説明

物品保管管理システム

【課題】 RFIDタグを用いて忘れ物等の物品管理を行い、忘れ物をした人(ユーザ)が忘れ物保管情報を取得し、受け取り手段を選択することを可能とする。
【解決手段】 本発明は、忘れ物に貼付されたRFIDタグの情報をデータベースで管理し、忘れ物が保管される忘れ物管理センターで貼付されたRFIDタグの情報を読み取り、データベースに記録する。持ち主(ユーザ)から、当該物品の保管に関する情報の要求があった場合に、持ち主が所有するカードの情報に基づいて忘れ物の保管に関する情報と受け取り方法を提供することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグの情報を用いて物品の保管に関する管理を行い、当該物品の持ち主に対して物品の保管情報及び受け取り方法を提供する物品保管管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、忘れ物や落し物をした場合、持ち主は忘れ物を管理している忘れ物管理センターに電話連絡し、忘れ物が届けられているか確認してもらい、忘れ物を受け取ることができる。また、複数の忘れ物管理センターが存在する場合には、全ての忘れ物管理センターに連絡を取り、忘れ物を捜してもらう必要がある。たとえば、非特許文献1には、持ち主が、「警視庁遺失物センター」に電話をかけて、忘れ物を確認してもらうことや、遺失届と拾得物を照合検索することが開示されている。また、非特許文献2には、複数の忘れ物管理センターが存在し、持ち主は、全てのセンターに問合せる必要があることが記載されている。
【0003】
また、忘れ物管理センターでは、日々大量に届けられる忘れ物から問合せのものを探し、忘れ物を返却する処理が発生する。
【非特許文献1】「落とし物はどこに行くの?」、警視庁ホームページ(ウェルカムけいしちょう)、[平成16年7月6日検索]、インターネット<URL: http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no4/welcome/welcome.htm>
【非特許文献2】「スルッとKANSAI、各社局お問い合わせ・お忘れ物ご案内」、「株式会社 スルッとカンサイ」ホームページ、[平成16年7月6日検索]、インターネット<URL: http://www.surutto.com/spot/info.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような方法では、忘れ物をした人は忘れ物管理センターに電話しても繋がらないことが多く、また、管理センターに取りに行く労力を要する。さらに、忘れ物が管理されている忘れ物管理センターが近くの忘れ物管理センターであるとは限らない。例えば、出張先で忘れ物をした場合は出張先の忘れ物管理センターで管理されていることなり、後日受け取りに行くのは困難である。さらに、忘れ物がどの管理センターで管理されているのか、また管理センターに届いているのかでさえ分からないという問題がある。
【0005】
また、忘れ物管理センターでは、大量の忘れ物から問合せのものを探すのは大変労力を要し、当該センターで管理されているものであるか否かも分からない状態で探すこととなる。さらに、どの管理センターで管理されているか分からないため、問合せ者に対し情報を提供することもできない。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、RFIDタグを用いて忘れ物等の物品管理を行い、忘れ物をした人(ユーザ)が忘れ物保管情報を取得し、受け取り手段を選択することができるシステムを提供することで、上記課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様では、物品に貼付されたRFIDタグの情報をデータベースで管理する管理手段と、当該物品が置き忘れ等により持ち主の管理下を離れた場合、当該物品が保管される施設で前記RFIDタグの情報を読み取り、当該物品の保管に関する情報と前記RFIDタグの情報とを対応付けて前記データベースに記録する記録手段と、前記データベースではRFIDタグの情報と前記持ち主が所有するカードの情報が対応付けて管理されており、前記持ち主から当該物品の保管に関する情報の要求があった場合、当該持ち主が所有するカードの情報に基づいて前記記録手段で記録された当該物品の保管に関する情報及び当該物品の受け取り方法を提供する提供手段と、
