説明

燃料電池用電極触媒、該電極触媒を含む膜電極接合体及び燃料電池、並びに燃料電池用電極触媒の製造方法

【課題】燃料電池用電極触媒、該電極触媒を含む膜電極接合体及び燃料電池、並びに燃料電池用電極触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】現在商業的に広く使われているPt/C触媒に匹敵することができる優れた電気化学的活性を有しつつも、白金よりはるかに低価である電極触媒、及び該電極触媒を含む膜電極接合体と燃料電池とである。該電極触媒は、約10ないし約30m/gの比表面積を有する炭化タングステンと、パラジウム(Pd)またはパラジウム合金とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用電極触媒、該電極触媒を含む膜電極接合体及び燃料電池、並びに燃料電池用電極触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、多孔性金属または炭素が含まれた電気化学触媒からなる2個の電極間に電解質が位置する構造からなっている。これを、単電池(single cell)という。アノードでは、外部から水素ガスまたは他の燃料が供給され、電極内の気孔を介して反応帯域近くに達し、この電極内にある触媒に吸着され、解離された水素原子になる。この水素原子は、水素イオンになり、2個の電子は、電極から外部に接続された回路を介して、反対側のカソードに移動する。これによって、電流が流れる。カソードでは、外部から供給された酸素、電解質を介して到達した水素イオン及び外部回路を介して到達した電子が反応し、水が生成される。
【0003】
高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)におけるアノードは、水素ガスを酸化させて水素イオンを生成する反応を促進するために、白金触媒を使用する。例えば、特許文献1は、支持体の表面の一部または全部が、白金と、炭化モリブデンまたは炭化タングステン(WC)とによって被覆される担持触媒を開示している。しかし、白金は高価であり、供給量も制限的であり、燃料電池の幅広い商業化を制限する1つの要因となっている。現在、白金触媒の使用量を低減させるために、比表面積の大きな導電性炭素材料を支持体として使用し、この支持体上に白金を微細な粒子状態で均一に分散させ、白金触媒の比表面積を増大させる方法が使われている。しかし、このような方法を使用するとしても、白金触媒成分の使用量は、支持体触媒全体の重量を基準に、一般的に40〜80重量%と多いために、相変らず燃料電池の幅広い普及の妨げとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第08/136264号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一側面は、水素酸化能にすぐれつつも、白金よりはるかに低価の新しい燃料電池用電極触媒を提供することである。
【0006】
本発明の他の側面は、前記電極触媒を含む燃料電池用膜電極接合体を提供することである。
【0007】
本発明のさらに他の側面は、前記燃料電池用電極触媒を含む電極、または前記燃料電池用膜電極接合体を含む燃料電池を提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の側面は、前記燃料電池用電極触媒の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によれば、約10ないし約30m/gの比表面積を有する炭化タングステンと、パラジウム(Pd)またはパラジウム合金を含む金属触媒と、を含む電極触媒が提供される。
【0010】
前記炭化タングステンの含有量は、前記電極触媒の総重量を基準に、約60ないし約95重量%であり、前記金属触媒の含有量は、約5ないし約40重量%でありうる。
【0011】
前記金属触媒は、パラジウム(Pd);及びニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属を含むことができる。
【0012】
前記パラジウム(Pd):前記他の金属の重量比は、約66.7:33.3ないし約99.999:0.001でありうる。
【0013】
前記金属触媒は、パラジウム(Pd);及び2種の他の金属を含み、前記2種の他の金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された少なくとも1種の第1他の金属;及びイリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及び金(Au)からなる群から選択された少なくとも1種の第2他の金属を含むことができる。前記パラジウム(Pd):前記第1他の金属:前記第2他の金属の重量比は、約66.7:33.2:0.1ないし約99.998:0.001:0.001でありうる。前記金属触媒は、パラジウム(Pd);及びニッケル(Ni)及びイリジウム(Ir)からなる群から選択された少なくとも1種の他の金属を含むことができる。
【0014】
前記炭化タングステンは、非晶質炭素を、前記炭化タングステン100重量部を基準に、約0.1重量部以下の含有量で含有することができる。前記非晶質炭素は、前記炭化タングステンの結晶格子を構成しない炭素、すなわち、前記炭化タングステンの結晶格子構造の外側に存在する炭素を意味する。
【0015】
本発明の他の側面によれば、炭化タングステンと、パラジウム(Pd)またはパラジウム合金を含む金属触媒と、を含み、前記炭化タングステンは、非晶質炭素を、前記炭化タングステン100重量部を基準に、約0.1重量部以下の含有量で含有する電極触媒が提供される。
【0016】
前記非晶質炭素は、前記炭化タングステンの結晶格子を構成しない炭素、すなわち、前記炭化タングステンの結晶格子構造の外側に存在する炭素を意味する。
【0017】
前記炭化タングステンの含有量は、前記電極触媒の総重量を基準に、約60ないし約95重量%であり、前記金属触媒の含有量は、約5ないし約40重量%でありうる。
【0018】
前記金属触媒は、パラジウム(Pd);及びニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属を含むことができる。前記パラジウム(Pd):前記他の金属の重量比は、約66.7:33.3ないし約99.999:0.001でありうる。
【0019】
前記金属触媒は、パラジウム(Pd);及び2種の他の金属を含み、前記2種の他の金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された少なくとも1種の第1他の金属;及びイリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及び金(Au)からなる群から選択された少なくとも1種の第2他の金属を含むことができる。前記パラジウム(Pd):前記第1他の金属:前記第2他の金属の重量比は、約66.7:33.2:0.1ないし約99.998:0.001:0.001でありうる。前記金属触媒が、パラジウム(Pd);及びニッケル(Ni)及びイリジウム(Ir)からなる群から選択された少なくとも1種の他の金属を含むことができる。
【0020】
本発明のさらに他の側面によれば、前記本発明のいずれか一側面による電極触媒を含む電極が提供される。前記電極は、例えば、燃料電池のアノードとして使われうる。
【0021】
本発明のさらに他の側面によれば、互いに対向して位置するカソード及びアノード;前記カソードとアノードとの間に位置する電解質膜を具備する燃料電池用膜電極接合体(MEA)であって、前記カソードまたは前記アノードが、前記本発明のいずれか一側面による電極触媒を含む燃料電池用膜電極接合体が提供される。
【0022】
本発明のさらに他の側面によれば、本発明の電極触媒を含む電極または本発明の膜電極接合体を含む燃料電池が提供される。
【0023】
前記多孔性炭化タングステンは、支持体として機能し、また約0.01ないし約100μmの平均粒径を有する粒子でありうる。
【0024】
前記多孔性炭化タングステンは、直径が約2nmないし約5nmの範囲であり、容積が、0.08〜0.25cm/gの範囲の複数個の気孔を含むことができる。
【0025】
前記燃料電池は、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)でありうる。
【0026】
本発明のさらに他の側面によれば、本発明のいずれか一側面による燃料電池用電極触媒の製造方法であって、約10ないし約30m/gの比表面積を有する炭化タングステン、パラジウム(Pd)を含む金属触媒前駆体及び溶媒を含む混合物を還流させる段階と、前記還流によって得られた結果物を分離する段階と、を含む電極触媒の製造方法が提供される。
【0027】
前記混合物は、炭化タングステンが第1混合溶媒中に分散された炭化タングステンの分散物と、金属触媒前駆体溶液とを混合して得られ、前記炭化タングステンは、約10ないし約30m/gの比表面積を有し、前記金属触媒前駆体は、パラジウム(Pd)前駆体;及びニッケル(Ni)前駆体、イリジウム(Ir)前駆体、ルテニウム(Ru)前駆体、コバルト(Co)前駆体、マンガン(Mn)前駆体、金(Au)前駆体、鉄(Fe)前駆体及び銀(Ag)前駆体からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属触媒前駆体を含むことができる。
【0028】
