説明

燃料電池の冷却システム

【課題】燃料電池の高負荷運転時において、バイパス配管及びイオン交換器に流れる冷却液の流量を抑制して、熱交換器へ流れる冷却液の流量を適正化し、燃料電池を適正に冷却する燃料電池の冷却システムを提供する。
【解決手段】燃料電池の冷却システムの循環配管の途中に並列に接続されたバイパス配管17に直列に接続されたイオン交換器18の容器本体19の内部にフィルタ21,23を設け、樹脂収容室Rにイオン交換樹脂Eを移動可能に収容する。樹脂収容室Rの内部の取付座25,26に弾性変形可能な流量調節板27,28を取り付け、流量調節板27,28の間に冷却液が通過する通路Tを設ける。バイパス配管17から冷却液が上方に流動する流動圧力によって、前記流量調節板27,28が上方へ弾性変形され、燃料電池が高負荷で運転されて、冷却液の流速が速い時には流量調節板27,28の通路Tを減少させ、冷却液の流量を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の冷却システムに係り、詳しくは燃料電池の発電の際に発電セルから発生する熱を熱交換により吸熱して冷却するための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムにおいては、燃料電池内に多数枚積層された発電セルにより水素ガスと酸素ガスとが反応して発電が行われると、発電セルが熱を発生する。これを放置すると、発電セルが過熱されて発電不能となる。このため、燃料電池には発電時に発電セルを冷却するために、一般的に冷却液方式の冷却システムが備えられている。この冷却システムとして、特許文献1に開示されたものが提案されている。この冷却システムを図9に基づいて説明すると、燃料電池11には冷却液をポンプ13により循環させる循環配管12が接続されている。前記ポンプ13の上流側の循環配管12には、熱交換器14が接続されている。この熱交換器14はラジエータ15と、ラジエータ15に空気を吹き付けるための送風ファン16とにより構成されている。
【0003】
前記冷却液として水にエチレングリコール(不凍液)を含有したLLC(ロングライフクーラント)が用いられている。発電時に前記ポンプ13が駆動されて燃料電池11の内部に冷却液が供給されると、発電セルから生じる熱と、冷却液の熱との温度差により熱交換器14において熱交換されて、その冷却液により燃料電池11の発電セルが冷却される。このとき、冷却液の中に含まれるエチレングリコールが加熱分解されて、ギ酸が生成され、このギ酸によりマイナスのイオンが生成される。又、ギ酸により冷却液の循環通路の内面が腐蝕されると、プラスのイオンも生成される。このようにして、冷却液はマイナスのイオンとプラスのイオンが混在した不純物イオンを含有する。このイオンは電荷をもっているので、冷却液に含まれる不純物イオンの濃度が高くなるほど、冷却液の電気伝導度が高くなり、燃料電池11で発電された電気が冷却液を媒体として外部に漏洩する虞がある。
【0004】
上記の課題に対処するため、特許文献1においては、前記循環配管12に対し前記ポンプ13と並列にバイパス配管17が接続されている。このバイパス配管17には冷却液に含まれる不純物イオンを吸着除去するためのイオン交換器18が接続されている。このイオン交換器18の内部には、イオン交換樹脂として、マイナスのイオンを吸着する粒子状のアニオンタイプのものと、プラスのイオンを吸着する粒子状のカチオンタイプのものとが収容されている。そして、イオン交換樹脂により不純物イオンを吸着除去して冷却液の電気伝導度が高くならないようになっている。
【0005】
特許文献2にも上述した燃料電池用の冷却システムと同様の冷却システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−161117号公報
【特許文献2】特開2003−249249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の燃料電池11の冷却システムにおいては、低負荷運転時に、ポンプ13が低速で運転されて、循環配管12を流れる冷却液の流量も少ない状態となり、これに伴って、熱交換器14に流れる冷却液の流量及びイオン交換器18に流れる冷却液の流量も少ない状態となっている。このように冷却液の流量が少ない状態でもイオン交換器18内のイオン交換樹脂によるイオン交換に必要な冷却液の流量としては適正量となるようになっている。
【0008】
