説明

熱線遮蔽フィルム

【課題】熱線を遮蔽する性能が高く、また可視光線透過率が高く、さらに着色が低減された熱線遮蔽フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】透明フィルム2と、透明フィルム2上に形成された熱線遮蔽膜と、を備え、熱線遮蔽膜は、光透過性を有する樹脂材料と、樹脂材料中に分散する無機微粒子と、を有し、無機微粒子は、第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含み、熱線遮蔽膜は、第1の金属酸化物を含む第1熱線遮蔽膜3と、第2の金属酸化物を含む第2熱線遮蔽膜4と、を有し、第1の金属酸化物と第2の金属酸化物は、赤外線の吸収波長帯域が互いに異なっており、且つ、互いに補色となる色を呈する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱線遮蔽フィルムに関し、さらに詳しくは、建物や乗り物の窓ガラスなどに貼着されて熱線を遮蔽するとともに、透明性に優れ、低ヘイズ性の熱線遮蔽フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年における省エネルギー化の進展に伴い、建物の窓、車両の窓、あるいは冷蔵庫、冷凍庫、冷凍用ショーケースの窓などにおいては、さらなる暑さの軽減、省エネルギー化を図るために、これらの窓に熱線(赤外線)を遮蔽する機能を有する熱線遮蔽膜付き透明フィルム(以下、熱線遮蔽フィルム)を貼着することが提案されている。
【0003】
このような熱線遮蔽フィルムは、熱的作用の大きい近赤外領域の波長帯の光(近赤外線)を主として遮蔽する材料を含んで形成されている。このような材料としては、熱線遮蔽フィルムに高い耐候性を求められる観点から、無機材料である金属酸化物の微粒子(無機微粒子)が好適に用いられる。熱線遮蔽フィルム中の無機微粒子に近赤外線が照射されると、近赤外線は無機微粒子により反射される。また、反射の方向によっては微粒子間で近赤外線の反射が繰り返され、熱として吸収される。熱線遮蔽フィルムでは、このようにして近赤外線を遮蔽している。
【0004】
このような熱線遮蔽フィルムとして、透明フィルム基体の一面上に、アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子または錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子を含有したハードコート層を形成し、他の一面上に粘着剤層、剥離層を順次積層した積層構造の膜を形成し、このハードコート層が熱線遮蔽の機能を有する熱線遮蔽フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、セシウムをドープした酸化タングステンとバインダー樹脂とを溶媒中で混合し、得られる溶液を透明な基材フィルムに塗布して形成される塗膜を、赤外線吸収(熱線遮蔽)層とする熱線遮蔽フィルムを形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−281860号公報
【特許文献2】特開2007−21998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
熱線遮蔽フィルムは、本来の機能である赤外線の遮蔽とともに、フィルムの貼付対象である窓の光透過性を損なわないように、可視光領域の波長帯の光(可視光線)を透過する、すなわち透明であることが求められる。しかしながら、上記特許文献で提案された技術には、この点について次のような問題がある。
【0008】
すなわち、特許文献1で示された熱線遮蔽フィルムでは、可視光線の透過率が70%以上となるような高い光透過性を有することとすると、あわせて赤外線の透過率も上昇し、熱線の遮蔽性能が低下してしまう。そのため、高透明な熱線遮蔽フィルムとすることが困難である。
【0009】
特許文献2で示された熱線遮蔽フィルムでは、セシウムドープ酸化タングステンが長波長の可視光線も遮蔽するので、塗膜が青色に着色する。そのため、特許文献2の熱線遮蔽フィルムでは、熱線遮蔽フィルムを貼付する箇所(建物や車体の窓など)の意匠性を損ねてしまう。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、熱線を遮蔽する性能が高く、また可視光線透過率が高く、さらに着色が低減された熱線遮蔽フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の熱線遮蔽フィルムは、透明基材と、前記透明基材上に形成された熱線遮蔽膜と、を備え、前記熱線遮蔽膜は、光透過性を有する樹脂材料と、前記樹脂材料中に分散する無機微粒子と、を有し、前記無機微粒子は、第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含み、前記熱線遮蔽膜は、前記第1の金属酸化物を含む第1熱線遮蔽膜と、前記第2の金属酸化物を含む第2熱線遮蔽膜と、を有し、前記第1の金属酸化物と前記第2の金属酸化物は、赤外線の吸収波長帯域が互いに異なっており、且つ、互いに補色となる色を呈することを特徴とする。
