説明

燃料電池の梱包運搬装置

【課題】本発明は燃料電池の梱包運搬装置に関し、例えば電気自動車、ハイブリッドカーのバッテリーや、太陽光発電の電力貯蔵や深夜電力貯蔵を目的とした家庭用分散型の蓄電システムに使用され、重量が大きな燃料電池の梱包運搬を簡単にかつ安全に行える。
【解決手段】金属板よりなる外函本体1と、開口部2の上部に固着手段3にて着脱可能に固着される支持蓋機構部4とを有し、支持蓋機構部が、縦棧5,5と、燃料電池Bを上下方向Xに移動可能に縦棧間に設けた緩衝ブロック6と、緩衝ブロックの下部に設けた支承部材8と、で構成され、支承部材が、平面方向Y1に相対移動に枢支部7を介して支持され、外函本体内に、側部緩衝組立体9A,9B,9C,9D,9Eと、前部緩衝組立体10A,10B,10C,10Dと、後部緩衝組立体11A,11B,11C,11Dと、下部緩衝組立体12A,12B,12C,12D,12E,12Fと、が燃料電池に接触されるように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池の梱包運搬装置に関し、例えば電気自動車、ハイブリッドカーのバッテリーや、太陽光発電の電力貯蔵や深夜電力貯蔵を目的とした家庭用分散型の蓄電システムに使用される比較的大型であり、重量が大きな燃料電池の梱包運搬を簡単にかつ安全に行えるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電気自動車、ハイブリッドカーのバッテリー、太陽光発電の電力貯蔵や深夜電力貯蔵を目的とした家庭用分散型の蓄電システムには燃料電池が使用されている。この燃料電池としては、高電圧が得られることと、充放電時の内部抵抗が小さく、電力容量が大きなことから、例えば燃料として水素を用いて水素イオンを分離し透過するのに極薄の固体高分子電解質膜(イオン交換膜)を用いた固体高分子型の燃料電池、例えばリチウム電池が着目され、実用に供されている。この固体高分子型の燃料電池は、燃料ガスと空気ガスとを隔離する前記合成樹脂膜と、燃料ガス側に設けられる正極と、空気ガス側に設けられる負極と、前記燃料ガスと前記空気ガスとを供給するための連続溝が形成された前記合成樹脂膜の両側に設けられるセパレータと、によりセル単体が構成される。そして、正極では、燃料の水素と、負極から電解質中を移動してきた酸化物イオンと、が反応して水と電子を生ずる。また、負極では、酸素と、外部回路を通って移動してきた電子と、が反応し酸化物イオンを生ずるが、前記セル単体を、数百層に積層して直列に接続したものを、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板のような金属容器内に収納することにより、高電流を放電するようになっている。この燃料電池は、比較的大型であり、重量も200kg以上になり、大きいものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、燃料電池の固体高分子電解質膜(イオン交換膜)の両面に、触媒層や集電体とともに使用されるガス拡散層を構成するのに使用される炭素質繊維シートの損傷を抑制した状態で保管、輸送するための炭素質繊維シートの梱包材として、所定の長さを有する巻芯に、前記巻芯の当該長さと同等の幅または当該長さよりも短い幅からなる長尺の炭素質繊維シートを巻回させた巻装シートと、前記巻芯を支えることで前記巻装シートを支持する支持材と、前記支持材を両端に備えた巻装シートを梱包する箱材と、を備えたものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−243936号公報
【特許文献2】特開2004−59070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の燃料電池では、その重量が、主に鋼板、ステンレス板、アルミニウム板のような金属にて形成されている容器、また、前記容器内に収納されて数百層に積層されているセルにおける正極または負極が金属にて形成されたり、セパレータも腐食しにくい金属にて形成されていることもあって重量が、200kg以上と大きいので、運搬を行ったり、梱包を行うのに取扱い難く、容易には行えなかった。例えば、遠隔地や海外へ船舶を用いる等して運搬を行うことは未だ例を見なかった。
【0006】
また、上記燃料電池は、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突すると、容器自体が損傷を受けたり、凹み、破裂を生ずるばかりではなく、容器内に収納されているセルにおける正極や負極のような電極が損傷したり、変形を生じたり、また、セパレータや固体高分子電解質膜(イオン交換膜)に損傷や変形を生じ、ガスが供給される通路が塞がれたりすることによって、燃料ガスと空気ガスとを隔離するためのセパレータの本来の機能が失われる。このような燃料電池をそのまま使用し、高電圧を放電したり、充電を行えば、短絡事故を生じたり、または、ジュール熱を発生し、暴発事故にも繋がり、安全性に欠ける。
【0007】
また、燃料電池によっては、ポリエチレン等の低融点の高分子電解質膜を用いている場合には、機器の故障による誤作動や使用者側の誤作動によって過充電や短絡或いは高温環境下での放置といった状態になると、電解液を用いている燃料電池の場合には、電池内部が加熱されて電解液が分解されたり、蒸発することにより内部にガスが充満し、膨張することにより電池が液漏れしたり、暴発事故に繋がり、安全性に欠けていた。
【0008】
また、特許文献2に記載された炭素質繊維シートの梱包材では、本発明のように、重量が、200kg以上と大きい燃料電池の運搬、梱包を行うものではなく、構成が著しく異なることとなる。
【0009】
本発明は上記従来の問題点を解決するとともに、燃料電池の運搬と梱包とが取扱い易く、容易かつ確実に行え、しかも安全性が高い燃料電池の梱包運搬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明は、金属板で形成された外函本体と、前記外函本体に開設された開口部の上部に固着手段を介して着脱可能に固着される支持蓋機構部と、を有する燃料電池の梱包運搬装置であって、
(イ)前記支持蓋機構部が、平面視左右に対向して設けられた縦棧と、前記外函本体内に収容される燃料電池を上下方向に移動可能に前記縦棧間に設けられた緩衝ブロックと、前記緩衝ブロックの下部に設けられた支承部材と、で構成され、
(ロ)前記支承部材が、前記燃料電池の平面方向に相対移動させるように、枢支部を介して支持され、かつ
(ハ)前記外函本体内には、左右の内側面に設けられた側部緩衝組立体と、前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体および後部緩衝組立体と、底面に設けられた下部緩衝組立体と、が前記燃料電池に接触されるように設けられている、
ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記枢支部が、枢支軸によって構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記枢支部が、ユニバーサルジョイントによって構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1−3の何れかにおいて、前記緩衝ブロックが、前記縦棧に対して前後に対向して設けられた横梁部材の空洞部内に設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1または2,4の何れかにおいて、前記横梁部材の下部に設けた支枠部内に配挿される前後1対の支持脚が、前記枢支軸によって枢動可能に枢着され、前記支持脚の上端には緩衝ブロックに当接する受板部が設けられ、かつ、前記支持脚の下端には前記支承部材を固定する取付部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1または3において、前記縦棧に対して前後に対向して設けられた横梁部材の下部に設けた支枠部内に配挿される前後1対の支持脚が、前記ユニバーサルジョイントによって垂直軸周りに枢動可能に枢着され、前記支持脚の上端には前記緩衝ブロックに当接する受板部が設けられ、かつ、前記支持脚の下端には前記支承部材を固定する取付部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1−6の何れかにおいて、前記固着手段が、前記縦棧の何れか一方の外側に対向して延設される締結杆に設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項5または6において、前後の前記取付部の何れか一方には、前記支承部材にIボルトの先端部を枢着するように該Iボルトを挿入する係入溝が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項1において、前記側部緩衝組立体の左右の何れか一方が、外函本体の内側に設けられた複数個の緩衝部材と、前記緩衝部材相互に架設された規制板と、により構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項10に記載の発明は、請求項1または9において、前記外函本体内の前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体および後部緩衝組立体が、該外函本体の底面に前後方向に複数個設けられた下部緩衝組立体の前端および後端に設けられた緩衝部材と、前記緩衝部材に嵌着される金属製で断面コ字状のキャップ材と、前記キャップ材と前記燃料電池との間に介在される合成樹脂製の緩衝板と、により構成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項11に記載の発明は、請求項1,9,10の何れかにおいて、前記下部緩衝組立体が、緩衝部材と、前記緩衝部材の上面に設けられた金属性の重合板と、により構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、金属板で形成された外函本体と、前記外函本体に開設された開口部の上部に固着手段を介して着脱可能に固着される支持蓋機構部と、を有する燃料電池の梱包運搬装置であって、前記支持蓋機構部が、平面視左右に対向して設けられた縦棧と、前記外函本体内に収容される燃料電池を上下方向に移動可能に前記縦棧間に設けられた緩衝ブロックと、前記緩衝ブロックの下部に設けられた支承部材と、で構成され、前記支承部材が、前記燃料電池の平面方向に相対移動させるように、枢支部を介して支持され、かつ前記外函本体内には、左右の内側面に設けられた側部緩衝組立体と、前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体および後部緩衝組立体と、底面に設けられた下部緩衝組立体と、が前記燃料電池に接触されるように設けられているので、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池は、金属板で形成された外函本体内に収容されることにより、構造堅牢に保護されるため、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、燃料電池の容器の表面が損傷を受けたりすることなく、凹み、破裂を生ずるのが防止される。
【0022】
しかも、外函本体内には、左右の内側面に設けられた側部緩衝組立体と、前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体および後部緩衝組立体と、底面には下部緩衝組立体とが設けられているので、燃料電池の左右の外側面は前記側部緩衝組立体により支持され、燃料電池の前面は前部緩衝組立体により支持され、燃料電池の後面は後部緩衝組立体により支持され、燃料電池の下面は下部緩衝組立体により、それぞれ支持されることにより、緩衝作用が発揮されるため、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池は、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、燃料電池の容器の表面が損傷を受けたりすることなく、凹み、破裂を生ずるのが防止される。
【0023】
さらに、燃料電池は、燃料電池が上下方向に移動可能となす緩衝ブロックが縦棧間に設けられ、前記緩衝ブロックの下部には、外函本体に対して平面方向に相対移動可能に枢支部を介して燃料電池の上面を支持する支承部材が設けられているので、運搬中に外函本体毎落下したり、異物が大きな衝撃力にて外函本体に衝突した場合に、支承部材により上面が支持されている燃料電池は前記枢支部が枢動されることにより、外函本体に対して平面方向に内部で相対移動されて平面方向の衝撃力が緩和されるとともに、燃料電池は緩衝ブロックの緩衝により上下方向に移動されることによって上下方向の衝撃力が緩和される。
【0024】
従って、外函本体内に収納された燃料電池は、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、燃料電池は、その容器内に収納されているセルにおける正極や負極のような電極が損傷したり、変形を生ずることなく、また、セパレータや固体高分子電解質膜(イオン交換膜)に損傷や変形を生ずることなく、ガスが供給される通路が塞がったり、燃料ガスと空気ガスとを隔離するためのセパレータの本来の機能が失われることがない。そして、燃料電池は、高電圧を放電したり、充電が行われても、短絡事故を生ずることなく、しかも、ジュール熱は低いので、暴発することなく、安全性は高い。
【0025】
また、燃料電池によって、ポリエチレン等の低融点の高分子電解質膜を用いている場合に、機器の故障による誤作動や使用者側の誤作動によって過充電や短絡或いは高温環境下での放置といった状態になっても、電解液を用いている燃料電池の場合でも、電池内部が加熱されて電解液が分解されることはない。また、蒸発することにより内部にガスが充満することがないので、ガスの膨張により電池が液漏れしたり、暴発事故がなく、安全性は高い。
【0026】
