説明

燃焼装置

【課題】本発明は、開閉弁等を用いて燃焼領域が減少された場合に、燃焼状態が不安定になるという技術的問題を解決した燃焼装置を提供することを目的とした。
【解決手段】送風機3と、調圧装置6と、燃焼空間14と、複数のバーナ8a〜8tと、下流側に複数の分岐路9a〜9gを備えた燃料供給路9によって構成されている。分岐路9a〜9gは、バーナ8a〜8tに対して燃料ガスを供給するものであり、閉止弁21a〜21gが設けられている。調圧装置6は、一次圧をもって供給された燃料ガスを所定の信号圧に応じた二次圧に調節して吐出するもので、内部に燃料ガスが流れる主流路と、主弁Aと、主弁駆動機構とを有する。主弁駆動機構は、作動流体室jと、作動流体供給部oと、一時リーク路Qにより構成されている。燃焼領域を減少させる際に、作動流体供給部oを一時的に閉鎖して、一時リーク路Qに作動流体をリークする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器等に使用される燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭に給湯器が普及している。一般家庭用の給湯器は、一台の給湯器をもって多数の箇所から給湯することが必要である。例えば、家屋内の台所、浴室、洗面台に給湯栓やシャワーがあり、一台の給湯器をもってこれらに湯を供給する。また、浴槽に対して湯張りをしたり、浴槽内の残り湯を追い焚きする機能を備えた家庭用給湯器も多い。
【0003】
このように家庭用の給湯器は、複数の箇所で湯が使用されることから、要求される湯量や湯温が頻繁に変わる。そのため、給湯器に内蔵される燃焼装置は、給湯量や給湯温度の変化に合わせて燃焼量を変化させる必要がある。
そのため、家庭用の給湯器に内蔵される燃焼装置では、燃焼量を変化させるために、ガス比例弁を備えている。即ち、燃焼装置の燃料供給路に比例弁を設け、必要とされる発熱量に応じて比例弁の開度を調節し、燃料たるガス量を制御することによって燃焼量を変化させている。
【0004】
また、燃焼装置の形式の一つとして、全一次空気式と称される燃焼装置がある。全一次空気式の燃焼装置では、燃焼に必要な空気の殆どを予めバーナ内で混合し、炎孔から混合ガスを放出して燃焼に供される。
特許文献1には、燃料ガス供給路に比例弁を有した全一次空気式の燃焼装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−214622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、全一次空気式の燃焼装置は、前記したように、燃焼に必要な空気の殆どを予めバーナ内で混合するものであるから、バーナに供給する空気量とバーナに供給する燃料ガスの比率(空燃比と称される)は、許容される誤差が小さい。
【0007】
そのため、従来技術の燃焼装置においては、空燃比を許容範囲内に収めるために、燃料ガス比例弁の開度の目標値と、送風機の回転数の目標値を設定し、燃料ガス比例弁の実際の開度等が目標値と一致するように電気的に制御している。
即ち、従来技術においては、燃料ガス比例弁の開度を、その目標開度と一致する様に制御し、同時に送風機の回転数が目標回転数と一致するように制御している。
【0008】
そして、要求される燃焼量が変化した場合は、それぞれの目標値を演算し直し、同時に送風機の回転数が新たな目標値と一致するように制御する。
【0009】
しかしながら、従来技術の構造によると、要求される燃焼量が変化した場合、燃料ガス比例弁の開度と送風機の回転数とが新たな目標値に一致するまでの間、空燃比が許容範囲を外れることとなり、不安定な状態で燃焼が行われる。そのため、従来技術の燃焼装置には、燃焼量を変化させる際の過渡期に、燃焼状態が不安定になるという解決すべき技術的課題がある。
【0010】
また、従来技術の燃焼装置では、燃料ガス比例弁が必須であるが、燃料ガス比例弁は電気制御される精密機械であり、一般的に高価である。そのため、燃料ガス比例弁を省略したいという要求がある。
【0011】
そこで本発明者らは、図10に示すように、燃料ガス供給路に均圧弁106を設け、均圧弁106の圧力信号を送風機103から取り出す構成の燃焼装置101を試作した。
ここで、均圧弁106は、一次圧をもって供給されたガスを二次圧に減圧して吐出する調圧装置であって、圧力を信号として導入する信号圧導入口132を有し、信号圧導入口132から導入される圧力に応じた二次圧に減圧して吐出する調圧装置である。
【0012】
本発明者らが試作した燃焼装置101では、圧力信号を送風機103から取り出しているので、送風量の増減に追従して燃料ガスの供給圧力が変化する。そのため、燃焼量を変化させる際の過渡期に、燃焼状態が不安定になるという技術的課題が解決される。また、試作した燃焼装置101では、送風機103の送風量を変化させることによって燃焼量を変化させることができるので、燃料ガス比例弁は必ずしも必要ではない。
【0013】
しかしながら、試作した燃焼装置101は、燃料供給路109に複数の分岐路109a〜109gを設け、当該分岐路109a〜109gに配した開閉弁121a〜121g等を閉止して燃焼領域を減少させる場合、燃焼状態が不安定になる問題があった。