【0012】
本発明においては、前記第1熱線遮蔽膜は、前記透明基材の一方の面に形成され、前記第2熱線遮蔽膜は、前記透明基材の他方の面に形成されていることが望ましい。
【0013】
本発明においては、前記第1の金属酸化物がアンチモン含有酸化物であり、前記第2の金属酸化物がセシウム含有酸化タングステンであることが望ましい。
【0014】
本発明においては、JIS Z 8729−1994に規定されるCIE L表色系において、C光源及び2°視野条件で測定されるa値及びb値が、−4.3≦a≦0.5、且つ−1.5≦b≦0.5であることが望ましい。
【0015】
本発明においては、前記熱線遮蔽膜は、可視光線透過率が70%以上であり、赤外線透過率が900〜2500nmの波長領域に渡って10%以下であることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の熱線遮蔽フィルムによれば、2種の金属酸化物を併用するため、可視光線の透過率の低下を抑制しつつ、幅広い波長帯域の赤外線を吸収することが可能となる。加えて、個々の金属酸化物が互いに補色となる色を呈しているため、併用することにより、フィルムを透過する光が一方の金属酸化物の色を呈する色光となることを抑制し、着色を抑制する(透過光を無彩色に近づける)ことができる。したがって、幅広い赤外線波長領域にわたって遮蔽し、透明性および意匠性に優れた熱線遮蔽フィルムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱線遮蔽フィルムを示す断面図である。
【図2】ATOとセシウム含有酸化タングステンとの吸収スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る熱線遮蔽フィルムについて説明する。なお、以下の図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0019】
「熱線遮蔽フィルム」
図1は、本実施形態に係る熱線遮蔽フィルム1を示す概略断面図である。図に示すように、熱線遮蔽フィルム1は、透明フィルム(透明基材)2と、透明フィルム2の上面(一主面)に形成された第1熱線遮蔽膜3と、透明フィルム2の下面(他の一主面)上に形成された第2熱線遮蔽膜4と、第2熱線遮蔽膜4上に貼着された粘着剤層5とを有している。
【0020】
透明フィルム2は、可視光線を透過する樹脂材料を用いて形成されたフィルムである。樹脂材料としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリ塩化三フッ化エチレン(PCTFE)等のフッ素樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリエステルを材料としたフィルムが透明性、安定性、コストなどの面から好ましく、同じ観点からポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが特に好ましい。
この透明フィルム2の厚さは、透明フィルム2の形成材料や、形成される熱線遮蔽フィルム1の用途等に応じて適宜選択できるが、例えば、25μm〜200μm程度のものが好ましく用いられる。
【0021】
第1熱線遮蔽膜3および第2熱線遮蔽膜4は、熱線(赤外線)を遮蔽する能力を有する無機微粒子を、可視光線を透過する透明性樹脂(バインダー)中に分散したものである。第1熱線遮蔽膜3および第2熱線遮蔽膜4に含まれる無機微粒子は、赤外線を吸収しかつ可視光線を透過させることにより、熱線遮蔽性と透明性とを両立している。
【0022】
このような無機微粒子としては、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、セシウム含有酸化タングステン、アンチモン含有酸化亜鉛、ガリウム含有酸化亜鉛などを挙げることができる。さらに、以下の理由から、ATO微粒子とセシウム含有酸化タングステン微粒子との組み合わせが好ましい。
【0023】