このため、例えば、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池を遠隔地の運搬や海外へ船舶を用いる等して運搬を行ったり、梱包を行う場合に、取扱い易く、容易かつ確実に運搬や梱包が行え、しかも安全性が高い。そして、この安全基準として、国連勧告「危険物輸送に関する勧告モデル規則第II巻」に規定する安全基準を遵守し、適合するもので
ある。
【0027】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記枢支部が、枢支軸によって構成されているので、外函本体内に前述のように収納されている燃料電池は、運搬中に外函本体毎落下したり、異物が大きな衝撃力にて外函本体に衝突した場合に、支承部材により上面が支持されている燃料電池は前記枢支部が枢動することにより、外函本体に対して平面方向に内部で相対移動されて平面方向の衝撃力が緩和されるとともに、燃料電池は緩衝ブロックの緩衝により上下方向に移動されることによって上下方向の衝撃力が緩和される。
【0028】
従って、外函本体内に収納された燃料電池は、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、燃料電池は、その容器内に収納されているセルにおける正極や負極のような電極が損傷したり、変形を生ずることなく、また、セパレータや固体高分子電解質膜(イオン交換膜)に損傷や変形を生ずることなく、ガスが供給される通路が塞がったり、燃料ガスと空気ガスとを隔離するためのセパレータの本来の機能が失われることがない。そして、燃料電池は、高電圧を放電したり、充電が行われても、短絡事故を生ずることなく、しかも、ジュール熱は低いので、暴発することなく、安全性は高い。
【0029】
また、燃料電池によって、ポリエチレン等の低融点の高分子電解質膜を用いている場合に、機器の故障による誤作動や使用者側の誤作動によって過充電や短絡或いは高温環境下での放置といった状態になっても、電解液を用いている燃料電池の場合でも、電池内部が加熱されて電解液が分解されることはない。また、蒸発することにより内部にガスが充満することがないので、ガスの膨張により電池が液漏れたり、暴発事故がなく、安全性は高い。
【0030】
このため、例えば、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池を遠隔地の運搬や海外へ船舶を用いる等して運搬を行ったり、梱包を行う場合に、取扱い易く、容易かつ確実に運搬や梱包が行え、しかも安全性が高い。そして、この安全基準として、国連勧告「危険物輸送に関する勧告モデル規則第II巻」に規定する安全基準を遵守し、適合するもので
ある。
【0031】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項1において、前記枢支部が、ユニバーサルジョイントによって構成されているので、運搬中に外函本体毎落下したり、異物が大きな衝撃力にて外函本体に衝突した場合に、支承部材により上面が支持されている燃料電池は、前記ユニバーサルジョイントが垂直軸周りに枢動することにより、外函本体に対して平面方向に内部で相対移動されて平面方向の衝撃力が緩和されるとともに、燃料電池は緩衝ブロックの緩衝により上下方向に移動されることによって上下方向の衝撃力が緩和される。
【0032】
従って、外函本体内に収納された燃料電池は、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、その容器内に収納されているセルにおける正極や負極のような電極が損傷したり、変形を生ずることなく、また、セパレータや固体高分子電解質膜(イオン交換膜)に損傷や変形を生ずることなく、ガスが供給される通路が塞がったり、燃料ガスと空気ガスとを隔離するためのセパレータの本来の機能が失われることがない。そして、燃料電池は、高電圧を放電したり、充電が行われても、短絡事故を生ずることなく、しかも、ジュール熱は低いので、暴発することなく、安全性は高い。
【0033】
また、燃料電池によって、ポリエチレン等の低融点の高分子電解質膜を用いている場合に、機器の故障による誤作動や使用者側の誤作動によって過充電や短絡或いは高温環境下での放置といった状態になっても、電解液を用いている燃料電池の場合でも、電池内部が加熱されて電解液が分解されることはない。また、蒸発することにより内部にガスが充満することがないので、ガスの膨張により電池が液漏れたり、暴発事故がなく、安全性は高い。
【0034】
このため、例えば、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池を遠隔地の運搬や海外へ船舶を用いる等して運搬を行ったり、梱包を行う場合に、取扱い易く、容易かつ確実に運搬や梱包が行え、しかも安全性が高い。そして、この安全基準として、国連勧告「危険物輸送に関する勧告モデル規則第II巻」に規定する安全基準を遵守し、適合するもので
ある。
【0035】
また、本発明の請求項4に記載の発明によれば、請求項1−3の何れかにおいて、前記緩衝ブロックが、前記縦棧に対して前後に対向して設けられた横梁部材の空洞部内に設けられているので、緩衝ブロックを横梁部材の空洞部内に容易かつ確実に組込むことができる。そして、緩衝ブロックにより、外函本体内に収容される燃料電池を上下方向に移動可能に支承部材により支持することができるので、外函本体内に収納されている燃料電池は、運搬中に外函本体毎落下したり、異物が大きな衝撃力にて外函本体に衝突した場合に、支承部材により上面が支持されている燃料電池は緩衝ブロックの緩衝により上下方向に移動されることによって上下方向の衝撃力が緩和されるとともに、枢支部が枢動することにより、外函本体に対して平面方向に内部で相対移動されて平面方向の衝撃力が緩和される。従って、国連勧告「危険物輸送に関する勧告モデル規則第II巻」に規定する安全基準を遵守し、適合するものである。
【0036】
また、本発明の請求項5に記載の発明によれば、請求項1または2,4の何れかにおいて、前記横梁部材の下部に設けた支枠部内に配挿される前後1対の支持脚が、前記枢支軸によって枢動可能に枢着され、前記支持脚の上端には緩衝ブロックに当接する受板部が設けられ、かつ、前記支持脚の下端には前記支承部材を固定する取付部が設けられているので、運搬中に外函本体毎落下したり、異物が大きな衝撃力にて外函本体に衝突した場合に、支承部材により支持されている燃料電池は、横梁部材の支枠部内に枢支部としての枢支軸により枢着された前後1対の支持脚が枢動することにより、外函本体に対して平面方向に内部で相対移動されて平面方向の衝撃力が緩和されるとともに、燃料電池は平面視左右対向して設けられた縦棧に対して前後に対向して設けられる横梁部材の空洞部内に設けられる緩衝ブロックにより上下方向に移動することによって上下方向の衝撃力が緩和される。
【0037】
従って、外函本体内に収納された燃料電池は、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、燃料電池は、その容器内に収納されているセルにおける正極や負極のような電極が損傷したり、変形を生ずることなく、また、セパレータや固体高分子電解質膜(イオン交換膜)に損傷や変形を生ずることなく、ガスが供給される通路が塞がったり、燃料ガスと空気ガスとを隔離するためのセパレータの本来の機能が失われることがない。そして、燃料電池は、高電圧を放電したり、充電が行われても、短絡事故を生ずることなく、しかも、ジュール熱は低いので、ガスが膨張することによる暴発がなく、安全性は高い。
