説明

燃料電池の排熱を有効に利用することができる燃料電池排熱利用システム、および建物

【課題】 燃料電池の排熱から更に電力を得ることができる燃料電池排熱利用システム、および建物を提供する。
【解決手段】 本発明における燃料電池排熱利用システムは、燃料電池と、水道管から供給される冷水を蓄える冷水タンクと、冷水タンクから冷水を供給する冷水配管と、燃料電池が生成する熱量と、冷水タンクに蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行う温度差発電装置とを備える。この場合、燃料電池が生成した温水を蓄える温水タンクを更に備えており、温度差発電装置は、温水タンクに蓄えられた温水と、冷水タンクに蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の排熱を有効に利用することができる燃料電池排熱利用システム、および建物に関する。特に本発明は、燃料電池の排熱から更に電力を得ることができる燃料電池排熱利用システム、および建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における電力系統の補助電源として燃料電池等が考えられている。燃料電池は、発電に伴い熱を生じるので、生じた熱から温水を生成し、生成した温水を建物で利用するシステムが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】石井弘毅著、燃料電池開発情報センター監修、「燃料電池がわかる本」、第1版、株式会社オーム社、平成13年9月25日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、燃料電池の排熱によって温水が余分に生じた場合、余った温水は、建物で利用されずに捨てられている。このように燃料電池の排熱は、必ずしも有効には活用されていないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明の第一の形態における燃料電池排熱利用システムは、燃料電池と、水道管から供給される冷水を蓄える冷水タンクと、冷水タンクから冷水を供給する冷水配管と、燃料電池が生成する熱量と、冷水タンクに蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行う温度差発電装置とを備えた。これにより、燃料電池の排熱から更に電力を得ることができ、燃料電池の排熱を有効に利用することができる。
【0006】
冷水タンクは、上方で冷水配管に接続されていてもよい。これにより、温度差発電装置によって温められた、冷水タンクの上部の水を、冷水タンクから排出することができる。
【0007】
冷水タンクは、下方で水道管に接続されていてもよい。これにより、より冷たい水を、冷水タンクの下部に貯めることができる。
【0008】
冷水タンクは、冷水配管および水道管の双方に対して開放されていてもよい。これにより、冷水配管の水は、水道管の圧力により加圧されるので、建物の利用者は、蛇口をひねるだけで、冷水を得ることができる。
【0009】
燃料電池が生成した温水を蓄える温水タンクと、温水タンクから家庭に温水を供給する温水配管とを更に備え、温度差発電装置は、温水タンクに蓄えられた温水と、冷水タンクに蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行ってもよい。これにより、燃料電池の排熱から生成された温水を利用して、更に電力を得ることができる。
【0010】
冷水タンクの上方が温水タンクの下方と接続されていてもよい。これにより温度差発電装置の発電によって温められた水を、冷水から温水タンクへ逃がすことができる。
【0011】
温水タンクは冷水タンクに対して開放されていてもよい。これにより、温水タンクは冷水タンクの圧力により加圧されるので、建物の利用者は、蛇口をひねるだけで、温水を得ることができる。
【0012】
温水タンクは、冷水タンクの上に冷水タンクと一体に設けられており、冷水配管は、水道管よりも上方で、温水配管よりも下方において冷水タンクに接続されていてもよい。これにより、温水の量が多い場合には、冷水タンクへ温水を貯めることができ、冷水の量が多い場合には、温水タンクへ冷水を貯めることができる。
【0013】
本発明の第二の形態における建物は、燃料電池と、水道管から供給される冷水を蓄える冷水タンクと、冷水タンクから冷水を供給する冷水配管と、燃料電池が生成する熱量と、冷水タンクに蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行う温度差発電装置とを備えた。
【0014】
