燃料供給装置
【課題】装置の全長を短くするとともに装置の全高を低くすることによって小型化することのできる燃料供給装置を提供する。
【解決手段】燃料供給装置10は、燃料タンク24内に横置き状態で配置される燃料ポンプ14と、燃料ポンプ14の吸入口42に接続されかつ扁平な袋状の濾過部材51を有する燃料フィルタ18とを備え、燃料タンク24内の燃料をエンジンに供給する。燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とを、濾過部材51の扁平方向の一側面が燃料ポンプと対面した状態で並行状に配置する。
【解決手段】燃料供給装置10は、燃料タンク24内に横置き状態で配置される燃料ポンプ14と、燃料ポンプ14の吸入口42に接続されかつ扁平な袋状の濾過部材51を有する燃料フィルタ18とを備え、燃料タンク24内の燃料をエンジンに供給する。燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とを、濾過部材51の扁平方向の一側面が燃料ポンプと対面した状態で並行状に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内の燃料を燃料タンク外へ供給する燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料供給装置には、燃料タンク内に横置き状態で配置される燃料ポンプと、燃料ポンプの吸入口に接続されかつ扁平な袋状の濾過部材を有する燃料フィルタとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、燃料ポンプと燃料フィルタとを直列状に配置するか、又は、燃料ポンプと燃料フィルタとを上下に配置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−533378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の燃料供給装置において、燃料ポンプと燃料フィルタとを直列状に配置する場合には、燃料ポンプの軸方向に係る装置の全長が長くならざるを得ない。また、燃料ポンプと燃料フィルタとを上下に配置する場合には、装置の全高が高くならざるを得ない。したがって、いずれの場合も装置の小型化が困難であった。
本発明が解決しようとする課題は、装置の全長を短くするとともに装置の全高を低くすることによって小型化することのできる燃料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、特許請求の範囲に記載された構成を要旨とする燃料供給装置により解決することができる。
すなわち、請求項1に記載された燃料供給装置によると、燃料タンク内に横置き状態で配置される燃料ポンプと、燃料ポンプの吸入口に接続されかつ扁平な袋状の濾過部材を有する燃料フィルタとを備え、燃料タンク内の燃料をエンジンに供給する燃料供給装置であって、燃料ポンプと燃料フィルタとを、濾過部材の扁平方向の一側面が燃料ポンプと対面した状態で並行状に配置したものである。このため、燃料ポンプと燃料フィルタとを直列状に配置する場合と比べて、燃料ポンプの軸方向に係る装置の全長を短くすることができる。また、燃料ポンプと燃料フィルタとを上下に配置する場合と比べて、装置の全高を低くすることができる。したがって、装置の全長を短くするとともに装置の全高を低くすることによって、燃料供給装置を小型化することができる。
【0006】
また、請求項2に記載された燃料供給装置によると、燃料タンクの底部に凹部を形成し、その凹部内に燃料フィルタの濾過部材の下端部を収容したものである。したがって、燃料タンク内の残存燃料量が少なくなっても、凹部内に溜まっている燃料に燃料フィルタの濾過部材の下端部が浸漬している限り、燃料ポンプが燃料を吸込む(吸入する)ことができる。このため、燃料ポンプが燃料の吸込みができなくなる残存燃料量を最少化することができる。
【0007】
また、請求項3に記載された燃料供給装置によると、燃料フィルタの濾過部材の側面に形成された管接続口と燃料ポンプの吸入口とを連通する横向きの管部材を備え、管部材内の天井部の稜線を、入口側から出口側に亘って水平状又は入口側が出口側よりも高い位置となる傾斜状に形成したものである。したがって、エンジンの高温時において、燃料フィルタの濾過部材内及び管部材内の燃料中に発生するベーパを、濾過部材内及び管部材内のうちの少なくとも濾過部材内の天井部に溜めることができる。このため、燃料ポンプによる燃料の吸込みにともなうベーパの吸込みを防止することができる。このことは、燃料ポンプの流量性能の低下の防止に有効である。また、濾過部材の外表面には燃料の表面張力により燃料膜が張るため、濾過部材内の天井部にベーパが溜まっても、燃料ポンプはベーパを吸込むことなく燃料を吸込むことができる。また、管部材内の天井部の稜線を、入口側が出口側よりも高い位置となる傾斜状に形成したものでは、管部材内のベーパが天井面に沿って入口側へ浮上しさらに濾過部材内の天井部へ浮上することができるため、管部材内のベーパをその浮力を利用して濾過部材内へ排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1にかかる燃料供給装置を示す正面図である。
【図2】燃料供給装置を示す左側面図である。
【図3】燃料供給装置を示す右側面図である。
【図4】燃料供給装置を示す上面図である。
【図5】燃料供給装置を示す下面図である。
【図6】燃料供給装置を示す正断面図である。
【図7】燃料通路を示す断面図である。
【図8】燃料フィルタを示す正面図である。
【図9】図8のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】実施例2にかかる燃料フィルタを示す正面図である。
【図11】図10のXI−XI線矢視断面図である。
【図12】実施例3にかかる燃料供給装置を示す右側面図である。
【図13】実施例4にかかる燃料供給装置を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例】
【0010】
[実施例1]
