説明

燃料を噴射するための装置

【課題】燃料を噴射するための装置を改良する。
【解決手段】外開式の弁ニードル3が設けられており、ピエゾアクチュエータ2が設けられており、弁体4が設けられており、弁体4は、第1のニードルガイド5と第2のニードルガイド6とを備えており、戻しエレメント7が設けられており、戻しエレメント7は、戻し力を伝達するために、力導入位置8で弁ニードル3と結合されており、シールエレメント9が設けられており、シールエレメント9は、シール位置12で弁ニードル3と結合されており、弁ニードル3は、噴射側の端部3aとアクチュエータ側の端部3bとを備えており、噴射側の端部3aからみて、先ず第1のニードルガイド5が、次いで第2のニードルガイド6が、次いで力導入位置8が、最後にシール位置12が弁ニードル3に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を噴射するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料直接噴射の技術分野において、背景技術では、外開式のピエゾインジェクタが用いられ、この場合弁体の噴射側の端部に弁ニードルの2重のガイドが行われるが、燃料室に通じるアクチュエータ室のシールが、ピエゾエレメントの燃料導入位置と弁ニードルのガイドとの間に配置されている。このシールの配置によって、戻しエレメントを介して導入される横力に関する極めて長いてこ腕が生じる。その結果として生じる高い内側の摩擦力およびこれに関連するインジェクタの過剰の摩擦を低減するために、このような構造では、高い管ばねスリーブの使用が要求される。
【0003】
シールが弁ニードルのガイドの間に配置された選択的な構造では、両ガイドは、もはや1つの構成部材(弁体)に実現することができず、これによりインジェクタ内で個々の構成部材の長いトレランス連鎖が生じ、弁ニードルのガイド特性の欠陥が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べたような燃料を噴射するための装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するための本発明の装置によれば、燃料を噴射するための装置において、外開式の弁ニードルが設けられており、ピエゾアクチュエータが設けられており、該ピエゾアクチュエータは、弁ニードルを操作するために弁ニードルと結合されており、弁体が設けられており、該弁体内に弁ニードルが配置されており、弁体は、第1のニードルガイドと第2のニードルガイドとを備えており、該第1および第2のニードルガイドに沿って弁ニードルがガイドされており、戻しエレメントが設けられており、該戻しエレメントは、戻し力を伝達するために、力導入位置で弁ニードルと結合されており、シールエレメントが設けられており、該シールエレメントは、ピエゾアクチュエータの配置されたアクチュエータ室と、噴射のための燃料の充填された燃料室との間のシールを形成し、シールエレメントは、シール位置で弁ニードルと結合されており、弁ニードルは、噴射側の端部とアクチュエータ側の端部とを備えており、噴射側の端部からみて、先ず第1のニードルガイドが、次いで第2のニードルガイドが、次いで力導入位置が、最後にシール位置が弁ニードルに配置されている。
【0006】
有利には、第1のニードルガイドおよび第2のニードルガイドが、弁体に配置されている。
【0007】
有利には、弁体は、一体的に形成されている。
【0008】
有利には、戻しエレメントは、ばね皿を備えており、該ばね皿は、弁ニードルおよびシールエレメントと結合されている。
【0009】
有利には、戻しエレメントは、コイルばねであり、該コイルばねは、略円筒形に形成されている。
【0010】
有利には、フィルタが設けられており、該フィルタは、弁体内に形成された流入開口の直ぐ上流側に配置されている。
【0011】
有利には、フィルタは、戻しエレメントの内側に配置されている。
【0012】
有利には、シールエレメントは、ベローズとして形成されている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の特徴部に記載の構成を有する、本発明による燃料を噴射するための装置の利点によれば、燃料を噴射するための装置は、ガイド位置、シール位置および燃料導入位置の変化した配置構造に基づいて、弁体内における弁ニードルの大幅に改善されたガイド特性を有する。この利点は、本発明によれば、燃料を噴射するための装置内で、弁ニードルの噴射側の端部からみて、相前後して、先ず第1のニードルガイドが、次いで第2のニードルガイドが、次いで力導入位置が、最後にシール位置が配置されていることによって達成される。戻しエレメントの力導入位置の後方におけるアクチュエータ室と燃料室との間のシールの配置構造に基づいて、戻しエレメントにおいて場合によっては生じる横力が、極めて短いてこ腕を有する。したがって弁体内での弁ニードルのガイド特性に不都合な影響なく最適化された力導入が実現される。
【0014】
従属請求項には、本発明の有利な形態を記載した。
【0015】
有利には、燃料を噴射するための装置は、第1のニードルガイドと第2のニードルガイドとを備えており、第1および第2のニードルガイドは、弁体内に配置されている。両ガイドが同じ構成部材に配置されていることによって、弁体内での弁ニードルの最適なガイドが実現され、特に経済的な製造が実現される。
