説明

燃料油改質装置

【課題】簡単かつ容易に製造して、燃料油に効率よく遠赤外線を照射する。
【解決手段】燃料油改質装置の製造方法は、燃料油に遠赤外線を照射する遠赤外線照射器1と、遠赤外線が照射された燃料油に磁力線を照射する磁気改質器2とを備える燃料油改質装置の製造方法である。燃料油改質装置の製造方法は、燃料油を通過させる内筒11と、この内筒11の外側に配置してなる外筒12との間にスペーサ15を配置して、内筒11と外筒12の間隔を所定の間隔に保持するスペーサ配置工程と、鉱物を粉末状に粉砕して鉱物粉末とし、この鉱物粉末に液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料を遠赤外線照射器1の内筒11と外筒12との間に充填する充填工程と、充填工程の後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥して内筒11と外筒12との間に鉱物粉末からなる筒状遠赤外線照射材13を設ける乾燥工程とで遠赤外線照射器1を製作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてボイラーやバーナーなどに供給される重油、軽油などの燃料油に遠赤外線を照射し、さらに磁力線を照射して活性化する燃料油の改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料油に遠赤外線と磁力線を照射して燃料油を活性化する装置は開発されている。(特許文献1ないし3参照)
特許文献1と2は、燃料油に遠赤外線を照射した後に磁力線を照射して、燃料油を活性化している。特許文献3は、遠赤外線を照射する筒体の一部に磁石を固定して、遠赤外線と磁力線とを燃料油に照射する構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189695号公報
【特許文献2】特開2004−11444号公報
【特許文献3】特開平7−279782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の燃料油改質装置は、遠赤外線を照射する粒状のセラミックに燃料油を通過させて、セラミックで遠赤外線を照射する。この構造によると、セラミックを加温できないので、セラミックから照射される遠赤外線の強度を強くできない欠点がある。セラミックが照射する遠赤外線の放射強度は、セラミックの絶対温度の4乗に比例して大きくなるが、セラミックの温度が燃料油の温度となって加温できないからである。
引用文献2の燃料油改質装置は、粉状、粒状、板状のセラミックを筒状として、その中心に燃料油を通過させて、遠赤外線を照射している。この構造は、燃料配管に移送される燃料油に、長い時間にわたって、たとえば数分間に遠赤外線を照射するには、筒状のセラミックを長くする必要があるが、セラミックを長くすると、セラミックの製作に手間がかかって製造コストが高くなる欠点がある。
引用文献3の燃料油改質装置は、シリコンゴムなどのエラストマーに、遠赤外線を照射する粉末を充填して円筒状に成形して、その表面にヒーターを配置している。この構造は、ヒーターで遠赤外線を充填しているエラストマーを加温できる。ただ、遠赤外線を照射する粉末をエラストマーに埋設しているので、粉末の使用量が少なくなるばかりでなく、粉末から照射される遠赤外線の一部がエラストマーに吸収されて効率よく燃料油に照射できない欠点がある。
【0005】
本発明は、上下の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、簡単かつ容易に、しかも能率よく簡単に製造でき、燃料油に効率よく遠赤外線を照射できる燃料油改質装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明の燃料油改質装置の製造方法は、燃料油に遠赤外線を照射する遠赤外線照射器1と、この遠赤外線照射器1で遠赤外線が照射された燃料油に磁力線を照射する磁気改質器2とを備え、遠赤外線照射器1が、内側に燃料油を通過させる内筒11と、この内筒11の外側に同軸に配置してなる外筒12と、この外筒12と内筒11との間に配置してなる筒状遠赤外線照射材13と、この筒状遠赤外線照射材13を加温する加温器14とを備える燃料油改質装置の製造方法である。
