熱源システム又は空調システムの性能評価方法及び性能評価装置
【課題】熱源システムや空調システムの性能評価を的確かつ多面的に行なえる性能評価方法及び性能評価装置を提供する。
【解決手段】初期の設定運転期間Lは、実際運転の運転条件Q,towと同じ運転条件の下で対象システムを構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときに得られる性能評価値Esと、実際運転で得られる同種の性能評価値Eとに基づき性能を評価(E:Es)するとともに、実際運転における運転条件Q,towと性能評価値Eとを記録した運転データddを蓄積し、設定運転期間Lの経過後においては、記録運転条件が実際運転における運転条件と合致する対応運転データddを検索して、この対応運転データddに記録された性能評価値Emと、実際運転で得られる同種の性能評価値Eとに基づき性能を評価(E:Em)する。
【解決手段】初期の設定運転期間Lは、実際運転の運転条件Q,towと同じ運転条件の下で対象システムを構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときに得られる性能評価値Esと、実際運転で得られる同種の性能評価値Eとに基づき性能を評価(E:Es)するとともに、実際運転における運転条件Q,towと性能評価値Eとを記録した運転データddを蓄積し、設定運転期間Lの経過後においては、記録運転条件が実際運転における運転条件と合致する対応運転データddを検索して、この対応運転データddに記録された性能評価値Emと、実際運転で得られる同種の性能評価値Eとに基づき性能を評価(E:Em)する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機により冷却又は加熱した熱媒を熱媒ポンプにより需要先に供給する熱源システムや、熱源システムにより供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう空調システムについて、それらシステムの消費エネルギや環境負荷などに関する性能を評価する熱源システム又は空調システムの性能評価方法及び性能評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の性能評価については、空調設備で用いる変流量制御システムや変風量制御システムなどの実際の可変制御システムの運転データに基づいてエネルギ消費量を算定するとともに、同一運転条件下における従来型制御システムなどの仮想制御システムのエネルギ消費量を算定し、これら実際の可変制御システムについての算定エネルギ消費量と仮想制御システムについての算定エネルギ消費量とをリアルタイムかつ定量的に比較することで、実際の可変制御システムのエネルギ消費量に関する性能を評価する方式が提案されている(特許文献1参照、特に特許文献1の段落0006及び段落0012〜段落0014)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−156147号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来の評価方式では、熱源システムや空調システムの性能評価において、上記可変制御システムに該当する実際の熱源システム又は空調システム(対象システム)の実際運転で得られる所定種の性能と、上記仮想制御システムに該当する異種システムの同一運転条件下での仮想運転で得られる同種性能との優劣関係などは定量的に判断できるが、対象システムとは構成機器や運転方式が異なり、また、そのことで運転条件の変化に対して受ける性能上の影響なども異なる異種システムを比較対象とするため、設計上の性能が現状における対象システムの実際運転で得られているかどうかや、経年劣化等により対象システムの性能が設計上の性能やシステム構築後の初期性能に比べてどの程度かつどのような低下動向で低下しているかなどのことは的確に判断することができず、このため、評価結果に基づく対象システムの管理や運用計画の策定あるいは経費見込みの策定などを適切に行えない問題があった。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な評価方式を採ることにより上記問題を解消するとともに、熱源システム又は空調システムの性能評価を一層高度かつ多面的に行なえるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は熱源システム又は空調システムの性能評価方法に係り、その特徴は、
熱源機により冷却又は加熱した熱媒を熱媒ポンプにより需要先に供給する熱源システムの性能、又は、熱源システムにより供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう空調システムの性能を評価する熱源システム又は空調システムの性能評価方法であって、
対象システムの構築後における初期の設定運転期間においては、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときに得られる各時点の所定種の性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム仮想運転基準の性能評価を行なうとともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と性能評価値とを関連付けて記録した各時点の運転データを蓄積し、
前記設定運転期間の経過後においては、
前記蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における各時点の運転条件と合致する各時点の対応運転データを検索して、これら検索した各時点の対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム初期実績基準の性能評価を行なう点にある。
【0007】
因みに、熱源システムや空調システムの性能は消費エネルギや環境負荷あるいは運転コストや効率などに関する所定種の性能評価値を用いて評価できるが、評価対象である対象システムの仮想運転として、対象システムを構成する熱源機や熱媒ポンプなどの構成機器の特性情報(即ち、既定の機器特性情報であって、ポンプで言えば流量、揚程、消費動力、効率などの相関に関するカタログデータなど)に基づき対象システムを仮想運転すれば、その仮想運転上で得られる対象システムの性能評価値は経年劣化等による性能低下が無い状態の言わばカタログ値的(換言すれば公称値的)な性能評価値に該当する。
【0008】
従って、この仮想運転を対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で行なえば、対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下での対象システムの各時点におけるカタログ値的な性能評価値を演算等により求めることができる。
【0009】
この点に着目して、上記第1特徴構成による評価方法では、対象システムの構築後における初期の設定運転期間(例えば、初期の1年間や2年間)については、上記仮想運転で得られる対象システムの各時点における性能評価値(カタログ値的な性能評価値)と、対象システムの実際運転で得られる各時点の性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム仮想運転基準の性能評価を行なう。
【0010】
即ち、この同一システム仮想運転基準の性能評価であれば、同一システムでかつ同一運転条件という比較条件の下で、対象システムのカタログ値的な性能評価値と対象システムの実際運転で得られる現実の性能評価値との相対的な関係を時系列的に、また必要であれば、対象システムの実際運転に併行してリアルタイムに判断することができる。
【0011】
従って、異種システムを比較対象とする先述の如き従来の評価方式に比べ、設計上の性能(換言すれば、カタログ値的な性能)が対象システムの実際運転において得られているか否かや、対象システムの現状における性能が設計上の性能に比べてどの程度かつどのような低下動向で低下しているかなどのことを一層的確に判断することができる。
【0012】
また、対象システムのいずれかの部分で故障などの異常が発生したり、仮想運転で使用する構成機器の特性情報にカタログミス的な誤りがあった場合など、それが原因で、同一システムであるにもかかわらず、上記仮想運転で得られるカタログ値的な性能評価値と実際運転で得られる現実の性能評価値とが運転条件の変化などに対して相対的に異なる変化傾向を示すことから、その変化傾向の異なりによって異常発生や特性情報の誤りなども的確に判断することができる。
【0013】
一方、上記評価方法では、初期の設定運転期間において上記の如く同一システム仮想運転基準の性能評価により対象システムの性能を評価するとともに、対象システムの実際運転における各時点の運転条件と性能評価値とを関連付けて記録した各時点の運転データを蓄積する。
【0014】
そして、設定運転期間の経過後については、この蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における各時点の運転条件と合致する各時点の対応運転データを検索して、これら検索した各時点の対応運転データに記録された性能評価値(即ち、同一システムにおける同一運転条件下での初期実績の性能評価値)と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム初期実績基準の性能評価を行なう。
【0015】
即ち、この同一システム初期実績基準の性能評価であれば、同一システムでかつ同一運転条件という比較条件の下で、初期の設定運転期間において得られた対象システムの初期実績の性能評価値と、対象システムの実際運転(設定運転期間の経過後における実際運転)で得られる現実の性能評価値との相対的な関係を時系列的に、また必要であれば、対象システムの実際運転に併行してリアルタイムに判断することができる。
【0016】
従って、異種システムを比較対象とする先述の如き従来の評価方式に比べ、対象システムの実際運転において初期実績の性能が維持されているか否かや、経年劣化等により対象システムの性能が初期実績の性能に比べてどの程度かつどのような低下動向で低下しているかなどのことを一層的確に判断することができる。
【0017】
また、初期の設定運転期間と同様、対象システムのいずれかの部分で故障などの異常が発生したり、蓄積運転データに誤記録があった場合など、それが原因で、同一システムであるにもかかわらず、上記初期実績の性能評価値と実際運転で得られる現実の性能評価値とが運転条件の変化などに対して相対的に異なる変化傾向を示すことから、その変化傾向の異なりによって異常発生や運転データの誤記録なども的確に判断することができる。
【0018】
そしてまた、設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価では、対象システム自身の初期実績の性能評価値を評価基準とするから、対象システムの仮想運転上の性能評価値(カタログ値的な性能評価値)を評価基準とする初期の設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価に比べ、より一層実状に即した比較条件の下で上記の如き各種判断を行なうことができて、それらの各種判断を一層精度良く的確に行えるようになる。
【0019】
これらの点で上記第1特徴構成による評価方法によれば、異種システムを比較対象とする先述の如き従来の評価方式に比べ、評価結果に基づく対象システムの管理や運用計画の策定あるいは経費見込みの策定などを一層適切に行なえるようになり、また、熱源システムや空調システムの性能評価を一層高度かつ多面的に行なうことができる。
【0020】
なお、上記評価方法の実施において、性能評価値としては消費動力、換算二酸化炭素排出量、運転コスト、効率、あるいは、それら各値のうちの2つ以上のものの夫々に重み係数を乗じた値の和など、必要に応じて種々の性能評価値を採用することができる。
【0021】
対象システムの上記仮想運転で得られる各時点の性能評価値を求めるにあたっては、対象システムの実際運転に伴い同一運転条件での対象システムの仮想運転をシミュレータにより逐次実施して、その仮想運転での対象システムの性能評価値をシミュレータに演算させる方式や、対象システムの仮想運転上の性能評価値と運転条件との相関を予め数式化しておき、この数式に基づき各運転条件での対象システムの仮想運転上の性能評価値を演算により求める方式など種々の演算方式を採用することができる。
【0022】
また、対象システムの仮想運転上における性能評価値を運転条件ごとに記録したデータテーブルを予め設けておき、このデータテーブルから運転条件に基づき検索する形態で各運転条件での対象システムの仮想運転上の性能評価値を求める演算方式なども採用することができる。
【0023】
そしてまた、対象システムの実際運転で得られる性能評価値を求めるにあたっては、計測により求める方式やシステム各部からの収集状態値に基づく演算により求める方式など、種々の方式を採用することができる。
【0024】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成による評価方法の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価又は前記設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価とともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムとは構成機器又は運転方式が異なる異種システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときに得られる各時点の所定種の性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する異種システム仮想運転基準の性能評価を行なう点にある。
【0025】
つまり、対象システムとは構成機器又は運転方式が異なる異種システムを、その構成機器の特性情報(カタログデータなどの既定の機器特性情報)に基づき対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で仮想運転すれば、対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下での異種システムの各時点における言わばカタログ値的な性能評価値を演算等により求めることができる。
【0026】
このことから、上記第2特徴構成における評価方法では、前記の同一システム仮想運転基準の性能評価や同一システム初期実績基準の性能評価とともに、異種システムの上記仮想運転で得られる異種システムの各時点における性能評価値(異種システムのカタログ値的な性能評価値)と、対象システムの実際運転で得られる各時点の性能評価値(対象システムの現実の性能評価値)とに基づき対象システムの性能を評価する異種システム仮想運転基準の性能評価を行う。
【0027】
即ち、この異種システム仮想運転基準の性能評価であれば、同一運転条件という比較条件の下で、異種システムのカタログ値的な性能評価値と対象システムの実際運転で得られる現実の性能評価値との優劣関係等の相対的な関係を時系列的に、また必要であれば、対象システムの実際運転に併行してリアルタイムに判断することができる。
【0028】
従って、この異種システム仮想運転基準の性能評価を前述の設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価や設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価とともに実施する上記評価方法によれば、熱源システムや空調システムの性能評価をさらに高度かつ多面的に行なうことができる。
【0029】
なお、上記評価方法の実施において、設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価や設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価で用いる所定種の性能評価値と、異種システム仮想運転基準の性能評価で用いる所定種の性能評価値とは同種の性能評価値あるいは異種の性能評価値のいずれであってもよい。
【0030】
また、例えば、それら性能評価値として異種の性能評価値を用いるようにして、設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価や設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の評価値評価では同一システムを比較対象とすることにおいて特に意義のある性能評価値を採用し、異種システム仮想運転基準の性能評価では異種システムを比較対象とすることにおいて特に意義のある性能評価値を採用するのもよい。
【0031】
異種システムの上記仮想運転で得られる各時点の性能評価値を求めるにあたっては、前述と同様、対象システムの実際運転に伴い同一運転条件での異種システムの仮想運転をシミュレータにより逐次実施して、その仮想運転での異種システムの性能評価値をシミュレータに演算させる方式や、異種システムの仮想運転上の性能評価値と運転条件との相関を予め数式化しておき、この数式に基づき各運転条件での異種システムの仮想運転上の性能評価値を演算により求める方式など種々の演算方式を採用することができる。
【0032】
また、異種システムの仮想運転上における性能評価値を運転条件ごとに記録したデータテーブルを予め設けておき、このデータテーブルから運転条件に基づき検索する形態で各運転条件での異種システムの仮想運転上の性能評価値を求める演算方式なども採用することができる。
【0033】
上記異種システム仮想運転基準の性能評価では、異種システムのカタログ値的な性能評価値と対象システムの現実の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価するが、これとは別に、異種システムを比較対象とする基本的な性能評価として、同一運転条件下での異種システムの仮想運転で得られる各時点の性能評価値(異種システムのカタログ値的な性能評価値)と、対象システムの仮想運転で得られる各時点の性能評価値(対象システムのカタログ値的な性能評価値)とに基づき対象システムの性能を基本的に評価する両システム仮想運転基準の性能評価を前記の同一システム仮想運転基準の性能評価や同一システム初期実績基準の性能評価とともに行なうようにしてもよい。
【0034】
第1特徴構成又は第2特徴構成による評価方法を実施するにあたっては、それら評価方法における一部の工程を自動化装置により自動的に行い、残りの工程を人為的に行なう方式、あるいは、それら評価方法における全ての工程を自動化装置により自動的に行なう又は全ての工程を人為的に行なう方式のいずれを採用してもよい。
【0035】
本発明の第3特徴構成は熱源システム又は空調システムの性能評価装置に係り、その特徴は、
熱媒機により冷却又は加熱した熱媒を熱媒ポンプにより需要先に供給する熱源システムの性能、又は、熱源システムにより供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう空調システムの性能を評価する熱源システム又は空調システムの性能評価装置であって、
対象システムの構築後における初期の設定運転期間においては、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら対象システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき同一システム仮想運転基準の性能評価用データを作成するとともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と性能評価値とを関連付けて記録した各時点の運転データを記憶手段に蓄積し、
前記設定運転期間の経過後においては、
前記記憶手段における蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における各時点の運転条件と合致する各時点の対応運転データを検索し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら検索した各時点の対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき同一システム初期実績基準の性能評価用データを作成する性能評価手段を設けてある点にある。
【0036】
つまり、この評価装置では、対象システムの構築後における初期の設定運転期間については、対象システムの上記仮想運転での各時点における演算性能評価値(カタログ値的な性能評価値)と、対象システムの実際運転での各時点における計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき同一システム仮想運転基準の性能評価用データを性能評価手段に作成させるとともに、実際運転における各時点の運転条件及び性能評価値を記録した運転データを蓄積させる。
【0037】
また、設定運転期間の経過後においては、蓄積運転データの中から検索した各時点の対応運転データ(記憶運転条件が実際運転の運転条件と合致する運転データ)における記録性能評価値(初期実績の性能評価値)と、対象システムの実際運転における計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき同一システム初期実績基準の性能評価用データを性能評価手段に作成させる。
【0038】
即ち、これら作成する同一システム仮想運転基準の性能評価用データ及び同一システム初期実績基準の性能評価用データを用いて、前述した第1特徴構成による評価方法の初期の設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価及び設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価を行なえるようにする。
【0039】
従って、この評価装置によれば、第1特徴構成による評価方法で得られる前述の如き効果を人為作業の負担を大幅に軽減した状態で、また、誤演算等を回避して一層確実に得ることができる。
【0040】
なお、性能評価手段に作成させる性能評価用データは、比較対象の性能評価値どうしを並べて列記した図表を初め、比較対象の性能評価値どうしの相対的な関係を判断できるものであればどのような形式のものであってもよい。
【0041】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間の経過後において、前記蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しないときには、その不存部分について、
対象システムの実際運転における運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの前記所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら対象システムの仮想運転における演算性能評価値と、対象システムの実際運転における計測又は演算性能評価値とに基づき前記同一システム初期実績基準の性能評価用データを補完する構成にしてある点にある。
【0042】
つまり、設定運転期間の経過後において、蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しない場合(逆言すれば、設定運転期間の経過後における実際運転で生じた運転条件が初期の設定運転期間における実際運転では生じなかった場合)があると、その不存部分について、対応運転データに記録された性能評価値(初期実績の性能評価値)と対象システムの実際運転における計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)とに基づく同一システム初期実績基準の性能評価用データの作成が不能になる。
【0043】
これに対し、上記構成では、そのような場合、その不存部分について初期の設定運転期間における性能評価用データの作成と同様に、対象システムの仮想運転での演算性能評価値(カタログ値的な性能評価値)と実際運転での計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき、設定運転期間の経過後に作成する同一システム初期実績基準の性能評価用データを性能評価手段に補完させる。
【0044】
従って、上記構成によれば、記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが蓄積運転データ中に存在しない場合があったとしても、設定運転期間の経過後における同一システム基準の性能評価を中断なく連続的に実施することができる。
【0045】
また、この構成によれば、設定運転期間の経過後に新たな運転条件についての運転データを蓄積運転データ中に追加蓄積することも併行することができ、これにより、蓄積運転データに記録した性能評価値(初期実績の性能評価値)と実際運転での測定又は演算性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき作成する以後における同一システム初期実績基準の性能評価用データを時間経過とともに一層完全なものにすることができる。
【0046】
本発明の第5特徴構成は、第3又は第4特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間において、対象システムの前記仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、
又は、前記設定運転期間の経過後において、各時点の前記対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、異常発生を報知する構成にしてある点にある。
【0047】
つまり、対象システムにおいて何らかの異常が発生した場合、対象システムの実際運転での測定又は演算性能評価値(現実の性能評価値)はその異常発生時点までの変化傾向に比べて特異的に大きく変化することが多い。
【0048】
この点に着目して、上記構成では、初期の設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価用データの作成において、対象システムの前記仮想運転における各時点の演算性能評価値(カタログ値的な性能評価値)と対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、又は、設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価用データの作成において、各時点の対応運転データに記録された性能評価値(初期実績の性能評価値)と対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、異常発生があったものとして異常発生の報知を性能評価手段に実行させる。
【0049】
また、単に対象システムの実際運転における測定又は演算性能評価値(現実の性能評価値)の変化傾向だけから異常発生を検知する場合、運転条件の変化による測定又は演算性能評価値(現実の性能評価値)の変化が誤検知の要因となるが、上記構成では、運転条件の変化に対して基本的には同じ変化傾向を示す同一システムの性能評価値どうしの差に基づき異常発生を検知することで異常発生の検知精度も高いものにすることができる。
【0050】
従って、上記構成によれば、誤報の少ない状態で的確かつ迅速に対象システムにおける異常発生をシステム管理者などに認知させることができる。
【0051】
なお、この構成の実施において上記の所定閾条件としては、上記性能評価値の差が設定閾差より大きくなった状態の累積発生回数が設定上限回数に至った場合や、上記性能評価値の差が設定閾差より大きくなった状態が設定時間の間に設定回数以上生じた場合、あるいは、上記性能評価値の差が設定閾評差より大きくなった状態が設定時間にわたって継続した場合など、対象システムの特性に応じた閾条件を適宜設定すればよい。
【0052】
また、上記性能評価値の差としては性能評価値どうしの数値差に限らず、一方の性能評価値に対する他方の性能評価値の割合上の差を採用してもよい。
【0053】