【0016】
有利には弁体は一体的に形成されている。これにより弁ニードルのガイドを行う様々な構成部材の間の長いトレランス連鎖が回避され、ひいては弁ニードルの極めて良好なガイド品質が保証される。
【0017】
別の有利な形態によれば、戻しエレメントは、ばね皿を備えており、ばね皿は、弁ニードルおよびシールエレメントと結合されている。ばね皿が弁ニードルおよびシールエレメントと、たとえば溶接シームによって結合されていることによって、追加的に必要なシールが省略され、燃料を噴射するための装置の構成部材数が低減される。
【0018】
有利には、戻しエレメントがコイルばねであり、コイルばねは、略円筒形に形成されている。安価なコイルばねの使用によって、燃料を噴射するための装置の構成部材コストをさらに削減することができる。
【0019】
本発明の別の有利な形態によれば、燃料を噴射するための装置は、追加的にフィルタを備えており、フィルタは、弁体内に形成された流入開口の直ぐ上流側に、または流入開口内に配置されている。フィルタが燃料流れでみて噴射ノズルに対して極めて小さな距離を有して配置されており、フィルタと噴射ノズルとの間で溶接シームが燃料を噴射するための装置内にもはや存在していないことによって、フィルタの下流側に潜在的な汚染源が存在しない。
【0020】
さらにフィルタは戻しエレメントの内側に配置されている。この場合フィルタは、弁体に、たとえば被せ嵌めによって、別の構成部材を用いることなく固定され、戻しエレメントは、簡単に弁体に沿って摺動する。これによって、この配置構造では、燃料を噴射するための装置を生産する際に、簡単、迅速ひいては安価に組立可能である。
【0021】
有利には、シールエレメントは、ベローズとして形成されている。これによってシール機能は、頑丈で、耐用期間の長い安価な構成部材によって保証することができる。
【0022】
以下に、図面につき本発明の実施の形態を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による燃焼を噴射するための装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図面に関して、本発明の有利な形態による、燃焼を噴射するための装置1を詳説する。
【0025】
図1の概略断面図から看取されるように、燃料を噴射するための装置1は、ピエゾアクチュエータ2を備えており、ピエゾアクチュエータ2は、外開式の弁ニードル3と結合されており、弁ニードル3は、一体的に形成された弁体4内に配置されている。弁ニードル3は、噴射側の端部3aで、噴射ノズル13の傍に第1のニードルガイド5を備えていて、アクチュエータ側の端部3bに向かって第2のニードルガイド6を備えており、第1および第2のニードルガイド5,6で、弁ニードル3は、弁体4にガイドされている。
【0026】
さらに本発明による燃料を噴射するための装置1は、戻し力を伝達するための戻しエレメント7を備えており、戻しエレメント7は、有利には図1に示した円筒形のコイルばねとして形成されており、コイルばねは、噴射ノズル13に向かって弁体4の付加部4aに支持されている。さらに戻しエレメント7は、ばね皿15を備えており、ばね皿15は、弁ニードル3と、たとえば溶接シームまたは選択的な固定手段によって結合されている。ばね皿15と弁ニードル3との間の固定は、力導入位置8を規定し、力導入位置8で、ピエゾアクチュエータ2の作動力が戻しエレメント7に伝達される。力導入位置8は、弁ニードル3の噴射側の端部3aからみて、第1のニードルガイド5および第2のニードルガイド6の後方に配置されている。
【0027】
ばね皿15は、ピエゾアクチュエータ2に向かって、フランジ状の端部部分14を備えており、端部部分14で、シールエレメント9が、溶接シームまたは選択的な固定手段によってばね皿15に取り付けられている。シールエレメント9は、図1に示したように、有利にはベローズとして形成されている。ばね皿15とシールエレメント9との間の固定は、シール位置12を規定しており、シール位置12は、弁ニードル3の噴射側の端部3aからみて力導入位置8の後方に配置されている。シールエレメント9は、ピエゾアクチュエータ2の配置されたアクチュエータ室10を、燃料で充填された燃料室11からシールする。
【0028】
燃料室11は、複数の区分に分けられていて、弁ニードル3の噴射側の端部3aと弁体4との間に形成された噴射室11aとばね収容室11bとを備えており、ばね収容室11bには、戻しばね7が配置されている。弁ニードル3のアクチュエータ側の端部bに向かって、ばね収容室11bに、供給室11cが接しており、供給室11cは、シールエレメント9と保持部18の内側表面との間に形成されている。保持部18には、供給開口19が形成されており、供給開口19を介して、供給室11cに燃料が供給され、燃料は、次いでばね収容室11bに、次いで弁体4内に形成された流入開口17を通って噴射室11aに流れる。
【0029】
さらに図1から看取されるように、コイルばね7の内側にフィルタ16が配置されており、フィルタ16は、弁体4に被せ嵌められ、これによって固定されている。選択的に、流入開口17にフィルタ16を配置することもできる。供給室11cとばね収容室11bとを介して流入する燃料は、噴射室11aに到達するには、流入開口17の手前で(または通流開口17内で)フィルタ16を通過する必要がある。
