燃料電池電力システムの性能を改善するための方法及び装置
電流パルス化は、燃料電池スタックに基づく電源システムの燃料電池の性能を改善する。電圧クランプは電流パルス後に起こる電圧ピークを制限する。ハイブリッド電源システムでは、蓄電装置は、電流パルス化中に負荷に給電する。蓄電装置は電圧クランプを達成するため電流をシンクし、及び/又は、電源システムはその他の電圧クランプ回路を利用する。一態様において、燃料電池のスタックを含む電源システムを動作させる方法は、随時に、燃料電池のスタックを電流パルス化するステップと、燃料電池のスタックを電流パルス化した後の少なくともある期間中に燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップとを含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は燃料電池電力システムに係わり、特に、燃料電池電力システムの燃料電池スタックの性能を改善する方法及び装置に関する
(関連技術の説明)
燃料電池は、電流を発生するため、水素を含む燃料の流れと酸素を含む酸化剤の流れとに電気化学的に反応する。燃料電池のスタックを利用する燃料電池電力システムは、多種多様の輸送、携帯型及び定置型の電力アプリケーションに使用される。
【0002】
プラチナ(Pt)を含む触媒を利用する燃料電池では性能損失が観察されている。たとえば、定電流の条件下で、高分子電解膜燃料電池の電圧は、典型的に、当初は0.9Vの高さであるが、かなり急速に降下し始める。同様に、定電圧の条件下で、特に、高電圧のとき、初期電流はその最初の出力値から急降下する。この性能損失は、触媒の一酸化炭素、及び、水からの酸素の吸収による陰極触媒の活性を含む種々の原因による。
【0003】
この性能劣化を覆すため複数のアプローチが採用されている。たとえば、米国特許第5601936号明細書は、燃料電池の陽極及び陰極への逆DC電位の印加を開示する。カナダ国特許第2284589号明細書は、陽極と陰極を一時的に短絡させることによる、又は、外部DC電圧源を用いる正の電圧パルスの生成による陽極電位のパルス化を開示する。逆に、米国特許出願第2001/0044040号A1明細書は、性能劣化を覆すように有効なパルス幅でセル電圧を低下させるため陰極を出力負荷へ切り換えることを開示する。米国特許第6096448号明細書は、過渡負荷をスタックに接続することにより燃料電池スタックを消耗する燃料を開示する。米国特許第6096449号と米国特許第6451470号B1明細書はどちらも燃料セルの周期的な短絡を開示する。
【0004】
米国特許第6096449号は、システム内の燃料セル毎に対応する多数の分流制御回路に接続された分流コントローラを開示する。分流コントローラは、1対の電圧源と、陽極と陰極を一体的に結合するバイパス回路と、燃料セル毎に関連付けられた電流センサとをさらに含む。分流コントローラは、燃料ガスの燃料電池への供給を終了する燃料ガス閉止弁をさらに制御する。
【0005】
これらのアプローチには一つ以上の欠点がある。第一に、これらのアプローチは、燃料電池スタックが短絡されるか、又は、その電流若しくは電圧がパルス化されるときに、外部負荷に電力変動を生じさせる。これは、外部負荷がこのような電力変動の大きさ及び/又は周波数に耐えられないアプリケーションで問題になる。或いは、外部負荷はパルス化中に燃料電池スタックから切り離され、負荷への電力供給を遮断する点が望ましくない。
【0006】
第二に、このようなアプローチを実施する際に必要とされる制御システムは過度に複雑化する傾向がある。米国特許第6096449号明細書における分流コントローラの複雑性は、たとえば、全体的なシステムのコストを上昇させ、動作信頼性を低下させる点が望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料電池スタックの性能を改善するだけでなく、比較的低価格であり、高信頼性であり、電気的に効率的にされた燃料電池電力システムを動作させる方法及び装置が望ましい。本発明は、従来の燃料電池電源システムの欠点を解決し、さらに関連した利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
一態様において、燃料電池のスタックを含む電源システムを動作させる方法は、随時に、燃料電池のスタックを電流パルス化するステップと、燃料電池のスタックを電流パルス化した後の少なくともある期間中に燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップとを含む。燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるステップと、燃料電池のスタックの両端間の短絡回路パスを取り除くステップとを含む。燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、燃料電池のスタックの両端間に負荷を電気的に接続するステップと、燃料電池のスタックの両端間から負荷を電気的に切り離すステップを含む。
【0009】
別の態様によれば、少なくとも1台の負荷に給電するため、燃料電池スタック、及び、燃料電池スタックと並列に電気的に接続された少なくとも1台の蓄電装置を含む電源システムを動作させる方法は、随時に燃料電池スタックを一時的に短絡するステップと、少なくとも燃料電池スタックを短絡している間に蓄電装置から負荷へ電力を供給するステップを含む。
【0010】
さらに別の態様では、燃料電池のスタック、及び、負荷に電力を供給するため電気的に接続可能である蓄電装置を含む電源システムを動作させる方法は、随時に、燃料電池のスタックの両端間に電気的短絡回路を設けるために少なくとも1台のスイッチを動作させるステップと、燃料電池のスタックの両端間の電気的短絡回路を取り除くために少なくとも1台のスイッチを動作させるステップと、燃料電池スタックを短絡している間に蓄電装置から負荷へ電力を供給するステップと、燃料電池のスタックの両端間の短絡回路パスを取り除いた後の少なくともある期間中に燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップを含む。
【0011】
さらに別の態様では、負荷及びバランスオブシステム(balance of system)に給電するため、燃料電池スタック、及び、燃料電池スタックに電気的に接続されたエネルギー蓄積装置を含む電源システムを動作させる方法は、燃料電池スタックによって負荷及びバランスオブシステムに供給されているスタック電流を測定するステップと、燃料電池スタックの短絡中に負荷及びバランスオブシステムによって要求されるエネルギーの量を決定するステップと、短絡後に取り去られるエネルギーの量を決定するステップと、短絡中に負荷及びバランスオブシステムによって要求されるエネルギーの決定されたエネルギーの量に基づいて、かつ、短絡後に取り去られるエネルギーの決定されたエネルギーの量に基づいてエネルギー蓄積装置から予め除去されるべきエネルギーの量を決定するステップと、現在の負荷でエネルギー蓄積装置から決定されたエネルギーの量を予め除去するために必要な時間を決定するステップと、負荷及びバランスオブシステムを燃料電池スタックから切断するステップと、負荷及びバランスオブシステムを切断した後に蓄電装置からエネルギーを予め除去するために必要な決定された時間に、燃料電池スタックを短絡するステップと、負荷及びバランスオブシステムを燃料電池スタックに再接続するステップと、短絡持続時間に亘る燃料電池スタックの短絡後に燃料電池スタックの短絡を終了するステップとを含む。
【0012】
さらなる態様では、少なくとも1台の負荷に電力を供給する電源システムは、燃料電池スタックと、燃料電池スタックを随時に短絡する手段と、燃料電池スタックの短絡の直後の少なくともある期間中に最大燃料電池スタック電圧レベルより下に燃料電池スタック電圧をクランプする手段とを含む。
【0013】
またさらなる態様では、電源システムは、電源バスと、電源バスの両端間に電気的に接続された燃料電池スタックと、燃料電池スタックの両端間に電気的に接続され、燃料電池スタックを電流パルス化するため動作するパルススイッチと、燃料電池スタックを随時に電流パルス化するようにパルススイッチを選択的に制御するため接続されたコントローラと、燃料電池スタックの電流パルス化の後に続く少なくともある期間中にスタック電圧をクランプするスタック電圧クランプ手段とを含む。
【0014】
またさらなる態様では、少なくとも1台の負荷に電力を供給する電源システムは、燃料電池スタックと、電気的に接続され、燃料電池スタックを電気的に短絡するため動作する短絡スイッチと、燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置と、蓄電装置を電気的短絡から保護するため燃料電池スタックと蓄電装置との間に電気的に接続されたダイオードと、燃料電池スタックを随時に短絡するため短絡スイッチを選択的に制御するように接続されたコントローラとを含む。
【0015】
図面中、同じ参照番号は類似した要素又は動作を特定する。図面中の要素のサイズ及び相対位置は必ずしも正しい縮尺で描かれていない。たとえば、種々の要素の形状及び角度は正しい縮尺で描かれず、これらの要素の一部は、図面の読みやすさを改善するため任意に拡大され配置される。さらに、描かれているような要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する情報を伝えることを目的とするものではなく、図面中での認識を容易にするため選択されただけである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
以下の説明では、ある特定の具体的な詳細が本発明の種々の実施形態を十分に理解するために記載される。しかし、当業者は本発明がこれらの詳細を用いなくても実施できることがわかるであろう。他の例では、燃料電池、燃料電池スタック、バッテリー及び燃料電池システムに関連したよく知られた構造は、本発明の実施形態の説明を不必要にわかりにくくすることを避けるため詳細には図示或いは記載されていない。
【0017】
特に断らない限り、明細書及び特許請求の範囲を通じて、用語「〜を含む(comprise)」と、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」のようなその変形は、「〜を含むが、それに限定されない」という開かれた包括的な意味で解釈されるべきである。
【0018】
ここに記載された見出しは単に便宜的なものであり、特許請求の範囲に記載された発明の意図又は意味を解釈しない。
【0019】
電流パルス化は、触媒活性を回復させるため十分に燃料電池の電圧を降下させるべく燃料電池又は燃料電池スタックの両端間で短絡すること又は負荷を接続することを意味する。
【0020】
上記のように、性能損失は、おそらく長期に亘る陰極触媒活性の損失が原因となって、Ptを含む触媒を利用する燃料電池で観察される。燃料電池スタックの電流パルス化の直後に、燃料電池スタックの電圧は十分に上昇する。たとえば、典型的なPEM燃料電池では、電池電圧は、短絡が開放された直後に最大定格電流で約0.76Vまで急上昇する。電池電圧は次に長い時間をかけてある平衡値まで減少する。理論によって拘束されていないが、この効果の原因はパルス化中の陰極触媒からの酸素種(或いは、その他の吸着種)の揮散であり、触媒活性を回復させ、その後の長時間に亘る触媒の再酸化は触媒の活性を再び低下させると考えられる。
【0021】
図1は、上記の効果を実証する長期に亘るNEXA(登録商標)燃料電池スタックの正味スタック電圧2のグラフ1を表す。動作条件は次の通りであった。反応物が5psig(35kPa)の圧力で供給された水素及び多湿空気であり、反応物入口温度が65℃であり、出力電流が15Aであり、500msの短絡が毎分実施された。図1の各垂直線は燃料電池スタックの電気的短絡に対応し、電圧2は次の短絡まで長い時間をかけてゆっくり減衰する。
【0022】
出願人は、少なくとも一部のアプリケーションでは、スタックの短絡が燃料電池電圧を許容できないレベルまで上昇させることを判断した。図2は、図1に表されたパルス毎に電圧減衰曲線4の3次元グラフ3を表す。不安定な電圧の領域が燃料電池スタックの短絡毎におよそ7乃至8秒間続くことに注意すべきである。
【0023】
この場合も、理論によって拘束されていないが、出願人は、短絡直後の燃料電池の電圧は十分に高く、陰極触媒炭素担体(或いは、燃料電池の陰極側の他の炭素材料)の腐食が起こると考える。
【0024】
図3は、短時間だけ短絡された典型的な燃料電池の一般化された電流曲線5及び電圧曲線6のそれぞれのグラフ的な説明図を表す。短絡が開放された直後に、燃料電池の電圧はピークAに達し、平衡レベルに達する前に低下し始める。領域Aでは、陰極触媒担体及び/又はその他の陰極構造体を破損する炭素腐食が起こる可能性がある。非常に高い電流密度でこのような高電圧に繰り返し曝されると、重大な炭素腐食が生じ、図2において観察された電圧不安定性に反映される。
【0025】
図4は、電力を外部負荷12に供給する図示した一実施形態による電源システム10を表す。ここで検討する内容に直接関係しない電源システム10の細部、たとえば、反応物供給システム及び冷却システムなどについては記載されない。
【0026】
電源システム10は、電源バス16の線路間に電気的に接続された燃料電池スタック14と、燃料電池スタックの両端間に電気的に接続されたパルススイッチS1と、パルススイッチS1を制御するため接続されたコントローラ18とを含む。コントローラ18は、簡単、低価格、かつ、高信頼性の電流パルス回路を提供する発振器20の形でもよい。
【0027】
図4に示された実施形態において、パルススイッチS1は、たとえば、発振器20によって発生されたパルス状信号21に応じて、燃料電池スタック14を選択的に短絡するように動作する。他の実施形態では、パルススイッチS1は燃料電池スタック14の両端間にパルス負荷22(図5)を選択的に設置するように動作する。このような実施形態では、燃料電池スタック14の両端間に設置されたパルス負荷22は、燃料電池の陽極から十分高速に電荷が除去されることを確保するために小さくすべきである。燃料電池スタック14の短絡は、燃料電池スタック14のできる限り素早い回復を実現するためには、燃料電池スタック14の両端間にパルス負荷22を設置するよりも好ましい。
【0028】
電源システム10は、たとえば、プロセッサ、センサ、インジケータ、バルブ、ヒーター、コンプレッサ、ファン、及び/又は、ソレノイドのようなアクチュエータなどの種々の能動部品を表す1個以上の内部負荷24を含む。燃料電池システムの観点では、これらの内部負荷24は典型的に「バランスオブプラント(balance of plant)」と呼ばれる。内部負荷24は燃料電池スタック14と並列に電源バス16へ電気的に接続され、そこから電力を受け取る。
【0029】
図4に示されるように、一部の実施形態では、電源システム10は、ハイブリッド電源システム10の一部を形成するために燃料電池スタック14と並列に電気的に接続された蓄電装置26をさらに含む。このような実施形態では、蓄電装置26は、スタック電流がパルス化されている時間の間に、負荷12、24に電流を供給する。このような実施形態では、電源システム10は、燃料電池スタック14の短絡から生じるトランジェントのようなトランジェントから蓄電装置26を保護するためダイオードD1を利用する。
【0030】
蓄電装置26は、たとえば、1台以上の制御弁式鉛酸(VRLA)バッテリー28(図6)、及び/又は、1台以上のスーパーキャパシタ30(図7)などの、エネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを開放するために適した多種多様な形をとる。蓄電装置26がVRLAバッテリー28である実施形態では、たとえば、負荷12、24への電圧変動はスタック電流のパルス化中に発生する。蓄電装置26がスーパーキャパシタバンド30である実施形態では、このような電圧変動は容易に除去される。
【0031】
電源システム10が蓄電装置26を含む場合、燃料電池スタック14は電流パルス後に蓄電装置26へ充電電流を供給し始める。このようにして、蓄電装置26は、燃料電池スタック14の電圧を最大スタック電圧限界VZより下にクランプするため、各電流パルスの後に燃料電池スタック14によって発生された過剰な電流をシンクする。たとえば、電源システム10が蓄電装置26の「浮動」電圧よりも低い平衡スタック電圧を有するならば、蓄電装置26は、スタック電圧が蓄電装置26の「浮動」電圧を超える限り、燃料電池スタック14からの電流の一部をシンクし続ける。
【0032】
ダイオードD1は、スタック電圧がプリセット電圧限界以上であるときに限り、燃料電池スタック14が負荷12、14へ電流を供給するように選択される。たとえば、蓄電装置26がVRLAバッテリー28である場合、プリセット電圧限界は、約27.4Vであるバッテリーの浮動電圧である。スタック電圧がダイオード電圧限界より降下するとき、エネルギー蓄積装置26は負荷12、24に電力を供給し、発振器20はパルススイッチS1を閉じることにより燃料電池スタック14の短絡を実施する。パルススイッチS1の開放は短絡を開放し、燃料電池スタック14は負荷12、24への給電を再開し、蓄電装置26を再充電するため電流を供給する。高負荷時に、この配置はスタック電圧を最大スタック電圧限界Vzより下に維持する。
【0033】
