説明

燃料供給装置及び燃料供給システム

【課題】燃料容器内の燃料濃度を変更せずとも、電子機器に残留した燃料濃度に合わせた濃度の燃料を供給できるようにする。
【解決手段】燃料供給装置1が、電子機器900に燃料を送るポンプ6と、電子機器900に水を送るポンプ7と、ポンプ6,7を制御する制御部11と、を備える。制御部11が、目標濃度を設定し、電子機器900から検出残量、検出濃度及び容積値を受信し、受信した検出残量、検出濃度及び容積値並びに設定した目標濃度に基づき燃料流量及び水流量を設定し、ポンプ6,7の流量を設定燃料流量及び設定水流量に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給装置及び燃料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池を内蔵した電子機器が開発されている。燃料電池の発電には、メタノール等の燃料が用いられるため、電子機器に燃料を供給する必要がある。例えば、特許文献1には、電子機器に燃料を供給する機能を有したクレードルが開示されている。
【特許文献1】特開2004−296163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、燃料の沸騰や水の凍結等による不具合が起きないようにするために、電子機器に供給する燃料の濃度を調整することが望ましい。しかし、特許文献1に記載されたクレードルでは、一定濃度の燃料しか供給することができなかった。そのため、クレードルの燃料容器内の燃料濃度を変更しなければ、電子機器に供給する燃料濃度を変更することができなかった。更に、電子機器に燃料を供給する際に電子機器に異なる濃度の燃料が残留している場合があり、その場合には電子機器内の燃料電池に送られる燃料の濃度がクレードルから供給した燃料の濃度から変わってしまうことがあった。
そこで、本発明の課題は、燃料供給装置の燃料容器内の燃料濃度を変更せずとも、電子機器に残留した燃料の濃度に合わせた濃度の燃料を電子機器に供給できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、請求項1に係る発明によれば、
燃料を含む発電用液体を用いて発電する燃料電池を備える電子機器と、該電子機器に前記燃料及び水の少なくとも何れか一方を供給する燃料供給装置と、を備える燃料供給システムであって、
前記電子機器は、前記発電用液体を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内に貯留されている前記発電用液体の残量を検出する残量検出部と、前記燃料タンク内に貯留されている前記発電用液体の濃度を検出する濃度検出部と、を有し、
前記燃料供給装置は、前記燃料が貯留された燃料容器と、水が貯留された水容器と、前記電子機器から前記残量検出部により検出された前記残量及び前記濃度検出部により検出された前記濃度に基づく情報を受信する受信部と、前記燃料と前記水とを所定の混合比で混合した液体を前記燃料タンクに送る送液装置と、前記混合比を、前記受信部により受信した情報と設定された前記燃料タンクに貯留される前記発電用液体に設定される目標濃度とに基づく値に設定する制御部と、を有することを特徴とする燃料供給システムが提供される。
【0005】
請求項2に係る発明によれば、前記送液装置は、前記燃料タンクに前記燃料容器に貯留された前記燃料を送る第1の送液装置と、前記燃料タンクに前記水容器に貯留された前記水を送る第2の送液装置と、を有し、
前記制御部は、前記第1の送液装置及び前記第2の送液装置における送液量を制御して、前記混合比を前記制御部によって設定した値にすることを特徴とする請求項1記載の燃料供給システムが提供される。
【0006】
請求項3に係る発明によれば、前記燃料供給装置の前記受信部は、更に、前記電子機器より前記燃料タンクの容積値を受信し、
前記制御部は、
前記受信部によって受信した前記残量をViniとし、前記受信部によって受信した前記濃度をMiniとし、前記受信部によって受信した前記容積値をVmaxとした場合に、
式『Mx=(Vmax×目標濃度−Vini×Mini)/(Vmax−Vini)』に従ってMxを算出し、
前記Mxが0以下である場合に、前記燃料タンクに送る前記液体を、前記燃料を含まないものとし、
前記Mxがゼロより大きく、100未満である場合に、前記燃料タンクに送る前記液体における前記燃料と前記水の比率を1:(100−Mx)/Mxに設定し、
前記Mxが100以上である場合に、前記燃料タンクに送る前記液体を、前記水を含まないものとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料供給システムが提供される。
【0007】
請求項4に係る発明によれば、
前記制御部は、更に、前記受信部によって受信した前記情報に基づく前記発電用液体の濃度と、前記目標濃度とを比較する比較部を有し、
該制御部は、前記比較部によって、前記目標濃度が前記燃料タンクに貯留されている前記発電用液体の濃度より大きいと判定された場合に、前記燃料タンクに、前記送液装置により該燃料タンク内の前記発電用液体の濃度が前記目標濃度に達するまで前記燃料のみを送った後に、前記燃料と前記水を前記目標濃度に対応する混合比で混合して送るように制御し、前記比較部によって、前記目標濃度が前記燃料タンクに貯留されている前記発電用液体の濃度より小さいと判定された場合に、前記燃料タンクに、前記送液装置により該燃料タンク内の前記発電用液体の濃度が前記目標濃度になるまで前記水のみを送った後に、前記燃料と前記水を前記目標濃度に対応する混合比で混合して送るように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料供給システムが提供される。
【0008】
請求項5に係る発明によれば、
前記燃料供給装置は、温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部による検出温度に基づく複数のデータをデータ列として蓄積する記憶部と、前記記憶部に蓄積された前記データ列の値に基づいて所定の判定基準に従った判定を行い、前記目標濃度を、前記判定に基づいた値に設定する目標濃度設定部と、を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の燃料供給システムが提供される。
【0009】
請求項6に係る発明によれば、
前記燃料供給装置は、前記発電用液体の使用可能温度領域を、予め設定された複数のモードの何れかから選択する入力部と、前記目標濃度を、前記入力部による選択に従った値に設定する目標濃度設定部と、を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の燃料供給システムが提供される。
【0010】
請求項7に係る発明によれば、
前記電子機器は、温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部による検出温度に基づく複数のデータをデータ列として蓄積する記憶部と、を有し、
前記燃料供給装置の前記受信部は、更に、前記電子機器より前記記憶部に蓄積された前記データ列に基づく情報を受信し、
前記燃料供給装置は、前記目標濃度を、前記受信部により受信した前記データ列の値に基づいて所定の判定基準に従った判定をする判定を行い、前記目標濃度を、前記判定に基づいた値に設定する目標濃度設定部を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の燃料供給システムが提供される。
【0011】
請求項8に係る発明によれば、
燃料を含む発電用液体を用いて発電する燃料電池と、前記発電用液体を貯留する燃料タンクと、該燃料タンク内に貯留されている前記発電用液体の残量を検出する残量と前記燃料タンク内の前記発電用液体の濃度及び前記燃料タンクの容積値に基づく情報を送信する電子機器制御部と、を備える電子機器に前記燃料及び水の少なくとも何れか一方を供給する燃料供給装置であって、
前記電子機器は、前記発電用液体を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内の貯留されている前記発電用液体の残量を検出する残量検出部と、前記燃料タンク内に貯留されている前記発電用液体の濃度を検出する濃度検出部と、を有し、
前記燃料供給装置は、前記燃料が貯留された燃料容器と、水が貯留された水容器と、前記電子機器制御部から前記情報を受信する受信部と、前記発燃料と前記水を所定の混合比で混合した液体を前記燃料タンクに送る送液装置と、前記混合比を、前記受信部により受信した情報と設定された前記燃料タンクに貯留される前記発電用液体に設定される目標濃度とに基づく値に設定する制御部と、を有することを特徴とする燃料供給装置が提供される。
【0012】
請求項9に係る発明によれば、
前記燃料供給装置は、前記燃料タンクに前記燃料容器に貯留された前記燃料を送る第1の送液装置と、
前記燃料タンクに前記水容器に貯留された前記水を送る第2の送液装置と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の送液装置及び前記第2の送液装置における送液量を制御して、前記混合比を前記制御部によって設定した値にすることを特徴とする請求項8記載の燃料供給装置が提供される。
【0013】
請求項10に係る発明によれば、
前記制御部は、
前記受信部によって受信した検出残量をViniとし、前記受信部によって受信した検出濃度をMiniとし、前記受信部によって受信した前記容積値をVmaxとした場合に、
式『Mx=(Vmax×目標濃度−Vini×Mini)/(Vmax−Vini)』に従ってMxを算出し、
前記Mxが0以下である場合に、前記燃料タンクに送る前記液を、前記燃料を含まないものとし、
前記Mxがゼロより大きく、100未満である場合に、前記燃料タンクに送る前記液体における前記燃料と前記水の比率を1:(100−Mx)/Mxに設定し、
