説明

燃料電池およびその製造方法

【課題】燃料電池を容易に製造することのできる技術を提供する。
【解決手段】燃料電池は、複数の単セルと複数のセパレータとを備える。各セパレータは、隣り合う2つの単セルのうちの第1の単セルの第1の電極層に対向する第1のセパレータ要素を備える。第1のセパレータ要素には、燃料電池内部に設けられた第1種の反応ガス通路を構成する第1の孔が形成されている。そして、第1のセパレータ要素は、第1の孔の形成に伴って発生したバリを有する第1の面と、該バリを有していない第2の面と、を含む。第1のセパレータ要素は、第1のセパレータ要素と第1の単セルの第1の電極層との間に第2種の反応ガス通路が形成され、かつ、第2の面が第1種の反応ガス通路と第2種の反応ガス通路とを接続する連通路を構成する連通路構成部材と接するように、配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、通常、単セルとセパレータとが交互に積層された積層構造を有している。燃料電池内部には、積層方向に沿ったセル間反応ガス通路が設けられている。また、燃料電池内部には、各単セル毎に、セル内反応ガス通路が設けられていると共に、セル間反応ガス通路とセル内反応ガス通路とを接続する連通路が設けられている。そして、反応ガスは、セル間反応ガス通路と連通路とセル内反応ガス通路とを通って、単セルに供給され、電気化学反応に利用される。
【0003】
セパレータには、セル間反応ガス通路を構成する孔が形成される。セパレータが金属製である場合には、該孔を形成する際に、該孔の周囲にはバリが発生し得る。該バリが存在する場合には、連通路の開口面積が減少するため、連通路を介して、セル間反応ガス通路からセル内反応ガス通路に反応ガスを効率よく供給することが困難となる。
【0004】
なお、特許文献1では、複数の単セルと複数のセパレータとを積層した後に、積層方向に沿って形成される貫通孔の壁面を面一加工することにより、バリを除去する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−192893号公報
【特許文献2】特開2004−39365号公報
【特許文献3】特開2004−6104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、バリの除去処理を必要とするため、燃料電池の製造が比較的困難であるという問題があった。
【0007】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池を容易に製造することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の装置は、燃料電池であって、
複数の単セルであって、前記各単セルは電解質層と前記電解質層の一方の面に設けられた第1の電極層と前記電解質層の他方の面に設けられた第2の電極層とを含む、前記複数の単セルと、
複数のセパレータであって、前記各セパレータは前記複数の単セルのうちの隣り合う2つの単セルの間に配置されている、前記複数のセパレータと、
を備え、
前記各セパレータは、
前記2つの単セルのうちの第1の単セルの前記第1の電極層に対向する第1のセパレータ要素であって、前記第1のセパレータ要素には、前記燃料電池内部に設けられて前記複数の単セルに供給される反応ガスが通る第1種の反応ガス通路を構成する第1の孔が形成されており、前記第1のセパレータ要素は、前記第1の孔の形成部位にバリを有する第1の面と、前記第1の孔の形成部位に前記バリを有していない第2の面と、を含む、前記第1のセパレータ要素を備え、
前記第1のセパレータ要素は、前記第1のセパレータ要素と前記第1の単セルの前記第1の電極層との間に、前記電解質層に供給される反応ガスが通る第2種の反応ガス通路が形成され、かつ、前記第2の面が前記第1種の反応ガス通路と前記第2種の反応ガス通路とを接続する連通路を構成する連通路構成部材と接するように、配置されていることを特徴とする。
【0009】
この装置では、第1のセパレータ要素の第2の面が連通路形成部材に接しているため、第1の孔の形成部位に存在するバリによって連通路の開口面積が減少せずに済む。したがって、第1のセパレータ要素に対して該バリの除去処理を施さずに第1のセパレータ要素を利用することができ、この結果、燃料電池を容易に製造することができる。
【0010】
上記の装置において、
前記各セパレータは、
前記第1のセパレータ要素と、
前記2つの単セルのうちの第2の単セルの前記第2の電極層に対向する第2のセパレータ要素と、
前記第1および第2のセパレータ要素に挟まれた第3のセパレータ要素と、
を含み、
前記第3のセパレータ要素は、前記第1のセパレータ要素の前記第2の面に接する前記連通路構成部材であり、
前記第1のセパレータ要素には、前記連通路と前記第2種の反応ガス通路とを接続する第2の孔が形成されているようにしてもよい。
【0011】
上記の装置において、
前記第1のセパレータ要素には、前記燃料電池内部に設けられて前記複数の単セルを冷却するための冷却液が通る第1種の冷却液通路を構成する第3の孔が形成されており、
前記第1のセパレータ要素の前記第1の面は、さらに、前記第3の孔の形成部位にバリを有し、前記第2の面は、前記第3の孔の形成部位に前記バリを有しておらず、
前記第1のセパレータ要素と前記第2のセパレータ要素との間には、前記第1種の冷却液通路から流入する冷却液が通る第2種の冷却液通路が形成されていることが好ましい。
【0012】
この装置では、第1のセパレータ要素の第2の面が第3のセパレータ要素(連通路構成部材)に接しているため、第3の孔の形成部位に存在するバリによって第2種の冷却液通路の開口面積が減少せずに済む。
【0013】