本発明の実施例1を説明する。本実施例では、車両(例えば、二輪自動車、全地形対応車(ATV)、四輪自動車等)における燃料タンク内の燃料をタンク外すなわちエンジン(内燃機関)へ供給するもので、燃料タンクの底部に配置される下付けタイプ(底付けタイプとも呼ばれる)の燃料供給装置を例示する。なお、図1は燃料供給装置を示す正面図、図2は同じく左側面図、図3は同じく右側面図、図4は同じく上面図、図5は同じく下面図、図6は同じく正断面図である。
【0011】
図6に示すように、燃料供給装置10は、蓋部材12、燃料ポンプ14、ケーシング16、燃料フィルタ18、プレッシャレギュレータ22、センダゲージ20(図1参照)等を備えている。なお、説明の都合上、図4に示す燃料供給装置の平面図を基準として前後左右を定めることにする。また、燃料供給装置10が配置される燃料タンク24は、樹脂製あるいは金属製である。また、本実施例の燃料タンク24は、その下半部を形成するロワー部材25と、その上半部を形成するアッパ部材(図示省略)とを結合することによって形成されている。また、ロワー部材25の底壁25aには、円形の開口部26が形成されている。また、開口部26の右方には、底壁25aの一部を部分的に低くする溝状の凹部28が形成されている。
【0012】
前記蓋部材12は、樹脂製で、円板状に形成されている(図4及び図5参照)。図6に示すように、蓋部材12は、前記ロワー部材25の底壁25aの開口部26を塞いでいる。また、蓋部材12には、燃料吐出管30、燃料通路部31、第1電気コネクタ33、第2電気コネクタ34(図4及び図5参照)等が一体形成されている。燃料吐出管30は、蓋部材12の下面側にL字管状に形成されている(図3参照)。また、燃料通路部31は、蓋部材12上に縦管状に形成されている(図6参照)。燃料通路部31内の燃料通路35は、燃料吐出管30内と連通されている。また、燃料通路部31の右側部には、右方に開口するポンプ接続口37が形成されているとともにポンプ接続口37の周りを取り囲む円筒状のケーシング接続筒部39が形成されている(図7参照)。なお、図7は燃料通路を示す断面図である。
【0013】
図6に示すように、前記燃料ポンプ14は、横型円筒状のポンプハウジング41内に、電動式のモータ部とインペラ式のポンプ部とが軸方向に並設する状態で一体的に組込まれたインタンク式のウエスコ型電動ポンプである。ポンプハウジング41は、モータ部を左方に向ける一方、ポンプ部を右方に向けた横置き状態で配置されている。また、ポンプハウジング41のポンプ部側の外端面(右端面)には吸入口42が突出状に形成されている。また、ポンプハウジング41のモータ部側の外端面(左端面)には、吐出口43が突出状に形成されている。燃料ポンプ14は、モータ部の駆動によってポンプ部において吸入口42から吸入した燃料を昇圧した後に吐出口43から吐出する。なお、このような燃料ポンプ14は、周知の構成のものであるからその構成の詳しい説明は省略する。
【0014】
前記ケーシング16は、樹脂製で、有底円筒状に形成されている。ケーシング16内には、前記燃料ポンプ14がポンプ部側から挿入されることにより保持されている。ケーシング16の底部には、吸入口42を嵌合により接続する接続管部46が形成されている。燃料ポンプ14を保持したケーシング16の開口側端部すなわち左端部は、前記蓋部材12のケーシング接続筒部39に対してスナップフィットにより結合されている。これにともない、燃料ポンプ14の吐出口43が前記ポンプ接続口37に嵌合により接続されている。吐出口43とポンプ接続口37との間はOリング45によりシールされている。このようにして、燃料ポンプ14が、前記蓋部材12にモジュール化されているとともに、燃料タンク24内の底部に対して横置き状態(水平状態)で配置されている。なお、ケーシング16の接続管部46に接続されている前記燃料フィルタ18については後で説明する。
【0015】
図1に示すように、前記ケーシング16の前側面には、センダゲージ20が装着されている。センダゲージ20には、右方へ延びるアーム47を介してフロート48が接続されている。センダゲージ20は、燃料タンク24内の燃料残量に応じて上下するフロート48の位置を燃料残量信号として出力する。
【0016】
図4に示すように、前記蓋部材12の第1電気コネクタ33には、燃料ポンプ14の電気配線とつながるリード線49が電気的に接続されている(図2参照)。また、第2電気コネクタ34には、センダゲージ20の電気配線とつながるリード線50が電気的に接続されている(図4参照)。各電気コネクタ33,34の下端部には、電源、ECU等につながる外部コネクタ(図示省略)がそれぞれ電気的に接続可能となっている。また、前記燃料吐出管30の先端部には、内燃機関のインジェクタにつながる燃料供給配管(図示省略)が接続可能となっている。
【0017】
前記燃料フィルタ18を説明する。なお、図8は燃料フィルタを示す正面図、図9は図8のIX−IX線矢視断面図である。
図8及び図9に示すように、燃料フィルタ18は、濾過部材51と管部材53とを備えている。濾過部材51は、例えばメッシュ材により扁平な袋状に形成されている。また、濾過部材51は、扁平方向(厚さ方向)を前後方向(図9において左右方向)に向けた状態)で正面から見て左右方向(図8において左右方向)を長くする横長四角形状に形成されている。また、濾過部材51の右部には下方へ張り出す張出部51aが形成されている。また、濾過部材51内には、その濾過部材51を膨大状態(膨らんだ状態)に保持するための樹脂製のフレーム部材(図示省略)が設けられている。また、濾過部材51の前側面の中央部には、円形の管接続口55(図9参照)が形成されている。なお、管接続口55は、フレーム部材と一体的に形成されている。
【0018】