一方、燃料電池11の高負荷運転時においては、ポンプ13が高速で運転されて、冷却液の流量が増大し、熱交換器14及びイオン交換器18へ流れる冷却液の流量も増大する。しかし、圧力損失の高いイオン交換器18に対し冷却液の過剰な供給が行われることになるため、循環配管12全体の冷却液の循環流量が低減されて、結果的に熱交換器14へ流れる冷却液の流量が低減され、燃料電池11の冷却を適正に行うことができないという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、燃料電池の高負荷運転時において、バイパス配管及び圧力損失の高いイオン交換器に流れる冷却液の流量を抑制して、熱交換器へ流れる冷却液の流量を適正化し、燃料電池を適正に冷却することができるとともに、イオン交換器内に収容されたイオン交換樹脂の利用効率を向上することができる燃料電池の冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、燃料電池に冷却液の循環配管を接続し、該循環配管に冷却液を循環させるポンプを接続するとともに前記循環配管内の冷却液を冷却するための熱交換器を接続し、前記循環配管にバイパス配管を接続し、該バイパス配管に前記循環配管内の冷却液に含まれる不純物イオンを吸着除去するイオン交換器を接続した燃料電池の冷却システムにおいて、前記イオン交換器の容器に冷却液の流れる方向に関して、上流側のフィルタと下流側のフィルタを所定の間隔をおいて収容し、両フィルタの間に形成された樹脂収容室に粒状のイオン交換樹脂を移動可能に収容し、前記樹脂収容室に容器内を流れる冷却液の流量を調節する流量調節板を設け、燃料電池の高負荷運転時に、前記流量調節板により前記容器内を流れる冷却液の流量を低減するように構成したことを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記流量調節板は、弾性変形可能な板材によって形成され、冷却液の流量が増大すると、その冷却液の流れによって流量調節板が弾性変形されて、冷却液の通路断面積が低減されるように構成されていることを要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記流量調節板は、容器内の冷却液の温度が高くなると、その温度によって変形されて、冷却液の通路断面積が低減されるように構成されていることを要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1において、前記流量調節板は、循環配管内の冷却液の温度を検出するセンサからの信号によって位置の切換え制御が行われるように構成されていることを要旨とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1において、前記流量調節板は、循環配管内の冷却液の流量を検出するセンサからの信号によって位置の切換え制御が行われるように構成されていることを要旨とする。
【0015】
(作用)
この発明は、イオン交換器の容器の内部に上流側のフィルタと下流側のフィルタを収容し、両フィルタの間の樹脂収容室にイオン交換樹脂を移動可能に収容し、前記樹脂収容室に容器内を流れる冷却液の流量を調節する流量調節板を設けた。そして、燃料電池の高負荷運転時に、流量調節板によりイオン交換器内を流れる冷却液の流量を抑制するようにした。このため、循環配管から熱交換器へ流れる冷却液の流量が適正となり、熱交換器で冷却された冷却液により燃料電池が適正に冷却される。
【0016】
又、この発明はイオン交換器の容器の樹脂収容室内に前記流量調節板が収容されているので、該流量調節板の移動によってイオン交換樹脂が攪拌混合される。従って、多数のイオン交換樹脂が混ざり合い、粒状のイオン交換樹脂のイオン交換作用が均等に行われ、イオン交換樹脂が均等に消耗される。このため、イオン交換樹脂の利用効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、燃料電池の高負荷運転時において、バイパス配管及びイオン交換器に流れる冷却液の流量を抑制して、循環配管から熱交換器に流れる冷却液の流量を適正化し、この冷却液により燃料電池を適正に冷却することができるとともに、イオン交換器内に収容されたイオン交換樹脂の利用効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)はこの発明の燃料電池の冷却システムのイオン交換樹脂を収容したイオン交換器の低速運転状態の縦断面図、(b)はイオン交換器の高速運転状態の縦断面図。
【図2】イオン交換器の横断面図。
