説明

物品停止装置および物品停止装置を備えた容器処理装置

【課題】前後に接触した状態で一列で搬送されるキャリア4を、処理手段12、16に停止させて、キャリア4に保持されている容器2の処理を行う容器処理装置であり、不良容器をリジェクトする際にそのキャリア4に作用している押し圧を除く。
【解決手段】コンベヤ6上のキャリア4に係合する位置と係合しない位置とに移動可能な第1ストッパ26と、その下流側に配置された複数の第2ストッパ28とを備え、第2ストッパ28を下流側の第2ストッパ28ほど搬送方向下流側に大きくストロークできるように構成し、第1ストッパ26および複数の第2ストッパ28をそれぞれキャリアに係合させた後、各第2ストッパ28を下流側に移動させてキャリア4の間隔をあけた状態で停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ上を一列で前後に密着した状態で搬送されている物品を停止させる物品停止装置に関するものである。また、このような物品停止装置を備えた容器処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器を保持しているキャリアをコンベヤによって搬送し、フィラ、キャッパ等の処理部に順次停止させて、充填、キャッピング等の処理を行う容器処理装置は従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された容器処理装置は、容器を収容して保持するキャリアを搬送するコンベヤが循環式になっており、この循環式搬送コンベヤ上の所定位置に、キャリア内に容器を供給する容器供給部、キャリア内に供給されて保持されている容器内に液体を充填する充填部、液体が充填された容器の口部にキャップを装着するキャッピング部およびキャッピングが終了した容器をキャリアから抜き取る容器抜き取り部等の処理部が順次配置されている。
【0004】
前記従来の容器処理装置では、容器抜き取り部よりも下流側に間欠送りスクリューを配置し、この間欠送りスクリューを間欠的に回転、停止を行うことにより、搬送コンベヤ上を前後に接触した状態で搬送されているキャリアを、所定個数ずつ下流側に送るようになっている。この間欠送りスクリューが停止して上流側を搬送されている容器キャリアを停止させると、前記充填部の充填ヘッドおよびキャッピング部のキャッピングヘッドの下方にそれぞれ容器が停止して、充填およびキャッピング等の処理が行われるようになっている。
【0005】
また、例えば、充填、キャッピング等の処理が済んだ容器の検査を行って不良容器が発見された場合には、この容器をラインからリジェクトしなければならない。このときに、搬送されているキャリアが前後に密着した状態で後方からの押し圧がかかっていると、搬送方向と直交する方向に押し出し、あるいは引き出す等によって不良容器を保持しているキャリアをコンベヤ上から取り出すことができない。そこで、従来の容器処理装置の構成では、前記スクリューによって押し圧を解除しつつキャリア同士の間隔をあけるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−81189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載された容器処理装置のように、搬送コンベヤ上を前後に密着して搬送されてきたキャリアの間隔をあけるためにスクリューを用いた場合には、スクリューは特定の位置に固定されているため、キャリアの押し圧を直接受けてしまい、しかも、スクリューは樹脂製であるので、摩耗が激しく交換の間隔が短くなってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、物品を前後に接触した一列の状態で搬送する搬送コンベヤを備え、この搬送コンベヤ上の複数の物品と係合して停止させる物品停止装置であって、コンベヤ上の物品と係合する位置と係合しない位置とに移動可能な第1ストッパと、この第1ストッパの下流側に設けられ、コンベヤ上の物品と係合する位置と係合しない位置とに移動可能な複数の第2ストッパとを備え、前記複数の第2ストッパを、下流側に配置された第2ストッパほど搬送方向の下流に向けて大きいストロークで移動可能に構成し、前記第1ストッパおよび第2ストッパを物品に係合させた後、第2ストッパをそれぞれ下流側に移動させることにより、各物品の間隔をあけた状態で物品を停止させることを特徴とするものである。
【0009】
また、第2の発明は、請求項1に記載した第1の発明において、前記第1ストッパおよび第2ストッパを、コンベヤの搬送方向に沿って移動可能に設けられたベース上に配置するとともに、このベースを移動させる移動手段を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
