説明

燃焼装置

【課題】一次流通経路とバーナーユニットの導入口との接合箇所や、バーナーユニット自体を構成する部材の接合箇所などからバーナーユニット間の空間へと、バーナーユニット内の混合気が漏洩することを防止して燃焼状態を良好に保つこと。
【解決手段】第1仕切板40は、バーナーユニット10の導入口11,13が配置された領域よりも二次空気の下流側に配置されているため、第1仕切板40に仕切られた二次空気の上流側は、第1仕切板40が抵抗となるために圧力が高まり、導入口11,13からバーナーユニット10内に至る領域およびバーナーユニット10内の圧力と、バーナーユニット10同士の間に形成された空間において第1仕切板40で仕切られた二次空気の上流側の圧力と、の圧力差は小さくなる。これにより、バーナーユニット10同士の間に形成された空間へとバーナーユニット10内の混合気が漏洩することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバーナーユニットそれぞれを収納ケース内に一定間隔で並べて収納した強制燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
強制燃焼装置は、ファンにより供給された燃焼用空気のうち、一次空気を各バーナーユニットの導入口へ導入させ、二次空気をバーナーユニット同士の間に形成された空間それぞれに流通させるように構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−332608号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した構成では、バーナーユニットの導入口に、ノズルから噴出される燃料ガスと一次空気との混合気が導入されるため、導入口からバーナーユニット内に至る領域およびバーナーユニット内の圧力が、バーナーユニット同士の間に形成された空間よりも高くなり、大きな圧力差が生じている。
【0005】
また、バーナーユニットは、炎口に形成される火炎により高温となるため、バーナーユニット外を流通する二次空気よりも、閉じられたバーナーユニット内を流通する混合気に対して大きな温度上昇がもたらされるが、この温度上昇に基づく熱膨張によっても、バーナーユニット内とバーナーユニット同士の間に形成された空間との圧力差が大きくなる。
【0006】
このように圧力差が大きくなる構成では、圧力差を縮めようとして圧力の高い側から低い側へとバーナーユニット内の混合気が流れようとするため、一次空気が流通する一次流通経路とバーナーユニットの導入口との接合箇所や、バーナーユニット自体を構成する部材の接合箇所などにおける極小さなすき間からバーナーユニット間の空間へと、バーナーユニット内の混合気が漏れ出てしまう恐れがある。
【0007】
このようにバーナーユニット内の混合気がバーナーユニット間の空間へと漏れてしまうことは、この混合気がバーナーユニット間の空間を経て燃焼室内でも充分に燃焼されずに未燃のまま装置外部まで漏れてしまう可能性がある。このような混合気が基準値以上のハイドロカーボンとして検出されるようになると、燃焼装置として燃焼不良であると判定しなければならなくなってしまう。また、混合気の漏れる量が多くなると、その混合気の不完全燃焼によってアルデヒドやハイドロカーボンなど刺激臭や有毒性のある中間生成物が発生し、これらが装置外に排出されてしまうため、好ましいことではない。
【0008】
そして、上記のような混合気の漏洩によりガス濃度が乱れてしまうと、良好な燃焼状態を保てなくなる恐れがある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、一次流通経路とバーナーユニットの導入口との接合箇所や、バーナーユニット自体を構成する部材の接合箇所などからバーナーユニット間の空間へと、バーナーユニット内の混合気が漏洩することを防止し、これにより、燃焼状態を良好に保つための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため第1の構成(請求項1)は、それぞれが、導入口から燃料ガスおよび一次空気を導入し、これらの混合気を炎口から噴出させて点火することにより前記炎口に火炎を形成させる複数のバーナーユニットと、前記バーナーユニットそれぞれを、隣接する前記バーナーユニット同士の間隔が一定となる位置関係で並べて収納すると共に、開口部から流入する燃焼用空気のうちの一次空気を前記バーナーユニットそれぞれの導入口へ流通させる一次流通経路、および、前記燃焼用空気のうちの二次空気を前記バーナーユニット同士の間に形成された空間それぞれへと流通させる二次流通経路が形成されている収納ケースと、前記収納ケースの開口部に燃焼用空気を供給するファンと、前記バーナーユニット同士の間に形成された空間のうち、1以上の空間それぞれにつき、該空間において前記バーナーユニットの導入口が配置された領域よりも二次空気の下流側に配置されるとともに、二次空気を流通させるための流通孔が1以上形成されている第1仕切板と、を備えている。