【0007】
本発明の請求項1の燃料油改質装置の製造方法は、内筒11と外筒12との間にスペーサ15を配置して、内筒11と外筒12の間隔を所定の間隔に保持するスペーサ配置工程と、鉱物を粉末状に粉砕して鉱物粉末とし、この鉱物粉末に液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料を遠赤外線照射器1の内筒11と外筒12との間に充填する充填工程と、充填工程の後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥して内筒11と外筒12との間に鉱物粉末からなる筒状遠赤外線照射材13を設ける乾燥工程とで遠赤外線照射器1を製作する。
【0008】
以上の製造方法によると、簡単かつ容易に、しかも能率よく簡単に製造しながら、燃料油に効率よく遠赤外線を照射できる燃料油改質装置を製造できる。とくに、以上の製造方法は、内筒と外筒との間隔をスペーサで一定に保持し、この状態で鉱物粉末に液体を添加してペースト状とした充填材料を充填し、その後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥することで、内筒と外筒との間に鉱物粉末からなる筒状遠赤外線照射材を設けるので、内筒と外筒との間に均一な厚さで簡単に鉱物粉末を充填できる。内筒と外筒の間に均一に充填された鉱物粉末は、重量に対する表面積が極めて大きく、その表面から効率よく遠赤外線を放射して、燃料油に照射する。それは、物体が単位面積に放射するエネルギーは、ステファン・ボルツマンの法則により、物質の絶対温度の4乗とステファン・ボルツマン定数の積に比例して大きくなるからである。重量を同じとする物体の表面積は、小さく粉砕して粒径を小さくして大きくできる。粉砕されて粒径が半分になると、同じ重量では表面積が2倍となり、粒径が1/10になると表面積は10倍も大きくなる。したがって、鉱物を粉末状に粉砕して鉱物粉末として内筒と外筒との間に充填する構造は、円筒状の鉱物に比較して遠赤外線の放射エネルギーを大きくできる。ただ、鉱物粉末は、円筒状の鉱物に比較して、内筒の外側に均一に分散して配置するのが難しい。円筒状の鉱物は、中心に内筒を挿通してその外側に均一に配置できるのに対し、鉱物粉末は、内筒と外筒との間に簡単に充填できないからである。とくに、燃料油に遠赤外線を照射する時間を長くするために、内筒を長くすると、その全周に均一に鉱物粉末を充填するのが極めて難しくなる。ところが、本発明の製造方法は、鉱物粉末に液体を添加してペースト状の充填材料として充填するので、内筒と外筒の間に極めて簡単に充填できる。また、内筒と外筒が長くなっても、ペースト状の充填材料はスムーズに流し込んで充填できる。したがって、本発明は、内筒の外側に均一に鉱物粉末を配置してなる遠赤外線照射器を簡単かつ容易に製造できる。
【0009】
本発明の請求項2の燃料油改質装置の製造方法は、内筒11と外筒12との間にヒーター14Aを配設すると共に、スペーサ15を配置して、内筒11と外筒12の間隔を所定の間隔に保持するヒーター・スペーサ配置工程と、鉱物を粉末状に粉砕して鉱物粉末とし、この鉱物粉末に液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料をヒーター14Aを配設している遠赤外線照射器1の内筒11と外筒12との間に充填してヒーター14Aを充填材料に埋設する充填工程と、充填工程の後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥して内筒11と外筒12との間にヒーター14Aを埋設してなる鉱物粉末からなる筒状遠赤外線照射材13を設ける乾燥工程とで遠赤外線照射器1を製作する。
【0010】
以上の製造方法は、請求項1の製造方法に加えて、さらに内筒と外筒との間にヒーターなどの加温器を配置しながら、簡単かつ容易にしかも安価に遠赤外線照射器を製造できる特徴がある。さらに、加温器が鉱物粉末に埋設されるので、これが効率よく鉱物粉末を加温して遠赤外線をより効率よく照射できる特徴がある。
【0011】
本発明の燃料油改質装置の製造方法は、内筒11に断熱チューブを使用することができる。
