説明

燃料電池制御装置

【課題】燃料電池制御装置における空気フィルタと燃焼ファンの寿命を正確に予測し、寿命となり故障停止するまでに前もって、ユーザへ寿命と交換の必要な箇所を提示する。
【解決手段】定期的な運転時に、寿命演算手段2は燃焼ファン制御手段6により、燃焼ファン9を一定回転数に回転させ、その時の燃焼空気流量を流量検出手段7で検出し、第1の記憶手段3に時系列に記憶し、それを第1の時系列データとする。また、燃焼ファン9を一定量に操作した場合の燃焼ファン回転数を回転数検出手段5により検出し、第2の記憶手段4に時系列に記憶し、それを第2の時系列データとする。寿命演算手段2は第1の時系列データまたは、第2の時系列データから空気フィルタ8もしくは燃焼ファン9の寿命を個別に予測する。出力手段11は予測した空気フィルタ8と燃焼ファン9の寿命を個別にユーザや作業者に提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料ガスを改質するための、燃焼装置を使用した改質器を有する燃料電池制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼装置を使用して原料ガスを改質する改質器においては、燃焼装置を構成する各消耗部品について、使用可能な寿命時期が設定されており、その時期までにメンテナンス等で交換する必要がある。燃焼装置における消耗部品としては、燃焼用空気を送風するための燃焼ファンや燃焼用空気に混合したホコリを除去する空気フィルタなどが挙げられる。
【0003】
燃焼ファンや空気フィルタの寿命時期の判定方法の一例として、燃焼部で空気流量不足や温度過上昇が発生した場合、燃焼ファン回転数と燃焼ファン前後の圧力とに基づき、燃焼ファンと空気フィルタのどちらが異常原因であるかを判別する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、消耗部品の寿命に関しては、各消耗部品に対して延べ使用時間を求める手段が設けられ、設定した使用可能時間から延べ使用時間を差し引きし、残使用可能時間、つまり寿命を演算していた。
【0005】
また、燃焼空気送風装置と実流量特性の関係性から線形的に寿命を演算していた方法もある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、燃焼ファンを一定操作した時に、操作開始から一定時間経過までの燃焼ファン回転数の変化量を検出し、それを時系列に記憶手段へ記憶し、また演算することで、個々の機器使用状況に応じて燃焼ファンまたは給排気部の目詰まりを検出する手段もある。しかし、この方法は燃焼ファンの劣化か給排気部の目詰まりかを区別して検出することはできない(例えば、特許文献3参照)。なお、上記の「一定操作」というのは、予め定めておいた一つの操作量(例.80%)で燃焼ファンを固定操作するという意味で記述している。
【特許文献1】特開2002−153700号公報
【特許文献2】特開平6−342308号公報
【特許文献3】特開平8−178273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
延べ使用時間を使用した上記従来技術では、その燃焼装置特有の個体差を吸収することは困難であり、余裕を持った寿命設定をせざるを得ないという課題がある。ゆえに、未だ十分使用可能な状態であるにもかかわらず、燃焼ファンもしくは空気フィルタを交換することになる。そのため、メンテナンス回数の増加や、交換部品量の増加によるコスト増加、部品交換に伴う廃棄部品の増加の問題がある。また、線形的に寿命を予測する方法では、運転途中の急激な特性変化(特性劣化)には対応困難であり、誤った寿命を表示してしまう可能性がある。
【0008】
また、燃焼ファンと空気フィルタとの寿命を予測する方法があっても、燃焼ファンか空気フィルタかを区別して寿命予測することはできなかった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するもので、改質器としての燃焼装置を構成する燃焼ファンおよび空気フィルタの寿命予測を個別に実現することができる燃料電池制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の燃料電池制御装置は、原料ガス改質用の燃焼用空気を送給する燃焼ファンと、燃焼ファンによる燃焼用空気の送給経路中に設けられて燃焼用空気中のほこりを除去する空気フィルタと、燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、燃焼用空気の流量を検出する流量検出手段と、回転数検出手段の回転数検出信号をもとに燃焼ファンの回転数を一定に制御する燃焼ファン制御手段と、燃焼ファンの一定回転数時における燃焼用空気の流量の第1の時系列データを記憶する第1の記憶手段と、流量検出手段から第1の時系列データを取得して第1の記憶手段に書き込むとともに、第1の時系列データを取得する度に第1の記憶手段に記憶した以前の取得時の第1の時系列データと今回取得した第1の時系列データとから空気フィルタの予測寿命を算出する寿命演算手段とを備えている。
【0011】
この構成によれば、空気フィルタの予測寿命を最新の検査データで補正した上で算出することができ、したがって、空気フィルタの予測寿命を高精度に検出することができる。その結果、空気フィルタの交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と廃棄部品の削減を図ることができる。
【0012】
上記本発明の第1の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段は空気フィルタの予測寿命の算出時に3個以上の第1の時系列データを使用して燃焼用空気の流量が予め設定した第1の閾値を下回る時期を算出することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、一時的な特性変動による誤った寿命予測を防止できる。
【0014】
上記本発明の第1の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段は、燃焼用空気の流量が第1の閾値を下回る時期の算出に最小二乗法を使用することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、3点以上の第1の時系列データからの線形的な寿命推定を実現することができる。
