説明

燃料添加剤

式(1):AX1-yyn(式中、Aは、ランタニド元素または1つ以上の二価もしくは一価カチオンを含む1つ以上の第III族元素基から選択され;Bは、22〜24、40〜42および72〜75の原子番号を備える1つ以上の元素から選択され;Mは、25〜30の原子番号を備える1つ以上の元素から選択され;xは、1つの数(このとき、0<x≦1である)であると規定され;yは、1つの数(このとき、0≦y<0.5である)であると規定されている)に規定された組成式を有する1つ以上の複合酸化物を含む燃料添加剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料添加剤に関する。より詳細な実施形態では、本発明は、燃料中に高い硫黄含量を備える場合でさえ有効な燃料添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化セリウムは、自動車における有毒な排気物質を排除するための三元触媒コンバータの触媒中の成分として広汎に使用されてきた。触媒中に含有された酸化セリウムは、還元ガスの存在下における酸素の放出、および酸化種との相互作用による酸素の除去による酸素貯蔵所として機能する、化学的に活性な成分として作用できる。酸化セリウムは、以下のプロセス:
2CeO2<=>Ce23+0.5O2
によって酸素を貯蔵および放出することができる。
【0003】
酸化セリウムは、燃料に添加される添加剤としても使用されてきた。そのような使用では、酸化セリウムは、有毒な排気ガスの放出を減少させることが見いだされている触媒作用を提供する。酸化セリウムの添加は、さらにまた酸化セリウムが内燃機関を通過するにつれて燃料の燃焼を改善することも見いだされている。燃焼の改善に起因して、作り出される汚染物質ははるかに少なくなる。例えば、酸化セリウムがディーゼルエンジンのための燃料添加剤として使用される場合は、およそ10%の効率の上昇が達成されており、さらにまた最大65%のNOxガスの放出減少もまた測定されている(Oxonicaのウェブサイトを参照されたい)。
【0004】
酸化セリウム粒子を燃料中に懸濁させたままで維持するためには、通常は酸化セリウム粒子のコロイド分散を調製することが必要であり、これは酸化セリウム粒子が極めて微細である、例えば最大300nmの最大粒径を有するサブミクロン粒子であることを必要とする。
【0005】
特許文献には、燃料添加剤としての酸化セリウム、または修飾形の酸化セリウムの使用を考察している幾つかの文書が記載されている。
国際公開第03/040270号(その全内容は相互参照により本明細書に組み入れられる)は、希土類金属、貴金属もしくは周期表の第IIA族、第IIIB族、第VB族、もしくは第VIB族の金属を含む遷移金属である二価もしくは三価金属またはメタロイド(半金属)と、極性もしくは非極性有機溶媒とを用いてドープされている酸化セリウム粒子を含む燃料添加剤について記載している。
【0006】
この特許出願に記載されたドープされた酸化セリウム粒子は、以下の式で表される。
Ce1-XX2
ここで、Mは上述した金属もしくはメタロイド、特にRh、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Sb、Se、Fe、Ga、Mg、Mn、Cr、Be、B、Co、VおよびCaならびにPr、SmおよびGdであり、xは最大0.3の数値を有する。特に銅が好ましい。
【0007】
または、ドープされた酸化セリウム粒子は、以下の式で表される。
[(CeO21-n(REOyn1-kM’k
ここで、M’は希土類以外の前記金属もしくはメタロイドであり、REは希土類であり、yは1もしくは1.5であり、nおよびkの各々は最大0.5、好ましくは0.3までの数値を有する。
銅は、好ましい金属もしくはメタロイドである。
【0008】
国際公開第2004/065529号(その全内容は相互参照により本明細書に組み入れられる)は類似の開示を有するが、この特許出願は、内燃機関のための燃料の効率を改善する方法であって、前記燃料を車両または内燃機関を含む他の装置へ導入する前に、前記燃料に酸化セリウムおよび/またはドープされた酸化セリウム、ならびに任意で、1つ以上の燃料添加剤を加える工程を含む方法に関する。
【0009】
本出願に記載された本発明において使用できるドープされた酸化セリウムは、式:Ce1-xx2を有し、Mは、上述した金属もしくはメタロイド、特にRh、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Sb、Se、Fe、Ti、Ga、Mg、Mn、Cr、Be、B、Co、VおよびCaならびにPr、Sm、およびGdである。
【0010】
燃料添加剤は、前記燃料を(例えば、サービスステーションで)分配する時点に前記燃料と混合される製品の形態で提供されてもよい。これらの実施形態では、燃料添加剤は、自動車の燃料タンク内へ、前記自動車の燃料タンクを満タンにする前、または直後に直接注入することができる。または、燃料添加剤は、サービスステーションで燃料貯蔵タンク内において前記燃料と混合することができる。しかし、燃料添加剤は、典型的には石油精製所で、燃料の製造時点に前記燃料と混合された燃料添加剤を有することが一層より望ましい。