前記還流段階は、前記混合物を約1ないし約5気圧(atm)の圧力、及び約120ないし約180℃の温度で還流させ、前記炭化タングステン上に、パラジウム(Pd)またはパラジウム合金;及びニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属触媒を含む金属触媒を担持する段階でありうる。
【0029】
前記多孔性炭化タングステンは、炭化タングステン/炭素複合体を、アンモニアガスまたはウレアガスの存在下で熱処理し、前記炭化タングステン/炭素複合体中の炭化タングステン結晶格子の外側に存在する非晶質炭素を除去することによって得られる。
【0030】
前記熱処理温度は、約500ないし約1,500℃でありうる。
【0031】
前記炭化タングステンは、10〜30m/gの比表面積を有し、また炭化タングステン結晶格子の外側に存在する非晶質炭素を、前記炭化タングステンの重量を基準に、0.1重量%以下の含有量で含有する多孔性炭化タングステンでありうる。
【0032】
前記第1混合溶媒は、ポリオール;及び水、C−C脂肪族アルコール及びC−C脂肪族ケトンからなる群から選択された1種または2種以上の他の極性溶媒を含むことができる。
【0033】
前記金属触媒前駆体溶液は、水単独の第2溶媒;または水、並びにC1−C4脂肪族アルコール、C1−C4脂肪族ケトン及びポリオールからなる群から選択された1種または2種以上の他の極性溶媒の第2混合溶媒中に、金属触媒前駆体が溶解された溶液でありうる。
【0034】
前記炭化タングステン支持体1重量部を基準に、前記第1混合溶媒の使用量は、10ないし200重量部であり、前記第1混合溶媒において、前記ポリオール対前記他の極性溶媒の混合比は、前記ポリオール100重量部を基準に、前記他の極性溶媒10ないし100重量部である。
【0035】
前記水単独または前記混合溶媒の第2溶媒100重量部を基準に、前記金属触媒前駆体の使用量は、0.3ないし15重量部であり、前記第2溶媒において、前記水対前記他の極性溶媒の混合比は、前記水100重量部を基準に、前記他の極性溶媒10ないし30重量部である。
【0036】
前記パラジウム前駆体:前記他の金属触媒前駆体の使用量は、前記パラジウム:前記他の金属触媒の原子比を約3:3ないし約3:1にする量である。すなわち、前記金属触媒前駆体で、前記パラジウム(Pd):前記他の金属の原子比は、約3:3ないし約3:1でありうる。
【0037】
本発明のさらに他の側面によれば、本発明のいずれか一側面による燃料電池用電極触媒の製造方法であって、炭化タングステン、パラジウム(Pd)を含む金属触媒前駆体、及び溶媒を含む混合物を還流させる段階と、前記還流によって得られた結果物を分離する段階と、を含み、前記炭化タングステンは、非晶質炭素を、前記炭化タングステン100重量部を基準に、約0.1重量部以下の含有量で含有する電極触媒の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0038】
本発明による燃料電池用電極触媒は、比表面積が一定の範囲に調節されており、タングステンと結合していない非晶質炭素(WC結晶格子の外側に存在する非晶質炭素)が実質的に除去された特殊な多孔性炭化タングステン;並びにi)パラジウム(Pd);及びii)ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属触媒の組み合わせを含む。これによって、パラジウムと、前記特殊な炭化タングステンとの強い電気化学的相乗作用、及び前記パラジウムを含む2種以上の触媒成分の相乗作用によって、高い水素酸化活性を達成することができる。具体的には、前記電極触媒は、高価な白金を使用せずとも、現在燃料電池用アノード触媒として最も広く使われている高価なPt/C商業用触媒に匹敵するか、あるいは場合によっては、さらに高レベルの水素酸化活性を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】合成例1及び2で得られた炭化タングステン/炭素複合体(合成例1)及び非晶質炭素が除去された炭化タングステン(合成例2)のX線回折結果をそれぞれ示すグラフである。
【図2】実施例2,3及び参考例の触媒を利用して製造された電極に対して実施した半電池試験の結果を示す電圧循環電流(CV:cyclic voltammogram)のグラフである。
【図3】実施例1、比較例1−3及び参考例の触媒を利用して製造された電極を利用して製造された単電池に対する性能試験結果をまとめたグラフである。
【図4】実施例1の触媒を利用して製造された単電池に対して実施した長期安定性試験結果を示すグラフである。
【図5】実施例2,3、比較例3及び参考例の触媒を利用して製造された電極を利用して製造された単電池に対する性能試験結果のグラフである。
【図6】実施例2の触媒を利用して製造された単電池に対して実施した長期安定性試験結果を示すグラフである。
【図7】実施例3の触媒を利用して製造された単電池に対して実施した長期安定性試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の具体的な実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0041】
本発明の一側面による燃料電池用電極触媒は、炭化タングステン(WC)及び触媒成分を含む。
【0042】
前記炭化タングステンは、10〜30m/g、例えば、15〜25m/gまたは16〜19m/gの比表面積を有することができる。前記炭化タングステンは、具体的には、18〜19m/gの比表面積を有することができる。このような比表面積は、韓国公開特許公報第2007−0006097号で製造された炭化タングステンの比表面積100〜200m/gとは非常に異なるものである。本発明によって製造された炭化タングステンの比表面積が、前記韓国特許公報第2007−0006097号の場合よりはるかに小さい理由は、次の通りである。すなわち、本発明では、前記韓国特許公報第2007−0006097号でのように水熱合成法によって製造された炭化タングステンをそのまま使用せずに、炭化タングステン上に沈着した炭素を除去して使用するためである。前記韓国特許公報第2007−0006097号に開示された高比表面積炭化タングステンは、(a)高分子に重合可能な単量体及びタングステン前駆体を溶媒に溶解させて混合する段階と、(b)前記単量体を重合して生成された高分子とタングステン前駆体とが結合したタングステン−高分子複合体を製造する段階と、(c)前記タングステン−高分子複合体を分離して焼成する段階と、を含む方法によって製造される。これによって得られた炭化タングステンは、事実上は、炭化タングステンの表面上の炭化タングステン結晶格子の外側に存在する非晶質炭素が、少なくとも部分的に沈着している炭化タングステン/炭素複合体であり、これは、タングステンと結合されていない非晶質炭素の存在のために、全体的に100〜200m/gの高比表面積を有する。
【0043】
これに比べて、本発明における炭化タングステンは、炭化タングステン/炭素複合体をアンモニアガスまたはウレアガスの存在下でさらに熱処理し、炭化タングステン/炭素複合体中の非晶質炭素が実質的に除去されたものである。すなわち、前記炭化タングステンは、0.1重量%以下、例えば、0.05重量%以下、または0.04重量%以下の非晶質炭素だけを有する。前記炭化タングステンは、理論的に非晶質炭素を含まないので、その含有量の下限値は、0重量%であるが、現実的には、その含有量の下限値は、0.001重量%でありうる。ここで、非晶質炭素の含有量は、炭化タングステンの理論炭素含有量である6.13重量%を超える炭素(すなわち、WC結晶格子の外側に存在する非晶質炭素)の含有量を意味するものであり、元素分析によって測定されうる。本発明の炭化タングステンは、実質的に表面上に沈着した非晶質炭素を有さないために10〜30m/g、例えば、15〜25m/gまたは16〜19m/gの低い比表面積を有する。本発明の炭化タングステンは、従来の炭化タングステンに比べて、比表面積が小さいために、触媒活性の側面で、前記韓国特許公報第2007−0006097号に開示された高比表面積炭化タングステンに比べて不利であると予想された。しかし、本発明の炭化タングステンは、予想とは異なり、前記高比表面積炭化タングステンに比べて触媒活性がむしろ上昇していることを確認することができた。これは、非晶質炭素の除去によって露出された炭化タングステンの余分の表面が、金属触媒と炭化タングステンとの電気化学的相乗作用を増大させるためであると推測される。
【0044】
前記炭化タングステンの粒子サイズは、特別に限定されるものではないが、前記炭化タングステンの粒子は、例えば、0.01〜100μmである平均粒径、具体的には、0.05ないし50μmの平均粒径を有する。平均粒径が0.01μmより小さければ、粒子同士容易に凝集する傾向があって望ましくなく、100μmを超えれば、比表面積が小さくなり、触媒活性が低下しうる。典型的には、前記炭化タングステンは、直径が2nm〜5nmの範囲であり、容積が0.08〜0.25cm/gの範囲である複数個の気孔を含むことができる。特別に、これに制限されるものではないが、電極触媒内で金属触媒は、炭化タングステンに担持された形態で存在しうる。すなわち、炭化タングステンは、パラジウム、ニッケル、イリジウムなどの金属触媒を表面に担持する支持体の役割を行い、それら金属触媒と電気化学的相乗作用を発揮することができる。
【0045】
