説明

燃料電池用セパレータ

【課題】燃料電池スタックの組立健全性に優れ、長時間運転しても電池特性の劣化が生じ難い燃料電池を製造する。
【解決手段】曲げ破断歪が0.5%以上、または圧縮弾性率が20GPa以下、またはショア硬度が20−50の範囲で好ましくは黒鉛及び樹脂を含む成形体から作られた燃料電池用セパレータ、並びに黒鉛及び樹脂を含む成形体からなり、80℃に保った成形体体積の30倍の水に100時間浸漬した後の浸漬水中に溶出したナトリウム、カリウム、鉄、ニッケル、マグネシウムの合計濃度が20ppm以下及び硫黄の濃度が30ppm以下である燃料電池用セパレータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータ、特に固体高分子型に適した燃料電池用セパレータ及び燃料電池用セパレータを用いた燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は近年、化石燃料の消費拡大による地球温暖化防止策、省エネルギー対策等の観点から非常に注目され、特に固体高分子型の燃料電池について、定置型発電機、燃料電池自動車等への応用を目的に国内外の研究機関や企業で精力的な研究開発が進められている。
固体高分子型の燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜を触媒電極で挟み、さらにその外側にセパレータと呼ばれる板状の部材を配置した単セルが基本単位となり、この電解質膜の片面に水素、メタノール等の燃料を供給し、反対の面には酸化剤である空気などを供給して、このときに生じる電気化学反応により電極間に発生する電気エネルギーを取り出すものである。なお、単セルの起電力は数百mVであることから、実際の機器に燃料電池を応用する際には、数百セルを積層したスタックの状態とすることが必要である。
この燃料電池の構成部材の一つであるセパレータは、燃料及び酸化剤を定量的かつ安定に面内に供給するための細かい流路が形成されている。
また、セパレータは発生する電気エネルギーを外部に伝達するための導電性、燃料と酸化剤が混合しないためのガス不透過性、単セルを多数積層し、圧縮、締結したときに破損しないための機械的特性等も必要とされる。
さらに、一つの燃料電池スタックに使用されるセパレータは数百枚の単位となることから、スタック全体をコンパクト化するために、セパレータの板厚を薄くしても上記特性を保つ必要があり、かつ一枚当たりのコストの低減も急務となっている。
【0003】
しかし、上記に示されるような従来のセパレータは、多数積層した場合、セパレータ間をパッキングでシールする部位のガスシール性が確保できず、燃料や酸化剤の漏れが発生したり、積層体を締め付ける際に局部的に応力が高くなって破損が生じたり、面内での接触抵抗の不均一が生じ、電池特性が低下するというスタック組立時の健全性に問題が発生していた。
また、固体高分子型燃料電池においては、燃料と酸化剤の反応により水が生成する。そして、運転温度を一定温度に保つため、冷却水をスタック内に流通させる必要がある。さらに、電解質膜は十分水を含んだ状態で性能を発揮するため、必要に応じて水蒸気をスタック内に供給する必要もある。
このように、燃料電池においては水が燃料、酸化剤と共に重要な役割を果たすものであり、当然セパレータも水と接触した状態で使用される。運転時にセパレータから水中に不純物が溶出すると、電解質膜や触媒電極が汚染されて発電効率が低下したり、冷却水である純水の導電率が増加し、冷却水を通じてセル間が短絡することもある。このため、水への溶出分が少ないことも、セパレータの材質への重要な要求項目の一つとなっている。
セパレータの材料としては、これまでに大きく分けて金属、黒鉛材料、黒鉛粉/樹脂成形材が研究、開発されてきた。このうちの金属については、腐食による電気抵抗値の増大や金属イオンの溶出による電池特性劣化の問題があり、比重が大きいことからスタック重量も非常に重いものとなってしまう。
これまで研究開発の段階で多く使用されてきた人造黒鉛材料のセパレータは、等方性及び異方性の人造黒鉛ブロックより黒鉛板を切りだし、表面の流路を形成するためにプログラム制御の加工機で長時間かけてドリル加工を行う製造方法である。また、多孔質材であるために、加工後に樹脂含浸を実施してガス不透過性を付与する工程も不可欠であり、セパレータの単価は極端に高いものとなっていた。
【0004】
これらに対し、特許文献1に示されるような黒鉛粉/樹脂成形材は、炭素粉や黒鉛粉と熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の混合物を原料として、熱圧成形、射出成形等の方法により流路構造を形成するもので、上記の2つの方法に比べ大幅なコスト低減が可能となり、将来的に燃料電池が普及した際の大量生産に対応できる方法である。
しかしながら、黒鉛粉/樹脂成形材により得られるセパレータは、樹脂により黒鉛粉を結合している構造のため、運転中に黒鉛粉と樹脂の間に水が進入し表面積が増大し易く、樹脂含浸の人造黒鉛材料セパレータに比べ樹脂含有量が多いことも相まって、金属不純物を始めとする水への溶出分が多い傾向にある。このため、成形セパレータを使用した燃料電池は、人造黒鉛材料セパレータを使用したものに比べ、運転時間が長くなると電池特性の劣化が生じやすくなることが多く、信頼性、耐久性に問題があった。
【特許文献1】国際公開番号WO97/02612号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は燃料電池スタックの組立健全性に優れた燃料電池用セパレータ及び/又は長時間運転しても電池特性の劣化が生じ難い燃料電池用セパレータ並びにこれを用いる燃料電池を提供するものである。
本発明は、曲げ破断歪みが0.5%以上である燃料電池用セパレータを提供する。
本発明はまた、圧縮弾性率が20GPa以下である燃料電池用セパレータを提供する。
本発明は更に、ショア硬度が20〜50の範囲である燃料電池用セパレータを提供する。
本発明は更にまた、黒鉛及び樹脂を含む成形体からなり、80℃に保った成形体体積の30倍の水に100時間浸漬した後の、浸漬水中に溶出したナトリウム、カリウム、鉄、ニッケル、マグネシウムの合計濃度が20ppm以下及び硫黄の濃度が30ppm以下である燃料電池用セパレータを提供する。
本発明はまた上記の燃料電池用セパレータを有してなる燃料電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明を実施するための最良の形態
本発明の燃料電池用セパレータ及び燃料電池の好ましい態様を述べれば以下の通りである。
(1).曲げ破断歪みが0.5%以上である燃料電池用セパレータ。
(2).圧縮弾性率が20GPa以下である上記(1)記載の燃料電池用セパレータ。
(3).ショア硬度が20〜50の範囲である上記(1)又は(2)記載の燃料電池用セパレータ。
(4).圧縮弾性率が20GPa以下である燃料電池用セパレータ。
(5).ショア硬度が20〜50の範囲である上記(4)記載の燃料電池用セパレータ。
(6).ショア硬度が20〜50の範囲である燃料電池用セパレータ。
(7).セパレータが、黒鉛及び樹脂を含む成形体である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
