燃料電池のインピーダンス測定装置
【課題】燃料電池スタックにおけるセルの局所的なインピーダンスを確実に測定可能なインピーダンス測定装置を提供する。
【解決手段】空気と水素とを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル10aを積層配置して構成された燃料電池10におけるセル10aのインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置において、セル10aの局所部位を流れる電流値を測定する局所電流測定手段51、101と、局所電流測定手段51、101に伝播するノイズを吸収するノイズ吸収部400とを備える。
【解決手段】空気と水素とを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル10aを積層配置して構成された燃料電池10におけるセル10aのインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置において、セル10aの局所部位を流れる電流値を測定する局所電流測定手段51、101と、局所電流測定手段51、101に伝播するノイズを吸収するノイズ吸収部400とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流インピーダンス法を用いて燃料電池のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池スタックにおけるセルの局所的なインピーダンスを測定可能なインピーダンス測定装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のインピーダンス測定装置は、電流検出手段および電圧検出手段の出力信号に周波数を変化させながら正弦波信号を印加する正弦波印加手段と、正弦波が印加された電流検出手段と電圧検出手段の出力信号からインピーダンスを演算するインピーダンス演算手段とを備えている。
【0003】
これにより、交流インピーダンス法を用いることで、セルの等価回路における電解質膜の抵抗R1と電極の反応抵抗R2とを分離して計測することが可能となる。そして、電解質膜の抵抗R1が第1の所定値を越えている場合には、電解質膜の水分量が不足していると判断し、電極の反応抵抗R2が第2の所定値を越えている場合には、電極の水分量が過剰であると判断することができる。
【0004】
なお、セルの等価回路に高周波から低周波までの正弦波電流を印加した場合のセルのインピーダンスを複素平面上に表示した場合、高周波から低周波の間で周波数を変化させたときのインピーダンスは半円を描く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−252706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載のインピーダンス測定装置では、印加する正弦波電流の周波数が無限に大きい場合(ω=∞)のインピーダンスを測定することで、燃料電池の電解質膜の抵抗R1を計測している。
【0007】
しかしながら、本発明者が、上記特許文献1に記載のインピーダンス測定装置を実際の燃料電池発電実験に適用したところ、印加する正弦波電流の周波数が400Hzを超えると、インピーダンスの演算結果が上記半円から外れてしまい、目標とする結果が得られないことがわかった。この原因について本発明者が検討したところ、セル等を流れる電流による誘導起電圧の影響を受けているためであるとわかった。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、燃料電池スタックにおけるセルの局所的なインピーダンスを確実に測定可能なインピーダンス測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成された燃料電池(10)におけるセル(10a)のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置において、セル(10a)の局所部位を流れる電流値を測定する局所電流測定手段(51、101)と、局所電流測定手段(51、101)に伝播するノイズを吸収するノイズ吸収部(400)とを備えることを特徴としている。
【0010】
これによれば、局所電流値測定手段(51、101)に伝播するノイズを吸収することができるので、セル(10a)の局所部位を流れる電流値を正確に測定することができる。このため、セル(10a)の局所的なインピーダンスを確実に測定することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載のインピーダンス測定装置インピーダンス測定対象となるセル(10a)に隣接して配置され、セル(10a)の局所部位に対応する部位に導電部(201)が形成された板状部材(200)と、板状部材(200)の導電部(201)に流れる電流を検出する電流測定手段(51、101)と、燃料電池(10)の出力電圧を検出する電圧検出手段(102)と、電圧検出手段(102)の出力信号に周波数を変化させながら正弦波信号を印加する正弦波印加手段(13)と、正弦波信号が印加された電圧検出手段(102)の出力信号からインピーダンスを演算するインピーダンス演算手段(51)とを備え、電流測定手段(51、101)が、局所電流測定手段であってもよい。
【0012】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の燃料電池のインピーダンス測定装置において、導電部(201)は、第1電極(211)と、第2電極(231)と、第1電極(211)および第2電極(231)とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する板状の抵抗体(221)とを備え、第1電極(211)がインピーダンス測定対象となるセル(10a)に電気的に接触しており、電流測定手段は、抵抗体(221)の2点間の電位差を検出する電位差検出手段(101)と、電位差検出手段(101)によって検出された検出電位差および抵抗体(221)の電気抵抗値を用いて、セル(10a)の局所部位を流れる電流値を検出する電流値検出手段(51)とを備え、ノイズ吸収部(400)は、第1電極(211)と抵抗体(221)との間、および、第2電極(231)と抵抗体(221)との間の少なくとも一方に配置されていることを特徴としている。
【0013】
これによれば、ノイズ吸収部(400)を抵抗体(221)の近傍に配置することができるので、抵抗体(221)で発生するノイズをより確実に吸収することができる。したがって、セル(10a)の局所部位を流れる電流値をより正確に測定することができ、セル(10a)の局所的なインピーダンスをより確実に測定することが可能となる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料電池のインピーダンス測定装置において、ノイズ吸収部(400)は、容量素子(401)を有して構成されていてもよい。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の燃料電池のインピーダンス測定装置において、ノイズ吸収部(400)は、容量素子(401)を含む閉回路を有して構成されていることを特徴としている。
【0016】
このように、ノイズ吸収部(400)を閉回路とすることで、容量素子(401)で吸収した電流が閉回路外を流れることがない。このため、局所電流値測定手段(51、101)に伝播するノイズをより確実に吸収することができる。したがって、セル(10a)の局所部位を流れる電流値をより正確に測定することができ、セル(10a)の局所的なインピーダンスをより確実に測定することが可能となる。
【0017】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池システムを示す模式図である。
【図2】インピーダンス測定装置100の斜視図である。
【図3】板状部材200の分解斜視図である。
【図4】導電部201の断面図である。
【図5】導電部201の電流の流れを示す斜視図である。
【図6】導電部201を示す概念図である。
【図7】燃料電池10の回路構成を示す概念図である。
【図8】信号処理回路51のインピーダンス検出部51a〜51eの構成を示す概念図である。
