説明

燃料電池システム

【課題】燃料電池システムにおいて、排熱回収系が異常となったときに燃料電池システムを停止運転する安全装置を備えた場合に、異常発生箇所を的確に判定する。
【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池24の排熱と貯湯水との間で熱交換することで排熱を貯湯水に回収して蓄える排熱回収系30と、補機用電源55からの駆動電圧を補機に供給している電源回路57に設けられ該電源回路57を貯湯水の温度に応じて連通・遮断する電源遮断装置56と、補機用電源55の出力電圧を検出する電圧検出装置55aと、貯湯水の温度を検出する温度センサ32cと、制御装置60と、を備えている。制御装置60は、電圧検出装置55aにより検出された補機用電源の出力電圧および温度センサ32cにより検出された貯湯水の温度から、補機用電源55および排熱回収系30のいずれが異常であるかを判定する判定手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムの一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の図1に示されているように、燃料電池システムは、第1の流体(8)を熱源(駆動源2)側に循環させる第1の流路(循環路6)、第1の流体を圧送する第1のポンプ(10、循環ポンプ10A)、第2の流体(14、温水14A)を流す第2の流路(循環路12)、第2の流体を圧送する第2のポンプ(20、循環ポンプ20A)、第1及び第2の流体間で熱交換を行う熱交換手段(熱交換器16、16A)、第1のポンプ又は第2のポンプの一方又は双方の制御により、第1の流体の熱源前後の温度差の調節、第2の流体の流量調整を行う制御手段(制御部18)を備えた熱交換装置及び熱交換処理を実現する処理方法であって、熱源側の耐久性能を低下させることなく、また、熱源側の熱量に依存することなく、熱交換の最適化を実現するようになっている。
【0003】
また、燃料電池システムの他の一形式として、特許文献2に示されているものが知られている。特許文献2の図1に示されているように、燃料電池システムは、燃料を改質して水素を得る燃料改質装置11と、燃料改質装置から水素を供給され発電する燃料電池本体12と、燃料電池本体及び燃料改質装置から発生する排熱を回収する排熱回収装置14と、燃料改質装置、燃料電池本体及び排熱回収装置を制御する制御装置15とを備え、さらに温度センサ20を備え、制御装置15は、温度センサの出力で連続運転方式と、1日の中で1回以上の起動と停止を行う間歇運転方式とを切り替えるようになっている。制御装置は、月日に基づいて運転を切り替えたり、市水の温度に基づき運転を切り替えたり、気温や貯湯槽の状況により運転を切り替えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−139396号公報
【特許文献2】特開2004−006217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1および特許文献2に記載されている燃料電池システムにおいては、排熱を回収する排熱回収系を有しているが、排熱回収系が異常となったとき(例えば排熱回収水が高温となったとき)に燃料電池システムを停止運転するようになっていない。これに対し、排熱回収系が異常となったときに燃料電池システムを停止運転する安全装置を備えることが要請されている。この場合、燃料電池システムを構成する補機への電源電圧の供給を停止するように構成することで燃料電池システムを停止運転することが考えられる。しかし、補機用電源の異常により電源電圧の供給が停止されたのか、排熱回収系の異常により電源電圧の供給が停止されたのかが判定できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、燃料電池システムにおいて、排熱回収系が異常となったときに燃料電池システムを停止運転する安全装置を備えた場合に、異常発生箇所を的確に判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、燃料電池の排熱と貯湯水との間で熱交換することで排熱を貯湯水に回収して蓄える排熱回収系と、燃料、酸化剤ガスおよび貯湯水を供給する補機に駆動電圧を供給する補機用電源と、補機用電源からの駆動電圧を補機に供給している電源回路に設けられ該電源回路を貯湯水の温度に応じて連通・遮断する電源遮断装置と、補機用電源の出力電圧を検出する電圧検出装置と、貯湯水の温度を検出する温度センサと、燃料、酸化剤ガスおよび貯湯水の供給を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、電圧検出装置により検出された補機用電源の出力電圧および温度センサにより検出された貯湯水の温度から、補機用電源および排熱回収系のいずれが異常であるかを判定する判定手段を備えている。
【0008】
また請求項2に係る発明は、請求項1において、電源遮断装置は、貯湯水の温度を感知しその温度変化に応じて変形する感熱部と、感熱部の変形に応じて電源回路を連通・遮断するスイッチ部と、を備えており、温度センサは、電源遮断装置の感熱部により感知される貯湯水の温度を検出する。
【0009】
また請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、判定手段は、電圧検出装置により検出された補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、温度センサにより検出された貯湯水の温度が所定温度未満である場合に、補機用電源が異常であると判定する。
【0010】
また請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2において、判定手段は、電圧検出装置により検出された補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、温度センサにより検出された貯湯水の温度が所定温度以上である場合に、排熱回収系が異常であると判定する。
【0011】
また請求項5に係る発明は、請求項1または請求項2において、判定手段は、電圧検出装置により検出された補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、温度センサにより検出された貯湯水の温度が所定温度以上である状態が第1の所定時間継続した場合に、排熱回収系が異常であると判定する。
【0012】
