説明

熱変形安定性の成形体を成形材料または注型透明シートから製造するための共重合体

A)R1が、水素またはメチルであり、R2が、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基を表わす式(I)の1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、B)R3が、水素またはメチルであり、R4が、8〜30個の炭素原子を有する環式基を表わす式(II)の1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、C)R5が水素またはメチルを表わし、R6およびR7がそれぞれ互いに独立に水素または1〜40個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状基を表わすような式(III)の1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物を共重合させることによって得られた、それぞれ高められた熱変形安定性を有する成形体を製造するための成形材料または注型透明シートを製造するための共重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱変形安定性の成形材料または注型透明シートを製造するための共重合体に関する。
【0002】
高い透明、優れた光学的性質および少ない吸水率を有するプラスチック成形部材またはプラスチック板のためには、しばしばポリアルキルメタクリレート成形材料、殊にポリメチルメタクリレート(PMMA)成形材料が使用される。この成形材料の熱変形安定性は、比較的低い。PMMA成形材料には、重合温度に応じて105〜114℃でビカー温度により定義した熱変形安定性が存在する。
【0003】
しばしば、PMMA成形材料の重合は、アクリレートの存在下で実施される。アクリレートは、PMMAの熱変形安定性を向上させ、および流動特性を変えることにより、よりいっそう簡単な加工可能性を生じる。しかし、このアクリレートは、熱変形安定性をさらに低下するという欠点を有する。
【0004】
それによって、ポリアルキルメタクリレート成形材料の可能な使用範囲は、殊にPMMA成形材料によって制限されている。この場合、「使用温度」は、明らかに軟化温度より低く、したがって、例えばPMMAの場合には、95℃を上廻る任意の温度は、重合体の欠陥のある使用可能性を引き起こすと推測されうる。
【0005】
従って、よりいっそう高い温度での使用のためには、別のプラスチックが使用されなければならない。このために、透明プラスチックとしては、例えば約150℃のビカー温度を有するポリカーボネートがこれに該当し、この場合、ポリカーボネートの使用温度は、同様に150℃の材料のビカー温度に到達するのではなく、約20℃低く、即ち約130℃である。ポリカーボネートは、PMMAと比較して極めて引掻感受性であり、および明らかに僅かな耐候性である。
【0006】
他の選択可能な方法によれば、MMAを嵩張ったコモノマーと共重合させることによって、重合体鎖の運動の自由を減少させることは、公知である。この効果によって、PMMAの熱変形安定性は、向上する。
【0007】
更に、コモノマーとしてのメタクリルアミドがメタクリレートとの重合において熱変形安定性の向上を導くことは、公知である。
【0008】
即ち、中国公開特許第1314423号Aには、メチルメタクリレートをN−モノ置換されたメタクリルアミド、例えばN−イソボルニルメタクリルアミドと共重合することが提案されている。生じる共重合体の透明シート温度は、120℃〜123℃の範囲内にある。
【0009】
同様に、欧州特許出願公開第1767376号明細書A1には、末端基中に7〜19個の炭素原子を有する脂環式(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体とからなる共重合体を含有する、インクジェット媒体用有機粒子が記載されている。
【0010】
エステル基中に7〜19個の炭素原子を有する脂環式(メタ)アクリレートとして、イソボルニルメタクリレートが挙げられる。
【0011】
共重合可能な単量体の例として、なかんずくメチルメタクリレート、N−アミノアルキルアクリルアミドおよびN−アミノアルキルメタクリルアミドが挙げられる。更に、共重合可能な単量体として記載された化合物を単独で、または2つ以上の組合せとして選択しうることが指摘される。
【0012】
特殊な変法の範囲内で、2つの共重合体からなる配合物が使用され、この場合第1の共重合体は、例えばメチルメタクリレートの単位およびイソボルニルメタクリレートの単位を含むことができ、第2の共重合体は、例えばメチルメタクリレートの単位およびメタクリルアミドの単位を含むことができる。
【0013】
前記の問題解決の取り組み方は、原則的にPMMA成形材料の熱変形安定性を向上させるのに適しているが、しかし、一連の問題解決の取り組み方を有する。一面で、生じる共重合体の吸水率は、(メタ)アクリルアミドの使用によって上昇される。更に、前記共重合体は、メタクリルアミドの窒素基に基づいて純粋なメチル(メタ)アクリレートエステルよりも明らかに高い黄変値を示す。最後に、必要とされるコモノマーも比較的高価である。
【0014】
特開2008−024843号公報Aには、アクリルアミド−シクロヘキシルメタクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート−グリシジルメタクリレート−メタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体が開示されている。
【0015】
欧州特許出願公開第716344号明細書A1には、ベンジルメタクリレート−N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド−アクリルニトリル−メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体が記載されている。
【0016】
従って、本発明の課題は、ポリアルキル(メタ)アクリレート成形材料、殊にPMMA成形材料の熱変形安定性を向上させるためのよりいっそう良好な方法を提示することであった。ポリアルキル(メタ)アクリレートの優れた性質(透明度、耐候性、加工可能性)に関連して少なくとも等価であるが、しかし、熱変形安定性に関連して優れている高分子量出発材料を記載することを意図するものであった。更に、向上された熱変形安定性と共に射出成形および/または押出法において完成させることができるような新規のプラスチック材料は、注型法における成形体の製造またはプラスチック成形材料への加工に適していなければならない。更に、成形材料は、比較的僅かな吸水量を示し、および比較的僅かな変色を示すことを意図するものであった。
【0017】
前記課題および詳細には記載されていない課題は、請求項1の全ての特徴を有する共重合体によって解決される。共重合体の特に好ましい実施態様は、従属請求項に記載されている。残りの請求項は、熱変形安定性の注型透明シート体、形成材料への共重合体の使用、本発明による共重合体を含有する熱変形安定性の成形体ならびに該成形体の使用を保護する。
【0018】
意外なことに、短鎖状のアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチルメタクリレートを(メタ)アクリルアミドおよび環式(メタ)アクリレートエステルと共重合させた際に熱変形安定性は特に強く増大することが見い出された。三元重合体中での熱変形安定性の向上は、個々の共重合体の透明シート温度に基づいて予想しうるよりも明らかに顕著である。
【0019】
A)式(I)
【化1】