【図9】セル10aの内部水分量と内部抵抗との関係を示す特性図である。
【図10】セル10aの等価回路を示す回路図である。
【図11】図10の回路に高周波から低周波までの正弦波電流を印加した場合のセル10aのインピーダンスを複素平面上に表示した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図11に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る燃料電池システムを示す模式図で、この燃料電池システムは例えば電気自動車に適用される。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の燃料電池システムは、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生する燃料電池10を備えている。この燃料電池10は、図示しない電気負荷や2次電池等の電気機器に電力を供給するものである。電気自動車の場合、車両走行駆動源としての電動モータが電気負荷に相当している。
【0021】
本実施形態では燃料電池10として固体高分子電解質型燃料電池を用いており、電解質膜の両側面に電極が接合されたMEAと、MEAを挟持する一対のセパレータから構成されるセルが複数個積層され、かつ電気的に直列接続されている。燃料電池10では、以下の水素と酸素の電気化学反応が起こり電気エネルギが発生する。
【0022】
(負極側)H2→2H++2e−
(正極側)2H++1/2O2+2e−→H2O
そして、燃料電池10の出力電圧を検出する電圧センサ11と燃料電池10の出力電流を検出する電流センサ12とが設けられている。積層されたセル10aの間に、特定のセル10aの局所的なインピーダンスを測定するためのインピーダンス測定装置100が設けられている。インピーダンス測定装置100は、積層されたセル10aの間における任意の部位に配置することができる。インピーダンス測定装置100は、隣り合うセル10aと電気的に直列接続されている。インピーダンス測定装置100から出力される信号は信号処理回路51で演算処理され、インピーダンスが算出される。インピーダンス測定装置100、信号処理回路51については後述する。
【0023】
燃料電池システムには、燃料電池10の空気極(正極)側に空気(酸素)を供給するための空気流路20と、燃料電池10の水素極(負極)側に水素を供給するための水素流路30が設けられている。ここで、空気流路20における燃料電池10より上流側を空気供給流路20aといい、下流側を空気排出流路20bという。また、水素流路30における燃料電池10より上流側を水素供給流路30aといい、下流側を水素排出流路30bという。なお、空気は本発明の酸化剤ガスに相当し、水素は本発明の燃料ガスに相当している。
【0024】
空気供給流路20aの最上流部には、大気中から吸入した空気を燃料電池10に圧送するための空気ポンプ21が設けられ、空気供給流路20aにおける空気ポンプ21と燃料電池10との間には、空気への加湿を行う加湿器22が設けられている。また、空気排出流路20bには、燃料電池10内の空気の圧力を調整するための空気調圧弁23が設けられている。
【0025】
水素供給流路30aの最上流部には、水素が充填された高圧水素タンク31が設けられ、水素供給流路30aにおける高圧水素タンク31と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される水素の圧力を調整するための水素調圧弁32が設けられている。
【0026】
水素排出流路30bには、生成水を微量な水素とともに外気へ排出するために所定の時間間隔で開閉する電磁弁34が設けられている。なお、上述の電気化学反応では、水素極側において生成水は発生しないものの、水素極側には、酸素極側から各セル10aの電解質膜を透過した生成水が溜まるおそれがある。そこで、本実施形態では、水素排出流路30bおよび電磁弁34を設けている。
【0027】
さらに、水素供給流路30aおよび水素排出流路30bは、水素循環流路30cを介して接続されている。水素循環流路30cは、水素供給流路30aの水素調圧弁32下流側と水素排出流路30bの電磁弁34上流側とを接続するように設けられている。これにより、燃料電池10から流出した未反応の水素を、燃料電池10に循環させて再供給している。また、水素循環流路30cには、水素流路30内で水素を循環させるための水素ポンプ33が配置されている。
【0028】
燃料電池10は発電効率確保のために運転中一定温度(例えば80℃程度)に維持する必要がある。このため、燃料電池10を冷却するための冷却システムが設けられている。冷却システムには、燃料電池10に冷却水(熱媒体)を循環させる冷却水経路40、冷却水を循環させるウォータポンプ41、ファン42を備えたラジエータ(放熱器)43が設けられている。
【0029】
冷却水経路40には、冷却水をラジエータ43をバイパスさせるためのバイパス経路44が設けられている。冷却水経路40とバイパス経路44との合流点には、バイパス経路44に流れる冷却水流量を調整するための流路切替弁45が設けられている。また、冷却水経路40における燃料電池10の出口側近傍には、燃料電池10から流出した冷却水の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ46が設けられている。この温度センサ46により冷却水温度を検出することで、燃料電池10の温度を間接的に検出することができる。
【0030】
燃料電池システムには、各種制御を行う制御部(ECU)50が設けられている。制御部50は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。そして、制御部50には、電圧センサ11からの電圧信号、電流センサ12からの電流信号、信号処理回路51にて演算されたインピーダンスを示す信号が入力される。また、制御部50は、演算結果に基づいて、空気ポンプ21、加湿器22、空気調圧弁23、水素調圧弁32、水素ポンプ33、ウォータポンプ41、流路切替弁45等に制御信号を出力する。
【0031】
図2は、インピーダンス測定装置100の斜視図である。図2に示すように、インピーダンス測定装置100は、板状部材200を有している。この板状部剤200は、セル10aと同じ大きさに構成され、インピーダンス測定対象となる1枚のセル10aおよび別の1枚のセル10bとにより両側から挟み込まれるように配置されている。換言すると、板状部材200は、インピーダンス測定対象となるセル10aに隣接して配置されている。
【0032】
板状部材200には、導電部201が複数設けられている。この導電部201は、セル10aの局所部位に対応する位置に設けられている。本実施形態では、セル10aの面内におけるインピーダンス分布を測定するために、導電部201がセル10aの板面の全体に分布するように設けられている。本実施形態の導電部201は、直交する二方向にマトリクス状(格子状)に設けられており、本実施形態ではそれぞれ図2における上下方向に6個、左右方向に7個という配列となっている。
【0033】
信号処理回路51は、導電部201の電流値と、セル10aとセル10bとの間の電圧を演算処理し、セル10aの面内における導電部201に対応する部位の局所的なインピーダンスを測定する。信号処理回路51は、演算したインピーダンス値を制御部50に出力し、制御部50では、セル10aの面内におけるインピーダンスの分布を検出することができる。
【0034】
次に、板状部材200について説明する。図3は、板状部材200の分解斜視図である。図3に示すように、板状部材200は、配線パターンが形成された複数のプリント基板210〜230を積層した積層基板(板状部材)として構成されている。プリント基板210〜230としては、一般的なガラスエポキシ基板を用いることができる。
【0035】
本実施形態の板状部材200は、第1基板210、第2基板220、第3基板230の3枚のプリント基板が積層されて構成されている。各基板210〜230には、図2における左右両側に、空気、水素、冷却水がそれぞれ通過するマニホールドが形成されている。これらの基板210〜230は、絶縁性接着剤を介在させてホットプレスにより一体化されている。
【0036】
