説明

熱源システム

【課題】省エネルギ化や運転コストの低減に一層優れた熱源システムを提供する。
【解決手段】1次・2次ポンプ併用運転では、ポンプバイパス弁5vの開度を調整してポンプバイパス路5を通じた2次側往ヘッダH2から1次側往ヘッダH1への熱媒Cの還流量を調整することで、負荷機器Uに対する熱媒供給圧力pmを設定供給圧力に調整し、1次ポンプ単用運転では、ポンプバイパス弁5vを全開にして1次ポンプP1による供給熱媒Cを1次側往ヘッダH1からポンプバイパス路5を通じて2次側ヘッダH2に送る構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調設備などに用いる熱源システムに関する。
【0002】
詳しくは(図1参照)、2次側往ヘッダH2と還ヘッダRHとを接続する2次側流路2に負荷機器Uを介装し、前記還ヘッダRHと1次側往ヘッダH1とを接続する1次側流路1に、前記1次側往ヘッダH1に向けて熱媒Cを送る1次ポンプP1と熱媒Cを冷却又は加熱する熱源機3とを直列状態で介装し、前記1次側往ヘッダH1と前記2次側往ヘッダH2とを接続する中継路4に、前記2次側往ヘッダH2に向けて熱媒Cを送る2次ポンプP2を介装するシステム構成とする。
【0003】
そして、この構成において、前記1次ポンプP1及び前記2次ポンプP2の運転により前記熱源機3と前記負荷機器Uとの間で熱媒Cを循環させる1次・2次ポンプ併用運転と、前記2次ポンプP2を停止して前記1次ポンプP1の運転により前記熱源機3と前記負荷機器Uとの間で熱媒Cを循環させる1次ポンプ単用運転とを選択的に実施する構成にした熱源システムに関する。
【背景技術】
【0004】
この種の熱源システムは、1次・2次ポンプ併用運転と1次ポンプ単用運転とを選択的に実施することで、常に1次・2次ポンプ併用運転を実施する熱源システムに比べ、2次ポンプの運転に必要な動力を低減して、省エネルギ化や運転コストの低減を可能にしたものであるが、従来、この種の熱源システムとして特許文献1に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−241735(特に図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に示される従来システムでは、2次ポンプを停止して1次ポンプの運転により熱源機と負荷機器との間で熱媒を循環させる1次ポンプ単用運転において、1次ポンプにより1次側往ヘッダに供給する熱媒(即ち、熱源機により冷却又は加熱された熱媒)を停止状態の2次ポンプを通じて負荷機器に送るようにしている。
【0007】
この為、1次ポンプ単用運転において停止状態の2次ポンプが大きな熱媒通過抵抗(換言すれば、大きな圧力損失要因)となり、このことで、1次ポンプの運転に要する動力が嵩んで省エネルギ化や運転コストの低減が制限される問題があった。
【0008】
また、停止状態の2次ポンプが大きな熱媒通過抵抗になることで、1次ポンプ単用運転において負荷機器への熱媒供給が不安定になり、このことで、負荷機器の運転が不安定になる虞もあった。
【0009】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な改良により上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1特徴構成は熱源システムに係り、その特徴は、
2次側往ヘッダと還ヘッダとを接続する2次側流路に負荷機器を介装し、
前記還ヘッダと1次側往ヘッダとを接続する1次側流路に、前記1次側往ヘッダに向けて熱媒を送る1次ポンプと熱媒を冷却又は加熱する熱源機とを直列状態で介装し、
前記1次側往ヘッダと前記2次側往ヘッダとを接続する中継路に、前記2次往ヘッダに向けて熱媒を送る2次ポンプを介装し、
切り換え指令に応じて又は前記負荷機器の負荷熱量又は前記負荷機器における熱媒流量に応じて、前記1次ポンプ及び前記2次ポンプの運転により前記熱源機と前記負荷機器との間で熱媒を循環させる1次・2次ポンプ併用運転と、前記2次ポンプを停止して前記1次ポンプの運転により前記熱源機と前記負荷機器との間で熱媒を循環させる1次ポンプ単用運転とを選択的に実施する制御手段を設けた熱源システムであって、
前記1次側往ヘッダと前記2次往ヘッダとを接続するポンプバイパス路を設けるとともに、このポンプバイパス路にポンプバイパス弁を介装し、
前記制御手段は、前記1次・2次ポンプ併用運転では、前記ポンプバイパス弁の開度を調整して前記ポンプバイパス路を通じた前記2次側往ヘッダから前記1次側往ヘッダへの熱媒の還流量を調整することで、前記負荷機器に対する熱媒供給圧力を設定供給圧力に調整し、
前記1次ポンプ単用運転では、前記ポンプバイパス弁を全開にして前記1次ポンプによる供給熱媒を前記1次側往ヘッダから前記ポンプバイパス路を通じて前記2次側ヘッダに送る構成にしてある点にある。
【0011】
つまり、この構成によれば(図1参照)、1次・2次ポンプ併用運転では、熱源機3と負荷機器Uと間で熱媒Cを循環させるのに、熱源機3により冷却又は加熱した熱媒Cを1次ポンプP1により1次側往ヘッダH1に供給し、次いで、この熱媒Cを2次ポンプP2により2次側往ヘッダH2を通じて負荷機器Uに送り、これに伴い、負荷機器Uから送出される熱媒C(即ち、保有冷熱又は保有温熱を負荷機器Uで消費した熱媒C)を還ヘッダRHを通じて熱源機#に戻す循環形態を採る。