前記Mxが100以上である場合に、前記燃料タンクに送る前記液体を、前記水を含まないものとすることを特徴とする請求項8又は9に記載の燃料供給装置が提供される。
【0014】
請求項11に係る発明によれば、
前記制御部は、更に、前記受信部によって受信した前記情報に基づく前記発電用液体の濃度と、前記目標濃度とを比較する比較部を有し、
該制御部は、前記比較部によって、前記目標濃度が前記燃料タンクに貯留されている前記発電用液体の濃度より大きいと判定された場合に、前記燃料タンクに、前記送液装置により該燃料タンク内の前記発電用液体の濃度が前記目標濃度に達するまで前記燃料のみを送った後に、前記燃料と前記水を前記目標濃度に対応する混合比で混合して送るように制御し、前記比較部によって、前記目標濃度が前記燃料タンクに貯留されている前記発電用液体の濃度より小さいと判定された場合に、前記燃料タンクに、前記送液装置により該燃料タンク内の前記発電用液体の濃度が前記目標濃度になるまで前記水のみを送った後に、前記燃料と前記水を前記目標濃度に対応する混合比で混合して送るように制御することを特徴とする請求項8又は9に記載の燃料供給装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子機器から送信された検出残量、検出濃度及び容量データ並びに設定された目標濃度に基づき、燃料流量及び水流量が設定され、第1のポンプによる流量がその設定燃料流量に制御され、第2のポンプによる流量がその設定水流量に設定される。そのため、電子機器に残留した燃料濃度に応じた濃度の燃料を電子機器に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0017】
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係わる電子機器900及び燃料供給装置1を示した斜視図であり、図2は、本発明の第1の実施の形態における燃料供給装置及び電子機器の構成を示したブロック図である。この電子機器900と燃料供給装置1の組み合わせが、燃料供給システムである。
【0018】
電子機器900は、例えば、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistance)、電子手帳、携帯無線機その他の電子機器である。この電子機器900においては、その本体912に受入ポート911、表示部913、操作部914及びインターフェース915が設けられている。
【0019】
燃料供給装置1は電子機器900の置き台であり、この燃料供給装置1に電子機器900がセッティングされる。
【0020】
図2を用いて電子機器900について説明する。電子機器900は自己発電機能を有しており、その自己発電機能に係る構成要素が図2に示されている。図2は、電子機器900及び燃料供給装置1の構成を示したブロック図である。
【0021】
電子機器本体912には、燃料タンク901、ポンプ902、水タンク903、ポンプ904、気化器905、改質器906、一酸化炭素除去器907、燃料電池908、燃焼器909、冷却器910及び水タンク903等が内蔵されている。
【0022】
燃料タンク901には、燃料(例えば、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル)が純粋な状態又は水と混合された状態で貯留されている。水タンク903内には、水が貯留されている。ポンプ902は燃料タンク901内の燃料を気化器905に送液し、ポンプ904が水タンク903内の水を気化器905に送液する。そのため、気化器905には、燃料と水が混合された状態で送られる。
【0023】
ここで、気化器905の後段の改質器906、一酸化炭素除去器907、燃料電池908等が最適に動作するよう、その最適動作に適した濃度の燃料が気化器905に送られるようになっている。具体的には、燃料タンク901内の燃料濃度に従ってポンプ902及びポンプ904によって送る液体の流量が制御されることによって、燃料と水の混合比が調整される。その混合比は燃料タンク901内の燃料濃度に応じたものにされる。これにより、燃料タンク901内の燃料濃度に応じて、気化器905に送られる燃料濃度は適切な濃度に設定される。そのため、燃料タンク901内の燃料濃度を常に一定にする必要がなくなり、燃料タンク901内の燃料濃度を変えることができる。それゆえ、燃料タンク901内の濃度を周辺温度に合わせて適切なものとすることができる。
【0024】
例えば、電子機器900の周囲の温度が0℃かそれより低い温度であって、水タンク903内の水が凍結するような場合には、水タンク903内の水を使用することができない。その場合、燃料タンク901内の燃料濃度を適切なものとすれば、気化器905に水を供給せずとも、気化器905に適切な濃度の燃料を供給することができる。
また、例えば燃料タンク901内の燃料が純粋であると、比較的低い温度でも沸騰するため、電子機器900の周囲の温度が比較的高いときに、温度が燃料の沸点を超えてしまい、燃料が沸騰する可能性がある。その場合、燃料タンク901内の燃料が水と混合されていれば、そのような沸騰を抑えることができる。燃料タンク901内の燃料が水と混合されていても、燃料タンク901内の燃料濃度に合わせて水タンク903内からの水の供給量がポンプ904によって調整されれば、適切な濃度の燃料が気化器905に供給される。
【0025】
気化器905に送られた燃料と水の混合液は、気化器905において気化される。気化器905で気化した燃料と水は改質器906に流れ込む。改質器906においては燃料と水が触媒により改質反応を起こし、水素ガスが生成されるとともに僅かながら一酸化炭素ガスも生成される(燃料がメタノールの場合には、下記化学式(1)、(2)を参照。)。改質器906で生成された水素ガス等は一酸化炭素除去器907に送られ、更に外部の空気が一酸化炭素除去器907に送られる。一酸化炭素除去器907においては、一酸化炭素ガスが一酸化炭素除去触媒により優先的に酸化する選択酸化反応が起こり、一酸化炭素ガスが除去される(下記化学式(3)を参照)。一酸化炭素除去器907を経た水素ガス等は燃料電池908の燃料極に供給され、燃料電池908の酸素極には空気が供給され、燃料電池908における電気化学反応により電気エネルギーが生成される。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 ・・・(1)
2+CO2→H2O+CO ・・・(2)
2CO+O2→2CO2 ・・・(3)
【0026】
燃料電池908により得られた電気が電子機器900の各部に供給されたり、電子機器900の二次電池に充電されたりする。燃料電池908の燃料極に供給された水素ガスは全てが反応しない方が高効率であり、残留した水素ガスは燃焼器909に供給される。燃焼器909には水素ガスの他に空気が供給され、燃焼器909内において水素ガスが触媒により酸化され、燃焼熱が発生する。燃焼器909で発生した熱によって改質器906等が加熱される。燃焼器909の後段には冷却器910が設けられ、冷却器910において生成物中の水が冷却されて液化する。冷却器910によって液化した水は水タンク903に送られ、水タンク903に貯留される。
【0027】
なお、図2では、燃料電池908は水素の電気化学反応により発電するものであるが、液体燃料の電気化学反応により発電するものでもよい。つまり、いわゆるダイレクト燃料式燃料電池(例えば、ダイレクトメタノール式燃料電池)を燃料電池908に用いてもよい。この場合、気化器905、改質器906、一酸化炭素除去器907がなく、ポンプ902やポンプ904で送られる燃料・水は反応せずに、燃料電池908の燃料極に送られる。
【0028】
次に、第1の実施の形態における燃料供給システムの制御構成について説明する。
図3は、第1の実施の形態における燃料供給装置1及び電子機器900の制御構成を示したブロック図である。
図3に示される電子機器制御部916及び記憶部917が図1に示された電子機器本体912に内蔵されて、濃度センサ919及び残量センサ920が図2に示された燃料タンク901に設けられている。
【0029】
濃度センサ919は、燃料タンク901内の燃料濃度を検出し、検出濃度を電気信号に変換する。濃度センサ919による検出濃度を表す信号が、電子機器制御部916に出力される。
残量センサ920は、燃料タンク901内に貯留された燃料の残量(体積)を検出し、検出残量を電気信号に変換する。残量センサ920による検出残量を表す信号が、電子機器制御部916に出力される。
記憶部917は、半導体メモリ、磁気ディスク装置といった読み書き可能な記憶装置である。記憶部917には、燃料タンク901内の容積(体積)を表す容積値が予め格納されている。
電子機器制御部916は、中央演算処理装置(CPU)及び記憶装置(ROM、RAM)等を有するとともに、その記憶装置に記録されたプログラムに基づく種々の制御動作を行う。
【0030】
電子機器制御部916は、そのプログラムによって以下のように機能する。
電子機器制御部916は、濃度センサ919による検出濃度を記憶部917に記録し、記憶部917に記録された検出濃度を更新する検出濃度更新部として機能する。
また、電子機器制御部916は、残量センサ920による検出残量を記憶部917に記録し、記憶部917に記録された検出残量を更新する検出残量更新部として機能する。
また、電子機器制御部916は、インターフェース915とインターフェース41の接続が確立した場合に、記憶部917に記憶された検出濃度、検出残量及び容積値を読み込む転送データ読込部として機能する。
また、電子機器制御部916は、読み込んだ検出濃度、検出残量及び容積値を、インターフェース915を介して燃料供給装置1の制御部11に送信する送信部として機能する。なお、電子機器制御部916は、記憶部917に記憶された検出濃度・検出残量ではなく、濃度センサ919による検出濃度及び残量センサ920による検出残量を燃料供給装置1の制御部11に送信するものとしてもよい。
