燃焼機器
【課題】本発明は、搭載する中和剤の量が増加しても浴室内に設置する中和容器の容積を増加させず、また低号数タイプにおいても中和剤を過多に搭載せず、さらに燃焼機器と接続する中和容器が接続されない場合においてもpH3程度のドレン水を浴室内へ排出することがない燃焼機器の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、燃料ガスを燃焼するバーナを有する燃焼部と、この燃焼部で発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、この一次熱交換器を通過した排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、この潜熱回収の際に生じたドレン水を中和して排出する中和容器を有する燃焼機器であって、前記中和容器が複数設けられ、前記ドレン水が前記複数の中和容器を通過する構成とされた燃焼機器に関する。
【解決手段】本発明は、燃料ガスを燃焼するバーナを有する燃焼部と、この燃焼部で発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、この一次熱交換器を通過した排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、この潜熱回収の際に生じたドレン水を中和して排出する中和容器を有する燃焼機器であって、前記中和容器が複数設けられ、前記ドレン水が前記複数の中和容器を通過する構成とされた燃焼機器に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収型の燃焼機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃焼機器への高効率化の要求の高まりから、いわゆる潜熱回収型の燃焼機器が普及している。このような潜熱回収型の燃焼機器は、燃焼ガスからの顕熱を回収する一次熱交換器と、排気ガスからの潜熱の回収を行う二次熱交換器とを備えるのが一般的である。
二次熱交換器では、排気ガスからの潜熱回収を行う際に、排気ガス中の窒素酸化物等を含んだ強酸性のドレン水が発生する。このため、二次熱交換器で発生したドレン水は、ドレン受け皿で集められ、ドレン配管によって中和容器に導かれ、中和剤によって中和された後に排出される。
【0003】
前記燃焼機器の一種で、主に集合住宅用に設置され、浴槽横に設置されるバランス式ふろ釜(以下、「BF釜」と言う。)の取替え用として、浴室壁面に開口されたBF釜の給排気筒設置部にBF釜の機能を全て移管し、従来BF釜が存在したスペースを空き空間とすることにより、浴槽が大きくできるといった浴室リフォーム商品が開発されている。このような風呂釜は、壁貫通型の追焚き機能付給湯器(以下、「壁貫通釜」と言う。)と言われている。
【0004】
壁貫通釜を浴室に設置したときの設置例を示す図であって、浴槽短手面から見たときの透視図を図12に示す。壁貫通釜本体100には各種配管が接続される。これらの配管は、壁貫通釜に水を供給する給水配管27と、壁貫通釜で加熱された湯を浴室内に供給する給湯配管28と、壁貫通釜に燃料を供給するガス配管29と、浴槽水を循環加熱するための風呂往き配管30と風呂戻り配管31とからなる。
前記風呂往き配管31と前記風呂戻り配管30は、浴槽33に取り付けられた循環金具37に接続されている。前記給湯配管28は、前記浴槽33の上縁面に設置された水栓38に接続される。前記浴槽33には、脱着可能なエプロン35が取り付けられている。
【0005】
壁貫通釜の特徴として、給水、給湯、ガス等の配管類がすべて浴室内で完結され、メンテナンス等も全て浴室内からの作業となる。また、燃焼用空気は、壁貫通釜本体100の屋外側下部に形成されている吸気口36を用いて、屋外から器具本体内に吸気され、燃焼排ガスは、壁貫通釜本体100の屋外側上部に形成されている排気口4により屋外に排出される。
壁貫通釜本体100の正面図を図13に示す。壁貫通釜本体100の下側には、前記給水配管27に接続される給水配管接続部2と、前記給湯配管28に接続される給湯配管接続部22と、前記ガス配管29に接続されるガス配管接続部23と、前記風呂往き配管31に接続される風呂往き配管接続部24と、前記風呂戻り配管30に接続される風呂戻り配管接続部25を有している。壁貫通釜本体100において浴室内側に設けられている本体前カバー26は脱着可能であり、器具設置時やメンテナンス時等に取り外される。
潜熱回収型の壁貫通釜本体100は、図14に示すように、壁貫通釜本体100の奥行き寸法を大きくすることなく中和器を設置出来ることや、中和剤の補充が容易である点から中和容器を壁貫通釜本体100から分離して浴室壁32と、浴室床面34と、浴槽33との間隙に配置することが知られている。(特許文献1、2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4013165号公報
【特許文献2】特許第4026082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、潜熱回収型の燃焼機器は、従来では加熱された湯水を浴室や台所へ供給する給湯運転を行う際に発生する燃焼ガスが通過する通路にのみ二次熱交換器を備え、浴槽の水を循環し加熱する追焚き運転の際に発生する燃焼ガスが通過する通路には二次熱交換器を搭載せず、潜熱の回収は行っていなかった。しかし、更なる高効率化の要求の高まりから追焚き運転時においても潜熱の回収を行うため、追焚き運転の際に発生する燃焼ガスが通過する通路に新たに二次熱交換器を搭載することとなり、潜熱を回収することにより発生するドレン水の量も増加するため、中和剤の必要量が増加する。これにより、中和容器の容積を大きくする必要があり、特に特許文献1、2に示す壁貫通釜の構成においては、従来の中和容器では設置可能な浴室内の浴室壁と浴槽との間の限られたスペースに対して設置出来なくなる問題があった。
【0008】
さらに、壁貫通釜はBF釜の取替え用として開発された製品であるため、BF釜と同等の給湯能力(8号程度)である機種(以下、「低号数タイプ」)と2ヶ所同時使用を可能とする給湯能力を16号程度有する機種(以下、「標準タイプ」)が存在する。一般的に出湯号数とドレン水の量には比例関係が成り立ち、低号数タイプの潜熱回収型機器は、発生するドレン水の量が標準タイプより少ないことから、必要となる中和剤の量も標準タイプの約60%以下となる。
そのため、低号数タイプに標準タイプに搭載する中和容器を搭載すると、多くの中和剤が不要となる問題がある。低号数タイプ専用の中和容器を搭載することでこの問題は解決されるが、標準タイプと比較すると生産台数の少ない低号数タイプ専用部品として、気密性と軽量化の点から樹脂の成形品が用いられることが多い中和容器を製作することは、コストの点で非効率であるという問題があった。また、中和容器に充填する中和剤の量を約60%まで減らす方法も考えられるが、中和容器に中和剤を充填する工場から壁貫通釜を設置する住宅までの輸送時において、中和容器の内部で中和剤が移動し、所定の位置に中和剤が存在しないことによって、ドレン水と中和剤の接触する面積が変化し、中和性能を満足することが出来ない問題が発生する。
また、前記壁貫通釜においては、中和容器を浴室内へ設置する工事が必要となるが、施工業者が誤って壁貫通釜に中和容器を接続しないことが発生した場合、pH3程度の強酸性のドレン水が浴室内へ排出されてしまう問題があった。
【0009】
さらに、前記壁貫通釜においては、二次熱交換器から浴室内へ設置する中和容器までの配管をpH3程度の強酸性のドレン水に耐え得る材質とする必要があるため、コストUPの要因となっていた。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、搭載する中和剤の量が増加しても浴室内に設置する中和容器の容積を増加させず、また低号数タイプにおいても中和剤を過多に搭載せず、さらに燃焼機器と接続する中和容器が接続されない場合においてもpH3程度のドレン水を浴室内へ排出することがない燃焼機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に関するものである。