前記管部材53は、樹脂製で、横向きのL字管状に形成されている。管部材53の後向きの入口は、濾過部材51の管接続口55に接続されている(図9参照)。また、管部材53の左向きの出口は、前記ケーシング16の接続管部46の先端部に嵌合により接続されている(図6参照)。また、管部材53の前側面には、取付孔56aを有する取付片56が形成されている(図9参照)。取付片56は、図1に示すように、ケーシング16の底板部(右側板部)に突出された連結軸57に取付孔56aが嵌合されかつ連結軸57にスナップリテーナ58を装着することによって抜け止めされている(図3参照)。これにより、ケーシング16に燃料フィルタ18が一体的に装着されている。これにともない、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とが前後に並行状に配置されている(図2〜図4参照)。すなわち、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とが、濾過部材51の扁平方向の一側面(前側面)を燃料ポンプ14の側面(後側面)と対面した状態で並行状に配置されている。これとともに、管部材53内の天井部の稜線60(図6及び図9参照)が入口側(燃料フィルタ18側)から出口側(燃料ポンプ14側)に亘って水平状に形成されている。また、濾過部材51の張出部51aの下端部は、前記燃料タンク24のロワー部材25の凹部28内に配置されている(図6参照)。なお、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とは、濾過部材51の扁平方向の一側面(後側面)を燃料ポンプ14の側面(前側面)と対面した状態で並行状に配置することもできる。
【0019】
図6に示すように、前記蓋部材12の燃料通路部31の上端開口部には、前記プレッシャレギュレータ22が嵌合され、かつ、プレッシャレギュレータ22を抜け止めするカバー62がスナップフィットにより結合されている。これにより、プレッシャレギュレータ22が、燃料ポンプ14の吐出口43より上方に配置されている。
【0020】
図7に示すように、前記プレッシャレギュレータ22は、例えばリリーフバルブ式のプレッシャレギュレータであって、バルブハウジング64の下面側に燃料導入口65を有しかつ上面側に余剰燃料吐出口66を有している。バルブハウジング64内には、ボール弁68、ボール弁68上に配置されたスプリングシート70と、スプリングシート70上に配置された圧縮コイルスプリングからなるバルブスプリング72、バルブスプリング72の上端面を支持するストッパリング74が組込まれている。前記燃料通路部31とバルブハウジング64との間はOリング75によりシールされている。
【0021】
前記プレッシャレギュレータ22は、前記燃料通路部31内の燃料圧力すなわち前記燃料ポンプ14の吐出口43から吐出された燃料圧力を調整しかつ余剰燃料を余剰燃料吐出口66から上方へ吐出する。また、前記カバー62には、余剰燃料吐出口66の上方近くを覆う庇部76が右方へ向けて突出されている。庇部76の先端部(右端部)には、下方へ垂れ下がる垂下部76aが形成されている。なお、プレッシャレギュレータ22は本明細書でいう「圧力調整手段」に相当する。また、圧力調整手段には、リリーフバルブ式に代え、ダイアフラム式のプレッシャレギュレータを用いることができる。
【0022】
次に、前記燃料供給装置10の作動について説明する(図6参照)。外部電源の電力が蓋部材12の第1電気コネクタ33からリード線49を介して燃料ポンプ14のモータ部に供給されることによりポンプ部が駆動される。すると、燃料タンク24内の燃料が燃料フィルタ18の濾過部材51により濾過された後、管部材53、及び、ケーシング16の接続管部46を介して、燃料ポンプ14の吸入口42からポンプ部に吸入される。燃料ポンプ14のポンプ部に吸入された燃料は、昇圧された後、モータ部内を通って吐出口43から蓋部材12の燃料通路部31の燃料通路35内へ吐出される。燃料通路35内に吐出された燃料は、燃料吐出管30内を通じてタンク外の燃料供給配管を介してエンジンに供給される。
【0023】
前記燃料通路35の燃料圧力は、プレッシャレギュレータ22(図7参照)により所定の圧力に調整される。すなわち、燃料通路35における燃料圧力がバルブスプリング72の弾性力よりも低いときには、ボール弁68が閉じられる。また、燃料通路35の燃料圧力がバルブスプリング72の弾性力よりも高くなったときは、その燃料圧力でボール弁68が開かれる。したがって、燃料通路35で余剰となった燃料が、バルブハウジング64内を通って、余剰燃料吐出口66から吐出(排出)される。これによって、燃料通路35の燃圧が常に一定になるように調整される。また、余剰燃料吐出口66から吐出された余剰燃料は、庇部76により右方に向けられさらに垂下部76aにより下方へ向けて誘導されることにより、ケーシング接続筒部39上に吐出される。これにより、ケーシング接続筒部39の周辺部の洗浄、及び、燃料ポンプ14の冷却がなされる。また、庇部76は、燃料タンク24内の燃料中に浮遊する異物が流下してプレッシャレギュレータ22内へ侵入することを防止する。
【0024】
前記燃料供給装置10によると、燃料タンク24内に横置き状態で配置される燃料ポンプ14と、燃料ポンプ14の吸入口42に接続されかつ扁平な袋状の濾過部材51を有する燃料フィルタ18とを備え、燃料タンク24内の燃料をエンジンに供給する燃料供給装置10であって、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とを、濾過部材51の扁平方向の一側面が燃料ポンプと対面した状態で並行状に配置したものである(図2〜図4及び図6参照)。このため、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とを直列状に配置する場合と比べて、燃料ポンプ14の軸方向に係る装置の全長(左右方向(図4において左右方向)の寸法)を短くすることができる。これとともに、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18との並び方向に係る装置の全幅(前後方向(図4において上下方向)の寸法)の増大を抑制することができる。また、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とを上下に配置する場合と比べて、装置の全高(図6において上下方向の寸法)を低くすることができる。したがって、装置の全長を短くするとともに装置の全高を低くすることによって、燃料供給装置10を小型化することができる。
【0025】