また請求項6に係る発明は、請求項1または請求項2において、判定手段は、電圧検出装置により検出された補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、温度センサにより検出された貯湯水の温度が所定温度未満である状態が第1の所定時間より長い第2の所定時間継続した場合に、補機用電源が異常であると判定する。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、燃料電池システムにおいては、貯湯水の温度が所定の動作温度以上となった場合、電源遮断装置が補機用電源からの駆動電圧を補機に供給している電源回路を遮断することができる。よって、排熱回収系が異常となったとき(例えば貯湯水が高温となったとき)に燃料電池システムを停止運転する安全装置として電源遮断装置を備えることができる。また、判定手段は、電圧検出装置により検出された補機用電源の出力電圧および温度センサにより検出された貯湯水の温度から、補機用電源および排熱回収系のいずれが異常であるかを判定する。これにより、補機への電源電圧の供給を停止するように構成することで燃料電池システムを停止運転するようにした場合、補機用電源の異常により電源電圧の供給が停止されたのか、排熱回収系の異常により電源電圧の供給が停止されたのか、すなわち異常発生箇所を的確に判定することができる。
【0014】
また請求項2に係る発明は、請求項1において、請求項1において、電源遮断装置は、貯湯水の温度を感知しその温度変化に応じて変形する感熱部と、感熱部の変形に応じて電源回路を連通・遮断するスイッチ部と、を備えており、温度センサは電源遮断装置の付近に設置され、電源遮断装置の感熱部により感知される貯湯水の温度を検出するため、電源遮断装置の実際の遮断動作温度を検出することで、異常発生箇所をより正確に判定することができる。
【0015】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1または請求項2において、判定手段は、電圧検出装置により検出された補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、温度センサにより検出された貯湯水の温度が所定温度未満である場合に、補機用電源が異常であると判定する。これにより、補機用電源が異常であることを的確に判定することができる。
【0016】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項1または請求項2において、判定手段は、電圧検出装置により検出された補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、温度センサにより検出された貯湯水の温度が所定温度以上である場合に、排熱回収系が異常であると判定する。これにより、排熱回収系が異常であることを的確に判定することができる。
【0017】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、請求項1または請求項2において、判定手段は、電圧検出装置により検出された補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、温度センサにより検出された貯湯水の温度が所定温度以上である状態が第1の所定時間継続した場合に、排熱回収系が異常であると判定する。これにより、排熱回収系が異常であることを的確かつ正確に判定することができる。
【0018】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、請求項1または請求項2において、判定手段は、電圧検出装置により検出された補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、温度センサにより検出された貯湯水の温度が所定温度未満である状態が第1の所定時間より長い第2の所定時間継続した場合に、補機用電源が異常であると判定する。これにより、補機用電源が異常であることを的確かつ正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による燃料電池システムの一実施形態の概要を示す概要図である。
【図2】図1に示す電源遮断装置の構造を示す断面図であり、(a)は電源回路を閉じている状態を示し、(b)は電源回路を開いている状態を示している。
【図3】図1に示す燃料電池システムを示すブロック図である。
【図4】図3に示す制御装置で実行される制御プログラム(異常判定)のフローチャートである。
【図5】図4に示すフローチャートを実行したときの一実施例のタイムチャートである。
【図6】図3に示す制御装置で実行される制御プログラム(異常判定)のフローチャートである。
【図7】図6に示すフローチャートを実行したときの一実施例のタイムチャートである。
【図8】図3に示す制御装置で実行される制御プログラム(補機用電源故障判定後の処理)のフローチャートである。
【図9】図3に示す制御装置で実行される制御プログラム(排熱回収系異常判定後の処理)のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による燃料電池システムの一実施の形態について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは、箱状の筐体11、燃料電池モジュール20、排熱回収システム30、インバータ装置50および制御装置60を備えている。
【0021】
筐体11は、筐体11内を区画して第1室R1および第2室R2を形成する仕切部材12を備えている。第1室R1は第1空間を形成し、第2室R2は第2空間を形成する。仕切部材12は、筐体11を上下に区画する(仕切る)板状部材である。筐体11内には、仕切部材12より上方および下方に第1室R1および第2室R2が形成される。
【0022】
燃料電池モジュール20は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて収納されている。燃料電池モジュール20は、ケーシング21、燃料電池24を少なくとも含んで構成されるものである。本実施の形態では、燃料電池モジュール20は、ケーシング21、蒸発部22、改質部23および燃料電池24を備えている。
【0023】
ケーシング21は、断熱性材料で箱状に形成されている。ケーシング21は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて図示しない支持構造により支持されている。ケーシング21内には、蒸発部22、改質部23および燃料電池24が配設されている。このとき、蒸発部22、改質部23が燃料電池24の上方に位置するように配設されている。
【0024】