を備えることを特徴とする物品保管管理システムが提供される。
【0008】
本発明によれば、忘れ物をした人(ユーザ)は忘れ物管理センターに電話をかける必要がなく、また、忘れ物を配送してもらうことで忘れ物管理センターに取りに行く労力を削減できる。さらに、忘れ物が管理センターに届けられているのか、届けられているのであればどのセンターで保管されているのか、といった状況について容易に把握できる。
忘れ物管理センターでは、RFIDタグの情報を基に忘れ物が管理されているため、忘れ物を探す労力を軽減でき、また、ユーザに対しても適切な情報を提供できる。
【0009】
本発明の第2の態様では、上記第1の態様において、前記提供手段は、前記物品の受け取り方法の1つとして、前記持ち主の住所に関する情報と物品を保管する施設の住所に関する情報とを比較し、最も一致度が大きい施設を最寄の施設として持ち主に通知し、当該持ち主は前記最寄の施設で当該物品を受け取ることを選択できることを特徴とする物品保管管理システムが提供される。
【0010】
本発明によれば、最寄の忘れ物管理センターで忘れ物を受け取ることができ、遠方の管理センターまで行く必要がなく、また、ユーザは配送費を削減できる。
【0011】
本発明の第3の態様では、物品に貼付されたRFIDタグの情報をデータベースで管理する管理手段と、当該物品が置き忘れ等により持ち主の管理下を離れた場合、当該物品が保管される施設で前記RFIDタグの情報を読み取り、当該物品の保管に関する情報と前記RFIDタグの情報とを対応付けて前記データベースに記録する記録手段と、前記記録手段で物品の保管に関する情報が記録されたことを持ち主に通知する通知手段と、前記データベースに登録された当該持ち主に関する情報に基づいて前記記録手段で記録された当該物品の保管に関する情報及び当該物品の受け取り方法を提供する提供手段と、を備えることを特徴とする物品保管管理システムが提供される。
【0012】
本発明によれば、忘れ物が忘れ物管理センターの保管下になった時点でユーザに忘れ物の存在が通知されるため、ユーザは容易に忘れ物の存在を把握することができる。
【0013】
本発明の第4の態様では、上記第3の態様において、前記提供手段は、前記物品の受け取り方法の1つとして、前記持ち主の住所に関する情報と物品を保管する施設の住所に関する情報とを比較し、最も一致度が大きい施設を最寄の施設として持ち主に通知し、当該持ち主は前記最寄の施設で当該物品を受け取ることを選択できることを特徴とする請求項3に記載の物品保管管理システムが提供される。
【0014】
更に、本発明においては、物品保管管理システムとしての発明以外に、方法として発明を把握することも可能である。
【0015】
すなわち、物品保管管理方法をして把握するのであれば、本発明は、物品に貼付されたRFIDタグの情報をデータベースで管理するステップと、当該物品が置き忘れ等により持ち主の管理下を離れた場合、当該物品が保管される施設で前記RFIDタグの情報を読み取り、当該物品の保管に関する情報と前記RFIDタグの情報とを対応付けて前記データベースに記録するステップと、前記データベースではRFIDタグの情報と前記持ち主が所有するカードの情報が対応付けて管理されており、前記持ち主から当該物品の保管に関する情報の要求があった場合、当該持ち主が所有するカードの情報に基づいて前記記録手段で記録された当該物品の保管に関する情報及び当該物品の受け取り方法を提供するステップと、を備えることを特徴とする物品保管管理方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、忘れ物をした人(ユーザ)は電話等での確認の必要なく忘れ物の状況を把握できる。また、忘れ物管理センターでは、RFIDタグの情報を基に忘れ物が管理されているため、忘れ物の管理について労力を軽減でき、ユーザに対しても適切な情報を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