導電部201は、一対の電極部211、231とこれらを接続する電流測定用抵抗体221とを有している。一対の電極部211、231は、板状部材200における両外面に設けられ、第1電極部211は第1基板210におけるセル10aに対向する面(図3の紙面手前側)に設けられており、第2電極部231は第3基板230におけるセル10aに対向する面(図3の紙面奥側)に設けられている。
【0037】
電流測定用抵抗体221は、第1基板210と第3基板230に挟まれた第2基板220に設けられている。本実施形態では、電流測定用抵抗体221は、第2基板220における第1基板210に対向する側(図3の紙面手前側)に設けられている。第2基板220における電流測定用抵抗体221が設けられている側の反対側(図3の紙面奥側)には電流測定用配線222が設けられている。図3では、電流測定用配線222を破線で囲まれた斜線で示している。第2基板220の1辺には、電流測定用配線222が接続された信号取り出し用のコネクタ223が設けられている。
【0038】
電流測定用抵抗体221は、電極部211、231より抵抗値が大きい材料から構成されている。第1電極部211、第2電極部231、電流測定用抵抗体221は、金属箔として構成されており、これらは各基板210〜230に配線パターンとして形成されている。本実施形態では、電極部211、231、電流測定用配線222および電流測定用抵抗体221は、銅箔から構成されている。
【0039】
図4は導電部201の断面図であり、図5は導電部201の電流の流れを示す斜視図である。図4に示すように、第1基板210と第2基板220の間と、第2基板220と第3基板230の間には、電気絶縁性を有する絶縁性接着剤212、224が設けられている。図4、図5に示すように、各基板210〜230には、第1スルーホール201aが設けられている。第1スルーホール201aの内部には、電極部211、231と同様の銅箔から構成される導電体が設けられている。
【0040】
第1スルーホール201aを介して、第1電極部211と電流測定用抵抗体221が導通し、第2スルーホール201bを介して、電流測定用抵抗体221と第2電極部231が導通している。さらに第1スルーホール201aを介して電流測定用抵抗体221と電流測定用配線222が導通している。第1電極部211は電流測定用抵抗体221の一端側と導通し、第2電極部231は電流測定用抵抗体221の他端側と導通しているため、電流測定用抵抗体221では一端側と他端側との間で電流が流れることとなる。
【0041】
電流測定用配線222は、電流測定用抵抗体221の一端側および他端側と導通している。電流測定用配線222は、外部の配線と接続され、電流測定用電圧センサ101と接続されている。電流測定用電圧センサ101は、電流測定用抵抗体221の一端側および他端側の2点間の電位差を測定し、信号を信号処理回路51に出力するように構成されている。電流測定用抵抗体221の一端側および他端側の2点間の抵抗値Rは既知であるものとする。
【0042】
燃料電池10での発電が行われている場合には、板状部材200の各導電部201では、電流流れ方向上流側のセル10aから第1電極部211の板面に電流が流れる。そして、第1電極部211→第1スルーホール201a→電流測定用抵抗体221→第2スルーホール201b→第2電極部231の順に電流が流れ、第2電極部231の板面から電流流れ方向下流側のセル10aに電流が流れる。このとき、電流測定用電圧センサ101で電流測定用抵抗体221の一端側および他端側の電位差VRを測定する。信号処理回路51では、電流測定用電圧センサ101による測定電位差VRと、既知である電流測定用抵抗体221の抵抗値Rとから電流測定用抵抗体221に流れた電流IC(=VR/R)を算出することができる。この電流ICが、セル10aにおける導電部201に対応する部位の局所電流となる。なお、電流測定用電圧センサ101と信号処理回路51が本発明の局所電流測定手段に相当している。
【0043】
図5に示すように、板状部材200の各導電部201における第1基板210と第2基板220の間、および第2基板220と第3基板230の間には、局所電流測定手段(電流測定用電圧センサ101および信号処理回路51)に伝播する電磁ノイズを吸収するノイズ吸収部400が設けられている。
【0044】
ノイズ吸収部400は、電流測定用抵抗体221を流れる電流により発生する誘導起電圧を吸収可能に構成されている。具体的には、ノイズ吸収部400は、容量素子としてのコンデンサ(キャパシタ)401を含む閉回路を有して構成されている。本実施形態では、ノイズ吸収部400は、第1基板210と第2基板220の間における第1スルーホール201a側、および、第2基板220と第3基板230の間における第2スルーホール201b側に配置されている。なお、ノイズ吸収部400の詳細な構成については後述する。
【0045】
図6は、導電部201を示す概念図である。図6に示すように、セル10aの局所部位の電圧を検出する電圧測定用電圧センサ102が設けられている。電圧測定用電圧センサ102は、セル10aとセル10bとの間の電位差VCを測定するように構成されている。なお、電圧測定用電圧センサ102が本発明の電圧検出手段に相当している。
【0046】
燃料電池10での発電が行われている場合には、セル10aとセル10bとの間の測定電位差VCがセル10aにおける導電部201に対応する部位の局所電圧となる。
【0047】
次に、セル10aの局所的なインピーダンス測定方法について説明する。本実施形態では、上述のセル10aの局所電流ICと局所電圧VCを用いて、周知の交流インピーダンス法によりセル10aの局所インピーダンスを測定するように構成されている。
【0048】
図7は、燃料電池10の回路構成を示す概念図である。図7に示すように、燃料電池10の出力電圧に任意の周波数で正弦波を重畳させる正弦波印加手段としての正弦波発振器13が設けられている。これにより、電流測定用電圧センサ101と電圧測定用電圧センサ102の出力に正弦波が重畳される。
【0049】
図8は、信号処理回路51のインピーダンス検出部51a〜51eの構成を示す概念図である。図8に示すように、信号処理回路51には、電流測定用電圧センサ101の信号および電圧測定用電圧センサ102の信号からノイズを除去するフィルタ部51a、51bと、高速フーリエ変換処理を行うFFT処理部51c、51dと、FFT処理された電流成分および電圧成分からセル10aの局所インピーダンスを算出するインピーダンス分析部51eを備えている。なお、信号処理回路51が本発明のインピーダンス演算手段に相当している。
【0050】
図9は、セル10aの内部水分量と内部抵抗との関係を示す特性図である。図9に示すように、セル10aの内部水分量と内部抵抗とは相関関係がある。すなわち、セル10a内の水分が不足すると電解質膜の水分量が減少し、電解質膜の導電率が低下する。この結果、電解質膜の抵抗が増大することとなる。従って、電解質膜の抵抗値が第1の所定抵抗値を超えている場合には電解質膜の水分量が不足していると判断することができる。また、水分が過剰になると電極の反応抵抗が増加する。このため、電極の反応抵抗が第2の所定抵抗値を超えている場合には、電解質膜の水分過剰と判断することができる。それら以外の場合には電解質膜の水分量が適正であると判断することができる。
【0051】
ところで、セル10aの電圧降下は、(1)電気化学反応による反応抵抗、(2)セル10aの電解質膜抵抗によって生じる。従って、これらの中から交流インピーダンス法により反応抵抗と電解質膜抵抗を測定することで、燃料電池の水分量を検出することが可能となる。
【0052】
次に、図10、図11に基づいて、交流インピーダンス法による反応抵抗と電解質膜抵抗の測定方法について説明する。
【0053】
図10はセル10aの等価回路を示す回路図である。図10の等価回路におけるR1は電解質膜の抵抗に相当し、R2は反応抵抗に相当している。図10の等価回路に所定の周波数を有する正弦波電流を印加した場合、電流の変化に対して電圧の応答が遅れる。
【0054】
図11は、図10の回路に高周波から低周波までの正弦波電流を印加した場合のセル10aのインピーダンスを複素平面上に表示した特性図である。印加する正弦波電流の周波数が無限に大きい場合(ω=∞)のインピーダンスは、図11におけるR1となる。また、正弦波電流の周波数が非常に小さい場合(ω=0)のインピーダンスは、R1+R2となる。高周波から低周波の間で周波数を変化させたときのインピーダンスは、図11に示すような半円を描く。
