燃料電池システムおよび電子機器
【課題】発電特性を損なうことなく、燃料気化部のフラッディング現象を抑えることが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料ポンプ42において、逆止弁425a,425bの開閉動作が可能な上限周波数(閾値周波数fTH)が、圧電体422の機械的な共振周波数fEよりも低くなるようにする。また、所定の場合に、圧電体422の振動周波数fが、共振周波数fE付近となるように制御する。これにより、燃料ポンプ42による燃料供給動作を停止させつつ、圧電体422の振動によって燃料ポンプ42の液体燃料41が加熱され、加熱された液体燃料41が燃料気化部44へ供給される。また、圧電体422の振動により生ずる熱量であるため、従来のように発電部10における発電特性を損なうこともない。
【解決手段】燃料ポンプ42において、逆止弁425a,425bの開閉動作が可能な上限周波数(閾値周波数fTH)が、圧電体422の機械的な共振周波数fEよりも低くなるようにする。また、所定の場合に、圧電体422の振動周波数fが、共振周波数fE付近となるように制御する。これにより、燃料ポンプ42による燃料供給動作を停止させつつ、圧電体422の振動によって燃料ポンプ42の液体燃料41が加熱され、加熱された液体燃料41が燃料気化部44へ供給される。また、圧電体422の振動により生ずる熱量であるため、従来のように発電部10における発電特性を損なうこともない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタノール等と酸化剤ガス(酸素)との反応により発電を行う燃料電池システムおよびそのような燃料電池システムを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池は、発電効率が高く、有害物質を排出しないため、産業用や家庭用の発電装置として、あるいは人工衛星や宇宙船などの動力源として実用化されてきた。また、近年では、乗用車、バス、トラック等の車両用の動力源としての開発が進んでいる。このような燃料電池は、アルカリ水溶液型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型および直接型メタノールなどの種類に分類される。中でも、ダイレクトメタノール固体高分子電解質型燃料電池(DMFC;Direct Methanol Fuel Cell)は、燃料水素源としてメタノールを用いることによって高エネルギー密度化することができ、また改質器が不要であり小型化が可能であることから、小型携帯用燃料電池向けに研究が進められている。
【0003】
DMFCでは、固体高分子電解質膜を2枚の電極で挟み、一体化させて接合した単位セルであるMEA(Membrane Electrode Assembly;膜電極接合体)が使用される。そしてガス拡散電極の一方を燃料電極(負極)とすると共に、その表面に燃料としてのメタノールを供給すると、メタノールが分解されて水素イオン(プロトン)と電子とが生じ、水素イオンが固体高分子電解質膜を透過する。また、ガス拡散電極の他方を酸素電極(正極)とすると共に、その表面に酸化剤ガスとしての空気を供給すると、空気中の酸素と上記水素イオンおよび電子とが結合し、水が生成される。このような電気化学反応により、DMFCから起電力が生じるようになっている。
【0004】
ここで、このDMFCでは、燃料電極へメタノールを供給する方法として、液体供給型(液体燃料(メタノール水溶液)を、そのまま燃料電極へ供給するもの)と、気化供給型(液体燃料を気化した状態で、燃料電極へ供給するもの)とが提案されている。このうち、気化供給型の燃料電池では、燃料の気化に伴って燃料気化部の温度が下がるため、燃料気化部において生成水が凝縮しやすいという問題があった。このような水の凝縮はフラッディング現象とも呼ばれており、特に環境温度が低いときに顕著に現れ、寒冷地での長時間使用時に発電不良を引き起こす要因となっていた。
【0005】
このような燃料気化部での水の凝縮を防ぐ方法の一つとして、燃料気化部を予め加温しておく方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、加温用のヒーターを別途設ける必要があるだけでなく、燃料気化部全面を暖めるためにエネルギーを無駄に消費するという欠点があった。
【0006】
そこで、加温用のヒーターを用いずにフラッディング現象を防ぐ方法として、発電部で生じる熱によって燃料気化部を加熱するという方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】特開2008−27817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、この特許文献1の方法では、発電部の温度を低下させることとなるため、触媒活性を低下させ、発電そのものの性能を犠牲にしてしまう(発電特性を損なってしまう)という問題があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、発電特性を損なうことなく、燃料気化部のフラッディング現象を抑えることが可能な燃料電池システム、およびそのような燃料電池システムを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の燃料電池システムは、燃料および酸化剤ガスの供給により発電を行う発電部と、圧電体および逆止弁を含んで構成され、発電部側へ液体燃料を供給する圧電ポンプ部と、この圧電ポンプ部により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を発電部へ供給する燃料気化部と、圧電体の振動周波数を制御することによって、圧電ポンプ部による液体燃料の供給量を調整する制御部とを備えたものである。ここで、上記逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数は、圧電体の機械的な共振周波数よりも低くなっている。また、上記制御部は、所定の場合に、圧電体の振動周波数が上記共振周波数付近となるように制御するようになっている。
【0011】
なお、「逆止弁の開閉動作が可能」な状態とは、逆止弁が完全に開閉動作を行うことが可能な状態のみならず、多少の開閉動作がなされてもほとんど液体燃料の供給動作が行われていないような状態をも含む意味である。すなわち、「逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数」とは、例えば、逆止弁の動作周波数を定格値から徐々に高めて行ったときに、逆止弁の開閉動作が圧電体の動作に追随できなくなるなどのメカニズムによって、液体燃料の供給量が、例えば最大値の約10分の1以下まで低下するような周波数を意味している。また、「圧電体の機械的な共振周波数」とは、例えば、圧電体の振幅値が最大となる機械的な共振周波数を意味するものである。
【0012】
本発明の電子機器は、上記燃料電池システムを備えたものである。
【0013】
本発明の燃料電池システムおよび電子機器では、燃料気化部において、圧電ポンプ部により供給された液体燃料が気化されることにより、気体燃料が発電部に供給される。また、発電部では、この気体燃料と酸化剤ガスとの供給により、発電が行われる。そして、圧電ポンプ部における圧電体の振動周波数が制御されることにより、圧電ポンプ部による液体燃料の供給量が調整される。この際、所定の場合には、圧電体の振動周波数が、圧電体の機械的な共振周波数付近となるように制御される。ここで、逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数がこの圧電体の機械的な共振周波数よりも低くなっているため、圧電体の振動周波数が上記共振周波数付近になると、逆止弁の開閉動作が停止し、圧電ポンプ部による燃料供給動作も停止する。また、圧電体の振動によって圧電ポンプ部内の液体燃料が加熱され、この加熱された液体燃料が燃料気化部へ供給される。
【0014】
本発明の燃料電池システムでは、上記上限周波数が可聴周波数領域内の値であると共に、上記制御部が、所定の場合に、圧電体の振動周波数が可聴周波数領域内において上記上限周波数よりも高くなるように制御してもよい。このように構成した場合、圧電体の振動周波数が上記上限周波数よりも高いため、逆止弁の開閉動作が停止し、圧電ポンプ部による燃料供給動作も停止する。また、圧電体の振動周波数が可聴周波数領域内でもあるため、圧電体の振動によって可聴音が発生する。よって、スピーカーなどの部材を別途設けることなく、所定の場合に、ユーザーへ効果音などを発することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の燃料電池システムまたは電子機器によれば、圧電ポンプ部において、逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数が圧電体の機械的な共振周波数よりも低くなるように設定すると共に、所定の場合に、圧電体の振動周波数がこの機械的な共振周波数付近となるようにしたので、圧電ポンプ部による燃料供給動作を停止させつつ、圧電体の振動によって圧電ポンプ部内の液体燃料を加熱し、加熱された液体燃料を燃料気化部へ供給することができる。また、圧電体の振動により生ずる熱量であるため、従来のように発電部における発電特性を損なうこともない。よって、発電特性を損なうことなく、燃料気化部のフラッディング現象を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る燃料電池システム(燃料電池システム5)の全体構成を表すものである。燃料電池システム5は、負荷6を駆動するための電力を出力端子T2,T3を介して供給するものである。この燃料供給システム5は、燃料電池1と、電流検出部31と、電圧検出部32と、昇圧回路33と、二次電池34と、制御部35とから構成されている。
【0018】
燃料電池1は、発電部10と、燃料タンク40と、燃料ポンプ42とを含んで構成されている。なお、この燃料電池1の詳細構成については、後述する。
【0019】