(1)本発明は、燃料ガスを燃焼するバーナを有する燃焼部と、この燃焼部で発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、この一次熱交換器を通過した排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、この潜熱回収の際に生じたドレン水を中和して排出する中和容器を有する燃焼機器において、前記中和容器が複数設けられ、前記ドレン水が前記複数の中和容器を通過する構成とした燃焼機器に関する。
(2)本発明は、(1)において、複数の中和容器の一方を燃焼機器本体の内部に配置し、他方を燃焼機器本体の外部に配置する構成とした燃焼機器に関する。
(3)本発明は、(2)において、複数の中和容器の一方を燃焼機器本体の内部に配置し、他方を燃焼機器本体が設置された浴室壁と、浴室床面と、浴槽との間隙に配置する構成とした燃焼機器に関する。
【0011】
(4)本発明は、(1)〜(3)のいずれかにおいて、燃焼機器本体の内部に配置した中和容器の少なくとも一つが燃焼部と前カバーとコントローラとの間隙に配置される燃焼機器に関する。
(5)本発明は、(1)〜(3)のいずれかにおいて、燃焼機器本体の内部に配置した中和容器の筐体に貫通穴が設けられ、前期貫通穴の中をドレン水の排水経路以外の配管が通過する燃焼機器に関する。
(6)本発明は、燃料ガスを燃焼するバーナを有する燃焼部と、この燃焼部で発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、この一次熱交換器を通過した排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、この潜熱回収の際に生じたドレン水を中和して排出する中和容器を有する燃焼機器であって、前記中和容器が燃焼機器本体の内部に配置され、前記中和容器が燃焼部と前カバーとコントローラとの間隙に配置され、前記中和容器の筐体に貫通穴が設けられ、前期貫通穴の中をドレン水の排水経路以外の配管が通過する燃焼機器に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドレン水の排水経路に中和容器を複数接続する構成とすることにより、燃焼機器のドレン水の発生量に合わせて搭載する中和剤の量を変更することが可能となる。また、中和容器を燃焼機器の外部に配置する燃焼機器においては、中和容器を複数接続する構成とし、一方を燃焼機器内部に配置することにより、燃焼機器外部に配置する中和容器の容積を小さくすることが可能となり、追焚き運転時に潜熱回収を行うことによる従来からのドレン水量の増加に対し、燃焼機器外部に配置する中和容器の容積を増加することがない燃焼機器を提供することができる。さらには、燃焼機器外部に配置する中和容器が接続されない場合においても、燃焼機器内部に配置する中和容器において中和されるためpH3程度のドレン水を浴室内へ排出することがない燃焼機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例である壁貫通釜の第一の基本構成と動作原理を表わす模式図である。
【図2】本発明の一実施例である壁貫通釜の第二の基本構成と動作原理を表わす模式図である。
【図3】本発明の一実施例である壁貫通釜の設置例において第1の例を示す図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図4】本発明の一実施例である壁貫通釜の設置例において第2の例を示す図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図5】本発明の一実施例である壁貫通釜の設置例において第3の例を示す図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図6】本発明の一実施例である壁貫通釜の設置例において第4の例を示す図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図7】本発明の一実施例である壁貫通釜の低号数タイプの設置例図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図8】本発明の一実施例である壁貫通釜のCチャンバー室への設置例図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図9】本発明の一実施例である壁貫通釜本体に内蔵する中和容器の一例を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施例である壁貫通釜本体に内蔵する中和容器の他の例を示す正面図である。
【図11】本発明の一実施例である壁貫通釜本体に搭載する第一中和容器による中和性能の経年変化特性図である。
【図12】壁貫通釜を浴室に設置したときの設置例図で、浴槽短手面からみたときの透視図を示す。
【図13】壁貫通釜本体の正面図を示す。
【図14】潜熱回収型の壁貫通釜を浴室に設置したときの設置例図で、浴槽短手面から見たときの透視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の対象となる燃焼機器は、潜熱回収用の二次熱交換器と、この二次熱交換器から排出されるドレン水を通すドレン水用の配管と、ドレン水を中和する中和容器とを備えるものであれば、特に制限はない。例えば、図2に示すような燃焼機器と中和容器とが分離して設けられた燃焼機器、特に、図8、及び、図14に示すような壁貫通釜の場合は、中和容器7、9を配置するスペースに制約が発生するため、第一中和容器7と第二中和容器9を分離して設けることで特に優れた効果を奏する。
【0015】
図1に基づいて、本発明に使用する燃焼機器の動作原理を説明する。なお、図1に示す燃焼機器1においては、図12、図13、図14を基に先に説明した壁貫通釜本体100に代えて設けられる機器であるので、燃焼機器1において、給水配管27と給湯配管28とガス配管29と風呂往き配管30と風呂戻り配管31が接続され、風呂往き配管30と風呂戻り配管31が先に説明したように浴槽33に取り付けられた循環金具37に接続されている構成については、先に説明した例と同様である。以下に本発明に使用する燃焼機器1について、基本構造に加え、湯水の流れ、ガスの流れ等に関連付けて説明する。
【0016】
本発明の燃焼機器1には、給湯燃焼部15とその上に設けられた給湯一次熱交換器14および給湯二次熱交換器13と、給湯燃焼部21とその上に設けられた追焚一次熱交換器19および追焚二次熱交換器20が設けられている。給湯二次熱交換器13から排気口4に至る部分の底部と給湯二次熱交換器20から排気口4に至る部分の底部にそれぞれドレン受け皿5が設けられ、これらがドレン配管6を介して第一中和容器7に接続されている。また、第一中和容器7はドレン中継配管8を介し第二中和容器9に接続され、第二中和容器9にはドレン水排出管10が接続されている。
この例の燃焼機器1においては、給湯燃焼部15、給湯一次熱交換器14および給湯二次熱交換器13と、給湯燃焼部21、追焚一次熱交換器19および追焚二次熱交換器20を図示略の筐体の内部に収容して燃焼機器本体1Aが大略構成され、更に燃焼機器本体1Aの筐体内部に第一中和容器7と第二中和容器9が備えられている。第一中和容器7と第二中和容器9の内部には炭酸カルシウムなどの中和剤がそれぞれ必要量充填されている。
【0017】
まず、図1に示す燃焼機器1において、給湯機能における湯水の流れについて説明する。湯水が燃焼機器本体1Aに設けられている給水配管接続部2から給水され、水量センサ3によって、この湯水が所定の流量に達したか否かが検知される。水量センサ3を通った湯水は、接続配管13Aを介し給湯二次熱交換器13に導かれ、この給湯二次熱交換器13で排気ガスから潜熱を回収する。この潜熱を回収した湯水は、給湯一次熱交換器14に接続配管14Aを介し導かれ、この給湯一次熱交換器14で燃焼ガスからの顕熱を回収する。この顕熱を回収した湯水は、接続配管22Aを介し湯水を浴室内に供給する給湯配管28を接続する給湯配管接続部22を通り、給湯栓から使用される。
【0018】