電圧をクランプするための蓄電装置26の使用は、図2及び3において認められる望ましくない電圧スパイクを解決する一つのアプローチである。図8は、短時間に亘って短絡された典型的なハイブリッド電源システム(たとえば、燃料電池スタック14及びバッテリー28を含む)における燃料電池スタック14の一般化された電流曲線32及び電圧曲線34のそれぞれのグラフ的な説明図を表す。図8の領域Bにおける電流の量は、燃料電池スタック14によって供給された負荷電流及びバッテリー充電電流を含む。燃料電池スタック14によって供給される付加的な充電電流はスタック電圧を決定された最大スタック電圧限界VZにクランプするために十分である。
【0034】
電流パルス化のタイミング又は周波数は設定されるか、又は、可変である。たとえば、電流パルス化は、明確な定期的間隔Twに設定され、たとえば、動作中に毎分1回ずつ行われる(すなわち、60Hz)。或いは、コントローラ18は、スタック電圧が蓄電装置26の「浮動」電圧のようなプリセット電圧限界より降下するときはいつも、燃料電池スタック14を短絡することができる。プリセット電圧限界は、燃料電池スタック14内で、希望の「浮動」電圧を生成するため必要な燃料電池の個数と等しい個数の燃料電池を利用することによって選択される。たとえば、少なくとも0.67Vである最小動作燃料電池電圧が望ましく、かつ、蓄電装置26の浮動電圧が27.4Vであるならば、燃料電池スタック14は少なくとも41個のセルを必要とするであろう。このようにして、電源システム10は、バッテリー28又はスーパーキャパシタ30への電荷転送の速度を制御するため電流パルス化の周波数を利用する。このようなアプローチを採用するとき、所定の負荷における電流パルス化周波数は、スタックへ供給される空気中の汚染物質の量を決定するため使用され、パルス化の周波数が高いほど、汚染物質の濃度が高いので、さらなる効果が得られる。
【0035】
電流パルスの持続時間Tpは同様に設定されるか、又は、可変である。たとえば、各電流パルスの持続時間があらかじめ定義される。たとえば、約500ミリ秒の各電流パルスの持続時間が60Hzの電流パルス周波数に対して特に適切であることがわかった。或いは、この持続時間は、電源システム10、負荷12、及び/又は、燃料電池スタック14の多数の動作パラメータ及び/又は条件に基づいて調整される。
【0036】
上記の方法及び装置は燃料電池から非常に高い性能効率を生じる。たとえば、NEXA(登録商標)燃料電池スタック14及びVRLAバッテリー28を利用する電源システム10において、スタック電圧が27.4Vのバッテリー浮動電圧より降下するときに燃料電池スタック14を電流パルス化することにより、燃料電池は約0.69Vの平均電圧で動作する。これは57%の効率に対応し、制御システムが発生する寄生的な冷却損失は非常に低く、負荷電流における電力変換損失は発生しない。さらに、蓄電装置26は、燃料電池電流がパルス化されるときに電流を供給するので、外部負荷12又は内部負荷24への電流の中断がない。
【0037】
他の実施形態では、燃料電池スタック14から引き出される電流は電流パルスの直後に短時間に亘って増加する。図9及び10は、それらの実施形態によって短時間に亘って短絡された典型的な燃料電池の一般化された電流曲線36及び38のそれぞれ、並びに、電圧曲線40及び42のそれぞれのグラフ的な説明図である。図9では、電流パルス後に燃料電池スタック14から引き出された電流36は領域Bに示されるように増加する。対応する電圧曲線40は平坦化され、図3の領域Aによって示された電圧スパイクに関連した炭素腐食の可能性を回避する。図9では、電流増加は、燃料電池スタック電圧を希望の最大スタック電圧限界Vzにクランプするために十分である。
【0038】
実際には、この程度の精度でスタック電圧をクランプするために電流増加を制御することは難しい。他の実施形態では、パルス化後の電流増加の大きさは、スタック電圧を希望の最大スタック電圧限界Vzにクランプするため必要とされるより大きくなることが少なくとも時折ある。この状況は、領域Bにおいて電池から引き出された電流38が図9よりも大きく、その結果として、領域Cのスタック電圧42がそれに応じて低下する図10に示されている。パルス化後のより大きな電流増加によって燃料電池スタック14に発生した付加的な熱は、陰極での炭素腐食を防止することによってオフセットを上回る。
【0039】
スタック電流のパルス化後に蓄電装置26を再充電するために必要な電流は、蓄電装置26によって担われる負荷12、24のサイズと電流パルスの持続時間に依存する。一部のアプリケーションでは、部分負荷又は低負荷の条件が見られる。低負荷時には、再充電電流は電流パルス化後に燃料電池電圧をクランプするために十分には高くない可能性がある。一部の実施形態では、したがって、電流パルス化は低負荷条件下では中断される。このアプローチは、電源システムが頻繁に、又は、かなりの期間に亘って低負荷条件にならないことが予想されるアプリケーションに特に適している。
【0040】
図11乃至13は、電流パルス化に応じてスタック電圧をクランプするために付加的な回路を含み、特に部分負荷又は低負荷条件下に適した電源システム10の他の実施形態を示す。これらの他の実施形態と、本明細書に記載されたその他の実施形態及び他の代替案は、ここまでに記載された実施形態と実質的に類似しているので、共通の動作及び構造は同じ参照番号によって特定される。動作及び構造の重大な相違点だけが以下で説明される。さらに、上記のように、電源システムの種々の実施形態は単独の電力源としての燃料電池スタック14に依存しているので、図11乃至13における蓄電装置26は任意的である。
【0041】
図11は、燃料電池スタック14と並列に電源バス16の両端間に電気的に接続されたツェナーダイオードD2を表す。ツェナーダイオードD2の破壊電圧は、添付の電圧曲線44によって示され、かつ、添付の電圧曲線46によって示されるような高負荷条件下での動作と比較されているように、低負荷条件下で動作するときに、ツェナーダイオードD2が希望の最大スタック電圧限界Vzより下にスタック電圧をクランプするように選択される。
【0042】
図12は、燃料電池スタック14と並列に電源バス16の両端間に電気的に接続されたシャントレギュレータ48を表す。シャントレギュレータ48は、ツェナーダイオードD2、ゲート抵抗R及びトランジスタ50によって形成される。ツェナーダイオードD2及びゲート抵抗Rは、トランジスタ50のゲートに電気的に接続され、添付の電圧曲線44によって示され、かつ、添付の電圧曲線46によって示されるような高負荷条件下での動作と比較されているように、低負荷条件下で動作するときに、希望の最大スタック電圧限界Vzより下にスタック電圧をクランプするためトランジスタ50を選択的に作動させる。
【0043】
図13は発振器20及びシャントレギュレータロジック52を含むコントローラ18を表す。シャントレギュレータロジック52は、ソフトウェア、ファームウェア及び/又はハードウェアにより実現され、コントローラ18によって実行される。コントローラ18は電圧センサ54によって感知された電圧を表す信号を受信する。コントローラ18は、ダイオードD3、D4及び抵抗Rを介して、電界効果トランジスタQ1のようなスイッチを作動するため制御信号21、53を供給し、添付の電圧曲線44によって示され、かつ、添付の電圧曲線46によって示されるような高負荷条件下での動作と比較されているように、低負荷条件下で動作するときに、希望の最大スタック電圧限界Vzより下にスタック電圧をクランプする。
【0044】
さらなる実施形態では、蓄電装置26は、スタック電流がパルス化される前のある期間に亘って負荷12、24を担い、燃料電池スタック14は再充電電流を後で供給する。蓄電装置26が負荷12、24を担う期間は低負荷条件を補償するため選択されるので、再充電電流はスタック電圧を所定の最大スタック電圧限界Vzにクランプするために十分に増加する。
【0045】
図14は、負荷12、24を燃料電池スタック14に電気的に接続し、切り離すよう動作する燃料電池スタック絶縁スイッチS2を含む電源システム10の別の実施形態を表す。コントローラ18は、スタック電流センサ58からのスタック電流を表す信号56を受信し、直前に説明した燃料電池スタック絶縁スイッチS2を作動させ、添付の電圧曲線60によって示されているように低負荷条件下で動作するとき、及び、添付の電圧曲線62によって示されているように高負荷条件下で動作するときに、スタック電圧を希望の最大スタック電圧限界Vzより下にクランプする。
【0046】
図15は図示した一実施形態による図14の電源システム10を電流パルス化する制御アルゴリズム100のフローチャートである。
【0047】
ステップ102において、電流センサ58はスタック電流を測定する。ステップ104において、コントローラ18は、短絡条件の持続時間中に負荷12、24を担うために必要なエネルギーの量を決定する。ステップ106において、コントローラ18は、最大スタック電圧限界Vzを超過することを回避するため短絡条件の終了後に取り去られるべきエネルギーの量を決定する。ステップ104及び106はどのような順序で行われてもよく、同時に行うことさえ可能である。
【0048】
ステップ108において、コントローラ18は、エネルギー蓄積装置26から予め(すなわち、電流パルスの前に)除去されるべきエネルギーを決定し、電流パルス化後に最大スタック電圧限界Vzを超過することを回避するため、所要量のスタック電流をシンクする状態に蓄電装置26を置く。ステップ110において、コントローラ18は現在負荷が与えられた場合にエネルギーを除去するために必要な期間を決定する。
【0049】
ステップ112において、コントローラ18は、燃料電池スタック絶縁スイッチS2を開き、負荷12、24を燃料電池スタック14から絶縁し、それによって、負荷12、24を燃料電池スタック14の代わりに蓄電装置26に給電することにより適当なレベルまで放電させる。ステップ114において、コントローラ18はステップ110において決定された期間を待機する。決定された期間の終わりに、コントローラ18はパルススイッチS1を閉じ、燃料電池スタック14の両端間に短絡経路を設けることにより、又は、負荷22(図22)を設置することにより、燃料電池スタック14を電流パルス化する。
【0050】
ステップ118において、コントローラ18は、パルススイッチS1が閉じた後、パルス持続時間、たとえば、500ミリ秒を待機する。ステップ120において、コントローラ18は燃料電池スタック絶縁スイッチS2を閉じ、負荷12、24を燃料電池スタック14に接続する。ステップ118及び120はどのような順序で行われてもよく、同時に行うことさえ可能である。パルス持続時間Tpの終わりに、コントローラ18はパルススイッチS1を開き、燃料電池スタック14の両端間の短絡経路又は負荷22を取り除くことにより電流パルスを終わらせる。期間Tpを決定する種々のアプローチは既に説明した。
【0051】
ステップ124において、コントローラ18は、ステップ102へ制御を戻す前に、期間Tw、たとえば、別の電流パルスが必要とされる点までスタック電圧が降下するために十分な期間を待機する。期間Twを決定する種々のアプローチは既に説明した。
【0052】
制御アルゴリズム100を実行するとき、コントローラ18は、燃料電池スタック14がその分極曲線上で動作しているかどうかを決定するため、分極ルックアップテーブルを使用して、現在スタック電圧と電流を比較する。燃料電池スタック14がその分極曲線上にあるかどうかを決定する他の手段を使用してもよい。
【0053】
図16は、上記の図14に表された電源システムと類似した電源システム10の別の実施形態を表す。図16の実施形態は、特に高電流負荷に適したパルススイッチS1を形成するため並列に電気的に接続された多数のMOSFETを含む。図16の実施形態は、特に高電流負荷に適した燃料スタック絶縁スイッチS2を形成するため並列に電気的に接続された、多数のMOSFET及び関連したダイオードをさらに表す。
【実施例】
【0054】
NEXA(登録商標)燃料電池スタック14及び24VのVRLAバッテリーバンク28を含むハイブリッド電力システム10は、スタック電流をパルス化して、及び、パルス化することなく動作させられた。電源システム10は、どちらの場合でも、5psig(35kPa)の圧力で水素及び多湿空気が供給され、65℃の反応物入口温度で動作させられた。
【0055】
1回目の運転で、約2.6の化学量の空気が燃料電池スタック14に供給された。電流パルス化無しで動作すると、電源システムは34Aで26.9Vの電圧に維持され、これは約915Wの正味出力に対応する。NEXA(登録商標)燃料電池スタック14は1000Wの正味出力が定格とされるので、このユニットは性能が低かった。
【0056】
電源システム10は次に図13に示されるように構成された。短絡回路(すなわち、パルススイッチS1)は並列した3台のMOSFETにより構成される。500ミリ秒の短絡が手動押しボタン(図示せず)によってトリガーされる。2台のIRFP2907型のMOSFETにより構成されたリニアレギュレータFETは、スタックから引き出される電流の量を制限し、バッテリーを27.3Vの浮動電圧に保持するため出力電圧を維持する。ショットキーダイオードはバッテリーの短絡を妨げる。500ミリ秒の短絡パルスが動作中に1分当たりおよそ1回ずつ印加された。空気の化学量は、対応する約1Vのスタック電圧の増加を示した予備的な結果に基づいて、約2.7まで増加させられた。実行時間は40分間であった。電源システム10は、約1540Wの正味出力に対応する56.5Aで27.3Vの電圧を維持した。これは正味電力出力の68%の増加、すなわち、625Wの追加を表す。
【0057】
電力システム及び関連した方法の具体的な実施形態と実施例は説明の目的のために本明細書に記載されているが、当業者によって認められるように種々の等価的な変更が本発明の精神及び意図から逸脱することなく行われる。本明細書に記載された本発明の教示内容は、必ずしも概略的に説明した典型的なハイブリッド電力システムに限らず、その他の電力システムに適用可能である。
【0058】
たとえば、本方法及び装置は、単独の電源として燃料電池スタック14を有する電源システム10に利用される。このような実施形態はより低コストであるが、蓄電装置24の省略は典型的に電流パルス化中に(一つ以上の)外部負荷12への電流供給の中断を生ずることに注意すべきである。同様に、たとえば、電力システムは蓄電装置を利用してもよい。
【0059】
上記の種々の実施形態はさらなる実施形態を提供するために組み合わせ可能である。本明細書中で参照された、及び/又は、出願データシートに列挙された上記の米国特許、米国特許公開公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び、非特許文献のすべては、参照によってそのすべての内容がここに組み込まれる。本発明の態様は、本発明のさらなる実施形態を提供するために、必要に応じて、種々の特許、出願、及び、刊行物のシステム、回路及び概念を利用するように変更可能である。
【0060】
上記の変形及びその他の変形は上記の詳細な説明を考慮して本発明に対して行われる。一般に、特許請求の範囲において、用語は、発明を明細書及び特許請求の範囲に開示された具体的な実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に従って動作するすべての電力システム及び方法を包含するように解釈されるべきである。その結果、本発明は開示内容によって制限されるのではなく、本発明の意図は特許請求の範囲によって完全に決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、NEXA(登録商標)燃料電池スタックの正味スタック電圧対時間のグラフである。
【図2】図2は、図1のグラフに表された各パルスの電圧減衰曲線の3次元グラフである。
【図3】図3は、燃料電池の電流パルス化を説明するスタック電流及びスタック電圧対時間のグラフである。
【図4】図4は、燃料電池スタック、エネルギー蓄積装置及びパルススイッチを含み、パルススイッチが燃料電池を電流パルス化するために燃料電池スタックの両端間に電気的短絡回路を設置するように選択的に動作可能である、図示した一実施形態による外部負荷及び/又は内部負荷に給電する電源システムの概略図である。
【図5】図5は、パルススイッチが燃料電池を電流パルス化するために燃料電池スタックの両端間に負荷を置くように選択的に動作可能である、別の図示した実施形態による外部負荷及び/又は内部負荷に給電する電源システムの概略図である。
【図6】図6は、電源システムにおける蓄電装置としての使用に適したVRLAバッテリーのようなバッテリーの電気的概略図である。
【図7】図7は、電源システムにおける蓄電装置としての使用に適したスーパーキャパシタの電気的概略図である。
【図8】図8は、蓄電装置が電流パルス化後に燃料電池スタックの電圧をクランプするため電流をシンクする場合を説明するスタック電流及びスタック電圧対時間のグラフである。
【図9】図9は、クランプ回路が電圧を希望の最大スタック電圧にクランプするために電流パルス化後に燃料電池スタックから十分な電流をクランプし引き出す場合のスタック電流及びスタック電圧対時間のグラフである。
【図10】図10は、クランプ回路が電圧を希望の最大スタック電圧より下にクランプするために電流パルス化後に燃料電池スタックから十分な電流を超える電流をクランプし引き出す場合のスタック電流及びスタック電圧対時間のグラフである。
【図11】図11は、燃料電池スタックの電圧をクランプするためにツェナーダイオードを利用する別の図示した実施形態による電源システムの概略図である。