本発明の方法は、複数の単セルであって、前記各単セルは電解質層と前記電解質層の一方の面に設けられた第1の電極層と前記電解質層の他方の面に設けられた第2の電極層とを含む、前記複数の単セルと、複数のセパレータであって、前記各セパレータは前記複数の単セルのうちの隣り合う2つの単セルの間に配置されている、前記複数のセパレータと、を備える燃料電池の製造方法であって、
(a)前記各セパレータに含まれて、前記2つの単セルのうちの第1の単セルの前記第1の電極層に対向する第1のセパレータ要素を準備する工程であって、前記第1のセパレータ要素には、前記燃料電池内部に設けられて前記複数の単セルに供給される反応ガスが通る第1種の反応ガス通路を構成する第1の孔が形成されており、前記第1のセパレータ要素は、前記第1の孔の形成に伴って発生したバリを有する第1の面と、前記第1の孔の形成に伴って発生した前記バリを有していない第2の面と、を含む、前記工程と、
(b)前記第1のセパレータ要素を、前記第1のセパレータ要素と前記第1の単セルの前記第1の電極層との間に、前記電解質層に供給される反応ガスが通る第2種の反応ガス通路が形成され、かつ、前記第2の面が前記第1種の反応ガス通路と前記第2種の反応ガス通路とを接続する連通路を構成する連通路構成部材と接するように、配置する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
こうすれば、本発明の装置である燃料電池を容易に製造することができる。
【0015】
上記の方法において、
前記工程(a)は、
金属製の板材に対して打ち抜きプレス処理を施すことによって、前記第1のセパレータ要素を作製する工程を含むようにしてもよい。
【0016】
この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池およびその製造方法、該燃料電池を含む燃料電池システム、該燃料電池システムを搭載する車両等の移動体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A−1.燃料電池スタックの構成:
A−2.燃料電池スタックの製造方法:
B.第2実施例:
【0018】
A.第1実施例:
A−1.燃料電池スタックの構成:
燃料電池システムは、通常、燃料電池スタック(以下、単に「スタック」とも呼ぶ)と、燃料ガス供給部と、酸化ガス供給部と、冷却液循環部と、各部を制御するコントローラと、を備えている。燃料ガス供給部は、燃料ガス(水素ガス)をスタックに供給する機能を有しており、例えば、水素タンクと減圧弁とを含んでいる。酸化ガス供給部は、酸化ガス(空気)をスタックに供給する機能を有しており、例えば、ブロワを含んでいる。冷却液循環部は、スタック内部で冷却液を循環させる機能を有しており、例えば、循環ポンプと熱交換機とを含んでいる。
【0019】
図1は、第1実施例における燃料電池スタック100の部分断面図である。図示するように、スタック100は、複数の単セル(単電池)20が積層された構造を有しており、隣り合う2つの単セル20間には、セパレータ50が設けられている。
【0020】
単セル20は、膜−電極−ガス拡散層アセンブリ(以下、「MEGA」(Membrane Electrode Gas diffusion layer Assembly)と呼ぶ)22と、MEGA22の両側に設けられた多孔質体24a,24cと、MEGA22の周囲に設けられたガスケット26と、を含んでいる。
【0021】
MEGA22は、電解質膜30を含んでおり、電解質膜30の一方の面には、触媒電極層(アノード)31aとガス拡散層32aとがこの順に形成されており、電解質膜30の他方の面には、触媒電極層(カソード)31cとガス拡散層32cとがこの順に形成されている。
【0022】
なお、電解質膜30としては、フッ素系樹脂などの固体高分子材料で形成された膜を用いることができる。また、触媒電極層31a,31cとしては、カーボン粒子に白金などの触媒を担持させた触媒層を用いることができる。ガス拡散層32a,32cは、カーボンペーパなどのガス透過性および導電性を有する材料で形成されている。
【0023】
多孔質体24a,24cは、MEGA22とセパレータ50との間に形成される空間に配置されている。具体的には、アノード側の多孔質体24aは、ガス拡散層32aと、ガス拡散層32aに対向するセパレータ50との間に形成される空間に配置されている。カソード側の多孔質体24cは、カソード側のガス拡散層32cと、ガス拡散層32cに対向するセパレータ50との間に形成される空間に配置されている。アノード側のガス拡散層32aと多孔質体24aとは、触媒電極層(アノード)31aに供給される燃料ガスが通るセル内燃料ガス通路に設けられている。また、カソード側のガス拡散層32cと多孔質体24cとは、触媒電極層(カソード)31cに供給される酸化ガスが通るセル内酸化ガス通路に設けられている。なお、セル内通路は、図1に示すように、各単セル20内部において、電解質膜30と平行に設けられた通路である。
【0024】
なお、多孔質体24a,24cは、ガス透過性および導電性を有する板状部材であり、例えば、チタン等の金属や、カーボンなどを用いて形成される。金属多孔質体としては、例えば、発泡金属焼結体や、球状あるいは繊維状の微小な金属片を焼結させた焼結体を用いることができる。
【0025】
ガスケット26は、MEGA22と一体的に形成されている。なお、MEGA22とガスケット26とを含む構造体を以下では「セルアセンブリ」と呼ぶ。
【0026】
図2は、MEGA22とガスケット26とを含むセルアセンブリを示す平面図である。図示するように、セルアセンブリは、略矩形の外形形状を有しており、枠状のガスケット26の内側に、矩形のMEGA22が設けられている。図中、MEGA22は、ハッチを付して示されている。なお、図2のセルアセンブリのA−A断面が図1に示されている。