次に、図1に示す燃焼機器1において、追焚き機能における湯水の流れについて説明する。燃焼機器本体1Aの内部に設けられている循環ポンプ26を運転することにより浴槽33内の湯水が循環金具37、風呂戻り配管31を経由して燃焼機器本体1の風呂戻り配管接続部25へ給水される。風呂戻り配管接続部25を通った湯水は、接続配管20Aを介し追焚二次熱交換器20に導かれ、この追焚二次熱交換器20で排気ガスから潜熱を回収する。この潜熱を回収した湯水は、接続配管19Aを介し追焚一次熱交換器19に導かれ、この追焚一次熱交換器19で燃焼ガスからの顕熱を回収する。この顕熱を回収した湯水は、接続配管24Aを介し風呂往き配管30を接続する風呂往き配管接続部24を通り、風呂往き配管30、 循環金具37を経由して浴槽33内に供給される。なお、図1に示す燃焼機器1において、接続配管14Aと接続配管19Aが接続配管18Aを介し接続され、18Aには注湯電磁弁18が設けられている。
【0019】
次に、図1に示す燃焼機器1において、燃料ガスの流れについて説明する。給湯機能において、燃料ガスは、ガス配管接続部23から給湯ガス電磁弁16を経由して、給湯燃焼部15へ接続配管15Aを介し供給されて燃焼し、高温の燃焼ガスを発生させる。その燃焼ガスは、まず、給湯一次熱交換器14を通過し、その際に顕熱を放熱する。顕熱を放熱した後の低温の燃焼ガスは排気ガスとなる。次に、この排気ガスは給湯二次熱交換器13を通過し、その際に潜熱を放熱する。そして、潜熱を放熱した排気ガスは、排気口4から器具外へ排気されるが一部は以下に述べるドレン水44とともに、ドレン配管6に侵入する。追焚機能においても同様に、追焚ガス電磁弁17を経由して追焚燃焼部21に接続配管17Aを介し燃焼ガスが供給され燃焼し、発生された燃焼ガスが追焚一次熱交換器19、 追焚二次熱交換器20を通過し、排気口4から器具外へ排気され、ドレン水44の一部はドレン配管6に侵入する。
【0020】
次に、ドレン水44の流れについて説明する。給湯二次熱交換器13、追焚二次熱交換器20で排気ガスから潜熱が回収されると、排気ガスの温度は、200℃程度から約60℃程度まで低下する。これとともに、排気ガスに含まれる水蒸気が凝縮し、給湯二次熱交換器13、追焚二次熱交換器20には結露水が発生する。この結露水は排気ガス中の窒素酸化物成分等を含んでpH3程度の強酸性のドレン水44となる。このため、給湯二次熱交換器13、追焚二次熱交換器20で発生したこれらのドレン水44は、それを回収するためのドレン受け皿5にて回収され、ドレン受け皿5に接続されたドレン配管6を通った後、炭酸カルシウムを充填した第一中和容器7の入口部に流入する。
第一中和容器7にて中和されたドレン水44はドレン中継配管8を通った後、炭酸カルシウムを充填した第二中和容器9の入口部に流入する。ドレン水9は第二中和容器9を通過し、ドレン配管貫通部12を介して、ドレン水排出配管10からpH7程度となり排出される。
【0021】
図2は図1に示す構成の燃焼機器1において、燃焼機器本体1Aの内部に設けられていた第二中和容器9を燃焼機器本体1Aの外部に設けた場合の基本的な構成例を示した図である。この基本構成の燃焼機器1については、燃焼機器1を壁貫通釜として設けた場合を例として以下に図3、4を基に説明する。
【0022】
図3、4は本発明の一実施例である燃焼機器1を壁貫通釜として設けた場合の設置例図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。第一中和容器7には先に記載した低号数タイプから発生するドレン水量に対して経年後においても中和可能な量(約1.2kg)の中和剤を充填し、標準タイプから発生するドレン水量に対して経年後においても中和可能な中和剤の充填量(約2.0kg)に対し、不足な量(約0.8kg)の中和剤を第二中和容器9に充填する構成とする。
これにより、低号数タイプにおいては図7に示すように、第二中和容器9を設けないことにより不要な中和剤が発生しない構成とすることが可能となる。図7においては、図3に示す第二中和容器9を設けた位置に、第一中和容器7のみを設け、第二中和容器9を省略した構成としている。図7に示す構成では、さらに、標準タイプにおいても、低号数タイプに使用する第一中和容器7を使用することにより、部品の共用化の点からもコストの面で優位となる。
【0023】
第一中和容器7はpH3程度の強酸性のドレン水44が通過するドレン配管6を可能な限り短くするため、ドレン受け皿5の下方近傍に設けられる。図3ではドレン受け皿5の位置が給湯二次熱交換器13、追焚二次熱交換器20の壁貫通釜奥行き方向前カバー26側に位置する構成の場合の透視図であり、図4はドレン受け皿5の位置が給湯二次熱交換器13、追焚二次熱交換器20の壁貫通釜奥行き方向排気口4側に位置する構成の場合の透視図である。図3では第一中和容器7が本体前カバー26の裏面側に設けられたコントローラ39に隣接して配置され、上下に近接して設けられた第一中和容器7と第二中和容器9がドレン中継配管8により接続されている。
【0024】
特に、図4のようにドレン受け皿5が排気口4側に位置する場合、ドレン受け皿5からドレン水排出配管10までの距離が長くなるため、第一中和容器7と第二中和容器9を接続するドレン中継配管8Cも長くなる。しかし、第一中和容器7によって中和し、中和したドレン水44を通過させる構成として、ドレン中継配管8CにpH3程度の強酸性のドレン水44を通過させない構成とすることで、ドレン中継配管8Cの材質選定が容易となり、コストの面で優位となる。
【0025】
図5、6は本発明の一実施例である燃焼機器1を壁貫通釜として設けた場合の設置例図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。図5に示す構成において、第二中和容器9は燃焼機器1を設置した浴室壁32と、浴室床面34と、浴槽33との間隙に配置し、燃焼機器1内に設けた第一中和容器7に対し、第二中和容器9はドレン中継配管8Dによって接続される。図6に示す構成において、排気口4に近い側に設置された第一中和容器7はドレン中継配管8Eによって第二中和容器9に接続されている。
【0026】
先に記載したように第一中和容器7には低号数タイプに必要な中和剤を充填し、標準タイプにとって不足する中和剤量を第二中和容器9に充填する場合、低号数タイプにおいて第二中和容器9を設けないことにより不要な中和剤が発生しない構成とすることが図5と図6の構成において可能となり、標準タイプにおいても、必要な中和剤を全て第二中和容器9に充填していた場合に対して約60%程度を第一中和容器7に充填し、第二中和容器9に約40%程度を充填することで、第二中和容器9の容積を小さくすることが可能となる。これにより、浴槽33や浴槽床面34の形状により従来では設置することが出来なかった浴室壁32と、浴室床面34と、浴槽33との間隙が狭い浴室に第二中和容器9を設置することが可能となり、潜熱回収型壁貫通釜の普及促進が図れる。
【0027】
第一中和容器7に中和剤を約60%程度充填した上述の構造によれば、第一中和容器7によってドレン水44が一度中和されるため、図11に示すように、浴室内に排出されるドレン水のpHは設置初期においてpH7程度、経年時において内部中和容器(第一中和容器7)に充填した中和剤が消耗したとしてもpH5程度となり、内部中和容器から下流のドレン水排水経路に使用する部品についてpH3程度に対する耐食性が不要となり、材質選定が容易となる。なお、図11に示すように第一中和容器7に中和剤を搭載しないとpH3のドレン水44が常時排出され、約30%の中和剤の搭載では使用年数に応じてpH3に早めに到達することになる。
【0028】
さらに、外部中和容器(第二中和容器9)が設置されない施工不良があったとしても、pH3程度のドレン水が浴室内へ排出されることのない燃焼機器1を提供することが可能となる。また、第二中和容器9を浴室壁32と、浴室床面34と、浴槽33との間隙に設置するため、中和材の補充や交換時の作業性を維持することが出来る。
【0029】