【0011】
その全内容が相互参照により本明細書に組み入れられる本発明者らの同時係属の国際特許出願PCT/AU2007/000488号では、本発明者らは、排気物質触媒として有用な材料について記載している。
【0012】
本特許の出願人は、本明細書で考察した先行技術がオーストラリアまたは他の国での一般的知識の一部を形成するとは認めていない。
この明細書を通して、用語「〜を含む」およびその文法上の同等物は、文脈上明らかにそうでないことが示されていない限り、包含的意味を有すると見なすべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らは、本発明者らの同時係属の国際特許出願PCT/AU2007/000488号において記載した触媒物質が、燃料添加剤としても特に有用であることを今や見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1態様では、本発明は、燃料添加剤であって、式(1)に規定された組成式を有する1つ以上の複合酸化物を含む燃料添加剤を提供する。
X1-yyn (1)
ここで、
Aは、ランタニド元素または1つ以上の二価もしくは一価カチオンを含む1つ以上の第III族元素基から選択され;
Bは、22〜24、40〜42および72〜75の原子番号を備える1つ以上の元素から選択され;
Mは、25〜30の原子番号を備える1つ以上の元素から選択され;
xは、1つの数であり、0<x≦1と規定され;
yは、1つの数であり、0≦y<0.5と規定される。
【0015】
1つの実施形態では、1つ以上の複合酸化物は、式(2)に規定された一般組成を有する。
XA’W1-yyn (2)
ここで、
Aは、ランタニド元素を含む1つ以上の第III族元素であり;
A’は、1つ以上の二価もしくは一価カチオンであり;
wは、1つの数であり、0≦w≦1と規定され;
0.5<x+w≦1であり、および
B、M、P、xおよびyは、式(1)に規定されている。
好ましい実施形態では、Aは、La、Ce、SmおよびNdから選択され、A’は、Sr、Ba、およびCaから選択され、Bは、Ti、V、WおよびMoから選択され、ならびにMは、CuおよびNiから選択される。
より好ましい実施形態では、Aは、Laおよび/またはCeであり、A’は、Srであり、Bは、Tiであり、ならびにMは、Cuおよび/またはNiである。
【0016】
この実施形態では、複合酸化物は、式(3)に規定された一般式を有する。
(La,Ce)XSrWTi1-yyn (3)
【0017】
また別の実施形態では、少なくとも1つの複合酸化物相は、一般式(4)、およびより好ましくは式(5)、を備えるペロブスカイトである。
XA’W1-yy3 (4)
(La,Ce)XSrWTi1-yy3 (5)
ここで、(4)および(5)の中の用語は、上記の(1)および(2)に規定したとおりである。
この式のペロブスカイト成分は、実質的に均質および相純粋組成物を示すことを適切に示す。
【0018】
複合酸化物材料は、およそ15m2/gより大きい、好ましくはおよそ20m2/gより大きい、より好ましくはおよそ30m2/gより大きい初期表面積、ならびに1,000℃の空気中での2時間にわたるエージング後におよそ5m2/gより大きい、好ましくはおよそ10m2/gより大きい、より好ましくはおよそ15m2/gより大きい表面積を有することができる。
【0019】
複合酸化物材料は一般に、およそ2nm〜およそ150nm、好ましくはおよそ2〜100nmの平均粒径を示しており、およそ7nm〜およそ250nm、より好ましくはおよそ10nm〜およそ150nmの範囲内の孔径を有する。しかし、複合酸化物材料の平均粒径および孔径は、選択された特定の複合酸化物に依存して、変動する可能性がある。
より好ましくは、複合酸化物材料は、実質的にバラつきのある孔径範囲を示すことができる。
【0020】
本発明の複合酸化物材料は、一般式(1)において上記で記載した元素の前駆体を混合することにより形成され、その後適切な熱処理を行うことによって目標とする相が形成される。前駆体は、例えば使用した元素の塩、酸化物または金属などの任意の適切な形態であってもよい。前駆体混合物は、固体の混合物、溶液、または固体と溶液の組み合わせの形態にあってもよい。溶液は、塩を例えば水、酸、アルカリまたはアルコール類などの溶媒中に溶解させることによって形成することができる。塩は、硝酸塩類、炭酸塩類、酸化物類、酢酸塩類、シュウ酸塩類、および塩化物類であってもよいが、それらに限定されない。例えばアルコキシド類などの元素の有機金属形もまた使用できる。
固体分散液もまた、適切な前駆体材料として使用することができる。
【0021】