【図12】図12は、燃料電池スタックの電圧をクランプするためにシャントレギュレータを利用する別の図示した実施形態による電源システムの概略図である。
【図13】図13は、燃料電池スタックの電圧をクランプするために発振器及びシャントレギュレータを含む制御を利用する別の図示した実施形態による電源システムの概略図である。
【図14】図14は、電流パルス化後に電圧クランプに備えてエネルギー蓄積装置からエネルギーを除去するために、ツェナーダイオードと燃料電池スタックから負荷を選択的に絶縁するように動作する絶縁スイッチとを利用する別の図示した実施形態による電源システムの概略図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態による請求項14記載の電源システムを動作させる方法のフローチャートである。
【図16】図16は、パルススイッチ及び絶縁スイッチがMOSFETのような複数のトランジスタからそれぞれ形成された別の図示した実施形態による電源システムの概略図である。
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は燃料電池電力システムに係わり、特に、燃料電池電力システムの燃料電池スタックの性能を改善する方法及び装置に関する
(関連技術の説明)
燃料電池は、電流を発生するため、水素を含む燃料の流れと酸素を含む酸化剤の流れとに電気化学的に反応する。燃料電池のスタックを利用する燃料電池電力システムは、多種多様の輸送、携帯型及び定置型の電力アプリケーションに使用される。
【0002】
プラチナ(Pt)を含む触媒を利用する燃料電池では性能損失が観察されている。たとえば、定電流の条件下で、高分子電解膜燃料電池の電圧は、典型的に、当初は0.9Vの高さであるが、かなり急速に降下し始める。同様に、定電圧の条件下で、特に、高電圧のとき、初期電流はその最初の出力値から急降下する。この性能損失は、触媒の一酸化炭素、及び、水からの酸素の吸収による陰極触媒の活性を含む種々の原因による。
【0003】
この性能劣化を覆すため複数のアプローチが採用されている。たとえば、米国特許第5601936号明細書は、燃料電池の陽極及び陰極への逆DC電位の印加を開示する。カナダ国特許第2284589号明細書は、陽極と陰極を一時的に短絡させることによる、又は、外部DC電圧源を用いる正の電圧パルスの生成による陽極電位のパルス化を開示する。逆に、米国特許出願第2001/0044040号A1明細書は、性能劣化を覆すように有効なパルス幅でセル電圧を低下させるため陰極を出力負荷へ切り換えることを開示する。米国特許第6096448号明細書は、過渡負荷をスタックに接続することにより燃料電池スタックを消耗する燃料を開示する。米国特許第6096449号と米国特許第6451470号B1明細書はどちらも燃料セルの周期的な短絡を開示する。
【0004】
米国特許第6096449号は、システム内の燃料セル毎に対応する多数の分流制御回路に接続された分流コントローラを開示する。分流コントローラは、1対の電圧源と、陽極と陰極を一体的に結合するバイパス回路と、燃料セル毎に関連付けられた電流センサとをさらに含む。分流コントローラは、燃料ガスの燃料電池への供給を終了する燃料ガス閉止弁をさらに制御する。
【0005】
これらのアプローチには一つ以上の欠点がある。第一に、これらのアプローチは、燃料電池スタックが短絡されるか、又は、その電流若しくは電圧がパルス化されるときに、外部負荷に電力変動を生じさせる。これは、外部負荷がこのような電力変動の大きさ及び/又は周波数に耐えられないアプリケーションで問題になる。或いは、外部負荷はパルス化中に燃料電池スタックから切り離され、負荷への電力供給を遮断する点が望ましくない。
【0006】
第二に、このようなアプローチを実施する際に必要とされる制御システムは過度に複雑化する傾向がある。米国特許第6096449号明細書における分流コントローラの複雑性は、たとえば、全体的なシステムのコストを上昇させ、動作信頼性を低下させる点が望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料電池スタックの性能を改善するだけでなく、比較的低価格であり、高信頼性であり、電気的に効率的にされた燃料電池電力システムを動作させる方法及び装置が望ましい。本発明は、従来の燃料電池電源システムの欠点を解決し、さらに関連した利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
一態様において、燃料電池のスタックを含む電源システムを動作させる方法は、随時に、燃料電池のスタックを電流パルス化するステップと、燃料電池のスタックを電流パルス化した後の少なくともある期間中に燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップとを含む。燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるステップと、燃料電池のスタックの両端間の短絡回路パスを取り除くステップとを含む。燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、燃料電池のスタックの両端間に負荷を電気的に接続するステップと、燃料電池のスタックの両端間から負荷を電気的に切り離すステップを含む。
【0009】
別の態様によれば、少なくとも1台の負荷に給電するため、燃料電池スタック、及び、燃料電池スタックと並列に電気的に接続された少なくとも1台の蓄電装置を含む電源システムを動作させる方法は、随時に燃料電池スタックを一時的に短絡するステップと、少なくとも燃料電池スタックを短絡している間に蓄電装置から負荷へ電力を供給するステップを含む。
【0010】
さらに別の態様では、燃料電池のスタック、及び、負荷に電力を供給するため電気的に接続可能である蓄電装置を含む電源システムを動作させる方法は、随時に、燃料電池のスタックの両端間に電気的短絡回路を設けるために少なくとも1台のスイッチを動作させるステップと、燃料電池のスタックの両端間の電気的短絡回路を取り除くために少なくとも1台のスイッチを動作させるステップと、燃料電池スタックを短絡している間に蓄電装置から負荷へ電力を供給するステップと、燃料電池のスタックの両端間の短絡回路パスを取り除いた後の少なくともある期間中に燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップを含む。
【0011】
さらに別の態様では、負荷及びバランスオブシステム(balance of system)に給電するため、燃料電池スタック、及び、燃料電池スタックに電気的に接続されたエネルギー蓄積装置を含む電源システムを動作させる方法は、燃料電池スタックによって負荷及びバランスオブシステムに供給されているスタック電流を測定するステップと、燃料電池スタックの短絡中に負荷及びバランスオブシステムによって要求されるエネルギーの量を決定するステップと、短絡後に取り去られるエネルギーの量を決定するステップと、短絡中に負荷及びバランスオブシステムによって要求されるエネルギーの決定されたエネルギーの量に基づいて、かつ、短絡後に取り去られるエネルギーの決定されたエネルギーの量に基づいてエネルギー蓄積装置から予め除去されるべきエネルギーの量を決定するステップと、現在の負荷でエネルギー蓄積装置から決定されたエネルギーの量を予め除去するために必要な時間を決定するステップと、負荷及びバランスオブシステムを燃料電池スタックから切断するステップと、負荷及びバランスオブシステムを切断した後に蓄電装置からエネルギーを予め除去するために必要な決定された時間に、燃料電池スタックを短絡するステップと、負荷及びバランスオブシステムを燃料電池スタックに再接続するステップと、短絡持続時間に亘る燃料電池スタックの短絡後に燃料電池スタックの短絡を終了するステップとを含む。
【0012】
さらなる態様では、少なくとも1台の負荷に電力を供給する電源システムは、燃料電池スタックと、燃料電池スタックを随時に短絡する手段と、燃料電池スタックの短絡の直後の少なくともある期間中に最大燃料電池スタック電圧レベルより下に燃料電池スタック電圧をクランプする手段とを含む。
【0013】
またさらなる態様では、電源システムは、電源バスと、電源バスの両端間に電気的に接続された燃料電池スタックと、燃料電池スタックの両端間に電気的に接続され、燃料電池スタックを電流パルス化するため動作するパルススイッチと、燃料電池スタックを随時に電流パルス化するようにパルススイッチを選択的に制御するため接続されたコントローラと、燃料電池スタックの電流パルス化の後に続く少なくともある期間中にスタック電圧をクランプするスタック電圧クランプ手段とを含む。
【0014】
またさらなる態様では、少なくとも1台の負荷に電力を供給する電源システムは、燃料電池スタックと、電気的に接続され、燃料電池スタックを電気的に短絡するため動作する短絡スイッチと、燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置と、蓄電装置を電気的短絡から保護するため燃料電池スタックと蓄電装置との間に電気的に接続されたダイオードと、燃料電池スタックを随時に短絡するため短絡スイッチを選択的に制御するように接続されたコントローラとを含む。
【0015】
図面中、同じ参照番号は類似した要素又は動作を特定する。図面中の要素のサイズ及び相対位置は必ずしも正しい縮尺で描かれていない。たとえば、種々の要素の形状及び角度は正しい縮尺で描かれず、これらの要素の一部は、図面の読みやすさを改善するため任意に拡大され配置される。さらに、描かれているような要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する情報を伝えることを目的とするものではなく、図面中での認識を容易にするため選択されただけである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
以下の説明では、ある特定の具体的な詳細が本発明の種々の実施形態を十分に理解するために記載される。しかし、当業者は本発明がこれらの詳細を用いなくても実施できることがわかるであろう。他の例では、燃料電池、燃料電池スタック、バッテリー及び燃料電池システムに関連したよく知られた構造は、本発明の実施形態の説明を不必要にわかりにくくすることを避けるため詳細には図示或いは記載されていない。
【0017】
特に断らない限り、明細書及び特許請求の範囲を通じて、用語「〜を含む(comprise)」と、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」のようなその変形は、「〜を含むが、それに限定されない」という開かれた包括的な意味で解釈されるべきである。
【0018】
ここに記載された見出しは単に便宜的なものであり、特許請求の範囲に記載された発明の意図又は意味を解釈しない。
【0019】
電流パルス化は、触媒活性を回復させるため十分に燃料電池の電圧を降下させるべく燃料電池又は燃料電池スタックの両端間で短絡すること又は負荷を接続することを意味する。
【0020】
上記のように、性能損失は、おそらく長期に亘る陰極触媒活性の損失が原因となって、Ptを含む触媒を利用する燃料電池で観察される。燃料電池スタックの電流パルス化の直後に、燃料電池スタックの電圧は十分に上昇する。たとえば、典型的なPEM燃料電池では、電池電圧は、短絡が開放された直後に最大定格電流で約0.76Vまで急上昇する。電池電圧は次に長い時間をかけてある平衡値まで減少する。理論によって拘束されていないが、この効果の原因はパルス化中の陰極触媒からの酸素種(或いは、その他の吸着種)の揮散であり、触媒活性を回復させ、その後の長時間に亘る触媒の再酸化は触媒の活性を再び低下させると考えられる。
【0021】
図1は、上記の効果を実証する長期に亘るNEXA(登録商標)燃料電池スタックの正味スタック電圧2のグラフ1を表す。動作条件は次の通りであった。反応物が5psig(35kPa)の圧力で供給された水素及び多湿空気であり、反応物入口温度が65℃であり、出力電流が15Aであり、500msの短絡が毎分実施された。図1の各垂直線は燃料電池スタックの電気的短絡に対応し、電圧2は次の短絡まで長い時間をかけてゆっくり減衰する。
【0022】
出願人は、少なくとも一部のアプリケーションでは、スタックの短絡が燃料電池電圧を許容できないレベルまで上昇させることを判断した。図2は、図1に表されたパルス毎に電圧減衰曲線4の3次元グラフ3を表す。不安定な電圧の領域が燃料電池スタックの短絡毎におよそ7乃至8秒間続くことに注意すべきである。
【0023】
この場合も、理論によって拘束されていないが、出願人は、短絡直後の燃料電池の電圧は十分に高く、陰極触媒炭素担体(或いは、燃料電池の陰極側の他の炭素材料)の腐食が起こると考える。
【0024】
図3は、短時間だけ短絡された典型的な燃料電池の一般化された電流曲線5及び電圧曲線6のそれぞれのグラフ的な説明図を表す。短絡が開放された直後に、燃料電池の電圧はピークAに達し、平衡レベルに達する前に低下し始める。領域Aでは、陰極触媒担体及び/又はその他の陰極構造体を破損する炭素腐食が起こる可能性がある。非常に高い電流密度でこのような高電圧に繰り返し曝されると、重大な炭素腐食が生じ、図2において観察された電圧不安定性に反映される。
【0025】
図4は、電力を外部負荷12に供給する図示した一実施形態による電源システム10を表す。ここで検討する内容に直接関係しない電源システム10の細部、たとえば、反応物供給システム及び冷却システムなどについては記載されない。
【0026】
電源システム10は、電源バス16の線路間に電気的に接続された燃料電池スタック14と、燃料電池スタックの両端間に電気的に接続されたパルススイッチS1と、パルススイッチS1を制御するため接続されたコントローラ18とを含む。コントローラ18は、簡単、低価格、かつ、高信頼性の電流パルス回路を提供する発振器20の形でもよい。
【0027】
図4に示された実施形態において、パルススイッチS1は、たとえば、発振器20によって発生されたパルス状信号21に応じて、燃料電池スタック14を選択的に短絡するように動作する。他の実施形態では、パルススイッチS1は燃料電池スタック14の両端間にパルス負荷22(図5)を選択的に設置するように動作する。このような実施形態では、燃料電池スタック14の両端間に設置されたパルス負荷22は、燃料電池の陽極から十分高速に電荷が除去されることを確保するために小さくすべきである。燃料電池スタック14の短絡は、燃料電池スタック14のできる限り素早い回復を実現するためには、燃料電池スタック14の両端間にパルス負荷22を設置するよりも好ましい。
【0028】
電源システム10は、たとえば、プロセッサ、センサ、インジケータ、バルブ、ヒーター、コンプレッサ、ファン、及び/又は、ソレノイドのようなアクチュエータなどの種々の能動部品を表す1個以上の内部負荷24を含む。燃料電池システムの観点では、これらの内部負荷24は典型的に「バランスオブプラント(balance of plant)」と呼ばれる。内部負荷24は燃料電池スタック14と並列に電源バス16へ電気的に接続され、そこから電力を受け取る。
【0029】
図4に示されるように、一部の実施形態では、電源システム10は、ハイブリッド電源システム10の一部を形成するために燃料電池スタック14と並列に電気的に接続された蓄電装置26をさらに含む。このような実施形態では、蓄電装置26は、スタック電流がパルス化されている時間の間に、負荷12、24に電流を供給する。このような実施形態では、電源システム10は、燃料電池スタック14の短絡から生じるトランジェントのようなトランジェントから蓄電装置26を保護するためダイオードD1を利用する。
【0030】
蓄電装置26は、たとえば、1台以上の制御弁式鉛酸(VRLA)バッテリー28(図6)、及び/又は、1台以上のスーパーキャパシタ30(図7)などの、エネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを開放するために適した多種多様な形をとる。蓄電装置26がVRLAバッテリー28である実施形態では、たとえば、負荷12、24への電圧変動はスタック電流のパルス化中に発生する。蓄電装置26がスーパーキャパシタバンド30である実施形態では、このような電圧変動は容易に除去される。
【0031】
電源システム10が蓄電装置26を含む場合、燃料電池スタック14は電流パルス後に蓄電装置26へ充電電流を供給し始める。このようにして、蓄電装置26は、燃料電池スタック14の電圧を最大スタック電圧限界VZより下にクランプするため、各電流パルスの後に燃料電池スタック14によって発生された過剰な電流をシンクする。たとえば、電源システム10が蓄電装置26の「浮動」電圧よりも低い平衡スタック電圧を有するならば、蓄電装置26は、スタック電圧が蓄電装置26の「浮動」電圧を超える限り、燃料電池スタック14からの電流の一部をシンクし続ける。
【0032】
ダイオードD1は、スタック電圧がプリセット電圧限界以上であるときに限り、燃料電池スタック14が負荷12、14へ電流を供給するように選択される。たとえば、蓄電装置26がVRLAバッテリー28である場合、プリセット電圧限界は、約27.4Vであるバッテリーの浮動電圧である。スタック電圧がダイオード電圧限界より降下するとき、エネルギー蓄積装置26は負荷12、24に電力を供給し、発振器20はパルススイッチS1を閉じることにより燃料電池スタック14の短絡を実施する。パルススイッチS1の開放は短絡を開放し、燃料電池スタック14は負荷12、24への給電を再開し、蓄電装置26を再充電するため電流を供給する。高負荷時に、この配置はスタック電圧を最大スタック電圧限界Vzより下に維持する。