【0012】
そして、この1次・2次ポンプ併用運転では、1次側往ヘッダH1と2次側往ヘッダH2とを接続するポンプバイパス路5に介装したポンプバイパス弁5vの開度を調整してポンプバイパス路5を通じた2次側往ヘッダH2から1次側往ヘッダH1への熱媒C(図中、実線の矢印で示す)の還流量を調整することで、負荷機器Uに対する熱媒供給圧力pmを設定供給圧力に調整する。即ち、この熱媒供給圧力pmの調整により、負荷機器Uに対して熱媒Cを過不足なく良好な状態で安定的に供給することができる。
【0013】
一方、1次ポンプ単用運転では、熱源機3と負荷機器Uと間で熱媒Cを循環させるのに、ポンプバイパス弁5vを全開にすることで、熱源機3により冷却又は加熱した熱媒Cを1次ポンプP1により1次側往ヘッダH1に供給し、これに続いて、この熱媒Cを同じく1次ポンプP1の送給圧力により、1次側往ヘッダH1からポンプバイパス路5を通じて2次側往ヘッダH2に送る(図中破線の矢印で示す)とともに、2次側往ヘッダH2から負荷機器Uに送り、これに伴い、負荷機器Uから送出される熱媒Cを還ヘッダRHを通じて熱源機3に戻す循環形態を採る。
【0014】
即ち、この1次ポンプ単用運転では、ポンプバイパス弁5vを全開にすることで、1次・2次ポンプ併用運転において2次側往ヘッダH2から1次側往ヘッダH1への熱媒Cの還流に用いたポンプバイパス路5を利用して、1次ポンプP1により供給される熱媒Cを1次側往ヘッダH1からポンプバイパス路5を通じて停止状態の2次ポンプにP2対して迂回させた状態で2次側往ヘッダH2に送る。
【0015】
従って、1次ポンプ単用運転において1次側往ヘッダH1から停止状態の2次ポンプP2を通じて2次側往ヘッダH2に熱媒Cを送る先述の従来システムに比べ、停止状態の2次ポンプP2を迂回する分、1次ポンプ単用運転時における熱媒通過抵抗を小さくことができ、これにより、1次ポンプP1の運転に要する動力を効果的に低減して、省エネルギ化や運転コストの低減を一層効果的に達成することができ、また、1次ポンプ単用運転時における負荷機器Uへの熱媒供給も一層安定化することができる。
【0016】
なお、1次ポンプ単用運転では、1次ポンプの運転のみにより熱源機と負荷機器との間での熱媒循環を行なうから、この1次ポンプ単用運転での負荷機器に対する熱媒供給圧力の調整は後述の如く1次ポンプP1の回転数調整などにより行なうようにすればよい。
【0017】
また、負荷機器に対する熱媒供給圧力としては、2次側往ヘッダからの配管長が最も長い末端負荷機器に対する熱媒供給圧力(所謂末端圧力)を採用するのが好ましいが、これに限られるものではなく、2次側往ヘッダと負荷機器とを接続する2次側流路の往路部分における途中の熱媒圧力や2次側往ヘッダにおける熱媒圧力などであってもよい。
【0018】
さらに、設定供給圧力は負荷機器に対して熱媒を過不足なく良好に供給し得る圧力をポンプ性能や配管抵抗などに基づき算出して設定すればよく、また、末端負荷機器の入出口熱媒圧力差の算出値などに基づいて設定供給圧力を設定するなどしてもよい。
【0019】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な構成であり、その特徴は、
前記1次側往ヘッダと前記還ヘッダとを接続するヘッダ間バイパス路を設けるとともに、このヘッダ間バイパス路にヘッダ間バイパス弁を介装し、
前記制御手段は、前記1次・2次ポンプ併用運転から前記1次ポンプ単用運転への移行時には、前記ヘッダ間バイパス弁の開度を調整することで、前記負荷機器に対する熱媒供給圧力を設定供給圧力に調整する構成にしてある点にある。
【0020】
つまり(図1参照)、1次側往ヘッダH1と還ヘッダRHとを接続するヘッダ間バイパス路6は、一般に、1次・2次ポンプ併用運転において1次側流路1の熱媒流量と2次側流路2の熱媒流量とに差が生じることに対して、その流量差をヘッダ間バイパス路6を通じた短絡的な熱媒循環により吸収するために設けられるが、このようなヘッダ間バイパス路6を設ける場合、ヘッダ間バイパス路6に対する自由な熱媒通過が可能なままで1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行過程に入ると、1次側往ヘッダH1に供給される熱媒Cの多くが2次ポンプP2の停止操作のため1次ポンプP1の送給圧力により1次側往ヘッダH1からヘッダ間バイパス路6に流れ込む状態になり、このことで、負荷機器Uに対して熱媒Cが適切に供給されない事態を招く。
【0021】
また、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行時には、2次ポンプの停止操作のため、2次ポンプP2の回転数調整やポンプバイパス弁5vの開度調整により負荷機器Uに対する熱媒供給圧力pmを調整することもできない。
【0022】
これらことに対し、上記構成では、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行時に、ヘッダ間バイパス弁6vを利用して、このヘッダ間バイパス弁6vの開度を調整することにより、ヘッダ間バイパス路6に熱媒通過抵抗を付与する形態で、負荷機器Uに対する熱媒供給圧力pmを設定供給圧力に調整する。
【0023】
