説明

燃料タンク構造

【課題】筒型のタンク本体の周方向に沿い間隔を有した一対の条状で且つ、内方へ突出した突起部と、該一対の突起部間にフランジ部を圧入したセパレータとで構成することにより、突起部に新たな作用応力を発生させないようにすると共に、タンク本体とフランジ部との溶接を無くし、タンク本体が捩れても、タンク本体とフランジ部とのあいだに滑りを発生させて、両間に引張り応力の発生を防止し、タンク本体の耐久信頼性を向上させることを目的とする。
【解決手段】車両1のシャシフレーム12に固着されたL字状のタンクブラケット3に締結バンドにて固定される断面が略矩形状筒型の燃料タンク2であって、燃料タンク2の周方向に沿い間隔を有し内方へ突出したA突起部25及びB突起部と、該突起部間に圧入するフランジ部22b、22cを有し、燃料タンク2内の燃料の揺動を抑制するセパレータ22とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トラックや産業機械等に取付けられ、ガソリンや軽油等の液体燃料を貯蔵する燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の道路交通網の進展に伴い、トラック等における貨物輸送は長距離化している。
このため、燃料タンクが大型化し、燃料タンクに貯油される給油量も必然と大きくなる。
このような場合、車両の加減速走行に伴い、燃料タンク内の燃料には、揺動が生じ、燃料タンクに大きな慣性力が作用する。
かかる慣性力を低減するために、燃料タンク内に複数のセパレータを配設して、燃料タンク内を複数の空間に仕切っている。
【0003】
例えば、特開平9−263148号公報(特許文献1)には本願添付の図7(A)に示すように、燃料タンク01は略直方体形を成し、金属板が断面四角形に折り曲げられて筒状のタンク周壁02として形成され、該タンク周壁02の両端部は金属板からなる側板03で閉じられると共に、その周辺部が溶着されて密閉性を有する燃料タンク01に形成されている。
また、燃料タンク01の上面には給油口04と、その給油口04の開口を開放可能に閉塞するキャップ05が配設されている。
燃料タンク01内には図7(B)に示すような、燃料タンク01の断面形状に近い形状の仕切り板06(セパレータ)が複数枚固定されている。
【0004】
そして、仕切り板06の外周部には該仕切り板06の壁面7dに対し略直角に折曲されたフランジ部07が形成されている。フランジ部07には該フランジ部07の幅方向中間部で且つ、長手方向に沿って凸部07aが形成されている。
また、仕切り板06下部には、燃料タンク01の下部に貯溜された燃料が仕切り板06によって各空間部を流通できるように、切欠いた傾斜部07bが配設されている。
そして、図7(C)の示すように、燃料タンク01内に仕切り板06を固定する構造は、燃料タンク01内の周壁に形成された凹部08にフランジ部07の凸部07aを係合させた技術開示が成されている。
【0005】
仕切り板06はタンク内に押込むだけで固定できるので製造作業が容易であり、燃料タンク01の周壁などに薄肉部を生じさせないので、燃料タンク01に破損し易い箇所を生じさせることがない。
また、燃料タンク周壁のコーナ部において少なくとも一箇所で仕切り板06を溶接して固定する場合、燃料タンク周壁のコーナ部は折曲げ加工により強度がおおきくなっているので、その箇所を溶接してその箇所が若干は薄肉になっても破損し難く、仕切り板06を強固に固定できると開示している。
【0006】
更に、特開2008−265532号公報(特許文献2)には、本願添付の図8に示すように、燃料タンク010は直方体形のタンク本体011と、タンク本体011内に配設され、タンク本体011を補強する補強構造体012とを備えている。
補強構造体012は、タンク本体011の内周壁に沿った形状の仕切り板013a、013b、013cの四隅に設けられた貫通孔に連結パイプ014a、014b、014c、014dを通し、夫々を固定したものである。