まず、ATO微粒子とセシウム含有酸化タングステン微粒子とは、赤外線の吸収波長帯域が互いに一部が重なりながら異なっている。そのため、これらの微粒子を含む第1熱線遮蔽膜3および第2熱線遮蔽膜4は、協働して広い波長帯域の赤外線を遮蔽することとなる。
【0024】
地上付近での太陽光のスペクトルを見ると900nm付近は、近赤外領域で最もエネルギーが強い。また人が不快に感じる暑さは、1500nm〜2500nmの波長領域が原因とも言われている。従って、暑さ対策を目的の1つとする熱線遮蔽フィルムでは、900〜2500nmの近赤外領域の赤外線を遮蔽することが好ましく、この領域の赤外線の透過率を10%以下にすることが望ましい。
【0025】
本発明の熱線遮蔽フィルムを断熱目的で用いる場合、赤外線の透過率は低ければ低いほど良く、車や家の窓に貼るときの室温の温度上昇を抑制する効果が高くなる。例として挙げるならば、アルミ蒸着膜により赤外線を反射する構成の通常知られた熱線遮蔽フィルムでは、近赤外領域(800〜2500nm)での透過率は10%以下となっている。しかし、このような構成の熱線遮蔽フィルムでは、可視光線の透過率も低くなり透明性が悪くなる。
【0026】
また、誘電体膜を積層した多層膜を形成することで近赤外領域の赤外線透過率を10%以下とする熱線遮蔽フィルムを構成することもできる。この場合、可視光透過率も70%以上を達成することが可能であるが、製造工程が複雑になりコストがかかる。さらに、フィルム表面で可視光が反射するため、フィルム表面がぎらつき視認性が悪くなる。
【0027】
対して、本発明の熱線遮蔽フィルムは、近赤外領域の赤外線透過率を10%以下としたとしても、後述のように可視光透過率を70%以上とすることができ好ましい。
【0028】
ここで、図2に示すように、ATOは1500nmより長波長の近赤外線をよく遮蔽する(1500nmより長波長の近赤外線の透過率が低い)が、可視光領域に近い赤外線はあまり遮蔽しない。対して、セシウム含有酸化タングステンは、可視光領域に近い近赤外線をよく遮蔽する(可視光領域に近い近赤外線の透過率が低い)が、1500nmより長波長側の赤外線に対しては遮蔽力が低下してくる。そのため、例えばいずれか一方の微粒子のみを用いて熱線遮蔽膜を形成しようとすると、900〜2500nmの幅広い領域にわたって赤外線の透過率を10%以下にしようとするためには、多くの微粒子量(塗布量)が必要となる。そうすると、各無機微粒子による可視光線の吸収量および反射量が増加(可視光線の透過率が低下)するため、視認性が損なわれることとなる。
しかし、本実施形態では、1500nmより長波長の近赤外線の透過率がセシウム含有酸化タングステンよりも低いATO微粒子と、可視光領域に近い近赤外線の透過率がATOよりも低いセシウム含有酸化タングステン微粒子とを併用するため、可視光線の透過率の低下を抑制しつつ、幅広い波長帯域の赤外線を吸収することが可能となっている。
【0029】
また、ATOとセシウム含有酸化タングステンとは、互いに補色の関係にある色を呈している。具体的には、ATOを含有する塗膜は、L***表色系においてb値がプラス値を示す色であり、セシウム含有酸化タングステンを含有する塗膜は、L***表色系においてb値がマイナス値を示す色である。a値については、通常のガラスの色がL***表色系においてa値がマイナスであり、少し緑色に色づいているため、貼付対象とするガラスの色に基づいて設計すると良い。
【0030】
そのため、一方の微粒子(例えばATO微粒子)を含む第1熱線遮蔽膜3を透過した光が、更に他方の微粒子(例えばセシウム含有酸化タングステン微粒子)を含む第2熱線遮蔽膜4を透過することにより、無彩色またはそれに近い透過光となるように含有量比を規定することができる。これにより、熱線遮蔽フィルム1を貼付する部分の意匠性を損なうことがない。
【0031】
熱線遮蔽膜に含まれる無機微粒子として、ATOとセシウム含有酸化タングステンとを例に挙げたが、他にも、互いに赤外線吸収帯域が一部重なりながら異なり、且つ互いに補色の関係にある色を呈する金属酸化物の微粒子を用いることができる。
【0032】
さらに、これらの無機微粒子を含んで形成される第1熱線遮蔽膜3および第2熱線遮蔽膜4は、フィルムを介した視認性を保つために、可視光線透過率が70%以上であることが望ましい。
【0033】
透明性を損なわないためには、ヘイズ(Hz)値は2%以下が必要で、さらには1%以下であることが望ましい。そのためには、無機微粒子の平均二次粒子径は1nm以上800nm以下であることが必要で、好ましくは1nm以上200nm以下であることが好ましい。