本形態における建物は、燃料電池が生成した温水を蓄える温水タンクと、温水タンクから家庭に温水を供給する温水配管とを更に備え、温度差発電装置は、温水タンクに蓄えられた温水と、冷水タンクに蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行ってもよい。
【0015】
温水タンクは、冷水タンクの上に冷水タンクと一体に設けられており、冷水配管は、水道管よりも上方で、温水配管よりも下方において冷水タンクに接続されていてもよい。
【0016】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求にかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の開発手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池排熱利用システム100を備えた建物800を示す。燃料電池排熱利用システム100は、燃料電池40、冷水タンク42、温水タンク44、温度差発電装置46、水道管48、冷水配管50、温水配管52、制御部54、2つの温度センサ56、58、および燃料電池冷却用ポンプ60を有する。
【0019】
燃料電池40は、例えば固体高分子型の燃料電池であり、電力を生成すると共に、熱を発生する。本例の燃料電池40は、例えば、建物800へ供給される都市ガスやプロパンガスを改質して、燃料となる水素ガスを生成するものであってよく、また外部から供給される水素ガスを燃料とするものであってもよい。
【0020】
水道管48は冷水タンク42に接続されており、冷水タンク42は、水道管48から供給される冷水を蓄える。本実施形態においては、温水タンク44は、冷水タンク42の上に一体に設けられており、この場合、冷水タンク42の上方は温水タンク44の下方と、接続配管51によって接続されている。これにより、温水タンク44は冷水タンク42に対して開放されている。そして、温水タンク44には、接続配管51を介して、冷水タンク42から水が供給される。尚、他の形態としては、冷水タンク42と温水タンク44とは、物理的に離れて設置され、接続配管51によって接続されていてもよい。
【0021】
ここで、温水タンク44は、燃料電池40が生成した温水を蓄える。この場合、燃料電池冷却用ポンプ60は、燃料電池40および温水タンク44のそれぞれの内部に、例えば水などの冷媒を循環させることにより、燃料電池40で発生した熱を温水タンク44へ排出する。この場合、燃料電池40の排熱は、温水タンク44の上方へ排出される。このように、本例においては、冷水タンク42の下方から、水道管48によって水道水が供給され、温水タンク44の上方において温水が生成されるので、冷水タンク42には冷水が蓄えられ、温水タンク44には、冷水タンク42に貯えられた冷水よりも温かい温水が蓄えられる。
【0022】
本例の温度差発電装置46は、温水タンク44に蓄えられた温水と、冷水タンク42に蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行う。本例の温度差発電装置46は、2つの蒸発器62、64、凝縮器66、作動媒体循環用ポンプ68、作動媒体用配管70、タービン72および発電機76を含む。作動媒体用配管70は、凝縮器66、作動媒体循環用ポンプ68、2つの蒸発器64、62、およびタービン72のそれぞれを、この順番に直列に接続する。そして凝縮器66には、例えばアルコールやアンモニア等を含む作動媒体が予め含まれており、作動媒体循環用ポンプ68は、この作動媒体を、凝縮器66、蒸発器64、62、およびタービン72の順に、循環させる。
【0023】
本例の凝縮器66は、冷水タンク42の内部に配置される。そして、作動媒体循環用ポンプ68は、液化した作動媒体を蒸発器64へ送出する。蒸発器64は、温水タンク44の内部に配置される。蒸発器64は温水タンク44の内部に蓄えられた温水を用いて、液化した作動媒体を、蒸発させる。また本例においては、蒸発器62は、燃料電池冷却用ポンプ60が循環させる冷媒の方向に沿って、燃料電池40よりも下流であって、かつ温水タンク44の上流に配置される。ここで蒸発器62は、燃料電池40からの排熱により温度の上昇した、燃料電池40と温水タンク44との間で排熱の交換を行うための冷媒を用いて、液化した作動媒体を蒸発させる。
【0024】
作動媒体用配管70は、蒸発器62および蒸発器64において蒸発した作動媒体をタービン72へ供給する。タービン72は発電機76と接続されており、発電機76は、電力を発生させる。ここで、蒸発した作動媒体は、作動媒体用配管70によって凝縮器66へ送られる。すると、凝縮器66は、冷水タンク42の内部に蓄えられた冷水を用いて、蒸発した作動媒体を凝縮する。このように、本例の温度差発電装置46は、燃料電池40の排熱から生成された温水を利用して、更に電力を得ることができる。
