説明

燃焼機の炉圧の監視制御方法及び監視制御装置

【課題】燃焼機の燃焼炉内の炉内圧力を監視することができる監視制御方法及び監視制御装置を提供する。
【解決手段】燃焼炉11に取り付けられて、燃焼炉11の炉内圧力を検出する圧力検出部材2と、排ガス管12に取り付けられて、排ガス管12の管内温度を検出する温度検出部材3と、排気管16に取り付けられて、排気管16内の空気流動によってトリガーされ、電気信号を送出する電子スイッチ4と、炉内圧力を監視するための炉圧設定値と、排ガス管12の管内温度を監視するための温度設定値とを予め定め、炉内圧力が炉圧設定値に達すると第1の報知信号を発し、管内温度が温度設定値に達すると第2の報知信号を発し、電気信号が受信されない場合、第3の報知信号を送出するよう圧力検出部材2と温度検出部材3と電子スイッチ4とに通信可能に設けられた制御モジュール5と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、稲、麦等の穀物の生産過程で排出される殻等の可燃廃棄物を燃焼させて熱エネルギーを生成する燃焼機における燃焼炉の炉圧を監視するための監視制御装置及び監視制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農産物や穀物の生産過程においては籾殻、藁屑など様々な収穫廃棄物が多量に発生して非常に嵩張るため、堆積・保管場所に困るものであり、従来一般ごみと共に焼却処分したり、集めて燃やしたりして、その処理方法及び有効利用方法に関して幾つかの試みがなされている。例えば、籾殻などの収穫廃棄物を燃料として、燃焼により発生する熱を利用可能にした燃焼機がすでに提案されている(例えば特許文献1、2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾登録実用新案第M304628号
【特許文献2】台湾登録実用新案第M304629号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの廃棄物の焼却により発生した熱は熱エネルギーとして利用することができる。しかし、燃焼の際に燃焼灰、そして何千度という高温ガスが生成されるため、ガス爆発事故が発生する虞があった。これを防止するべく燃焼機内のガスを有効的に導出して圧力が高くならないようにガス排出機構を設置したものも考得られてはいるが、安全性を高めるためにはガスを排出するだけでなく更に所定の燃焼温度を保たなければならない。また、燃焼機内においてガスの排出が有効的に行われているかどうか確認する手段がなかったので、ガス爆発事故への防止効果が確かではなく、この点が燃焼効率の向上を阻む要因にもなっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、燃焼機の燃焼炉内の炉内圧力を監視することができる監視制御方法及び監視制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、1の観点によれば、本発明は、可燃廃棄物を燃料として燃焼して熱エネルギーを生成する燃焼炉と、前記燃焼炉の上端に連通して燃焼の際に生成される高温ガスを導出する排ガス管と、前記排ガス管に連通して外部の空気と熱交換をする熱交換ユニットと、前記熱交換ユニットに連通して熱交換した空気を排出する排気管とを備えている燃焼機における前記燃焼炉内の圧力を監視する監視制御装置を用いた監視制御方法であって、
前記監視制御装置に炉内圧力を監視するための炉圧設定値と、前記排ガス管の管内温度を監視するための温度設定値とを予め定めるステップと、
前記監視制御装置によって前記燃焼炉内の圧力と、前記排ガス管の温度と、前記排気管内での空気流動によってトリガーされた電気信号とを検出するステップと、
前記監視制御装置によって前記炉内圧力値と前記炉圧設定値とを比較し、前記炉内圧力が前記炉圧設定値に達すると第1の報知信号を発するステップと、
前記監視制御装置によって前記排ガス管の温度値と前記温度設定値とを比較し、前記排ガス管の管内温度が前記温度設定値に達すると第2の報知信号を発するステップと、