本発明による燃料電池用電極触媒で、前記触媒の総重量を基準に、炭化タングステンの含有量は、60ないし95重量%、具体的には、70ないし90重量%であり、触媒成分の含有量は、5ないし40重量%、具体的には、10ないし30重量%、さらに具体的には、15ないし25重量%でありうる。前記触媒成分は、i)パラジウム(Pd);及びii)ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属触媒を含む。例えば、触媒成分は、i)パラジウム(Pd);及びii)ニッケル(Ni)及びイリジウム(Ir)からなる群から選択された1種または2種以上の金属触媒を含むことができる。具体的には、触媒成分は、パラジウム−ニッケル、パラジウム−イリジウムまたはパラジウム−イリジウム−ニッケルでありうる。触媒成分が、パラジウム(Pd)及び前記1種の他の金属触媒からなる場合、パラジウム(Pd)及び前記1種の他の金属触媒の重量比は、約66.7:33.3ないし約99.999:0.001でありうる。パラジウム(Pd)とニッケル(Ni)とを触媒成分として炭化タングステンに担持する場合、パラジウムに比べて、ニッケルの実際の担持量は少量であり、パラジウム;イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)から選択された1種または2種以上の金属触媒を炭化タングステンに担持する場合、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)の実際の担持量を、所望の量に調節することができる。いかなる場合でも、本燃料電池用電極触媒に対して、透過型電子顕微鏡(TEM)写真を観察すれば、炭化タングステンの表面に、パラジウム−ニッケル、パラジウム−イリジウムなどが均一に担持されているところを確認することができる。触媒成分が、パラジウム(Pd)及び前記2種の他の金属触媒からなる場合、パラジウム(Pd):前記第1他の金属触媒:前記第2他の金属触媒の重量比は、約66.7:33.2:0.1ないし約99.998:0.001:0.001でありうる。
【0046】
炭化タングステン上に、パラジウム−ニッケル、パラジウム−イリジウムまたはパラジウム−イリジウム−ニッケルなどの触媒成分が担持された前記燃料電池用電極触媒は、高価な白金と比較できるほどの電気化学的活性を示す。前記電極触媒は、例えば、高分子電解質膜燃料電池のアノード電極触媒としての高い活性を示す。これは、パラジウムまたは炭化タングステンを単独で使用するときは、水素酸化能が弱いが、炭化タングステン上に、i)パラジウム(Pd);及びii)ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属触媒を担持して得られた、金属触媒と炭化タングステンとの組み合わせは、水素酸化能の側面で、強い相乗効果を発揮できるからである。かような強い電気化学的相乗効果は、本発明者によって発見されたものであり、以下の実施例を介して詳細に立証されるのである。従って、前記炭化タングステン及び前記パラジウム+他の金属触媒の組み合わせを含む電極触媒を使用すれば、燃料電池を経済的に製造することができる。
【0047】
特に、本発明者は、前記韓国特許公報第2007−0006097号に開示されたような従来の炭化タングステンの場合、多量の非晶質炭素が炭化タングステンの表面を被覆することにより、純粋な炭化タングステンではない炭化タングステン/炭素複合体を形成することを発見した。本発明者はまた、触媒的に非活性物質である炭素は、金属触媒と炭化タングステンとの接触を妨害し、金属触媒の水素酸化に対する活性及び安定性を低下させることを発見した。本発明者は、炭化タングステンの格子構造を損傷させずに、炭化タングステン/炭素複合体内の非晶質炭素を除去するために、高温でアンモニアガス処理またはウレアガス処理を行うことによって、非晶質炭素を効果的に除去することによって、従来の炭化タングステンの問題点を除去することができた。
【0048】
本発明の他の側面による燃料電池用膜電極接合体は、カソード、アノード、及び前記カソードと前記アノードとの間に位置する電解質膜を具備する燃料電池用膜電極接合体(MEA)であり、前記アノードが、前記本発明の一側面による燃料電池用電極触媒を含むものである。
【0049】
本発明のさらに他の側面による燃料電池は、前記本発明の一側面による燃料電池用電極触媒を含む電極または本発明の他の側面による燃料電池用膜電極接合体を含むものである。前記燃料電池は、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)でありうる。
【0050】
以下では、本発明の一側面による炭化タングステン及び燃料電池用電極触媒の製造方法について説明する。
【0051】
(1)炭化タングステン/炭素複合体の製造
まず、炭化タングステン/炭素複合体の製造方法について説明する。
【0052】
前記炭化タングステン/炭素複合体は、(a)高分子に重合可能な単量体及びタングステン前駆体を溶媒に溶解させた溶液を、界面活性剤溶液と混合する段階と、(b)前記混合物を水熱合成し、前記単量体が重合されて生成された高分子と、タングステン前駆体とが結合したタングステン−高分子複合体を製造する段階と、(c)前記タングステン−高分子複合体を分離して焼成する段階と、を含む方法を介して製造されうる。
【0053】
以下、炭化タングステン/炭素複合体の製造方法について、各段階別に分けて具体的に説明する。
【0054】
(a)反応物の混合段階
前記高分子に重合可能な単量体は、適切な温度範囲で重合しうる単量体であるならばよく、特別に限定されるものではない。前記単量体は、例えば、レゾルシノール(resorcinol)/ホルムアルデヒド、フェノール/ホルムアルデヒド、ピロール、チオフェン、塩化ビニルなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。単量体が高分子に重合される様相は、開始剤、光または熱によって開始されるラジカル重合でもあり、イオン重合でもあり、特別に限定されるものではない。特に、前記単量体として、レゾルシノールとホルムアルデヒドとの組み合わせを使用する場合、それらは、脱水縮合反応を介して共重合体を形成する。
【0055】
また、本段階でタングステン前駆体は、タングステン原子を含みつつ、焼成によってタングステン原子を供給できる化合物であるならばよく、特別に限定されるものではない。タングステン前駆体は、タングステン酸塩(tungstate)でありうる。タングステン酸塩は、過度に苛酷な条件ではなくとも、タングステン原子を円滑に供給することができる。タングステン酸塩の具体例としては、メタタングステン酸アンモニウム(AMT)、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、塩化タングステン、またはそれらの混合物などであるが、それらに限定されるものではない。
【0056】
本段階で使われる溶媒は、極性溶媒であり、例えば、水またはアルコール系溶媒であるが、それらに限定されるものではない。アルコール系溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、iso−プロパノールのようなプロパノール、あらゆる異性質体のブタノール、あらゆる異性質体のペンタノールなどを含む。水は、脱イオン水であることが望ましい。
【0057】
タングステン前駆体対単量体の相対的な含有量は、モル数を基準に、1:5ないし1:200でありうる。単量体の含有量が前記範囲に達することなく、少なすぎれば、非晶質炭素の含有量が増加し、単量体の含有量が前記範囲を超えれば、炭素が欠乏した炭化タングステンが生成されうる。
【0058】
タングステン前駆体と溶媒との相対的な含有量は、モル数を基準に、1:500ないし1:3,000であることが望ましい。溶媒含有量が前記範囲に達することなく、少なすぎれば、反応物の十分な混合が困難であり、溶媒含有量が前記範囲を超えて多すぎれば、反応物の濃度が低くなりすぎて、反応が円滑に進み難くなる。
【0059】
本段階で使われる界面活性剤は、気孔を形成することができる界面活性剤であればよく、特別に限定されるものではない。界面活性剤は、タングステン前駆体の分散を向上させ、タングステン前駆体と、単量体から形成になった高分子とからなるタングステン−高分子複合体の形成時、それらを取り囲むことによって、さらに小サイズの粒子形成を可能にする。小粒子は、高い表面エネルギーによって互いにまとまるが、このとき、界面活性剤によって内部空間がさらに大きくなり、最終的に焼成段階で、それらが抜け出すことによって、炭化タングステン/炭素複合体内に気孔を形成することができる。
【0060】
界面活性剤の具体例としては、CH(CHn−1N(CHBr(ここで、n=10,12,14または16)のような陽イオン界面活性剤、CH(CHn−1COOH(ここで、n=11,13または15)のような陰イオン界面活性剤、CH(CHn−1NH(ここで、n=12または16)のような中性界面活性剤、CH(CH15N(PEO)OH(ここで、n=2ないし20であり、PEOは、酸化ポリエチレンであり)のような非イオン性界面活性剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、界面活性剤と類似した役割を行うPEO−ポリフェニレンオキシド(PPO)−PEO三元ブロック共重合体(triblock copolymer、P123、F127)及びPPO−PEO−PPO三元ブロック共重合体も利用されうる。
【0061】
前記界面活性剤溶液は、界面活性剤を水、アルコールなどの溶媒に溶解させて製造することができ、特別に限定されるものではない。
【0062】
タングステン前駆体と界面活性剤との相対的な含有量は、モル数を基準に、1:0.5ないし1:3に調節されうる。界面活性剤の含有量が前記範囲に達することなく、少なすぎれば、気孔サイズが小さすぎる炭化タングステン/炭素複合体が生成される傾向があり、界面活性剤の含有量が前記範囲を超えて多すぎれば、気孔サイズが大きすぎる炭化タングステン/炭素複合体が生成される傾向がある。