蒸発部22は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部22は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部23に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPGなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
【0025】
この蒸発部22には、一端(下端)が水タンク13内に配設された給水管41の他端が接続されている。給水管41には、改質水ポンプ41aが設けられている。改質水ポンプ41aは、蒸発部22に改質水を供給するとともにその改質水供給量を調整するものである。
【0026】
また、蒸発部22には、燃料供給源(図示省略)からの改質用原料が改質用原料供給管42を介して供給されている。改質用原料供給管42には、上流から順番に一対の原料バルブ(図示省略)、脱硫器42a、および原料ポンプ42bが設けられている。原料バルブは改質用原料供給管42を開閉する電磁開閉弁である。脱硫器42aは改質用原料中の硫黄分(例えば、硫黄化合物)を除去するものである。原料ポンプ42bは、燃料供給源からの燃料供給量を調整するものである。
【0027】
改質部23は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部22から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部23内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は燃料電池24の燃料極に導出されるようになっている。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応であり、一酸化炭素シフト反応は発熱反応である。
【0028】
燃料電池24は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル24aが積層されて構成されている。本実施の形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池24の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は400〜1000℃程度である。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部23は省略することができる。
【0029】
セル24aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路24bが形成されている。セル24aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路24cが形成されている。
【0030】
燃料電池24は、マニホールド25上に設けられている。マニホールド25には、改質部23からの改質ガスが改質ガス供給管43を介して供給される。燃料流路24bは、その下端(一端)がマニホールド25の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ44a(カソードエア送出(送風)手段)によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管44を介して供給され、空気流路24cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0031】
カソードエアブロワ44aは、第2室R2内に配設されている。カソードエアブロワ44aは、第2室R2内の空気を吸入し燃料電池24の空気極に吐出するものであり、その吐出量は調整制御(例えば燃料電池24の負荷電力量(消費電力量)に応じて制御)されるものである。
【0032】
燃料電池24においては、燃料極に供給された燃料と空気極に供給された酸化剤ガスによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1および化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路24bおよび空気流路24cからは、発電に使用されなかった改質ガスおよび酸化剤ガス(空気)が導出する。
【0033】
(化1)
+O2−→HO+2e
【0034】
(化2)
CO+O2−→CO+2e
【0035】
(化3)
1/2O+2e→O2−
【0036】
そして、燃料流路24bおよび空気流路24cから導出した、発電に使用されなかった改質ガスは、燃料電池24と蒸発部22(改質部23)の間の燃焼空間R3にて、発電に使用されなかった酸化剤ガス(空気)によって燃焼され、その燃焼ガスによって蒸発部22および改質部23が加熱される。さらには、燃料電池モジュール20内を動作温度に加熱している。その後、燃焼ガスは排気口21aから燃料電池モジュール20の外に排気される。
【0037】
排熱回収システム30は、燃料電池24の排熱と貯湯水との間で熱交換することで排熱を貯湯水に回収して蓄える排熱回収系である。排熱回収システム30は、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン32と、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器33と、が備えられている。
【0038】
貯湯槽31は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽31の柱状容器の下部には水道水などの水(低温の水)が補給され、貯湯槽31に貯留された高温の温水が貯湯槽31の柱状容器の上部から導出されるようになっている。
【0039】
貯湯水循環ライン32の一端は貯湯槽31の下部に、他端は貯湯槽31の上部に接続されている。貯湯水循環ライン32上には、一端から他端に向かって順番に貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプ32a、第1温度センサ32b、熱交換器33、第2温度センサ32cおよび第3温度センサ32dが配設されている。貯湯水循環ポンプ32aは、貯湯槽31の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環ライン32を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽31の上部に吐出するものであり、その流量(送出量)が制御されるようになっている。貯湯水循環ポンプ32aは、第3温度センサ32dの検出温度(貯湯水の貯湯槽31の入口温度)が所定の温度または温度範囲となるように、送出量が制御されるようになっている。