(8).黒鉛及び樹脂を含む成形体からなり、80℃に保った成形体体積の30倍の水に100時間浸漬した後の、浸漬水中に溶出したナトリウム、カリウム、鉄、ニッケル、マグネシウムの合計濃度が20ppm以下及び硫黄の濃度が30ppm以下である燃料電池用セパレータ。
(9).セパレータが、リブ部及び平坦部を有する上記(1)〜(8)のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
(10).黒鉛が、膨張黒鉛である上記(7)又は(8)記載の燃料電池用セパレータ。
(11).膨張黒鉛が、膨張黒鉛シート粉砕粉である上記(10)記載の燃料電池用セパレータ。
(12).樹脂が、熱硬化性樹脂である上記(7)又は(8)記載の燃料電池用セパレータ。
(13).セパレータが、リブ部及び平坦部以外に穴部を有する上記(1)〜(12)記載の燃料電池用セパレータ。
(14).上記(1)〜(13)のいずれかに記載の燃料電池用セパレータを有してなる燃料電池。
(15).燃料電池が固体高分子型である上記(14)記載の燃料電池。
【0007】
本発明における燃料電池用セパレータは、曲げ破断歪みが0.5%以上、好ましくは0.6%以上、さらに好ましくは0.7%〜1.5%の範囲とされる。0.5%未満であると、セパレータをスタックに組み立てる際、面内の板厚のばらつきの大きいセパレータは、部分的に極端に変形が大きくなり、破断してしまう可能性が高くなる。
また、セパレータをスタックに組み立てる際に、強く締め付けられるが、このときにも強靱で破壊しないようにするためには、曲げ強度ではなく、曲げ破断歪みが重要である。さらに、セパレータ内に固体高分子膜やカーボンペーパーを挟むときに、密着性がよくなり、燃料電池としての性能をよくするために上記の曲げ破断歪みが重要である。
なお、本発明における燃料電池用セパレータは、その曲げ破断歪みが0.5%以上である場合は、その圧縮弾性率及びショア硬度については特に制限はないが、その圧縮弾性率は20GPa以下とすることが好ましく、15GPa以下とすることがより好ましく、0.5GPa〜10GPaの範囲とすることがさらに好ましい。ショア硬度は20〜50の範囲とすることが好ましく、20〜45の範囲とすることがより好ましく、20〜40の範囲とすることがさらに好ましい。
また、本発明においては、曲げ破断歪みが0.5%未満であっても、圧縮弾性率が20GPa以下、好ましくは15Pa以下、さらに好ましくは0.5GPa〜10GPaの範囲であるか又はショア硬度が20〜50の範囲、好ましくは20〜45の範囲、さらに好ましくは20〜40の範囲であれば本発明の目的を達成することができる。しかし、上記の範囲から外れた場合、即ち圧縮弾性率が20GPaを超えると荷重がかかる際の変形が生じ難くなるため、スタック組立の際に、板厚ばらつきの大きいセパレータではセパレータ間でのガスシール性が確保できなくなったり、電極又は隣り合うセパレータとの接触が悪くなり、接触抵抗が大きくなって発電効率が低下し易くなる。
なお、ショア硬度が20未満であると材質が柔らかくなりすぎるため、スタック組立時に板厚のばらつきが大きいセパレータでは、リブ部に非常に大きな偏荷重がかかり、リブが破損する可能性がある。反対にショア硬度が50を超えると、材質が硬すぎて、板厚のばらつきが大きいセパレータに偏荷重がかかってもこれを緩和することができず、電極又は隣り合うセパレータとの接触抵抗が大きくなる。
【0008】
一方、本発明におけるセパレータは、以上の物性を有する場合も、そうでない場合も、黒鉛及び樹脂を含む成形体を80℃に保った成形体体積の30倍の水に100時間浸漬し、その浸漬水に溶出する物質及びその濃度が、前記したようにナトリウム、カリウム、鉄、ニッケル、マグネシウムの合計濃度が20ppm以下及び硫黄の濃度が30ppm以下であることが必要である。
本発明において、浸漬水の温度を80℃としたのは、一般的な固体高分子型燃料電池の使用温度に合わせたものである。また浸漬時間を100時間としたのは、浸漬液中の不純物量が十分飽和する時間であるため、安定した分析が可能となるからである。なお、浸漬の温度、時間共に±5%程度のずれは測定結果に影響を及ぼさないため、実際の測定においては±5%の範囲内で温度、時間が異なっていても実質的に請求範囲の条件とみなす。
浸漬する水の体積は、成形体が完全に水中に浸漬することが必要であるが、あまり多すぎると溶出された不純物の濃度が低下し、分析の精度が低下する。このような観点から、本発明において水の体積は、被分析物である成形体の30倍とした。なお、実際の測定において、加熱保持中に水の蒸発が生じ体積が減少する場合には、浸漬後に減少した分の水を加え30倍の体積に戻すようにした。
水の体積は±5%程度ずれても不純物濃度分析の誤差範囲となる。従って、本発明でいう水の体積は、実際の測定において±5%の範囲内で異なっていても、実質的に本発明に含まれる範囲の条件とみなす。
浸漬に使用する水は測定のバックグラウンドとなるため、不純物が多いと正確な測定ができなくなるが、極端に純度の高い、所謂、超純水のレベルは不必要である。ナトリウム、カリウム、鉄、ニッケル、マグネシウムの合計濃度が3ppm以下であることが望ましい。
【0009】
本発明においては、浸漬水中に溶出したナトリウム、カリウム、鉄、ニッケル、マグネシウムの金属不純物の合計濃度は20ppm以下及び硫黄の濃度は30ppm以下、好ましくは金属不純物の合計濃度は10ppm以下及び硫黄の濃度は25ppm以下、さらに好ましくは金属不純物の合計濃度は6ppm以下及び硫黄の濃度は15ppm以下とされ、それぞれ0ppmであることが最も好ましく、いずれも上記の範囲を超える場合には、このセパレータを用いて組み立てた燃料電池は、長時間運転すると性能が劣化する。
なお、これら金属不純物の分析は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP分析)、原子吸光光度計等の公知の分析方法で実施すればよく、特に分析方法に制限はない。
【0010】
硫黄の分析についても、試料を燃焼させ発生ガスを捕集液中に採取し、イオンクロマトグラフにより分析する等の公知の方法で実施すればよく、特に制限はない。
成形体(セパレータ)を、80℃に保ったセパレータ体積の30倍の水に100時間浸漬した後の、浸漬水中に溶出したナトリウム、カリウム、鉄、ニッケル、マグネシウムの合計濃度を20ppm以下及び硫黄の濃度を30ppm以下にするには、灰分の少ない黒鉛を特に選択して使用する。灰分は、試料を高温(通常800℃〜1000℃)の空気中で加熱して、炭素分を完全に燃焼させて得られた残留分(通常灰分と呼称される金属不純物の酸化物)の量として定義される。灰分が1重量%以下の黒鉛を使用することが好ましく、0.3重量%以下の黒鉛を使用することがさらに好ましい。また、硫黄の濃度を30ppm以下にするには、硫黄含有分が0.5重量%以下の黒鉛を使用することが好ましく、0.3重量%以下の黒鉛を使用することがさらに好ましい。
上記のような黒鉛は、例えば、黒鉛を高温で熱処理(必要に応じてハロゲンガス雰囲気とする)することにより得ることができる。
例えば、硫黄分の少ない膨張黒鉛シート粉砕粉を使用する場合、その作製工程中、硫酸処理黒鉛の作製工程で水を加えた後の撹拌時間を10分以上、好ましくは20分以上とするとよい。また、酸処理に使用する装置、容器の材質は、金属不純物の溶出の少ないホーロー製のもの又はプラスチック製のものを使用することが好ましい。