複合酸化物を形成するために前駆体を混合する様々な方法には、例えば混合および粉砕、共沈降、熱蒸発およびスプレー熱分解、ポリマーおよび界面活性剤複合物の混合ならびにゾルゲル法を含むことができるが、それらに限定されない。必要な場合は、最終相組成は、混合に続く熱加工処理によって達成される。加熱する工程は、任意の適切な加熱装置を用いて実施することができ、ホットプレートもしくはスプレー熱分解に使用されるような他の加熱基板、オーブン固定テーブル炉、回転炉、誘導路、流動床炉、浴釜、自溶炉、真空炉、回転式乾燥機、スプレー乾燥機、スピン・フラッシュ乾燥機を含むことができるがそれらに限定されない。
【0022】
好ましい実施形態では、均質な複合酸化物は、その全内容が相互参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,752,679号、「Production of Fine−Grained Particles」に記載された方法によって形成される。
また均質な複合酸化物が形成された別の好ましい実施形態では、その全内容が相互参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,852,679号および米国特許出願第60/538867号に記載された方法によって指示されたサイズ範囲内のナノサイズの粒子およびサイズ範囲内のナノスケール孔を有している。
【0023】
均質な複合酸化物が形成されたより好ましい実施形態では、それらの全内容が相互参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,752,679号および米国特許出願第60/538867号および米国特許出願第60/582905号に記載されている方法を用いることによって、指示されたサイズ範囲内のナノサイズの粒子および指示されたサイズ範囲内のナノスケール孔を有し、ならびに前駆体元素の1つとしてのナノスケール粒子のコロイド状分散水溶液を使用する。
【0024】
一部の実施形態では、複合酸化物は、分散した粒子の形態で提供される。分散した粒子は、300nmまでの粒径を有してもよい。分散した粒子は、米国特許第6,752,679号もしくは米国特許出願第60/538867号もしくは米国特許出願第60/582905号に記載された方法によって複合酸化物材料を形成し、その後で複合酸化物材料を粉砕することによって形成することができる。驚くべきことに、米国特許第6,752,679号および米国特許出願第60/538867号および米国特許出願第60/582905号に記載された方法によって形成される凝集した粒子は、粗にしか凝集しておらず、容易に粉砕もしくは製粉して分散した粒子を形成できることが見いだされている。
【0025】
本発明の一部の実施形態では、AはCeであり、BはTiであり、yは0であり、zは0であり、nは4である。これは、式:CeTiO4を有する複合酸化物を生じさせる。
本発明による燃料添加剤は、さらにまた1つ以上の溶媒を含むことができる。1つ以上の溶媒は、有機溶媒を含むことができる。1つ以上の溶媒は、非極性有機溶媒または極性有機溶媒を含むことができる。当業者であれば、本発明による燃料添加剤中に多数の溶媒を使用できることを容易に理解するであろう。溶媒は燃料中に可溶性であり、金属酸化物の粒子のための担体または送達剤として機能する。
【0026】
多数の他の成分もまた、燃料添加剤に添加することができる。これらの他の成分は:
洗剤、
曇り除去剤、
消泡剤、
点火向上剤、
防錆剤または防蝕剤、
防臭剤、
酸化防止剤、
金属不活性化剤、
潤滑剤、
染料、を含むことができる。
【0027】
当業者であれば、上記の添加剤の性質および供給源を容易に理解するであろう。当業者であれば、さらにまた燃料添加剤には、どの位の各添加剤を添加できるかを容易に理解するであろう。
【0028】
本発明者らは、複合金属酸化物が、本発明の第1のアスペクトに関連して記載したように、本発明による燃料添加剤として使用するために特に適合することを見いだした。詳細には、本発明の燃料添加剤は、硫黄による不活性化または中毒に対して増強された抵抗性を示す。本発明者らは、硫黄による不活性化または中毒に対して増強された抵抗性に起因して、本発明による燃料添加剤は、例えばディーゼル燃料などの燃料に、燃料の製造施設(典型的には石油精製所であろう)または燃料のための大量貯蔵施設で添加するのに特に適していると考えている。石油精製所または大量貯蔵施設での燃料へ酸化セリウムをベースとする燃料添加剤を組み入れるためのこれまでの努力は、燃料添加剤の不適正な性能を生じさせたが、本発明者らはこれが硫黄による不活性化または中毒に起因すると仮定していた。これに関連して、現代的な高品質ディーゼル燃料さえ50ppmまでの硫黄を含有することは理解されるであろう。
【0029】
第2のアスペクトでは、本発明は、燃料添加剤を製造するための方法であって、上記に記載した式(1)のナノサイズの粒子を有する凝集した粒子の形態で形成された複合金属酸化物を形成する工程と、前記粒子凝集体を破壊して300nm未満の粒径を有する複合金属酸化物の分散した粒子を形成する工程と、および前記粒子を燃料に添加する工程とからなる方法を提供する。
