説明

熱式流速計測装置、熱式流速計測装置の流速計測方法及びプログラム

【課題】計測精度を損なうことなく、消費電力を低減する。
【解決手段】計測間隔切替判断部203は、通常モードにおいて流速算出部201が算出した流速係数γが境界値範囲に収まらないときにのみ、メモリ202に格納された計測モード−パラメータ対応表を参照して、高精度モードの電源制御パラメータ、計測間隔パラメータ、流速算出パラメータを取得する。計測間隔切替判断部203は、電源制御部204に対して、この電源制御パラメータを設定し、流速算出部201に対して、この計測間隔パラメータ、流速算出パラメータを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱式流速計測装置、熱式流速計測装置の流速計測方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、熱式流速計は、流体温度を検知する温度補償用感温抵抗体と流量や流速等を検知する検出用感温抵抗体とを有し、さらに、これらの両感温抵抗体の温度差が常に一定となるように検出用感温抵抗体に駆動電圧を印加して電流を供給して加熱する加熱手段を備えている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−82286号
【特許文献2】特開2008−39704号
【特許文献3】特開2003−121231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の熱式流速計測装置では、検出用感温抵抗体に、常時、駆動電圧を印加して電流を供給するため、消費電力が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、消費電力を低減することが可能な熱式流速計測装置、熱式流速計測装置の流速計測方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る熱式流速計測装置は、
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサと、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止する電圧印加制御部と、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータに示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得する流速取得部と、
前記動作時間と前記待機時間との比率によって省電力化される第1の計測モード、前記第1の計測モードよりも高精度に前記流速の計測が可能な第2の計測モードのそれぞれの計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、格納するパラメータ格納部と、
前記パラメータ格納部を参照し、前記第1の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、前記電圧印加制御部、前記流速取得部に設定し、前記流速取得部が取得した流速が予め設定された範囲を超えたときにのみ、前記第2の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、前記電圧印加制御部、前記流速取得部に設定するパラメータ設定部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の観点に係る熱式流速計測装置は、
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサと、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止する電圧印加制御部と、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータが示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得する流速取得部と、
前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、前記電圧印加制御部、前記流速取得部に設定し、前記流速取得部が取得した流速が予め設定された範囲を超えたとき、前記電源制御パラメータが示す前記動作時間と前記待機時間及び前記計測間隔パラメータが示す計測間隔のうちの少なくとも一方、もしくは両方を変更し、変更した前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、前記電圧印加制御部、前記流速取得部に設定するパラメータ設定部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の観点に係る熱式流速計測装置の流速計測方法は、
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサを備えた熱式流速計測装置の流速計測方法であって、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止するステップと、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータに示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得するステップと、
前記動作時間と前記待機時間との比率によって省電力化される第1の計測モード、前記第1の計測モードよりも高精度に前記流速の計測が可能な第2の計測モードのそれぞれの計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、格納し、前記第1の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定し、取得した前記流速が予め設定された範囲を超えたときにのみ、前記第2の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の観点に係る熱式流速計測装置の流速計測方法は、