【0031】
第1の実施の形態における燃料供給装置1について詳細に説明する。
図1、図2に示すように、燃料供給装置1は本体2、燃料容器4、水容器5、ポンプ(送液装置)6,7、流量センサ8,9、供給ポート10、制御部11、温度センサ(温度検出部)12、装着センサ(装着検出部)13及びインターフェース41等を備える。
【0032】
本体2には装着部3が形成され、その装着部3が上に開口している。本体2の装着部3に電子機器本体912が装着されると、電子機器900に充電が行われたり、電子機器900と外部機器等との通信が行われたりする。
【0033】
装着部3には装着センサ13が設けられている。装着センサ13は、装着部3に電子機器本体912が装着されたか否かを検知するものである。
【0034】
装着部3にはインターフェース41が設けられている。一方、電子機器本体912にインターフェース915が設けられ、装着部3に電子機器本体912が装着されると、インターフェース41とインターフェース915が接続される。インターフェース41,915は、例えばUSB規格のインターフェースである。
【0035】
また、装着部3には供給ポート10が設けられている。一方、電子機器本体912には受入ポート911が設けられ、電子機器本体912が装着部3に装着されると、供給ポート10と受入ポート911が接続される。なお、受入ポート911は電子機器900の燃料タンク901に通じている。
【0036】
燃料容器4及び水容器5が本体2に対して着脱可能とされている。燃料容器4には純粋な燃料が貯留され、水容器5には水が貯留されている。水容器5に貯留する水としては純水が好ましく、例えば外部から注入される。
【0037】
本体2には、ポンプ6,7、流量センサ8,9及び制御部11が内蔵されている。燃料容器4が本体2に装着されると、燃料容器4がポンプ6に接続され、水容器5が本体2に装着されると、水容器5がポンプ7に接続される。
【0038】
ポンプ6は燃料容器4内の燃料を供給ポート10に向けて送液するものである。ポンプ7は水容器5内の水を供給ポート10に向けて送液するものである。ポンプ6から供給ポート10までの経路の途中に流量センサ8が設けられ、ポンプ6によって送られる燃料の流量が流量センサ8によって検出されて電気信号に変換される。ポンプ7から供給ポート10までの経路の途中に流量センサ9が設けられ、ポンプ7によって送られる水の流量が流量センサ9によって検出されて電気信号に変換される。燃料供給装置1は、燃料容器4に貯留された燃料と水容器5に貯留された水をポンプ6及びポンプ7を介して適当な比率で混合した液体、又は、燃料容器4に貯留された燃料のみをポンプ6を介して、供給ポート10を介して発電用液体として電子機器900の燃料タンク901に供給する。
なお、上記において、燃料供給装置1は燃料を送液するポンプ6と水を送液するポンプ7の2つのポンプを備えるものとしたが、例えば、一つのポンプと複数のバルブを備えて、各バルブを適宜操作することで供給する経路を切り換えるような構成を備えるものであってもよい。
【0039】
本体2には温度センサ12が設けられている。温度センサ12は、本体2周辺の温度を検出し、検出温度を電気信号に変換する。
【0040】
図3に示すように、燃料供給装置1は制御部11を具備する。
流量センサ8,9による検出流量を表す信号が、制御部11に出力される。
温度センサ12による検出温度を表す信号が、制御部11に出力される。
装着センサ13による装着・非装着を表す信号が、制御部11に出力される。
記憶部14は、半導体メモリ、磁気ディスク装置といった読み書き可能な記憶装置である。
ドライバ16は、制御部11から制御信号が供給されてポンプ6を駆動する駆動信号を出力して、ポンプ6を駆動制御するものである。
ドライバ17は、制御部11から制御信号が供給されてポンプ7を駆動する駆動信号を出力して、ポンプ7を駆動制御するものである。
制御部11は、中央演算処理装置(CPU)及び記憶装置(ROM、RAM)等を有するとともに、記憶装置に記録されたプログラムに基づく種々の制御動作を行う。
【0041】
制御部11は、そのプログラムによって以下のように機能する。
制御部11は、温度センサ12による検出温度を所定時間ごとに(例えば、1分ごとに)記憶部14に蓄積し、検出温度のデータ列を記憶部14に生成する温度データ蓄積部として機能する。ここで、制御部11は、検出温度を記憶部14に記録するに際して、その検出時刻を検出温度に対応付けして、記憶部14に記録する。
【0042】
また、制御部11は、目標濃度を設定する目標濃度設定部として機能する。具体的には、制御部11は、次の読込部、判定部及び濃度決定部として機能することで、目標濃度設定部として機能する。即ち、制御部11は、装着センサ13から装着を表す信号を入力した場合に、記憶部14に記憶された検出温度のデータ列を読み込む読込部と、記憶部14から読み込んだ検出温度のデータ列について所定の判定基準に従った判定をする判定部と、その判定結果に従って目標濃度を決定する濃度決定部として機能する。
【0043】
また、制御部11は、インターフェース915とインターフェース41の接続が確立した場合に、インターフェース41を介して電子機器制御部916に検出濃度、検出残量及び容積値を要求する要求部として機能する。そして、制御部11は、インターフェース41を介して、電子機器制御部916から送信された検出濃度、検出残量及び容積値を受信する受信部として機能する。
また、制御部11は、受信した検出濃度、検出残量及び容積値並びに決定した目標濃度に基づき燃料の供給流量(以下、設定燃料流量という。)及び水の供給流量(以下、設定水流量という。)を設定する流量設定部として機能する。
また、制御部11は、ドライバ16,17を介してポンプ6,7を制御することで、ポンプ6の流量を設定燃料流量にするとともにポンプ7の流量を設定水流量にする制御部として機能する。
【0044】
制御部11及び電子機器制御部916の処理の流れ及びその処理に基づく燃料供給装置1及び電子機器900の動作について説明する。
【0045】
図4は、第1の実施の形態における電子機器の制御部による処理の流れを示したフローチャートであり、図5は、第1の実施の形態における燃料供給装置の制御部による処理の流れを示したフローチャートである。
燃料供給装置1においては、温度センサ12によって温度が検出され、検出温度を表す信号が制御部11に出力されている。制御部11は、所定時間ごとに、温度センサ12による検出温度をその検出時刻に対応付けして記憶部14に記録する。これにより、検出時刻に対応付けされた検出温度のデータ列が記憶部14に蓄積されていく。なお、制御部11が過去所定期間分(例えば、一週間分)の検出温度を記憶部14に蓄積し、それ以前の検出温度を記憶部14から削除して、記憶部14に必要な容量の増大を抑えるようにしてもよい。
【0046】
一方、電子機器900においては、濃度センサ919によって燃料タンク901内の燃料濃度が検出され、検出濃度を表す信号が電子機器制御部916に出力されている。また、残量センサ920によって燃料タンク901内の燃料の残量が検出され、検出残量を表す信号が電子機器制御部916に出力されている。電子機器制御部916は、濃度センサ919による検出濃度及び残量センサ920による検出残量を記憶部917に記録し、記憶部917に記録された検出濃度・検出残量を更新する。
【0047】
電子機器制御部916は検出濃度・検出残量の更新処理に並行して、図4に示すような処理を行い、燃料供給装置1の制御部11は温度データ蓄積処理に並行して、図5に示すような処理を行う。
即ち、電子機器制御部916は、制御部11からデータ要求を受けるまで待機する(ステップS1:No)。一方、制御部11は装着センサ13の信号を入力し、装着部3に電子機器本体912が装着されたか否かを装着センサ13の信号に基づき判定する(ステップS3)。
ここで、ユーザが電子機器本体912を装着部3に装着すると、供給ポート10が受入ポート911に接続されるとともに、インターフェース41がインターフェース915に接続され、更に装着部3への電子機器本体912の装着が装着センサ13に検出され、その旨の信号が制御部11に出力される。そうすると、制御部11の処理がステップS4に移行する(ステップS3:Yes)。
【0048】
ステップS4では、制御部11が目標濃度を設定する。目標濃度の設定の具体例については後述する。目標濃度の設定後、制御部11は、電子機器制御部916にデータの要求をする(ステップS5)。データ要求を受けた電子機器制御部916が、記憶部917に記録された検出濃度、検出残量及び容積値を読み込み、それらを制御部11に送信する(ステップS1:Yes、ステップS2)。なお、電子機器制御部916は、記憶部917から検出濃度・検出残量を読み込んで送信するのではなく、濃度センサ919による検出濃度及び残量センサ920による検出残量を制御部11に送信するものとしてもよい。
【0049】
制御部11は、電子機器制御部916から検出濃度、検出残量及び容積値を受信する(ステップS6:Yes)。なお、以下、ステップS6において受信した検出濃度の値をMini[vol%]とし、検出残量の値をVini[m3]とし、容積値の値をVmax[m3]とする。
【0050】
次に、制御部11は、ステップS6で受信した検出濃度、検出残量及び容積値と、ステップS4で設定した目標濃度とに基づき、設定燃料流量と設定水流量を設定する(ステップS7)。つまり、制御部11は、燃料タンク901内の燃料濃度がステップS4で設定した目標濃度に等しく、又はその目標濃度に近くなるよう、ステップS6で受信した検出濃度、検出残量及び容積値を考慮して設定燃料流量及び設定水流量を設定する。設定燃料流量及び設定水流量を設定するアルゴリズムの具体例については後述する。なお、以下では、設定燃料流量の値をVM[m3/Sec]とし、設定水流量の値をVW[m3/Sec]とする。