【図3】燃料電池の冷却システムを示す略体回路図。
【図4】この発明の別の実施形態を示すイオン交換器の縦断面図。
【図5】図4に示すイオン交換器の横断面図。
【図6】この発明の別の実施形態を示すイオン交換器の要部の拡大縦断面図。
【図7】この発明の別の実施形態を示すイオン交換器の縦断面図。
【図8】この発明の別の実施形態を示すイオン交換器の縦断面図。
【図9】従来の燃料電池の冷却システムを示す略体回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を電気自動車の燃料電池の冷却システムとして具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図3に示す燃料電池11の内部には図示しないが燃料極、酸化剤極及びそれらの両極間には、発電セルが多層に積層されて介在されている。前記燃料極側には、水素ガスを燃料として供給するための水素ガス供給系(図示略)が接続されている。前記酸化剤極側には、酸化剤として酸素ガスを含む空気を供給するための空気供給系(図示略)が接続されている。そして、燃料電池11内の各発電セルに供給された水素ガスと酸素ガスとが反応して発電が行われるようになっている。
【0020】
前記燃料電池11には発電が行われている状態で、該燃料電池11の発電セルの冷却を行うための冷却液を循環させる循環配管12が接続され、該循環配管12にはポンプ13が接続されている。この実施形態では、前記冷却液として水にエチレングリコールを含有したLLC(ロングライフクーラント)が用いられている。前記ポンプ13の上流側の循環配管12には、前記燃料電池11内で発電セルの冷却に用いられ、熱交換により加熱された高温の冷却液を冷却するための熱交換器14が接続されている。この熱交換器14は循環配管12に接続されたラジエータ15と、ラジエータ15に空気を吹き付けて高温の冷却液を冷却するための電動モータにより駆動される送風ファン16とにより構成されている。
【0021】
前記循環配管12に対し前記ポンプ13と並列にバイパス配管17が接続されている。このバイパス配管17には冷却液に含まれる不純物イオンを吸着除去するためのイオン交換器18が直列に接続されている。
【0022】
次に、前記イオン交換器18について説明する。
図1(a)に示すように、イオン交換器18の容器本体19の上端開口部には雄ネジ部19aが形成され、蓋体20の下端開口部内周面に形成された雌ネジ部20aに前記容器本体19の雄ネジ部19aが螺合されている。前記容器本体19の下端部には上流側の前記バイパス配管17を接続するための小径のジョイント部19bが一体に形成されている。前記蓋体20の上部中央には下流側の前記バイパス配管17を接続するための小径のジョイント部20bが一体に形成されている。前記容器本体19の下端部には冷却液の流路方向に関して上流側のフィルタ21が、その外周の取付リング22により取り付けられている。前記容器本体19の上端縁と蓋体20の内周に形成された段差部20cとの間には下流側のフィルタ23の外周縁が挟着固定されている。前記容器本体19の内周面と、前記フィルタ21,23とによってイオン交換樹脂Eを収容するための樹脂収容室Rが形成されている。前記両フィルタ21,23は、イオン交換樹脂Eの粒子径よりも小さい網目により形成され、粒子状のイオン交換樹脂Eが樹脂収容室Rから外部に流出しないようになっている。前記イオン交換樹脂Eとして、マイナスのイオンを吸着するアニオンタイプのものと、プラスのイオンを吸着するカチオンタイプのものとが混在するように収容されている。
【0023】
前記容器本体19の内周面には取付座25,26が図2に示すようにそれぞれ二箇所に溶接によって取り付けられている。前記二対の取付座25,26には弾性変形可能な金属製の板材よりなる流量調節板27,28がボルト29によって取り付けられている。前記流量調節板27,28の間には冷却液が流通可能な通路Tが形成されている。前記流量調節板27,28は図1(a)に示すように、円弧状に形成されている。樹脂収容室R内の冷却液の流動する速度が速くなると、図1(b)に示すように、流量調節板27,28が冷却液の高い流動圧力によって弾性変形されて、その先端縁が互いに接近する方向に弾性変形されて、前記通路Tが小さくなり冷却液の流量が低減されるようになっている。
【0024】
次に、前記のように構成した燃料電池11の冷却システムの動作について説明する。