また、燃料タンク24の底部に凹部28を形成し、その凹部28内に燃料フィルタ18の濾過部材51の張出部51aの下端部を収容したものである(図6参照)。したがって、燃料タンク24内の残存燃料量が少なくなっても、凹部28内に溜まっている燃料に燃料フィルタ18の濾過部材51の下端部が浸漬している限り、燃料ポンプ14が燃料を吸込む(吸入する)ことができる。このため、燃料ポンプ14が燃料の吸込みができなくなる残存燃料量を最少化することができる。
【0026】
また、燃料フィルタ18の濾過部材51の側面に形成された管接続口55と燃料ポンプ14の吸入口42とを連通する横向きの管部材53を備え、管部材53内の天井部の稜線60を、入口側から出口側に亘って水平状に形成したものである(図6及び図9参照)。したがって、エンジンの高温時において、燃料フィルタ18の濾過部材51内及び管部材53内の燃料中に発生するベーパを、濾過部材51内の天井部及び管部材53内の天井部に溜めることができる。このため、燃料ポンプ14による燃料の吸込みにともなうベーパの吸込みを防止することができる。このことは、燃料ポンプ14の流量性能の低下の防止に有効である。また、濾過部材51の外表面には燃料の表面張力により燃料膜が張るため、濾過部材51内の天井部にベーパが溜まっても、燃料ポンプ14はベーパを吸込むことなく燃料を吸込むことができる。
【0027】
また、燃料ポンプ14の吐出口43から吐出された燃料の圧力を調整しかつ余剰燃料を吐出する余剰燃料吐出口66を有するプレッシャレギュレータ22を、燃料ポンプ14の吐出口43より上方に配置したものである(図7参照)。したがって、エンジンの高温時において、燃料ポンプ14の吐出口43より下流側の燃料通路35内の燃料中に発生するベーパを浮上させ、最終的にはプレッシャレギュレータ22の余剰燃料吐出口66から余剰燃料とともに燃料タンク24内へ排出させることができる。
【0028】
[実施例2]
本発明の実施例2を説明する。本実施例は、前記実施例1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図10は燃料フィルタを示す正面図、図11は図10のXI−XI線矢視断面図である。
本実施例は、図10及び図11に示すように、前記実施例1における燃料フィルタ18の管部材53の入口側(燃料フィルタ18側)を出口側(燃料ポンプ14側)よりも高い位置に配置したものである。これにより、管部材53内の天井部の稜線60が入口側が出口側よりも高い位置となる傾斜状に形成されている。
【0029】
本実施例によると、管部材53内の天井部の稜線60を、入口側が出口側よりも高い位置となる傾斜状に形成したものである。したがって、管部材53内のベーパが天井部の稜線60に沿って入口側へ浮上しさらに濾過部材51内の天井部へ浮上することができる。このため、管部材53内のベーパをその浮力を利用して濾過部材51内へ排出させることができる。
【0030】
[実施例3]
本発明の実施例3を説明する。本実施例は、前記実施例1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図12は燃料供給装置を示す右側面図である。
本実施例は、図12に示すように、前記実施例1における蓋部材12の燃料吐出管30(図3参照)を、蓋部材12の下面側に直管状の燃料吐出管78に変更したものである。
【0031】
[実施例4]
本発明の実施例4を説明する。本実施例は、前記実施例1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図13は燃料供給装置を示す正断面図である。
本実施例は、図13に示すように、前記実施例1におけるプレッシャレギュレータ22(図6参照)を燃料ポンプ14の下側に並設したものである。これにともない、蓋部材12の燃料通路部31の右側部には、絞り部としての連通路83を介して横管状のレギュレータ嵌合部82が形成されている。レギュレータ嵌合部82は、ポンプ接続口37の下側に配置されている。また、レギュレータ嵌合部82には、プレッシャレギュレータ22が嵌合され、かつ、プレッシャレギュレータ22を抜け止めするリング状のカバー85がスナップフィットにより結合されている。これにより、プレッシャレギュレータ22が、燃料ポンプ14の吐出口43より下方に配置されている。また、蓋部材12の燃料通路部31の上端開口部はプラグ87で閉鎖されている。
【0032】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、燃料タンク24の底部に配置される下付けタイプに限らず、燃料タンク24の天井部に配置される上付けタイプ、燃料タンク24の側部に配置される横付けタイプ等にも適用することが可能である。また、プレッシャレギュレータ22は、前記実施例1で燃料ポンプ14の吐出口43より上方に配置したり、前記実施例4で燃料ポンプ14の吐出口43より下方に配置したりしたが、その配置位置は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
10…燃料供給装置
14…燃料ポンプ
18…燃料フィルタ
22…プレッシャレギュレータ(圧力調整手段)
24…燃料タンク
28…凹部
42…吸入口
43…吐出口
51…濾過部材
53…管部材
55…管接続口
66…余剰燃料吐出口
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内の燃料を燃料タンク外へ供給する燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料供給装置には、燃料タンク内に横置き状態で配置される燃料ポンプと、燃料ポンプの吸入口に接続されかつ扁平な袋状の濾過部材を有する燃料フィルタとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、燃料ポンプと燃料フィルタとを直列状に配置するか、又は、燃料ポンプと燃料フィルタとを上下に配置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−533378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の燃料供給装置において、燃料ポンプと燃料フィルタとを直列状に配置する場合には、燃料ポンプの軸方向に係る装置の全長が長くならざるを得ない。また、燃料ポンプと燃料フィルタとを上下に配置する場合には、装置の全高が高くならざるを得ない。したがって、いずれの場合も装置の小型化が困難であった。