【0063】
タングステン前駆体、単量体、溶媒及び界面活性剤溶液は、一度に混合することもできるが、固体であるタングステン前駆体をまず溶媒に溶解させ分散させた後、その溶液または分散液を、液体である単量体及び界面活性剤溶液と混合することが、均一な混合のために好まれる。
【0064】
(b)水熱合成段階
前記反応混合物の水熱合成は、一般的に100℃ないし300℃、例えば、150℃ないし250℃の温度条件下で行われる。反応温度が100℃未満であるならば、水の沸点よりも低くて反応が起きない可能性がある。反応温度が300℃を超えるならば、生成物の粒径が大きすぎるという傾向がある。水熱合成の反応時間は、10時間ないし48時間が適当である。10時間未満であるならば、生成物が十分に得られず、48時間を超えれば、生成物の粒径が大きくて気孔構造が壊れる。
【0065】
本水熱合成過程で、単量体が重合される。本水熱合成過程では、単量体の重合反応を容易にするために、重合開始剤がさらに添加されうる。使われる重合開始剤は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、塩化鉄などを含むが、これらに限定されるものではない。生成された高分子は、溶媒中でゲル相(gel phase)を帯び、前記高分子中にタングステン前駆体が含まれつつ比重が大きくなり、沈殿する。
【0066】
(c)焼成段階
本段階は、生成された沈殿物を濾過などの方法で分離した後、不活性雰囲気で焼成し、炭化タングステン/炭素複合体を形成する段階である。
【0067】
沈殿物の分離は、濾紙によって濾過させる方法や、遠心分離などを使用して進めることができる。また本段階で、不活性雰囲気を作り出すために、窒素ガス、アルゴンガスなどを使用することができる。焼成は、例えば、オーブンまたは加熱炉のように、加熱空間を有する加熱装置で行うことができる。焼成温度は、一般的に、500ないし1,500℃、例えば、800ないし1,200℃である。焼成温度が500℃未満であるならば、炭化タングステン/炭素複合体が生成されず、焼成温度が1,500℃を超えれば、形成された炭化タングステン/炭素複合体の比表面積が、焼結現象によって減少しうる。
【0068】
焼成工程で、高分子が炭化しつつ、タングステン前駆体と結合し、このとき、結合していない高分子及び界面活性剤が占めていた部分が、焼成過程で空間に形成されることによって、微細気孔を有した炭化タングステン/炭素複合体を得ることができる。
【0069】
(2)炭化タングステンの製造
以上のようにして得られた炭化タングステン/炭素複合体を、アンモニアガスまたはウレアガスの存在下で熱処理し、前記炭化タングステン/炭素複合体中の非晶質炭素を除去することによって、本発明の触媒で使われる炭化タングステンが得られる。炭化タングステン/炭素複合体の表面上に沈着した炭素を除去するための熱処理段階での雰囲気ガスは、アンモニアガスまたはウレアガスである。そのガスは、炭化タングステンの格子構造を損傷させずに非晶質炭素を除去することができる。そのガスは、非晶質炭素と反応し、主にメタンガス状で非晶質炭素を除去すると推測される。雰囲気ガスとして水素ガスが使われても、非晶質炭素が除去されうるが、その場合には、炭化タングステンの格子構造が損傷されうる。熱処理温度は、500ないし1,500℃、例えば、800ないし1,200℃または850ないし950℃である。熱処理時間は、特別に制限されるものではないが、熱処理温度が高ければ、非晶質炭素を除去するための熱処理時間が短縮され、熱処理温度が低ければ、熱処理時間が延長されるという傾向がある。例えば、比表面積が64m/gである炭化タングステン/炭素複合体が、アンモニアガス雰囲気下で、900℃で4時間熱処理される場合、得られた炭化タングステンの比表面積は、約19m/gであり、同じ条件で8時間熱処理される場合、得られた炭化タングステンの比表面積は、約18m/gであった。
【0070】
(3)担持触媒の製造(金属触媒の担持)
次に、炭化タングステンの表面に金属触媒を担持し、本発明による電極触媒を得る段階について説明する。
【0071】
炭化タングステンを、i)ポリオール;及びii)水、C−C脂肪族アルコール及びC−C脂肪族ケトンからなる群から選択された1種または2種以上の他の極性溶媒の第1混合溶媒中に均一に分散させる。炭化タングステン対第1混合溶媒の重量比は、特別に限定されるものではないが、炭化タングステン1重量部を基準に、第1混合溶媒10ないし200重量部である。ポリオールは、分子中に二つ以上のヒドロキシル基を含むアルコール化合物を指す。これは、触媒前駆体化合物を安定化させ、粒子凝集を防止してこれを還元させる役割を行う。第1混合溶媒において、ポリオール対前記他の極性溶媒の混合比は、ポリオール100重量部を基準に、前記他の極性溶媒10ないし100重量部である。ポリオール使用量が10重量部未満であるならば、還元反応時に粒子の凝集現象が発生し、大きな粒子が生成される恐れがある。ポリオール使用量が100重量部を超えれば、急激な還元反応によって、大きな粒子が現れうる。ポリオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどである。脂肪族アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノールなどである。脂肪族ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトンなどである。
【0072】
これと別途に、水単独溶媒;またはi)水、及びii)C−C脂肪族アルコール、C−C脂肪族ケトン、ポリオールからなる群から選択された1種または2種以上の他の極性溶媒の第2混合溶媒中に、金属触媒前駆体を添加して溶解することにより、金属触媒前駆体溶液を調製する。脂肪族アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノールなどである。脂肪族ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトンなどである。水単独溶媒または第2混合溶媒:金属触媒前駆体の重量比は、特別に限定されるものではないが、例えば、水単独溶媒または第2混合溶媒100重量部を基準に、金属触媒前駆体の使用量は、0.3ないし15重量部である。第1混合溶媒との混合を考慮するとき、第2混合溶媒において、水対前記他の極性溶媒の混合比は、前記水100重量部を基準に、前記他の極性溶媒10ないし30重量部である。
【0073】
金属触媒前駆体は、i)パラジウム(Pd)前駆体;及びii)ニッケル(Ni)前駆体、イリジウム(Ir)前駆体、ルテニウム(Ru)前駆体、コバルト(Co)前駆体、マンガン(Mn)前駆体、金(Au)前駆体、鉄(Fe)前駆体及び銀(Ag)前駆体からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属触媒前駆体の組み合わせを含む。例えば、金属触媒前駆体は、i)パラジウム(Pd)前駆体;及びii)ニッケル(Ni)前駆体及びイリジウム(Ir)前駆体からなる群から選択された1種または2種以上の金属触媒前駆体を含むことができる。具体的には、金属触媒前駆体は、パラジウム前駆体−ニッケル前駆体、パラジウム前駆体−イリジウム前駆体またはパラジウム前駆体−イリジウム前駆体−ニッケル前駆体でありうる。
【0074】
一方、炭化タングステン上に、パラジウムは効率的に担持されうるが、前記炭化タングステン上に、ニッケル、イリジウムなどの他の金属触媒の担持は、パラジウムほどには効率的に行われない。例えば、パラジウムの公称担持量(nominal loading)を20重量%にする量のパラジウム前駆体を使用する場合、パラジウム:ニッケル、イリジウムなどの他の金属触媒の原子比が約3:3ないし約3:1になるように、同様に多量のニッケル前駆体、イリジウム前駆体などを使用しても、最終触媒で残留するニッケル、イリジウムなどの含有量は多くない。金、鉄、銀の場合には、ニッケルの場合に比べて、相対的に多量が担持されうる。たとえ最終触媒中に残留するニッケル、イリジウム、金、鉄、銀などの含有量がパラジウムに比べて多くないにしても、パラジウムを単独で担持する場合に比べて、触媒活性に相乗効果を発揮することができる。パラジウム前駆体:ニッケル前駆体またはイリジウム前駆体などの使用量の比率は、一般的にパラジウム:ニッケル、イリジウムまたは金などの他の金属触媒の原子比が約3:3ないし約3:1になるように調節される。この中でも、前記原子比が3:1である場合が良好な結果を得ることができる。
【0075】
パラジウム前駆体の具体例としては、パラジウム(II)塩化物、パラジウム(II)アセチルアセトネート、パラジウム(II)シアン化物、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)硫化物及びパラジウム(II)硝酸塩などを使用することができる。例えば、PdCl、(CHCOO)Pd、PdSOまたはPd(NO・xHOなどを含む。
【0076】
ニッケル前駆体の具体例としては、NiCl・xHO、(CHCOO)Ni・xHO、ニッケル(II)アセチルアセトネート、ニッケル(II)カーボネートヒドロキシド、ニッケル(II)ヒドロキシド、Ni(NO・xHO、NiSO・xHO、NiI、NiFなどを含む。
【0077】