【0016】
上記本発明の第1の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段での演算結果を提示する出力手段を有することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、推定した演算結果をユーザに提示することができる。
【0018】
上記本発明の第1の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段から出力手段に出力する演算結果は、空気フィルタの予測寿命または交換時期であることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、出力手段には空気フィルタの予測寿命または交換時期を表示するため、ユーザにとって理解し易い形式で寿命を提示することができる。
【0020】
上記本発明の第1の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段の演算結果を初期化するための入力手段を有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、空気フィルタの交換時に、保持または記憶していたそれぞれの劣化進行状況(予測寿命)を初期化し、空気フィルタの交換後に新たに空気フィルタの寿命を推定することができる。
【0022】
上記本発明の第1の燃料電池制御装置においては、第1の記憶手段に格納された第1の時系列データを初期化するための入力手段を有することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、空気フィルタの交換時に、第1の時系列データを初期化するため、空気フィルタの交換後に新たに空気フィルタの寿命を推定することができる。
【0024】
本発明の第2の燃料電池制御装置は、原料ガス改質用の燃焼用空気を送給する燃焼ファンと、燃焼ファン検査を実施する時期を入力するための入力手段と、燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、燃焼ファンを一定操作する燃焼ファン制御手段と、燃焼ファンの一定操作時における燃焼ファンの回転数の第2の時系列データを記憶する第2の記憶手段と、回転数検出手段から第2の時系列データを取得して第2の記憶手段に書き込むとともに、第2の時系列データを取得する度に第2の記憶手段に記憶した以前の取得時の第2の時系列データと今回取得した第2の時系列データとから燃焼ファンの予測寿命を算出し、第2の時系列データを取得と予測寿命の算出は入力手段による入力タイミングに実施する寿命算出手段とを備えている。
【0025】
この構成によれば、燃焼ファンの予測寿命を最新の検査データで補正した上で算出することができ、さらに空気フィルタを交換した時期を入力手段からの入力により検出し、燃焼ファンの検査タイミングを空気フィルタの交換時にのみ、すなわち、空気フィルタ新品時にのみ燃焼ファン検査を実施する事が出来るため、したがって、燃焼ファンの予測寿命を高精度に検出することができる。その結果、燃焼ファンの交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0026】
上記本発明の第2の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段は燃焼ファンの予測寿命の算出時に3個以上の第2の時系列データを使用して燃焼ファンの回転数が予め設定した第2の閾値を下回る時期を算出することが好ましい。
【0027】
この構成によれば、一時的な特性変動による誤った寿命予測を防止できる。
【0028】
上記本発明の第2の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段は、燃焼ファンの回転数が第2の閾値を下回る時期の算出に最小二乗法を使用することが好ましい。
【0029】
この構成によれば、3点以上の第2の時系列データからの線形的な寿命推定を実現することができる。
【0030】
上記本発明の第2の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段での演算結果を提示する出力手段を有することが好ましい。
【0031】
この構成によれば、推定した演算結果をユーザに提示することができる。
【0032】
上記本発明の第2の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段から出力手段に出力する演算結果は、燃焼ファンの予測寿命または交換時期であることが好ましい。
【0033】
この構成によれば、出力手段には燃焼ファンの予測寿命または交換時期を表示するため、ユーザにとって理解し易い形式で寿命を提示することができる。
【0034】
上記本発明の第2の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段の演算結果を初期化するための入力手段を有することが好ましい。
【0035】
この構成によれば、燃焼ファンの交換時に、保持または記憶していたそれぞれの劣化進行状況(予測寿命)を初期化し、燃焼ファンの交換後に新たに空気フィルタの寿命を推定することができる。
【0036】
上記本発明の第2の燃料電池制御装置においては、第2の記憶手段に格納された第2の時系列データを初期化するための入力手段を有することが好ましい。
【0037】
この構成によれば、燃焼ファンの交換時に、第2の時系列データを初期化するため、燃焼ファンの交換後に新たに燃焼ファンの寿命を推定することができる。
【0038】