この方法で製造される遠赤外線照射器は、鉱物粉末を加温するエネルギーで極めて効率よく遠赤外線を放射できる特徴がある。それは、鉱物粉末から燃料油への熱伝達エネルギーを内筒で断熱するので、鉱物粉末が燃料油に冷却されて温度が低下するのを防止できるからである。いいかえると、加温器が少ないエネルギーで鉱物粉末をより高い温度に加温できて、遠赤外線の放射エネルギーを大きくできるからである。
【0012】
本発明の燃料油改質装置の製造方法は、内筒11の断熱チューブに、ゴムチューブとプラスチックチューブのいずれかを使用することができる。
以上の方法で製造される遠赤外線照射器は、内筒を湾曲する形状にできるので、全体の外形を小さくしながら、内筒を長くして、燃料油に長い時間遠赤外線を照射できる特徴がある。
【0013】
本発明の燃料油改質装置の製造方法は、充填工程において、鉱物粉末に添加する液体に水を使用することができる。
この方法は、安価な水を使用して、鉱物粉末をペースト状として内筒と外筒の間にスムーズに充填できる。
【0014】
本発明の燃料油改質装置の製造方法は、スペーサ配置工程において、スペーサ15でもって内筒11と外筒12との間の隙間を1cm以上であって10cm以下とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例にかかる製造方法で製造される燃料油改質装置の概略図である。
【図2】遠赤外線照射器の一例を示す概略斜視図である。
【図3】図2に示す遠赤外線照射器の断面図である。
【図4】図2に示す遠赤外線照射器の製造方法のスペーサ配置工程を示す斜視図である。
【図5】遠赤外線照射器の他の一例を示す概略断面図である。
【図6】図6に示す遠赤外線照射器の製造方法のスペーサ配置工程を示す分解斜視図である。
【図7】磁気改質器の一例を示す斜視図である。
【図8】図7に示す磁気改質器の分解斜視図である。
【図9】図8に示す磁気改質器の分解斜視図である。
【図10】図7に示す磁気改質器の横断面図である。
【図11】図7に示す磁気改質器の縦断面図である。
【図12】図11に示す磁気改質器の拡大断面図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかる磁気改質器の縦断面図である。
【図14】図13に示す磁気改質器の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための燃料油改質装置の製造方法を例示するものであって、本発明は燃料油改質装置の製造方法を以下のものに特定しない。
【0017】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0018】
図1に示す燃料油改質装置は、ボイラー、バーナー、ディーゼルエンジン等に使用する重油、軽油などの燃料油を改質するのに使用される。これらの図に示す燃料油改質装置は、燃料油に遠赤外線を照射する遠赤外線照射器1と、この遠赤外線照射器1で遠赤外線が照射された燃料油に磁力線を照射する磁気改質器2とを備える。
【0019】
遠赤外線照射器1は、図2ないし図6に示すように、内側に燃料油を通過させる内筒11と、この内筒11の外側に同軸に配置している外筒12と、この外筒12と内筒11との間に配置してなる筒状遠赤外線照射材13と、この筒状遠赤外線照射材13を加温する加温器14とを備える。図2ないし図4の遠赤外線照射器1は、外筒12の外側に加温器14を設けて筒状遠赤外線照射材13を加温しており、図5と図6の遠赤外線照射器1は、筒状遠赤外線照射材13にヒーター14Aを埋設して筒状遠赤外線照射材13を直接に加温している。
【0020】
遠赤外線照射器1は、全長を長くして、燃料油に遠赤外線を照射する時間を長くできる。燃料油は、遠赤外線の照射時間を長くして効果的に活性化される。遠赤外線照射器1は、全長を5m〜10mとして遠赤外線の照射時間を長くする。ただし、遠赤外線照射器は、その全長を、たとえば1mよりも長く、好ましくは2mよりも長く、さらに好ましくは3mよりも長くすることもできる。ただし、遠赤外線照射器が長すぎるとコストが高くなって設置面積も大きくなるので、たとえば40mよりも短く、好ましくは30mよりも短く、さらに好ましくは20mよりも短くして、その用途に最適な長さとする。
【0021】
