹脂未充填領域に常圧または微加圧にて樹脂被吸収性ガスを置換充満させた後、接続部11を配管8に接続することにより、ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部、配管7および流路16の樹脂未充填領域を樹脂被吸収性ガスで充満させることが出来る。また、接続部11からダイス9までを樹脂被吸収性ガスで置換後、接続部11を配管8に接続するまでの間は、樹脂未充填領域を純度の高い樹脂被吸収性ガス雰囲気下に保つために、接続部11を、ふた等をすることが望ましい。ふた等には金属板や樹脂板が例示される。例えば、置換後ふたをして、接続部11と配管8を接触後、ふた等を取り外し、その後ボルトおよびナットなどを用いて固定するという手順により、装置内を高い樹脂被吸収性ガス雰囲気に保つことができる。
【0023】
樹脂未充填領域への樹脂被吸収性ガス充満後の樹脂被吸収性ガスの充満度は、必ずしも樹脂未充填領域が樹脂被吸収性ガスで完全に充満されている必要はなく、樹脂未充填領域が実質的に樹脂被吸収性ガス雰囲気である状態で足りる。
【0024】
ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部、配管7および流路16の樹脂未充填領域を樹脂被吸収性ガスで充満させた後、溶融樹脂を押出機2から配管8を経由して導入し濾過処理し、引き続いて溶融樹脂を製膜してフィルムまたはシートが製造される。
【0025】
本発明の第4の態様は、押出機2、濾過装置4およびダイス9を含む全ての装置の分解掃除を行った場合や、押出機2およびダイス9を分解掃除しポリマーフィルター6の交換を行った場合のフィルムまたはシート製造のスタートアップにおいて、ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部、押出機シリンダー3内部、ダイス9に形成された溶融樹脂が通る流路16、ならびに配管7および8の樹脂未充填領域を樹脂被吸収性ガスで満たして行うものである。
【0026】
ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部、押出機シリンダー3内部、流路16、ならびに配管7および8の樹脂未充填領域への樹脂被吸収性ガスの充満方法は特に限定しないが、例えば下記の方法が挙げられる。
【0027】
第4の態様においては、押出機シリンダー3からダイス9までが樹脂未充填領域である。ホッパー1の樹脂も取り除いた上で、接続部11〜13はすべて連結させ、ホッパー1またはリップ口15から樹脂被吸収性ガスを常圧または微加圧にて置換充満させることにより、樹脂未充填領域を樹脂被吸収性ガスで充満させることが出来る。
【0028】
樹脂未充填領域への樹脂被吸収性ガス充満後の樹脂被吸収性ガスの充満度は、必ずしも樹脂未充填領域が樹脂被吸収性ガスで完全に充満されている必要はなく、樹脂未充填領域が実質的に樹脂被吸収性ガス雰囲気である状態で足りる。
【0029】
ポリマーフィルター6を含むハウジング5内部、押出機シリンダー3内部、流路16ならびに配管7および8を樹脂被吸収性ガスで充満させた後、熱可塑性樹脂を押出機に投入し、溶融工程、濾過工程および製膜工程を経てフィルムまたはシートが製造される。
【0030】
第3の態様および第4の態様において、樹脂被吸収性ガス充満後に、リップ口15からの空気の混入を防ぐために、溶融工程を開始するまでの間はダイス9のリップ口15をシールすることが好ましい。
【0031】
第2の態様および第4の態様において、樹脂被吸収性ガス充満後に、ホッパー1を通って空気が押出機シリンダー3内に混入することを防止することが望ましく、溶融工程を開始するまでの間ホッパー1にふたをすることや、ホッパー1内に微加圧にて樹脂被吸収性ガスを供給し続けるなどの対策を講じることが好ましい。
【0032】
本発明において、濾過処理工程開始後にハウジング5内部にガスが存在したとしても、該ガスは樹脂被吸収性ガスであるため、速やかに溶融樹脂中に溶け込み、フィルムまたはシートにピンホールや破断が発生しない安定生産が開始されるまでの時間を短くすることができる。作業性および樹脂被吸収性ガスの置換保持性の観点から、第4の態様が望ましい。
【0033】
第2の態様および第4の態様において、樹脂被吸収性ガスが超臨界状態となるように熱可塑性樹脂を溶融することにより、樹脂のガス吸収性をより高くすることが出来る。
【0034】
熱可塑性樹脂のガス吸収性をより高くした条件で押し出すことにより、押出機シリンダー3内部およびハウジング5内部に残留している樹脂被吸収性ガスがより速やかに樹脂に吸収・同伴され、配管7および流路16を通り排出されるため、より早期に濾過装置4のハウジング5内部に残留する樹脂被吸収性ガスを無くすことが出来る。従って樹脂被吸収性ガスに起因するフィルムまたはシートのピンホール、破け等の問題が早期に解決することが出来るため、スタートアップ時に粗悪なフィルムまたはシートが大量にできる事などに起因するロスが大幅に削減する事が出来る。
【0035】
第2の態様および第4の態様において、押出機シリンダー3内部およびハウジング5内部に空気が送られることを防止するため、ホッパー1は樹脂被吸収性ガス雰囲気下であることが好ましい。
【0036】
押出機シリンダー3やハウジング5内の樹脂被吸収性ガスが熱可塑性樹脂に完全に溶解し、該溶解された溶融樹脂がダイス9より排出された後は、押出機シリンダー3内部の熱可塑性樹脂の酸化劣化を防ぐという観点から、ホッパー1内を不活性ガス雰囲気下にすることが好ましく、経済性の点から窒素雰囲気であることがさらに好ましい。
【0037】