【0038】
また、燃料電池によって、ポリエチレン等の低融点の高分子電解質膜を用いている場合に、機器の故障による誤作動や使用者側の誤作動によって過充電や短絡或いは高温環境下での放置といった状態になっても、電解液を用いている燃料電池の場合でも、電池内部が加熱されて電解液が分解されることなく、蒸発することにより内部にガスが充満することがないので、膨張により電池が液漏れたり、暴発事故がなく、安全性は高い。
【0039】
このため、例えば、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池を遠隔地の運搬や海外へ船舶を用いる等して運搬を行ったり、梱包を行う場合に、取扱い易く、容易かつ確実に運搬や梱包が行え、しかも安全性が高い。そして、この安全基準として、国連勧告「危険物輸送に関する勧告モデル規則第II巻」に規定する安全基準を遵守し、適合するもので
ある。
【0040】
また、本発明の請求項6に記載の発明によれば、請求項1または3において、前記縦棧に対して前後に対向して設けられた横梁部材の下部に設けた支枠部内に配挿される前後1対の支持脚が、前記ユニバーサルジョイントによって垂直軸周りに枢動可能に枢着され、前記支持脚の上端には前記緩衝ブロックに当接する受板部が設けられ、かつ前記支持脚の下端には前記支承部材を固定する取付部が設けられているので、運搬中に外函本体毎落下したり、異物が大きな衝撃力にて外函本体に衝突した場合に、支承部材により支持されている燃料電池は、横梁部材の下部に設けられた支枠部内に配挿される前後1対の支持脚がユニバーサルジョイントを介して垂直軸周りに枢動されることにより、外函本体に対して平面方向に内部で相対移動されて平面方向の衝撃力が緩和されるとともに、燃料電池は平面視左右対向して設けられた縦棧に対して前後に対向して設けられる横梁部材の空洞部内に設けられる緩衝ブロックにより上下方向に移動することによって上下方向の衝撃力が緩和される。
【0041】
従って、外函本体内に収納された燃料電池は、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、燃料電池は、その容器内に収納されているセルにおける正極や負極のような電極が損傷したり、変形を生ずることなく、また、セパレータや固体高分子電解質膜(イオン交換膜)に損傷や変形を生ずることなく、ガスが供給される通路が塞がったり、燃料ガスと空気ガスとを隔離するためのセパレータの本来の機能が失われることがない。そして、燃料電池は、高電圧を放電したり、充電が行われても、短絡事故を生ずることなく、しかも、ジュール熱は低いので、ガスが膨張することによる暴発がなく、安全性は高い。
【0042】
また、燃料電池によって、ポリエチレン等の低融点の高分子電解質膜を用いている場合に、機器の故障による誤作動や使用者側の誤作動によって過充電や短絡或いは高温環境下での放置といった状態になっても、電解液を用いている燃料電池の場合でも、電池内部が加熱されて電解液が分解されることなく、蒸発することにより内部にガスが充満することがないので、膨張により電池が液漏れしたり、暴発事故がなく、安全性は高い。
【0043】
このため、例えば、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池を遠隔地の運搬や海外へ船舶を用いる等して運搬を行ったり、梱包を行う場合に、取扱い易く、容易かつ確実に運搬や梱包が行え、しかも安全性が高い。そして、この安全基準として、国連勧告「危険物輸送に関する勧告モデル規則第II巻」に規定する安全基準を遵守し、適合するもので
ある。
【0044】
また、本発明の請求項7に記載の発明によれば、請求項1−6の何れかにおいて、前記固着手段が、前記縦棧の何れか一方の外側に対向して延設される締結杆に設けられているので、支持蓋機構部は外函本体に開設された開口部の上部に固着手段のボルトで簡単かつ確実に着脱可能に固着される。
【0045】
また、本発明の請求項8に記載の発明によれば、請求項5または6において、前後の前記取付部の何れか一方には、前記支承部材にIボルトの先端部を枢着するように該Iボルトを挿入する係入溝が設けられているので、外函本体内に収納される燃料電池の上面を支持蓋機構部の支承部材により支持させるのに、Iボルトを係入溝内に挿入し、Iボルトに螺合される蝶ナットを係止することにより、支承部材を支持蓋機構部の取付部に容易かつ確実に取付けることができる。
【0046】
また、本発明の請求項9に記載の発明によれば、請求項1において前記側部緩衝組立体の左右の何れか一方が、外函本体の内側に設けられた複数個の緩衝部材と、前記緩衝部材相互に架設された規制板と、により構成されているので、外函本体内に収容される燃料電池は、その一方の外側が左右の側部構成組立体のうち、何れか一方に設けられた規制板に複数個の緩衝部材を介して弾性的に支持されるとともに、他方の外側が他方の側部構成組立体に弾性的に支持される。
【0047】
また、本発明の請求項10に記載の発明によれば、請求項1または9において、前記外函本体内の前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体および後部緩衝組立体が、該外函本体の底面に前後方向に複数個設けられた下部緩衝組立体の前端および後端に設けられた緩衝部材と、前記緩衝部材に嵌着される金属製で断面コ字状のキャップ材と、前記キャップ材と前記燃料電池との間に介在される合成樹脂製の緩衝板と、により構成されているので、外函本体内に収容される燃料電池は、その下面が外函本体の底面に設けられた複数個の下部緩衝組立体に緩衝作用が発揮されて支持されるとともに、外函本体の前面および後面は、前部緩衝組立体並びに後部緩衝組立体の前端および後端とに設けられた金属製で断面コ字状のキャップ材に、前記燃料電池との間に合成樹脂製の緩衝板が介在されることにより当接され、前記キャップ材が嵌着された緩衝部材により緩衝性が発揮された状態で支持される。
【0048】
さらに、本発明の請求項11に記載の発明によれば、請求項1,9,10の何れかにおいて、前記下部緩衝組立体が、緩衝部材と、前記緩衝部材の上面に設けられた金属性の重合板と、により構成されているので、外函本体内に収容される燃料電池は、その下面が外函本体の底面に設けられた複数個の下部緩衝組立体に金属性の重合板を介して緩衝作用が発揮されて支持される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明の燃料電池の梱包運搬装置の実施形態1を示す斜視図である。
【図2】図2は同じく本実施形態1を構成する外函本体の長手方向の断面図である。
【図3】図3は同じく外函本体の正面図である。
【図4】図4は同じく平面図である。
【図5】図5は同じく右側面図である。
【図6】図6は同じく図3のA−A矢視図である。
【図7】図7は本実施形態1を構成する支持蓋機構部を外函本体の開口部に取付けた状態の拡大平面図である。