即ち、このことにより、1次側往ヘッダH1に供給される熱媒Cの多くが1次側往ヘッダH1からヘッダ間バイパス路6に流れ込むのを防止するとともに、負荷機器Uに対する安定的な熱媒供給を保った状態で、1次ポンプ単用運転へ移行することができる。
【0024】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成に実施に好適な構成であり、その特徴は、
前記制御手段は、前記1次・2次ポンプ併用運転から前記1次ポンプ単用運転への移行時に、前記1次ポンプの回転数を漸増させるのに伴い前記2次ポンプの回転数を漸減させて前記2次ポンプを停止に至らせる構成にしてある点にある。
【0025】
つまり、この構成によれば(図1参照)、1次・2次ポンプ併用運転において所要の回転数で運転している2次ポンプP2を1次ポンプ単用運転への移行に伴い急激に停止させたり、また、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行に伴い1次ポンプP1の回転数を2次ポンプP2の停止を賄う分だけ急激に増大させたりするのに比べ、負荷機器Uに対する安定的な熱媒供給を保った状態で、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転へ移行することができる。
【0026】
また、回転数の急激な変更に原因する1次ポンプP1や2次ポンプP2の劣化や損傷も効果的に防止することができる。
【0027】
本発明の第4特徴構成は、第2又は3特徴構成の実施に好適な構成であり、その特徴は、
前記制御手段は、前記1次ポンプ単用運転では、前記ヘッダ間バイパス弁の開度を制限した状態又は前記ヘッダ間バイパス弁を閉じた状態において前記1次ポンプの回転数を調整することで、前記負荷機器に対する熱媒供給圧力を設定供給圧力に調整する構成にしてある点にある。
【0028】
つまり(図1参照)、ヘッダ間バイパス路6に対する自由な熱媒通過が可能なままで1次ポンプ単用運転を実施した場合も、前述と同様、1次側往ヘッダH1に供給される熱媒Cの多くが2次ポンプP2の停止のため1次ポンプP1の送給圧力により1次側往ヘッダH1からヘッダ間バイパス路6に流れ込む状態になる。
【0029】
これに対し、上記構成では、1次ポンプ単用運転においてヘッダ間バイパス弁6vの開度を制限する又はヘッダ間バイパス弁6vを閉じるようにし、これにより、1次側往ヘッダH1に供給される熱媒Cの多くが1次側往ヘッダH1からヘッダ間バイパス路6に流れ込むのを防止する。
【0030】
そして、このようにヘッダ間バイパス弁6vの開度を制限した状態又はヘッダ間バイパス弁6vを閉じた状態で、1次ポンプP1の回転数を調整することにより負荷機器Uに対する熱媒供給圧力pmを設定供給圧力に調整するようにする。
【0031】
即ち、これらのことにより、1次ポンプ単用運転においても負荷機器Uに対して熱媒Cを過不足なく良好な状態で安定的に供給することができる。
【0032】
また、1次ポンプ単用運転においても、前述の如くヘッダ間バイパス弁6vの開度の調整により負荷機器Uに対する熱媒供給圧力pmを設定供給圧力に直接的に調整するようにした場合、ヘッダ間バイパス路6に対する熱媒通過を自由にするのに比べれば、1次往ヘッダH1からヘッダ間バイパス路6に流れ込む熱媒Cの流量を低減し得るが、それにしても、熱媒Cがヘッダ間バイパス路6を通じ還ヘッダRHに向う短絡的な熱媒循環(即ち、1次ポンプ動力の浪費を招くだけの無駄な熱媒循環)の流量が1次ポンプ単用運転において嵩むこととなる。
【0033】
この点、上記構成によれば、ヘッダ間バイパス弁6vの開度を固定的に制限する又はヘッダ間バイパス弁6vを閉じるから、ヘッダ間バイパス路6を通じた上記の如き無駄な熱媒循環を効果的に抑止することができ、これにより、1次ポンプP1の運転に要する動力を更に効果的に低減することができる。
【0034】
本発明の第5特徴構成は、第2〜第4特徴構成のいずれかの実施に好適な構成であり、その特徴は、
前記制御手段は、前記1次・2次ポンプ併用運転では、前記ヘッダ間バイパス弁の開度を調整することで、前記1次側往ヘッダと前記還ヘッダとの間の圧力差状態を前記1次側往ヘッダおける熱媒圧力が前記還ヘッダにおける熱媒圧力より設定圧力差だけ高くなる状態に調整する構成にしてある点にある。
【0035】
つまり、この構成によれば(図1参照)、1次・2次ポンプ併用運転で起こり得るヘッダ間バイパス路6を通じた短絡的な熱媒循環のうち、無駄な熱媒循環にはなるものの負荷機器Uの運転には特に支障を来たすことのない還ヘッダRHに向かってのヘッダ間バイパス路6を通じた短絡的な熱媒循環は許容しながら、負荷機器Uを一度通過した熱媒Cがヘッダ間バイパス路6を通じて再度、負荷機器Uに供給される状態になって負荷機器Uの運転に支障を来たすことになる1次側往ヘッダH1に向かってのヘッダ間バイパス路6を通じた短絡的な熱媒循環は阻止することができる。
【0036】
即ち、このことにより、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行時に負荷機器Uに対する熱媒供給圧力pmの調整に用いるヘッダ間バイパス弁6vを利用して、1次・2次ポンプ併用運転での負荷機器Uの運転を一層良好かつ安定的なものにすることができる。
【0037】
本発明の第6特徴構成は、第2〜第5特徴構成のいずれかの実施に好適な構成であり、その特徴は、