【0051】
次に、制御部11は、ポンプ6,7を駆動する(ステップS8)。ここで、制御部11は、ポンプ6による燃料の流量を、ステップS7で設定した設定燃料流量VMに制御するとともに、ポンプ7による燃料の流量を、ステップS7で設定した設定水流量VWに制御する。具体的には、制御部11は、流量センサ8,9による検出流量をフィードバックしながら、流量センサ8による検出流量を設定燃料流量VMに保たせるとともに流量センサ9による検出流量を設定水流量VWに保たせるようにポンプ6,7を制御する。
【0052】
ポンプ6,7が作動することで、燃料容器4内の燃料が供給ポート10、受入ポート911を通じて燃料タンク901に送られるとともに、水容器5内の水が供給ポート10、受入ポート911を通じて燃料タンク901に送られる。燃料タンク901に送られる燃料と水の体積比は、ポンプ6,7による流量によって決まる。
【0053】
そして、燃料タンク901内に燃料と水(場合によっては燃料のみ)が満たされると、制御部11がポンプ6,7を停止する(ステップS9)。そして、制御部11の処理が終了する。ここで、燃料タンク901が満たされたか否かの判断は、例えば、ポンプ6,7から送った流量を積算し、流量の積算値が受信した検出残量及び容積値から算出される燃料タンク901の空き容量に達したか否かを判断することによって行われる。
【0054】
以上のように、燃料タンク901に送られる燃料と水の流量比、つまり体積比は、燃料タンク901の容量、燃料タンク901内の燃料濃度及び燃料タンク901内の燃料残量に応じたものとなる。つまり、燃料タンク901の容量、燃料タンク901内の燃料濃度及び燃料タンク901内の燃料残量が考慮されて、供給する燃料と水の体積比が決まる。従って、燃料と水の供給後の燃料タンク901内の燃料濃度は、供給前の燃料タンク901内の燃料濃度・燃料残量に影響されずに、目標濃度に等しく又は目標濃度に近い濃度になる。
【0055】
<ステップS4の目標濃度設定処理(その1)>
ステップS4において、制御部11における目標濃度を設定する処理の第1の例について具体的に説明する。
図6は、第1の実施の形態における燃料供給装置の制御部による目標濃度を設定する処理の第1の例における処理の流れを示したフローチャートである。
【0056】
装着部3への電子機器本体912の装着が装着センサ13に検出されると(ステップS3:Yes)、制御部11が記憶部14に記録された検出温度のデータ列を読み込む(ステップS10)。続いて、制御部11は、読み込んだ検出温度のデータ列について所定の判定基準に従った判定をする(ステップS11〜ステップS13)。ここでは、制御部11は、ステップS10で読み込んだ検出温度のデータ列について次のような基準に従った判定を行う。
(1) 制御部11は、読み込んだ過去一週間分の検出温度のデータ列のなかに、「40℃以上」のデータが含まれるか否か判定する(ステップS11)。なお、制御部11が、読み込んだ過去一週間分の検出温度のデータ列のなかに、「40℃以上」のデータが例えば10個分(10分間のデータ列に相当する。)連続して含まれるか否か判定するものとしてもよい。
(2) 制御部11は、読み込んだ過去一週間分の検出温度のデータ列のなかに、「35℃以上、40℃未満」のデータが含まれているか否か判定する(ステップS12)。なお、制御部11が、読み込んだ過去一週間分の検出温度のデータ列のなかに、「35℃以上、40℃未満」のデータが例えば10個分(10分間のデータ列に相当する。)連続して含まれるか否か判定するものとしてもよい。
(3) 制御部11は、読み込んだ過去一週間分の検出温度のデータ列のなかに、「3℃以下」のデータが含まれているか否か判定する(ステップS13)。なお、制御部11が、読み込んだ過去一週間分の検出温度のデータ列のなかに、「3℃以下」のデータが例えば10個分(10分間のデータ列に相当する。)連続して含まれるか否か判定するものとしてもよい。
ここで、判定の優先順位は(1)、(2)、(3)の順である。なお、(1)、(2)、(3)における判断基準となる閾値は一例であり、(1)における閾値が(2)における閾値よりも高く、(2)における閾値が(3)における閾値よりも高ければ、具体的な数値は変更してもよい。
【0057】
それゆえ、読み込んだ過去一週間分の検出温度のデータ列のなかに、「40℃以上」のデータがある場合には(ステップS11:Yes)、制御部11の処理がステップS17に移行する。なお、ステップS11の判定がYesである場合、電子機器900の燃料タンク901内の燃料又は燃料と水の混合液が70℃に達する可能性があると判定されたことを意味する。
【0058】
読み込んだ過去一週間分の検出温度のデータ列のなかに、「40℃以上」のデータがなく、かつ、「35℃以上」データがある場合には(ステップS11:No、ステップS12:Yes)、制御部11の処理がステップS14に移行する。なお、ステップS12の判定がYesである場合、電子機器900の燃料タンク901内の燃料又は燃料と水の混合液が64℃に達する可能性があると判定されたことを意味する。
【0059】
読み込んだ過去一週間分の検出温度のデータ列のなかに、「40℃以上」のデータ及び「35℃以上」のデータがなく、かつ「3℃以下」のデータがある場合には(ステップS11:No、ステップS12:No、ステップS13:Yes)、制御部11の処理がステップS16に移行する。なお、ステップS13の判定がYesである場合、電子機器900の水タンク903内の水が凍結する可能性があると判定されたことを意味する。
【0060】
読み込んだ過去一週間分の検出温度のデータ列のなかに、「40℃以上」のデータ、「35℃以上」のデータ及び「3℃以下」のデータがない場合には(ステップS11:No、ステップS12:No、ステップS13:No)、制御部11の処理がステップS15に移行する。なお、ステップS13の判定がNoである場合、電子機器900の水タンク903内の水が凍結するおそれもなく、燃料タンク901内の燃料又は燃料と水の混合液が沸騰するおそれもないと判定されたことを意味する。
【0061】
ステップS14においては、制御部11が目標濃度を所定の濃度Ma[vol%](但し、Ma>0)に決定する。ここで、燃料がメタノールである場合、濃度Maは燃料と水の混合液の沸点が70℃になるような値であり、濃度Maの具体的な数値は約81[vol%]である。
【0062】
ステップS15においては、制御部11が目標濃度を100[vol%]に決定する。
【0063】
ステップS16においては、制御部11が目標濃度を所定の濃度Mk[vol%](但し、0<Mk<Ma)に決定する。ここで、燃料がメタノールである場合、Mkは電子機器900の燃料電池908において最適な燃料濃度となるような値であり、濃度Mkの具体的な数値は約65[vol%]である。
【0064】
ステップS17においては、制御部11が目標濃度を所定の濃度Mb[vol%](但し、0<Mb<Ma)に決定する。ここで、燃料がメタノールである場合、濃度Mbは燃料と水の混合液の沸点が約78℃になるような値であり、濃度Mbの具体的な数値は約49%である。
なお、Ma、Mb、Mkの数値は上記に限るものではないが、0<Mb<Mk<Maの関係が成り立つことが好ましい。
【0065】
以上のように、ステップS11の判定がYesである場合、電子機器900の燃料タンク901内の燃料又は燃料と水の混合液が70℃に達する可能性があるため、目標濃度は、そのような温度でも沸騰しないような混合液(沸点約78℃)の濃度になる。
また、ステップS12の判定がYesである場合、電子機器900の燃料タンク901内の燃料又は燃料と水の混合液が64℃に達する可能性があるため、目標濃度は、そのような温度でも沸騰しないような混合液(沸点約70℃)の濃度になる。
また、ステップS13の判定がYesである場合、電子機器900の水タンク903内の水が凍結して使用できない可能性があるため、目標濃度は、水タンク903内の水を使用せずとも燃料電池908等で発電できるような混合液の濃度になる。
また、ステップS13の判定がNoである場合、水タンク903内の水も使用でき、更に燃料タンク901内でも沸騰の可能性がないので、目標濃度は100%となる。なお、電子機器900の燃料タンク901に貯留される燃料の濃度が高ければ、水タンク903内の水を使用して燃料電池908等で発電できるうえ、電子機器900における燃料の消費速度も純粋でない場合よりも遅くすることができる。
【0066】
<ステップS4の目標濃度設定処理(その2)>
ステップS4において、制御部11における目標濃度を設定する処理の第2の例について具体的に説明する。
図7は、第1の実施の形態における燃料供給装置の制御部による目標濃度を設定する処理の第2の例における処理の流れを示したフローチャートである。
【0067】
装着部3への電子機器本体912の装着が装着センサ13に検出されると(ステップS3:Yes)、制御部11が記憶部14に記録された検出温度のデータ列を読み込む(ステップS20)。続いて、制御部11は、読み込んだ検出温度のデータ列について所定の判定基準に従った判定をする(ステップS22〜ステップS24)。ここでは、制御部11は、ステップS20で読み込んだ検出温度のデータ列から過去1週間の日ごとの最高気温及び最低気温を求め、求めた最高気温及び最低気温の週間平均値を求め(ステップS21)、最高気温及び最低気温の週間平均値について次のような基準に従った判定を行う。
(1) 制御部11は、最高気温の週間平均値が「40℃以上」であるか否か判定する(ステップS22)。
(2) 制御部11は、最高気温の週間平均値が「35℃以上、40℃未満」であるか否かを判定する(ステップS23)。
(3) 制御部11は、最低気温の週間平均値が「3℃以下」であるか否かを判定する(ステップS24)。