【図8】図8は同じく支持蓋機構部を示す斜視図である。
【図9】図9は同じく支持蓋機構部の正面図である。
【図10】図10は同じく底面図である。
【図11】図11は側面図である。
【図12】図12は本発明の燃料電池の梱包運搬装置の実施形態2を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面に従って本発明を実施するための最良の形態につき、詳細に説明する。
【0051】
<実施形態1>
本実施形態1は、金属板で形成された外函本体1と、前記外函本体1に開設された開口部2の上部に固着手段3を介して着脱可能に固着される支持蓋機構部4と、を有する燃料電池Bの梱包運搬装置である。
【0052】
そして、本実施形態1は、例えば図1、図2、図4に示すように、前記支持蓋機構部4が、平面視左右に対向して設けられた縦棧5,5と、前記外函本体1内に収容される燃料電池Bを上下方向Xに移動可能に前記縦棧5,5間に設けられた緩衝ブロック6と、前記緩衝ブロック6の下部に設けられた支承部材8と、で構成され、前記支承部材8が、前記燃料電池Bの平面方向Y1に相対移動させるように、枢支部7を介して支持され、かつ前記外函本体1内には、左右の内側面に設けられた側部緩衝組立体9A,9B,9C,9D,9Eと、前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体10A,10B,10C,10D並びに後部緩衝組立体11A,11B,11C,11Dと、底面に設けられた下部緩衝組立体12A,12B,12C,12D,12E,12Fと、が前記燃料電池Bに接触されるように設けられている、ことを特徴とする。
【0053】
前記外函本体1は、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池Bを例えば遠隔地や海外へ船舶を用いる等して運搬するのには、図には示さないが、外函本体1の外面、すなわち、前面および後面、左右の側面、上面および下面の6面を合成樹脂発泡体により、前記外函本体1よりも僅かに形大の函形に形成された包装函により包装されるが、この包装函は図示が省略されている。
【0054】
前記外函本体1を構成する金属板が、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板の何れかである。
【0055】
前記燃料電池Bは、燃料として水素をもちいて水素イオンを分離し、透過するための極薄の固体高分子電解質膜(イオン交換膜)を用いた固体高分子型の燃料電池、例えばリチウム電池があるが、これは代表的な例示であり、燃料電池Bの種別、構造は図示するものに限られない。
【0056】
前記支持蓋機構部4が、図7に示すように、平面視左右対向して設けられた縦棧5,5と、前記縦棧5,5に対して前後(図7においては左右)に対向して設けられるとともに、内部に前記緩衝ブロック6を嵌入するための空洞部13Aを有する断面略逆台形の横梁部材13,13と、前記横梁部材13,13間に設けられる横棧14と、で形成される枠本体15と、前記縦棧5,5の何れか一方の外側に対向して延設される締結杆16,16を介して設けられる前記固着手段3,3と、前記横梁部材13,13の下部に設けられた支枠部17と、前記支枠部17内に枢支軸18によって図2において左右方向に枢動可能に枢着される前後1対の支持脚19,19と、前記支持脚19,19の上端には前記緩衝ブロック6,6に当接するように設けられた受板部19aと、前記支持脚19,19の下端に設けられた取付部19b,19bと、前記取付部19b,19bに固定されて前記燃料電池Bの上面に当接して先端部には前記燃料電池Bの側面に係止される折曲片8a,8bを有する前記支承部材8と、により構成されている。前記支承部材8は図示する本実施形態では、側面略コ字状に一体に形成されたものが用いられているが、図には示されないが、一方の折曲片8aが設けられるL字型部所と、他方の折曲片8bが設けられるL字型部所とに分離されたものを個別に前記取付部19b,19bに取付けるようにしたものでもよい。
【0057】
前記横梁部材13は、図示する本実施形態1では断面略逆台形に形成されているが、図示するものに限らない。しかも、前記緩衝ブロック6は、合成樹脂発泡体、例えばポリエチレン樹脂発泡体が使用され、その厚さ、長さ、柔軟度は梱包すべき燃料電池Bの重量、大きさに応じて自由に設定される。なお、この合成樹脂発泡体は代表的な例示であり、その種類は制限されるものではなく、ゴムのような弾性材であってもよい。
【0058】
本実施形態1では、前記支持蓋機構部4,4を外函本体1の上縁に固定するための固着手段3が、前記支持蓋機構部4,4の前記縦棧5,5の何れか一方の外側に対向して延設される締結杆16,16の端部に設けた取付板16a,16aをボルト20を用いて固定するほか、図7に示すように、前記支持蓋機構部4,4における他方の縦棧5の両端に設けた取付板5a,5aをボルト20を用いて固着するようにしているが、このように、ボルト20を用いて前記支持蓋機構部4,4を外函本体1の上縁に固定するのは、取付けを構造堅牢にするための代表的例示であり、固着手段3は前記ボルト20を用いて螺着するのに限らず、例えば図には示さないが、フックと、フックが係脱可能になる係合ピンとを用いて係止したり、前記支持蓋機構部4,4を外函本体1の上縁に嵌着する等して固着してもよい。
【0059】
前後の前記取付部19b,19bの何れか一方には、前記支承部材8にIボルト21の先端部を枢着するように、該Iボルト21を挿入する係入溝22が設けられている。また、Iボルト21には、蝶ナット23が螺合されることによって前記係入溝22に係止される。
【0060】
前記側部緩衝組立体9A,9B;9C,9D,9Eの左右の何れか一方、図示する本実施形態では、外函本体1の内側に設けられた2個の側部緩衝組立体9A,9Bは、緩衝部材9,9と、前記緩衝部材9,9を相互に架設された規制板24と、により構成されている。また、他方の前記側部緩衝組立体9C,9D,9Eは緩衝部材9により形成される。この前記緩衝部材9は、合成樹脂発泡体、例えばポリエチレン樹脂発泡体が使用され、その厚さ、長さ、柔軟度は梱包すべき燃料電池Bの重量、大きさに応じて自由に設定される。なお、この合成樹脂発泡体は代表的な例示であり、その種類は制限されるものではなく、ゴムのような弾性材であってもよい。
【0061】
前記外函本体1内の前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体10A,10B,10C,10Dおよび後部緩衝組立体11A,11B,11C,11Dが、該外函本体1の底面に前後方向に複数個設けられた下部緩衝組立体12A,12B,12C,12Dの前端および後端に設けられた緩衝部材25a,26aと、前記緩衝部材25a,26aに嵌着される金属製で断面コ字状のキャップ材27,27,27,27と、前記キャップ材27,27,27,27と前記燃料電池Bとの間に介在される合成樹脂製の緩衝板28,28,28,28と、により構成されている。この前記緩衝部材25a,26aは、合成樹脂発泡体、例えばポリエチレン樹脂発泡体が使用され、その厚さ、長さ、柔軟度は梱包すべき燃料電池Bの重量、大きさに応じて自由に設定される。なお、この合成樹脂発泡体は代表的な例示であり、その種類は制限されるものではない。