【0010】
このように構成された燃焼装置によれば、バーナーユニット同士の間に形成された1以上の空間それぞれに第1仕切板が配置されているが、この第1仕切板は、バーナーユニットの導入口が配置された領域よりも二次空気の下流側に配置されている。
【0011】
そのため、バーナーユニット同士の間に形成された空間のうち、第1仕切板に仕切られた二次空気の上流側は、第1仕切板が抵抗となるために、この第1仕切板を配置していない構成と比べて圧力が高められる。これにより、導入口からバーナーユニット内に至る領域およびバーナーユニット内の圧力と、バーナーユニット同士の間に形成された空間において第1仕切板で仕切られた二次空気の上流側の圧力と、の圧力差は小さくなる。
【0012】
このように圧力差が小さくなることで、バーナーユニットの導入口と一次流通経路との接合箇所や、バーナーユニット自体を構成する部材の接合箇所などからバーナーユニット同士の間に形成された空間へと、圧力の高い側から低い側へ向かうバーナーユニット内の混合気の流れが生じにくくなるため、混合気が漏洩することを防止できる。
【0013】
こうして、バーナーユニット同士の間に形成された空間へと混合気が漏洩してしまうことを防止することにより、混合気が未燃のまま装置外部に漏洩することを防止することができる。また、バーナーユニット内のガス濃度を安定させることもできるので、燃焼状態を良好に保つことができる。
【0014】
また、この構成においては、以下に示す第2の構成(請求項2)のようにしてもよい。
第2の構成では、前記バーナーユニット同士の間に形成された空間のうち、1以上の空間と前記二次流通経路との間に配置された第2仕切板を備えており、前記第2仕切板は、前記導入口が配置された領域よりも二次空気の上流側に配置されるとともに、二次空気を流通させるための流通孔が1以上形成されている。そして、該流通孔は、開口部から流入する二次空気量の分布に合わせて、大きさ、数、位置が適宜決められる。
【0015】
この構成であれば、第1の構成に加え、第2仕切板により、バーナーユニット同士の間に形成された空間それぞれ、および、これら空間同士における二次空気量の分布を均一化させることができるため、第1仕切板により圧力差を小さくするだけでなく、この圧力差の分布を第2仕切板によりなくすことができる。
【0016】
この構成において、第2仕切板における流通孔は、第3の構成(請求項3)のように、該流通孔の総面積が、全ての前記第1仕切板に形成された流通孔の総面積よりも大きくなるように形成されている、ことが望ましい。
【0017】
この構成であれば、第2仕切板、第1仕切板の順番で段階的に二次空気のベクトル(流れ)を調整できるため、バーナーユニットの炎口において燃焼に必要な二次空気量を確保しつつ、第1仕切板と第2仕切板とで仕切られた空間の圧力を調整することができる。
【0018】
また、上記各構成において、第2仕切板は、バーナーユニット同士の間に形成された空間のうち、1以上の空間全てと二次流通経路との間に配置された1枚の板状部材として構成してもよいし、1以上の空間に対して個別に配置された1以上の板状部材それぞれとして構成してもよい。
【0019】
ところで、上記各構成において、第1仕切板は、バーナーユニット同士の間に形成された空間において導入口が配置された領域よりも二次空気の下流側に配置されていればよく、その具体的な位置は特に限定されない。
【0020】
ただ、上記各構成のように第1仕切板を二次空気の下流側に配置した場合、この第1仕切板の流通孔を通った二次空気がバーナーユニットの炎口に供給されるため、炎口に到達するまでに二次空気が充分に拡散していることが、良好な燃焼状態を保つ観点から望ましい。
【0021】
このためには、上記各構成を、例えば、以下に示す第4の構成(請求項4)のようにすることが考えられる。
第4の構成において、前記第1仕切板は、二次空気が流通する方向に沿った前記バーナーユニットの長さにおける少なくとも10%に相当する距離だけ、前記バーナーユニットの炎口から二次空気の上流側に離された位置に配置されている。
【0022】
この構成であれば、第1仕切板からバーナーユニットの炎口までが充分に離れているため、第1仕切板の流通孔を通った二次空気を炎口に到達するまでに拡散させることができる。
【0023】