〔式中、R1は、水素またはメチルであり、R2は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、
B)式(II)
【化2】

〔式中、R3は、水素またはメチルであり、R4は、8〜30個の炭素原子を有する環式基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、
C)式(III)
【化3】

〔式中、R5は、水素またはメチルであり、R6およびR7は、それぞれ互いに独立に水素または1〜40個の炭素原子を有する直鎖状または分鎖状基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和アミド化合物を共重合させることによって得られた共重合体を準備することにより、直ちに予測不可能な形式でポリアルキル(メタ)アクリレート成形材料の熱変形安定性を比較的簡単な方法で著しく改善することに成功する。
【0020】
この場合、こうして得られた共重合体は、明らかに改善された特性プロフィールを有する。この特性プロフィールは、一面で、ポリアルキル(メタ)アクリレートの優れた性質(透明度、耐候性、加工可能性)に関連して当該ポリアルキル(メタ)アクリレートに少なくとも等価であり、他面、明らかに高度な熱変形安定性を示す。この特性プロフィールは、射出成形および/または押出法において高められた熱変形安定性を有する成形体を完成させることができるような、注型法における成形体の製造またはプラスチック成形材料への加工に特に好適である。配合物とは異なり、望ましい熱変形安定性の達成のために共重合体中の成分B)とC)との組合せに必要とされる(メタ)アクリルアミドの量は、僅かであるので、成形材料は、比較的低い吸水率を示し、明らかに高い色安定性を有する。
【0021】
本発明の目的のために、同一である基R1、R3およびR5を選択することは、特に有効であることが証明された。従って、第1の特に好ましい実施態様の範囲内でR1、R3およびR5は、メチルである。第2の特に好ましい実施態様の範囲内でR1、R3およびR5は、水素である。
【0022】
式(I)のエステル化合物のR2は、1〜8個の炭素原子、特に有利に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、殊にメチルである。
【0023】
式(I)のエステル化合物の例は、特に飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレートおよびオクチル(メタ)アクリレートである。
【0024】
式(II)のエステル化合物のR4は、8〜30個の炭素原子を有する環式基、有利に脂環式炭化水素基であり、これは、特に少なくとも二環式である。
【0025】
式(II)のエステル化合物の例は、特に1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−デカリン(メタ)アクリレート、2−デカリン(メタ)アクリレート、3−デカリン(メタ)アクリレート、2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびアダマンチル(メタ)アクリレートである。
【0026】
イソボルニル(メタ)アクリレートは、本発明の範囲内で特に有利に使用される。
【0027】
式(III)のアミド化合物のR6およびR7は、それぞれ互いに無関係に水素または1〜40個の炭素原子、特に有利に1〜20個の炭素原子、殊に1〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の基、有利に脂肪族基である。
【0028】
本発明の第1の好ましい実施態様の範囲内で、R6およびR7は、特に有利に水素である。
【0029】
本発明の第2の好ましい実施態様の範囲内で、R6は、水素であり、R7は、1〜20個の炭素原子、特に有利に1〜8個の炭素原子、殊に1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0030】
式(III)のアミド化合物の例は、特に(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、n−プロピル(メタ)アクリルアミド、ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジ−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、s−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジ−s−ブチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジ−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、ヘキシル(メタ)アクリルアミドおよびジヘキシル(メタ)アクリルアミドである。
【0031】
イソプロピル(メタ)アクリルアミドは、本発明の範囲内で特に有利に使用される。
【0032】
本発明による共重合体中のコモノマー単位の相対的割合は、比較的に重要ではない。しかし、この相対的割合は、共重合体の特性プロフィールに意図的に影響を及ぼすために利用されてよい。これに関連して、
A)式(I)の1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物40.0質量%〜92.0質量%、
B)式(II)の1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物4.0質量%〜30.0質量%および
C)式(III)の1つ以上のエチレン系不飽和アミド化合物4.0質量%〜30.0質量%を共重合させることによって得られる共重合体は、特に有効であることが証明され、この場合成分A)、B)およびC)の割合は、単量体組成物の質量に関連し、特に100.0質量%の全体量を生じる。
【0033】
本発明の共重合体は、場合によっては他の繰返し単位を有することができ、この繰返し単位は、特に式(I)および/または(II)および/または(III)の化合物と共重合させることができる、エチレン系不飽和単量体に由来する。コモノマーの割合は、本発明による共重合体を製造するための単量体組成物の質量に対して、有利に0〜40質量%、殊に1〜35質量%、特に有利に5〜30質量%の範囲内にある。
【0034】
この場合には、本発明による重合のために、次の式(IV)に相当するコモノマーが特に好適である:
【化4】

