説明

物品を不活性化し、この物品を不活性化状態に維持する方法および装置

物品に付着した微生物を不活性化して保存する方法であって、(a)通常は閉鎖位置にあるが開放位置に移動可能な流体出入口を備えた密封可能な容器の空洞内に物品を置き、(b)微生物が不活性化される物品を空洞内に入れた容器を、不活性化サイクルの間、微生物不活性化流体を循環させる循環システムを備えた再処理装置内に置き、再処理装置上の手段を作動させて容器の流体出入口を開放位置に移動させ、循環システムに流体を通じさせ、(c)微生物不活性化流体を容器の空洞を通して循環させ、(d)不活性化サイクルに引き続いて容器を再処理装置から取り外し、再処理装置から容器の取り外すことで流体出入口を通常の閉鎖位置に戻る工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療、歯科治療、製薬、家畜治療または埋葬用器具および機器に関し、特に物品を不活性化し物品を不活性化状態に維持する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液または他の体液に曝された医療、歯科治療、製薬、家畜治療または埋葬用の器具および機器は各使用の間に完全な洗浄および対微生物不活性化が必要となる。液体微生物不活性化システムは蒸気不活性化システムの高温に耐えられない器具や機器の洗浄および不活性化に現在広範に使用されている。一般に液体微生物不活性化システムは医療装置および/または医療器具を過酢酸またはその他の強力な酸化物などの液体消毒剤または不活性化成分に曝すことで一般に操作される。
【0003】
このようなシステムでは洗浄される器具または機器は液体微生物不活性化システムの不活性化チャンバ内に置くか、または不活性化チャンバ内に置かれた容器内に入れるのが一般的である。次いで、不活性化サイクルの間、液体消毒剤は不活性化チャンバ(およびその中の容器)を含む液体循環システムを循環する。
【0004】
従来の再処理装置の不活性化サイクルの次に、不活性化された物品は手動で再処理装置から取り外すか、または不活性化サイクルの間、再処理装置内の物品を保持するトレイまたは容器から取り外す。不活性化された物品は一般に保存カセットに移すか、または保護用抗菌ラップで密封し、再処理装置から一旦取り外された物品の不活性化を保つ。しかし、いかに注意深く再処理装置から取り外しても、物品が一旦周囲の雰囲気に曝されると物品は空気中に浮遊するバイオ汚染物に曝される。このように、物品を次に使用されるまでに長い期間にわたって処置室などに保存すると、バイオ汚染物は保存カセットまたは抗菌ラップ内に閉じ込められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこれらの問題を解決するものであって、物品を不活性化する方法および装置、さらにこの不活性化した物品を保存する装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態によると、物品に付着した微生物を不活性化し、保存する方法が提供され、この方法は、
(a)通常は閉鎖位置にあるが開放位置に移動可能な流体出入口を備えた密封可能な容器の空洞内に物品を置き、
(b)微生物が不活性化される物品を空洞内に入れた容器を、不活性化サイクルの間、微生物不活性化流体を循環させる循環システムを備えた再処理装置内に置き、再処理装置上の手段を作動させて容器の流体出入口を開放位置に移動させ、循環システムに流体を通じさせ、
(c)微生物不活性化流体を容器の空洞を通して循環させ、
(d)不活性化サイクルに引き続いて容器を再処理装置から取り外し、再処理装置から容器の取り外すことで流体出入口を通常の閉鎖位置に戻す
工程を備える。
【0007】
本発明の別の態様によると、物品に付着した微生物を不活性化し、保存する方法が提供され、この方法は、
(a)制御可能な流体出入口を備え密封可能な容器の空洞内に不活性化される物品を置いて空洞内に流体が出入りできるようにし、
(b)空洞を通して微生物不活性化流体を循環させる循環システムを備えた再処理装置内に、不活性化される物品を入れた容器を置き、
(c)微生物不活性化流体を空洞を通して循環させ、
(d)不活性化サイクルに引き続いて容器を取り外し、
(e)不活性化された物品を入れた容器を保存する
工程を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の長所は医療器具および物品を不活性化する装置を設けたことである。
本発明の別の長所は、微生物不活性化処理の間、医療器具および物品を保持する容器を備え、装置から容器を取り外したあと長期間にわたってこの容器は不活性化された環境に器具を維持できることである。
【0009】
本発明のさらに別の長所は、微生物が不活性化された器具を使用時まで保存する保存装置として前述の容器が使用できることである。
これらの長所は図面および特許請求の範囲とともに好ましい実施形態の次の記載によって明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照するに際し、図面は発明の好ましい実施形態を説明するだけの目的であり、発明を限定する目的のためではない。図1は医療機器およびその他の機器に付着した微生物を不活性化する装置10の上部であり、本発明の好ましい実施形態を示す。
【0011】
装置10にはレセスまたは空洞16を形成する上部パネル14を備えたハウジング構造12が含まれる。空洞16は容器200を入れる寸法になっている。容器200は不活性化される装置または器具を入れるために設けられる。図1に示すように、容器200はレセスまたは空洞16内に入る寸法になっている。ウエル32(図2に概略を示す)が空洞16に隣接して形成される。ウエル32は、水と混ぜたとき装置10に使用される微生物不活性化流体を形成する乾燥化学物質を含む化学物質供給容器34が入る寸法になっている。
【0012】
手動で操作可能な蓋42は空洞16にアクセスできる開放位置(図1に示す)と空洞16を閉鎖または覆う閉鎖位置(図2に示す)の間で移動可能である。密封要素44は空洞16を囲み、蓋42を閉鎖位置にしたとき、蓋42とパネル14の間で流体密封を形成する。不活性化サイクルの間、蓋42に掛けがねをかけて固定する掛けがね手段(図示しない)を設ける。
【0013】
図2に装置10の簡略化した概略的配管ダイヤグラムを示す。流体循環システム60で微生物不活性化流体が不活性化チャンバ50に供給され、さらに不活性化チャンバ50と容器200を通して微生物不活性化流体が循環するように操作される。流体循環システム60には加熱水源(図示しない)に接続した水入口ライン62が含まれる。一対のマクロフィルタを水入口ライン62に設け、入ってくる水に存在する大きな汚染物を濾過する。水源内の有機物を不活性化する紫外線(UV)処理装置68を入口ライン62に設けるのが好ましい。水弁72で水入口ライン62からシステム供給ライン82への水の流れを制御する。システム供給ライン82には、流体循環システム60に無菌水を供給するよう入ってくる水から極めて微細な有機物を濾過する2つのフィルタ要素84,86が直列で含まれる。フィルタ要素84,86の下流のシステム供給ライン82に加熱要素88が配置される。システム供給ライン82は第1のブランチ供給ライン92と第2のブランチ供給ライン94とに分かれる。第1および第2のブランチ供給ライン92,94は不活性化チャンバ50内の容器200に通じる。第1および第2のブランチ供給ライン92,94は、図2に概略示すように、流体入口アセンブリ340,360を介して接続される。流体入口アセンブリ340,360が、パネル14に取り付けられた弁作動コネクタ410と作動面で相互作用するよう適合されるが、その詳細は次に述べる。不活性化チャンバ50自体に第3のブランチ供給ライン96が接続される。