そして、補強構造体012の、連結パイプ014a、014b、014c、014dの夫々の両端部は、タンク本体011の両端を密閉する鏡板015a、015bに当接した状態で維持されている。
これにより、仕切り板013a、013b、013cとタンク本体011との溶接が無いので、タンク本体011には溶接箇所に応力集中が生じて起因する亀裂が生じないことの技術開示が成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−263148号公報
【特許文献2】特開2008−265532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1によると、燃料タンク01内に仕切り板06を固定する構造は、燃料タンク01内の周壁に形成された凹部08にフランジ部07の凸部07aを係合させるようにしたものである。これは燃料タンク01に凹部08を形成(塑性変形)することによる変形歪(残留応力)が残っている部分に、更に、フランジ部07の凸部07aを圧入することで、燃料タンク01内の凹部08にさらなる高い応力生起をさせるもので、当該部の強度余裕率が低下する不具合がある。
また、燃料タンク周壁のコーナ部において少なくとも一箇所で仕切り板06を燃料タンク01に溶接して固定するとしており、車体側からの捩れにより燃料タンク01が捩れた場合、溶接部には高い応力が発生し、亀裂が生起する原因になる不具合を有している。
【0009】
更に、特許文献2においても、溶接結合はないが、補強構造体012を別途製作し、タンク本体011内に挿入するが、連結パイプ014aと仕切り板013aとの溶接による変形が発生し、挿入が難しくなると共に、補強構造体012のコストが高くなる不具合を有している。
【0010】
そこで、本発明はこのような不具合に鑑み成されたもので、筒型のタンク本体の周方向に沿い間隔を有した一対の条状で且つ、内方へ突出した突起部と、該一対の突起部間にフランジ部を圧入したセパレータとで構成することにより、突起部に新たな作用応力を発生させないようにすると共に、タンク本体とフランジ部との溶接を無くし、タンク本体が捩れても、タンク本体とフランジ部とのあいだに滑りを発生させて、両部材間に引張り応力の発生を防止し、タンク本体の耐久信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はかかる目的を達成するもので、車両のシャシフレームのウェブ部に固着されたL字状のブラケットに締結バンドにて固定される筒型の燃料タンクであって、該筒型のタンク本体の周方向に沿い間隔を有した一対の条状で且つ、内方へ突出した突起部と、前記一対の突起部間の前記タンク本体内周壁に圧入するフランジ部を有し、前記筒型の軸線を横切るように配設され、前記燃料タンク内の燃料の揺動を抑制するセパレータとを備えたことを特徴とする。
【0012】
かかる発明において、一対の突起部間にセパレータのフランジ部を圧入させる構造なので、突起部に新たな作用応力を発生させないようにして、タンク本体の耐久信頼性を向上させることができる。
また、タンク本体とフランジ部との溶接が無いので、タンク本体が捩れても、タンク本体とフランジ部とのあいだに滑りが発生して、両間に引張り応力の発生を防止しできる。
【0013】
また、好ましくは、前記一対の突起部の前記セパレータ嵌入側に該セパレータが前記突起部を乗越え易くする傾斜面を配設するとよい。
【0014】
このような構成にすることにより、一対に突起部間にセパレータのフランジ部を圧入するので、圧入による変形防止、圧入の容易化等による工数低減、製品の品質安定性確保等の効果を得ることができる。
【0015】
また、好ましくは、前記セパレータは略矩形状のコーナ部を削除するとよい。
【0016】
このような構成にすることにより、略矩形状のセパレータのコーナ部はフランジ部があり剛性が高いので、当該部を削除することで柔軟性を高め、弾性変形領域内における変形量を大きくして圧入容易化を図る。
【0017】
また、好ましくは、前記セパレータの各フランジ部近傍から中央部に向け幅が漸次縮小するビードを設け、該中央部で前記ビードを連結させた補強部を形成したことを特徴とする請求項1記載の燃料タンク構造。