無機微粒子の粒径が200nm以下の粒径となると、無機微粒子による可視光線のミー散乱が抑制されるため、高い透明性を実現しやすくなる。無機微粒子の粒径の下限を1nmとしたのは、再凝集のため1nmよりも小さい微粒子を合成するのが困難だからである。
【0034】
また、第1熱線遮蔽膜3および第2熱線遮蔽膜4は、樹脂材料のバインダーに上述の無機材料が混入したもので形成されている。バインダーの種類は、透明であれば特に限定されることはなく、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化型のバインダー、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂などの紫外線硬化型のバインダーなどが好適に用いられる。
【0035】
熱線遮蔽膜の形成材料である塗料における、無機微粒子/バインダーの割合は、必要な光学特性と耐擦傷性の観点から適切に定められる必要がある。また熱線遮蔽膜の膜厚は、紫外線硬化型バインダーを使用した場合、酸素による紫外線硬化阻害を避けるためにも1.0μm以上が望ましい。施工性の観点から熱線遮蔽膜の表面は、滑り性が付与されているのが望ましい。
【0036】
本実施形態の熱線遮蔽機フィルム1は、樹脂材料のバインダーに上述の無機材料を混入した塗料を透明フィルム2上に塗布することで形成している。塗布方法としては、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ディップ法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコータ法、スクリーン印刷法、キスコータ法、などの通常知られた塗布方法を用いることができる。
【0037】
ここで、本発明の熱線遮蔽フィルム1では、透明フィルム2の一主面に第1熱線遮蔽膜3を、他の主面に第2熱線遮蔽膜4を、それぞれ形成することとしている。これは次の理由によるものである。
【0038】
まず、アンチモン含有酸化物微粒子とセシウム含有酸化タングステン微粒子を混合した塗料を調整し、透明フィルム2の一主面に塗布することで熱線遮蔽膜を形成することとしても、幅広い波長帯域での高い熱線遮蔽、高い可視光線透過率、着色の低減、の効果が付与された熱線遮蔽フィルムとすることは困難である。この塗料は、塗料中の微粒子の分散安定性が低いため、微粒子が凝集し熱線遮蔽性能や透明性が悪化する。またこのような塗料は、塗料を安定して使用できる期間が短く量産性が低い。また、微粒子の分散安定性が低いために微粒子同士が凝集しやすく、微粒子が塗膜中で目視可能な大きさの凝集物となりムラが生じやすい。
【0039】
調整する塗料がこのような性質であるため、塗料中の微粒子の含有量を増やしにくい。そのため、十分な熱線遮蔽が可能となるようにするためには、塗膜の膜厚を厚くする必要が生じる。そうすると、塗料を塗布する際のムラや、乾燥不良を生じ易く、生産不良を生じやすいという新たな課題が生じるおそれがある。
【0040】
また、透明フィルム2の一方の面に、第1熱線遮蔽膜3と第2熱線遮蔽膜4とを積層して形成することとしても、幅広い波長帯域での高い熱線遮蔽、高い可視光線透過率、着色の低減、の効果が付与された熱線遮蔽フィルムとすることはできる。しかしこの場合、透明フィルム2上に形成した熱線遮蔽膜上に、無機微粒子を含む塗料を塗布する際の表面平滑性が悪くなるおそれがあり、その結果、塗膜にムラやハジキ等が生じるおそれがある。また、フィルムの片面に塗膜を厚く形成することとなるため、得られる熱線遮蔽フィルムが反りやすく、塗膜形成後の工程やガラス等への貼付の際のハンドリング性が悪くなる。加えて、下層側の熱線遮蔽膜と上層側の熱線遮蔽膜との間の密着性が悪いため、耐久性が低下するという課題も生じ易い。
【0041】
これらの理由により、透明フィルム2の両面に第1熱線遮蔽膜3と第2熱線遮蔽膜4とをそれぞれ形成することとしている。この構成により、各々の熱線遮蔽膜の膜厚を制御することで、熱線遮蔽フィルムが有する無機微粒子量を調整することが容易となり、色味や可視光線透過率、熱線遮蔽性能を微調整することが容易となる。
【0042】
粘着剤層5は、必要に応じて設けられるものであり、要求される熱線遮蔽フィルム1の仕様や用途により適宜選択される。本実施形態の熱線遮蔽フィルム1では、第2熱線遮蔽膜4の下面側に粘着剤層5を形成している。粘着剤層5は、透明樹脂からなる粘着剤を用いて透明フィルム1の下面上に形成されたものであり、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系重合体、ポリビニルエーテル(PVE)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリビニルブチラール(PVB)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の透明樹脂粘着剤が好適に用いられる。耐候性の観点からアクリル系の粘着剤が好ましい。