【0014】
第2のブランチ供給ライン94から追加のブランチ供給ライン98が分離し、装置10に使用される微生物不活性化流体をつくる乾燥化学物質を含む化学物質供給容器34の入口部分に向かう。化学物質供給容器34への追加のブランチ供給ライン98の流れと、容器200に接続されたライン94の流れとが弁102で制御される。化学物質供給容器34はハウジング構造12のパネル14内に形成されたウエル32内に配置される。
【0015】
化学物質供給容器34からブランチ戻りライン104が延びてシステム戻りライン112に接続される。同様に容器200と不活性化チャンバ50からブランチ流体戻りライン106,108がそれぞれ延びて、システム戻りライン112に接続される。パネル14上の弁作動コネクタ410を介して容器200上の流体出口アセンブリ280がブランチ戻りライン106に接続されるが、その詳細は以下に述べる。
【0016】
図2に示すように、システム戻りライン112は水入口ライン62および流体供給ライン82に接続される。システム戻りライン112にポンプ116が配置される。ポンプ116は流体循環システム60を通って、流体、すなわち、水および微生物不活性化流体が循環するよう作動する。システム戻りライン112には排水ライン122が接続される。排水ライン118を通る流体の流れは排水弁122で制御する。水入口ライン62とポンプ116の間のシステム供給ライン82に方向性チェック弁124が配置される。フィルタ84,86の反対側の流体システム供給ライン82にフィルタバイパスライン76が接続される。特に、バイパスライン76の一端はポンプ116と方向性チェック弁124の間のシステム供給ライン82に接続される。バイパスライン76の他端はフィルタ84,86および加熱装置88を超えた箇所ではあるが、第1、第2および第3のブランチ供給ライン92,94および96が形成される前の箇所のシステム供給ライン82に接続される。流量を制限するためフィルタバイパスライン76に流量制限装置78が設けられる。
【0017】
詳細は以下に述べるように、循環システムの操作はシステムマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ(図示しない)で制御される。以下に詳述するように、循環システムの操作には充填段階、循環段階および排水段階が含まれる。充填段階、循環段階および排水段階の操作を容易にするため、不活性化チャンバ50の最上部に流体に接続される空気入口/流体オーバーフローアセンブリ132が設けられる。空気入口/流体オーバーフローアセンブリ13には不活性化チャンバ50および循環システム60内の過剰流体を排水にオーバーフローさせるオーバーフロー排水134と、排水を容易にするため不活性化チャンバ50内に空気を供給する空気入口とが含まれる。入ってくる空気を濾過するため空気入口にフィルタ136が設けられる。
【0018】
次に容器200を図3−7に示す。容器200は一般にトレイ202とこれに取り外し可能な蓋550で構成される。トレイ202は一般にカップ形状をし、底壁204および底壁204の周りで一方側に延びる連続側壁206を備える。底壁204と側壁206とで、不活性化される器具または他の物品が挿入される空洞208が形成される。示した実施形態ではトレイ202は一般に長円形であるが、本発明の範囲内で別の形状にすることも考えられる。
【0019】
図8および9でよく理解できるように、側壁206の上縁は密封要素の一部をなす形状にされている。ここに示す実施形態では、側壁206の上縁は側壁206の上縁に沿って連続して延びる間隔を保つ2つのレール212,214を備えた形状である。レール212,214は、同様に側壁206の上縁の周りに連続して延びる図11でよくわかるように、チャンネル216を形成する。トレイ202上のレール212、214は以下に詳細に述べるように、蓋550上の対応する要素に係合する操作ができる寸法となっている。
【0020】
底壁の上面は図面では204aを付す。一般に凹形状で間隔を保つ2つの取付けパッド222,224が底壁204の上面204aから延びる。各取付けパッド222,224には弓形のスロットまたはレセス226が形成されて含まれる。取付けパッド222はレセスまたは逃がし232が形成される。間隔を保つ一対のコネクタ接続具234,236が取付けパッド222のレセスまたは逃し232内に取り付けられる。底壁204の上面204aは一般に輪郭があり、器具または物品をトレイ202の空洞208内に容易に位置させるように、微生物が不活性化される器具または物品の部分を受け入れて支持する寸法の複数のレセス242,244,246および248が含まれる。取付けパッド222,224の間の端部に2つのレセス252,254が形成される。レセス252,254には指向性のあるスプレイノズル256,258が含まれる。
【0021】
示した実施形態では、3つの流体アセンブリ280、340、360、すなわち2つの流体入口アセンブリ340、360および1つの流体出口アセンブリ280がトレイ202に形成され、微生物不活性化流体が容器200に流れ込み、通過し、出ていく。基本的には、ノズル256、258を通ってトレイ202内へ、さらに側壁206の上縁に微生物不活性化流体を流すことが第1の流体入口アセンブリ340で容易となる。
【0022】
取付けパッド222のレセス232内にあるコネクタ接続具234,236への流体の流れが第2の流体入口アセンブリ360で容易になる。次にコネクタ接続具234,236は柔軟性コネクタ712(図18および19でよく分かる)によって医療装置および器具に接続され、微生物不活性化流体をこの器具の穴および通路を介して導くことができる。
【0023】
流体出口アセンブリ280は容器200から流体を排水するために設けられる。
各前記流体アセンブリ280,340,360は類似の多くの要素で構成される。3つの流体アセンブリはトレイ202上の流体出口アセンブリ280がよく示された図12を参照して一般的に理解できる。排水開口292が側壁206近辺のトレイ202の底壁204に形成される。排水開口292は、容器200を不活性化チャンバ50内に置いたとき、容器200の最も低い点となる箇所に配置するのが好ましい。取付け板296を受け入れるため底壁204の底面に反対側に沈下する拡大開口294が形成される。取付け板296から下方向に円筒スリーブ296bが延びる。取付け板296の本体部296aに形成された一般にカップ状の空洞内に延びる円筒開口302がスリーブ296bで形成される。図7に示すように、円筒スリーブ296bで形成された円筒開口302内にオープングリルまたは格子状構造304が配置される。柔軟性弁要素312が取付け板296によってトレイ202に取り付けられる。
【0024】