【0025】
ここで凝縮器66は、蒸発した作動媒体を凝縮した場合に、冷水タンクの冷水の温度を上昇させる。この場合、温度差発電装置46によって温められた水は、冷水タンクの上方へ貯えられる。ここで、本発明の冷水タンク42は、上方で冷水配管50に接続されており、冷水配管50は、冷水タンク42から冷水を家庭へ供給する。これにより、冷水配管50は、温められた冷水を、冷水タンク42から排出することができる。また、冷水タンク42は、下方で水道管48に接続されている。これにより、冷水タンク42はより冷たい水を、冷水タンク42の下部に貯めることができる。本例において、冷水タンク42は、冷水配管50および水道管48の双方に対して開放されている。これにより、冷水配管50の水は、水道管48の圧力により加圧されるので、建物800の利用者は、蛇口をひねるだけで、冷水を得ることができる。
【0026】
また、温水配管52は、温水タンク44に接続される。この場合、冷水配管50は、水道管48よりも上方で、温水配管52よりも下方において冷水タンク42に接続されている。そして、温水配管52は、温水タンク44から家庭に温水を供給する。この場合、温水タンク44は冷水タンク42に対して開放されているので、温水タンク44は冷水タンク42の圧力により加圧される。これにより、建物800の利用者は、蛇口をひねるだけで、温水を得ることができる。また、温水の量が多い場合には、冷水タンク42へ温水を貯めることができ、冷水の量が多い場合には、温水タンク44へ冷水を貯めることができる。また本例において、冷水タンク42の上方は温水タンク44の下方と接続されているので、温度差発電装置46の発電によって温められた水を、冷水タンク42から温水タンク44へ逃がすことができる。
【0027】
尚、本例において作動媒体は、冷水タンク42における冷水の温度よりも高い温度で凝縮し、温水タンク44における温水の温度よりも低い温度で蒸発するような媒体が用いられる。例えば、燃料電池40に固体高分子型の燃料電池を用いた場合、温水タンク44の温水の温度は60℃から80℃程度であり、冷水タンク42の冷水の温度は、水道水の温度、例えば5℃から25℃程度であるので、沸点が25℃から60℃の間にある媒体が作動媒体として用いられてよい。
【0028】
そして、温度差発電装置46を用いて発電を行う場合、蒸発器64における温水の温度は、作動媒体の沸点よりも高い温度であって、かつ、凝縮器66の冷水の温度は、作動媒体の沸点よりも低い温度であることが必要である。そこで、本例の温度センサ56は、冷水タンク42に蓄えられた冷水の温度を検出し、温度センサ58は、温水タンク44に蓄えられた温水の温度を検出する。制御部54は、冷水タンク42に蓄えられた冷水の温度と、温水タンク44に蓄えられた温水の温度に基づいて、燃料電池40および温度差発電装置46の運転を制御する。本例では、温水タンク44における温水の温度が、作動媒体の沸点よりも所定値以上高く、かつ冷水タンク42における冷水の温度が、作動媒体の沸点よりも所定値以上低い場合に、温度差を利用して発電を行う。尚、制御の詳細については、次の図2で説明する。
【0029】
図2は、燃料電池排熱利用システム100の動作の一例を示す状態図である。ここで、現在の家庭の消費電力Pが、燃料電池40が発電することのできる最大の電力値Pよりも大きく、温水タンク44の温度Taが、作動媒体の沸点よりも所定の温度だけ高い温度T以上であって、かつ、冷水タンク42の温度Tbが、作動媒体の沸点よりも所定の温度だけ低い温度T以下である場合には、制御部54は、燃料電池40および温度差発電装置46の両者の運転を行う。ここで、所定の温度とは、例えば10℃であってよい。これにより本発明の建物800は、燃料電池40のみを運転した場合に比べて、より大きな電力を得ることができる。
【0030】
また、現在の家庭の消費電力Pが、温度差発電装置46が発電することのできる最大の電力Pよりも大きく、P以下である場合、制御部54は、温水タンク44の温度Taおよび、冷水タンク42の温度Tbに関わらず、温度差発電装置46による発電は行わずに、燃料電池40で発電を行う。また、温水タンク44の温度Taが、Tよりも低いか、或いは、冷水タンク42の温度TbがTよりも高い場合には、家庭の電力の需要がある場合には、制御部54は、温度差発電装置46による発電は行わずに、燃料電池40で発電を行う。この場合、例えば、家庭の消費電力PがPよりも大きい場合には、水道管48は、燃料電池40で不足した分の電力として、外部の商用電力を家庭へ供給させる。