先ず、図1には、本発明の第1の実施の形態に係るRFIDタグを用いた物品保管管理システムの構成を示し説明する。
【0019】
図1において、駅、コンビニ等にはRFIDタグ情報登録及び表示機1が設置されており、RFIDタグ情報登録及び表示機1は、カード情報を読み取るためのカードリーダ及びRFIDタグ用のRFIDリーダを備えている。また、RFIDタグのタグID情報を物品情報DB管理サーバ4に登録するタグID登録機能、例えばSuica(登録商標)のようなユーザが携帯しているカードID等の情報が格納されたカード6をカードリーダに接触させ、ユーザ認証サーバ3で認証を行う認証機能、及び公開ポータルサーバ2を介して忘れ物に関する情報を表示し、ユーザI/Fを提供する情報表示機能を提供する。なお、公開ポータルサーバ2、ユーザ認証サーバ3及び物品情報DB管理サーバ4を総称して物品管理システムとする。
【0020】
忘れ物管理センターでは、かさやカバンといった忘れ物が管理されており、これらの忘れ物にはRFIDタグが貼付されている。さらに、忘れ物管理センターにはRFIDリーダを具備した検品リーダ5が設置されており、RFIDリーダで忘れ物に貼付されたRFIDタグの情報を読み取り、IP網10を介して当該情報は物品情報DB管理サーバ4に蓄積される。図1では、忘れ物管理センターの例として駅および病院をあげているが、デパート等でもよく公共の施設において忘れ物や落し物を管理する場所であればこれに限定されない。
【0021】
公開ポータルサーバ2は、RFIDタグ情報登録及び表示機1に対して種々の画面を提供する機能と、ユーザ認証サーバ3及び物品情報DB管理サーバ4とRFIDタグ情報登録及び表示機1との通信の仲介機能を有する。
【0022】
ユーザ認証サーバ3は、ユーザが携帯するカード6のカードIDに基づいた認証といったユーザ認証を行う。RFIDタグ情報登録及び表示機1のカードリーダにSuica(登録商標)等のカードを接触させ、格納された情報を読み込みユーザの本人確認を行う。
【0023】
物品情報DB管理サーバ4は、少なくともユーザに関する情報を格納したユーザ情報テーブル、忘れ物に関する情報を格納した物品情報テーブル、忘れ物管理センターに関する情報を格納した保管場所一覧テーブルを含むテーブルで構成されるデータベースを有している。これらについて、図2を参照し説明する。
【0024】
ユーザ情報テーブルでは、カードIDと氏名、住所、電話番号、携帯電話番号、携帯電話のe−mailアドレス、タグID等が対応付けられている。カードIDとは、前述したSuica(登録商標)等の個人が携帯しているカードのIDであり、カードを所有しているユーザの氏名、住所、電話番号が対応付けられて記憶されている。また、携帯電話番号、携帯電話のe−mailアドレスは、詳細は後述するが、忘れ物の情報を携帯電話に送信する際に利用する。タグIDとは、物品に貼付されたRFIDタグのタグID情報であり、物品情報テーブルとのリンクキーとなっている。
【0025】
物品情報テーブルでは、保管場所名、本人確認状況、配送有無、受取有無、物品名称、特徴、情報登録日等が関連付けられている。保管場所名とは、「忘れ物管理センター」名などの忘れ物が保管されている場所名である。本人確認状況は、ユーザが忘れ物確認を行ったか否かの情報であり、配送有無は忘れ物を配送する必要があるか否かについての情報である。受取有無は、ユーザが最寄のセンターに忘れ物を受け取りに行くか否かに関する情報である。物品名称及び特徴は、後述する事前登録処理でこれらの情報を入力した場合は格納される。情報登録日は、忘れ物の情報が物品情報DB管理サーバ4に登録された日である。
【0026】
保管場所一覧テーブルでは、保管場所名と保管場所住所が対応づけられ記憶されている。保管場所名とは、忘れ物管理センターなどの忘れ物が保管されている場所名であり、保管場所住所とは、忘れ物が保管されている場所の住所である。次に、本発明の第1の実施の形態に係るRFIDタグを用いた物品管理システムによる動作を詳細に説明する。
【0027】