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサを備えた熱式流速計測装置の流速計測方法であって、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止するステップと、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータに示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得するステップと、
前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定し、取得した流速が予め設定された範囲を超えたとき、前記電源制御パラメータが示す前記動作時間と前記待機時間及び前記計測間隔パラメータが示す計測間隔のうちの少なくとも一方、もしくは両方を変更し、変更した前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の観点に係るプログラムは、
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサを備えた熱式流速計測装置に設けられたコンピュータに、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止する手順、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータに示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得する手順、
前記動作時間と前記待機時間との比率によって省電力化される第1の計測モード、前記第1の計測モードよりも高精度に前記流速の計測が可能な第2の計測モードのそれぞれの計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、格納し、前記第1の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定し、取得した前記流速が予め設定された範囲を超えたときにのみ、前記第2の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定する手順、を実行させるためのものである。
【0011】
本発明の第6の観点に係るプログラムは、
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサを備えた熱式流速計測装置に設けられたコンピュータに、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止する手順、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータに示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得する手順、
前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定し、取得した流速が予め設定された範囲を超えたとき、前記電源制御パラメータが示す前記動作時間と前記待機時間及び前記計測間隔パラメータが示す計測間隔のうちの少なくとも一方、もしくは両方を変更し、変更した前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定する手順、を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る熱式流速計測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す熱式流速計測装置の電源制御と計測タイミングを示すタイミングチャートである。
【図3】図1に示すメモリに格納された計測モード−パラメータ対応表を示す図である。
【図4】図1に示すメモリに格納された境界値範囲表を示す図である。
【図5】流速係数の分布と境界値範囲とを示す図である。
【図6】図1に示す制御部が実行する流速計測処理を示すフローチャートである。
【図7】流速計測処理を具体的に説明するためのタイミングチャートである。
【図8】流速係数と境界値範囲との関係を具体的に示す図であり、(a)は流速係数が1.0の場合、(b)は、流速係数が1.1の場合を示す。
【図9】流速の変化と消費電力との関係を示す図であり、(a)は、流速の変化の一例を示し、(b)は、従来の消費電力の一例を示し、(c)は、本実施形態の消費電力の一例を示す。
【図10】応用例として、流速係数と流速との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る熱式流速計測装置を図面を参照して説明する。
本実施形態に係る熱式流速計測装置は、図1に示すように、スイッチトランジスタSW1と、流速センサ100と、制御部200と、表示部300と、を備える。尚、直流電源PSは、流速センサ100に電源電圧Vccを印加する電源である。電源電圧Vccは、例えば、3Vである。
【0015】
この熱式流速計測装置は、簡素な構成で気体の流速や流量を測定することができ、例えば、温熱環境評価指数PMV(Predicted Mean Vote,予測温冷感申告)を算出するシステムにおいて、室内の風速を計測する際、特に有用である。
【0016】
スイッチトランジスタSW1は、直流電源PSと流速センサ100との間を接続、遮断するためのものであり、n形バイポーラトランジスタによって構成される。スイッチトランジスタSW1のコレクタは、直流電源PSの正極に接続される。