【0031】
消費電力Pが、P以下であり、温水タンク44の温度Taが、T以上であって、かつ、冷水タンク42の温度TbがT以下である場合には、制御部54は、温度差発電装置46のみで発電を行う。これにより、燃料電池40における原燃料の消費を抑えることができる。そして、電力の需要が無い場合には、燃料電池40および温度差発電装置46のいずれにおいても発電を行わない。
【0032】
尚、本例において、燃料電池40を動作させている場合には、蒸発器62の温度は、常にTよりも高い。従って、例えば消費電力PがPよりも大きく、冷水タンク42の温度TbがTよりも低い場合に、温水タンク44の温水の温度がTよりも低くても、蒸発器62は作動媒体を気化することができるので、制御部54は温度差発電装置46の運転を開始することができる。このように、本発明の燃料電池排熱利用システム100は、燃料電池40の排熱から更に電力を得ることができるので、燃料電池40の排熱を有効に利用することができる。
【0033】
尚、他の例において温度差発電装置46は、作動媒体を減圧する減圧手段を更に有しても良い。この場合、減圧手段は、例えば蒸発器62とタービン72との間に設けられ、温水タンク44の温水により暖められた作動媒体を減圧することにより、作動媒体を蒸発させる。ここで、蒸発器62および64は、例えば、作動媒体を液体の状態のままで加圧および加熱し、減圧手段は、作動媒体を加圧された圧力よりも低い圧力に減圧してよい。これにより、蒸気となった作動媒体、或いは、蒸気と液体の混合体となった作動媒体がタービン72へ供給され、発電機76は電力を得ることができる。尚、減圧手段は、例えば減圧弁であってよい。
【0034】
また、本例の燃料電池排熱利用システム100は、作動媒体を用いてタービン72を動作させることで発電を行ったが、他の例においては、熱電素子を用いることにより発電を行ってもよい。この場合、温度差発電装置46は、タービン72、発電機76、2つの蒸発器62、64、凝縮器66、作動媒体用配管70、作動媒体循環用ポンプ68に代えて、熱電素子を有する。ここで、本例の熱電素子は、異なる2種類の金属が一端で結合され、結合されていない各他端には、起電力を取り出す為の端子がそれぞれ接続されている。結合部および各他端は、冷水タンク42および温水タンク44へそれぞれ設置される。ここで、冷水タンク42の冷水および温水タンク44の温水により、結合部と各他端との間には温度差が生じるので、これにより熱電素子は温度差に応じた起電力を発生させる。発生した起電力は、各他端に接続された端子により外部へ取り出され、適切な変圧を行われた後、家庭へ供給される。このように本例の燃料電池排熱利用システム100は、熱電素子を用いて電力を得ることができる。
【0035】
尚、熱電素子は温度差が大きい場合により大きな起電力を発生させるので、熱電素子の結合部および各他端のそれぞれは、温度差が大きな箇所に設けられることが好ましい。例えば熱電素子の結合部および各他端のそれぞれは、冷水タンク42の下方、および温水タンク44の上方にそれぞれ設けられてよい。これにより、熱電素子はより大きな電力を得ることができる。尚、結合部および各他端のそれぞれは、生じる起電力の方向によって、適宜、冷水タンク42または温水タンク44のいずれかに設けられてよい。このように、熱電素子を用いることにより、燃料電池排熱利用システム100は、より簡易な構成の温度差発電装置46を用いて電力を得ることができる。
【0036】
図3は、本発明の他の実施形態に係る燃料電池排熱利用システム105を備えた建物800を示す。燃料電池排熱利用システム105は、燃料電池40、貯湯タンク67、冷水配管50、温水配管52、水道管48、制御部54、2つの温度センサ57、59、および温度差発電装置80を有する。温度差発電装置80は、作動媒体循環用ポンプ69、蒸発器64、作動媒体用配管70、タービン72、発電機76、および凝縮器66を含む。尚、図3において、図1と同じ符号を付した構成は、図1における構成と同一又は同様の機能を有するので、説明を省略する。
【0037】
温度差発電装置80が有する作動媒体用配管70は、蒸発器64、タービン72、凝縮器66、および作動媒体循環用ポンプ69と、この順に直列に接続される。ここで、蒸発器64は燃料電池40の内部に配置され、凝縮器66は貯湯タンク67の内部に配置される。作動媒体用配管70は、内部に作動媒体を有しており、作動媒体循環用ポンプ69は、作動媒体用配管70の内部に含まれる作動媒体を、凝縮器66、作動媒体循環用ポンプ68、蒸発器64、蒸発器62、およびタービン72に循環させる。
【0038】
