説明

物体検出装置、物体検出方法、および物体検出プログラム

【課題】カメラで撮像した2次元の撮像画像を処理して、全体が単一色でなく、帯模様が形成されているパイロン等の物体について、その検出精度を向上させた物体検出装置を提供する。
【解決手段】物体検出装置1は、画像処理部13が画像入力部12に入力されたカメラ2の撮像画像を処理し、撮像されている物体を検出する。画像処理部13は、画像入力部12に入力された撮像画像について、彩度が設定した彩度閾値よりも高い高彩度領域を抽出する。そして、抽出した2つの高彩度領域を凸包する凸包領域を設定する。そして、物体領域検出処理では、凸包領域設定処理が設定した凸包領域内における2つの高彩度領域間に位置する低彩度領域がこれら2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であるかどうかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラで撮像した撮像画像を処理し、撮像されている物体を検出する物体検出装置、物体検出方法、および物体検出プログラムに関し、特に、道路工事等を行うときに、工事領域をドライバに認識させるために道路上に載置するパイロンやポール等の道路誘導物を検出する物体検出装置、物体検出方法、および物体検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載し、その車両の走行制御(ハンドリングやブレーキング等にかかる制御)を補助する車載装置がある(特許文献1等参照)。この種の車載装置は、搭載した車両の前方に位置する障害物を検知し、検知した傷害物と自車両との相対的な位置関係等に基づき、車両の走行制御にかかる補助を行う。特許文献1は、車両の前方をカメラで撮像した撮像画像を処理し、車両の前方に位置する障害物を検知する構成である。また、車両の前方に位置する障害物を赤外線レーダで検知する構成のものもある。また、この種の車載装置は、車両の走行レーンを認識し、車両が認識している走行レーンから外れないように、車両の走行方向(ハンドリング)を補助する制御を行う。走行レーンの認識は、路面に描かれている白線を検出することにより行っている。
【0003】
一方、維持、管理等を目的とした道路工事が行われている場所では、車両の侵入を制限する工事領域と、車両を走行させる走行領域との境界線として、道路上にパイロンやポール等の道路誘導物を載置することが行われている。
【0004】
車載装置は、工事領域と、走行領域とを区別するために道路上にパイロンが載置されている区間では、路面に描かれている白線から認識した走行レーンに基づいて車両のハンドリング制御を補助するのではなく、道路上に載置されている道路誘導物の位置に基づいて車両のハンドリング制御を補助しなければならない。特許文献1に記載の車載装置は、2つのカメラを使用し、車両前方の3次元画像を得ることにより、道路上に載置されているパイロン等の立体物を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−280132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、全体が単一色のパイロンであれば、カメラの撮像画像(2次元画像)に対するエッジ検出処理で得られた物体の外形形状と、パイロンの登録パターン形状と、のパターンマッチングにかかる処理で検出できる。一方、全体が単一色でなく、白や黒等の帯模様を形成したパイロンがある。この帯模様を形成したパイロンの場合、エッジ検出処理で帯模様が形成されている部分を独立した1つの物体として検出してしまうことがある。この場合、撮像されているパイロンが、帯模様で分割した複数の物体として検出されることがある。その結果、パイロンの外形形状を得ることができず、パターンマッチングにかかる処理でパイロンであると認識できないことがあった。
【0007】
また、特許文献1は、道路上に載置されているパイロンが帯模様を形成したパイロンであっても、それを精度よく検知するために、2つのカメラを使用し、車両前方の3次元画像を得る構成を提案している。このため、特許文献1に記載された車載装置は、3次元画像にかかる画像処理が行える高性能のチップを備える必要があるとともに、カメラも2つ必要になるので、装置本体が高価であった。
【0008】
この発明の目的は、カメラで撮像した2次元の撮像画像を処理して、全体が単一色でなく、帯模様が形成されているパイロン等の物体について、その検出精度を向上させた物体検出装置、物体検出方法、および物体検出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の物体検出装置は、上記課題を解決し、その目的を達するために以下のように構成している。