先ず、図3のフローチャートを参照して、事前登録処理について説明する。事前登録処理とは、ユーザが物品に貼付するためのRFIDタグのタグ情報及び物品情報を物品管理システムに登録する処理をいう。なお、本処理が行われる前に、ユーザはRFIDタグを購入しておくことを前提とする。
【0028】
ユーザはRFID情報登録及び表示機1が設置してあるコンビニ等に行き、カードID等の情報が格納されているカードをRFID情報登録及び表示機1のカードリーダに接触させる(S31)。なお、本明細書での接触とは、2つの物体が互いに接するもしくは近づいて触れる状態のみならず、近づいた状態で互いが触れ合わない状態も含むものとする。また、カードリーダに接触させずRFID情報登録及び表示機1にカードを挿入する形式であってもよい。
【0029】
RFID情報登録及び表示機1は、カードのカードID情報を読み込み(S32)、IP網10を介してカードID情報を公開ポータルサーバ2に送信する(S33)。カードID情報を受信した公開ポータルサーバ2は、当該カードID情報をユーザ認証サーバ3に転送する(S34)。ユーザ認証サーバ3はカードID情報に基づきユーザ認証を行い、「認証OK」あるいは「認証NG」のいずれかの結果を公開ポータルサーバ2に返送する(S35)。「認証NG」の結果を受信した場合は、公開ポータルサーバ2はユーザにその旨を通知し、一連の処理は終了する(S38,S39)。「認証OK」の場合は、公開ポータルサーバ2はRFIDタグ登録用の画面をRFIDタグ登録及び受信機1の画面上に表示させる(S36、S37)。
【0030】
次に、RFIDタグのタグ情報の登録処理について説明する。ここで、RFIDタグ登録及び表示機1には、ステップS37により表示されたRFIDタグ登録用の画面(図4画面4−1)が表示されている。
【0031】
ユーザが、物品に貼付するためのRFIDタグをRFIDタグ登録及び表示機1のRFIDリーダに接触させると、RFIDタグ登録及び表示機1はRFIDタグに格納されているタグID情報を読み込み、公開ポータルサーバ2にタグIDの情報を送信する(S40,41)。登録処理中は図4の画面4−2の画面が表示される。公開ポータルサーバ2はタグID情報を受信し、物品情報DB管理サーバ4へ転送し、物品情報DB管理サーバ4はタグID情報を受信し、DBに登録する(S42,43)。具体的には、ユーザ情報テーブル上にタグIDをキーとした新しいレコードが追加され、ユーザ認証に用いたカードのカードID、氏名、住所、電話番号が格納される。なお、氏名、住所、電話番号の情報は、カードIDをキーとしたカード情報テーブル(不図示)より取得する。同時に、物品情報テーブルにもタグIDをキーとした新たなレコードが追加され、タグID以外の情報についてはデフォルト値もしくは空欄となっており、後述する処理により値が更新されていくこととなる。以上の処理により、RFIDタグのタグIDの情報が物品情報DB管理サーバ4上に蓄積される。登録処理が完了すると画面は図4の画面4−3に遷移する。
【0032】
また、ユーザはオプション機能として、RFIDタグを貼付する物品情報(物品名称、特徴等)を入力することができる(S44)。入力した物品情報は、忘れ物検索時において物品を特定する情報として出力されるが、詳細は後述する。RFID登録及び表示機1を介して物品情報が入力されると、RFID登録及び表示機1は入力された物品情報を公開ポータルサーバ2を介して物品情報DB管理サーバ4に送信し、物品情報DB管理サーバ4は物品情報テーブルに登録する(S45,S46,S47)。ここで、物品名称、特徴等の物品情報を別のシステムから取得する方法であってもよい。この場合の別のシステムとは、例えば忘れ物管理センターで忘れ物を管理するために従来から使用されているシステムであり、当該システムから情報を取得し、物品情報テーブルに格納することができる。
【0033】
以上で、事前登録処理が完了する。なお、RFID情報登録及び表示機1がコンビニ等に設置してあり、RFIDタグを購入したユーザがコンビニ等に出向き事前登録処理を行う例を説明したが、RFIDタグの購入店にRFID情報登録及び表示機1の機能を有する機器等が存在するのであれば、RFIDタグの購入時に事前登録処理を行ってもよい。この場合はユーザが改めて事前登録処理を行う手間を省くことができる。
