片廊下型集合住宅の外断熱構造
【課題】 メーターボックスを共用廊下側の外壁よりも突出した状態に設けるにもかかわらず、断熱材や外装材として平パネルを使用して容易かつ安価に施工でき、袖壁がヒートブリッジになる虞もない片廊下型集合住宅の外断熱構造を提供する。
【解決手段】 戸境壁１で区画された住戸２群の片側に共用廊下３が構築され、反対側にはバルコニー４が構築された片廊下型集合住宅において、共用廊下３側の柱５、梁６の外面と共用廊下３側の外壁７の外面とを面一にし、これらの外面全体に断熱材９を貼着し、その外側に空気層１０と外装材１１を設け、前記外装材の外側にメーターボックス用の袖壁１２及びカバーパネル１３を設置して、メーターボックス８を構成する。
【解決手段】 戸境壁１で区画された住戸２群の片側に共用廊下３が構築され、反対側にはバルコニー４が構築された片廊下型集合住宅において、共用廊下３側の柱５、梁６の外面と共用廊下３側の外壁７の外面とを面一にし、これらの外面全体に断熱材９を貼着し、その外側に空気層１０と外装材１１を設け、前記外装材の外側にメーターボックス用の袖壁１２及びカバーパネル１３を設置して、メーターボックス８を構成する。
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、戸境壁で区画された住戸群の片側に共用廊下が構築され、反対側にはバルコニーが構築された片廊下型集合住宅の外断熱構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】コンクリート建物における効果的な断熱工法の一つとして、コンクリート壁の屋外側の面に断熱材を貼着し、その外側に空気層と、壁面仕上げ用の外装材を設けるいわゆる外断熱工法が知られている。そして、この外断熱工法では、壁は勿論のこと、外気に面する部分であれば、柱や梁にも断熱材を貼着し、外装材で覆うこととなる。
【０００３】ところが、図４に示すような一般的な片廊下型集合住宅の住棟形式では、柱ａや梁ｂが外壁ｃの外側面より突出することが多い。特に、共用廊下ｄ側には、電気、ガス、水道などの共用幹線や共用縦管、それらのメーター類、ガス湯沸器や空調用の室外機などを設置するメーターボックスｅが外壁ｃから突出した状態に設けられているので、それらの袖壁ｆを含めて複雑な外壁面を形成することになる。勿論、メーターボックスｅを外壁ｃより内側、つまり、室内側に凹入させて設けることも可能ではあるが、その分、間取りが制約されることになる。そのため、一般的には、図４に示したように、メーターボックスｅが外壁ｃから突出した状態に設けられ、複雑な外壁面となっていたのである。
【０００４】そして、外壁面の形状が複雑になるほど、断熱材の貼着作業や外装材の加工、取付けが煩雑になるから、上記の従来例では、共用廊下ｄ側の外壁に対する外断熱工法のコストが高く付くという問題点があった。また、上記の従来例では、メーターボックスｅの袖壁ｆがヒートブリッジとなるため、袖壁部分の断熱処理をどのように行うかが課題とされていた。尚、図中のｇは梁間方向の構面に構築された戸境壁ｈで区画された住戸、ｉはバルコニーである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】上記の現状に鑑み、本発明は、メーターボックスを共用廊下側の外壁よりも突出した状態に設けるにもかかわらず、断熱材や外装材として平パネルを使用して容易かつ安価に施工でき、袖壁がヒートブリッジになる虞もない片廊下型集合住宅の外断熱構造を提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、本発明に係る片廊下型集合住宅の外断熱構造の特徴は、戸境壁で区画された住戸群の片側に共用廊下が構築され、反対側にはバルコニーが構築された片廊下型集合住宅において、共用廊下側の柱梁の外面と共用廊下側の外壁の外面とを面一にし、これらの外面全体に断熱材を貼着し、その外側に空気層と外装材を設け、前記外装材の外側にメーターボックス用の袖壁及びカバーパネルを設置して、メーターボックスを構成したことにある。
【０００７】上記の構成によれば、共用廊下側の柱梁の外面と共用廊下側の外壁の外面とが面一であるから、断熱材の貼着作業や外装材の取付け作業が容易であり、断熱材や外装材として平パネルを使用して容易かつ安価に外断熱構造を実現でき、しかも、外装材の外側にメーターボックス用袖壁及びカバーパネルを設置して、メーターボックスを構成するので、袖壁と外壁との間が外壁の外断熱構造によって断熱されることになり、袖壁がヒートブリッジになる虞もない。
【０００８】