【0010】
この物体検出装置は、画像処理部が画像入力部に入力されたカメラの撮像画像(2次元画像)を処理し、撮像されている物体を検出する。
【0011】
この画像処理部では、以下に示す高彩度領域抽出処理、凸包領域設定処理、接続判定処理、および物体領域検出処理を行い、撮像画像に撮像されている物体の外形形状を得る。
【0012】
高彩度領域抽出処理では、画像入力部に入力された撮像画像について、彩度が設定した彩度閾値よりも高い高彩度領域を抽出する。工事現場等では、一般車両や一般人等の立ち入り制限する工事領域の境界線としてパイロン等の道路誘導物が道路上に載置される。パイロン等の道路誘導物は、視認性をよくするために、赤や黄等の比較的彩度の高い色である。
【0013】
凸包領域設定処理では、高彩度領域抽出処理で抽出した2つの高彩度領域を凸包する凸包領域を設定する。すなわち、ここで設定する凸包領域は、2つの高彩度領域の間に、高彩度領域抽出処理で抽出されなかった領域(低彩度領域)が含まれている。
【0014】
接続判定処理では、この凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が、この凸包領域内の2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であるかどうかを判定する。この判定は、例えば、
(a)凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が、この低彩度領域の外側と同じ色相であれば、2つの高彩度領域をつなぐ独立した低彩度領域でないと判定し、低彩度領域の外側と異なる色相であれば、2つの高彩度領域をつなぐ独立した低彩度領域であると判定する、
(b)凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が、予め設定した色相でなければ、2つの高彩度領域をつなぐ独立した低彩度領域でないと判定し、予め設定した色相であれば、2つの高彩度領域をつなぐ独立した低彩度領域であると判定する、
(c)凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域の輝度が、設定した輝度閾値よりも小さければ、2つの高彩度領域をつなぐ独立した低彩度領域でないと判定し、設定した輝度閾値よりも大きければ、2つの高彩度領域をつなぐ独立した低彩度領域であると判定する、
のいずれか1つ、または2つ以上を組合せた判定によって、行えばよい。また、2つ以上の組合せで判定する場合、判定結果が異なるときには、2つの高彩度領域をつなぐ独立した低彩度領域でないと判定すればよい。
【0015】
上記(a)は、凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が背景であるかどうかで判定する手法である。また、パイロンや、ポール等の道路誘導物は、帯模様を形成するとき、その色相を白や黒等にすることから、上記(b)は、色相によって帯模様であるかどうかを判定する手法である。また、パイロンや、ポール等の道路誘導物は、帯模様を形成するとき、比較的高反射部材で形成することから、上記(c)は、輝度によって帯模様であるかどうかを判定する手法である。上述の(a)、(b)、および(c)にかかる判定は、画像入力部に入力されたカメラの撮像画像に対して行ってもよいし、入力されたカメラの撮像画像に対して公知のHSV変換をした画像に対して行ってもよい。ただし、(b)については、画像入力部に入力されたカメラの撮像画像に対して行うほうが、判定精度が高く、より好ましい。
【0016】
物体領域検出処理では、凸包領域設定処理が設定した凸包領域内における2つの高彩度領域間に位置する低彩度領域が予め設定した色相の領域である場合、この凸包領域を1つの物体が撮像されている物体領域として検出する。
【0017】
したがって、帯模様が形成されているパイロンや、ポール等の道路誘導物であっても、その物体の外形形状を精度よく検出することができる。これにより、検出した物体の外形形状に対するパターンマッチング等の画像処理における、その物体の種類等の判別精度についても向上が図れる。
【0018】
また、高彩度領域抽出処理を、高彩度領域を色相の違いで分割して抽出する処理にすれば、赤色をベースとした第1の物体と、黄色をベースとした第2の物体とが隣接している状況であっても、これらの物体を個別に抽出することができる。
【0019】