本発明が解決しようとする課題は、装置の全長を短くするとともに装置の全高を低くすることによって小型化することのできる燃料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、特許請求の範囲に記載された構成を要旨とする燃料供給装置により解決することができる。
すなわち、請求項1に記載された燃料供給装置によると、燃料タンク内に横置き状態で配置される燃料ポンプと、燃料ポンプの吸入口に接続されかつ扁平な袋状の濾過部材を有する燃料フィルタとを備え、燃料タンク内の燃料をエンジンに供給する燃料供給装置であって、燃料ポンプと燃料フィルタとを、濾過部材の扁平方向の一側面が燃料ポンプと対面した状態で並行状に配置したものである。このため、燃料ポンプと燃料フィルタとを直列状に配置する場合と比べて、燃料ポンプの軸方向に係る装置の全長を短くすることができる。また、燃料ポンプと燃料フィルタとを上下に配置する場合と比べて、装置の全高を低くすることができる。したがって、装置の全長を短くするとともに装置の全高を低くすることによって、燃料供給装置を小型化することができる。
【0006】
また、請求項2に記載された燃料供給装置によると、燃料タンクの底部に凹部を形成し、その凹部内に燃料フィルタの濾過部材の下端部を収容したものである。したがって、燃料タンク内の残存燃料量が少なくなっても、凹部内に溜まっている燃料に燃料フィルタの濾過部材の下端部が浸漬している限り、燃料ポンプが燃料を吸込む(吸入する)ことができる。このため、燃料ポンプが燃料の吸込みができなくなる残存燃料量を最少化することができる。
【0007】
また、請求項3に記載された燃料供給装置によると、燃料フィルタの濾過部材の側面に形成された管接続口と燃料ポンプの吸入口とを連通する横向きの管部材を備え、管部材内の天井部の稜線を、入口側から出口側に亘って水平状又は入口側が出口側よりも高い位置となる傾斜状に形成したものである。したがって、エンジンの高温時において、燃料フィルタの濾過部材内及び管部材内の燃料中に発生するベーパを、濾過部材内及び管部材内のうちの少なくとも濾過部材内の天井部に溜めることができる。このため、燃料ポンプによる燃料の吸込みにともなうベーパの吸込みを防止することができる。このことは、燃料ポンプの流量性能の低下の防止に有効である。また、濾過部材の外表面には燃料の表面張力により燃料膜が張るため、濾過部材内の天井部にベーパが溜まっても、燃料ポンプはベーパを吸込むことなく燃料を吸込むことができる。また、管部材内の天井部の稜線を、入口側が出口側よりも高い位置となる傾斜状に形成したものでは、管部材内のベーパが天井面に沿って入口側へ浮上しさらに濾過部材内の天井部へ浮上することができるため、管部材内のベーパをその浮力を利用して濾過部材内へ排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1にかかる燃料供給装置を示す正面図である。
【図2】燃料供給装置を示す左側面図である。
【図3】燃料供給装置を示す右側面図である。
【図4】燃料供給装置を示す上面図である。
【図5】燃料供給装置を示す下面図である。
【図6】燃料供給装置を示す正断面図である。
【図7】燃料通路を示す断面図である。
【図8】燃料フィルタを示す正面図である。
【図9】図8のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】実施例2にかかる燃料フィルタを示す正面図である。
【図11】図10のXI−XI線矢視断面図である。
【図12】実施例3にかかる燃料供給装置を示す右側面図である。
【図13】実施例4にかかる燃料供給装置を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例】
【0010】
[実施例1]
本発明の実施例1を説明する。本実施例では、車両(例えば、二輪自動車、全地形対応車(ATV)、四輪自動車等)における燃料タンク内の燃料をタンク外すなわちエンジン(内燃機関)へ供給するもので、燃料タンクの底部に配置される下付けタイプ(底付けタイプとも呼ばれる)の燃料供給装置を例示する。なお、図1は燃料供給装置を示す正面図、図2は同じく左側面図、図3は同じく右側面図、図4は同じく上面図、図5は同じく下面図、図6は同じく正断面図である。
【0011】
図6に示すように、燃料供給装置10は、蓋部材12、燃料ポンプ14、ケーシング16、燃料フィルタ18、プレッシャレギュレータ22、センダゲージ20(図1参照)等を備えている。なお、説明の都合上、図4に示す燃料供給装置の平面図を基準として前後左右を定めることにする。また、燃料供給装置10が配置される燃料タンク24は、樹脂製あるいは金属製である。また、本実施例の燃料タンク24は、その下半部を形成するロワー部材25と、その上半部を形成するアッパ部材(図示省略)とを結合することによって形成されている。また、ロワー部材25の底壁25aには、円形の開口部26が形成されている。また、開口部26の右方には、底壁25aの一部を部分的に低くする溝状の凹部28が形成されている。
【0012】
前記蓋部材12は、樹脂製で、円板状に形成されている(図4及び図5参照)。図6に示すように、蓋部材12は、前記ロワー部材25の底壁25aの開口部26を塞いでいる。また、蓋部材12には、燃料吐出管30、燃料通路部31、第1電気コネクタ33、第2電気コネクタ34(図4及び図5参照)等が一体形成されている。燃料吐出管30は、蓋部材12の下面側にL字管状に形成されている(図3参照)。また、燃料通路部31は、蓋部材12上に縦管状に形成されている(図6参照)。燃料通路部31内の燃料通路35は、燃料吐出管30内と連通されている。また、燃料通路部31の右側部には、右方に開口するポンプ接続口37が形成されているとともにポンプ接続口37の周りを取り囲む円筒状のケーシング接続筒部39が形成されている(図7参照)。なお、図7は燃料通路を示す断面図である。