制御コントローラ(図示略)からの起動信号及び各種の制御信号により燃料電池11が起動されると、燃料電池11に供給された水素ガスと酸素ガスが反応して発電が行われる。発電された直流電流は、インバータにより交流電流に変換され、電気自動車の走行用のモータの駆動に用いられる。
【0025】
一方、冷却システムのポンプ13が起動されると、循環配管12内の冷却液が図3の矢印方向に循環され、熱交換器14によって冷却された冷却液が燃料電池11内に供給され、燃料電池11の発電により生じた熱が冷却液により吸熱されて、燃料電池11が冷却される。吸熱して高温となった冷却液は再び熱交換器14により冷却されて、燃料電池11の冷却に再利用される。
【0026】
循環配管12内の冷却液は燃料電池11内の発電セルが発生する熱により加熱されることになるので、該冷却液に含まれるエチレングリコールが加熱分解されてプラス、マイナスの不純物イオンが生成される。この不純物イオンを含んだ冷却液の一部がバイパス配管17から図1(a),(b)に示すようにイオン交換器18の下部の入口から容器本体19内部に流入して、上方に流動し、上部の出口からバイパス配管17を通して循環配管12に導かれる。そして、イオン交換器18内のイオン交換樹脂E(アニオンタイプ及びカチオンタイプ)によりマイナス及びプラスの不純物イオンが除去される。
【0027】
上記実施形態の燃料電池の冷却システムによれば、以下のような効果を得ることができる。
上記実施形態の燃料電池の冷却システムによれば、以下のような効果を得ることができる。
【0028】
(1)上記実施形態では、前記イオン交換器18の容器本体19の内部に流量調節板27,28を装着し、イオン交換器18の内部を流れる冷却液の流速が速くなった場合に、冷却液の流動圧力によって流量調節板27,28が弾性変形し、両流量調節板27,28の間に形成された冷却液の通路Tが減少するように構成した。このため、燃料電池11の運転が高負荷で行われて前記循環配管12内を流れる冷却液の流速が速くなり、バイパス配管17に流れる冷却液の流速も速くなった場合に、前記流量調節板27,28によって冷却液の流量が減少する。従って、圧力損失が高いイオン交換器18には、冷却液が過剰に流れることはなく、循環配管12の冷却液の循環流量を適正化し、熱交換器14へ適量の冷却液を流すことができ、燃料電池11の冷却液による冷却を適正化することができる。
【0029】
(2)上記実施形態では、容器本体19内の樹脂収容室Rに収容されたイオン交換樹脂Eを流量調節板27,28の弾性変形動作によって、イオン交換樹脂Eが攪拌混合される。従って、イオン交換樹脂Eがイオン交換作用によって均等に消耗される。このため、イオン交換器18の交換時に、使用可能なイオン交換樹脂が残留したイオン交換器18を廃棄することはなく、イオン交換樹脂Eの利用効率を向上することができる。
【0030】
(3)上記実施形態では、イオン交換器18の容器本体19内に流量調節板27,28を配設する構成のため、構成が簡素化され、製造及び組付作業が容易となるばかりでなく、故障が少ないので、耐久性を向上することができる。
【0031】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 図4及び図5に示すように、前記容器本体19の内部に設けられた取付座25,26に対しバイメタルよりなる流量調節板31,32をボルト29によって取り付ける。前記流量調節板31,32は線膨張係数が小さい板33と、線膨張係数が大きい板34とが重ねられた状態で固定されている。前記流量調節板31,32は、前記バイパス配管17及びイオン交換器18内を流れる冷却液の温度によって、実線で示す湾曲状態又は二点鎖線で示す直線状態に変形するようにしている。そして、冷却液の温度が高くなる燃料電池11の高負荷運転時に、流量調節板31,32によって前記通路Tが狭くなり、冷却液の温度が低下する低負荷運転時に通路Tが広くなるように構成されている。
【0032】
この実施形態においても、前述した本実施形態の冷却システムの効果(1)〜(3)と同様の効果がある。
・ 図6に示すように、図4に示す前記流量調節板31,32の配置構造を上下逆にしてもよい。
【0033】
・ 図7に示すように、前記取付座25,26を互いに接近させて、流量調節板27,28を容器本体19の内面と対向させ、通路Tを二箇所に形成してもよい。
