説明

燃焼装置

【課題】燃焼装置の給排気部の閉塞判定の際に燃焼用ファンの回転数を極力低くする一方で、閉塞の疑いがある場合には点火動作前に確実に閉塞の有無を検知し、誤判定を回避する。
【解決手段】バーナ3を収容する燃焼室と、該燃焼室に連通する給排気部2a,2bと、バーナ3に燃焼用空気を供給する燃焼用ファン7と、給排気部2a,2bの閉塞の有無の判定を行う閉塞判定手段とを備え、バーナ3の点火前に燃焼用ファン7のプリパージ運転が行われる燃焼装置において、閉塞判定手段による閉塞判定の前に給排気部2a,2bが閉塞していないことを予備判定する閉塞予備判定手段をさらに備え、該閉塞予備判定手段は、プリパージ運転中に予備判定を行うように構成し、閉塞判定手段は、予備判定により閉塞していないと判定されなかった場合に予備判定時よりも高回転数で燃焼用ファン7を回転させた状態で給排気部2a,2bの閉塞判定を行うように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器や風呂釜等に用いられる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、給湯器等の燃焼装置において、バーナの点火前に給排気部の閉塞判定を行うように構成されたものが、例えば下記の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3054337号公報
【0004】
上記特許文献1には、バーナを収容する燃焼室と、該燃焼室に連通する給排気部と、前記バーナに燃焼用空気を供給する燃焼用ファンと、給排気部の閉塞度合いを検出する閉塞度合検出手段と、バーナの点火開始前に燃焼ファンを所定回転数で回転させると共に燃焼中は必要燃焼量に対応した燃焼用空気量が得られる目標回転数になるように燃焼用ファンを制御するファン制御手段と、点火開始前に検出される閉塞度合いが基準値以上であるときには点火を中止する点火前閉塞監視手段とを備える燃焼装置が開示されている。
【0005】
かかる従来の燃焼装置においては給排気路が閉塞した場合には燃焼不良が生じるため、燃焼状態が不良になる前に運転を速やかに停止するべく、点火開始前における閉塞状態を燃焼用ファンの回転数と電流値とによって検出し、給排気路に支障がないときには点火を行わせ、給排気路に支障があるときは点火を中止するように構成されている。また、点火前の燃焼用ファンのプリパージ運転中に閉塞状態の監視を行わせている(段落番号0064〜0065)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プリパージ運転時の燃焼用ファンの回転数は、騒音低減及び低消費電力の観点からできるだけ低い回転数に設定することが実用上要望されているが、図4に示すように、回転数を低くするとファンの駆動電流値は給排気部の閉塞判定を行う値としては小さくなりすぎ、閉塞有無の電流値と全閉塞時の電流値との変化幅が小さくなるため、温度や湿度などの雰囲気条件、装置の個体差、前回の燃焼動作からの経過時間、装置の経年劣化、電源装置から供給される電流の変動などの種々の要因により誤判定となる可能性が高い。例えば、給排気部の閉塞度合いが実使用上問題のない場合であっても、上記の種々の要因によりファンの駆動電流値が所定の基準値を超えないと点火不許可と誤判定したり、また、給排気部が閉塞してしまっているにもかかわらず、ファンの駆動電流値が所定の基準値を超えて検出されると点火可能と誤判定してしまう。
【0007】
そのため、上記特許文献1においては、点火前閉塞監視を行う場合には、通常のプリパージ回転数(第1所定回転数)よりも大きな回転数(第2所定回転数)でファンを回転駆動させるようにしているが、これにより、点火前閉塞監視が動作する際には常に騒音並びに消費電力が増大してしまうという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、燃焼装置の給排気部の閉塞判定の際に燃焼用ファンの回転数を極力低くする一方で、閉塞の疑いがある場合には点火動作前に確実に閉塞の有無を検知し、誤判定を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0010】