発電部10は、メタノールと酸化剤ガス(例えば、酸素)との反応により発電を行う直接メタノール型の発電部であり、正極(酸素電極)および負極(燃料電極)を有する複数の単位セルを含んで構成されている。なお、この発電部10の詳細構成については、後述する。
【0020】
燃料タンク40は、発電に必要な液体燃料(例えば、メタノールまたはメタノール水溶液)を内蔵するものである。なお、この燃料タンク40の詳細構成については、後述する。
【0021】
燃料ポンプ42は、燃料タンク40に収容された液体燃料を汲み上げて、発電部10側へ供給(輸送)するためのポンプであり、燃料の供給量を調節することができるようになっている。この燃料ポンプ42は、圧電ポンプにより構成されている。また、このような燃料供給ポンプ42の動作(液体燃料の供給動作)は、後述する制御部35によって制御されるようになっている。なお、燃料ポンプ42の詳細構成については、後述する。
【0022】
電流検出部31は、接続ラインL1H上において、発電部10の正極側と接続点P1との間に配置されており、発電部10の発電電流I1を検出するものである。この電流検出部31は、例えば抵抗器を含んで構成されている。なお、このような電流検出部31を、接続ラインL1L上(発電部10の負極側と接続点P2との間)に配置するようにしてもよい。
【0023】
電圧検出部32は、接続ラインL1H上の接続点P1と、接続ラインL1L上の接続点P2との間に配置されており、発電部10の発電電圧V1を検出するものである。この電圧検出部32は、例えば抵抗器を含んで構成されている。
【0024】
昇圧回路33は、接続ラインL1H上の接続点P1と、出力ラインLO上の接続点P3との間に配置されており、発電部10の発電電圧V1(直流電圧)を昇圧して、直流電圧V2を生成する電圧変換部である。この昇圧回路33は、例えばDC/DCコンバータにより構成されている。
【0025】
二次電池34は、出力ラインLO上の接続点P3と、接地ラインLG上の接続点P4との間に配置されており、昇圧回路33により生成された直流電圧V2に基づいて蓄電を行うものである。この二次電池34は、例えばリチウムイオン二次電池などにより構成されている。
【0026】
制御部35は、電流検出部31により検出された発電電流(検出電流)I1と、電圧検出部32により検出された発電電圧(検出電圧)V1とに基づいて、燃料ポンプ42による液体燃料の供給量を調整するものである。具体的には、制御部35は、燃料ポンプ42内の圧電体(後述する圧電体422)の振動周波数fを制御することによって、燃料ポンプ42による液体燃料の供給量を調整するようになっている。このような制御部35は、例えばマイクロコンピュータなどにより構成されている。なお、制御部35の詳細動作については、後述する。
【0027】
次に、図2〜図7を参照して、燃料電池1の詳細構成について説明する。図2および図3は、燃料電池1内の発電部10における単位セル10A〜10Fの構成例を表すものであり、図2は、図3におけるII−II線に沿った矢視断面構成に対応する。単位セル10A〜10Fは、面内方向に例えば3行×2列に配置されると共に、複数の接続部材20により電気的に直列に接続された平面積層構造とされている。単位セル10C,10Fには、接続部材20の延長部分である端子20Aが取り付けられている。また、単位セル10A〜10Fの下方には、燃料タンク40と、燃料ポンプ42と、ノズル43と、燃料気化部44とが設けられている。
【0028】
単位セル10A〜10Fは、それぞれ、電解質膜11を間にして対向配置された燃料電極(負極、アノード電極)12と酸素電極13(正極、カソード電極)とを有している。
【0029】
電解質膜11は、例えば、スルホン酸基(−SO3 H)を有するプロトン伝導材料により構成されている。プロトン伝導材料としては、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系プロトン伝導材料(例えば、デュポン社製「Nafion(登録商標)」)、ポリイミドスルホン酸などの炭化水素系プロトン伝導材料、またはフラーレン系プロトン伝導材料などが挙げられる。
【0030】
燃料電極12および酸素電極13は、例えば、カーボンペーパーなどよりなる集電体に、白金(Pt)あるいはルテニウム(Ru)などの触媒を含む触媒層が形成された構成を有している。触媒層は、例えば、触媒を担持させたカーボンブラックなどの担持体をポリパーフルオロアルキルスルホン酸系プロトン伝導材料などに分散させたものにより構成されている。なお、酸素電極13には図示しない空気供給ポンプが接続されていてもよいし、接続部材20に設けられた開口(図示せず)を介して外部と連通し、自然換気により空気すなわち酸素が供給されるようになっていてもよい。
【0031】
接続部材20は、二つの平坦部21,22の間に屈曲部23を有し、一方の平坦部21において一つの単位セル(例えば、10A)の燃料電極12に接し、他方の平坦部22において隣接する単位セル(例えば、10B)の酸素電極13に接しており、隣接する二つの単位セル(例えば、10A,10B)を電気的に直列に接続すると共に、各単位セル10A〜10Fで発生した電気を集電する集電体としての機能も有している。このような接続部材20は、例えば、厚みが150μmであり、銅(Cu),ニッケル(Ni),チタン(Ti)またはステンレス鋼(SUS)により構成され、金(Au)または白金(Pt)等でめっきされていてもよい。また、接続部材20は、燃料電極12および酸素電極13に燃料および空気をそれぞれ供給するための開口(図示せず)を有しており、例えば、エキスパンドメタルなどのメッシュ類や、パンチングメタルなどにより構成されている。なお、屈曲部23は、予め単位セル10A〜10Fの厚みに合わせて折曲加工されていてもよいし、接続部材20が厚み200μm以下のメッシュなど柔軟性を有している場合は製造工程においてたわむことにより形成されるようにしてもよい。このような接続部材20は、例えば、電解質膜11の周辺部に設けられたPPS(ポリフェニレンスルフィド)あるいはシリコーンゴム等の封止材(図示せず)が接続部材20にネジ締めされることにより、単位セル10A〜10Fに接合されている。
【0032】
燃料タンク40は、例えば、液体燃料41の増減によっても内部に気泡などが入らずに体積が変化する容器(例えばビニール袋など)と、この容器を覆う直方体形状のケース(構造体)とにより構成されている。この燃料タンク40には、その中央付近の上方に、燃料タンク40内の液体燃料41を吸引してノズル43から排出させるための燃料ポンプ42が設けられている。
【0033】
燃料気化部44は、燃料ポンプ42により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を発電部10(各単位セル10A〜10F)へ供給するものである。すなわち、燃料気化部44は、燃料ポンプ42と発電部10との間に配置されるようになっている。このような燃料気化部44は、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどを含む金属や合金、シクロオレフィンコポリマー(COC)などの剛性の高い樹脂材料よりなるプレート(図示せず)上に、燃料の拡散を促進するための拡散部(図示せず)が設けられたものである。拡散部としては、アルミナ、シリカ、酸化チタンなどの無機多孔質材料や樹脂多孔質材料を用いることができる。
【0034】
ノズル43は、燃料ポンプ42の流路(図示せず)によって輸送される燃料の噴出口であり、燃料気化部44の表面に設けられた拡散部に向けて、燃料を噴出するようになっている。これにより、燃料気化部44へ輸送された燃料が拡散気化され、発電部10(各単位セル10A〜10F)に向けて供給される。このノズル43は、例えば直径0.1mm〜0.5mmの口径を有している。
【0035】
ここで、図4〜図7を参照して、燃料ポンプ42の詳細構成について説明する。図4は、燃料ポンプ42の断面構成を模式的に表したものである。
【0036】
燃料ポンプ42は、容器421および圧電体422により形成されるポンプ室420と、燃料タンク40からノズル43までを接続する配管としての一対の流路423a,423bと、一対の逆止弁425a,425bとにより構成されている。この燃料ポンプ42は、図4中の矢印で示したように、アクチュエーターとして機能する圧電体422の屈曲変形と逆止弁425a,425bの開閉動作とを利用して、図中の矢印Pin,Poutで示した経路にて、燃料タンク40側から燃料気化部44側へと液体燃料41を送液する圧電ポンプである。
【0037】
圧電体422は、ポンプ室420の上面を形成しており、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電素子を含んで構成されている。この圧電体422は、変形時に熱を発生するという性質を有している。特に、圧電体422をその機械的な共振周波数(固有周波数)fE(例えば、45kHz程度)付近で振動させた場合、非常に大きな屈曲変形が生じると共に、これによる発熱も大きくなるようになっている。
【0038】
逆止弁425aは、ポンプ室420における吸引口424a部分に設けられている。この吸引口424aは、ポンプ室420と、燃料タンク40側の流路423aとの接続部分に設けられている。一方、逆止弁425bは、ポンプ室420における排出口424b部分に設けられている。この排出口424bは、ポンプ室420と、燃料気化部44側の流路423bとの接続部分に設けられている。このように、液体燃料41の流入側および流出側に2つの逆止弁425a,425bが設けられ、これにより液体燃料41の流れの一方向性が保たれるようになっている。これら逆止弁425a,425bは、その駆動周波数が高くなると、それに従って弁の開閉動作が次第に追いつかなくなり、しまいにはほとんど燃料供給ができなくなってしまうという性質を有している
【0039】
これにより、燃料ポンプ42では、例えば図5中のタイミングt1〜t4で示したように、圧電体422の位置に応じて、液体燃料41の吸引期間(例えば、タイミングt1〜t2,t3〜t4の期間)と、液体燃料41の排出期間(例えば、タイミングt4以降の期間)とが設けられるようになっている。また、圧電体422の振動周波数fの変化や、1回の動作当りの燃料供給量または燃料供給周期Δtの変化に応じて(図6参照)、液体燃料41の供給量を調節することができるようになっている。