・ 図8に示すように、前記容器本体19に対し回転軸41を介して流量調節板42を往復回動可能に支持する。又、容器本体19の外面に前記回転軸41及び流量調節板42を回転する正逆回転可能なモータ43を取り付ける。さらに、循環配管12に対し、該循環配管12内の冷却液の温度を検出するセンサ44を設ける。該センサ44からの検出信号によってモータ43を回転するように構成する。そして、冷却液の温度が高い燃料電池11の高負荷運転時に、センサ44からの温度の検出信号によりモータ43が起動されて、前記流量調節板42を通路Tが狭くなる鎖線で示す位置に変位させる。反対に、冷却液の温度が低い低負荷運転時に、センサ44からの温度の検出信号によりモータ43が起動されて、前記流量調節板42を通路Tが広くなる実線で示す位置に変位させるようにしてもよい。
【0034】
・ 図示しないが、図8に示す前記流量調節板42を、循環配管12内の冷却液の流量を検出する流量センサからの信号によってモータ43により位置の切換え制御が行われるようにする。そして、冷却液の流量が多い燃料電池11の高負荷運転時に、流量センサからの検出信号によってモータ43を起動させ、前記流量調節板42を通路Tが狭くなる位置に変位させる。反対に、冷却液の流量が少ない低負荷運転時に流量センサからの検出信号によってモータ43を起動させ、前記流量調節板42を通路Tが広くなる実線位置に変位させるようにしてもよい。
【0035】
・ 前記モータ43に代えて、電磁ソレノイド、シリンダ等のアクチュエータを用いてもよい。
・ 前記実施形態では、図3に示すように、前記循環配管12に対し熱交換器14と並列に前記バイパス配管17及びイオン交換器18を接続した。これに代えて、前記循環配管12に対し、前記ポンプ13と並列にバイパス配管17及びイオン交換器18を接続するようにしてもよい。
【0036】
この実施形態においても、燃料電池11の高負荷運転時に、圧力損失の高いイオン交換器18には冷却液が過剰に供給されることは無いので、循環配管12及び熱交換器14を流れる冷却液の循環流量が低減されることなく適正に保持され、冷却液による燃料電池11の冷却を適正に行うことができる。
【0037】
・ 前記実施形態では、本発明を電気自動車の燃料電池システムに具体化したが、生産工場、一般家庭の発電用の燃料電池システムの冷却システムに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0038】
E…イオン交換樹脂、R…樹脂収容室、11…燃料電池、12…循環配管、13…ポンプ、14…熱交換器、17…バイパス配管、18…イオン交換器、21,23…フィルタ、27,28,31,32,42…流量調節板、44…センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池に冷却液の循環配管を接続し、該循環配管に冷却液を循環させるポンプを接続するとともに前記循環配管内の冷却液を冷却するための熱交換器を接続し、前記循環配管にバイパス配管を接続し、該バイパス配管に前記循環配管内の冷却液に含まれる不純物イオンを吸着除去するイオン交換器を接続した燃料電池の冷却システムにおいて、
前記イオン交換器の容器に冷却液の流れる方向に関して、上流側のフィルタと下流側のフィルタを所定の間隔をおいて収容し、両フィルタの間に形成された樹脂収容室に粒状のイオン交換樹脂を移動可能に収容し、前記樹脂収容室に容器内を流れる冷却液の流量を調節する流量調節板を設け、燃料電池の高負荷運転時に、前記流量調節板により前記容器内を流れる冷却液の流量を低減するように構成したことを特徴とする燃料電池の冷却システム。
【請求項2】
請求項1において、前記流量調節板は、弾性変形可能な板材によって形成され、冷却液の流量が増大すると、その冷却液の流れによって流量調節板が弾性変形されて、冷却液の通路断面積が低減されるように構成されていることを特徴とする燃料電池の冷却システム。
【請求項3】
請求項1において、前記流量調節板は、容器内の冷却液の温度が高くなると、その温度によって変形されて、冷却液の通路断面積が低減されるように構成されていることを特徴とする燃料電池の冷却システム。
【請求項4】
請求項1において、前記流量調節板は、循環配管内の冷却液の温度を検出するセンサからの信号によって位置の切換え制御が行われるように構成されていることを特徴とする燃料電池の冷却システム。
【請求項5】
請求項1において、前記流量調節板は、循環配管内の冷却液の流量を検出するセンサからの信号によって位置の切換え制御が行われるように構成されていることを特徴とする燃料電池の冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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