本例の凝縮器66は、貯湯タンク67の内部に配置されている。これにより凝縮器66は、貯湯タンク67の内部に蓄えられた水を用いて、蒸発した作動媒体を凝縮する。この場合、凝縮器66は、貯湯タンク67の上部から下部へ向かって作動媒体が循環するように、貯湯タンク67の内部に配置される。貯湯タンク67の上部には、より温かい温水が貯えられ、貯湯タンク67の下部には、より冷たい水が貯えられているので、蒸発した作動媒体を効率よく凝縮することができる。作動媒体循環用ポンプ69は、液体の作動媒体を蒸発器64へ送出する。
【0039】
蒸発器64は、燃料電池40の内部に配置される。蒸発器64は燃料電池40の排熱を用いて、凝縮した作動媒体を蒸発させる。作動媒体用配管70は、蒸発した作動媒体をタービン72へ供給する。気化した作動媒体は、作動媒体用配管70によって凝縮器66へ送られ、再び、貯湯タンク67の水により凝縮される。このように本発明の温度差発電装置80は、燃料電池40と貯湯タンク67との温度差を用いて発電を行うと共に、燃料電池40で生じた熱を、貯湯タンク67へ排出する。
【0040】
尚、貯湯タンク67は、上部で温水配管52と接続され、下部で冷水配管50および水道管48と接続されている。ここで、水道管48は、冷水配管50よりも更に下部で、貯湯タンク67と接続される。この場合、貯湯タンク67は、貯湯タンク67の下部から貯湯タンク67の上部へ向かって、より高い温度の水を貯えている。温水配管52、冷水配管50および水道管48は、この順番で、貯湯タンク67の上部から下部へ配置されているので、温水配管52は、温水を利用者へ提供することができ、また冷水配管50は、温水配管52が供給する温水よりも冷たい水を利用者へ提供することができる。
【0041】
温度センサ57は、貯湯タンク67の冷水の温度を測定し、温度センサ59は、燃料電池40の内部の温度を測定する。制御部54は、貯湯タンク67に蓄えられた水の温度と、燃料電池40の内部の温度に基づいて、燃料電池40および温度差発電装置80の運転を制御する。尚、制御の詳細は、図4で説明する。
【0042】
図4は、燃料電池排熱利用システム105の動作の一例を示す状態図である。本例の制御部54は、貯湯タンク67の温度Tdに基づいて、貯湯タンク67の熱量を算出する。一例として、制御部54は、貯湯タンク67の温度Tdから水道管48によって給水される温度を減じた値に、貯湯された水量を乗じることにより、制御部54の熱量を算出する。また、制御部54は、貯湯タンク67の熱量の基準値Qを予め有する。尚、熱量の基準値Qとは、燃料電池40の排熱を温水として貯湯タンク67に貯えることのできる最大の熱量であってもよいし、燃料電池40の排熱を温水として貯湯タンク67に貯えることのできる最大の熱量から、所定の割合の熱量だけ減じた熱量であってもよい。
【0043】
ここで、現在の家庭の消費電力Pが、燃料電池40が発電することのできる最大の電力Pよりも大きく、かつ貯湯タンク67の熱量QがQよりも小さい場合であって、かつ、燃料電池40の温度Tcが、作動媒体の沸点よりも所定の温度だけ高い温度T以上であって、かつ貯湯タンク67の温度Tdが、作動媒体の沸点よりも所定の温度だけ低い温度T以下である場合には、制御部54は、燃料電池40および温度差発電装置80によって発電を行う。
【0044】
また、消費電力PがP以下であり、かつ貯湯タンク67の熱量QがQよりも小さい場合には、燃料電池40の温度Tcおよび貯湯タンク67の温度Tdに関わらず、制御部54は、温度差発電装置80の発電を停止し、燃料電池40で発電を行わせる。
【0045】
或いは、貯湯タンク67の熱量QがQよりも小さい場合であって、かつ、燃料電池40の温度TcがTよりも低いか、又は、貯湯タンク67の温度TdがTよりも高い場合には、制御部54は、作動媒体用配管70の発電を停止し、燃料電池40で発電を行わせる。尚、本例において温度差発電装置80の発電を停止する場合、制御部54は、発電機76による発電を停止させるが、作動媒体循環用ポンプ69による作動媒体の循環は停止させない。本例において、温度Tは、作動媒体の沸点よりも10℃高く、温度Tは作動媒体の沸点よりも10℃低いので、温度差発電装置80が温度差を用いた発電ができない場合であっても、燃料電池排熱利用システム105は、作動媒体用配管70の内部の作動媒体を循環させることにより、燃料電池40による発電を続けることができる。
【0046】