【0040】
第1温度センサ32bは、熱交換器33の貯湯水導入側の貯湯水循環ライン32であって熱交換器33と貯湯槽31との間に配設されている。第1温度センサ32bは、貯湯水の熱交換器33の入口温度すなわち貯湯水の貯湯槽31の出口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0041】
第2温度センサ32cは、熱交換器33の貯湯水導出側の貯湯水循環ライン32であって熱交換器33と貯湯槽31との間に配設されている。すなわち、第2温度センサ32cは、電源遮断装置56付近に配設されており、電源遮断装置56により検出(感温)される貯湯水の温度を検出するものである。この第2温度センサ32cは、貯湯水の熱交換器33の出口温度すなわち貯湯水の電源遮断装置56付近の温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0042】
第3温度センサ32dは、熱交換器33の貯湯水導出側の貯湯水循環ライン32であって電源遮断装置56貯湯槽31との間に配設されている。第3温度センサ32dは、貯湯水の熱交換器33の出口温度すなわち貯湯水の貯湯槽31の入口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。尚、第2温度センサ32cと第3温度センサ32dは分けずに、1つに統合させても良い。
【0043】
熱交換器33は、燃料電池モジュール20から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽31からの貯湯水が供給され燃焼排ガスと貯湯水が熱交換する熱交換器である。この熱交換器33は、筐体11内に配設されている。本実施の形態では、熱交換器33は、燃料電池モジュール20の下部に設けられており、少なくとも熱交換器33の下部は仕切部材12を貫通して第2室R2に突出されて配設されている。
【0044】
熱交換器33は、ケーシング33aを備えている。ケーシング33aの上部には、燃料電池モジュール20のケーシング21の下部に設けられ燃焼排ガスが導出される排気口21aに連通する接続管45が接続されている。ケーシング33aの下部には、第1排気口11aに接続されている排気管46が接続されている。ケーシング33aの底部には、純水器14に接続されている凝縮水供給管47が接続されている。ケーシング33a内には、貯湯水循環ライン32に接続されている熱交換部(凝縮部)33bが配設されている。
【0045】
このように構成された熱交換器33においては、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、接続管45を通ってケーシング33a内に導入され、貯湯水が流通する熱交換部33bを通る際に貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管46を通って第1排気口11aから外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管47を通って純水器14に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部33bに流入した貯湯水は、加熱されて流出される。
【0046】
さらに、貯湯水循環ライン32上には、熱交換器33の貯湯水導出側の貯湯水循環ライン32であって熱交換器33と貯湯槽31との間に、電源遮断装置56が設けられている。電源遮断装置56は、補機用電源55(インバータ装置50)からの駆動電圧を補機に供給している電源回路57に設けられ該電源回路57を貯湯水の温度に応じて連通・遮断するものである。本実施形態では、電源遮断装置56は補機用電源55と補機用駆動回路60aとの間に設けるようにしたが、補機用駆動回路60aと補機との間、インバータ装置50と補機用電源55との間に設けるようにしてもよい。
【0047】
電源遮断装置56は、図2に示すように、ハウジング56a、感熱部56b、キャップ56c、スイッチ部56dおよび駆動ピン56eを備えている。ハウジング56aは、有底筒状の本体ケース56a1と支持体56a2とで構成されている。
【0048】
感熱部56bは、貯湯水の温度を感知しその温度変化に応じて変形するものである。感熱部56bは、支持体56a2の外側面に保持されており、例えばバイメタルや形状記憶合金で構成されている。貯湯水の昇温により感熱部56bの温度が所定の動作温度(例えば97℃)以上になると、感熱部56bが、その感熱部56bを構成する金属の熱膨張率差により変形し(下側に凸となるように変形し)、駆動ピン56eが、可動ばね片56d2を変形させるように駆動される。なお、感熱部56bは、動作温度以上となって一旦変形すると、もとの形状に復帰するには、その対象温度が動作温度より低い所定の復帰温度(例えば70℃)とならなければならない。すなわち、感熱部56bの温度が復帰温度未満となれば、図2(a)に示すように、感熱部56bは、上側が凸となって復帰する。
【0049】
キャップ56cは、支持体56a2の上から本体ケース56a1の外側に嵌装され、感熱部56bを支持体56a2に固定している。このとき、感熱部56bの周縁部がキャップ56cと支持体56a2とにより挟持されており、感熱部56bの中央部は貯湯水の温度に応じて変形可能である。キャップ56cの感熱部56bに対向する部分には開口56c1が形成されている。それにより、感熱部56bは、この電源遮断装置56が設置される付近の熱を受けることができる。
【0050】
スイッチ部56dは、感熱部56bの変形に応じて電源回路57を連通・遮断するスイッチであり、ハウジング56aの内部に設けられている。スイッチ部56dは、本体ケース56a1の筒状部の略中央部に固定され端子56fに接続されている固定接点56d1と、本体ケース56a1の筒状部に基端が固定され端子56gに接続されている可動ばね片56d2と、可動ばね片56d2の先端に設けられ固定接点56d1と対向する可動接点56d3と、を含んで構成されている。スイッチ部56dは、端子56f,56gを介して電源回路57に接続されている。
【0051】
可動バネ片56d2は、可動接点56d3が固定接点56d1に当接するように付勢されており、後述する駆動ピン56eが下方に押圧されていないときには、可動接点56d3は固定接点56d1に当接しているので、スイッチ部56dは閉状態にある(図2(a)参照)。このとき、電源回路57は連通されている。一方、駆動ピン56eが下方に押圧されているときには、可動バネ片56d2はその付勢力に抗して下方に押されるため、可動接点56d3は固定接点56d1から離れるので、スイッチ部56dは開状態にある(図2(b)参照)。このとき、電源回路57は遮断されている。