すなわち、本発明は、バーナを収容する燃焼室と、該燃焼室に連通する給排気部と、前記バーナに燃焼用空気を供給する燃焼用ファンと、前記給排気部の閉塞の有無の判定を行う閉塞判定手段とを備え、バーナの点火前に前記燃焼用ファンのプリパージ運転が行われる燃焼装置において、前記閉塞判定手段による閉塞判定の前に前記給排気部が閉塞していないことを予備判定する閉塞予備判定手段をさらに備え、該閉塞予備判定手段は、前記プリパージ運転中に前記予備判定を行うように構成され、前記閉塞判定手段は、前記予備判定により閉塞していないと判定されなかった場合に前記予備判定時よりも高回転数で燃焼用ファンを回転させた状態で前記給排気部の閉塞判定を行うように構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0011】
かかる本発明の燃焼装置によれば、給排気部の閉塞度合いを判定するために、まず比較的低回転で燃焼用ファンが駆動されているプリパージ運転中に、閉塞予備判定手段によって明らかに閉塞の疑いがない状態であるか否かを判定する。閉塞予備判定手段によって給排気部が閉塞していないことが予備判定されれば、燃焼用ファンを高回転数で回転させることなく閉塞度合いが正常範囲であると判定でき、騒音並びに消費電力の低減が図られる。一方、たとえば、ある程度給排気部の閉塞度合いが進行することによって、閉塞予備判定手段によっては判定が付き難い場合には、より高回転数で燃焼用ファンを回転させた状態で閉塞判定手段によって給排気部の閉塞判定を正確に行うことができ、誤判定が低減される。さらに、閉塞予備判定手段による予備判定をプリパージ運転中に行っているため、プリパージ運転時間内で予備判定を行うことができ、予備判定によって閉塞の疑いが無いと判定されれば即座に点火を開始することができるので、点火動作を早期に行えるようになる。
【0012】
また、本発明は、バーナを収容する燃焼室と、該燃焼室に連通する給排気部と、前記バーナに燃焼用空気を供給する燃焼用ファンと、前記給排気部の閉塞の有無の判定を行う閉塞判定手段とを備える燃焼装置において、前記閉塞判定手段による閉塞判定の前に前記給排気部が閉塞していないことを予備判定する閉塞予備判定手段をさらに備え、前記閉塞判定手段は、前記予備判定により閉塞していないと判定されなかった場合に前記予備判定時よりも高回転数で燃焼用ファンを回転させた状態で前記給排気部の閉塞判定を行うように構成されていることを特徴とするものである(請求項2)。これによれば、給排気部の閉塞度合いを判定するために、まず比較的低回転で燃焼用ファンが駆動されている状態で、閉塞予備判定手段によって明らかに閉塞の疑いがない状態であるか否かを判定する。閉塞予備判定手段によって給排気部が閉塞していないことが予備判定されれば、燃焼用ファンを高回転数で回転させることなく閉塞度合いが正常範囲であると判定でき、騒音並びに消費電力の低減が図られる。一方、たとえば、ある程度給排気部の閉塞度合いが進行することによって、燃焼用ファンが低回転数時に予備判定を行う閉塞予備判定手段によっては判定が付き難い場合には、高回転数で燃焼用ファンを回転させた状態で閉塞判定手段によって給排気部の閉塞判定を正確に行うことができ、誤判定が低減される。なお、閉塞判定手段及び閉塞予備判定手段のいずれか一方の判定動作を、バーナ点火前の燃焼用ファンのプリパージ運転中に行わせても良い。
【0013】
上記本発明において、燃焼用ファンの駆動制御は、所定の目標回転数となるようにファンを駆動する直流電流の振幅をフィードバック制御するものであってもよく、また、本願出願人が既に提案している特開平9−329331号公報に開示されるように所定の目標回転数となるようにファン駆動電力(制御パルス)をPWM制御するものであってもよく、送風流路の流路抵抗乃至実風量をも考慮して目標回転数を随時補正するものであってもよく、さらに、所定電圧で燃焼用ファンを駆動するものであってもよい。また、閉塞予備判定手段による予備判定時には所定の電圧で燃焼用ファンを駆動して給排気部の閉塞度合いによるファン回転数変化を検出してこの回転数変化に基づいて予備判定を行う一方、閉塞判定手段による閉塞判定時には所定の目標回転数となるようにファン駆動電流をフィードバック制御するなど、閉塞予備判定手段による予備判定時と閉塞判定手段による閉塞判定時のファン制御方法が異なるものであってもよい。すなわち、本発明は、閉塞予備判定手段による予備判定時のファン回転数と、閉塞判定手段による閉塞判定時のファン回転数とが大きく変化するように燃焼用ファンの駆動制御を2段階に切替えることを特徴とするものであり、かかる特徴によって、正常時には低騒音かつ低消費電力で迅速に閉塞していないことを判定して即座にバーナの点火を行えるものである。
【0014】