前記制御手段は、前記1次ポンプ単用運転から前記1次・2次ポンプ併用運転に移行したとき、前記2次ポンプを起動するとともに、その起動に続き前記2次ポンプの回転数を漸増させる構成にしてある点にある。
【0038】
つまり(図1参照)、1次ポンプ単用運転から1次・2次ポンプ併用運転に移行したとき、それまで停止状態にあった2次ポンプP2を起動するが、このとき、2次ポンプP2の回転数を急激に増大させるのに比べ、上記構成によれば、起動した2次ポンプP2の回転数漸増により、負荷機器Uに対する安定的な熱媒供給を保った状態で1次ポンプ単用運転から1次・2次ポンプ併用運転へ移行することができる。
【0039】
また、回転数の急激な変更に原因する2次ポンプP2の劣化や損傷も効果的に防止することができる。
【0040】
本発明の第7特徴構成は、第6特徴構成の実施に好適な構成であり、その特徴は、
前記制御手段は、前記2次ポンプの回転数の漸増により前記負荷機器に対する熱媒供給圧力が設定供給圧力に上昇したとき、前記1次側往ヘッダと前記還ヘッダとの間の圧力差状態を前記1次側往ヘッダおける熱媒圧力が前記還ヘッダにおける熱媒圧力より設定圧力差だけ高くなる状態に調整する制御を開始する構成にしてある点にある。
【0041】
つまり(図1参照)、2次ポンプP2の回転数の漸増により負荷機器Uに対する熱媒供給圧力pmが設定供給圧力に到達する以前に、ヘッダ間バイパス弁6vの開度の調整により1次側往ヘッダH1における熱媒圧力psが還ヘッダRHにおける熱媒圧力prより設定圧力差Δpsだけ高くなる状態に調整する制御(言わばヘッダ間差圧制御)を開始した場合、1次ポンプP1により供給される熱媒Cが1次側往ヘッダH1からヘッダ間バイパス路6に流れ込むことに原因して、熱媒供給圧力pmを設定供給圧力まで上昇させるのに要する2次ポンプ回転数の漸増幅が大きくなるとともに、熱媒供給圧力pmを設定供給圧力まで上昇させるのに要する時間が長くなる。
【0042】
これに対し、上記構成によれば、2次ポンプP2の回転数の漸増により負荷機器Uに対する熱媒供給圧力psを設定供給圧力まで上昇させた上で上記ヘッダ間差圧制御を開始するから、上記の如き、2次ポンプ回転数の漸増幅の増大や所要時間の増大を防止することができ、この点で、省エネルギ化や運転コストの低減を一層効果的に達成することができる。
【0043】
本発明の第8特徴構成は、第1〜第7特徴構成のいずれかの実施に好適な構成であり、その特徴は、
前記制御手段は、前記負荷機器の負荷熱量が設定閾熱量まで減少したとき又は前記負荷機器における熱媒流量が設定閾流量まで減少したとき、前記1次・2次ポンプ併用運転から前記1次ポンプ単用運転への移行を自動的に実行する構成にしてある点にある。
【0044】
つまり、この構成によれば、設定閾熱量として適当な負荷熱量値を設定しておくことで、制御手段は、負荷機器の負荷熱量が設定閾熱量まで減少したとき、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行を自動的に実行する。
【0045】
あるいはまた、設定閾流量として適当な熱媒流量値を設定しておくことで、制御手段は、負荷機器における熱媒流量が設定閾流量まで減少したとき、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行を自動的に実行する。
【0046】
即ち、上記構成によれば、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行を負荷熱量や負荷流量の変化に対して常に適切なタイミングで自動的に行なうことができる。
【0047】
本発明の第9特徴構成は、第1〜第8特徴構成のいずれかの実施に好適な構成であり、その特徴は、
前記制御手段は、前記負荷機器の負荷熱量が設定閾熱量まで増大したとき、又は、前記負荷機器における熱媒流量が設定閾流量まで増大したとき、前記1次ポンプ単用運転から前記1次・2次ポンプ併用運転への移行を自動的に実行する構成にしてある点にある。
【0048】
つまり、この上記構成によれば、前述と同様、設定閾熱量として適当な負荷熱量値を設定しておくことで、制御手段は、負荷機器の負荷熱量が設定閾熱量まで増大したとき、1次ポンプ単用運転から1次・2次ポンプ併用運転への移行を自動的に実行する。
【0049】
あるいはまた、設定閾流量として適当な負荷流量値を設定しておくことで、制御手段は、負荷機器における熱媒流量が設定閾流量まで増大したとき、1次ポンプ単用運転から1次・2次ポンプ併用運転への移行を自動的に実行する。
【0050】
即ち、上記構成によれば、1次ポンプ単用運転から1次・2次ポンプ併用運転への移行を負荷熱量や負荷流量の変化に対して常に適切なタイミングで自動的に行なうことができる。
【0051】
なお、第8特徴構成と第9特徴構成を併行実施する場合、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行と1次ポンプ単用運転から1次・2次ポンプ併用運転への移行(復帰)とがハンチング的に繰り返されることを防止するため、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行に用いる設定閾熱量又は設定閾流量は、1次ポンプ単用運転から1次・2次ポンプ併用運転への移行(復帰)に用いる設定閾熱量又は設定閾流量よりある程度小さい値にするのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】熱源システムの回路図