さらに、第3の発明に係る容器処理装置は、請求項1または請求項2に記載の物品停止装置を備えており、前記物品が容器を保持したキャリアであって、前記コンベヤ上に停止したキャリア内の容器に所定の処理を行う処理手段を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
また、第4の発明は、請求項3に記載した第3の発明において、前記キャリアに保持された容器の口部の搬送方向前後の位置が変更されたときには、前記ベースの位置を変更することにより、前記処理手段に設けられている各処理ヘッドの位置に対応させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の物品停止装置は、コンベヤ上を前後に接触した状態で一列で搬送されている物品に、第1ストッパおよび複数の第2ストッパをそれぞれ係合させ、複数の第2ストッパを、下流側の第2ストッパほど大きくストロークさせて停止させるようにしたので、前後に密着していた物品がそれぞれ間隔をあけられ、コンベヤの搬送方向に対して直交する方向に取り出してリジェクトすることが可能になる。
【0013】
また、本発明の容器処理装置は、前記物品停止装置によってコンベヤ上に停止させたキャリアに保持されている容器に処理手段によって処理を行うようにしたので、処理後の容器が不良容器であった場合に物品停止装置によって各キャリア間に間隔をあけて停止させることができ、容易にリジェクトすることができる。しかも、前記物品停止装置によって各処理手段に正確に位置決めして容器を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は容器処理装置の全体の配置を示す平面図である。(実施例1)
【図2】図2は容器を保持したキャリアの側面図である。
【図3】図3は物品停止装置の平面図である。
【図4】図4は図3に示す物品停止装置の作動状態を示す平面図である。
【図5】図5は容器処理装置の要部を示す平面図である。
【図6】図6は容器処理装置に設けられた物品停止装置の側面図である。
【図7】図7(a)〜(d)は物品停止装置の作動を順次説明する図である。
【図8】図8は第2の実施例に係る物品停止装置の平面図である。(実施例2)
【図9】図9は第2の実施例に係る物品停止装置の異なる作動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
物品停止装置は、物品、例えば容器を保持するキャリアを、前後に密着した状態で一列で搬送するコンベヤを備えており、このコンベヤ上の物品を複数個同時に停止させるものである。この物品停止装置は、前記コンベヤ上の物品と係合する位置と係合しない位置とに移動可能な第1ストッパと、この第1ストッパよりも下流側に配置され、コンベヤ上の物品と係合する位置と係合しない位置とに移動可能な複数の第2ストッパを備えており、これら複数の第2ストッパは、下流側に位置するストッパほど下流に向けて大きくストロークできるようになっている。コンベヤ上の物品に向かって第1ストッパおよび複数の第2ストッパを移動させて各ストッパをそれぞれ物品に係合させ、その後、物品の前進とともにストッパを下流側へストロークさせ、物品の間隔をあけた状態にして停止させるようにしたので、一列で前後に密着した状態で搬送されている物品を、これら物品の搬送方向と直交する方向へ取り出すことを可能にするという目的を達成する。
【0016】
また、容器処理装置は、前記物品停止装置によって停止される物品が容器を保持するキャリアであり、この物品停止装置によってコンベヤ上に停止させた容器に対して処理を行うフィラやキャッパ等の処理手段を備えているので、各処理装置に対して正確な位置決めをしてキャリアを停止させるとともに、キャリアに保持された容器が不良容器であった場合に容易にリジェクトできるようにするという目的を達成する。
【実施例1】
【0017】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1に示す容器処理装置は、容器2を保持するキャリア4(図2〜図4参照)を搬送するコンベヤ6が循環経路を構成しており、この循環式搬送コンベヤ6上の所定位置に、キャリア4内に容器2を挿入する容器挿入位置A、キャリア4内に挿入されて保持されている容器2内に液体等の内容物を充填する充填位置B、液体等が充填された容器2の口部2aにキャップを装着するキャッピング位置C、充填された液体の入り味やキャップの有無等の検査を行う検査位置D(図1では図示を省略しているので図5参照)、および検査位置Dで検査を行った結果不良容器と判定された容器2をキャリア4ごとリジェクトするリジェクト位置E、さらに、隣接して配置されたケーサ8においてキャッピングが終了した容器2の箱詰めを行うために、容器2を保持しているキャリア4を集積する集積位置F等が順次配置されている。