閉塞予備判定手段による予備判定のための基準値は、予め試験により定めておくが、上記の種々の要因による実運転時の検出値の変動を考慮し、明らかに閉塞していないと判定することができる値としておくことができ、閉塞の疑いが認められる場合、例えば閉塞と判定すべき閾値近傍の場合には閉塞判定手段による閉塞判定に移行させることが好ましい。また、閉塞の有無の判定は、上記特許文献1に記載の技術と同様に、予め試験により閉塞度合いとファン回転数と駆動電流値などとの関係を求めておき、実使用上の燃焼不良や故障などの問題が生じるおそれがある閉塞度合いである場合に閉塞ありと判定することができる。
【0015】
上記本発明の燃焼装置において、前記閉塞予備判定手段及び前記閉塞判定手段のいずれかで閉塞していないと判定されたときにバーナの点火を行うように構成されていることを特徴とするものである(請求項3)。かかる構成によれば、燃焼用ファンが低回転であっても明らかに閉塞の無い正常な状態であると閉塞予備判定手段によって判定されれば、即座にバーナの点火動作に移行できるため、バーナの点火を迅速に行うことが可能である。
【0016】
さらに、前記閉塞判定手段及び前記閉塞予備判定手段はいずれも前記燃焼用ファンの回転数と駆動電流値とに基づいて前記各判定を行うことが好ましい(請求項4)。これによれば、閉塞判定手段による閉塞判定の基準と、閉塞予備判定手段による予備判定の基準との間の技術的な相関関係が分かりやすく、設計の容易化が図られるとともに、構成部品の削減や装置構成の簡素化が図られ、コスト低減や省スペース化を図ることができる。しかし本発明はこれに限定されず、例えば、燃焼用ファンの駆動電圧と回転数とに基づいて閉塞判定をするように構成してもよく、また、燃焼用ファンの駆動電流と給排気路に設けた風量センサの検出値とに基づいて閉塞判定をするように構成してもよく、さらに、予備判定時の基準と閉塞判定時の基準としてそれぞれ異なるものを用いてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る燃焼装置によれば、給排気部の閉塞度合いを判定するために、まず比較的低回転で燃焼用ファンが駆動されているプリパージ運転中に、閉塞予備判定手段によって明らかに閉塞の疑いがない状態であるか否かを判定することができる。閉塞予備判定手段によって給排気部が閉塞していないことが予備判定されれば、燃焼用ファンを高回転数で回転させることなく閉塞度合いが正常範囲であると判定でき、騒音並びに消費電力の低減が図られる。一方、たとえば、ある程度給排気部の閉塞度合いが進行することによって、燃焼用ファンが低回転数時に予備判定を行う閉塞予備判定手段によっては判定が付き難い場合には、高回転数で燃焼用ファンを回転させた状態で閉塞判定手段によって給排気部の閉塞判定を正確に行うことができ、誤判定が低減される。
【0018】
また、本発明の請求項2に係る燃焼装置によれば、給排気部の閉塞度合いを判定するために、まず比較的低回転で燃焼用ファンが駆動されている状態で、閉塞予備判定手段によって明らかに閉塞の疑いがない状態であるか否かを判定する。閉塞予備判定手段によって給排気部が閉塞していないことが予備判定されれば、燃焼用ファンを高回転数で回転させることなく閉塞度合いが正常範囲であると判定でき、騒音並びに消費電力の低減が図られる。一方、たとえば、ある程度給排気部の閉塞度合いが進行することによって、燃焼用ファンが低回転数時に予備判定を行う閉塞予備判定手段によっては判定が付き難い場合には、高回転数で燃焼用ファンを回転させた状態で閉塞判定手段によって給排気部の閉塞判定を正確に行うことができ、誤判定が低減される。
【0019】
また、本発明の請求項3に係る燃焼装置によれば、燃焼用ファンが低回転であっても明らかに閉塞の無い正常な状態であると閉塞予備判定手段によって判定されれば、即座にバーナの点火動作に移行できるため、バーナの点火を迅速に行うことが可能である。
【0020】
また、本発明の請求項4に係る燃焼装置によれば、閉塞判定手段による閉塞判定の基準と、閉塞予備判定手段による予備判定の基準との間の技術的な相関関係が分かりやすく、設計の容易化が図られるとともに、構成部品の削減や装置構成の簡素化が図られ、コスト低減や省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る燃焼装置の概略ブロック構成図である。
【図2】同燃焼装置の燃焼用ファンのプリパージ運転の制御フローチャートである。
【図3】同燃焼装置の燃焼用ファンの目標回転数設定変更に伴う駆動電流値の変動を示すグラフである。