内筒11は、可撓性のある断熱チューブを使用する。この断熱チューブには、ゴムチューブやプラスチックチューブを使用する。内筒11に断熱チューブを使用するのは、ヒーター14Aなどの加温器14で加温される筒状遠赤外線照射材13の熱が燃料油に放熱されるのを防止して、筒状遠赤外線照射材13の温度を高くするためである。加温器14で加温される筒状遠赤外線照射材13は、絶対温度の絶対温度の4乗に比例して放射強度が増加するので、温度を高くして遠赤外線の放射強度を強くできる。ただし、加温器で遠赤外線照射器と燃料油の両方を加温する遠赤外線照射器にあっては、内筒に断熱チューブを使用せず、熱伝導に優れた内筒、たとえば、金属粉末を混合して成形しているチューブなどを使用する。この遠赤外線照射器は、加温器で筒状遠赤外線照射材を加温し、加温された筒状遠赤外線照射材が遠赤外線を照射すると共に、加温された筒状遠赤外線照射材が内筒を介して燃料油を加温する。燃料油は、加温することで熱効率を高くできる。ただ、遠赤外線を照射して活性化することでより効果的に熱効率を向上できるので、遠赤外線照射器1は、好ましくは、内筒11を断熱して筒状遠赤外線照射材13の温度を高くして、より効果的に遠赤外線を照射するようにする。内筒11は、その内径を10mm〜20mmとして内部に燃料油を通過させる。ただ、内筒11に燃料パイプを挿入して、筒状遠赤外線照射材13から遠赤外線を照射することもできる。
【0022】
外筒12は、内筒11と同軸に配設されて、内筒11との間に筒状遠赤外線照射材13を配置する隙間を設けている。外筒12は内径を50mmとする。ただし、外筒の内径は、30mm〜80mmとすることもできる。図5に示すように、加温器14のヒーター14Aを筒状遠赤外線照射材13に埋設する遠赤外線照射器1は、外筒12の内径を40mm〜100mmと太くする。図2と図3の遠赤外線照射器1は、外筒12の外側に加温器14のヒーター14Aを配置している。このヒーター14Aは、筒状遠赤外線照射材13を加温する。したがって、加温器14の熱が外側に放熱されるのを防止するために、加温器14の外側を断熱層16で被覆している。この構造は、断熱層16で加温器14の熱が外側に放熱されるのを防止できるので、外筒12に、内筒11と同じゴムチューブやプラスチックチューブを使用して、加温器14の熱を効率よく筒状遠赤外線照射材13に伝導できる。図5の遠赤外線照射器1は、筒状遠赤外線照射材13に加温器14のヒーター14Aを配置するので、図6に示すように、外筒12を、円柱を2分割している半円状のパイプとして、これを連結して円筒状としている。この構造の外筒12は、内部に加温器14のヒーター14Aを内蔵して連結できるので、ヒーター14Aの配置を簡単にできる。この遠赤外線照射器1は、外筒12を断熱特性に優れた材質、たとえばプラスチック製とし、あるいは外側を断熱層で被覆して、外側の放熱を防止できる。
【0023】
内筒11と外筒12の間に鉱物粉末を円筒状に充填するために、図4と図6に示すように、内筒11と外筒12との間にはスペーサ15を配置している。スペーサ15は、鉱物粉末を充填されない状態で、内筒11と外筒12とを同軸状に配置する。スペーサ15は、外形を外筒12の内径とする外側リング15Aと、内側に内筒11を挿通する内側リング15Bとを放射状の連結アーム15Cで連結して、外側リング15Aと内側リング15Bとの間にペースト状の充填材料を通過させる貫通孔15Dを設けている。このスペーサ15は、プラスチックや金属で製作される。
【0024】
筒状遠赤外線照射材13は、鉱物を粉末状に粉砕してなる鉱物粉末からなる。鉱物粉末は、遠赤外線を効率よく照射する天然石を粉砕したものである。鉱物粉末は、水などの液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料の状態でスペーサ15で一定の間隔に保持している内筒11と外筒12との間に充填される。充填された充填材料の液体は、乾燥されて除去される。
【0025】