この理由は次の通りである。試作した燃焼装置101に採用された調圧装置106は、信号圧導入口132から導入された圧力と、調圧装置106における燃料ガスの吐出圧がほぼ等しくなるように燃料ガスの二次圧を調節するものであるが、開閉弁121a〜121gの幾つかを閉止して、燃焼領域を減少させた場合、共通流路たる燃料供給路109の共通路109y内の二次圧が一時的に上昇し、他の開かれた開閉弁121を有する分岐路109a〜109gを通過する燃料ガスの流量が一時的に増加する。そして、前記したように、試作した燃焼装置101は、調圧装置106の働きにより、上昇した二次圧を信号圧に調節するが、当該二次圧が信号圧に調節されるまで、一定の時間を要していた。その結果、信号圧に調整されるまでの間、燃焼空間における、燃料ガスの濃度が過大となり、燃焼状態が不安定となっていた。
一般家庭用の給湯器は、前記したように、要求される湯量や湯温が大きく変わるので、燃焼装置は給湯量等の変化に合わせて燃焼領域を変化させる必要があるが、試作した燃焼装置101は、過渡期においては、開閉弁121a〜121g等を用いた燃焼領域の減少が実行される度に、燃焼状態が不安定となっていた。
【0014】
そこで本発明は、試作した燃焼装置をさらに改良するものであり、開閉弁等を用いて燃焼領域が減少された場合に、燃焼状態が不安定になるという技術的問題を解決した燃焼装置を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
即ち、上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、送風機と、調圧装置と、燃焼空間と、複数のバーナと、下流側に複数の分岐路を備えた燃料供給路とを有し、前記分岐路は、バーナに対して燃料ガスを供給するものであり、一部又は全部の分岐路には開閉弁が設けられ、前記開閉弁を開閉することによって、前記燃焼空間における燃焼領域を増減させることが可能である燃焼装置であって、前記調圧装置は、一次圧をもって供給された燃料ガスを、送風機又は送風機の下流側から検知される所定の信号圧に応じた二次圧に調節して吐出するものであり、内部に燃料ガスが通過する主流路と、主流路の一部の開口面積を増減する主弁と、主弁を動作させる主弁駆動機構とを有し、前記主弁駆動機構は、作動流体によって主弁を動作させるものであって、作動流体が導入される作動流体室と、作動流体を供給する作動流体供給部と、作動流体室の作動流体をリークさせるリーク路とを有し、前記燃焼空間における燃焼領域を減少させる際に、前記作動流体供給部を一時的に閉鎖することを特徴とする燃焼装置である。
【0016】
先に説明したように、試作した燃焼装置では、いずれかの開閉弁を閉止して燃焼領域を減少させた場合に、燃料供給路内の燃料ガスの圧力が上昇し、空気と燃料ガスの空燃比が変化(具体的には燃料ガスの比率が高くなる)して、燃焼状態が不安定となる問題があった。
この問題を調査研究したところ、燃料供給路内の燃料ガスの圧力上昇に伴って実行される、調圧装置の主弁の閉鎖側(開口面積を絞る方向)への移動が遅いことが原因であることが判明した。
【0017】
即ち調圧装置は主弁を持ち、この主弁を動作させることによって燃料ガス流路の有効流路面積を増減して吐出側の圧力を所定の圧力に調圧する。
具体的には、調圧装置の主弁は、ダイアフラムやベローズによって動作される。これらはいずれも所定の作動流体室を持ち、当該作動流体室内は作動流体が流入することで圧力が増減し、当該圧力によりダイアフラムやベローズを膨張・収縮させ、主弁を動作させる。
ここで燃料供給路内の燃料ガスの圧力が上昇すると、主弁を閉鎖側(開口面積を絞る方向)に移動させて、調圧装置から吐出される燃料ガスの圧力を低下させ、燃料供給路内の圧力を正常値に戻す動作が実行させる。そのためには、作動流体室内の作動流体を一部排出し、ダイアフラムやベローズを収縮させる必要がある。しかしながら、先に試作した燃焼装置では、作動流体室内からの作動流体の排出を円滑に行うことができず、ダイアフラムやベローズを収縮させるのに時間がかかっていた。その結果、燃料供給路の圧力が高すぎる状態が暫くの間続き、燃焼状態が不安定となるのであった。
【0018】
本発明は、上記した知見に基づいて発明されたものであり、開閉弁が閉止されて燃焼領域を減少させる際に、作動流体供給部を一時的に閉鎖し、作動流体室内への作動流体の供給路を遮断して、作動流体室内からの作動流体の排出を促すものである。
以下説明すると、本発明の燃焼装置は、調圧装置によって燃料ガスが所定の信号圧に応じて減圧され、当該減圧された燃料ガスは燃料供給路に供給され、分岐路に設けられた開閉弁を開閉することで燃焼空間の燃焼領域を増減させることが可能な構成とされている。
さらに本発明の燃焼装置では、調圧装置が、燃料ガスが通過する主流路における開口面積を増減させる主弁と、主弁を動作させる主弁駆動機構とを備えており、主弁駆動機構が、作動流体室と、作動流体供給部と、リーク路とを有し、作動流体供給部を通過した作動流体が作動流体室に供給されることで、主弁が動作される構成としている。そのため、燃焼領域を減少させる際に、開閉弁を閉止すると共に、作動流体供給部を一時的に閉鎖することで、作動流体室に作動流体が供給されなくなる。
【0019】