【0027】
ガスケット26には、セル間酸化ガス通路を構成する第1および第2の長孔61g,62gと、セル間燃料ガス通路を構成する第3および第4の長孔63g,64gと、セル間冷却液通路を構成する第5および第6の長孔65g,66gと、が形成されている。なお、セル間通路は、図1に示すように、スタック100内部を貫通し、複数の単セル20の積層方向に沿った通路である。
【0028】
ガスケット26は、図1に示すように、セパレータ50と接触する凸部を有している。凸部は、図1,図2に示す一点鎖線SLに沿って設けられている。具体的には、凸部は、6つの長孔61g〜66gの周囲に設けられている。また、凸部は、MEGA22の周囲に設けられている。スタック100は、通常、積層方向に押圧されるため、ガスケット26の凸部によって、各セル間通路のシール性(気密性)が確保されると共に、各セル内通路のシール性が確保される。
【0029】
なお、セルアセンブリは、例えば、射出成形処理によって形成可能である。具体的には、周囲に空間が設けられた金型内にMEGA22を配置し、該金型内の空間に樹脂材料を射出することによって形成される。樹脂材料としては、例えば、シリコンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムなどの絶縁性を有する樹脂材料が用いられる。
【0030】
セパレータ50(図1)は、カソード側の多孔質体24cに接するカソード側プレート52と、アノード側の多孔質体24aに接するアノード側プレート56と、2つのプレート52,56に挟まれた中間プレート54と、を備えている。
【0031】
図3は、セパレータ50を構成する各プレート52,54,56の平面図である。図3(A)〜(C)は、それぞれ、カソード側プレート52と、中間プレート54と、アノード側プレート56と、を示している。なお、図3(A)〜(C)の各プレート52,54,56のA−A断面が、図1に示されている。
【0032】
カソード側プレート52(図3(A))には、セル間酸化ガス通路を構成する第1および第2の長孔61c,62cと、セル間燃料ガス通路を構成する第3および第4の長孔63c,64cと、セル間冷却液通路を構成する第5および第6の長孔65c,66cと、が形成されている。また、カソード側プレート52には、第1の長孔61c付近に、セル内酸化ガス通路の入口を構成する複数の小孔71cが形成されていると共に、第2の長孔62c付近に、セル内酸化ガス通路の出口を構成する複数の小孔72cが形成されている(図1参照)。
【0033】
アノード側プレート56(図3(C))には、カソード側プレート52と同様に、第1ないし第6の長孔61a〜66aが形成されている。ただし、アノード側プレート56には、第3の長孔63a付近に、セル内燃料ガス通路の入口を構成する複数の小孔73aが形成されていると共に、第4の長孔64a付近に、セル内燃料ガス通路の出口を構成する複数の小孔74aが形成されている。
【0034】
中間プレート54((図3(B))には、セル間酸化ガス通路を構成する第1の長孔61mと、酸化ガスをセル内酸化ガス通路に導く複数の連通孔71mと、が接続された櫛状の第1の孔が形成されている。同様に、中間プレート54には、第2の長孔62mと複数の連通孔72mとが接続された櫛状の第2の孔が形成されている。また、中間プレート54には、セル間燃料ガス通路を構成する第3の長孔63mと、燃料ガスをセル内燃料ガス通路に導く複数の連通孔73mと、が接続された櫛状の第3の孔が形成されている。同様に、中間プレート54には、第4の長孔64mと複数の連通孔74mとが接続された櫛状の第4の孔が形成されている。さらに、中間プレート54には、セル間冷却通路および隣接する2つの単セル20間のセル用冷却液通路を構成する複数の長孔78が形成されている(図1参照)。
【0035】
なお、3つのプレート52,54,56は、例えば、ステンレス鋼や、チタン、チタン合金などの導電性を有する金属製の板材に対して、打ち抜きプレス処理を施すことによって形成される。そして、3つのプレート52,54,56は、例えば拡散接合により接合され、この結果、セパレータ50が得られる。
【0036】
図1に示すように、スタック100に供給された酸化ガスは、中間プレート54の長孔61mおよび連通孔71mと、カソード側プレート52の小孔71cと、を通って、多孔質体24cに流入する。なお、酸化ガスは、ガス拡散層32cを介して触媒電極(カソード)31cに到達し、電気化学反応に利用される。多孔質体24cを通過した使用済みの酸化ガスは、カソード側プレート52の小孔72cと、中間プレート54の連通孔72mおよび長孔62mを通って、スタック100から排出される。
【0037】
同様に、スタック100に供給された燃料ガスは、中間プレート54の長孔63mおよび連通孔73mと、アノード側プレート56の小孔73aと、を通って、多孔質体24aに流入する。なお、燃料ガスは、ガス拡散層32aを介して触媒電極(アノード)31aに到達し、電気化学反応に利用される。多孔質体24aを通過した使用済みの燃料ガスは、アノード側プレート56の小孔74aと、中間プレート54の連通孔74mおよび長孔64mを通って、スタック100から排出される。
【0038】
また、スタック100に供給された冷却液は、中間プレート54の長孔78を通って、スタック100から排出される。
【0039】
A−2.燃料電池スタックの製造方法:
図4は、燃料電池スタック100の製造の手順を示すフローチャートである。ステップS102では、複数の単セル20が準備される。具体的には、前述したように、MEGA22とガスケット26とを含むセルモジュールが準備されると共に、多孔質体24a,24cが準備される。
【0040】