【図4】同燃焼装置の燃焼用ファンの回転数と駆動電流値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る給湯器用燃焼装置1の概略構成図であって、燃焼装置1のケーシング2の燃焼室内にバーナ3及び熱交換器4が収容配置されている。ケーシング2の下部には給気部2aが設けられ、該給気部2aに連設されたファンケース5の内部には、ファンモータ6により回転駆動されるシロッコファン7(燃焼用ファン)が配設されている。ケーシング2の上部には排気部2bが設けられている。なお、本明細書においては給気部2aと排気部2bとを合わせて「給排気部」といい、「給排気部の閉塞」とは、給気部2a及び排気部2bからなる給排気通路における閉塞度合いが基準値以上となることをいうものとする。
【0024】
バーナ3には、ガスなどの燃料を供給するための燃料供給管8が接続されており、熱交換器4には、水を供給するための給水管9が接続されている。燃料供給管8にはバルブ11が介装されており、該バルブ11は給湯制御部12によって開閉制御されるように構成されている。給湯制御部12の一部はマイコンにより構成されている。バーナ3の上部炎孔の近傍にはイグナイタ(図示せず)により作動される点火プラグ10が配設されており、該点火プラグ10のイグナイタも給湯制御部12によって作動制御される。また、給水管9には流量センサ13が介装されており、該センサ13の検出信号が給湯制御部12に入力されるように構成されている。そして、蛇口の開栓などにより給水管9に通水されて流量センサ13により通水が検出されると、給湯制御部12はファン駆動制御部17に点火準備制御信号を供給して、ファン駆動制御部17から点火開始制御信号若しくは点火中止制御信号が返信されるまで待機する。ファン駆動制御部17から点火開始制御信号が供給されると、バルブ11を開いて点火プラグ10を作動させることによってバーナ3を着火する。一方、ファン駆動制御部17から点火中止制御信号を受け取ると、点火制御を中断し、リモコン(図示せず)からアラームを出力するように構成している。
【0025】
次に、ファンモータ6の制御部の構成について説明すると、ファン駆動制御部17からの制御信号に基づいてファンモータ6に駆動電力を供給して回転駆動させるファン駆動電力制御手段14と、該ファン駆動電力制御手段14がファンモータ6に供給する駆動電力に基づいてファンモータ6の駆動電流値を検出する電流値検出手段15と、ファンモータ6の回転数を検出するファン回転数検出手段16と、マイコンにより構成されるファン駆動制御部17とを備えている。なお、上記給湯制御部12とファン駆動制御部17とを共通のマイコンにより構成してもよい。
【0026】
ファン駆動電力制御手段14は、ファン駆動制御部17からの制御信号に基づきファンモータ6への駆動電力をPWM制御する構成であってもよいし、また、ファン駆動制御部17からの制御信号に応じた直流電力をファンモータ6に供給する構成とすることもできる。
【0027】
電流値検出手段15は、従来公知の適宜の電流センサを用いることができ、例えば、本願出願人が既に提案している特開2003−185131号公報に開示される駆動電流検出手段(16)と同様の構成としてもよい。なお、電流値検出手段15が検出する電流値は、ファンモータ6をPWM制御している場合には、カレントトランスによりファンモータ6の駆動電力の実効電流値として検出することができる。さらに、マイクロコンピュータへデジタル信号として電流値を出力するために、三角波を用いて検出電流値をパルス幅変調することができる。
【0028】
ファン駆動制御部17は、点火前はファンモータ6をプリパージ運転制御するとともに、点火時は点火回転数(例えば3100rpm)を目標回転数としてファン7およびファンモータ6の駆動電力をファン回転数検出手段16により検出されたファン回転数に基づいてフィードバック制御する。かかる点火時のフィードバック制御は、上記特許文献1や、特開平9−329331号公報に開示されているような従来公知の方法で行うことができる。
【0029】
図2は、本実施形態におけるプリパージ運転制御の制御フローを示しており、該制御フローの各工程を実行するためのプログラムがファン駆動制御部17内の記憶手段に記憶されており、該プログラムによって各工程の機能が実現されている。
【0030】
ファン駆動制御部17が給湯制御部12から点火準備制御信号を受け取るとプリパージ運転制御が開始され、まずステップS1においてファン目標回転数を比較的低回転の第1回転数に設定する。この第1回転数は、騒音低減や消費電力低減を優先して設定することができ、点火回転数と同じ回転数であってもよく、騒音や消費電力が大きくなりすぎない範囲で点火回転数より高い回転数であってもよい。ファン目標回転数が設定されると、ファン駆動制御部17はファン回転数検出手段16により検出されたファン回転数に基づいてファンモータ6をフィードバック制御する。