セパレータの原料の一つとして使用する樹脂に対しても、金属不純物の含有量が少ないものが好ましい。また、セパレータの作製工程で、成形後にとる賦形後の後硬化処理において、加熱処理を長く行う。
【0011】
本発明における燃料電池用セパレータは、黒鉛及び樹脂を含む成形体からなるものである。セパレータの形状については特に制限はないが、リブ部及び平坦部を有する構造のものが好ましい。リブ部は、導電性又は通電性を有し、セパレータを電解質膜、燃料極及び空気極を介して重ねたときにガスの流路を形成するものである。平坦部は、セパレータの周辺にあり、把持部を形成し、上記の流路をガスが通過するときにガス漏れしないように構成される。またリブ部は、セパレータを重ねたときに形成された流路をガスが通過するときにガス漏れしないように構成される。平坦部は、セパレータを重ねたときに全体を固定するための把持部となることが好ましい。該平坦部を形成することにより、カーボンペーパー(電極)との密着性に優れるので好ましい。
【0012】
さらに、本発明になる燃料電池用セパレータは、リブ部及び平坦部以外に穴部を有していてもよく、特に、平坦部内に穴部を有していることが好ましい。穴部は、セパレータを多数重ねたときに、重ね方向に長い穴を形成するように構成され、水素ガス、酸素ガス及び冷却水を通すための穴が形成されるように構成される。そしてそれぞれの穴は、セパレータのリブ部によって形成される水素ガス流路、酸素ガス流路及び冷却水流路と連結されるように構成される。平坦部には、セパレータを重ねたときに固定用のボルトを通るための穴を有していてもよい。
【0013】
上記の穴部、固定用のボルトを通るための穴を形成した場合、セパレータを重ねたり、締め付けたりするとき、穴部やボルトを通るための穴の周辺が破損したり、割れ易くなるという問題点がある。そのため、曲げ破断歪み、圧縮弾性率、ショア硬度が重要なファクターとなる。これらのうち、特に、曲げ破断歪みが重要なファクターである。従って、これらを規制することにより上記の問題点を防止することができる。
【0014】
本発明における燃料電池用セパレータは、上記において、平坦部のないものであってもよい。
【0015】
セパレータの寸法は、燃料電池システムの用途、設計コンセプトに依存するが、概ね一辺の長さが4ないし6cmから30cm程度が一般的であり、板厚は0.2mm〜6mm程度である。
【0016】
また、本発明になるセパレータの板厚のばらつきについては、特に制限はない。健全なスタックを組み上げるためには、板厚の面内ばらつきは、0.3mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることがより好ましく、0.1mm以下であることがさらに好ましく、差が全くないことが最も好ましいとされる。なお、上記の板厚とは、燃料電池用セパレータの厚さ、詳しくは図2及び図4に示す燃料電池用セパレータの底部(底面)6から平坦部3又はリブ部1の頂点までの厚さを指す。
【0017】
本発明における燃料電池用セパレータは、黒鉛と樹脂を含む材料をセパレータ形状に成形して得ることができる。特に黒鉛が樹脂中に分散された構造のものが、電気特性、成形性、ガスの不浸透性の点に優れ、安価であるので好ましい。前記黒鉛としては、特に制限はなくコストを重視するならば、天然黒鉛、人造黒鉛等を使用することが好ましい。成形体の製作については特に制限はないが、圧縮成形、射出成形等の公知の方法で成形することが好ましい。使用する黒鉛の粒径に制限はなく、要求特性及び成形性を考慮し、粒径の異なる黒鉛を混合して使用することが好ましい。
【0018】
また、軽量化、機械強度(靭性)、板厚精度を重視する場合、膨張黒鉛を使用することが好ましく、特に膨張黒鉛シート粉砕粉を使用することが好ましい。
【0019】
ここに膨張黒鉛とは、原料黒鉛を酸性物質及び酸化剤を含む溶液に浸漬して黒鉛層間化合物を生成し、これを加熱処理して黒鉛結晶のC軸方向に膨張させたものをいう。
【0020】
本発明で好ましいものとして使用される膨張黒鉛シート粉砕粉は、膨張黒鉛粉をプレス、ロール等の方法で圧縮してシート形状とし、これを粉砕した粉体(後で詳述する)であり、必要に応じて分級を行う。シート化してから粉砕する理由は、シート化しない膨張黒鉛粉は嵩密度が0.05g/cmと非常に低いため、粉砕機での粉砕が困難となるからである。
【0021】
前記リブ部及び平坦部は、それぞれ膨張黒鉛及び樹脂を含む層を有し、これらの層が連続している層であることが好ましい。これにより、セパレータを得るための成形時の成形性が良好であり、セパレータに軽量性を付与し、またセパレータに高靭性、低弾性という好ましい特性を付与する。
【0022】
本発明で使用される膨張黒鉛は、原料黒鉛を、酸性物質及び酸化剤を含む溶液中に浸漬して黒鉛層間化合物を生成させる工程及び前記黒鉛層間化合物を加熱して黒鉛結晶のC軸方向を膨張させて膨張黒鉛とする工程により製造することができる。これにより膨張した黒鉛が虫状形となり方向性のない複雑に絡み合った形態となる。
【0023】
膨張黒鉛の膨張倍率は、セパレータの強度とシール性を確保するため高い方が好ましく、特に制限はないが150倍以上であることが好ましく、150倍〜300倍であることがさらに好ましい。
【0024】
この膨張黒鉛を粉砕することにより膨張黒鉛粉とすることができるが、粉砕の前に、得られた膨張黒鉛に圧力を加えシート状に圧縮成形して膨張黒鉛シートとすることが好ましい。
【0025】
前記の原料黒鉛としては特に制限はないが、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解黒鉛等の高度に結晶が発達した黒鉛が好ましいものとして挙げられる。得られる特性と経済性のバランスを考慮すると天然黒鉛が好ましい。用いる天然黒鉛としては、特に制限はなく、F48C(日本黒鉛(株)製、商品名)、H−50(中越黒鉛(株)製、商品名)等の市販品を用いることができる。これらは、鱗片状の粉末の形態で使用することが好ましい。
【0026】
原料黒鉛の処理に用いられる酸性物質は、一般に硫酸などの黒鉛の層間に進入して十分な膨張能力を有する酸性根(陰イオン)を発生することができるものが使用される。酸性物質の使用量については特に制限はなく、目的とする膨張倍率で決定され、例えば、黒鉛100重量部に対して100重量部〜1000重量部使用するのが好ましい。
【0027】
また、酸性物質と共に用いられる酸化剤としては、過酸化水素、過塩素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウム等の過酸化物、また硝酸などの酸化作用のある酸を用いることができ、良好な膨張黒鉛を得やすいという観点から過酸化水素が特に好ましい。酸化剤として過酸化水素を用いる場合、水溶液として用いることが好ましく、このとき、過酸化水素の濃度については特に制限はないが、20重量%〜40重量%が好ましい。その使用量についても特に制限はないが、黒鉛100重量部に対して過酸化水素水として5重量部〜60重量部配合することが好ましい。
【0028】
酸性物質及び酸化剤は、水溶液の形態で使用することが好ましい。
【0029】