【0043】
粘着剤層5を第2熱線遮蔽膜4に直接塗工した場合、層間密着性が低いため、熱線遮蔽フィルムを貼付した箇所から再剥離する際に、貼付箇所(窓ガラス等)に粘着剤層5の接着剤が残るといった問題が起こりやすくなる。そのため粘着剤層5を形成する際には、熱線遮蔽膜にプライマー層を設けたり、コロナ処理を行って表面改質を行ったりすることにより、強固に粘着剤層5が密着するようにすると良い。生産コスト低減の観点から、プライマー層を設けるよりもコロナ処理による表面改質の方が好ましい。
【0044】
粘着剤層5は、紫外線吸収剤を含むこととしても良い。紫外線吸収剤としては、透明性、紫外線遮蔽力が十分あり、経時によるブリードアウトがなければ適宜の材料が用いられ、紫外線を99%以上遮蔽するように添加量を規定すると良い。紫外線吸収剤を含む事により、粘着剤層5は紫外線遮蔽層としても機能する。
【0045】
このような紫外線吸収剤としては、有機系のものでは、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリレシート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−(2’−ヒドロキシ−5−tert−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
また、無機系紫外線吸収剤としては、酸化亜鉛があげられる。フィルムの透明性が悪化しないように平均二次粒子径は100nm以下のものが好ましく用いられる。
【0046】
その他、粘着剤層5を保護するため、粘着剤層5の下面側に剥離可能な剥離フィルムを設けることとしても良い。
剥離フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく用いられ、熱線遮蔽フィルム1を窓ガラス等に貼着する際に取り去って粘着剤層5を露出させるものである。剥離フィルムは透明でも不透明でも良いが、剥離する際に第1熱線遮蔽膜3等との区別がつきやすいように不透明なものが好ましく、所定の色調に着色したものであっても良い。
【0047】
以上のような構成の熱線遮蔽フィルム1によれば、2種の金属酸化物を併用するため、可視光線の透過率の低下を抑制しつつ、幅広い波長帯域の赤外線を吸収することが可能となる。加えて、個々の金属酸化物が互いに補色となる色を呈しているため、併用することにより、フィルムを透過する光が一方の金属酸化物の色を呈する色光となることを抑制し、着色を抑制する(透過光を無彩色に近づける)ことができる。したがって、幅広い赤外線波長領域にわたって遮蔽し、透明性および意匠性に優れた熱線遮蔽フィルムを提供することが出来る。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0050】
以下の実施例及び比較例では、下記方法で調整した無機微粒子を含む塗料を用いて熱線遮蔽フィルムを作成し、各々の物性を評価した。
【0051】
[ATO微粒子含有塗料の調製方法]
アンチモン含有酸化スズ(ATO)分散液(平均二次粒子径60nm、ATO濃度50%、分散媒トルエン)41.6g、トルエン10.7g、多官能アクリレート化合物A(PET−30、日本化薬社製)9.0g、多官能アクリレート化合物B(DPHA、日本化薬社製)3.0g、光重合開始剤(イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.7gを攪拌混合して、ATO微粒子含有塗料を得た。
【0052】
[アンチモン含有酸化亜鉛微粒子含有塗料の調整方法]
アンチモン含有酸化亜鉛分散液(セルナックスCX−Z603M、日産化学製、SbZn濃度60wt%)37.0g、メチルイソブチルケトン15.3g、多感応アクリレート化合物A9.0g、多官能アクリレート化合物B3.0g、光重合開始剤0.7gを攪拌混合して、アンチモン含有酸化亜鉛微粒子含有塗料を得た。
【0053】
[セシウム含有酸化タングステン微粒子含有塗料の調製方法]
セシウム含有酸化タングステン分散液(YMF−02、住友金属鉱山社製、CsW濃度18wt%)17.8g、トルエン13.8g、多官能アクリレート化合物A5.0g、多官能アクリレート化合物B3.0g、光重合開始剤0.4gを攪拌混合して、セシウム含有酸化タングステン微粒子含有塗料を得た。