【0035】
上記式中、R1*およびR2*は、水素、ハロゲン、CN、1〜(2n+1)個のハロゲン原子で置換されていてよい、但し、この場合nは、アルキル基の炭素原子の数であるもの(例えば、CF3)とし、1〜20個、特に1〜6個、特に有利に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分鎖状のアルキル基、1〜(2n−1)個のハロゲン原子、特に塩素で置換されていてよい、但し、この場合nは、アルキル基の炭素原子の数であるもの、例えば、CH2=CCl−とし、2〜10個、特に2〜6個、特に有利に2〜4個の炭素原子を有するα,β−不飽和の直鎖状または分鎖状のアルケニル基またはアルキニル基、1〜(2n−1)個のハロゲン原子、特に塩素で置換されていてよい、但し、この場合nは、シクロアルキル基の炭素原子の数であるものとし、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基;1〜(2n−1)個のハロゲン原子、特に塩素、および/または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてよい、但し、この場合nは、アリール基の炭素原子の数であるものとし、6〜24個の炭素原子を有するアリール基;さらにR8*基、アリール基もしくはヘテロ環式基で四級化されていてよい、C(=Y*)R5*、C(=Y*)NR6*7*、Y*C(=Y*)R5*、SOR5*、SO25*、OSO25*、NR8*SO25*、PR5*2、P(=Y*)R5*2、Y*PR5*2、Y*P(=Y*)R5*2、NR8*2からなる群から互いに独立して選択され、この場合Y*NR8*は、SまたはO、特にOであってよく;R5*は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1〜20個の炭素原子を有するアルキルチオ、OR15(R15は、水素またはアルカリ金属である)、1〜20個の炭素原子のアルコキシ、アリールオキシまたはヘテロシクリルオキシであり;R6*およびR7*は、独立して水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキル基であるか、またはR6*およびR7*は、一緒になって2〜7個、特に2〜5個の炭素原子を有するアルキレン基を形成し、この場合これらR6*およびR7*は、3〜8員、特に3〜6員の環を形成し、およびR8*は、水素、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基またはアリール基であり;
3*およびR4*は、水素、ハロゲン(特に、弗素または塩素)、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基およびCOOR9*からなる群から互いに独立して選択され、但し、この場合R9*は、水素、アルカリ金属または1〜40個の炭素原子を有するアルキル基であるものとし、またはR3*およびR4*は一緒になって、1〜2n'個のハロゲン原子またはC1〜C4アルキル基で置換されていてよい式(CH2n'、またはn'が2〜6、特に3または4であり、かつY*が先に定義されたものと同様である式C(=O)−Y*−C(=O)の基を形成し;およびこの場合、基R1*、R2*、R3*およびR4*の少なくとも2個は、水素またはハロゲンである。
【0036】
好ましいコモノマーには、特にビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニル、弗化ビニル、塩化ビニリデンおよび弗化ビニリデン;ビニルエステル、例えばビニルアセテート;
スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエンおよびp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよびテトラブロモスチレン;
ヘテロ環式ビニル化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ブチルカプロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルオキサゾールおよび水素化ビニルオキサゾール;
ビニルエーテルおよびイソプレニルエーテル;
マレイン酸およびマレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、メチル無水マレイン酸、マレインイミド、メチルマレインイミド;
フマル酸およびフマル酸誘導体;アクリル酸およびメタクリル酸;ジエン、例えばジビニルベンゼン;
アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジルメタクリレートまたはフェニルメタクリレート、この場合前記アリール基は、それぞれ置換されていないかまたは一置換ないし四置換されていてよく;
ハロゲン化アルコールのメタクリレート、例えば2,3−ジブロモプロピルメタクリレート、4−ブロモフェニルメタクリレート、1,3−ジクロロ−2−プロピルメタクリレート、2−ブロモエチルメタクリレート、2−ヨードエチルメタクリレート、クロロメチルメタクリレート;
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3,4−ジヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート、カルボニル含有メタクリレート、例えば2−カルボキシエチルメタクリレート、カルボキシメチルメタクリレート、オキサゾリジニルエチルメタクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニルメタクリレート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシペンタデシル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシヘプタデシル)−2−ピロリジノン;