ステップS104では、複数のセパレータ50が準備される。なお、ステップS104の処理については後述する。
【0041】
ステップS106では、ステップS102で準備された複数の単セル20と、ステップS104で準備された複数のセパレータ50と、を用いてスタック100が作製される。具体的には、各セルモジュールと各セパレータ50との間に多孔質体を介在させつつ、複数の単セル20と複数のセパレータ50とを積層することによって、スタック100が作製される。
【0042】
図5は、図4のステップS104の処理の手順を示すフローチャートである。ステップS112では、3つのプレート52,54,56が作製される。具体的には、まず、金属製の板材が準備される。板材としては、前述したように、ステンレス鋼や、チタン、チタン合金などの導電性を有する板材が利用される。次に、板材に対して打ち抜きプレス処理が施され、これにより、各プレート52,54,56が作製される。
【0043】
図6は、打ち抜きプレス処理の概要を示す説明図である。打ち抜きプレス処理は、下型210と上型220とを含む金型200を用いて行われる。なお、ここでは、カソード側プレート52を作製する場合について説明する。
【0044】
下型210には、複数の孔212が設けられており、複数の孔212は、図3(A)に示すカソード側プレート52の複数の孔に対応している。上型220には、複数の凸部222が設けられており、複数の凸部222は、カソード側プレート52の複数の孔に対応している。下型210の上に板材Pが載置されると、上型220を下降させる(図6(A)参照)。このとき、上型220の各凸部222は、下型210の各孔212内に挿入され、この結果、板材Pには複数の孔が形成される。その後、上型220を上昇させる(図6(B)参照)と、カソード側プレート52が得られる。
【0045】
なお、アノード側プレート56および中間プレート54についても、カソード側プレート52と同様に、打ち抜きプレス処理によって作製される。
【0046】
ステップS114(図5)では、ステップS112で準備された3つのプレート52,54,56を積層することによって、セパレータ50が作製される。そして、3つのプレートの積層体に対して、拡散接合処理を施すことにより、セパレータ50が作製される。
【0047】
ところで、図6(A),(B)に示す金型200を用いて多数のプレート52を作製すると、金型200が摩耗してしまう。具体的には、下型210の孔212の上端を構成するエッジや、上型220の凸部222の下端を構成するエッジが摩耗してしまう。この結果、図6(B)に拡大して示すように、プレート52に形成される孔の周囲には、バリが発生してしまう。なお、バリは、孔の周囲に発生する凸部を意味し、例えばプレートの厚みの約5〜約30%の高さを有する。バリは、プレート52の2つの面のうち、下型220に接する一方の面のみに発生しており、上型220に接する他方の面には発生していない。ただし、プレート52の他方の面には、ダレが発生し得る。以下では、プレート52のバリを有する一方の面S52bを「バリ発生面」とも呼び、バリを有していない他方の面S52nを「非バリ発生面」とも呼ぶ。
【0048】
なお、アノード側プレート56および中間プレート54についても、カソード側プレート52と同様に、一方の面のみにバリが発生し得る。
【0049】
図1において、カソード側プレート52の第1の長孔61cの周囲にバリが形成され、バリ発生面S52bが中間プレート54に接するように配置される場合には、連通孔71mによって形成される連通路の入口の面積(開口面積)が減少し、この結果、該連通路を介して、セル間酸化ガス通路からセル内酸化ガス通路に酸化ガスを効率よく供給することが困難となってしまう。このため、ステップS112では、カソード側プレート52のバリを除去するための除去処理(研磨等)が行われることが好ましい。
【0050】
しかしながら、バリの除去処理は、時間および手間を要する。そこで、本実施例では、打ち抜きプレス処理を採用しつつ、バリの除去処理を省略または軽減することができるように工夫している。
【0051】
具体的には、本実施例のステップS112では、カソード側プレート52は、図3(A)に表される表面がバリ発生面S52bとなり、裏面が非バリ発生面S52nとなるように、作製される。また、アノード側プレート56は、図3(C)に表される表面がバリ発生面となり、裏面が非バリ発生面となるように作製される。
【0052】
なお、中間プレート54はアノード側プレート56とカソード側プレート52とに挟まれるため、中間プレート54のバリは、カソード側プレート52またはアノード側プレート56と干渉し得る。このため、本実施例では、中間プレート54に対しては、バリの除去処理が実行される。なお、中間プレート54は、打ち抜きプレス処理に代えて、エッチング処理によって作製されるようにしてもよい。
【0053】
そして、本実施例のステップS112では、カソード側プレート52の非バリ発生面とアノード側プレート56の非バリ発生面とが中間プレート54に接するように、3つのプレート52,54,56が接合される。
【0054】
図7は、燃料電池スタック100内部に形成されたセル間反応ガス通路を含む部分断面図である。図7(A)には、セル間酸化ガス通路が示されており、図7(B)には、セル間燃料ガス通路が示されている。セパレータ50は、隣り合う2つの単セル20a,20bの間に配置されている。
【0055】
図7(A)に示すように、カソード側プレート52の第1の長孔61c付近には、バリが発生している。そして、カソード側プレート52は、バリ発生面S52bが第1の単セル20aのカソード側の触媒電極層31cに対向し、非バリ発生面S52nが中間プレート54に接するように、配置されている。また、図7(A)に示すように、アノード側プレート56の第1の長孔61a付近にも、バリが発生している。そして、アノード側プレート56は、バリ発生面S56bが第2の単セル20bのアノード側の触媒電極層31aに対向し、非バリ発生面S56nが中間プレート54に接するように、配置されている。