【発明の実施の形態】図１は片廊下型集合住宅の平面構成を示す。この片廊下型集合住宅は、梁間方向が耐震壁構造とされ、桁行方向がラーメン構造とされ、梁間方向の構面に構築した戸境壁１で区画された住戸２群の片側に共用廊下３が構築され、反対側にはバルコニー４が構築されている。共用廊下３側では、柱５と桁行方向の梁６とからなる構面に外壁（住戸２の内外を仕切るコンクリート壁）７が構築されているが、バルコニー４側では、外壁７よりも外側であるバルコニー４の先端位置に、柱５と桁行方向の梁６とからなる構面が構成されている。
【０００９】図１に示すように、共用廊下３側の梁６と柱５は、それらの外面が共用廊下３側の外壁７の外面と面一になるように構築されている。８は共用廊下３側の外壁７よりも外側へ突出した状態に設けられたメーターボックスであり、電気、ガス、水道などの共用幹線や共用縦管、それらのメーター類、ガス湯沸器や空調用の室外機などが設置されている。
【００１０】バルコニー４は戸境壁１で各住戸２ごとに仕切られ、戸境壁１のうちバルコニー４側の外壁７よりも外側に位置する戸境壁部分１ａには、構造的に支障のない範囲で、且つ、避難に支障のない大きさの開口が形成され、上記の開口に珪カル板などで形成された避難用パーテーションが設けられている。
【００１１】前記メーターボックス８は、次のとおりに構成されている。即ち、図１に基づいて説明したとおり、共用廊下３側の柱５および梁６の外面と共用廊下３側の外壁７の外面とを面一にして、これらの外面全体に、図２、図３に示すように、断熱材９を貼着し、その外側に空気層１０と外装材１１を設けて、外断熱構造とし、前記外装材１１の外側にメーターボックス用の袖壁１２と開閉可能なカバーパネル１３を設置して、前記メーターボックス８を構成している。尚、断熱材９は、共用廊下３側のスラブがヒートブリッジとなることを回避するために、図３に示すように、端部９ａを空気層１０の厚み内で外装材１１側へ折り返した状態に貼着されている。
【００１２】施工手順を説明すると、先ず、片廊下型集合住宅のコンクリート躯体を構築する。その際、メーターボックス８内を縦に貫通する各種配管のための配管孔を共用廊下３側のスラブに形成し、メーターボックス８内から住戸２内に貫通する各種配管のための配管孔を外壁７に形成しておく。
【００１３】次に、Ｌ形ランナー部材１４を上下のスラブの下面と上面にアンカー１５によって取り付けると共に、外壁７の外面に断熱材９を貼着し、外装材１１を前記Ｌ形ランナー部材１４に係止して固定する。その際、断熱材９および外装材１１には、外壁７に形成された上記配管孔に合わせて配管孔を形成しておく。
【００１４】しかる後、メーターボックス用の袖壁１２を設置する。この例では、メーターボックス用の袖壁１２としてプレキャスト発泡コンクリート板を用いており、上下のスラブの下面と上面にアンカー止めされたアングル材にボルトで固定している。
【００１５】そして、各種配管、配線が終わった後に、カバーパネル１３を前記袖壁１２に取り付けて、前記メーターボックス８を構成するのである。
【００１６】上記の構成によれば、共用廊下３側の柱５、梁６の外面と共用廊下３側の外壁７の外面とが面一であるから、断熱材９の貼着作業や外装材１１の取付け作業が容易であり、断熱材９や外装材１１として平パネルを使用して容易かつ安価に外断熱構造を実現でき、しかも、外装材１１の外側にメーターボックス用の袖壁１２及びカバーパネル１３を設置して、メーターボックス８を構成するので、袖壁１２と外壁７との間が外壁７の外断熱構造によって断熱されることになり、袖壁１２がヒートブリッジになる虞もない。
【００１７】
【発明の効果】本発明は、上述した構成よりなるから、メーターボックスを共用廊下側の外壁よりも突出した状態に設けるにもかかわらず、断熱材や外装材として平パネルを使用して容易かつ安価に施工でき、袖壁がヒートブリッジになる虞もない等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る片廊下型集合住宅の外断熱構造を説明する平面図である。
【図２】メーターボックス部分の横断面図である。
【図３】共用廊下側の縦断面図である。
【図４】従来の片廊下型集合住宅の平面構成図である。
【符号の説明】
１…戸境壁、２…住戸、３…共用廊下、４…バルコニー、５…柱、６…梁、７…外壁、８…メーターボックス、９…断熱材、１０…空気層、１１…外装材、１２…袖壁、１３…カバーパネル。
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、戸境壁で区画された住戸群の片側に共用廊下が構築され、反対側にはバルコニーが構築された片廊下型集合住宅の外断熱構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】コンクリート建物における効果的な断熱工法の一つとして、コンクリート壁の屋外側の面に断熱材を貼着し、その外側に空気層と、壁面仕上げ用の外装材を設けるいわゆる外断熱工法が知られている。そして、この外断熱工法では、壁は勿論のこと、外気に面する部分であれば、柱や梁にも断熱材を貼着し、外装材で覆うこととなる。