【0018】
このような構成にすることにより、対向する各フランジ部間に補強用のビードを配設したので、タンク本体に圧入されたセパレータが突起部間から容易に外れないようにすると共に、締結バンドで締結した際に、タンク本体の剛性を高める効果を有する。
更に、セパレータの周縁部から中央部に向け幅が漸次縮小するビードとしたので、タンク本体への圧入の際、セパレータ全体を弾性変形させるようにして、該圧入の容易化が図れる。
【0019】
また、好ましくは、前記フランジ部の幅は前記一対の突起部の間隔に対し、隙間を有した幅にするとよい。
【0020】
このような構成にすることにより、フランジ部を圧入した際に、フランジ幅を一対の突起部の間隔に対し、隙間を有するようにしたので、突起部に圧入による新たな応力がタンク本体の突起部形成により発生している残留応力に加わるのを防止して、タンク本体の耐久性向上を図ることができる。
【0021】
また、好ましくは、前記前記一対の突起部の前記セパレータ嵌入側の突起部高さは、前記セパレータの弾性変形領域内の変形量で、乗越えられるようにするとよい。
【0022】
このような構成にすることにより、セパレータの塑性変形を防止して、燃料タンク全体の剛性を維持する。
【0023】
また、好ましくは、前記締結バンドは前記セパレート配設位置にて、前記燃料タンクを締結するとよい。
【0024】
このような構成にすることにより、燃料タンクは、セパレートのフランジ部をタンク本体に圧入した位置に締結バンドにて締結する構造としたので、車体側からの捩れが作用しても、タンク本体とフランジ部との滑りが生起され、タンク本体とフランジ部とのあいだに引張り応力の発生を防止すると共に、フランジ部を締めることにより、燃料タンク全体の剛性向上を確保することができる。
【発明の効果】
【0025】
筒型のタンク本体の周方向に沿い間隔を有した一対の条状で且つ、内方へ突出した突起部と、該一対の突起部間にフランジ部を圧入したセパレータとで構成することにより、突起部に新たな作用応力を発生させないようにすると共に、タンク本体とフランジ部との溶接を無くし、タンク本体が捩れても、タンク本体とフランジ部とのあいだに滑りを発生させて、両部材間に引張り応力の発生を防止し、タンク本体の耐久信頼性を向上させることができる。
更に、燃料タンクは、セパレートのフランジ部位置に締結バンドにて締結する構造としたので、フランジ部を締めることにより、燃料タンク全体の剛性向上を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】は本発明が実施される車両の燃料タンクの装着状況を示す車両の概略全体構成図を示す。
【図2】は本発明の燃料タンクの取付状態斜視図を示す。
【図3】は図2のZ矢視図を示す。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるセパレータの斜視図を示す。
【図5】(A)は本発明の第1実施形態にかかる燃料タンクの縦断面図、(B)は(A)のF部拡大図、(C)は(A)のG部拡大図を示す。
【図6】(A)は本発明の第2実施形態にかかるセパレータの斜視図、(B)は(A)のX−X矢視図を示す。
【図7】は従来技術の特許文献1の説明図を示す。
【図8】は従来技術の特許文献2の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。
但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
また、本説明中で、方向性を示す場合、運転席に着座した状態を基準にして、上下左右前後を表記する。
【0028】
図1は本発明が実施される車両の燃料タンク装着状況を示す概略全体構成図を示し、
図2は本発明の燃料タンクの取付状態斜視図を示す。
図1において、車両1は、該車両1の前後方向に延在し、且つ車幅方向に間隔を有した断面コ字状のサイドレール12a、12a間に、車幅方向へ延在した複数のクロスメンバ12bからなるシャシフレーム12と、該シャシフレーム12の前側に搭載されたキャビン11と、シャシフレーム12の前側下部の前輪14と、後側の後輪13とを備えている。