さらに、リーク路は、作動流体室から作動流体がリークできるように設けられ、供給された作動流体をリークさせることができる。そのため、作動流体供給部を閉鎖することで、作動流体室内に作動流体が供給されなくなり、さらに作動流体室内の作動流体がリーク路を介してリークするため、作動流体室内の圧力が降下する。これにより、主弁は開口面積を減少させる側に動作し、燃料ガスの二次圧を急速に降下させることができる。従って、本発明の燃焼装置によれば、作動流体供給部を一時的に閉鎖することで、作動流体室内に導入される作動流体を阻止し、さらに作動流体室内の作動流体をリーク路を介してリークさせるため、二次圧を急速に降下させることが可能である。即ち、幾つかの開閉弁を閉止して燃焼領域を減少させた場合であっても、燃料供給路内の二次圧が適切な二次圧に調節されるまでの時間が短縮される。
【0020】
また、本発明の燃焼装置は、あくまで、一時的に作動流体のリーク量を増加させており、燃料供給路内の二次圧が正常に戻るのに要する時間を短縮するものであり、作動流体供給路部は閉鎖されると直ちに開放され、信号圧に応じた適切な二次圧に調節される。そのため、本発明の燃焼装置は、開閉弁を閉止して燃焼領域を減少させる場合であっても、適切な二次圧に調節されるまでの時間が短縮でき、適切な空燃比に調節できるため、燃焼状態が不安定となることを低減できる。
【0021】
本発明の燃焼装置は、前記調圧装置は、一次圧をもって供給される燃料ガスを作動流体とするものであり、作動流体供給部を一時的に閉鎖する作動室側閉止弁を内蔵したものであることが望ましい。(請求項2)
【0022】
かかる構成によれば、作動室側閉止弁を一時的に閉止することで、燃料ガスは、直ちに作動流体室に供給されなくなり、リーク路を介して、一時的に作動流体室の圧力を降下させることができる。これにより、分岐路に設けられた開閉弁を閉止した場合であっても、燃料供給路における二次圧の上昇を低減することができる。
【0023】
本発明の燃焼装置は、作動室側閉止弁は三方弁であり、作動流体供給部の閉鎖と、リーク路の開放を同時に行うものであることが望ましい。(請求項3)
【0024】
かかる構成とした場合、作動流体室内の燃料ガスを、素早くリーク路に流すことができるため、分岐路の開閉弁を閉止して燃焼領域を減少させた場合であっても、燃料供給路における二次圧は、短時間で適切な圧力に調節される。
【0025】
請求項4に記載の発明は、前記調圧装置は、主弁より上流側の主流路に主流路側閉止弁が設けられ、前記主流路側閉止弁は、前記燃焼空間における燃焼領域を減少させる際に、主流路を一時的に閉鎖することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃焼装置である。
【0026】
本発明の燃焼装置は、幾つかの開閉弁を閉止して燃焼領域を極端に減少させる場合であっても、主流路側閉止弁が主流路を一時的に閉鎖できるため、より迅速に燃料供給路の二次圧を減圧できる。即ち、主流路側閉止弁の閉鎖により、燃料ガスが二次圧側に供給されなくなるため、燃焼領域が極端に減少されることがあっても、適切な二次圧に調節されるまでの時間をごく短くできる。
【0027】
本発明の燃焼装置は、前記作動室側閉止弁と主流路側閉止弁は、開閉動作を同時に行うことが可能であることが望ましい。(請求項5)
【0028】
本発明の燃焼装置は、作動室側閉止弁と主流路側閉止弁が、開閉動作を同時に行うことが可能であるため、燃料供給路の開閉弁の幾つかを閉止して、急激に燃焼領域を減少させた場合であっても、二次圧は素早く減圧されるため、適切な二次圧に調節されるまでの時間が短縮される。即ち、本発明の燃焼装置によれば、分岐路の開閉弁を閉止して燃焼領域を減少させても、ごく短い時間で、ほぼ適切な空燃比に調節をできるため、不安定な燃焼状態をより低減できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、開閉弁等を用いて燃焼領域が変化された場合であっても、燃焼状態が不安定になるという技術的問題を解決した燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る燃焼装置を示す構成図である。
【図2】本実施形態の燃焼装置に採用される調圧装置(第一及び第二電磁弁開放状態)を示す概念図である。
【図3】図2の調圧装置(第二電磁弁閉鎖状態)を示す概念図である。
【図4】図2の調圧装置(第一及び第二電磁弁閉鎖状態)を示す概念図である。
【図5】本発明の燃焼装置における燃焼領域を減少させたときの二次圧を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る燃焼装置の点火時における動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る燃焼装置の動作を示すフローチャートであり、燃焼中に燃焼領域が減少した場合の動作について説明するものである。
【図8】本発明の燃焼装置の変形例を示す構成図である。
【図9】本発明の燃焼装置の変形例を示す構成図である。
【図10】本発明者が試作した燃焼装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態の燃焼装置について説明する。なお、以下の説明において、上下左右の位置関係は、特に断りのない限り、図面を基準として説明する。
図1に示す燃焼装置1は、図示しない給湯器に内蔵され、熱交換器4等を加熱するものであり、図示しない制御装置と、燃焼装置本体2と、送風機3と、燃料供給路形成部材5及び調圧装置(以下、均圧弁とも言う)6によって構成されている。
【0032】
本実施形態で採用する送風機3は、シロッコファンやターボファンのように、ケーシング内に回転羽根が設けられたものである。また、送風機3を回転させるモータは、直流モータ又はインバータ制御された交流モータであり、回転数を増減することができる。