前記監視制御装置によって前記電気信号を受信したか否かを判定し、前記電気信号が受信されない場合、第3の報知信号を発するステップと、を有することを特徴とする監視制御方法を提供する。
【0007】
また、他の観点によれば、本発明は、可燃廃棄物を燃料として燃焼して熱エネルギーを生成する燃焼炉と、前記燃焼炉の上端に連通して燃焼の際に生成される高温ガスを導出する排ガス管と、前記排ガス管に連通して外部の空気と熱交換をする熱交換ユニットと、前記熱交換ユニットに連通して熱交換した空気を排出する排気管とを備えている燃焼機において前記燃焼炉内の圧力を監視する監視制御装置であって、
前記燃焼炉に取り付けられて、前記燃焼炉の炉内圧力を検出する圧力検出部材と、
前記排ガス管に取り付けられて、前記排ガス管の管内温度を検出する温度検出部材と、
前記排気管に取り付けられて、前記排気管内での空気流動によってトリガーされ、電気信号を送出する電子スイッチと、
前記炉内圧力を監視するための炉圧設定値と、前記排ガス管の管内温度を監視するための温度設定値とを予め定め、前記炉内圧力が前記炉圧設定値に達すると第1の報知信号を発し、前記管内温度が前記温度設定値に達すると第2の報知信号を発し、前記電気信号が受信されない場合、第3の報知信号を送出するよう前記圧力検出部材と前記温度検出部材と前記電子スイッチとに通信可能に設けられた制御モジュールと、を備えていることを特徴とする監視制御装置をも提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る燃焼炉の炉圧を監視する監視制御装置及び監視制御方法は、燃焼炉の炉内圧力と排ガス管の管内温度とを監視制御すると共に排気管の運転が正常であるか否かを監視制御することで、燃焼機の排気が正常に行われると共にガス爆発事故の発生を防止することができる。従って、燃焼機は燃焼炉内に所定の燃焼温度を保持することができ、ガスを正常に排出することができると共に、燃焼効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る燃焼機に用いられる監視制御装置の一実施形態を概略的に示す正面図である。
【図2】本発明に係る監視制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る監視制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は本発明の一実施例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
図1及び図2は、本発明に係る監視制御装置が燃焼機1に適用されている一実施形態を示している。燃焼機1は、可燃廃棄物を燃料として燃焼して熱エネルギーを生成する燃焼炉11と、燃焼炉11の上端に連通して燃焼の際に生成される高温ガスを導出する排ガス管12と、排ガス管12に連通して外部の空気と熱交換をする熱交換ユニット13と、熱交換して熱くなった空気を例えば乾燥ユニット14へガイドする導風管15と、熱交換ユニット13に連通して熱交換をしたガスを外部へ排出する排気管16とを備えている。
【0011】
本発明に係る監視制御装置は、燃焼機1における燃焼炉11内の圧力を監視する監視制御装置であって、圧力検出部材2と温度検出部材3と電子スイッチ4と制御モジュール5と報知部材6とを備えている。
圧力検出部材2は、燃焼炉11に取り付けられて、燃焼炉11の炉内圧力Pを検出する。
温度検出部材3は、排ガス管12に取り付けられて、排ガス管12の管内温度Tを検出する。
電子スイッチ4は、排気管16に取り付けられて、排気管16内の気流によって動かされるファン(図示せず)でトリガーされ、電気信号を送出する。電子スイッチ4の一例としては、非接触式スイッチを用いる。
【0012】
制御モジュール5は、圧力検出部材2と温度検出部材3と電子スイッチ4と通信可能に設けられ、炉内圧力Pを監視するための炉圧設定値P0と、排ガス管12の管内温度を監視するための温度設定値T0と、炉圧設定値P0より小さい炉圧警戒値P1を予め定めている。