第一中和容器7を壁貫通釜としての燃焼機器1へ内蔵するためには、燃焼機器1内の容積も大きくしなくてはならない。そのためには、壁貫通部の開口面積を大きくするか、本体奥行き寸法を大きくする方法が考えられる。しかし、前者については、壁貫通部の開口は従来BF釜の給排気口を使用するため、それ以上開口を拡大することはできない。よって、第一中和容器7を内蔵する場合は後者を選択する。しかし、後者については、共用廊下側へ壁貫通釜を設置する場合に問題が生じる。すなわち、この場合は図8に示すようにCチャンバー室41を設けなければならないが、そのCチャンバー室41の奥行き寸法は決められているため、それ以上壁貫通釜本体1の本体奥行き寸法を大きくすると、Cチャンバー室41の壁面に接触してしまい、壁貫通釜本体としての燃焼機器1を設置できないという問題が発生する。
【0030】
図8に壁貫通釜本体としての燃焼機器1をCチャンバー室41へ設置した浴室の設置例図を示す。Cチャンバー室41に設置された壁貫通釜本体としての燃焼機器1に搭載されたファン40を駆動させることにより給気ガラリ47から吸気口36を通過して燃焼部15、21へ空気が送風される。燃焼排ガスは給湯、追焚両方の一次熱交換器、二次熱交換器を通過し、排気口4を介し壁貫通釜本体としての燃焼機器1より外部へ排出された後、壁貫通釜本体1に取り付けられた接続アダプター42により上方へ偏向され、排気筒43を通り共用廊下側上方へ排出される。ファン40の駆動やガス量の調整などはコントローラ39により制御する構成としており、コントローラ39の位置は配線の容易さから壁貫通釜本体1の前カバー26側上方に配置される。
【0031】
本発明の例では、従来品では回収していない追焚き運転時においても潜熱を回収するため、発生するドレン水44が従来品より増加する。そこで、増加するドレン水44に対応した約30%の中和剤を第一中和容器7に搭載することにより、ドレン水44の増加に伴う第二中和容器9の容積拡大を防止することが可能となり、従来品と同様に浴室壁32と、浴室床面34と、浴槽33との間隙に配置することが出来る。
【0032】
第一中和容器7は燃焼部15、21と本体前カバー26とコントローラ39との間隙に配置することにより、壁貫通釜本体1の奥行き寸法を大きくすることなく第一中和容器7を壁貫通釜本体1へ内蔵することが可能となる。さらに、前記間隙に第一中和容器7を配置することにより、第一中和容器7を燃焼部より本体奥行き方向排気口側へ配置する場合に比べ、冬季において第一中和容器7内部のドレン水44が凍結する可能性が少なくなり、搭載する凍結予防用ヒータの容量も小さくすることが可能となる。さらに、第一中和容器7の中和剤を補充する場合においても、本体前カバー26を脱着するだけで可能となる。
【0033】
図9は本発明の一実施形態である第一中和容器7の斜視図を示す。壁貫通釜本体としての燃焼機器1は前述したように浴室内において給水、給湯、ガス等の配管類が全て完結される構造となっている。そのため、第一中和容器7を燃焼部15、21と本体前カバー26とコントローラ39との間隙に配置することによって、給水配管接続部2と給湯二次熱交換器13を繋ぐ給水内部配管49や風呂戻り配管接続部25と追焚二次熱交換器20とを繋ぐ追焚戻り内部配管50など、ドレン配管6やドレン中継配管8以外の壁貫通釜本体1の内部配管と第一中和容器7が近接し、第一中和容器7の容積を確保する障害となる。
【0034】
そこで、本発明では、第1中和容器7の筐体に貫通穴48を設け、給水内部配管49や追焚戻り内部配管50を通過させる構成とすることにより、第一中和容器7の容積を確保している。貫通穴48を設ける中和容器は第一中和容器7に限定するものではなく、壁貫通釜本体1の内部配管と近接した場所に配置する中和容器において、容積を確保する手段として有効である。前記構成は、中和容器を分割する燃焼機器に限定するものではなく、壁貫通釜本体としての燃焼機器1に内蔵する中和容器の構成として有効である。
【0035】
図10は本発明の一実施形態である第一中和容器7を正面から見た要部透視図を示す。ドレン受け皿5からドレン水44と共に排気ガスが浴室内へ流入することを防止するため、排気ガスのトラップを壁貫通釜本体としての燃焼機器1の内部に設ける構成とする。本実施形態では第一中和容器7の中央側内部の上面を塞ぐように仕切り壁46を設け、ドレン水44が通過する経路をU字形に構成することで、ドレン水44による排気ガスのトラップを構成する。ドレン水44とともに排気ガスが図10の第一中和容器7の左側に侵入したとしても貯留したドレン水44の水位が仕切り壁46に達している場合は、仕切り壁46に邪魔されるので第一中和容器7の右側に移動することがなく、排気ガスがドレン水排出配管10側に出ない。
第一中和容器7の構造によってトラップ構造とすることが可能となるから、排気トラップを設けるための専用部品を設けることがないため、部品点数の削減が可能となる。
【0036】
さらに、第一中和容器7の上部において、ドレン水の排水不良による水位上昇を検知するセンサ45を搭載する構成とする。搭載するセンサ45は、電極やねじ、サーミスタなどがあり限定はしない。本実施形態では、第一中和容器7に前記センサ45を搭載する構成とすることにより、前記センサ45をドレン水44の排水経路に搭載するための専用部品を設けることがないため、部品点数の削減が可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1…燃焼機器、2…給水配管接続部、3…水量センサ、4…排気口、5…ドレン受け皿、6…ドレン配管、7…第一中和容器、8…ドレン中継配管、9…第二中和容器、10…ドレン水排出配管、11…中和剤(炭酸カルシウム)、12…ドレン配管貫通部、13…給湯二次熱交換器、14…給湯一次熱交換器、15…給湯燃焼部、16…給湯ガス電磁弁、17…追焚ガス電磁弁、18…注湯電磁弁、19…追焚一次熱交換器、20…追焚二次熱交換器、21…給湯燃焼部、22…給湯配管接続部、23…ガス配管接続部、24…風呂往き配管接続部、25…風呂戻り配管接続部、26…本体前カバー、27…給水配管、28…給湯配管、29…ガス配管、30…風呂往き配管、31…風呂戻り配管、32…浴室壁、33…浴槽、34…浴室床面、35…エプロン、36…吸気口、37…循環金具、38…水栓、39…コントローラ、40…ファン、41…Cチャンバー室、42…接続アダプター、43…排気筒、44…ドレン水、45…センサ、46…仕切り壁、47…給気ガラリ、48…貫通穴、49…給水内部配管、50…風呂戻り内部配管。
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収型の燃焼機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃焼機器への高効率化の要求の高まりから、いわゆる潜熱回収型の燃焼機器が普及している。このような潜熱回収型の燃焼機器は、燃焼ガスからの顕熱を回収する一次熱交換器と、排気ガスからの潜熱の回収を行う二次熱交換器とを備えるのが一般的である。
二次熱交換器では、排気ガスからの潜熱回収を行う際に、排気ガス中の窒素酸化物等を含んだ強酸性のドレン水が発生する。このため、二次熱交換器で発生したドレン水は、ドレン受け皿で集められ、ドレン配管によって中和容器に導かれ、中和剤によって中和された後に排出される。
【0003】
前記燃焼機器の一種で、主に集合住宅用に設置され、浴槽横に設置されるバランス式ふろ釜(以下、「BF釜」と言う。)の取替え用として、浴室壁面に開口されたBF釜の給排気筒設置部にBF釜の機能を全て移管し、従来BF釜が存在したスペースを空き空間とすることにより、浴槽が大きくできるといった浴室リフォーム商品が開発されている。このような風呂釜は、壁貫通型の追焚き機能付給湯器(以下、「壁貫通釜」と言う。)と言われている。
【0004】
壁貫通釜を浴室に設置したときの設置例を示す図であって、浴槽短手面から見たときの透視図を図12に示す。壁貫通釜本体100には各種配管が接続される。これらの配管は、壁貫通釜に水を供給する給水配管27と、壁貫通釜で加熱された湯を浴室内に供給する給湯配管28と、壁貫通釜に燃料を供給するガス配管29と、浴槽水を循環加熱するための風呂往き配管30と風呂戻り配管31とからなる。
前記風呂往き配管31と前記風呂戻り配管30は、浴槽33に取り付けられた循環金具37に接続されている。前記給湯配管28は、前記浴槽33の上縁面に設置された水栓38に接続される。前記浴槽33には、脱着可能なエプロン35が取り付けられている。