【0029】
断面が略矩形状で筒型の燃料タンク2はシャシフレーム12の前輪14と後輪13の中間部に装着されている。図2に示すようにサイドレール12aの断面コ字状のウェブ12cには、燃料タンク2を載置する断面ハット型で且つ、L字状に形成された2本のタンクブラケット3、3が装着されている。
図3に示すように、燃料タンク2はタンクブラケット3に、該燃料タンク2とタンクブラケット3の上面及び縦面間にブラケット側シート4f(キャンバス製)を介して載置される。
そして、タンクブラケット3のL字状と対向した辺に相当する燃料タンク2の辺には締結バンド側シート4e(キャンバス製)を介して、締結バンド4が燃料タンク2をタンクブラケット3に固定している。
締結バンド側シート4e及び、ブラケット側シート4fを介装させるのは、金属同士の当接によるこすれ音、互いの磨耗及び、該磨耗による発錆等を防止するものである。
【0030】
締結バンド4は帯状鉄板4aの一端にタンクブラケット3の上端部の係合部(図示省略)に係合する係合片4bを溶着し、他端にタンクブラケット3の水平部(燃料タンク載置部)の端部に設けられた係合孔に嵌入して締結ナット4dにて締結するボルト4cを溶着した構造となっている。
タンクブラケット3及び、締結バンド4は夫々2個用いられ、夫々はタンク本体21内にタンク本体21の軸線方向に略等間隔に配設された3個のセパレータ22の外側2箇所に位置するように配置されている。
【0031】
図4に示すようにセパレータ22は、外周がタンク本体21の内周面に沿った形状をなし、該タンク本体21の軸線を横切るように配設され、タンク本体21内の燃料の揺動を抑制する縦壁部22aと、該縦壁部22aの外周部から屈折されたフランジ部22b(横方向フランジ)、22b、22c(縦方向フランジ)、22cと、コーナを削除した削除部22gとで構成されている。
【0032】
夫々のセパレータ22のフランジ部22b、22cは断面が略矩形状の筒型タンク本体21の周方向に沿い且つ、筒型タンク本体21の軸線方向に間隔を有した一対の条状で内方へ突出したA突起部25及び、B突起部26との間に圧入される。
本実施形態では、筒型タンク本体21とフランジ部22b、22cは圧入だけで、溶接による固定を実施しないことを特徴としている。
【0033】
また、コーナの削除部22gを設けた理由は、フランジ部を有したコーナ部の剛性は高く、A突起部25を乗越えるための弾性変形領域内における変形量が小さくなるで、削除部22gを設けることにより弾性変形領域内における変形量を大きくしてセパレータ22の圧入の容易化を図るためである。
更に、図面上下側の削除部22gは各セパレータ22によって仕切られた各室の燃料が互いに流通して、該各室間の燃料量の均一化を図る効果を有している。
【0034】
図5(A)は本発明の第1実施形態にかかる燃料タンクの縦断面図、(B)は(A)のF部拡大図、(C)は(A)のG部拡大図を示す。
図5(A)は、タンク本体21の軸線方向に沿って略等間隔に3個のセパレータ22、22,22が圧入されている。
そして、タンク本体21の両端部にはタンク本体21内を密閉するため鏡板23が全周溶接されている。
【0035】
図5(B)に示すように、A突起部25は、セパレータ22がタンク本体21内に圧入される側に位置し、圧入がし易いように(セパレータ22が第1突起25を乗越え易くする)なだらかな傾斜部25aが形成されている。
傾斜部25aの高さhはセパレータ22が弾性変形領域内における変形量でA突起25を乗越えられる程度の高さとする。
また、B突起26は、セパレータ22がタンク本体21内に圧入されてA突起25とB突起26との間にセパレータ22を位置させるための位置決め用の突起となる。
従って、B突起26の高さjはセパレータ22の位置決め用の高さであればよく、セパレータ22が弾性変形領域内でB突起26を乗越えられる程度の高さとする必要がある。図5(A)のタンク本体21の軸線方向中間部のセパレータ22を圧入するため、どちらかといえば、B突起26の高さjはj<hにした方が、中間部のセパレータ22の圧入が容易となり、品質が安定する。