【0040】
ここで、本実施の形態の燃料ポンプ42では、例えば図7におよび(1)式に示したように、逆止弁425a,425bの開閉動作が可能な上限周波数(閾値周波数fTH;例えば、40Hz程度)が、上記した圧電体422の機械的な共振周波数fEよりも低くなっている。
fTH <fE ……(1)
【0041】
また、制御部35は、所定の場合に、圧電体422の振動周波数fが、この圧電体422の機械的な共振周波数fE付近(好ましくは、共振周波数fE)となるように制御するようになっている。具体的には、制御部35は、定期的に、あるいは、燃料気化部44の温度が所定の閾値温度(例えば、(発電部10の温度−5℃)程度)よりも低くなったときに、圧電体422の振動周波数fが共振周波数fE付近となるように制御を行う。
【0042】
これにより、詳細は後述するが、例えば図5に示した加熱期間(タイミングt2〜t3の期間)のように、圧電体422の振動によって燃料ポンプ42内の液体燃料41が加熱され、この加熱された液体燃料41が燃料気化部44へ供給されるようになっている。なお、圧電体422の機械的な共振周波数fEは、可聴周波数領域の上限値(fmax=16kHz程度)よりも高くなっているのが好ましい。共振周波数fEがこの上限値以下となると、そのような加熱期間内に可聴音が発生してしまうからである。
【0043】
また、本実施の形態の燃料ポンプ42では、例えば図7に示したように、逆止弁425a,425bの上限周波数(閾値周波数fTH)が、可聴周波数領域内の値である場合において、制御部35が所定の場合に、圧電体422の振動周波数fが可聴周波数領域内においてこの閾値周波数fTHよりも高くなるように制御してもよい。すなわち、圧電体422の振動周波数fが、以下の(2)式を満たすようにしてもよい。
fTH <f<fmax ……(2)
【0044】
ここで、上記した所定の場合とは、具体的には、例えば以下の場合が挙げられる。まず、燃料タンク40が着脱可能なものである場合において、そのような燃料タンク40の交換時や、燃料タンク40への液体燃料の注入時などである。また、発電部10における発電異常時やその前兆の検出時(例えば、酸欠状態などが検出されたとき)などである。
【0045】
これは、以下の理由によるものである。すなわち、従来、ユーザーによる燃料カートリッジの交換作業が不完全であった場合や、内蔵タンクへの燃料注入が不完全であった場合、空気取り込み口が閉塞して空気極への酸素供給が停止した場合など、速やかにこれらの状況を改善させないと、不意に電力供給が停止してしまうおそれがあった。そして、このような状況を防ぐ方法として、例えば、燃料カートリッジが正しく交換された時や、発電異常が生じた時、またはその前兆が検出された時などに、ユーザーに対して状況の改善を促すための効果音を発生させる方法などが考えられる。ところが、スピーカーやブザーなどを別途設けると、部材コストが増加すると共に、スピーカー等を駆動する電子回路も設ける必要が生じてしまう。
【0046】
これに対し、本実施の形態の燃料ポンプ42では、上記(2)を満たすようにした場合、圧電体422の振動周波数fが上限周波数(閾値周波数fTH)よりも高いため、逆止弁425a,425bの開閉動作が停止し、燃料ポンプ42による燃料供給動作も停止する。また、圧電体422の振動周波数fが可聴周波数領域内でもあるため、圧電体422の振動によって可聴音が発生することになる。よって、スピーカーなどの部材を別途設けることなく、上記したような所定の場合に、ユーザーへ効果音などを発することが可能となる。また、燃料供給動作が停止しているため、発電部10における本来の発電動作には影響を与えることなく、効果音だけを発生させることが可能となる。
【0047】
本実施の形態の燃料電池システム5は、例えば次のようにして製造することができる。
【0048】
まず、上述した材料よりなる電解質膜11を、上述した材料よりなる燃料電極12および酸素電極13の間に挟んで熱圧着することにより、電解質膜11に燃料電極12および酸素電極13を接合し、単位セル10A〜10Fを形成する。
【0049】
次いで、上述した材料よりなる接続部材20を用意し、図8および図9に示したように、6個の単位セル10A〜10Fを3行×2列に配置し、接続部材20により電気的に直列に接続する。なお、電解質膜11の周辺部には上述した材料よりなる封止材(図示せず)を設け、この封止材を接続部材20の屈曲部23にネジ締めにより固定する。
【0050】
そののち、連結された単位セル10A〜10Fの燃料電極12側に、液体燃料41が収容されると共に燃料ポンプ42およびノズル43等が設けられた燃料タンク40を配設することにより、燃料電池1を形成する。そしてこの燃料電池1に対し、上述した電流検出部31、電圧検出部32、昇圧回路33、二次電池34および制御部35をそれぞれ、図1に示したように電気的に並列接続して取り付ける。以上により、図1〜図4に示した燃料電池システム5が完成する。
【0051】
次に、本実施の形態の燃料電池システム5の作用および効果について詳細に説明する。
【0052】
この燃料電池システム5では、燃料タンク40に収容される液体燃料41が燃料ポンプ42によって汲み上げられることにより、液体燃料41が、流路423a、逆止弁425a、ポンプ室420、逆止弁425bおよび流路423bをこの順に通り、燃料気化部44に到達する。また、燃料気化部44では、ノズル43によって液体燃料が噴出すると、その表面に設けられた拡散部(図示せず)によって広範囲に拡散される。これにより、液体燃料41が自然気化され、気体燃料が発電部10(具体的には、各単位セル10A〜10Fの燃料電極12)に供給される。
【0053】
一方、発電部10の酸素電極13へは、自然換気あるいは空気供給ポンプ(図示せず)によって空気(酸素)が供給される。すると、酸素電極13では、以下の(3)式に示した反応が起こり、水素イオンと電子とが生成される。この水素イオンは電解質膜11を通って燃料電極12へ到達し、燃料電極12では、以下の(4)式に示した反応が起こり、水と二酸化炭素が生成される。よって、燃料電池1全体としては、以下の(5)式に示した反応が生じ、発電が行われる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e− ……(3)
6H++(3/2)O2+6e-→ 3H2O ……(4)
CH3OH+(3/2)O2→ CO2+2H2O ……(5)
【0054】
これにより、液体燃料41すなわちメタノールの化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換され、接続部材20により集電されて、発電部10から電流(発電電流I1)として取り出される。この発電電流I1に基づく発電電圧(直流電圧)V1は、昇圧回路33によって昇圧(電圧変換)され、直流電圧V2となる。この直流電圧V2は、二次電池34または負荷(例えば、電子機器本体)へ供給される。そして、二次電池34へ直流電圧V2が供給された場合、この電圧に基づいて二次電池34に蓄電がなされる一方、出力端子T2,T3を介して負荷6へ直流電圧V2が供給された場合、負荷6が駆動され、所定の動作がなされる。
【0055】
このとき、燃料ポンプ42では、制御部35によって、1回の動作当りの燃料供給量または燃料供給周期Δt、および燃料ポンプ42における圧電体422の振動周波数fが制御され、それに応じて燃料の供給量が調節される。
【0056】
この際、本実施の形態の燃料電池システム5では、図7に示したように、上記したような所定の場合に、圧電体422の振動周波数fが、この圧電体422の機械的な共振周波数fE付近となるように制御される。また、逆止弁425a,425bの開閉動作が可能な上限周波数(閾値周波数fTH)が、圧電体422の機械的な共振周波数fEよりも低くなっている。
【0057】
これにより、圧電体422の振動周波数fが上記共振周波数fE付近になると、逆止弁425a,425bの開閉動作が停止し、燃料ポンプ42による燃料供給動作も停止する。また、圧電体422の振動によって燃料ポンプ42内の液体燃料41が加熱される。すなわち、ほとんど送液せずに、アクチュエーターとしての圧電体422のみを加熱することが可能となる。よって、この圧電体422はポンプ室420の近傍にあるため、ポンプ室420内の液体燃料41のみが選択的にかつ効率よく加熱されることになる。そして、このようにして加熱された液体燃料41は燃料気化部44へ供給され、これにより燃料気化部44において、気化熱による温度低下が抑えられる。なお、圧電体422において、共振周波数fE付近の振動周波数fの振動により生ずる熱量は、液体燃料41の気化熱と略等しくなるようにするのが好ましい。そのような熱量が発生すれば、燃料気化部44における気化熱による温度低下が完全に防止されるからである。
【0058】
ここで、図10は、逆止弁425a,425bの上限周波数(閾値周波数fTH)=約40Hzであり、かつ、圧電体422の共振周波数fE=約45kHzおよび定格駆動電圧=12Vppの燃料ポンプ42の燃料ポンプ42に対し、交流電圧(交流周波数:100kHz、1Vpp)の交流電圧を印加すると共に、(100kHz→1kHz→100kHz→…)という具合に掃引し、燃料ポンプ42本体の2箇所(A点およびB点)の温度およびインピーダンスの変化を観察したときの測定結果を示したものである。
【0059】
まず、図中の符号Ga1,Gb1における矢印で示したように、圧電体422の振動周波数fを、100kHz→1kHzと下げていくと、点Aおよび点Bの温度(それぞれ、符号Ga1,Gb1で示す)は上昇する。そして、振動周波数f=28kHzのときに点Aの温度が極大温度59℃となる一方、振動周波数f=27kHzのときに点Bの温度が極大温度48℃となった。また、点A,Bとも、さらに振動周波数fを下げていくと、温度が低下していった。
【0060】
次に、図中の符号Ga2,Gb2における矢印で示したように、圧電体422の振動周波数fを1kHz→100kHzと上げていくと、点Aおよび点Bの温度(それぞれ、符号Ga2,Gb2で示す)は再び上昇し、振動周波数f=50kHzのときに点Aの温度が極大温度61℃となる一方、振動周波数f=54kHzのときに点Bの温度が極大温度47℃となった。また、点A,Bとも、さらに振動周波数fを上げていくと、温度が低下していった。