グリコールジメタクリレート、例えば1,4−ブタンジオールメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエトキシメチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート;
エーテルアルコールのメタクリレート、例えばテトラヒドロフルフリルメタクリレート、ビニルオキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシエトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシプロピルメタクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチルメタクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、メトキシメトキシエチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエトキシメチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、1−エトキシブチルメタクリレート、メトキシメチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレートおよび有利に1〜20個、殊に2〜8個のエトキシ基を有するエトキシル化(メタ)アクリレート;
アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えばジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−ジエチルアミノペンチルメタクリレート、3−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸のニトリルおよび別の窒素含有メタクリレート、例えばN−(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、N−(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、メタクリロイルアミドアセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアナミド、シアノメチルメタクリレート;ヘテロ環式(メタ)アクリレート、例えば2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレートおよび1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン;
オキシラニルメタクリレート、例えば2,3−エポキシブチルメタクリレート、3,4−エポキシブチルメタクリレート、10,11−エポキシウンデシルメタクリレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、10,11−エポキシヘキサデシルメタクリレート;グリシジルメタクリレートが属する。
【0037】
前記単量体は、個別的にかまたは混合物として使用されてよい。
【0038】
共重合体を得るための重合は、自体公知の方法で行なうことができる。ラジカル重合の方法、殊に塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合は、特に有効であることが証明された。このために、一般に重合開始剤ならびに連鎖移動剤が使用される。
【0039】
使用可能な開始剤には、とりわけ、当工業界において広く知られたアゾ開始剤、例えばAIBNおよび1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、ならびにペルオキシ化合物、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、過酸化ジベンゾイル、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−ペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、2つまたはそれ以上の前記化合物相互の混合物ならびに前記化合物と、同様にラジカルを形成することができる挙げられていない化合物との混合物が属する。
【0040】
連鎖移動剤としては、自体公知である、硫黄不含化合物および硫黄含有化合物が適している。硫黄不含の化合物には、例えばそれによって制限が行なわれることなしに、二量体のα−メチルスチレン(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン)、脂肪族および/または脂環式アルデヒドのエノールエーテル、テルペン、α−テルピン、テルピノール、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−ジヒドロナフタリン、1,4,5,8−テトラヒドロナフタリン、2,5−ジヒドロフラン2,5−ジメチルフランおよび/または3,6−ジヒドロ−2H−ピランが属し、好ましいのは、二量体のα−メチルスチレンである。
【0041】
硫黄含有化合物には、例えばそれによって制限が行なわれることなしに、チオグリコール酸、2−メルカプトエタノール、2−エチルヘキシルチオグリコラート、n−ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メチル−3−メルカプトプロピオネートが属する。
【0042】