また、上記各構成において、バーナーユニットが、二次空気の流通方向に沿って並べられた淡側導入口および濃側導入口それぞれから燃料ガスおよび一次空気を導入し、これらの混合気を淡側炎口および濃側炎口それぞれから噴出させるように構成されている場合には、以下に示す第5の構成(請求項5)のようにするとよい。
【0024】
この構成において、前記バーナーユニットは、二次空気の流通方向に沿って並べられた淡側導入口および濃側導入口それぞれから燃料ガスおよび一次空気を導入し、これらの混合気を淡側炎口および濃側炎口それぞれから噴出させており、前記第1仕切板は、前記バーナーユニット同士の間に形成された空間において、少なくとも前記バーナーユニットの淡側導入口および濃側導入口が配置された領域よりも二次空気の下流側に配置されている。
【0025】
この構成であれば、第1仕切板は、バーナーユニットの淡側導入口および濃側導入口が配置された領域よりも二次空気の下流側に配置されている。そのため、バーナーユニット同士の間に形成された空間のうち、第1仕切板に仕切られた二次空気の上流側は、第1仕切板が抵抗となるために、この第1仕切板を配置していない構成と比べて圧力が高められる。これにより、淡側導入口および濃側導入口からバーナーユニット内に至る領域およびバーナーユニット内の圧力と、バーナーユニット同士の間に形成された空間において第1仕切板で仕切られた二次空気の上流側の圧力と、の圧力差は小さくなる。
【0026】
このように圧力差が小さくなることで、バーナーユニットの淡側導入口および濃側導入口と一次流通経路との接合箇所や、バーナーユニット自体を構成する部材の接合箇所などからバーナーユニット同士の間に形成された空間へと、圧力の高い側から低い側へ向かうバーナーユニット内の混合気の流れが生じにくくなるため、混合気が漏洩することを防止できる。
【0027】
また、上記各構成における第1仕切板の流通孔は、下流側に二次空気を流通させることができればよく、その孔の数や、形状などについては、特に限定されないが、例えば、第6の構成(請求項6)のようにすることが考えられる。
【0028】
第6の構成において、前記第1仕切板には、該第1仕切板の長手方向に沿って1以上の流通孔が形成され、前記第1仕切板の流通孔は、全ての前記第1仕切板に形成された流通孔の総面積が、全ての前記バーナーユニットの淡側炎口および濃側炎口の総面積よりも小さくなるように形成されている。
【0029】
この構成であれば、バーナーユニットの淡側炎口および濃側炎口それぞれから噴出される混合気は、少なくとも第1仕切板に形成された流通孔を介してバーナーユニットの炎口に到達する二次空気より低い圧力で噴出することがなくなる。
【0030】
これにより、第1仕切板に形成された流通孔を介してバーナーユニットの炎口に到達した二次空気の圧力が相対的に小さくなるため、二次空気の流通経路に隣接する濃側炎口それぞれに形成された火炎が、この濃側炎口に到達した二次空気に吹き消されるという事態を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】燃焼装置の上面図および正面図
【図2】燃焼装置の正面断面図(図1のA−A断面図)および側面断面図(図1のB−B断面図)
【図3】燃焼装置要部の斜視図
【図4】第1仕切板を示す上面図および側面断面図
【図5】別の実施形態における燃焼装置の正面断面図(図1のA−A断面図)および側面断面図(図1のB−B断面図)
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
燃焼装置1は、図1に示すように、複数のバーナーユニット10と、バーナーユニット10それぞれを並べて収納する収納ケース20と、収納ケース20内に燃焼用空気を供給するファン30と、を備えた強制燃焼装置である。
【0033】
バーナーユニット10は、図2に示すように、ガス流路の上流側に設けられた導入口11,13から燃料ガスおよび一次空気を導入し、これらの混合気をガス流路の下流側に設けられた炎口15,17から噴出させて点火することにより、炎口15,17に火炎を形成させるように構成されている。
【0034】
本実施形態において、バーナーユニット10は、二次空気の流通方向に沿って並べられた淡側導入口11および濃側導入口13それぞれから燃料ガスおよび一次空気を導入し、これらの混合気を、バーナーユニット10内のガス流路を経て淡側炎口15および濃側炎口17から噴出させるように構成されている。
【0035】
収納ケース20には、前後方向に延びる炎口15,17の並ぶ方向を揃えたバーナーユニット10それぞれが、バーナーユニット10同士の間隔が一定となる位置関係で並べて収納されている。
【0036】