イリジウム前駆体の具体例としては、IrCl、IrCl・xHO、IrCl、IrBr、IrBr、IrI、アンモニウムヘキサクロロイリデート(III)、アンモニウムヘキサクロロイリデート(IV)、カリウムヘキサクロロイリデート(III)、カリウムヘキサクロロイリデート(IV)、ナトリウムヘキサクロロイリデート(III)、ナトリウムヘキサクロロイリデート(IV)などを含む。
【0078】
金前駆体の具体例としては、HAuCl・xHO、Au(OH)、AuCl、AuCNなどを含む。
【0079】
鉄前駆体の具体例としては、(CHCOO)Fe、鉄(III)アセチルアセトネート、鉄(III)、FeCl・4HO、FeCl、FeCl・6HO、Fe(NO、FeC4、FeSO、FeI及びFeFなどを含む。
【0080】
銀前駆体の具体例としては、CHCOOAg、銀アセチルアセトネート、AgCO、AgNOなどを含む。
【0081】
次に、炭化タングステンの分散物中に金属触媒前駆体水溶液を添加し、得られた混合物を、1ないし5気圧及び120〜180℃で、例えば、1ないし3時間還流させつつ水熱合成する。これによって、炭化タングステン上に、パラジウム(Pd);及びニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属触媒を含む金属触媒が担持される。
【0082】
反応が終了した後、反応生成物に対して、濾過、洗浄及び乾燥を行えば、炭化タングステン中に、パラジウム+ニッケル、イリジウムまたは金などの他の金属触媒の組み合わせが担持された触媒を得ることができる。
【0083】
以下、例示的な目的として、実施例及び比較例を介して本発明の一側面による炭化タングステン及び燃料電池用電極触媒について、さらに詳細に説明する。
【0084】
合成例1:炭化タングステン/炭素複合体の製造
界面活性剤として、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTABr)25%水溶液27mlを準備した。また、メタタングステン酸アンモニウム5g(Aldrich社製)を、水20mlに分散させて得た分散物に、レゾルシノール1.2gと30%ホルムアルデヒド1.8mlとの混合物を入れ、均一に分散されるように撹拌した。
【0085】
前記CTABr水溶液とメタタングステン酸アンモニウムとを含む分散物を、250ml容積のステンレス製高圧反応器に入れた後、5気圧、150℃で2日間水熱処理した。反応後、反応器の底にゲル状のタングステン前駆体−高分子複合体が沈殿した。
【0086】
前記タングステン前駆体−高分子複合体を濾過して水で洗浄し、110℃で一日乾燥させ、タングステン前駆体−高分子複合体約11gを得た。前記乾燥された生成物を、アルゴンガス雰囲気下で900℃の温度で1時間焼成し、次に、雰囲気ガスを水素に替えた後、900℃で2時間さらに焼成して、炭化タングステン/炭素複合体約4.5gを得た。
【0087】
前記炭化タングステン/炭素複合体に対して、Philips社のモデルCM−200X線回折分析装置を利用し、加速電圧200kVでX線回折分析及び透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM2010Fモデル)分析を行った結果、前記炭化タングステン/炭素複合体は、炭化タングステンナノ粒子が島相(island phase)をなし、炭素が前記島相に取り巻く海相(sea phase)をなす構造を有することを確認した。
【0088】
前記炭化タングステン/炭素複合体の窒素ガス吸着試験で、BET吸着式を利用して計算した比表面積は、64m/gであり、平均粒径は、0.02μmであった。
【0089】
前記炭化タングステン/炭素複合体に対して、吸着等温線分析(Micromeritics社製、ASAP 2010モデル利用)と気孔サイズ分布図調査とを行った結果、この複合体が第IV型吸着等温線結果に従い、ほとんどの気孔が2〜5nmの直径を有し、0.24cm/gの気孔容積を有する粒子であることを確認した。
【0090】
合成例2:炭化タングステンの製造
250ml容積のステンレス製高圧反応器に、合成例1で得られた炭化タングステン/炭素複合体2gを入れた後、約1ないし約2気圧の圧力及び900℃の温度で、アンモニアガスを100ml/minの流量で流しつつ、8時間熱処理することにより、ほとんどの非晶質炭素が除去された炭化タングステンを製造した。
【0091】
得られた炭化タングステンの窒素ガス吸着試験で、BET吸着式を利用して計算した比表面積は、約18m/gであり、平均粒径は、約0.3ないし約0.4μmであった。
【0092】
前記炭化タングステンに対して、吸着等温線分析(Micromeritics社製、ASAP 2010モデル利用)と気孔サイズ分布図調査とを行った結果、この複合体が第IV型吸着等温線結果に従い、ほとんどの気孔が3〜5nmの直径を有し、0.085cm/gの気孔容積を有する粒子であることを確認した。
【0093】
図1は、それぞれ合成例1及び2で得られた、炭化タングステン/炭素複合体(合成例1)及び非晶質炭素が除去された炭化タングステン(合成例2)のX線回折結果[加速電圧40 kV、Ni−filtered Cu Ka radiation]をそれぞれ示している。
【0094】
図1を参照すれば、高温アンモニア処理を実施していない炭化タングステン/炭素複合体(合成例1)及び高温アンモニア処理によって非晶質炭素が除去された炭化タングステン(合成例2)は、実質的に同じX線回折結果を示すことが分かる。これから、高温アンモニア処理が、炭化タングステン結晶格子を損傷させないということを確認することができる。
【0095】
炭化タングステン/炭素複合体(合成例1)の炭素−水素−窒素分析(CHN)結果は、炭化タングステン/炭素複合体の全体炭素含有量は、9.74重量%であり、炭化タングステン(WC)の理論炭素含有量である6.12%をはるかに超えた結果を示す。これは、タングステンと結合していない多量の非晶質炭素が存在していることを意味する。非晶質炭素が除去された炭化タングステン(合成例2)の炭素−水素−窒素分析(CHN)結果は、炭化タングステンの全体炭素含有量は、6.16重量%であり、炭化タングステン(WC)の理論炭素含有量である6.12%をわずか0.04%しか超えていない結果(すなわち、非晶質炭素含有量:0.04%)を示す。これは、高温アンモニア処理によって、非晶質炭素を実質的に完全に除去できるということを立証する。この元素分析の結果及び図1のX線回折結果を合わせて考慮すれば、高温アンモニア熱処理技術が、炭化タングステン結晶格子内部の炭素ではない非晶質炭素だけを選択的に除去できるということを確認することができる。
【0096】
炭化タングステン/炭素複合体(合成例1)及び非晶質炭素が除去された炭化タングステン(合成例2)の走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた観察により、高温アンモニア熱処理によって、炭化タングステン/炭素複合体に沈着している非晶質炭素が効果的に除去されるということを確認することができる。SEM及びTEMの観察を介して、また前記元素分析結果に示された炭素含有量の低下を直接に確認することができる。
【0097】
合成例3:炭化タングステンの製造
250ml容積のステンレス製高圧反応器に、合成例1で得られた炭化タングステン/炭素複合体2gを入れた後、約1ないし約2気圧の圧力及び900℃の温度で、アンモニアガスを100ml/minの流量で流しつつ、4時間熱処理することにより、ほとんどの非晶質炭素が除去された炭化タングステンを製造した。
【0098】
得られた炭化タングステンの窒素ガス吸着試験で、BET吸着式を利用して計算した比表面積は、約19m/gであった。
【0099】
実施例1
本実施例では、合成例2で得た炭化タングステン上に、触媒成分として、パラジウムとニッケルとを担持した触媒を合成する。パラジウム化合物の使用量は、得られた触媒の総重量を基準に、パラジウムの公称担持量が20重量%になるように調節した。ニッケル化合物の使用量は、反応混合物において、パラジウム:ニッケルの原子比(使用量)が3:1になるように調節した。この触媒は、表1ないし3で、20重量%PdNi/WCと表示される。この表記で、「20重量%」は、触媒の総重量を基準とするパラジウムの公称担持量を示す。「PdNi」は、反応混合物において、パラジウム:ニッケルの原子比(使用量)が3:1になるように、パラジウム化合物とニッケル化合物とを使用したことを示す。「WC」は、非晶質炭素が除去された合成例2の炭化タングステンを示す。このような表記法は、表1ないし3で、他の触媒を表記する場合にも同一に適用される。
【0100】
窒素ガスでパージングされた0.5L丸フラスコ反応容器中に、前記合成例2で得た炭化タングステン粒子0.6g、エチレングリコール101ml及び蒸溜水34mlを入れ、撹拌して均一に混合した。前記反応容器中に、蒸溜水64ml、PdCl 0.25g及びNiCl・6HO 0.112gを均一に混合して得た触媒成分前駆体の水溶液を添加した。この結果物を、1気圧及び25℃で30分間撹拌させた。次に、反応容器内の温度を140℃に昇温させた後、2時間さらに還流反応を続けた。
【0101】
還流反応が終了した後、反応生成物に対して、濾過、水洗い及び常温乾燥を行うことによって、PdNi/WC触媒約0.66gを得た。この触媒で、誘導結合プラズマ分光分析器(ICP optical emission spectroscopy)で分析したパラジウム:ニッケルの重量比は、99.95:0.05であり、パラジウムの担持量は、前記複合体触媒の総重量を基準に、19.12重量%であった。
【0102】
実施例2