ここで、判定の優先順位は(1)、(2)、(3)の順である。なお、日ごとの最高気温・最低気温の週間平均値の代わりに他の統計値(例えば、日ごとの最高気温・最低気温の週間中央値、日ごとの平均気温、ある時間にわたる温度移動平均値、日ごとの最高気温・最低気温の所定日数間平均値、日ごとの最高気温・最低気温から所定値を除外した後の平均値、日ごとの最高気温・最低気温の変化量に基づいた今後の最低気温・最高気温の予測値等)を求めて、それについて(1)、(2)、(3)の基準に従って判定してもよい。
【0068】
最高気温の週間平均値が「40℃以上」である場合には(ステップS22:Yes)、制御部11の処理がステップS28に移行する。また、最高気温の週間平均値が「35℃以上、40℃未満」である場合には(ステップS22:No、ステップS23:Yes)、制御部11の処理がステップS25に移行する。また、最高気温の週間平均値が「35℃未満であって、最低気温の週間平均値が「3℃以下」である場合には(ステップS22:No、ステップS23:No、ステップS24:Yes)、制御部11の処理がステップS27に移行する。また、最高気温の週間平均値が「35℃未満」であって、最低気温の週間平均値が「3℃超」である場合には(ステップS22:No、ステップS23:No、ステップS24:No)、制御部11の処理がステップS26に移行する。
【0069】
ステップS25においては、制御部11が上述のステップS14と同様に目標濃度を濃度Maに決定する。ステップS26においては、制御部11が上述のステップS15と同様に目標濃度を100[vol%]に決定する。ステップS27においては、制御部11が上述のステップS16と同様に目標濃度を濃度Mkに決定する。ステップS28においては、制御部11が上述のステップS17と同様に目標濃度を濃度Mbに決定する。
【0070】
<ステップS4の目標濃度設定処理(その3)>
ステップS4において、制御部11における目標濃度を設定する処理の第3の例について具体的に説明する。但し、燃料供給装置1のハードウェアの構成が上述の目標濃度設定処理(その1)・(その2)の場合と異なるので、その点についてまず説明する。
【0071】
図8は、第1の実施の形態における目標濃度を設定する処理の第3の例に関わる燃料供給装置の入力部を示した概略図であり、図9は、第1の実施の形態における燃料供給装置の制御部による目標濃度を設定する処理の第3の例における処理の流れを示したフローチャートである。
即ち、本構成においては、図8に示されるような三つの押釦型スイッチ21〜23が図1に示された本体2に設けられている。押釦型スイッチ21〜23は図3に示された制御部11に接続され、押釦型スイッチ21〜23が押された場合には、その旨の信号が押釦型スイッチ21〜23から制御部11に出力される。
【0072】
また、プログラムによる制御部11の目標濃度設定部は、上述の読込部、判定部及び濃度決定部として機能するのではなく、次のように機能する。即ち、制御部11は、装着センサ13から装着を表す信号を入力した場合に、押釦型スイッチ21〜23の何れかが押されるまで待機する手段として機能するとともに、押釦型スイッチ21〜23のうち何れかが押された場合に、押された押釦型スイッチに応じた目標濃度を決定する濃度決定部として機能する。図3に示された記憶部14及び温度センサ12が設けられていなくてもよい。
【0073】
ステップS4において、制御部11が目標濃度を設定する処理について図9を用いて具体的に説明する。
装着部3への電子機器本体912の装着が装着センサ13に検出されると(ステップS3:Yes)、制御部11が押釦型スイッチ21〜23の何れかが押されるまで待機する(ステップS31:No、ステップS32:No及びステップS33:No)。押釦型スイッチ21〜23の何れかが押されると、制御部11がその旨の信号をその押釦型スイッチから入力する(ステップS31:Yes、ステップS32:Yes又はステップS33:Yes)。
【0074】
押釦型スイッチ21が押下された場合には、制御部11が上述のステップS17と同様に目標濃度を濃度Mbに決定する(ステップS34)。押釦型スイッチ22が押下された場合には、制御部11が上述のステップS15と同様に目標濃度を100[vol%]に決定する(ステップS35)。押釦型スイッチ23が押下された場合には、制御部11が上述のステップS16と同様に目標濃度を濃度Mkに決定する(ステップS36)。
【0075】
なお、入力部が複数の押釦型スイッチ21〜23からなり、これら押釦型スイッチ21〜23の何れかが押下されることで、目標濃度が決定されたが、各種の入力装置(例えば、タッチパネル、ポインティングデバイス、キーボード等)を用いて供給量比を選択してもよい。
また、目標濃度設定処理(その3)が適用される場合には、制御部11が温度センサ12による検出温度を記憶部14に蓄積しなくてもよい。
【0076】
以上のように、ユーザ等が周辺環境等を考慮して押釦型スイッチ21〜23の何れかを選択することで、環境温度に適した目標濃度が決定される。そのため、燃料容器4内の燃料濃度を変更せずとも、周辺環境等に合わせた濃度の燃料を供給することができる。
【0077】
<ステップS4の目標濃度設定処理(その4)>
ステップS4において、制御部11が目標濃度を設定する処理の第4の例について具体的に説明する。但し、燃料供給装置1及び電子機器900のハードウェアの構成が上述の目標濃度設定処理(その1)・(その2)の場合と異なるので、その点についてまず説明する。
【0078】
図10は、第1の実施の形態における目標濃度を設定する処理の第4の例に関わる燃料供給装置及び電子機器の構成を示したブロック図であり、図11は、第1の実施の形態における目標濃度を設定する処理の第4の例に関わる電子機器の制御部による処理の流れを示したフローチャートであり、図12は、第1の実施の形態における燃料供給装置の制御部による目標濃度を設定する処理の第4の例における処理の流れを示したフローチャートである。
図10に示すように、電子機器900は、温度センサ918を更に具備する。温度センサ918は、温度を検出し、検出温度を電気信号に変換する。温度センサ918による検出温度を表す信号が、電子機器制御部916に出力される。温度センサ918によって温度を測定する箇所は、水タンク903又は燃料タンク901の内部又はその周辺である。
【0079】
電子機器制御部916は、そのプログラムによって追加的に以下のように機能する。
電子機器制御部916は、温度センサ918による検出温度を所定時間ごとに(例えば、1分ごとに)記憶部917に蓄積し、検出温度のデータ列を記憶部917に生成する温度データ蓄積部として機能する。ここで、電子機器制御部916は、検出温度を記憶部917に記録するに際して、その検出時刻を検出温度に対応付けして、記憶部917に記録する。
また、電子機器制御部916は、インターフェース915とインターフェース41の接続が確立した場合に、記憶部917に記憶された検出温度のデータ列を読み込む読込部として機能する。また、電子機器制御部916は、読み込んだ検出温度のデータ列を、インターフェース915を介して制御部11に送信する送信部として機能する。
【0080】
また、プログラムによる制御部11の目標濃度設定部は、上述の読込部、判定部及び濃度決定部として機能するのではなく、次のように機能する。即ち、制御部11は、インターフェース915とインターフェース41の接続が確立した場合に、インターフェース41を介して電子機器制御部916に検出温度のデータ列を要求する要求部として機能する。そして、制御部11は、インターフェース41を介して、電子機器制御部916から送信された検出温度のデータ列を受信する受信部として機能する。また、制御部11は、受信した検出温度のデータ列について、所定の判定基準に従った判定をする判定部として機能するとともに、その判定結果に従って目標濃度を決定する濃度決定部として機能する。
なお、温度センサ12、装着センサ13、記憶部14が設けられていなくてもよい。
【0081】
電子機器制御部916は図4に示された処理に並行して、次のような処理を行うので、それについて説明する。
温度センサ918によって温度が検出され、検出温度を表す信号が電子機器制御部916に出力されている。電子機器制御部916は、所定時間ごとに、温度センサ918による検出温度をその検出時刻に対応付けして記憶部917に記録する。これにより、検出時刻に対応付けされた検出温度のデータ列が記憶部917に蓄積されていく。なお、電子機器制御部916が過去所定期間分(例えば、一週間分)の検出温度を記憶部917に蓄積し、それ以前の検出温度を記憶部917から削除してもよい。
【0082】
装着部3への電子機器本体912の装着が装着センサ13に検出されると(ステップS3:Yes)、制御部11は、電子機器制御部916にデータを要求する(ステップS51)。一方、電子機器制御部916は、制御部11からデータ要求を受けるまで待機する(ステップS41:No)。そして、ステップS51のデータ要求を受けた電子機器制御部916が、記憶部917に記録された検出温度のデータ列を読み込み、それを制御部11に送信する(ステップS41:Yes、ステップS42)。制御部11は、電子機器制御部916から検出温度のデータ列を受信する(ステップS52:Yes)。
【0083】
そして、制御部11は、受信した検出温度のデータ列について所定の判定基準に従った判定をし(ステップS11〜S13)、その判定結果に従って目標濃度を決定する(ステップS14〜17)。図12に示したステップS11〜S17の制御部11の処理は、図6に示したステップS11〜S17の制御部11の処理と同様である。
【0084】
なお、図12に示されたステップS11〜ステップS17に代えて、図7に示されたステップS21〜ステップS28の処理を制御部11が行ってもよい。
また、図12において、ステップS11における「40℃以上」という判断基準は一例であるので、例えばこれを「60℃以上」に変更し、ステップS12における「35℃以上、40℃未満」という判断基準を「55℃以上、60℃未満」に変更し、ステップS13における「3℃以下」という判断基準を「1℃以下」に変更してもよい。