【0033】
電圧をクランプするための蓄電装置26の使用は、図2及び3において認められる望ましくない電圧スパイクを解決する一つのアプローチである。図8は、短時間に亘って短絡された典型的なハイブリッド電源システム(たとえば、燃料電池スタック14及びバッテリー28を含む)における燃料電池スタック14の一般化された電流曲線32及び電圧曲線34のそれぞれのグラフ的な説明図を表す。図8の領域Bにおける電流の量は、燃料電池スタック14によって供給された負荷電流及びバッテリー充電電流を含む。燃料電池スタック14によって供給される付加的な充電電流はスタック電圧を決定された最大スタック電圧限界VZにクランプするために十分である。
【0034】
電流パルス化のタイミング又は周波数は設定されるか、又は、可変である。たとえば、電流パルス化は、明確な定期的間隔Twに設定され、たとえば、動作中に毎分1回ずつ行われる(すなわち、60Hz)。或いは、コントローラ18は、スタック電圧が蓄電装置26の「浮動」電圧のようなプリセット電圧限界より降下するときはいつも、燃料電池スタック14を短絡することができる。プリセット電圧限界は、燃料電池スタック14内で、希望の「浮動」電圧を生成するため必要な燃料電池の個数と等しい個数の燃料電池を利用することによって選択される。たとえば、少なくとも0.67Vである最小動作燃料電池電圧が望ましく、かつ、蓄電装置26の浮動電圧が27.4Vであるならば、燃料電池スタック14は少なくとも41個のセルを必要とするであろう。このようにして、電源システム10は、バッテリー28又はスーパーキャパシタ30への電荷転送の速度を制御するため電流パルス化の周波数を利用する。このようなアプローチを採用するとき、所定の負荷における電流パルス化周波数は、スタックへ供給される空気中の汚染物質の量を決定するため使用され、パルス化の周波数が高いほど、汚染物質の濃度が高いので、さらなる効果が得られる。
【0035】
電流パルスの持続時間Tpは同様に設定されるか、又は、可変である。たとえば、各電流パルスの持続時間があらかじめ定義される。たとえば、約500ミリ秒の各電流パルスの持続時間が60Hzの電流パルス周波数に対して特に適切であることがわかった。或いは、この持続時間は、電源システム10、負荷12、及び/又は、燃料電池スタック14の多数の動作パラメータ及び/又は条件に基づいて調整される。
【0036】
上記の方法及び装置は燃料電池から非常に高い性能効率を生じる。たとえば、NEXA(登録商標)燃料電池スタック14及びVRLAバッテリー28を利用する電源システム10において、スタック電圧が27.4Vのバッテリー浮動電圧より降下するときに燃料電池スタック14を電流パルス化することにより、燃料電池は約0.69Vの平均電圧で動作する。これは57%の効率に対応し、制御システムが発生する寄生的な冷却損失は非常に低く、負荷電流における電力変換損失は発生しない。さらに、蓄電装置26は、燃料電池電流がパルス化されるときに電流を供給するので、外部負荷12又は内部負荷24への電流の中断がない。
【0037】
他の実施形態では、燃料電池スタック14から引き出される電流は電流パルスの直後に短時間に亘って増加する。図9及び10は、それらの実施形態によって短時間に亘って短絡された典型的な燃料電池の一般化された電流曲線36及び38のそれぞれ、並びに、電圧曲線40及び42のそれぞれのグラフ的な説明図である。図9では、電流パルス後に燃料電池スタック14から引き出された電流36は領域Bに示されるように増加する。対応する電圧曲線40は平坦化され、図3の領域Aによって示された電圧スパイクに関連した炭素腐食の可能性を回避する。図9では、電流増加は、燃料電池スタック電圧を希望の最大スタック電圧限界Vzにクランプするために十分である。
【0038】
実際には、この程度の精度でスタック電圧をクランプするために電流増加を制御することは難しい。他の実施形態では、パルス化後の電流増加の大きさは、スタック電圧を希望の最大スタック電圧限界Vzにクランプするため必要とされるより大きくなることが少なくとも時折ある。この状況は、領域Bにおいて電池から引き出された電流38が図9よりも大きく、その結果として、領域Cのスタック電圧42がそれに応じて低下する図10に示されている。パルス化後のより大きな電流増加によって燃料電池スタック14に発生した付加的な熱は、陰極での炭素腐食を防止することによってオフセットを上回る。
【0039】
スタック電流のパルス化後に蓄電装置26を再充電するために必要な電流は、蓄電装置26によって担われる負荷12、24のサイズと電流パルスの持続時間に依存する。一部のアプリケーションでは、部分負荷又は低負荷の条件が見られる。低負荷時には、再充電電流は電流パルス化後に燃料電池電圧をクランプするために十分には高くない可能性がある。一部の実施形態では、したがって、電流パルス化は低負荷条件下では中断される。このアプローチは、電源システムが頻繁に、又は、かなりの期間に亘って低負荷条件にならないことが予想されるアプリケーションに特に適している。
【0040】
図11乃至13は、電流パルス化に応じてスタック電圧をクランプするために付加的な回路を含み、特に部分負荷又は低負荷条件下に適した電源システム10の他の実施形態を示す。これらの他の実施形態と、本明細書に記載されたその他の実施形態及び他の代替案は、ここまでに記載された実施形態と実質的に類似しているので、共通の動作及び構造は同じ参照番号によって特定される。動作及び構造の重大な相違点だけが以下で説明される。さらに、上記のように、電源システムの種々の実施形態は単独の電力源としての燃料電池スタック14に依存しているので、図11乃至13における蓄電装置26は任意的である。
【0041】
図11は、燃料電池スタック14と並列に電源バス16の両端間に電気的に接続されたツェナーダイオードD2を表す。ツェナーダイオードD2の破壊電圧は、添付の電圧曲線44によって示され、かつ、添付の電圧曲線46によって示されるような高負荷条件下での動作と比較されているように、低負荷条件下で動作するときに、ツェナーダイオードD2が希望の最大スタック電圧限界Vzより下にスタック電圧をクランプするように選択される。
【0042】
図12は、燃料電池スタック14と並列に電源バス16の両端間に電気的に接続されたシャントレギュレータ48を表す。シャントレギュレータ48は、ツェナーダイオードD2、ゲート抵抗R及びトランジスタ50によって形成される。ツェナーダイオードD2及びゲート抵抗Rは、トランジスタ50のゲートに電気的に接続され、添付の電圧曲線44によって示され、かつ、添付の電圧曲線46によって示されるような高負荷条件下での動作と比較されているように、低負荷条件下で動作するときに、希望の最大スタック電圧限界Vzより下にスタック電圧をクランプするためトランジスタ50を選択的に作動させる。
【0043】
図13は発振器20及びシャントレギュレータロジック52を含むコントローラ18を表す。シャントレギュレータロジック52は、ソフトウェア、ファームウェア及び/又はハードウェアにより実現され、コントローラ18によって実行される。コントローラ18は電圧センサ54によって感知された電圧を表す信号を受信する。コントローラ18は、ダイオードD3、D4及び抵抗Rを介して、電界効果トランジスタQ1のようなスイッチを作動するため制御信号21、53を供給し、添付の電圧曲線44によって示され、かつ、添付の電圧曲線46によって示されるような高負荷条件下での動作と比較されているように、低負荷条件下で動作するときに、希望の最大スタック電圧限界Vzより下にスタック電圧をクランプする。
【0044】
さらなる実施形態では、蓄電装置26は、スタック電流がパルス化される前のある期間に亘って負荷12、24を担い、燃料電池スタック14は再充電電流を後で供給する。蓄電装置26が負荷12、24を担う期間は低負荷条件を補償するため選択されるので、再充電電流はスタック電圧を所定の最大スタック電圧限界Vzにクランプするために十分に増加する。
【0045】
図14は、負荷12、24を燃料電池スタック14に電気的に接続し、切り離すよう動作する燃料電池スタック絶縁スイッチS2を含む電源システム10の別の実施形態を表す。コントローラ18は、スタック電流センサ58からのスタック電流を表す信号56を受信し、直前に説明した燃料電池スタック絶縁スイッチS2を作動させ、添付の電圧曲線60によって示されているように低負荷条件下で動作するとき、及び、添付の電圧曲線62によって示されているように高負荷条件下で動作するときに、スタック電圧を希望の最大スタック電圧限界Vzより下にクランプする。
【0046】
図15は図示した一実施形態による図14の電源システム10を電流パルス化する制御アルゴリズム100のフローチャートである。
【0047】
ステップ102において、電流センサ58はスタック電流を測定する。ステップ104において、コントローラ18は、短絡条件の持続時間中に負荷12、24を担うために必要なエネルギーの量を決定する。ステップ106において、コントローラ18は、最大スタック電圧限界Vzを超過することを回避するため短絡条件の終了後に取り去られるべきエネルギーの量を決定する。ステップ104及び106はどのような順序で行われてもよく、同時に行うことさえ可能である。
【0048】
ステップ108において、コントローラ18は、エネルギー蓄積装置26から予め(すなわち、電流パルスの前に)除去されるべきエネルギーを決定し、電流パルス化後に最大スタック電圧限界Vzを超過することを回避するため、所要量のスタック電流をシンクする状態に蓄電装置26を置く。ステップ110において、コントローラ18は現在負荷が与えられた場合にエネルギーを除去するために必要な期間を決定する。
【0049】
ステップ112において、コントローラ18は、燃料電池スタック絶縁スイッチS2を開き、負荷12、24を燃料電池スタック14から絶縁し、それによって、負荷12、24を燃料電池スタック14の代わりに蓄電装置26に給電することにより適当なレベルまで放電させる。ステップ114において、コントローラ18はステップ110において決定された期間を待機する。決定された期間の終わりに、コントローラ18はパルススイッチS1を閉じ、燃料電池スタック14の両端間に短絡経路を設けることにより、又は、負荷22(図22)を設置することにより、燃料電池スタック14を電流パルス化する。
【0050】
ステップ118において、コントローラ18は、パルススイッチS1が閉じた後、パルス持続時間、たとえば、500ミリ秒を待機する。ステップ120において、コントローラ18は燃料電池スタック絶縁スイッチS2を閉じ、負荷12、24を燃料電池スタック14に接続する。ステップ118及び120はどのような順序で行われてもよく、同時に行うことさえ可能である。パルス持続時間Tpの終わりに、コントローラ18はパルススイッチS1を開き、燃料電池スタック14の両端間の短絡経路又は負荷22を取り除くことにより電流パルスを終わらせる。期間Tpを決定する種々のアプローチは既に説明した。
【0051】
ステップ124において、コントローラ18は、ステップ102へ制御を戻す前に、期間Tw、たとえば、別の電流パルスが必要とされる点までスタック電圧が降下するために十分な期間を待機する。期間Twを決定する種々のアプローチは既に説明した。
【0052】
制御アルゴリズム100を実行するとき、コントローラ18は、燃料電池スタック14がその分極曲線上で動作しているかどうかを決定するため、分極ルックアップテーブルを使用して、現在スタック電圧と電流を比較する。燃料電池スタック14がその分極曲線上にあるかどうかを決定する他の手段を使用してもよい。
【0053】
図16は、上記の図14に表された電源システムと類似した電源システム10の別の実施形態を表す。図16の実施形態は、特に高電流負荷に適したパルススイッチS1を形成するため並列に電気的に接続された多数のMOSFETを含む。図16の実施形態は、特に高電流負荷に適した燃料スタック絶縁スイッチS2を形成するため並列に電気的に接続された、多数のMOSFET及び関連したダイオードをさらに表す。
【実施例】
【0054】
NEXA(登録商標)燃料電池スタック14及び24VのVRLAバッテリーバンク28を含むハイブリッド電力システム10は、スタック電流をパルス化して、及び、パルス化することなく動作させられた。電源システム10は、どちらの場合でも、5psig(35kPa)の圧力で水素及び多湿空気が供給され、65℃の反応物入口温度で動作させられた。
【0055】
1回目の運転で、約2.6の化学量の空気が燃料電池スタック14に供給された。電流パルス化無しで動作すると、電源システムは34Aで26.9Vの電圧に維持され、これは約915Wの正味出力に対応する。NEXA(登録商標)燃料電池スタック14は1000Wの正味出力が定格とされるので、このユニットは性能が低かった。
【0056】
電源システム10は次に図13に示されるように構成された。短絡回路(すなわち、パルススイッチS1)は並列した3台のMOSFETにより構成される。500ミリ秒の短絡が手動押しボタン(図示せず)によってトリガーされる。2台のIRFP2907型のMOSFETにより構成されたリニアレギュレータFETは、スタックから引き出される電流の量を制限し、バッテリーを27.3Vの浮動電圧に保持するため出力電圧を維持する。ショットキーダイオードはバッテリーの短絡を妨げる。500ミリ秒の短絡パルスが動作中に1分当たりおよそ1回ずつ印加された。空気の化学量は、対応する約1Vのスタック電圧の増加を示した予備的な結果に基づいて、約2.7まで増加させられた。実行時間は40分間であった。電源システム10は、約1540Wの正味出力に対応する56.5Aで27.3Vの電圧を維持した。これは正味電力出力の68%の増加、すなわち、625Wの追加を表す。
【0057】
電力システム及び関連した方法の具体的な実施形態と実施例は説明の目的のために本明細書に記載されているが、当業者によって認められるように種々の等価的な変更が本発明の精神及び意図から逸脱することなく行われる。本明細書に記載された本発明の教示内容は、必ずしも概略的に説明した典型的なハイブリッド電力システムに限らず、その他の電力システムに適用可能である。
【0058】
たとえば、本方法及び装置は、単独の電源として燃料電池スタック14を有する電源システム10に利用される。このような実施形態はより低コストであるが、蓄電装置24の省略は典型的に電流パルス化中に(一つ以上の)外部負荷12への電流供給の中断を生ずることに注意すべきである。同様に、たとえば、電力システムは蓄電装置を利用してもよい。
【0059】
上記の種々の実施形態はさらなる実施形態を提供するために組み合わせ可能である。本明細書中で参照された、及び/又は、出願データシートに列挙された上記の米国特許、米国特許公開公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び、非特許文献のすべては、参照によってそのすべての内容がここに組み込まれる。本発明の態様は、本発明のさらなる実施形態を提供するために、必要に応じて、種々の特許、出願、及び、刊行物のシステム、回路及び概念を利用するように変更可能である。
【0060】
上記の変形及びその他の変形は上記の詳細な説明を考慮して本発明に対して行われる。一般に、特許請求の範囲において、用語は、発明を明細書及び特許請求の範囲に開示された具体的な実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に従って動作するすべての電力システム及び方法を包含するように解釈されるべきである。その結果、本発明は開示内容によって制限されるのではなく、本発明の意図は特許請求の範囲によって完全に決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、NEXA(登録商標)燃料電池スタックの正味スタック電圧対時間のグラフである。
【図2】図2は、図1のグラフに表された各パルスの電圧減衰曲線の3次元グラフである。
【図3】図3は、燃料電池の電流パルス化を説明するスタック電流及びスタック電圧対時間のグラフである。
【図4】図4は、燃料電池スタック、エネルギー蓄積装置及びパルススイッチを含み、パルススイッチが燃料電池を電流パルス化するために燃料電池スタックの両端間に電気的短絡回路を設置するように選択的に動作可能である、図示した一実施形態による外部負荷及び/又は内部負荷に給電する電源システムの概略図である。
【図5】図5は、パルススイッチが燃料電池を電流パルス化するために燃料電池スタックの両端間に負荷を置くように選択的に動作可能である、別の図示した実施形態による外部負荷及び/又は内部負荷に給電する電源システムの概略図である。
【図6】図6は、電源システムにおける蓄電装置としての使用に適したVRLAバッテリーのようなバッテリーの電気的概略図である。
【図7】図7は、電源システムにおける蓄電装置としての使用に適したスーパーキャパシタの電気的概略図である。
【図8】図8は、蓄電装置が電流パルス化後に燃料電池スタックの電圧をクランプするため電流をシンクする場合を説明するスタック電流及びスタック電圧対時間のグラフである。
【図9】図9は、クランプ回路が電圧を希望の最大スタック電圧にクランプするために電流パルス化後に燃料電池スタックから十分な電流をクランプし引き出す場合のスタック電流及びスタック電圧対時間のグラフである。