円柱状の中心本体部312aが弁要素312に含まれ、開口312dを形成する径方向に延びる複数のアーム部312cによって外側の環状フランジリング部312bに接続される。弁要素312は弾力性のある柔軟なポリマー材料で作るのが好ましく、また一体片として成型するのが好ましい。中心本体部312aの底に円筒レセスが形成され、硬くて頑丈で耐久性のあるポリマー材料で作られた円形またはドームキャップ要素314を受ける。図12に示すように、キャップ314は通常の留め具316によって弁要素312の中心本体部312aに取り付けられる。弁要素312のフランジリング部312bは取付け板296のレセスに入る寸法になっている。取付け板296は通常の留め具322でトレイ202の反対側に沈む開口294内に取り付けられる。
【0025】
成型などで作られた弁要素312は図12に示すように第1の通常位置を占め、弁要素312の中心本体部312aは円筒穴302を囲む取付け板296の内縁に対して係合または「座り」、それによってトレイ202の底壁の開口が有効に閉鎖される。弁要素312は図13に示すように第2の位置に移動可能であり、弁要素312の中心本体部312aは取付け板296から離れて開放位置に移動し、排水開口292を通り、弁要素312のアーム312c間の開口312dを通り、さらに取付け板296のスリーブ部296bを通って連続する排水通路が形成される。
【0026】
次に図5および7に第1および第2の流体入口アセンブリ340,360を示す。この実施形態では、流体入口アセンブリ340,360はトレイ202の底壁に形成された比較的大きい空洞または空洞322内に配置される。空洞322にはトレイ202の底面の一般に中心に配置された大きな領域322aと、トレイ202の一方側に延びる部分322bとが含まれる。空洞322の底は一般に平面で形成される。第1および第2の通路形成空洞334、336(図7で点線で示す)はレセス322を形成する平面に作られる。第1の通路形成空洞334は一般にV形であり、円形部334aと外に延びる2つのアーム部334bを備える。図5に示すように、第1の通路形成空洞334のアーム部334bは底壁204の反対側でノズル256,258に接続する。
【0027】
第2の通路形成空洞336は大きい円形部336aを備え、またこれに接して接続する2つの小さい円形部336bを備える。第2の通路形成空洞336の2つの小さい円形部336bは底壁204の反対側で取付けパッド222のレセスまたは逃し232内に配置されたコネクタ接続具234,236に通じる。
【0028】
図3に示す取付け板342はトレイ202の底壁204に取り付けられる寸法にされ、第1の通路形成空洞334を覆う。この点に関しては、取付け板342は一般にV形をなし、第1の通路形成空洞334のアーム部334bを覆うためアーム342bは長くなっている。取付け板342は一般に平面で、下方に延びるスリーブ342a(図4および5に示す)を備える。取付け板342はこれまでに述べた種類の弁要素312を入れて取付ける寸法になっている。この点に関しては、取付け板342は複数の通常の留め具344でトレイ202のレセス322内に取り付けられる。スリーブ342aは取付け板342から延びて、取付け板342とトレイ202の間に配置された弁要素312に通じる開口を形成する。取付け板342は第1の通路形成空洞334の開いた側を覆うので、弁要素312(取付け板342で囲まれる)を底壁204の反対側のスプレイノズル254,256に接続する流体通路(図5に示す)が形成される。実施形態に示すように、取付け板342の各脚部342bの上面に長いU形レールまたはキー346が形成され、トレイ202のレセス322内に形成された係合溝によって取付け板342がロックされる。図7でよくわかるように、チューブまたはホース342がその一端で取付け板342に取り付けられ、取付け板342とトレイ202内の流体形成空洞334との間に形成された流体通路に通じる。チューブまたはホース342の他端は側壁206の上縁に沿うチャンネル216に通じるチャンネル354(図4および8に示す)に接続される。
【0029】
次に図3に第2の流体入口アセンブリ360を示す。第1の流体入口アセンブリ340と同様に、第2の流体入口アセンブリ360には、以上に述べた種類の弁要素312を入れて保持する寸法にされた取付け板362が含まれる。第2の流体入口アセンブリ360の取付け板362はレセス322の延長部322b内に通常の留め具で取り付けられる。取付け板362はレセス322内の第2の通路形成空洞336を形成し覆う位置に設けられる。第1の入口アセンブリ340の取付け板342と同様に、第2の流体入口アセンブリ360の取付け板362には取付け板362の周囲に沿って延びるキーまたはレール364が含まれ、トレイ202の底壁204のレセス322の位置に取付け板362が配置ロックされる。取付け板362は主として第2の通路形成空洞336を覆い、取付け板362で保持された弁要素312と底板204の反対側のコネクタ接続具234,236に接続された開口366との間に流体通路を形成する。
【0030】
以上をまとめると、流体出口アセンブリ280、第1および第2の流体入口アセンブリ340,360のそれぞれにはトレイ202の底に作動可能に取り付けられた類似の弁要素312が含まれる。流体出口アセンブリ280の弁要素312はブランチ戻りライン106に通じる。第1の流体入口アセンブリ340の弁要素312によってブランチ供給ライン92がトレイ202の空洞208内のスプレイノズル256,258と側壁206の上縁に接続される。第2の流体入口アセンブリ360の弁要素312はトレイ202の空洞に08内の取付けパッド222上のコネクタ接続具234,236に接続される。すべての弁要素312の通常の位置は流体の流れを阻止する閉鎖位置である。前述のように、前記流体アセンブリ280、340、360の弁要素312は装置ハウジング12のパネル14上の弁作動コネクタ410と作動面で相互作用する寸法になっている。本発明の好ましい実施形態では、流体アセンブリ280,340,360用の弁作動コネクタ410は同一である。したがって、1つの弁作動コネクタ410について詳細に記載するが、この記載は他の弁作動コネクタにも同様に適用されるものである。
【0031】
次に図12および13に、流体出口アセンブリ280に関連する弁作動コネクタ410を示す。本発明の1つの態様によると、弁作動コネクタ410は装置10のハウジング12のパネル14に取り付けられ、作動コネクタ410が「浮く」、すなわちパネル14に対して移動可能になる。実施形態に示すように、弁作動コネクタ410は内部に流体通路414が形成された円筒状コネクタ本体412を備える。コネクタ本体412の自由端には外側に延びる環状フランジ416が設けられる。フランジ416の下面にはOリング422を入れる寸法の環状溝418が設けられる。コネクタ本体412にはネジ部412aが含まれる。フランジ416とネジ部412aの間はパネル14内の円形開口424内に入る寸法の円筒状本体部412bとなる。パネル14の開口424の直径はコネクタ本体412の円筒状本体部412bの直径よりも大きい。パネル14の開口424の周りに環状溝426が形成される。図12および13に示すように、コネクタ本体412をパネル14に固定するためネジ付き鍔432が設けられる。鍔432にはその中に形成された環状溝426が含まれる。鍔432の溝434はパネル4内の環状溝426と整合する寸法にされる。パネル14とネジ付き鍔432に形成された環状溝426,434内に螺旋バネの形の付勢要素442が配置される。ネジ付き鍔432はコネクタ本体412に形成された環状スロット内に配設された保持リング444によってコネクタ本体142の一定の位置に保持される。螺旋バネ442の付勢作用によって円筒状コネクタ本体412のフランジ416でパネル14の上面に嵌るOリング422は加圧される。このように弁作動コネクタ410はパネル14の円形開口424内の制限された範囲内で自由に移動できる。螺旋バネ442の付勢作用によってOリング422でパネル14に係合する力が加わり開口424は常に密封される。