【0033】
燃焼装置本体2は、バーナケース7内に20本のバーナ8a〜8tを内蔵したものである。バーナケース7内において、20本のバーナ8a〜8tは、7の群19に区分されている。即ち、図1に示すように、第一群19aは4本のバーナ8a〜8dが属し、第二群19bは4本のバーナ8e〜8hが属し、第三群19cは3本のバーナ8i〜8kが属し、第四群19dは2本のバーナ8l〜8mが属し、第五群19eは2本のバーナ8n〜8oが属し、第六群19fは2本のバーナ8p〜8qが属し、第7群19gは3本のバーナ8r〜8tが属する。なお、本実施形態で採用するバーナ8a〜8tは、全て同一形状のものであり、容量は等しい。
【0034】
バーナケース7は、図1に示すように、上下二段に分けられ、区切りを基準とした空気の流れ方向下流側がバーナ装着部10として機能し、上流側が空気流路形成部11として機能する。なお、空気流路形成部11は、バーナ8a〜8tに空気を導入する流路として機能し、送風路37の一部とされている。また、バーナ装着部10の上部側では、火炎を発生させることができる。即ち、バーナ装着部10の上部側は、燃焼空間14として機能する。
【0035】
バーナ装着部10は7室に区分されており、当該7室には、前記したように、バーナ8a〜8tが前記室毎に設定された数に振り分けられて、挿入されている。
また、バーナ8a〜8tは、端部にそれぞれ空気・ガス導入口18が設けられている。バーナ8a〜8tの上面部には、図示しない炎孔が形成されている。即ち、前記炎孔は、バーナ8における混合ガスの流れ方向最下流に配されており、燃焼空間14に向けて火炎を発生させることができる。
【0036】
本実施形態では、各バーナ8a〜8tの空気・ガス導入口18の近傍にノズル20a〜20tがあり、当該ノズル20a〜20tから各バーナ8a〜8t内に燃料ガスが導入される。また、空気流路形成部11が各バーナ8a〜8tの端部と連通しており、空気流路形成部11から空気・ガス導入口18を経て各バーナ8a〜8tに空気が導入される。
【0037】
そして、空気・ガス導入口18から空気と燃料ガスが導入されると、バーナ8a〜8t内を通過しつつ、両者が混合され、前記炎孔から混合ガスが放出される。
【0038】
燃料供給路形成部材5は、前記した各ノズル20a〜20tを経て、各バーナ8a〜8tに燃料ガスを供給する燃料供給路9を有する部材である。
燃料供給路9は、燃料ガスの流れ方向下流側に7条に形成された分岐路9a〜9gを備えており、燃料ガスの流れ方向上流側では、全ての分岐路9a〜9gに至る燃料ガスが共通して流れる共通路9yを備えている。分岐路9a〜9gは、流路が平面状に分岐するものが採用されている。
【0039】
各分岐路9a〜9gの先端側(燃料ガスの流れ方向上流側)では、各分岐路9a〜9gの開口端が集まって開口端群22を構成している。開口端群22は、各分岐路9a〜9gの断面積の比率が維持された断面積とされている。
【0040】
また、燃焼空間14においては、群19毎に燃焼面積が分割されている。具体的には、燃焼面積は、群19の数に応じて分割されており、7分割されている。。
従って、本実施形態の燃焼装置1によれば、各バーナ8a〜8tにおいて、均一した大きさの火炎を発生させると共に、各分割面積15a〜15gにおいて、均一した燃焼を行うことが可能となる。
【0041】
また、燃料供給路形成部材5の分岐路9a〜9gの中途には、それぞれ公知技術の開閉弁(電磁弁)21a〜21gが設けられている。
【0042】
次に、本実施形態で採用する調圧装置6について説明する。
【0043】
調圧装置6は、具体的にはパイロット式の均圧弁で、減圧弁の一種であり、一次圧をもって供給された燃料ガスを二次圧に減圧して吐出する調圧装置である。ただし、一般の減圧弁は、設定された一定の圧力に二次圧を調圧するのに対し、本実施形態で採用する均圧弁は、信号圧に応じて吐出圧が変動する点で異なる。
【0044】
具体的には、図1に示すように、本実施形態に採用された調圧装置6は、圧力を信号として導入する信号圧導入口(信号圧導入部)32を有し、一次圧をもって供給された燃料ガス(作動流体)を信号圧導入口32から導入される信号圧に応じた二次圧に減圧して吐出する調圧装置である。即ち、調圧装置6は、図1に示すように、ガス導入口30と、ガス吐出口31と、信号圧導入口32を備え、ガス導入口30から導入された燃料ガスを減圧してガス吐出口31から吐出するものであるが、ガス吐出口31から吐出される燃料ガスの圧力が、信号圧導入口32に導入される信号圧に依存して変化するものである。
【0045】
また、調圧装置6の信号圧は、送風機3の吐出側から検知される。即ち、図1に示すように、送風機3とバーナケース7の中間部分から検出されている。詳細には、送風機3とバーナケース7の中間部分(送風路37)に信号圧取出部33が設けられ、信号圧取出部33と調圧装置6の信号圧導入口32の間が信号圧導通管35によって接続されている。
【0046】
より具体的に、調圧装置6について説明すると、図2に示すように、均圧弁(調圧装置)6は、主弁Aと補助弁(パイロット弁)Bとを備えている。また、均圧弁6内には、主流路Dと補助流路Eと一時リーク路Qが設けられており、主弁Aは主流路Dに設けられ、補助弁Bは補助流路Eに設けられている。
【0047】