【0052】
駆動ピン56eは、支持体56a2の中央部において、本体ケース56a1の中心軸方向に摺動可能に軸支されている。駆動ピン56eは、感熱部56bとスイッチ56dの可動バネ片56d2との間に配設されており、感熱部56bとスイッチ56dの可動バネ片56d2とによって移動可能に保持されている。駆動ピン56eは、感熱部56bの変形によって駆動され、その変形をスイッチ部56dに伝達するものである。
【0053】
また、燃料電池システムは、図1に示すように、水タンク13および純水器14を備えている。水タンク13および純水器14は第2室R2内に配設されている。水タンク13は、純水器14から導出された純水を貯めておくものである。純水タンク13には、純水タンク13内の純水量を検出する図示しない水量センサ(水位センサ)が設けられている。水量センサは例えばフロート式、静電容量式などの水位計である。水量センサは制御装置に検出信号を送信するようになっている。
【0054】
純水器14は、活性炭とイオン交換樹脂を内蔵しており、例えばフレーク状の活性炭と粒状のイオン交換樹脂を充填している。また被処理水の状態によっては、中空糸フィルタを設置しても良い。純水器14は、熱交換器33からの凝縮水を活性炭とイオン交換樹脂によって純水化するものである。純水器14は、配管48を介して純水タンク13に連通しており、純水器14内の純水は配管48を通って純水タンク13に導出される。
【0055】
また、燃料電池システムは、第2室R2を形成する筐体11に形成された空気導入口11cと、第1室R1を形成する筐体11に形成された空気導出口11bと、仕切部材12に形成された空気導入口12aに設けられた換気用空気ブロワ15と、を備えている。この換気用空気ブロワ15が作動すると、外気が空気導入口11cを介して第2室R2内に吸い込まれ、換気用空気ブロワ15によって第1室R1内に送出され、第1室R1内の空気が空気導出口11bを介して外部に排出される。
【0056】
さらに、燃料電池システムは、インバータ装置50を備えている。インバータ装置50は、燃料電池24から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して交流の系統電源51および外部電力負荷53に接続されている電源ライン52に出力する第1機能と、系統電源51からの交流電圧を電源ライン52を介して入力し所定の直流電圧に変換して制御用電源54や補機用電源55に出力する第2機能と、を有している。
【0057】
系統電源(または商用電源)51は、該系統電源51に接続された電源ライン52を介して電力負荷53に電力を供給するものである。燃料電池24はインバータシステム15を介して電源ライン52に接続されている。電力負荷53は、交流電源で駆動される負荷であり、例えばドライヤ、冷蔵庫、テレビなどの電化製品である。
【0058】
制御用電源54は、インバータ装置50から出力された直流電圧を所定の直流電圧(例えば5V)に変換(例えば降圧)して制御装置60に電源電圧として供給している。
【0059】
補機用電源55は、インバータ装置50から出力された直流電圧を所定の直流電圧(例えば24V)に変換(例えば降圧)して、電源遮断装置56および制御装置60に設けられている補機用駆動回路60aを介して補機に電源電圧として供給している。補機用電源55は、制御装置60からの指示によって制御されている。電圧検出装置である電圧センサ55aは補機用電源55からの出力電圧を検出して制御装置60に送信するものである。
【0060】
補機は、燃料電池モジュール20に改質用原料、水、空気を供給するためのモータ駆動のポンプ41a,42b、換気用空気ブロワ15およびカソードエアブロワ44aなどから構成されている。この補機は直流電圧にて駆動されるものである。
【0061】
さらに、燃料電池システムは、制御装置60を備えている。制御装置60には、上述した温度センサ32b,32c,32d、電圧センサ55a、各ポンプ32a,41a,42b、各ブロワ15,44a、補機用電源55が接続されている(図3参照)。制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、燃料電池システムの運転を実施している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
【0062】
次に、上述した燃料電池システムの作動について説明する。制御装置60は、補機用電源55の出力電圧Vを監視しており、補機用電源55に故障が発生したなどの理由によりその出力電圧Vが出力されていない場合には、燃料電池システムの発電運転(または起動運転)を停止する停止運転を行う。停止運転は、燃料電池システムに供給されている改質用原料、改質水、カソードエアの供給を停止する運転である。具体的には、補機である原料ポンプ42b、改質水ポンプ41a、カソードエアブロワ44aの駆動を停止することである。その他、燃料電池システムを封止するために、補機である電磁弁を閉状態にすることも含まれる。
【0063】
なお、燃料電池システムにおいては、排熱回収系の温度異常に対処するために、制御による対処(ソフト的な対処)とメカ的な対処が行われている。ソフト的な対処は、貯湯水の温度(例えば熱交換器33から貯湯槽31に供給される貯湯水の温度)を監視し、その温度が所定温度(例えば90℃)以上となった場合にシステムを停止運転するものである。メカ的な対処は、上述した電源遮断装置56を設けることである。これらにより、排熱回収系の温度異常となっても、システムを停止運転させることができる。
【0064】
上述した燃料電池システムの作動のうち異常判定の第1制御例について図4、図5を参照して説明する。制御装置60は、図示しない起動スイッチがオンされると、図4に示すフローチャートに対応するプログラムの実行を開始する。制御装置60は、補機用電源55を作動させ(ステップ102)、補機用電源55の出力電圧Vを電圧センサ55aから読み込む(ステップ104)。
【0065】
制御装置60は、ステップ106において、読み込んだ出力電圧Vが判定電圧VL以下である状態が所定時間TM0の間継続しているか否かを判定する。出力電圧Vが判定電圧VL以下である状態が所定時間TM0の間継続していない場合には、制御装置60はステップ106にて「NO」と判定しステップ104,106の処理を繰り返す。一方、出力電圧Vが判定電圧VL以下である状態が所定時間TM0の間継続している場合には、制御装置60はステップ106にて「YES」と判定しプログラムをステップ108に進める。なお、判定電圧VLは、補機用電源55の出力定格の下限値以下の値に設定されるのが好ましい。本実施形態では、出力定格は24V±10%であるので、例えば判定電圧VLは21Vに設定されている。