【0017】
流速センサ100は、流体の流速を検出する定温度型のものであり、加熱温度センサ101と、周囲環境温度センサ102と、抵抗R1,R2と、を備える。
【0018】
抵抗R1,R2は、電流制限抵抗であり、抵抗R1の一端、抵抗R2の一端は、スイッチトランジスタSW1の一端(エミッタ)に接続される。
【0019】
加熱温度センサ101は、電源電圧Vccが印加されて加熱し、計測対象の流体中に配置されて流体の流速に対応する電圧を出力するセンサであり、例えば、サーミスタによって構成される。加熱温度センサ101の一端は、抵抗R1の他端に接続され、他端は接地される。加熱温度センサ101と抵抗R1との接続点をノードN1とする。
【0020】
周囲環境温度センサ102は、加熱温度センサ101の周囲の温度を計測するセンサであり、例えば、サーミスタによって構成される。周囲環境温度センサ102の一端は、抵抗R2の一端に接続され、他端は接地される。周囲環境温度センサ102と抵抗R2との接続点をノードN2とする。
【0021】
制御部200は、加熱温度センサ101の温度が一定になるように流速センサ100に印加する電圧を制御するものである。制御部200は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等によって構成される。
【0022】
制御部200は、図2に示すように、時刻t10において流速センサ100に電圧を印加して加熱を開始し、予め設定された時刻t11において、ノードN1の電圧V101、ノードN2の電圧V102の測定を開始する。この時刻t10〜t11を、センサ加熱時間Time[heat]とし、時刻t11において、制御部200が測定した電圧V101,V102を、それぞれ、測定値V101[t11],V102[t11]とする。
【0023】
そして、制御部200は、予め設定された時刻t12において、ノードN1の電圧V101、ノードN2の電圧V102の測定し、流速センサ100への電圧印加を停止して加熱を停止する。
【0024】
この時刻t11〜t12を、流速計測時間Time[meas]とし、時刻t10〜t12を、流速センサ100に電圧を印加して流速センサ100を動作させる流速センサ動作時間Time[act]とする。そして、時刻t12において、制御部200が測定した電圧V101,V102を、それぞれ、測定値V101[t12],V102[t12]とする。
【0025】
制御部200は、時刻t12〜t20の間、流速センサ100への電圧印加を停止して加熱を停止させる。この時刻t12〜t20を待機時間Time[wait]とする。このように待機時間Time[wait]を設けることによって省電力化が図られる。
【0026】
そして、制御部200は、時刻t20から、再び、流速センサ100に電圧を印加して、加熱を開始する。時刻t20〜時刻t22、時刻t20〜t21、t21〜t22も、それぞれ、同様に、流速センサ動作時間Time[act]、センサ加熱時間Time[heat]、流速計測時間Time[meas]とする。制御部200は、このような電圧制御と測定とを、繰り返し行う。
【0027】
尚、流速センサ動作時間Time[act]に対する待機時間Time[wait]を長くすることによって、消費電力は低下する。一方、待機時間Time[wait]が長くなるに従って、計測精度は低下する。このため、計測精度が要求される場合には、待機時間Time[wait]を短くする必要がある。
【0028】
制御部200は、このような電圧制御と測定とを行うため、流速算出部201と、メモリ202と、計測間隔切替判断部203と、電源制御部204と、を備える。
【0029】
流速算出部201は、加熱温度センサ101の出力電圧値と周囲環境温度センサ102の出力電圧値とから、流速を示す流速係数γを算出するものである。
【0030】
流速算出部201は、計測間隔切替判断部203によって、計測間隔パラメータとして、センサ加熱時間Time[heat]と流速計測時間Time[meas]とが設定される。センサ加熱時間Time[heat]と流速計測時間Time[meas]とが設定されると、流速算出部201は、図2に示す時刻t11において、それぞれ、電圧V101,V102を測定して測定値V101[t11],V102[t11]を取得し、時刻t12において、それぞれ、電圧V101,V102を測定して測定値V101[t12],V102[t12]を取得する。
【0031】
流速算出部201は、取得した測定値V101[t11],V102[t11],V101[t12],V102[t12]に基づいて流速係数γを算出する。
【0032】
流速算出部201は、以下のようにして流速係数γを算出する。
図2に示す時刻t11における温度センサ101,102の抵抗値を、それぞれ、R101[t11],R102[t11]として、流速算出部201は、計測した測定値V101[t11],V102[t11]に基づいて抵抗値R101[t11],R102[t11]を算出する。
【0033】
図2に示す時刻t12における温度センサ101,102の抵抗値を、それぞれ、R101[t12],R102[t12]として、流速算出部201は、既知の方法を用い、計測値V101[t12],V102[t12]に基づいて抵抗値R101[t12],R102[t12]を算出する。
【0034】
次に、図2に示す時刻t11における加熱温度センサ101、周囲環境温度センサ102のそれぞれの温度Temp101[t11],Temp102[t11]として、流速算出部201は、既知の方法を用い、抵抗値R101[t11],R102[t11]に基づいて温度Temp101[t11],Temp102[t11]を算出する。
【0035】