また、目標濃度設定処理(その3)が適用される場合には、制御部11が温度センサ12による検出温度を記憶部14に蓄積しなくてもよい。
【0085】
以上のように、過去の温度履歴に応じて目標濃度が決定される。そのため、燃料容器4内の燃料濃度を変更せずとも、周辺環境等に合わせた濃度の燃料を供給することができる。
【0086】
<ステップS7の流量設定処理及びステップS8の制御処理>
ステップS7において、制御部11における設定燃料流量VM及び設定水流量VWを設定する処理について具体的に説明する。
図13は、第1の実施の形態の燃料供給装置の制御部による設定燃料流量及び設定水流量を設定する処理の流れを示したフローチャートである。
【0087】
図13に示すように、制御部11は、まず、ステップS4において設定した目標濃度が100[vol%]であるか否かを判定する(ステップS60)。目標濃度が100[vol%]である場合には、制御部11の処理がステップS64に移行し、そうでない場合には、制御部11の処理がステップS61に移行する。
【0088】
ステップS61においては、制御部11は、次式に従って、目標濃度、検出濃度Mini、検出残量Vini及び容積値Vmaxから、補給しようとする燃料の濃度Mxを計算する。
Mx=(Vmax×目標濃度−Vini×Mini)/(Vmax−Vini)
【0089】
そして、制御部11は、算出した濃度Mxについて判断を行う(ステップS62)。即ち、濃度Mxがゼロを超え、100未満である場合には、制御部11の処理がステップS63に移行し、濃度Mxが100以上である場合には、制御部11の処理がステップS64に移行し、濃度Mxがゼロ以下である場合には、制御部11の処理がステップS65に移行する。
【0090】
ステップS63においては、制御部11は、算出した濃度Mxから設定燃料流量VM及び設定水流量VWを設定する。ここで、制御部11は、設定燃料流量VMと設定水流量VWの比が以下になるように、設定燃料流量VM及び設定水流量VWを設定する。
VM:VW=1:(100−Mx)/Mx
【0091】
ステップS64は濃度Mxが100(即ち、100%)以上となった場合であるが、実際には濃度Mxを100%より大きくすることは出来ないため、上限値として濃度Mxを100%にするように、制御部11は、設定水流量VWをゼロに設定する。設定燃料流量VMについては、ゼロを超えていれば、任意の値に設定する。
【0092】
ステップS65は濃度Mxがゼロ(即ち、0%)以下となった場合であるが、実際には濃度を0%より小さくすることはできないため、下限値として濃度Mxを0%にするように、制御部11は、設定燃料流量VMをゼロに設定する。設定水流量VMについては、ゼロを超えていれば、任意の値に設定する。
【0093】
制御部11は、ステップS63、ステップS64又はステップS65で設定燃料流量VM及び設定水流量VWを設定したら、上述のようにポンプ6,7による流量を設定燃料流量VM、設定水流量VWに制御する(ステップS8)。
【0094】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2実施形態における燃料供給装置1及び電子機器900のハードウェア構成は、第1実施形態で図1、図2、図3、図8、図10を用いて説明したハードウェア構成と同じである。
図14は、第2の実施の形態における電子機器の制御部による処理の流れを示したフローチャートであり、図15及び図16は、第2の実施の形態における燃料供給装置の制御部による処理の流れを示したフローチャートである。
【0095】
プログラムによる制御部11及び電子機器制御部916の処理の流れが第1実施形態の場合と異なるので、それについて説明する。
【0096】
燃料供給装置1においては、温度センサ12によって温度が検出され、検出温度を表す信号が制御部11に出力されている。制御部11は、所定時間ごとに、温度センサ12による検出温度をその検出時刻に対応付けして記憶部14に記録する。これにより、検出時刻に対応付けされた検出温度のデータ列が記憶部14に蓄積されていく。なお、制御部11が過去所定期間分(例えば、一週間分)の検出温度を記憶部14に蓄積し、それ以前の検出温度を記憶部14から削除して、記憶部14に必要な容量の増大を抑えるようにしてもよい。
【0097】
一方、電子機器900においては、濃度センサ919によって燃料タンク901内の燃料濃度が検出され、検出濃度を表す信号が電子機器制御部916に出力されている。また、残量センサ920によって燃料タンク901内の燃料の残量が検出され、検出残量を表す信号が電子機器制御部916に出力されている。電子機器制御部916は、濃度センサ919による検出濃度及び残量センサ920による検出残量を記憶部917に記録し、記憶部917に記録された検出濃度・検出残量を更新する。
【0098】
電子機器制御部916は検出濃度・検出残量の更新処理に並行して、図14に示すような処理を行い、燃料供給装置1の制御部11は温度データ蓄積処理に並行して、図15、図16に示すような処理を行う。
即ち、電子機器制御部916は、制御部11からデータ要求を受けるまで待機する(ステップS70:No)。一方、制御部11は装着センサ13の信号を入力し、装着部3に電子機器本体912が装着されたか否かを装着センサ13の信号に基づき判定する(ステップS81)。
ここで、ユーザが電子機器本体912を装着部3に装着すると、供給ポート10が受入ポート911に接続されるとともに、インターフェース41がインターフェース915に接続され、更に装着部3への電子機器本体912の装着が装着センサ13に検出され、その旨の信号が制御部11に出力される。そうすると、制御部11の処理がステップS82に移行する(ステップS81:Yes)。
【0099】
ステップS82では、制御部11が目標濃度を設定する。ステップS82の処理は、第1実施形態におけるステップS4の処理と同じである。つまり、ステップS82の処理には、上述の目標濃度設定処理(その1)、(その2)、(その3)、(その4)の何れかが適用される。
【0100】
そして、制御部11はステップS82において設定した目標濃度が100[vol%]であるか否かを判定する(ステップS83)。目標濃度が100[vol%]である場合には、制御部11の処理がステップS84に移行し、そうでない場合には、制御部11の処理がステップS86に移行する。
【0101】
ステップS84においては、制御部がポンプ6を駆動し、ポンプ7を作動させない。そのため、純粋な燃料が電子機器900に供給される。そして、燃料タンク901内に燃料が満たされると、制御部11がポンプ6を停止し(ステップS85)、制御部11の処理が終了する。
【0102】
一方、ステップS86においては、制御部11が電子機器制御部916にデータの要求をする。データ要求を受けた電子機器制御部916が、記憶部917に記録された検出濃度及び検出残量を読み込み、それらを制御部11に送信する(ステップS70:Yes、ステップS71)。なお、電子機器制御部916は、記憶部917から検出濃度・検出残量を読み込んで送信するのではなく、濃度センサ919による検出濃度及び残量センサ920による検出残量を制御部11に送信するものとしてもよい。
【0103】
制御部11は、電子機器制御部916から検出濃度及び検出残量を受信する(ステップS87:Yes)。なお、以下、ステップS87において受信した検出濃度の値をMini[vol%]とし、検出残量の値をVini[m3]とする。
【0104】
次に、制御部11は、ステップS82で設定した目標濃度と検出濃度Miniとを比較する。比較の結果、目標濃度が検出濃度Miniよりも大きい場合、制御部11の処理がステップS89に移行し、目標濃度が検出濃度Miniよりも小さい場合、制御部11の処理がステップS95に移行し、目標濃度が検出濃度Miniに等しい場合、制御部11の処理がステップS101に移行する。
【0105】
ステップS89においては、制御部11が次式に従って設定供給量Vol_M[m3]を設定する。
Vol_M=Vini×(100−Mini)/(100−目標濃度)−Vini
【0106】
そして、制御部11がポンプ6を駆動する(ステップS90)。そのため、純粋な燃料が電子機器900に供給され、電子機器900の燃料タンク901内の燃料濃度が上昇して目標濃度に近づく。
【0107】
制御部11は、ポンプ6を駆動している時に、流量センサ8の検出流量をフィードバックして検出流量を積算することによって、燃料の供給量を求める。そして、制御部11によって求められている燃料の供給量が設定供給量Vol_Mになったら(ステップS92:Yes)、制御部11がポンプ6を一旦停止する(ステップS93)。この時、燃料タンク901内の燃料濃度が目標濃度になっている。次に、制御部11は、目標濃度から設定燃料流量及び設定水流量を設定する。ここで、制御部11は、設定燃料流量と設定水流量の比が以下になるように、設定燃料流量及び設定水流量を設定する。
設定燃料流量:設定水流量=1:(100−目標濃度)/目標濃度
次に、制御部11は、ポンプ6,7を駆動する(ステップS101)。ここで、制御部11は、ポンプ6による燃料の流量を、設定燃料流量に制御するとともに、ポンプ7による燃料の流量を、設定水流量に制御する。具体的には、制御部11は、流量センサ8,9による検出流量をフィードバックしながら、流量センサ8による検出流量を設定燃料流量に保たせるとともに流量センサ9による検出流量を設定水流量に保たせるようにポンプ6,7を制御する。そして、燃料タンク901内に燃料と水(場合によっては燃料のみ)が満たされると、制御部11がポンプ6,7を停止し(ステップS102)、制御部11の処理が終了する。この時、燃料タンク901は、目標濃度に等しい濃度の燃料で満たされている。
【0108】