【0005】
壁貫通釜の特徴として、給水、給湯、ガス等の配管類がすべて浴室内で完結され、メンテナンス等も全て浴室内からの作業となる。また、燃焼用空気は、壁貫通釜本体100の屋外側下部に形成されている吸気口36を用いて、屋外から器具本体内に吸気され、燃焼排ガスは、壁貫通釜本体100の屋外側上部に形成されている排気口4により屋外に排出される。
壁貫通釜本体100の正面図を図13に示す。壁貫通釜本体100の下側には、前記給水配管27に接続される給水配管接続部2と、前記給湯配管28に接続される給湯配管接続部22と、前記ガス配管29に接続されるガス配管接続部23と、前記風呂往き配管31に接続される風呂往き配管接続部24と、前記風呂戻り配管30に接続される風呂戻り配管接続部25を有している。壁貫通釜本体100において浴室内側に設けられている本体前カバー26は脱着可能であり、器具設置時やメンテナンス時等に取り外される。
潜熱回収型の壁貫通釜本体100は、図14に示すように、壁貫通釜本体100の奥行き寸法を大きくすることなく中和器を設置出来ることや、中和剤の補充が容易である点から中和容器を壁貫通釜本体100から分離して浴室壁32と、浴室床面34と、浴槽33との間隙に配置することが知られている。(特許文献1、2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4013165号公報
【特許文献2】特許第4026082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、潜熱回収型の燃焼機器は、従来では加熱された湯水を浴室や台所へ供給する給湯運転を行う際に発生する燃焼ガスが通過する通路にのみ二次熱交換器を備え、浴槽の水を循環し加熱する追焚き運転の際に発生する燃焼ガスが通過する通路には二次熱交換器を搭載せず、潜熱の回収は行っていなかった。しかし、更なる高効率化の要求の高まりから追焚き運転時においても潜熱の回収を行うため、追焚き運転の際に発生する燃焼ガスが通過する通路に新たに二次熱交換器を搭載することとなり、潜熱を回収することにより発生するドレン水の量も増加するため、中和剤の必要量が増加する。これにより、中和容器の容積を大きくする必要があり、特に特許文献1、2に示す壁貫通釜の構成においては、従来の中和容器では設置可能な浴室内の浴室壁と浴槽との間の限られたスペースに対して設置出来なくなる問題があった。
【0008】
さらに、壁貫通釜はBF釜の取替え用として開発された製品であるため、BF釜と同等の給湯能力(8号程度)である機種(以下、「低号数タイプ」)と2ヶ所同時使用を可能とする給湯能力を16号程度有する機種(以下、「標準タイプ」)が存在する。一般的に出湯号数とドレン水の量には比例関係が成り立ち、低号数タイプの潜熱回収型機器は、発生するドレン水の量が標準タイプより少ないことから、必要となる中和剤の量も標準タイプの約60%以下となる。
そのため、低号数タイプに標準タイプに搭載する中和容器を搭載すると、多くの中和剤が不要となる問題がある。低号数タイプ専用の中和容器を搭載することでこの問題は解決されるが、標準タイプと比較すると生産台数の少ない低号数タイプ専用部品として、気密性と軽量化の点から樹脂の成形品が用いられることが多い中和容器を製作することは、コストの点で非効率であるという問題があった。また、中和容器に充填する中和剤の量を約60%まで減らす方法も考えられるが、中和容器に中和剤を充填する工場から壁貫通釜を設置する住宅までの輸送時において、中和容器の内部で中和剤が移動し、所定の位置に中和剤が存在しないことによって、ドレン水と中和剤の接触する面積が変化し、中和性能を満足することが出来ない問題が発生する。
また、前記壁貫通釜においては、中和容器を浴室内へ設置する工事が必要となるが、施工業者が誤って壁貫通釜に中和容器を接続しないことが発生した場合、pH3程度の強酸性のドレン水が浴室内へ排出されてしまう問題があった。
【0009】
さらに、前記壁貫通釜においては、二次熱交換器から浴室内へ設置する中和容器までの配管をpH3程度の強酸性のドレン水に耐え得る材質とする必要があるため、コストUPの要因となっていた。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、搭載する中和剤の量が増加しても浴室内に設置する中和容器の容積を増加させず、また低号数タイプにおいても中和剤を過多に搭載せず、さらに燃焼機器と接続する中和容器が接続されない場合においてもpH3程度のドレン水を浴室内へ排出することがない燃焼機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に関するものである。
(1)本発明は、燃料ガスを燃焼するバーナを有する燃焼部と、この燃焼部で発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、この一次熱交換器を通過した排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、この潜熱回収の際に生じたドレン水を中和して排出する中和容器を有する燃焼機器において、前記中和容器が複数設けられ、前記ドレン水が前記複数の中和容器を通過する構成とした燃焼機器に関する。
(2)本発明は、(1)において、複数の中和容器の一方を燃焼機器本体の内部に配置し、他方を燃焼機器本体の外部に配置する構成とした燃焼機器に関する。
(3)本発明は、(2)において、複数の中和容器の一方を燃焼機器本体の内部に配置し、他方を燃焼機器本体が設置された浴室壁と、浴室床面と、浴槽との間隙に配置する構成とした燃焼機器に関する。
【0011】
(4)本発明は、(1)〜(3)のいずれかにおいて、燃焼機器本体の内部に配置した中和容器の少なくとも一つが燃焼部と前カバーとコントローラとの間隙に配置される燃焼機器に関する。
(5)本発明は、(1)〜(3)のいずれかにおいて、燃焼機器本体の内部に配置した中和容器の筐体に貫通穴が設けられ、前期貫通穴の中をドレン水の排水経路以外の配管が通過する燃焼機器に関する。
(6)本発明は、燃料ガスを燃焼するバーナを有する燃焼部と、この燃焼部で発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、この一次熱交換器を通過した排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、この潜熱回収の際に生じたドレン水を中和して排出する中和容器を有する燃焼機器であって、前記中和容器が燃焼機器本体の内部に配置され、前記中和容器が燃焼部と前カバーとコントローラとの間隙に配置され、前記中和容器の筐体に貫通穴が設けられ、前期貫通穴の中をドレン水の排水経路以外の配管が通過する燃焼機器に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドレン水の排水経路に中和容器を複数接続する構成とすることにより、燃焼機器のドレン水の発生量に合わせて搭載する中和剤の量を変更することが可能となる。また、中和容器を燃焼機器の外部に配置する燃焼機器においては、中和容器を複数接続する構成とし、一方を燃焼機器内部に配置することにより、燃焼機器外部に配置する中和容器の容積を小さくすることが可能となり、追焚き運転時に潜熱回収を行うことによる従来からのドレン水量の増加に対し、燃焼機器外部に配置する中和容器の容積を増加することがない燃焼機器を提供することができる。さらには、燃焼機器外部に配置する中和容器が接続されない場合においても、燃焼機器内部に配置する中和容器において中和されるためpH3程度のドレン水を浴室内へ排出することがない燃焼機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例である壁貫通釜の第一の基本構成と動作原理を表わす模式図である。
【図2】本発明の一実施例である壁貫通釜の第二の基本構成と動作原理を表わす模式図である。