【0055】
これらのことより、交流インピーダンス法を用いることで、セル10aの等価回路におけるR1とR2を分離して計測することが可能となる。
【0056】
上述のようにR1は電解質膜の抵抗に相当するため、R1が第1の所定値を超えている場合には電解質膜の水分量が不足していると判断することができ、R1が第1の所定値を下回っている場合には電解質膜の水分量が適正であると判断することができる。また、R2は電極の反応抵抗に相当するため、R2が第2の所定値を超えている場合は電極上の水分量が過剰と判断でき、R2が第2の所定値を下回る場合は水分量が適正と判断できる。
【0057】
以上の構成により、セル10a面内における局所的なインピーダンスを測定することができ、セル10a面内における局所的な内部水分量を検出することができる。また、本実施形態では、セル10a面内の全体で局所インピーダンスを測定しているので、セル10a面内の内部水分量の分布を検出することができる
ところで、上述したノイズ吸収部400は、セル10aに高周波数(本実施形態では10MHz)の正弦波電流を印加した場合に、電流測定用抵抗体221を流れる電流により発生する誘導起電圧を吸収可能に構成されている。
【0058】
具体的には、電流測定用抵抗体221を、厚さt[μm]、パターン幅W[mm]、長さl[mm]の銅箔パターンとして構成した場合、そのインダクタンスL[μH]は次の数式F1により算出される(参考文献:トランジスタ技術、1993年2月号)。
L=0.0002×l×{ln(2×l/(W+t))+0.2235×((W+t)/l)+0.5}…(F1)
本実施形態では、電流測定用抵抗体221として、厚さt=35[μm]、パターン幅W=36.1[mm]、長さl=8[mm]の銅箔パターンを採用しているので、上記数式F1により、電流測定用抵抗体221のインダクタンスLは1.112nHとなる。そして、例えば、1つの板状部材200に42個の導電部201が配置されている場合、全体のインダクタンスLは46.7nHとなる。
【0059】
ここで、ノイズ吸収部400のコンデンサ401の容量をC[F]、正弦波電流の周波数をf[Hz]、インダクタンスをL[H]としたとき、容量C、周波数f、インダクタンスLは、次の数式F2で表される関係を有する。
2πfL=1/(2πfC)…(F2)
インダクタンスLが46.7nHの場合、電流測定用抵抗体221に10MHzの正弦波電流を印加したときの誘導起電圧を吸収可能なコンデンサの容量を、上記数式F2により算出すると、必要な容量Cは5.42nFとなる。
【0060】
続いて、容量Cが5.42nFのコンデンサに対して、平行平板コンデンサの数式F3を適用する。
C=ε0εrS/d=0.008855εrS/d…(F3)
上記数式F3において、ε0は真空の誘電率、εrは誘電体の比誘電率、Sは電極板の面積[mm2]、dは電極板間の距離[mm]、Cは平行平板コンデンサの容量[pF]である。
【0061】
例えば、誘電体を厚さ0.01mmのポリエチレンにより形成した場合、比誘電率εrが3、電極板間の距離dが0.01mmであるため、上記数式F3より、電極板の面積Sは2040mm2となる。全体として2040mm2の電極板面積が必要であるので、本実施形態で示した42個の導電部材201それぞれに必要な電極板面積は49mm2となる。このため本実施形態では、コンデンサ401の電極板は、一辺が7mmの正方形状に形成されている。
【0062】
以上説明したように、インピーダンス測定装置100の導電部201にノイズ吸収部400を設けるころで、電流測定用抵抗体221を流れる電流により発生する誘導起電圧を吸収することができる。これにより、セル10aの局所部位を流れる電流値を正確に測定することができるので、セル10aの局所的なインピーダンスを確実に測定することが可能となる。
【0063】
また、ノイズ吸収部400を、第1電極211と電流測定用抵抗体221との間、および、第2電極231と電流測定用抵抗体221との間に配置することで、ノイズ吸収部400を電流測定用抵抗体221の近傍に配置することができる。これにより、電流測定用抵抗体221を流れる電流により発生する誘導起電圧を確実に吸収することができる。
【0064】
また、ノイズ吸収部400を閉回路とすることで、コンデンサ401で吸収した電流が閉回路外に流れることがないので、電流測定用抵抗体221を流れる電流により発生する誘導起電圧をより確実に吸収することができる。
【0065】
(他の実施形態)
上記実施形態では、ノイズ吸収部400を、第1電極211と電流測定用抵抗体221との間、および、第2電極231と電流測定用抵抗体221との間に配置した例について説明したが、これに限らず、第1電極211と電流測定用抵抗体221との間、および、第2電極231と電流測定用抵抗体221との間のいずれか一方にのみ配置してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、ノイズ吸収部400のコンデンサ401の誘電体として、ポリエチレンを用いた例について説明したが、これに限らず、他の物質を用いてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、導電部材201それぞれに必要な電極板の面積Sを49mm2とするために、コンデンサ401の電極板を、一辺が7mmの正方形状に形成した例について説明したが、これに限らず、長方形状や円形状等、他の形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10a セル
211 第1電極
221 電流測定用抵抗体
231 第2電極
400 ノイズ吸収部
401 コンデンサ(容量素子)
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流インピーダンス法を用いて燃料電池のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池スタックにおけるセルの局所的なインピーダンスを測定可能なインピーダンス測定装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のインピーダンス測定装置は、電流検出手段および電圧検出手段の出力信号に周波数を変化させながら正弦波信号を印加する正弦波印加手段と、正弦波が印加された電流検出手段と電圧検出手段の出力信号からインピーダンスを演算するインピーダンス演算手段とを備えている。
【0003】
これにより、交流インピーダンス法を用いることで、セルの等価回路における電解質膜の抵抗R1と電極の反応抵抗R2とを分離して計測することが可能となる。そして、電解質膜の抵抗R1が第1の所定値を越えている場合には、電解質膜の水分量が不足していると判断し、電極の反応抵抗R2が第2の所定値を越えている場合には、電極の水分量が過剰であると判断することができる。
【0004】
なお、セルの等価回路に高周波から低周波までの正弦波電流を印加した場合のセルのインピーダンスを複素平面上に表示した場合、高周波から低周波の間で周波数を変化させたときのインピーダンスは半円を描く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−252706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載のインピーダンス測定装置では、印加する正弦波電流の周波数が無限に大きい場合(ω=∞)のインピーダンスを測定することで、燃料電池の電解質膜の抵抗R1を計測している。
【0007】
しかしながら、本発明者が、上記特許文献1に記載のインピーダンス測定装置を実際の燃料電池発電実験に適用したところ、印加する正弦波電流の周波数が400Hzを超えると、インピーダンスの演算結果が上記半円から外れてしまい、目標とする結果が得られないことがわかった。この原因について本発明者が検討したところ、セル等を流れる電流による誘導起電圧の影響を受けているためであるとわかった。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、燃料電池スタックにおけるセルの局所的なインピーダンスを確実に測定可能なインピーダンス測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成された燃料電池(10)におけるセル(10a)のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置において、セル(10a)の局所部位を流れる電流値を測定する局所電流測定手段(51、101)と、局所電流測定手段(51、101)に伝播するノイズを吸収するノイズ吸収部(400)とを備えることを特徴としている。