【0018】
循環式コンベヤ6は、前記各処理位置(充填位置B、キャッピング位置C、検査位置D、リジェクト位置Eおよび集積位置F)が設けられているメインコンベヤ6aと、容器2が抜き取られた空のキャリア4を容器挿入位置Aに送るリターンコンベヤ6bとから構成されている。リターンコンベヤ6bはメインコンベヤ6aよりも高速で走行して、キャリア4を間隔をあけた状態で搬送する。また、容器挿入位置Aを通過した後、このリターンコンベヤ6bから速度の遅いメインコンベヤ6aに乗り移ったキャリア4は、前後に密着した状態になって一列で搬送される。これらメインコンベヤ6aとリターンコンベヤ6bは常時駆動されている。
【0019】
この実施例で使用されるキャリア4は、前記特許文献1に記載されたキャリアと同様の構成を有しており、各種サイズの容器2に兼用できるようになっている。このキャリア4は、図2〜図4等に示すように、平面形状がほぼ正方形の本体部4aの一方の壁面4aa(搬送方向前方側の壁面)側に固定位置決め部材4bが、そして、前記壁面4aaと向かい合う壁面4ab側に、固定位置決め部材4b側に向かって進退動可能な可動押圧部材4cが設けられている。可動押圧部材4cは、スプリング4dによって常時固定位置決め部材4b方向に付勢されており、この可動押圧部材4cを固定位置決め部材4bから遠ざかる方向に強制的に後退させた状態でこれら両部材4b、4c間に容器2を挿入した後、可動押圧部材4cをスプリング4dによって固定位置決め部材4b方向に移動させて容器2を保持する。なお、キャリア4の構成は、前述のものに限るものではなく、その他の構成のキャリア4を用いることもできることは言うまでもない。
【0020】
容器挿入位置Aには、容器挿入装置10が配置されており、図示しない容器供給コンベヤによって供給されてきた容器2が、この容器挿入装置10によって各キャリア4内に挿入される。
【0021】
容器挿入位置Aで容器2が挿入されたキャリア4は、リターンコンベヤ6bからメインコンベヤ6aに乗り移り充填位置Bに送られる。充填位置Bにはフィラ12が設置されており、このフィラ12の処理ヘッド(図示せず)がメインコンベヤ6aの真上に位置している。処理ヘッドは複数本(この実施例では6本)の充填ノズルを備えており、これら各充填ノズルは、キャリア4の搬送方向前後の長さと同じピッチで配置されている。従って、後に説明する容器停止装置14(物品停止装置)によってキャリア4を停止させたときには、6本の充填ノズルの位置が、その下方に停止している6本の容器2の口部2aの位置にそれぞれ合致するようになっている。
【0022】
充填位置Bの下流側にキャッピング位置Cが設置されており、このキャッピング位置Cに、前記フィラ12によって液体が充填された容器2の口部2aにキャップを装着するキャッパ16が配置されている。このキャッパ16の処理ヘッドであるキャッピングヘッドは、前記充填ノズルと同様に搬送コンベヤ6の真上に位置しており、キャップを保持する6本のキャップ保持チャック18(図6参照)が、キャリア4の搬送方向前後の長さと同じ間隔で設けられている。従って、容器停止装置14によってキャリア4が停止したときには、6本のキャップ保持チャック18の位置が、その下方に停止している6本の容器2の口部2aの位置にそれぞれ合致するようになっている。なお、このキャッパ16は、容器2の停止中にキャッピングを行ってもよく、また、停止後前進する容器2に追従して前進しつつキャッピングを行ってもよい。
【0023】
キャッピング位置Cの下流側の検査位置Dに、検査装置20(図5参照)が配置されており、前記フィラ12およびキャッパ16において処理された容器2は、充填された液体の液面高さが適正であるか否か、また、キャップが正常に装着されているか等の検査が行われる。この検査装置20の検査結果は図示しない制御装置に送られ、この制御装置が後に説明するリジェクト装置の作動を制御する。
【0024】
検査位置Dの下流側に、リジェクト位置Eが配置されており、このリジェクト位置Eに、搬送コンベヤ6によって搬送されているキャリア4を停止させる容器停止装置14(物品停止装置)が設けられている。この容器停止装置14は、搬送コンベヤ6の搬送方向と平行して配置されたベース22(図3参照)と、このベース22を搬送方向に沿って往復移動させる移動手段24(図6参照)と、ベース22上の一端22a(搬送コンベヤ6の搬送方向上流側の端部)に設けられた第1ストッパ26と、ベース上の第1ストッパ26の下流側に設けられた複数の第2ストッパ28とを備えている。この実施例では、第2ストッパは6個設けられており、上流側から順に符号28A、28B、28C、28D、28E、28Fで示す。