本実施例では、合成例2で得た炭化タングステンを利用し、パラジウムの公称担持量が20重量%であるPdIr/WC触媒を合成する。すなわち、パラジウム化合物の使用量は、得られた触媒の総重量を基準に、パラジウムの公称担持量が20重量%になるように調節され、イリジウム化合物の使用量は、反応混合物において、パラジウム:イリジウムの原子比(使用量)が3:1になるように調節された。
【0103】
触媒成分前駆体の水溶液を製造するとき、PdCl 0.25g及びIrCl・3HO 0.056gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法を利用して、PdIr/WC触媒約0.68gを得た。
【0104】
得られた触媒で、誘導結合プラズマ分光分析器で分析したパラジウム:イリジウムの重量比は、99.95:33.47であり、パラジウムの担持量は、前記触媒の総重量を基準に、18.9重量%であった。
【0105】
TEM観察結果によれば、PdIr/WC触媒の平均粒子サイズは、約2.6nmであり、触媒成分が支持体上に均一に担持されていた。
【0106】
実施例3
本実施例では、合成例2で得た炭化タングステンを利用し、パラジウムの公称担持量が20重量%であるPdIrNi/WC触媒を合成する。すなわち、パラジウム化合物の使用量は、得られた触媒の総重量を基準に、パラジウムの公称担持量が20重量%になるように調節され、イリジウム化合物及びニッケル化合物の使用量は、反応混合物において、パラジウム:イリジウム:ニッケルの原子比(使用量)が3:1:1になるように調節された。
【0107】
触媒成分前駆体の水溶液を製造するとき、PdCl 0.25g、IrCl・3HO 0.056g及びNiCl・6HO 0.112gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法を利用して、PdIrNi/WC触媒約0.68gを得た。
【0108】
得られた触媒で、誘導結合プラズマ分光分析器で分析したパラジウム:イリジウム:ニッケルの重量比は、99.95:33.11:0.05であり、パラジウムの担持量が触媒の総重量を基準に、18.8重量%であった。
【0109】
TEM観察結果によれば、PdIrNi/WC触媒の平均粒子サイズは、約2.8nmであり、触媒成分が支持体上に均一に担持されていた。
【0110】
比較例1
本比較例では、合成例1で得た炭化タングステン/炭素(WC/C)複合体を利用し、パラジウムの公称担持量が20重量%であるPdNi/WC/C触媒を合成する。すなわち、パラジウム化合物の使用量は、得られた触媒の総重量を基準に、パラジウムの公称担持量が20重量%になるように調節され、ニッケル化合物の使用量は、反応混合物において、パラジウム:ニッケルの原子比(使用量)が3:1になるように調節された。「WC/C」は、合成例1で製造された炭化タングステン/炭素複合体を示す。
【0111】
窒素ガスでパージングされた0.5L丸フラスコ反応容器中に、合成例1で得たWC/C複合体粒子0.6g、エチレングリコール101ml及び蒸溜水34mlを入れ、撹拌して均一に混合した。前記反応容器中に、蒸溜水64ml、PdCl 0.25g及びNiCl・6HO 0.112gを均一に混合して得た触媒成分前駆体の水溶液を添加した。この結果物を、1気圧及び25℃で30分間撹拌させた。次に、反応容器内の温度を140℃に昇温させた後、2時間さらに還流反応を続けた。
【0112】
還流反応が終了した後、反応生成物に対して、濾過、水洗い及び常温乾燥を行うことによって、PdNi/WC/C触媒約0.66gを得た。この触媒で、誘導結合プラズマ分光分析器で分析したパラジウム:ニッケルの重量比は、99.95:0.05であり、パラジウムの担持量が触媒の総重量を基準に、19.12重量%であった。
【0113】
比較例2
本比較例では、炭素支持体を利用して、パラジウムの公称担持量が20重量%であるPdNi/C触媒を合成する。すなわち、パラジウム化合物の使用量は、得られた触媒の総重量を基準に、パラジウムの公称担持量が20重量%になるように調節され、ニッケル化合物の使用量は、反応混合物において、パラジウム:ニッケルの原子比(使用量)が3:1になるように調節された。
【0114】
窒素ガスでパージングされた0.5L丸フラスコ反応容器中に、炭素ブラック(Cabot社製、Vulcan XC−72)0.6g、エチレングリコール101ml及び蒸溜水34mlを入れ、撹拌して均一に混合した。前記反応容器中に、蒸溜水64ml、PdCl 0.25g及びNiCl・6HO 0.112gを均一に混合して得た触媒成分前駆体の水溶液を添加した。この結果物を、1気圧及び25℃で30分間撹拌させた。次に、反応容器内の温度を140℃に昇温させた後、2時間さらに還流反応を続けた。
【0115】
還流反応が終了した後、反応生成物に対して、濾過、水洗い及び常温乾燥を行うことによって、PdNi/C触媒約0.64gを得た。この触媒で、誘導結合プラズマ分光分析器で分析したパラジウム:ニッケルの重量比は、99.9:0.1であり、パラジウムの担持量が触媒の総重量を基準に、17.66重量%であった。
【0116】
参考例
炭素ブラック上に、白金の公称担持量が触媒の総重量を基準に、20重量%であるPt/C触媒をJohnson&Matthey社から商業的に入手して使用した。
【0117】
比較例3
本比較例では、参考例の触媒の組成と同じである20重量%Pt/C触媒を直接合成する。白金化合物の使用量は、得られた触媒の総重量を基準に、白金の公称担持量が20重量%になるように調節した。
【0118】
窒素ガスでパージングされた0.5L丸フラスコ反応容器中に、炭素ブラック(Cabot社、Vulcan XC−72)0.6g、エチレングリコール101ml及び蒸溜水34mlを入れ、撹拌して均一に混合した。前記反応容器中に、蒸溜水64ml、HPtCl 1.49gを均一に混合して得た触媒成分前駆体の水溶液を添加した。この結果物を、1気圧及び25℃で30分間撹拌させた。次に、反応容器内の温度を140℃に昇温させた後、2時間さらに還流反応を続けた。
【0119】
還流反応が終了した後、反応生成物に対して、濾過、水洗い及び常温乾燥を行うことによって、Pt/C触媒約0.64gを得た。この触媒で、白金担持量は、触媒の総重量を基準に、18.9重量%であった。
【0120】
半電池試験(half cell test)
前記実施例及び比較例による触媒を利用して、次の通り電極を製造した。
【0121】
まず、前記説明した方法によって準備された触媒20mg、蒸溜水1ml、NAFION(登録商標) 10重量%溶液(Dupont社製)10μlを混合した後、この混合物に対して、超音波を利用して30分間均質化処理を行った。得られた分散物5μlをガラス質炭素電極(glassy carbon electrode、BASi社製、モデル名:MF−2012)に塗布して乾燥させた後、NAFION(登録商標)溶液5μlを固定体としてさらに一回塗布して乾燥させた。
【0122】
前記実施例及び比較例による触媒の水素酸化能を比較するために、このようにして得られた電極に対して、半電池試験を次の通り実施した。
【0123】
前記の通りに得られた電極を作業電極(working electrode)として、Ag/AgCl(3M NaCl)を基準電極として、白金線を相対電極として実験を進めた。1M硫酸溶液を電解質として使用し、電解質中に溶存するガスを除去するために、実験前に電解質中に、窒素を30分間供給した後で使用した。前記の通りに半電池を設けた後、常温で水素酸化反応を実施しつつ、Potentiostat/Galvanostat(EG&G Princeton Applied Research、M273)を利用して、50mV/secのSweep速度で、作業電極の性能を測定した。
【0124】
各作業電極に対して、−0.2V〜0.9V(対Ag/AgCl)の範囲で、電圧循環電流(cyclic voltammogram)特性を評価した。このとき、各作業電極に対して、20回サイクリングさせて定常状態に到達させた最後のサイクルの電圧電流曲線を介して、電圧循環電流特性を評価した。実験結果を、参考例の20重量%Pt/C商業用触媒を利用して製造した作業電極の活性とも比較した。
【0125】
図2は、実施例2,3及び参考例の触媒を利用して製造された電極に対して実施した半電池試験の結果を示す電圧循環電流である。
【0126】
図2を参照すれば、炭化タングステンを利用した20重量%PdIr/WC触媒(実施例2)、炭化タングステンを利用した20重量%PdIrNi/WC触媒(実施例3)は、参考例のPt/C商業用触媒(Johnson Matthey、HiSPEC(登録商標)3000)のピーク形態と非常に異なる電圧電流曲線の挙動を示している。参考例の20重量%Pt/C商業用触媒(HiSPEC(登録商標)3000)は、広い電圧領域にかけて水素吸脱着特性を示している。実施例2の触媒は、参考例の触媒に比べては、ピーク面積が小さいが、水素酸化活性に有利な低い電圧領域(−0.116V)で、大きな酸化電流ピークを示している。実施例3の触媒は、参考例の触媒に比べて、ピーク面積がむしろ大きいだけではなく、酸化活性に有利な低い電圧領域(−0.115V)で、大きな酸化電流ピークを示している。
【0127】
下記表1は、実施例1ないし3、比較例3及び参考例の触媒を利用して製造された電極に対して実施した半電池試験の結果を数値的に示したものである。
【0128】
【表1】

【0129】
表1を参照すれば、参考例の高分子電解質膜燃料電池の酸化電極触媒として広く使われている20重量%Pt/C商業用触媒(HiSPEC(登録商標)3000)は、広い水素吸脱着領域の面積を示し、水素酸化反応に対する良好な活性を確認することができる。実施例2の触媒は、水素吸脱着領域の面積基準で、参考例の20重量%Pt/C商業的触媒(HiSPEC(登録商標)3000)の約85%の活性を示す。これは、実施例2の触媒は、触媒成分として白金を使用せずとも、水素吸脱着領域の面積基準で、参考例のPt/C商業用触媒(HiSPEC(登録商標)3000)対比で、約85%の水素酸化能を示すということを意味している。