酸性物質としての硫酸は、適宜の濃度で使用されるが、95重量%以上の濃度のものが好ましく、濃硫酸を使用することが特に好ましい。
【0030】
なお、上記膨張黒鉛の層間化合物生成工程では、酸性物質として一般に硫酸が使用されるため、膨張黒鉛を原料とする黒鉛粉には硫酸根が残留し易く、他の一般的な人造黒鉛に比べ硫黄分を多く含有する。このため、硫黄分の低減や、導電率を低減するために、硫酸根を低減する処理を加えることが望ましい。この硫酸根低減の処理方法としては、300℃以上の温度で熱処理することが好ましい。
【0031】
また、熱処理の雰囲気は、大気中又は窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。但し、大気中で行う場合は、熱処理温度が高くなると黒鉛の酸化が生じるため、300℃〜500℃の温度で熱処理することが好ましい。一方、不活性ガス雰囲気下で行う場合は、上限温度については特に制限はない。
【0032】
熱処理を行う場合の時期は、膨張直後、シート化した状態、粉砕後の何れの段階でもよく、特に制限はない。
【0033】
前記において、膨張黒鉛シートの製法についても特に制限はないが、一般的には上記で得た膨張黒鉛を、プレス、ロール等で圧力を加えてシート化することが好ましい。膨張黒鉛をシート化したときのシートの厚さ及び嵩密度については特に制限はないが、厚さが0.5mm〜1.5mmの範囲及び嵩密度が0.2g/cm〜1.7g/cmの範囲のものが好ましい。厚さが0.5mm未満であると得られる成形体が脆くなる傾向があり、1.5mmを超えると成形性が悪くなる傾向がある。また嵩密度が0.2g/cm未満であると電気抵抗が悪化する傾向があり、1.7g/cmを超えるとシート作製時に膨張黒鉛が凝集破壊を起こし易く粉砕して使用した場合、機械強度が低下する傾向がある。なお密度の大きさは、加圧量、ロールギャップ等の調整により、調整することができる。
【0034】
また、膨張黒鉛シートの粉砕は、粗粉砕及び微粉砕により行うことが好ましく、この後、必要に応じて分級を行う。
【0035】
本発明において、原料としての膨張黒鉛の嵩密度については特に制限はないが、0.05g/cm〜1g/cmの範囲が好ましく、0.1g/cm〜0.06g/cmの範囲がより好ましく、0.1g/cm〜0.4g/cmの範囲がさらに好ましい。膨張黒鉛の密度が小さすぎると、樹脂との均一混合性が低下し、燃料電池用セパレータのガス不透過性が低下する傾向があり、膨張黒鉛の密度が大きすぎると燃料電池用セパレータの機械的強度及び導電性の向上効果が低下する傾向がある。嵩密度は、例えば、メスシリンダーに膨張黒鉛シート粉砕粉を一定量入れ、振動を与えて膨張黒鉛シート粉砕粉を充填したときの体積から算出して求めることができる。
【0036】
膨張黒鉛シート粉砕粉の平均粒径についても特に制限はないが、樹脂との混合性及び成形性を考慮すると、数平均粒径で25μm〜500μmの範囲が好ましく、50μm〜400μmの範囲がより好ましく、70μm〜300μmの範囲がさらに好ましい。粒径が25μm未満であると膨張黒鉛粉の絡み合いの効果が少なくなり、セパレータの強度低下が起こり易くなる傾向があり、一方、粒径が500μmを超えると幅の狭いリブへの膨張黒鉛の流れ性が悪化し、平板が薄くリブの高さが高いセパレータの成形が困難となる傾向がある。平均粒径は、例えば、(株)島津製作所製、SALD−3000J等の各種粒度分布測定装置により測定することができる。
【0037】
本発明において、使用する樹脂の性状に特に制限はないが、安全性、製造工程の短縮(低コスト)等を考慮すると、乾式混合(無溶剤混合)が可能であり、かつ粒度分布が安定した熱硬化性樹脂、高耐熱性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。樹脂の使用形態としては粉末状、粒状等が好ましい。
【0038】
また、使用する樹脂の化学構造、分子量及び種類に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂(硬化剤が併用される)、メラミン樹脂、硬化性アクリル樹脂、レゾールタイプ及びノボラック型の粉末状フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、粉末状ポリアミド樹脂、粉末状ポリアミドイミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂等の高耐熱性樹脂又は熱可塑性樹脂が使用される。熱硬化性樹脂には必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤等が併用して使用される。硬化剤及び硬化促進剤の使用形態は、粉末状、粒状等が好ましい。
【0039】
これらの樹脂の中で、経済性、作業性、硬化後の特性バランスが優れることから、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂を用いることが好ましい。
【0040】
樹脂として粉末状のフェノール樹脂を用いる場合、その粒度分布に特に制限はないが、乾式混合性を考慮すると、数平均粒径で1μm〜1000μmの範囲が好ましく、5μm〜50μmの範囲がさらに好ましい。数平均粒径が1μm未満の場合、粉末状フェノール樹脂を使用した場合、樹脂の凝集が問題となり、膨張黒鉛シート粉砕粉との均一混合が望めなくなる傾向があり、一方、数平均粒径が1000μmを超える場合、上記と同様に均一な混合が難しくなり、得られる成形体の密度が部分的にばらつく傾向がある。
【0041】
フェノール樹脂としては、粉体特性として粒径が均一であり、またブロッキング(粉の凝集)が少なく、反応時に発生ガスが少なく成形が容易であり、熱処理が短時間で終了する等の特長を備えたフェノール樹脂が好ましく、中でも開環重合により重合するジヒドロベンゾオキサジン環を含むフェノール樹脂〔一般式(A)及び(B)に示す化学構造単位を有する〕を用いることが好ましい。
【0042】
【化1】


(式中、芳香環に結合する水素はヒドロキシル基のオルト位の1つを除き、炭素数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基又は炭素数1〜3のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基の炭化水素基で置換されていてもよい)。
【0043】
【化2】


(式中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基又は炭素数1〜3のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基の炭化水素基であり、芳香環に結合する水素は、上記式(A)と同様の炭化水素基で置換されていてもよい)。
【0044】
樹脂として粉末状フェノール樹脂を用いる場合、その粒度分布に特に制限はないが、膨張黒鉛シート粉砕粉との乾式法により短時間で、均一に混合できる混合性と、成形時の樹脂流れを考慮すると、数平均粒径で1μm〜100μmの範囲が好ましく、5μm〜50μmの範囲がさらに好ましい。
【0045】