【0061】
これらの結果より、わずか1Vppの交流電圧の印加により、燃料ポンプ42が非常に効率よく発熱することが示された。また、圧電体422の共振周波数fE=45kHz付近では逆止弁425a,425bはほとんど動作しないことから、燃料ポンプ42に対して約45kHzの交流電圧を印加することによって、液体燃料41をポンプ室420内に留めたまま、効率的に加熱できることが示された。
【0062】
以上のように本実施の形態では、燃料ポンプ42において、逆止弁425a,425bの開閉動作が可能な上限周波数(閾値周波数fTH)が圧電体422の機械的な共振周波数fEよりも低くなるように設定すると共に、所定の場合に、圧電体422の振動周波数fがこの共振周波数fE付近となるようにしたので、燃料ポンプ42による燃料供給動作を停止させつつ、圧電体422の振動によって燃料ポンプ42の液体燃料41を加熱し、加熱された液体燃料41を燃料気化部44へ供給することができる。また、圧電体422の振動により生ずる熱量であるため、従来のように発電部10における発電特性を損なうこともない。よって、発電特性を損なうことなく、燃料気化部44のフラッディング現象を抑えることが可能となる。
【0063】
また、ヒーターなどの部材を別途設けることなく、燃料ポンプ42を用いて直接加熱することができるため、部材コストを抑えることができる。また、それと共に省スペース化にも寄与し、制御回路も簡素化することができる。
【0064】
また、圧電体422において、共振周波数fE付近の振動周波数fの振動により生ずる熱量が、液体燃料41の気化熱と略等しくなるようにした場合には、燃料気化部44における気化熱による温度低下が完全に防止される。よって、燃料気化部44における水の凝縮(フラッディング現象)を完全に回避することが可能となる。
【0065】
さらに、逆止弁425a,425bの上限周波数(閾値周波数fTH)が、可聴周波数領域内の値である場合において、所定の場合に、圧電体422の振動周波数fが可聴周波数領域内においてこの閾値周波数fTHよりも高くなるようにした場合(圧電体422の振動周波数fが上記(2)式を満たすようにした場合)には、スピーカーなどの部材を別途設けることなく、また発電部10における本来の発電動作には影響を与えることなく、所定の場合に、ユーザーへ効果音などを発することが可能となる。したがって、別途スピーカーやブザーなどを搭載することなしに、例えば正しく燃料カートリッジが装着された後、空気極の閉塞を検出した後などに、効果音を発生させることにより、ユーザーにその状況を伝え、不意に電力供給が停止してしまうような状況を回避することが可能となる。
【0066】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0067】
例えば、上記実施の形態では、圧電体422の機械的な共振周波数fEが、可聴周波数領域の上限値(fmax=16kHz程度)よりも高くなっている場合で説明したが、例えば発生する可聴音がほとんど聞こえないような場合などには、必ずしもそうなっていなくともよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、発電部10が、互いに電気的に直列接続された6つの単位セルを含む場合について説明したが、単位セルの数はこれには限られない。例えば、発電部10が1つの単位セルにより構成されていてもよく、また、2以上の任意の複数の単位セルにより構成されていてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、酸素電極13への空気の供給を自然換気とするようにしたが、ポンプなどを利用して強制的に供給するようにしてもよい。その場合、空気に代えて酸素または酸素を含むガスを供給するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、液体燃料41を収容する燃料タンク40を燃料電池システム5内に内蔵させる場合で説明したが、そのような燃料タンクが、燃料電池システムに対して着脱可能な構成としてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、ダイレクトメタノール型の燃料電池システムについて説明したが、本発明は、これ以外の種類の燃料電池システムについても適用することが可能である。
【0072】
本発明の燃料電池システムは、例えば、携帯電話、電子写真機、電子手帳またはPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯型の電子機器に好適に用いることが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施の形態に係る燃料電池システムの全体構成を表すブロック図である。
【図2】図1に示した発電部の構成例を表す断面図である。
【図3】図1に示した発電部の構成例を表す平面図である。
【図4】燃料ポンプの詳細構成を模式的に表した断面図である。
【図5】圧電体の位置と燃料ポンプの動作状態との関係を表すタイミング図である。
【図6】気化型の燃料供給方式の概要を説明するための特性図である。
【図7】圧電体の振動周波数と燃料ポンプの動作状態との関係を表す特性図である。
【図8】図1に示した発電部の製造方法を説明するための断面図である。
【図9】図1に示した発電部の製造方法を説明するための平面図である。
【図10】圧電体の振動周波数と圧電ポンプの温度およびインピーダンスとの関係の一例を表す特性図である。
【符号の説明】
【0074】
1…燃料電池、10…発電部、10A〜10F…単位セル、11…電解質膜、12…燃料電極、13…酸素電極、20…接続部材、20A…端子、31…電流検出部、32…電圧検出部、33…昇圧回路、34…二次電池、35…制御部、40…燃料タンク、41…液体燃料、42…燃料ポンプ(圧電ポンプ)、420…ポンプ室、421…容器、422…圧電体、423a,423b…流路、424a…吸引口、424b…排出口、425a,425b…逆止弁、43…ノズル、44…燃料気化部、5…燃料電池システム、6…負荷、V1…発電電圧(検出電圧)、V2…直流電圧、I1…発電電流(検出電流)、T1(Tpv(s))…検出温度、Tsv(s)…目標温度、H(s)…所望発熱量、P(s),PPID(s),PE(s)…燃料供給量(燃料噴出量)、P0…位置、P1〜P4…接続点、T2,T3…出力端子、L1L,L1H…接続ライン、LO…出力ライン、LG…接地ライン、f…圧電体の振動周波数、fTH…閾値周波数(上限周波数)、fE…機械的な共振周波数、fmax…可聴周波数領域の上限値、t1〜t4…タイミング、Δt…燃料供給周期。
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタノール等と酸化剤ガス(酸素)との反応により発電を行う燃料電池システムおよびそのような燃料電池システムを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池は、発電効率が高く、有害物質を排出しないため、産業用や家庭用の発電装置として、あるいは人工衛星や宇宙船などの動力源として実用化されてきた。また、近年では、乗用車、バス、トラック等の車両用の動力源としての開発が進んでいる。このような燃料電池は、アルカリ水溶液型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型および直接型メタノールなどの種類に分類される。中でも、ダイレクトメタノール固体高分子電解質型燃料電池(DMFC;Direct Methanol Fuel Cell)は、燃料水素源としてメタノールを用いることによって高エネルギー密度化することができ、また改質器が不要であり小型化が可能であることから、小型携帯用燃料電池向けに研究が進められている。
【0003】
DMFCでは、固体高分子電解質膜を2枚の電極で挟み、一体化させて接合した単位セルであるMEA(Membrane Electrode Assembly;膜電極接合体)が使用される。そしてガス拡散電極の一方を燃料電極(負極)とすると共に、その表面に燃料としてのメタノールを供給すると、メタノールが分解されて水素イオン(プロトン)と電子とが生じ、水素イオンが固体高分子電解質膜を透過する。また、ガス拡散電極の他方を酸素電極(正極)とすると共に、その表面に酸化剤ガスとしての空気を供給すると、空気中の酸素と上記水素イオンおよび電子とが結合し、水が生成される。このような電気化学反応により、DMFCから起電力が生じるようになっている。
【0004】
ここで、このDMFCでは、燃料電極へメタノールを供給する方法として、液体供給型(液体燃料(メタノール水溶液)を、そのまま燃料電極へ供給するもの)と、気化供給型(液体燃料を気化した状態で、燃料電極へ供給するもの)とが提案されている。このうち、気化供給型の燃料電池では、燃料の気化に伴って燃料気化部の温度が下がるため、燃料気化部において生成水が凝縮しやすいという問題があった。このような水の凝縮はフラッディング現象とも呼ばれており、特に環境温度が低いときに顕著に現れ、寒冷地での長時間使用時に発電不良を引き起こす要因となっていた。
【0005】
このような燃料気化部での水の凝縮を防ぐ方法の一つとして、燃料気化部を予め加温しておく方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、加温用のヒーターを別途設ける必要があるだけでなく、燃料気化部全面を暖めるためにエネルギーを無駄に消費するという欠点があった。
【0006】