また、この収納ケース20には、図2に示すように、ファン30を介して開口部21から供給される燃料用空気のうちの一次空気を矢印100のようにバーナーユニット10それぞれの導入口11,13へ流通させる一次流通経路、および、燃料用空気のうちの二次空気を矢印200のようにバーナーユニット10同士の間に形成された空間それぞれへと流通させる二次流通経路が形成されている。
【0037】
さらに、この収納ケース20には、バーナーユニット10同士の間に形成された空間に配置された板状の第1仕切板40と、バーナーユニット10同士の間に形成された空間と二次流通経路との間に配置された板状の第2仕切板50と、二次流通経路内に配置された整流板60と、が設けられている。
【0038】
第1仕切板40は、図3(a)に示すように、バーナーユニット10同士の間に形成された空間のうち、1以上の空間(本実施形態では全ての空間)それぞれに、この空間においてバーナーユニット10の導入口11,13が配置された領域よりも二次空気の下流側に配置されている。
【0039】
そして、第1仕切板40それぞれは、バーナーユニット10において二次空気が流通する方向の長さの少なくとも10%(本実施形態では25%)に相当する距離だけ、バーナーユニット10の炎口15,17(具体的には炎口15,17の上端部)から二次空気の上流側に離された位置に配置されている。この距離は、後述する流通孔42を介してバーナーユニット10の炎口15,17に到達する二次空気が、炎口15,17に到達するまでに充分に拡散できる距離として定められたものである。
【0040】
こうして、第1仕切板40は、バーナーユニット10同士の間に形成された空間を、導入口11,13が配置された領域を含む二次空気の上流側領域、および、この上流側領域よりも二次空気の下流側領域に分けている。
【0041】
なお、この第1仕切板40は、収納ケース20正面の側板23に取り付けられた正面側板状部材44と、収納ケース20背面の側板25に取り付けられた背面側板状部材46と、からなり、図3(b)に示すように、この収納ケース20背面の側板25を収納ケース20本体に取り付けるに際し、背面側板状部材46それぞれをバーナーユニット10の間に形成された空間に通して正面側板状部材44に到達させることにより、第1仕切板40が形成される。
【0042】
さらに、この第1仕切板40には、図4に示すように、上流側領域から下流側領域に向けて二次空気を流通させるための流通孔42が、第1仕切板40の長手方向に沿って複数形成されている。ここで、同一の第1仕切板40に形成された流通孔42それぞれは、流通孔42を介してバーナーユニット10の炎口15,17に到達する二次空気を、炎口15,17に到達するまでに拡散させるのに適した形状(本実施形態では円形)および間隔で形成されている。
【0043】
ここで、第1仕切板40の流通孔42は、全ての第1仕切板40に形成された流通孔42の総面積P1が、全てのバーナーユニット10の炎口15,17の総面積Pxよりも小さくなるように形成されている(P1<Px)。
【0044】
なお、ここでいう総面積P1とは、各流通孔42において二次空気の流通方向と交差する平面における面積を、全ての第1仕切り板40における全ての流通孔42について合計したものである。また、総面積Pxとは、各炎口15,17において混合気の流通方向と交差する平面における面積を、全てのバーナーユニット10における全ての炎口15,17について合計したものである。
【0045】
第2仕切板50は、図2に示すように、二次流通経路において整流板60が配置された領域から、バーナーユニット10同士の間に形成された空間へと至る領域であって、この領域において導入口11,13が配置された領域よりも二次空気の上流側に配置されている。こうして、第2仕切板50は、二次流通経路と、バーナーユニット10同士の間に形成された空間と、を分けている。
【0046】
さらに、この第2仕切板50は、図2(b)に示すように、二次流通経路からバーナーユニット10同士の間の空間に向けて二次空気を流通させるための流通孔52が複数形成されている。この流通孔52は、バーナーユニット10同士の間に形成された空間それぞれ、および、これらの空間同士における二次空気量が均一になるように、数、大きさ、位置が決められている。
【0047】
具体的にいえば、燃焼用空気の流入する開口部21に近く、二次空気量が多い部分では、流通孔52の数を少なくしたり、各流通孔52を小さく形成する。また、開口部21から離れ、二次空気量が少ない部分では、流通孔52の数を多くしたり、各流通孔52を大きく形成する。
【0048】
整流板60は、図2に示すように、二次流通経路においてバーナーユニット10同士の間に形成された空間へと至る領域に配置されている。また、この整流板60は、収納ケース20の正面側および背面側にそれぞれ1以上の流通孔62が形成されており、開口部21から流入した燃焼用空気のうちの二次空気をスムーズに二次流通経路へ導く(流通させる)ように設けられている。