【図3】本発明の一実施例である壁貫通釜の設置例において第1の例を示す図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図4】本発明の一実施例である壁貫通釜の設置例において第2の例を示す図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図5】本発明の一実施例である壁貫通釜の設置例において第3の例を示す図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図6】本発明の一実施例である壁貫通釜の設置例において第4の例を示す図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図7】本発明の一実施例である壁貫通釜の低号数タイプの設置例図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図8】本発明の一実施例である壁貫通釜のCチャンバー室への設置例図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。
【図9】本発明の一実施例である壁貫通釜本体に内蔵する中和容器の一例を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施例である壁貫通釜本体に内蔵する中和容器の他の例を示す正面図である。
【図11】本発明の一実施例である壁貫通釜本体に搭載する第一中和容器による中和性能の経年変化特性図である。
【図12】壁貫通釜を浴室に設置したときの設置例図で、浴槽短手面からみたときの透視図を示す。
【図13】壁貫通釜本体の正面図を示す。
【図14】潜熱回収型の壁貫通釜を浴室に設置したときの設置例図で、浴槽短手面から見たときの透視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の対象となる燃焼機器は、潜熱回収用の二次熱交換器と、この二次熱交換器から排出されるドレン水を通すドレン水用の配管と、ドレン水を中和する中和容器とを備えるものであれば、特に制限はない。例えば、図2に示すような燃焼機器と中和容器とが分離して設けられた燃焼機器、特に、図8、及び、図14に示すような壁貫通釜の場合は、中和容器7、9を配置するスペースに制約が発生するため、第一中和容器7と第二中和容器9を分離して設けることで特に優れた効果を奏する。
【0015】
図1に基づいて、本発明に使用する燃焼機器の動作原理を説明する。なお、図1に示す燃焼機器1においては、図12、図13、図14を基に先に説明した壁貫通釜本体100に代えて設けられる機器であるので、燃焼機器1において、給水配管27と給湯配管28とガス配管29と風呂往き配管30と風呂戻り配管31が接続され、風呂往き配管30と風呂戻り配管31が先に説明したように浴槽33に取り付けられた循環金具37に接続されている構成については、先に説明した例と同様である。以下に本発明に使用する燃焼機器1について、基本構造に加え、湯水の流れ、ガスの流れ等に関連付けて説明する。
【0016】
本発明の燃焼機器1には、給湯燃焼部15とその上に設けられた給湯一次熱交換器14および給湯二次熱交換器13と、給湯燃焼部21とその上に設けられた追焚一次熱交換器19および追焚二次熱交換器20が設けられている。給湯二次熱交換器13から排気口4に至る部分の底部と給湯二次熱交換器20から排気口4に至る部分の底部にそれぞれドレン受け皿5が設けられ、これらがドレン配管6を介して第一中和容器7に接続されている。また、第一中和容器7はドレン中継配管8を介し第二中和容器9に接続され、第二中和容器9にはドレン水排出管10が接続されている。
この例の燃焼機器1においては、給湯燃焼部15、給湯一次熱交換器14および給湯二次熱交換器13と、給湯燃焼部21、追焚一次熱交換器19および追焚二次熱交換器20を図示略の筐体の内部に収容して燃焼機器本体1Aが大略構成され、更に燃焼機器本体1Aの筐体内部に第一中和容器7と第二中和容器9が備えられている。第一中和容器7と第二中和容器9の内部には炭酸カルシウムなどの中和剤がそれぞれ必要量充填されている。
【0017】
まず、図1に示す燃焼機器1において、給湯機能における湯水の流れについて説明する。湯水が燃焼機器本体1Aに設けられている給水配管接続部2から給水され、水量センサ3によって、この湯水が所定の流量に達したか否かが検知される。水量センサ3を通った湯水は、接続配管13Aを介し給湯二次熱交換器13に導かれ、この給湯二次熱交換器13で排気ガスから潜熱を回収する。この潜熱を回収した湯水は、給湯一次熱交換器14に接続配管14Aを介し導かれ、この給湯一次熱交換器14で燃焼ガスからの顕熱を回収する。この顕熱を回収した湯水は、接続配管22Aを介し湯水を浴室内に供給する給湯配管28を接続する給湯配管接続部22を通り、給湯栓から使用される。
【0018】
次に、図1に示す燃焼機器1において、追焚き機能における湯水の流れについて説明する。燃焼機器本体1Aの内部に設けられている循環ポンプ26を運転することにより浴槽33内の湯水が循環金具37、風呂戻り配管31を経由して燃焼機器本体1の風呂戻り配管接続部25へ給水される。風呂戻り配管接続部25を通った湯水は、接続配管20Aを介し追焚二次熱交換器20に導かれ、この追焚二次熱交換器20で排気ガスから潜熱を回収する。この潜熱を回収した湯水は、接続配管19Aを介し追焚一次熱交換器19に導かれ、この追焚一次熱交換器19で燃焼ガスからの顕熱を回収する。この顕熱を回収した湯水は、接続配管24Aを介し風呂往き配管30を接続する風呂往き配管接続部24を通り、風呂往き配管30、 循環金具37を経由して浴槽33内に供給される。なお、図1に示す燃焼機器1において、接続配管14Aと接続配管19Aが接続配管18Aを介し接続され、18Aには注湯電磁弁18が設けられている。
【0019】
次に、図1に示す燃焼機器1において、燃料ガスの流れについて説明する。給湯機能において、燃料ガスは、ガス配管接続部23から給湯ガス電磁弁16を経由して、給湯燃焼部15へ接続配管15Aを介し供給されて燃焼し、高温の燃焼ガスを発生させる。その燃焼ガスは、まず、給湯一次熱交換器14を通過し、その際に顕熱を放熱する。顕熱を放熱した後の低温の燃焼ガスは排気ガスとなる。次に、この排気ガスは給湯二次熱交換器13を通過し、その際に潜熱を放熱する。そして、潜熱を放熱した排気ガスは、排気口4から器具外へ排気されるが一部は以下に述べるドレン水44とともに、ドレン配管6に侵入する。追焚機能においても同様に、追焚ガス電磁弁17を経由して追焚燃焼部21に接続配管17Aを介し燃焼ガスが供給され燃焼し、発生された燃焼ガスが追焚一次熱交換器19、 追焚二次熱交換器20を通過し、排気口4から器具外へ排気され、ドレン水44の一部はドレン配管6に侵入する。
【0020】
次に、ドレン水44の流れについて説明する。給湯二次熱交換器13、追焚二次熱交換器20で排気ガスから潜熱が回収されると、排気ガスの温度は、200℃程度から約60℃程度まで低下する。これとともに、排気ガスに含まれる水蒸気が凝縮し、給湯二次熱交換器13、追焚二次熱交換器20には結露水が発生する。この結露水は排気ガス中の窒素酸化物成分等を含んでpH3程度の強酸性のドレン水44となる。このため、給湯二次熱交換器13、追焚二次熱交換器20で発生したこれらのドレン水44は、それを回収するためのドレン受け皿5にて回収され、ドレン受け皿5に接続されたドレン配管6を通った後、炭酸カルシウムを充填した第一中和容器7の入口部に流入する。
第一中和容器7にて中和されたドレン水44はドレン中継配管8を通った後、炭酸カルシウムを充填した第二中和容器9の入口部に流入する。ドレン水9は第二中和容器9を通過し、ドレン配管貫通部12を介して、ドレン水排出配管10からpH7程度となり排出される。
【0021】
図2は図1に示す構成の燃焼機器1において、燃焼機器本体1Aの内部に設けられていた第二中和容器9を燃焼機器本体1Aの外部に設けた場合の基本的な構成例を示した図である。この基本構成の燃焼機器1については、燃焼機器1を壁貫通釜として設けた場合を例として以下に図3、4を基に説明する。
【0022】