【0025】
ベース22を搬送コンベヤ6の搬送方向に沿って往復移動させる移動手段24は、サーボモータ30と、このサーボモータ30によって回転されるボールねじ32と、前記ベース22の下面側に取り付けられ、前記ボールねじ32と螺合するナット34とを備えている。また、第1ストッパ26は、第1エアシリンダ36によって搬送コンベヤ6の搬送方向と直交する方向に進退動される係合爪26aを備えており、エアシリンダ36の作動によって後退した時には(図3に示す状態)、搬送コンベヤ6上のキャリア4に係合爪26aが係合せず、前進した時には(図4に示す状態)、キャリア4の搬送方向の前面側に係合爪26aが係合するようになっている。
【0026】
6個の第2ストッパ28A、28B、28C、28D、28E、28Fは、前記ベース22上に配置され、第2エアシリンダ38の作動によって搬送コンベヤ6の搬送方向と直交する方向に進退動するプレート40上に取り付けられており、一体的に搬送コンベヤ6に向かって進退動する。プレート40上に搬送コンベヤ6の搬送方向と平行にレール42が取り付けられ、このレール42に6個のスライダ28Aa、28Ba、28Ca、28Da、28Ea、28Faが摺動可能に支持されており、各スライダにそれぞれ係合爪28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbが固定されている。各スライダ28Aa、28Ba、28Ca、28Da、28Ea、28Faは、スプリング28Ac、28Bc、28Cc、28Dc、28Ec、28Fcによって常時搬送方向の上流側に引き付けられており、それぞれプレート40上に固定されている上流位置規制ブロック28Ad、28Bd、28Cd、28Dd、28Ed、28Fdによって上流側への移動位置を規制されている。第2ストッパ28の各係合爪28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbが上流位置規制ブロック28Ad、28Bd、28Cd、28Dd、28Ed、28Fdに当たって停止しているときには、各係合爪の間隔が各キャリア4の搬送方向前後の長さに等しく、第2ストッパ28の最も上流側に位置している係合爪28Abと第1ストッパ26の係合爪26aとの間隔も、キャリア4の搬送方向前後の長さに等しくなっている。
【0027】
6個の第2ストッパ28A、28B、28C、28D、28E、28Fは、前記上流位置規制ブロック28Ad、28Bd、28Cd、28Dd、28Ed、28Fdによって停止している位置から下流側に向かって移動できるようになっており、その下流側への移動限を、それぞれ下流位置規制ブロック28Ae、28Be、28Ce、28De、28Ee、28Feによって規制するようになっている。各係合爪28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbの移動量、つまり、各上流位置規制ブロック28Ad、28Bd、28Cd、28Dd、28Ed、28Fdの下流端と下流位置規制ブロック28Ae、28Be、28Ce、28De、28Ee、28Feの上流端との距離は異なっており、最も上流側の係合爪28Abから最も下流側の係合爪28Aeに向かって次第に移動量が大きくなっている。この実施例では、最も上流側の係合爪28Abの移動量をXとすると、上流側から2番目の係合爪28Bbの移動量が最も上流側の係合爪28Bbの移動量の2倍(2X)であり、上流側から3番目の係合爪28Cbの移動量が最も上流側の係合爪28Abの移動量(X)の3倍(3X)になっている。上流側から4番目の係合爪28Db、5番目の係合爪28Ebおよび6番目の係合爪28Fbの移動量も、それぞれ、最も上流側の係合爪28Abの移動量(X)の4倍(4X)、5倍(5X)、6倍(6X)になっている。各係合爪28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbの下流側へのストローク量を前記のように設定することにより、すべての係合爪28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbがキャリア4に係合した状態で下流側の移動限までストロークして停止すると、これら係合爪によって停止されているキャリア4が等間隔で並ぶ(各キャリア4がそれぞれXの距離を置いて並ぶ)ようになっている(図4に示す状態)。
【0028】