【図2】1次・2次ポンプ併用運転の制御フローチャート
【図3】1次ポンプ単用運転の制御フローチャート
【図4】1次ポンプ単用運転への移行の際の制御フローチャート
【図5】1次・2次ポンプ併用運転への移行(復帰)の際の制御フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は熱源システムを示し、2次側往ヘッダH2と還ヘッダHRとを接続する2次側流路2に空調機等の複数の負荷機器Uを並列配置で介装し、還ヘッダRHと1次側往ヘッダH1とを接続する並列な複数の1次側流路1の夫々に、1次側往ヘッダH1に向けて熱媒としての冷水Cを送る1次ポンプP1と熱源機としての冷凍機3とを直列状態で介装してある。
【0054】
各冷凍機3はインバータinvによる周波数制御により冷却能力の調整が可能な可変冷凍機にするとともに、各1次ポンプP1にも、対応する冷凍機3の冷却能力調整に応じてインバータinvによる周波数制御により回転数を調整(即ち、送水能力を調整)する可変ポンプを採用してある。
【0055】
1次側往ヘッダH1と2次側往ヘッダH2とを接続する複数の並列な中継路4の夫々には、2次側往ヘッダH2に向けて冷水Cを送る2次ポンプP2を介装してあり、また、中継路4とは並列に1次側往ヘッダH1と2次側往ヘッダH2とを接続するポンプバイパス路5には、ポンプバイパス弁5v(本例ではバタフライ弁を採用)を介装してある。
【0056】
2次ポンプP2の夫々には、インバータinvによる周波数制御により回転数を調整する可変ポンプを採用してあるが、これに代え、少なくとも1台の2次ポンプP2を可変ポンプにし、他の2次ポンプP2は回転数固定のポンプにしてもよい。
【0057】
1次側往ヘッダH1と還ヘッダRHとは、それらを1次側流路1及び2次側流路2の双方に対して短絡するヘッダ間バイパス路6により接続してあり、このヘッダ間バイパス路6にはヘッダ間バイパス弁6v(本例ではバタフライ弁を採用)を介装してある。
【0058】
各負荷機器Uでは冷凍機3から2次側往ヘッダH2を通じて供給される冷水Cの保有熱量を冷房などの所要目的のために消費するが、各負荷機器Uでは、個々の負荷熱量g(即ち、個々の必要冷熱量)の変化に応じて個々の冷水流量qが流量調整弁uvにより調整される。
【0059】
Siは負荷機器Uに供給する冷水Cの温度ti(冷水供給温度)を計測する温度センサ、Soは、負荷機器Uから送出される戻り冷水Cの合流後における温度to(冷水戻り温度)を計測する温度センサであり、また、Fは全ての負荷機器Uの冷水流量Q(=Σq、いわゆる2次流量)を計測する流量センサである。
【0060】
さらに、Spmは、負荷機器Uに対する冷水Cの供給圧力として2次側往ヘッダH2からの配管長が最も長い末端負荷機器Uに対する冷水供給圧力pm(いわゆる末端圧力)を計測する圧力センサであり、Sdpはヘッダ間バイパス弁6vを境とする1次側往ヘッダH1の側の冷水圧力psと還ヘッダRHの側の冷水圧力prとの差圧Δpを計測する差圧センサである。
【0061】
7は、これらセンサの計測情報に基づきシステムの運転制御を実行する制御装置であり、この制御装置7は基本的に、全ての負荷機器Uの負荷熱量G(=Σg)の変化に応じて、1次・2次ポンプ併用運転と1次ポンプ単用運転とを選択的に実施する。
【0062】
具体的には制御装置7は、温度センサSi,Soにより計測される冷水供給温度ti、冷水戻り温度to、及び、流量センサFにより計測される2次側の冷水流量Qに基づいて、式G=Q×(to−ti)に従う演算形態で各時点の負荷熱量G(即ち、合計の必要冷却量)を逐次演算する。
【0063】
そして、制御装置7は、演算負荷熱量Gが設定閾熱量Gsより大きいとき(G>Gs)には、冷凍機3による冷却冷水Cを1次ポンプP1及び2次ポンプP2の両方の運転により負荷機器Uに循環供給する1次・2次ポンプ併用運転を実施する。
【0064】
一方、制御装置7は、演算負荷熱量Gが設定閾熱量Gs以下のとき(G≦Gs)には、2次ポンプP2の運転を停止して、冷凍機3による冷却冷水Cを1次ポンプP1の運転のみにより負荷機器Uに循環供給する1次ポンプ単用運転を実施する。
【0065】
なお、設定閾熱量Gsとしては、冷凍機3の運転台数を1台まで減じて、その最後の1台の運転冷凍機3の冷却能力をインバータinvによる調整範囲の下限(例えば50%能力)まで絞ったときの冷却能力(換言すれば、冷凍機3群として調整可能な最小冷却能力)に相当する負荷熱量を設定してある。
【0066】
即ち、制御装置7は、演算負荷熱量Gが冷凍機3群として調整可能な最小冷却能力(=Gs)より大きいときには、1次・2次ポンプ併用運転を実施し、演算負荷熱量Gが冷凍機3群として調整可能な最小冷却能力(=Gs)以下まで低下したときには、最後の1台の冷凍機3の運転下で1次ポンプ単用運転を実施する。
【0067】
これら1次・2次ポンプ併用運転及び1次ポンプ単用運転についてさらに詳述すると、制御装置7は、1次・2次ポンプ併用運転において次の(イ)〜(ニ)の各制御を実行する。(図2参照)
【0068】
<1次・2次ポンプ併用運転>
(イ)冷凍機3及び1次ポンプP1の制御