本発明の第3の燃料電池制御装置は、原料ガス改質用の燃焼用空気を送給する燃焼ファンと、燃焼ファン検査を実施する時期を入力するための入力手段と、燃焼ファンによる燃焼用空気の送給経路中に設けられて燃焼用空気中のほこりを除去する空気フィルタと、燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、燃焼用空気の流量を検出する流量検出手段と、回転数検出手段の回転数検出信号をもとに燃焼ファンの回転数を一定に制御する状態と燃焼ファンを一定操作する状態とを有する燃焼ファン制御手段と、燃焼ファンの一定回転数時における燃焼用空気の流量の第1の時系列データを記憶する第1の記憶手段と、燃焼ファンの一定操作時における燃焼ファンの回転数の第2の時系列データを記憶する第2の記憶手段と、流量検出手段から第1の時系列データを取得して第1の記憶手段に書き込むとともに、第1の時系列データを取得する度に第1の記憶手段に記憶した以前の取得時の第1の時系列データと今回取得した第1の時系列データとから空気フィルタの予測寿命を算出し、回転数検出手段から第2の時系列データを取得して第2の記憶手段に書き込むとともに、第2の時系列データを取得する度に第2の記憶手段に記憶した以前の取得時の第2の時系列データと今回取得した第2の時系列データとから燃焼ファンの予測寿命を算出し、第2の時系列データを取得と予測寿命の算出は入力手段による入力タイミングに実施する寿命演算手段とを備えている。
【0039】
この構成によれば、空気フィルタの予測寿命を最新の検査データで補正した上で算出することができ、したがって、空気フィルタの予測寿命を高精度に検出することができる。その結果、空気フィルタの交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0040】
また、燃焼ファンの予測寿命を最新の検査データで補正した上で算出することができ、さらに空気フィルタを交換した時期を入力手段からの入力により検出し、燃焼ファンの検査タイミングを空気フィルタの交換時にのみ、すなわち、空気フィルタ新品時にのみ燃焼ファン検査を実施する事が出来るため、したがって、燃焼ファンの予測寿命を高精度に検出することができる。その結果、燃焼ファンの交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0041】
さらに、空気フィルタの予測寿命を燃焼ファンの劣化の影響を受けずに検出することができ、燃焼ファンの予測寿命を空気フィルタの劣化の影響を受けずに検出することができる。すなわち、空気フィルタの予測寿命と燃焼ファンの予測寿命とを独立して検出することができる。
【0042】
上記本発明の第3の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段は空気フィルタの予測寿命の算出時に3個以上の第1の時系列データを使用して燃焼用空気の流量が予め設定した第1の閾値を下回る時期を算出し、燃焼ファンの予測寿命の算出時に3個以上の第2の時系列データを使用して燃焼ファンの回転数が予め設定した第2の閾値を下回る時期を算出することが好ましい。
【0043】
この構成によれば、一時的な特性変動による誤った寿命予測を防止できる。
【0044】
上記本発明の第3の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段は、燃焼用空気の流量が第1の閾値を下回る時期の算出および燃焼ファンの回転数が第2の閾値を下回る時期の算出にそれぞれ最小二乗法を使用することが好ましい。
【0045】
この構成によれば、3点以上の第1および第2の時系列データからの線形的な寿命推定を実現することができる。
【0046】
上記本発明の第3の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段での演算結果を提示する出力手段を有することが好ましい。
【0047】
この構成によれば、推定した演算結果をユーザに提示することができる。
【0048】
上記本発明の第3の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段から出力手段に出力する演算結果は、空気フィルタと燃焼ファンとの予測寿命または交換時期であることが好ましい。
【0049】
この構成によれば、出力手段には空気フィルタと燃焼ファンの予測寿命または交換時期を表示するため、ユーザにとって理解し易い形式で寿命を提示することができる。
【0050】
上記本発明の第3の燃料電池制御装置においては、寿命演算手段の演算結果を初期化するための入力手段を有することが好ましい。
【0051】
この構成によれば、空気フィルタの交換時に、保持または記憶していたそれぞれの劣化進行状況(予測寿命)を初期化し、空気フィルタの交換後に新たに空気フィルタの寿命を推定することができる。また、燃焼ファンの交換時に、保持または記憶していたそれぞれの劣化進行状況(予測寿命)を初期化し、燃焼ファンの交換後に新たに空気フィルタの寿命を推定することができる。
【0052】
上記本発明の第3の燃料電池制御装置においては、第1の記憶手段に格納された第1の時系列データおよび第2の記憶手段に格納された第2の時系列データを初期化するための入力手段を有することが好ましい。
【0053】
この構成によれば、空気フィルタの交換時に、第1の時系列データを初期化するため、空気フィルタの交換後に新たに空気フィルタの寿命を推定することができる。また、燃焼ファンの交換時に、第2の時系列データを初期化するため、燃焼ファンの交換後に新たに燃焼ファンの寿命を推定することができる。
【0054】
本発明の第4の燃料電池制御装置は、原料ガス改質用の燃焼用空気を送給する燃焼ファンと、燃焼ファンによる燃焼用空気の送給経路中に設けられて燃焼用空気中のほこりを除去する空気フィルタと、燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、燃焼用空気の流量を検出する流量検出手段と、回転数検出手段の回転数検出信号をもとに燃焼ファンの回転数を一定に制御する燃焼ファン制御手段と、流量検出手段の出力をもとに燃焼ファンの一定回転数時における燃焼空気の流量が、予め設定した第1の閾値を下回ったことを検出して空気フィルタが寿命に達したと判断する劣化判断部とを備えている。
【0055】
この構成によれば、空気フィルタの寿命到達を検出することができる。その結果、空気フィルタの交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0056】
上記本発明の第4の燃料電池制御装置においては、劣化判断部での判断結果を提示する出力手段を有することが好ましい。
【0057】
この構成によれば、推定した判断結果をユーザに提示することができる。
【0058】
上記本発明の第4の燃料電池制御装置においては、劣化判断部から出力手段に出力する判断結果は、空気フィルタが既に寿命に達しているという警告であることが好ましい。
【0059】
この構成によれば、出力手段には空気フィルタが寿命に達していることを提示するため、ユーザに対して空気フィルタの交換を促すことができる。