また、図2に示す時刻t11における温度センサ101,102の温度を、それぞれ、Temp101[t12],Temp102[t12]として、流速算出部201は、既知の方法を用い、抵抗値R101[t12],R102[t12]に基づいて温度Temp101[t12],Temp102[t12]を算出する。
【0036】
加熱温度センサ101の流速計測時間Time[meas]内における流速センサ発熱量をdTempとして、流速算出部201は、次の式(1)に従って、この流速センサ発熱量dTempを算出する。
dTemp=Temp101[t12]−Temp101[t11] ・・・・・・(1)
【0037】
また、加熱温度センサ101の流速計測時間Time[meas]内における流速センサ仕事量をdWとして、流速算出部201は、次の式(2)に従って、この流速センサ仕事量dWを算出する。
【数1】

・・・・・・(2)
【0038】
また、流速算出部201は、次の式(3)で表される流速センサ温度差分値diffTempを算出する。
diffTemp=Temp102[t11]−Temp101[t12] ・・・・・・(3)
【0039】
そして、流速算出部201は、次の式(4)で表される流速係数γを算出する。
【数2】

・・・・・・(4)
但し、α:流速センサ100の仕事量の効率を表す流速算出パラメータ
β:無風時における風速に対する流速センサ温度差分値の
影響度合を表す流速算出パラメータ
【0040】
流速算出部201は、このようにして流速係数γを算出すると、算出した流速係数γを計測間隔切替判断部203に供給する。
【0041】
メモリ202は、流速算出部201と計測間隔切替判断部203とが使用するパラメータ、制御部200が実行するプログラムのデータ等を格納するメモリである。このメモリ202には、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)が用いられる。
【0042】
メモリ202は、図3に示すような計測モード−パラメータ対応表、図4に示すような境界値範囲表の各データを記憶する。
【0043】
図3に示す計測モード−パラメータ対応表は、計測モードと各パラメータとの関係を示すものである。
【0044】
パラメータには、電源制御パラメータと計測間隔パラメータと流速算出パラメータとがある。電源制御パラメータは、流速センサ100に電圧を印加する時間を示すパラメータであり、流速センサ動作時間Time[act]と待機時間Time[wait]とからなる。
【0045】
流速センサ動作時間Time[act]と待機時間Time[wait]とは、例えば、ミリ秒単位で記述される。
【0046】
計測間隔パラメータは、計測間隔を示すパラメータであり、センサ加熱時間Time[heat]と流速計測時間Time[meas]とからなる。センサ加熱時間Time[heat]と流速計測時間Time[meas]とは、例えば、ミリ秒単位で記述される。
【0047】
流速算出パラメータは、流速係数γを算出するためのパラメータであり、式(4)に用いられるα、βからなる。
【0048】
計測モードは、各パラメータの値を決定するためのモードであり、本実施形態では、計測モードを、通常モードと高精度モードとの2つのモードとする。通常モードは、消費電力を低減しつつ、流速を計測するモードであり、高精度モードは、通常モードよりも計測精度を高めて流速を計測することが可能なモードである。
【0049】
尚、各パラメータの値は、計測精度と消費電力との関係を考慮して実験等によって求められた値である。
【0050】
具体的に、電源制御パラメータについては、Time[wait]/Time[act]=k1として、通常モード時の比率k1は、高精度モード時の比率k1と比較して大きくなっている。
【0051】
即ち、待機時間Time[wait]では、電力が流速センサ100に供給されないため、比率k1が大きくなると、電力が供給される時間比率が小さくなり、計測精度は低下するものの消費電力は低減されることになる。
【0052】
また、計測間隔パラメータについては、高精度モード時のセンサ加熱時間Time[heat]、流速計測時間Time[meas]は、通常モード時のそれぞれの時間と比較して長くなっている。
【0053】
これに伴い、高精度モード時の流速センサ動作時間Time[act]、待機時間Time[wait]も、通常モード時のそれそれの時間と比較して長くなっている。即ち、高精度モード時では、通常モード時と比較して、消費電力は大きくなるものの、加熱温度センサ101を十分に加熱してから長い時間間隔で流速を計測することになり、計測精度が高められる。
【0054】
図4に示す境界値範囲表は、流速算出部201が算出した流速係数γと、流速係数γの境界値範囲θと、の関係を示す図である。
流速センサ100の出力電圧V101,V102は変動するものであり、流速算出部201が算出する流速係数γも変動し、算出した流速係数γは、複数回計測すると、図5に示すように、中央値を中心として分布する。境界値範囲θは、この流速係数γの分布に対して範囲を設定するためのものである。
【0055】
計測間隔切替判断部203は、流速算出部201から供給された流速係数γに基づいて電源制御する手順と流速算出とを実行するタイミングを決定するものである。
【0056】
計測間隔切替判断部203は、流速算出部201から流速係数γが供給されると、図4に示す境界値範囲表を参照して、流速係数γに対応する境界値範囲θとを比較する。
【0057】
計測間隔切替判断部203は、通常モードにおいて供給された流速係数γが境界値範囲θに収まっているときは、即ち、境界値範囲θ内であるときは、計測モードを継続して通常モードに決定する。
【0058】