一方、制御部11がポンプ6を駆動している時に(ステップS91:No、ステップS92:No)、制御部11によって求められている燃料の供給量が設定供給量Vol_Mになる前に、燃料タンク901内に燃料が満たされると(ステップS91:Yes)、制御部11がポンプ6を停止し(ステップS94)、制御部11の処理が終了する。ここで、燃料タンク901内に燃料が満たされたか否かの判断は、例えば電子機器900の残量センサ920によって検出される検出残量がゼロになったときに燃料タンク901内に燃料が満たされたと判断するものであってもよいし、ポンプ6を駆動しているときに流量センサ8によって検出される燃料の流量がゼロになったときに、燃料タンク901内に燃料が満たされたと判断するものであってもよい。この時、燃料タンク901内の燃料濃度は目標濃度にはなっていないが、その燃料濃度は検出濃度Miniよりも目標濃度に近くなっている。
【0109】
ステップS95においては、制御部11が次式に従って設定供給量Vol_W[m3]を設定する。
Vol_W=(Mini/目標濃度)×Vini−Vini
【0110】
そして、制御部11がポンプ7を駆動する(ステップS96)。そのため、水が電子機器900に供給され、電子機器900の燃料タンク901内の燃料濃度が下降して目標濃度に近づく。
【0111】
制御部11は、ポンプ7を駆動している時に、流量センサ9の検出流量をフィードバックして検出流量を積算することによって、水の供給量を求める。そして、制御部11によって求められている水の供給量が設定供給量Vol_Wになったら(ステップS98:Yes)、制御部11がポンプ7を一旦停止する(ステップS99)。この時、燃料タンク901内の燃料濃度が目標濃度になっている。次に、制御部11は、目標濃度から設定燃料流量及び設定水流量を設定する。ここで、制御部11は、設定燃料流量と設定水流量の比が以下になるように、設定燃料流量及び設定水流量を設定する。
設定燃料流量:設定水流量=1:(100−目標濃度)/目標濃度
次に、制御部11は、ポンプ6,7を駆動する(ステップS101)。ここで、制御部11は、ポンプ6による燃料の流量を、設定燃料流量に制御するとともに、ポンプ7による燃料の流量を、設定水流量に制御する。具体的には、制御部11は、流量センサ8,9による検出流量をフィードバックしながら、流量センサ8による検出流量を設定燃料流量に保たせるとともに流量センサ9による検出流量を設定水流量に保たせるようにポンプ6,7を制御する。そして、燃料タンク901内に燃料と水(場合によっては燃料のみ)が満たされると、制御部11がポンプ6,7を停止し(ステップS102)、制御部11の処理が終了する。この時、燃料タンク901は、目標濃度に等しい濃度の燃料で満たされている。
【0112】
一方、制御部11がポンプ7を駆動している時に(ステップS97:No、ステップS98:No)、制御部11によって求められている燃料の供給量が設定供給量Vol_Wになる前に、燃料タンク901内に燃料が満たされると(ステップS97:Yes)、制御部11がポンプ6を停止し(ステップS100)、制御部11の処理が終了する。ここで、燃料タンク901内に燃料が満たされたか否かの判断は、例えば電子機器900の残量センサ920によって検出される検出残量に基づいて行う。この時、燃料タンク901内の燃料濃度は目標濃度にはなっていないが、その燃料濃度は検出濃度Miniよりも目標濃度に近くなっている。
【0113】
上記ステップS88において、目標濃度が検出濃度Miniに等しいと制御部11が判断した場合、制御部11は、設定燃料流量と設定水流量の比が以下になるように、設定燃料流量及び設定水流量を設定する。
設定燃料流量:設定水流量=1:(100−目標濃度)/目標濃度
そして、制御部11は、ポンプ6,7を駆動する(ステップS101)。ここで、制御部11は、ポンプ6による燃料の流量を、設定燃料流量に制御するとともに、ポンプ7による燃料の流量を、設定水流量に制御する。具体的には、制御部11は、流量センサ8,9による検出流量をフィードバックしながら、流量センサ8による検出流量を設定燃料流量に保たせるとともに流量センサ9による検出流量を設定水流量に保たせるようにポンプ6,7を制御する。そして、燃料タンク901内に燃料と水(場合によっては燃料のみ)が満たされると、制御部11がポンプ6,7を停止し(ステップS102)、制御部11の処理が終了する。
【0114】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、上記各実施形態に対して種々の設計変更を行ったものも本発明の範囲に含まれる。以下に変形例を挙げるが、以下の変形例は、変更した部分を除いて、上記各実施形態の場合と同様である。また、以下の変形例を可能な範囲で組み合わせてもよい。
【0115】
次に、本発明の各実施形態における燃料供給装置及び電子機器の変形例について説明する。
<変形例1>
図17は、各実施形態における燃料供給装置及び電子機器の構成の第1の変形例を示したブロック図である。
本発明における電子機器900及び燃料供給装置1を図17のように変更してもよい。燃料供給装置1の水容器5に貯留される水は、上記各実施形態においては外部より注入されているものとしたが、図17に示すように、電子機器900の水タンク903に貯留されている水の一部を用いるようにしてもよい。すなわち、電子機器900の本体912に排水ポート921が設けられ、排水ポート921が水タンク903に接続されている。一方、本体2の装着部3には受水ポート51が設けられ、本体2にポンプ52が設けられ、このポンプ52は受水ポート51から水容器5までの経路に設けられている。水容器5には、浄水器(例えば、フィルター、活性炭、イオン交換膜、濾過器、蒸留器等)が設けられ、水容器5内の水から不純物が浄水器によって除去される。
【0116】
このような電子機器900及び燃料供給装置1においては、装着部3に電子機器本体912が装着されると、受水ポート51と排水ポート921が接続される。装着部3に電子機器本体912が装着されると、第1〜第2実施形態の場合と同様に、電子機器900及び燃料供給装置1が動作するが、燃料と水(又は燃料のみ)が電子機器900に供給される前に、ポンプ52が制御部11によって駆動され、これにより水タンク903内の水が水容器5へ移送される。
【0117】
<変形例2>
図18は、各実施形態における燃料供給装置及び電子機器の構成の第2の変形例を示したブロック図である。
本発明における燃料供給装置1を図18のように変更してもよい。図18に示すように、流量センサ8,9と供給ポート10との間に、燃料容器4からポンプ6、流量センサ8を介して供給される燃料と水容器5からポンプ7、流量センサ9を介して供給される水とを攪拌して混ぜて、均一な濃度の混合液を供給ポート10に送るためのミキサー55が設けられている。このミキサー55としては、例えばMEMS技術等によって製造される超小型のマイクロミキサーを適用して、燃料供給装置1が大型化することを抑えることが好ましい。
【0118】
装着部3に電子機器本体912が装着されると、第1〜第2実施形態の場合と同様に、電子機器900及び燃料供給装置1が動作する。制御部11は、ポンプ6,7を駆動する際に、ミキサー55も駆動する。そうすると、燃料と水がミキサー55によって撹拌されるから、均一な濃度の燃料と水の混合液が電子機器900に供給される。
【0119】
<変形例3>
また、第1〜第2の実施形態では、本発明に係る燃料供給装置を電子機器900の置き台に適用したものであるが、電子機器900が着脱可能な装置であれば、置き台に限定するものではなく、その他の燃料供給装置に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明に係わる燃料供給装置及び電子機器を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における燃料供給装置及び電子機器の構成を示したブロック図である。
【図3】第1の実施の形態における燃料供給装置及び電子機器の制御構成を示したブロック図である。
【図4】第1の実施の形態における電子機器の制御部による処理の流れを示したフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態における燃料供給装置の制御部による処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態における燃料供給装置の制御部による目標濃度を設定する処理の第1の例における処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態における燃料供給装置の制御部による目標濃度を設定する処理の第2の例における処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態における目標濃度を設定する処理の第3の例に関わる燃料供給装置の入力部を示した概略図である。
【図9】第1の実施の形態における燃料供給装置の制御部による目標濃度を設定する処理の第3の例における処理の流れを示したフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態における目標濃度を設定する処理の第4の例に関わる燃料供給装置及び電子機器の構成を示したブロック図である。
【図11】第1の実施の形態における目標濃度を設定する処理の第4の例に関わる電子機器の制御部による処理の流れを示したフローチャートである。
【図12】第1の実施の形態における燃料供給装置の制御部による目標濃度を設定する処理の第4の例における処理の流れを示したフローチャートである。
【図13】第1の実施の形態の燃料供給装置の制御部による設定燃料流量及び設定水流量を設定する処理の流れを示したフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態における電子機器の制御部による処理の流れを示したフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態における燃料供給装置の制御部による処理の流れを示したフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態における燃料供給装置の制御部による処理の流れを示したフローチャートである。