【0054】
[ATO微粒子とセシウム含有酸化タングステン微粒子を含有する塗料の調製方法]
ATO分散液27.3g、セシウム含有酸化タングステン分散液12.2g、トルエン7.1g、多官能アクリレート化合物A6.0g、多官能アクリレート化合物B2.0g、光重合開始剤0.4gを攪拌混合して、ATO微粒子とセシウム含有酸化タングステン微粒子を含有する塗料(以下、混合塗料と称する)を得た。
【0055】
[塗料の物性測定]
これら3種の塗料に含まれる微粒子の平均二次粒子径を、粒子径・粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA150、日機装社製)によって測定した。測定条件は、測定溶液の濃度が塗料の原液濃度、測定温度が25℃であった。その結果、ATO微粒子含有塗料に含まれるATO微粒子の平均二次粒子径は約60nmであった。
また、アンチモン含有酸化亜鉛微粒子含有塗料に含まれるアンチモン含有酸化亜鉛微粒子の平均二次粒子径は約140nmであった。
同様に、セシウム酸化タングステン微粒子含有塗料に含まれるセシウム酸化タングステン微粒子の平均二次粒子径は約150nmであった。
【0056】
また、上記3種の塗料を用いて、PET製のフィルム状試験片の表面に厚さ約2.5μmの塗膜を塗料毎に形成し、塗膜の色彩を紫外・可視光分光光度計(U-4100、日立社製)を用いて測定した。その結果、ATO微粒子含有塗料は、L***表色系においてa*=−0.8、b*=1.0であった。
また、アンチモン含有酸化亜鉛微粒子含有塗料は、L***表色系においてa*=−1.1、b*=0.5であった。
同様に、セシウム酸化タングステン微粒子含有塗料は、L***表色系においてa*=−4.2、b*=−2.5であった。
【0057】
[実施例1]
厚み38μmのPETフィルムの両面に易接着層(プライマー層)が設けられた、易接着層付きPETフィルム(A−4300、東洋紡製)の一主面(易接着層上)に、バーコート法で、ATO微粒子含有塗料を塗工した。そして、80℃に加熱した乾燥機にて1分乾燥させた後、高圧水銀灯(主ピーク:254nm)を用いて紫外線を照射量300mJ/cmにて照射して硬化させ、膜厚約2.5μmの透明なハードコート膜である熱線遮蔽膜(第1熱線遮蔽膜)を形成した。
次いで、PETフィルムの別の一主面(易接着層上)に、バーコート法によりセシウム酸化タングステン微粒子含有塗料を塗工し、80℃に加熱した乾燥機にて1分間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射量300mJ/cmにて照射して硬化させ、膜厚約2.5μmの透明なハードコート膜である熱線遮蔽膜(第2熱線遮蔽膜)を形成した。
次いで、第2熱線遮蔽膜上にコロナ処理をした後、紫外線吸収剤を添加した透明なアクリル共重合系の粘着剤を塗工し、実施例1の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0058】
[実施例2]
第1熱線遮蔽膜の膜厚を4.0μm、第2熱線遮蔽膜の膜厚を1.5μmにした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0059】
[実施例3]
第2熱線遮蔽膜上ではなく、第1熱線遮蔽膜上にコロナ処理をして粘着剤を塗工した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0060】
[実施例4]
第1熱線遮蔽膜の形成において、ATO微粒子含有塗料をアンチモン含有酸化亜鉛微粒子含有塗料にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0061】
[実施例5]
PETフィルムの一主面に、実施例1と同様にしてATO微粒子含有塗料を塗工して、膜厚2.5μmの第1熱線遮蔽膜を形成し、該第1熱線遮蔽膜の上に、実施例1と同様にしてセシウム酸化タングステン微粒子含有塗料を塗工して、膜厚2.5μmの第2熱線遮蔽膜を積層して形成した。その後、PETフィルムの別の一主面に紫外線吸収剤を含有する粘着剤を塗工し、実施例5の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0062】
[比較例1]
第1熱線遮蔽膜の膜厚を5.0μm、第2熱線遮蔽膜の膜厚を1.0μmにした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0063】
[比較例2]