【0049】
以上説明した第1仕切板40の流通孔42、第2仕切板50の流通孔52、および、整流板60の流通孔62は、これら流通孔の面積が、整流板60における全ての流通孔62の総面積P0、第2仕切板50における全ての流通孔52の総面積P2、全ての第1仕切板40に形成された流通孔42の総面積P1、の順に大きくなる(P1<P2<P0)ように構成されている。
【0050】
なお、ここでいう総面積P0とは、各流通孔62において二次空気の流通方向と交差する平面における面積を、全ての流通孔62について合計したものである。また、総面積P2とは、各流通孔52において二次空気の流通方向と交差する平面における面積を、全ての流通孔52について合計したものである。
(2)作用,効果
このように構成された燃焼装置1によれば、バーナーユニット10同士の間に形成された1以上の空間それぞれに第1仕切板40が配置されているが、この第1仕切板40は、バーナーユニット10の淡側導入口11および濃側導入口13が配置された領域よりも二次空気の下流側に配置されている。
【0051】
そのため、バーナーユニット10同士の間に形成された空間のうち、第1仕切板40に仕切られた二次空気の上流側は、第1仕切板40が抵抗となるために、この第1仕切板40を配置していない構成と比べて圧力を高められる。これにより、淡側導入口11および濃側導入口13からバーナーユニット10内に至る領域およびバーナーユニット10内の圧力と、バーナーユニット10同士の間に形成された空間において第1仕切板40で仕切られた二次空気の上流側の圧力と、の圧力差は小さくなる。
【0052】
このように圧力差が小さくなることで、バーナーユニット10の淡側導入口11および濃側導入口13と一次流通経路との接合箇所や、バーナーユニット10自体を構成する部材の接合箇所などからバーナーユニット10同士の間に形成された空間へと、圧力の高い側から低い側へ向かうバーナーユニット10内の混合気の流れが生じにくくなるため、混合気が漏洩することを防止できる。
【0053】
こうして、バーナーユニット10同士の間に形成された空間へと混合気が漏洩してしまうことを防止することにより、混合気が未燃のまま装置外部に漏洩することを防ぐことができる。また、バーナーユニット内の混合気におけるガス濃度を安定させることもできるので、燃焼状態を良好に保つことができる。
【0054】
また、上記構成であれば、第2仕切板50により、バーナーユニット10同士の間に形成された空間それぞれ、および、これら空間同士における二次空気量の分布を均一化させることができるため、第1仕切板40により圧力差を小さくするだけでなく、この圧力差の分布を第2仕切板50によりなくすことができる。
【0055】
また、上記構成において、第2仕切板50における流通孔52は、この流通孔52の総面積P2が、全ての第1仕切板40に形成された流通孔42の総面積P1よりも大きくなるように形成されているため、第2仕切板50、第1仕切板40の順番で段階的に二次空気のベクトル(流れ)を調整できる。これにより、バーナーユニット10の炎口15,17において燃焼に必要な二次空気量を確保しつつ、第1仕切板40と第2仕切板50とで仕切られた空間の圧力を調整することができる。
【0056】
また、上記構成であれば、第1仕切板40からバーナーユニット10の炎口15,17までが充分に離れているため、第1仕切板40の流通孔を通った二次空気を炎口15,17に到達するまでに拡散させることができる。
【0057】
また、上記構成において、第1仕切板40の流通孔42は、全ての第1仕切板40に形成された流通孔42の総面積P1が、全てのバーナーユニット10の淡側炎口15および濃側炎口17の総面積Pxよりも小さくなるように形成されている。
【0058】
これにより、バーナーユニット10の炎口15,17それぞれから噴出される混合気は、少なくとも第1仕切板40に形成された流通孔を介してバーナーユニット10の炎口15,17に到達する二次空気より低い圧力で噴出することがなくなる。
【0059】
こうして、第1仕切板40に形成された流通孔42を介してバーナーユニット10の炎口15,17に到達した二次空気の圧力が相対的に小さくなるため、二次空気の流通経路に隣接する濃側炎口17それぞれに形成された火炎が、この濃側炎口17に到達した二次空気に吹き消されるという事態を未然に防止できる。
(3)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0060】