この連鎖移動剤は、市販されている。しかし、この連鎖移動剤は、当業者に公知の方法で製造されてもよい。即ち、二量体のα−メチルスチレンの製造は、ドイツ連邦共和国特許第966375号明細書中に記載されている。脂肪族および/または脂環式アルデヒドのエノールエーテルは、ドイツ連邦共和国特許第3030373号明細書中に開示されている。テルペンの開示は、欧州特許第80405号明細書中に説明されている。特開昭53−121891号公報および特開昭53−121890号公報には、α−テルピン、テルピノール、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−ジヒドロナフタリン、1,4,5,8−テトラヒドロナフタリンの製出が説明されている。2,5−ジヒドロフラン、2,5−ジメチルフランおよび3,6−ジヒドロ−2H−ピランの製造は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2502283号明細書中に開示されている。
【0043】
単量体の重合は、常圧、減圧または超過圧で実施されてよい。また、重合温度は、重要ではない。しかし、一般に、重合温度は、−20℃〜200℃、特に0℃〜160℃、特に有利に70℃〜130℃の範囲内にある。
【0044】
重合は、溶剤中で実施されてもよいし、溶剤なしで実施されてもよい。本明細書中で、溶剤の概念は、幅広く解釈されてよい。
【0045】
更に、ラジカル重合についての情報は、技術文献、例えばUllmanns’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,第6版の記載から確認することができる。塊状重合についての有用な情報は、例えばHouben−Weyl第E20巻,第2部(1987),第1145頁以降に見出すことができる。また、懸濁重合についての有用な情報は、刊行物Houben−Weyl第E20巻,第2部(1987),第1149頁以降に記載されている。
【0046】
共重合体の組成と共に、共重合体の分子量は、熱変形安定性の成形体を製造するための共重合体の後加工のために或る程度の役を演じる。即ち、可能な後の加工法は、分子量を意図的に調節することによって支持されうる。
【0047】
この場合には、一面で本発明の範囲内で、実際の共重合プロセスにおいて、引続く熱変形が不可能であるような高さに分子量を調節することが可能である。他面、さらに熱的プロセスにおいて引続き変形可能である共重合体が得られるように比較的低い分子量を選択することが可能である。
【0048】
即ち、本発明によるコモノマーを押出法または射出成形法で加工することが望ましい場合には、本発明による共重合体にとって30000g/mol〜250000g/mol、有利に60000g/mol〜200000g/molの比較的低い分子量Mwが好ましい。この種の共重合体は、原理的に熱可塑的に加工可能な溶融液中に加熱することによって変換可能である。
【0049】
分子量は、公知方法により測定することができる。例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)が使用されてよい。同様に、浸透圧測定法、例えば分子量を測定するための「蒸気相浸透圧測定法」が使用可能である。挙げられた方法は、例えば次のものに記載されている:P.J.Flory,"Principles of Polymer Chemistry"Cornell University Press(1953),第VII章,266−316ならびに"Macromolecules,an Introduction to Polymer Science",F.A.Bovey and F.H.Winslow編,Academic Press(1979),296−312ならびにW.W.Yau,J.J.Kirkland and D.D.Bly,"Modern Size Exclusion Liquid Chromatography",John Wiley and Sons,New York,1979。ここで提示された重合体の分子量を測定するために、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用することは、好ましい。使用される標準は、有利にポリメチルアクリレート標準またはポリアクリレート標準であるべきである。
【0050】
原則的に、本発明の共重合体は、改善された熱変形安定性を有する成形体を製造するための当業者に公知の全ての成形法に適合させることができる。
【0051】
本発明による共重合体は、有利に加工され、プラスチック成形材料をペレットの形で生じる。更に、この成形材料のペレットは、押出または射出成形による後加工に特に好適である。成形材料のペレットは、例えば重合体シロップまたはビーズ形として生じたプラスチックを押出または造粒によって製造し、この場合重合体の低分子量の随伴物質は、押出機中での脱ガスによって分離される。この種の方法は、例えばHandbuch der Kunststoff−Extrusionstechnik,第I巻および第II巻(編者:F.Heusen,W.Kappe,H.Potente;Hauser Verlag1986および1989)中に記載されている。
【0052】
実際の重合プロセスにおいて引続く熱的後加工が困難であるような高い分子量が設定された場合には、本発明によれば、既に重合プロセス前に、有利に適当な金型内で重合が行なわれるように配慮すべきである。
【0053】
1つの好ましい本発明による実施態様において、本発明の共重合体は、例えば溶剤中または単量体それ自体中での溶液重合によって製造され、重合体シロップの使用目的に応じて脱ガスされる。また、懸濁重合は、共重合体を製造するための十分に普通の経路である。注型透明シートとしての重合体の使用も同様に可能である。注型透明シートの生産において、重合体シロップは、1つまたは2つの金属とそれぞれガラス板との間で重合される。
【0054】
従って、本発明の対象は、
A)式(I)
【化5】