本発明で使用する膨張黒鉛と樹脂との混合割合は、目標とする最終成形体である燃料電池用セパレータの諸特性の値を考慮して決定される。通常混合比率で膨張黒鉛/樹脂=95/5〜40/60(重量比)の範囲が好ましく、95/5〜30/70(重量比)の範囲がより好ましく、90/10〜50/50(重量比)の範囲がさらに好ましく、85/15〜60/40(重量比)の範囲が最も好ましい。ここで膨張黒鉛と樹脂との混合比率が95/5を超える場合、機械強度が急激に低下する傾向があり、一方、40/60未満の場合、導電性物質である膨張黒鉛の添加量が少なく、電気特性が悪化する傾向がある。
【0046】
膨張黒鉛と樹脂の混合方法に特に制限はなく、膨張黒鉛の微粉化を防止する点で混合時の膨張黒鉛に大きな剪断力が加わらないシエイカー、Vブレンダー等を使用した乾式混合方法によることが好ましい。混合時に膨張黒鉛が微粉化した場合、得られる燃料電池用セパレータの機械強度が急激に低下する傾向がある。
【0047】
また、燃料電池用セパレータへの成形に際し、上記混合粉を直接、成形材料粉として成形に供することができるが、さらなる混合性の向上と成形時の作業性を向上させるために、混合粉を加圧成形しシート状にしたもの(以下、「成形用シート」という)を成形に供することが好ましい。
【0048】
成形用シートの製造法に特に制限はないが、例えば混合物投入タンク、材料を一定厚さにするゲート調整機、一定幅に仕上げるスリッター、前記加工材料を移送する移送装置、シート化する圧延ロール等から構成される成形用シートの製造装置等を使用することができる。平坦部に穴部を有する場合、成形用シートに穴部が形成されているようにすると好ましい。
【0049】
成形用シートは、その強度を向上させるために成形用シートに含まれる樹脂の硬化反応を部分的に進めるか、部分的に(完全にではなく)熱溶融させてからセパレータの製造に供することができる。硬化反応又は熱溶融させる方法に制限はないが、例えば、得られた成形用シートを加熱する方法、さらに具体的には前記の圧延ロールを加熱装置が付属されたものとし、この圧延ロールを通すときに加熱する方法、得られた成形用シートを加熱オーブンに通す方法等がある。
【0050】
前記、成形体(燃料電池用セパレータ)を得るための成形方法については特に制限はないが、成形機のコスト、得られる成形体の板厚精度、電気特性及び機械特性を決定ずける樹脂中における膨張黒鉛粉の最適な配向等を考慮すると圧縮成形法が好ましい。
【0051】
なお成形する際、一般にリブ部と平坦部で、単位面積当たりの原料の装填量が同じ場合、平坦部の嵩密度は低くなる。このためリブ部及び平坦部の嵩密度を同時に上記の範囲にするためには、材料の装填量を変える必要があり、例えば、必要に応じて成形体の平坦部の形状に合わせた成形用シートを追加したり又は強度向上の役割も兼ねたガラスクロスなどの補強シートを成形用シートに重ね合わせて使用してもよい。
【0052】
得られる燃料電池用セパレータの嵩密度については特に制限はないが、例えば、平坦部の嵩密度は1.35g/cm以上が好ましく、1.40g/cm〜1.75g/cmの範囲がさらに好ましい。またリブ部の嵩密度は1.35g/cm以上が好ましく、1.45g/cm〜1.75g/cmの範囲がさらに好ましい。上記の嵩密度を有することにより十分な機密性を保つことができると共に、板厚精度に優れるので好ましい。
【0053】
本発明において、燃料電池用セパレータの曲げ破断歪みを0.5%以上、圧縮弾性率を20GPa以下又はショア硬度を20〜50の範囲にするためには、例えば、原料として使用する膨張黒鉛シート粉砕粉などの成形材料の粒径とそれに見合った樹脂の配合割合、成形用金型への成形材料と樹脂の混合物の装填量、成形圧力等を調整して適切な条件を見い出すことにより達成できる。
【0054】
燃料電池は、本発明におけるセパレータにより、固体高分子電解質膜などからなる電解質層及びこれを挟むようにして形成されるセルを必要数積層された構造を有する。本発明におけるセパレータは、電解質の種類によって分類されるアルカリ型、固体高分子型、リン酸型、溶融炭素塩型、固体酸型等の燃料電池のセパレータとして使用でき、特に固体高分子型燃料電池に使用することが好ましい。
【0055】
上記に示すような構造にすることにより、組立健全性に優れる他、板厚精度、ガス不透過性、電気特性、機械強度等についても問題のない燃料電池用セパレータ及び燃料電池が得られる。
【0056】
以下、本発明の実施例の形態を図面により説明する。
【0057】
図1A及び1Bは、本発明の一実施例になる燃料電池用セパレータの形状の一例を示す平面図、図2は、図1AのX−X断面図、図3A及び図3Bは、本発明の他の一実施例になる燃料電池用セパレータの形状の一例を示す平面図、並びに図4は、図3AのY−Y断面図である。図中1はガスと冷却水の供給路を確保するためのリブ(溝)を有するリブ部、2はガスと冷却水を供給するための穴部、3は平坦部、4は突起部、5は溝部及び6は底部(底面)である。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明を説明する。
【0059】
実施例1
(1)成形用混合粉の製造
板厚が1.0mm及び嵩密度が1.0g/cmの膨張黒鉛シート(日立化成工業(株)製、商品名カーボフィットHGP−105)を粗粉砕機及び微粉砕機で粉砕し、目開き425μmのフルイを通して粗粉を除去し、灰分が0.6重量%及び硫黄分が0.12重量%で、平均粒径が250μmの膨張黒鉛シート粉砕粉を得た。この膨張黒鉛シート粉砕粉と前記一般式(A)及び(B)に示す化学構造単位を有する数平均粒径が20μmの粉末状フェノール樹脂(日立化成工業(株)製、商品名HR1060)を重量比で膨張黒鉛シート粉砕粉:粉末状フェノール樹脂が70:30の割合で配合し、Vブレンダーで乾式混合して混合粉を得た。
(2)燃料電池用セパレータの製造
次に、図1A、図1B、図2、図3A、図3B及び図4に示す形状の燃料電池用セパレータを得るために金型を使用した。このうち図1A、図1B及び図2に示す形状のセパレータを得るための下型〔成形後図1B(裏面)となる部分〕を、成形面(縦、横200mm)が平坦な型とし、上型〔成形後図1A(表面)となる部分〕を、突起部を有する型とした。ただし、上型は、成形後リブの高さが0.6mm、リブピッチが2mm、リブの幅が2mm及びリブテーパが10度になるような形状とした。なおリブ部1が形成される領域は中央部の150mm×150mmとした。
一方、図3A、図3B及び図4に示す形状のセパレータを得るための下型〔成形後図3B(裏面)となる部分〕及び上型〔成形後図3A(表面)となる部分〕の両金型を突起部を有する型とした。このうち下型は、成形後リブの高さが0.6mm、リブピッチが6mm、リブの幅が6mm及びリブテーパが10度になるような形状とした。また上型は、図1A、図1B及び図2に示す形状のセパレータを得るための上型と同じ形状とした。
(1)で得た混合粉を圧延ロールを有するシート成形機を用いて成形し、単位面積当たりの重量が0.23g/cmで、寸法が200mm×200mm及び厚さが5mmの成形用シートを得た。
また、上記と同様のシート成形機を用いて単位面積当たりの重量が0.09g/cmで、寸法が200mm×200mm及び厚さが5mmの成形用シートを作製し、その中央部の150mm×150mmの領域をくり抜いた。