一方、計測間隔切替判断部203は、通常モードにおいて供給された流速係数γが境界値範囲θに収まっていないとき、即ち、境界値範囲θを超えたときは、流速係数γが変化したことを示す。計測間隔切替判断部203は、この場合にのみ、計測モードを高精度モードに決定する。従って、流体の流速が変動しても、流速算出部201が算出した流速係数γが境界値範囲θに収まっていれば、通常モードが保持されて省電力化が図られることになる。
【0059】
計測間隔切替判断部203は、図3に示す計測モード−パラメータ対応表を参照して、決定した計測モードの電源制御パラメータを電源制御部204に設定し、決定した計測モードの計測間隔パラメータ、流速算出パラメータを流速算出部201に設定する。
【0060】
電源制御部204は、直流電源PSと流速センサ100との接続、遮断を制御するものである。
【0061】
電源制御部204は、計測間隔切替判断部203によって、電源制御パラメータが設定され、設定された電源制御パラメータに従って、スイッチトランジスタSW1をオン、オフする。
【0062】
電源制御部204の出力端は、スイッチトランジスタSW1のベースに接続される。そして、電源制御部204は、設定された流速センサ動作時間Time[act]、スイッチトランジスタSW1にHighレベルの信号をベースに供給してスイッチトランジスタSW1をオンして、流速センサ100に電圧を印加する。
【0063】
電源制御部204は、流速センサ動作時間Time[act]経過後、設定された待機時間Time[wait]、スイッチトランジスタSW1にLowレベルの信号をベースに供給してスイッチトランジスタSW1をオフして、流速センサ100への電圧印加を停止する。
【0064】
表示部300は、流速算出部201が算出した流速を表示するためのものである。
【0065】
次に本実施形態に係る熱式流速計測装置の動作を説明する。
制御部200は、メモリ202からプログラムデータを読み出し、図6に示すフローチャートに従って、流速計測処理を実行する。
【0066】
制御部200の電源制御部204は、予め設定された通常モードの電源制御パラメータに基づいて、スイッチトランジスタSW1に信号を供給して、直流電源PSから流速センサ100に電流を供給する(ステップS11)。
【0067】
流速算出部201は、電源制御部204が流速センサ100へ電力を供給している間、予め設定してある通常の計測間隔パラメータに基づき、流速センサ100の加熱温度センサ101、周囲環境温度センサ102の出力電圧を計測する(ステップS12)
【0068】
流速算出部201は、加熱温度センサ101、周囲環境温度センサ102の出力電圧値V101,V102を、測定値V101[t11],V102[t11],V101[t12],V102[t12]として取得し、式(1)〜(4)に従い、流速係数γを算出する(ステップS13)。流速算出部201は、算出した流速係数γを計測間隔切替判断部203に供給する。
【0069】
計測間隔切替判断部203は、流速算出部201から流速係数γが供給されると、メモリ202に格納された図3に示すγ−境界値範囲表を参照し、流速係数γに対応する境界値範囲θを取得する(ステップS14)。
【0070】
計測間隔切替判断部203は、流速係数γと境界値範囲θとを比較して、流速係数γが境界値範囲θを超えるか否か、即ち、流速係数γが境界値範囲θに収まるか否かの範囲内か否かを判定する(ステップS15)。
【0071】
流速係数γが境界値範囲θに収まる(範囲θ内)場合(ステップS15;Yes)、計測間隔切替判断部203は、予め設定された通常の電源制御パラメータ、計測間隔パラメータ、流速算出パラメータの再設定を行わず、測定値V101[t11],V102[t11],V101[t12],V102[t12]をメモリ202に格納する。そして、制御部200は、この速度計測処理を終了させる。
【0072】
一方、流速係数γが境界値範囲θに収まらない(範囲θを超える)場合(ステップS15;No)、計測間隔切替判断部203は、流速算出部201に、流速係数γの破棄を指示するとともに、メモリ202から、高精度モードの電源制御パラメータ、計測間隔パラメータ、流速算出パラメータの読み込みを行う(ステップS17)。
【0073】
計測間隔切替判断部203は、電源制御部204に対して、読み込んだ電源制御パラメータを再設定し、流速算出部201に対して、読み込んだ計測間隔パラメータ、流速算出パラメータを再設定する(ステップS18)。そして、制御部200は、この速度計測処理を終了させる。
【0074】
次に、この流速計測処理を具体的に説明する。
計測間隔切替判断部203は、計測モードを通常モードとして、メモリ202の図3に示す計測モード−パラメータ対応表を参照し、通常モードの電源制御パラメータとして、流速センサ動作時間Time[act]=120(ms)、待機時間Time[wait]=880(ms)を取得し、計測間隔パラメータとして、センサ加熱時間Time[heat]=70(ms)、流速計測時間Time[meas]=50(ms)を取得する。
【0075】
電源制御部204は、計測間隔切替判断部203によって、流速センサ動作時間Time[act]=120(ms)、待機時間Time[wait]=880(ms)が設定されると、図7に示すように、時刻t30から、スイッチトランジスタSW1を120(ms)、オンする(ステップS11)。
【0076】
また、流速算出部201は、計測間隔切替判断部203によって、センサ加熱時間Time[heat]=70(ms)、流速計測時間Time[meas]=50(ms)が設定が設定されると、時刻t30から70(ms)経過したときに、測定値V101[t11],V102[t11]を取得し、さらに50(ms)経過したときに、測定値V101[t12],V102[t12]を取得する(ステップS12)。
【0077】
流速算出部201が、このとき算出した流速係数γが1になった場合(ステップS13)、計測間隔切替判断部203が境界値範囲θを読み込むと(ステップS14)、流速係数γは、図8(a)に示すように、境界値範囲θ=0.96〜1.04に収まる(ステップS15;Yes)。このため、計測間隔切替判断部203は、計測モードを通常モードとしたまま、パラメータの再設定を行わない(ステップS16)。