この場合、凸包領域設定処理を、2つ高彩度領域が同色相である場合に、これら2つの高彩度領域を凸包する凸包領域を設定する処理にしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、カメラで撮像した2次元の撮像画像を処理して、全体が単一色でなく、帯模様が形成されているパイロン等の物体について、その検出精度の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】物体検出装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】パイロンを示す図である。
【図3】工事領域と、走行領域とを区別するために、パイロンを道路上に載置している状況を示す図である。
【図4】物体検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】高彩度領域の抽出を説明する図である。
【図6】高彩度領域の抽出、および抽出した高彩度領域の分割を説明する図である。
【図7】凸包領域の設定例を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態である物体検出装置について説明する。
【0023】
図1は、この物体検出装置の主要部の構成を示すブロック図である。この物体検出装置1は、単一のカメラ2で撮像した撮像画像(2次元の画像)を処理し、この撮像画像に撮像されている物体、特にパイロンやポール等の道路誘導物を検出する。この物体検出装置1は、例えば車両の走行制御(ハンドリングやブレーキング等にかかる制御)を補助する車載装置等に適用可能である。
【0024】
この物体検出装置1は、図1に示すように、制御部11と、画像入力部12と、画像処理部13と、出力部14と、を備えている。
【0025】
制御部11は、物体検出装置1本体各部の動作を制御する。
【0026】
画像入力部12は、接続されているカメラ2の撮像画像(2次元画像)を入力する。カメラ2は、例えば1秒間に30フレームの撮像画像を出力する。画像入力部12は、入力されたカメラ2の撮像画像を一時的に記憶する画像メモリを備えている。
【0027】
画像処理部13は、画像入力部12に入力されたカメラ2の撮像画像を処理し、この撮像画像に撮像されているパイロン、ポール等の道路誘導物を検出する画像処理を行う。この発明にかかる物体検出プログラムは、画像入力部12に入力されたカメラ2の撮像画像を処理し、撮像されているパイロンやポール等の道路誘導物を検出する画像処理を画像処理部13に実行させるプログラムである。
【0028】
出力部14は、画像処理部13における処理結果を出力する。
【0029】
この物体検出装置1を、上述したように車両の走行制御を補助する車載装置に適用した場合、この車載装置は、出力部14から出力される処理結果に応じて車両の走行制御を補助する。
【0030】
ここで、道路誘導物であるパイロンについて簡単に説明しておく。パイロン20は、図2に示すように、外形形状が円錐形状である。図2(A)は単一色のパイロンであり、図2(B)は帯模様を1本設けたパイロンであり、図2(C)は帯模様を2本設けたパイロンである。パイロン20は、視認性をよくするために、ベースが赤や黄等の比較的彩度の高い色である。ここで言うベースとは、図2(B)、(C)に示す帯模様以外の部分である。また、図2(B)、(C)に示す帯模様は、白や黒等の比較的彩度の低い色で形成している。また、この帯模様は、比較的高反射率の部材で形成している。
【0031】
道路工事が行われている場所では、車両の侵入を制限する工事領域と、車両を走行させる走行領域との境界線として、道路上にパイロン20等の道路誘導物を載置することが行われている。図3は、工事領域と、走行領域とを区別するために、4つのパイロン20(20a〜20d)を道路上に載置している状況を示している。図3において、4つのパイロン20(20a〜20d)を結ぶラインの左側が工事領域であり、右側が車両が走行する走行領域である。
【0032】
ここでは、パイロン20aは、ベースが黄色である。パイロン20b、20c、20dは、ベースが赤色である。また、パイロン20a、20bは、図2(A)に示した単一色のものであり、パイロン20cは、図2(b)に示した帯模様を1本設けたものであり、パイロン20dは、図2(c)に示した帯模様を2本設けたものである。
【0033】
以下、この物体検出装置1の動作について説明する。
【0034】
図4は、物体検出装置の動作を示すフローチャートである。ここでは、画像入力部12に入力されたカメラ2の撮像画像が、図3に示す2次元画像である場合を例にしながら、物体検出装置1の動作を説明する。
【0035】
画像処理部13は、画像入力部12に入力されたカメラ2の撮像画像を取り込む(s1)。カメラ2の撮像画像は、カラー画像である。
【0036】