【0031】
次に、ステップS2において、第1所定時間が経過するまで待機する。これは、ファンの目標回転数を変更した直後には、図3に示すように、ファン駆動電流値も過渡状態となって不安定な挙動を示すため、ファン駆動電流値及びファン回転数が安定するまで待機させるためである。
【0032】
次に、ステップS3において、電流値検出手段15によりファンモータ6の駆動電流値を測定する。なお、電流値検出手段15による検出値をそのまま駆動電流値として以降の制御に用いてもよいが、より正確に閉塞判定を行わせるために、種々の要因を勘案して駆動電流値を適宜補正することができる。
【0033】
次に、ステップS4において、ファン駆動電流値が第1回転数に応じた第1判定電流値T1以下であるか否かという基準によって給排気部が閉塞していないことを予備判定する。ファン駆動電流値が第1判定電流値を超えていれば閉塞していないと判定され、即座にステップS5の点火動作へ移行する。一方、ファン駆動電流値が第1判定電流値以下であれば閉塞の疑いがあるため、より確実な閉塞判定を行うためにステップS6へ移行する。なお、第1判定電流値は、図4に一点鎖線で示す閉塞有無の閾値とすることができ、また、閉塞度合いが実用上支障が生じるにもかかわらず種々の要因により電流値が比較的高く測定され、それにより点火動作に移行してしまうことを回避するために、第1判定電流値を図4に示す閉塞有無の閾値よりも若干高めに設定しておくこともできる。
【0034】
而して、上記のステップS1〜S4を実行するファン駆動制御部17によって、プリパージ運転(低回転)中に給排気部が閉塞していないことを予備判定する閉塞予備判定手段が実現されている。
【0035】
ステップS5では、ファン駆動制御部17から給湯制御部12に点火開始制御信号を供給するとともに、通常の点火動作時のファン駆動制御を起動する。
【0036】
ステップS6では、ファン目標回転数を比較的高回転の第2回転数に設定する。この第2回転数は、確実な閉塞判定を行うことを優先して設定され、予め試験によって確実な閉塞判定を行い得る回転数を求めておき、かかる試験結果に基づいて第2回転数を設定することが好ましい。第1回転数と第2回転数との比は適宜のものとすることができるが、例えば第2回転数を第1回転数の1.2〜1.5倍とすることができる。
【0037】
次に、ステップS7では、ステップS2と同様に第2所定時間が経過するまで待機する。この第2所定時間は、より確実な閉塞判定を行わせるために第1所定時間よりも長く設定されており、これによりファン回転数及びファン駆動電流値がより安定した状態で閉塞判定を行うようにしている。
【0038】
次に、ステップS8では、ステップS3と同様にファンモータ6の駆動電流値を測定する。
【0039】
次に、ステップS9では、ファン駆動電流値が第2回転数に応じた第2判定電流値T2以下であるか否かという基準によって給排気部の閉塞の有無を判定する。ファン駆動電流値が第2判定電流値を超えていれば閉塞していないと判定され、ステップS5の点火動作へ移行する。一方、ファン駆動電流値が第2判定電流値以下であれば閉塞していると判定し、ステップS10の点火中断動作へ移行する。
【0040】
而して、上記のステップS6〜S10を実行するファン駆動制御部17によって、プリパージ運転(高回転)中に給排気部の閉塞の有無の判定を行う閉塞判定手段が実現されている。
【0041】
ステップS10では、ファン駆動制御部17から給湯制御部12に点火中断制御信号を供給するとともに、ファンモータ6の駆動制御も終了させる。
【0042】
以上説明した本実施形態によれば、給排気部2a,2bの閉塞度合いが正常範囲であれば、比較的低い回転数でファン7をプリパージ運転したときに閉塞していないことを閉塞予備判定手段により予備判定して点火動作させることができ、騒音及び消費電力を低減しつつも給排気部2a,2bの非閉塞を保証しつつバーナ3を点火することができる。一方、たとえば長年の使用により給排気部の閉塞度合いが進行して、比較的低回転での閉塞予備判定では正確な閉塞判定ができなくなったときには、ファン7を高回転で回転駆動した状態で閉塞判定手段により閉塞判定を行うことにより、実使用上問題のない閉塞度合いであるか否かをより確実に判定することができる。