【図10】図10は、クランプ回路が電圧を希望の最大スタック電圧より下にクランプするために電流パルス化後に燃料電池スタックから十分な電流を超える電流をクランプし引き出す場合のスタック電流及びスタック電圧対時間のグラフである。
【図11】図11は、燃料電池スタックの電圧をクランプするためにツェナーダイオードを利用する別の図示した実施形態による電源システムの概略図である。
【図12】図12は、燃料電池スタックの電圧をクランプするためにシャントレギュレータを利用する別の図示した実施形態による電源システムの概略図である。
【図13】図13は、燃料電池スタックの電圧をクランプするために発振器及びシャントレギュレータを含む制御を利用する別の図示した実施形態による電源システムの概略図である。
【図14】図14は、電流パルス化後に電圧クランプに備えてエネルギー蓄積装置からエネルギーを除去するために、ツェナーダイオードと燃料電池スタックから負荷を選択的に絶縁するように動作する絶縁スイッチとを利用する別の図示した実施形態による電源システムの概略図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態による請求項14記載の電源システムを動作させる方法のフローチャートである。
【図16】図16は、パルススイッチ及び絶縁スイッチがMOSFETのような複数のトランジスタからそれぞれ形成された別の図示した実施形態による電源システムの概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池のスタックを含む電源システムを動作させる方法であって、随時に、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップと、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化した後の少なくともある期間中に、燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、
前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間の前記短絡回路パスを取り除くステップと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、
前記燃料電池のスタックの両端間に負荷を電気的に接続するステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間から負荷を電気的に切り離すステップと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記燃料電池のスタックを定期的に短絡するため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、毎分当たり約1回ずつ前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、毎分当たり約1回ずつ前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設け、前記燃料電池のスタックの両端間に前記短絡回路パスを設けた後に約500ミリ秒で前記短絡回路パスを取り除くため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
随時に、前記燃料電池のスタックの両端間の電圧を決定するステップをさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、前記燃料電池のスタックの両端間の前記決定された電圧がスレッショルド電圧を上回るときに前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
随時に、前記燃料電池のスタックに電気的に接続された蓄電装置の実際の充電状態を決定するステップと、
前記決定された充電状態に基づいて前記蓄電装置の希望の充電状態を維持するため前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチの動作の周波数を決定するステップと
をさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの両端間で短絡回路パスを設け、取り除くために、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの前記電力パスの出力の両端間に電気的に接続された前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
負荷条件を決定するステップと、
前記決定された負荷条件に基づいて前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチの動作の周波数を決定するステップと
をさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの両端間で短絡回路パスを設け、取り除くために、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの前記電力パスの出力の両端間に電気的に接続された前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップが、前記燃料電池のスタックを電流パルス化する前に、蓄電装置から負荷に電力を供給するステップと、前記燃料電池のスタックを電流パルス化した後にある期間に亘って前記燃料電池のスタックから前記蓄電装置を充電するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記燃料電池のスタックを最小燃料電池電圧レベルより上にクランプするステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1台の負荷に給電するため、燃料電池スタック、及び、前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された少なくとも1台の蓄電装置を含む電源システムを動作させる方法であって、
随時に前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップと、
少なくとも前記燃料電池スタックを短絡している間に前記蓄電装置から前記負荷へ電力を供給するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記燃料電池の電圧を最大燃料電池スタック電圧レベルより下にクランプするステップをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記燃料電池スタックを短絡する前のある期間に亘って前記蓄電装置から前記負荷へ電流を供給するステップと、
燃料電池スタック電圧を最大燃料電池スタック電圧レベルより下にクランプするため、前記燃料電池スタックの短絡後に前記燃料電池スタックから前記蓄電装置へ電流を供給するステップと
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記燃料電池スタックを短絡する前のある期間に亘って前記蓄電装置から前記負荷へ供給される電流の量を削減するステップと、
前記燃料電池スタックを短絡する前のある期間に亘って前記蓄電装置から前記負荷へある量の電流を供給するステップと、
燃料電池スタック電圧を最大燃料電池スタック電圧レベルより下にクランプするため、前記燃料電池スタックの短絡後に前記燃料電池スタックから前記蓄電装置へ電流を供給するステップと
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
随時に負荷条件を決定するステップと、
前記決定された負荷条件がスレッショルド負荷条件を上回るまで前記燃料電池スタックの一時的な短絡を中断するステップと
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項17】
随時に、スタック電圧がプリセット電圧限界より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップは、前記スタック電圧が前記プリセット電圧限界より降下したという決定に応じて前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップを含む、
請求項12記載の方法。
【請求項18】
随時に、スタック電圧が前記蓄電装置の浮動電圧より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップは、前記スタック電圧が前記蓄電装置の前記浮動電圧より降下したという決定に応じて前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップを含む、
請求項12記載の方法。
【請求項19】
随時に、スタック電圧がプリセット電圧限界より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップが、前記スタック電圧が前記プリセット電圧限界より降下したという決定に応じて前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップと、前記燃料電池スタックの短絡の周波数に基づいて汚染物質の測定量を決定するステップとを含む、
請求項12記載の方法。
【請求項20】
燃料電池のスタック、及び、負荷に電力を供給するため電気的に接続可能である蓄電装置を含む電源システムを動作させる方法であって、随時に、
前記燃料電池のスタックの両端間に電気的短絡回路を設けるために少なくとも1台のスイッチを動作させるステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間の前記電気的短絡回路を取り除くために前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップと、
前記燃料電池のスタックを短絡している間に前記蓄電装置から前記負荷へ電力を供給するステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間の短絡回路パスを取り除いた後の少なくともある期間中に燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップと
を含む、方法。
【請求項21】
随時は定期的な時間基準である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記燃料電池のスタックの両端間の前記電気的短絡回路を取り除くために前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップが、前記燃料電池のスタックの両端間に電気的短絡回路を設けるために少なくとも1台のスイッチを動作させるステップの後に約500ミリ秒で行われる、請求項20記載の方法。
【請求項23】
随時に、前記燃料電池スタックの両端間の電圧を決定するステップをさらに含み、
随時に、前記燃料電池のスタックの両端間に電気的短絡回路を設けるために少なくとも1台のスイッチを動作させるステップが、前記燃料電池スタックの両端間の前記決定された電圧がスレッショルド電圧を上回るときに前記電気的短絡回路を設けるために前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項20記載の方法。
【請求項24】
燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップが、前記燃料電池のスタックの両端間に前記短絡回路パスを設ける前に前記蓄電装置から前記負荷へ電力を供給するステップと、前記燃料電池のスタックの両端間の前記短絡回路パスを取り除いた後にある期間に亘って前記燃料電池のスタックから前記蓄電装置を充電するステップとを含む、請求項20記載の方法。
【請求項25】
負荷及びバランスオブシステム(balance of system)に給電するため、燃料電池スタック、及び、前記燃料電池スタックに電気的に接続されたエネルギー蓄積装置を含む電源システムを動作させる方法であって、
前記燃料電池スタックによって前記負荷及び前記バランスオブシステムに供給されているスタック電流を測定するステップと、
前記燃料電池スタックの短絡中に前記負荷及び前記バランスオブシステムによって要求されるエネルギーの量を決定するステップと、
短絡後に取り去られるエネルギーの量を決定するステップと、
短絡中に前記負荷及び前記バランスオブシステムによって要求されるエネルギーの前記決定されたエネルギーの量に基づいて、かつ、短絡後に取り去られるエネルギーの前記決定されたエネルギーの量に基づいて前記エネルギー蓄積装置から予め除去されるべきエネルギーの量を決定するステップと、
現在の負荷で前記蓄積装置から前記決定されたエネルギーの量を予め除去するために必要な時間を決定するステップと、
前記負荷及び前記バランスオブシステムを前記燃料電池スタックから切断するステップと、
前記負荷及び前記バランスオブシステムを切断した後に前記蓄電装置からエネルギーを予め除去するために必要な前記決定された時間に、前記燃料電池スタックを短絡するステップと、
前記負荷及び前記バランスオブシステムを前記燃料電池スタックに再接続するステップと、
短絡持続時間に亘る前記燃料電池スタックの短絡後に前記燃料電池スタックの短絡を終了するステップと
を含む、方法。
【請求項26】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックを随時に短絡する手段と、
前記燃料電池スタックの短絡の直後の少なくともある期間中に最大燃料電池スタック電圧レベルより下に燃料電池スタック電圧をクランプする手段と
を含む、少なくとも1台の負荷に電力を供給する、電源システム。
【請求項27】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたツェナーダイオードを含む、請求項26記載の電源システム。
【請求項28】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたシャントレギュレータを含む、請求項26記載の電源システム。
【請求項29】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置を含む、請求項26記載の電源システム。
【請求項30】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたトランジスタを動作させる制御ロジックを実行するコントローラを含む、請求項26記載の電源システム。
【請求項31】
電源バスと、
前記電源バスの両端間に電気的に接続された燃料電池スタックと、
燃料電池スタックの両端間に電気的に接続され、前記燃料電池スタックを電流パルス化するため動作するパルススイッチと、
前記燃料電池スタックを随時に電流パルス化するように前記パルススイッチを選択的に制御するため接続されたコントローラと、
前記燃料電池スタックの電流パルス化の後に続く少なくともある期間中にスタック電圧をクランプするスタック電圧クランプ手段と
を含む、電源システム。
【請求項32】
前記コントローラが前記燃料電池スタックを定期的に短絡するため前記パルススイッチを動作させる発振器を含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項33】
前記コントローラが前記燃料電池スタックを電流パルス化するように前記燃料電池スタックの両端間に負荷を定期的に電気的に接続するため前記パルススイッチを動作させる発振器を含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項34】
前記スタック電圧クランプ手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置を含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項35】
前記スタック電圧クランプ手段が並列に電気的に接続された蓄電装置を含み、
前記蓄電装置が少なくとも1台のバッテリー及びスーパーキャパシタを含む、
請求項31記載の電源システム。
【請求項36】
前記スタック電圧クランプ手段が燃料電池スタック電圧をクランプするため前記燃料電池スタックの両端間に電気的に接続されたツェナーダイオードを含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項37】
前記スタック電圧クランプ手段が燃料電池スタック電圧をクランプするため前記燃料電池スタックの両端間に電気的に接続されたシャントレギュレータを含み、
前記シャントレギュレータが、ツェナーダイオード、抵抗、及び、入力端子と出力端子と制御端子を有するトランジスタを含み、
前記ツェナーダイオードが前記燃料電池スタックの出力と前記トランジスタの前記制御端子との間に電気的に接続され、
前記抵抗が前記ツェナーダイオードと前記トランジスタの前記制御端子との間で直列に電気的に接続される、
請求項31記載の電源システム。
【請求項38】
前記コントローラが前記パルススイッチによる前記燃料電池スタックの電気的な短絡を定期的に引き起こす発振器を含み、
前記スタック電圧クランプ手段が、
前記電源バス上で感知された電圧を表す信号を供給するため接続された電圧センサと、
前記コントローラに組み込まれ、前記パルススイッチにスレッショルドレベルを上回る燃料電池スタック電圧に応じて前記燃料電池スタックを電気的に短絡させるシャントレギュレータロジックと