【0062】
前記下部緩衝組立体12A,12B,12C,12D,12E,12Fが、緩衝部材29と、前記緩衝部材29の上面に設けられた金属性の重合板30と、により構成されている。この前記緩衝部材29は、合成樹脂発泡体、例えばポリエチレン樹脂発泡体が使用され、その厚さ、長さ、柔軟度は梱包すべき燃料電池Bの重量、大きさに応じて自由に設定される。なお、この合成樹脂発泡体は代表的な例示であり、その種類は制限されるものではなく、ゴムのような弾性材であってもよい。また、前記重合板30は、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板の何れかである。
【0063】
なお、図2、図7において31は外函本体1の開口部2を2つの支持蓋機構部4,4を左右対称に配置して固着手段3を用いて固着して被閉するのに、支持蓋機構部4,4の対向する間に設けられた間隙内に配挿されて被閉される中央被閉蓋である。
【0064】
本実施形態1の燃料電池の梱包運搬装置は以上の構成からなり、重量が200kg以上と重くて大きい燃料電池Bを例えば遠隔地や海外へ船舶を用いる等して運搬するには、先ず、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板の何れかの金属板で略函型に構成された外函本体1の外面、すなわち、外函本体1の前面および後面、左右の側面、上面および下面の6面を包装し、かつ合成樹脂発泡体により前記外函本体1よりも僅かに形大の函形に形成された図には示さない包装函の蓋を開く。
【0065】
それから、金属板で略函型に構成された外函本体1の上面から固着手段3のボルト20を螺退することにより、外函本体1に設けられた開口部2を左右対称的に被閉している2つの支持蓋機構部4,4と、この2つの支持蓋機構部4,4の対向する間に設けられた間隙内に配置されて被閉されている中央被閉蓋31と、を取り去り、外函本体1内の上部の開口部2を露わにする。
【0066】
次いで、支持蓋機構部4,4を取り去った後の外函本体1内に図には示さない柔軟性を有する合成樹脂シートを敷き、外函本体1内に収納する燃料電池Bを前記合成樹脂シートにて包むための準備をする。
【0067】
そして、ロ−プにて周囲を縛束された燃料電池Bをクレーンにより吊り上げ、外函本体1内に降下させることにより、燃料電池Bを外函本体1内に挿入し、外函本体1内の底面に設けられた下部緩衝組立体12A,12B,12C,12D,12E,12Fの上面に前記合成樹脂シートを介して燃料電池Bを載置する。
【0068】
その後、前述の合成樹脂シートにて燃料電池Bを包み込む。
【0069】
こうして、前述のように固着手段3のボルト20を螺退することによって取り去られていた2つの支持蓋機構部4,4と、その支持蓋機構部4,4の対向する間に中央被閉蓋31とを再度、外函本体1の上面に被せる。そして、固着手段3のボルト20を螺入することにより、外函本体1の開口部2の上部に簡単かつ確実に支持蓋機構部4,4を固着できる。そして、前述のように合成樹脂発泡体により、前記外函本体1よりも僅かに形大の函形に形成された包装函にて外函本体1の外面を包装することにより、梱包を終え、運搬に供する。
【0070】
そして、本実施形態1の燃料電池の梱包運搬装置は、前述のように、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板の何れかの金属板で略函型に構成された外函本体1内に燃料電池Bが収納されてから、2個の支持蓋機構部4,4が前記外函本体1の上部に開設された開口部2の上部に固着手段3を介して固着されると、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池Bは、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板の何れかの金属板で略函型に構成された外函本体1内に収容されることにより、構造堅牢に保護され、例えば、遠隔地や海外へ船舶を用いる等して運搬に供される。そして、燃料電池Bが内部に梱包された金属板で構成された外函本体1が、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、金属板で構成された燃料電池Bの容器の表面が損傷を受けたりすることなく、凹み、破裂を生ずるのが防止される。
【0071】
本実施形態1の燃料電池の梱包運搬装置では、外函本体1内の左右の内側面に設けられた側部緩衝組立体9A,9B;9C,9D,9Eと、前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体10A,10B,10C,10D並びに後部緩衝組立体11A,11B,11C,11Dと、底面には下部緩衝組立体12A,12B,12C,12D,12E,12Fとが設けられているので、燃料電池Bの左右の外側面は前記側部緩衝組立体9A,9B,9C,9D,9Eにより弾力的に支持され、また、燃料電池Bの前面は前部緩衝組立体10A,10B,10C,10Dにより弾力的に支持され、燃料電池Bの後面は後部緩衝組立体11A,11B,11C,11Dにより弾力的に支持され、燃料電池Bの下面は下部緩衝組立体12A,12B,12C,12D,12E,12Fにより、それぞれその前後、左右、下面が数個所にて分散され、かつ全体的には平均に、応力が1個所に集中することなく弾力的に支持されることにより緩衝作用が発揮され、衝撃が吸収されるため、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池Bは、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、金属板よりなる燃料電池Bの容器の表面が損傷を受けたりすることなく、凹み、破裂を生ずるのが防止される。
【0072】
この際、左右の前記側部緩衝組立体9A,9B;9C,9D,9Eの何れか一方が、図示する本実施形態1では、外函本体1の内側に設けられた2個の側部緩衝組立体9A,9Bの緩衝部材9,9と、前記緩衝部材9,9相互に架設された規制板24とにより構成されているので、外函本体1内に収容される燃料電池Bは、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板のような金属容器のその一方の外側が図示では左側の側部構成組立体9A,9Bに架設された規制板24を介して2個の緩衝部材9,9により弾性的に支持されるとともに、他方の外側が図示では右側の側部構成組立体9C,9D,9Eの緩衝部材9,9,9により数個所にて分散され、かつ全体的には平均に、応力が1個所に集中することなく、弾性的に支持される。
【0073】