【0060】
上記本発明の第5の燃料電池制御装置は、原料ガス改質用の燃焼用空気を送給する燃焼ファンと、燃焼ファン検査を実施する時期を入力するための入力手段と、燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、燃焼ファンを一定操作する燃焼ファン制御手段と、入力手段による入力タイミングにおいて、回転数検出手段の出力をもとに燃焼ファンの操作量が一定時における燃焼ファン回転数が、予め設定した第2の閾値を下回ったことを検出して燃焼ファンが寿命に達したと判断する劣化判断部と、を備えている。
【0061】
この構成によれば、燃焼ファン検査を実施する時期を入力するための入力手段からの入力時に燃焼ファン検査を実施でき、燃焼ファンの寿命到達を検出することができる。その結果、燃焼ファンの交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0062】
上記本発明の第5の燃料電池制御装置においては、劣化判断部での判断結果を提示する出力手段を有することが好ましい。
【0063】
この構成によれば、推定した判断結果をユーザに提示することができる。
【0064】
上記本発明の第5の燃料電池制御装置においては、劣化判断部から出力手段に出力する判断結果は、燃焼ファンが既に寿命に達しているという警告であることが好ましい。
【0065】
この構成によれば、出力手段には燃焼ファンが寿命に達していることを提示するため、ユーザに対して燃焼ファンの交換を促すことができる。
【0066】
本発明の第6の燃料電池制御装置は、原料ガス改質用の燃焼用空気を送給する燃焼ファンと、燃焼ファン検査を実施する時期を入力するための入力手段と、燃焼ファンによる燃焼用空気の送給経路中に設けられて燃焼用空気中のほこりを除去する空気フィルタと、燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、燃焼用空気の流量を検出する流量検出手段と、回転数検出手段の回転数検出信号をもとに燃焼ファンの回転数を一定に制御する状態と燃焼ファンを一定操作する状態とを有する燃焼ファン制御手段と、流量検出手段の出力をもとに燃焼ファンの一定回転数時における燃焼空気の流量が、予め設定した第1の閾値を下回ったことを検出して空気フィルタが寿命に達したと判断し、入力手段による入力タイミングにおいて、回転数検出手段の出力をもとに燃焼ファンの操作量が一定時における燃焼ファン回転数が、予め設定した第2の閾値を下回ったことを検出して燃焼ファンが寿命に達したと判断する劣化判断部とを備えている。
【0067】
この構成によれば、空気フィルタの寿命到達を検出することができる。その結果、空気フィルタの交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0068】
また、燃焼ファン検査を実施する時期を入力するための入力手段からの入力時に燃焼ファン検査を実施することで、空気フィルタが新品時の燃焼ファンの寿命到達を検出することができる。その結果、燃焼ファンの交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0069】
さらに、空気フィルタの寿命到達を燃焼ファンの劣化の影響を受けずに検出することができ、燃焼ファンの寿命到達を空気フィルタの劣化の影響を受けずに検出することができる。すなわち、空気フィルタの寿命到達と燃焼ファンの寿命到達とを独立して検出することができる。
【0070】
上記本発明の第6の燃料電池制御装置においては、劣化判断部での判断結果を提示する出力手段を有することが好ましい。
【0071】
この構成によれば、推定した判断結果をユーザに提示することができる。
【0072】
上記本発明の第6の燃料電池制御装置においては、劣化判断部から出力手段に出力する判断結果は、空気フィルタが既に寿命に達しているという第1の警告と、燃焼ファンが既に寿命に達しているという第2の警告であることが好ましい。
【0073】
この構成によれば、出力手段には空気フィルタと燃焼ファンとが寿命に達していることを提示するため、ユーザに対して空気フィルタと燃焼ファンの交換を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
以下、燃料電池制御装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0075】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1にかかる燃料電池制御装置の構成を示すブロック図である。
【0076】
本実施の形態においては、演算機能を有する燃焼ファン制御手段6および寿命演算手段2を設け相互に接続することにより、空気フィルタ8および燃焼ファン9の寿命予測を実施する燃料電池制御装置の構成について図面を用いて説明する。
【0077】
燃料電池制御装置は、上記の構成要素のほか、燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段5、空気フィルタ8を通して燃焼空気流量を検出する流量検出手段7、燃焼空気流量を時系列に記憶する第1の記憶手段3、燃焼ファン回転数を時系列に記憶する第2の記憶手段4、入力手段10、出力手段11を具備する。なお、寿命演算手段2は、空気フィルタと燃焼ファンの寿命演算機能を保有している。燃焼ファン制御手段6は、回転数検出手段5から燃焼ファンの回転数を得るとともに、流量検出手段7から空気流量を得る。そして、回転数検出手段5から得た回転数をもとに、フィードバック制御をし、燃焼ファン9の回転数を一定に制御する。
【0078】
寿命演算手段2は、空気フィルタ8の寿命予測を行うため、定期的な運転時において、燃焼ファン9が一定の回転数で回転している状態での燃焼空気流量を流量検出手段7により検出する。具体的には、流量検出手段7で検出された燃焼空気流量は、燃焼ファン制御手段6を介して寿命演算手段2へ伝達される。
【0079】
なお、「定期的な運転時」とは、例えば「週1回や月1回のように、燃料電池装置が自己診断するタイミングを設け、その一環で空気フィルタの診断を実行する」のような状況を想定している。
【0080】
また、「燃焼ファン9が一定の回転数で回転している状態」というのは、回転数フィードバック制御によって、燃焼ファン9が一定回転数で回転している状態のことである。
【0081】