画像処理部13は、s1で取り込んだカラー画像について、画素毎にRGB値をHSV値に変換するHSV変換を行う(s2)。HSV変換については、公知であるので、ここでは説明を省略する。
【0037】
画像処理部13は、HSV変換した撮像画像の画素毎に、設定されている彩度閾値で2値化した2値化画像を生成する(s3)。この彩度閾値は、予め定めた値であってもよいし、この画像全体の彩度の平均と標準偏差とを用いて算出した値であってもよい。
【0038】
例えば、カメラ2の撮像画像が図3に示す2次元画像である場合、図5に示す2値化画像がs3で生成される。図5は、ハッチングで示す領域内の画素が、彩度閾値よりも低い画素であり、その他の領域(白抜きの領域)の画素が、彩度閾値よりも高い画素である。
【0039】
なお、彩度が彩度閾値である画素については、高彩度の画素としてもよいし、逆に低彩度の画素としてもよい。
【0040】
画像処理部13は、高彩度の画素で構成される領域を高彩度領域として抽出する(s4)。図5に示す例では、高彩度領域が7つ抽出される。具体的には、パイロン20a全体、およびパイロン20b全体を、それぞれ1つの高彩度領域として抽出する。また、パイロン20cについては、帯模様によって分割されている上側と、下側との2つの高彩度領域を抽出する。さらに、パイロン20dについては、2本の帯模様によって分割されている3つの高彩度領域を抽出する。
【0041】
画像処理部13は、s4で抽出した高彩度領域毎に色相のヒストグラムを算出し、色相が単一であるかどうかを判定する(s5)。画像処理部13は、色相が単一でない高彩度領域については、色相毎に高彩度領域を分割する(s6)。s6では、例えば、撮像画像において、図6(A)に示すように、黄色のパイロン20aと、赤色のパイロン20bとが重なっていた場合、s4で抽出される高彩度領域は図6(B)に示すように1つである。すなわち、2つのパイロン20a、20bにかかる高彩度領域を1つに纏めて抽出する。s5、およびs6にかかる処理を実行することにより、図6(C)に破線で示すように、s4で抽出した高彩度領域をパイロン20a、20b毎に分割できる。
【0042】
画像処理部13は、高彩度領域毎に、その高彩度領域と色相が同じで、且つ、距離が予め定めた距離よりも近い他の高彩度領域があれば、これら2つの高彩度領域をペアリングする(s7)。s7では、例えば、図5に示したパイロン20cについて抽出した、帯模様によって分割されている上側と、下側との2つの高彩度領域をペアリングする。また、図5に示したパイロン20dについて抽出した、2本の帯模様によって分割されている上側の高彩度領域と、2本の帯模様の間に位置する高彩度領域をペアリングするとともに、2本の帯模様の間に位置する高彩度領域と、2本の帯模様によって分割されている下側の高彩度領域と、をペアリングする。一方で、パイロン20aについて抽出した高彩度領域と、パイロン20bついて抽出した高彩度領域とは、色相が同じでないので、ペアリングしない。
【0043】
画像処理部13は、s7でペアリングした2つの高彩度領域毎に、これら2つの高彩度領域を凸包する凸包領域を設定する(s8)。図7(A)は、パイロン20cについて抽出した、帯模様によって分割されている上側と、下側との2つの高彩度領域をペアリングし、設定した凸包領域を示す。また、図7(B)は、パイロン20dについて抽出した、2本の帯模様によって分割されている上側と、2本の帯模様の間に位置する2つの高彩度領域をペアリングし、設定した凸包領域を示す。図7(C)は、パイロン20dについて抽出した、2本の帯模様の間と、2本の帯模様によって分割されている下側に位置する2つの高彩度領域をペアリングし、設定した凸包領域を示す。
【0044】
画像処理部13は、s8で設定した凸包領域毎に、ペアリングした2つの高彩度領域間に位置する低彩度領域が、これら2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であるかどうかを判定する(s9)。このs9では、
(a)凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が、この低彩度領域の外側と同じ色相であるかどうか、
(b)凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が、予め設定した色相であるかどうか、
(c)凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域の輝度が、設定した輝度閾値よりも大きいかどうか、
にかかる3つの判定を行う。
【0045】