【0013】
図6に示すように、前記燃料ポンプ14は、横型円筒状のポンプハウジング41内に、電動式のモータ部とインペラ式のポンプ部とが軸方向に並設する状態で一体的に組込まれたインタンク式のウエスコ型電動ポンプである。ポンプハウジング41は、モータ部を左方に向ける一方、ポンプ部を右方に向けた横置き状態で配置されている。また、ポンプハウジング41のポンプ部側の外端面(右端面)には吸入口42が突出状に形成されている。また、ポンプハウジング41のモータ部側の外端面(左端面)には、吐出口43が突出状に形成されている。燃料ポンプ14は、モータ部の駆動によってポンプ部において吸入口42から吸入した燃料を昇圧した後に吐出口43から吐出する。なお、このような燃料ポンプ14は、周知の構成のものであるからその構成の詳しい説明は省略する。
【0014】
前記ケーシング16は、樹脂製で、有底円筒状に形成されている。ケーシング16内には、前記燃料ポンプ14がポンプ部側から挿入されることにより保持されている。ケーシング16の底部には、吸入口42を嵌合により接続する接続管部46が形成されている。燃料ポンプ14を保持したケーシング16の開口側端部すなわち左端部は、前記蓋部材12のケーシング接続筒部39に対してスナップフィットにより結合されている。これにともない、燃料ポンプ14の吐出口43が前記ポンプ接続口37に嵌合により接続されている。吐出口43とポンプ接続口37との間はOリング45によりシールされている。このようにして、燃料ポンプ14が、前記蓋部材12にモジュール化されているとともに、燃料タンク24内の底部に対して横置き状態(水平状態)で配置されている。なお、ケーシング16の接続管部46に接続されている前記燃料フィルタ18については後で説明する。
【0015】
図1に示すように、前記ケーシング16の前側面には、センダゲージ20が装着されている。センダゲージ20には、右方へ延びるアーム47を介してフロート48が接続されている。センダゲージ20は、燃料タンク24内の燃料残量に応じて上下するフロート48の位置を燃料残量信号として出力する。
【0016】
図4に示すように、前記蓋部材12の第1電気コネクタ33には、燃料ポンプ14の電気配線とつながるリード線49が電気的に接続されている(図2参照)。また、第2電気コネクタ34には、センダゲージ20の電気配線とつながるリード線50が電気的に接続されている(図4参照)。各電気コネクタ33,34の下端部には、電源、ECU等につながる外部コネクタ(図示省略)がそれぞれ電気的に接続可能となっている。また、前記燃料吐出管30の先端部には、内燃機関のインジェクタにつながる燃料供給配管(図示省略)が接続可能となっている。
【0017】
前記燃料フィルタ18を説明する。なお、図8は燃料フィルタを示す正面図、図9は図8のIX−IX線矢視断面図である。
図8及び図9に示すように、燃料フィルタ18は、濾過部材51と管部材53とを備えている。濾過部材51は、例えばメッシュ材により扁平な袋状に形成されている。また、濾過部材51は、扁平方向(厚さ方向)を前後方向(図9において左右方向)に向けた状態)で正面から見て左右方向(図8において左右方向)を長くする横長四角形状に形成されている。また、濾過部材51の右部には下方へ張り出す張出部51aが形成されている。また、濾過部材51内には、その濾過部材51を膨大状態(膨らんだ状態)に保持するための樹脂製のフレーム部材(図示省略)が設けられている。また、濾過部材51の前側面の中央部には、円形の管接続口55(図9参照)が形成されている。なお、管接続口55は、フレーム部材と一体的に形成されている。
【0018】
前記管部材53は、樹脂製で、横向きのL字管状に形成されている。管部材53の後向きの入口は、濾過部材51の管接続口55に接続されている(図9参照)。また、管部材53の左向きの出口は、前記ケーシング16の接続管部46の先端部に嵌合により接続されている(図6参照)。また、管部材53の前側面には、取付孔56aを有する取付片56が形成されている(図9参照)。取付片56は、図1に示すように、ケーシング16の底板部(右側板部)に突出された連結軸57に取付孔56aが嵌合されかつ連結軸57にスナップリテーナ58を装着することによって抜け止めされている(図3参照)。これにより、ケーシング16に燃料フィルタ18が一体的に装着されている。これにともない、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とが前後に並行状に配置されている(図2〜図4参照)。すなわち、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とが、濾過部材51の扁平方向の一側面(前側面)を燃料ポンプ14の側面(後側面)と対面した状態で並行状に配置されている。これとともに、管部材53内の天井部の稜線60(図6及び図9参照)が入口側(燃料フィルタ18側)から出口側(燃料ポンプ14側)に亘って水平状に形成されている。また、濾過部材51の張出部51aの下端部は、前記燃料タンク24のロワー部材25の凹部28内に配置されている(図6参照)。なお、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とは、濾過部材51の扁平方向の一側面(後側面)を燃料ポンプ14の側面(前側面)と対面した状態で並行状に配置することもできる。
【0019】
図6に示すように、前記蓋部材12の燃料通路部31の上端開口部には、前記プレッシャレギュレータ22が嵌合され、かつ、プレッシャレギュレータ22を抜け止めするカバー62がスナップフィットにより結合されている。これにより、プレッシャレギュレータ22が、燃料ポンプ14の吐出口43より上方に配置されている。
【0020】
図7に示すように、前記プレッシャレギュレータ22は、例えばリリーフバルブ式のプレッシャレギュレータであって、バルブハウジング64の下面側に燃料導入口65を有しかつ上面側に余剰燃料吐出口66を有している。バルブハウジング64内には、ボール弁68、ボール弁68上に配置されたスプリングシート70と、スプリングシート70上に配置された圧縮コイルスプリングからなるバルブスプリング72、バルブスプリング72の上端面を支持するストッパリング74が組込まれている。前記燃料通路部31とバルブハウジング64との間はOリング75によりシールされている。