そこで、加温用のヒーターを用いずにフラッディング現象を防ぐ方法として、発電部で生じる熱によって燃料気化部を加熱するという方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】特開2008−27817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、この特許文献1の方法では、発電部の温度を低下させることとなるため、触媒活性を低下させ、発電そのものの性能を犠牲にしてしまう(発電特性を損なってしまう)という問題があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、発電特性を損なうことなく、燃料気化部のフラッディング現象を抑えることが可能な燃料電池システム、およびそのような燃料電池システムを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の燃料電池システムは、燃料および酸化剤ガスの供給により発電を行う発電部と、圧電体および逆止弁を含んで構成され、発電部側へ液体燃料を供給する圧電ポンプ部と、この圧電ポンプ部により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を発電部へ供給する燃料気化部と、圧電体の振動周波数を制御することによって、圧電ポンプ部による液体燃料の供給量を調整する制御部とを備えたものである。ここで、上記逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数は、圧電体の機械的な共振周波数よりも低くなっている。また、上記制御部は、所定の場合に、圧電体の振動周波数が上記共振周波数付近となるように制御するようになっている。
【0011】
なお、「逆止弁の開閉動作が可能」な状態とは、逆止弁が完全に開閉動作を行うことが可能な状態のみならず、多少の開閉動作がなされてもほとんど液体燃料の供給動作が行われていないような状態をも含む意味である。すなわち、「逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数」とは、例えば、逆止弁の動作周波数を定格値から徐々に高めて行ったときに、逆止弁の開閉動作が圧電体の動作に追随できなくなるなどのメカニズムによって、液体燃料の供給量が、例えば最大値の約10分の1以下まで低下するような周波数を意味している。また、「圧電体の機械的な共振周波数」とは、例えば、圧電体の振幅値が最大となる機械的な共振周波数を意味するものである。
【0012】
本発明の電子機器は、上記燃料電池システムを備えたものである。
【0013】
本発明の燃料電池システムおよび電子機器では、燃料気化部において、圧電ポンプ部により供給された液体燃料が気化されることにより、気体燃料が発電部に供給される。また、発電部では、この気体燃料と酸化剤ガスとの供給により、発電が行われる。そして、圧電ポンプ部における圧電体の振動周波数が制御されることにより、圧電ポンプ部による液体燃料の供給量が調整される。この際、所定の場合には、圧電体の振動周波数が、圧電体の機械的な共振周波数付近となるように制御される。ここで、逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数がこの圧電体の機械的な共振周波数よりも低くなっているため、圧電体の振動周波数が上記共振周波数付近になると、逆止弁の開閉動作が停止し、圧電ポンプ部による燃料供給動作も停止する。また、圧電体の振動によって圧電ポンプ部内の液体燃料が加熱され、この加熱された液体燃料が燃料気化部へ供給される。
【0014】
本発明の燃料電池システムでは、上記上限周波数が可聴周波数領域内の値であると共に、上記制御部が、所定の場合に、圧電体の振動周波数が可聴周波数領域内において上記上限周波数よりも高くなるように制御してもよい。このように構成した場合、圧電体の振動周波数が上記上限周波数よりも高いため、逆止弁の開閉動作が停止し、圧電ポンプ部による燃料供給動作も停止する。また、圧電体の振動周波数が可聴周波数領域内でもあるため、圧電体の振動によって可聴音が発生する。よって、スピーカーなどの部材を別途設けることなく、所定の場合に、ユーザーへ効果音などを発することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の燃料電池システムまたは電子機器によれば、圧電ポンプ部において、逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数が圧電体の機械的な共振周波数よりも低くなるように設定すると共に、所定の場合に、圧電体の振動周波数がこの機械的な共振周波数付近となるようにしたので、圧電ポンプ部による燃料供給動作を停止させつつ、圧電体の振動によって圧電ポンプ部内の液体燃料を加熱し、加熱された液体燃料を燃料気化部へ供給することができる。また、圧電体の振動により生ずる熱量であるため、従来のように発電部における発電特性を損なうこともない。よって、発電特性を損なうことなく、燃料気化部のフラッディング現象を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る燃料電池システム(燃料電池システム5)の全体構成を表すものである。燃料電池システム5は、負荷6を駆動するための電力を出力端子T2,T3を介して供給するものである。この燃料供給システム5は、燃料電池1と、電流検出部31と、電圧検出部32と、昇圧回路33と、二次電池34と、制御部35とから構成されている。
【0018】
燃料電池1は、発電部10と、燃料タンク40と、燃料ポンプ42とを含んで構成されている。なお、この燃料電池1の詳細構成については、後述する。
【0019】
発電部10は、メタノールと酸化剤ガス(例えば、酸素)との反応により発電を行う直接メタノール型の発電部であり、正極(酸素電極)および負極(燃料電極)を有する複数の単位セルを含んで構成されている。なお、この発電部10の詳細構成については、後述する。
【0020】
燃料タンク40は、発電に必要な液体燃料(例えば、メタノールまたはメタノール水溶液)を内蔵するものである。なお、この燃料タンク40の詳細構成については、後述する。
【0021】
燃料ポンプ42は、燃料タンク40に収容された液体燃料を汲み上げて、発電部10側へ供給(輸送)するためのポンプであり、燃料の供給量を調節することができるようになっている。この燃料ポンプ42は、圧電ポンプにより構成されている。また、このような燃料供給ポンプ42の動作(液体燃料の供給動作)は、後述する制御部35によって制御されるようになっている。なお、燃料ポンプ42の詳細構成については、後述する。
【0022】
電流検出部31は、接続ラインL1H上において、発電部10の正極側と接続点P1との間に配置されており、発電部10の発電電流I1を検出するものである。この電流検出部31は、例えば抵抗器を含んで構成されている。なお、このような電流検出部31を、接続ラインL1L上(発電部10の負極側と接続点P2との間)に配置するようにしてもよい。
【0023】
電圧検出部32は、接続ラインL1H上の接続点P1と、接続ラインL1L上の接続点P2との間に配置されており、発電部10の発電電圧V1を検出するものである。この電圧検出部32は、例えば抵抗器を含んで構成されている。
【0024】
昇圧回路33は、接続ラインL1H上の接続点P1と、出力ラインLO上の接続点P3との間に配置されており、発電部10の発電電圧V1(直流電圧)を昇圧して、直流電圧V2を生成する電圧変換部である。この昇圧回路33は、例えばDC/DCコンバータにより構成されている。
【0025】
二次電池34は、出力ラインLO上の接続点P3と、接地ラインLG上の接続点P4との間に配置されており、昇圧回路33により生成された直流電圧V2に基づいて蓄電を行うものである。この二次電池34は、例えばリチウムイオン二次電池などにより構成されている。
【0026】
制御部35は、電流検出部31により検出された発電電流(検出電流)I1と、電圧検出部32により検出された発電電圧(検出電圧)V1とに基づいて、燃料ポンプ42による液体燃料の供給量を調整するものである。具体的には、制御部35は、燃料ポンプ42内の圧電体(後述する圧電体422)の振動周波数fを制御することによって、燃料ポンプ42による液体燃料の供給量を調整するようになっている。このような制御部35は、例えばマイクロコンピュータなどにより構成されている。なお、制御部35の詳細動作については、後述する。
【0027】
次に、図2〜図7を参照して、燃料電池1の詳細構成について説明する。図2および図3は、燃料電池1内の発電部10における単位セル10A〜10Fの構成例を表すものであり、図2は、図3におけるII−II線に沿った矢視断面構成に対応する。単位セル10A〜10Fは、面内方向に例えば3行×2列に配置されると共に、複数の接続部材20により電気的に直列に接続された平面積層構造とされている。単位セル10C,10Fには、接続部材20の延長部分である端子20Aが取り付けられている。また、単位セル10A〜10Fの下方には、燃料タンク40と、燃料ポンプ42と、ノズル43と、燃料気化部44とが設けられている。
【0028】
単位セル10A〜10Fは、それぞれ、電解質膜11を間にして対向配置された燃料電極(負極、アノード電極)12と酸素電極13(正極、カソード電極)とを有している。
【0029】
電解質膜11は、例えば、スルホン酸基(−SO3 H)を有するプロトン伝導材料により構成されている。プロトン伝導材料としては、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系プロトン伝導材料(例えば、デュポン社製「Nafion(登録商標)」)、ポリイミドスルホン酸などの炭化水素系プロトン伝導材料、またはフラーレン系プロトン伝導材料などが挙げられる。
【0030】
燃料電極12および酸素電極13は、例えば、カーボンペーパーなどよりなる集電体に、白金(Pt)あるいはルテニウム(Ru)などの触媒を含む触媒層が形成された構成を有している。触媒層は、例えば、触媒を担持させたカーボンブラックなどの担持体をポリパーフルオロアルキルスルホン酸系プロトン伝導材料などに分散させたものにより構成されている。なお、酸素電極13には図示しない空気供給ポンプが接続されていてもよいし、接続部材20に設けられた開口(図示せず)を介して外部と連通し、自然換気により空気すなわち酸素が供給されるようになっていてもよい。
【0031】