本発明の第6特徴構成は、第3〜第5特徴構成のいずれかによる評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間において、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値を演算して、
対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値と仮想運転での演算状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある点にある。
【0054】
つまり、対象システムにおいて何らかの異常が発生した場合、対象システムの実際運転におけるシステム各部の状態値(温度、圧力、流量など)のうち異常部における状態値はその異常発生時点までの変化傾向に比べて特異的に大きく変化することが多い。
【0055】
この点に着目して、上記構成では、初期の設定運転期間において、対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値(現実の状態値)を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値(言わば同一運転条件下でのカタログ値的な状態値)を演算し、対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値(現実の状態値)と仮想運転での演算状態値(カタログ値的な状態値)との差が設定閾差より大きい部分を異常部として報知する。
【0056】
また、単に対象システムの実際運転におけるシステム各部の状態値(現実の状態値)の変化傾向だけから異常部を検知する場合、運転条件の変化による状態値の変化が誤検知の要因となることから、上記構成では、運転条件の変化に対して基本的には同じ変化傾向を示す同一システムにおけるシステム各部の状態値どうしの差に基づき異常部を検知することで異常部の検知精度も高いものにすることができる。
【0057】
従って、上記構成によれば、初期の設定運転期間において対象システムに何らかの異常発生があった場合、誤報の少ない状態で的確かつ迅速に対象システムにおける異常部をシステム管理者などに認知させることができる。
【0058】
なお、上記状態値の差としては状態値どうしの数値差に限らず、一方の状態値に対する他方の状態値の割合上の差を採用してもよい。
【0059】
また、上記構成を前記第5特徴構成と併行実施する場合、対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値(現実の状態値)と仮想運転でのシステム各部の状態値(カタログ値的な状態値)とを設定運転期間において継続的に監視するのに代え、第5特徴構成における異常発生の報知を実行したときのみ、両状態値の監視を行なうようにしてもよい。
【0060】
本発明の第7特徴構成は、第3〜第6特徴構成のいずれかによる評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間における前記運転データの蓄積として、対象システムの実際運転における各時点の運転条件及び性能評価値と対象システムの実際運転における各時点のシステム各部の状態値とを関連付けて記録した運転データを前記記憶手段に蓄積し、
前記設定運転期間の経過後において、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、前記記憶手段における蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データを検索して、
対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値と検索した対応運転データに記録された状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある点にある。
【0061】
つまり、この構成では、初期の設定運転期間における運転データの蓄積として、対象システムの実際運転における各時点の運転条件及び性能評価値とともに対象システムの実際運転における各時点のシステム各部の状態値を関連付けて記録した運転データを記憶手段に蓄積する。
【0062】
また、前述の如く、対象システムにおいて何らかの異常が発生した場合、対象システムの実際運転におけるシステム各部の状態値(温度、圧力、流量など)のうち異常部における状態値が異常発生時点までの変化傾向に比べ特異的に大きく変化することが多いことから、上記構成では、設定運転期間の経過後において、対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値(現実の状態値)を収集するとともに、蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データを検索する。
【0063】
そして、対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値(現実の状態値)と検索した対応運転データにおける記録状態値(即ち、同一運転条件下での実績の状態値)との差が設定閾差より大きい部分を異常部として報知する。
【0064】
また、単に対象システムの実際運転におけるシステム各部の状態値(現実の状態値)の変化傾向だけから異常部を検知する場合、運転条件の変化による状態値の変化が誤検知の要因となるが、上記構成では、前述と同様、運転条件の変化に対して基本的には同じ変化傾向を示す同一システムにおけるシステム各部の状態値どうしの差に基づき異常部を検知することで異常部の検知精度も高いものにすることができる。
【0065】
従って、上記構成によれば、設定運転期間の経過後において対象システムに何らかの異常発生があった場合、誤報の少ない状態で的確かつ迅速に対象システムにおける異常部をシステム管理者などに認知させることができる。
【0066】
なお、この構成の実施において、上記状態値の差としては前述と同様、状態値どうしの数値差に限らず、一方の状態値に対する他方の状態値の割合上の差を採用してもよい。
【0067】
また、上記構成を前記第5特徴構成と併行実施する場合、対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値と対応運転データに記録されたシステム各部の状態値とを設定運転期間の経過後において継続的に監視するのに代え、第5特徴構成による異常発生の報知を実行したときのみ、両状態値の監視を行なうようにしてもよい。
【0068】
本発明の第8特徴構成は、第7特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間の経過後において前記蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しないときには、その不存部分について、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値を演算して、
対象システムのシステム各部のうち、これら対象システムの実際運転での収集状態値と仮想運転での演算状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある点にある。
【0069】
つまり、設定運転期間の経過後において、蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しない場合(逆言すれば、設定運転期間の経過後における実際運転で生じた運転条件が初期の設定運転期間における実際運転では生じなかった場合)があると、その不存部分について、対応運転データに記録された状態値(初期実績の状態)と対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値(現実の状態値)とに基づく異常部の報知が不能になるが、上記構成では、このような場合、その不存部分について、対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値(現実の状態値)を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値(同一運転条件下でのカタログ値的な状態値)を演算する。
【0070】
そして、対象システムのシステム各部のうち、これら対象システムの実際運転での収集状態値(現実の状態値)と仮想運転での演算状態値(同一運転条件下でのカタログ値的な状態値)との差が設定閾差より大きい部分を異常部として報知する
【0071】
従って、この構成によれば、記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが蓄積運転データの中に存在しない場合があるとしても、設定運転期間の経過後において対象システムに何らかの異常があったときには確実に異常部の報知を行なうことができる。
【0072】
また、この構成によれば、設定運転期間の経過後に新たな運転条件についての運転データを蓄積運転データ中に追加蓄積することも併行することができる。
【0073】
なお、この構成の実施において、上記状態値の差としては前述と同様、状態値どうしの数値差に限らず、一方の状態値に対する他方の状態値の割合上の差を採用してもよい。
【0074】
本発明の第9特徴構成は、第3〜第8特徴構成のいずれかによる評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記同一システム仮想運転基準の性能評価用データの作成、又は、前記同一システム初期実績基準の性能評価用データの作成に併行して、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムとは構成機器又は運転方式が異なる異種システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら異種システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき異種システム仮想運転基準の性能評価用データを作成する併行データ作成処理が可能な構成にしてある点にある。
【0075】
つまり、この構成では、異種システムの上記仮想運転で得られる各時点の性能評価値(言わば、異種システムのカタログ値的な性能評価値)と対象システムの実際運転で得られる各時点の性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき異種システム仮想運転基準の性能評価用データを性能評価手段に作成させ、これにより、その作成した性能評価用データを用いて、前述した第2特徴構成による評価方法における異種システム仮想運転基準の性能評価を行えるようにする。
【0076】
従って、この構成によれば、初期の設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価用データを用いた性能評価や、設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価用データを用いた性能評価と相俟って、熱源システムや空調システムの性能評価をさらに高度かつ多面的に行なうことができる。
【0077】
なお、性能評価手段に作成させる異種システム仮想運転基準の性能評価用データは、比較対象の性能評価値どうしを並べて列記した図表を初め、比較対象の性能評価値どうしの相対的な関係を判断できるものであればどのような形式のものであってもよい。
【0078】
さらに、上記構成の実施において、同一システム仮想運転基準の性能評価用データや同一システム初期実績基準の性能評価用データで用いる所定種の性能評価値と、異種システム仮想運転基準の性能評価用データで用いる所定種の性能評価値とは同種の性能評価値あるいは異種の性能評価値のいずれであってもよい。
【0079】
また、例えば、それら性能評価値として異種の性能評価値を用いるようにして、同一システム仮想運転基準の性能評価用データや同一システム初期実績基準の性能評価用データでは同一システムを比較対象とすることにおいて特に意義のある性能評価値を採用し、異種システム仮想運転基準の性能評価用データでは異種システムを比較対象とすることにおいて特に意義のある性能評価値を採用するのもよい。
【0080】
異種システムの上記仮想運転で得られる各時点の性能評価値を求めるにあたっては、前述と同様、対象システムの実際運転に伴い同一運転条件での異種システムの仮想運転をシミュレータにより逐次実施して、その仮想運転での異種システムの性能評価値をシミュレータに演算させる方式や、異種システムの仮想運転上の性能評価値と運転条件との相関を予め数式化しておき、この数式に基づき各運転条件での異種システムの仮想運転上の性能評価値を演算により求める方式など種々の演算方式を採用することができる。
【0081】
また、異種システムの仮想運転上における性能評価値を運転条件ごとに記録したデータテーブルを予め設けておき、このデータテーブルから運転条件に基づき検索する形態で各運転条件での異種システムの仮想運転上の性能評価値を求める演算方式なども採用することができる。
【0082】
この第9特徴構成では、上記の如く異種システムのカタログ値的な性能評価値と対象システムの現実の性能評価値とに基づき異種システム仮想運転基準の性能評価用データを性能評価手段に作成させるが、これとは別に、異種システムを比較対象とする基本的な性能評価用データとして、同一運転条件下での異種システムの仮想運転で得られる各時点の性能評価値(異種システムのカタログ値的な性能評価値)と、対象システムの仮想運転で得られる各時点の性能評価値(対象システムのカタログ値的な性能評価値)とに基づき両システム仮想運転基準の性能評価用データを前記の同一システム仮想運転基準の性能評価用データや同一システム初期実績基準の性能評価データの作成とともに性能評価手段に作成させるようにしてもよい。
【0083】
本発明の第10特徴構成は、第9特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記異種システム仮想運転基準の性能評価用データを構成機器又は運転方式が互いに異なる複数種の異種システムについて併行に作成可能な構成にしてある点にある。
【0084】
つまり、この構成によれば、異種システム仮想運転基準の性能評価用データを複数種の異種システムについて併行に作成できるから、熱源システムや空調システムの性能評価をさらに高度かつ多面的に行なうことができる。
【0085】
なお、性能評価手段は、前記した両システム仮想運転基準の性能評価用データについても複数種の異種システムについて併行に作成可能な構成にしてもよい。
【0086】
本発明の第11特徴構成は、第9又は第10特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記異種システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値の方が対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値より良好な状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、
対象システムの運転方式を変更して前記異種システムの仮想運転と機能的に同じ運転を対象システムにおいて実施する、又は、その運転方式変更が有利であることを報知する構成にしてある点にある。
【0087】
つまり、対象システムのシステム構成によっては、異種システム仮想運転基準の性能評価用データにおいて比較対象とする異種システムの仮想運転と機能的に同じ運転を運転方式の変更により対象システムにおいて実現できる場合がある。
【0088】
このような場合に上記構成では、異種システム仮想運転基準の性能評価用データの作成において、異種システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値(即ち、比較対象の性能評価値)の方が対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)より良好な状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、性能評価手段による対象システム運転方式の変更により、異種システムの仮想運転と機能的に同じ運転を対象システムにおいて実施させる、又は、その運転方式変更が有利であることをシステム管理者などに報知させる。
【0089】
即ち、この構成では、性能評価手段を運転方式最適化手段として機能させる形態で、対象システムの実際運転で得られる性能評価値を極力向上させるように、対象システムの運転方式を比較対象である異種システムの仮想運転上の性能評価値に基づき最適化することができる。
【0090】
なお、この構成の実施において、上記の所定閾条件としては、異種システムの仮想運転で得られる性能評価値が対象システムの実際運転で得られる性能評価値よりも設定閾差以上に良好な状態が設定時間にわたって継続した場合や設定時間の間に設定回数以上生じた場合など、対象システムの特性に応じた閾条件を適宜設定すればよい。
【0091】
本発明の第12特徴構成は、第3〜第11特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間では前記同一システム仮想運転基準の性能評価用データとして、対象システムの前記仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフと実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上で対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成し、
かつ、前記設定運転期間の経過後では前記同一システム初期実績基準の性能評価用データとして、前記対応運転データに記録された性能評価値の経時的変化を示すグラフと対象システムの実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上で対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成する、
又は、前記異種システム仮想運転基準の性能評価用データとして、異種システムの前記仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフと対象システムの実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上に対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成する構成にしてある点にある。
【0092】
つまり、この構成によれば、性能評価手段が作成する上記トレンドグラフデータにより、相互比較する性能評価値夫々の経時的な変化や相互比較する性能評価値どうしの相対的関係の経時的な変化を容易に判断することができ、これにより、対象システムの性能評価を一層容易に行なうことができる。
【0093】
なお、これらのトレンドグラフデータとは別に、前記両システム仮想運転基準の性能評価用データとして、異種システムの仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフと対象システムの仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上に対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを性能評価手段に作成させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】熱源システムの全体構成図
【図2】制御系ブロック図
【図3】制御形態の説明図
【図4】最適制御データテーブルの模式図
【図5】増段機選定フローチャート
【図6】増段用の積算時間算定フローチャート
【図7】増段機選定を説明するグラフ
【図8】減段機選定フローチャート
【図9】減段用の積算時間算定フローチャート
【図10】減段機選定を説明するグラフ
【図11a】初期設定運転期間における性能評価手段の動作説明図
【図11b】設定運転期間の経過後における性能評価手段の動作説明図
【図11c】異種熱源システムを比較対象とする性能評価手段の動作説明図
【図12】初期設定運転期間におけるトレンドグラフデータの模式図
【図13】設定運転期間の経過後におけるトレンドグラフデータの模式図
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は空調設備で用いる冷熱熱源システムを示し、この熱源システムは熱媒C(本例では冷水)を冷却する出力調整が可能な複数の冷凍機Rを熱源機として備えており、各冷凍機Rには冷却水循環路1を介して冷却塔CTを個別に接続してある。また、これら冷凍機Rは能力や性能あるいは形式や構造などが異なる異種のものを含んでいる。
【0096】
2aは各冷凍機Rから1次側往路3aを通じて並列的に供給される熱媒Cを受け入れる1次側ヘッダ、2bは複数の中継路3bを通じて1次側ヘッダ2aから熱媒Cの供給を受ける2次側ヘッダであり、この2次側ヘッダ2bから空調機などの複数の負荷機器Uに対して2次側往路3cを通じ熱媒Cを並列的に供給することで、各負荷機器Uでは供給熱媒Cの保有冷熱を用いて負荷熱量q(即ち、個々の熱負荷)を処理する。
【0097】
2cは各負荷機器Uから2次側還路3dへ送出される熱媒C(即ち、負荷機器Uでの保有冷熱の消費により昇温した熱媒)を合流状態で受け入れて、その受け入れ熱媒Cを各冷凍機Rへ1次側還路3eを通じ並列的に戻す還側ヘッダであり、各熱媒路3a〜3eからなる熱媒循環路3は、1次側ヘッダ2aと還側ヘッダ2cとを境として冷凍機Rの側である1次側(熱源側)と負荷機器Uの側である2次側(負荷側)とに区分される。
【0098】
この熱源システムは構成機器として冷凍機Rや冷却塔CTの他、各冷凍機Rへの1次側還路3eに装備した1次ポンプPA、各中継路3bに装備した2次ポンプPB、各冷却水循環路1に装備した冷却水ポンプPCなどを備え、これらポンプPA,PB,PCは各々に装備したインバータ装置INVにより熱媒送出流量を連続的に調整できる可変ポンプにしてある。
【0099】
Vaは1次側往路3aの夫々に装備した開閉弁であり、これら開閉弁Vaは後述のシステム制御装置6により対応する冷凍機R及び1次ポンプPAの運転時に開弁操作される。
【0100】
Vbは各負荷装置Uに装備した流量調整弁であり、これら流量調整弁Vbにより各負荷機器Uにおける熱媒流量(負荷流量)が各負荷機器Uの負荷熱量qに応じて調整される。
【0101】
冷却塔CT、冷却水ポンプPC、1次ポンプPAの夫々は対応する冷凍機Rの発停に応じてシステム制御装置6により発停操作され、一方、2次ポンプPBは2次側還路3dの合流部に装備した流量センサSfにより計測される2次側流量(即ち、熱媒循環路3における2次側部分の熱媒流量であり複数の負荷機器Uの合計熱媒流量)に応じてシステム制御装置6により運転台数の変更が行なわれるとともに、インバータ装置INVによる熱媒送出流量の調整が行なわれる。
【0102】
Vsは中継路3bと並列の状態で1次側ヘッダ2aと2次側ヘッダ2bとにわたらせた戻し路3fに装備した圧力調整弁であり、この圧力調整弁Vsは圧力センサSpにより計測される2次側ヘッダ2b内の熱媒圧力に応じて、2次側ヘッダ2b内の熱媒圧力(即ち、負荷機器Uへの熱媒送給圧力)を適正値に保つように開度調整される。
【0103】
4は1次側ヘッダ2aと還側ヘッダ2cとを短絡するバイパス路であり、このバイパス路4を通じた熱媒流動により2次側流量と熱媒循環路3における1次側部分の熱媒流量である1次側流量(運転状態にある1次ポンプPAの合計熱媒送出流量)との差分が吸収される。
【0104】
即ち、2次側流量よりも1次側流量が大きい状態ではその差分流量の熱媒Cが1次側ヘッダ2aからバイパス路4を通じて還側ヘッダ2cの方に流れ、逆に、1次側流量よりも2次側流量が大きい状態ではその差分流量の熱媒Cが還側ヘッダ2cからバイパス路4を通じて1次側ヘッダ2aの方に流れる。
【0105】
システム各部の流量、温度、圧力等の状態値iを計測するセンサSとしては、上記の流量センサSf、圧力センサSpのほか、各1次ポンプPAの熱媒送出流量,熱媒送出圧力、各冷凍機Rの入口熱媒温度,出口熱媒温度,入口冷却水温度,出口冷却水温度、各負荷機器Uの入口熱媒温度,出口熱媒温度,入口熱媒圧力,出口熱媒圧力、各冷却水ポンプPCの冷却水送出流量、各冷却塔CTの入口冷却水温度,出口冷却水温度などを計測するセンサを装備してあり、また、外気の温度,湿度などを計測するセンサも装備してある。
【0106】
5はこの熱源システムを統括的に管理するシステム管理装置、6はこの熱源システムの構成機器を制御するシステム制御装置であり、両者は通信手段7による相互通信を可能にしてある。
【0107】
システム管理装置5は図2に示す如く、物理的には入出力部5aと演算部5bと記憶部5cとを備えるコンピュータシステムからなり、機能的には記憶部5cに格納したプログラムの実行によりデータテーブル作成手段5A、負荷予測手段5B、冷凍機選定手段5C、最適制御量設定手段5D、性能評価手段5Eなどとして機能する。
【0108】
そして具体的には、システム管理装置5はシステム制御装置6との連携下で上記の各手段5A〜5Eとして次の如く動作するものにしてある。(図3参照)
【0109】
〔A〕システム管理装置5はデータテーブル作成手段5Aとして次のa1〜a3を実行する。
a1.記憶部5cに格納された対象熱源システムにおける構成機器の特性情報(既定の特性情報であって、ポンプで言えば流量、揚程、消費動力、効率などの相関に関するカタログデータなど)に基づき対象熱源システムの運転をシミュレーションすることにより、対象熱源システムの運転条件である熱負荷Q(=Σq)と、同じく運転条件である外気湿球温度towと、後述する運転冷凍機Rの組合せ(本例では、冷凍機組合番号Kで表す)との3者を独立変数(検索キー)とし、かつ、各機器の流量、圧力、温度などの制御量及び消費動力eを従属変数d1〜dn(データ)とする図4に示す如き“最適制御データテーブルD(S)”を自動的に作成する。
【0110】
この最適制御データテーブルD(S)は、上記3つの独立変数Q,tow,Kの各々を細かく変更した想定ケースの夫々について対象熱源システムの全体としての消費動力E(=Σe)が最小となる最適運転状態を最適化シミュレーションにより求めて、各想定ケースの最適運転状態(即ち、各運転条件での最適運転状態)における従属変数d1〜dnの値(即ち、各想定ケースでの最適制御量及びその最適制御量での各機器の消費動力e)をデータ値として書き込んだものである。
【0111】
そして、従属変数d1〜dnは、具体的には各冷却塔CTの“入口冷却水温度”,“出口冷却水温度”,“消費動力e”、各冷却水ポンプPCの“流量”,“消費動力e”、各冷凍機Rの“入口熱媒温度”,“出口熱媒温度”,“入口冷却水温度”,“出口冷却水温度”,“消費動力e”、各1次ポンプPAの“流量”,“消費動力e”などにしてある。
【0112】
なお、この最適制御データテーブルD(S)としては、冷凍機Rの出口熱媒温度が設定値になるように冷凍機Rを出力調整することに対して、その出口熱媒温度の設定値を段階的に変更した場合の出口熱媒温度ごとのテーブル(即ち、熱媒温度別の最適制御データテーブルDc(S))を作成するようにしてもよい。
【0113】
また、最適制御データテーブルD(S)は、例えば季節別や対象熱源システムの運転方式別あるいはパーツ別などの複数の分割テーブルに分割して作成するとともに、それら分割テーブルの夫々をデータ(属性)とメソッド(操作)がパッケージ化されたオブジェクト指向のデータテーブルとして作成し、これにより、各時点において必要な分割テーブルのみをメモリ上に読み出す使用形態を採って必要メモリ容量を極力小さくするとともに、分割テーブルの作成、削除、更新、修正等の各処理を容易に行えるようにする。
【0114】
a2.各従属変数d1〜dnについて最適制御データテーブルD(S)上のデータ値(書込み値)に各機器の経年劣化等に原因する誤差が生じることに対応して、各センサSにより計測されるシステム各部の状態値iやシステム制御装置6が把握しているシステム各部の状態値i(制御量)などに基づき、最適制御データテーブルD(S)をそのときのシステム状態に即したものに随時更新する。
【0115】
即ち、各機器の特性情報に基づく最適化シミュレーションで得られるデータ値と、最適制御データテーブルD(S)を用いてシステム制御装置6により各機器を制御する対象熱源システムの実際運転で得られるデータ値(つまり、各機器の経年劣化等により変化したデータ値)との差に基づき最適制御データテーブルD(S)を逐次自動補正する。