【0010】
これによれば、局所電流値測定手段(51、101)に伝播するノイズを吸収することができるので、セル(10a)の局所部位を流れる電流値を正確に測定することができる。このため、セル(10a)の局所的なインピーダンスを確実に測定することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載のインピーダンス測定装置インピーダンス測定対象となるセル(10a)に隣接して配置され、セル(10a)の局所部位に対応する部位に導電部(201)が形成された板状部材(200)と、板状部材(200)の導電部(201)に流れる電流を検出する電流測定手段(51、101)と、燃料電池(10)の出力電圧を検出する電圧検出手段(102)と、電圧検出手段(102)の出力信号に周波数を変化させながら正弦波信号を印加する正弦波印加手段(13)と、正弦波信号が印加された電圧検出手段(102)の出力信号からインピーダンスを演算するインピーダンス演算手段(51)とを備え、電流測定手段(51、101)が、局所電流測定手段であってもよい。
【0012】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の燃料電池のインピーダンス測定装置において、導電部(201)は、第1電極(211)と、第2電極(231)と、第1電極(211)および第2電極(231)とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する板状の抵抗体(221)とを備え、第1電極(211)がインピーダンス測定対象となるセル(10a)に電気的に接触しており、電流測定手段は、抵抗体(221)の2点間の電位差を検出する電位差検出手段(101)と、電位差検出手段(101)によって検出された検出電位差および抵抗体(221)の電気抵抗値を用いて、セル(10a)の局所部位を流れる電流値を検出する電流値検出手段(51)とを備え、ノイズ吸収部(400)は、第1電極(211)と抵抗体(221)との間、および、第2電極(231)と抵抗体(221)との間の少なくとも一方に配置されていることを特徴としている。
【0013】
これによれば、ノイズ吸収部(400)を抵抗体(221)の近傍に配置することができるので、抵抗体(221)で発生するノイズをより確実に吸収することができる。したがって、セル(10a)の局所部位を流れる電流値をより正確に測定することができ、セル(10a)の局所的なインピーダンスをより確実に測定することが可能となる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料電池のインピーダンス測定装置において、ノイズ吸収部(400)は、容量素子(401)を有して構成されていてもよい。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の燃料電池のインピーダンス測定装置において、ノイズ吸収部(400)は、容量素子(401)を含む閉回路を有して構成されていることを特徴としている。
【0016】
このように、ノイズ吸収部(400)を閉回路とすることで、容量素子(401)で吸収した電流が閉回路外を流れることがない。このため、局所電流値測定手段(51、101)に伝播するノイズをより確実に吸収することができる。したがって、セル(10a)の局所部位を流れる電流値をより正確に測定することができ、セル(10a)の局所的なインピーダンスをより確実に測定することが可能となる。
【0017】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池システムを示す模式図である。
【図2】インピーダンス測定装置100の斜視図である。
【図3】板状部材200の分解斜視図である。
【図4】導電部201の断面図である。
【図5】導電部201の電流の流れを示す斜視図である。
【図6】導電部201を示す概念図である。
【図7】燃料電池10の回路構成を示す概念図である。
【図8】信号処理回路51のインピーダンス検出部51a〜51eの構成を示す概念図である。
【図9】セル10aの内部水分量と内部抵抗との関係を示す特性図である。
【図10】セル10aの等価回路を示す回路図である。
【図11】図10の回路に高周波から低周波までの正弦波電流を印加した場合のセル10aのインピーダンスを複素平面上に表示した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図11に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る燃料電池システムを示す模式図で、この燃料電池システムは例えば電気自動車に適用される。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の燃料電池システムは、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生する燃料電池10を備えている。この燃料電池10は、図示しない電気負荷や2次電池等の電気機器に電力を供給するものである。電気自動車の場合、車両走行駆動源としての電動モータが電気負荷に相当している。
【0021】
本実施形態では燃料電池10として固体高分子電解質型燃料電池を用いており、電解質膜の両側面に電極が接合されたMEAと、MEAを挟持する一対のセパレータから構成されるセルが複数個積層され、かつ電気的に直列接続されている。燃料電池10では、以下の水素と酸素の電気化学反応が起こり電気エネルギが発生する。
【0022】
(負極側)H2→2H++2e−
(正極側)2H++1/2O2+2e−→H2O
そして、燃料電池10の出力電圧を検出する電圧センサ11と燃料電池10の出力電流を検出する電流センサ12とが設けられている。積層されたセル10aの間に、特定のセル10aの局所的なインピーダンスを測定するためのインピーダンス測定装置100が設けられている。インピーダンス測定装置100は、積層されたセル10aの間における任意の部位に配置することができる。インピーダンス測定装置100は、隣り合うセル10aと電気的に直列接続されている。インピーダンス測定装置100から出力される信号は信号処理回路51で演算処理され、インピーダンスが算出される。インピーダンス測定装置100、信号処理回路51については後述する。
【0023】
燃料電池システムには、燃料電池10の空気極(正極)側に空気(酸素)を供給するための空気流路20と、燃料電池10の水素極(負極)側に水素を供給するための水素流路30が設けられている。ここで、空気流路20における燃料電池10より上流側を空気供給流路20aといい、下流側を空気排出流路20bという。また、水素流路30における燃料電池10より上流側を水素供給流路30aといい、下流側を水素排出流路30bという。なお、空気は本発明の酸化剤ガスに相当し、水素は本発明の燃料ガスに相当している。
【0024】
空気供給流路20aの最上流部には、大気中から吸入した空気を燃料電池10に圧送するための空気ポンプ21が設けられ、空気供給流路20aにおける空気ポンプ21と燃料電池10との間には、空気への加湿を行う加湿器22が設けられている。また、空気排出流路20bには、燃料電池10内の空気の圧力を調整するための空気調圧弁23が設けられている。
【0025】
水素供給流路30aの最上流部には、水素が充填された高圧水素タンク31が設けられ、水素供給流路30aにおける高圧水素タンク31と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される水素の圧力を調整するための水素調圧弁32が設けられている。
【0026】
水素排出流路30bには、生成水を微量な水素とともに外気へ排出するために所定の時間間隔で開閉する電磁弁34が設けられている。なお、上述の電気化学反応では、水素極側において生成水は発生しないものの、水素極側には、酸素極側から各セル10aの電解質膜を透過した生成水が溜まるおそれがある。そこで、本実施形態では、水素排出流路30bおよび電磁弁34を設けている。