運転する冷凍機3の冷却能力合計が演算負荷熱量Gに見合う能力となるように、演算負荷熱量Gの変化に応じて、冷凍機3の運転台数を変更するとともに、運転する冷凍機3の冷却能力をインバータinvにより調整する。
【0069】
また、1次ポンプP1は、対応する冷凍機3の発停に応じて発停するとともに、対応する冷凍機3の冷却能力調整に応じてインバータinvにより回転数を調整する。
【0070】
(ロ)2次ポンプP2の制御
2次ポンプP2の全体としての送水能力(即ち、2次側送水能力)が負荷機器Uの冷水流量Qに見合うように、流量センサFによる計測冷水流量Qに応じて、2次ポンプP2の運転台数を変更するとともに、運転する2次ポンプP2の回転数をインバータinvにより調整する。
【0071】
(ハ)ポンプバイパス弁5vの制御(ポンプバイパス弁5vによる供給圧力制御)
圧力センサSpmによる計測冷水供給圧力pmに基づき、ポンプバイパス弁5vの開度を調整して、2次側往ヘッダH2からポンプバイパス路5を通じた1次側往ヘッダH1への冷水C(図1において実線の矢印で示す)の還流量を調整することで、末端負荷機器Uに対する冷水供給圧力pm(末端圧力)を設定供給圧力pmsに調整する。
【0072】
(ニ)ヘッダ間バイパス弁6vの制御(ヘッダ間差圧制御)
差圧センサSdpによる計測差圧Δp(=ps−pr)に基づき、ヘッダ間バイパス弁6vの開度を調整することで、1次側往ヘッダH1と還ヘッダRHとの間の圧力差状態を1次側往ヘッダH1における冷水圧力psが還ヘッダRHにおける冷水圧力prより設定圧力差Δpsだけ高くなる状態に調整する。
【0073】
また、制御装置7は1次ポンプ単用運転において全ての2次ポンプP2を停止した状態の下で次の(ホ)〜(ト)の制御を実行する。(図3参照)
【0074】
<1次ポンプ単用運転>
(ホ)冷凍機3の制御
1台の冷凍機3のみをインバータinvによる能力調整範囲の下限冷却能力(前述の設定閾熱量Gsに相当)に能力固定した状態で運転する。
【0075】
また、全ての2次ポンプP2を停止状態に保って、運転冷凍機3に対応する1台の1次ポンプP1のみを運転する。
【0076】
(へ)各弁5v,6vの制御
ヘッダ間バイパス弁6vの開度を所要の絞り開度に固定的に制限した状態にし、その状態で、ポンプバイパス弁5vを全開状態に保ち、これにより、1次ポンプP1により供給される冷凍機3からの冷却冷水Cを、1次側往ヘッダH1からポンプバイパス路5を通じ2次側往ヘッダH2に送って負荷機器Uに供給する状態(図1において破線の矢印で示す)を保つ。
【0077】
(ト)1次ポンプP1の制御(1次ポンプP1による供給圧力制御)
圧力センサSpmによる計測冷水供給圧力pmに基づき、1次ポンプP1の回転数をインバータinvにより調整することで、末端負荷機器Uに対する冷水供給圧力pm(末端圧力)を設定供給圧力pmsに調整する。
【0078】
次に、これら1次・2次ポンプ併用運転と1次ポンプ単用運転との相互間での運転移行について説明すると、制御装置7は、1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行を次の(チ)〜(ル)の手順で行なう。(図4参照)
【0079】
<1次・2次ポンプ併用運転から1次ポンプ単用運転への移行>
(チ)演算負荷熱量Gが設定閾熱量Gs以下まで低下すると(G≦Gs)、その時の状態から、2次ポンプP2の回転数をインバータinvにより漸減するとともに、1次ポンプP1の回転数をインバータinvにより漸増する。
【0080】
(リ)また、これらポンプ回転数の漸減・漸増過程において、圧力センサSpmによる計測冷水供給圧力pmに基づき、ヘッダ間バイパス弁6vの開度を調整することで、末端負荷機器Uに対する冷水供給圧力pm(末端圧力)を設定供給圧力pmsに調整する(ヘッダ間バイパス弁6vによる供給圧力制御)。
【0081】
(ヌ)2次ポンプP2の回転数がインバータinvによる調整下限(例えば20%回転数)まで低下すると、2次ポンプP2を停止するともに、ポンプバイパス弁5vを全開にし、これにより、1次ポンプP1により供給される冷凍機3からの冷却冷水Cを、1次側往ヘッダH1からポンプバイパス路5を通じ2次側往ヘッダH2に送って負荷機器Uに供給する状態(図1において破線の矢印で示す状態)にする。
【0082】
(ル)その後、圧力センサSpmによる計測冷水供給圧力pmに基づき1次ポンプP1の回転数をインバータinvにより調整することで、末端負荷機器Uに対する冷水供給圧力pm(末端圧力)を設定供給圧力pmsに調整する状態に入り、1次ポンプ単用運転への移行を完了する。(1次ポンプP1による供給圧力制御)
【0083】
なお、ヘッダ間バイパス弁6vの開度は、2次ポンプP2の回転数がインバータinvによる調整下限に低下した時点で固定し、この開度を1次ポンプ単用運転において固定的に制限するヘッダ間バイパス弁6vの前記所要絞り開度とする。
【0084】
一方、制御装置7は、1次ポンプ単用運転から1次・2次ポンプ併用運転への移行を次の(ヲ)〜(ヨ)の手順で行なう。(図5参照)
【0085】
<1次ポンプ単用運転から1次・2次ポンプ併用運転への移行>
(ヲ)演算負荷熱量Gが設定閾熱量Gsより大きくなると(G>Gs)、その時の状態から、1台の2次ポンプP2を起動して、その2次ポンプP2の回転数をインバータinvによる調整下限から漸増する。