【0030】
一部の実施形態では、本方法は、前記粒子を1つ以上の溶媒と混合する工程をさらに含むことができる。溶媒は、燃料中で可溶性であり、金属酸化物の粒子のための担体または送達剤として機能する。燃料添加剤には、上記に記載したように、他の添加剤を添加することもできる。
【0031】
第3のアスペクトでは、本発明は、燃料添加剤であって、溶媒と上記の式(1)に規定した組成式を有する1つ以上複合酸化物を含む燃料添加剤を提供する。溶媒は、燃料中で可溶性であり、金属酸化物の粒子のための担体または送達剤として機能する。燃料混合物は、溶媒中の複合金属酸化物の粒子の懸濁液または分散液の形態にあってもよい。
【0032】
また別の態様では、本発明は、炭化水素をベースとする燃料および本明細書に記載したような燃料添加剤を含む燃料をさらに提供する。炭化水素をベースとする燃料は、ディーゼル燃料であってもよい。
【0033】
当業者には理解されるように、本明細書に示した化学式の全部において、nは式の中で酸素を金属種と本質的に平衡させる数値である。
【実施例】
【0034】
材料の調製
【実施例1】
【0035】
組成式:La0.8Sr0.2TiO3+10重量%のCeO2の複合金属酸化物は、以下のように製造した。
Tiを除く必要な元素全部を含有する溶液は、45mLの水、10gの硝酸、46.29gの硝酸ランタン六水和物、5.66gの硝酸ストロンチウムおよび7.57gの硝酸セリウム六水和物を混合する工程によって製造した。
10.67gのチタンをベースとするナノ粒子を溶液に加え、粒子が分散して透明溶液が形成されるまで50℃の温度で攪拌した。
次のこの溶液を16gのカーボンブラックに加え、高速攪拌機を用いて混合した。結果として生じた混合物を70gのアニオン性界面活性剤と加え、再び高速攪拌機を用いて混合した。
最終混合物は650℃へ緩徐に加熱処理し、次に800℃で2時間にわたり、およびさらに2時間にわたり、1,000℃で処理した。XRD分析は、ペロブスカイト相LaSr0.5Ti26および(Ce,La)2Ti27が実施例1に存在する相の主要タイプであることを示した。
【実施例2】
【0036】
組成式:La0.5Sr0.25Ti0.96Ni0.04n+10重量%のCeO2の複合金属酸化物は、実施例1に類似する方法を用いて製造した。XRD分析は、ペロブスカイト相LaSr0.5Ti26および(Ce,La)2Ti27が存在する相の主要タイプであることを示した。
【実施例3】
【0037】
組成式:La0.8Sr0.2Ti0.96Ni0.04n+10重量%のCeO2の複合金属酸化物は、実施例1に類似する方法を用いて製造した。XRD分析は、ペロブスカイト相LaSr0.5Ti26および(Ce,La)2Ti27が存在する相の主要タイプであることを示した。
【実施例4】
【0038】
組成式:La0.8Sr0.2Ti0.93Ni0.04Cuo0.03n+10重量%のCeO2の複合金属酸化物は、実施例1に類似する方法を用いて製造した。XRD分析は、ペロブスカイト相LaSr0.5Ti26および(Ce,La)2Ti27が存在する相の主要タイプであることを示した。
【実施例5】
【0039】
組成式:LaTi0.96Ni0.04n+10重量%のCeO2の複合金属酸化物は、実施例1に類似する方法を用いて製造した。XRD分析は、ペロブスカイト相LaSr0.5Ti26および(Ce,La)2Ti27が存在する相の主要タイプであることを示した。
【実施例6】
【0040】
組成式:CeTi0.96Ni0.04nの複合金属酸化物は、実施例1に類似する方法を用いて製造した。XRD分析は、(Ce,La)2Ti27相が存在する相の主要タイプであることを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
X1-yyn (1)
(式中、
Aは、ランタニド元素または1つ以上の二価もしくは一価カチオンを含む1つ以上の第III族元素基から選択され;
Bは、22〜24、40〜42および72〜75の原子番号を備える1つ以上の元素から選択され;
Mは、25〜30の原子番号を備える1つ以上の元素から選択され;
xは、1つの数(このとき、0<x≦1である)であると規定され;
yは、1つの数(このとき、0≦y<0.5である)であると規定されている)
に規定された組成式を有する1つ以上の複合酸化物を含む燃料添加剤。
【請求項2】
前記1つ以上の複合酸化物は、式(2):
XA’W1-yyn (2)
(式中、
Aは、ランタニド元素を含む1つ以上の第III族元素であり;
A’は、1つ以上の二価もしくは一価カチオンであり;
wは、1つの数(このとき、0≦w≦1である)であると規定され;
0.5<x+w<1であり、および
B、M、P、xおよびyは、式(1)に規定されている)
に規定された組成式を有する、請求項1に記載の燃料添加剤。
【請求項3】