加温器14は、電気ヒーター14Aである。図2と図3の遠赤外線照射器1は、外筒12の外側に電気ヒーター14Aを巻き付けている。この電気ヒーター14Aは、外筒12を介して筒状遠赤外線照射材13を設定温度に加温する。図5の遠赤外線照射器1は、筒状遠赤外線照射材13に加温器14の電気ヒータを埋設して、筒状遠赤外線照射材13を直接に加温する。加温器14が筒状遠赤外線照射材13を加温する設定温度は、60℃に設定される。加温器14は、設定温度を高くして筒状遠赤外線照射材13が遠赤外線を照射する強度を向上できるので、設定温度は好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上とする。設定温度を高くすると加温器14の消費電力が増加すると共に、安全性も低下するので、設定温度は好ましくは100℃よりも低く、さらに好ましくは80℃よりも低く設定される。電気ヒーター14Aは、筒状遠赤外線照射材13を設定温度に加温するために、温度センサ17と、この温度センサ17で電気ヒーター14Aの通電を制御する制御回路18とを備えている。ただ、電気ヒーターは、PTCのように、設定温度になると電気抵抗が急激に増加して通電を制御されるものを使用することもできる。この電気ヒーターは、温度センサや制御回路を使用することなく、筒状遠赤外線照射材を設定温度に加温できる。
【0026】
図2と図3の遠赤外線照射器は、以下の工程で製造される。
[スペーサ配置工程]
図4に示すように、内筒11と外筒12との間にスペーサ15を配置して、内筒11と外筒12の間隔を所定の間隔に保持する。この工程は、スペーサ15の内側リング15Bに内筒11を挿通した後、スペーサ15に挿入している内筒11を外筒12に挿入して、スペーサ15で内筒11と外筒12の間隔を一定とする。
【0027】
[充填工程]
内筒11と外筒12の間に鉱物粉末を充填するために、遠赤外線を照射する天然石の鉱物を粉末状に粉砕して鉱物粉末とする。粉末状の鉱物粉末は、平均粒径を5μm〜100μmとする。粉砕された鉱物粉末に液体を添加してペースト状の充填材料とする。液体に水を使用するが、水以外のアルコールやシンナーなどの揮発しやすい液体を使用して、乾燥時間を短縮することもできる。液体の添加量は、少なすぎると流動性が悪くなり、反対に多すぎると乾燥に時間がかかるので、好ましくは100重量部の鉱物粉末に対して50重量部〜200重量部の液体を添加する。液体を添加し、撹拌してペースト状となった充填材料を内筒11と外筒12との間に流し込んで充填する。
【0028】
[乾燥工程]
充填材料を充填した後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥して内筒11と外筒12との間に鉱物粉末からなる筒状遠赤外線照射材13を設ける。
【0029】
その後、外筒12の外側に電気ヒーター14Aを巻き付けた後、その表面を断熱層16で被覆する。断熱層16には、ガラス繊維、プラスチック発泡体、不織布などを使用する。
【0030】
図5の遠赤外線照射器は、以下の工程で製造される。
[ヒーター・スペーサ配置工程]
図6に示すように、内筒11と外筒12との間にヒーター14Aを配設すると共に、スペーサ15を配置して、内筒11と外筒12の間隔を所定の間隔に保持する。この工程は、スペーサ15の内側リング15Bに内筒11を挿通した後、スペーサ15に直線上の電気ヒータを挿入して、スペーサ15で電気ヒータを定位置に配置し、その後、半円状に分割している外筒12を連結して、外筒12の内側にヒーター14Aとスペーサ15を連結している内筒11を配置する。ただし、この工程は、スペーサと電気ヒーターを連結している内筒を円筒状の外筒に挿入して、内筒と外筒との間に電気ヒーターとスペーサとを配置することもできる。さらに、この工程は、電気ヒーターにスペーサを一体構造に連結して設けて、これを内筒に連結して、外筒に挿入し、あるいは2分割した外筒を連結して内部に配置することもできる。
【0031】
[充填工程]
前述の充填工程と同じように、遠赤外線を照射する天然石の鉱物を粉末状に粉砕して鉱物粉末とし、この鉱物粉末に液体を添加、撹拌してペースト状の充填材料とし、ペースト状となった充填材料を内筒11と外筒12との間に流し込んでヒーター14Aを充填材料に埋設する。
【0032】
[乾燥工程]
充填材料を充填した後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥して内筒11と外筒12との間に鉱物粉末からなる筒状遠赤外線照射材13を設ける。
【0033】