容器停止装置14の第1ストッパ26と第2ストッパ28(28A、28B、28C、28D、28E、28F)の、コンベヤ6を挟んだ向かい側に固定ストッパ43が設置されている(図7参照)。固定ストッパ43は、エアシリンダ45によって搬送コンベヤ6上のキャリア4に係合する位置と係合しない位置とに進退動する係合爪43aを備えている。この固定ストッパ43は、容器停止装置14の第1ストッパ26および第2ストッパ28が搬送コンベヤ6側から後退してキャリア4に係合しない状態の時に、係合爪43aを搬送コンベヤ6側に前進させてキャリア4に係合させ、後続の互いに密着した状態のキャリア4をその位置に停止させておく。
【0029】
前記リジェクト位置Eに容器停止装置14が設けられており、容器停止装置14によって容器2を保持しているキャリア4をコンベヤ6上に停止させるとともに、各キャリア4の間隔をあけることによりキャリア4に対する後方からの押し圧を除いて、キャリア4を搬送コンベヤ6の搬送方向と直角方向に移動させてリジェクトすることを可能にしている。リジェクト位置Eに設けられたリジェクト装置44は、図5に示すように、エアシリンダ46によって搬送コンベヤ6の搬送方向と直交する方向に進退動される複数の吸盤48(この実施例では6個)と、これら6個の第1エアシリンダ46が取り付けられた取付ブロック50を搬送コンベヤ6に向かって進退動させる第2エアシリンダ52とを備えている。このリジェクト装置44によって取り出されたキャリア4は、前記搬送コンベヤ6と平行に配置されたリジェクトコンベヤ54上に排出されてリジェクトされる。前記搬送コンベヤ6とリジェクトコンベヤ54との間には、デッドプレート56が配置されており、取り出されるキャリア4はこのデッドプレート56上を滑ってリジェクトコンベヤ54上に排出される。
【0030】
前記集積位置Fに隣接して設けられているケーサ8は、ロータリーストッパ58によって集積位置Fに停止されたキャリア4内に保持されている容器2を、ロボット60によって取り出し、ケース供給コンベヤ62によって搬送されてきたケース64内にこれら容器2を収容する。
【0031】
以上の構成に係る容器停止装置(物品停止装置)14およびこの容器停止装置14を備えた容器処理装置の作動について説明する。この容器処理装置では多数のキャリア4が循環する搬送コンベヤ6上を搬送されており、リターンコンベヤ6b上を間隔をあけて搬送されていた空のキャリア4が容器挿入位置Aに導入される。容器挿入位置Aには容器挿入装置10が設けられており、キャリア4の可動押圧部材4cを固定位置決め部材4bから強制的に離隔させてその間に容器2を挿入し、スプリング4dによって付勢された可動押圧部材4cによって容器2を固定位置決め部材4bに押し付けて位置決めをした状態で保持する。容器2が挿入されたキャリア4は、リターンコンベヤ6b上からメインコンベヤ6a上に乗り移って搬送される。メインコンベヤ6aはリターンコンベヤ6bよりも遅い速度で走行しており、メインコンベヤ6a上に乗り移ったキャリア4は、前後に密着した状態になって一列で搬送される。
【0032】
メインコンベヤ6a上に設けられた充填位置Bおよびキャッピング位置Cよりも下流側に、容器2を保持しているキャリア4を位置決めして停止させる容器停止装置14が配置されている。この容器停止装置14は、搬送コンベヤ6のメインコンベヤ6a上を前後に密着した状態で搬送されているキャリア4を一時停止させることにより、上流側の充填位置Bに配置されているフィラ12の処理ヘッドに設けられた6本の充填ノズル(図示せず)に、それぞれ対応して6本の容器2が停止し、また、キャッピング位置Cに配置されているキャッパ16のキャッピングヘッドに設けられた6個のキャップ保持チャック18に、それぞれ対応して6本の容器2が停止するようになっている。この停止中に、6本の充填ノズルから6個の容器2にそれぞれ充填を行う。また、液体等が充填された後キャッピング位置Cに停止した6個の容器2は、停止中に、あるいは、キャッピングヘッドが停止位置から次の搬送が行われる容器2に追従して移動しつつ、それぞれキャッピングが行われる。
【0033】
また、この実施例に係る容器停止装置14では、容器停止装置14によって停止させたキャリア4が次の前進を行う際に、前後に密着していた各キャリア4を搬送方向前後に間隔をあけることにより、搬送コンベヤ6からその搬送方向と直交する方向に抜き取ることを可能にして、キャリア4をリジェクトできるようにしている。
【0034】