【0043】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、上記実施形態では給湯器用の燃焼装置を例示したが、ガスファンヒータなどの暖房機器用の燃焼装置に本発明を適用してもよい。また、閉塞予備判定手段による予備判定及び閉塞判定手段による閉塞判定のいずれもプリパージ運転制御中に行ったが、いずれか一方若しくは両方をプリパージ運転とは無関係に行わせてもよい。また、上記実施形態では、閉塞予備判定手段による予備判定及び閉塞判定手段による閉塞判定のいずれも点火動作時に常に行うようにしているが、点火動作回数をカウントして所定の点火回数毎にこれらの判定を行わせることもできる。また、電流値検出手段が検出するファン駆動電流値は、所定のノイズ処理を施すなどの誤検知を回避するための処理が施されたものであってもよい。また、上記実施形態では、図2に示す制御フローのステップS2及びS7において、第1及び第2の所定時間の待機処理を設けたが、これに代えて、ファン回転数検出値がファン目標回転数に到達して安定したことを条件に、ファン駆動電流値が安定したものとみなして、次のファン電流値を測定するステップS3,S8に移行させるように構成することもできる。
【0044】
また、本発明は、例えば特開2009−287814号公報の図2に示すような複合型の給湯器において好適に実施できる。すなわち、この種の複合型給湯器では、給湯機能と、温水循環式暖房機能、風呂追焚き機能又は風呂湯張り機能とをそれぞれ独立して運転させるために、バーナ、熱交換器及びファンが2組備えられ、燃焼室も個々に区分けされているが、設置スペースの制約により各燃焼室の断面積は比較的狭く、構成部品の実装密度も高くなるため、各燃焼室の給気部から排気部に至る流路抵抗が比較的高くなる。さらに、給排気面積にも余裕がないため、給排気部における閉塞度合いが進行していっても電流値の変化幅が少なくなり、これにより、閉塞判定時の誤判定の可能性が高くなることが懸念されるが、本発明によれば、閉塞度合いが正常範囲にあるときは閉塞予備判定手段によって低騒音かつ低消費電力で閉塞していないことを判定して点火許可することができ、一方、閉塞の疑いがある場合には十分に高い回転数でファンを駆動制御することにより、誤判定を回避することが可能になる。
【符号の説明】
【0045】
1 燃焼装置
2a,2b 給排気部
3 バーナ
7 燃焼用ファン
17 閉塞判定手段及び閉塞予備判定手段として機能するファン駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを収容する燃焼室と、該燃焼室に連通する給排気部と、前記バーナに燃焼用空気を供給する燃焼用ファンと、前記給排気部の閉塞の有無の判定を行う閉塞判定手段とを備え、バーナの点火前に前記燃焼用ファンのプリパージ運転が行われる燃焼装置において、
前記閉塞判定手段による閉塞判定の前に前記給排気部が閉塞していないことを予備判定する閉塞予備判定手段をさらに備え、該閉塞予備判定手段は、前記プリパージ運転中に前記予備判定を行うように構成され、前記閉塞判定手段は、前記予備判定により閉塞していないと判定されなかった場合に前記予備判定時よりも高回転数で燃焼用ファンを回転させた状態で前記給排気部の閉塞判定を行うように構成されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
バーナを収容する燃焼室と、該燃焼室に連通する給排気部と、前記バーナに燃焼用空気を供給する燃焼用ファンと、前記給排気部の閉塞の有無の判定を行う閉塞判定手段とを備える燃焼装置において、
前記閉塞判定手段による閉塞判定の前に前記給排気部が閉塞していないことを予備判定する閉塞予備判定手段をさらに備え、前記閉塞判定手段は、前記予備判定により閉塞していないと判定されなかった場合に前記予備判定時よりも高回転数で燃焼用ファンを回転させた状態で前記給排気部の閉塞判定を行うように構成されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燃焼装置において、前記閉塞予備判定手段及び前記閉塞判定手段のいずれかで閉塞していないと判定されたときにバーナの点火を行うように構成されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載の燃焼装置において、前記閉塞判定手段及び前記閉塞予備判定手段はいずれも前記燃焼用ファンの回転数と駆動電流値とに基づいて前記各判定を行うことを特徴とする燃焼装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−29255(P2013−29255A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166029(P2011−166029)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】