【0116】
なお、データテーブル作成手段5Aが対象熱源システムの構築後において各機器の特性情報に基づき最初に作成した最適制御データテーブルD(S)は、後述する同一システム仮想運転基準の性能評価のために保存する。
【0117】
a3.最適制御データテーブルD(S)に従って対象熱源システムを実際に運転した場合と、例えば各ポンプを定格流量でのみ運転する定流量方式等の異種熱源システムを同一運転条件の下で運転した場合との性能比較などを行うため、対象熱源システムとは構成機器又は運転方式が異なる適当な異種熱源システムが設定されのに対し、その異種熱源システムについて上記最適制御データテーブルD(S)と同様の“対比用制御データテーブルD′(S)”を異種熱源システムにおける構成機器の特性情報に基づき作成する。
【0118】
なお、前述の対象熱源システムは、冷凍機Rによる冷却熱媒Cを負荷機器Uに供給する“通常運転”と、これとは異なり冷却塔CTで冷却した冷却水により熱媒Cを冷却する形態、又は、冷却塔CTで冷却した冷却水を熱媒Cとして負荷機器Uに直接供給する形態で負荷機器Uにおける負荷熱量qを処理するいわゆる“フリークーリング運転”との切り換え実施が可能なものであり、通常運転の実施時には仮想的にフリークーリング運転モード対象熱源システムを比較用の異種熱源システムとして設定することもできる。
【0119】
また逆に、フリークーリング運転の実施時には仮想的に通常運転モードの対象熱源システムを比較対象の異種熱源システムとして設定するなどのこともでき、さらに、異種熱源システムは一種に限らず複数種を設定することもできる。
【0120】
〔B〕システム管理装置5は負荷予測手段5Bとして次のb1,b2を実行する。
b1.センサSの計測値に基づいて演算される対象熱源システムの熱負荷Q(=Σq)の過去及び現在のデータや、外部から入手する過去及び現在の気象データ、並びに、将来の気象予測データなど、熱負荷Qに関する種々のデータに基づき、将来の熱負荷Qを所定の予測モデルを用いて予測する。
【0121】
b2.この熱負荷予測では後述の冷凍機選定手段5Cによる運転冷凍機の最適組合せの選定と連携して、基本的に現時点から上限積算時間Tmax(例えば数時間)後までの設定時間間隔ΔT(例えば10分間)ごとの熱負荷Qを逐次予測する。
【0122】
〔C〕システム管理装置5は冷凍機選定手段5Cとして次のc1〜c8を実行する。
c1.所定運転期間Xにおける運転冷凍機Rの組合せKに関し、所定の選定モデルを用いた選定により、負荷予測手段5Bが予測する以後の所定運転期間X中の予測熱負荷Qを賄い得る組合せで、かつ、対象熱源システムの消費動力Eを対象値として、その消費動力E(対象値)の所定運転期間Xにおける積算値ΣEが最小となる組合せを、その所定運転期間Xにおける運転冷凍機Rの最適組合せKxとして選定する。
【0123】
換言すれば、全ての冷凍機組合番号Kの中から上記積算値ΣEが最小となる最適な組合番号Kxを選定する。
【0124】
c2.具体的には、冷凍機Rの運転台数を増加させる際の運転冷凍機Rの最適組合せKxを図5に示す増段機選定フローチャートに従って選定(換言すれば、最適増段冷凍機Rを選定)するとともに、冷凍機Rの運転台数を減少させる際の運転冷凍機Rの最適組合せKxを図8に示す減段機選定フローチャートに従って選定(換言すれば、最適減段冷凍機Rを選定)する。
【0125】
c3.即ち、図5の増段機選定フローチャート(図7を合わせて参照)では、♯1において、現在運転中の冷凍機Rに現在停止中の冷凍機Rのうちの1台を運転冷凍機Rとして追加(増段)した場合の増段後における運転冷凍機Rの組合せKの全てを抽出し、続いて♯2で、増段前の現在運転中の冷凍機Rの合計能力ΣG(運転中冷凍機R夫々の最大出力Gの合計)を演算する。
【0126】
♯3では、負荷予測手段5Bが予測する現時点から設定時間Ts(例えば10分間)だけ後の時点tsについての予測熱負荷Q(ts)を読み込み、♯4では、♯3で読み込んだ予測熱負荷Q(ts)と♯2で演算した運転中冷凍機Rの合計能力ΣGとを比較する〔Q(ts)>ΣG?〕。
【0127】
♯4での比較において設定時間Ts後のts時点についての予測熱負荷Q(ts)の方が運転中冷凍機Rの合計能力ΣGより大きい〔Q(ts)>ΣG〕ときは、♯5において対象値積算時間Txを算定する。
【0128】
この♯5における対象値積算時間Txの算定は図6に示す増段用の積算時間算定フローチャートに従って行い、この増段用の積算時間算定フローチャートでは、♯5−1において、現在停止中の冷凍機Rのうちで能力G(最大出力)が最小のものを選定する。
【0129】
♯5−2では、現在運転中の冷凍機Rの合計能力ΣGに♯5−1で選定した冷凍機Rの能力を加えた増段後の最小合計能力ΣGmin′を演算する。
【0130】
カウント処理として♯5−3でN=0とし、続いて♯5−4でN=N+1にした上で、♯5−5において、負荷予測手段5Bが予測する先の予測対象時点(即ち、前記♯3でのts時点から更に(ΔT×N)時間だけ後の時点(ts+(ΔT×N))についての予測熱負荷Q(N)を読み込み、♯5−6では、♯5−5で読み込んだ予測熱負荷Q(N)と♯5−2で演算した増段後の最小合計能力ΣGmin′とを比較する〔Q(N)>ΣGmin′?〕
【0131】
そして、この♯5−6での比較において予測熱負荷Q(N)の方が増段後の最小合計能力ΣGmin′より大きくなるまで♯5−4〜♯5−6を繰り返し、♯5−6での比較において予測熱負荷Q(N)の方が増段後の最小合計能力ΣGmin′より大きく〔Q(N)>ΣGmin′〕なると、♯5−7で対象値積算時間TxをそのときのN値に対して〔Tx=ΔT×N〕に決定する。
【0132】
ここで図5に示す増段機選定フローチャートに戻って、♯6では♯5で算定した対象値積算時間Tx(=ΔT×N)と上限積算時間Tmaxとを比較し〔Tx<Tmax?〕、この比較において♯5で算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmaxより小さいときはそのまま♯8に進む。
【0133】
一方、♯6での比較において♯5で算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmax以上〔Tx≧Tmax〕のとき、及び、先の♯3での比較においてts時点についての予測熱負荷Q(ts)が運転中冷凍機Rの合計能力ΣG以下〔Q(ts)≦ΣG〕のときは、♯7で対象値積算時間Txを〔Tx=Tmax〕に制限した上で♯8に進む。
【0134】
♯8では、♯1で抽出した増段後における運転冷凍機Rの組合せKの全てについて、対象値積算時間Txに対応する期間(つまり、そのときのts時点を開始時点とし、そのときのts時点から対象値積算時間Txを経過した時点を終了時点とする期間)中における予測熱負荷Qを各組合せKの冷凍機運転で処理した場合の消費動力Eの期間積算値ΣE(つまり、所定運転期間X中の消費動力積算値)を演算する。
【0135】
そして、♯9では、♯1で抽出した増段後における運転冷凍機Rの組合せKのうち、♯8で演算した消費動力E(対象値)の期間積算値ΣEが最小であった組合せを増段後における運転冷凍機Rの最適組合せKxとして決定し、これをシステム制御装置6に出力する。
【0136】
c4.つまり、この増段用最適組合せの選定において、冷凍機選定手段5Cは、負荷予測手段5Bによる予測熱負荷Q(ts)と各冷凍機Rの能力Gとに基づき、現在の運転冷凍機Rの組合せKについて冷凍機運転台数の増加を伴う組合せ変更(増段)が必要になると予測される予測閾時点(即ち、♯4でQ(ts)>ΣGとなるts時点)を判定し、この予測閾時点tsを所定運転期間Xの開始時点とする。
【0137】
また、負荷予測手段5Bによる予測熱負荷Q(N)と各冷凍機Rの能力Gとに基づき、組合せ変更後(増段後)の運転熱源機Rの組合せについて再び冷凍機運転台数の増加を伴う組合せ変更(再増段)が必要になると予測される予測再閾時点(即ち、♯5−6でQ(N)>ΣGmin′となる(ts+Tx)時点)を判定し、この予測再閾時点(ts+Tx)を所定運転期間Xの終了時点とする。
【0138】
そして、冷凍機選定手段5Cは、このように熱負荷予測に基づき増段後についての所定運転期間Xを設定した上で、その所定運転期間Xにおける運転冷凍機Rの組合せK(即ち、増段後の組合せ)に関して、負荷予測手段5Bが予測する所定運転期間X中の予測熱負荷Qを賄い得る組合せで、かつ、対象熱源システムの消費動力Eを対象値として、その消費動力E(対象値)の所定運転期間Xにおける積算値ΣEが最小となる組合せを最適組合せKxとして選定する。
【0139】
なお、冷凍機選定手段5Cは、予測熱負荷Qの経時変化などに代表される経時的な状況変化に対して上記の予測閾時点tsを判定するごとに(即ち、♯4でQ(ts)>ΣGが判定されるごとに)、その予測閾時点tsを開始時点とする新たな所定運転期間Xを設定し、その新たな所定運転期間Xごとに上記の増段後最適組合せKxを選定する。
【0140】
また、現在の運転冷凍機Rの組合せについて上記予測閾時点tsが未判定(即ち、♯4でQ(ts)≦ΣG)のときや、算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmax以上(即ち、♯6でTx≧Tmax)のときには、現時点から設定時間(本例では上限積算時間Tmax)後までの期間を仮の所定運転期間X′として、その仮の所定運転期間X′について上記の増段後最適組合せKxを選定し、これにより、熱負荷予測に基づく最適組合せ選定の精度及び信頼性を高める。
【0141】
c5.一方、図8の減段機選定フローチャート(図10を合わせて参照)では、♯1において、現在運転中の冷凍機Rのうちの1台を停止(減段)した場合の減段後における運転冷凍機Rの組合せKの全てを抽出し、続いて♯2では、♯1で抽出した減段後における運転冷凍機Rの各組合せKで得られる運転冷凍機Rの合計能力ΣG′のうちの最大の合計能力ΣGmax′を演算する。
【0142】
♯3では、負荷予測手段5Bが予測する現時点から設定時間Ts(例えば10分間)だけ後の時点tsについての予測熱負荷Q(ts)を読み込み、♯4では、♯2で演算した減段後の最大合計能力ΣGmax′と♯3で読み込んだ予測熱負荷Q(ts)とを比較する〔ΣGmax′>Q(ts)?〕。
【0143】
♯4での比較において♯2で演算した減段後の最大合計能力ΣGmax′の方が設定時間Ts後のts時点についての予測熱負荷Q(ts)より大きい〔ΣGmax′>Q(ts)〕のときは、♯5において対象値積算時間Txを算定する。
【0144】
この♯5における対象値積算時間Txの算定は図9に示す減段用の積算時間算定フローチャートに従って行い、この減段用の積算時間算定フローチャートでは、♯5―1において、現在運転中の冷凍機Rのうちの2台を停止(即ち再減段)した場合の再減段後における運転冷凍機Rの組合せKの全てを抽出する。
【0145】
続いて♯5−2では、♯5−1で抽出した再減段後における運転冷凍機Rの各組合せKで得られる運転冷凍機Rの合計能力ΣG″のうちの最大の合計能力ΣGmax″を演算する。
【0146】
カウント処理として♯5−3でN=0とし、続いて♯5−4でN=N+1にした上で、♯5−5において、負荷予測手段5Bが予測する先の予測対象時点(即ち、前記♯3でのts時点から更に(ΔT×N)時間だけ後の時点(ts+(ΔT×N))についての予測熱負荷Q(N)を読み込み、♯5−6では、♯5−2で演算した再減段後の最大合計能力ΣGmax″と♯5−5で読み込んだ予測熱負荷Q(N)とを比較する〔ΣGmax″>Q(N)?〕
【0147】
そして、この♯5−6での比較において再減段後の最大合計能力ΣGmax″の方が予測熱負荷Q(N)より大きくなるまで♯5−4〜♯5−6を繰り返し、♯5−6での比較において再減段後の最大合計能力ΣGmax″の方が予測熱負荷Q(N)より大きく〔ΣGmax″>Q(N)〕なると、♯5−7で対象値積算時間TxをそのときのN値に対して〔Tx=ΔT×N〕に決定する。
【0148】
ここで図8に示す減段機選定フローチャートに戻って、♯6では♯5で算定した対象値積算時間Tx(=ΔT×N)と上限積算時間Tmaxとを比較し〔Tx<Tmax?〕、この比較において♯5で算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmaxより小さいときはそのまま♯8に進む。
【0149】
一方、♯6での比較において♯5で算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmax以上〔Tx≧Tmax〕のときは、♯7で対象値積算時間Txを〔Tx=Tmax〕に制限した上で♯8に進む。
【0150】
♯8では、♯1で抽出した減段後における運転冷凍機Rの組合せKの全てについて、対象値積算時間Txに対応する期間(つまり、そのときのts時点を開始時点とし、そのときのts時点から対象値積算時間Txを経過した時点を終了時点とする期間)中における予測熱負荷Qを各組合せKの冷凍機運転で処理した場合の消費動力Eの期間積算値ΣE(つまり、所定運転期間X中の消費動力積算値)を演算する。
【0151】
そして、♯9では、♯1で抽出した減段後における運転冷凍機Rの組合せKのうち、♯8で演算した消費動力E(対象値)の期間積算値ΣEが最小であった組合せを減段後における運転冷凍機Rの最適組合せ候補K′として抽出する。
【0152】
続いて♯10では、♯9で抽出した最適組合せ候補K′を採用した減段を行った場合にそのときの負荷機器Uの運転上で2次側流量が不足となるか否かを前記最適制御データテーブルD(S)の参照等により判定し、この判定において2次側流量の不足が生じないときは♯11において、♯9で抽出した最適組合せ候補K′を減段後における運転冷凍機Rの最適組合せKxとして決定〔Kx=K′〕し、これをシステム制御装置6に出力する。
【0153】
また、♯10での判定において2次側流量の不足が生じるとき、及び、先の♯4での比較において減段後の最大合計能力ΣGmax′が設定時間Ts後のts時点についての予測熱負荷Q(ts)以下〔ΣGmax′≦Q(ts)〕のときは、♯12において減段禁止指令をシステム制御装置6に出力する。
【0154】
c6.つまり、この減段用最適組合せの選定において、冷凍機選定手段5Cは、負荷予測手段5Bによる予測熱負荷Q(ts)と各冷凍機Rの能力とに基づき、現在の運転冷凍機Rの組合せKについて冷凍機運転台数の減少を伴う組合せ変更(減段)が必要になると予測される予測閾時点(即ち、♯4でΣGmax′>Q(ts)となるts時点)を判定し、この予測閾時点tsを所定運転期間Xの開始時点とする。
【0155】
また、負荷予測手段5Bによる予測熱負荷Q(N)と各冷凍機Rの能力Gとに基づき、組合せ変更後(減段後)の運転冷凍機Rの組合せについて再び冷凍機運転台数の減少を伴う組合せ変更(再減段)が必要になると予測される予測再閾時点(即ち、♯5−6でΣGmax″>Q(N)となる(ts+Tx)時点)を判定し、この予測再閾時間(ts+Tx)を所定運転期間Xの終了時点とする。
【0156】
そして、冷凍機選定手段5Cは、このように熱負荷予測に基づき減段後についての所定運転期間Xを設定した上で、その所定運転期間Xにおける運転冷凍機Rの組合せK(即ち、減段後の組合せ)に関して、負荷予測手段5Bが予測する所定運転期間X中の予測熱負荷Qを賄い得る組合せで、かつ、対象熱源システムの消費動力Eを対象値として、その消費動力E(対象値)の所定運転期間Xにおける積算値ΣEが最小となる組合せを最適組合せKxとして選定(但し、本例では減段後の2次側流量に不足を生じない条件下で選定)する。
【0157】
なお、前記した増段用最適組合せの選定の場合と同様、冷凍機選定手段5Cは、予測熱負荷Qの経時変化などに代表される経時的な状況変化に対して上記の予測閾時点tsを判定するごとに(即ち、♯4でΣGmax′>Q(ts)が判定されるごとに)、その予測閾時点tsを開始時点とする新たな所定運転期間Xを設定し、その新たな所定運転期間Xごとに上記の減段後最適組合せKxを選定する。
【0158】
また、算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmax以上(即ち、♯6でTx≧Tmax)のときには、現時点から設定時間(本例では上限積算時間Tmax)後までの期間を仮の所定運転期間X′として、その仮の所定運転期間X′について上記の減段後最適組合せKxを選定する。
【0159】
c7.増段用最適組合せの選定及び減段用最適組合せの選定の夫々で、所定運転期間Xにおける消費動力E(対象値)の積算値ΣEを冷凍機Rの各組合せKについて演算する(即ち、図5、図8のフローチャートにおける♯8の演算処理)にあたっては、前記最適制御データテーブルD(S)と同様に、熱負荷Q(=Σq)と外気湿球温度towと運転冷凍機Rの組合せ(冷凍機組合番号K)との3者を独立変数(検索キー)とし、かつ、これら3つの独立変数Q,tow,Kの夫々を細かく変更した場合の各想定ケースについて予め演算した対象熱源システムの消費動力Eを従属変数とするオブジェクト指向の消費動力演算データテーブルD(E)を作成しておく。
【0160】
そして、負荷予測手段5Bが予測する熱負荷Q及び同じく負荷予測手段5Bが予測する外気湿球温度towを消費動力データテーブルD(E)に照合する形態で、各時点についての予測の熱負荷Q及び予測の外気湿球温度towに対応する冷凍機組合番号Kごとの消費動力Eを読み出し、このように読み出した各時点の冷凍機組合番号Kごとの消費動力Eを同じく冷凍機組合番号Kごとに積算することで、所定運転期間Xにおける消費動力Eの積算値ΣEを冷凍機Rの各組合せKについて求める。
【0161】
なお、消費動力E(対象値)の積算値ΣEを冷凍機Rの各組合せKについて演算するとともに、その演算値ΣEが最小となる運転冷凍機Rの組合せを抽出するのに、その具体的な演算方式や抽出方式は上記の如き消費動力演算データテーブルD(E)を用いた方式に限られるものではなく、種々の方式を採用できる。
【0162】
c8.上記の増段についての最適組合せの選定では、現在運転中の冷凍機Rの全てを最適組合せKx中の運転冷凍機Rとして残存させ、また、上記の減段についての最適組合せの選定では、最適組合せKx中の全ての運転冷凍機Rを現在運転中の冷凍機Rの中から選
定するが、このような運転機継続式の最適組合せ選定に代え、あるいは、それと併行して、増段及び減段の夫々につき、最適組合せKxに含む冷凍機Rの個々が現在運転中である否かに係わりなく所定運転期間Xにおける消費動力E(対象値)の積算値ΣEが最小となる運転冷凍機Rの組合せを最適組合せKxとして選定する言わば無作為式の最適組合せ選定を行うようにしてもよい。
【0163】
また、上記の如き運転機継続式の最適組合せ選定と無作為式の最適組合せ選定とのいずれを採用するかの切り換えや、各冷凍機Rに予め設定した増段順位及び減段順位に従った順序で各回の増段又は減段を行う優先順位式の組合せ変更と上記の如き最適組合せ選定による組合せ変更とのいずれを採用するかの切り換えを可能にするなどしてもよい。
【0164】
予測閾時点tsを判定するための設定時間Ts、対象値積算時間Txを算定するための設定時間間隔ΔT、対象値積算時間Tx(所定運転期間Xの期間長)の上限値とする上限積算時間Tmaxの夫々は、増段についての最適組合せの選定と減段についての最適組合せの選定とで必ずしも同じ時間にする必要はなく、増段についての最適組合せの選定と減段についての最適組合せの選定とで異なる時間にしてもよい。
【0165】
〔D〕システム管理装置5は最適制御量設定手段5Dとして次のd1〜d3を実行する。
d1.センサSの計測値に基づいて演算される現在の熱負荷Q及び現在の外気湿球温度tow並びに現在の運転冷凍機Rの組合せ(冷凍機組合番号K)の3者を検索キーとして最適制御データテーブルD(S)に照合することで、それら現在の熱負荷Qと外気湿球温度towと冷凍機組合せ番号Kとに対応するデータ値d1〜dnのうち各機器の流量、圧力、温度などの最適制御量を逐次読み出し、これら読み出した最適制御量をシステム制御装置6に出力する。
【0166】
なお、ここで言う現在の運転冷凍機Rの組合せ(冷凍機組合せ番号K)とは、後述の如く、システム制御装置6が増減段の要否判定に基づき変更する最新の最適組合せKx(冷凍機選定手段5Cによる選定最適組合せ)である。
【0167】
d2.また、最適制御データテーブルD(S)として前記した熱媒温度別の最適制御データテーブルDc(S)を作成してある場合には、現在の熱負荷Q及び現在の外気湿球温度tow並びに現在の運転冷凍機Rの組合せ(冷凍機組合番号K)の3者を熱媒温度別の最適制御データテーブルDc(S)の夫々に照合して、冷凍機Rの出口熱媒温度の設定値ごとにデータ値d1〜dnである各機器の流量、圧力、温度などの最適制御量及び各機器の消費動力eを読み出し、そして、熱媒温度ごとに各機器の消費動力eの和を演算して、この消費動力eの和Eが最小となる熱媒温度での各機器の最適制御量をシステム制御装置6に出力する。
【0168】
d3.各機器の現在の制御量の夫々(特に流量)を上記の最適制御量に変更するのに適した制御量変更速度を各機器の特性情報などに基づき各制御量ごとに求めて、その求めた制御量変更速度を指定変更速度としてシステム制御装置6に出力する。
【0169】
〔E〕システム管理装置5は性能評価手段5Eとして次のe1〜e9を実行する。(図11参照)。
e1.システム管理者等により設定された対象熱源システムの構築後における初期の設定運転期間L(例えば、初期の1年間や2年間)については、対象熱源システムの実際運転(ここでは、冷凍機Rによる冷却熱媒Cを負荷機器Uに供給する通常運転についての実際運転とする)における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象熱源システムを、記憶部5cに格納された構成機器夫々の特性情報に基づき仮想運転(即ち、運転シミュレーション)したときの各時点における所定種の性能評価値(言わばカタログ値的な性能評価値)を演算する。
【0170】
なお、本例では、この所定種の性能評価値として対象熱源システム全体としての消費動力E(消費電力)を採用しているものとする。
【0171】
この仮想運転における各時点の性能評価値(消費動力Es)を演算するのに、本例ではデータテーブル作成手段5Aが対象熱源システムの構築後において最初に作成した最適制御データテーブルD(S)(図4参照)を使用し、対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件(本例では各時点の熱負荷Q,外気湿球温度tow)並びに現在の運転冷凍機Rの組合せ(番号)Kを最初の最適制御データテーブルD(S)に照合することで、それら各時点の運転条件Q,tow及び運転冷凍機組合せKに対応するデータ値d1〜dnのうちの各機器の消費動力eを最初の最適制御データテーブルD(S)から読み出し、これら読み出した各機器の消費動力eの和として同一運転条件下での上記仮想運転における各時点の消費動力Es(カタログ値的な性能評価値)を演算する。
【0172】
また、この仮想運転における各時点の消費動力Es(カタログ値的な性能評価値)とともに、対象熱源システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値(即ち、消費動力E)を電力メータ等により計測(ないしは収集情報に基づき演算)する。
【0173】
そして、これら対象熱源システムの仮想運転における各時点の演算消費動力Esと、実際運転における各時点の計測消費動力Eとに基づき“同一システム仮想運転基準”の性能評価用データとして、上記仮想運転での演算消費動力Esの経時的変化を示すグラフ(一点鎖線)と、実際運転での計測消費動力Eの経時的変化を示すグラフ(実線)とを共通時間軸上で対比可能な状態に表示する図12に示す如きトレンドグラフデータTGaを電子ファイル形式で作成し、このトレンドグラフデータTGaを画像化してモニタ表示ないしプリントアウトする。
【0174】
即ち、初期の設定運転期間Lにおいては、システム管理者はこのトレンドグラフデータTGaの画像表示により、対象熱源システムの上記仮想運転における各時点の演算消費動力Es(即ち、カタログ値的な性能評価値)と、実際運転における各時点の計測消費動力E(現実の性能評価値)とに基づいて、対象熱源システムの性能を評価する“同一システム仮想運転基準”の性能評価を行い、設計上の性能(換言すれば、カタログ値的な性能)が対象熱源システムの実際運転において得られているか否かや、対象熱源システムの現状における性能が設計上の性能に比べてどの程度かつどのような低下動向で低下しているかなどのことを分析・判断する。
【0175】
e2.初期の設定運転期間Lにおいては、上記同一システム仮想運転基準の性能評価用データTGaの作成とともに、対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件Q,tow(熱負荷、外気湿球温度)及び運転冷凍機組合せKと、各時点における計測消費動力E(性能評価値)と、収集したシステム各部の状態値iとを関連付けて記録した各時点の運転データdd(Q,tow,K,E,i)を記憶部5cに蓄積する。
【0176】
e3.一方、上記設定運転期間Lの経過後については、記憶部5cに蓄積した運転データddの中から記録した運転条件Q,tow及び運転冷凍機組合せKが対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件Q,tow及び運転冷凍機組合せKと合致する各時点の対応運転データddを検索し、それら各時点の対応運転データddに記録されている消費動力Em(つまり、初期の設定運転期間Lにおける対象熱源システムの実際運転で得られた初期実績の性能評価値としての消費動力)を読み出す。
【0177】
また、これら対応運転データddの検索及び記録消費動力Em(初期実績の性能評価値)の読み出しとともに、初期の設定運転期間Lと同様、対象熱源システムの実際運転における各時点の消費動力E(同種の性能評価値)を計測(又は、収集情報に基づき演算)する。
【0178】
そして、設定運転期間Lの経過後については、これら検索した各時点の対応運転データddから読み出した記録消費動力Emと、対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力Eとに基づき、“同一システム初期実績基準”の性能評価用データ)として対応運転データddからの読み出し記録消費動力Emの経時的変化を示すグラフ(一点鎖線)と、実際運転での計測消費動力Eの経時的変化を示すグラフ(実線)とを共通時間軸上で対比可能な状態に表示する図13に示す如きトレンドグラフデータTGbを電子ファイル形式で作成し、このトレンドグラフデータTGbを画像化してモニタ表示ないしプリントアウトする。
【0179】
即ち、設定運転期間Lの経過後においては、システム管理者はこのトレンドグラフデータTGbの画像表示により、各時点の対応運転データddから読み出した記録消費動力Em(即ち、初期実績の性能評価値)と、対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力E(現実の性能評価値)とに基づいて対象熱源システムの性能を評価する“同一システム初期実績基準”の性能評価を行い、対象熱源システムの実際運転において初期実績の性能が維持されているか否かや、経年劣化等により対象熱源システムの性能が初期実績の性能に比べてどの程度かつどのような低下動向で低下しているかなどのことを分析・判断する。
【0180】
e4.設定運転期間Lの経過後において上記トレンドグラフデータTGb(性能評価用データ)を作成するのに、蓄積運転データddの中に記録運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKが対象熱源システムの実際運転における運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKと合致する対応運転データddが存在しないとき、暫定処理として、そのデータ不存部分につき初期の設定運転期間Lと同様、対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象熱源システムを各機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における消費動力Es(カタログ値的な消費動力)を演算する。
【0181】
この仮想運転における消費動力Esの演算は、前述と同様、対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件Q,tow及び運転冷凍機組合せKを最初の最適制御データテーブルD(S)に照合して、対応データ値における各機器の消費動力eを読み出すことで演算する。