【０００３】ところが、図４に示すような一般的な片廊下型集合住宅の住棟形式では、柱ａや梁ｂが外壁ｃの外側面より突出することが多い。特に、共用廊下ｄ側には、電気、ガス、水道などの共用幹線や共用縦管、それらのメーター類、ガス湯沸器や空調用の室外機などを設置するメーターボックスｅが外壁ｃから突出した状態に設けられているので、それらの袖壁ｆを含めて複雑な外壁面を形成することになる。勿論、メーターボックスｅを外壁ｃより内側、つまり、室内側に凹入させて設けることも可能ではあるが、その分、間取りが制約されることになる。そのため、一般的には、図４に示したように、メーターボックスｅが外壁ｃから突出した状態に設けられ、複雑な外壁面となっていたのである。
【０００４】そして、外壁面の形状が複雑になるほど、断熱材の貼着作業や外装材の加工、取付けが煩雑になるから、上記の従来例では、共用廊下ｄ側の外壁に対する外断熱工法のコストが高く付くという問題点があった。また、上記の従来例では、メーターボックスｅの袖壁ｆがヒートブリッジとなるため、袖壁部分の断熱処理をどのように行うかが課題とされていた。尚、図中のｇは梁間方向の構面に構築された戸境壁ｈで区画された住戸、ｉはバルコニーである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】上記の現状に鑑み、本発明は、メーターボックスを共用廊下側の外壁よりも突出した状態に設けるにもかかわらず、断熱材や外装材として平パネルを使用して容易かつ安価に施工でき、袖壁がヒートブリッジになる虞もない片廊下型集合住宅の外断熱構造を提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、本発明に係る片廊下型集合住宅の外断熱構造の特徴は、戸境壁で区画された住戸群の片側に共用廊下が構築され、反対側にはバルコニーが構築された片廊下型集合住宅において、共用廊下側の柱梁の外面と共用廊下側の外壁の外面とを面一にし、これらの外面全体に断熱材を貼着し、その外側に空気層と外装材を設け、前記外装材の外側にメーターボックス用の袖壁及びカバーパネルを設置して、メーターボックスを構成したことにある。
【０００７】上記の構成によれば、共用廊下側の柱梁の外面と共用廊下側の外壁の外面とが面一であるから、断熱材の貼着作業や外装材の取付け作業が容易であり、断熱材や外装材として平パネルを使用して容易かつ安価に外断熱構造を実現でき、しかも、外装材の外側にメーターボックス用袖壁及びカバーパネルを設置して、メーターボックスを構成するので、袖壁と外壁との間が外壁の外断熱構造によって断熱されることになり、袖壁がヒートブリッジになる虞もない。
【０００８】
【発明の実施の形態】図１は片廊下型集合住宅の平面構成を示す。この片廊下型集合住宅は、梁間方向が耐震壁構造とされ、桁行方向がラーメン構造とされ、梁間方向の構面に構築した戸境壁１で区画された住戸２群の片側に共用廊下３が構築され、反対側にはバルコニー４が構築されている。共用廊下３側では、柱５と桁行方向の梁６とからなる構面に外壁（住戸２の内外を仕切るコンクリート壁）７が構築されているが、バルコニー４側では、外壁７よりも外側であるバルコニー４の先端位置に、柱５と桁行方向の梁６とからなる構面が構成されている。
【０００９】図１に示すように、共用廊下３側の梁６と柱５は、それらの外面が共用廊下３側の外壁７の外面と面一になるように構築されている。８は共用廊下３側の外壁７よりも外側へ突出した状態に設けられたメーターボックスであり、電気、ガス、水道などの共用幹線や共用縦管、それらのメーター類、ガス湯沸器や空調用の室外機などが設置されている。
【００１０】バルコニー４は戸境壁１で各住戸２ごとに仕切られ、戸境壁１のうちバルコニー４側の外壁７よりも外側に位置する戸境壁部分１ａには、構造的に支障のない範囲で、且つ、避難に支障のない大きさの開口が形成され、上記の開口に珪カル板などで形成された避難用パーテーションが設けられている。
【００１１】前記メーターボックス８は、次のとおりに構成されている。即ち、図１に基づいて説明したとおり、共用廊下３側の柱５および梁６の外面と共用廊下３側の外壁７の外面とを面一にして、これらの外面全体に、図２、図３に示すように、断熱材９を貼着し、その外側に空気層１０と外装材１１を設けて、外断熱構造とし、前記外装材１１の外側にメーターボックス用の袖壁１２と開閉可能なカバーパネル１３を設置して、前記メーターボックス８を構成している。尚、断熱材９は、共用廊下３側のスラブがヒートブリッジとなることを回避するために、図３に示すように、端部９ａを空気層１０の厚み内で外装材１１側へ折り返した状態に貼着されている。