また、前記外函本体1内の前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体10A,10B,10C,10Dおよび後部緩衝組立体11A,11B,11C,11Dが、底面に前後方向に複数個設けられた下部緩衝組立体12A,12B,12C,12Dの前端および後端に設けられた緩衝部材25a,26aと、前記緩衝部材25a,26aに嵌着される金属製で断面コ字状のキャップ材27,27,27,27と、前記キャップ材27,27,27,27と前記燃料電池Bとの間に介在される合成樹脂製の緩衝板28,28,28,28と、により構成されているので、外函本体1内に収容される燃料電池Bは、その前面および後面は、前部緩衝組立体10A,10B,10C,10Dおよび後部緩衝組立体11A,11B,11C,11Dの前端および後端とに設けられた金属製で断面コ字状のキャップ材27,27,27,27と前記燃料電池Bとの間に介在された合成樹脂製の緩衝板28,28,28,28に数個所にて面接触され、緩衝部材25a,26aによりそれぞれ数個所において分散され、かつ全体的には平均に、応力が1個所に集中することなく、緩衝性が発揮された状態で支持される。
【0074】
さらに、前記下部緩衝組立体12A,12B,12C,12D,12E,12Fが、緩衝部材29と、前記緩衝部材29の上面に設けられた金属性の重合板30とにより構成されているので、外函本体1内に収容される燃料電池Bは、その下面が外函本体1の底面に設けられた複数個の下部緩衝組立体12A,12B,12C,12D,12E,12Fの緩衝部材29に金属性の重合板30を介して数個所にて分散され、かつ全体的には平均に、応力が1個所に集中することなく、緩衝作用が発揮されて支持される。
【0075】
このように、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池Bは、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、左右の内側は前記側部緩衝組立体9A,9B;9C,9D,9Eの緩衝部材9,9,9,9,9により、また前後の内側は前部緩衝組立体10A,10B,10C,10Dの緩衝部材25aと、後部緩衝組立体11A,11B,11C,11Dの緩衝部材26aとにより、さらに、その下面が外函本体1の底面に設けられた複数個の下部緩衝組立体12A,12B,12C,12D,12E,12Fの緩衝部材29とにより、1個所に衝撃が集中されることなく、数個所にて分散されて全体的に平均して衝撃が緩和されるので、燃料電池Bの鋼板、ステンレス板、アルミニウム板のような金属容器の表面が損傷を受けたりすることなく、凹み、破裂を生ずるのが確実に防止される。従って、緩衝部材の最小限の使用により、燃料電池Bに対して大きな緩衝作用を発揮することができる。
【0076】
その上、本実施形態1では、外函本体1の開口部2を被閉している支持蓋機構部4,4には、横梁部材13,13の空洞部13A,13A内に収容した緩衝ブロック6の下部に、外函本体1に対して平面方向Y1に相対移動可能に枢支部7を介して燃料電池Bの上面を支持する支承部材8を有する複数個の支持脚19,19が対向して設けられているので、外函本体1内に前述のように収納されている重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池Bは、運搬中に外函本体1毎落下したり、異物が大きな衝撃力にて外函本体1に衝突した場合に、燃料電池Bは外函本体1内を平面方向Y1に前記枢支部7にて支持脚19,19が枢動することにより外函本体1が受ける外部からの衝撃が燃料電池Bに直接伝わるのを緩衝することができる。
【0077】
すなわち、本実施形態1では、前記支持蓋機構部4が、図1、図2、図7乃至図11に示すように、平面視左右対向して設けられた縦棧5,5と、前記縦棧5,5に対して前後に対向して設けられるとともに、緩衝ブロック6を収納するための空洞部13Aを内部に有する横梁部材13,13と、前記横梁部材13,13間に設けられる横棧14と、で形成される枠本体15と、前記縦棧5,5の何れか一方の外側に対向して延設される締結杆16,16を介して設けられる前記固着手段3,3と、前記横梁部材13,13の下部に設けられた支枠部17と、前記支枠部17内に枢支軸18を介して図2において左右方向に枢動可能に枢着され、上端には前記緩衝ブロック6,6に当接する受板部19aが、下端には取付部19b,19bが設けられた前後1対の支持脚19,19と、前記取付部19b,19bに固定されて前記燃料電池Bの上面に当接されて先端部には前記燃料電池Bの側面に係止される折曲片8a,8bを有する前記支承部材8と、により構成されているので、運搬中に外函本体1毎落下したり、異物が大きな衝撃力にて外函本体1に衝突した場合に、外函本体1内において支持蓋機構部4,4の支承部材8,8により支持されている燃料電池Bは、支持蓋機構部4,4の支枠部17内に枢支部としての枢支軸18,18を介して左右方向に枢動可能に枢着された前後1対の支持脚19,19が枢動することにより、外函本体1に対して平面方向Y1に内部で相対移動されるから、平面方向Y1の衝撃力が緩和される。しかも、燃料電池Bは緩衝ブロック6の緩衝により上下方向Xに移動することによって上下方向Xの衝撃力が緩和される。
【0078】
従って、外函本体1内に収納された燃料電池Bは、運搬中に落下したり、異物が大きな衝撃力にて衝突した場合に、その容器内に収納されている図には示さないセルにおける正極や負極のような電極が損傷したり、変形を生ずることがない。また、セパレータや固体高分子電解質膜(イオン交換膜)に損傷や変形を生ずることなく、ガスが供給される通路が塞がったり、燃料ガスと空気ガスとを隔離するためのセパレータの本来の機能が失われることがない。そして、燃料電池Bは、高電圧を放電したり、充電が行われても、短絡事故を生ずることなく、しかも、ジュール熱は低いので、暴発することなく、安全性は高い。
【0079】
また、燃料電池Bによって、ポリエチレン等の低融点の高分子電解質膜を用いている場合に、機器の故障による誤作動や使用者側の誤作動によって過充電や短絡或いは高温環境下での放置といった状態になっても、電解液を用いている燃料電池Bの場合にも、前述のように、外函本体1内に収容された燃料電池Bは衝撃が加わることにより、金属容器の内外ともに何等の変形、損傷を生じないので、燃料電池Bの内部が加熱されて電解液が分解されることなく、蒸発することにより内部にガスが充満することがなくなり、ガス膨張により電池が液漏れしたり、暴発事故がなく、安全性は高い。
【0080】
このため、例えば、重量が200kg以上と重く、大きい燃料電池Bを遠隔地の運搬や海外へ船舶を用いる等して運搬を行ったり、梱包を行う場合に、取扱い易く、容易かつ確実に運搬や梱包が行え、しかも安全性が高い。そして、この安全基準として、国連勧告「危険物輸送に関する勧告モデル規則第II巻」に規定する安全基準を遵守し、適合するものである。
【0081】
因みに、本実施形態1の燃料電池の梱包運搬装置にて梱包した200kg以上の重量の燃料電池Bを1.8mの高さから、落下試験を行った結果、燃料電池Bには何等異常が生じなかった。
【0082】
また、前後の前記取付部19b,19bの何れか一方には、前記燃料電池Bの上面に当接する支承部材8に先端部が枢着されたIボルト21が挿入される係入溝22が設けられているので、外函本体1内に収納される燃料電池Bの上面を支持蓋機構部4,4の支承部材8により支持させるのに、Iボルト21を係入溝22内に挿入し、Iボルト21に螺着される蝶ナット23を係止することにより、支承部材8を支持蓋機構部4の取付部19bに容易かつ確実に取付けることができる。