磁気改質器2は、図7ないし図14に示すように、一対の磁石積層ブロック21と、各々の磁石積層ブロック21を内面に固定している一対の外装ケース22と、一対の外装ケース22を連結する結束具23とを備えている。この磁気改質器2は、一対の磁石積層ブロック21の間に燃料パイプ3を配置するように一対の外装ケース22を連結し、結束具23で連結状態に保持される。この磁気改質器2は、一対の磁石積層ブロック21で設けられる磁界中に燃料油を通過させて、燃料油を改質する。
【0034】
一対の磁石積層ブロック21は、複数の永久磁石24を積層状態として、外装ケース22の内側に固定している。図11と図13の断面図に示す磁石積層ブロック21は、燃料パイプ3の両側にあって互いに対向する面に、燃料油の流れる方向に向かってN極とS極とを交互に配設する状態で積層して、燃料パイプ3を通過する燃料油をN極とS極とが交互に繰り返す交番磁界中を通過させる。
【0035】
磁石積層ブロック21を構成する永久磁石24は、積層方向の厚さが交番磁界のピッチを特定する。永久磁石24を厚くすると交番磁界のピッチは広くなり、薄くすると交番磁界のピッチが小さくなる。永久磁石24は、好ましくは積層方向の厚さを5mmないし2mmとする。永久磁石が厚すぎると、交番磁界のピッチが広くなって、交番磁界の変化が少なくなる。反対に永久磁石を薄くすると使用する永久磁石の個数が多くなって製造コストが高くなる。永久磁石24には、磁束密度を1000Gないし8000Gとするものを使用する。
【0036】
図11と図12の磁石積層ブロック21は、燃料パイプ3との対向面とその反対側をN極とS極とするように永久磁石24を積層している。さらに、この磁気改質器2は、対向して配置している一対の磁石積層ブロック21の相対位置を、燃料油の流れ方向に永久磁石24の厚さの1/2ずらせて配置している。すなわち、対向して配置している一対の磁石積層ブロック21は、一方の積層面が他方の永久磁石24の中央に位置するように配置している。この磁石積層ブロック21は、永久磁石24の半分で吸引して、他の半分で反発するので、互いに連結する状態で吸引力も反発力も作用せず、一対の外装ケース22を簡単に定位置に連結できる特徴がある。
【0037】
図13と図14の磁石積層ブロック21は、積層している永久磁石24の積層面の磁極が交互にN極とS極となり、かつ対向面の磁極を同極とするように積層している。この磁石積層ブロック21は、永久磁石24の積層面で磁力線を互いに反発させて燃料パイプ3中に通過できる。このため、永久磁石24から出る磁力線を効果的に燃料油に作用させて、燃料油を強力な交番磁界中に通過できる特徴がある。
【0038】
外装ケース22は、ステンレス板をプレス加工して製作される。ただし、外装ケースは、アルミニウムや銅等の金属板で製作することも、また硬質のプラスチックで製作することもできる。外装ケース22は、外側プレート31の両側に側壁部32を連結し、かつ外側プレート31の両端に、端部プレート部33を連結して、外側プレート31の周囲を側壁部32と端部プレート部33とで囲む形状としている。端部プレート部33は、燃料パイプ3を案内するガイド凹部34を設けている。端部プレート部33は、ガイド凹部34の内側に沿ってゴム状弾性からなるパッキン25を連結している。パッキン25は、外側に沿ってU溝25Aを設けて、ここに端部プレート部33を嵌着している。パッキン25の内面は、燃料パイプ3の表面に密着する半円形とている。この磁気改質器2は、ゴム状弾性リングのパッキン25を介して燃料パイプ3に連結できる。
【0039】
外装ケース22は、側壁部32と端部プレート部33との内側であって外側プレート31の内面に、複数の永久磁石24を側壁部32の長さ方向に積層して磁石積層ブロック21を固定している。さらに、外装ケース22は、磁石積層ブロック21と端部プレート部33との間に位置決めスペーサ26を挟着して、位置決めスペーサ26でもって、積層方向の位置を特定して、磁石積層ブロック21を外装ケース22内の定位置に配置して、磁石積層ブロック21と外装ケース22の内側との間に接着剤27を充填して、磁石積層ブロック21を外装ケース22に固定している。この構造は、燃料パイプ3の両側に配置される磁石積層ブロック1の2相対位置、とくに、対向して配置される複数の永久磁石24の積層方向の相対位置を正確に特定しながら固定できる。
【0040】