報知部材6は制御モジュール5によって制御されて、炉内圧力Pが炉圧設定値P0に達すると第1の報知信号を発し、管内温度Tが温度設定値T0に達すると第2の報知信号を発し、電気信号が受信されない場合、第3の報知信号を発し、炉内圧力Pが炉圧警戒値P1に達すると、掃除信号を生成して送出する。なお、報知信号としては音、光、文字などを用いてもよい。
【0013】
次に、図1〜図3を参照して本発明に係る燃焼炉11の炉圧の監視制御装置を用いた炉圧監視制御方法を説明する。
ステップS71では、燃焼機1を起動する。
ステップS72では、燃焼機1に自動燃焼プロセスを始動させる。
ステップS73では、制御モジュール5によって所要の熱エネルギー量に応じて燃焼過程において燃焼炉11へ供給される可燃廃棄物の必要量を算出する。
ステップS74では、制御モジュール5によって排気制御プロセスを行うと共に、同時にステップS75と、ステップS76と、ステップS77へ進む。
【0014】
ステップS75では、制御モジュール5により電子スイッチ4からの電気信号を受信したか否かを判定する。該電気信号が受信されたと判定すると、ステップS78へ進む。一方、該電気信号が受信されないと判定すると、ステップS79に進む。
【0015】
ステップS76では、圧力検出部材2は燃焼炉11の炉内圧力Pを検出すると共に制御モジュール5へ送出してステップS80に進む。
ステップS77では、温度検出部材3は排ガス管12の管内温度Tを検出すると共に制御モジュール5へ送出してステップS84に進む。
【0016】
ステップS78では、制御モジュール5は排気管16の運転が正常であることを確認してステップS73へ進む。
ステップS79では、制御モジュール5は報知部材6から音、光、文字などの一つの第3の報知信号を発して、作業員に排気管16の運転が異常であることを知らせる。
【0017】
ステップS80では、制御モジュール5は燃焼炉11の炉内圧力Pが炉圧警戒値P1に達するか否かを判定する。ステップS80にて炉内圧力Pが炉圧警戒値P1に達すると判定した場合、ステップS81へ進む。一方、炉内圧力Pが炉圧警戒値P1に達しない場合、ステップS73に進む。
ステップS81では、制御モジュール5は報知部材6を介して掃除信号を生成して送出し、作業員に燃焼炉11の掃除をするよう知らせる。
ステップS82では、制御モジュール5は燃焼炉11の炉内圧力Pが炉圧設定値P0に達するか否かを判定する。燃焼炉11の炉内圧力Pが炉圧設定値P0に達したと判定すると、ステップS83へ進む。一方、燃焼炉11の炉内圧力Pが炉圧設定値P0に達しないと判定すると、ステップS73へ進む。
ステップS83では、制御モジュール5により報知部材6から第1の報知信号を生成して、作業員に燃焼炉11の炉内圧力が異常であることを知らせる。
【0018】
ステップS84では、制御モジュール5は排ガス管12の管内温度Tが温度設定値T0に達するか否かを判定する。管内温度Tが温度設定値T0に達したと判定すると、ステップS85に進む。一方、管内温度Tが温度設定値T0に達しないと判定すると、ステップS73に進む。
ステップS85では、制御モジュール5は報知部材6を介して第2の報知信号を生成して送出し、作業員に排ガス管12内の温度が異常であることを知らせる。
【0019】
以上により、燃焼炉11の炉内圧力Pと排ガス管12の管内温度Tとを監視制御すると共に排気管16の運転が正常であるか否かを監視制御することで、燃焼機1の排気が正常に行われガス爆発事故を防止することができる。従って、燃焼機1内においてガスを正常に排出することができると共に、燃焼炉11内に所定の燃焼温度を保持することができ、燃焼効率の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係る監視制御装置及び監視制御方法は、稲、麦等の穀物の生産過程で排出される殻等の可燃廃棄物を燃焼させて熱エネルギーを生成する燃焼機のガス爆発事故の発生を防止するのに有用である。
【符号の説明】
【0021】
1 燃焼機
11 燃焼炉
12 排ガス管
13 熱交換ユニット
14 乾燥ユニット
15 導風管
16 排気管
2 圧力検出部材
3 温度検出部材
4 電子スイッチ