ここで、主流路Dは、均圧弁6のガス導入口30からガス吐出口31に至る流路であり、ガス供給源から供給される燃料ガス(作動流体)が減圧されて吐出される流路である。
【0048】
主流路Dは、図2に示すように、ガス導入口30に繋がる導入路eと、平行路f及び吐出路gによって構成される一連の流路である。導入路eと平行路fとの間は、第一開口hによって連通し、平行路fと吐出路gとの間には第二開口iによって連通している。
【0049】
主弁Aは、ダイヤフラムa1によって動作される弁であり、燃料ガスの主流路Dに設けられている。また、ダイヤフラムa1と対向する位置に配されたダイヤフラムa2は、ダイヤフラムa1に掛かる圧力を補助的に調整するものである。具体的には、主弁Aは、主流路Dの第二開口iに設けられており、第二開口iの開度を調節するものである。即ち、主弁Aは、主流路Dの開口面積を増減させるものであり、主弁Aが閉じる方向に動作すると二次圧が低下し、主弁Aが開く方向に動作すると二次圧が上昇する。
【0050】
主弁Aは、前記したように、ダイヤフラムa2により圧力が調整されつつ、ダイヤフラムa1によって動作されている。即ち、ダイヤフラムa1及びダイヤフラムa2により構成される作動圧室(作動流体室、主弁駆動機構)jがある。また、ダイヤフラムa1の外側と、ダイヤフラムa2の外側には、それぞれバネu1又はバネu2が配され、作動圧室jはバネu1,u2により圧縮される方向に押圧されている。従って、作動圧室j内の圧力と、バネu1の押圧力とが調和するように、ダイヤフラムa1が移動し、主弁Aを移動させる。
【0051】
補助流路Eは、主流路Dの一部が分岐されたものであり、ダイヤフラムa1及びダイヤフラムa2で構成された作動圧室jに連通するものである。具体的には、補助流路Eは、分岐室mを経て作動圧室jに至る流路である。
【0052】
より具体的には、補助流路Eは、主流路Dの平行路fに設けられた開口(作動流体供給部、主弁駆動機構)oを介して分岐室mと連通し、さらに分岐室m内の開口pと作動圧室j内の開口sが一点鎖線の導通管Pで連通している。
【0053】
その結果、平行路f、開口o、分岐室m、開口p、開口s、作動圧室jに至る流路を備えた一連の補助流路Eが形成されている。なお、分岐室mには、燃料ガスの一部がリークする常時リーク路Tが設けられており、常時リーク路Tは開口tを介して二次圧連通室wと連通している。なお、常時リーク路Tの開口tは、極めて小さい開口面積である。
【0054】
また、補助流路Eは、一部が分岐されており、分岐室mに設けられた開口qを介して一時リーク路(主弁駆動機構)Qと連通している。なお、一時リーク路Qは、常時リーク路Tより開口面積が十分大きく設定されており、二次圧連通路xと連通している。
【0055】
補助弁Bは、ダイヤフラムbによって動作される弁であり、二次圧連通室wの開口tに設けられている。即ち、補助弁Bは、開口tの開度を調節するものであり、分岐室mの圧力を調節するものである。従って、補助弁Bにより、開口tの開口面積を増減でき、補助弁Bが閉じ方向に動作すると分岐室mの圧力が上昇し、補助弁Bが開き方向に動作すると分岐室mの圧力が降下する。
【0056】
また、ダイヤフラムbは、一方の壁面に二次圧が作用し、他方の壁面に信号圧が作用するものであり、二次圧と信号圧の大小に応じて動作する。即ち、ダイヤフラムbを境として、一方側は、二次圧連通室wが設けられ、二次側連通室wは二次圧連通路xを介して主流路Dの吐出路gと連通している。二次圧連通室wには、均圧弁6の二次圧が掛かる。
ダイヤフラムbの他方側には、ダイヤフラムbを構成壁の一つとする信号圧室vが設けられている。そして、信号圧室vは、信号圧導入口32を介して送風路37と連通している。
【0057】
従って、ダイヤフラムbは、一方に信号圧室vがあり、他方に二次側連通室wが設けられており、信号圧室v内の圧力と二次圧連通室w内の圧力とが調和するように移動する。即ち、信号圧室vには信号圧導入口32から導入される信号圧が掛かり、二次圧連通室wには均圧弁6の吐出路gから導入される二次圧が掛かるため、ダイヤフラムbは信号圧と、吐出路gの二次圧とが調和するように移動する。
【0058】
さらに、本実施形態で採用する均圧弁6では、第一電磁弁(主流路側閉止弁)z1と第二電磁弁(作動室側閉止弁)z2とを備えている。第一電磁弁z1は、主流路Dの第一開口hに設けられており、主流路D自体を開閉するものである。
第二電磁弁z2は、開口oに設けられており、補助流路Eを開閉するものである。本実施形態では、分岐室mには、開口oと対向する位置に、開口qが設けられており、開口qは開口oと同様、第二電磁弁z2により開閉されるものである。具体的には、第二電磁弁z2は、開口(作動流体供給部)oを閉鎖すると開口qを開放し、開口oを開放すると開口qを閉鎖する。即ち、第二電磁弁z2は、一時的に開口oを閉鎖し、燃料ガスの流れを切り替える三方弁としての機能を果たすものである。
【0059】
次に、本実施形態で採用する均圧弁6の作用について説明する。
【0060】
均圧弁6は、ガス導入口30がガス供給源に接続され、ガス吐出口31が負荷側に接続されて使用される。信号圧導入口32は、所望の信号供給源(本実施形態では送風機3)に接続される。
また、原則として通常燃焼時においては、第一電磁弁z1は開口hが開放された状態で使用されており、第二電磁弁z2は開口o及び開口pが開放された状態で使用されている。即ち、通常燃焼時では、主流路D及び補助流路Eはいずれも開放されている。