【0182】
そして、同一システム初期実績基準のトレンドグラフデータTGbにおける上記データ不存部分の箇所を、そのデータ不存部分についての実際運転における演算消費動力E(現実の性能評価値)と上記仮想運転における演算消費動力Es(カタログ値的な性能評価値)とに基づき補完し、これにより、設定運転期間Lの経過後における同一システム基準の性能評価を中断なく連続的に行えるようにする。
【0183】
e5.初期の設定運転期間Lについては、対象熱源システムの前記仮想運転における各時点の演算消費動力Es(カタログ値的な性能評価値)と、実際運転における各時点の計測消費動力E(現実の性能評価値)との差が設定閾差ΔEより大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき(例えば、これら消費動力Es,Eの差が設定閾差ΔEより大きくなった状態の累積発生回数が設定上限回数に至ったときなど)、モニタ表示などにより“異常発生”を報知する。
【0184】
また同様に、設定運転期間Lの経過後については、検索した各時点の対応運転データddから読み出す記録消費動力Em(初期実績の性能評価値)と、対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力E(現実の性能評価値)との差が設定閾差ΔEより大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、モニタ表示などにより“異常発生”を報知する。
【0185】
なお、設定運転期間Lの経過後において蓄積運転データddの中に記録運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKが対象熱源システムの実際運転における運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKと合致する対応運転データddが存在しないときには、暫定処理として、そのデータ不存部分で、対象熱源システムの前記仮想運転における各時点の演算消費動力Es(カタログ値的な性能評価値)と、実際運転における各時点の計測消費動力E(現実の性能評価値)との差が設定閾差ΔEより大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したときに異常発生を報知する。
【0186】
e6.初期の設定運転期間L及びその設定運転期間Lの経過後を通じてセンサ計測情報などに基づき対象熱源システムの実際運転でのシステム各部の状態値iを各時点について収集する。
【0187】
そして、初期の設定運転期間Lについては、対象熱源システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値isを各機器の特性情報や最初の最適制御データテーブルD(S)などに基づき各時点について演算し、対象熱源システムのシステム各部のうち、実際運転における各時点の収集データ値i(現実の状態値)と仮想運転における各時点の演算状態値is(カタログ値的な状態値)の差が所定閾差Δiより大きい部分を“異常部”としてモニタ表示などにより報知する。
【0188】
また、設定運転期間Lの経過後については、検索した各時点の対応運転データddに記録されたシステム各部の状態値imを読み出し、対象熱源システムのシステム各部のうち、実際運転における各時点の収集状態値i(現実の状態値)と各時点の対応運転データddから読み出す記録状態値im(初期実績の状態値)との差が設定閾差Δiより大きい部分を“異常部”としてモニタ表示などにより報知する。
【0189】
即ち、対象熱源システムにおいて何らかの異常が発生したとき、システム管理者は、これら異常部の報知により対象熱源システムにおける異常部を的確かつ迅速に認知することができる。
【0190】
なお、設定運転期間Lの経過後において蓄積運転データddの中に記録運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKが対象熱源システムの実際運転における運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKと合致する対応運転データddが存在しないときには、そのデータ不存部分において、対象熱源システムのシステム各部のうち、実際運転における各時点の収集データ値iと仮想運転における各時点の演算状態値isの差が所定閾差Δiより大きい部分を異常部として報知する。
【0191】
e7.一方、“異種システム仮想運転基準”の性能評価用データを作成する併行データ作成処理の指令がシステム管理者により付与された場合、前述した同一システム仮想運転基準のトレンドグラフデータTGaの作成や同一システム初期実績基準のトレンドグラフデータTGbの作成に併行して、対象熱源システムとは構成機器や運転方式が異なる設定異種熱源システムとの比較により対象熱源システムの消費エネルギに関する性能を評価するための“異種システム仮想運転基準”の性能評価用データを作成する。
【0192】
具体的には、設定された異種熱源システムを対象熱源システムの実際運転における運転条件Q,tow(ここでは運転方式の相違から運転冷凍機組合せKは条件としない)と同じ運転条件の下でその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における所定種の性能評価値(言わば、異種熱源システムのカタログ値的な性能評価値)を演算する。
【0193】
なお、本例では、この異種熱源システムについても所定種の性能評価値として異種熱源システム全体としての消費動力Es′(消費電力)を採用しているものとする。
【0194】
この異種熱源システムの仮想運転における各時点の性能評価値(消費動力Es′)を演算するのに、本例ではデータテーブル作成手段5Aが異種熱源システムの構成機器特性情報に基づき作成した対比用制御データテーブルD′(S)を使用し、対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件Q,tow(熱負荷,外気湿球温度)を対比用データテーブルD′(S)に照合することで、それら各時点の運転条件Q,towに対応するデータ値のうちの各機器の消費動力eを対比用データテーブルD′(S)から読み出し、これら読み出した各機器の消費動力eの和として同一運転条件下での異種熱源システムの上記仮想運転における各時点の消費動力Es′(カタログ値的な性能評価値)を演算する。
【0195】
そして、この異種熱源システムの仮想運転における演算消費動力Es′の経時的変化を示すグラフ(破線)と、前述した対象熱源システムの実際運転における計測消費動力Eの経時的変化を示すグラフ(実線)とを共通時間軸上で対比可能な状態に表示する同図12や同図13に示す如きトレンドグラフデータTGa′,TGb′を異種システム仮想運転基準の性能評価用データとして電子ファイル形式で作成し、このトレンドグラフデータTGa′,TGb′を画像化してモニタ表示ないしプリントアウトする。
【0196】
即ち、システム管理者はこのトレンドグラフデータTGa′,TGb′の画像表示により、異種熱源システムの上記仮想運転における各時点の演算消費動力Es′(即ち、異種熱源システムのカタログ値的な各時点の性能評価値)と、対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力E(即ち、対象熱源システムの現実の性能評価値)との相対的な関係に基づき対象熱源システムの性能を評価する“異種熱源システム仮想運転基準”の性能評価を行なう。
【0197】
なお、これらのトレンドグラフデータTGa′,TGb′とは別に、異種熱源システムの仮想運転における演算消費動力Es′の経時的変化を示すグラフと、前述した対象熱源システムの仮想運転における演算消費動力Esの経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上で対比可能な状態に表示する同様のトレンドグラフデータを両システム仮想運転基準の性能評価用データとして電子ファイル形式で作成させ、これにより、システム管理者に異種システムを比較対象とする基本的な性能評価として、異種熱源システムの仮想運転における各時点の演算消費動力Es′(即ち、異種熱源システムのカタログ値的な各時点の性能評価値)と、対象熱源システムの仮想運転における各時点の演算消費動力Es(即ち、対象熱源システムのカタログ値的な各時点の性能評価値)との相対的な関係に基づき対象熱源システムの性能を評価する“両システム仮想運転基準”の性能評価を行なわせるようにしてもよい。
【0198】
e8.前述した異常発生の報知や異常部の報知と同様、システム管理者による事前の設定によっては、異種熱源システムの前記仮想運転における各時点の演算消費動力Es′(異種熱源システムのカタログ値的な性能評価値)と、対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力E(対象熱源システムの現実の性能評価値)との差が設定閾差ΔEより大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、又は、その差が対象熱源システムの優位性により本来はあるべき最小値的な所定閾差ΔEminより小さい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、モニタ表示などにより異常発生を報知する。
【0199】
また同じく、システム管理者による事前の設定によっては、異種熱源システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値is′を各機器の特性情報や対比用制御データテーブルD′(S)などに基づき各時点について演算し、対象熱源システムと異種熱源システムとの互いに対応するシステム各部のうち、対象熱源システムの実際運転における各時点の収集データ値i(対象熱源システムの現実の状態値)と異種熱源システムの前記仮想運転における各時点の演算状態値is′(異種熱源システムのカタログ値的な状態値)との差が所定閾差Δiより大きい部分をモニタ表示などにより異常部として報知する。
【0200】
e9.異種熱源システムの上記仮想運転と機能的に同じ運転を対象熱源システムの運転方式の変更により対象熱源システムにおいて実現することが可能であるか否かを、記憶部5cに格納された対象熱源システム及び異種熱源システム夫々のシステム構成情報に基づき判定する。
【0201】
そして、この方式変更運転が可能な場合には、異種熱源システム仮想運転基準のトレンドグラフデータTGa′,TGb′の作成において、異種熱源システムの前記仮想運転における各時点の演算消費動力Es′(異種熱源システムの各時点の性能評価値)の方が対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力E(各時点における現実の性能評価値)より良好な状態(ここでは消費動力が少ない状態)が所定の閾条件を超えて発生したとき、異種熱源システムの仮想運転と機能的に同じ運転を対象熱源システムにおいて実施するように対象熱源システムの運転方式を変更する、又は、その運転方式変更が有利であることをモニタ表示などにより報知する。
【0202】
従って、対象熱源システムを通常運転するのに対して、フリークーリング運転モードの対象熱源システムを異種熱源システムとして設定しておけば、運転条件の変化等により通常運転よりもフリークーリング運転の方が消費動力面で有利になったとき、通常運転からフリークーリング運転への運転方式を自動的に変更する、又は、フリークーング運転の方が消費動力面で有利であることをシステム管理者に報知することができる。
【0203】
なお、比較対象とする異種熱源システムは1種に限らず、複数種の設定を可能し、これら複数種の異種熱源システムについて同時に又は適宜切り換えにより選択的に異種システム仮想運転基準のトレンドグラフデータTGa′,TGb′の作成や上記運転方式変更の自動処理又は報知処理を行なうようにしてもよい。
【0204】
〔F〕一方、システム管理装置5が上記の如く冷凍機選定手段5Cとして増段及び減段の場合夫々の運転冷凍機Rの最適組合せKxを出力し、また、最適制御量設定手段5Dとして各機器の最適制御量を出力することに対して、システム制御装置6は次のf1〜f5を実行する。
【0205】
f1.センサSの計測値に基づいて演算される現在の熱負荷Qと現在運転中の冷凍機Rの合計能力ΣGとの比較や各機器の運転状態などに基づき、現在の運転冷凍機Rの組合せKについて冷凍機運転台数の増加又は減少を伴う運転冷凍機Rの組合せ変更(即ち、増段又は減段)が現時点で必要か否かを逐次判定する。
【0206】
そして、この判定において増段が必要であると判定したとき、そのときを増段についての前記予測閾時点tsに対する実際の閾時点tss(図7参照)として、運転冷凍機Rの組合せKをその時点tssにおいて冷凍機選定手段5Cにより選定されている最新の増段後最適組合せKxに変更し増段する。
【0207】
また、この判定において減段が必要であると判定したとき、そのときを減段についての前記予測閾時点tsに対する実際の閾時点tss(図10参照)として、運転冷凍機Rの組合せKをその時点tssにおいて冷凍機選定手段5Cにより選定されている最新の減段後最適組合せKxに変更し減段する。
【0208】
なお、この組合せ変更(即ち、選定最適組合せKxに従った冷凍機Rの台数制御)においては、冷凍機選定手段5Cから前記減段禁止指令が出力されているときは、その減段禁止指令が解除されるまで減段を行わず、また、前回の増段又は減段から設定禁止時間ΔTwが経過するまでの間も増段及び減段を行わない。
【0209】
そしてまた、監視装置5との間での通信が何らかの原因で不能になった場合などにも対応できるように、冷凍機選定手段5Cからの最適組合せKxの出力がない状態において増段又は減段が必要になったときには、各冷凍機Rに予め設定されている増段順位及び減段順位に従って各回の増段又は減段を行う。
【0210】
f2.各機器の制御量(代表的には冷却水ポンプPCの送出流量、1次ポンプPAの送出流量、並びに、熱媒温度別の最適制御データテーブルDc(S)を用いている場合には各ポンプの送出流量と冷凍機出口熱媒の設定値)を最適制御量設定手段5Dが出力する最適制御量に調整する。
【0211】
f3.最適制御量設定手段5Dが各制御量について出力する指定変更速度が現在の設備運転状態に対して適切か否かをチェックし、適切であった場合には、最適制御量設定手段5Dが出力する指定変更速度で各制御量を最適制御量に調整する。
【0212】
また、最適制御量設定手段5Dが各制御量について出力する指定変更速度が現在の設備運転状態に対して不適切であった場合には、最適制御量設定手段5Dが出力する指定変更速度に現在の設備運転状態に応じた補正を加え、この補正した変更速度で各制御量を最適制御量に調整する。
【0213】
f4.システム管理装置5との間での通信が何らかの原因で不能になった場合などにも対応できるように、最適制御量設定手段5Dからの最適制御量の新たな出力が設定時間にわたってない場合には、各機器の制御量を設定値(例えば、冷却水ポンプPCの定格流量や1次ポンプPAの定格流量)に固定した運転を実行する。
【0214】
f5.冷凍機選定手段5Cにおいて前記の如く最適組合せ選定による組合せ変更と優先順位式の組合せ変更とのいずれを採用するかの切り換えを可能にした場合で、優先順位式の組合せ変更の採用が選択されたときは、各冷凍機Rに予め設定されている増段順位及び減段順位に従って各回の増段又は減段を行う。
【0215】
なお、本例では熱源システムの消費動力Eを性能評価値として対象熱源システムの性能を評価するようにしたが、性能評価値としは消費動力の他、換算二酸化炭素排出量、運転コスト、効率、あるいは、それら各値のうちの2つ以上のものの夫々に重み係数を乗じた値の和など、性能評価の目的に応じて種々のものを採用することができる。
【0216】
同一システム仮想運転基準の性能評価及び同一システム初期実績基準の性能評価で用いる性能評価値と、異種システム仮想運転基準の性能評価で用いる性能評価値とは同種の性能評価値あるいは異種の性能評価値のいずれを採用してもよい。
【0217】
また、各性能評価値の演算や計測も上記例で示した方式に限らず種々の方式を採用することができる。
【0218】
上記実施形態では冷凍機Rを熱源機とする熱源システムを示したが、性能評価対象の熱源システムは冷温水発生機やボイラなどを熱源機とするものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本発明は空調設備で用いる熱源システムに限らず、種々の冷熱用ないし温熱用の熱源システム、あるいは、熱源システムから供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう種々の空調システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0220】
R 熱源機
C 熱媒
PA,PB 熱媒ポンプ
L 初期の設定運転期間
Q,tow 運転条件
E,Es,Em,Es′ 性能評価値
dd 運転データ
TGa 同一システム仮想運転基準の性能評価用データ,トレンドグラフデータ
5c 記憶手段
TGb 同一システム初期実績基準の性能評価用データ,トレンドグラフデータ
5E 性能評価手段
i,is,im,is′ 状態値
TGa′,TGb′ 異種システム仮想運転基準の性能評価用データ,トレンドグラフデータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機により冷却又は加熱した熱媒を熱媒ポンプにより需要先に供給する熱源システムや、熱源システムにより供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう空調システムについて、それらシステムの消費エネルギや環境負荷などに関する性能を評価する熱源システム又は空調システムの性能評価方法及び性能評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の性能評価については、空調設備で用いる変流量制御システムや変風量制御システムなどの実際の可変制御システムの運転データに基づいてエネルギ消費量を算定するとともに、同一運転条件下における従来型制御システムなどの仮想制御システムのエネルギ消費量を算定し、これら実際の可変制御システムについての算定エネルギ消費量と仮想制御システムについての算定エネルギ消費量とをリアルタイムかつ定量的に比較することで、実際の可変制御システムのエネルギ消費量に関する性能を評価する方式が提案されている(特許文献1参照、特に特許文献1の段落0006及び段落0012〜段落0014)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−156147号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来の評価方式では、熱源システムや空調システムの性能評価において、上記可変制御システムに該当する実際の熱源システム又は空調システム(対象システム)の実際運転で得られる所定種の性能と、上記仮想制御システムに該当する異種システムの同一運転条件下での仮想運転で得られる同種性能との優劣関係などは定量的に判断できるが、対象システムとは構成機器や運転方式が異なり、また、そのことで運転条件の変化に対して受ける性能上の影響なども異なる異種システムを比較対象とするため、設計上の性能が現状における対象システムの実際運転で得られているかどうかや、経年劣化等により対象システムの性能が設計上の性能やシステム構築後の初期性能に比べてどの程度かつどのような低下動向で低下しているかなどのことは的確に判断することができず、このため、評価結果に基づく対象システムの管理や運用計画の策定あるいは経費見込みの策定などを適切に行えない問題があった。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な評価方式を採ることにより上記問題を解消するとともに、熱源システム又は空調システムの性能評価を一層高度かつ多面的に行なえるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は熱源システム又は空調システムの性能評価方法に係り、その特徴は、
熱源機により冷却又は加熱した熱媒を熱媒ポンプにより需要先に供給する熱源システムの性能、又は、熱源システムにより供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう空調システムの性能を評価する熱源システム又は空調システムの性能評価方法であって、
対象システムの構築後における初期の設定運転期間においては、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときに得られる各時点の所定種の性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム仮想運転基準の性能評価を行なうとともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と性能評価値とを関連付けて記録した各時点の運転データを蓄積し、
前記設定運転期間の経過後においては、
前記蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における各時点の運転条件と合致する各時点の対応運転データを検索して、これら検索した各時点の対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム初期実績基準の性能評価を行なう点にある。
【0007】
因みに、熱源システムや空調システムの性能は消費エネルギや環境負荷あるいは運転コストや効率などに関する所定種の性能評価値を用いて評価できるが、評価対象である対象システムの仮想運転として、対象システムを構成する熱源機や熱媒ポンプなどの構成機器の特性情報(即ち、既定の機器特性情報であって、ポンプで言えば流量、揚程、消費動力、効率などの相関に関するカタログデータなど)に基づき対象システムを仮想運転すれば、その仮想運転上で得られる対象システムの性能評価値は経年劣化等による性能低下が無い状態の言わばカタログ値的(換言すれば公称値的)な性能評価値に該当する。
【0008】
従って、この仮想運転を対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で行なえば、対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下での対象システムの各時点におけるカタログ値的な性能評価値を演算等により求めることができる。
【0009】
この点に着目して、上記第1特徴構成による評価方法では、対象システムの構築後における初期の設定運転期間(例えば、初期の1年間や2年間)については、上記仮想運転で得られる対象システムの各時点における性能評価値(カタログ値的な性能評価値)と、対象システムの実際運転で得られる各時点の性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム仮想運転基準の性能評価を行なう。
【0010】
即ち、この同一システム仮想運転基準の性能評価であれば、同一システムでかつ同一運転条件という比較条件の下で、対象システムのカタログ値的な性能評価値と対象システムの実際運転で得られる現実の性能評価値との相対的な関係を時系列的に、また必要であれば、対象システムの実際運転に併行してリアルタイムに判断することができる。
【0011】
従って、異種システムを比較対象とする先述の如き従来の評価方式に比べ、設計上の性能(換言すれば、カタログ値的な性能)が対象システムの実際運転において得られているか否かや、対象システムの現状における性能が設計上の性能に比べてどの程度かつどのような低下動向で低下しているかなどのことを一層的確に判断することができる。
【0012】
また、対象システムのいずれかの部分で故障などの異常が発生したり、仮想運転で使用する構成機器の特性情報にカタログミス的な誤りがあった場合など、それが原因で、同一システムであるにもかかわらず、上記仮想運転で得られるカタログ値的な性能評価値と実際運転で得られる現実の性能評価値とが運転条件の変化などに対して相対的に異なる変化傾向を示すことから、その変化傾向の異なりによって異常発生や特性情報の誤りなども的確に判断することができる。
【0013】
一方、上記評価方法では、初期の設定運転期間において上記の如く同一システム仮想運転基準の性能評価により対象システムの性能を評価するとともに、対象システムの実際運転における各時点の運転条件と性能評価値とを関連付けて記録した各時点の運転データを蓄積する。
【0014】
そして、設定運転期間の経過後については、この蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における各時点の運転条件と合致する各時点の対応運転データを検索して、これら検索した各時点の対応運転データに記録された性能評価値(即ち、同一システムにおける同一運転条件下での初期実績の性能評価値)と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム初期実績基準の性能評価を行なう。
【0015】
即ち、この同一システム初期実績基準の性能評価であれば、同一システムでかつ同一運転条件という比較条件の下で、初期の設定運転期間において得られた対象システムの初期実績の性能評価値と、対象システムの実際運転(設定運転期間の経過後における実際運転)で得られる現実の性能評価値との相対的な関係を時系列的に、また必要であれば、対象システムの実際運転に併行してリアルタイムに判断することができる。
【0016】
従って、異種システムを比較対象とする先述の如き従来の評価方式に比べ、対象システムの実際運転において初期実績の性能が維持されているか否かや、経年劣化等により対象システムの性能が初期実績の性能に比べてどの程度かつどのような低下動向で低下しているかなどのことを一層的確に判断することができる。
【0017】
また、初期の設定運転期間と同様、対象システムのいずれかの部分で故障などの異常が発生したり、蓄積運転データに誤記録があった場合など、それが原因で、同一システムであるにもかかわらず、上記初期実績の性能評価値と実際運転で得られる現実の性能評価値とが運転条件の変化などに対して相対的に異なる変化傾向を示すことから、その変化傾向の異なりによって異常発生や運転データの誤記録なども的確に判断することができる。
【0018】
そしてまた、設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価では、対象システム自身の初期実績の性能評価値を評価基準とするから、対象システムの仮想運転上の性能評価値(カタログ値的な性能評価値)を評価基準とする初期の設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価に比べ、より一層実状に即した比較条件の下で上記の如き各種判断を行なうことができて、それらの各種判断を一層精度良く的確に行えるようになる。
【0019】
これらの点で上記第1特徴構成による評価方法によれば、異種システムを比較対象とする先述の如き従来の評価方式に比べ、評価結果に基づく対象システムの管理や運用計画の策定あるいは経費見込みの策定などを一層適切に行なえるようになり、また、熱源システムや空調システムの性能評価を一層高度かつ多面的に行なうことができる。
【0020】
なお、上記評価方法の実施において、性能評価値としては消費動力、換算二酸化炭素排出量、運転コスト、効率、あるいは、それら各値のうちの2つ以上のものの夫々に重み係数を乗じた値の和など、必要に応じて種々の性能評価値を採用することができる。
【0021】
対象システムの上記仮想運転で得られる各時点の性能評価値を求めるにあたっては、対象システムの実際運転に伴い同一運転条件での対象システムの仮想運転をシミュレータにより逐次実施して、その仮想運転での対象システムの性能評価値をシミュレータに演算させる方式や、対象システムの仮想運転上の性能評価値と運転条件との相関を予め数式化しておき、この数式に基づき各運転条件での対象システムの仮想運転上の性能評価値を演算により求める方式など種々の演算方式を採用することができる。
【0022】
また、対象システムの仮想運転上における性能評価値を運転条件ごとに記録したデータテーブルを予め設けておき、このデータテーブルから運転条件に基づき検索する形態で各運転条件での対象システムの仮想運転上の性能評価値を求める演算方式なども採用することができる。