接続部材20は、二つの平坦部21,22の間に屈曲部23を有し、一方の平坦部21において一つの単位セル(例えば、10A)の燃料電極12に接し、他方の平坦部22において隣接する単位セル(例えば、10B)の酸素電極13に接しており、隣接する二つの単位セル(例えば、10A,10B)を電気的に直列に接続すると共に、各単位セル10A〜10Fで発生した電気を集電する集電体としての機能も有している。このような接続部材20は、例えば、厚みが150μmであり、銅(Cu),ニッケル(Ni),チタン(Ti)またはステンレス鋼(SUS)により構成され、金(Au)または白金(Pt)等でめっきされていてもよい。また、接続部材20は、燃料電極12および酸素電極13に燃料および空気をそれぞれ供給するための開口(図示せず)を有しており、例えば、エキスパンドメタルなどのメッシュ類や、パンチングメタルなどにより構成されている。なお、屈曲部23は、予め単位セル10A〜10Fの厚みに合わせて折曲加工されていてもよいし、接続部材20が厚み200μm以下のメッシュなど柔軟性を有している場合は製造工程においてたわむことにより形成されるようにしてもよい。このような接続部材20は、例えば、電解質膜11の周辺部に設けられたPPS(ポリフェニレンスルフィド)あるいはシリコーンゴム等の封止材(図示せず)が接続部材20にネジ締めされることにより、単位セル10A〜10Fに接合されている。
【0032】
燃料タンク40は、例えば、液体燃料41の増減によっても内部に気泡などが入らずに体積が変化する容器(例えばビニール袋など)と、この容器を覆う直方体形状のケース(構造体)とにより構成されている。この燃料タンク40には、その中央付近の上方に、燃料タンク40内の液体燃料41を吸引してノズル43から排出させるための燃料ポンプ42が設けられている。
【0033】
燃料気化部44は、燃料ポンプ42により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を発電部10(各単位セル10A〜10F)へ供給するものである。すなわち、燃料気化部44は、燃料ポンプ42と発電部10との間に配置されるようになっている。このような燃料気化部44は、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどを含む金属や合金、シクロオレフィンコポリマー(COC)などの剛性の高い樹脂材料よりなるプレート(図示せず)上に、燃料の拡散を促進するための拡散部(図示せず)が設けられたものである。拡散部としては、アルミナ、シリカ、酸化チタンなどの無機多孔質材料や樹脂多孔質材料を用いることができる。
【0034】
ノズル43は、燃料ポンプ42の流路(図示せず)によって輸送される燃料の噴出口であり、燃料気化部44の表面に設けられた拡散部に向けて、燃料を噴出するようになっている。これにより、燃料気化部44へ輸送された燃料が拡散気化され、発電部10(各単位セル10A〜10F)に向けて供給される。このノズル43は、例えば直径0.1mm〜0.5mmの口径を有している。
【0035】
ここで、図4〜図7を参照して、燃料ポンプ42の詳細構成について説明する。図4は、燃料ポンプ42の断面構成を模式的に表したものである。
【0036】
燃料ポンプ42は、容器421および圧電体422により形成されるポンプ室420と、燃料タンク40からノズル43までを接続する配管としての一対の流路423a,423bと、一対の逆止弁425a,425bとにより構成されている。この燃料ポンプ42は、図4中の矢印で示したように、アクチュエーターとして機能する圧電体422の屈曲変形と逆止弁425a,425bの開閉動作とを利用して、図中の矢印Pin,Poutで示した経路にて、燃料タンク40側から燃料気化部44側へと液体燃料41を送液する圧電ポンプである。
【0037】
圧電体422は、ポンプ室420の上面を形成しており、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電素子を含んで構成されている。この圧電体422は、変形時に熱を発生するという性質を有している。特に、圧電体422をその機械的な共振周波数(固有周波数)fE(例えば、45kHz程度)付近で振動させた場合、非常に大きな屈曲変形が生じると共に、これによる発熱も大きくなるようになっている。
【0038】
逆止弁425aは、ポンプ室420における吸引口424a部分に設けられている。この吸引口424aは、ポンプ室420と、燃料タンク40側の流路423aとの接続部分に設けられている。一方、逆止弁425bは、ポンプ室420における排出口424b部分に設けられている。この排出口424bは、ポンプ室420と、燃料気化部44側の流路423bとの接続部分に設けられている。このように、液体燃料41の流入側および流出側に2つの逆止弁425a,425bが設けられ、これにより液体燃料41の流れの一方向性が保たれるようになっている。これら逆止弁425a,425bは、その駆動周波数が高くなると、それに従って弁の開閉動作が次第に追いつかなくなり、しまいにはほとんど燃料供給ができなくなってしまうという性質を有している
【0039】
これにより、燃料ポンプ42では、例えば図5中のタイミングt1〜t4で示したように、圧電体422の位置に応じて、液体燃料41の吸引期間(例えば、タイミングt1〜t2,t3〜t4の期間)と、液体燃料41の排出期間(例えば、タイミングt4以降の期間)とが設けられるようになっている。また、圧電体422の振動周波数fの変化や、1回の動作当りの燃料供給量または燃料供給周期Δtの変化に応じて(図6参照)、液体燃料41の供給量を調節することができるようになっている。
【0040】
ここで、本実施の形態の燃料ポンプ42では、例えば図7におよび(1)式に示したように、逆止弁425a,425bの開閉動作が可能な上限周波数(閾値周波数fTH;例えば、40Hz程度)が、上記した圧電体422の機械的な共振周波数fEよりも低くなっている。
fTH <fE ……(1)
【0041】
また、制御部35は、所定の場合に、圧電体422の振動周波数fが、この圧電体422の機械的な共振周波数fE付近(好ましくは、共振周波数fE)となるように制御するようになっている。具体的には、制御部35は、定期的に、あるいは、燃料気化部44の温度が所定の閾値温度(例えば、(発電部10の温度−5℃)程度)よりも低くなったときに、圧電体422の振動周波数fが共振周波数fE付近となるように制御を行う。
【0042】
これにより、詳細は後述するが、例えば図5に示した加熱期間(タイミングt2〜t3の期間)のように、圧電体422の振動によって燃料ポンプ42内の液体燃料41が加熱され、この加熱された液体燃料41が燃料気化部44へ供給されるようになっている。なお、圧電体422の機械的な共振周波数fEは、可聴周波数領域の上限値(fmax=16kHz程度)よりも高くなっているのが好ましい。共振周波数fEがこの上限値以下となると、そのような加熱期間内に可聴音が発生してしまうからである。
【0043】
また、本実施の形態の燃料ポンプ42では、例えば図7に示したように、逆止弁425a,425bの上限周波数(閾値周波数fTH)が、可聴周波数領域内の値である場合において、制御部35が所定の場合に、圧電体422の振動周波数fが可聴周波数領域内においてこの閾値周波数fTHよりも高くなるように制御してもよい。すなわち、圧電体422の振動周波数fが、以下の(2)式を満たすようにしてもよい。
fTH <f<fmax ……(2)
【0044】
ここで、上記した所定の場合とは、具体的には、例えば以下の場合が挙げられる。まず、燃料タンク40が着脱可能なものである場合において、そのような燃料タンク40の交換時や、燃料タンク40への液体燃料の注入時などである。また、発電部10における発電異常時やその前兆の検出時(例えば、酸欠状態などが検出されたとき)などである。
【0045】
これは、以下の理由によるものである。すなわち、従来、ユーザーによる燃料カートリッジの交換作業が不完全であった場合や、内蔵タンクへの燃料注入が不完全であった場合、空気取り込み口が閉塞して空気極への酸素供給が停止した場合など、速やかにこれらの状況を改善させないと、不意に電力供給が停止してしまうおそれがあった。そして、このような状況を防ぐ方法として、例えば、燃料カートリッジが正しく交換された時や、発電異常が生じた時、またはその前兆が検出された時などに、ユーザーに対して状況の改善を促すための効果音を発生させる方法などが考えられる。ところが、スピーカーやブザーなどを別途設けると、部材コストが増加すると共に、スピーカー等を駆動する電子回路も設ける必要が生じてしまう。
【0046】
これに対し、本実施の形態の燃料ポンプ42では、上記(2)を満たすようにした場合、圧電体422の振動周波数fが上限周波数(閾値周波数fTH)よりも高いため、逆止弁425a,425bの開閉動作が停止し、燃料ポンプ42による燃料供給動作も停止する。また、圧電体422の振動周波数fが可聴周波数領域内でもあるため、圧電体422の振動によって可聴音が発生することになる。よって、スピーカーなどの部材を別途設けることなく、上記したような所定の場合に、ユーザーへ効果音などを発することが可能となる。また、燃料供給動作が停止しているため、発電部10における本来の発電動作には影響を与えることなく、効果音だけを発生させることが可能となる。
【0047】
本実施の形態の燃料電池システム5は、例えば次のようにして製造することができる。
【0048】
まず、上述した材料よりなる電解質膜11を、上述した材料よりなる燃料電極12および酸素電極13の間に挟んで熱圧着することにより、電解質膜11に燃料電極12および酸素電極13を接合し、単位セル10A〜10Fを形成する。
【0049】
次いで、上述した材料よりなる接続部材20を用意し、図8および図9に示したように、6個の単位セル10A〜10Fを3行×2列に配置し、接続部材20により電気的に直列に接続する。なお、電解質膜11の周辺部には上述した材料よりなる封止材(図示せず)を設け、この封止材を接続部材20の屈曲部23にネジ締めにより固定する。
【0050】
そののち、連結された単位セル10A〜10Fの燃料電極12側に、液体燃料41が収容されると共に燃料ポンプ42およびノズル43等が設けられた燃料タンク40を配設することにより、燃料電池1を形成する。そしてこの燃料電池1に対し、上述した電流検出部31、電圧検出部32、昇圧回路33、二次電池34および制御部35をそれぞれ、図1に示したように電気的に並列接続して取り付ける。以上により、図1〜図4に示した燃料電池システム5が完成する。