【0032】
コネクタ本体412の自由端となる上端に形成された反対側にあけられた開口内にキャップ452が挿入される。キャップ452は円筒状であり、端部には軸方向に延びるピン454が含まれる。キャップ452の端部には開口456が形成され、筒状コネクタ本体412に形成された流体通路414に通じる。キャップ452に環状溝462が形成されOリング464を入れる。キャップ452はそれぞれの流体アセンブリ280,340,360のスリーブに形成された開口302内に入る寸法にされ、そこでOリング464はこのスリーブの内面302に密封係合する。図12および13に示すようにコネクタ本体412の下端は、図2に示すように流体循環システム60のブランチ戻りライン106に接続され、またその一部を形成する。この点に関しては、他の2つの作動コネクタ410はパネル14に取り付けられ、図2に示すように第1および第2の流体入口アセンブリ340,360と作動面で係合する。第1の流体入口アセンブリ340に関連する弁作動コネクタ410は第1のブランチ供給ライン92に接続され、またその一部を形成する。第2の流体入口アセンブリ360に関連する弁作動コネクタ410は第2のブランチ供給ライン94に接続され、またその一部を形成する。
【0033】
次に図3,10および11にトレイ202の端にハンドルアセンブリ510を設けたものを示す。各ハンドルアセンブリ510には図に示すように、通常の留め具514でトレイ202の側壁206に取り付ける取付け部512aを備えたハンドルブラケット512が含まれる。ハンドルまたは握り部512bは取付け部512aから延びる。図3に示すように、ハンドル部512bの横端部に沿って同一面上で間隔を有するスロット522が形成され、一般に平面の掛けがね要素524がスライド可能に受けられる。掛けがね要素524はハンドル部512bのスロット522内でスライド可能な寸法になっている。ピンまたは留め具528がハンドル部512bを通り掛けがね524の長い開口526に挿入され、掛けがね524の制限された部分がハンドル部512b内でスライド可能になる。掛けがね524には一端の上面に形成されたバンプまたはディンプル532と、掛けがね532の反対縁の底面に形成されたタブ534が含まれる。掛けがね524にはハンドル部512bの開口542と整合する開口536が含まれる。掛けがね524はトレイ202上に蓋550をロックするために設けられる。
【0034】
図3に示すように、蓋550はトレイ202の開放上端を囲む形状の一般に平面の要素である。蓋550にはその周囲に沿って延び、一対の下方に延びる一般に連続するレールまたは壁部552,554が含まれる。図10および11に示すように、壁部552,554はトレイ202の側壁206の上縁にあるレール212,214と歯合接触で配置される寸法になっている。図10および11に示すように、蓋550の壁部552,554は側壁206の上縁から延びるレール212,214よりも多少短く、蓋550は主としてトレイ202の側壁206のレール212,214の上縁に置かれる。蓋550の下方に延びる壁部552,554とレール212,214と側壁206の上面との間にはU形状の隙間またはスペースが形成される。蓋550とトレイ202との連結装置は、以下に詳述するが、密封アセンブリの新規な種類を形成する。
【0035】
蓋550にはトレイ202のハンドルアセンブリ510に重なる寸法の延長部572が含まれる。延長部572に張出しまたは舌574が形成される。舌または張出し574はハンドルアセンブリ510のハンドル部512bと一般に整合配置される寸法になっており、掛けがね要素524は掛けがね要素524が蓋550の舌または張出し574上に配置されるロック位置に移動可能である。この位置において、掛けがね要素524は掛けがね要素524とハンドルアセンブリ510の間に張出し574を挟み込むので、蓋550はトレイ202上にロックされる。また蓋550の延長部572には開口576が含まれ、この開口576は、ハンドルアセンブリ510のハンドル部512b内の開口542と、掛けがね要素524がロックまたは掛けがね位置にあるときの掛けがね要素524の開口536とに整合する位置に設けられる。
【0036】
本発明の別の態様によると、蓋550をトレイ202に固定するのにロック装置590が設けられる。ロック装置590は本体部59とそこから延びる長くて柔軟性のあるアーム部594とで構成される。アーム部594は、通常のタイロックバンドのように、蓋550、掛けがね524およびハンドル部512bの開口576,536および542を通って延び、もとの本体592に挿入できる寸法になっている。この点に関しては、本体部592および長いアーム部594は成型可能なプラスチック材料で一体に作り、アーム部504の端が本体部592の開口内に挿入でき、一旦挿入されると取り外せなくするのが好ましい。以下に詳細に記載するが、アーム部594は掛けがね要素524を掛けがね位置から移動させることで比較的容易に破損される寸法にすることが好ましい。
【0037】
次に図14−18に、微生物不活性化のため医療器具などの物品を整えて位置決めする容器200内で使用する器具ホルダ610を示す。この実施形態では、器具ホルダ610は基本的に基部612(図15に示す)と上部(図17に示す)とで構成される。基部612はフレーム614の一端に配置された穴明きパネル616を支持するように形成されたワイヤフレームで基本的に構成される。パネル616は一般にU形レール618で囲まれる。フレーム614には平行で間隔を保つ2つのフレーム部材622,624が含まれる。フレーム614の一端に上に曲がったストッパ626が形成される。フレーム614にはフレーム部材622,624に取り付けられる寸法の器具ホルダ630が含まれる。各器具ホルダ630は器具取付けブロック632とブロック632に取り付け可能なプレート634とで構成される。図16に示すように、ブロック632には下縁に沿って形成された円筒溝636が含まれ、基部612のフレーム部材622,624は器具ホルダ630のブロック632とプレート634の間に入れることができる。図16に示すように、プレート634を取付けブロック632に取り付けて器具ホルダ630をフレーム部材622,624に固定するのに通常の留め具638が使用される。
【0038】
取付けブロック632は一般に剛性のあるポリマー材料で作るのが好ましく、所定断面形状の複数のスロット642を含む。スロット642は整列して横に重なる複数の円形領域644で一般に形成される。スロット642の上端は開放し下端は閉鎖され、側壁は開放端から閉鎖端に向かって互いの間隔が狭まる。図16に示すように、円形領域644は
複数の種々の円直径を有する物品すなわち医療器具の円筒部分を受けるよう設計するのが好ましい。
【0039】
次に図17に上部652を示す。上部652は基本的に環状保持領域654と矩形保持領域656を有するように形成されたワイヤ、ラックまたはトレイである。図14に示すように、上部652は下の基部612と入れ子式に合体するよう設計される。
【0040】