【0023】
そしてまた、対象システムの実際運転で得られる性能評価値を求めるにあたっては、計測により求める方式やシステム各部からの収集状態値に基づく演算により求める方式など、種々の方式を採用することができる。
【0024】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成による評価方法の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価又は前記設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価とともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムとは構成機器又は運転方式が異なる異種システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときに得られる各時点の所定種の性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する異種システム仮想運転基準の性能評価を行なう点にある。
【0025】
つまり、対象システムとは構成機器又は運転方式が異なる異種システムを、その構成機器の特性情報(カタログデータなどの既定の機器特性情報)に基づき対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で仮想運転すれば、対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下での異種システムの各時点における言わばカタログ値的な性能評価値を演算等により求めることができる。
【0026】
このことから、上記第2特徴構成における評価方法では、前記の同一システム仮想運転基準の性能評価や同一システム初期実績基準の性能評価とともに、異種システムの上記仮想運転で得られる異種システムの各時点における性能評価値(異種システムのカタログ値的な性能評価値)と、対象システムの実際運転で得られる各時点の性能評価値(対象システムの現実の性能評価値)とに基づき対象システムの性能を評価する異種システム仮想運転基準の性能評価を行う。
【0027】
即ち、この異種システム仮想運転基準の性能評価であれば、同一運転条件という比較条件の下で、異種システムのカタログ値的な性能評価値と対象システムの実際運転で得られる現実の性能評価値との優劣関係等の相対的な関係を時系列的に、また必要であれば、対象システムの実際運転に併行してリアルタイムに判断することができる。
【0028】
従って、この異種システム仮想運転基準の性能評価を前述の設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価や設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価とともに実施する上記評価方法によれば、熱源システムや空調システムの性能評価をさらに高度かつ多面的に行なうことができる。
【0029】
なお、上記評価方法の実施において、設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価や設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価で用いる所定種の性能評価値と、異種システム仮想運転基準の性能評価で用いる所定種の性能評価値とは同種の性能評価値あるいは異種の性能評価値のいずれであってもよい。
【0030】
また、例えば、それら性能評価値として異種の性能評価値を用いるようにして、設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価や設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の評価値評価では同一システムを比較対象とすることにおいて特に意義のある性能評価値を採用し、異種システム仮想運転基準の性能評価では異種システムを比較対象とすることにおいて特に意義のある性能評価値を採用するのもよい。
【0031】
異種システムの上記仮想運転で得られる各時点の性能評価値を求めるにあたっては、前述と同様、対象システムの実際運転に伴い同一運転条件での異種システムの仮想運転をシミュレータにより逐次実施して、その仮想運転での異種システムの性能評価値をシミュレータに演算させる方式や、異種システムの仮想運転上の性能評価値と運転条件との相関を予め数式化しておき、この数式に基づき各運転条件での異種システムの仮想運転上の性能評価値を演算により求める方式など種々の演算方式を採用することができる。
【0032】
また、異種システムの仮想運転上における性能評価値を運転条件ごとに記録したデータテーブルを予め設けておき、このデータテーブルから運転条件に基づき検索する形態で各運転条件での異種システムの仮想運転上の性能評価値を求める演算方式なども採用することができる。
【0033】
上記異種システム仮想運転基準の性能評価では、異種システムのカタログ値的な性能評価値と対象システムの現実の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価するが、これとは別に、異種システムを比較対象とする基本的な性能評価として、同一運転条件下での異種システムの仮想運転で得られる各時点の性能評価値(異種システムのカタログ値的な性能評価値)と、対象システムの仮想運転で得られる各時点の性能評価値(対象システムのカタログ値的な性能評価値)とに基づき対象システムの性能を基本的に評価する両システム仮想運転基準の性能評価を前記の同一システム仮想運転基準の性能評価や同一システム初期実績基準の性能評価とともに行なうようにしてもよい。
【0034】
第1特徴構成又は第2特徴構成による評価方法を実施するにあたっては、それら評価方法における一部の工程を自動化装置により自動的に行い、残りの工程を人為的に行なう方式、あるいは、それら評価方法における全ての工程を自動化装置により自動的に行なう又は全ての工程を人為的に行なう方式のいずれを採用してもよい。
【0035】
本発明の第3特徴構成は熱源システム又は空調システムの性能評価装置に係り、その特徴は、
熱媒機により冷却又は加熱した熱媒を熱媒ポンプにより需要先に供給する熱源システムの性能、又は、熱源システムにより供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう空調システムの性能を評価する熱源システム又は空調システムの性能評価装置であって、
対象システムの構築後における初期の設定運転期間においては、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら対象システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき同一システム仮想運転基準の性能評価用データを作成するとともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と性能評価値とを関連付けて記録した各時点の運転データを記憶手段に蓄積し、
前記設定運転期間の経過後においては、
前記記憶手段における蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における各時点の運転条件と合致する各時点の対応運転データを検索し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら検索した各時点の対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき同一システム初期実績基準の性能評価用データを作成する性能評価手段を設けてある点にある。
【0036】
つまり、この評価装置では、対象システムの構築後における初期の設定運転期間については、対象システムの上記仮想運転での各時点における演算性能評価値(カタログ値的な性能評価値)と、対象システムの実際運転での各時点における計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき同一システム仮想運転基準の性能評価用データを性能評価手段に作成させるとともに、実際運転における各時点の運転条件及び性能評価値を記録した運転データを蓄積させる。
【0037】
また、設定運転期間の経過後においては、蓄積運転データの中から検索した各時点の対応運転データ(記憶運転条件が実際運転の運転条件と合致する運転データ)における記録性能評価値(初期実績の性能評価値)と、対象システムの実際運転における計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき同一システム初期実績基準の性能評価用データを性能評価手段に作成させる。
【0038】
即ち、これら作成する同一システム仮想運転基準の性能評価用データ及び同一システム初期実績基準の性能評価用データを用いて、前述した第1特徴構成による評価方法の初期の設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価及び設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価を行なえるようにする。
【0039】
従って、この評価装置によれば、第1特徴構成による評価方法で得られる前述の如き効果を人為作業の負担を大幅に軽減した状態で、また、誤演算等を回避して一層確実に得ることができる。
【0040】
なお、性能評価手段に作成させる性能評価用データは、比較対象の性能評価値どうしを並べて列記した図表を初め、比較対象の性能評価値どうしの相対的な関係を判断できるものであればどのような形式のものであってもよい。
【0041】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間の経過後において、前記蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しないときには、その不存部分について、
対象システムの実際運転における運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの前記所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら対象システムの仮想運転における演算性能評価値と、対象システムの実際運転における計測又は演算性能評価値とに基づき前記同一システム初期実績基準の性能評価用データを補完する構成にしてある点にある。
【0042】
つまり、設定運転期間の経過後において、蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しない場合(逆言すれば、設定運転期間の経過後における実際運転で生じた運転条件が初期の設定運転期間における実際運転では生じなかった場合)があると、その不存部分について、対応運転データに記録された性能評価値(初期実績の性能評価値)と対象システムの実際運転における計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)とに基づく同一システム初期実績基準の性能評価用データの作成が不能になる。
【0043】
これに対し、上記構成では、そのような場合、その不存部分について初期の設定運転期間における性能評価用データの作成と同様に、対象システムの仮想運転での演算性能評価値(カタログ値的な性能評価値)と実際運転での計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき、設定運転期間の経過後に作成する同一システム初期実績基準の性能評価用データを性能評価手段に補完させる。
【0044】
従って、上記構成によれば、記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが蓄積運転データ中に存在しない場合があったとしても、設定運転期間の経過後における同一システム基準の性能評価を中断なく連続的に実施することができる。
【0045】
また、この構成によれば、設定運転期間の経過後に新たな運転条件についての運転データを蓄積運転データ中に追加蓄積することも併行することができ、これにより、蓄積運転データに記録した性能評価値(初期実績の性能評価値)と実際運転での測定又は演算性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき作成する以後における同一システム初期実績基準の性能評価用データを時間経過とともに一層完全なものにすることができる。
【0046】
本発明の第5特徴構成は、第3又は第4特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間において、対象システムの前記仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、
又は、前記設定運転期間の経過後において、各時点の前記対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、異常発生を報知する構成にしてある点にある。
【0047】
つまり、対象システムにおいて何らかの異常が発生した場合、対象システムの実際運転での測定又は演算性能評価値(現実の性能評価値)はその異常発生時点までの変化傾向に比べて特異的に大きく変化することが多い。
【0048】
この点に着目して、上記構成では、初期の設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価用データの作成において、対象システムの前記仮想運転における各時点の演算性能評価値(カタログ値的な性能評価値)と対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、又は、設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価用データの作成において、各時点の対応運転データに記録された性能評価値(初期実績の性能評価値)と対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、異常発生があったものとして異常発生の報知を性能評価手段に実行させる。
【0049】
また、単に対象システムの実際運転における測定又は演算性能評価値(現実の性能評価値)の変化傾向だけから異常発生を検知する場合、運転条件の変化による測定又は演算性能評価値(現実の性能評価値)の変化が誤検知の要因となるが、上記構成では、運転条件の変化に対して基本的には同じ変化傾向を示す同一システムの性能評価値どうしの差に基づき異常発生を検知することで異常発生の検知精度も高いものにすることができる。
【0050】
従って、上記構成によれば、誤報の少ない状態で的確かつ迅速に対象システムにおける異常発生をシステム管理者などに認知させることができる。
【0051】
なお、この構成の実施において上記の所定閾条件としては、上記性能評価値の差が設定閾差より大きくなった状態の累積発生回数が設定上限回数に至った場合や、上記性能評価値の差が設定閾差より大きくなった状態が設定時間の間に設定回数以上生じた場合、あるいは、上記性能評価値の差が設定閾評差より大きくなった状態が設定時間にわたって継続した場合など、対象システムの特性に応じた閾条件を適宜設定すればよい。
【0052】
また、上記性能評価値の差としては性能評価値どうしの数値差に限らず、一方の性能評価値に対する他方の性能評価値の割合上の差を採用してもよい。
【0053】
本発明の第6特徴構成は、第3〜第5特徴構成のいずれかによる評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間において、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値を演算して、
対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値と仮想運転での演算状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある点にある。
【0054】
つまり、対象システムにおいて何らかの異常が発生した場合、対象システムの実際運転におけるシステム各部の状態値(温度、圧力、流量など)のうち異常部における状態値はその異常発生時点までの変化傾向に比べて特異的に大きく変化することが多い。
【0055】
この点に着目して、上記構成では、初期の設定運転期間において、対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値(現実の状態値)を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値(言わば同一運転条件下でのカタログ値的な状態値)を演算し、対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値(現実の状態値)と仮想運転での演算状態値(カタログ値的な状態値)との差が設定閾差より大きい部分を異常部として報知する。
【0056】
また、単に対象システムの実際運転におけるシステム各部の状態値(現実の状態値)の変化傾向だけから異常部を検知する場合、運転条件の変化による状態値の変化が誤検知の要因となることから、上記構成では、運転条件の変化に対して基本的には同じ変化傾向を示す同一システムにおけるシステム各部の状態値どうしの差に基づき異常部を検知することで異常部の検知精度も高いものにすることができる。
【0057】
従って、上記構成によれば、初期の設定運転期間において対象システムに何らかの異常発生があった場合、誤報の少ない状態で的確かつ迅速に対象システムにおける異常部をシステム管理者などに認知させることができる。
【0058】
なお、上記状態値の差としては状態値どうしの数値差に限らず、一方の状態値に対する他方の状態値の割合上の差を採用してもよい。
【0059】
また、上記構成を前記第5特徴構成と併行実施する場合、対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値(現実の状態値)と仮想運転でのシステム各部の状態値(カタログ値的な状態値)とを設定運転期間において継続的に監視するのに代え、第5特徴構成における異常発生の報知を実行したときのみ、両状態値の監視を行なうようにしてもよい。
【0060】
本発明の第7特徴構成は、第3〜第6特徴構成のいずれかによる評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間における前記運転データの蓄積として、対象システムの実際運転における各時点の運転条件及び性能評価値と対象システムの実際運転における各時点のシステム各部の状態値とを関連付けて記録した運転データを前記記憶手段に蓄積し、
前記設定運転期間の経過後において、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、前記記憶手段における蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データを検索して、
対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値と検索した対応運転データに記録された状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある点にある。
【0061】
つまり、この構成では、初期の設定運転期間における運転データの蓄積として、対象システムの実際運転における各時点の運転条件及び性能評価値とともに対象システムの実際運転における各時点のシステム各部の状態値を関連付けて記録した運転データを記憶手段に蓄積する。
【0062】
また、前述の如く、対象システムにおいて何らかの異常が発生した場合、対象システムの実際運転におけるシステム各部の状態値(温度、圧力、流量など)のうち異常部における状態値が異常発生時点までの変化傾向に比べ特異的に大きく変化することが多いことから、上記構成では、設定運転期間の経過後において、対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値(現実の状態値)を収集するとともに、蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データを検索する。
【0063】
そして、対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値(現実の状態値)と検索した対応運転データにおける記録状態値(即ち、同一運転条件下での実績の状態値)との差が設定閾差より大きい部分を異常部として報知する。
【0064】
また、単に対象システムの実際運転におけるシステム各部の状態値(現実の状態値)の変化傾向だけから異常部を検知する場合、運転条件の変化による状態値の変化が誤検知の要因となるが、上記構成では、前述と同様、運転条件の変化に対して基本的には同じ変化傾向を示す同一システムにおけるシステム各部の状態値どうしの差に基づき異常部を検知することで異常部の検知精度も高いものにすることができる。
【0065】
従って、上記構成によれば、設定運転期間の経過後において対象システムに何らかの異常発生があった場合、誤報の少ない状態で的確かつ迅速に対象システムにおける異常部をシステム管理者などに認知させることができる。
【0066】
なお、この構成の実施において、上記状態値の差としては前述と同様、状態値どうしの数値差に限らず、一方の状態値に対する他方の状態値の割合上の差を採用してもよい。
【0067】
また、上記構成を前記第5特徴構成と併行実施する場合、対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値と対応運転データに記録されたシステム各部の状態値とを設定運転期間の経過後において継続的に監視するのに代え、第5特徴構成による異常発生の報知を実行したときのみ、両状態値の監視を行なうようにしてもよい。
【0068】
本発明の第8特徴構成は、第7特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間の経過後において前記蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しないときには、その不存部分について、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値を演算して、
対象システムのシステム各部のうち、これら対象システムの実際運転での収集状態値と仮想運転での演算状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある点にある。
【0069】
つまり、設定運転期間の経過後において、蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しない場合(逆言すれば、設定運転期間の経過後における実際運転で生じた運転条件が初期の設定運転期間における実際運転では生じなかった場合)があると、その不存部分について、対応運転データに記録された状態値(初期実績の状態)と対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値(現実の状態値)とに基づく異常部の報知が不能になるが、上記構成では、このような場合、その不存部分について、対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値(現実の状態値)を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値(同一運転条件下でのカタログ値的な状態値)を演算する。
【0070】
そして、対象システムのシステム各部のうち、これら対象システムの実際運転での収集状態値(現実の状態値)と仮想運転での演算状態値(同一運転条件下でのカタログ値的な状態値)との差が設定閾差より大きい部分を異常部として報知する
【0071】
従って、この構成によれば、記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが蓄積運転データの中に存在しない場合があるとしても、設定運転期間の経過後において対象システムに何らかの異常があったときには確実に異常部の報知を行なうことができる。
【0072】
また、この構成によれば、設定運転期間の経過後に新たな運転条件についての運転データを蓄積運転データ中に追加蓄積することも併行することができる。
【0073】
なお、この構成の実施において、上記状態値の差としては前述と同様、状態値どうしの数値差に限らず、一方の状態値に対する他方の状態値の割合上の差を採用してもよい。
【0074】
本発明の第9特徴構成は、第3〜第8特徴構成のいずれかによる評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記同一システム仮想運転基準の性能評価用データの作成、又は、前記同一システム初期実績基準の性能評価用データの作成に併行して、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムとは構成機器又は運転方式が異なる異種システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら異種システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき異種システム仮想運転基準の性能評価用データを作成する併行データ作成処理が可能な構成にしてある点にある。
【0075】
つまり、この構成では、異種システムの上記仮想運転で得られる各時点の性能評価値(言わば、異種システムのカタログ値的な性能評価値)と対象システムの実際運転で得られる各時点の性能評価値(現実の性能評価値)とに基づき異種システム仮想運転基準の性能評価用データを性能評価手段に作成させ、これにより、その作成した性能評価用データを用いて、前述した第2特徴構成による評価方法における異種システム仮想運転基準の性能評価を行えるようにする。
【0076】
従って、この構成によれば、初期の設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価用データを用いた性能評価や、設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価用データを用いた性能評価と相俟って、熱源システムや空調システムの性能評価をさらに高度かつ多面的に行なうことができる。
【0077】
なお、性能評価手段に作成させる異種システム仮想運転基準の性能評価用データは、比較対象の性能評価値どうしを並べて列記した図表を初め、比較対象の性能評価値どうしの相対的な関係を判断できるものであればどのような形式のものであってもよい。
【0078】
さらに、上記構成の実施において、同一システム仮想運転基準の性能評価用データや同一システム初期実績基準の性能評価用データで用いる所定種の性能評価値と、異種システム仮想運転基準の性能評価用データで用いる所定種の性能評価値とは同種の性能評価値あるいは異種の性能評価値のいずれであってもよい。
【0079】
また、例えば、それら性能評価値として異種の性能評価値を用いるようにして、同一システム仮想運転基準の性能評価用データや同一システム初期実績基準の性能評価用データでは同一システムを比較対象とすることにおいて特に意義のある性能評価値を採用し、異種システム仮想運転基準の性能評価用データでは異種システムを比較対象とすることにおいて特に意義のある性能評価値を採用するのもよい。
【0080】
異種システムの上記仮想運転で得られる各時点の性能評価値を求めるにあたっては、前述と同様、対象システムの実際運転に伴い同一運転条件での異種システムの仮想運転をシミュレータにより逐次実施して、その仮想運転での異種システムの性能評価値をシミュレータに演算させる方式や、異種システムの仮想運転上の性能評価値と運転条件との相関を予め数式化しておき、この数式に基づき各運転条件での異種システムの仮想運転上の性能評価値を演算により求める方式など種々の演算方式を採用することができる。
【0081】
また、異種システムの仮想運転上における性能評価値を運転条件ごとに記録したデータテーブルを予め設けておき、このデータテーブルから運転条件に基づき検索する形態で各運転条件での異種システムの仮想運転上の性能評価値を求める演算方式なども採用することができる。