【0027】
さらに、水素供給流路30aおよび水素排出流路30bは、水素循環流路30cを介して接続されている。水素循環流路30cは、水素供給流路30aの水素調圧弁32下流側と水素排出流路30bの電磁弁34上流側とを接続するように設けられている。これにより、燃料電池10から流出した未反応の水素を、燃料電池10に循環させて再供給している。また、水素循環流路30cには、水素流路30内で水素を循環させるための水素ポンプ33が配置されている。
【0028】
燃料電池10は発電効率確保のために運転中一定温度(例えば80℃程度)に維持する必要がある。このため、燃料電池10を冷却するための冷却システムが設けられている。冷却システムには、燃料電池10に冷却水(熱媒体)を循環させる冷却水経路40、冷却水を循環させるウォータポンプ41、ファン42を備えたラジエータ(放熱器)43が設けられている。
【0029】
冷却水経路40には、冷却水をラジエータ43をバイパスさせるためのバイパス経路44が設けられている。冷却水経路40とバイパス経路44との合流点には、バイパス経路44に流れる冷却水流量を調整するための流路切替弁45が設けられている。また、冷却水経路40における燃料電池10の出口側近傍には、燃料電池10から流出した冷却水の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ46が設けられている。この温度センサ46により冷却水温度を検出することで、燃料電池10の温度を間接的に検出することができる。
【0030】
燃料電池システムには、各種制御を行う制御部(ECU)50が設けられている。制御部50は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。そして、制御部50には、電圧センサ11からの電圧信号、電流センサ12からの電流信号、信号処理回路51にて演算されたインピーダンスを示す信号が入力される。また、制御部50は、演算結果に基づいて、空気ポンプ21、加湿器22、空気調圧弁23、水素調圧弁32、水素ポンプ33、ウォータポンプ41、流路切替弁45等に制御信号を出力する。
【0031】
図2は、インピーダンス測定装置100の斜視図である。図2に示すように、インピーダンス測定装置100は、板状部材200を有している。この板状部剤200は、セル10aと同じ大きさに構成され、インピーダンス測定対象となる1枚のセル10aおよび別の1枚のセル10bとにより両側から挟み込まれるように配置されている。換言すると、板状部材200は、インピーダンス測定対象となるセル10aに隣接して配置されている。
【0032】
板状部材200には、導電部201が複数設けられている。この導電部201は、セル10aの局所部位に対応する位置に設けられている。本実施形態では、セル10aの面内におけるインピーダンス分布を測定するために、導電部201がセル10aの板面の全体に分布するように設けられている。本実施形態の導電部201は、直交する二方向にマトリクス状(格子状)に設けられており、本実施形態ではそれぞれ図2における上下方向に6個、左右方向に7個という配列となっている。
【0033】
信号処理回路51は、導電部201の電流値と、セル10aとセル10bとの間の電圧を演算処理し、セル10aの面内における導電部201に対応する部位の局所的なインピーダンスを測定する。信号処理回路51は、演算したインピーダンス値を制御部50に出力し、制御部50では、セル10aの面内におけるインピーダンスの分布を検出することができる。
【0034】
次に、板状部材200について説明する。図3は、板状部材200の分解斜視図である。図3に示すように、板状部材200は、配線パターンが形成された複数のプリント基板210〜230を積層した積層基板(板状部材)として構成されている。プリント基板210〜230としては、一般的なガラスエポキシ基板を用いることができる。
【0035】
本実施形態の板状部材200は、第1基板210、第2基板220、第3基板230の3枚のプリント基板が積層されて構成されている。各基板210〜230には、図2における左右両側に、空気、水素、冷却水がそれぞれ通過するマニホールドが形成されている。これらの基板210〜230は、絶縁性接着剤を介在させてホットプレスにより一体化されている。
【0036】
導電部201は、一対の電極部211、231とこれらを接続する電流測定用抵抗体221とを有している。一対の電極部211、231は、板状部材200における両外面に設けられ、第1電極部211は第1基板210におけるセル10aに対向する面(図3の紙面手前側)に設けられており、第2電極部231は第3基板230におけるセル10aに対向する面(図3の紙面奥側)に設けられている。
【0037】
電流測定用抵抗体221は、第1基板210と第3基板230に挟まれた第2基板220に設けられている。本実施形態では、電流測定用抵抗体221は、第2基板220における第1基板210に対向する側(図3の紙面手前側)に設けられている。第2基板220における電流測定用抵抗体221が設けられている側の反対側(図3の紙面奥側)には電流測定用配線222が設けられている。図3では、電流測定用配線222を破線で囲まれた斜線で示している。第2基板220の1辺には、電流測定用配線222が接続された信号取り出し用のコネクタ223が設けられている。
【0038】
電流測定用抵抗体221は、電極部211、231より抵抗値が大きい材料から構成されている。第1電極部211、第2電極部231、電流測定用抵抗体221は、金属箔として構成されており、これらは各基板210〜230に配線パターンとして形成されている。本実施形態では、電極部211、231、電流測定用配線222および電流測定用抵抗体221は、銅箔から構成されている。
【0039】
図4は導電部201の断面図であり、図5は導電部201の電流の流れを示す斜視図である。図4に示すように、第1基板210と第2基板220の間と、第2基板220と第3基板230の間には、電気絶縁性を有する絶縁性接着剤212、224が設けられている。図4、図5に示すように、各基板210〜230には、第1スルーホール201aが設けられている。第1スルーホール201aの内部には、電極部211、231と同様の銅箔から構成される導電体が設けられている。
【0040】
第1スルーホール201aを介して、第1電極部211と電流測定用抵抗体221が導通し、第2スルーホール201bを介して、電流測定用抵抗体221と第2電極部231が導通している。さらに第1スルーホール201aを介して電流測定用抵抗体221と電流測定用配線222が導通している。第1電極部211は電流測定用抵抗体221の一端側と導通し、第2電極部231は電流測定用抵抗体221の他端側と導通しているため、電流測定用抵抗体221では一端側と他端側との間で電流が流れることとなる。
【0041】
電流測定用配線222は、電流測定用抵抗体221の一端側および他端側と導通している。電流測定用配線222は、外部の配線と接続され、電流測定用電圧センサ101と接続されている。電流測定用電圧センサ101は、電流測定用抵抗体221の一端側および他端側の2点間の電位差を測定し、信号を信号処理回路51に出力するように構成されている。電流測定用抵抗体221の一端側および他端側の2点間の抵抗値Rは既知であるものとする。
【0042】
燃料電池10での発電が行われている場合には、板状部材200の各導電部201では、電流流れ方向上流側のセル10aから第1電極部211の板面に電流が流れる。そして、第1電極部211→第1スルーホール201a→電流測定用抵抗体221→第2スルーホール201b→第2電極部231の順に電流が流れ、第2電極部231の板面から電流流れ方向下流側のセル10aに電流が流れる。このとき、電流測定用電圧センサ101で電流測定用抵抗体221の一端側および他端側の電位差VRを測定する。信号処理回路51では、電流測定用電圧センサ101による測定電位差VRと、既知である電流測定用抵抗体221の抵抗値Rとから電流測定用抵抗体221に流れた電流IC(=VR/R)を算出することができる。この電流ICが、セル10aにおける導電部201に対応する部位の局所電流となる。なお、電流測定用電圧センサ101と信号処理回路51が本発明の局所電流測定手段に相当している。
【0043】