第1熱線遮蔽膜の膜厚を1.0μm、第2熱線遮蔽膜の膜厚を3.5μmにした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0064】
[比較例3]
第1熱線遮蔽膜を形成せず、PETフィルムの一主面(易接着層上)に、バーコート法によりセシウム酸化タングステン微粒子含有塗料を塗工し、80℃に加熱した乾燥機にて1分間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射量300mJ/cmにて照射して硬化させ、膜厚約4.0μmの透明な熱線遮蔽膜(第2熱線遮蔽膜)を形成した。
次いで、PETフィルムの別の一主面(易接着層上)に、紫外線を遮蔽する粘着剤を塗工し、比較例3の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0065】
[比較例4]
第2熱線遮蔽膜の膜厚を5.0μmにした以外は、比較例3と同様にして、比較例4の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0066】
[比較例5]
第2熱線遮蔽膜の膜厚を0μm(第2熱線遮蔽膜を形成しない)にしたことと、コロナ処理を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0067】
[比較例6]
第1熱線遮蔽膜の膜厚を5.0μmにした以外は、比較例5と同様にして、比較例6の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0068】
[比較例7]
第2熱線遮蔽膜の膜厚を0μm(第2熱線遮蔽膜を形成しない)にしたことと、コロナ処理を行わないこと以外は、実施例4と同様にして、比較例7の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0069】
[比較例8]
第1熱線遮蔽膜の膜厚を2.5μmにした以外は、比較例7と同様にして、比較例8の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0070】
[比較例9]
第2熱線遮蔽膜上にコロナ処理をすることなく、第2熱線遮蔽膜上に粘着剤を塗布した以外は、実施例1と同様にして、比較例9の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0071】
[比較例10]
PETフィルムの一主面に混合塗料を塗工して、ATO微粒子とセシウム含有酸化タングステン微粒子を含有する熱線遮蔽膜(以下、混合膜)を形成し、別の一主面にコロナ処理を行うことなく紫外線吸収剤を含有する粘着剤を塗工し、比較例10の熱線遮蔽フィルムを得た。
【0072】
[物性評価]
上記の実施例1〜3および比較例1〜9で得られた熱線遮蔽フィルムについて、次に掲げる方法により物性を測定し、本発明の熱線遮蔽フィルムの評価を行った。
【0073】
(1)ヘイズ(Hz,曇価)
日本工業規格JIS−K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、熱線遮蔽フィルムのヘイズ値を測定した。
【0074】
(2)可視光線透過率
日本工業規格JIS−R3106「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法」に準拠して、紫外・可視光・近赤外分光光度計(V−570、日本分光社製)により各波長の分光透過率を測定し、この測定値に比視感度値を乗じて熱線遮蔽フィルムの可視光線透過率を算出した。
【0075】
(3)近赤外線透過率
日本工業規格JIS−R3106「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法」に準拠して、紫外・可視光・近赤外分光光度計(V−570、日本分光社製)を用いて、各波長の分光透過率を測定した。
【0076】
(4)膜色調
日本工業規格JIS−K5600−4−5「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第5節:測色(測定)」に準拠して、紫外・可視光分光光度計(U−4100、日立社製)を用いて光源D65、視野角10°で測定した。また、併せて目視観察を行った。
【0077】
(5)粘着剤残り
熱線遮蔽フィルムをガラス板に貼着し、40℃で48時間保持した後、該フィルムを剥離した際の粘着剤の残り方を評価した。評価基準としては、ガラス板に粘着剤残りのない状態を○、ガラス板に粘着剤残りのある状態を×とした。
【0078】
(6)密着性