図3、4は本発明の一実施例である燃焼機器1を壁貫通釜として設けた場合の設置例図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。第一中和容器7には先に記載した低号数タイプから発生するドレン水量に対して経年後においても中和可能な量(約1.2kg)の中和剤を充填し、標準タイプから発生するドレン水量に対して経年後においても中和可能な中和剤の充填量(約2.0kg)に対し、不足な量(約0.8kg)の中和剤を第二中和容器9に充填する構成とする。
これにより、低号数タイプにおいては図7に示すように、第二中和容器9を設けないことにより不要な中和剤が発生しない構成とすることが可能となる。図7においては、図3に示す第二中和容器9を設けた位置に、第一中和容器7のみを設け、第二中和容器9を省略した構成としている。図7に示す構成では、さらに、標準タイプにおいても、低号数タイプに使用する第一中和容器7を使用することにより、部品の共用化の点からもコストの面で優位となる。
【0023】
第一中和容器7はpH3程度の強酸性のドレン水44が通過するドレン配管6を可能な限り短くするため、ドレン受け皿5の下方近傍に設けられる。図3ではドレン受け皿5の位置が給湯二次熱交換器13、追焚二次熱交換器20の壁貫通釜奥行き方向前カバー26側に位置する構成の場合の透視図であり、図4はドレン受け皿5の位置が給湯二次熱交換器13、追焚二次熱交換器20の壁貫通釜奥行き方向排気口4側に位置する構成の場合の透視図である。図3では第一中和容器7が本体前カバー26の裏面側に設けられたコントローラ39に隣接して配置され、上下に近接して設けられた第一中和容器7と第二中和容器9がドレン中継配管8により接続されている。
【0024】
特に、図4のようにドレン受け皿5が排気口4側に位置する場合、ドレン受け皿5からドレン水排出配管10までの距離が長くなるため、第一中和容器7と第二中和容器9を接続するドレン中継配管8Cも長くなる。しかし、第一中和容器7によって中和し、中和したドレン水44を通過させる構成として、ドレン中継配管8CにpH3程度の強酸性のドレン水44を通過させない構成とすることで、ドレン中継配管8Cの材質選定が容易となり、コストの面で優位となる。
【0025】
図5、6は本発明の一実施例である燃焼機器1を壁貫通釜として設けた場合の設置例図であり、浴槽の短手面からの見たときの透視図である。図5に示す構成において、第二中和容器9は燃焼機器1を設置した浴室壁32と、浴室床面34と、浴槽33との間隙に配置し、燃焼機器1内に設けた第一中和容器7に対し、第二中和容器9はドレン中継配管8Dによって接続される。図6に示す構成において、排気口4に近い側に設置された第一中和容器7はドレン中継配管8Eによって第二中和容器9に接続されている。
【0026】
先に記載したように第一中和容器7には低号数タイプに必要な中和剤を充填し、標準タイプにとって不足する中和剤量を第二中和容器9に充填する場合、低号数タイプにおいて第二中和容器9を設けないことにより不要な中和剤が発生しない構成とすることが図5と図6の構成において可能となり、標準タイプにおいても、必要な中和剤を全て第二中和容器9に充填していた場合に対して約60%程度を第一中和容器7に充填し、第二中和容器9に約40%程度を充填することで、第二中和容器9の容積を小さくすることが可能となる。これにより、浴槽33や浴槽床面34の形状により従来では設置することが出来なかった浴室壁32と、浴室床面34と、浴槽33との間隙が狭い浴室に第二中和容器9を設置することが可能となり、潜熱回収型壁貫通釜の普及促進が図れる。
【0027】
第一中和容器7に中和剤を約60%程度充填した上述の構造によれば、第一中和容器7によってドレン水44が一度中和されるため、図11に示すように、浴室内に排出されるドレン水のpHは設置初期においてpH7程度、経年時において内部中和容器(第一中和容器7)に充填した中和剤が消耗したとしてもpH5程度となり、内部中和容器から下流のドレン水排水経路に使用する部品についてpH3程度に対する耐食性が不要となり、材質選定が容易となる。なお、図11に示すように第一中和容器7に中和剤を搭載しないとpH3のドレン水44が常時排出され、約30%の中和剤の搭載では使用年数に応じてpH3に早めに到達することになる。
【0028】
さらに、外部中和容器(第二中和容器9)が設置されない施工不良があったとしても、pH3程度のドレン水が浴室内へ排出されることのない燃焼機器1を提供することが可能となる。また、第二中和容器9を浴室壁32と、浴室床面34と、浴槽33との間隙に設置するため、中和材の補充や交換時の作業性を維持することが出来る。
【0029】
第一中和容器7を壁貫通釜としての燃焼機器1へ内蔵するためには、燃焼機器1内の容積も大きくしなくてはならない。そのためには、壁貫通部の開口面積を大きくするか、本体奥行き寸法を大きくする方法が考えられる。しかし、前者については、壁貫通部の開口は従来BF釜の給排気口を使用するため、それ以上開口を拡大することはできない。よって、第一中和容器7を内蔵する場合は後者を選択する。しかし、後者については、共用廊下側へ壁貫通釜を設置する場合に問題が生じる。すなわち、この場合は図8に示すようにCチャンバー室41を設けなければならないが、そのCチャンバー室41の奥行き寸法は決められているため、それ以上壁貫通釜本体1の本体奥行き寸法を大きくすると、Cチャンバー室41の壁面に接触してしまい、壁貫通釜本体としての燃焼機器1を設置できないという問題が発生する。
【0030】
図8に壁貫通釜本体としての燃焼機器1をCチャンバー室41へ設置した浴室の設置例図を示す。Cチャンバー室41に設置された壁貫通釜本体としての燃焼機器1に搭載されたファン40を駆動させることにより給気ガラリ47から吸気口36を通過して燃焼部15、21へ空気が送風される。燃焼排ガスは給湯、追焚両方の一次熱交換器、二次熱交換器を通過し、排気口4を介し壁貫通釜本体としての燃焼機器1より外部へ排出された後、壁貫通釜本体1に取り付けられた接続アダプター42により上方へ偏向され、排気筒43を通り共用廊下側上方へ排出される。ファン40の駆動やガス量の調整などはコントローラ39により制御する構成としており、コントローラ39の位置は配線の容易さから壁貫通釜本体1の前カバー26側上方に配置される。
【0031】
本発明の例では、従来品では回収していない追焚き運転時においても潜熱を回収するため、発生するドレン水44が従来品より増加する。そこで、増加するドレン水44に対応した約30%の中和剤を第一中和容器7に搭載することにより、ドレン水44の増加に伴う第二中和容器9の容積拡大を防止することが可能となり、従来品と同様に浴室壁32と、浴室床面34と、浴槽33との間隙に配置することが出来る。
【0032】
第一中和容器7は燃焼部15、21と本体前カバー26とコントローラ39との間隙に配置することにより、壁貫通釜本体1の奥行き寸法を大きくすることなく第一中和容器7を壁貫通釜本体1へ内蔵することが可能となる。さらに、前記間隙に第一中和容器7を配置することにより、第一中和容器7を燃焼部より本体奥行き方向排気口側へ配置する場合に比べ、冬季において第一中和容器7内部のドレン水44が凍結する可能性が少なくなり、搭載する凍結予防用ヒータの容量も小さくすることが可能となる。さらに、第一中和容器7の中和剤を補充する場合においても、本体前カバー26を脱着するだけで可能となる。
【0033】
図9は本発明の一実施形態である第一中和容器7の斜視図を示す。壁貫通釜本体としての燃焼機器1は前述したように浴室内において給水、給湯、ガス等の配管類が全て完結される構造となっている。そのため、第一中和容器7を燃焼部15、21と本体前カバー26とコントローラ39との間隙に配置することによって、給水配管接続部2と給湯二次熱交換器13を繋ぐ給水内部配管49や風呂戻り配管接続部25と追焚二次熱交換器20とを繋ぐ追焚戻り内部配管50など、ドレン配管6やドレン中継配管8以外の壁貫通釜本体1の内部配管と第一中和容器7が近接し、第一中和容器7の容積を確保する障害となる。
【0034】
そこで、本発明では、第1中和容器7の筐体に貫通穴48を設け、給水内部配管49や追焚戻り内部配管50を通過させる構成とすることにより、第一中和容器7の容積を確保している。貫通穴48を設ける中和容器は第一中和容器7に限定するものではなく、壁貫通釜本体1の内部配管と近接した場所に配置する中和容器において、容積を確保する手段として有効である。前記構成は、中和容器を分割する燃焼機器に限定するものではなく、壁貫通釜本体としての燃焼機器1に内蔵する中和容器の構成として有効である。