5 制御モジュール
6 報知部材
P 炉内圧力
0 炉圧設定値
1 炉圧警戒値
T 管内温度
0 温度設定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃廃棄物を燃料として燃焼して熱エネルギーを生成する燃焼炉と、前記燃焼炉の上端に連通して燃焼の際に生成される高温ガスを導出する排ガス管と、前記排ガス管に連通して外部の空気と熱交換をする熱交換ユニットと、前記熱交換ユニットに連通して熱交換した空気を排出する排気管とを備えている燃焼機における前記燃焼炉内の圧力を監視する監視制御装置を用いた監視制御方法であって、
前記監視制御装置に炉内圧力を監視するための炉圧設定値と、前記排ガス管の管内温度を監視するための温度設定値とを予め定めるステップと、
前記監視制御装置によって前記燃焼炉内の圧力と、前記排ガス管の温度と、前記排気管内での空気流動によってトリガーされた電気信号とを検出するステップと、
前記監視制御装置によって前記炉内圧力値と前記炉圧設定値とを比較し、前記炉内圧力が前記炉圧設定値に達すると第1の報知信号を発するステップと、
前記監視制御装置によって前記排ガス管の温度値と前記温度設定値とを比較し、前記排ガス管の管内温度が前記温度設定値に達すると第2の報知信号を発するステップと、
前記監視制御装置によって前記電気信号を受信したか否かを判定し、前記電気信号が受信されない場合、第3の報知信号を発するステップと、を有することを特徴とする燃焼機の炉圧の監視制御方法。
【請求項2】
前記監視制御装置に前記炉圧設定値より小さい炉圧警戒値を設定し、
前記監視制御装置によって前記炉内圧力値と前記炉圧設定値との比較に先立って、前記炉内圧力値と前記炉圧警戒値とを比較し、前記炉内圧力が前記炉圧警戒値に達すると、掃除信号を送出するステップを更に有することを特徴とする請求項1に記載の燃焼機の炉圧の監視制御方法。
【請求項3】
可燃廃棄物を燃料として燃焼して熱エネルギーを生成する燃焼炉と、前記燃焼炉の上端に連通して燃焼の際に生成される高温ガスを導出する排ガス管と、前記排ガス管に連通して外部の空気と熱交換をする熱交換ユニットと、前記熱交換ユニットに連通して熱交換した空気を排出する排気管とを備えている燃焼機において前記燃焼炉内の圧力を監視する監視制御装置であって、
前記燃焼炉に取り付けられて、前記燃焼炉の炉内圧力を検出する圧力検出部材と、
前記排ガス管に取り付けられて、前記排ガス管の管内温度を検出する温度検出部材と、
前記排気管に取り付けられて、前記排気管内での空気流動によってトリガーされ、電気信号を送出する電子スイッチと、
前記炉内圧力を監視するための炉圧設定値と、前記排ガス管の管内温度を監視するための温度設定値とを予め定め、前記炉内圧力が前記炉圧設定値に達すると第1の報知信号を発し、前記管内温度が前記温度設定値に達すると第2の報知信号を発し、前記電気信号が受信されない場合、第3の報知信号を送出するよう前記圧力検出部材と前記温度検出部材と前記電子スイッチとに通信可能に設けられた制御モジュールと、を備えていることを特徴とする燃焼機の炉圧の監視制御装置。
【請求項4】
前記制御モジュールに前記炉圧設定値より小さい炉圧警戒値が更に設定され、
前記制御モジュールによって前記炉内圧力値と前記炉圧設定値との比較に先立って、前記炉内圧力値と前記炉圧警戒値とを比較し、前記炉内圧力が前記炉圧警戒値に達すると、掃除信号を送出することを特徴とする請求項3に記載の燃焼機の炉圧の監視制御装置。
【請求項5】
前記電子スイッチは、非接触式スイッチであることを特徴とする請求項3に記載の燃焼機の炉圧の監視制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−113506(P2013−113506A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260792(P2011−260792)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(507284617)三久股▲分▼有限公司 (4)
【Fターム(参考)】