この後、図1A、図1B及び図2に示す形状のセパレータを得るための下型を180℃に加熱し、この下型に前記で得た成形用シートを1枚載置した後、さらにその上に中央部をくり抜いた成形用シートを1枚載置した。その後、その上部に上型の突起部を有する部分を下に向けてセットし、得られる成形体の板厚が1.9mmになるような条件、即ち180℃、面圧19.6MPa(2×10kg/m)の条件で10分間成形し、次いで、平坦部3の6カ所に穴部2を簡易打ち抜き機で打ち抜いて図1A、図1B及び図2に示す形状の燃料電池用セパレータ(a)を52枚得た。なお図1A、図1B及び図2において、4は突起部、5は溝部及び6は底部(底面)である。
一方、図3A、図3B及び図4に示す形状の燃料電池用セパレータ(b)52枚も前記と同様の工程を経て得た。燃料電池用セパレータ(b)の板厚は2.0mmであった。
また、得られた燃料電池用セパレータ(a)のリブ部の嵩密度は1.44g/cm及び平坦部の嵩密度は1.68g/cmであり、燃料電池用セパレータ(b)のリブ部の嵩密度は1.58g/cm及び平坦部の嵩密度は1.60g/cmであった。なお、以下の実施例及び比較例において、燃料電池用セパレータ(a)及び(b)の板厚、リブ部の嵩密度及び平坦部の嵩密度は上記と同じ値である。
【0060】
実施例2
実施例1の(1)で得た膨張黒鉛シート粉砕粉を、さらに目開き180μmのフルイを通して粗粉を除去し、平均粒径が130μmの膨張黒鉛シート粉砕粉を得た。以下実施例1と同様の工程を経て燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)を、各々52枚ずつ得た。
【0061】
実施例3
実施例1の(1)で得た膨張黒鉛シート粉砕粉を、さらに目開き106μmのフルイを通して粗粉を除去し、平均粒径が83μmの膨張黒鉛シート粉砕粉を得た。以下実施例1と同様の工程を経て燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)を、各々52枚ずつ得た。
【0062】
実施例4
実施例1の(1)で得た平均粒径が250μmの膨張黒鉛シート粉砕粉と実施例1の(1)で用いた数平均粒径が20μmの粉末状フェノール樹脂を重量比で膨張黒鉛シート粉砕粉:粉末状フェノール樹脂が75:25の割合で配合し、Vブレンダーで乾式混合して混合粉を得た以外は、実施例1と同様の工程を経て燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)を、各々52枚ずつ得た。
【0063】
比較例1
実施例2で得た平均粒径が130μmの膨張黒鉛シート粉砕粉と実施例1の(1)で用いた数平均粒径が20μmの粉末状フェノール樹脂を重量比で膨張黒鉛シート粉砕粉:粉末状フェノール樹脂を65:35の割合で配合し、Vブレンダーで乾式混合して混合粉を得た以外は、実施例1と同様の工程を経て燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)を、各々52枚ずつ得た。
【0064】
比較例2
実施例3で得た平均粒径が83μmの膨張黒鉛シート粉砕粉と実施例1の(1)で用いた数平均粒径が20μmの粉末状フェノール樹脂を重量比で膨張黒鉛シート粉砕粉:粉末状フェノール樹脂を65:35の割合で配合し、Vブレンダーで乾式混合して混合粉を得た以外は、実施例1と同様の工程を経て燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)を、各々52枚ずつ得た。
【0065】
次に、前記の各実施例及び各比較例で得た燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)の全数について、縦、横4点ずつ合計16点について、マイクロメータを用いて板厚を測定し、1枚のセパレータ面内での板厚のばらつき(最大厚さと最小厚さの差)を求めた。これら100枚のセパレータのばらつきの平均値と最大値及び最小値を表1に示す。
また、前記の実施例1〜4及び比較例1〜2で得た燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)を各々2枚ずつ用い、各セパレータの平坦部から、50mm×10mmの試片を5枚及び20mm×20mmの試片を2枚作製し、以下に示す特性を求めた。
上記の試片のうち50mm×10mmの試片を用いて、オートグラフ(島津製作所製S−500)により支点間距離40mmで3点曲げ試験を行い、破断時の変形量から治具、装置の歪み量を除いて曲げ破断歪みを算出した。なお参考値として曲げ強度も求めた。またD型ショア硬度計(仲井精機製作所製)を使用し、上記破断後の試片についてのショア硬度を求めた。
次に、上記のオートグラフを使用し、20mm×20mmの試片について圧縮試験を実施し、荷重に対する変形量の関係を求めた。この変形量から治具、装置の歪み量を除いて圧縮弾性率を算出した。これらの特性をまとめて表1に示す。
また、前記の実施例1〜4及び比較例1〜2で得た燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)を用いて燃料電池を組立て、電池特性を確認した。
先ず、白金触媒を担持したカーボン粉及びパーフルオロスルホン酸粉末をエタノールに分散させてペーストを作製し、これをカーボンペーパーに均一に塗布し電極触媒層を形成した。このペーストを塗布したカーボンペーパー2枚を150mm角に切断し、ペースト面が内側になるようにして厚さ50μmのパーフルオロスルホン酸膜(デュポン社製、商品名ナフィオン)を挟み込み、加熱しながら圧着して膜電極複合体(MEK)を作製した。
次に、各実施例及び各比較例で得た図1A、図1B及び図2に示す形状の燃料電池用セパレータ(a)並びに図3A、図3B及び図4に示す形状の燃料電池用セパレータ(b)を各各50枚用い、前記MEKを図1Aに示す燃料電池用セパレータ(a)の面(表面)と図3Aに示す燃料電池用セパレータ(b)の面(表面)の間に挟み込み、両セパレータのリブ部1及び穴部2周辺を液体パッキン(シリコーンゴム)でシールし、単セルを50セット作製した。
次いで、得られた50セットの単セルを、外側面である図1Bに示す燃料電池用セパレータ(a)の面(裏面)と隣り合う図3Bに示す燃料電池用セパレータ(b)の面(裏面)のリブ部1及び穴部2周辺を液体パッキン(シリコーンゴム)でシールしながら積層し、積層体の上下を剛性のある板で挟み込み、500KPaの面圧をかけて固定し、電池特性確認用のスタックを得た。
このようにして得られた電池特性確認用のスタックに穴(マニホールド)部2を通じて水素ガス、空気及び冷却水を供給し、80℃に保持して0.4mA/cmの電流密度で100時間の運転を行い、各単セルのそれぞれの出力電圧を測定した。表1に100時間経過後の50セル中の最大電圧と最小電圧を示す。なお、スタック組立中に破壊した比較例1及び比較例2については電圧の測定は行わなかった。
【0066】
【表1】

【0067】
表1に示されるように、本発明になる実施例1〜4のセパレータは、板厚のばらつきが少なく、曲げ破断歪み、圧縮弾性率、ショア硬度及び曲げ強度に問題はなく、かつ100時間の運転に対しても高い出力を安定して供給でき、また電池スタックの組立保全性についても何ら問題がないことが明らかである。これに対し、比較例1〜2のセパレータは、板厚のばらつきは少なく実施例1〜3のセパレータと比較してもほとんど差が見られなかったが、比較例1のセパレータは、ショア硬度及び曲げ強度が低いという欠点が生じ、また比較例2のセパレータは、圧縮弾性率及びショア硬度が高く、曲げ破断歪みが低いという欠点が生じていた。