次に図18に医療器具内の管腔および通路を不活性化するシステムを示す。図18は器具ホルダ630(破線で示す)内に気管支鏡Bを備えたトレイ202を示す。柔軟性コネクタ712の一端は取付けブロック222の逃しまたはリセス232内のコネクタ接続具234に取り付け、柔軟性コネクタ712の他端は医療器具の接続部品に取り付ける。柔軟性コネクタ712はトレイ202のコネクタ接続具234に取り付けられ、医療器具Bの管腔へ至る微生物不活性化流体の流路を形成する。柔軟性コネクタ712には、一端に雄型部品722(図19に示す)を備え、また医療器具Bに取り付けるため他端には連結アセンブリ810(図20−22に示す)を備えた一定の長さの医療グレードのチューブ714が含まれる。
【0041】
次に図19に、柔軟性コネクタ712をトレイ202に取り付ける雄型部品722を示す。部品722には取付けブロック222に取り付けられたコネクタ接続具234内に挿入する円筒部724が含まれる。円筒部724には円筒部724の自由端付近に形成された溝に取り付けられたOリング726が含まれる。Oリング726上方の円筒部724に環状スロット728が形成される。チューブ714で形成された通路に通じる内部穴または通路が円筒部724および雄型部品722に形成される。
【0042】
取付けブロック222に取り付けられたコネクタ接続具234は基本的に穴形取付けパッド222内にネジ込まれたネジ部732を備えた雌型コネクタである。コネクタ接続具234は開口736を有する本体部734を備え、開口736からトレイ202の底壁204の開口366に流体が通じる。コネクタ本体734の上端にスロット738が形成され、スライド式にロック要素742を受ける。ロック要素742はコネクタ本体734に形成されたスロット738内に受けられる寸法の平面部742aを備える。ロック要素742の平面部742aには円形開口744が形成される。またロック要素742にはロック要素742の平面部742aに直角に配置された親指部742bが含まれる。実施形態では螺旋バネで示した付勢要素746がロック要素742の親指部742bとコネクタ本体734の間に配置される。付勢要素746は親指部742bをコネクタ本体734から離す方向に付勢作用する。ロック要素742はロック要素742の平面部742aのスロット754を通って延びるキャップスクリュウ752によってコネクタ本体734に保持される。図19に示すように、ロック要素742の平面部742aのスロット754はそこの円形開口744に通じる。親指部742bを押すことで、ロック要素742の円形開口744がコネクタ本体734の穴736に位置が一致する第1の位置にロック要素742が移動できる。ロック要素742をこの位置にして、雄型部品722の円筒部724が、ロック要素742の円形開口744を通ってコネクタ本体734の穴736に挿入される。部品722の円筒部724がコネクタ本体734の穴736内に挿入された状態で、親指部724bを離すと、ロック要素742は円筒部724に形成された環状スロット728内をスライドし、そのためロック部品722はコネクタ本体734内にロックされる。ここに示す実施形態においてはコネクタ接続具234はミネソタのセイントポールにあるColder Products Companyで製造された部品である。
【0043】
次に図20に連結アセンブリ810を示す。連結アセンブリ810は図22で分かるように、不活性化される医療器具B上の接続部品802に柔軟性コネクタ712を取り付けるのに設けられる。連結アセンブリ810にはチューブ714を受ける寸法の第1の端部812aを備えたエルボー部品812が含まれる。ホースまたはチューブのクランプ814でチューブ714はエルボー部品812の第1の端部812a上にロックされる。エルボー部品812の第2の端部812bはスリーブ822に取り付けられる。スリーブ822は一般に円筒形状をなし、内側に延びる環状壁822aを備える。エルボー部品812の第2の端部812bに外側に延びる環状フランジ812が形成される。エルボー部品812のフランジ816は保持リング824によってスリーブ822の環状壁822aに捕獲され保持される。内側に延びるスリーブ822の環状壁822aはエルボー部品812を通る開口に通じる開口826を形成する。環状壁822aの内縁およびエルボー部品812の開口には図示するように丸めるのが好ましい。
【0044】
円筒鍔832がスリーブ822の端部に固定で取り付けられる。鍔832には医療器具Bの接続部品802の外ネジに合う寸法の内ネジ832aが設けられる。スリーブ822と鍔832の間に筒状弁要素842が配置される。弁要素842には貫通する通路842aが形成される。弁要素842はその中央部から外側に延びる一般にL形状の環状壁844を備える。環状壁844で弁要素842の周りに環状レセスが形成される。弁要素842のL形環状壁844と内側に延びるスリーブ822の環状壁822aの間のレセス846に螺旋バネの形の付勢要素848が配置される。付勢要素848は弁要素842をスリーブ822の開口826から離すように作用する。弁要素842内に埋め込まれたピン852が、スリーブ822の内面に沿って形勢されたスロット854内に延びる。ピン852とスロット854によってスリーブ822に対する弁要素842の位置が維持され、スリーブ842内で弁要素842が案内される。弁要素842のL形環状壁844にノッチまたは開口862が形成される。L形環状壁844のノッチまたは開口862はスリーブ822に形成された開口864に合せられる。
【0045】
医療器具が取り付けられていないときは、連結アセンブリ810は図20に示す第1の位置を占め、弁要素842はエルボー部品812およびそこに形成された通路から離れる方向に付勢される。この点に関しては、柔軟性コネクタ712を流れる流体の一部分は弁要素842の通路842aを流れるが、残りの部分は弁要素842をバイパスして弁要素842の周りに流れ、ノッチ862を通り、さらにL形環状壁844とスリーブ822に設けられた開口864を通って流れる。
【0046】
医療器具Bの接続部品802に正確に取り付けると、弁要素842は第2の位置を占め、弁要素842の一端はエルボー部品812の面に着座し、弁要素842の他端は医療器具Bの接続部品802に対して着座する。このように、柔軟性コネクタ712を流れる流体は弁要素842の通路842aだけを通過し、医療器具Bの接続部品802内の通路内に入り、このようにして医療器具B内の管腔および通路を通って流れる。
【0047】
次に装置10の操作に関して以下に述べる。医療、歯科治療、製薬、家畜治療または埋葬用器具またはその他の機器などの、不活性化される1つ以上の物品を容器200内に入れる。部品によっては図14に示すように器具ホルダ610内に置くが、他の部品はトレイ202の底にセットし、そこの面レセス242,244,246および248内に置く。
【0048】