【0056】
図7(A)から分かるように、このスタック100では、2つのプレート52,56のバリ発生面S52b,S56bは、中間プレート54に接していないため、中間プレート54の連通孔71mによって構成される連通路の入口面積は、バリによって減少しない。仮に、2つのプレート52,56のバリ発生面S52b,S56bが中間プレート54に接している場合には、連通路の入口面積は、バリによって減少してしまう。すなわち、本実施例では、該連通路を介して、セル間酸化ガス通路からセル内酸化ガス通路に酸化ガスを効率よく供給することができる。
【0057】
なお、図示は省略されているが、2つのプレート52,56の第2の長孔62c,62a付近も図7(A)と同様であり、中間プレート54の連通孔72mによって構成される連通路の出口の面積(開口面積)は、バリによって減少しない。したがって、本実施例では、該連通路を介して、セル内酸化ガス通路からセル間酸化ガス通路に使用済みの酸化ガスを効率よく排出することができる。
【0058】
図7(B)に示すように、カソード側プレート52の第3の長孔63cおよびアノード側プレート56の第3の長孔63a付近にも、バリが発生している。しかしながら、図7(B)から分かるように、中間プレート54の連通孔73mによって構成される連通路の入口面積は、バリによって減少しない。したがって、本実施例では、該連通路を介して、セル間燃料ガス通路からセル内燃料ガス通路に燃料ガスを効率よく供給することができる。
【0059】
なお、図示は省略されているが、2つのプレート52,56の第4の長孔64c,64a付近も図7(B)と同様であり、中間プレート54の連通孔74mによって構成される連通路の出口面積は、バリによって減少しない。したがって、本実施例では、該連通路を介して、セル内燃料ガス通路からセル間燃料ガス通路に使用済みの燃料ガスを効率よく排出することができる。
【0060】
図8は、燃料電池スタック100内部に形成されたセル間冷却液通路を含む部分断面図である。図8に示すように、カソード側プレート52の第5の長孔65cおよびアノード側プレート56の第5の長孔65a付近にも、バリが発生している。しかしながら、図8から分かるように、中間プレート54の長孔78によって構成されるセル用冷却液通路の入口面積は、バリによって減少しない。したがって、本実施例では、セル間冷却液通路からセル用冷却液通路に冷却液を効率よく流入させることができる。
【0061】
なお、図示は省略されているが、2つのプレート52,56の第6の長孔66c,66a付近も図8と同様であり、セル用冷却液通路からセル間冷却液通路に冷却液を効率よく流出させることができる。
【0062】
ところで、ステップS112(図5)の打ち抜きプレス処理によって、実際には、カソード側プレート52の複数の小孔71c,72cの周囲にもバリが発生し得る。ただし、本実施例では、複数の小孔71c,72c付近のバリは、カソード側の多孔質体24cに押し付けられるため、該バリの高さは低減される。このため、本実施例では、複数の小孔71c,72c付近のバリは、酸化ガスの流通をあまり阻害しない。しかしながら、酸化ガスの流通が阻害される場合には、複数の小孔71c,72c付近のバリは除去されることが好ましい。ただし、このような場合にも、第1の長孔61cおよび第2の長孔62c付近のバリは除去する必要がないため、バリの除去処理を軽減することができる。なお、アノード側プレート56についても同様である。
【0063】
以上説明したように、本実施例では、カソード側プレート52の非バリ発生面S52nが中間プレート54に接しているため、長孔61c,62cの形成に伴って発生したバリによって連通路の開口面積が減少せずに済む。このため、カソード側プレート52のバリの除去処理を省略または軽減することができ、この結果、スタック100を容易に製造することができる。
【0064】
同様に、本実施例では、アノード側プレート56の非バリ発生面S56nが中間プレート54に接しているため、長孔63c,64cの形成に伴って発生したバリによって連通路の開口面積が減少せずに済む。このため、アノード側プレート56のバリの除去処理を省略または軽減することができ、この結果、スタック100を容易に製造することができる。
【0065】
特に、本実施例では、2つのプレート52,56の非バリ発生面S52n,S56nが中間プレート54に接しているため、2つのプレート52,56の長孔61c〜64c付近に発生したバリによってセル用冷却液通路の開口面積が減少せずに済むという利点もある。
【0066】
なお、上記の説明から分かるように、本実施例におけるカソード側の触媒電極層31cとアノード側の触媒電極層31aとのうちの一方が、本発明における第1の電極層に相当し、他方が第2の電極層に相当する。そして、本実施例におけるカソード側プレート52とアノード側プレート56とのうちの一方が本発明における第1のセパレータ要素に相当し、他方が第2のセパレータ要素に相当する。また、中間プレート54が本発明における連通路構成部材および第3のセパレータ要素に相当する。
【0067】
B.第2実施例:
図9は、第2実施例における燃料電池スタック100Bの部分断面図である。図示するように、スタック100Bは、単セル20Bと、セパレータ50Bと、を含んでいる。
【0068】
単セル20Bは、MEGA22と、MEGA22の周囲に設けられたアノード側フレーム122およびカソード側フレーム126と、を含んでいる。2つのフレーム122,126は枠状の形状を有しており、2つのフレームの間には、MEGA22の端部(より具体的には電解質膜30の端部)が挟まれている。