【0035】
図10は本発明の一実施形態である第一中和容器7を正面から見た要部透視図を示す。ドレン受け皿5からドレン水44と共に排気ガスが浴室内へ流入することを防止するため、排気ガスのトラップを壁貫通釜本体としての燃焼機器1の内部に設ける構成とする。本実施形態では第一中和容器7の中央側内部の上面を塞ぐように仕切り壁46を設け、ドレン水44が通過する経路をU字形に構成することで、ドレン水44による排気ガスのトラップを構成する。ドレン水44とともに排気ガスが図10の第一中和容器7の左側に侵入したとしても貯留したドレン水44の水位が仕切り壁46に達している場合は、仕切り壁46に邪魔されるので第一中和容器7の右側に移動することがなく、排気ガスがドレン水排出配管10側に出ない。
第一中和容器7の構造によってトラップ構造とすることが可能となるから、排気トラップを設けるための専用部品を設けることがないため、部品点数の削減が可能となる。
【0036】
さらに、第一中和容器7の上部において、ドレン水の排水不良による水位上昇を検知するセンサ45を搭載する構成とする。搭載するセンサ45は、電極やねじ、サーミスタなどがあり限定はしない。本実施形態では、第一中和容器7に前記センサ45を搭載する構成とすることにより、前記センサ45をドレン水44の排水経路に搭載するための専用部品を設けることがないため、部品点数の削減が可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1…燃焼機器、2…給水配管接続部、3…水量センサ、4…排気口、5…ドレン受け皿、6…ドレン配管、7…第一中和容器、8…ドレン中継配管、9…第二中和容器、10…ドレン水排出配管、11…中和剤(炭酸カルシウム)、12…ドレン配管貫通部、13…給湯二次熱交換器、14…給湯一次熱交換器、15…給湯燃焼部、16…給湯ガス電磁弁、17…追焚ガス電磁弁、18…注湯電磁弁、19…追焚一次熱交換器、20…追焚二次熱交換器、21…給湯燃焼部、22…給湯配管接続部、23…ガス配管接続部、24…風呂往き配管接続部、25…風呂戻り配管接続部、26…本体前カバー、27…給水配管、28…給湯配管、29…ガス配管、30…風呂往き配管、31…風呂戻り配管、32…浴室壁、33…浴槽、34…浴室床面、35…エプロン、36…吸気口、37…循環金具、38…水栓、39…コントローラ、40…ファン、41…Cチャンバー室、42…接続アダプター、43…排気筒、44…ドレン水、45…センサ、46…仕切り壁、47…給気ガラリ、48…貫通穴、49…給水内部配管、50…風呂戻り内部配管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼するバーナを有する燃焼部と、
この燃焼部で発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、
この一次熱交換器を通過した排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、
この潜熱回収の際に生じたドレン水を中和して排出する中和容器を有する燃焼機器であって、前記中和容器が複数設けられ、前記ドレン水が前記複数の中和容器を通過する構成とされた燃焼機器。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼機器において、複数の中和容器の一方を燃焼機器本体の内部に配置し、他方を燃焼機器本体の外部に配置する構成とした燃焼機器。
【請求項3】
請求項2に記載の燃焼機器において、複数の中和容器の一方を燃焼機器本体の内部に配置し、他方を燃焼機器本体が設置された浴室壁と、浴室床面と、浴槽との間隙に配置する構成とした燃焼機器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃焼機器において、燃焼機器本体の内部に配置した中和容器の少なくとも一つが、燃焼部と前カバーとコントローラとの間隙に配置される燃焼機器。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃焼機器において、燃焼機器本体の内部に配置した中和容器の筐体に貫通穴が設けられ、前期貫通穴の中をドレン水の排水経路以外の配管が通過する燃焼機器。
【請求項6】
燃料ガスを燃焼するバーナを有する燃焼部と、
この燃焼部で発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、
この一次熱交換器を通過した排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、
この潜熱回収の際に生じたドレン水を中和して排出する中和容器を有する燃焼機器であって、前記中和容器が燃焼機器本体の内部に配置され、前記中和容器が燃焼部と前カバーとコントローラとの間隙に配置され、前記中和容器の筐体に貫通穴が設けられ、前記貫通穴の中をドレン水の排水経路以外の配管が通過する燃焼機器。
【請求項1】
燃料ガスを燃焼するバーナを有する燃焼部と、
この燃焼部で発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、
この一次熱交換器を通過した排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、
この潜熱回収の際に生じたドレン水を中和して排出する中和容器を有する燃焼機器であって、前記中和容器が複数設けられ、前記ドレン水が前記複数の中和容器を通過する構成とされた燃焼機器。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼機器において、複数の中和容器の一方を燃焼機器本体の内部に配置し、他方を燃焼機器本体の外部に配置する構成とした燃焼機器。
【請求項3】
請求項2に記載の燃焼機器において、複数の中和容器の一方を燃焼機器本体の内部に配置し、他方を燃焼機器本体が設置された浴室壁と、浴室床面と、浴槽との間隙に配置する構成とした燃焼機器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃焼機器において、燃焼機器本体の内部に配置した中和容器の少なくとも一つが、燃焼部と前カバーとコントローラとの間隙に配置される燃焼機器。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃焼機器において、燃焼機器本体の内部に配置した中和容器の筐体に貫通穴が設けられ、前期貫通穴の中をドレン水の排水経路以外の配管が通過する燃焼機器。
【請求項6】
燃料ガスを燃焼するバーナを有する燃焼部と、
この燃焼部で発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、
この一次熱交換器を通過した排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、
この潜熱回収の際に生じたドレン水を中和して排出する中和容器を有する燃焼機器であって、前記中和容器が燃焼機器本体の内部に配置され、前記中和容器が燃焼部と前カバーとコントローラとの間隙に配置され、前記中和容器の筐体に貫通穴が設けられ、前記貫通穴の中をドレン水の排水経路以外の配管が通過する燃焼機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−237470(P2012−237470A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105175(P2011−105175)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(301050924)株式会社ハウステック (234)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(301050924)株式会社ハウステック (234)
【Fターム(参考)】
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