【0066】
制御装置60は、ステップ108において、貯湯水の電源遮断装置56の温度Th1を温度センサ32cから読み込む。そして、制御装置60は、ステップ110において、その読み込んだ温度Th1が判定温度ThU以上であるか否かを判定する。貯湯水の電源遮断装置56の温度Th1が判定温度ThU以上である場合には、制御装置60は、ステップ110にて「YES」と判定し、排熱回収系の温度異常であると判定する(ステップ112)。
【0067】
一方、貯湯水の電源遮断装置56の温度Th1が判定温度ThU未満である場合には、制御装置60は、ステップ110にて「NO」と判定し、補機用電源55の故障であると判定する(ステップ114)。
【0068】
なお、判定温度ThUは、貯湯槽31に供給すべき貯湯水の温度は75〜85℃等に設定される為その温度以上に設定されるのが好ましく、かつ、電源遮断装置56の動作温度より低い温度に設定されるのが好ましい。排熱回収系の温度異常は、貯湯水の温度が判定温度より高温となることであり、ポンプ32aがエア噛みを起こしたり、施工時の貯湯水の供給ミス、水漏れ等により、貯湯水循環ライン32に貯湯水が必要流量流せない場合に発生する。
【0069】
また、補機用電源55の故障は、例えば補機用電源55自身の故障、電源供給先の補機の故障による電流異常などで補機用電源55が自身の安全装置が作動して電源供給を停止する場合、電源ラインに過電圧がかかる(回路部品故障・雷・ノイズ等)などが挙げられる。
【0070】
例えば、図5に示すように、時刻t1に補機用電源55の出力電圧Vが低下し始め、その後出力電圧Vが0Vとなった場合において、時刻t2に出力電圧Vが判定電圧VL以下となり、その状態が時刻t2から時刻t3までの間すなわち所定時間TM0の間継続している。このとき、図5(b)の実線で示すように、排熱回収系に異常があり貯湯水の温度が上昇している場合には、時刻t3において、貯湯水の電源遮断装置56の温度Th1が判定温度ThU以上であるため、制御装置60は、排熱回収系の温度異常であると判定する(ステップ112)。一方、排熱回収系に温度異常がない場合には、図5(b)の破線で示すように、時刻t3において、貯湯水の電源遮断装置56の温度Th1が判定温度ThU未満であるため、制御装置60は、補機用電源55の故障であると判定する(ステップ114)。
【0071】
さらに、上述した燃料電池システムの作動のうち異常判定の第2制御例について図6、図7を参照して説明する。制御装置60は、図示しない起動スイッチがオンされると、図6に示すフローチャートに対応するプログラムの実行を開始する。制御装置60は、補機用電源55を作動させ(ステップ202)、補機用電源55の出力電圧Vを電圧センサ55aから読み込む(ステップ204)。
【0072】
制御装置60は、貯湯水の電源遮断装置56の温度Th1を温度センサ32cから読み込む(ステップ206)。そして、制御装置60は、ステップ208において、読み込んだ出力電圧Vが判定電圧VL以下であり、かつ、読み込んだ温度Th1が判定温度ThU以上である状態が所定時間TM1の間継続しているか否かを判定する。前述した状態が所定時間TM1の間継続している場合には、所定時間TM1が経過した時点において、制御装置60はステップ208にて「YES」と判定し、排熱回収系の温度異常であると判定する(ステップ210)。
【0073】
一方、前述した状態が所定時間TM1の間継続していない場合には、制御装置60は、補機用電源55の出力電圧Vを電圧センサ55aから読み込む(ステップ212)。そして、制御装置60は、読み込んだ出力電圧Vが判定電圧VL以下である状態が所定時間TM1より長い所定時間TM2の間継続しているか否かを判定する。制御装置60は、前述した状態が所定時間TM2の間継続していない場合には、ステップ204〜214の処理を繰り返す。一方、前述した状態が所定時間TM2の間継続している場合には、所定時間TM2が経過した時点において、制御装置60はステップ214にて「YES」と判定し、補機用電源55の故障であると判定する(ステップ216)。
【0074】
例えば、図7に示すように、時刻t11に補機用電源55の出力電圧Vが低下し始め、その後出力電圧Vが0Vとなった場合において、時刻t12に出力電圧Vが判定電圧VL以下となり、その状態が少なくとも時刻t12から時刻t14までの間すなわち所定時間TM2の間継続している。
【0075】
このとき、図7(b)の実線で示すように、排熱回収系に異常があり貯湯水の温度が上昇している場合には、時刻t13(時刻t12から所定時間TM1経過した時点)において、出力電圧Vが判定電圧VL以下であり、かつ、読み込んだ温度Th1が判定温度ThU以上である状態が所定時間TM1の間継続している。よって、制御装置60は、ステップ208にて「YES」と判定し、排熱回収系の温度異常であると判定する(ステップ210)。
【0076】
一方、排熱回収系に温度異常がない場合には、図7(b)の破線で示すように、時刻t13において、出力電圧Vが判定電圧VL以下であるが温度Th1が判定温度ThU未満であるので、制御装置60は、ステップ208,214にてそれぞれ「NO」と判定する。その後、時刻t14(時刻t12から所定時間TM2経過した時点)において、出力電圧Vが判定電圧VL以下である状態が所定時間TM2の間継続している。よって、制御装置60は、ステップ214にて「YES」と判定し、補機用電源55の故障であると判定する(ステップ216)。
【0077】
次に、上述した燃料電池システムの異常判定が行われた後の制御(システム再起動の許否)について説明する。最初に、補機用電源55が故障であると判定された場合について図8を参照して説明する。制御装置60は、図示しない起動スイッチがオンされると、図8に示すフローチャートに対応するプログラムの実行を開始する。制御装置60は、補機用電源55が故障であると判定するまで、ステップ302の判定を繰り返し実行する。制御装置60は、補機用電源55が故障であると判定した場合には、ステップ302にて「YES」と判定しプログラムをステップ304に進めて、他のフローチャートで開始されているシステムの停止運転の処理が完了したか否かを判定する。
【0078】
制御装置60は、システムの停止運転の処理が完了するまでは、ステップ304の判定を繰り返し実行する。制御装置60は、システムの停止運転の処理が完了したと判定した場合には、ステップ304にて「YES」と判定しプログラムをステップ306に進める。
【0079】