ここで、燃焼ファン9は、定期的な運転時に、燃焼ファン制御手段6のフィードバック制御により、上記のように、一定の回転数に制御される。具体的には、燃焼ファン9の回転数が回転数検出手段5で検出される。燃焼ファン制御手段6は、回転数検出手段5で検出した燃焼ファン9の回転数をもとに、燃焼ファン9の操作量を増減制御して燃焼ファン9の回転数を一定に制御する。
【0082】
そして、寿命演算手段2は、今回の運転時に検出した燃焼ファン一定回転数時の燃焼空気流量を第1の記憶手段3へ時系列に保存する。さらに、寿命演算手段2は、第1の記憶手段3に記憶した3点以上の時系列の燃焼空気流量を第1の時系列データとし、それを読み込み、図2(a)に示す様に、それらの燃焼空気流量のデータと今回検出した燃焼空気流量のデータとから最小二乗法を用いて、空気フィルタ8の予測寿命T1αを算出する。
【0083】
最小二乗法による寿命予測法では、図2(a)における実測区間内の第1の時系列データD1がD1_0からD1_nまで存在し、D1_0を時間的な先頭データ、D1_nを時間的な最終データとする時、D1_0からD1_nまでのデータをもとに、最小二乗法により一次直線を算出する。算出した一次直線の延長線上での燃焼空気流量が予め設定した閾値を下回る時間を予測寿命T1αとする。なお、D1_nから予測寿命の間を予測区間と呼称する。
【0084】
この方式は、第1の記憶手段3へ記憶した第1の時系列データD1_0からD1_nを用いて寿命予測する方式であり、時系列データの取得毎に、その取得した最新のデータを加えて再度寿命予測を実施する。
【0085】
なお、予測に使用する第1の時系列データD1は一時的な特性変化の影響を緩和するため、平均化しても良い。
【0086】
次に、入力手段10について説明する。
【0087】
メンテナンス作業者はメンテナンス終了後に空気フィルタ8の劣化進行状況を初期化するため、入力手段10により入力を実施する。寿命演算手段2は当該の入力を受け、第1の記憶手段3に記憶された第1の時系列データと、寿命演算手段2に保持された劣化進行状況(空気フィルタ8の残り寿命あるいは、空気フィルタ8が劣化して交換時期であること)を初期化する。
【0088】
この実施の形態1によれば、寿命演算手段の演算結果を初期化するための入力手段を有することにより、空気フィルタ8の交換時に、保持または記憶していたそれぞれの劣化進行状況(予測寿命)を初期化し、空気フィルタ8の交換後に新たに空気フィルタ8の寿命を推定することができる。
【0089】
また、第1の記憶手段3に格納された第1の時系列データを初期化するための入力手段10を有することにより、空気フィルタ8の交換時に、第1の時系列データを初期化するため、空気フィルタ8の交換後に新たに空気フィルタ8の寿命を推定することができる。
【0090】
また、寿命演算手段2は、燃焼ファン9の寿命予測を行うため、図4に示すタイミングの様に入力手段10から空気フィルタ交換の入力が実施された場合、燃焼ファン9の操作量が一定の時(予め決定しておいた操作量のとき)の燃焼ファン回転数を回転数検出手段5により検出する。具体的には、回転数検出手段5で検出された燃焼ファン回転数は、燃焼ファン制御手段6を介して寿命演算手段2へ伝達される。
【0091】
燃焼ファン9の操作量を一定にするというのは、燃焼ファン制御手段6の機能の一つで、予め決定しておいた一つの操作量に従い燃焼ファン9を駆動する動作をいう。
【0092】
入力手段10から空気フィルタ交換の入力が実施された場合に、燃焼ファン9を検査することで、空気フィルタ8が新品時の燃焼ファン特性を検査できる。よって、燃焼ファン検査結果より空気フィルタ劣化の影響を排除でき、正確な燃焼ファン寿命が算出できる。
【0093】
寿命演算手段2は、第2の記憶手段4へ今回の運転時に検出した燃焼ファン9の操作量が一定時の燃焼ファン回転数を時系列に保存する。第2の記憶手段4に記憶した3点以上の時系列の燃焼ファン回転数を第2の時系列データとし、それを読み込み、図2(b)に示す様に、それらの燃焼ファン回転数と今回検出した燃焼ファン回転数とから最小二乗法を用いて、予測寿命T2αを算出する。
【0094】
最小二乗法による寿命予測法では、図2(b)における実測区間内の第2の時系列データD2がD2_0からD2_nまで存在し、D2_0を時間的な先頭データ、D2_nを時間的な最終データとする時、D2_0からD2_nまでのデータから最小二乗法により一次直線を算出する。算出した一次直線の延長線上での燃焼ファン回転数が予め設定した閾値を下回った場合を予測寿命とし、D2_nから予測寿命の間を予測区間と呼称する。
【0095】
なお、燃焼ファンは寿命末期には操作量を一定(印加電圧を一定)とすると、回転数が低下すると考えられるが、その理由は、モータの回転軸受け部の磨耗や、機械的部品の劣化により回転抵抗が上昇し、結果としてモータの回転が悪くなるためである。
【0096】
また、燃焼ファンの寿命末期とは、例えば以下のような状態になったことをいう。すなわち、空気流量のフィードバック処理により燃焼ファン操作量を増加減した場合でも、ファンの性能低下で目標空気流量に実流量が到達せず、結果として操作量が最大値に張り付き、さらに空気流量も目標量より低下している状態のことをいう。この状態になると、不完全燃焼等が発生するので、これまでに余裕を持って交換する必要がある。また、最大操作量にする、すなわち最大電圧をモータに印加するので、消費電力も増大してしまう。なお、実際の交換時期は上記の状態にまで至ると安全性が低下するので、それよりも余裕を持って早めに交換する。
【0097】
この方式は、第2の記憶手段4へ記憶した第2の時系列データD2_0からD2_nを用いて寿命予測する方式であり、時系列データの取得毎に、その取得した最新のデータを加えて再度寿命予測を実施する。
【0098】
なお、予測に使用する第2の時系列データD2は一時的な特性変化の影響を緩和するため、平均化しても良い。
【0099】
なお、本実施例では、空気フィルタと燃焼ファンの両方の寿命推定を行う構成としたが、どちらか一方の寿命推定でも実施の効果はある。
【0100】
また、推定の演算方法として最小二乗法を使用したが、逐次予測法でも、同様の効果を得ることができる。
【0101】
次に、逐次予測法について、図1および図3(a)、(b)を参照しながら説明する。
【0102】