この点に関しては、容器200はかなりの種類の医療器具および他の物品を収納することができる。医療器具によっては管腔、すなわち内部に延びる通路が含まれる。気管支鏡および内視鏡などの器具は器具ホルダ610内にセットし、図14に示すように、このような器具の長いフレキシブルチューブは上部652の環状保持領域654に置くのが好ましい。トレイ202の流体通路366を医療器具の内部管腔に接続するため柔軟性コネクタ712を使用する。さらに詳細に説明すると、微生物不活性化流体を医療器具の管腔を通って押し流すことが可能なように、連結アセンブリ810を医療器具の接続部品に適合させるような寸法の柔軟性コネクタ712にする。コネクタ接続具234,236を使用してトレイ202に取り付けた柔軟性コネクタ712の連結アセンブリ810および器具ホルダ610内に医療器具をセットする。次いで柔軟性コネクタ712の連結アセンブリ810をポート、すなわち医療器具上の接続部品に取り付ける。さらに詳細については以下に述べるが、雄型コネクタアセンブリを雌型コネクタアセンブリに取り付けたとしても、柔軟性コネクタ712の連結アセンブリ810を医療器具の接続部品に適正に接続しない限り、不活性化サイクルは実行できない。
【0049】
柔軟性コネクタ712をトレイ202および医療器具に取り付けると、トレイ202上に蓋550をする。図8−11に示すようにトレイ202の側壁206の上方に延びるレール212,214は図8−10に示すように間隔のある壁552,554と相互に作用する。図8−10に示すように、蓋550は主として側壁206のレール212,214の上端に当接する。この点に関しては、図示するように、蓋550の壁部材552,554は側壁206のレール212,214よりも多少短く、図10に示すように一般にU形通路562は蓋550の係合する周囲と側壁206との間で容器200の周りを延びる。このように、回旋する一般に蛇状に曲がる通路が蓋550と側壁206の上縁との間に形成される。蛇状に曲がる通路は容器200の内部から外部に至る。
【0050】
図10に示すように、蓋550をトレイ202上の正確な位置に置いた状態で、ハンドルアセンブリ510の掛けがね要素524を蓋550の張出し574上にスライドさせることで、蓋550をその位置にロックする。
【0051】
本発明の1つの態様によると、微生物が不活性化される器具または物品をトレイ202内に置いて、蓋550を取り付けて掛けがねをかけると、図10に示すように、ロック装置590を蓋550の延長部572とハンドルアセンブリ510に取り付けて、蓋550がトレイ202から外れるのを防止する。前記のように、本発明の好ましい実施形態ではロック装置590はそれ自体にロック可能なポリマー製ストラップにするのが好ましい。汚染器具を容器200内に入れロック装置590を取り付けて、容器200を不活性化チャンバ50内に入れる。この点に関しては、図2に概略示すように、第1および第2の流体入口アセンブリ340,360および流体出口アセンブリ280をパネル14上の弁作動コネクタ410に位置合わせし、容器200および流体通路を流体循環システム60の第1および第2のブランチ供給ライン92,94およびブランチ戻りライン106に接続する。次に化学物質供給容器34を装置10の収納ウエル32内に入れる。次に装置10の蓋42を閉めて掛けがねをかけることで不活性化チャンバ50を密封する。
【0052】
図12および13には、パネル14上の弁作動コネクタ410が流体入口アセンブリ340,360および流体出口アセンブリ280と相互作用をして、容器200の内部がそれぞれのブランチ供給ライン92,94および戻りライン106と流体的に連絡する方法を示す。特に、作動コネクタ410のピン454で関連する流体アセンブリ280,340,360の弁要素312を押し付けて、封止位置から開放位置に弁要素312を移動させる。換言すると、一旦、容器200を場所にセットして対応する作動コネクタ410と相互作用させると、ブランチ入口ライン92,94およびブランチ戻りライン106は器200の内部と流体的に通じる。
【0053】
好ましい実施形態では、化学物質供給容器34内で乾燥物質を入ってくる水に曝し混合することで形成される過酢酸流体などの微生物不活性化流体で物品に付着した微生物の不活性化を行う。この点に関しては、不活性化操作の開始時に、流体循環システム60の排水弁122を閉じ、水入口ライン62の弁72を開けて加熱水を流体循環システム60に入れる。入ってくる水をフィルタ要素64,66で最初に濾過し、0.1ミクロン(μ)以上の寸法のマクロ粒子を取り除く。フィルタ要素64,66は小さい寸法の粒子を連続濾過する寸法とする。次いで入ってくる水をUV処理装置68で処理し、水に紫外線(UV)放射を適用することで水中のビールス水準を減少させる。次いで入ってくる水を弁72に通して流体循環システム60に入れる。次いで入ってくる水をシステム供給ライン82のミクロフィルタ要素84,86で濾過して、流体循環システム60、不活性化チャンバ50、および容器200を充填する。装置10内に流入する水の濾過を保証するため、入ってくる水はすべてフィルタ要素84,86を通過させるのが好ましい。
【0054】
入ってくる水を外部源から加圧し、流体循環システム60、不活性化チャンバ50および容器200内の空気を好ましくは装置10の最高の点に配置した箇所に押し上げる。装置10に入る水の結果として、システム内の空気は空気入口/流体オーバーフローアセンブリ132に向かって移動する。
【0055】
空気入口/流体オーバーフローアセンブリ132を通って水が流れることで装置が充填されたことが示される。次いで、システムコントローラで水弁72を閉じて、装置10内、すなわち流体循環システム60、不活性化チャンバ50および容器200内への水の流れを停止する。
【0056】
次に装置10の水注入段階について基本的に述べる。
装置10に水を充填すると、システムコントローラで操作の発生および露出段階を開始し、ポンプ116を作動させ水を流体循環システム60、不活性化チャンバ50および容器200を通して循環させる。第2のブランチ供給ライン94の弁102を開けて、化学物質供給容器34内に流れるようにする。化学物質供給容器34内の水と乾燥化学物質で、前述のように好ましい実施形態では過酢酸である微生物不活性化流体を形成する。乾燥化学物質で形成した不活性化流体は流体循環システム60内に流れ込み、ポンプ116の作動によって流体循環システム60、不活性化チャンバ50および容器200を通して循環させる。図に示すように、微生物不活性化流体の一部は容器200の周りの不活性化チャンバ50内に流れ、また微生物不活性化流体の一部は容器200およびその中の物品内に流れ込んで通り抜ける。図5に示すように、ブランチ供給ライン92を通り第1の流体入口アセンブリ340に流れる微生物不活性化流体は容器200内の通路を介してスプレーノズル256,258に向かう。このように、微生物不活性化流体は容器200の内部空洞208内に押し込んでここを充填する。本発明の1つの実施形態によると、第1の流体入口アセンブリ340に流れ込む微生物不活性化流体の一部は、図4に示すように、容器200および蓋550の間に形成された側壁206のU形間隙562内に向かう。この点に関しては、図8に示すように、容器200内に流れ込む微生物不活性化流体の一部はチューブ352を通って側壁206内の通路354を介し蓋550とトレイ202の間の境界に向かう。微生物不活性化流体は蓋550と側壁206の上縁とのU形間隙562を通ってトレイ202の反対側に流れ、図9に示すように、側壁206上の最も内側のレール212に形成された開口218を通ってトレイ202の内部空洞208に入れられる。基本的には、微生物不活性化流体は密封領域に押し込み、密封領域全体を通して流し、それによって容器200と蓋550の間に形成された回旋する蛇状に曲がる通路を不活性化する。
【0057】