その他にも、押出機シリンダー3、ハウジング5、配管7や配管8などに、装置内外の気体の通気を行うための通気口を設けて、押出機シリンダー3、ハウジング5、配管7や配管8などの装置内部と樹脂被吸収性ガスの供給装置を接続することも出来る。通気口の個数はいくつ設置しても良い。通気口に、開閉や通気量の調整を行うためのバルブなどを設置しても良い。2個以上の通気口を設けた場合は例えば、一方の通気口より樹脂被吸収性ガスを導入し、他方の通気口よりガスの排出を行うことにより、樹脂被吸収性ガスの充満を行うことができる。通気口をひとつしか設けなかった場合であっても、例えば(1)装置内部に樹脂被吸収性ガスを加圧導入する(2)装置内部のガスを通気口から減圧排出するという工程を、(1)と(2)の順、または(2)と(1)の順に一度、または繰り返し実施することによって置換することも出来る。また、通気口からハウジング5を含めてホッパー1またはダイス9まで通気している場合には、通気口またホッパー1またはダイス9から常圧または微加圧にて導入するだけで樹脂被吸収性ガスを充満することが出来る。
【0038】
ガスの供給装置としては公知のものを適用しても良く、例えば市販の昇圧された二酸化炭素等のボンベを用いることが出来る。樹脂被吸収性ガスは加圧や減圧、加熱や冷却した後に注入しても良く、置換導入後に、加圧や減圧、加熱や冷却してもよい。
【0039】
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレンや、ハイインパクトポリスチレン、ミディアムインパクトポリスチレンのようなゴム補強スチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN樹脂)、アクリロニトリル−ブチルアクリレートラバー−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピルラバー−スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル−塩化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS)、ABS樹脂(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−アルファメチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、エチレン塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチレン塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PETP、PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBTP、PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、変性ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンホモポリマー等のポリアセタール(POM)樹脂、その他のエンジニアリング樹脂、スーパーエンジニアリング樹脂、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PSU)、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、エチルセルロース(EC)等のセルロース誘導体、液晶ポリマー、液晶アロマチックポリエステル等の液晶系ポリマーが挙げられる。また、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、熱可塑性スチレンブタジエンエラストマー(TSBC)、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、熱可塑性塩化ビニルエラストマー(TPVC)、熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPAE)等の熱可塑性エラストマーを用いることもできる。本発明においては、一種もしくはそれ以上の熱可塑性樹脂のブレンド体を用いたり、添加材等を含有させて用いてもよい。
【0040】
本発明は、偏光フィルムや位相差フィルムなど光学用途のフィルムまたはシート、医療用フィルムまたはシート、光学用プロテクトフィルムまたはシートなどの、外観品質が厳しく問われる用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・ホッパー
2・・・押出機
3・・・押出機シリンダー
4・・・濾過装置
5・・・ハウジング
6・・・ポリマーフィルター
7〜8・・・配管
9・・・ダイス
10・・・押出機スクリュー
11〜13・・・接続部
14・・・ヒーター
15 リップ口
16 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を押出機に投入し加熱することで溶融樹脂を得る溶融工程、
前記溶融樹脂を、濾過装置のハウジング内部に設けられたポリマーフィルターに通して濾過処理する濾過工程、および
濾過処理された溶融樹脂をダイスに導入しリップ口から押し出して製膜する製膜工程
をこの順で経る、フィルムまたはシートの製造方法であって、
前記濾過工程では、樹脂被吸収性ガスで満たされた前記ハウジング内部に、前記溶融樹脂を導入して濾過処理することを特徴とする、前記製造方法。
【請求項2】
前記押出機が押出機シリンダーを有し、
前記溶融工程では、前記押出機シリンダーが樹脂被吸収性ガスで満たされた状態で熱可塑性樹脂を押出機に投入する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ダイスには、前記濾過処理された溶融樹脂が通る流路が形成されており、
前記製膜工程では、前記流路が樹脂被吸収性ガスで満たされた状態で前記濾過処理された溶融樹脂をダイスに導入する、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
樹脂被吸収性ガスが二酸化炭素である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−264641(P2010−264641A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117350(P2009−117350)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】