ステップ306において、制御装置60は、補機用電源55の出力電圧Vを電圧センサ55aから読み込み、その出力電圧Vが判定電圧VL以下であるか否かを判定する。例えば、補機用電源55の回路周辺の一時的な温度上昇などによる不具合により出力電圧Vが判定電圧VL以下であった場合において、その外乱が取り除かれて電圧が復帰して出力電圧Vが判定電圧VLより高くなった場合には、制御装置60は、ステップ306にて「NO」と判定し、システムの再起動を許可して起動運転(発電運転)を開始する(ステップ308)。
【0080】
一方、出力電圧が復帰しない場合においては、詳しくは、出力電圧Vが判定電圧VL以下である状態が所定時間TM3の間継続している場合には、制御装置60は、ステップ306,310にてそれぞれ「YES」と判定し、システムの再起動を許可することなく待機状態を保持する(ステップ310)。なお、所定時間TM3は、上述した所定時間TM1、TM2より十分に長い時間に設定されており、システム内部が冷却されるのに十分な時間に設定されている。所定時間TM3は、異常が発生したと判定した時点からの経過時間でもよいし、システムの停止運転の処理を完了した時点からの経過時間でもよい。また、待機状態は、システムが運転停止されている状態であり、制御装置60、制御用電源54、補機用電源55などは稼動しているが、補機類は稼動していない状態である。待機状態であって再起動を禁止されている場合には、点検・修理するまで、その状態は維持され、システムが起動・発電運転されることはない。
【0081】
次に、排熱回収系の温度異常であると判定された場合について図9を参照して説明する。制御装置60は、図示しない起動スイッチがオンされると、図9に示すフローチャートに対応するプログラムの実行を開始する。制御装置60は、排熱回収系の温度が異常であると判定するまで、ステップ402の判定を繰り返し実行する。制御装置60は、排熱回収系の温度が異常であると判定した場合には、ステップ302にて「YES」と判定しプログラムをステップ404に進めて、エラー発生回数をカウンタアップする。エラー発生回数は、排熱回収系の温度異常が発生した回数を示すものである。
【0082】
制御装置60は、ステップ406において、他のフローチャートで開始されているシステムの停止運転の処理が完了したか否かを判定する。制御装置60は、システムの停止運転の処理が完了するまでは、ステップ406の判定を繰り返し実行する。制御装置60は、システムの停止運転の処理が完了したと判定した場合には、ステップ406にて「YES」と判定しプログラムをステップ408に進める。
【0083】
ステップ408において、制御装置60は、先にカウントアップしたエラー発生回数が所定値n以上であるか否かを判定する。制御装置60は、エラー発生回数が所定値nより小さい場合には、プログラムをステップ410に進めて、熱交換器33から貯湯槽31に供給される貯湯水の温度が十分降温(冷却)されたことを確認した上でシステムを再起動する。
【0084】
具体的には、制御装置60は、ステップ410において、電源遮断装置56付近の貯湯水温度Th1を温度センサ32cから読み込み、その読み込んだ温度Th1が判定温度ThH以下であるか否かを判定する。温度Th1が判定温度ThH以下である場合には、熱交換器33から貯湯槽31に供給される貯湯水の温度が十分降温されているので、制御装置60は、ステップ410にて「YES」と判定し上記ステップ308と同様にシステムを再起動する(ステップ412)。一方、制御装置60は、温度Th1が判定温度ThHより高い場合には、ステップ410にて「NO」と判定しプログラムをステップ411に進める。制御装置60は、ステップ411において、エラー発生回数が所定値nより小さいと判定した時点から所定時間経過した時点において温度Th1が判定温度ThHより高い場合には、上記ステップ312と同様に再起動を許可しないで点検、修理まで待機状態を保持する(ステップ414)。制御装置60は、ステップ411において、所定時間経過後において温度Th1が判定温度ThH未満である場合には、上記ステップ308と同様にシステムを再起動する(ステップ412)。
【0085】
一方、制御装置60は、エラー発生回数が所定値n以上となった場合すなわちn回連続して同じ異常を検知した場合には、上記ステップ312と同様に再起動を許可しないで点検、修理まで待機状態を保持する(ステップ414)。
【0086】
なお、上記ステップ410の処理に代えて、貯湯槽31の貯湯水が高温で満水であるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、貯湯槽31が高温(所定温度(例えば75℃)以上)の貯湯水が満水状態でない状態となったことを貯湯槽31に設けた図示しない温度センサ群との通信により検知するようにすればよい。また、上記ステップ410の処理に代えて、貯湯槽31から熱交換器33に供給される貯湯水の温度が十分降温(冷却)されたか否かを判定するようにしてもよい。例えば、温度センサ32bによって貯湯水の温度を検出するようにすればよい。
【0087】
上述した説明から明らかなように、本実施形態においては、燃料電池システムにおいては、貯湯水の温度が所定の動作温度以上となった場合、電源遮断装置56が補機用電源55からの駆動電圧を補機に供給している電源回路57を遮断することができる。よって、排熱回収系が異常となったとき(例えば貯湯水が高温となったとき)に燃料電池システムを停止運転する安全装置として電源遮断装置56を備えることができる。また、判定手段(制御装置60;図4または図6に示すフローチャート)は、電圧検出装置(電圧センサ55a)により検出された補機用電源55の出力電圧Vおよび温度センサ32cにより検出された貯湯水の温度から、補機用電源55および排熱回収系のいずれが異常であるかを判定する。これにより、補機への電源電圧の供給を停止するように構成することで燃料電池システムを停止運転するようにした場合、補機用電源55の異常により電源電圧の供給が停止されたのか、排熱回収系の異常により電源電圧の供給が停止されたのか、すなわち異常発生箇所を的確に判定することができる。
【0088】
よって、燃料電池システムは、補機の電源電圧が低下した場合、発電運転(定常運転)や起動運転の継続が不可能となり、システムを停止運転する。その時、補機用電源55の異常であるか、排熱回収水系の異常(高温)であるかが判別できる為、不具合発生部位の特定ができ、その対応(点検・修理)も迅速に行うことができる。
【0089】
また、電源遮断装置56は、貯湯水の温度を感知しその温度変化に応じて変形する感熱部56bと、感熱部56bの変形に応じて電源回路57を連通・遮断するスイッチ部56dと、を備えており、温度センサ32cは、電源遮断装置56の感熱部56bにより感知される貯湯水の温度を検出するため、電源遮断装置56の実際の遮断動作温度を直接検出することで、異常発生箇所をより正確に判定することができる。