【0030】
フィルタ16もしくは流入開口17と噴射ノズル13との間に溶接シームが存在しないという事実に基づいて、噴射室11aにおいて流れ方向にみてフィルタ16の下流側で燃料の潜在的な汚染は回避されており、噴射弁を運転する確実な機能が保証されている。
【0031】
本発明によれば、ガイド位置、シール位置および力導入位置の配置は、従来技術に対して変化されており、弁ニードル3の噴射側の端部3aからみて、順に相前後して、先ず第1のニードルガイド5が、次いで第2のニードルガイド6が、次いで力導入位置8が、最後にシール位置12が配置されている。
【0032】
力導入位置8が、第2のニードルガイド6とシール位置12との間の配置構造に基づいて、弁ニードル3の第2のニードルガイド6に対して極めて小さな距離ひいては小さなてこ腕を有していることによって、戻しエレメント7に及ぼされるピエゾアクチュエータ2の作動力によって、戻しエレメント7に横力が生じないか、または最小限しか生じない。したがって高価な構造のばね代わりに、戻しエレメント7として安価なコイルばねを使用することができる。従来技術で生じる、戻し力の力導入位置と弁ニードル3のガイドとの間の比較的大きな距離もしくはてこ腕に起因する横力は、補償する必要がある。
【0033】
したがって改善された力導入によって、弁ニードル3のガイド特性は大幅に改善され、弁ニードルガイド5,6における摩擦および摩耗は大幅に軽減される。
【符号の説明】
【0034】
1 燃料を噴射するための装置、 2 ピエゾアクチュエータ、 3 弁ニードル、 3a 端部、 3b 端部、 4 弁体、 4a 付加部、 5 第1のニードルガイド、 6 第2のニードルガイド、 7 戻しエレメント、 8 力導入位置、 9 シールエレメント、 10 アクチュエータ室、 11 燃料室、 11a 噴射室、 11b ばね収容室、 11c 供給室、 12 シール位置、 13 噴射ノズル、 15 ばね皿、 16 フィルタ、 17 流入開口、 18 保持部、 19 供給開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を噴射するための装置において、
外開式の弁ニードル(3)が設けられており、
ピエゾアクチュエータ(2)が設けられており、該ピエゾアクチュエータ(2)は、弁ニードル(3)を操作するために弁ニードル(3)と結合されており、
弁体(4)が設けられており、該弁体(4)内に弁ニードル(3)が配置されており、弁体(4)は、第1のニードルガイド(5)と第2のニードルガイド(6)とを備えており、該第1および第2のニードルガイド(5,6)に沿って弁ニードル(3)がガイドされており、
戻しエレメント(7)が設けられており、該戻しエレメント(7)は、戻し力を伝達するために、力導入位置(8)で弁ニードル(3)と結合されており、
シールエレメント(9)が設けられており、該シールエレメント(9)は、ピエゾアクチュエータ(2)の配置されたアクチュエータ室(10)と、噴射のための燃料の充填された燃料室(11)との間のシールを形成し、シールエレメント(9)は、シール位置(12)で弁ニードル(3)と結合されており、
弁ニードル(3)は、噴射側の端部(3a)とアクチュエータ側の端部(3b)とを備えており、噴射側の端部(3a)からみて、先ず第1のニードルガイド(5)が、次いで第2のニードルガイド(6)が、次いで力導入位置(8)が、最後にシール位置(12)が弁ニードル(3)に配置されていることを特徴とする、燃料を噴射するための装置。
【請求項2】
第1のニードルガイド(5)および第2のニードルガイド(6)が、弁体(4)に配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
弁体(4)は、一体的に形成されている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
戻しエレメント(7)は、ばね皿(15)を備えており、該ばね皿(15)は、弁ニードル(3)およびシールエレメント(9)と結合されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
戻しエレメント(7)は、コイルばねであり、該コイルばねは、略円筒形に形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
フィルタ(16)が設けられており、該フィルタ(16)は、弁体(4)内に形成された流入開口(17)の直ぐ上流側に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
フィルタ(16)は、戻しエレメント(7)の内側に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
シールエレメント(9)は、ベローズとして形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−17340(P2011−17340A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155350(P2010−155350)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】