〔式中、R1は、水素またはメチルであり、R2は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、
B)式(II
【化6】

〔式中、R3は、水素またはメチルであり、R4は、8〜30個の炭素原子を有する環式基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、
C)式(III)
【化7】

〔式中、R5は、水素またはメチルであり、R6およびR7は、それぞれ互いに独立に水素または1〜40個の炭素原子を有する直鎖状または分鎖状基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和アミド化合物を有する特に熱変形安定性の成形材料でもある。
【0055】
1つの好ましい実施態様において、成形材料は、特に500000g/mol〜5000000g/molの平均分子量Mwを有する注型透明シートとして存在する。
【0056】
こうして得られた成形体は、特に次の性質を示す:
この成形体は、特に30ml/g〜90ml/gの範囲内の、ISO 1628−6により測定した粘度数を有する。
【0057】
この成形体は、特に112℃を上廻る、殊に115℃を上廻る、ISO 306により測定したビカー温度を有する。
【0058】
本発明による成形体は、殊に家庭用機器、通信装置、趣味用具または運動用具の部材として、自動車構造、船舶構造または航空機構造における車体製造部材または車体製造部材の一部として、照明具、標識板またはシンボル、小売りのアウトレットまたは化粧品カウンター、コンテナ、家庭用装飾アイテムまたはオフィス用装飾アイテム、家具調度品、シャワードアおよびオフィスドアのための部材として、または他に、部材として、殊に建設工業におけるシート、殊に消音壁としての壁として、または窓枠、ベンチシーツ、ランプカバー、ディフューザーシーツとして、またはLEDレンズ、LED体、LED半導体カバーとして、またはソーラーモジュールにおいて、自動車ヘッドライトにおいて、レンズ、レフレクタ、ホルダまたはカバー、またはセンサーカバーとして、および/または自動車用グレージングとして使用されてよい。典型的な自動車部材は、例えばスポイラー、パネル、ルーフモジュールまたは外部ミラーハウジングである。
【0059】
以下、本発明を実施例につきさらに詳説するが、それによって、本発明の概念は、制限されるものではない。
【0060】
実施例および比較例において使用された、物質のための略符号の一覧:
MMA:メチルメタクリレート、
MAA:メタクリルアミド、
IBOMA:イソボルニルメタクリレート、
NIPMA:N−イソプロピルメタクリルアミド、
TBPND:第三ブチルペルオキシネオデカノエート、
TBPEH:第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、
DDM:n−ドデシルメルカプタン、
MMP:メチル−3−メルカプトプロピオネート。
【0061】
別記しない限り、「百分率」および「部」は、常に質量%および質量部に関連する。
【0062】
共重合のための条件を総括的に示す、以下の明細書中の例および表中で重合体の特性決定に使用される性質の決定には、次の分析方法が使用された:
ISO 306によるミニビカー(MiniVicat)
ISO 1628−6による粘度数
熱重量分析法による熱安定性(質量損失2%、加熱速度5K/分;窒素雰囲気)。
【実施例】
【0063】
1)MMA/IBOMA共重合体の製造