Aは、La、Ce、SmおよびNdから選択され、A’は、Sr、Ba、およびCaから選択され、Bは、Ti、V、WおよびMoから選択され、ならびにMは、CuおよびNiから選択される、請求項2に記載の燃料添加剤。
【請求項4】
AはLaおよび/またはCeであり、A’はSrであり、BはTiであり、MはCuおよび/またはNiであり、ならびに前記複合酸化物は、式(3):
(La,Ce)XSrWTi1-yyn (3)
に規定された一般式を有する、請求項3に記載の燃料添加剤。
【請求項5】
少なくとも1つの複合酸化物相は、一般式(4):
XA’W1-yy3 (4)
を備えるペロブスカイトである、請求項2に記載の燃料添加剤。
【請求項6】
少なくとも1つの複合酸化物相は、一般式(5):
(La,Ce)XSrWTi1-yy3 (5)
を備えるペロブスカイトである、請求項6に記載の燃料添加剤。
【請求項7】
前記複合酸化物材料は、およそ15m2/gより大きい初期表面積、および、1,000℃の空気中での2時間にわたるエージング後におよそ5m2/gより大きい表面積を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料添加剤。
【請求項8】
前記複合酸化物材料は、およそ30m2/gより大きい初期表面積、および、1,000℃の空気中での2時間にわたるエージング後におよそ15m2/gより大きい表面積を有する、請求項7に記載の燃料添加剤。
【請求項9】
前記複合酸化物材料は、およそ2mm〜およそ150nmの平均粒径を示し、およそ7m〜およそ250nmのサイズ範囲内にある孔径を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料添加剤。
【請求項10】
AはCeであり、BはTiであり、yは0であり、zは0であり、nは4であり、前記複合酸化物は式CeTiO4を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の燃料添加剤。
【請求項11】
燃料中に可溶性であり、金属酸化物の粒子のための担体または送達剤として機能する1つ以上の溶媒をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の燃料添加剤。
【請求項12】
洗剤、曇り除去剤、消泡剤、点火向上剤、防錆剤または防蝕剤、消臭剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、潤滑剤、染料またはそれらの2つ以上の混合物から成る群から選択される他の成分もしくは添加剤をさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の燃料添加剤。
【請求項13】
ナノサイズの粒子を有する凝集した粒子の形態で形成される式(1)の複合金属酸化物を形成する工程と、前記複合金属酸化物は工程と、前記粒子凝集体を破壊して300nm未満の粒径を有する複合金属酸化物の分散した粒子を形成する工程と、および前記粒子を燃料に添加する工程とを含む、請求項1に記載の燃料添加剤を製造するための方法。
【請求項14】
前記粒子を、前記燃料中に可溶性であり、金属酸化物の粒子のための担体または送達剤として機能する1つ以上の溶媒と混合する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
燃料を生成するために石油精油所で石油を精油する工程と請求項1〜12のいずれか一項に記載の燃料添加剤を精油所または前記燃料のための大量貯蔵施設で前記燃料に添加する工程とを含む、燃料を製造する方法。
【請求項16】
前記燃料は、ディーゼル燃料である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記燃料添加剤は、前記溶媒中の複合酸化物の粒子の懸濁液または分散液の形態にある、請求項11または請求項11に追加された場合の請求項12に記載の燃料添加剤。
【請求項18】
炭化水素をベースとする燃料および請求項1〜12または17のいずれか一項に記載の燃料添加剤を含む燃料。

【公表番号】特表2011−510122(P2011−510122A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542479(P2010−542479)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/AU2009/000050
【国際公開番号】WO2009/089590
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(506250033)ベリー スモール パーティクル コンパニー リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】VERY SMALL PARTICLE COMPANY LTD
【住所又は居所原語表記】31 Westgate Street, Wacol, QLD 4076 (AU)
【Fターム(参考)】