【0082】
この第9特徴構成では、上記の如く異種システムのカタログ値的な性能評価値と対象システムの現実の性能評価値とに基づき異種システム仮想運転基準の性能評価用データを性能評価手段に作成させるが、これとは別に、異種システムを比較対象とする基本的な性能評価用データとして、同一運転条件下での異種システムの仮想運転で得られる各時点の性能評価値(異種システムのカタログ値的な性能評価値)と、対象システムの仮想運転で得られる各時点の性能評価値(対象システムのカタログ値的な性能評価値)とに基づき両システム仮想運転基準の性能評価用データを前記の同一システム仮想運転基準の性能評価用データや同一システム初期実績基準の性能評価データの作成とともに性能評価手段に作成させるようにしてもよい。
【0083】
本発明の第10特徴構成は、第9特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記異種システム仮想運転基準の性能評価用データを構成機器又は運転方式が互いに異なる複数種の異種システムについて併行に作成可能な構成にしてある点にある。
【0084】
つまり、この構成によれば、異種システム仮想運転基準の性能評価用データを複数種の異種システムについて併行に作成できるから、熱源システムや空調システムの性能評価をさらに高度かつ多面的に行なうことができる。
【0085】
なお、性能評価手段は、前記した両システム仮想運転基準の性能評価用データについても複数種の異種システムについて併行に作成可能な構成にしてもよい。
【0086】
本発明の第11特徴構成は、第9又は第10特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記異種システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値の方が対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値より良好な状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、
対象システムの運転方式を変更して前記異種システムの仮想運転と機能的に同じ運転を対象システムにおいて実施する、又は、その運転方式変更が有利であることを報知する構成にしてある点にある。
【0087】
つまり、対象システムのシステム構成によっては、異種システム仮想運転基準の性能評価用データにおいて比較対象とする異種システムの仮想運転と機能的に同じ運転を運転方式の変更により対象システムにおいて実現できる場合がある。
【0088】
このような場合に上記構成では、異種システム仮想運転基準の性能評価用データの作成において、異種システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値(即ち、比較対象の性能評価値)の方が対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値(現実の性能評価値)より良好な状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、性能評価手段による対象システム運転方式の変更により、異種システムの仮想運転と機能的に同じ運転を対象システムにおいて実施させる、又は、その運転方式変更が有利であることをシステム管理者などに報知させる。
【0089】
即ち、この構成では、性能評価手段を運転方式最適化手段として機能させる形態で、対象システムの実際運転で得られる性能評価値を極力向上させるように、対象システムの運転方式を比較対象である異種システムの仮想運転上の性能評価値に基づき最適化することができる。
【0090】
なお、この構成の実施において、上記の所定閾条件としては、異種システムの仮想運転で得られる性能評価値が対象システムの実際運転で得られる性能評価値よりも設定閾差以上に良好な状態が設定時間にわたって継続した場合や設定時間の間に設定回数以上生じた場合など、対象システムの特性に応じた閾条件を適宜設定すればよい。
【0091】
本発明の第12特徴構成は、第3〜第11特徴構成による評価装置の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記性能評価手段は、前記設定運転期間では前記同一システム仮想運転基準の性能評価用データとして、対象システムの前記仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフと実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上で対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成し、
かつ、前記設定運転期間の経過後では前記同一システム初期実績基準の性能評価用データとして、前記対応運転データに記録された性能評価値の経時的変化を示すグラフと対象システムの実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上で対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成する、
又は、前記異種システム仮想運転基準の性能評価用データとして、異種システムの前記仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフと対象システムの実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上に対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成する構成にしてある点にある。
【0092】
つまり、この構成によれば、性能評価手段が作成する上記トレンドグラフデータにより、相互比較する性能評価値夫々の経時的な変化や相互比較する性能評価値どうしの相対的関係の経時的な変化を容易に判断することができ、これにより、対象システムの性能評価を一層容易に行なうことができる。
【0093】
なお、これらのトレンドグラフデータとは別に、前記両システム仮想運転基準の性能評価用データとして、異種システムの仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフと対象システムの仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上に対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを性能評価手段に作成させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】熱源システムの全体構成図
【図2】制御系ブロック図
【図3】制御形態の説明図
【図4】最適制御データテーブルの模式図
【図5】増段機選定フローチャート
【図6】増段用の積算時間算定フローチャート
【図7】増段機選定を説明するグラフ
【図8】減段機選定フローチャート
【図9】減段用の積算時間算定フローチャート
【図10】減段機選定を説明するグラフ
【図11a】初期設定運転期間における性能評価手段の動作説明図
【図11b】設定運転期間の経過後における性能評価手段の動作説明図
【図11c】異種熱源システムを比較対象とする性能評価手段の動作説明図
【図12】初期設定運転期間におけるトレンドグラフデータの模式図
【図13】設定運転期間の経過後におけるトレンドグラフデータの模式図
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は空調設備で用いる冷熱熱源システムを示し、この熱源システムは熱媒C(本例では冷水)を冷却する出力調整が可能な複数の冷凍機Rを熱源機として備えており、各冷凍機Rには冷却水循環路1を介して冷却塔CTを個別に接続してある。また、これら冷凍機Rは能力や性能あるいは形式や構造などが異なる異種のものを含んでいる。
【0096】
2aは各冷凍機Rから1次側往路3aを通じて並列的に供給される熱媒Cを受け入れる1次側ヘッダ、2bは複数の中継路3bを通じて1次側ヘッダ2aから熱媒Cの供給を受ける2次側ヘッダであり、この2次側ヘッダ2bから空調機などの複数の負荷機器Uに対して2次側往路3cを通じ熱媒Cを並列的に供給することで、各負荷機器Uでは供給熱媒Cの保有冷熱を用いて負荷熱量q(即ち、個々の熱負荷)を処理する。
【0097】
2cは各負荷機器Uから2次側還路3dへ送出される熱媒C(即ち、負荷機器Uでの保有冷熱の消費により昇温した熱媒)を合流状態で受け入れて、その受け入れ熱媒Cを各冷凍機Rへ1次側還路3eを通じ並列的に戻す還側ヘッダであり、各熱媒路3a〜3eからなる熱媒循環路3は、1次側ヘッダ2aと還側ヘッダ2cとを境として冷凍機Rの側である1次側(熱源側)と負荷機器Uの側である2次側(負荷側)とに区分される。
【0098】
この熱源システムは構成機器として冷凍機Rや冷却塔CTの他、各冷凍機Rへの1次側還路3eに装備した1次ポンプPA、各中継路3bに装備した2次ポンプPB、各冷却水循環路1に装備した冷却水ポンプPCなどを備え、これらポンプPA,PB,PCは各々に装備したインバータ装置INVにより熱媒送出流量を連続的に調整できる可変ポンプにしてある。
【0099】
Vaは1次側往路3aの夫々に装備した開閉弁であり、これら開閉弁Vaは後述のシステム制御装置6により対応する冷凍機R及び1次ポンプPAの運転時に開弁操作される。
【0100】
Vbは各負荷装置Uに装備した流量調整弁であり、これら流量調整弁Vbにより各負荷機器Uにおける熱媒流量(負荷流量)が各負荷機器Uの負荷熱量qに応じて調整される。
【0101】
冷却塔CT、冷却水ポンプPC、1次ポンプPAの夫々は対応する冷凍機Rの発停に応じてシステム制御装置6により発停操作され、一方、2次ポンプPBは2次側還路3dの合流部に装備した流量センサSfにより計測される2次側流量(即ち、熱媒循環路3における2次側部分の熱媒流量であり複数の負荷機器Uの合計熱媒流量)に応じてシステム制御装置6により運転台数の変更が行なわれるとともに、インバータ装置INVによる熱媒送出流量の調整が行なわれる。
【0102】
Vsは中継路3bと並列の状態で1次側ヘッダ2aと2次側ヘッダ2bとにわたらせた戻し路3fに装備した圧力調整弁であり、この圧力調整弁Vsは圧力センサSpにより計測される2次側ヘッダ2b内の熱媒圧力に応じて、2次側ヘッダ2b内の熱媒圧力(即ち、負荷機器Uへの熱媒送給圧力)を適正値に保つように開度調整される。
【0103】
4は1次側ヘッダ2aと還側ヘッダ2cとを短絡するバイパス路であり、このバイパス路4を通じた熱媒流動により2次側流量と熱媒循環路3における1次側部分の熱媒流量である1次側流量(運転状態にある1次ポンプPAの合計熱媒送出流量)との差分が吸収される。
【0104】
即ち、2次側流量よりも1次側流量が大きい状態ではその差分流量の熱媒Cが1次側ヘッダ2aからバイパス路4を通じて還側ヘッダ2cの方に流れ、逆に、1次側流量よりも2次側流量が大きい状態ではその差分流量の熱媒Cが還側ヘッダ2cからバイパス路4を通じて1次側ヘッダ2aの方に流れる。
【0105】
システム各部の流量、温度、圧力等の状態値iを計測するセンサSとしては、上記の流量センサSf、圧力センサSpのほか、各1次ポンプPAの熱媒送出流量,熱媒送出圧力、各冷凍機Rの入口熱媒温度,出口熱媒温度,入口冷却水温度,出口冷却水温度、各負荷機器Uの入口熱媒温度,出口熱媒温度,入口熱媒圧力,出口熱媒圧力、各冷却水ポンプPCの冷却水送出流量、各冷却塔CTの入口冷却水温度,出口冷却水温度などを計測するセンサを装備してあり、また、外気の温度,湿度などを計測するセンサも装備してある。
【0106】
5はこの熱源システムを統括的に管理するシステム管理装置、6はこの熱源システムの構成機器を制御するシステム制御装置であり、両者は通信手段7による相互通信を可能にしてある。
【0107】
システム管理装置5は図2に示す如く、物理的には入出力部5aと演算部5bと記憶部5cとを備えるコンピュータシステムからなり、機能的には記憶部5cに格納したプログラムの実行によりデータテーブル作成手段5A、負荷予測手段5B、冷凍機選定手段5C、最適制御量設定手段5D、性能評価手段5Eなどとして機能する。
【0108】
そして具体的には、システム管理装置5はシステム制御装置6との連携下で上記の各手段5A〜5Eとして次の如く動作するものにしてある。(図3参照)
【0109】
〔A〕システム管理装置5はデータテーブル作成手段5Aとして次のa1〜a3を実行する。
a1.記憶部5cに格納された対象熱源システムにおける構成機器の特性情報(既定の特性情報であって、ポンプで言えば流量、揚程、消費動力、効率などの相関に関するカタログデータなど)に基づき対象熱源システムの運転をシミュレーションすることにより、対象熱源システムの運転条件である熱負荷Q(=Σq)と、同じく運転条件である外気湿球温度towと、後述する運転冷凍機Rの組合せ(本例では、冷凍機組合番号Kで表す)との3者を独立変数(検索キー)とし、かつ、各機器の流量、圧力、温度などの制御量及び消費動力eを従属変数d1〜dn(データ)とする図4に示す如き“最適制御データテーブルD(S)”を自動的に作成する。
【0110】
この最適制御データテーブルD(S)は、上記3つの独立変数Q,tow,Kの各々を細かく変更した想定ケースの夫々について対象熱源システムの全体としての消費動力E(=Σe)が最小となる最適運転状態を最適化シミュレーションにより求めて、各想定ケースの最適運転状態(即ち、各運転条件での最適運転状態)における従属変数d1〜dnの値(即ち、各想定ケースでの最適制御量及びその最適制御量での各機器の消費動力e)をデータ値として書き込んだものである。
【0111】
そして、従属変数d1〜dnは、具体的には各冷却塔CTの“入口冷却水温度”,“出口冷却水温度”,“消費動力e”、各冷却水ポンプPCの“流量”,“消費動力e”、各冷凍機Rの“入口熱媒温度”,“出口熱媒温度”,“入口冷却水温度”,“出口冷却水温度”,“消費動力e”、各1次ポンプPAの“流量”,“消費動力e”などにしてある。
【0112】
なお、この最適制御データテーブルD(S)としては、冷凍機Rの出口熱媒温度が設定値になるように冷凍機Rを出力調整することに対して、その出口熱媒温度の設定値を段階的に変更した場合の出口熱媒温度ごとのテーブル(即ち、熱媒温度別の最適制御データテーブルDc(S))を作成するようにしてもよい。
【0113】
また、最適制御データテーブルD(S)は、例えば季節別や対象熱源システムの運転方式別あるいはパーツ別などの複数の分割テーブルに分割して作成するとともに、それら分割テーブルの夫々をデータ(属性)とメソッド(操作)がパッケージ化されたオブジェクト指向のデータテーブルとして作成し、これにより、各時点において必要な分割テーブルのみをメモリ上に読み出す使用形態を採って必要メモリ容量を極力小さくするとともに、分割テーブルの作成、削除、更新、修正等の各処理を容易に行えるようにする。
【0114】
a2.各従属変数d1〜dnについて最適制御データテーブルD(S)上のデータ値(書込み値)に各機器の経年劣化等に原因する誤差が生じることに対応して、各センサSにより計測されるシステム各部の状態値iやシステム制御装置6が把握しているシステム各部の状態値i(制御量)などに基づき、最適制御データテーブルD(S)をそのときのシステム状態に即したものに随時更新する。
【0115】
即ち、各機器の特性情報に基づく最適化シミュレーションで得られるデータ値と、最適制御データテーブルD(S)を用いてシステム制御装置6により各機器を制御する対象熱源システムの実際運転で得られるデータ値(つまり、各機器の経年劣化等により変化したデータ値)との差に基づき最適制御データテーブルD(S)を逐次自動補正する。
【0116】
なお、データテーブル作成手段5Aが対象熱源システムの構築後において各機器の特性情報に基づき最初に作成した最適制御データテーブルD(S)は、後述する同一システム仮想運転基準の性能評価のために保存する。
【0117】
a3.最適制御データテーブルD(S)に従って対象熱源システムを実際に運転した場合と、例えば各ポンプを定格流量でのみ運転する定流量方式等の異種熱源システムを同一運転条件の下で運転した場合との性能比較などを行うため、対象熱源システムとは構成機器又は運転方式が異なる適当な異種熱源システムが設定されのに対し、その異種熱源システムについて上記最適制御データテーブルD(S)と同様の“対比用制御データテーブルD′(S)”を異種熱源システムにおける構成機器の特性情報に基づき作成する。
【0118】
なお、前述の対象熱源システムは、冷凍機Rによる冷却熱媒Cを負荷機器Uに供給する“通常運転”と、これとは異なり冷却塔CTで冷却した冷却水により熱媒Cを冷却する形態、又は、冷却塔CTで冷却した冷却水を熱媒Cとして負荷機器Uに直接供給する形態で負荷機器Uにおける負荷熱量qを処理するいわゆる“フリークーリング運転”との切り換え実施が可能なものであり、通常運転の実施時には仮想的にフリークーリング運転モード対象熱源システムを比較用の異種熱源システムとして設定することもできる。
【0119】
また逆に、フリークーリング運転の実施時には仮想的に通常運転モードの対象熱源システムを比較対象の異種熱源システムとして設定するなどのこともでき、さらに、異種熱源システムは一種に限らず複数種を設定することもできる。
【0120】
〔B〕システム管理装置5は負荷予測手段5Bとして次のb1,b2を実行する。
b1.センサSの計測値に基づいて演算される対象熱源システムの熱負荷Q(=Σq)の過去及び現在のデータや、外部から入手する過去及び現在の気象データ、並びに、将来の気象予測データなど、熱負荷Qに関する種々のデータに基づき、将来の熱負荷Qを所定の予測モデルを用いて予測する。
【0121】
b2.この熱負荷予測では後述の冷凍機選定手段5Cによる運転冷凍機の最適組合せの選定と連携して、基本的に現時点から上限積算時間Tmax(例えば数時間)後までの設定時間間隔ΔT(例えば10分間)ごとの熱負荷Qを逐次予測する。
【0122】
〔C〕システム管理装置5は冷凍機選定手段5Cとして次のc1〜c8を実行する。
c1.所定運転期間Xにおける運転冷凍機Rの組合せKに関し、所定の選定モデルを用いた選定により、負荷予測手段5Bが予測する以後の所定運転期間X中の予測熱負荷Qを賄い得る組合せで、かつ、対象熱源システムの消費動力Eを対象値として、その消費動力E(対象値)の所定運転期間Xにおける積算値ΣEが最小となる組合せを、その所定運転期間Xにおける運転冷凍機Rの最適組合せKxとして選定する。
【0123】
換言すれば、全ての冷凍機組合番号Kの中から上記積算値ΣEが最小となる最適な組合番号Kxを選定する。
【0124】
c2.具体的には、冷凍機Rの運転台数を増加させる際の運転冷凍機Rの最適組合せKxを図5に示す増段機選定フローチャートに従って選定(換言すれば、最適増段冷凍機Rを選定)するとともに、冷凍機Rの運転台数を減少させる際の運転冷凍機Rの最適組合せKxを図8に示す減段機選定フローチャートに従って選定(換言すれば、最適減段冷凍機Rを選定)する。
【0125】
c3.即ち、図5の増段機選定フローチャート(図7を合わせて参照)では、♯1において、現在運転中の冷凍機Rに現在停止中の冷凍機Rのうちの1台を運転冷凍機Rとして追加(増段)した場合の増段後における運転冷凍機Rの組合せKの全てを抽出し、続いて♯2で、増段前の現在運転中の冷凍機Rの合計能力ΣG(運転中冷凍機R夫々の最大出力Gの合計)を演算する。
【0126】
♯3では、負荷予測手段5Bが予測する現時点から設定時間Ts(例えば10分間)だけ後の時点tsについての予測熱負荷Q(ts)を読み込み、♯4では、♯3で読み込んだ予測熱負荷Q(ts)と♯2で演算した運転中冷凍機Rの合計能力ΣGとを比較する〔Q(ts)>ΣG?〕。
【0127】
♯4での比較において設定時間Ts後のts時点についての予測熱負荷Q(ts)の方が運転中冷凍機Rの合計能力ΣGより大きい〔Q(ts)>ΣG〕ときは、♯5において対象値積算時間Txを算定する。
【0128】
この♯5における対象値積算時間Txの算定は図6に示す増段用の積算時間算定フローチャートに従って行い、この増段用の積算時間算定フローチャートでは、♯5−1において、現在停止中の冷凍機Rのうちで能力G(最大出力)が最小のものを選定する。
【0129】
♯5−2では、現在運転中の冷凍機Rの合計能力ΣGに♯5−1で選定した冷凍機Rの能力を加えた増段後の最小合計能力ΣGmin′を演算する。
【0130】
カウント処理として♯5−3でN=0とし、続いて♯5−4でN=N+1にした上で、♯5−5において、負荷予測手段5Bが予測する先の予測対象時点(即ち、前記♯3でのts時点から更に(ΔT×N)時間だけ後の時点(ts+(ΔT×N))についての予測熱負荷Q(N)を読み込み、♯5−6では、♯5−5で読み込んだ予測熱負荷Q(N)と♯5−2で演算した増段後の最小合計能力ΣGmin′とを比較する〔Q(N)>ΣGmin′?〕
【0131】
そして、この♯5−6での比較において予測熱負荷Q(N)の方が増段後の最小合計能力ΣGmin′より大きくなるまで♯5−4〜♯5−6を繰り返し、♯5−6での比較において予測熱負荷Q(N)の方が増段後の最小合計能力ΣGmin′より大きく〔Q(N)>ΣGmin′〕なると、♯5−7で対象値積算時間TxをそのときのN値に対して〔Tx=ΔT×N〕に決定する。
【0132】
ここで図5に示す増段機選定フローチャートに戻って、♯6では♯5で算定した対象値積算時間Tx(=ΔT×N)と上限積算時間Tmaxとを比較し〔Tx<Tmax?〕、この比較において♯5で算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmaxより小さいときはそのまま♯8に進む。
【0133】
一方、♯6での比較において♯5で算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmax以上〔Tx≧Tmax〕のとき、及び、先の♯3での比較においてts時点についての予測熱負荷Q(ts)が運転中冷凍機Rの合計能力ΣG以下〔Q(ts)≦ΣG〕のときは、♯7で対象値積算時間Txを〔Tx=Tmax〕に制限した上で♯8に進む。
【0134】
♯8では、♯1で抽出した増段後における運転冷凍機Rの組合せKの全てについて、対象値積算時間Txに対応する期間(つまり、そのときのts時点を開始時点とし、そのときのts時点から対象値積算時間Txを経過した時点を終了時点とする期間)中における予測熱負荷Qを各組合せKの冷凍機運転で処理した場合の消費動力Eの期間積算値ΣE(つまり、所定運転期間X中の消費動力積算値)を演算する。
【0135】
そして、♯9では、♯1で抽出した増段後における運転冷凍機Rの組合せKのうち、♯8で演算した消費動力E(対象値)の期間積算値ΣEが最小であった組合せを増段後における運転冷凍機Rの最適組合せKxとして決定し、これをシステム制御装置6に出力する。
【0136】
c4.つまり、この増段用最適組合せの選定において、冷凍機選定手段5Cは、負荷予測手段5Bによる予測熱負荷Q(ts)と各冷凍機Rの能力Gとに基づき、現在の運転冷凍機Rの組合せKについて冷凍機運転台数の増加を伴う組合せ変更(増段)が必要になると予測される予測閾時点(即ち、♯4でQ(ts)>ΣGとなるts時点)を判定し、この予測閾時点tsを所定運転期間Xの開始時点とする。
【0137】
また、負荷予測手段5Bによる予測熱負荷Q(N)と各冷凍機Rの能力Gとに基づき、組合せ変更後(増段後)の運転熱源機Rの組合せについて再び冷凍機運転台数の増加を伴う組合せ変更(再増段)が必要になると予測される予測再閾時点(即ち、♯5−6でQ(N)>ΣGmin′となる(ts+Tx)時点)を判定し、この予測再閾時点(ts+Tx)を所定運転期間Xの終了時点とする。
【0138】
そして、冷凍機選定手段5Cは、このように熱負荷予測に基づき増段後についての所定運転期間Xを設定した上で、その所定運転期間Xにおける運転冷凍機Rの組合せK(即ち、増段後の組合せ)に関して、負荷予測手段5Bが予測する所定運転期間X中の予測熱負荷Qを賄い得る組合せで、かつ、対象熱源システムの消費動力Eを対象値として、その消費動力E(対象値)の所定運転期間Xにおける積算値ΣEが最小となる組合せを最適組合せKxとして選定する。
【0139】
なお、冷凍機選定手段5Cは、予測熱負荷Qの経時変化などに代表される経時的な状況変化に対して上記の予測閾時点tsを判定するごとに(即ち、♯4でQ(ts)>ΣGが判定されるごとに)、その予測閾時点tsを開始時点とする新たな所定運転期間Xを設定し、その新たな所定運転期間Xごとに上記の増段後最適組合せKxを選定する。
【0140】
また、現在の運転冷凍機Rの組合せについて上記予測閾時点tsが未判定(即ち、♯4でQ(ts)≦ΣG)のときや、算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmax以上(即ち、♯6でTx≧Tmax)のときには、現時点から設定時間(本例では上限積算時間Tmax)後までの期間を仮の所定運転期間X′として、その仮の所定運転期間X′について上記の増段後最適組合せKxを選定し、これにより、熱負荷予測に基づく最適組合せ選定の精度及び信頼性を高める。
【0141】
c5.一方、図8の減段機選定フローチャート(図10を合わせて参照)では、♯1において、現在運転中の冷凍機Rのうちの1台を停止(減段)した場合の減段後における運転冷凍機Rの組合せKの全てを抽出し、続いて♯2では、♯1で抽出した減段後における運転冷凍機Rの各組合せKで得られる運転冷凍機Rの合計能力ΣG′のうちの最大の合計能力ΣGmax′を演算する。
【0142】
♯3では、負荷予測手段5Bが予測する現時点から設定時間Ts(例えば10分間)だけ後の時点tsについての予測熱負荷Q(ts)を読み込み、♯4では、♯2で演算した減段後の最大合計能力ΣGmax′と♯3で読み込んだ予測熱負荷Q(ts)とを比較する〔ΣGmax′>Q(ts)?〕。
【0143】
♯4での比較において♯2で演算した減段後の最大合計能力ΣGmax′の方が設定時間Ts後のts時点についての予測熱負荷Q(ts)より大きい〔ΣGmax′>Q(ts)〕のときは、♯5において対象値積算時間Txを算定する。
【0144】
この♯5における対象値積算時間Txの算定は図9に示す減段用の積算時間算定フローチャートに従って行い、この減段用の積算時間算定フローチャートでは、♯5―1において、現在運転中の冷凍機Rのうちの2台を停止(即ち再減段)した場合の再減段後における運転冷凍機Rの組合せKの全てを抽出する。
【0145】
続いて♯5−2では、♯5−1で抽出した再減段後における運転冷凍機Rの各組合せKで得られる運転冷凍機Rの合計能力ΣG″のうちの最大の合計能力ΣGmax″を演算する。
【0146】
カウント処理として♯5−3でN=0とし、続いて♯5−4でN=N+1にした上で、♯5−5において、負荷予測手段5Bが予測する先の予測対象時点(即ち、前記♯3でのts時点から更に(ΔT×N)時間だけ後の時点(ts+(ΔT×N))についての予測熱負荷Q(N)を読み込み、♯5−6では、♯5−2で演算した再減段後の最大合計能力ΣGmax″と♯5−5で読み込んだ予測熱負荷Q(N)とを比較する〔ΣGmax″>Q(N)?〕
【0147】
そして、この♯5−6での比較において再減段後の最大合計能力ΣGmax″の方が予測熱負荷Q(N)より大きくなるまで♯5−4〜♯5−6を繰り返し、♯5−6での比較において再減段後の最大合計能力ΣGmax″の方が予測熱負荷Q(N)より大きく〔ΣGmax″>Q(N)〕なると、♯5−7で対象値積算時間TxをそのときのN値に対して〔Tx=ΔT×N〕に決定する。
【0148】
ここで図8に示す減段機選定フローチャートに戻って、♯6では♯5で算定した対象値積算時間Tx(=ΔT×N)と上限積算時間Tmaxとを比較し〔Tx<Tmax?〕、この比較において♯5で算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmaxより小さいときはそのまま♯8に進む。
【0149】
一方、♯6での比較において♯5で算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmax以上〔Tx≧Tmax〕のときは、♯7で対象値積算時間Txを〔Tx=Tmax〕に制限した上で♯8に進む。
【0150】