第2の流体入口アセンブリ360内に流れる微生物不活性化流体は、前述のように、柔軟性コネクタ712を通って医療器具の管腔に向かう。容器200内を流れる微生物不活性化流体はブランチ流体戻りライン106およびシステム戻りライン112を介してポンプ116に戻る。化学物質供給容器34を通る微生物不活性化流体はブランチ流体戻りライン104およびシステム戻りライン112を介してポンプ116に戻る。容器200内の物品を不活性化させ、さらに流体循環システム60の部品と流体導管を不活性化するのに十分な所定の時間にわたって、流体循環システム60を通る微生物不活性化流体をポンプ116で連続的に再循環させる。
【0058】
所定の露出時間の後、システムコントローラで排水段階を開始し、排水弁122を開き、微生物不活性化流体を流体循環システム60、不活性化チャンバ50および容器200から排水する。
【0059】
微生物不活性化流体を装置10から排水した後、1つ以上のすすぎ段階を行い、残った微生物不活性化流体および容器200内の不活性化された物品からの残余物質をすすぐ。この点に関しては、前に充填段階で述べたように、入口弁72を開いて装置10内に新鮮な水を入れる。すすぎ水を充填させた後、すすぎ水を前に述べたように、装置10から排水する。ポンプ116を作動させて、すすぎ水を装置10内に循環させる。循環および排水段階でそれぞれ充填する間、流体オーバーフロー/空気入口アセンブリ132を操作して微生物汚染物質が装置10内の内部に入るのを防ぐ。
【0060】
実施形態に示すように、循環する不活性化流体はフィルタ要素84,86を通過する。システムのそれぞれの部分を流れる流体量は流体循環システム60内に配置された弁を調節することで制御できる。フィルタ供給ライン82およびフィルタ要素84,86を通過する微生物不活性化流体は微生物不活性化流体に曝すことでフィルタ要素84,86の不活性化を確実にする。この点に関しては、水の充填サイクル中に、フィルタ要素84,86を流れる不活性化流体の流れでフィルタ要素84,86を不活性化し、フィルタ要素84,86内に入るおそれのある微生物汚染物質を不活性化する。このように、装置10の各操作の間、フィルタ要素84,86を不活性化するためフィルタ要素84,86を不活性化流体に曝す。図2に示すように、バイパスライン76でフィルタ要素84,86を流れる化学物質の量を制御する。前述のように、微生物不活性化流体は不活性化段階の間、閉鎖ループをなす流体循環システム60全体を通って流れ、それによって流体循環システム60およびこれを形成する部品および流体導管を汚染除去する。言い換えれば、各汚染除去サイクルの間で、流体循環システム60を汚染除去する。
【0061】
不活性化段階が終了すると、装置10の蓋42を開放し、不活性化された器具とともに容器200を取り外す。容器200を装置10から取り外すと、流体アセンブリ280、340および360は閉鎖位置に移動するので、容器200内部の微生物汚染が防止できる。
【0062】
本発明の1つの態様によると、不活性化された器具は一種の不活性化されたパッケージとして容器200内に残して長い期間にわたって棚に格納することができ、容器200内の器具は周囲環境に露出しないため微生物が不活性化された環境内にとどまる。この点に関しては、雰囲気が容器200に入る唯一考えられる方法はレール212,214、トレイ202の壁部552、554および蓋550で形成された、曲がりくねった通路を介してである。この点に関しては、このような構造はそこの微生物不活性化状態のために、蛇状に曲がるU形間隙562に沿ったバクテリアまたは有機物の移動が妨げられることがわかった。
【0063】
さらに、容器200から流体を押し出す空気吹き付けを行ったにもかかわらず、容器200の内部はある程度「湿気のある」状態になっている。湿気のある容器200内部は低温の加熱炉で乾燥させることもでき、湿分はある時間にわたって容器200内部から追い出されるものと考えられる。蓋590とトレイ202のロック装置590は、ロック装置590が完全であり容器200が開放されていないことを示すときは、中の器具は微生物が不活性化されたことを示す。
【0064】
微生物が不活性化された器具を使用する必要が生じたときは、掛けがね要素524をそのロック位置から離れる方向に単にスライドして蓋550を取り外すことができる。
次に図23に、連結アセンブリ810を医療器具B上の接続部品802に適正に確実に接続するための監視システム910を表すブロックダイヤグラムを示す。監視システム910は一般に圧力センサ912、コントローラ914、アラーム916、表示ユニット918および入力ユニット922で構成される。
【0065】
第2の流体入口アセンブリ360を通り柔軟性コネクタ712に流れる微生物不活性化流体の圧力を圧力センサ912で測定する。圧力センサ912は検出した流体圧力の値を示す電気信号を出力する。この電気信号は以下に述べるようにコントローラ914で受け取られる。好ましい実施形態では圧力センサ912は圧力変換器の形態をとる。
【0066】
コントローラ914は別のシステムの操作および部品の制御に使用するシステムマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラとするのが好ましい。コントローラ914は、検出された流体圧力値を示す電気信号に基づいて、柔軟性コネクタ712の各流体連結アセンブリ810が容器200内で正確に接続されたか否かを決定するようプログラムされるが、さらにその詳細を以下に述べる。好ましくは音声信号を発生する音声発生手段(例えばスピーカー)の形態をとるアラーム916を設け、エラー状態、すなわちチューブの不正確な接続があることをオペレータに警報を出す。
【0067】
表示ユニット918はオペレータに視覚で連絡する手段となる。好ましい実施形態では表示ユニット918はLCDまたはLEDディスプレイの形をとる。
監視システム910の操作について次に詳細に述べる。前述したように、第2の流体入口アセンブリ360を通り柔軟性コネクタ712に流れる微生物不活性化流体の圧力を圧力センサ912で測定する。圧力センサ912は検出した流体圧力値を表す電気信号を出力しコントローラ914に入力する。検出した流体圧力値(圧力センサ912から受け取った)が、柔軟性コネクタ712の流体連結アセンブリ810を医療器具Bの接続部品に適正に接続した状態に関連する所定の圧力を示しているか否かを決定するようコントローラ914はプログラムされる。例えば、検出した流体圧力値と所定の圧力値とをコントローラ914で比較する。所定の圧力値からかなり相違していることがこの比較で示されると、医療器具Bに対する誤った接続が容器200内に存在することがコントローラ914で決定される。誤った接続は医療器具の接続部品802に連結アセンブリ810が適正に接続されていない結果として生じる。図22は医療器具(図22には示さない)の適切な接続部品802に適正に接続された連結アセンブリ810を示す。連結アセンブリ810を図示するように医療器具に接続すると、弁要素842はエルボー部品812および接続部品802に対して正確に着座する。柔軟性コネクタ712を流れる微生物不活性化流体はすべて医療器具の管腔内に押し込まれて所定の圧力値となる。
【0068】