【0061】
そして、本実施形態では、開閉弁21a〜21gを閉止して、燃焼領域を減少する制御をする場合に、一時的に第一電磁弁z1及び第二電磁弁z2を閉鎖し、主流路D及び補助流路Eのいずれも一時的に閉鎖することとした。
【0062】
まず、第一電磁弁z1及び第二電磁弁z2を開放した状態における、燃料ガスの流れ及び均圧弁6の作用について説明する。
燃料ガスは、前記した主流路Dを流れる。即ち、燃料ガスは、ガス導入口30から導入路eに入り、そして平行路fを流れる。平行路fを通過した燃料ガスは、第二開口iを経て吐出路gに流れてガス吐出口31から吐出される。
ここで、第二開口iには、主弁Aが設けられているため、吐出路gを流れる燃料ガスは、主弁Aによって流量が制御されることとなる。即ち、第二開口iよりも上流側のガス圧は、一次圧(高圧)であり、ガス供給源と同一の圧力となるが、第二開口iよりも下流側のガス圧は、減圧されて低圧(二次圧)となる。
【0063】
一方、補助流路Eを流れる燃料ガスは、開口oを通過して分岐室m、開口p及び開口sを経て作動圧室jに流れる。このとき、第二電磁弁z2は開口qを閉鎖した状態であるため、燃料ガスが開口qを通過して一時リーク路Qに流れることはない。しかしながら、分岐室mには、リーク用の常時リーク路T及び開口tが設けられているため、作動圧室j内の圧力は、開口tの開度に依存することとなる。即ち、開口tが閉じられると、補助流路Eは主流路Dの高圧側(第二開口iよりも上流側)の圧力と同一の圧力(一次圧)となる。一方、開口tが開くと、分岐室m内の燃料ガスが開口tから漏れて二次圧連通室wに流れるため、分岐室m内の圧力は低下する。従って、作動圧室jに導入される圧力が低下する。
【0064】
そして、開口tには、補助弁Bが設けられ、補助弁Bはダイヤフラムbによって動作する。即ち、当該ダイヤフラムbは、前記したように、信号圧室vと二次圧連通室wの間にあり、信号圧室v内の圧力と二次圧連通室w内の圧力とが調和するように移動する。換言すると、ダイヤフラムbは、送風路37の信号圧と吐出路gの二次圧とが調和するように移動する。
【0065】
従って、例えば、信号圧が上昇すると、信号圧室vの圧力が上昇してダイヤフラムbが下方(図2)に膨出し、補助弁Bを押し下げて開口tの開度を狭める。その結果、開口tから漏れる燃料ガスの流量が低下し、分岐室mの圧力が上昇する。そのため、分岐室mと連通する作動圧室jの圧力が上昇し、ダイヤフラムa1が上方(図2)に膨出し、主弁Aを押し上げて第二開口iの開度を上げ、第二開口iを通過する燃料ガスの流量を増加させて低圧側(第二開口iよりも下流側)の圧力(二次圧)を上昇させる。即ち、信号圧が上昇すると、二次圧が上昇する。
【0066】
何らかの理由で、二次圧が低下した場合も同様であり、二次側連通室wの圧力が低下してダイヤフラムbが下方(図2)に膨出し、補助弁Bを押し下げて開口tの開度を狭める。その結果、開口tから二次圧連通室w側に漏れる燃料ガスの流量が低下し、分岐室m及び作動圧室jの圧力が上昇し、ダイヤフラムa1が上方(図2)に膨出し、さらにダイヤフラムa2がバネu2の力に抗して下方(図2)膨出することで、主弁Aを押し上げて第二開口iの開度を上げ、低圧側(第二開口iよりも下流側)の圧力を上昇させる。即ち、二次圧が低下すると、これを補正する方向に主弁Aが移動し、二次圧を上昇させる。
【0067】
逆に、信号圧が降下すると、信号圧室vの圧力が降下し、二次側連通室wの圧力に押されてダイヤフラムbが上方(図2)に移動し、補助弁Bを開いて開口tからリークする燃料ガスの量を増加させ、分岐室mの圧力を降下させる。その結果、分岐室mと連通する作動圧室jの圧力が降下し、ダイヤフラムa1が下方(図2)に移動し、主弁Aを下げて第二開口iの開度を下げて、第二開口iを通過する燃料ガスの流量を減少させて低圧側(第二開口iよりも下流側)の圧力を降下させる。即ち、信号圧が降下すると、これに伴って二次圧も降下する。
【0068】
二次圧が上昇した場合も同様であり、吐出路gと連通した二次側連通室wの圧力が上昇して、ダイヤフラムbが上方(図2)に移動し、補助弁Bを上方に移動させて、リーク用の開口tの開度を開く。その結果、開口tから二次圧連通室w側に漏れる燃料ガスの流量が増加し、分岐室m及び作動圧室jの圧力が降下し、ダイヤフラムa1が下方(図2)に移動し、さらにダイヤフラムa2がバネu2の力に押されて上方(図2)に移動し、主弁Aを下げて第二開口iの開度を減少させて、低圧側(第二開口iより下流側)の圧力を降下させる。即ち、吐出路gの二次圧が上昇すると、これを補正する方向に主弁Aが移動し、二次圧を降下させる。
【0069】
次に、第二電磁弁z2のみを閉鎖する場合と、第一電磁弁z1及び第二電磁弁z2を閉鎖する場合における、燃料ガスの流れ及び均圧弁6の作用について説明する。
【0070】
本実施形態では、図3に示すように、燃焼空間14における燃焼領域を減少させる場合に、開閉弁21a〜21gの幾つかが閉止すると同時に、第二電磁弁z2を閉鎖することとした。これにより、上昇した二次圧が、所定の信号圧に調節されるまでに要していた時間を、ほぼなくすことができる。
【0071】
具体的に説明すると、第二電磁弁z2によって開口oを閉鎖することで、主流路Dから分岐した補助流路Eが閉鎖され、開口qが開放されるため、主流路Dを流れる燃料ガスが、補助流路E側に流れることがなくなる。これにより、主流路Dから分岐室mに燃料ガス(作動流体)が供給されなくなり、作動圧室jには燃料ガス(作動流体)が流入しなくなる。