【0051】
次に、本実施の形態の燃料電池システム5の作用および効果について詳細に説明する。
【0052】
この燃料電池システム5では、燃料タンク40に収容される液体燃料41が燃料ポンプ42によって汲み上げられることにより、液体燃料41が、流路423a、逆止弁425a、ポンプ室420、逆止弁425bおよび流路423bをこの順に通り、燃料気化部44に到達する。また、燃料気化部44では、ノズル43によって液体燃料が噴出すると、その表面に設けられた拡散部(図示せず)によって広範囲に拡散される。これにより、液体燃料41が自然気化され、気体燃料が発電部10(具体的には、各単位セル10A〜10Fの燃料電極12)に供給される。
【0053】
一方、発電部10の酸素電極13へは、自然換気あるいは空気供給ポンプ(図示せず)によって空気(酸素)が供給される。すると、酸素電極13では、以下の(3)式に示した反応が起こり、水素イオンと電子とが生成される。この水素イオンは電解質膜11を通って燃料電極12へ到達し、燃料電極12では、以下の(4)式に示した反応が起こり、水と二酸化炭素が生成される。よって、燃料電池1全体としては、以下の(5)式に示した反応が生じ、発電が行われる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e− ……(3)
6H++(3/2)O2+6e-→ 3H2O ……(4)
CH3OH+(3/2)O2→ CO2+2H2O ……(5)
【0054】
これにより、液体燃料41すなわちメタノールの化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換され、接続部材20により集電されて、発電部10から電流(発電電流I1)として取り出される。この発電電流I1に基づく発電電圧(直流電圧)V1は、昇圧回路33によって昇圧(電圧変換)され、直流電圧V2となる。この直流電圧V2は、二次電池34または負荷(例えば、電子機器本体)へ供給される。そして、二次電池34へ直流電圧V2が供給された場合、この電圧に基づいて二次電池34に蓄電がなされる一方、出力端子T2,T3を介して負荷6へ直流電圧V2が供給された場合、負荷6が駆動され、所定の動作がなされる。
【0055】
このとき、燃料ポンプ42では、制御部35によって、1回の動作当りの燃料供給量または燃料供給周期Δt、および燃料ポンプ42における圧電体422の振動周波数fが制御され、それに応じて燃料の供給量が調節される。
【0056】
この際、本実施の形態の燃料電池システム5では、図7に示したように、上記したような所定の場合に、圧電体422の振動周波数fが、この圧電体422の機械的な共振周波数fE付近となるように制御される。また、逆止弁425a,425bの開閉動作が可能な上限周波数(閾値周波数fTH)が、圧電体422の機械的な共振周波数fEよりも低くなっている。
【0057】
これにより、圧電体422の振動周波数fが上記共振周波数fE付近になると、逆止弁425a,425bの開閉動作が停止し、燃料ポンプ42による燃料供給動作も停止する。また、圧電体422の振動によって燃料ポンプ42内の液体燃料41が加熱される。すなわち、ほとんど送液せずに、アクチュエーターとしての圧電体422のみを加熱することが可能となる。よって、この圧電体422はポンプ室420の近傍にあるため、ポンプ室420内の液体燃料41のみが選択的にかつ効率よく加熱されることになる。そして、このようにして加熱された液体燃料41は燃料気化部44へ供給され、これにより燃料気化部44において、気化熱による温度低下が抑えられる。なお、圧電体422において、共振周波数fE付近の振動周波数fの振動により生ずる熱量は、液体燃料41の気化熱と略等しくなるようにするのが好ましい。そのような熱量が発生すれば、燃料気化部44における気化熱による温度低下が完全に防止されるからである。
【0058】
ここで、図10は、逆止弁425a,425bの上限周波数(閾値周波数fTH)=約40Hzであり、かつ、圧電体422の共振周波数fE=約45kHzおよび定格駆動電圧=12Vppの燃料ポンプ42の燃料ポンプ42に対し、交流電圧(交流周波数:100kHz、1Vpp)の交流電圧を印加すると共に、(100kHz→1kHz→100kHz→…)という具合に掃引し、燃料ポンプ42本体の2箇所(A点およびB点)の温度およびインピーダンスの変化を観察したときの測定結果を示したものである。
【0059】
まず、図中の符号Ga1,Gb1における矢印で示したように、圧電体422の振動周波数fを、100kHz→1kHzと下げていくと、点Aおよび点Bの温度(それぞれ、符号Ga1,Gb1で示す)は上昇する。そして、振動周波数f=28kHzのときに点Aの温度が極大温度59℃となる一方、振動周波数f=27kHzのときに点Bの温度が極大温度48℃となった。また、点A,Bとも、さらに振動周波数fを下げていくと、温度が低下していった。
【0060】
次に、図中の符号Ga2,Gb2における矢印で示したように、圧電体422の振動周波数fを1kHz→100kHzと上げていくと、点Aおよび点Bの温度(それぞれ、符号Ga2,Gb2で示す)は再び上昇し、振動周波数f=50kHzのときに点Aの温度が極大温度61℃となる一方、振動周波数f=54kHzのときに点Bの温度が極大温度47℃となった。また、点A,Bとも、さらに振動周波数fを上げていくと、温度が低下していった。
【0061】
これらの結果より、わずか1Vppの交流電圧の印加により、燃料ポンプ42が非常に効率よく発熱することが示された。また、圧電体422の共振周波数fE=45kHz付近では逆止弁425a,425bはほとんど動作しないことから、燃料ポンプ42に対して約45kHzの交流電圧を印加することによって、液体燃料41をポンプ室420内に留めたまま、効率的に加熱できることが示された。
【0062】
以上のように本実施の形態では、燃料ポンプ42において、逆止弁425a,425bの開閉動作が可能な上限周波数(閾値周波数fTH)が圧電体422の機械的な共振周波数fEよりも低くなるように設定すると共に、所定の場合に、圧電体422の振動周波数fがこの共振周波数fE付近となるようにしたので、燃料ポンプ42による燃料供給動作を停止させつつ、圧電体422の振動によって燃料ポンプ42の液体燃料41を加熱し、加熱された液体燃料41を燃料気化部44へ供給することができる。また、圧電体422の振動により生ずる熱量であるため、従来のように発電部10における発電特性を損なうこともない。よって、発電特性を損なうことなく、燃料気化部44のフラッディング現象を抑えることが可能となる。
【0063】
また、ヒーターなどの部材を別途設けることなく、燃料ポンプ42を用いて直接加熱することができるため、部材コストを抑えることができる。また、それと共に省スペース化にも寄与し、制御回路も簡素化することができる。
【0064】
また、圧電体422において、共振周波数fE付近の振動周波数fの振動により生ずる熱量が、液体燃料41の気化熱と略等しくなるようにした場合には、燃料気化部44における気化熱による温度低下が完全に防止される。よって、燃料気化部44における水の凝縮(フラッディング現象)を完全に回避することが可能となる。
【0065】
さらに、逆止弁425a,425bの上限周波数(閾値周波数fTH)が、可聴周波数領域内の値である場合において、所定の場合に、圧電体422の振動周波数fが可聴周波数領域内においてこの閾値周波数fTHよりも高くなるようにした場合(圧電体422の振動周波数fが上記(2)式を満たすようにした場合)には、スピーカーなどの部材を別途設けることなく、また発電部10における本来の発電動作には影響を与えることなく、所定の場合に、ユーザーへ効果音などを発することが可能となる。したがって、別途スピーカーやブザーなどを搭載することなしに、例えば正しく燃料カートリッジが装着された後、空気極の閉塞を検出した後などに、効果音を発生させることにより、ユーザーにその状況を伝え、不意に電力供給が停止してしまうような状況を回避することが可能となる。
【0066】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0067】
例えば、上記実施の形態では、圧電体422の機械的な共振周波数fEが、可聴周波数領域の上限値(fmax=16kHz程度)よりも高くなっている場合で説明したが、例えば発生する可聴音がほとんど聞こえないような場合などには、必ずしもそうなっていなくともよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、発電部10が、互いに電気的に直列接続された6つの単位セルを含む場合について説明したが、単位セルの数はこれには限られない。例えば、発電部10が1つの単位セルにより構成されていてもよく、また、2以上の任意の複数の単位セルにより構成されていてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、酸素電極13への空気の供給を自然換気とするようにしたが、ポンプなどを利用して強制的に供給するようにしてもよい。その場合、空気に代えて酸素または酸素を含むガスを供給するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、液体燃料41を収容する燃料タンク40を燃料電池システム5内に内蔵させる場合で説明したが、そのような燃料タンクが、燃料電池システムに対して着脱可能な構成としてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、ダイレクトメタノール型の燃料電池システムについて説明したが、本発明は、これ以外の種類の燃料電池システムについても適用することが可能である。
【0072】
本発明の燃料電池システムは、例えば、携帯電話、電子写真機、電子手帳またはPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯型の電子機器に好適に用いることが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施の形態に係る燃料電池システムの全体構成を表すブロック図である。
【図2】図1に示した発電部の構成例を表す断面図である。