【0068】
実施例5
(3)膨張黒鉛シート粉砕粉の製造
濃硫酸(濃度98重量%)15リットルを容積40リットルのガラスフラスコに入れ、ここに天然黒鉛(中国産、固定炭素99%以上、粒径50メッシュ以下)3kgを投入し、ガラス羽根を取り付けた攪拌モータ(回転数150min−1)で5分間攪拌した。その後、過酸化水素水(濃度35重量%)0.75リットルを添加し、15分攪拌した後、減圧濾過で固形分を分離した。この固形分を別容器に移し10リットルの水を加え、30分間攪拌した後に再度減圧濾過を実施して水を分離し、酸処理黒鉛を得た。
得られた酸処理黒鉛をホーロー製のバットに移し平らにならし、110℃に昇温した乾燥機で1時間熱処理して水分を除去した。このものをさらに800℃に昇温した加熱炉に5分間入れ、膨張黒鉛を得た。冷却後、この膨張黒鉛をロールで圧延して密度が1.0g/cm及び厚みが1.0mmのシートに加工した。得られたシートを粗粉砕機(ホソカワミクロン(株)製、ロートプレックス(商品名))で粉砕後、微粉砕機(奈良機械製作所(株)製、自由粉砕機M−3(商品名))で粉砕し、灰分が0.6重量%及び硫黄分が0.11重量%、数平均粒径が250μmで、嵩密度が0.25g/cmの膨張黒鉛シート粉砕粉を得た。
(4)成形用混合粉の製造
(3)で得た膨張黒鉛シート粉砕粉と粉末状フェノール樹脂(日立化成工業(株)製、商品名HR1060、数平均粒径が20μm )を重量比で膨張黒鉛シート粉砕粉:粉末状フェノール樹脂が70:30の割合で配合し、Vブレンダーで乾式混合して混合粉を得た。
得られた混合粉を圧延ロールなどからなるシート成形機を用いて成形し、燃料電池用セパレータ(a)用として単位面積当たりの重量が0.28g/cm、厚さが5mmで寸法が200×200mmの成形用シートを11枚得た。また燃料電池用セパレータ(b)用として単位面積当たりの重量が0.34g/cm、厚さが6mmで寸法が200×200mmの成形用シートを11枚得た。
(5)燃料電池用セパレータの製造
次に、図1A、図1B、図2、図3A、図3B及び図4に示す形状の燃料電池用セパレータを得るために金型を使用した。このうち図1A、図1B、及び図2に示す形状のセパレータを得るための下型〔成形後図1B(裏面)となる部分〕を、成形面(縦、横200mm)が平坦な型とし、上型〔成形後図1A(表面)となる部分〕を、突起部を有する型とした。ただし、上型は、成形後リブの高さが0.6mm、リブピッチが2mm、リブの幅が2mm及びリブテーパが10度になるような形状とした。なおリブ部1が形成される領域は中央部の150mm×150mmとした。
一方、図3A、図3B及び図4に示す形状のセパレータを得るための下型〔成形後図3B(裏面)となる部分〕及び上型〔成形後図3A(表面)となる部分〕の両金型を突起部を有する型とした。このうち下型は、成形後リブの高さが0.5mm、リブピッチが6mm、リブの幅が6mm及びリブテーパが10度になるような形状とした。また上型は、図1A、図1B及び図2に示す形状のセパレータを得るための上型と同じ形状とした。
先ず、燃料電池用セパレータ(a)用の上下金型及び金型外枠を180℃に加熱し、下型に(4)で得た単位面積当たりの重量が0.28g/cmの成形用シートを載置し、その上部に上型の突起部を有する部分を下に向けてセットし、その後180℃、面圧19.6MPa(2×10kg/m)の条件で10分間成形し成形体を取り出した。次いで200℃30分間の後硬化処理を実施し、平均板厚が2.0mmの成形体を得た。この成形を11回繰り返して得られた成形体のうちの10枚について、平坦部3の所定の位置に穴部2を簡易打ち抜き機で打ち抜いて図1A、図1B、及び図2に示す形状の燃料電池用セパレータ(a)を得た。
一方、燃料電池用セパレータ(b)用の上下金型及び金型外枠を180℃に加熱し、下型に(4)で得た単位面積当たりの重量が0.34g/cmの成形用シートを載置し、以下上記と同様の工程を経て成形体を得た。得られた成形体の平均板厚は2.6mmであり、この成形を11回繰り返して得られた成形体のうちの10枚について、平坦部3の所定の位置に穴部2を簡易打ち抜き機で打ち抜いて図3A、図3B及び図4に示す形状の燃料電池用セパレータ(b)を得た。
【0069】
実施例6
実施例5で得た膨張黒鉛シート粉砕粉を、電気炉を用いて大気雰囲気中で400℃、3時間の熱処理を行った。この熱処理工程を追加した数平均粒径が250μmで、嵩密度が0.25g/cmの膨張黒鉛シート粉砕粉を用いた以外は実施例5と同様の工程を経て燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)をそれぞれ10枚、穴部打ち抜き未実施の成形体をそれぞれ1枚得た。なお、熱処理後の膨張黒鉛シート粉砕粉の灰分は0.6重量%及び硫黄分は0.08重量%であった。
【0070】
実施例7
実施例5で得た膨張黒鉛シート粉砕粉を、電気炉を用いて塩素ガスを添加した窒素雰囲気中で2800℃、12時間の熱処理を行った。この熱処理工程を追加した数平均粒径が250μmで、嵩密度が0.25g/cmの膨張黒鉛シート粉砕粉を用いた以外は実施例5と同様の工程を経て燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)をそれぞれ10枚、穴部打ち抜き未実施の成形体をそれぞれ1枚得た。なお熱処理後の膨張黒鉛シート粉砕粉の灰分は0.002重量%及び硫黄分は0.01重量%であった。
【0071】
比較例3
実施例5の(3)における酸処理黒鉛の作製工程で、水を加えた後の撹拌時間を5分間とした以外は実施例5と同様の工程を経て灰分が0.6重量%及び硫黄分が0.4重量%、数平均粒径が250μmで、嵩密度が0.25g/cmの膨張黒鉛シート粉砕粉を得、さらに燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)をそれぞれ10枚、穴部打ち抜き未実施の成形体をそれぞれ1枚得た。
【0072】
比較例4
実施例5の(3)における酸処理黒鉛の膨張工程で用いた容器を、ステンレスのバットとした以外は実施例5と同様の工程を経て灰分が0.9重量%及び硫黄分が0.10重量%、数平均粒径が250μmで、嵩密度が0.25g/cmの膨張黒鉛粉砕粉を得、さらに燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)をそれぞれ10枚、穴部打ち抜き未実施の成形体をそれぞれ1枚得た。
【0073】
比較例5
実施例5の(5)における成形後の後硬化処理を省略した以外は実施例5と同様の工程を経て実施例5と同一の膨張黒鉛シート粉砕粉を得、さらに燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)をそれぞれ10枚、穴部打ち抜き未実施の成形体をそれぞれ1枚得た。
【0074】
次に、実施例5〜7及び比較例3〜5で得た穴部打ち抜き未実施の成形体の平坦部から、幅が25mm及び長さが50mmの試片を1枚ずつ切り出した。得られた試片を純水で良く洗浄した後、純水で良く洗浄したガラス瓶に入れ、それぞれ体積の30倍の純水に浸漬した。