そして、貯湯タンク67の熱量QがQよりも大きい場合いは、制御部54は、燃料電池40および温度差発電装置80の発電を停止させる。このように、本発明の燃料電池排熱利用システム105は、燃料電池40の排熱を利用することにより、更に電力を得ることができる。そして、電力の需要が無い場合には、燃料電池40および温度差発電装置80のいずれにおいても発電を行わない。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることができることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池排熱利用システム100を備えた建物800を示す。
【図2】燃料電池排熱利用システム100の動作の一例を示す状態図である。
【図3】発明の他の実施形態に係る燃料電池排熱利用システム105を備えた建物800を示す
【図4】燃料電池排熱利用システム105の動作の一例を示す状態図である。
【符号の説明】
【0049】
40・・・燃料電池、42・・・冷水タンク、44・・・温水タンク、46・・・温度差発電装置、48・・・水道管、50・・・冷水配管、51・・・接続配管、52・・・温水配管、54・・・制御部、56、57、58、59・・・温度センサ、60・・・燃料電池冷却用ポンプ、62・・・蒸発器、64・・・蒸発器、66・・・凝縮器、67・・・貯湯タンク、68、69・・・作動媒体循環用ポンプ、70・・・作動媒体用配管、72・・・タービン、76・・・発電機、80・・・温度差発電装置、100、105燃料電池排熱利用システム、800・・・建物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
水道管から供給される冷水を蓄える冷水タンクと、
前記冷水タンクから冷水を供給する冷水配管と、
前記燃料電池が生成する熱量と、前記冷水タンクに蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行う温度差発電装置と
を備える燃料電池排熱利用システム。
【請求項2】
前記冷水タンクは、上方で前記冷水配管に接続されている請求項1に記載の燃料電池排熱利用システム。
【請求項3】
前記冷水タンクは、下方で前記水道管に接続されている請求項2に記載の燃料電池排熱利用システム。
【請求項4】
前記冷水タンクは、前記冷水配管および前記水道管の双方に対して開放されている請求項3に記載の燃料電池排熱利用システム。
【請求項5】
前記燃料電池が生成した温水を蓄える温水タンクと、
前記温水タンクから家庭に温水を供給する温水配管と、
を更に備え、
前記温度差発電装置は、前記温水タンクに蓄えられた温水と、前記冷水タンクに蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行う請求項4に記載の燃料電池排熱利用システム。
【請求項6】
前記冷水タンクの上方が前記温水タンクの下方と接続されている請求項5に記載の燃料電池排熱利用システム。
【請求項7】
前記温水タンクは前記冷水タンクに対して開放されている請求項6に記載の燃料電池排熱利用システム。
【請求項8】
前記温水タンクは、前記冷水タンクの上に前記冷水タンクと一体に設けられており、
前記冷水配管は、前記水道管よりも上方で、前記温水配管よりも下方において前記冷水タンクに接続されている請求項7に記載の燃料電池排熱利用システム。
【請求項9】
燃料電池と、
水道管から供給される冷水を蓄える冷水タンクと、
前記冷水タンクから冷水を供給する冷水配管と、
前記燃料電池が生成する熱量と、前記冷水タンクに蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行う温度差発電装置と
を備える建物。
【請求項10】
前記燃料電池が生成した温水を蓄える温水タンクと、
前記温水タンクから家庭に温水を供給する温水配管と、
を更に備え、
前記温度差発電装置は、前記温水タンクに蓄えられた温水と、前記冷水タンクに蓄えられた冷水との温度差を利用して発電を行う請求項9に記載の建物。
【請求項11】
前記温水タンクは、前記冷水タンクの上に前記冷水タンクと一体に設けられており、
前記冷水配管は、前記水道管よりも上方で、前記温水配管よりも下方において前記冷水タンクに接続されている請求項10に記載の建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−12739(P2006−12739A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192190(P2004−192190)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000236333)シナネン株式会社 (12)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】