を含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項39】
前記スタック電圧クランプ手段が、
蓄電装置と、
前記燃料電池スタックと並列に前記電源バスの両端間に電気的に接続されたツェナーダイオードと、
前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に直列に電気的に接続された燃料電池スタック絶縁スイッチであって、前記コントローラがこの燃料電池スタック絶縁スイッチを制御するためさらに接続されている燃料電池スタック絶縁スイッチと、
前記燃料電池スタックからの出力電流を感知し、前記感知された電流を表す結果の値を前記コントローラへ供給するように配置された電流センサと、
前記蓄電装置を短絡から保護するため前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に電気的に接続されたダイオードと
を含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項40】
前記スタック電圧クランプ手段が、
蓄電装置と、
互いに直列に電気的に接続された第1の金属酸化物半導体電解効果トランジスタ及び第1のショットキーダイオードと、
互いに直列に電気的に接続され、前記第1の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ及び前記第1のショットキーダイオードと並列に電気的に接続された少なくとも第2の金属酸化物半導体電解効果トランジスタ及び第2のショットキーダイオードと
を含み、前記第1及び第2の金属酸化物半導体電界効果トランジスタと前記第1及び第2のショットキーダイオードが前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に電気的に接続される、
請求項31記載の電源システム。
【請求項41】
燃料電池スタックと、
電気的に接続され、燃料電池スタックを電気的に短絡するため動作する短絡スイッチと、
前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置と、
前記蓄電装置を電気的短絡から保護するため前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に電気的に接続されたダイオードと、
前記燃料電池スタックを随時に短絡するため前記短絡スイッチを選択的に制御するように接続されたコントローラと
を含む、少なくとも1台の負荷に電力を供給する、電源システム。
【請求項42】
前記コントローラが前記燃料電池スタックを定期的に短絡するため前記短絡スイッチを動作させる発振器を含む、請求項41記載の電源システム。
【請求項43】
前記燃料電池スタックによって給電される電気的負荷がスレッショルド値を上回るときに前記燃料電池スタックを定期的に短絡するため前記短絡スイッチを動作させる発振器を含む、請求項41記載の電源システム。
【請求項44】
前記コントローラが、前記燃料電池スタックの短絡に続く少なくともある期間中に前記燃料電池スタックから前記蓄電装置へ電流を引き出すことにより、前記コントローラに前記燃料電池スタックのスタック電圧をクランプさせる制御ロジックを実行する、請求項41記載の電源システム。
【請求項45】
前記コントローラが、
前記蓄電装置を希望のレベルまで使い果たすために必要な期間を決定し、
前記燃料電池スタックを短絡する前に、前記決定された期間に亘って前記燃料電池スタックから前記負荷を電気的に切り離し、
前記燃料電池スタックの短絡に続く少なくともある期間中に前記燃料電池スタックから前記蓄電装置へ電流を引き出すことにより、
前記コントローラに前記燃料電池スタックのスタック電圧をクランプさせる制御ロジックを実行する、請求項41記載の電源システム。
【請求項46】
前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続され、前記蓄電装置の浮動電圧にほぼ等しい破壊電圧を有するツェナーダイオードをさらに含む、請求項41記載の電源システム。
【請求項47】
ツェナーダイオード、トランジスタ、及び、前記ツェナーダイオードと前記トランジスタのスイッチング端子との間に接続された抵抗を含み、前記トランジスタが前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されている、シャントレギュレータをさらに含む、請求項41記載の電源システム。
【請求項48】
バランスオブシステム、負荷、及び、前記蓄電装置を、前記燃料電池スタックから電気的に切り離すため動作するスタック絶縁スイッチをさらに含む、請求項41記載の電源システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池のスタックを含む電源システムを動作させる方法であって、随時に、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップと、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化した後の少なくともある期間中に、燃料電池スタック電圧を最大燃料電池スタック電圧レベルより下にクランプするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、
前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間の前記短絡回路パスを取り除くステップと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、
前記燃料電池のスタックの両端間に負荷を電気的に接続するステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間から負荷を電気的に切り離すステップと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記燃料電池のスタックを定期的に短絡するため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、毎分当たり約1回ずつ前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、毎分当たり約1回ずつ前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設け、前記燃料電池のスタックの両端間に前記短絡回路パスを設けた後に約500ミリ秒で前記短絡回路パスを取り除くため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
随時に、前記燃料電池のスタックの両端間の電圧を決定するステップをさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、前記燃料電池のスタックの両端間の前記決定された電圧がスレッショルド電圧を上回るときに前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
随時に、前記燃料電池のスタックに電気的に接続された蓄電装置の実際の充電状態を決定するステップと、
前記決定された充電状態に基づいて前記蓄電装置の希望の充電状態を維持するため前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチの動作の周波数を決定するステップと
をさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの両端間で短絡回路パスを設け、取り除くために、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの前記電力パスの出力の両端間に電気的に接続された前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
負荷条件を決定するステップと、
前記決定された負荷条件に基づいて前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチの動作の周波数を決定するステップと
をさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの両端間で短絡回路パスを設け、取り除くために、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの前記電力パスの出力の両端間に電気的に接続された前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップが、前記燃料電池のスタックを電流パルス化する前に、蓄電装置から負荷に電力を供給するステップと、前記燃料電池のスタックを電流パルス化した後にある期間に亘って前記燃料電池のスタックから前記蓄電装置を充電するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記燃料電池のスタックを最小燃料電池電圧レベルより上にクランプするステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化する前のある期間に亘って前記燃料電池のスタックから負荷へ供給される電流の量を削減するステップと、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化する前のある期間に亘って蓄電装置から前記負荷へある量の電流を供給するステップと、
燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするため、前記燃料電池のスタックを電流パルス化した後に燃料電池のスタックから前記蓄電装置へ電流を供給するステップと
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
随時に負荷条件を決定するステップと、
前記決定された負荷条件がスレッショルド負荷条件を上回るまで前記燃料電池のスタックの電流パルス化を中断するステップと
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
随時に、スタック電圧がプリセット電圧限界より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、前記スタック電圧が前記プリセット電圧限界より降下したという決定に応じて前記燃料電池のスタックを一時的に短絡するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項15】
随時に、スタック電圧が前記蓄電装置の浮動電圧より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、前記スタック電圧が前記蓄電装置の前記浮動電圧より降下したという決定に応じて前記燃料電池のスタックを一時的に短絡するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項16】
随時に、スタック電圧がプリセット電圧限界より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記スタック電圧が前記プリセット電圧限界より降下したという決定に応じて前記燃料電池のスタックを一時的に短絡するステップと、前記燃料電池のスタックの短絡の周波数に基づいて汚染物質の測定量を決定するステップとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項17】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックを随時に短絡する手段と、
前記燃料電池スタックの短絡の直後の少なくともある期間中に最大燃料電池スタック電圧レベルより下に燃料電池スタック電圧をクランプする手段と
を含む、少なくとも1台の負荷に電力を供給する、電源システム。
【請求項18】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたツェナーダイオードを含む、請求項17記載の電源システム。
【請求項19】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたシャントレギュレータを含む、請求項17記載の電源システム。
【請求項20】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置を含む、請求項17記載の電源システム。
【請求項21】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたトランジスタを動作させる制御ロジックを実行するコントローラを含む、請求項17記載の電源システム。
【請求項22】
前記短絡する手段が、前記燃料電池スタックを介して電気的に接続され、該燃料電池スタックを、一時的に、電気的に短絡するよう動作可能である、パルススイッチを含み、
前記燃料電池スタックを随時に、一時的に、電気的に、短絡するように前記パルススイッチを選択的に制御するため接続されたコントローラとをさらに含む、請求項17記載の電源システム。
【請求項23】
前記コントローラが前記燃料電池スタックを定期的に、一時的に、電気的に、短絡するため前記パルススイッチを動作させる発振器を含む、請求項22記載の電源システム。
【請求項24】
前記コントローラが前記燃料電池スタックを一時的に、電気的に、短絡するように前記燃料電池スタックの両端間に負荷を定期的に電気的に接続するため前記パルススイッチを動作させる発振器を含む、請求項22記載の電源システム。
【請求項25】
前記クランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置を含む、請求項22記載の電源システム。
【請求項26】
前記蓄電装置が少なくとも1台のバッテリー、またはスーパーキャパシタを含む、
請求項25記載の電源システム。
【請求項27】
前記クランプする手段が燃料電池スタック電圧をクランプするため前記燃料電池スタックの両端間に電気的に接続されたシャントレギュレータを含み、
前記シャントレギュレータが、ツェナーダイオード、抵抗、及び、入力端子と出力端子と制御端子を有するトランジスタを含み、
前記ツェナーダイオードが前記燃料電池スタックの出力と前記トランジスタの前記制御端子との間に電気的に接続され、
前記抵抗が前記ツェナーダイオードと前記トランジスタの前記制御端子との間で直列に電気的に接続される、
請求項22記載の電源システム。
【請求項28】
前記コントローラが前記パルススイッチによる前記燃料電池スタックの電気的な短絡を定期的に引き起こす発振器を含み、
前記クランプする手段が、
電源バス上で感知された電圧を表す信号を供給するため接続された電圧センサと、
前記コントローラに組み込まれ、前記パルススイッチにスレッショルドレベルを上回る燃料電池スタック電圧に応じて前記燃料電池スタックを電気的に短絡させるシャントレギュレータロジックと
を含む、請求項22記載の電源システム。
【請求項29】
前記クランプする手段が、
蓄電装置と、
前記燃料電池スタックと並列に前記電源バスの両端間に電気的に接続されたツェナーダイオードと、
前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に直列に電気的に接続された燃料電池スタック絶縁スイッチであって、前記コントローラがこの燃料電池スタック絶縁スイッチを制御するためさらに接続されている燃料電池スタック絶縁スイッチと、
前記燃料電池スタックからの出力電流を感知し、前記感知された電流を表す結果の値を前記コントローラへ供給するように配置された電流センサと、
前記蓄電装置を短絡から保護するため前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に電気的に接続されたダイオードと
を含む、請求項22記載の電源システム。
【請求項30】
前記クランプする手段が、
蓄電装置と、
互いに直列に電気的に接続された第1の金属酸化物半導体電解効果トランジスタ及び第1のショットキーダイオードと、
互いに直列に電気的に接続され、前記第1の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ及び前記第1のショットキーダイオードと並列に電気的に接続された少なくとも第2の金属酸化物半導体電解効果トランジスタ及び第2のショットキーダイオードと
を含み、前記第1及び第2の金属酸化物半導体電界効果トランジスタと前記第1及び第2のショットキーダイオードが前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に電気的に接続される、
請求項22記載の電源システム。
【請求項31】
前記コントローラが、前記燃料電池スタックの短絡に続く少なくともある期間中に前記燃料電池スタックから蓄電装置へ電流を引き出すことにより、前記コントローラに前記燃料電池スタック電圧をクランプさせる制御ロジックを実行する、請求項22記載の電源システム。
【請求項32】
前記コントローラが、
蓄電装置を希望のレベルまで使い果たすために必要な期間を決定し、
前記燃料電池スタックを短絡する前に、前記決定された期間に亘って前記燃料電池スタックから負荷を電気的に切り離し、
前記燃料電池スタックの短絡に続く少なくともある期間中に前記燃料電池スタックから前記蓄電装置へ電流を引き出すことにより、