【0078】
電源制御部204は、時刻t30から120(ms)経過後、スイッチトランジスタSW1を880(ms)、オフして、流速センサ100への電圧供給を停止する。そして、電源制御部204は、880(ms)経過した時刻t40になると、再び、流速センサ100に電圧を印加する(ステップS11)。
【0079】
計測モードが通常モードのまま、時間が経過し、時刻t50から120msが経過した時刻t52において、流速算出部201が算出した流速係数γが1.1となって(γ=1.1)、図8(b)に示すように、境界値範囲θ=0.96〜1.04に収まらない(ステップS15;No)。この場合、計測間隔切替判断部203は、流速算出部201が算出した流速係数γ=1.1を破棄する。
【0080】
その上で、計測間隔切替判断部203は、メモリ202の図3に示す計測モード−パラメータ対応表から、高精度モードの電源制御パラメータとして、Time[act]=250(ms)、Time[wait]=250(ms)を取得し、高精度モードの計測間隔パラメータとして、センサ加熱時間Time[heat]=150(ms)、流速計測時間Time[meas]=100(ms)を取得する(ステップS17)。
【0081】
電源制御部204は、計測間隔切替判断部203によって、この電源制御パラメータが再設定されると、時刻t52から250(ms)、スイッチトランジスタSW1をオフして、流速センサ100への電圧印加を停止する。
【0082】
そして、電源制御部204は、250(ms)経過後の時刻t60から250(ms)、スイッチトランジスタSW1をオンして、流速センサ100に電圧を印加する。
【0083】
制御部200がこのような流速計測処理を実行したときの従来の熱式流速計測装置の動作と本実施形態の熱式流速計測装置の動作とを比較した例を図9に示す。
【0084】
この図9(a)に示すように、流速の変化が穏やかな場合、図9(b)に示す従来の熱式流速計測装置の流速計測処理と図9(c)に示す本実施形態の熱式流速計測装置の流速計測処理とでは、消費電力にあまり大きな差はない。
【0085】
しかし、図9(a)に示すように、流速の変化が激しい場合、従来の熱式流速計測装置の流速計測処理では、図9(b)に示すように、流速の変化率が変わるたびに、流速の計測精度を高めるために、消費電力は大きくなる。
【0086】
一方、本実施形態の熱式流速計測装置の流速計測処理では、図9(c)に示すように、通常モードにおいて、流速係数γが境界値範囲θに収まって十分な精度が保たれていれば、高精度モードに切り替わらないため、従来の熱式流速計測装置の流速計測処理よりも、消費電力は低減される。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、待機時間Time[wait]を設け、間欠的に流速センサ100に電源電圧を印加するようにした。また、センサ加熱時間Time[heat]を設け、加熱温度センサ101を加熱してから流速計測を行うようにした。従って、計測精度を損なうことなく、消費電力を低減することができる。
【0088】
また、流速の変化が穏やかな場合のように、通常モードにおいて算出した流速係数γが境界値範囲θに収まっているときは、通常モードの電源制御パラメータに基づいて電圧制御を行うようにした。
【0089】
一方、流速の変化が激しい場合のように、通常モードにおいて算出した流速係数γが境界値範囲θに収まらないときにのみ、制御部200は、高精度モードの電源制御パラメータに基づいて電源制御を行うようにした。
【0090】
即ち、通常の流速計測において、流速係数γの算出結果が十分な精度を保っているならば、計測モードを高精度モードに切り替えず、流速係数γの算出結果が境界値範囲に収まらないときにのみ、高精度に流速を計測するようにした。
【0091】
従って、消費電力を低減しても、計測精度を損なうことなく、流速の計測を行うことができる。
【0092】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、流速算出部201は、図4に示すような境界値範囲表を用いて流速係数γと境界値範囲θとを比較した。しかし、流速算出部201は、図10に示すような流速係数−流速との対応表を用いて流速係数γを流速に変換するようにしてもよい。
【0093】
上記実施形態では、計測モードを、通常モードと高精度モードとの2つとして説明した。しかし、計測モードは、この2つに限られるものではなく、3つ以上としてもよい。
【0094】
図3に示す各パラメータの値は、前述のように、計測精度と消費電力との関係を考慮して実験等によって求められた値であり、これらの値に限定されるものではない。図4、図10についても同様である。
【0095】
上記実施形態では、メモリ202は、EEPROMとして説明した。しかし、メモリ202はEEPROMに限られるものではなく、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等であってもよい。
【0096】
上記実施形態では、図3に示す計測モード−パラメータ対応表を格納したメモリ202を備え、通常モードにおいて流速係数γが境界値範囲θに収まらない場合、計測間隔切替判断部203が計測モード−パラメータ対応表を参照して計測モードを高精度モードに変更するようにした。計測間隔切替判断部203は、このようにして電源制御パラメータ、時間間隔パラメータ、流速算出パラメータを変更して各パラメータを再設定し、流速を計測するようにした。
【0097】