さらに、図9と図10の外装ケース22は、磁石積層ブロック21と側壁部32との間にも位置決めスペーサ28を挟着して、この位置決めスペーサ28でもって、互いに積層される複数の永久磁石24の側面の位置、すなわち、積層方向と垂直な方向の位置を特定している。この位置決めスペーサ28は、磁石積層ブロック21との対向面を、永久磁石24の積層方向に延びる平面状としており、複数の永久磁石24の側面が同一平面となるように位置決めしながら、磁石積層ブロック21を外装ケース22内の定位置に配置している。この位置決めスペーサ28は、図10に示すように、磁石積層ブロック21の両側に配置されて、磁石積層ブロック21の永久磁石24を燃料パイプ3と対向する位置に配置している。この構造は、磁石積層ブロック21を構成する複数の永久磁石24を一列に整列させて配置できると共に、燃料パイプ3の両側に配置される磁石積層ブロック21の相対位置、とくに、永久磁石24の積層方向と垂直な方向(図10において左右方向)の相対位置を正確に特定しながら固定できる。ただ、この位置決めスペーサは、必ずしも必要ではなく、省略することもできる。
【0041】
一対の外装ケース22は、図10の横断面図に示すように、その両端に設けている端部プレート部33の開口縁を互いに接触する状態で、ガイド凹部34に燃料パイプ3を挟着して互いに連結される。さらに、外装ケース22の側壁部32は、一方を他方よりも幅広として、一対の外装ケース22を連結する状態において、図10の断面図に示すように、幅広の側壁部32Aを幅狭の側壁部32Bの外側に積層して配置するようにしている。図の外装ケース22は、幅狭の側壁部32Bを端部プレート部33と同じ幅として、幅広の側壁部32Aの幅を幅狭の側壁部32Bの2倍としている。
【0042】
さらに、外装ケース22の側壁部32は、図7ないし図9に示すように、幅広の側壁部32Aと幅狭の側壁部32Bは、一方にガイドスリット35を設けて、他方にはこのガイドスリット35に案内されるガイド凸部36を設けている。ガイドスリット35は、永久磁石24の積層面と平行な方向に伸びて側壁部32の側縁に開口している。図の外装ケース22は、幅広の側壁部32Aにガイドスリット35を設けて、幅狭の側壁部32Bにガイド凸部36を設けている。図の外装ケース22は、ネジ頭を大きくしないネジを側壁部32にねじ込んでガイド凸部36を設けている。図示しないが、幅狭の側壁部にガイドスリットを設けて、幅広の側壁部にガイド凸部を設けることもできる。ガイドスリット35とガイド凸部36は、ガイド凸部36をガイドスリット35に案内して一対の外装ケース22を連結することで、外装ケース22に固定している磁石積層ブロック21を所定の相対位置に固定できる位置に設けている。この外装ケース22は、燃料パイプ3を挟着するように一対の外装ケース22を燃料パイプ3の両側に連結する状態で、ガイドスリット35にガイド凸部36を案内することで、互いに定位置に配置される。この状態で結束具23で連結状態に固定することで、燃料パイプ3の両側に一対の磁石積層ブロック21が正確な位置に配置される。
【0043】
結束具23は、互いに連結している外装ケース22の外側を結束できる全てのもの、たとえば、一端に係止構造の貫通孔23Aがあってその表面に係止凹凸(図示せず)のある細長い結束具23が便利に使用できる。この結束具23は、外装ケース22を囲む状態で先端を貫通孔23Aに挿入して引っ張ることで、一対の外装ケース22を結束できる。係止凹凸が貫通孔23Aの係止構造に係止されて、係止状態に保持されるからである。ただし、本発明は、結束具を以上の構造には特定しない。たとえば、互いに連結される一対の外装ケースに針金等を巻き付けて、その両端を連結することもでき、針金などの線材も結束具として使用できることから、互いに連結している外装ケースを結束して固定できる全ての結束具を使用できるからである。
【符号の説明】
【0044】
1…遠赤外線照射器
2…磁気改質器
3…燃料パイプ
11…内筒
12…外筒
13…筒状遠赤外線照射材
14…加温器 14A…ヒーター
15…スペーサ 15A…外側リング
15B…内側リング
15C…連結アーム
15D…貫通孔
16…断熱層
17…温度センサ
18…制御回路
19…
20…
21…磁石積層ブロック
22…外装ケース
23…結束具 23A…貫通孔
24…永久磁石
25…パッキン 25A…U溝
26…位置決めスペーサ
27…接着剤
28…位置決めスペーサ
31…外側プレート
32…側壁部 32A…幅広の側壁部