例えば、上記実施形態においては、第1仕切板40の長手方向に沿って複数の流通孔42が形成されているが、この流通孔42は、第1仕切板40の長手方向に延びる1つの長孔として形成してもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、第1仕切板40に円形の流通孔42が形成されているが、この流通孔42は、二次空気を拡散させるのに適した形状であれば、円形に限られない。
【0062】
また、上記実施形態において、第2仕切板50は、バーナーユニット10同士の間に形成された空間のうち、1以上の空間全てと二次流通経路との間に配置された1枚の板状部材として構成されている。しかし、この第2仕切板50は、1以上の空間に対して個別に配置された1以上の板状部材それぞれとしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、収納ケース20内に第1仕切板40と第2仕切板50とが両方備えられている構成を例示したが、図5に示すように、第2仕切板50を備えていない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…燃焼装置、10…バーナーユニット、11…淡側導入口、13…濃側導入口、15…淡側炎口、17…濃側炎口、20…収納ケース、21…開口部、23…側板、25…側板、30…ファン、40…第1仕切板、42…流通孔、44…正面側板状部材、46…背面側板状部材、50…第2仕切板、52…流通孔、60…整流板、62…流通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、導入口から燃料ガスおよび一次空気を導入し、これらの混合気を炎口から噴出させて点火することにより前記炎口に火炎を形成させる複数のバーナーユニットと、
前記バーナーユニットそれぞれを、隣接する前記バーナーユニット同士の間隔が一定となる位置関係で並べて収納すると共に、開口部から流入する燃焼用空気のうちの一次空気を前記バーナーユニットそれぞれの導入口へ流通させる一次流通経路、および、前記燃焼用空気のうちの二次空気を前記バーナーユニット同士の間に形成された空間それぞれへと流通させる二次流通経路が形成されている収納ケースと、
前記収納ケースの開口部に燃焼用空気を供給するファンと、
前記バーナーユニット同士の間に形成された空間のうち、1以上の空間それぞれにつき、該空間において前記バーナーユニットの導入口が配置された領域よりも二次空気の下流側に配置されるとともに、二次空気を流通させるための流通孔が1以上形成されている第1仕切板と、を備えている
ことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記バーナーユニット同士の間に形成された空間のうち、1以上の空間と前記二次流通経路との間に配置された第2仕切板を備えており、
前記第2仕切板は、前記導入口が配置された領域よりも二次空気の上流側に配置されるとともに、二次空気を流通させるための流通孔が1以上形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記第2仕切板の流通孔は、該流通孔の総面積が、全ての前記第1仕切板に形成された流通孔の総面積よりも大きくなるように形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記第1仕切板は、二次空気が流通する方向に沿った前記バーナーユニットの長さにおける少なくとも10%に相当する距離だけ、前記バーナーユニットの炎口から二次空気の上流側に離された位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記バーナーユニットは、二次空気の流通方向に沿って並べられた淡側導入口および濃側導入口それぞれから燃料ガスおよび一次空気を導入し、これらの混合気を淡側炎口および濃側炎口それぞれから噴出させており、
前記第1仕切板は、前記バーナーユニット同士の間に形成された空間において、少なくとも前記バーナーユニットの淡側導入口および濃側導入口が配置された領域よりも二次空気の下流側に配置されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記第1仕切板には、該第1仕切板の長手方向に沿って1以上の流通孔が形成され、
前記第1仕切板の流通孔は、全ての前記第1仕切板に形成された流通孔の総面積が、全ての前記バーナーユニットの淡側炎口および濃側炎口の総面積よりも小さくなるように形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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