図5に示すように、板状部材200の各導電部201における第1基板210と第2基板220の間、および第2基板220と第3基板230の間には、局所電流測定手段(電流測定用電圧センサ101および信号処理回路51)に伝播する電磁ノイズを吸収するノイズ吸収部400が設けられている。
【0044】
ノイズ吸収部400は、電流測定用抵抗体221を流れる電流により発生する誘導起電圧を吸収可能に構成されている。具体的には、ノイズ吸収部400は、容量素子としてのコンデンサ(キャパシタ)401を含む閉回路を有して構成されている。本実施形態では、ノイズ吸収部400は、第1基板210と第2基板220の間における第1スルーホール201a側、および、第2基板220と第3基板230の間における第2スルーホール201b側に配置されている。なお、ノイズ吸収部400の詳細な構成については後述する。
【0045】
図6は、導電部201を示す概念図である。図6に示すように、セル10aの局所部位の電圧を検出する電圧測定用電圧センサ102が設けられている。電圧測定用電圧センサ102は、セル10aとセル10bとの間の電位差VCを測定するように構成されている。なお、電圧測定用電圧センサ102が本発明の電圧検出手段に相当している。
【0046】
燃料電池10での発電が行われている場合には、セル10aとセル10bとの間の測定電位差VCがセル10aにおける導電部201に対応する部位の局所電圧となる。
【0047】
次に、セル10aの局所的なインピーダンス測定方法について説明する。本実施形態では、上述のセル10aの局所電流ICと局所電圧VCを用いて、周知の交流インピーダンス法によりセル10aの局所インピーダンスを測定するように構成されている。
【0048】
図7は、燃料電池10の回路構成を示す概念図である。図7に示すように、燃料電池10の出力電圧に任意の周波数で正弦波を重畳させる正弦波印加手段としての正弦波発振器13が設けられている。これにより、電流測定用電圧センサ101と電圧測定用電圧センサ102の出力に正弦波が重畳される。
【0049】
図8は、信号処理回路51のインピーダンス検出部51a〜51eの構成を示す概念図である。図8に示すように、信号処理回路51には、電流測定用電圧センサ101の信号および電圧測定用電圧センサ102の信号からノイズを除去するフィルタ部51a、51bと、高速フーリエ変換処理を行うFFT処理部51c、51dと、FFT処理された電流成分および電圧成分からセル10aの局所インピーダンスを算出するインピーダンス分析部51eを備えている。なお、信号処理回路51が本発明のインピーダンス演算手段に相当している。
【0050】
図9は、セル10aの内部水分量と内部抵抗との関係を示す特性図である。図9に示すように、セル10aの内部水分量と内部抵抗とは相関関係がある。すなわち、セル10a内の水分が不足すると電解質膜の水分量が減少し、電解質膜の導電率が低下する。この結果、電解質膜の抵抗が増大することとなる。従って、電解質膜の抵抗値が第1の所定抵抗値を超えている場合には電解質膜の水分量が不足していると判断することができる。また、水分が過剰になると電極の反応抵抗が増加する。このため、電極の反応抵抗が第2の所定抵抗値を超えている場合には、電解質膜の水分過剰と判断することができる。それら以外の場合には電解質膜の水分量が適正であると判断することができる。
【0051】
ところで、セル10aの電圧降下は、(1)電気化学反応による反応抵抗、(2)セル10aの電解質膜抵抗によって生じる。従って、これらの中から交流インピーダンス法により反応抵抗と電解質膜抵抗を測定することで、燃料電池の水分量を検出することが可能となる。
【0052】
次に、図10、図11に基づいて、交流インピーダンス法による反応抵抗と電解質膜抵抗の測定方法について説明する。
【0053】
図10はセル10aの等価回路を示す回路図である。図10の等価回路におけるR1は電解質膜の抵抗に相当し、R2は反応抵抗に相当している。図10の等価回路に所定の周波数を有する正弦波電流を印加した場合、電流の変化に対して電圧の応答が遅れる。
【0054】
図11は、図10の回路に高周波から低周波までの正弦波電流を印加した場合のセル10aのインピーダンスを複素平面上に表示した特性図である。印加する正弦波電流の周波数が無限に大きい場合(ω=∞)のインピーダンスは、図11におけるR1となる。また、正弦波電流の周波数が非常に小さい場合(ω=0)のインピーダンスは、R1+R2となる。高周波から低周波の間で周波数を変化させたときのインピーダンスは、図11に示すような半円を描く。
【0055】
これらのことより、交流インピーダンス法を用いることで、セル10aの等価回路におけるR1とR2を分離して計測することが可能となる。
【0056】
上述のようにR1は電解質膜の抵抗に相当するため、R1が第1の所定値を超えている場合には電解質膜の水分量が不足していると判断することができ、R1が第1の所定値を下回っている場合には電解質膜の水分量が適正であると判断することができる。また、R2は電極の反応抵抗に相当するため、R2が第2の所定値を超えている場合は電極上の水分量が過剰と判断でき、R2が第2の所定値を下回る場合は水分量が適正と判断できる。
【0057】
以上の構成により、セル10a面内における局所的なインピーダンスを測定することができ、セル10a面内における局所的な内部水分量を検出することができる。また、本実施形態では、セル10a面内の全体で局所インピーダンスを測定しているので、セル10a面内の内部水分量の分布を検出することができる
ところで、上述したノイズ吸収部400は、セル10aに高周波数(本実施形態では10MHz)の正弦波電流を印加した場合に、電流測定用抵抗体221を流れる電流により発生する誘導起電圧を吸収可能に構成されている。
【0058】
具体的には、電流測定用抵抗体221を、厚さt[μm]、パターン幅W[mm]、長さl[mm]の銅箔パターンとして構成した場合、そのインダクタンスL[μH]は次の数式F1により算出される(参考文献:トランジスタ技術、1993年2月号)。
L=0.0002×l×{ln(2×l/(W+t))+0.2235×((W+t)/l)+0.5}…(F1)
本実施形態では、電流測定用抵抗体221として、厚さt=35[μm]、パターン幅W=36.1[mm]、長さl=8[mm]の銅箔パターンを採用しているので、上記数式F1により、電流測定用抵抗体221のインダクタンスLは1.112nHとなる。そして、例えば、1つの板状部材200に42個の導電部201が配置されている場合、全体のインダクタンスLは46.7nHとなる。
【0059】
ここで、ノイズ吸収部400のコンデンサ401の容量をC[F]、正弦波電流の周波数をf[Hz]、インダクタンスをL[H]としたとき、容量C、周波数f、インダクタンスLは、次の数式F2で表される関係を有する。
2πfL=1/(2πfC)…(F2)
インダクタンスLが46.7nHの場合、電流測定用抵抗体221に10MHzの正弦波電流を印加したときの誘導起電圧を吸収可能なコンデンサの容量を、上記数式F2により算出すると、必要な容量Cは5.42nFとなる。
【0060】
続いて、容量Cが5.42nFのコンデンサに対して、平行平板コンデンサの数式F3を適用する。
C=ε0εrS/d=0.008855εrS/d…(F3)
上記数式F3において、ε0は真空の誘電率、εrは誘電体の比誘電率、Sは電極板の面積[mm2]、dは電極板間の距離[mm]、Cは平行平板コンデンサの容量[pF]である。
【0061】
例えば、誘電体を厚さ0.01mmのポリエチレンにより形成した場合、比誘電率εrが3、電極板間の距離dが0.01mmであるため、上記数式F3より、電極板の面積Sは2040mm2となる。全体として2040mm2の電極板面積が必要であるので、本実施形態で示した42個の導電部材201それぞれに必要な電極板面積は49mm2となる。このため本実施形態では、コンデンサ401の電極板は、一辺が7mmの正方形状に形成されている。
【0062】
以上説明したように、インピーダンス測定装置100の導電部201にノイズ吸収部400を設けるころで、電流測定用抵抗体221を流れる電流により発生する誘導起電圧を吸収することができる。これにより、セル10aの局所部位を流れる電流値を正確に測定することができるので、セル10aの局所的なインピーダンスを確実に測定することが可能となる。
【0063】