【0090】
また、前記判定手段は、電圧検出装置(電圧センサ55a)により検出された補機用電源55の出力電圧Vが所定電圧VL以下であり、かつ、温度センサ32cにより検出された貯湯水の温度Th1が所定温度ThU未満である場合に、補機用電源が異常であると判定する(ステップ114)。これにより、補機用電源55が異常であることを的確に判定することができる。
【0091】
また、前記判定手段は、電圧検出装置(電圧センサ55a)により検出された補機用電源55の出力電圧Vが所定電圧VL以下であり、かつ、温度センサ32cにより検出された貯湯水の温度Th1が所定温度ThU以上である場合に、排熱回収系が異常であると判定する(ステップ112)。これにより、排熱回収系が異常であることを的確に判定することができる。
【0092】
また、前記判定手段は、電圧検出装置(電圧センサ55a)により検出された補機用電源55の出力電圧Vが所定電圧VL以下であり、かつ、温度センサ32cにより検出された貯湯水の温度Th1が所定温度ThU以上である状態が第1の所定時間TM1継続した場合に、排熱回収系が異常であると判定する(ステップ210)。これにより、排熱回収系が異常であることを的確かつ正確に判定することができる。
【0093】
また、前記判定手段は、電圧検出装置(電圧センサ55a)により検出された補機用電源55の出力電圧Vが所定電圧VL以下であり、かつ、温度センサ32cにより検出された貯湯水の温度Th1が所定温度ThU未満である状態が第1の所定時間TM1より長い第2の所定時間TM2継続した場合に、補機用電源55が異常であると判定する。これにより、補機用電源55が異常であることを的確かつ正確に判定することができる。また、先に排熱回収系の異常を検出し、その後補機用電源55の故障を検出することができるため、いずれかの異常・故障であるかを明確に区別することができる。
【0094】
なお、上述した実施形態においては、ステップ108の処理などにて温度センサ32cが検出する貯湯水の温度に代えて、温度センサ32dが検出する貯湯水の温度を使用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
11…筐体、11a…第1排気口、11b…空気導出口、11c…空気導入口、12…仕切部材、12a…空気導入口、13…水タンク、14…純水器、15…換気用空気ブロワ、20…燃料電池モジュール、21…ケーシング、21a…排気口、22…蒸発部、23…改質部、24…燃料電池、24a…セル、24b…燃料流路、24c…空気流路、25…マニホールド、30…排熱回収システム(排熱回収系)、31…貯湯槽、32…貯湯水循環ライン、32a…貯湯水循環ポンプ、32b,32c,32d…温度センサ、33…熱交換器、50…インバータ装置、51…系統電源、52…電源ライン、53…外部電力負荷、54…制御用電源、55…補機用電源、55a…電圧検出装置、56…電源遮断装置、56b…感熱部、56d…スイッチ部、57…電源回路、60…制御装置R1…第1室、R2…第2室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、
前記燃料電池の排熱と貯湯水との間で熱交換することで前記排熱を前記貯湯水に回収して蓄える排熱回収系と、
前記燃料、前記酸化剤ガスおよび前記貯湯水を供給する補機に駆動電圧を供給する補機用電源と、
前記補機用電源からの前記駆動電圧を前記補機に供給している電源回路に設けられ該電源回路を前記貯湯水の温度に応じて連通・遮断する電源遮断装置と、
前記補機用電源の出力電圧を検出する電圧検出装置と、
前記貯湯水の温度を検出する温度センサと、
前記燃料、前記酸化剤ガスおよび前記貯湯水の供給を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記電圧検出装置により検出された前記補機用電源の出力電圧および前記温度センサにより検出された前記貯湯水の温度から、前記補機用電源および前記排熱回収系のいずれが異常であるかを判定する判定手段を備えている燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1において、前記電源遮断装置は、前記貯湯水の温度を感知しその温度に応じて変形する感熱部と、前記感熱部の変形に応じて前記電源回路を連通・遮断するスイッチ部と、を備えており、
前記温度センサは、前記電源遮断装置の感熱部により感知される前記貯湯水の温度を検出する燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記判定手段は、前記電圧検出装置により検出された前記補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、前記温度センサにより検出された前記貯湯水の温度が所定温度未満である場合に、前記補機用電源が異常であると判定する燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、前記判定手段は、前記電圧検出装置により検出された前記補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、前記温度センサにより検出された前記貯湯水の温度が所定温度以上である場合に、前記排熱回収系が異常であると判定する燃料電池システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、前記判定手段は、前記電圧検出装置により検出された前記補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、前記温度センサにより検出された前記貯湯水の温度が所定温度以上である状態が第1の所定時間継続した場合に、前記排熱回収系が異常であると判定する燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1または請求項2において、前記判定手段は、前記電圧検出装置により検出された前記補機用電源の出力電圧が所定電圧以下であり、かつ、前記温度センサにより検出された前記貯湯水の温度が所定温度未満である状態が前記第1の所定時間より長い第2の所定時間継続した場合に、前記補機用電源が異常であると判定する燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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