日本工業規格JIS K 5600−5−6「塗料一般試験法」の碁盤目剥離法の操作に準拠して、粘着剤を塗工する前の第1熱線遮蔽膜または第2熱線遮蔽膜の表面において、10mm角の各辺にカッターナイフで1mm間隔の切り込みを縦11本、横11本入れることにより、合計100個の升目を形成し、その上に24mm幅のセロハンテープを密着させ、素早くこのセロハンテープを強制剥離した。
このセロハンテープの密着、剥離の操作を3回繰り返し、升目が剥がれていない場合○、はがれている場合×とした。
【0079】
実施例1〜3および比較例1〜9について、得られた熱線遮蔽フィルムの組成を表1に、得られた熱線遮蔽フィルムの評価結果を表2に示す。
【0080】
表中では、ATOと、実施例4におけるアンチモン含有酸化亜鉛と、を「アンチモン含有酸化物」として記載している。また、セシウム含有酸化タングステンを「CsW」として記載している。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
実施例1から実施例5では、900nmから2500nmの幅広い領域に渡って赤外線の透過率が10%以下となり、赤外線(熱線)を良く遮蔽する熱線遮蔽フィルムが得られた。これらは、可視光線透過率が70%以上、ヘイズが1%以下であり、高い透明性を有すると共に、透過光の着色が抑制され無彩色に近い色であり、高品質な熱線遮蔽フィルムとなっていた。実施例5では、密着性において他の実施例1から4よりも劣る結果となっているが、本願発明の目的である高い熱線遮蔽、高い可視光線透過性、および着色の低減は実現している。
対して、比較例1〜8では、アンチモン含有酸化物塗料の膜厚を適切に調整しないとフィルムの色調や熱線遮蔽性が劣る結果となった。
また、比較例9では、フィルム剥離の際に粘着剤が残り、粘着剤層を形成する熱線遮蔽膜上をコロナ処理することにより、層間の密着性が高くなることが確かめられた。
さらに、比較例10では、混合膜を形成した熱線遮蔽フィルムは、ヘイズおよび可視光領域に近い赤外線の遮蔽が実施例のサンプルよりも劣る結果となった。
【0084】
以上の結果より、本発明の有用性が確かめられた。
【符号の説明】
【0085】
1 熱線遮蔽フィルム
2 透明フィルム
3 第1熱線遮蔽膜
4 第2熱線遮蔽膜
5 粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、前記透明基材上に形成された熱線遮蔽膜と、を備え、
前記熱線遮蔽膜は、光透過性を有する樹脂材料と、前記樹脂材料中に分散する無機微粒子と、を有し、
前記無機微粒子は、第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含み、
前記熱線遮蔽膜は、前記第1の金属酸化物を含む第1熱線遮蔽膜と、前記第2の金属酸化物を含む第2熱線遮蔽膜と、を有し、
前記第1の金属酸化物と前記第2の金属酸化物は、赤外線の吸収波長帯域が互いに異なっており、且つ、互いに補色となる色を呈することを特徴とする熱線遮蔽フィルム。
【請求項2】
前記第1熱線遮蔽膜は、前記透明基材の一方の面に形成され、前記第2熱線遮蔽膜は、前記透明基材の他方の面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱線遮蔽フィルム。
【請求項3】
前記第1の金属酸化物がアンチモン含有酸化物であり、前記第2の金属酸化物がセシウム含有酸化タングステンであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱線遮蔽フィルム。
【請求項4】
JIS Z 8729−1994に規定されるCIE L表色系において、C光源及び2°視野条件で測定されるa値及びb値が、−4.3≦a≦0.5、且つ−1.5≦b≦0.5であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の熱線遮蔽フィルム。
【請求項5】
前記熱線遮蔽膜は、可視光線透過率が70%以上であり、
赤外線透過率が900〜2500nmの波長領域に渡って10%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の熱線遮蔽フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−212849(P2011−212849A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80332(P2010−80332)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】