【0130】
実施例3の触媒は、水素吸脱着領域の面積基準で、参考例の20重量%Pt/C商業的触媒(HiSPEC(登録商標)3000)の約121%の活性を示している。これは、実施例3の触媒は、触媒成分として白金を使用せずとも、参考例の20重量%Pt/C商業用触媒(HiSPEC(登録商標)3000)よりも、水素吸脱着領域の面積基準で、むしろさらに大きな水素酸化能を示すということを意味する。これは、非晶質炭素が実質的にいずれも除去された炭化タングステンとパラジウム−イリジウム−ニッケル触媒成分との電気的相互作用が大きいということを立証する。実施例3の結果は、実施例2の場合と比較するとき、ニッケルがさらに添加され、水素吸脱着領域の面積が急激に拡大するということを確認することができる。
【0131】
比較例3のポリオール方法によって直接製造された20重量%Pt/C触媒は、同じ公称担持量の白金を有する参考例のPt/C商業用触媒(HiSPEC(登録商標)3000)の水素吸脱着領域基準で、86%の水素酸化能を示している。これは、同量の白金触媒と炭素とを使用しても、具体的な合成方法によって、電気化学的活性と安定性とが変わりうるということを意味する。
【0132】
単電池試験(unit cell test)
前記実施例及び比較例による触媒を利用し、アノードを次の通り製造した。
【0133】
アノードは、この電極中に含まれていた触媒量を0.3mgPd/cm(実施例1ないし3及び比較例1,2)、0.3mgPt/cm(参考例及び比較例3)にする前記実施例及び比較例による触媒量、イソプロピルアルコール1.2ml、NAFION(登録商標)溶液0.4gを均一に混合することによって、アノード触媒層形成用スラリーを製造した。このスラリーを、カーボンペーパー(Toray社製、モデル名:TGPH−060)上にスプレーコーティングし、空気中で一晩乾燥させた後、80℃の真空オーブンで2時間乾燥させてアノードを製造した。
【0134】
カソードは、この電極中に含まれた触媒量が0.3mgPt/cmになるように、参考例のPt/C商業用触媒(HiSPEC(登録商標)3000)を利用し、同じアノード製造方法と同じ方法で製造した。すなわち、20重量%Pt/C商業用触媒0.047g、iso−プロパノール1.2ml、NAFION(登録商標)溶液0.4gを均一に混合することによって、カソード触媒層形成用スラリーを製造した。このスラリーを、カーボンペーパー(Toray社製、モデル名:TGPH−060)上にスプレーコーティングし、空気中から一晩乾燥させた後、80℃の真空オーブンで2時間乾燥させてカソードを製造した。
【0135】
水素イオン伝導性高分子膜(Dupont社製、NAFION(登録商標)212膜)の両側に、前記の通りにして準備されたアノード及びカソードを積層し、125℃の温度及び1,500psiaの圧力下で、2分間ホットプレスすることにより、膜電極接合体(MEA:membrane electrode assembly)を製造した。前記アノードとカソードとに、それぞれ燃料供給用分離板と、酸化剤供給用分離板とを付着させて単電池を製造した。
【0136】
前記の通りに準備した実施例及び比較例の単電池に対して、電池性能を次の通り評価した。
【0137】
電池試験装置(Won A Tech、Smart II)を利用し、60℃で前記単電池に対して電池性能を評価した。アノード側分離板には、水素ガスを150ml/minの流量で、カソード側分離板には、空気を1L/minの流量で供給した。電流密度変化による電圧変化及び電力密度変化を測定し、60℃で電池性能を評価した。
【0138】
単電池測定で、長期安定性試験は、前記単電池性能を測定した後、水素流量は50ml/min、空気流量は300ml/minに調節し、0.6Vの一定した電圧で、50時間連続して反応を実施した。このとき、電池の運転温度は、60℃に固定して実験を進めた。結果の比較は、50時間の連続反応後、さらに流量を、水素150ml/min、空気1L/minに増大させて、安定性実験前後の電力密度の低下を示す。
【0139】
図3及び図4は、実施例1、比較例1ないし3及び参考例の触媒を利用して製造された電極を利用して製造された単電池に対する性能試験結果をまとめたものである。図3は、実施例1、比較例1ないし3及び参考例の触媒の性能を比較するための電流−電圧(I−V)特性、及びそれから変換された電流−電力(I−P)特性を示す。図4は、実施例1の触媒を利用して製造された単電池に対して実施した長期安定性試験結果を示している。
【0140】
図3を参照すれば、Pd公称担持量20重量%のPdNi/WC/C触媒(比較例1)に比べて、Pd公称担持量20重量%のPdNi/WC触媒(実施例1)の場合、水素酸化反応に対する単電池での活性が約8%上昇したことを確認することができる。これは、非晶質炭素除去後、表面に露出された炭化タングステンとパラジウム−ニッケルとが接触して示される相乗効果が増大して活性が向上したものであると推測される。比較例1の触媒の場合、炭化タングステンを被覆している非晶質炭素によって、前記相乗効果が制限的であったが、ほとんどの非晶質炭素が除去された実施例1の場合、前記相乗作用が極大化され、活性上昇につながっていると判断される。
【0141】
図4に図示された実施例1の触媒を利用して製造された単電池に対する長期安定性試験の結果を参照すれば、パラジウム−ニッケル触媒成分と炭化タングステンとの強い金属−炭化タングステン間の結合効果によって、長期安定性も良好であると確認することができる(表2参照)。これは、触媒成分と接触することができる露出された炭化タングステンの比率が上昇した事実によるものであると判断される。
【0142】
下記表2は、図3及び図4に図示された実施例1、比較例1ないし3及び参考例の触媒を利用して製造された単電池に対する性能試験結果を数値的にまとめたものである。
【0143】
【表2】

【0144】
表2を参照すれば、実施例1の結果を参考例の結果と比較すれば、実施例1のPd公称担持量20重量%のPdNi/WC触媒の最大出力密度は、290mW/cmであり、参考例のPt公称担持量20重量%のPt/C商業用触媒(HiSPEC(登録商標)3000)の最大出力密度である314mW/cmと比べて約92%活性を示し、それに匹敵するほどの長期安定性を示している。50時間運転後の単電池長期安定性結果で、実施例1の単電池の出力密度は、254mW/cmであり、50時間運転前に比べて約13%の活性低下が観察される。実施例1の結果を比較例1の結果と比較すれば、炭化タングステン/炭素複合体の非晶質炭素除去だけで、水素酸化反応に係わる活性及び長期安定性が大きく向上するということが分かる。実施例1の結果を比較例2の結果と比較すれば、炭素を、非晶質炭素がほぼ除去された炭化タングステンに変更すれば、触媒活性及び長期安定性が大きく上昇するという事実から、触媒成分と炭素との間でよりも、触媒成分と、非晶質炭素がほぼ除去された炭化タングステンとの間で、さらに強い相乗作用が起こるということを確認することができる。比較例2の触媒は、同種及び同量の金属触媒が担持された実施例1の触媒に比べて、水素酸化反応に対する活性及び長期安定性が非常に低いという点で、活用価値が非常に低下するということを確認することができる。実施例1の触媒は、比較例3のポリオール方法によって直接製造された20重量%Pt/C触媒に比較しても、優れた活性と安定性とを示している。
【0145】
現在、高分子電解質燃料電池の酸化電極触媒として広く使われる参考例のPt/C商業用触媒(HiSPEC(登録商標)3000)は、最大出力密度が314mW/cmに至り、50時間経過後にも出力密度の低下が10%レベルと、最も高い活性と安定性とを示した。しかし、これは高価な白金触媒に基づいたものである。
【0146】
比較例3の直接製造されたPt公称担持量20重量%のPt/C触媒の最大出力密度は、265mW/cmであり、Pt/C商業用触媒に比べて約84%レベルを示し、50時間運転経過後の出力密度の低下が23%と、比較的大きい。これは、同量の白金と炭素とを使用したとしても、具体的な合成方法によって、活性と安定性とが変わりうるということを意味する。
【0147】
図5ないし図7は、実施例2,3、比較例3及び参考例の触媒を利用して製造された電極を利用して製造された単電池に対する性能試験結果をまとめたものである。図5は、実施例2,3、比較例3及び参考例の触媒の性能を比較するための電流−電圧(I−V)特性及びこれから変換された電流−電力(I−P)特性を示している。図6は、実施例2の触媒を利用して製造された単電池に対して実施した長期安定性試験の結果を示している。図7は、実施例3の触媒を利用して製造された単電池に対して実施した長期安定性試験の結果を示している。
【0148】
図5を参照すれば、実施例2のPd公称担持量20重量%のPdIr/WC触媒を利用した単電池の最大出力密度は、295mW/cmである。実施例3のPd公称担持量20重量%のPdIrNi/WC触媒を利用した単電池の最大出力密度は、312mW/cmである。参考例の現在の高分子電解質燃料電池酸化電極触媒として広く使われる参考例のPt/C商業用触媒(HiSPEC(登録商標)3000)の最大出力密度は、314mW/cmであって、最も高い活性を示している。比較例3の直接製造されたPt公称担持量20重量%のPt/C触媒の最大出力密度は、265mW/cmである。