しかし、流速係数γが境界値範囲θに収まらない場合、計測間隔切替判断部203は、流速係数γが境界値範囲θに収まるまで、電源制御パラメータが示す流速センサ動作時間Time[act]と待機時間Time[wait]及び計測間隔パラメータが示す加熱時間Time[heat]と流速計測時間Time[meas]のうちの少なくとも一方、もしくは両方を変更するようにしてもよい。
【0098】
この場合、計測モード(計測モード−パラメータ対応表)を設けなくても、流速係数γと境界値範囲θとの関係から、計測精度を損なうことなく流速を計測することができ、しかも消費電力を低減するという効果を得ることもできる。
【符号の説明】
【0099】
100 流速センサ
200 制御部
101 加熱温度センサ
102 周囲環境温度センサ
201 流速算出部
202 メモリ
203 計測間隔切替判断部
204 電源制御部
SW1 スイッチトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサと、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止する電圧印加制御部と、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータが示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得する流速取得部と、
前記動作時間と前記待機時間との比率によって省電力化される第1の計測モード、前記第1の計測モードよりも高精度に前記流速の計測が可能な第2の計測モードのそれぞれの計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、格納するパラメータ格納部と、
前記パラメータ格納部を参照し、前記第1の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、前記電圧印加制御部、前記流速取得部に設定し、前記流速取得部が取得した流速が予め設定された範囲を超えたときにのみ、前記第2の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、前記電圧印加制御部、前記流速取得部に設定するパラメータ設定部と、を備えた、
ことを特徴とする熱式流速計測装置。
【請求項2】
前記パラメータ格納部が格納する前記電源制御パラメータの前記動作時間に対する待機時間の前記第1の計測モードにおける比率が、前記第2の計測モードにおける前記比率よりも大きく設定された、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱式流速計測装置。
【請求項3】
前記パラメータ格納部が格納する前記第2の計測モードにおける前記計測間隔パラメータが示す計測間隔が、前記第1の計測モードにおける前記計測間隔よりも広く設定された、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱式流速計測装置。
【請求項4】
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサと、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止する電圧印加制御部と、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータが示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得する流速取得部と、
前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、前記電圧印加制御部、前記流速取得部に設定し、前記流速取得部が取得した流速が予め設定された範囲を超えたとき、前記電源制御パラメータが示す前記動作時間と前記待機時間及び前記計測間隔パラメータが示す計測間隔のうちの少なくとも一方、もしくは両方を変更し、変更した前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、前記電圧印加制御部、前記流速取得部に設定するパラメータ設定部と、を備えた、
ことを特徴とする熱式流速計測装置。
【請求項5】
前記計測間隔パラメータが示す計測間隔で第1の時刻と第2の時刻とが設定され、
前記流速取得部は、前記第1の時刻で計測した前記第1の電圧と前記第2の電圧、前記第2の時刻で計測した前記第1の電圧と前記第2の電圧に基づいて前記加熱温度センサの温度及び前記周囲環境温度センサの温度を取得し、取得した両温度と予め設定された流速算出パラメータとを用い、式(1)〜(4)に従って流速係数γを算出し、算出した流速係数γを流速として取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱式流速計測装置。
dTemp=Temp101[t2]−Temp101[t1]
但し、
t1:計測間隔パラメータが示す計測間隔で設定された第1の時刻
t2:計測間隔パラメータが示す計測間隔で設定された第2の時刻(t1<t2)
Temp101[t1]:第1の時刻t1における加熱温度センサの温度
Temp101[t2]:第2の時刻t2における加熱温度センサの温度
・・・(1)
【数1】

・・・(2)
diffTime=Temp102[t1]−Temp101[t2]
但し、
Temp102[t1]:第1の時刻t1における周囲環境温度センサの温度
Temp101[t2]:第2の時刻t2における加熱温度センサの温度
・・・(3)
【数2】

・・・(4)
【請求項6】
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサを備えた熱式流速計測装置の流速計測方法であって、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止するステップと、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータに示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得するステップと、