前記コントローラに前記燃料電池スタック電圧をクランプさせる制御ロジックを実行する、請求項22記載の電源システム。
【請求項1】
燃料電池のスタックを含む電源システムを動作させる方法であって、随時に、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップと、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化した後の少なくともある期間中に、燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、
前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間の前記短絡回路パスを取り除くステップと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、
前記燃料電池のスタックの両端間に負荷を電気的に接続するステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間から負荷を電気的に切り離すステップと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記燃料電池のスタックを定期的に短絡するため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、毎分当たり約1回ずつ前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、毎分当たり約1回ずつ前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設け、前記燃料電池のスタックの両端間に前記短絡回路パスを設けた後に約500ミリ秒で前記短絡回路パスを取り除くため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
随時に、前記燃料電池のスタックの両端間の電圧を決定するステップをさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、前記燃料電池のスタックの両端間の前記決定された電圧がスレッショルド電圧を上回るときに前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
随時に、前記燃料電池のスタックに電気的に接続された蓄電装置の実際の充電状態を決定するステップと、
前記決定された充電状態に基づいて前記蓄電装置の希望の充電状態を維持するため前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチの動作の周波数を決定するステップと
をさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの両端間で短絡回路パスを設け、取り除くために、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの前記電力パスの出力の両端間に電気的に接続された前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
負荷条件を決定するステップと、
前記決定された負荷条件に基づいて前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチの動作の周波数を決定するステップと
をさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの両端間で短絡回路パスを設け、取り除くために、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの前記電力パスの出力の両端間に電気的に接続された前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップが、前記燃料電池のスタックを電流パルス化する前に、蓄電装置から負荷に電力を供給するステップと、前記燃料電池のスタックを電流パルス化した後にある期間に亘って前記燃料電池のスタックから前記蓄電装置を充電するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記燃料電池のスタックを最小燃料電池電圧レベルより上にクランプするステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1台の負荷に給電するため、燃料電池スタック、及び、前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された少なくとも1台の蓄電装置を含む電源システムを動作させる方法であって、
随時に前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップと、
少なくとも前記燃料電池スタックを短絡している間に前記蓄電装置から前記負荷へ電力を供給するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記燃料電池の電圧を最大燃料電池スタック電圧レベルより下にクランプするステップをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記燃料電池スタックを短絡する前のある期間に亘って前記蓄電装置から前記負荷へ電流を供給するステップと、
燃料電池スタック電圧を最大燃料電池スタック電圧レベルより下にクランプするため、前記燃料電池スタックの短絡後に前記燃料電池スタックから前記蓄電装置へ電流を供給するステップと
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記燃料電池スタックを短絡する前のある期間に亘って前記蓄電装置から前記負荷へ供給される電流の量を削減するステップと、
前記燃料電池スタックを短絡する前のある期間に亘って前記蓄電装置から前記負荷へある量の電流を供給するステップと、
燃料電池スタック電圧を最大燃料電池スタック電圧レベルより下にクランプするため、前記燃料電池スタックの短絡後に前記燃料電池スタックから前記蓄電装置へ電流を供給するステップと
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
随時に負荷条件を決定するステップと、
前記決定された負荷条件がスレッショルド負荷条件を上回るまで前記燃料電池スタックの一時的な短絡を中断するステップと
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項17】
随時に、スタック電圧がプリセット電圧限界より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップは、前記スタック電圧が前記プリセット電圧限界より降下したという決定に応じて前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップを含む、
請求項12記載の方法。
【請求項18】
随時に、スタック電圧が前記蓄電装置の浮動電圧より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップは、前記スタック電圧が前記蓄電装置の前記浮動電圧より降下したという決定に応じて前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップを含む、
請求項12記載の方法。
【請求項19】
随時に、スタック電圧がプリセット電圧限界より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップが、前記スタック電圧が前記プリセット電圧限界より降下したという決定に応じて前記燃料電池スタックを一時的に短絡するステップと、前記燃料電池スタックの短絡の周波数に基づいて汚染物質の測定量を決定するステップとを含む、
請求項12記載の方法。
【請求項20】
燃料電池のスタック、及び、負荷に電力を供給するため電気的に接続可能である蓄電装置を含む電源システムを動作させる方法であって、随時に、
前記燃料電池のスタックの両端間に電気的短絡回路を設けるために少なくとも1台のスイッチを動作させるステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間の前記電気的短絡回路を取り除くために前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップと、
前記燃料電池のスタックを短絡している間に前記蓄電装置から前記負荷へ電力を供給するステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間の短絡回路パスを取り除いた後の少なくともある期間中に燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップと
を含む、方法。
【請求項21】
随時は定期的な時間基準である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記燃料電池のスタックの両端間の前記電気的短絡回路を取り除くために前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップが、前記燃料電池のスタックの両端間に電気的短絡回路を設けるために少なくとも1台のスイッチを動作させるステップの後に約500ミリ秒で行われる、請求項20記載の方法。
【請求項23】
随時に、前記燃料電池スタックの両端間の電圧を決定するステップをさらに含み、
随時に、前記燃料電池のスタックの両端間に電気的短絡回路を設けるために少なくとも1台のスイッチを動作させるステップが、前記燃料電池スタックの両端間の前記決定された電圧がスレッショルド電圧を上回るときに前記電気的短絡回路を設けるために前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項20記載の方法。
【請求項24】
燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップが、前記燃料電池のスタックの両端間に前記短絡回路パスを設ける前に前記蓄電装置から前記負荷へ電力を供給するステップと、前記燃料電池のスタックの両端間の前記短絡回路パスを取り除いた後にある期間に亘って前記燃料電池のスタックから前記蓄電装置を充電するステップとを含む、請求項20記載の方法。
【請求項25】
負荷及びバランスオブシステム(balance of system)に給電するため、燃料電池スタック、及び、前記燃料電池スタックに電気的に接続されたエネルギー蓄積装置を含む電源システムを動作させる方法であって、
前記燃料電池スタックによって前記負荷及び前記バランスオブシステムに供給されているスタック電流を測定するステップと、
前記燃料電池スタックの短絡中に前記負荷及び前記バランスオブシステムによって要求されるエネルギーの量を決定するステップと、
短絡後に取り去られるエネルギーの量を決定するステップと、
短絡中に前記負荷及び前記バランスオブシステムによって要求されるエネルギーの前記決定されたエネルギーの量に基づいて、かつ、短絡後に取り去られるエネルギーの前記決定されたエネルギーの量に基づいて前記エネルギー蓄積装置から予め除去されるべきエネルギーの量を決定するステップと、
現在の負荷で前記蓄積装置から前記決定されたエネルギーの量を予め除去するために必要な時間を決定するステップと、
前記負荷及び前記バランスオブシステムを前記燃料電池スタックから切断するステップと、
前記負荷及び前記バランスオブシステムを切断した後に前記蓄電装置からエネルギーを予め除去するために必要な前記決定された時間に、前記燃料電池スタックを短絡するステップと、
前記負荷及び前記バランスオブシステムを前記燃料電池スタックに再接続するステップと、
短絡持続時間に亘る前記燃料電池スタックの短絡後に前記燃料電池スタックの短絡を終了するステップと
を含む、方法。
【請求項26】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックを随時に短絡する手段と、
前記燃料電池スタックの短絡の直後の少なくともある期間中に最大燃料電池スタック電圧レベルより下に燃料電池スタック電圧をクランプする手段と
を含む、少なくとも1台の負荷に電力を供給する、電源システム。
【請求項27】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたツェナーダイオードを含む、請求項26記載の電源システム。
【請求項28】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたシャントレギュレータを含む、請求項26記載の電源システム。
【請求項29】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置を含む、請求項26記載の電源システム。
【請求項30】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたトランジスタを動作させる制御ロジックを実行するコントローラを含む、請求項26記載の電源システム。
【請求項31】
電源バスと、
前記電源バスの両端間に電気的に接続された燃料電池スタックと、
燃料電池スタックの両端間に電気的に接続され、前記燃料電池スタックを電流パルス化するため動作するパルススイッチと、
前記燃料電池スタックを随時に電流パルス化するように前記パルススイッチを選択的に制御するため接続されたコントローラと、
前記燃料電池スタックの電流パルス化の後に続く少なくともある期間中にスタック電圧をクランプするスタック電圧クランプ手段と
を含む、電源システム。
【請求項32】
前記コントローラが前記燃料電池スタックを定期的に短絡するため前記パルススイッチを動作させる発振器を含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項33】
前記コントローラが前記燃料電池スタックを電流パルス化するように前記燃料電池スタックの両端間に負荷を定期的に電気的に接続するため前記パルススイッチを動作させる発振器を含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項34】
前記スタック電圧クランプ手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置を含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項35】
前記スタック電圧クランプ手段が並列に電気的に接続された蓄電装置を含み、
前記蓄電装置が少なくとも1台のバッテリー及びスーパーキャパシタを含む、
請求項31記載の電源システム。
【請求項36】
前記スタック電圧クランプ手段が燃料電池スタック電圧をクランプするため前記燃料電池スタックの両端間に電気的に接続されたツェナーダイオードを含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項37】
前記スタック電圧クランプ手段が燃料電池スタック電圧をクランプするため前記燃料電池スタックの両端間に電気的に接続されたシャントレギュレータを含み、
前記シャントレギュレータが、ツェナーダイオード、抵抗、及び、入力端子と出力端子と制御端子を有するトランジスタを含み、
前記ツェナーダイオードが前記燃料電池スタックの出力と前記トランジスタの前記制御端子との間に電気的に接続され、
前記抵抗が前記ツェナーダイオードと前記トランジスタの前記制御端子との間で直列に電気的に接続される、
請求項31記載の電源システム。
【請求項38】
前記コントローラが前記パルススイッチによる前記燃料電池スタックの電気的な短絡を定期的に引き起こす発振器を含み、
前記スタック電圧クランプ手段が、
前記電源バス上で感知された電圧を表す信号を供給するため接続された電圧センサと、
前記コントローラに組み込まれ、前記パルススイッチにスレッショルドレベルを上回る燃料電池スタック電圧に応じて前記燃料電池スタックを電気的に短絡させるシャントレギュレータロジックと
を含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項39】
前記スタック電圧クランプ手段が、
蓄電装置と、
前記燃料電池スタックと並列に前記電源バスの両端間に電気的に接続されたツェナーダイオードと、
前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に直列に電気的に接続された燃料電池スタック絶縁スイッチであって、前記コントローラがこの燃料電池スタック絶縁スイッチを制御するためさらに接続されている燃料電池スタック絶縁スイッチと、
前記燃料電池スタックからの出力電流を感知し、前記感知された電流を表す結果の値を前記コントローラへ供給するように配置された電流センサと、
前記蓄電装置を短絡から保護するため前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に電気的に接続されたダイオードと
を含む、請求項31記載の電源システム。
【請求項40】
前記スタック電圧クランプ手段が、
蓄電装置と、
互いに直列に電気的に接続された第1の金属酸化物半導体電解効果トランジスタ及び第1のショットキーダイオードと、