攪拌型反応器中に単量体80%およびn−ドデシルメルカプタンを装入した。溶剤の存在下で80℃で300分間重合し、この場合この時間に亘って残りの単量体含分、第三ブチルペルオキシネオデカノエートおよび他の溶剤を第1表および第2表の記載と同様に供給した。この供給に引き続いて、95℃でなお120分間、第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートの添加後に後反応させた。最終変換率は、93%であった。引続き、重合体を溶剤の抽出によって250℃および20ミリバールで脱ガス押出機中で単離した。得られた重合体について、粘度数、熱安定性およびミニビカーを測定した。生成物の性質は、第3表中に記載されている。
【0064】
2)MMA/MAA共重合体の製造
攪拌型反応器中に全ての単量体およびn−ドデシルメルカプタンを装入した。溶剤の存在下で80℃で360分間重合し、この場合この時間に亘って第三ブチルペルオキシネオデカノエートおよび他の溶剤を第1表および第2表の記載と同様に供給した。この供給に引き続いて、87℃でなお120分間、第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートの添加後に後反応させた。最終変換率は、99%であった。引続き、重合体を溶剤の抽出によって270℃および20ミリバールで脱ガス押出機中で単離した。得られた重合体について、粘度数、熱安定性およびミニビカーを測定した。生成物の性質は、第3表中に記載されている。
【0065】
3)MMA/MAA/IBOMA共重合体の製造
攪拌型反応器中に単量体70%およびメチル−3−メルカプトプロピオネートを装入した。溶剤の存在下で80℃で360分間重合し、この場合この時間に亘って残りの単量体含分、第三ブチルペルオキシネオデカノエートおよび他の溶剤を第1表および第2表の記載と同様に供給した。この供給に引き続いて、85℃でなお120分間、第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートの添加後に後反応させた。最終変換率は、95%であった。引続き、重合体を溶剤の抽出によって260℃および20ミリバールで脱ガス押出機中で単離した。得られた重合体について、粘度数、熱安定性およびミニビカーを測定した。生成物の性質は、第3表中に記載されている。
【0066】
4)MMA/NIPMA共重合体の製造
攪拌型反応器中に単量体60%およびメチル−3−メルカプトプロピオネートを装入した。溶剤の存在下で80℃で360分間重合し、この場合この時間に亘って残りの単量体含分、第三ブチルペルオキシネオデカノエートおよび他の溶剤を第1表および第2表の記載と同様に供給した。この供給に引き続いて、95℃でなお120分間、第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートの添加後に後反応させた。最終変換率は、89%であった。引続き、重合体を溶剤の抽出によって270℃および20ミリバールで脱ガス押出機中で単離した。得られた重合体について、粘度数、熱安定性およびミニビカーを測定した。生成物の性質は、第3表中に記載されている。
【0067】
5)MMA/NIPMA/IBOMA共重合体の製造
攪拌型反応器中に単量体60%およびメチル−3−メルカプトプロピオネートを装入した。溶剤の存在下で80℃で360分間重合し、この場合この時間に亘って残りの単量体含分、第三ブチルペルオキシネオデカノエートおよび他の溶剤を第1表および第2表の記載と同様に供給した。この供給に引き続いて、95℃でなお120分間、第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートの添加後に後反応させた。最終変換率は、98%であった。引続き、重合体を溶剤の抽出によって250℃および20ミリバールで脱ガス押出機中で単離した。得られた重合体について、粘度数、熱安定性およびミニビカーを測定した。生成物の性質は、第3表中に記載されている。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
【表3】