【0034】
次に、図5を用いて忘れ物管理センターの忘れ物保管処理について説明する。
【0035】
忘れ物管理センターは忘れ物を一括管理するセンターであり、例えば電車内での忘れ物が届けられ保管管理するセンターをいう。このようなセンターは、地区単位等複数に分かれていてもよく、また電車内の忘れ物に限られず、駅での落し物、タクシー内で忘れ物、デパートや百貨店での落し物等、様々なケースで想定される忘れ物や落し物を保管管理するセンターを意味している。
【0036】
忘れ物管理センターに届けられた忘れ物には、前述した事前登録処理により物品情報DB管理サーバ4に登録されたRFIDタグが貼付されている。検品リーダ5に備え付けられたRFIDリーダはRFIDタグからタグID情報を読み取り、忘れ物管理センターの場所を特定する保管場所情報とタグID情報をIP網10を介して物品情報DB管理サーバ4に送信する(S51)。これらの情報を受信した物品情報DB管理サーバ4は、受信したタグID情報を基に事前登録処理がなされているか確認する(S52)。事前登録が無い場合は、物品情報DB管理サーバ4は保管場所情報の書き込みができない旨を検品リーダ5に通知する(S56)。事前登録がなされている場合は、タグID情報をキーとして物品情報テーブルを検索し、該当するレコードの保管場所情報フィールドに受信した保管場所情報を書き込み、情報登録日を更新する(S53)。情報の書き込み終了後、検品リーダ5に対して完了通知を行い忘れ物保管処理が完了する(S54、S55)。
【0037】
次に、図6のフローチャートを参照して、忘れ物の検索及び受け取りについて説明する。
【0038】
先ず、忘れ物をしたユーザは、コンビニ等に設置されたRFID登録及び表示機1を介してユーザ認証を行う。ユーザは、携帯しているカードを認証カードとして使用し、RFID登録及び表示機1のカードリーダにカードを接触させると(S61)、カードIDが読み込まれ公開ポータルサーバ2へ送信される(S62,S63)。カードIDを受信した公開ポータルサーバ2は、ユーザ認証サーバ3に情報を転送しユーザ認証サーバ3にて認証後、結果を公開ポータルサーバ2に返す(S64,S65)。「認証NG」の結果を受信した場合は、公開ポータルサーバ2はユーザにその旨を通知し、一連の処理は終了する。「認証OK」の場合は、公開ポータルサーバ2はカードIDを物品情報DB管理サーバ4に送信し、忘れ物情報をリクエストする(S66)。物品情報DB管理サーバ4は、受信したカードIDをもとに、ユーザ情報テーブル及び物品情報テーブルから忘れ物情報を抽出し、結果を公開ポータルサーバ2に返信する(S67)。図2を一例として処理を説明する。例えば、カードID“11111”の場合、ユーザ情報テーブルからタグID“1”と“10”の2つが抽出され、2つのタグIDをキーとして関連する情報が物品情報テーブルから抽出される。これは、2件の忘れ物があることを意味する。タグID“1”の忘れ物は、保管場所「東京上野忘れ物センター」、本人確認状況「なし」、配送有無「なし」、物品名称「かさ」、特徴「赤色」、情報登録日「2004/1/1」であり、タグID“10”の忘れ物は、保管場所「東京渋谷忘れ物センター」、本人確認状況「なし」、配送有無「なし」、物品名称「さいふ」、特徴「革製品」、情報登録日「2004/1/2」である。抽出された情報は公開ポータルサーバ2を介して、RFID登録及び表示機1の画面に表示される(S68,S69)。画面には、情報登録日、タグID、保管場所等の物品情報テーブルの情報が表示され、ユーザは忘れ物の存在を確認できる(S70)。また、物品名称、特徴等の物品情報が入力されていれば、ユーザはより詳細な忘れ物情報を得ることができる。例えば図7の画面71のような形態で表示される。
【0039】
さらに、ユーザには最寄の忘れ物管理センターが表示される。最寄の忘れ物管理センターの決定方法について以下に説明する。
【0040】