上述の(a)、(b)、および(c)にかかる判定は、画像入力部12に入力されたカメラ2の撮像画像に対して行ってもよいし、入力されたカメラ2の撮像画像に対して、s2で公知のHSV変換した画像に対して行ってもよい。ただし、(b)にかかる判定については、画像入力部12に入力されたカメラ2の撮像画像に対して行うほうが、判定精度が高く、より好ましい。
【0046】
画像処理部13は、(a)で外側と同じ色相でなく、(b)で予め設定した色相であり、さらに(c)で設定した輝度閾値よりも大きいと判定したとき、ペアリングした2つの高彩度領域間に位置する低彩度領域が、これら2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であると判定する。上記以外の場合には、ペアリングした2つの高彩度領域間に位置する低彩度領域が、これら2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域でないと判定する。
【0047】
(a)は、凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が背景であるかどうかで判定する手法である。また、パイロンや、ポール等の道路誘導物は、帯模様を形成するとき、その色相を白や黒等にすることから、(b)は、色相によって帯模様であるかどうかを判定する手法である。また、パイロンや、ポール等の道路誘導物は、帯模様を形成するとき、比較的高反射部材で形成することから、(c)は、輝度によって帯模様であるかどうかを判定する手法である。
【0048】
なお、s9にかかる判定は、上記(a)、(b)、および(c)の任意の1つで行ってもよいし、任意の2つの組合せで行ってもよい。
【0049】
画像処理部13は、s9でペアリングした2つの高彩度領域間に位置する低彩度領域が、これら2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域でないと判定すると、これら2つの高彩度領域は異なる物体の撮像画像であると判定する(s10)。一方、画像処理部13は、s9でペアリングした2つの高彩度領域間に位置する低彩度領域が、これら2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であると判定すると、これら2つの高彩度領域は同じ物体の撮像画像であると判定する(s11)。
【0050】
画像処理部13は、s11で1つの物体であると判定した凸包領域の中で、一方が同じ高彩度領域である凸包領域があれば、これら2つの凸包領域を合わせて1つの物体と判定する(s12)。例えば、図7(B)に示す凸包領域と、図7(C)に示す凸包領域と、を合わせて1つの物体と判定する。
【0051】
画像処理部13は、1つの物体と判定した領域(高彩度領域、および凸包領域)毎に、その領域の外形形状を検出した物体の形状とし、パターンマッチング等による認識処理を行い、この物体の種類を認識する(s13)。
【0052】
物体検出装置1は、s13の認識結果を出力部14から出力する(s14)。
【0053】
このように、この物体検出装置1は、帯模様が付けられたパイロン20c、20dであっても、その外形形状を精度よく検出することができる。したがって、検出した物体の種類の認識精度を向上させることができる。また、3次元画像にかかる画像処理を行わないので、画像処理部13を安価なチップで構成することができるとともに、カメラ2についても1つで構成できるので、大幅なコストダウンが図れる。
【0054】
なお、上記の説明では、パイロン20の検出を例にして説明したが、パイロン20だけでなく、ポールであっても同様である。また、柵等の道路誘導物であっても精度よく検出できる。
【0055】
また、本願発明は、検出する物体を道路誘導物に限るものではなく、道路誘導物以外の物体を検出する装置にも利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1…物体検出装置
2…カメラ
11…制御部
12…画像入力部
13…画像処理部
14…出力部
20(20a〜20d)…パイロン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラの撮像画像を入力する画像入力部と、
前記画像入力部に入力された撮像画像に撮像されている物体を検出する画像処理部と、を備えた物体検出装置において、
前記画像処理部は、
前記画像入力部に入力された撮像画像について、彩度が設定した彩度閾値よりも高い高彩度領域を抽出する高彩度領域抽出処理と、
前記高彩度領域抽出処理で抽出した2つの高彩度領域を凸包する凸包領域を設定する凸包領域設定処理と、