【0071】
6)MMA/NIPMA/IBOMA配合物の製造
共重合により製造された重合体5)と比較して、同じ組成を有する配合物を試験した。これは、MMAおよびIBOMA(75−25)から構成された共重合体とMMAおよびNIPMA(75−25)から構成された共重合体とを同じ割合で混練機中で配合することによって得られた。
【0072】
得られた重合体は、三元重合体5)と比較して123℃のVSTを有しているにすぎなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)式(I)
【化1】

〔式中、R1は、水素またはメチルであり、R2は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、
B)式(II)
【化2】

〔式中、R3は、水素またはメチルであり、R4は、8〜30個の炭素原子を有する環式基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、
C)式(III)
【化3】

〔式中、R5は、水素またはメチルであり、R6およびR7は、それぞれ互いに独立に水素または1〜40個の炭素原子を有する直鎖状または分鎖状基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和アミド化合物を共重合させることによって得られた、高められた熱変形安定性を有する成形材料または注型透明シートを製造するための共重合体。
【請求項2】
1、R3およびR5がメチルである、請求項1記載の共重合体。
【請求項3】
1、R3およびR5が水素である、請求項1記載の共重合体。
【請求項4】
2が1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項5】
2がメチルである、請求項4記載の共重合体。
【請求項6】
4が脂環式炭化水素基である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項7】
4が少なくとも二環式の基である、請求項6記載の共重合体。
【請求項8】
4がイソボルニルを表わす、請求項7記載の共重合体。
【請求項9】
6およびR7が水素である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項10】
6が水素であり、R7が1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を表わす、請求項1から8までのいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項11】
7が1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基を表わす、請求項10記載の共重合体。
【請求項12】
7がイソプロピルを表わす、請求項11記載の共重合体。
【請求項13】
A)式(I)の1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物40.0質量%〜92.0質量%、
B)式(II)の1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物4.0質量%〜30.0質量%および
C)式(III)の1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物4.0質量%〜30.0質量%を共重合させることによって得られた、請求項1から12までのいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項14】
A)式(I)
【化4】

〔式中、R1は、水素またはメチルであり、R2は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、
B)式(II)
【化5】

〔式中、R3は、水素またはメチルであり、R4は、8〜30個の炭素原子を有する環式基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、
C)式(III)
【化6】

〔式中、R5は、水素またはメチルであり、R6およびR7は、それぞれ互いに独立に水素または1〜40個の炭素原子を有する直鎖状または分鎖状基を表わす〕で示される1つ以上のエチレン系不飽和アミド化合物を有する、熱変形安定性の成形材料または注型透明シート。
【請求項15】
分子量Mw30000g/mol〜250000g/molの質量平均を有する、請求項14記載の成形材料。
【請求項16】
分子量Mw500000g/mol〜5000000g/molの質量平均を有する、請求項14記載の注型透明シート。
【請求項17】
分子量Mw30000g/mol〜250000g/molの質量平均を有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項18】
成形体を押出法または射出成形法で製造するための成形材料中の請求項17記載の共重合体の使用。
【請求項19】
請求項1から13までのいずれか1項または18項に記載の共重合体を含有する熱変形安定性の成形体。
【請求項20】
30ml/g〜90ml/gの範囲内の、ISO 1628−6により測定した粘度数を有する、請求項19記載の成形体。
【請求項21】
112℃を上廻る、ISO 306により測定したビカー温度を有する、請求項19または20記載の成形体。
【請求項22】
家庭用機器、通信装置、趣味用具または運動用具の部材として、自動車構造、船舶構造または航空機構造における車体製造部材または車体製造部材の一部として、照明具、標識板またはシンボル、小売りのアウトレットまたは化粧品カウンター、コンテナ、家庭用装飾アイテムまたはオフィス用装飾アイテム、家具調度品、シャワードアおよびオフィスドアのための部材として、または建設工業における部材として、壁として、または窓枠、ベンチシーツ、ランプカバー、ディフューザーシーツとして、またはLEDレンズ、LED体、LED半導体カバーとして、またはソーラーモジュールにおいて、自動車ヘッドライトにおいて、レンズ、レフレクタ、ホルダまたはカバー、またはセンサーカバーとして、および/または自動車用グレージングとしての請求項19から21までのいずれか1項に記載の成形体の使用。

【公表番号】特表2012−508803(P2012−508803A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535952(P2011−535952)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063443
【国際公開番号】WO2010/054909
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】