【図17】各実施形態における燃料供給装置及び電子機器の構成の第1の変形例を示したブロック図である。
【図18】各実施形態における燃料供給装置及び電子機器の構成の第2の変形例を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0121】
1 燃料供給装置
6、7 ポンプ
11 制御部
12 温度センサ
14 記憶部
21、22、23 押釦型スイッチ
900 電子機器
901 燃料タンク
916 電子機器制御部
917 記憶部
918 温度センサ
919 濃度センサ
920 残量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を含む発電用液体を用いて発電する燃料電池を備える電子機器と、該電子機器に前記燃料及び水の少なくとも何れか一方を供給する燃料供給装置と、を備える燃料供給システムであって、
前記電子機器は、前記発電用液体を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内に貯留されている前記発電用液体の残量を検出する残量検出部と、前記燃料タンク内に貯留されている前記発電用液体の濃度を検出する濃度検出部と、を有し、
前記燃料供給装置は、前記燃料が貯留された燃料容器と、水が貯留された水容器と、前記電子機器から前記残量検出部により検出された前記残量及び前記濃度検出部により検出された前記濃度に基づく情報を受信する受信部と、前記燃料と前記水とを所定の混合比で混合した液体を前記燃料タンクに送る送液装置と、前記混合比を、前記受信部により受信した情報と設定された前記燃料タンクに貯留される前記発電用液体に設定される目標濃度とに基づく値に設定する制御部と、を有することを特徴とする燃料供給システム。
【請求項2】
前記送液装置は、前記燃料タンクに前記燃料容器に貯留された前記燃料を送る第1の送液装置と、前記燃料タンクに前記水容器に貯留された前記水を送る第2の送液装置と、を有し、
前記制御部は、前記第1の送液装置及び前記第2の送液装置における送液量を制御して、前記混合比を前記制御部によって設定した値にすることを特徴とする請求項1記載の燃料供給システム。
【請求項3】
前記燃料供給装置の前記受信部は、更に、前記電子機器より前記燃料タンクの容積値を受信し、
前記制御部は、
前記受信部によって受信した前記残量をViniとし、前記受信部によって受信した前記濃度をMiniとし、前記受信部によって受信した前記容積値をVmaxとした場合に、
式『Mx=(Vmax×目標濃度−Vini×Mini)/(Vmax−Vini)』に従ってMxを算出し、
前記Mxが0以下である場合に、前記燃料タンクに送る前記液体を、前記燃料を含まないものとし、
前記Mxがゼロより大きく、100未満である場合に、前記燃料タンクに送る前記液体における前記燃料と前記水の比率を1:(100−Mx)/Mxに設定し、
前記Mxが100以上である場合に、前記燃料タンクに送る前記液体を、前記水を含まないものとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料供給システム。
【請求項4】
前記制御部は、更に、前記受信部によって受信した前記情報に基づく前記発電用液体の濃度と、前記目標濃度とを比較する比較部を有し、
該制御部は、前記比較部によって、前記目標濃度が前記燃料タンクに貯留されている前記発電用液体の濃度より大きいと判定された場合に、前記燃料タンクに、前記送液装置により該燃料タンク内の前記発電用液体の濃度が前記目標濃度に達するまで前記燃料のみを送った後に、前記燃料と前記水を前記目標濃度に対応する混合比で混合して送るように制御し、前記比較部によって、前記目標濃度が前記燃料タンクに貯留されている前記発電用液体の濃度より小さいと判定された場合に、前記燃料タンクに、前記送液装置により該燃料タンク内の前記発電用液体の濃度が前記目標濃度になるまで前記水のみを送った後に、前記燃料と前記水を前記目標濃度に対応する混合比で混合して送るように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料供給システム。
【請求項5】
前記燃料供給装置は、温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部による検出温度に基づく複数のデータをデータ列として蓄積する記憶部と、前記記憶部に蓄積された前記データ列の値に基づいて所定の判定基準に従った判定を行い、前記目標濃度を、前記判定に基づいた値に設定する目標濃度設定部と、を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の燃料供給システム。
【請求項6】
前記燃料供給装置は、前記発電用液体の使用可能温度領域を、予め設定された複数のモードの何れかから選択する入力部と、前記目標濃度を、前記入力部による選択に従った値に設定する目標濃度設定部と、を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の燃料供給システム。
【請求項7】
前記電子機器は、温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部による検出温度に基づく複数のデータをデータ列として蓄積する記憶部と、を有し、
前記燃料供給装置の前記受信部は、更に、前記電子機器より前記記憶部に蓄積された前記データ列に基づく情報を受信し、
前記燃料供給装置は、前記目標濃度を、前記受信部により受信した前記データ列の値に基づいて所定の判定基準に従った判定をする判定を行い、前記目標濃度を、前記判定に基づいた値に設定する目標濃度設定部を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の燃料供給システム。
【請求項8】
燃料を含む発電用液体を用いて発電する燃料電池と、前記発電用液体を貯留する燃料タンクと、該燃料タンク内に貯留されている前記発電用液体の残量を検出する残量と前記燃料タンク内の前記発電用液体の濃度及び前記燃料タンクの容積値に基づく情報を送信する電子機器制御部と、を備える電子機器に前記燃料及び水の少なくとも何れか一方を供給する燃料供給装置であって、
前記電子機器は、前記発電用液体を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内の貯留されている前記発電用液体の残量を検出する残量検出部と、前記燃料タンク内に貯留されている前記発電用液体の濃度を検出する濃度検出部と、を有し、
前記燃料供給装置は、前記燃料が貯留された燃料容器と、水が貯留された水容器と、前記電子機器制御部から前記情報を受信する受信部と、前記発燃料と前記水を所定の混合比で混合した液体を前記燃料タンクに送る送液装置と、前記混合比を、前記受信部により受信した情報と設定された前記燃料タンクに貯留される前記発電用液体に設定される目標濃度とに基づく値に設定する制御部と、を有することを特徴とする燃料供給装置。
【請求項9】
前記燃料供給装置は、前記燃料タンクに前記燃料容器に貯留された前記燃料を送る第1の送液装置と、
前記燃料タンクに前記水容器に貯留された前記水を送る第2の送液装置と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の送液装置及び前記第2の送液装置における送液量を制御して、前記混合比を前記制御部によって設定した値にすることを特徴とする請求項8記載の燃料供給装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記受信部によって受信した検出残量をViniとし、前記受信部によって受信した検出濃度をMiniとし、前記受信部によって受信した前記容積値をVmaxとした場合に、
式『Mx=(Vmax×目標濃度−Vini×Mini)/(Vmax−Vini)』に従ってMxを算出し、
前記Mxが0以下である場合に、前記燃料タンクに送る前記液を、前記燃料を含まないものとし、
前記Mxがゼロより大きく、100未満である場合に、前記燃料タンクに送る前記液体における前記燃料と前記水の比率を1:(100−Mx)/Mxに設定し、
前記Mxが100以上である場合に、前記燃料タンクに送る前記液体を、前記水を含まないものとすることを特徴とする請求項8又は9に記載の燃料供給装置。
【請求項11】
前記制御部は、更に、前記受信部によって受信した前記情報に基づく前記発電用液体の濃度と、前記目標濃度とを比較する比較部を有し、
該制御部は、前記比較部によって、前記目標濃度が前記燃料タンクに貯留されている前記発電用液体の濃度より大きいと判定された場合に、前記燃料タンクに、前記送液装置により該燃料タンク内の前記発電用液体の濃度が前記目標濃度に達するまで前記燃料のみを送った後に、前記燃料と前記水を前記目標濃度に対応する混合比で混合して送るように制御し、前記比較部によって、前記目標濃度が前記燃料タンクに貯留されている前記発電用液体の濃度より小さいと判定された場合に、前記燃料タンクに、前記送液装置により該燃料タンク内の前記発電用液体の濃度が前記目標濃度になるまで前記水のみを送った後に、前記燃料と前記水を前記目標濃度に対応する混合比で混合して送るように制御することを特徴とする請求項8又は9に記載の燃料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−40179(P2010−40179A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197954(P2008−197954)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】