♯8では、♯1で抽出した減段後における運転冷凍機Rの組合せKの全てについて、対象値積算時間Txに対応する期間(つまり、そのときのts時点を開始時点とし、そのときのts時点から対象値積算時間Txを経過した時点を終了時点とする期間)中における予測熱負荷Qを各組合せKの冷凍機運転で処理した場合の消費動力Eの期間積算値ΣE(つまり、所定運転期間X中の消費動力積算値)を演算する。
【0151】
そして、♯9では、♯1で抽出した減段後における運転冷凍機Rの組合せKのうち、♯8で演算した消費動力E(対象値)の期間積算値ΣEが最小であった組合せを減段後における運転冷凍機Rの最適組合せ候補K′として抽出する。
【0152】
続いて♯10では、♯9で抽出した最適組合せ候補K′を採用した減段を行った場合にそのときの負荷機器Uの運転上で2次側流量が不足となるか否かを前記最適制御データテーブルD(S)の参照等により判定し、この判定において2次側流量の不足が生じないときは♯11において、♯9で抽出した最適組合せ候補K′を減段後における運転冷凍機Rの最適組合せKxとして決定〔Kx=K′〕し、これをシステム制御装置6に出力する。
【0153】
また、♯10での判定において2次側流量の不足が生じるとき、及び、先の♯4での比較において減段後の最大合計能力ΣGmax′が設定時間Ts後のts時点についての予測熱負荷Q(ts)以下〔ΣGmax′≦Q(ts)〕のときは、♯12において減段禁止指令をシステム制御装置6に出力する。
【0154】
c6.つまり、この減段用最適組合せの選定において、冷凍機選定手段5Cは、負荷予測手段5Bによる予測熱負荷Q(ts)と各冷凍機Rの能力とに基づき、現在の運転冷凍機Rの組合せKについて冷凍機運転台数の減少を伴う組合せ変更(減段)が必要になると予測される予測閾時点(即ち、♯4でΣGmax′>Q(ts)となるts時点)を判定し、この予測閾時点tsを所定運転期間Xの開始時点とする。
【0155】
また、負荷予測手段5Bによる予測熱負荷Q(N)と各冷凍機Rの能力Gとに基づき、組合せ変更後(減段後)の運転冷凍機Rの組合せについて再び冷凍機運転台数の減少を伴う組合せ変更(再減段)が必要になると予測される予測再閾時点(即ち、♯5−6でΣGmax″>Q(N)となる(ts+Tx)時点)を判定し、この予測再閾時間(ts+Tx)を所定運転期間Xの終了時点とする。
【0156】
そして、冷凍機選定手段5Cは、このように熱負荷予測に基づき減段後についての所定運転期間Xを設定した上で、その所定運転期間Xにおける運転冷凍機Rの組合せK(即ち、減段後の組合せ)に関して、負荷予測手段5Bが予測する所定運転期間X中の予測熱負荷Qを賄い得る組合せで、かつ、対象熱源システムの消費動力Eを対象値として、その消費動力E(対象値)の所定運転期間Xにおける積算値ΣEが最小となる組合せを最適組合せKxとして選定(但し、本例では減段後の2次側流量に不足を生じない条件下で選定)する。
【0157】
なお、前記した増段用最適組合せの選定の場合と同様、冷凍機選定手段5Cは、予測熱負荷Qの経時変化などに代表される経時的な状況変化に対して上記の予測閾時点tsを判定するごとに(即ち、♯4でΣGmax′>Q(ts)が判定されるごとに)、その予測閾時点tsを開始時点とする新たな所定運転期間Xを設定し、その新たな所定運転期間Xごとに上記の減段後最適組合せKxを選定する。
【0158】
また、算定した対象値積算時間Txが上限積算時間Tmax以上(即ち、♯6でTx≧Tmax)のときには、現時点から設定時間(本例では上限積算時間Tmax)後までの期間を仮の所定運転期間X′として、その仮の所定運転期間X′について上記の減段後最適組合せKxを選定する。
【0159】
c7.増段用最適組合せの選定及び減段用最適組合せの選定の夫々で、所定運転期間Xにおける消費動力E(対象値)の積算値ΣEを冷凍機Rの各組合せKについて演算する(即ち、図5、図8のフローチャートにおける♯8の演算処理)にあたっては、前記最適制御データテーブルD(S)と同様に、熱負荷Q(=Σq)と外気湿球温度towと運転冷凍機Rの組合せ(冷凍機組合番号K)との3者を独立変数(検索キー)とし、かつ、これら3つの独立変数Q,tow,Kの夫々を細かく変更した場合の各想定ケースについて予め演算した対象熱源システムの消費動力Eを従属変数とするオブジェクト指向の消費動力演算データテーブルD(E)を作成しておく。
【0160】
そして、負荷予測手段5Bが予測する熱負荷Q及び同じく負荷予測手段5Bが予測する外気湿球温度towを消費動力データテーブルD(E)に照合する形態で、各時点についての予測の熱負荷Q及び予測の外気湿球温度towに対応する冷凍機組合番号Kごとの消費動力Eを読み出し、このように読み出した各時点の冷凍機組合番号Kごとの消費動力Eを同じく冷凍機組合番号Kごとに積算することで、所定運転期間Xにおける消費動力Eの積算値ΣEを冷凍機Rの各組合せKについて求める。
【0161】
なお、消費動力E(対象値)の積算値ΣEを冷凍機Rの各組合せKについて演算するとともに、その演算値ΣEが最小となる運転冷凍機Rの組合せを抽出するのに、その具体的な演算方式や抽出方式は上記の如き消費動力演算データテーブルD(E)を用いた方式に限られるものではなく、種々の方式を採用できる。
【0162】
c8.上記の増段についての最適組合せの選定では、現在運転中の冷凍機Rの全てを最適組合せKx中の運転冷凍機Rとして残存させ、また、上記の減段についての最適組合せの選定では、最適組合せKx中の全ての運転冷凍機Rを現在運転中の冷凍機Rの中から選
定するが、このような運転機継続式の最適組合せ選定に代え、あるいは、それと併行して、増段及び減段の夫々につき、最適組合せKxに含む冷凍機Rの個々が現在運転中である否かに係わりなく所定運転期間Xにおける消費動力E(対象値)の積算値ΣEが最小となる運転冷凍機Rの組合せを最適組合せKxとして選定する言わば無作為式の最適組合せ選定を行うようにしてもよい。
【0163】
また、上記の如き運転機継続式の最適組合せ選定と無作為式の最適組合せ選定とのいずれを採用するかの切り換えや、各冷凍機Rに予め設定した増段順位及び減段順位に従った順序で各回の増段又は減段を行う優先順位式の組合せ変更と上記の如き最適組合せ選定による組合せ変更とのいずれを採用するかの切り換えを可能にするなどしてもよい。
【0164】
予測閾時点tsを判定するための設定時間Ts、対象値積算時間Txを算定するための設定時間間隔ΔT、対象値積算時間Tx(所定運転期間Xの期間長)の上限値とする上限積算時間Tmaxの夫々は、増段についての最適組合せの選定と減段についての最適組合せの選定とで必ずしも同じ時間にする必要はなく、増段についての最適組合せの選定と減段についての最適組合せの選定とで異なる時間にしてもよい。
【0165】
〔D〕システム管理装置5は最適制御量設定手段5Dとして次のd1〜d3を実行する。
d1.センサSの計測値に基づいて演算される現在の熱負荷Q及び現在の外気湿球温度tow並びに現在の運転冷凍機Rの組合せ(冷凍機組合番号K)の3者を検索キーとして最適制御データテーブルD(S)に照合することで、それら現在の熱負荷Qと外気湿球温度towと冷凍機組合せ番号Kとに対応するデータ値d1〜dnのうち各機器の流量、圧力、温度などの最適制御量を逐次読み出し、これら読み出した最適制御量をシステム制御装置6に出力する。
【0166】
なお、ここで言う現在の運転冷凍機Rの組合せ(冷凍機組合せ番号K)とは、後述の如く、システム制御装置6が増減段の要否判定に基づき変更する最新の最適組合せKx(冷凍機選定手段5Cによる選定最適組合せ)である。
【0167】
d2.また、最適制御データテーブルD(S)として前記した熱媒温度別の最適制御データテーブルDc(S)を作成してある場合には、現在の熱負荷Q及び現在の外気湿球温度tow並びに現在の運転冷凍機Rの組合せ(冷凍機組合番号K)の3者を熱媒温度別の最適制御データテーブルDc(S)の夫々に照合して、冷凍機Rの出口熱媒温度の設定値ごとにデータ値d1〜dnである各機器の流量、圧力、温度などの最適制御量及び各機器の消費動力eを読み出し、そして、熱媒温度ごとに各機器の消費動力eの和を演算して、この消費動力eの和Eが最小となる熱媒温度での各機器の最適制御量をシステム制御装置6に出力する。
【0168】
d3.各機器の現在の制御量の夫々(特に流量)を上記の最適制御量に変更するのに適した制御量変更速度を各機器の特性情報などに基づき各制御量ごとに求めて、その求めた制御量変更速度を指定変更速度としてシステム制御装置6に出力する。
【0169】
〔E〕システム管理装置5は性能評価手段5Eとして次のe1〜e9を実行する。(図11参照)。
e1.システム管理者等により設定された対象熱源システムの構築後における初期の設定運転期間L(例えば、初期の1年間や2年間)については、対象熱源システムの実際運転(ここでは、冷凍機Rによる冷却熱媒Cを負荷機器Uに供給する通常運転についての実際運転とする)における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象熱源システムを、記憶部5cに格納された構成機器夫々の特性情報に基づき仮想運転(即ち、運転シミュレーション)したときの各時点における所定種の性能評価値(言わばカタログ値的な性能評価値)を演算する。
【0170】
なお、本例では、この所定種の性能評価値として対象熱源システム全体としての消費動力E(消費電力)を採用しているものとする。
【0171】
この仮想運転における各時点の性能評価値(消費動力Es)を演算するのに、本例ではデータテーブル作成手段5Aが対象熱源システムの構築後において最初に作成した最適制御データテーブルD(S)(図4参照)を使用し、対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件(本例では各時点の熱負荷Q,外気湿球温度tow)並びに現在の運転冷凍機Rの組合せ(番号)Kを最初の最適制御データテーブルD(S)に照合することで、それら各時点の運転条件Q,tow及び運転冷凍機組合せKに対応するデータ値d1〜dnのうちの各機器の消費動力eを最初の最適制御データテーブルD(S)から読み出し、これら読み出した各機器の消費動力eの和として同一運転条件下での上記仮想運転における各時点の消費動力Es(カタログ値的な性能評価値)を演算する。
【0172】
また、この仮想運転における各時点の消費動力Es(カタログ値的な性能評価値)とともに、対象熱源システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値(即ち、消費動力E)を電力メータ等により計測(ないしは収集情報に基づき演算)する。
【0173】
そして、これら対象熱源システムの仮想運転における各時点の演算消費動力Esと、実際運転における各時点の計測消費動力Eとに基づき“同一システム仮想運転基準”の性能評価用データとして、上記仮想運転での演算消費動力Esの経時的変化を示すグラフ(一点鎖線)と、実際運転での計測消費動力Eの経時的変化を示すグラフ(実線)とを共通時間軸上で対比可能な状態に表示する図12に示す如きトレンドグラフデータTGaを電子ファイル形式で作成し、このトレンドグラフデータTGaを画像化してモニタ表示ないしプリントアウトする。
【0174】
即ち、初期の設定運転期間Lにおいては、システム管理者はこのトレンドグラフデータTGaの画像表示により、対象熱源システムの上記仮想運転における各時点の演算消費動力Es(即ち、カタログ値的な性能評価値)と、実際運転における各時点の計測消費動力E(現実の性能評価値)とに基づいて、対象熱源システムの性能を評価する“同一システム仮想運転基準”の性能評価を行い、設計上の性能(換言すれば、カタログ値的な性能)が対象熱源システムの実際運転において得られているか否かや、対象熱源システムの現状における性能が設計上の性能に比べてどの程度かつどのような低下動向で低下しているかなどのことを分析・判断する。
【0175】
e2.初期の設定運転期間Lにおいては、上記同一システム仮想運転基準の性能評価用データTGaの作成とともに、対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件Q,tow(熱負荷、外気湿球温度)及び運転冷凍機組合せKと、各時点における計測消費動力E(性能評価値)と、収集したシステム各部の状態値iとを関連付けて記録した各時点の運転データdd(Q,tow,K,E,i)を記憶部5cに蓄積する。
【0176】
e3.一方、上記設定運転期間Lの経過後については、記憶部5cに蓄積した運転データddの中から記録した運転条件Q,tow及び運転冷凍機組合せKが対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件Q,tow及び運転冷凍機組合せKと合致する各時点の対応運転データddを検索し、それら各時点の対応運転データddに記録されている消費動力Em(つまり、初期の設定運転期間Lにおける対象熱源システムの実際運転で得られた初期実績の性能評価値としての消費動力)を読み出す。
【0177】
また、これら対応運転データddの検索及び記録消費動力Em(初期実績の性能評価値)の読み出しとともに、初期の設定運転期間Lと同様、対象熱源システムの実際運転における各時点の消費動力E(同種の性能評価値)を計測(又は、収集情報に基づき演算)する。
【0178】
そして、設定運転期間Lの経過後については、これら検索した各時点の対応運転データddから読み出した記録消費動力Emと、対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力Eとに基づき、“同一システム初期実績基準”の性能評価用データ)として対応運転データddからの読み出し記録消費動力Emの経時的変化を示すグラフ(一点鎖線)と、実際運転での計測消費動力Eの経時的変化を示すグラフ(実線)とを共通時間軸上で対比可能な状態に表示する図13に示す如きトレンドグラフデータTGbを電子ファイル形式で作成し、このトレンドグラフデータTGbを画像化してモニタ表示ないしプリントアウトする。
【0179】
即ち、設定運転期間Lの経過後においては、システム管理者はこのトレンドグラフデータTGbの画像表示により、各時点の対応運転データddから読み出した記録消費動力Em(即ち、初期実績の性能評価値)と、対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力E(現実の性能評価値)とに基づいて対象熱源システムの性能を評価する“同一システム初期実績基準”の性能評価を行い、対象熱源システムの実際運転において初期実績の性能が維持されているか否かや、経年劣化等により対象熱源システムの性能が初期実績の性能に比べてどの程度かつどのような低下動向で低下しているかなどのことを分析・判断する。
【0180】
e4.設定運転期間Lの経過後において上記トレンドグラフデータTGb(性能評価用データ)を作成するのに、蓄積運転データddの中に記録運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKが対象熱源システムの実際運転における運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKと合致する対応運転データddが存在しないとき、暫定処理として、そのデータ不存部分につき初期の設定運転期間Lと同様、対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象熱源システムを各機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における消費動力Es(カタログ値的な消費動力)を演算する。
【0181】
この仮想運転における消費動力Esの演算は、前述と同様、対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件Q,tow及び運転冷凍機組合せKを最初の最適制御データテーブルD(S)に照合して、対応データ値における各機器の消費動力eを読み出すことで演算する。
【0182】
そして、同一システム初期実績基準のトレンドグラフデータTGbにおける上記データ不存部分の箇所を、そのデータ不存部分についての実際運転における演算消費動力E(現実の性能評価値)と上記仮想運転における演算消費動力Es(カタログ値的な性能評価値)とに基づき補完し、これにより、設定運転期間Lの経過後における同一システム基準の性能評価を中断なく連続的に行えるようにする。
【0183】
e5.初期の設定運転期間Lについては、対象熱源システムの前記仮想運転における各時点の演算消費動力Es(カタログ値的な性能評価値)と、実際運転における各時点の計測消費動力E(現実の性能評価値)との差が設定閾差ΔEより大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき(例えば、これら消費動力Es,Eの差が設定閾差ΔEより大きくなった状態の累積発生回数が設定上限回数に至ったときなど)、モニタ表示などにより“異常発生”を報知する。
【0184】
また同様に、設定運転期間Lの経過後については、検索した各時点の対応運転データddから読み出す記録消費動力Em(初期実績の性能評価値)と、対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力E(現実の性能評価値)との差が設定閾差ΔEより大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、モニタ表示などにより“異常発生”を報知する。
【0185】
なお、設定運転期間Lの経過後において蓄積運転データddの中に記録運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKが対象熱源システムの実際運転における運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKと合致する対応運転データddが存在しないときには、暫定処理として、そのデータ不存部分で、対象熱源システムの前記仮想運転における各時点の演算消費動力Es(カタログ値的な性能評価値)と、実際運転における各時点の計測消費動力E(現実の性能評価値)との差が設定閾差ΔEより大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したときに異常発生を報知する。
【0186】
e6.初期の設定運転期間L及びその設定運転期間Lの経過後を通じてセンサ計測情報などに基づき対象熱源システムの実際運転でのシステム各部の状態値iを各時点について収集する。
【0187】
そして、初期の設定運転期間Lについては、対象熱源システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値isを各機器の特性情報や最初の最適制御データテーブルD(S)などに基づき各時点について演算し、対象熱源システムのシステム各部のうち、実際運転における各時点の収集データ値i(現実の状態値)と仮想運転における各時点の演算状態値is(カタログ値的な状態値)の差が所定閾差Δiより大きい部分を“異常部”としてモニタ表示などにより報知する。
【0188】
また、設定運転期間Lの経過後については、検索した各時点の対応運転データddに記録されたシステム各部の状態値imを読み出し、対象熱源システムのシステム各部のうち、実際運転における各時点の収集状態値i(現実の状態値)と各時点の対応運転データddから読み出す記録状態値im(初期実績の状態値)との差が設定閾差Δiより大きい部分を“異常部”としてモニタ表示などにより報知する。
【0189】
即ち、対象熱源システムにおいて何らかの異常が発生したとき、システム管理者は、これら異常部の報知により対象熱源システムにおける異常部を的確かつ迅速に認知することができる。
【0190】
なお、設定運転期間Lの経過後において蓄積運転データddの中に記録運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKが対象熱源システムの実際運転における運転条件Q,Tow及び運転冷凍機組合せKと合致する対応運転データddが存在しないときには、そのデータ不存部分において、対象熱源システムのシステム各部のうち、実際運転における各時点の収集データ値iと仮想運転における各時点の演算状態値isの差が所定閾差Δiより大きい部分を異常部として報知する。
【0191】
e7.一方、“異種システム仮想運転基準”の性能評価用データを作成する併行データ作成処理の指令がシステム管理者により付与された場合、前述した同一システム仮想運転基準のトレンドグラフデータTGaの作成や同一システム初期実績基準のトレンドグラフデータTGbの作成に併行して、対象熱源システムとは構成機器や運転方式が異なる設定異種熱源システムとの比較により対象熱源システムの消費エネルギに関する性能を評価するための“異種システム仮想運転基準”の性能評価用データを作成する。
【0192】
具体的には、設定された異種熱源システムを対象熱源システムの実際運転における運転条件Q,tow(ここでは運転方式の相違から運転冷凍機組合せKは条件としない)と同じ運転条件の下でその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における所定種の性能評価値(言わば、異種熱源システムのカタログ値的な性能評価値)を演算する。
【0193】
なお、本例では、この異種熱源システムについても所定種の性能評価値として異種熱源システム全体としての消費動力Es′(消費電力)を採用しているものとする。
【0194】
この異種熱源システムの仮想運転における各時点の性能評価値(消費動力Es′)を演算するのに、本例ではデータテーブル作成手段5Aが異種熱源システムの構成機器特性情報に基づき作成した対比用制御データテーブルD′(S)を使用し、対象熱源システムの実際運転における各時点の運転条件Q,tow(熱負荷,外気湿球温度)を対比用データテーブルD′(S)に照合することで、それら各時点の運転条件Q,towに対応するデータ値のうちの各機器の消費動力eを対比用データテーブルD′(S)から読み出し、これら読み出した各機器の消費動力eの和として同一運転条件下での異種熱源システムの上記仮想運転における各時点の消費動力Es′(カタログ値的な性能評価値)を演算する。
【0195】
そして、この異種熱源システムの仮想運転における演算消費動力Es′の経時的変化を示すグラフ(破線)と、前述した対象熱源システムの実際運転における計測消費動力Eの経時的変化を示すグラフ(実線)とを共通時間軸上で対比可能な状態に表示する同図12や同図13に示す如きトレンドグラフデータTGa′,TGb′を異種システム仮想運転基準の性能評価用データとして電子ファイル形式で作成し、このトレンドグラフデータTGa′,TGb′を画像化してモニタ表示ないしプリントアウトする。
【0196】
即ち、システム管理者はこのトレンドグラフデータTGa′,TGb′の画像表示により、異種熱源システムの上記仮想運転における各時点の演算消費動力Es′(即ち、異種熱源システムのカタログ値的な各時点の性能評価値)と、対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力E(即ち、対象熱源システムの現実の性能評価値)との相対的な関係に基づき対象熱源システムの性能を評価する“異種熱源システム仮想運転基準”の性能評価を行なう。
【0197】
なお、これらのトレンドグラフデータTGa′,TGb′とは別に、異種熱源システムの仮想運転における演算消費動力Es′の経時的変化を示すグラフと、前述した対象熱源システムの仮想運転における演算消費動力Esの経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上で対比可能な状態に表示する同様のトレンドグラフデータを両システム仮想運転基準の性能評価用データとして電子ファイル形式で作成させ、これにより、システム管理者に異種システムを比較対象とする基本的な性能評価として、異種熱源システムの仮想運転における各時点の演算消費動力Es′(即ち、異種熱源システムのカタログ値的な各時点の性能評価値)と、対象熱源システムの仮想運転における各時点の演算消費動力Es(即ち、対象熱源システムのカタログ値的な各時点の性能評価値)との相対的な関係に基づき対象熱源システムの性能を評価する“両システム仮想運転基準”の性能評価を行なわせるようにしてもよい。
【0198】
e8.前述した異常発生の報知や異常部の報知と同様、システム管理者による事前の設定によっては、異種熱源システムの前記仮想運転における各時点の演算消費動力Es′(異種熱源システムのカタログ値的な性能評価値)と、対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力E(対象熱源システムの現実の性能評価値)との差が設定閾差ΔEより大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、又は、その差が対象熱源システムの優位性により本来はあるべき最小値的な所定閾差ΔEminより小さい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、モニタ表示などにより異常発生を報知する。
【0199】
また同じく、システム管理者による事前の設定によっては、異種熱源システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値is′を各機器の特性情報や対比用制御データテーブルD′(S)などに基づき各時点について演算し、対象熱源システムと異種熱源システムとの互いに対応するシステム各部のうち、対象熱源システムの実際運転における各時点の収集データ値i(対象熱源システムの現実の状態値)と異種熱源システムの前記仮想運転における各時点の演算状態値is′(異種熱源システムのカタログ値的な状態値)との差が所定閾差Δiより大きい部分をモニタ表示などにより異常部として報知する。
【0200】
e9.異種熱源システムの上記仮想運転と機能的に同じ運転を対象熱源システムの運転方式の変更により対象熱源システムにおいて実現することが可能であるか否かを、記憶部5cに格納された対象熱源システム及び異種熱源システム夫々のシステム構成情報に基づき判定する。
【0201】
そして、この方式変更運転が可能な場合には、異種熱源システム仮想運転基準のトレンドグラフデータTGa′,TGb′の作成において、異種熱源システムの前記仮想運転における各時点の演算消費動力Es′(異種熱源システムの各時点の性能評価値)の方が対象熱源システムの実際運転における各時点の計測消費動力E(各時点における現実の性能評価値)より良好な状態(ここでは消費動力が少ない状態)が所定の閾条件を超えて発生したとき、異種熱源システムの仮想運転と機能的に同じ運転を対象熱源システムにおいて実施するように対象熱源システムの運転方式を変更する、又は、その運転方式変更が有利であることをモニタ表示などにより報知する。
【0202】
従って、対象熱源システムを通常運転するのに対して、フリークーリング運転モードの対象熱源システムを異種熱源システムとして設定しておけば、運転条件の変化等により通常運転よりもフリークーリング運転の方が消費動力面で有利になったとき、通常運転からフリークーリング運転への運転方式を自動的に変更する、又は、フリークーング運転の方が消費動力面で有利であることをシステム管理者に報知することができる。
【0203】
なお、比較対象とする異種熱源システムは1種に限らず、複数種の設定を可能し、これら複数種の異種熱源システムについて同時に又は適宜切り換えにより選択的に異種システム仮想運転基準のトレンドグラフデータTGa′,TGb′の作成や上記運転方式変更の自動処理又は報知処理を行なうようにしてもよい。
【0204】
〔F〕一方、システム管理装置5が上記の如く冷凍機選定手段5Cとして増段及び減段の場合夫々の運転冷凍機Rの最適組合せKxを出力し、また、最適制御量設定手段5Dとして各機器の最適制御量を出力することに対して、システム制御装置6は次のf1〜f5を実行する。
【0205】
f1.センサSの計測値に基づいて演算される現在の熱負荷Qと現在運転中の冷凍機Rの合計能力ΣGとの比較や各機器の運転状態などに基づき、現在の運転冷凍機Rの組合せKについて冷凍機運転台数の増加又は減少を伴う運転冷凍機Rの組合せ変更(即ち、増段又は減段)が現時点で必要か否かを逐次判定する。
【0206】
そして、この判定において増段が必要であると判定したとき、そのときを増段についての前記予測閾時点tsに対する実際の閾時点tss(図7参照)として、運転冷凍機Rの組合せKをその時点tssにおいて冷凍機選定手段5Cにより選定されている最新の増段後最適組合せKxに変更し増段する。
【0207】