寿命演算手段2は、空気フィルタ8の寿命予測を行うため、定期的な運転時において、燃焼ファン9が一定の回転数で回転している状態での燃焼空気流量を流量検出手段7により検出し、第1の記憶手段4に時系列に保存する。次に、第1の記憶手段4に記憶した2点以上の時系列の燃焼空気流量を読み込み、図3(a)に示す逐次予測法を用いて、空気フィルタ8の予測寿命T1βを算出する。
【0103】
逐次予測法では、図3(a)における実測区間内の第1の時系列データがD1_0からD1_nまで存在し、D1_0を時間的な先頭データ、D1_nを時間的な最終データとする時、D1_n−1とD1_n間で一次直線を求め、その一次直線の延長線上の燃焼空気流量が予め設定した閾値を下回る時間を予測寿命T2αとする。なお、D1_nから予測寿命の間を予測区間と呼称する。
【0104】
この方式は、時系列データから最新2点のデータを用いて、寿命予測する方式であり、時系列データの取得毎に、その時点の最新データを使用して寿命予測する。
【0105】
また、寿命演算手段2は、燃焼ファン9の寿命予測を行うため、入力手段10から空気フィルタ交換の入力が実施された場合、燃焼ファン9の操作量が一定の時の燃焼ファン回転数を回転数検出手段5により検出し、第2の記憶手段4へ今回の運転時に検出した燃焼ファン9の操作量が一定時の燃焼空気流量を時系列に保存する。そして、第2の記憶手段5に記憶した2点以上の時系列の燃焼ファン回転数データD2を読み込み、それら時系列の燃焼ファン回転数と今回運転時に取得した燃焼ファン9が一定操作時の燃焼ファン回転数を用いて、図3(b)に示す逐次予測法により燃焼ファン9の予測寿命T2βを算出する。逐次予測法は空気フィルタ8の寿命予測法と同一とし、その使用データを第2の時系列データとするため、説明を省略する。
【0106】
なお、予測に使用する第1の時系列データD1もしくは第2の時系列データD2は一時的な特性変化の影響を緩和するため、平均化しても良い。
【0107】
また寿命の推定の方法として、最小二乗法と逐次予測法を併用してもよい。以下、最小二乗法と逐次予測法の併用について説明する。
【0108】
寿命演算手段2は、空気フィルタ8の寿命予測を行うため、今回運転時に取得した燃焼ファン9が一定回転時の燃焼空気流量を第1の記憶手段4に記憶する。第1の記憶手段4に記憶した3点以上の第1の時系列データD1を読み込み、第1の時系列データD1から最小二乗法を用いて空気フィルタ8の予測寿命候補T1αを算出する。
【0109】
さらに、第1の時系列データD1の最新2点を使用して逐次予測法を用いて、空気フィルタ8の予測寿命候補T1βを算出する。算出した空気フィルタ8の予測寿命候補T1αと予測寿命候補T1βとを比較し、より早期の寿命を予測寿命T1と確定する。
【0110】
また、寿命演算手段2は、燃焼ファン9の寿命予測を行うため、第2の記憶手段5に記憶した3点以上の第2の時系列データD2を読み込み、最小二乗法を用いて燃焼ファン9の予測寿命候補T2αを算出する。
【0111】
さらに、第2の時系列データD2の最新2点を使用し、逐次予測法により燃焼ファン9の予測寿命候補T2βを算出する。算出した燃焼ファン9の予測寿命候補T2αと予測寿命候補T2βとを比較し、より早期の寿命を予測寿命T2と確定する。
【0112】
なお、予測に使用する第1の時系列データD1もしくは第2の時系列データD2は一時的な特性変化の影響を緩和するため、平均化しても良い。
【0113】
そして、寿命演算手段2によって予測された空気フィルタ8および燃焼ファン9の予測寿命は、出力手段11へ送られる。
【0114】
出力手段11は、寿命演算手段2と接続され、寿命演算手段2で算出された空気フィルタ8の予測寿命T1αまたはT1βまたはT1、もしくは燃焼ファン9の予測寿命T2αまたはT2βまたはT2を時間情報としてユーザへ提示する。この時間情報は、使用可能な残り時間、すなわち寿命を日数や月数の形式でユーザへ提示することを特徴とする。提示形態は、一例として表示装置や音声出力、出力手段からネットワークへ接続しての発報が利用できる。出力手段11がネットワークへ接続された場合は、ユーザの介在無しに直接的に燃料電池メーカへ残り寿命を提示できる。なお、交換時期を表示することも可能である。
【0115】
残り寿命がユーザへ提示される場合、ユーザは計画的に次のメンテナンスを要請できる。これにより、ユーザにとって突然のメンテナンスによる使用停止や故障停止による使用不能という不便を回避できる。
【0116】
また、メンテナンスを実施するメーカにとって、ユーザからの計画的なメンテナンス要請や出力手段11からの直接的な寿命出力により、計画的にメンテナンスを実施できる。
【0117】
なお、図1では、破線内は燃料電池制御用のマイクロコンピュータの内部装置を示し、破線外はマイクロコンピュータの外部装置を示している。これは、一例であり、切り分けが必要ということではない。記憶手段がマイクロコンピュータ内部にある場合でも、回転数検出手段が外部にあっても効果は同じである。
【0118】
この実施の形態1の燃料電池制御装置によれば、空気フィルタ8の予測寿命を最新の検査データで補正した上で算出することができ、したがって、空気フィルタ8の予測寿命を高精度に検出することができる。その結果、空気フィルタ8の交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0119】
また、燃焼ファン9の予測寿命を空気フィルタ8が新品時の燃焼ファン特性で検査でき、さらに最新の検査データで補正した上で算出することができ、したがって、燃焼ファン9の予測寿命を高精度に検出することができる。その結果、燃焼ファン9の交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0120】
さらに、空気フィルタ8の予測寿命を燃焼ファン9の劣化の影響を受けずに検出することができ、燃焼ファン9の予測寿命を空気フィルタ8の劣化の影響を受けずに検出することができる。すなわち、空気フィルタ8の予測寿命と燃焼ファン9の予測寿命とを独立して検出することができる。
【0121】
また、寿命演算手段2は空気フィルタ8の予測寿命の算出時に3個以上の第1の時系列データを使用して燃焼用空気の流量が予め設定した第1の閾値を下回る時期を算出し、燃焼ファン9の予測寿命の算出時に3個以上の第2の時系列データを使用して燃焼ファン9の回転数が予め設定した第2の閾値を下回る時期を算出することにより、一時的な特性変動による誤った寿命予測を防止できる。
【0122】