互いに直列に電気的に接続され、前記第1の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ及び前記第1のショットキーダイオードと並列に電気的に接続された少なくとも第2の金属酸化物半導体電解効果トランジスタ及び第2のショットキーダイオードと
を含み、前記第1及び第2の金属酸化物半導体電界効果トランジスタと前記第1及び第2のショットキーダイオードが前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に電気的に接続される、
請求項31記載の電源システム。
【請求項41】
燃料電池スタックと、
電気的に接続され、燃料電池スタックを電気的に短絡するため動作する短絡スイッチと、
前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置と、
前記蓄電装置を電気的短絡から保護するため前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に電気的に接続されたダイオードと、
前記燃料電池スタックを随時に短絡するため前記短絡スイッチを選択的に制御するように接続されたコントローラと
を含む、少なくとも1台の負荷に電力を供給する、電源システム。
【請求項42】
前記コントローラが前記燃料電池スタックを定期的に短絡するため前記短絡スイッチを動作させる発振器を含む、請求項41記載の電源システム。
【請求項43】
前記燃料電池スタックによって給電される電気的負荷がスレッショルド値を上回るときに前記燃料電池スタックを定期的に短絡するため前記短絡スイッチを動作させる発振器を含む、請求項41記載の電源システム。
【請求項44】
前記コントローラが、前記燃料電池スタックの短絡に続く少なくともある期間中に前記燃料電池スタックから前記蓄電装置へ電流を引き出すことにより、前記コントローラに前記燃料電池スタックのスタック電圧をクランプさせる制御ロジックを実行する、請求項41記載の電源システム。
【請求項45】
前記コントローラが、
前記蓄電装置を希望のレベルまで使い果たすために必要な期間を決定し、
前記燃料電池スタックを短絡する前に、前記決定された期間に亘って前記燃料電池スタックから前記負荷を電気的に切り離し、
前記燃料電池スタックの短絡に続く少なくともある期間中に前記燃料電池スタックから前記蓄電装置へ電流を引き出すことにより、
前記コントローラに前記燃料電池スタックのスタック電圧をクランプさせる制御ロジックを実行する、請求項41記載の電源システム。
【請求項46】
前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続され、前記蓄電装置の浮動電圧にほぼ等しい破壊電圧を有するツェナーダイオードをさらに含む、請求項41記載の電源システム。
【請求項47】
ツェナーダイオード、トランジスタ、及び、前記ツェナーダイオードと前記トランジスタのスイッチング端子との間に接続された抵抗を含み、前記トランジスタが前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されている、シャントレギュレータをさらに含む、請求項41記載の電源システム。
【請求項48】
バランスオブシステム、負荷、及び、前記蓄電装置を、前記燃料電池スタックから電気的に切り離すため動作するスタック絶縁スイッチをさらに含む、請求項41記載の電源システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池のスタックを含む電源システムを動作させる方法であって、随時に、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップと、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化した後の少なくともある期間中に、燃料電池スタック電圧を最大燃料電池スタック電圧レベルより下にクランプするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、
前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間の前記短絡回路パスを取り除くステップと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、
前記燃料電池のスタックの両端間に負荷を電気的に接続するステップと、
前記燃料電池のスタックの両端間から負荷を電気的に切り離すステップと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記燃料電池のスタックを定期的に短絡するため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、毎分当たり約1回ずつ前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、毎分当たり約1回ずつ前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設け、前記燃料電池のスタックの両端間に前記短絡回路パスを設けた後に約500ミリ秒で前記短絡回路パスを取り除くため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
随時に、前記燃料電池のスタックの両端間の電圧を決定するステップをさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、前記燃料電池のスタックの両端間の前記決定された電圧がスレッショルド電圧を上回るときに前記燃料電池のスタックの両端間に短絡回路パスを設けるため、前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
随時に、前記燃料電池のスタックに電気的に接続された蓄電装置の実際の充電状態を決定するステップと、
前記決定された充電状態に基づいて前記蓄電装置の希望の充電状態を維持するため前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチの動作の周波数を決定するステップと
をさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの両端間で短絡回路パスを設け、取り除くために、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの前記電力パスの出力の両端間に電気的に接続された前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
負荷条件を決定するステップと、
前記決定された負荷条件に基づいて前記燃料電池のスタックの電源バスの両端間に電気的に接続された少なくとも1台のスイッチの動作の周波数を決定するステップと
をさらに含み、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの両端間で短絡回路パスを設け、取り除くために、前記決定された周波数で前記燃料電池のスタックの前記電力パスの出力の両端間に電気的に接続された前記少なくとも1台のスイッチを動作させるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするステップが、前記燃料電池のスタックを電流パルス化する前に、蓄電装置から負荷に電力を供給するステップと、前記燃料電池のスタックを電流パルス化した後にある期間に亘って前記燃料電池のスタックから前記蓄電装置を充電するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記燃料電池のスタックを最小燃料電池電圧レベルより上にクランプするステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記燃料電池のスタックを電流パルス化する前のある期間に亘って前記燃料電池のスタックから負荷へ供給される電流の量を削減するステップと、
前記燃料電池のスタックを電流パルス化する前のある期間に亘って蓄電装置から前記負荷へある量の電流を供給するステップと、
燃料電池電圧を最大燃料電池電圧レベルより下にクランプするため、前記燃料電池のスタックを電流パルス化した後に燃料電池のスタックから前記蓄電装置へ電流を供給するステップと
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
随時に負荷条件を決定するステップと、
前記決定された負荷条件がスレッショルド負荷条件を上回るまで前記燃料電池のスタックの電流パルス化を中断するステップと
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
随時に、スタック電圧がプリセット電圧限界より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、前記スタック電圧が前記プリセット電圧限界より降下したという決定に応じて前記燃料電池のスタックを一時的に短絡するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項15】
随時に、スタック電圧が前記蓄電装置の浮動電圧より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップは、前記スタック電圧が前記蓄電装置の前記浮動電圧より降下したという決定に応じて前記燃料電池のスタックを一時的に短絡するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項16】
随時に、スタック電圧がプリセット電圧限界より降下するときを決定するステップをさらに含み、
随時に前記燃料電池のスタックを電流パルス化するステップが、前記スタック電圧が前記プリセット電圧限界より降下したという決定に応じて前記燃料電池のスタックを一時的に短絡するステップと、前記燃料電池のスタックの短絡の周波数に基づいて汚染物質の測定量を決定するステップとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項17】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックを随時に短絡する手段と、
前記燃料電池スタックの短絡の直後の少なくともある期間中に最大燃料電池スタック電圧レベルより下に燃料電池スタック電圧をクランプする手段と
を含む、少なくとも1台の負荷に電力を供給する、電源システム。
【請求項18】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたツェナーダイオードを含む、請求項17記載の電源システム。
【請求項19】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたシャントレギュレータを含む、請求項17記載の電源システム。
【請求項20】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置を含む、請求項17記載の電源システム。
【請求項21】
前記燃料電池スタック電圧をクランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続されたトランジスタを動作させる制御ロジックを実行するコントローラを含む、請求項17記載の電源システム。
【請求項22】
前記短絡する手段が、前記燃料電池スタックを介して電気的に接続され、該燃料電池スタックを、一時的に、電気的に短絡するよう動作可能である、パルススイッチを含み、
前記燃料電池スタックを随時に、一時的に、電気的に、短絡するように前記パルススイッチを選択的に制御するため接続されたコントローラとをさらに含む、請求項17記載の電源システム。
【請求項23】
前記コントローラが前記燃料電池スタックを定期的に、一時的に、電気的に、短絡するため前記パルススイッチを動作させる発振器を含む、請求項22記載の電源システム。
【請求項24】
前記コントローラが前記燃料電池スタックを一時的に、電気的に、短絡するように前記燃料電池スタックの両端間に負荷を定期的に電気的に接続するため前記パルススイッチを動作させる発振器を含む、請求項22記載の電源システム。
【請求項25】
前記クランプする手段が前記燃料電池スタックと並列に電気的に接続された蓄電装置を含む、請求項22記載の電源システム。
【請求項26】
前記蓄電装置が少なくとも1台のバッテリー、またはスーパーキャパシタを含む、
請求項25記載の電源システム。
【請求項27】
前記クランプする手段が燃料電池スタック電圧をクランプするため前記燃料電池スタックの両端間に電気的に接続されたシャントレギュレータを含み、
前記シャントレギュレータが、ツェナーダイオード、抵抗、及び、入力端子と出力端子と制御端子を有するトランジスタを含み、
前記ツェナーダイオードが前記燃料電池スタックの出力と前記トランジスタの前記制御端子との間に電気的に接続され、
前記抵抗が前記ツェナーダイオードと前記トランジスタの前記制御端子との間で直列に電気的に接続される、
請求項22記載の電源システム。
【請求項28】
前記コントローラが前記パルススイッチによる前記燃料電池スタックの電気的な短絡を定期的に引き起こす発振器を含み、
前記クランプする手段が、
電源バス上で感知された電圧を表す信号を供給するため接続された電圧センサと、
前記コントローラに組み込まれ、前記パルススイッチにスレッショルドレベルを上回る燃料電池スタック電圧に応じて前記燃料電池スタックを電気的に短絡させるシャントレギュレータロジックと
を含む、請求項22記載の電源システム。
【請求項29】
前記クランプする手段が、
蓄電装置と、
前記燃料電池スタックと並列に前記電源バスの両端間に電気的に接続されたツェナーダイオードと、
前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に直列に電気的に接続された燃料電池スタック絶縁スイッチであって、前記コントローラがこの燃料電池スタック絶縁スイッチを制御するためさらに接続されている燃料電池スタック絶縁スイッチと、
前記燃料電池スタックからの出力電流を感知し、前記感知された電流を表す結果の値を前記コントローラへ供給するように配置された電流センサと、
前記蓄電装置を短絡から保護するため前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に電気的に接続されたダイオードと
を含む、請求項22記載の電源システム。
【請求項30】
前記クランプする手段が、
蓄電装置と、
互いに直列に電気的に接続された第1の金属酸化物半導体電解効果トランジスタ及び第1のショットキーダイオードと、
互いに直列に電気的に接続され、前記第1の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ及び前記第1のショットキーダイオードと並列に電気的に接続された少なくとも第2の金属酸化物半導体電解効果トランジスタ及び第2のショットキーダイオードと
を含み、前記第1及び第2の金属酸化物半導体電界効果トランジスタと前記第1及び第2のショットキーダイオードが前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に電気的に接続される、
請求項22記載の電源システム。
【請求項31】
前記コントローラが、前記燃料電池スタックの短絡に続く少なくともある期間中に前記燃料電池スタックから蓄電装置へ電流を引き出すことにより、前記コントローラに前記燃料電池スタック電圧をクランプさせる制御ロジックを実行する、請求項22記載の電源システム。
【請求項32】
前記コントローラが、
蓄電装置を希望のレベルまで使い果たすために必要な期間を決定し、
前記燃料電池スタックを短絡する前に、前記決定された期間に亘って前記燃料電池スタックから負荷を電気的に切り離し、
前記燃料電池スタックの短絡に続く少なくともある期間中に前記燃料電池スタックから前記蓄電装置へ電流を引き出すことにより、
前記コントローラに前記燃料電池スタック電圧をクランプさせる制御ロジックを実行する、請求項22記載の電源システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図15】
【公表番号】特表2006−525630(P2006−525630A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504130(P2006−504130)
【出願日】平成16年5月3日(2004.5.3)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000653
【国際公開番号】WO2004/100298
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(303026556)バラード パワー システムズ インコーポレイティド (28)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月3日(2004.5.3)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000653
【国際公開番号】WO2004/100298
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(303026556)バラード パワー システムズ インコーポレイティド (28)
【Fターム(参考)】
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