中央の開口孔はタンク本体21内で揺動する燃料の一部を通過させて、セパレータ22が受ける作用力を和らげる緩和孔22dである。
【0036】
また、A突起部25とB突起26との間隔は、A突起25とフランジ部22b又は、22cの端部との隙間α、及びB突起部とフランジ部22b又は、22cの基部との隙間βを確保(許容差)できる間隔とする。
隙間α及びβは少なくとも各突起の加工応力(残留応力)部分に各フランジ部22b又は、22cの圧入力が加わらない(重ならない)ようにして、タンク本体21に発生する応力増加を抑制して、耐久信頼性を向上させる。
【0037】
尚、一対の条状のA突起部25及び、B突起部26とセパレータ22のフランジ部22b、22cとの位置関係は、A突起部25側にフランジ端部が位置し、フランジ基部がB突起26側に位置している。
これは、セパレータ22の縦壁部22aを先頭にして、図面上左側からタンク本体21へ圧入し、傾斜部25aを乗越え易くした配置になっている。
一方、図5(C)に示すように、図面上右側の場合は、セパレータ22の縦壁部22aを先頭にして、図面上右側からタンク本体21へ圧入し、傾斜部25aを乗越え易くした配置になっている。
これは、セパレータ22がタンク本体21内を移動する量を少なくして、作業効率を上げるために、A突起部25とB突起部26の配列を逆にしてある。
尚、本実施形態において、中間のセパレータ22については左右いずれの側から圧入しても、移動量は同じなので、左側から圧入する形状にしてある。
【0038】
本実施形態によると、燃料タンク2は、タンク本体21に配設した一対の条状のA及びB突起部25,26間にセパレータ22のフランジ部22b、22cを圧入し、且つ、フランジ部が両A,B突起部の加工応力(残留応力)部分に重ならないようにしたので、燃料タンク2を締結バンド4にてタンクブラケット3に締付けた際に、タンク本体21とセパレータ22のフランジ部22b、22c間に異なる方向へ作用力が生起しても、溶接箇所が無いため相互に滑りが生じ、溶接箇所に発生し易い亀裂を容易に防止でき、且つ、フランジ部22b、22cの圧入により両A,B突起部の加工応力(残留応力)部分に新たに作用力が発生しないようにしたので、タンク本体21の耐久性を向上させることができる。
【0039】
また、セパレータ22のフランジ部22b、22c部分を締結バンド4にてタンクブラケット3に締付ける構造なので、燃料タンク2の全体剛性が向上する。
また、突起の高さを、セパレータ22の弾性変形領域内における変形量を大きくしてA,B突起部を乗越えられるようにしたので、セパレータ22に塑性変形が生じ難く、タンク本体21の耐久性を向上させることができる。
更に、タンク本体21とフランジ部22b、22cの固定に溶接を使用しないので、製造コストの軽減が可能となる。
【0040】
(第2実施形態)
本実施形態はセパレータの形状が異なる以外は、第1実施形態に同じなので、同じ部分は説明を省略し、第1実施形態と同じものは、同一符号を付して、説明は省略する。
図6(A)に示すようにセパレータ24は、外周がタンク本体21の内周面に沿った形状をなし、該タンク本体21の軸線を横切るように配設され、タンク本体21内の燃料の揺動を抑制する縦壁部24aと、該縦壁部24aの外周部から屈折されたフランジ部24b(横方向フランジ部)、24b、24c(縦方向フランジ部)、24cと、コーナを削除した削除部24gとで構成されている。
【0041】
セパレータ24の夫々のフランジ部24b、24cは断面が略矩形状の筒型タンク本体21の周方向に沿い且つ、筒型タンク本体21の軸線方向に間隔を有した一対の条状で内方へ突出したA突起部25及び、B突起部26との間に圧入される。
そして、セパレータ24の縦壁部24aには補強部が形成されている。
補強部は、フランジ部24b、24b、24c、24c夫々のフランジ基部近傍から縦壁部24aに縦壁部24aの中央部の緩和孔24dに向け幅が漸次縮小するビード部24fが延在して配設されている。