【0086】
(ワ)この2次ポンプ回転数の漸増過程において、圧力センサSpmによる計測冷水供給圧力pmに基づき、ポンプバイパス弁5vの開度を調整して、2次側往ヘッダH2からポンプバイパス路5を通じた1次側往ヘッダH1への冷水Cの還流量(図1において実線の矢印で示す)を調整することで、末端負荷機器Uに対する冷水供給圧力pm(末端圧力)を設定供給圧力pmsに調整する制御に入る。(ポンプバイパス弁5vによる供給圧力制御)
【0087】
(カ)そして、ポンプバイパス弁5vの開度調整により、末端負荷機器Uに対する冷水供給圧力pm(末端圧力)が設定供給圧力pmsに到達すると、差圧センサSdpによる計測差圧Δp(=ps−pr)に基づき、ヘッダ間バイパス弁6vの開度を調整することで、1次側往ヘッダH1と還ヘッダRHとの間の圧力差状態を1次側往ヘッダH1における冷水圧力psが還ヘッダRHにおける冷水圧力prより設定圧力差Δpsだけ高くなる状態に調整する前記ヘッダ間差圧制御を開始する。(ヘッダ間差圧制御)
【0088】
(ヨ)その後、計測冷水流量Qに応じて2次ポンプP2の運転台数及び回転数を調整する状態に入るとともに、演算負荷熱量Gに応じて冷凍機4の運転台数及び冷却能力並びに1次ポンプP1の運転台数及び回転数を調整する状態に入り、1次・2次ポンプ併用運転への移行を完了する。
【0089】
〔別の実施形態〕
次に本発明よる別実施形態を列記する。
【0090】
前述の実施形態では、冷凍機3を熱源機とし冷水Cを熱媒とする例を示したが、熱源機3により冷却した熱媒Cを負荷機器Uに循環供給する冷熱源システムの場合、熱源機3としては各種形式の冷凍機に限らず、熱媒Cを冷却し得るものであれば種々の冷却用熱源機を採用することができ、冷熱蓄熱槽における貯留蓄熱材との熱交換により負荷機器Uへの供給熱媒Cを冷却する熱交換器を熱源機とするようにしてもよい。
【0091】
また、この場合、熱媒Cも冷水に限らず、ブラインや氷水スラリーなど種々のものを採用することができる。
【0092】
また、本発明は、熱源機3により加熱した熱媒Cを負荷機器Uに供給する温熱源システムにも適用することができ、この場合、熱源機3としては温水発生機やボイラなど種々の加熱用熱源機を採用することができ、温熱蓄熱槽における貯留蓄熱材との熱交換により負荷機器Uへの供給熱媒Cを加熱する熱交換器を熱源機とするようにしてもよい。
【0093】
また、この場合、熱媒Cも温水や蒸気など種々のものを採用することができる。
【0094】
前述の実施形態では、複数の熱源機(冷凍機3)からなる熱源機群全体としての調整可能な最小能力に相当する負荷熱量Gを設定閾熱量Gsとする例を示したが、設定閾熱量Gsは必ずしもこれに限られるものではなく、1次・2次ポンプ併用運転及び1次ポンプ単用運転の夫々を良好に実施できる範囲内であれば、設定閾熱量Gsは適宜に設定すればよい。
【0095】
前述の実施形態では、複数の2次ポンプP2の夫々を回転数調整が可能な可変ポンプにする例を示したが、これに代え、一部の2次ポンプP2のみを可変ポンプとして他の2次ポンプP2を回転数固定のポンプにしてもよく、この場合、2次ポンプP2の運転台数を変更した各段において少なくとも1台の可変2次ポンプP2を運転することで、その可変2次ポンプP2の回転数調整により、2次ポンプ群全体としての送水能力を下限能力まで連続的に調整できるようにすればよい。
【0096】
また、複数の熱源機3や複数の1次ポンプP1についても全てを可変熱源機や可変ポンプにする必要はなく、一部の熱源機3及び一部の1次ポンプP1のみを可変機にして、上述と同様、熱源機3及び1次ポンプP1の運転台数を変更した各段において少なくとも一組の可変熱源機3と可変1次ポンプP1を運転することで、それら一組の可変熱源機3と可変1次ポンプP1とに対する能力調整及び回数数調整により、熱源機群全体としての能力を下限能力まで連続的に調整できるようにしてもよい。
【0097】
また本発明は、熱源機3や1次ポンプP1が1台のみの熱源システムや2次ポンプP2が1台のみの熱源システムにも適用することができる。
【0098】
前述の実施形態では、1次・2次ポンプ併用運転と1次ポンプ単用運転との相互切り換えを負荷機器Uの負荷熱量Gに応じて制御手段(制御装置7)に自動的に実行させる例を示したが、この運転切り換えを負荷機器Uの熱媒流量Qに応じて、又は、管理者からの付与指令に応じて、あるいはまた、設定カレンダに従って制御手段7に実行させるようにしてもよい。
【0099】
また、1次・2次ポンプ併用運転と1次ポンプ単用運転とのいずれか一方の運転を初期運転として実施し、その後、負荷機器Uの負荷熱量Gや熱媒流量Qに応じてあるいは管理者からの切り換え指令に応じて他方の運転への切り換えを制御手段7に実行させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、各種分野において種々の目的に使用する熱源システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
H2 2次側往ヘッダ
RH 還ヘッダ
2 2次側流路
U 負荷機器
H1 1次側往ヘッダ
1 1次側流路
C 熱媒
P1 1次ポンプ
3 熱源機
4 中継路
P2 2次ポンプ
G 負荷熱量
Q 熱媒流量
7 制御手段
5 ポンプバイパス路