前記凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が、この凸包領域内の2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であるかどうかを判定する接続判定処理と、
前記接続判定処理が凸包領域内の低彩度領域が、この凸包領域内の2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であると判定したときに、この凸包領域を1つの物体が撮像されている物体領域として検出する物体領域検出処理と、
を実行する、物体検出装置。
【請求項2】
前記高彩度領域抽出処理は、高彩度領域を色相の違いで分割して抽出する、請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記凸包領域設定処理は、2つ高彩度領域が同じ色相である場合に、これら2つの高彩度領域を凸包する凸包領域を設定する、請求項2に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記接続判定処理は、前記凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が、この低彩度領域の外側と同じ色相であれば、2つの高彩度領域をつなぐ独立した低彩度領域でないと判定する、請求項1〜3のいずれかに記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記接続判定処理は、前記凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が、予め設定した色相でなければ、2つの高彩度領域をつなぐ独立した低彩度領域でないと判定する、請求項1〜4のいずれかに記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記接続判定処理は、前記凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域の輝度が、設定した輝度閾値よりも小さければ、2つの高彩度領域をつなぐ独立した低彩度領域でないと判定する、請求項1〜5のいずれかに記載の物体検出装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、
さらに、前記物体領域検出処理が検出した物体領域の外形形状に基づき、その物体の種類を判別する種類判別処理を実行する、請求項1〜6のいずれかに記載の物体検出装置。
【請求項8】
画像処理部が、画像入力部に入力されたカメラの撮像画像を処理し、この撮像画像に撮像されている物体を検出する物体検出方法において、
前記画像処理部が、
前記画像入力部に入力された撮像画像について、彩度が設定した彩度閾値よりも高い高彩度領域を抽出する高彩度領域抽出処理と、
前記高彩度領域抽出処理で抽出した2つの高彩度領域を凸包する凸包領域を設定する凸包領域設定処理と、
前記凸包領域設定処理が設定した凸包領域内の低彩度領域が、この凸包領域内の2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であるかどうかを判定する接続判定処理と、
前記接続判定処理が凸包領域内の低彩度領域が、この凸包領域内の2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であると判定したときに、この凸包領域を1つの物体が撮像されている物体領域として検出する物体領域検出処理と、
を実行する、物体検出方法。
【請求項9】
画像入力部に入力されたカメラの撮像画像を処理し、この撮像画像に撮像されている物体を検出する処理を画像処理部に実行させる物体検出プログラムにおいて、
前記画像入力部に入力された撮像画像について、彩度が設定した彩度閾値よりも高い高彩度領域を抽出する高彩度領域抽出ステップと、
前記高彩度領域抽出ステップで抽出した2つの高彩度領域を凸包する凸包領域を設定する凸包領域設定ステップと、
前記凸包領域設定ステップが設定した凸包領域内の低彩度領域が、この凸包領域内の2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であるかどうかを判定する接続判定ステップと、
前記接続判定ステップが凸包領域内の低彩度領域が、この凸包領域内の2つの高彩度領域をつなぐ独立した領域であると判定したときに、この凸包領域を1つの物体が撮像されている物体領域として検出する物体領域検出ステップと、を前記画像処理部に実行させる物体検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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