【0069】
なお、各フレーム122,126は、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアミド,ポリウレタン,ポリエチレンテレフタレートなどの絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。
【0070】
セパレータ50Bは、カソード側プレート152と、アノード側プレート156と、を備えている。2つのプレート152,156の中央部分には、それぞれ、波状の凹凸が形成されている。カソード側プレート152の凹部Ccは、カソード側のガス拡散層32cに接しており、アノード側プレート156の凹部Acは、アノード側のガス拡散層32aに接している。カソード側プレート152の凸部Cvは、アノード側プレート156の凸部Avと接している。
【0071】
カソード側プレート152の凸部Cvとガス拡散層32cとの間には、図面の法線方向に沿って、セル内酸化ガス通路が形成されている。同様に、アノード側プレート156の凸部Avとガス拡散層32aとの間には、図面の法線方向に沿って、セル内燃料ガス通路が形成されている。また、カソード側プレート152の凹部Ccとアノード側プレート156の凹部Acとの間には、図面の法線方向に沿って、セル用冷却液通路が形成されている。
【0072】
なお、各プレート152,156は、例えば、ステンレス鋼や、チタン、チタン合金などの導電性を有する金属材料で形成されている。
【0073】
本実施例のスタック100Bも、図4,図5の処理によって作製することができる。具体的には、図5のステップS112では、金属製の板材に対して打ち抜きプレス処理を施すことによって、2つのプレート152,156が作製される。なお、本実施例では、2つのプレート152,156の波状の凹凸に対応する形状を有する金型が利用される。そして、2つのプレート152,156を接合して、セパレータ50Bが作製される。
【0074】
図10は、燃料電池スタック100B内部に形成されたセル間反応ガス通路を含む部分断面図である。図10(A)には、セル間酸化ガス通路が示されており、図10(B)には、セル間燃料ガス通路が示されている。セパレータ50Bは、隣り合う2つの単セル20Ba,20Bbの間に配置されている。
【0075】
図10(A)に示すように、2つのフレーム122,126および2つのプレート152,156には、セル間酸化ガス通路を構成する孔122o,126o,152o,156oがそれぞれ設けられている。なお、2つのプレート152,156の間には、孔152o,156o付近において、間隙が設けられている。また、カソード側フレーム126には、セル間酸化ガス通路とセル内酸化ガス通路とを接続する連通路を構成する凹部126pが設けられている。なお、これに代えて、カソード側フレーム126には、該連通路を構成する孔が設けられていてもよい。
【0076】
本実施例においても、カソード側プレート152の孔152o付近には、バリが発生している。そして、カソード側プレート152は、バリ発生面S152bがアノード側プレート156に接し、非バリ発生面S152nが第1の単セル20Baのカソード側の触媒電極層31cに対向するように、配置されている。
【0077】
図10(A)から分かるように、このスタック100Bでは、カソード側プレート152のバリ発生面S152bは、カソード側フレーム126に接していないため、カソード側フレーム126の凹部126pによって構成される連通路の入口面積は、バリによって減少しない。仮に、カソード側プレート152のバリ発生面S152bがカソード側フレーム126に接している場合には、連通路の入口面積は、バリによって減少してしまう。すなわち、本実施例でも、該連通路を介して、セル間酸化ガス通路からセル内酸化ガス通路に酸化ガスを効率よく供給することができる。
【0078】
図10(B)に示すように、2つのフレーム122,126および2つのプレート152,156には、セル間燃料ガス通路を構成する孔122h,126h,152h,156hがそれぞれ設けられている。なお、2つのプレート152,156の間には、孔152h,156h付近において、間隙が設けられている。また、アノード側フレーム122には、セル間燃料ガス通路とセル内燃料ガス通路とを接続する連通路を構成する凹部122pが設けられている。なお、これに代えて、アノード側フレーム122には、該連通路を構成する孔が設けられていてもよい。
【0079】
本実施例においても、アノード側プレート156の孔156o付近には、バリが発生している。そして、アノード側プレート156は、バリ発生面S156bがカソード側プレート152に接し、非バリ発生面S156nが第2の単セル20Bbのアノード側の触媒電極層31aに対向するように、配置されている。
【0080】
図10(B)から分かるように、このスタック100Bでは、アノード側プレート156のバリ発生面S156bは、アノード側フレーム122に接していないため、アノード側フレーム122の凹部122pによって構成される連通路の入口面積は、バリによって減少しない。したがって、本実施例でも、該連通路を介して、セル間燃料ガス通路からセル内燃料ガス通路に燃料ガスを効率よく供給することができる。
【0081】
なお、図10では、2つのフレーム122,126および2つのプレート152,156の酸化ガスおよび燃料ガスの供給側の構造について説明したが、排出側の構造も同様である。
【0082】
図11は、燃料電池スタック100B内部に形成されたセル間冷却液通路を含む部分断面図である。図11に示すように、2つのフレーム122,126および2つのプレート152,156には、セル間冷却液通路を構成する孔122t,126t,152t,156tが設けられている。