5v ポンプバイパス弁
pm 熱媒供給圧力
pms 設定供給圧力
6 ヘッダ間バイパス路
6v ヘッダ間バイパス弁
Δps 設定圧力差
Gs 設定側閾熱量
Qs 設定閾流量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次側往ヘッダと還ヘッダとを接続する2次側流路に負荷機器を介装し、
前記還ヘッダと1次側往ヘッダとを接続する1次側流路に、前記1次側往ヘッダに向けて熱媒を送る1次ポンプと熱媒を冷却又は加熱する熱源機とを直列状態で介装し、
前記1次側往ヘッダと前記2次側往ヘッダとを接続する中継路に、前記2次往ヘッダに向けて熱媒を送る2次ポンプを介装し、
切り換え指令に応じて又は前記負荷機器の負荷熱量又は前記負荷機器における熱媒流量に応じて、前記1次ポンプ及び前記2次ポンプの運転により前記熱源機と前記負荷機器との間で熱媒を循環させる1次・2次ポンプ併用運転と、前記2次ポンプを停止して前記1次ポンプの運転により前記熱源機と前記負荷機器との間で熱媒を循環させる1次ポンプ単用運転とを選択的に実施する制御手段を設けた熱源システムであって、
前記1次側往ヘッダと前記2次往ヘッダとを接続するポンプバイパス路を設けるとともに、このポンプバイパス路にポンプバイパス弁を介装し、
前記制御手段は、前記1次・2次ポンプ併用運転では、前記ポンプバイパス弁の開度を調整して前記ポンプバイパス路を通じた前記2次側往ヘッダから前記1次側往ヘッダへの熱媒の還流量を調整することで、前記負荷機器に対する熱媒供給圧力を設定供給圧力に調整し、
前記1次ポンプ単用運転では、前記ポンプバイパス弁を全開にして前記1次ポンプによる供給熱媒を前記1次側往ヘッダから前記ポンプバイパス路を通じて前記2次側ヘッダに送る構成にしてある熱源システム。
【請求項2】
前記1次側往ヘッダと前記還ヘッダとを接続するヘッダ間バイパス路を設けるとともに、このヘッダ間バイパス路にヘッダ間バイパス弁を介装し、
前記制御手段は、前記1次・2次ポンプ併用運転から前記1次ポンプ単用運転への移行時には、前記ヘッダ間バイパス弁の開度を調整することで、前記負荷機器に対する熱媒供給圧力を設定供給圧力に調整する構成にしてある請求項1記載の熱源システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記1次・2次ポンプ併用運転から前記1次ポンプ単用運転への移行時に、前記1次ポンプの回転数を漸増させるのに伴い前記2次ポンプの回転数を漸減させて前記2次ポンプを停止に至らせる構成にしてある請求項1又は2記載の熱源システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記1次ポンプ単用運転では、前記ヘッダ間バイパス弁の開度を制限した状態又は前記ヘッダ間バイパス弁を閉じた状態において前記1次ポンプの回転数を調整することで、前記負荷機器に対する熱媒供給圧力を設定供給圧力に調整する構成にしてある請求項2又は3記載の熱源システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記1次・2次ポンプ併用運転では、前記ヘッダ間バイパス弁の開度を調整することで、前記1次側往ヘッダと前記還ヘッダとの間の圧力差状態を前記1次側往ヘッダおける熱媒圧力が前記還ヘッダにおける熱媒圧力より設定圧力差だけ高くなる状態に調整する構成にしてある請求項2〜4のいずれか1項に記載の熱源システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記1次ポンプ単用運転から前記1次・2次ポンプ併用運転に移行したとき、前記2次ポンプを起動するとともに、その起動に続き前記2次ポンプの回転数を漸増させる構成にしてある請求項2〜5のいずれか1項に記載の熱源システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記2次ポンプの回転数の漸増により前記負荷機器に対する熱媒供給圧力が設定供給圧力に上昇したとき、前記1次側往ヘッダと前記還ヘッダとの間の圧力差状態を前記1次側往ヘッダおける熱媒圧力が前記還ヘッダにおける熱媒圧力より設定圧力差だけ高くなる状態に調整する制御を開始する構成にしてある請求項6記載の熱源システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記負荷機器の負荷熱量が設定側閾熱量まで減少したとき又は前記負荷機器における熱媒流量が設定閾流量まで減少したとき、前記1次・2次ポンプ併用運転から前記1次ポンプ単用運転への移行を自動的に実行する構成にしてある請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱源システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記負荷機器の負荷熱量が設定閾熱量まで増大したとき、又は、前記負荷機器における熱媒流量が設定閾流量まで増大したとき、前記1次ポンプ単用運転から前記1次・2次ポンプ併用運転への移行を自動的に実行する構成にしてある請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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