32B…幅狭の側壁部
33…端部プレート部
34…ガイド凹部
35…ガイドスリット
36…ガイド凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油に遠赤外線を照射する遠赤外線照射器(1)と、この遠赤外線照射器(1)で遠赤外線が照射された燃料油に磁力線を照射する磁気改質器(2)とを備え、
前記遠赤外線照射器(1)が、内側に燃料油を通過させる内筒(11)と、この内筒(11)の外側に同軸に配置してなる外筒(12)と、この外筒(12)と内筒(11)との間に配置してなる筒状遠赤外線照射材(13)と、この筒状遠赤外線照射材(13)を加温する加温器(14)とを備える燃料油改質装置の製造方法であって、
前記内筒(11)と外筒(12)との間のスペーサ(15)を配置して、内筒(11)と外筒(12)の間隔を所定の間隔に保持するスペーサ配置工程と、
鉱物を粉末状に粉砕して鉱物粉末とし、この鉱物粉末に液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料を前記遠赤外線照射器(1)の内筒(11)と外筒(12)との間に充填する充填工程と、
充填工程の後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥して内筒(11)と外筒(12)との間に鉱物粉末からなる筒状遠赤外線照射材(13)を設ける乾燥工程とで前記遠赤外線照射器(1)を製作することを特徴とする燃料油改質装置の製造方法。
【請求項2】
燃料油に遠赤外線を照射する遠赤外線照射器(1)と、この遠赤外線照射器(1)で遠赤外線が照射された燃料油に磁力線を照射する磁気改質器(2)とを備え、
前記遠赤外線照射器(1)が、内側に燃料油を通過させる内筒(11)と、この内筒(11)の外側に同軸に配置してなる外筒(12)と、この外筒(12)と内筒(11)との間に配置してなる筒状遠赤外線照射材(13)と、この筒状遠赤外線照射材(13)を加温する加温器(14)とを備える燃料油改質装置の製造方法であって、
前記内筒(11)と外筒(12)との間にヒーター(14A)を配設すると共に、スペーサ(15)を配置して、内筒(11)と外筒(12)の間隔を所定の間隔に保持するヒーター・スペーサ配置工程と、
鉱物を粉末状に粉砕して鉱物粉末とし、この鉱物粉末に液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料をヒーター(14A)を配設している前記遠赤外線照射器(1)の内筒(11)と外筒(12)との間に充填してヒーター(14A)を充填材料に埋設する充填工程と、
充填工程の後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥して内筒(11)と外筒(12)との間にヒーター(14A)を埋設してなる鉱物粉末からなる筒状遠赤外線照射材(13)を設ける乾燥工程とで前記遠赤外線照射器(1)を製作することを特徴とする燃料油改質装置の製造方法。
【請求項3】
前記内筒(11)に断熱チューブを使用する請求項1または2に記載される燃料油改質装置の製造方法。
【請求項4】
前記内筒(11)の断熱チューブに、ゴムチューブとプラスチックチューブのいずれかを使用する請求項3に記載される燃料油改質装置の製造方法。
【請求項5】
前記充填工程において、鉱物粉末に添加する液体に水を使用する請求項1または2に記載される燃料油改質装置の製造方法。
【請求項6】
前記スペーサ配置工程において、スペーサ(15)でもって内筒(11)と外筒(12)との間の隙間を1cm以上であって10cm以下とする請求項1または2に記載される燃料油改質装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−16972(P2011−16972A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164311(P2009−164311)
【出願日】平成21年7月11日(2009.7.11)
【出願人】(505299811)オオノ開發株式会社 (6)
【出願人】(599167489)株式会社陶石麻照 (5)
【出願人】(500315688)
【出願人】(308037498)株式会社エコテック (3)
【Fターム(参考)】