前記動作時間と前記待機時間との比率によって省電力化される第1の計測モード、前記第1の計測モードよりも高精度に前記流速の計測が可能な第2の計測モードのそれぞれの計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、格納し、前記第1の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定し、取得した前記流速が予め設定された範囲を超えたときにのみ、前記第2の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定するステップと、を備えた、
ことを特徴とする熱式流速計測装置の流速計測方法。
【請求項7】
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサを備えた熱式流速計測装置の流速計測方法であって、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止するステップと、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータに示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得するステップと、
前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定し、取得した流速が予め設定された範囲を超えたとき、前記電源制御パラメータが示す前記動作時間と前記待機時間及び前記計測間隔パラメータが示す計測間隔のうちの少なくとも一方、もしくは両方を変更し、変更した前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定するステップと、を備えた、
ことを特徴とする熱式流速計測装置の流速計測方法。
【請求項8】
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサを備えた熱式流速計測装置に設けられたコンピュータに、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止する手順、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータに示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得する手順、
前記動作時間と前記待機時間との比率によって省電力化される第1の計測モード、前記第1の計測モードよりも高精度に前記流速の計測が可能な第2の計測モードのそれぞれの計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、格納し、前記第1の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定し、取得した前記流速が予め設定された範囲を超えたときにのみ、前記第2の計測モードにおける前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定する手順、
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
電源電圧が印加されて加熱し、計測する流体中に配置されて前記流体の流速に対応する第1の電圧を出力する加熱温度センサ及び前記電源電圧が印加されて前記加熱温度センサの周囲温度に対応する第2の電圧を出力する周囲環境温度センサを有する熱式流速センサを備えた熱式流速計測装置に設けられたコンピュータに、
前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加する動作時間と前記電源電圧の印加を停止する待機時間とを示す電源制御パラメータが設定されて、設定された前記動作時間、前記熱式流速センサに前記電源電圧を印加し、前記動作時間が経過したときに、設定された前記待機時間、前記電源電圧の印加を停止する手順、
前記熱式流速センサの前記第1の電圧、前記第2の電圧を、前記動作時間内で計測する計測間隔を示す計測間隔パラメータが設定され、設定された計測間隔パラメータに示す計測間隔で前記第1の電圧と前記第2の電圧とをそれぞれ計測し、計測したそれぞれの前記第1の電圧と前記第2の電圧とに基づいて流速を取得する手順、
前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定し、取得した流速が予め設定された範囲を超えたとき、前記電源制御パラメータが示す前記動作時間と前記待機時間及び前記計測間隔パラメータが示す計測間隔のうちの少なくとも一方、もしくは両方を変更し、変更した前記電源制御パラメータ、前記計測間隔パラメータを、それぞれ、設定する手順、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−95192(P2011−95192A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251479(P2009−251479)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、エネルギー使用合理化技術戦略的開発、エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発、インテリジェントタップを用いた簡易型HEMSの研究開発に係る委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】