これを温度が80±2℃及び湿度が95%に保った恒温恒湿槽に入れ100時間保持した。冷却後の浸漬水に含有される金属不純物を誘導結合プラズマ発光分光法で測定した。さらに、各試料を燃焼させたガスを捕集液中に採取し、これをイオンクロマトグラフで分析する方法によって, 浸漬水に含有される硫黄分を測定した。これらの結果を表2に示す。
なお、浸漬に使用した純水の中の、ナトリウム、カリウム、鉄、ニッケル、マグネシウム、硫黄は全て検出下限以下であった。
また、実施例5〜7及び比較例3〜5で得た燃料電池用セパレータ(a)及び燃料電池用セパレータ(b)を用いて燃料電池を組立て、電池特性を確認した。先ず、白金触媒を担持したカーボン粉及びパーフルオロスルホン酸粉末をエタノールに分散させペーストを作製し、これをカーボンペーパーに均一に塗布し電極触媒層を形成した。このペーストを塗布したカーボンペーパー2枚を150mm角に切断し、ペースト面が内側になるようにして厚さ50μmのパーフルオロスルホン酸膜(デュポン社製、商品名:ナフィオン)を挟み込み、加熱しながら圧着して膜電極複合体(MEA)を作製した。
次に、実施例5〜7及び比較例3〜5で得た図1A、図1B及び図2に示す形状の燃料電池用セパレータ(a)並びに図3A、図3B及び図4に示す形状の燃料電池用セパレータ(b)を各々10枚ずつ用い、上記MEAを図1Aに示す燃料電池用セパレータ(a)の面(表面)と図3Aに示す燃料電池用セパレータ(b)の面(表面)の間に挟み込み、両セパレータのリブ部1及び穴部2周辺を液体パッキン(シリコーンゴム)でシールし、単セルを10セット作製した。
次いで、得られた10セットの単セルを、外側面である図1Bに示す燃料電池用セパレータ(a)の面(裏面)と隣り合う図3Bに示す燃料電池用セパレータ(b)の面(裏面)のリブ部1及び穴部2周辺を液体パッキン(シリコーンゴム)でシールしながら積層し、積層体の上下を剛性のある板で挟み込み、500KPaの面圧をかけて固定し、電池特性確認用のスタックを得た。
このようにして得られた電池特性確認用のスタックに穴(マニホールド)部2を通じて水素ガス、空気及び冷却水を供給し、80℃に保持して0.4mA/cmの電流密度で、各単セルの出力電圧を測定しながら運転を行った。運転時間は100時間を目標とし、問題のなかった場合は100時間の時点での10セルの平均電圧を、問題が発生し運転が停止した場合は、その直前の時点での10セルの平均電圧を、それぞれ表2に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
表2に示されるように、本発明になる実施例5〜7の燃料電池用セパレータは、浸漬水への金属不純物及び硫黄の溶出量が少なく、100時間の運転に対しても高い出力であることが明らかである。
これに対し、比較例3の燃料電池用セパレータは、浸漬水への硫黄の溶出量が多く、2時間でセル間が短絡し、また比較例4の燃料電池用セパレータは、浸漬水への金属不純物及び硫黄の溶出量が多く、平均電圧が低い、さらに比較例5の燃料電池用セパレータは、浸漬水への金属不純物及び硫黄の溶出量が多く、浸漬水の導電率が高く、60時間で短絡するという欠点が生じた。
【0077】
産業上の利用の可能性
本発明の燃料電池用セパレータは、燃料電池スタックの組立健全性に優れ及び/又は長時間運転しても電池特性の劣化が生じ難く、かつ安価な燃料電池用セパレータである。
また、本発明の燃料電池は、燃料電池スタックの組立健全性に優れ及び/又は長時間運転しても電池特性の劣化が生じ難く、かつ安価な燃料電池用セパレータを有する高性能な燃料電池である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1A】本発明の一実施例になる燃料電池用セパレータの形状の一例を示す平面図である。
【図1B】本発明の一実施例になる燃料電池用セパレータの形状の一例を示す平面図である。
【図2】図1AのX−X断面図である。
【図3A】本発明の他の一実施例になる燃料電池用セパレータの形状の一例を示す平面図である。
【図3B】本発明の他の一実施例になる燃料電池用セパレータの形状の一例を示す平面図である。
【図4】図3AのY−Y断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ破断歪みが0.5%以上である燃料電池用セパレータ。
【請求項2】
圧縮弾性率が20GPa以下である請求項1記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項3】
ショア硬度が20〜50の範囲である請求項1又は2記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項4】
圧縮弾性率が20GPa以下である燃料電池用セパレータ。
【請求項5】
ショア硬度が20〜50の範囲である請求項4記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項6】
ショア硬度が20〜50の範囲である燃料電池用セパレータ。
【請求項7】
セパレータが、黒鉛及び樹脂を含む成形体である請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項8】
黒鉛及び樹脂を含む成形体からなり、80℃に保った成形体体積の30倍の水に100時間浸漬した後の、浸漬水中に溶出したナトリウム、カリウム、鉄、ニッケル、マグネシウムの合計濃度が20ppm以下及び硫黄の濃度が30ppm以下である燃料電池用セパレータ。
【請求項9】
セパレータが、リブ部及び平坦部を有する請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項10】
黒鉛が、膨張黒鉛である請求項7又は8記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項11】
膨張黒鉛が、膨張黒鉛シート粉砕粉である請求項10記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項12】
樹脂が、熱硬化性樹脂である請求項7又は8記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項13】
セパレータが、リブ部及び平坦部以外に穴部を有する請求項1〜12のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の燃料電池用セパレータを用いた燃料電池。
【請求項15】
固体高分子型である請求項14記載の燃料電池。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−27925(P2008−27925A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262043(P2007−262043)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【分割の表示】特願2003−557057(P2003−557057)の分割
【原出願日】平成14年12月24日(2002.12.24)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】