先ず、ユーザ情報テーブルのタグIDをキーとして住所を特定する。当該住所の情報を基に、保管場所一覧テーブルの保管場所住所を比較し、最も一致度が大きい保管場所住所に紐づいた保管場所名を最寄りの忘れ物管理センターとして表示する。図2の例に基づいて説明すると、タグIDは“1”であり、住所は「広島県広島市」である。この例では、タグID“10”の忘れ物も存在するが、画面71は同一ユーザの忘れ物のみが表示されるため、どちらのタグIDで検索しても住所は「広島県広島市」となる。このように、複数の忘れ物が存在する場合は、任意のタグIDで検索してよい。次に、住所「広島県広島市」と保管場所住所を比較する。ここでは、「広島県広島市中区」が“広島県広島市”の部分で一致し、最も一致度が大きいと判断できる。よって、最寄りの忘れ物管理センターとしては「広島忘れ物センター」が選択され、画面71のように表示される。最も一致度が大きいものとしたのは、住所と保管場所住所は通常は完全に一致することはなく、また、番地等まで全てが入力されているとは限らないからである。この場合、都道府県名、市町村、区の順番で一致度を判断し、一致度を決定する。また、物品管理テーブルに最寄の忘れ物管理センター用のフィールドを設け、予め上記の処理を行っておいてもよい。こうすることで、画面71の表示時に最寄の忘れ物管理センターを検索する処理を省くことができ、画面表示にかかる時間を短縮できる。
【0041】
次に、忘れ物の受け取りについて説明する。
【0042】
図7の画面71が表示され、ユーザは忘れ物の一覧を確認できる。ユーザは、受け取り手段として、「最寄のセンターに忘れ物を受け取りに行く」(ボタン711)または「配送してもらう」(ボタン712)を選択できる。「最寄のセンターに忘れ物を受け取りに行く」を選択した場合、その旨が公開ポータルサーバ2を介して物品情報DB管理サーバ4に通知され、物品情報テーブルの該当レコードの「本人確認状況」のフィールドがチェックされ、「受取有無」フィールドが“あり”に変更される。この場合、現在保管されている忘れ物管理センターから最寄の忘れ物管理センターに忘れ物が配送され、ユーザは最寄の忘れ物管理センターで忘れ物を受け取ることができる。一方、配送してほしい場合は「配送してもらう」を選択する(S71)。「配送してもらう」をクリックすると、タグID情報と共に配送要求がRFID登録及び表示機1から(S72)公開ポータルサーバ2を介して(S73)、物品情報DB管理サーバ4に送信される(S74)。物品情報DB管理サーバ4は配送要求を受信すると受信したタグID情報をキーとして物品情報テーブルを検索し、該当レコードの「配送有無」フィールドを“あり”に変更し、「本人確認状況」フィールドをチェックする。ここでいうチェックとは、例えば“なし”を“あり”に変更することをいう。また、タグIDをリンクキーとしてユーザ情報テーブルを検索し、該当する氏名、住所、電話番号を抽出する(S75)。抽出した情報を、公開ポータルサーバ2を介して、RFID登録及び表示機1の画面に表示する(S76,S77)。画面には、タグID、氏名、住所、電話番号等が表示され(画面72)、住所が配送先を表している。ユーザはタグIDをもとにRFIDタグを特定でき、これにより忘れ物が何かを特定することができる。さらに、忘れ物が住所として表示されている宛先に配送されることを認識できる。配送先がこれでよければ、「はい」をクリックし、その旨が公開ポータルサーバ2を介して物品情報DB管理サーバ4に通知され、忘れ物センターの関係者はユーザが了承したことを知ることができる。一方、配送先に異論がある場合は「戻る」をクリックして画面71に戻り、「忘れ物を受け取りに行く」を選択することで、物品情報DB管理サーバ4の物品情報テーブルの「配送有無」フィールドが“なし”に再変更され、配送処理が中止される。
【0043】
以上詳述したように、本発明の第1の実施の形態によれば、忘れ物をした人(ユーザ)は忘れ物管理センターに電話をかける必要がなく、また、忘れ物を配送してもらうことで忘れ物管理センターに取りに行く労力を削減できる。さらに、忘れ物が管理センターに届けられているのか、届けられているのであればどのセンターで保管されているのか、といった状況について容易に把握できる。一方、忘れ物管理センターでは、RFIDタグの情報を基に忘れ物が管理されているため、忘れ物を探す労力を軽減でき、また、ユーザに対しても適切な情報を提供できる。さらに、最寄の忘れ物管理センターで忘れ物を受け取ることができ、遠方の管理センターまで行く必要がなく、また、ユーザは配送費を削減できる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0045】