また、寿命演算手段2は、燃焼用空気の流量が第1の閾値を下回る時期の算出および燃焼ファン9の回転数が第2の閾値を下回る時期の算出にそれぞれ最小二乗法を使用することにより、3点以上の第1および第2の時系列データからの線形的な寿命推定を実現することができる。
【0123】
さらに、寿命演算手段2での演算結果を提示する出力手段を有することにより、推定した演算結果をユーザに提示することができる。
【0124】
さらに、寿命演算手段2から出力手段11に出力する演算結果は、空気フィルタ8と燃焼ファン9との予測寿命または交換時期であることにより、ユーザにとって理解し易い形式で寿命を提示することができる。
【0125】
[実施の形態2]
図5は本実施の形態2における燃料電池制御装置のブロック図を示す。
【0126】
本実施の形態においては、空気フィルタ8と燃焼ファン9との劣化を判断する劣化判断部1を有する燃料電池制御装置の構成について図面を用いて説明する。この実施の形態2は、実施の形態1と比較し、劣化判断部1が追加され、第1および第2の記憶手段3、4が省かれている。
【0127】
次に劣化判断部1について説明する。
【0128】
寿命演算手段2は、燃焼ファン制御手段6と劣化判断部1とに接続される。劣化判断部1は、燃焼ファン制御手段6と回転数検出手段5と流量検出手段7とに接続される。
【0129】
劣化判断部1は、定期的な運転時に、燃焼ファン制御手段6に対して燃焼ファン9が一定の回転数で回転している時の燃焼空気流量を取得するよう指令する。
【0130】
この指令を受け、燃焼ファン制御手段6は、燃焼ファン9に対する操作電圧を、回転数検出手段5で検出する回転数を参照し燃焼ファン9が一定回転となるようフィードバック制御する。
【0131】
劣化判断部1は、この時の燃焼空気流量を流量検出手段7により取得し、燃焼空気流量が予め設定した閾値以下の場合は空気フィルタ8の詰まりが寿命に達したと判断し、空気フィルタ劣化信号を寿命演算手段2へ伝達する。
【0132】
また、劣化判断部1は、寿命演算手段2を介して入力手段10から空気フィルタ交換の入力が実施された場合、燃焼ファン制御部6に対して燃焼ファン操作量が一定時の燃焼ファン回転数を取得するよう指令する。
【0133】
この指令を受け、燃焼ファン制御手段6は、燃焼ファン9に対する操作電圧を一定に制御する。
【0134】
劣化判断部1は、この時の燃焼ファン回転数を回転数検出手段5により取得し、燃焼ファン回転数が予め設定した閾値以下の場合は燃焼ファン9の劣化が寿命に達したと判断し、燃焼ファン劣化信号を寿命演算手段2へ伝達する。
【0135】
そして、寿命演算手段2は、空気フィルタ劣化信号または燃焼ファン劣化信号を出力手段11へ送る。出力手段11は、空気フィルタまたは燃焼ファンが寿命になって交換時期であることを提示する。出力手段11による提示形態は、一例として表示装置や音声出力、出力手段からネットワークへ接続しての発報が利用できる。
【0136】
出力手段11が空気フィルタ8または、燃焼ファン9が既に寿命に達している警告提示を実施した場合、ユーザはその警告提示を受け、燃料電池メーカにメンテナンス要請する。ネットワークへの警告出力による場合は、ユーザの介在無しに直接的に燃料電池メーカへ警告提示される。要請されたメンテナンス作業者は、警告の提示された空気フィルタ8または、燃焼ファン9に対してメンテナンスを実施できる。
【0137】
この実施の形態2の燃料電池制御装置によれば、空気フィルタ8の寿命到達を検出することができる。その結果、空気フィルタ8の交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0138】
また、入力手段10から空気フィルタ交換の入力が実施された場合に、燃焼ファン9を検査することで、空気フィルタ8が新品時の燃焼ファン特性を検査でき、燃焼ファン検査結果より空気フィルタ劣化の影響を排除できる。
【0139】
これにより、燃焼ファン9の寿命到達を検出することができる。その結果、燃焼ファン9の交換時期の最適化を図ることができ、メンテナンス回数を必要最小限に減少させることができるとともに、交換部品量を必要最小限に削減することができ、コスト削減と部品廃棄の削減を図ることができる。
【0140】
さらに、空気フィルタ8の寿命到達を燃焼ファン9の劣化の影響を受けずに検出することができ、燃焼ファン9の寿命到達を空気フィルタ8の劣化の影響を受けずに検出することができる。すなわち、空気フィルタ8の寿命到達と燃焼ファン9の寿命到達とを独立して検出することができる。
【0141】
さらに、劣化判断部1での判断結果を提示する出力手段11を有することにより、推定した判断結果をユーザに提示することができる。
【0142】
さらに、出力手段11には空気フィルタ8と燃焼ファン9とが寿命に達していることを提示するため、ユーザに対して空気フィルタ8と燃焼ファン9の交換を促すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明にかかる燃料電池制御装置において、それを構成する燃焼ファンおよび燃焼ファンより生成される燃焼空気のホコリを除去する空気フィルタの検査方法は、燃焼空気流量の時系列な特性と、燃焼ファンの回転数の時系列な特性に着目することで、燃焼ファンと空気フィルタ個別の寿命が予測でき、ユーザへの突然停止という不便を解消と、メーカのメンテナンス費用の削減とをもたらし、燃焼装置を備えた燃料電池制御装置の故障検査方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明にかかる実施の形態1の燃料電池制御装置の構成要素を示すブロック図である。
【図2】(a)は本発明にかかる実施の形態1における最小二乗法を使用した空気フィルタの寿命予測図、(b)は本発明にかかる実施の形態1における最小二乗法を使用した燃焼ファンの寿命予測図である。
【図3】(a)は本発明にかかる実施の形態1における逐次予測法を使用した空気フィルタの寿命予測図、(b)は本発明にかかる実施の形態1における逐次予測法を使用した燃焼ファンの寿命予測図である。
【図4】本発明にかかる実施の形態1における空気フィルタと燃焼ファンの検査タイミングを示す図である。
【図5】本発明にかかる実施の形態2の燃料電池制御装置の構成要素を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0145】
1 劣化判断部
2 寿命演算手段
3 第1の記憶手段
4 第2の記憶手段