【0083】
<実施形態2>
図12に示すものは、本発明の実施形態2であり、この実施形態2では、前後一対の支持脚19A,19Bを、支枠部17内に枢着するための枢支部7が、ユニバーサルジョイント50によって構成されていることにより、外函本体1内に収納されている燃料電池Bは、運搬中に外函本体1毎落下したり、異物が大きな衝撃力にて外函本体1に衝突した場合に、支持蓋機構部4の支承部材8,8によりその上面が支持されている燃料電池Bは、ユニバーサルジョイント50を介して外函本体1に対して燃料電池Bの平面方向Y1,Y2に外函本体1の内部で垂直軸X1周りに枢動されることにより、平面方向Y1,Y2の衝撃力が緩和されるとともに、燃料電池Bは平面視左右対向して設けられた縦棧5,5と、前記縦棧5,5に対して前後に対向して設けられる横梁部材13,13と、前記横梁部材13,13間に設けられる横棧14と、で形成される枠本体15の前記横梁部材13,13の空洞部13A内に設けられる緩衝ブロック6により上下方向Xに移動されることによって上下方向Xの衝撃力が緩和される点が前記実施形態1とは異なる効果であるほかは、前記実施形態1と同様の構成、および効果である。
【0084】
なお、上記実施形態1、2では、緩衝ブロック6が、縦棧5,5間に対向して設けられた横梁部材13,13内に嵌入されているが、必ずしも緩衝ブロック6は横梁部材13,13内に嵌入される必要はなく、例えば縦棧5,5間に架設された図には示されない取付板に取付けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、燃料電池の運搬と梱包とが取扱い易く、容易かつ確実に行え、しかも安全性が高いという用途・機能に適する。
【符号の説明】
【0086】
1 外函本体
2 開口部
3 固着手段
6 緩衝ブロック
7 枢支部
8 支承部材
4 支持蓋機構部
9A 側部緩衝組立体
9B 側部緩衝組立体
9C 側部緩衝組立体
9D 側部緩衝組立体
9E 側部緩衝組立体
10A 前部緩衝組立体
10B 前部緩衝組立体
10C 前部緩衝組立体
10D 前部緩衝組立体
11A 後部緩衝組立体
11B 後部緩衝組立体
11C 後部緩衝組立体
11D 後部緩衝組立体
12A 下部緩衝組立体
12B 下部緩衝組立体
12C 下部緩衝組立体
12D 下部緩衝組立体
12E 下部緩衝組立体
12F 下部緩衝組立体
13 横梁部材
18 枢支軸
19 支持脚
24 規制板
B 燃料電池
X 上下方向
X1 垂直軸
Y1 平面方向
Y2 平面方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板で形成された外函本体と、前記外函本体に開設された開口部の上部に固着手段を介して着脱可能に固着される支持蓋機構部と、を有する燃料電池の梱包運搬装置であって、
(イ)前記支持蓋機構部が、平面視左右に対向して設けられた縦棧と、前記外函本体内に収容される燃料電池を上下方向に移動可能に前記縦棧間に設けられた緩衝ブロックと、前記緩衝ブロックの下部に設けられた支承部材と、で構成され、
(ロ)前記支承部材が、前記燃料電池の平面方向に相対移動させるように、枢支部を介して支持され、かつ
(ハ)前記外函本体内には、左右の内側面に設けられた側部緩衝組立体と、前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体および後部緩衝組立体と、底面に設けられた下部緩衝組立体と、が前記燃料電池に接触されるように設けられている、
ことを特徴とする燃料電池の梱包運搬装置。
【請求項2】
前記枢支部が、枢支軸により前記支承部材によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の梱包運搬装置。
【請求項3】
前記枢支部が、ユニバーサルジョイントによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の梱包運搬装置。
【請求項4】
前記緩衝ブロックが、前記縦棧に対して前後に対向して設けられた横梁部材の空洞部内に設けられていることを特徴とする請求項1−3の何れかに記載の燃料電池の梱包運搬装置。
【請求項5】
前記横梁部材の下部に設けた支枠部内に配挿される前後1対の支持脚が、前記枢支軸によって枢動可能に枢着され、前記支持脚の上端には緩衝ブロックに当接する受板部が設けられ、かつ、前記支持脚の下端には前記支承部材を固定する取付部が設けられていることを特徴とする請求項1または2,4の何れかに記載の燃料電池の梱包運搬装置。
【請求項6】
前記縦棧に対して前後に対向して設けられた横梁部材の下部に設けた支枠部内に配挿される前後1対の支持脚が、前記ユニバーサルジョイントによって垂直軸周りに枢動可能に枢着され、前記支持脚の上端には前記緩衝ブロックに当接する受板部が設けられ、かつ、前記支持脚の下端には前記支承部材を固定する取付部が設けられていることを特徴とする請求項1または3に記載の燃料電池の梱包運搬装置。
【請求項7】
前記固着手段が、前記縦棧の何れか一方の外側に対向して延設される締結杆に設けられていることを特徴とする請求項1−6の何れかに記載の燃料電池の梱包運搬装置。
【請求項8】
前後の前記取付部の何れか一方には、前記支承部材にIボルトの先端部を枢着するように、該Iボルトを挿入する係入溝が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の燃料電池の梱包運搬装置。
【請求項9】
前記側部緩衝組立体の左右の何れか一方が、外函本体の内側に設けられた複数個の緩衝部材と、前記緩衝部材相互に架設された規制板と、により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の梱包運搬装置。
【請求項10】
前記外函本体内の前後の内側面に設けられた前部緩衝組立体および後部緩衝組立体が、該外函本体の底面に前後方向に複数個設けられた下部緩衝組立体の前端および後端に設けられた緩衝部材と、前記緩衝部材に嵌着される金属製で断面コ字状のキャップ材と、前記キャップ材と前記燃料電池との間に介在される合成樹脂製の緩衝板と、により構成されていることを特徴とする請求項1または9に記載の燃料電池の梱包運搬装置。
【請求項11】
前記下部緩衝組立体が、緩衝部材と、前記緩衝部材の上面に設けられた金属性の重合板と、により構成されていることを特徴とする請求項1,9,10の何れかに記載の燃料電池の梱包運搬装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−153374(P2012−153374A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11632(P2011−11632)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(596026578)サイデック株式会社 (15)
【Fターム(参考)】