また、開口qが開放されることで、一時リーク路Qが開放されるため、分岐室m及び作動圧室j内の燃料ガスが吐出路g側にリークする。このとき、常時リーク路Tも開放された状態であるが、前記したように、一時リーク路Qの開口面積が、常時リーク路Tの開口面積より十分大きく設定されているため、分岐室mの燃料ガスは一時リーク路Qを流れると共に、分岐室mと連通した作動圧室jの燃料ガス(作動流体)が、一時リーク路Qを通過して早期にリークする。即ち、分岐室m及び作動圧室j内の圧力が素早く低下する。その結果、ダイヤフラムa1は下方(図3)に移動する。そして、ごく僅かな一定時間が経過すると、第二電磁弁z2は再び開放され、所望の燃焼領域に減少された通常燃焼が継続される。
【0072】
従って、本実施形態の燃焼装置1によれば、開閉弁21a〜21gの幾つかを閉止して燃焼領域を減少させた場合であっても、図5に示すように、一時的に二次圧が上昇して、信号圧によって調節されるまでの一連の時間が短縮でき、通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率が増加することで生じる不安定な燃焼状態を低減できる。特に、本実施形態では、二次圧が上昇した後から正常な二次圧に調節されるまでの間の時間が短縮できる。また、図5に示すように、開閉弁21a〜21gを閉止すると同時に、第二電磁弁z2を閉止し、一時リーク路Qから作動圧室jの燃料ガスを急速にリークさせるため、上昇したときの二次圧の上限値は第二電磁弁z2を閉鎖しない制御と比較すると、低下した値を示す。
【0073】
また、例えば、本実施形態において、全開閉弁21a〜21gを開いた燃焼状態から開閉弁21aのみを開いた燃焼状態に燃焼領域を減少するような場合、即ち燃焼領域を極端に減少させる場合は、一時的ではあるが、燃料供給路9における二次圧が比較的大きく上昇するため、本実施形態の燃焼装置1では、第二電磁弁z2の閉鎖に加えて、図4に示すように、第一電磁弁z1を同時に閉鎖することも可能とした。
【0074】
即ち、上記した第二電磁弁z2のみを閉鎖する制御に加えて、第一電磁弁z1を同時且つ一時的に閉鎖することで、開口hが瞬時的に閉鎖され、主流路Dが閉鎖されるため、ガス導入口30から平行路fへの燃料ガスの供給がなくなる。即ち、開口iを通過する燃料ガスの流量が殆どなくなるため、第二電磁弁z2のみを閉鎖する場合と比較すると、二次圧の降下速度を早めることができる。これにより、燃焼領域の大幅な減少がされた場合であっても、前記同様、信号圧に調節されるまでの時間を短縮できる。即ち、本実施形態の燃焼装置1によれば、通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率が増加することで生じる不安定な燃焼状態を低減できる。なお、第一電磁弁z1及び第二電磁弁z2の閉鎖は、あくまで瞬時的なものであり、閉鎖後は直ちに開放されるため、燃焼空間14における燃焼が停止するまでには至らない。
【0075】
次に本実施形態の燃焼装置1における、燃焼中から燃焼領域を減少させる際の動作について説明する。
【0076】
まず、燃焼装置1が燃焼状態に至るまでの動作について説明する。
図6のフローチャートに従って説明すると、本実施形態の燃焼装置1では、図示しない制御装置は、燃焼空間14で燃焼が行われていない場合、燃焼要求を待つ(ステップ1)。例えば、給湯器に燃焼装置1が採用されている場合であれば、カランを開く等の操作によって給湯要求が生じ、燃焼要求が発生する。
ステップ1で燃焼要求があると、ステップ2に進み、点火前の予備送風(プレパージ)を行う。
具体的には、ステップ2でタイマを起動し、送風機3を回転して送風を開始する(ステップ3)。これにより、全バーナ8a〜8tに送風がなされる。
【0077】
そして、ステップ4でプレパージに要する時間が終了すると、ステップ5に移行して、全て又は一部の開閉弁21a〜21gを開き、燃料供給路9に燃料ガスを供給する。そして、ステップ5で、燃料ガスが燃料供給路9に供給されると、ステップ6に移行し、図示しないイグナイタ等で点火する。そして、ステップ7で、燃焼状態にあるか否かが確認される。ステップ7で、燃焼状態であることが確認されると、正常に点火が行われていると判断し、通常燃焼が行われる。
【0078】
そして、通常燃焼時では、図7のフローチャートに従って、ステップ1で、燃焼領域を減少させるか否かが確認される。ステップ1で、燃焼領域を減少すると判断された場合、ステップ2に移行し、燃焼運転が停止されるか否かが確認される。ステップ2で、燃焼運転は停止されないと判断されると、開状態の開閉弁21の一部が閉止されると同時に、第二電磁弁z2のみ閉鎖又は第一電磁弁z1と第二電磁弁z2の双方が閉鎖される(ステップ3)。
【0079】
これにより、本実施形態の燃焼装置1では、開閉弁21a〜21gの幾つかが閉止されて燃焼領域が減少された場合であっても、第二電磁弁z2のみ閉鎖又は第一電磁弁z1と第二電磁弁z2の双方を一時的に閉鎖して二次圧を減圧するため、図5に示すように、開閉弁21の閉止から適切な二次圧に調節されるまでの時間が短縮され、不安定な燃焼状態となることが低減される。なお、第一電磁弁z1と第二電磁弁z2は、燃焼中においては、ごく僅かな時間(0.1〜0.3秒程度)のみ閉鎖されるため、双方の電磁弁z1,z2は閉鎖後直ちに開放状態となり、所望の燃焼領域における通常燃焼となる。