前述した第1の実施の形態では、忘れ物の確認及び受け取りについて、コンビニ等に設置されているRFIDタグ登録及び表示機1といった専用機を使用する必要があった。しかしながら、忘れ物の確認等においては必ずしも専用機を使用する必要はなく、例えば携帯電話機81への通知やパソコン82からインターネットにアクセスし確認するという方法であってもよい。これらについて、第2の実施の形態として説明する。
【0046】
図8は、第2の実施の形態のシステム構成を表す。基本的な構成は先に示した図1と略同様であるので、ここでは図1と同一構成については同一符号を用いて適宜参照し説明する。第1の実施の形態と異なる点は、携帯電話等のモバイル通信機器やパソコン等のインターネットを介して接続できる通信機器が、IP網10に接続されている点である。
【0047】
次に、具体的な処理について説明する。
【0048】
事前登録処理及び忘れ物保管処理については、第1の実施の形態と同様であるため説明は省略する。
【0049】
忘れ物保管処理が完了し、忘れ物が登録されると、ユーザ情報テーブルの「携帯電話のe−mailアドレス」を宛先として忘れ物がある旨が携帯電話81に通知される。携帯電話の電話番号を宛先とする簡易なメールで通知する方法であってもよく、この場合は「携帯電話番号」フィールドに登録されている電話番号が用いられる。e−mailは携帯電話81に限らず、パソコン82等を用いてアクセスしてもよく、携帯電話81は手段の一例である。ユーザは通知を受信すると、Webブラウザ等を用いて公開ポータルサーバ2を介して物品情報DB管理サーバ4にアクセスし、第1の実施の形態で説明したのと同様の処理により、図7の画面71が携帯電話やパソコン等の画面に表示される。ここで、第1の実施の形態では、カードIDに基づいて忘れ物の情報を抽出したが、ユーザ情報テーブルに格納されている他の情報を利用してもよい。例えば、携帯電話番号、e-mailアドレスなどを利用する方法が想定される。また、ユーザ認証については、携帯電話81に通知する際に、ID/パスワードを一緒に通知する方法でもよいし、2次元バーコードを配布する方法でもよいが、通常の認証方法を利用するため詳細は割愛する。忘れ物情報が表示された後の受け取りについては、第1の実施の形態と同様の処理となる。
【0050】
以上詳述したように、本発明の第2の実施の形態によれば、忘れ物が忘れ物管理センターの保管下になった時点でユーザに忘れ物の存在が通知されるため、ユーザは容易に忘れ物の存在を把握することができる。
【0051】
本発明は、第1及び第2の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0052】
例えば、RFIDタグ情報登録及び表示機1は、パソコンにカードリーダ及びRFIDリーダを搭載し、ユーザ認証及びRFIDタグの情報登録等を行ってもよく、画面に表示させる情報はパソコンのディスプレイ上に表示させればよい。また、カードリーダ及びRFIDリーダは同一のハードウエアを用いてもよい。
【0053】
最寄の忘れ物管理センターの決定について、ユーザの住所と保管場所の住所の情報を利用したが、郵便番号を用いた方法でもよい。この場合、ユーザの住所の郵便番号と保管場所の住所の郵便番号を比較して判断することとなる。また、GPSを用いた位置情報やその他位置を表す情報を比較することで、最寄の忘れ物管理センターを決定してもよい。
【0054】
忘れ物保管状況及び受け取り手段の方法を表示した画面71では、忘れ物が現在保管されている忘れ物管理センターと最寄の忘れ物管理センターが表示されているが、現在保管されている管理センターを最寄の管理センターに変更して表示してもよい。この場合は、忘れ物管理センター間で、最寄の管理センターに忘れ物を転送するという運用上の処理が発生するが、ユーザは必ず最寄の管理センターで忘れ物を受け取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るRFIDタグを用いた物品保管管理システムの構成図である。