【図3】図1に示した発電部の構成例を表す平面図である。
【図4】燃料ポンプの詳細構成を模式的に表した断面図である。
【図5】圧電体の位置と燃料ポンプの動作状態との関係を表すタイミング図である。
【図6】気化型の燃料供給方式の概要を説明するための特性図である。
【図7】圧電体の振動周波数と燃料ポンプの動作状態との関係を表す特性図である。
【図8】図1に示した発電部の製造方法を説明するための断面図である。
【図9】図1に示した発電部の製造方法を説明するための平面図である。
【図10】圧電体の振動周波数と圧電ポンプの温度およびインピーダンスとの関係の一例を表す特性図である。
【符号の説明】
【0074】
1…燃料電池、10…発電部、10A〜10F…単位セル、11…電解質膜、12…燃料電極、13…酸素電極、20…接続部材、20A…端子、31…電流検出部、32…電圧検出部、33…昇圧回路、34…二次電池、35…制御部、40…燃料タンク、41…液体燃料、42…燃料ポンプ(圧電ポンプ)、420…ポンプ室、421…容器、422…圧電体、423a,423b…流路、424a…吸引口、424b…排出口、425a,425b…逆止弁、43…ノズル、44…燃料気化部、5…燃料電池システム、6…負荷、V1…発電電圧(検出電圧)、V2…直流電圧、I1…発電電流(検出電流)、T1(Tpv(s))…検出温度、Tsv(s)…目標温度、H(s)…所望発熱量、P(s),PPID(s),PE(s)…燃料供給量(燃料噴出量)、P0…位置、P1〜P4…接続点、T2,T3…出力端子、L1L,L1H…接続ライン、LO…出力ライン、LG…接地ライン、f…圧電体の振動周波数、fTH…閾値周波数(上限周波数)、fE…機械的な共振周波数、fmax…可聴周波数領域の上限値、t1〜t4…タイミング、Δt…燃料供給周期。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料および酸化剤ガスの供給により発電を行う発電部と、
圧電体および逆止弁を含んで構成され、前記発電部側へ液体燃料を供給する圧電ポンプ部と、
前記圧電ポンプ部により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を前記発電部へ供給する燃料気化部と、
前記圧電体の振動周波数を制御することによって、前記圧電ポンプ部による液体燃料の供給量を調整する制御部と
を備え、
前記逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数が、前記圧電体の機械的な共振周波数よりも低くなっており、
前記制御部は、所定の場合に、前記圧電体の振動周波数が前記共振周波数付近となるように制御する
燃料電池システム。
【請求項2】
前記圧電体において前記共振周波数付近の振動周波数の振動により生ずる熱量が、前記液体燃料の気化熱と略等しい
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料気化部が、前記圧電ポンプ部と前記発電部との間に配置されている
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御部は、定期的に、前記圧電体の振動周波数が前記共振周波数付近となるように制御を行う
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記燃料気化部の温度が所定の閾値温度よりも低くなったときに、前記圧電体の振動周波数が前記共振周波数付近となるように制御を行う
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記共振周波数が、可聴周波数領域の上限値よりも高くなっている
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記上限周波数が、可聴周波数領域内の値となっており、
前記制御部は、所定の場合に、前記圧電体の振動周波数が、可聴周波数領域内において前記上限周波数よりも高くなるように制御する
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記液体燃料を収容すると共に着脱可能な燃料タンクを備え、
前記制御部は、前記燃料タンクの交換時、または、前記燃料タンクへの液体燃料の注入時に、前記圧電体の振動周波数が可聴周波数領域内において前記上限周波数よりも高くなるように制御を行う
請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記発電部における発電異常時、または、その前兆の検出時に、前記圧電体の振動周波数が可聴周波数領域内において前記上限周波数よりも高くなるように制御を行う
請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記液体燃料を収容する燃料タンクを備えた
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
燃料電池システムを備え、
前記燃料電池システムは、
燃料および酸化剤ガスの供給により発電を行う発電部と、
圧電体および逆止弁を含んで構成され、前記発電部側へ液体燃料を供給する圧電ポンプ部と、
前記圧電ポンプ部により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を前記発電部へ供給する燃料気化部と、
前記圧電体の振動周波数を制御することによって、前記圧電ポンプ部による液体燃料の供給量を調整する制御部と
を有し、
前記逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数が、前記圧電体の機械的な共振周波数よりも低くなっており、
前記制御部は、所定の場合に、前記圧電体の振動周波数が前記機械的な共振周波数付近となるように制御する
電子機器。
【請求項1】
燃料および酸化剤ガスの供給により発電を行う発電部と、
圧電体および逆止弁を含んで構成され、前記発電部側へ液体燃料を供給する圧電ポンプ部と、
前記圧電ポンプ部により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を前記発電部へ供給する燃料気化部と、
前記圧電体の振動周波数を制御することによって、前記圧電ポンプ部による液体燃料の供給量を調整する制御部と
を備え、
前記逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数が、前記圧電体の機械的な共振周波数よりも低くなっており、
前記制御部は、所定の場合に、前記圧電体の振動周波数が前記共振周波数付近となるように制御する
燃料電池システム。
【請求項2】
前記圧電体において前記共振周波数付近の振動周波数の振動により生ずる熱量が、前記液体燃料の気化熱と略等しい
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料気化部が、前記圧電ポンプ部と前記発電部との間に配置されている
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御部は、定期的に、前記圧電体の振動周波数が前記共振周波数付近となるように制御を行う
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記燃料気化部の温度が所定の閾値温度よりも低くなったときに、前記圧電体の振動周波数が前記共振周波数付近となるように制御を行う
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記共振周波数が、可聴周波数領域の上限値よりも高くなっている
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記上限周波数が、可聴周波数領域内の値となっており、
前記制御部は、所定の場合に、前記圧電体の振動周波数が、可聴周波数領域内において前記上限周波数よりも高くなるように制御する
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記液体燃料を収容すると共に着脱可能な燃料タンクを備え、
前記制御部は、前記燃料タンクの交換時、または、前記燃料タンクへの液体燃料の注入時に、前記圧電体の振動周波数が可聴周波数領域内において前記上限周波数よりも高くなるように制御を行う
請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記発電部における発電異常時、または、その前兆の検出時に、前記圧電体の振動周波数が可聴周波数領域内において前記上限周波数よりも高くなるように制御を行う
請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記液体燃料を収容する燃料タンクを備えた
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
燃料電池システムを備え、
前記燃料電池システムは、
燃料および酸化剤ガスの供給により発電を行う発電部と、
圧電体および逆止弁を含んで構成され、前記発電部側へ液体燃料を供給する圧電ポンプ部と、
前記圧電ポンプ部により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を前記発電部へ供給する燃料気化部と、
前記圧電体の振動周波数を制御することによって、前記圧電ポンプ部による液体燃料の供給量を調整する制御部と
を有し、
前記逆止弁の開閉動作が可能な上限周波数が、前記圧電体の機械的な共振周波数よりも低くなっており、
前記制御部は、所定の場合に、前記圧電体の振動周波数が前記機械的な共振周波数付近となるように制御する
電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−49927(P2010−49927A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212830(P2008−212830)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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