また、この判定において減段が必要であると判定したとき、そのときを減段についての前記予測閾時点tsに対する実際の閾時点tss(図10参照)として、運転冷凍機Rの組合せKをその時点tssにおいて冷凍機選定手段5Cにより選定されている最新の減段後最適組合せKxに変更し減段する。
【0208】
なお、この組合せ変更(即ち、選定最適組合せKxに従った冷凍機Rの台数制御)においては、冷凍機選定手段5Cから前記減段禁止指令が出力されているときは、その減段禁止指令が解除されるまで減段を行わず、また、前回の増段又は減段から設定禁止時間ΔTwが経過するまでの間も増段及び減段を行わない。
【0209】
そしてまた、監視装置5との間での通信が何らかの原因で不能になった場合などにも対応できるように、冷凍機選定手段5Cからの最適組合せKxの出力がない状態において増段又は減段が必要になったときには、各冷凍機Rに予め設定されている増段順位及び減段順位に従って各回の増段又は減段を行う。
【0210】
f2.各機器の制御量(代表的には冷却水ポンプPCの送出流量、1次ポンプPAの送出流量、並びに、熱媒温度別の最適制御データテーブルDc(S)を用いている場合には各ポンプの送出流量と冷凍機出口熱媒の設定値)を最適制御量設定手段5Dが出力する最適制御量に調整する。
【0211】
f3.最適制御量設定手段5Dが各制御量について出力する指定変更速度が現在の設備運転状態に対して適切か否かをチェックし、適切であった場合には、最適制御量設定手段5Dが出力する指定変更速度で各制御量を最適制御量に調整する。
【0212】
また、最適制御量設定手段5Dが各制御量について出力する指定変更速度が現在の設備運転状態に対して不適切であった場合には、最適制御量設定手段5Dが出力する指定変更速度に現在の設備運転状態に応じた補正を加え、この補正した変更速度で各制御量を最適制御量に調整する。
【0213】
f4.システム管理装置5との間での通信が何らかの原因で不能になった場合などにも対応できるように、最適制御量設定手段5Dからの最適制御量の新たな出力が設定時間にわたってない場合には、各機器の制御量を設定値(例えば、冷却水ポンプPCの定格流量や1次ポンプPAの定格流量)に固定した運転を実行する。
【0214】
f5.冷凍機選定手段5Cにおいて前記の如く最適組合せ選定による組合せ変更と優先順位式の組合せ変更とのいずれを採用するかの切り換えを可能にした場合で、優先順位式の組合せ変更の採用が選択されたときは、各冷凍機Rに予め設定されている増段順位及び減段順位に従って各回の増段又は減段を行う。
【0215】
なお、本例では熱源システムの消費動力Eを性能評価値として対象熱源システムの性能を評価するようにしたが、性能評価値としは消費動力の他、換算二酸化炭素排出量、運転コスト、効率、あるいは、それら各値のうちの2つ以上のものの夫々に重み係数を乗じた値の和など、性能評価の目的に応じて種々のものを採用することができる。
【0216】
同一システム仮想運転基準の性能評価及び同一システム初期実績基準の性能評価で用いる性能評価値と、異種システム仮想運転基準の性能評価で用いる性能評価値とは同種の性能評価値あるいは異種の性能評価値のいずれを採用してもよい。
【0217】
また、各性能評価値の演算や計測も上記例で示した方式に限らず種々の方式を採用することができる。
【0218】
上記実施形態では冷凍機Rを熱源機とする熱源システムを示したが、性能評価対象の熱源システムは冷温水発生機やボイラなどを熱源機とするものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本発明は空調設備で用いる熱源システムに限らず、種々の冷熱用ないし温熱用の熱源システム、あるいは、熱源システムから供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう種々の空調システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0220】
R 熱源機
C 熱媒
PA,PB 熱媒ポンプ
L 初期の設定運転期間
Q,tow 運転条件
E,Es,Em,Es′ 性能評価値
dd 運転データ
TGa 同一システム仮想運転基準の性能評価用データ,トレンドグラフデータ
5c 記憶手段
TGb 同一システム初期実績基準の性能評価用データ,トレンドグラフデータ
5E 性能評価手段
i,is,im,is′ 状態値
TGa′,TGb′ 異種システム仮想運転基準の性能評価用データ,トレンドグラフデータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機により冷却又は加熱した熱媒を熱媒ポンプにより需要先に供給する熱源システムの性能、又は、熱源システムにより供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう空調システムの性能を評価する熱源システム又は空調システムの性能評価方法であって、
対象システムの構築後における初期の設定運転期間においては、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときに得られる各時点の所定種の性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム仮想運転基準の性能評価を行なうとともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と性能評価値とを関連付けて記録した各時点の運転データを蓄積し、
前記設定運転期間の経過後においては、
前記蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における各時点の運転条件と合致する各時点の対応運転データを検索して、これら検索した各時点の対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム初期実績基準の性能評価を行なう熱源システム又は空調システムの性能評価方法。
【請求項2】
前記設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価又は前記設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価とともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムとは構成機器又は運転方式が異なる異種システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときに得られる各時点の所定種の性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する異種システム仮想運転基準の性能評価を行なう請求項1に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価方法。
【請求項3】
熱媒機により冷却又は加熱した熱媒を熱媒ポンプにより需要先に供給する熱源システムの性能、又は、熱源システムにより供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう空調システムの性能を評価する熱源システム又は空調システムの性能評価装置であって、
対象システムの構築後における初期の設定運転期間においては、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら対象システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき同一システム仮想運転基準の性能評価用データを作成するとともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と性能評価値とを関連付けて記録した各時点の運転データを記憶手段に蓄積し、
前記設定運転期間の経過後においては、
前記記憶手段における蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における各時点の運転条件と合致する各時点の対応運転データを検索し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら検索した各時点の対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき同一システム初期実績基準の性能評価用データを作成する性能評価手段を設けてある熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項4】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間の経過後において、前記蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しないときには、その不存部分について、
対象システムの実際運転における運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの前記所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら対象システムの仮想運転における演算性能評価値と、対象システムの実際運転における計測又は演算性能評価値とに基づき前記同一システム初期実績基準の性能評価用データを補完する構成にしてある請求項3に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項5】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間において、対象システムの前記仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、
又は、前記設定運転期間の経過後において、各時点の前記対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、異常発生を報知する構成にしてある請求項3又は4に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項6】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間において、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値を演算して、
対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値と仮想運転での演算状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある請求項3〜5のいずれかに1項に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項7】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間における前記運転データの蓄積として、対象システムの実際運転における各時点の運転条件及び性能評価値と対象システムの実際運転における各時点のシステム各部の状態値とを関連付けて記録した運転データを前記記憶手段に蓄積し、
前記設定運転期間の経過後において、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、前記記憶手段における蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データを検索して、
対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値と検索した対応運転データに記録された状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある請求項3〜6のいずれか1項に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項8】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間の経過後において前記蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しないときには、その不存部分について、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値を演算して、
対象システムのシステム各部のうち、これら対象システムの実際運転での収集状態値と仮想運転での演算状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある請求項7に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項9】
前記性能評価手段は、前記同一システム仮想運転基準の性能評価用データの作成、又は、前記同一システム初期実績基準の性能評価用データの作成に併行して、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムとは構成機器又は運転方式が異なる異種システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら異種システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき異種システム仮想運転基準の性能評価用データを作成する併行データ作成処理が可能な構成にしてある請求項3〜8のいずれか1項に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項10】
前記性能評価手段は、前記異種システム仮想運転基準の性能評価用データを構成機器又は運転方式が互いに異なる複数種の異種システムについて併行に作成可能な構成にしてある請求項9に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項11】
前記性能評価手段は、前記異種システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値の方が対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値より良好な状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、
対象システムの運転方式を変更して前記異種システムの仮想運転と機能的に同じ運転を対象システムにおいて実施する、又は、その運転方式変更が有利であることを報知する構成にしてある請求項9又は10に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項12】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間では前記同一システム仮想運転基準の性能評価用データとして、対象システムの前記仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフと実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上で対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成し、
かつ、前記設定運転期間の経過後では前記同一システム初期実績基準の性能評価用データとして、前記対応運転データに記録された性能評価値の経時的変化を示すグラフと対象システムの実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上で対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成する、
又は、前記異種システム仮想運転基準の性能評価用データとして、異種システムの前記仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフと対象システムの実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上に対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成する構成にしてある請求項3〜11のいずれか1項に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項1】
熱源機により冷却又は加熱した熱媒を熱媒ポンプにより需要先に供給する熱源システムの性能、又は、熱源システムにより供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう空調システムの性能を評価する熱源システム又は空調システムの性能評価方法であって、
対象システムの構築後における初期の設定運転期間においては、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときに得られる各時点の所定種の性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム仮想運転基準の性能評価を行なうとともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と性能評価値とを関連付けて記録した各時点の運転データを蓄積し、
前記設定運転期間の経過後においては、
前記蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における各時点の運転条件と合致する各時点の対応運転データを検索して、これら検索した各時点の対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する同一システム初期実績基準の性能評価を行なう熱源システム又は空調システムの性能評価方法。
【請求項2】
前記設定運転期間における同一システム仮想運転基準の性能評価又は前記設定運転期間の経過後における同一システム初期実績基準の性能評価とともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムとは構成機器又は運転方式が異なる異種システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときに得られる各時点の所定種の性能評価値と、対象システムの実際運転で得られる各時点の同種の性能評価値とに基づき対象システムの性能を評価する異種システム仮想運転基準の性能評価を行なう請求項1に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価方法。
【請求項3】
熱媒機により冷却又は加熱した熱媒を熱媒ポンプにより需要先に供給する熱源システムの性能、又は、熱源システムにより供給される冷却熱媒又は加熱熱媒を用いて空気調和を行なう空調システムの性能を評価する熱源システム又は空調システムの性能評価装置であって、
対象システムの構築後における初期の設定運転期間においては、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら対象システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき同一システム仮想運転基準の性能評価用データを作成するとともに、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と性能評価値とを関連付けて記録した各時点の運転データを記憶手段に蓄積し、
前記設定運転期間の経過後においては、
前記記憶手段における蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における各時点の運転条件と合致する各時点の対応運転データを検索し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら検索した各時点の対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき同一システム初期実績基準の性能評価用データを作成する性能評価手段を設けてある熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項4】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間の経過後において、前記蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しないときには、その不存部分について、
対象システムの実際運転における運転条件と同じ運転条件の下で対象システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの前記所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら対象システムの仮想運転における演算性能評価値と、対象システムの実際運転における計測又は演算性能評価値とに基づき前記同一システム初期実績基準の性能評価用データを補完する構成にしてある請求項3に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項5】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間において、対象システムの前記仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、
又は、前記設定運転期間の経過後において、各時点の前記対応運転データに記録された性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値との差が設定閾差より大きい状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、異常発生を報知する構成にしてある請求項3又は4に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項6】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間において、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値を演算して、
対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値と仮想運転での演算状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある請求項3〜5のいずれかに1項に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項7】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間における前記運転データの蓄積として、対象システムの実際運転における各時点の運転条件及び性能評価値と対象システムの実際運転における各時点のシステム各部の状態値とを関連付けて記録した運転データを前記記憶手段に蓄積し、
前記設定運転期間の経過後において、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、前記記憶手段における蓄積運転データの中から記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データを検索して、
対象システムのシステム各部のうち、これら実際運転での収集状態値と検索した対応運転データに記録された状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある請求項3〜6のいずれか1項に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項8】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間の経過後において前記蓄積運転データの中に記録運転条件が対象システムの実際運転における運転条件と合致する対応運転データが存在しないときには、その不存部分について、
対象システムの実際運転でのシステム各部の状態値を収集するとともに、対象システムの前記仮想運転でのシステム各部の状態値を演算して、
対象システムのシステム各部のうち、これら対象システムの実際運転での収集状態値と仮想運転での演算状態値との差が所定閾差より大きい部分を異常部として報知する構成にしてある請求項7に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項9】
前記性能評価手段は、前記同一システム仮想運転基準の性能評価用データの作成、又は、前記同一システム初期実績基準の性能評価用データの作成に併行して、
対象システムの実際運転における各時点の運転条件と同じ運転条件の下で対象システムとは構成機器又は運転方式が異なる異種システムをその構成機器の特性情報に基づき仮想運転したときの各時点における所定種の性能評価値を演算し、かつ、対象システムの実際運転における各時点の同種の性能評価値を計測又は演算して、
これら異種システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値と、対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値とに基づき異種システム仮想運転基準の性能評価用データを作成する併行データ作成処理が可能な構成にしてある請求項3〜8のいずれか1項に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項10】
前記性能評価手段は、前記異種システム仮想運転基準の性能評価用データを構成機器又は運転方式が互いに異なる複数種の異種システムについて併行に作成可能な構成にしてある請求項9に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項11】
前記性能評価手段は、前記異種システムの仮想運転における各時点の演算性能評価値の方が対象システムの実際運転における各時点の計測又は演算性能評価値より良好な状態が所定の閾条件を超えて発生したとき、
対象システムの運転方式を変更して前記異種システムの仮想運転と機能的に同じ運転を対象システムにおいて実施する、又は、その運転方式変更が有利であることを報知する構成にしてある請求項9又は10に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【請求項12】
前記性能評価手段は、前記設定運転期間では前記同一システム仮想運転基準の性能評価用データとして、対象システムの前記仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフと実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上で対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成し、
かつ、前記設定運転期間の経過後では前記同一システム初期実績基準の性能評価用データとして、前記対応運転データに記録された性能評価値の経時的変化を示すグラフと対象システムの実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上で対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成する、
又は、前記異種システム仮想運転基準の性能評価用データとして、異種システムの前記仮想運転での演算性能評価値の経時的変化を示すグラフと対象システムの実際運転での計測又は演算性能評価値の経時的変化を示すグラフとを共通時間軸上に対比可能な状態に表示するトレンドグラフデータを作成する構成にしてある請求項3〜11のいずれか1項に記載した熱源システム又は空調システムの性能評価装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−12839(P2011−12839A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154956(P2009−154956)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】
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