【0149】
図6に図示されている実施例2の触媒を利用して製造された単電池に対する長期安定性試験の結果を参照すれば、50時間運転後の出力密度は、257mW/cmであって、最大出力密度対比で約13%の活性低下だけが観察される。これから、パラジウム−イリジウムと炭化タングステンとの強い金属−炭化タングステン間の結合効果によって、長期安定性も良好であるということを確認することができる(表3参照)。これは、パラジウム−イリジウム触媒と接触することができる露出された炭化タングステンの比率が上昇した事実によるものであると判断される。
【0150】
図7に図示されている実施例3の触媒を利用して製造された単電池に対する長期安定性試験の結果を参照すれば、50時間運転後の出力密度は、267mW/cmであって、最大出力密度対比で約14%の活性低下だけが観察される。これから、パラジウム−イリジウム−ニッケルと炭化タングステンとの強い金属−炭化タングステン間の結合効果によって、長期安定性も良好であるということを確認することができる(表3参照)。これは、パラジウム−イリジウム−ニッケル触媒と接触することができる露出された炭化タングステンの比率が上昇した事実によるものである判断される。
【0151】
下記表3は、図5ないし図7に図示された実施例1ないし3、比較例3及び参考例の触媒を利用して製造された単電池に対する性能試験結果を数値的にまとめたものである。
【0152】
【表3】

【0153】
表3を参照すれば、本発明による実施例1ないし3の結果から、白金系触媒と類似した活性と安定性とを示し、水素酸化反応に対する活性が非常に高い触媒を得ることができるということを確認することができる。これは、このようなパラジウムを含む金属触媒と、非晶質炭素が除去された炭化タングステンとの間で、高い電気化学的相乗作用が存在するという事実を裏付ける。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の電極触媒は、高分子電解質膜燃料電池において、最も高いコストを占める白金電極触媒を、電気化学的活性及び価格競争力の総合的側面で、効果的に代替することによって、高分子電解質膜燃料電池の商業化に寄与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10ないし30m/gの比表面積を有する炭化タングステンと、
パラジウム(Pd)またはパラジウム合金を含む金属触媒と、を含む電極触媒。
【請求項2】
前記電極触媒の総重量を基準に、前記炭化タングステンの含有量は、60ないし95重量%であり、前記金属触媒の含有量は、5ないし40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電極触媒。
【請求項3】
前記金属触媒は、パラジウム(Pd)と、
ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の電極触媒。
【請求項4】
前記パラジウム(Pd):前記他の金属の重量比は、66.7:33.3ないし99.999:0.001であることを特徴とする請求項3に記載の電極触媒。
【請求項5】
前記金属触媒は、パラジウム(Pd)と、2種の他の金属とを含み、
前記2種の他の金属は、
ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された少なくとも1種の第1他の金属と、
イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及び金(Au)からなる群から選択された少なくとも1種の第2他の金属と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の電極触媒。
【請求項6】
前記パラジウム(Pd):前記第1他の金属:前記第2他の金属の重量比は、66.7:33.2:0.1ないし99.998:0.001:0.001であることを特徴とする請求項5に記載の電極触媒。
【請求項7】
前記金属触媒がパラジウム(Pd)と、
ニッケル(Ni)及びイリジウム(Ir)からなる群から選択された少なくとも1種の他の金属をと、含むことを特徴とする請求項1に記載の電極触媒。
【請求項8】
前記炭化タングステンは、非晶質炭素を、前記炭化タングステン100重量部を基準に、0.1重量部以下の含有量で含有することを特徴とする請求項1に記載の電極触媒。
【請求項9】
前記非晶質炭素は、前記炭化タングステンの結晶格子構造の外側に存在することを特徴とする請求項8に記載の電極触媒。
【請求項10】
炭化タングステンと、
パラジウム(Pd)またはパラジウム合金を含む金属触媒と、を含み、
前記炭化タングステンは、非晶質炭素を、前記炭化タングステン100重量部を基準に、0.1重量部以下の含有量で含有する電極触媒。
【請求項11】
前記非晶質炭素は、前記炭化タングステンの結晶格子構造の外側に存在することを特徴とする請求項10に記載の電極触媒。
【請求項12】
前記電極触媒の総重量を基準に、前記炭化タングステンの含有量は、60ないし95重量%であり、前記金属触媒の含有量は、5ないし40重量%であることを特徴とする請求項10に記載の電極触媒。
【請求項13】
前記金属触媒は、パラジウム(Pd)と、
ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、金(Au)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属と、を含むことを特徴とする請求項10に記載の電極触媒。
【請求項14】
前記パラジウム(Pd):前記他の金属の重量比は、66.7:33.3ないし99.999:0.001であることを特徴とする請求項13に記載の電極触媒。
【請求項15】
前記金属触媒は、パラジウム(Pd)と、2種の他の金属とを含み、
前記2種の他の金属は、
ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)及び銀(Ag)からなる群から選択された少なくとも1種の第1他の金属と、
イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及び金(Au)からなる群から選択された少なくとも1種の第2他の金属と、を含むことを特徴とする請求項10に記載の電極触媒。
【請求項16】
前記パラジウム(Pd):前記第1他の金属:前記第2他の金属の重量比は、66.7:33.2:0.1ないし99.998:0.001:0.001であることを特徴とする請求項15に記載の電極触媒。
【請求項17】
前記金属触媒が、パラジウム(Pd)と、
ニッケル(Ni)及びイリジウム(Ir)からなる群から選択された少なくとも1種の他の金属と、を含むことを特徴とする請求項10に記載の電極触媒。
【請求項18】
請求項1ないし請求項9のうち、いずれか1項に記載の電極触媒の製造方法であって、
10ないし30m/gの比表面積を有する炭化タングステン、パラジウム(Pd)を含む金属触媒前駆体及び溶媒を含む混合物を還流させる段階と、
前記還流によって得られた結果物を分離する段階と、を含む電極触媒の製造方法。
【請求項19】
前記混合物は、1ないし5気圧(atm)の圧力、及び120ないし180℃の温度で還流されることを特徴とする請求項18に記載の電極触媒の製造方法。
【請求項20】
前記炭化タングステンは、
炭化タングステン/炭素複合体をアンモニアガスまたはウレアガスの存在下で熱処理し、前記炭化タングステン/炭素複合体中の前記炭化タングステンの結晶格子の外側に存在する非晶質炭素を除去することによって得られることを特徴とする請求項18に記載の電極触媒の製造方法。
【請求項21】
前記熱処理温度は、500ないし1,500℃であることを特徴とする請求項20に記載の電極触媒の製造方法。
【請求項22】
前記金属触媒前駆体は、パラジウム(Pd)前駆体と、
ニッケル(Ni)前駆体、イリジウム(Ir)前駆体、ルテニウム(Ru)前駆体、コバルト(Co)前駆体、マンガン(Mn)前駆体、金(Au)前駆体、鉄(Fe)前駆体及び銀(Ag)前駆体からなる群から選択された1種または2種以上の他の金属触媒前駆体と、を含むことを特徴とする請求項18に記載の電極触媒の製造方法。
【請求項23】
前記金属触媒前駆体において、前記パラジウム(Pd):前記他の金属の原子比が3:3ないし3:1であることを特徴とする請求項22に記載の電極触媒の製造方法。
【請求項24】
請求項10ないし請求項17のうち、いずれか1項に記載の電極触媒の製造方法であって、
炭化タングステン、パラジウム(Pd)を含む金属触媒前駆体、及び溶媒を含む混合物を還流させる段階と、
前記還流によって得られた結果物を分離する段階と、を含み、
前記炭化タングステンは、非晶質炭素を、前記炭化タングステン100重量部を基準に、0.1重量部以下の含有量で含有する電極触媒の製造方法。
【請求項25】
請求項1ないし請求項17のうち、いずれか1項に記載の電極触媒を含む電極。
【請求項26】
請求項25に記載の電極を含む燃料電池。
【請求項27】
前記電極がアノードであることを特徴とする請求項26に記載の燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−33492(P2012−33492A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167486(P2011−167486)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【出願人】(508355493)浦項工科大學校 産學協力團 (14)
【Fターム(参考)】