【００１２】施工手順を説明すると、先ず、片廊下型集合住宅のコンクリート躯体を構築する。その際、メーターボックス８内を縦に貫通する各種配管のための配管孔を共用廊下３側のスラブに形成し、メーターボックス８内から住戸２内に貫通する各種配管のための配管孔を外壁７に形成しておく。
【００１３】次に、Ｌ形ランナー部材１４を上下のスラブの下面と上面にアンカー１５によって取り付けると共に、外壁７の外面に断熱材９を貼着し、外装材１１を前記Ｌ形ランナー部材１４に係止して固定する。その際、断熱材９および外装材１１には、外壁７に形成された上記配管孔に合わせて配管孔を形成しておく。
【００１４】しかる後、メーターボックス用の袖壁１２を設置する。この例では、メーターボックス用の袖壁１２としてプレキャスト発泡コンクリート板を用いており、上下のスラブの下面と上面にアンカー止めされたアングル材にボルトで固定している。
【００１５】そして、各種配管、配線が終わった後に、カバーパネル１３を前記袖壁１２に取り付けて、前記メーターボックス８を構成するのである。
【００１６】上記の構成によれば、共用廊下３側の柱５、梁６の外面と共用廊下３側の外壁７の外面とが面一であるから、断熱材９の貼着作業や外装材１１の取付け作業が容易であり、断熱材９や外装材１１として平パネルを使用して容易かつ安価に外断熱構造を実現でき、しかも、外装材１１の外側にメーターボックス用の袖壁１２及びカバーパネル１３を設置して、メーターボックス８を構成するので、袖壁１２と外壁７との間が外壁７の外断熱構造によって断熱されることになり、袖壁１２がヒートブリッジになる虞もない。
【００１７】
【発明の効果】本発明は、上述した構成よりなるから、メーターボックスを共用廊下側の外壁よりも突出した状態に設けるにもかかわらず、断熱材や外装材として平パネルを使用して容易かつ安価に施工でき、袖壁がヒートブリッジになる虞もない等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る片廊下型集合住宅の外断熱構造を説明する平面図である。
【図２】メーターボックス部分の横断面図である。
【図３】共用廊下側の縦断面図である。
【図４】従来の片廊下型集合住宅の平面構成図である。
【符号の説明】
１…戸境壁、２…住戸、３…共用廊下、４…バルコニー、５…柱、６…梁、７…外壁、８…メーターボックス、９…断熱材、１０…空気層、１１…外装材、１２…袖壁、１３…カバーパネル。
【特許請求の範囲】
【請求項１】 戸境壁で区画された住戸群の片側に共用廊下が構築され、反対側にはバルコニーが構築された片廊下型集合住宅において、共用廊下側の柱梁の外面と共用廊下側の外壁の外面とを面一にし、これらの外面全体に断熱材を貼着し、その外側に空気層と外装材を設け、前記外装材の外側にメーターボックス用の袖壁及びカバーパネルを設置して、メーターボックスを構成したことを特徴とする片廊下型集合住宅の外断熱構造。
【請求項１】 戸境壁で区画された住戸群の片側に共用廊下が構築され、反対側にはバルコニーが構築された片廊下型集合住宅において、共用廊下側の柱梁の外面と共用廊下側の外壁の外面とを面一にし、これらの外面全体に断熱材を貼着し、その外側に空気層と外装材を設け、前記外装材の外側にメーターボックス用の袖壁及びカバーパネルを設置して、メーターボックスを構成したことを特徴とする片廊下型集合住宅の外断熱構造。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００３−１０５８８５（Ｐ２００３−１０５８８５Ａ）
【公開日】平成１５年４月９日（２００３．４．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００１−３０６０６８（Ｐ２００１−３０６０６８）
【出願日】平成１３年１０月２日（２００１．１０．２）
【出願人】（０００１５０６１５）株式会社長谷工コーポレーション (94)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１５年４月９日（２００３．４．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１３年１０月２日（２００１．１０．２）
【出願人】（０００１５０６１５）株式会社長谷工コーポレーション (94)
【Ｆターム（参考）】
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