【0042】
更に、各ビード部24fの先端部は緩和孔24dを中心とした円形状ビード部24eと連結した構造になっている。
緩和孔24dの開口縁はビード部24eの高さを縦壁部24aの一般面と同一にしたフランジ状の円形帯状部24kを配設して、縦壁部24aの面方向の振動により発生する応力を緩和する構造としてある。
尚、中央の緩和孔24dはタンク本体21内で揺動する燃料の一部を通過させて、セパレータ22が受ける作用力を和らげるものである。
【0043】
本実施形態によると、比較的に剛性が小さいセパレータ24の外周部のビード部幅を広くし、剛性の高くなる中央部に向かうにしたがいビード幅を縮小させることにより、セパレータ24の全域における剛性の均一化を図ることにより、セパレータ24をタンク本体21に圧入する際に、セパレータ24を全体で弾性変形させることにより、変形量を大きくして、A突起部25及び、B突起部26を乗越え易くすることができる。
また、各ビード部24fの先端部は緩和孔24dを中心とした円形状のビード部24eと連結した補強部構造にしたので、各フランジ部に作用した外部からの作用力は対向するフランジ部(例えば24b⇔24b、又は24c⇔24c)側にも伝達するので、燃料タンク全体の剛性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
トラックや産業機械等に取付けられ、ガソリンや軽油等の液体燃料を貯蔵する燃料タンクの亀裂防止にてきようできる。
【符号の説明】
【0045】
1 車両
2 燃料タンク
3 タンクブラケット
4 締結バンド
4a 帯状鉄板.
4b 係合片
4c ボルト
21 タンク本体
22,24 セパレータ
22a、24a 縦壁部
22b、22c、24b、24c フランジ部
22d,24d 緩和孔
23 鏡板
24e 円形状ビード部
24f ビード部
24k 補強部
25 A突起
25a 傾斜部
26 B突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシャシフレームのウェブ部に固着されたL字状のブラケットに締結バンドにて固定される断面が略矩形状筒型の燃料タンクであって、
該筒型のタンク本体の周方向に沿い間隔を有した一対の条状で且つ、内方へ突出した突起部と、
前記一対の突起部間の前記タンク本体内周壁に圧入するフランジ部を有し、前記筒型の軸線を横切るように配設され、前記燃料タンク内の燃料の揺動を抑制するセパレータとを備えたことを特徴とする燃料タンク構造。
【請求項2】
前記一対の突起部の前記セパレータ嵌入側に該セパレータが前記突起部を乗越え易くする傾斜面を配設したことを特徴とする請求項1記載の燃料タンク構造。
【請求項3】
前記セパレータは略矩形状のコーナ部を削除したことを特徴とする請求項1記載の燃料タンク構造。
【請求項4】
前記セパレータの各フランジ部近傍から中央部に向け幅が漸次縮小するビードを設け、該中央部で前記ビードを連結させた補強部を形成したことを特徴とする請求項1記載の燃料タンク構造。
【請求項5】
前記フランジ部の幅は前記一対の突起部の間隔に対し、許容差を有した幅になっていることを特徴とする請求項1記載の燃料タンク構造。
【請求項6】
前記前記一対の突起部の前記セパレータ嵌入側の突起部高さは、前記セパレータの弾性変形領域内の変形量で、乗越えられるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の燃料タンク構造。
【請求項7】
前記締結バンドは前記セパレート配設位置にて、前記燃料タンクを締結するようにしたことを特徴とする請求項1記載の燃料タンク構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−35429(P2013−35429A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173500(P2011−173500)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】