【0083】
本実施例においても、カソード側プレート152の孔152tおよびアノード側プレート156の孔156t付近には、バリが発生している。ただし、本実施例では、図11から分かるように、2つのプレート152,156の間に形成されるセル用冷却液通路の入口面積は、バリによって減少している。すなわち、本実施例では、セル間冷却液通路からセル用冷却液通路に冷却液を効率よく流入させることが困難である。この点において、第1実施例の構成は、第2実施例の構成よりも優れていると言える。
【0084】
なお、図11では、2つのフレーム122,126および2つのプレート152,156の冷却液の流入側の構造について説明したが、流出側の構造も同様である。
【0085】
以上説明したように、本実施例では、カソード側プレート152の非バリ発生面S152nがアノード側プレート156に接しているため、孔152oの形成に伴って発生したバリによって連通路の開口面積が減少せずに済む。このため、カソード側プレート152のバリの除去処理を省略することができ、この結果、スタック100Bを容易に製造することができる。
【0086】
同様に、本実施例では、アノード側プレート156の非バリ発生面S156nがカソード側プレート152に接しているため、孔156hの形成に伴って発生したバリによって連通路の開口面積が減少せずに済む。このため、アノード側プレート56のバリの除去処理を省略することができ、この結果、スタック100Bを容易に製造することができる。
【0087】
なお、上記の説明から分かるように、本実施例におけるカソード側プレート152とアノード側プレート156とのうちの一方が本発明における第1のセパレータ要素に相当し、他方が第2のセパレータ要素に相当する。また、カソード側フレーム126とアノード側フレーム122とのうちの一方が本発明における連通路構成部材に相当する。
【0088】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0089】
(1)上記実施例では、固体高分子型の燃料電池スタックが利用されているが、他のタイプの燃料電池スタックが利用されてもよい。また、上記実施例では、第1および第2実施例に示す構造を有する燃料電池スタック100が利用されているが、他の種々の構造を有する燃料電池スタックが利用されてもよい。
【0090】
例えば、第1実施例において、中間プレートは、金属製の中央部分と樹脂製の周辺部分とを含んでいてもよい。この場合には、中央部分にセル用冷却液通路を構成する孔が設けられ、周辺部分に各セル間通路を構成する孔が設けられればよい。
【0091】
(2)第1実施例では、セパレータ50を構成するプレート52,56は、金型を用いた打ち抜きプレス処理によって作製されているが、これに代えて、ドリル等を用いた孔開け加工処理によって作製されてもよい。この場合にも、各プレートの一方の面のみに、バリが発生し得る。
【0092】
一般には、本発明は、セパレータ要素が、セル間反応ガス通路を構成する第1の孔の形成に伴って発生したバリを有する第1の面と、該バリを有していない第2の面と、を有する場合に適用可能である。
【0093】
(3)上記実施例では、カソード側プレートとアノード側プレートとの双方に本発明が適用されているが、一般には、2つのプレートのうちの一方のみに本発明が適用されればよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1実施例における燃料電池スタック100の部分断面図である。
【図2】MEGA22とガスケット26とを含むセルアセンブリを示す平面図である。
【図3】セパレータ50を構成する各プレート52,54,56の平面図である。
【図4】燃料電池スタック100の製造の手順を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS104の処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】打ち抜きプレス処理の概要を示す説明図である。
【図7】燃料電池スタック100内部に形成されたセル間反応ガス通路を含む部分断面図である。
【図8】燃料電池スタック100内部に形成されたセル間冷却液通路を含む部分断面図である。
【図9】第2実施例における燃料電池スタック100Bの部分断面図である。
【図10】燃料電池スタック100B内部に形成されたセル間反応ガス通路を含む部分断面図である。
【図11】燃料電池スタック100B内部に形成されたセル間冷却液通路を含む部分断面図である。
【符号の説明】
【0095】
20,20B…単セル
22…MEGA
24a,24c…多孔質体
26…ガスケット
30…電解質膜
31a,31c…触媒電極層
32a,32c…ガス拡散層
50,50B…セパレータ
52…カソード側プレート
54…中間プレート
56…アノード側プレート
61a〜66a…長孔
61c〜66c…長孔
61g〜66g…長孔
61m〜64m…長孔
71c,72c…小孔
71m,72m…連通孔
73a,74a…小孔
73m,74m…連通孔
78…長孔
100,100B…燃料電池スタック
122…アノード側フレーム
122p…凹部
126…カソード側フレーム
126p…凹部
152…カソード側プレート
156…アノード側プレート
122t,126t,152t,156t…孔
122h,126h,152h,156h…孔
122o,126o,152o,156o…孔
200…金型
210…下型
212…孔
220…上型
222…凸部
Ac…凹部
Av…凸部
Cc…凹部
Cv…凸部
P…板材
S52b,S56b,S152b,S156b…バリ発生面
S52n,S56n,S152n,S156n…非バリ発生面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池であって、