【図2】物品情報DB管理サーバ4のデータベース内のテーブル構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る事前登録処理を説明するフローチャートである。
【図4】RFIDタグのタグ情報登録時のRFIDタグ登録用の画面遷移図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る忘れ物管理センターの忘れ物保管処理を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る忘れ物の検索及び受け取りの動作を説明するフローチャートである。
【図7】忘れ物の保管状況の一覧及び受け取り手段選択に関する画面表示図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るRFIDタグを用いた物品保管管理システムの構成図である。
【符号の説明】
【0056】
1 RFIDタグ情報登録及び表示機
2 公開ポータルサーバ
3 ユーザ認証サーバ
4 物品情報DB管理サーバ
5 検品リーダ
6 携帯カード
10 IP網
81 携帯電話機(モバイル端末)
82 パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に貼付されたRFIDタグの情報をデータベースで管理する管理手段と、
当該物品が置き忘れ等により持ち主の管理下を離れた場合、当該物品が保管される施設で前記RFIDタグの情報を読み取り、当該物品の保管に関する情報と前記RFIDタグの情報とを対応付けて前記データベースに記録する記録手段と、
前記データベースではRFIDタグの情報と前記持ち主が所有するカードの情報が対応付けて管理されており、前記持ち主から当該物品の保管に関する情報の要求があった場合、当該持ち主が所有するカードの情報に基づいて前記記録手段で記録された当該物品の保管に関する情報及び当該物品の受け取り方法を提供する提供手段と、
を備えることを特徴とする物品保管管理システム。
【請求項2】
前記提供手段は、前記物品の受け取り方法の1つとして、前記持ち主の住所に関する情報と物品を保管する施設の住所に関する情報とを比較し、最も一致度が大きい施設を最寄の施設として持ち主に通知し、当該持ち主は前記最寄の施設で当該物品を受け取ることを選択できることを特徴とする請求項1に記載の物品保管管理システム。
【請求項3】
物品に貼付されたRFIDタグの情報をデータベースで管理する管理手段と、
当該物品が置き忘れ等により持ち主の管理下を離れた場合、当該物品が保管される施設で前記RFIDタグの情報を読み取り、当該物品の保管に関する情報と前記RFIDタグの情報とを対応付けて前記データベースに記録する記録手段と、
前記記録手段で物品の保管に関する情報が記録されたことを持ち主に通知する通知手段と、
前記データベースに登録された当該持ち主に関する情報に基づいて前記記録手段で記録された当該物品の保管に関する情報及び当該物品の受け取り方法を提供する提供手段と、
を備えることを特徴とする物品保管管理システム。
【請求項4】
前記提供手段は、前記物品の受け取り方法の1つとして、前記持ち主の住所に関する情報と物品を保管する施設の住所に関する情報とを比較し、最も一致度が大きい施設を最寄の施設として持ち主に通知し、当該持ち主は前記最寄の施設で当該物品を受け取ることを選択できることを特徴とする請求項3に記載の物品保管管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−21850(P2006−21850A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199120(P2004−199120)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(502306660)日本テレコム株式会社 (63)
【Fターム(参考)】