5 回転数検出手段
6 燃焼ファン制御手段
7 流量検出手段
8 空気フィルタ
9 燃焼ファン
10 入力手段
11 出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガス改質用の燃焼用空気を送給する燃焼ファンと、
前記燃焼ファンによる前記燃焼用空気の送給経路中に設けられて前記燃焼用空気中のほこりを除去する空気フィルタと、
前記燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記燃焼用空気の流量を検出する流量検出手段と、
前記回転数検出手段の回転数検出信号をもとに前記燃焼ファンの回転数を一定に制御する燃焼ファン制御手段と、
前記燃焼ファンの一定回転数時における前記燃焼用空気の流量の第1の時系列データを記憶する第1の記憶手段と、
前記流量検出手段から前記第1の時系列データを取得して前記第1の記憶手段に書き込むとともに、前記第1の時系列データを取得する度に前記第1の記憶手段に記憶した以前の取得時の前記第1の時系列データと今回取得した前記第1の時系列データとから前記空気フィルタの予測寿命を算出する寿命演算手段とを備えた燃料電池制御装置。
【請求項2】
前記寿命演算手段は前記空気フィルタの予測寿命の算出時に3個以上の前記第1の時系列データを使用して前記燃焼用空気の流量が予め設定した第1の閾値を下回る時期を算出する請求項1に記載の燃料電池制御装置。
【請求項3】
前記寿命演算手段は、前記燃焼用空気の流量が前記第1の閾値を下回る時期の算出に最小二乗法を使用する請求項2に記載の燃料電池制御装置。
【請求項4】
前記寿命演算手段での演算結果を提示する出力手段を有する請求項1、2、3のいずれか1項に記載の燃料電池制御装置。
【請求項5】
前記寿命演算手段から前記出力手段に出力する演算結果は、前記空気フィルタの予測寿命または交換時期である請求項4に記載の燃料電池制御装置。
【請求項6】
前記寿命演算手段の演算結果を初期化するための入力手段を有する請求項1、2、3、4、5のいずれか1項に記載の燃料電池制御装置。
【請求項7】
前記第1の記憶手段に格納された前記第1の時系列データを初期化するための入力手段を有する請求項1、2、3、4、5のいずれか1項に記載の燃料電池制御装置。
【請求項8】
原料ガス改質用の燃焼用空気を送給する燃焼ファンと、
燃焼ファン検査時期を入力する入力手段と、
前記燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記燃焼ファンを一定操作する燃焼ファン制御手段と、
前記燃焼ファンの一定操作時における前記燃焼ファンの回転数の第2の時系列データを記憶する第2の記憶手段と、
前記回転数検出手段から前記第2の時系列データを取得して前記第2の記憶手段に書き込むとともに、前記第2の時系列データを取得する度に前記第2の記憶手段に記憶した以前の取得時の前記第2の時系列データと今回取得した前記第2の時系列データとから前記燃焼ファンの予測寿命を算出し、前記第2の時系列データを取得と予測寿命の算出は前記入力手段による入力タイミングに実施する寿命算出手段とを備えた燃料電池制御装置。
【請求項9】
前記寿命演算手段は前記燃焼ファンの予測寿命の算出時に3個以上の前記第2の時系列データを使用して前記燃焼ファンの回転数が予め設定した第2の閾値を下回る時期を算出する請求項8に記載の燃料電池制御装置。
【請求項10】
前記寿命演算手段は、前記燃焼ファンの回転数が前記第2の閾値を下回る時期の算出に最小二乗法を使用する請求項9に記載の燃料電池制御装置。
【請求項11】
前記寿命演算手段での演算結果を提示する出力手段を有する請求項8、9、10のいずれか1項に記載の燃料電池制御装置。
【請求項12】
前記寿命演算手段から前記出力手段に出力する演算結果は、前記燃焼ファンの予測寿命または交換時期である請求項11に記載の燃料電池制御装置。
【請求項13】
前記寿命演算手段の演算結果を初期化するための入力手段を有する請求項8、9、10、11、12のいずれか1項に記載の燃料電池制御装置。
【請求項14】
前記第2の記憶手段に格納された前記第2の時系列データを初期化するための入力手段を有する請求項8、9、10、11、12のいずれか1項に記載の燃料電池制御装置。
【請求項15】
原料ガス改質用の燃焼用空気を送給する燃焼ファンと、
前記燃焼ファンによる前記燃焼用空気の送給経路中に設けられて前記燃焼用空気中のほこりを除去する空気フィルタと、
前記燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記燃焼用空気の流量を検出する流量検出手段と、
前記回転数検出手段の回転数検出信号をもとに前記燃焼ファンの回転数を一定に制御する燃焼ファン制御手段と、
前記流量検出手段の出力をもとに前記燃焼ファンの一定回転数時における前記燃焼空気の流量が、予め設定した第1の閾値を下回ったことを検出して前記空気フィルタが寿命に達したと判断する劣化判断部とを備えた燃料電池制御装置。
【請求項16】
前記劣化判断部での判断結果を提示する出力手段を有する請求項15に記載の燃料電池制御装置。
【請求項17】
前記劣化判断部から前記出力手段に出力する判断結果は、前記空気フィルタが既に寿命に達しているという警告である請求項16に記載の燃料電池制御装置。
【請求項18】
原料ガス改質用の燃焼用空気を送給する燃焼ファンと、
燃焼ファン検査時期を入力する入力手段と、
前記燃焼ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記燃焼ファンを一定操作する燃焼ファン制御手段と、
前記入力手段による入力タイミングにおいて、前記回転数検出手段の出力をもとに前記燃焼ファンの操作量が一定時における前記燃焼ファン回転数が、予め設定した第2の閾値を下回ったことを検出して前記燃焼ファンが寿命に達したと判断する劣化判断部とを備えた燃料電池制御装置。
【請求項19】
前記劣化判断部での判断結果を提示する出力手段を有する請求項18に記載の燃料電池制御装置。
【請求項20】
前記劣化判断部から前記出力手段に出力する判断結果は、前記燃焼ファンが既に寿命に達しているという警告である請求項19に記載の燃料電池制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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