複数の単セルであって、前記各単セルは電解質層と前記電解質層の一方の面に設けられた第1の電極層と前記電解質層の他方の面に設けられた第2の電極層とを含む、前記複数の単セルと、
複数のセパレータであって、前記各セパレータは前記複数の単セルのうちの隣り合う2つの単セルの間に配置されている、前記複数のセパレータと、
を備え、
前記各セパレータは、
前記2つの単セルのうちの第1の単セルの前記第1の電極層に対向する第1のセパレータ要素であって、前記第1のセパレータ要素には、前記燃料電池内部に設けられて前記複数の単セルに供給される反応ガスが通る第1種の反応ガス通路を構成する第1の孔が形成されており、前記第1のセパレータ要素は、前記第1の孔の形成部位にバリを有する第1の面と、前記第1の孔の形成部位に前記バリを有していない第2の面と、を含む、前記第1のセパレータ要素を備え、
前記第1のセパレータ要素は、前記第1のセパレータ要素と前記第1の単セルの前記第1の電極層との間に、前記電解質層に供給される反応ガスが通る第2種の反応ガス通路が形成され、かつ、前記第2の面が前記第1種の反応ガス通路と前記第2種の反応ガス通路とを接続する連通路を構成する連通路構成部材と接するように、配置されていることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池であって、
前記各セパレータは、
前記第1のセパレータ要素と、
前記2つの単セルのうちの第2の単セルの前記第2の電極層に対向する第2のセパレータ要素と、
前記第1および第2のセパレータ要素に挟まれた第3のセパレータ要素と、
を含み、
前記第3のセパレータ要素は、前記第1のセパレータ要素の前記第2の面に接する前記連通路構成部材であり、
前記第1のセパレータ要素には、前記連通路と前記第2種の反応ガス通路とを接続する第2の孔が形成されている、燃料電池。
【請求項3】
請求項2記載の燃料電池であって、
前記第1のセパレータ要素には、前記燃料電池内部に設けられて前記複数の単セルを冷却するための冷却液が通る第1種の冷却液通路を構成する第3の孔が形成されており、
前記第1のセパレータ要素の前記第1の面は、さらに、前記第3の孔の形成部位にバリを有し、前記第2の面は、前記第3の孔の形成部位に前記バリを有しておらず、
前記第1のセパレータ要素と前記第2のセパレータ要素との間には、前記第1種の冷却液通路から流入する冷却液が通る第2種の冷却液通路が形成されている、燃料電池。
【請求項4】
複数の単セルであって、前記各単セルは電解質層と前記電解質層の一方の面に設けられた第1の電極層と前記電解質層の他方の面に設けられた第2の電極層とを含む、前記複数の単セルと、複数のセパレータであって、前記各セパレータは前記複数の単セルのうちの隣り合う2つの単セルの間に配置されている、前記複数のセパレータと、を備える燃料電池の製造方法であって、
(a)前記各セパレータに含まれて、前記2つの単セルのうちの第1の単セルの前記第1の電極層に対向する第1のセパレータ要素を準備する工程であって、前記第1のセパレータ要素には、前記燃料電池内部に設けられて前記複数の単セルに供給される反応ガスが通る第1種の反応ガス通路を構成する第1の孔が形成されており、前記第1のセパレータ要素は、前記第1の孔の形成に伴って発生したバリを有する第1の面と、前記第1の孔の形成に伴って発生した前記バリを有していない第2の面と、を含む、前記工程と、
(b)前記第1のセパレータ要素を、前記第1のセパレータ要素と前記第1の単セルの前記第1の電極層との間に、前記電解質層に供給される反応ガスが通る第2種の反応ガス通路が形成され、かつ、前記第2の面が前記第1種の反応ガス通路と前記第2種の反応ガス通路とを接続する連通路を構成する連通路構成部材と接するように、配置する工程と、
を備えることを特徴とする燃料電池の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の燃料電池の製造方法であって、
前記各セパレータは、
前記第1のセパレータ要素と、
前記2つの単セルのうちの第2の単セルの前記第2の電極層に対向する第2のセパレータ要素と、
前記第1および第2のセパレータ要素に挟まれた第3のセパレータ要素と、
を含み、
前記第3のセパレータ要素は、前記第1のセパレータ要素の前記第2の面に接する前記連通路構成部材であり、
前記第1のセパレータ要素には、前記連通路と前記第2種の反応ガス通路とを接続する第2の孔が形成されている、燃料電池の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の燃料電池の製造方法であって、
前記第1のセパレータ要素には、前記燃料電池内部に設けられて前記複数の単セルを冷却するための冷却液が通る第1種の冷却液通路を構成する第3の孔が形成されており、
前記第1のセパレータ要素の前記第1の面は、さらに、前記第3の孔の形成に伴って発生したバリを有し、前記第2の面は、前記第3の孔の形成に伴って発生した前記バリを有しておらず、
前記工程(b)は、前記第1のセパレータ要素を、前記第1のセパレータ要素と前記第2のセパレータ要素との間に、前記第1種の冷却液通路から流入する冷却液が通る第2種の冷却液通路が形成されるように、配置する工程を含む、燃料電池の製造方法。
【請求項7】
請求項4ないし6記載の燃料電池の製造方法であって、
前記工程(a)は、
金属製の板材に対して打ち抜きプレス処理を施すことによって、前記第1のセパレータ要素を作製する工程を含む、燃料電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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