【0021】
前記プレッシャレギュレータ22は、前記燃料通路部31内の燃料圧力すなわち前記燃料ポンプ14の吐出口43から吐出された燃料圧力を調整しかつ余剰燃料を余剰燃料吐出口66から上方へ吐出する。また、前記カバー62には、余剰燃料吐出口66の上方近くを覆う庇部76が右方へ向けて突出されている。庇部76の先端部(右端部)には、下方へ垂れ下がる垂下部76aが形成されている。なお、プレッシャレギュレータ22は本明細書でいう「圧力調整手段」に相当する。また、圧力調整手段には、リリーフバルブ式に代え、ダイアフラム式のプレッシャレギュレータを用いることができる。
【0022】
次に、前記燃料供給装置10の作動について説明する(図6参照)。外部電源の電力が蓋部材12の第1電気コネクタ33からリード線49を介して燃料ポンプ14のモータ部に供給されることによりポンプ部が駆動される。すると、燃料タンク24内の燃料が燃料フィルタ18の濾過部材51により濾過された後、管部材53、及び、ケーシング16の接続管部46を介して、燃料ポンプ14の吸入口42からポンプ部に吸入される。燃料ポンプ14のポンプ部に吸入された燃料は、昇圧された後、モータ部内を通って吐出口43から蓋部材12の燃料通路部31の燃料通路35内へ吐出される。燃料通路35内に吐出された燃料は、燃料吐出管30内を通じてタンク外の燃料供給配管を介してエンジンに供給される。
【0023】
前記燃料通路35の燃料圧力は、プレッシャレギュレータ22(図7参照)により所定の圧力に調整される。すなわち、燃料通路35における燃料圧力がバルブスプリング72の弾性力よりも低いときには、ボール弁68が閉じられる。また、燃料通路35の燃料圧力がバルブスプリング72の弾性力よりも高くなったときは、その燃料圧力でボール弁68が開かれる。したがって、燃料通路35で余剰となった燃料が、バルブハウジング64内を通って、余剰燃料吐出口66から吐出(排出)される。これによって、燃料通路35の燃圧が常に一定になるように調整される。また、余剰燃料吐出口66から吐出された余剰燃料は、庇部76により右方に向けられさらに垂下部76aにより下方へ向けて誘導されることにより、ケーシング接続筒部39上に吐出される。これにより、ケーシング接続筒部39の周辺部の洗浄、及び、燃料ポンプ14の冷却がなされる。また、庇部76は、燃料タンク24内の燃料中に浮遊する異物が流下してプレッシャレギュレータ22内へ侵入することを防止する。
【0024】
前記燃料供給装置10によると、燃料タンク24内に横置き状態で配置される燃料ポンプ14と、燃料ポンプ14の吸入口42に接続されかつ扁平な袋状の濾過部材51を有する燃料フィルタ18とを備え、燃料タンク24内の燃料をエンジンに供給する燃料供給装置10であって、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とを、濾過部材51の扁平方向の一側面が燃料ポンプと対面した状態で並行状に配置したものである(図2〜図4及び図6参照)。このため、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とを直列状に配置する場合と比べて、燃料ポンプ14の軸方向に係る装置の全長(左右方向(図4において左右方向)の寸法)を短くすることができる。これとともに、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18との並び方向に係る装置の全幅(前後方向(図4において上下方向)の寸法)の増大を抑制することができる。また、燃料ポンプ14と燃料フィルタ18とを上下に配置する場合と比べて、装置の全高(図6において上下方向の寸法)を低くすることができる。したがって、装置の全長を短くするとともに装置の全高を低くすることによって、燃料供給装置10を小型化することができる。
【0025】
また、燃料タンク24の底部に凹部28を形成し、その凹部28内に燃料フィルタ18の濾過部材51の張出部51aの下端部を収容したものである(図6参照)。したがって、燃料タンク24内の残存燃料量が少なくなっても、凹部28内に溜まっている燃料に燃料フィルタ18の濾過部材51の下端部が浸漬している限り、燃料ポンプ14が燃料を吸込む(吸入する)ことができる。このため、燃料ポンプ14が燃料の吸込みができなくなる残存燃料量を最少化することができる。
【0026】
また、燃料フィルタ18の濾過部材51の側面に形成された管接続口55と燃料ポンプ14の吸入口42とを連通する横向きの管部材53を備え、管部材53内の天井部の稜線60を、入口側から出口側に亘って水平状に形成したものである(図6及び図9参照)。したがって、エンジンの高温時において、燃料フィルタ18の濾過部材51内及び管部材53内の燃料中に発生するベーパを、濾過部材51内の天井部及び管部材53内の天井部に溜めることができる。このため、燃料ポンプ14による燃料の吸込みにともなうベーパの吸込みを防止することができる。このことは、燃料ポンプ14の流量性能の低下の防止に有効である。また、濾過部材51の外表面には燃料の表面張力により燃料膜が張るため、濾過部材51内の天井部にベーパが溜まっても、燃料ポンプ14はベーパを吸込むことなく燃料を吸込むことができる。
【0027】
また、燃料ポンプ14の吐出口43から吐出された燃料の圧力を調整しかつ余剰燃料を吐出する余剰燃料吐出口66を有するプレッシャレギュレータ22を、燃料ポンプ14の吐出口43より上方に配置したものである(図7参照)。したがって、エンジンの高温時において、燃料ポンプ14の吐出口43より下流側の燃料通路35内の燃料中に発生するベーパを浮上させ、最終的にはプレッシャレギュレータ22の余剰燃料吐出口66から余剰燃料とともに燃料タンク24内へ排出させることができる。
【0028】
[実施例2]
本発明の実施例2を説明する。本実施例は、前記実施例1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図10は燃料フィルタを示す正面図、図11は図10のXI−XI線矢視断面図である。