連結アセンブリ810が接続部品802に確実に接続されていない場合、または連結アセンブリ810が医療器具の接続部品802に調和しない場合は、弁要素842はエルボー部品812または接続部品802に対して適正に着座しないので、流体は弁要素842の周りからスリーブ822の開口864を通り、または接続部品802とスリーブ822の間を通って流れる。この状態は圧力センサ912で検出された圧力が所定の圧力値よりも低いときの結果であり、低い圧力は流体が流れる柔軟性コネクタ712と医療器具との間の接続に間違いがあることを示している。同様に、想定された圧力よりも低い圧力で接続されているとシステムコントローラで決定されると、柔軟性コネクタ712の雄型部品722がトレイ202のコネクタ接続具234または236に適正に取り付けられていないことを示していることがある。さらに、2つの柔軟性コネクタ712を1つ以上の医療器具の2つのポートに接続する必要がある場合においては、誤った接続は、流体が流れる2つの柔軟性コネクタ712の1つしか医療器具に取り付けられていない結果として起こることがある。誤った流体接続があれば圧力低下が検出されるということである。
【0069】
好ましい実施形態では、誤った接続が検出されると、アラーム916が作動してオペレータに音声警戒信号を与え、表示ユニットを制御して、(1)装置10、特に容器200内の、誤った接続が検出された位置を表すグラフを表示し、かつ(2)誤った接続を直す方法に関する視覚および/または文章による指示を与える。また、オペレータは不活性化サイクルを続けるか、またはそのときの不活性化サイクルを中止するかについて問われることになる。
【0070】
1つ以上の圧力センサ912を使用することも考えられる。この点に関しては、圧力センサ912は各柔軟性コネクタ712に関連させることがある。
以上に記載したものは本発明の特定の実施形態のものである。この実施形態は説明のためにのみ記載されたものであり、発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者であれば様々な変更修正を行うことができる。特に、本発明は微生物不活性化流体を使用した再処理装置に関して記載してきたが、本発明はガスまたは気体の微生物不活性化流体を使用する再処理システムに使用することが考えられる。このような変更修正は特許請求の範囲内のもの、またはそれと均等なものである限り本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
本発明は一定の部分および部分の配置において具体的な形態をとり、その好ましい実施形態は明細書で詳細に記述し、かつ一部を形成する付帯する図面で説明する。
【図1】本発明によって微生物が不活性化される器具および機器用の自動化再処理装置の上部の透視図である。
【図2】図1に示す再処理装置の概略ダイヤグラムである。
【図3】図1に示す再処理装置において微生物が不活性化される物品を保持する容器の分解図である。
【図4】図1の線4−4で切断した断面図である。
【図5】図1の線5−5で切断した断面図である。
【図6】蓋を外した状態の容器の上面図である。
【図7】容器の拡大底面図である。
【図8】図4に示す領域の拡大図である。
【図9】図4に示す領域の拡大図である。
【図10】蓋および容器の拡大図であり、ロック状態のロック配置を示す。
【図11】図10に示す蓋および容器の拡大図であり、開放状態のロック配置を示す。
【図12】再処理ハウジングの雄型出口コネクタから間隔をあけた容器の出口弁を示す拡大図である。
【図13】再処理ハウジングの雄型コネクタに作動係合した容器の出口弁を示す拡大断面図である。
【図14】不活性化される物品を保持する棚アセンブリの斜視図であり、それに取り付けた医療器具を示す。
【図15】図14に示すトレイアセンブリの基部の斜視図であり、取付けブロックを分解して示す。
【図16】微生物が不活性化される物品の部分を保持する取付けブロックアセンブリの拡大側面図である。
【図17】図14に示すトレイアセンブリの上部の斜視図である。
【図18】容器内の医療器具を示す上面図であり、医療器具に接続した洗浄チューブを示す。
【図19】管腔洗浄チューブの一端にあるコネクタを示す拡大斜視図であり、管腔洗浄チューブを容器に取り付けるコネクタアセンブリを示す。
【図20】管腔洗浄チューブを器具の接続部品に接続するコネクタアセンブリを示す断面図であり、部品上の内部の弁配置を示す。
【図21】図20の線21−21で切断した断面図である。
【図22】医療器具の部分に取り付けた図20に示す接続部品の断面図である。
【図23】本発明による容器の上面図であり、それとともに概略的に示した監視システムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付着した微生物を不活性化し、保存する方法であって、
(a)通常は閉鎖位置にあるが開放位置に移動可能な流体出入口を備えた密封可能な容器の空洞内に物品を置き、
(b)微生物が不活性化される物品を前記空洞内に入れた前記容器を、不活性化サイクルの間、微生物不活性化流体を循環させる循環システムを備えた再処理装置内に置き、前記再処理装置上の手段を作動させて前記容器の前記流体出入口を前記開放位置に移動させ、前記循環システムに流体を通じさせ、
(c)前記微生物不活性化流体を前記容器の前記空洞を通して循環させ、
(d)不活性化サイクルに引き続いて前記容器を前記再処理装置から取り外し、前記再処理装置から前記容器の取り外すことで前記流体出入口を前記通常の閉鎖位置に戻す
工程を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
(e)前記不活性化された物品を入れた前記容器を長期間にわたって保存する
工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(f)前記容器を加熱したチャンバに置き前記容器内の水分を除去して乾燥させる
工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
物品に付着した微生物を不活性化し、保存する方法であって、
(a)制御可能な流体出入口を備え密封可能な容器の空洞内に不活性化される物品を置いて前記空洞内に流体が出入りできるようにし、
(b)前記空洞を通して微生物不活性化流体を循環させる循環システムを備えた再処理装置内に、不活性化される物品を入れた前記容器を置き、
(c)前記微生物不活性化流体を前記空洞を通して循環させ、
(d)不活性化サイクルに引き続いて前記容器を取り外し、
(e)前記不活性化された物品を入れた前記容器を保存する
工程を備えたことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記微生物不活性化流体は溶液であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(f)前記容器内の物品を加熱して前記物品から水分を蒸発させる
工程をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2007−501059(P2007−501059A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522607(P2006−522607)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/024256
【国際公開番号】WO2005/011749
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(505214191)ステリス インク (25)
【Fターム(参考)】