また、ノイズ吸収部400を、第1電極211と電流測定用抵抗体221との間、および、第2電極231と電流測定用抵抗体221との間に配置することで、ノイズ吸収部400を電流測定用抵抗体221の近傍に配置することができる。これにより、電流測定用抵抗体221を流れる電流により発生する誘導起電圧を確実に吸収することができる。
【0064】
また、ノイズ吸収部400を閉回路とすることで、コンデンサ401で吸収した電流が閉回路外に流れることがないので、電流測定用抵抗体221を流れる電流により発生する誘導起電圧をより確実に吸収することができる。
【0065】
(他の実施形態)
上記実施形態では、ノイズ吸収部400を、第1電極211と電流測定用抵抗体221との間、および、第2電極231と電流測定用抵抗体221との間に配置した例について説明したが、これに限らず、第1電極211と電流測定用抵抗体221との間、および、第2電極231と電流測定用抵抗体221との間のいずれか一方にのみ配置してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、ノイズ吸収部400のコンデンサ401の誘電体として、ポリエチレンを用いた例について説明したが、これに限らず、他の物質を用いてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、導電部材201それぞれに必要な電極板の面積Sを49mm2とするために、コンデンサ401の電極板を、一辺が7mmの正方形状に形成した例について説明したが、これに限らず、長方形状や円形状等、他の形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10a セル
211 第1電極
221 電流測定用抵抗体
231 第2電極
400 ノイズ吸収部
401 コンデンサ(容量素子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成された燃料電池(10)における前記セル(10a)のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置であって、
前記セル(10a)の局所部位を流れる電流値を測定する局所電流測定手段(51、101)と、
前記局所電流測定手段(51、101)に伝播するノイズを吸収するノイズ吸収部(400)とを備えることを特徴とする燃料電池のインピーダンス測定装置。
【請求項2】
インピーダンス測定対象となる前記セル(10a)に隣接して配置され、前記セル(10a)の局所部位に対応する部位に導電部(201)が形成された板状部材(200)と、
前記板状部材(200)の前記導電部(201)に流れる電流を検出する電流測定手段(51、101)と、
前記燃料電池(10)の出力電圧を検出する電圧検出手段(102)と、
前記電圧検出手段(102)の出力信号に周波数を変化させながら正弦波信号を印加する正弦波印加手段(13)と、
正弦波信号が印加された前記電圧検出手段(102)の出力信号からインピーダンスを演算するインピーダンス演算手段(51)とを備え、
前記電流測定手段(51、101)が、前記局所電流測定手段であることを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス測定装置。
【請求項3】
前記導電部(201)は、第1電極(211)と、第2電極(231)と、前記第1電極(211)および前記第2電極(231)とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する板状の抵抗体(221)とを備え、前記第1電極(211)がインピーダンス測定対象となる前記セル(10a)に電気的に接触しており、
前記電流測定手段は、前記抵抗体(221)の2点間の電位差を検出する電位差検出手段(101)と、前記電位差検出手段(101)によって検出された検出電位差および前記抵抗体(221)の電気抵抗値を用いて、前記セル(10a)の局所部位を流れる電流値を検出する電流値検出手段(51)とを備え、
前記ノイズ吸収部(400)は、前記第1電極(211)と前記抵抗体(221)との間、および、前記第2電極(231)と前記抵抗体(221)との間の少なくとも一方に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池のインピーダンス測定装置。
【請求項4】
前記ノイズ吸収部(400)は、容量素子(401)を有して構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料電池のインピーダンス測定装置。
【請求項5】
前記ノイズ吸収部(400)は、前記容量素子(401)を含む閉回路を有して構成されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池のインピーダンス測定装置。
【請求項1】
酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成された燃料電池(10)における前記セル(10a)のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置であって、
前記セル(10a)の局所部位を流れる電流値を測定する局所電流測定手段(51、101)と、
前記局所電流測定手段(51、101)に伝播するノイズを吸収するノイズ吸収部(400)とを備えることを特徴とする燃料電池のインピーダンス測定装置。
【請求項2】
インピーダンス測定対象となる前記セル(10a)に隣接して配置され、前記セル(10a)の局所部位に対応する部位に導電部(201)が形成された板状部材(200)と、
前記板状部材(200)の前記導電部(201)に流れる電流を検出する電流測定手段(51、101)と、
前記燃料電池(10)の出力電圧を検出する電圧検出手段(102)と、
前記電圧検出手段(102)の出力信号に周波数を変化させながら正弦波信号を印加する正弦波印加手段(13)と、
正弦波信号が印加された前記電圧検出手段(102)の出力信号からインピーダンスを演算するインピーダンス演算手段(51)とを備え、
前記電流測定手段(51、101)が、前記局所電流測定手段であることを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス測定装置。
【請求項3】
前記導電部(201)は、第1電極(211)と、第2電極(231)と、前記第1電極(211)および前記第2電極(231)とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する板状の抵抗体(221)とを備え、前記第1電極(211)がインピーダンス測定対象となる前記セル(10a)に電気的に接触しており、
前記電流測定手段は、前記抵抗体(221)の2点間の電位差を検出する電位差検出手段(101)と、前記電位差検出手段(101)によって検出された検出電位差および前記抵抗体(221)の電気抵抗値を用いて、前記セル(10a)の局所部位を流れる電流値を検出する電流値検出手段(51)とを備え、
前記ノイズ吸収部(400)は、前記第1電極(211)と前記抵抗体(221)との間、および、前記第2電極(231)と前記抵抗体(221)との間の少なくとも一方に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池のインピーダンス測定装置。
【請求項4】
前記ノイズ吸収部(400)は、容量素子(401)を有して構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料電池のインピーダンス測定装置。
【請求項5】
前記ノイズ吸収部(400)は、前記容量素子(401)を含む閉回路を有して構成されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池のインピーダンス測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−134076(P2012−134076A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286818(P2010−286818)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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