本実施例は、図10及び図11に示すように、前記実施例1における燃料フィルタ18の管部材53の入口側(燃料フィルタ18側)を出口側(燃料ポンプ14側)よりも高い位置に配置したものである。これにより、管部材53内の天井部の稜線60が入口側が出口側よりも高い位置となる傾斜状に形成されている。
【0029】
本実施例によると、管部材53内の天井部の稜線60を、入口側が出口側よりも高い位置となる傾斜状に形成したものである。したがって、管部材53内のベーパが天井部の稜線60に沿って入口側へ浮上しさらに濾過部材51内の天井部へ浮上することができる。このため、管部材53内のベーパをその浮力を利用して濾過部材51内へ排出させることができる。
【0030】
[実施例3]
本発明の実施例3を説明する。本実施例は、前記実施例1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図12は燃料供給装置を示す右側面図である。
本実施例は、図12に示すように、前記実施例1における蓋部材12の燃料吐出管30(図3参照)を、蓋部材12の下面側に直管状の燃料吐出管78に変更したものである。
【0031】
[実施例4]
本発明の実施例4を説明する。本実施例は、前記実施例1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図13は燃料供給装置を示す正断面図である。
本実施例は、図13に示すように、前記実施例1におけるプレッシャレギュレータ22(図6参照)を燃料ポンプ14の下側に並設したものである。これにともない、蓋部材12の燃料通路部31の右側部には、絞り部としての連通路83を介して横管状のレギュレータ嵌合部82が形成されている。レギュレータ嵌合部82は、ポンプ接続口37の下側に配置されている。また、レギュレータ嵌合部82には、プレッシャレギュレータ22が嵌合され、かつ、プレッシャレギュレータ22を抜け止めするリング状のカバー85がスナップフィットにより結合されている。これにより、プレッシャレギュレータ22が、燃料ポンプ14の吐出口43より下方に配置されている。また、蓋部材12の燃料通路部31の上端開口部はプラグ87で閉鎖されている。
【0032】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、燃料タンク24の底部に配置される下付けタイプに限らず、燃料タンク24の天井部に配置される上付けタイプ、燃料タンク24の側部に配置される横付けタイプ等にも適用することが可能である。また、プレッシャレギュレータ22は、前記実施例1で燃料ポンプ14の吐出口43より上方に配置したり、前記実施例4で燃料ポンプ14の吐出口43より下方に配置したりしたが、その配置位置は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
10…燃料供給装置
14…燃料ポンプ
18…燃料フィルタ
22…プレッシャレギュレータ(圧力調整手段)
24…燃料タンク
28…凹部
42…吸入口
43…吐出口
51…濾過部材
53…管部材
55…管接続口
66…余剰燃料吐出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内に横置き状態で配置される燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの吸入口に接続されかつ扁平な袋状の濾過部材を有する燃料フィルタと
を備え、
前記燃料タンク内の燃料をエンジンに供給する燃料供給装置であって、
前記燃料ポンプと前記燃料フィルタとを、前記濾過部材の扁平方向の一側面が燃料ポンプと対面した状態で並行状に配置したことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料供給装置であって、
前記燃料タンクの底部に凹部を形成し、その凹部内に前記燃料フィルタの濾過部材の下端部を収容したことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燃料供給装置であって、
前記燃料フィルタの濾過部材の側面に形成された管接続口と前記前記燃料ポンプの吸入口とを連通する横向きの管部材を備え、
前記管部材内の天井部の稜線を、入口側から出口側に亘って水平状又は入口側が出口側よりも高い位置となる傾斜状に形成した
ことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項1】
燃料タンク内に横置き状態で配置される燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの吸入口に接続されかつ扁平な袋状の濾過部材を有する燃料フィルタと
を備え、
前記燃料タンク内の燃料をエンジンに供給する燃料供給装置であって、
前記燃料ポンプと前記燃料フィルタとを、前記濾過部材の扁平方向の一側面が燃料ポンプと対面した状態で並行状に配置したことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料供給装置であって、
前記燃料タンクの底部に凹部を形成し、その凹部内に前記燃料フィルタの濾過部材の下端部を収容したことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燃料供給装置であって、
前記燃料フィルタの濾過部材の側面に形成された管接続口と前記前記燃料ポンプの吸入口とを連通する横向きの管部材を備え、
前記管部材内の天井部の稜線を、入口側から出口側に亘って水平状又は入口側が出口側よりも高い位置となる傾斜状に形成した
ことを特徴とする燃料供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−122486(P2011−122486A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279305(P2009−279305)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]