なお、図7のステップ2で、燃焼運転の停止が確認されると、ステップ4に移行して、開状態の閉止弁21を全部閉止し、燃焼が停止される(ステップ5)。そして、再び、図6のフローチャートのステップ1で待機することとなる(ステップ6)。また、図7のステップ1で、燃焼領域を減少すると判断されなかった場合、ステップ7に移行するが、本発明には直接的に関係しない動作であるため、説明を省略する。
【0080】
上記実施形態では、パイロット式の調圧装置6を用いた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、図8に示すように、直動式の調圧装置36を用いた構成であっても構わない。この場合、例えば、送風機3からの信号圧が導通する信号圧導通管(作動流体供給部)35に、三方弁40を設け、当該三方弁40の2方向の接続口40a,40bが信号圧導通管35の一部を形成し、残りの1方向の接続口40cが一時リーク路42と繋がる構成とすることで、上記実施形態で示した同様の効果が期待できる。このとき、作動流体は送風機3からの空気である。
即ち、開閉弁21a〜21gの幾つかを閉止して、燃焼領域を減少する場合、開閉弁21の閉止と同時に、三方弁40を一時的に切り替える。即ち、三方弁40を、接続口40aと接続口40cが連通するように切り替えることで、送風機3からの信号圧が一時リーク路42を開して外部などに放出される。この結果、調圧装置36の作動圧室(作動流体室)36iに信号圧が導入されなくなり、調圧装置36内のダイヤフラム36bが下方(図8)に移動すると共に、主弁36aも下方(図8)に移動する。これにより、燃料ガスの通過面積が狭まり、二次圧が減圧される。即ち、本構成によれば、調圧装置36への信号圧の導入を強制的に停止することで、一時的に二次圧が上昇する時間を短縮できるため、開閉弁21を用いて燃焼領域を減少させた場合であっても、不安定な燃焼状態が生じることを低減できる。
【0081】
上記実施形態では、バーナ8の数が異なる7の群19を備え、各群19に1本の分岐路9a〜9gが配された構成を示したが、本発明はこれに限定されず、図9に示すように、バーナ8の数と分岐路9の数が等しい構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0082】
1 燃焼装置
3 送風機
6 調圧装置(均圧弁)
8 バーナ
9 燃焼供給路
9a〜9g 分岐路
14 燃焼空間
21 開閉弁(電磁弁)
35 信号圧導通管(作動流体供給部)
36 調圧装置
36j 作動圧室(作動流体室)
40 三方弁
42 一時リーク路(リーク路)
A 主弁
D 主流路
j 作動圧室(作動流体室)
o 開口(作動流体供給部)
Q 一時リーク路(リーク路)
z1 第一電磁弁(主流路側閉止弁)
z2 第二電磁弁(作動室側閉止弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、調圧装置と、燃焼空間と、複数のバーナと、下流側に複数の分岐路を備えた燃料供給路とを有し、
前記分岐路は、バーナに対して燃料ガスを供給するものであり、一部又は全部の分岐路には開閉弁が設けられ、
前記開閉弁を開閉することによって、前記燃焼空間における燃焼領域を増減させることが可能である燃焼装置であって、
前記調圧装置は、一次圧をもって供給された燃料ガスを、送風機又は送風機の下流側から検知される所定の信号圧に応じた二次圧に調節して吐出するものであり、内部に燃料ガスが通過する主流路と、主流路の一部の開口面積を増減する主弁と、主弁を動作させる主弁駆動機構とを有し、
前記主弁駆動機構は、作動流体によって主弁を動作させるものであって、作動流体が導入される作動流体室と、作動流体を供給する作動流体供給部と、作動流体室の作動流体をリークさせるリーク路とを有し、
前記燃焼空間における燃焼領域を減少させる際に、前記作動流体供給部を一時的に閉鎖することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記調圧装置は、一次圧をもって供給される燃料ガスを作動流体とするものであり、作動流体供給部を一時的に閉鎖する作動室側閉止弁を内蔵していることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
作動室側閉止弁は三方弁であり、作動流体供給部の閉鎖と、リーク路の開放を同時に行うことを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記調圧装置は、主弁より上流側の主流路に主流路側閉止弁が設けられ、
前記主流路側閉止弁は、前記燃焼空間における燃焼領域を減少させる際に、主流路を一時的に閉鎖することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記作動室側閉止弁と主流路側閉止弁は、開閉動作を同時に行うことが可能であることを特徴とする請求項4に記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−12897(P2011−12897A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157664(P2009−157664)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】