前記容器停止装置14の動作について説明する。図3および図7(a)に示すように、容器停止装置14のベース22がサーボモータ30の駆動により搬送コンベヤ6の上流側(図の左側)に後退した状態で、かつ、このベース22上の第1ストッパ26および第2ストッパ28の係合爪26a、28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbが第1エアシリンダ36および第2エアシリンダ38の作動によって搬送コンベヤ6から離隔する方向に退避している。この状態で、第1ストッパ26および第2ストッパ28の向かい側に配置されている固定ストッパ43の係合爪43aを、エアシリンダ45の作動によって搬送コンベヤ6側に前進させて、係合爪43aをキャリア4の搬送方向下流側の端面に係合させることにより一列のキャリア4全体を停止させておく。このキャリア4の列が停止状態の時に、前記充填位置Bおよびキャッピング位置Cに設けられている各充填ノズルおよびキャップ保持チャック18と、それぞれ下方に停止した容器2の口部2aの位置とが一致するようになっている。
【0035】
前記のように固定ストッパ43を、前後に密着した一列のキャリア4の先頭に係合させて停止させた状態から、第1ストッパ26および第2ストッパ28(28A、28B、28C、28D、28E、28F)を搬送コンベヤ6方向に前進させて、各係合爪28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbをそれぞれキャリア4の搬送方向下流側の端面に係合させる。第2ストッパ28(28A、28B、28C、28D、28E、28F)の各係合爪28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbは、それぞれスプリング28Ac、28Bc、28Cc、28Dc、28Ec、28Fcによって最も上流側に引かれて上流位置規制ブロック28Ad、28Bd、28Cd、28Dd、28Ed、28Fdに当たっているので、各係合爪28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbの間隔が各キャリア4の搬送方向前後の長さに一致しており、しかも、第1ストッパ26の係合爪26aと最も上流側の第2ストッパ28Aの係合爪28Abとの間隔も、前記キャリア4の搬送方向前後の長さに一致しているので、各係合爪26a、28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbが、それぞれ搬送方向前後に密着した状態の各キャリア4の前面側に係合する(図7(b)に示す状態)。
【0036】
次に、固定ストッパ43の係合爪43aを後退させてキャリア4との係合を外して、第1ストッパ26および第2ストッパ28(28A、28B、28C、28D、28E、28F)の取り付けられているベース22を、サーボモータ30によって搬送コンベヤ6の搬送速度とほぼ同じ速度で前進させる。搬送コンベヤ6上のキャリア4と第1ストッパ26の係合爪26aおよび第2ストッパ18の各係合爪28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbが、それぞれキャリア4に係合した状態のまま前進する。ベース22が下流端まで移動して停止すると、第1ストッパ26は係合している先頭から7番目のキャリア4をそのまま停止させるが、第2ストッパ28の各係合爪28Ab、28Bb、28Cb、28Db、28Eb、28Fbは、それぞれ上流位置規制ブロック28Ad、28Bd、28Cd、28Dd、28Ed、28Fdと下流位置規制ブロック28Ae、28Be、28Ce、28De、28Ee、28Feとの間の距離だけ移動可能になっているので、搬送コンベヤ6によって搬送されるキャリア4が前記距離だけ前進して停止する。
【0037】
最も上流側の第2ストッパ28Aの係合爪28Abが第1ストッパ26の係合爪26aよりも前記距離(X)だけ前進することにより、第1ストッパ16によって停止されているキャリア4と最も上流側の第2ストッパ28Aの係合爪28Abによって停止されたキャリア4とが距離(X)だけ間隔が開く。上流側から2番目の第2ストッパ28Bの係合爪28Bbは、最も上流側の第2ストッパ28Aの係合爪28Abの移動する距離の2倍の距離(2X)前進する。従って、最も上流側の第2ストッパ28Aによって停止されたキャリア4と上流側から2番目の第2ストッパ28Bによって停止されたキャリア4は、前記第1ストッパ26によって停止されたキャリア4と最も上流側の第2ストッパ28Aの係合爪28Abによって停止されたキャリア4との距離(X)と同じ距離(X)だけ離れて停止する。このようにして、第1ストッパ26よって停止されたキャリア4から6個の第2ストッパ28A、28B、28C、28D、28E、28Fによってそれぞれ停止されたキャリア4まで、すべてのキャリア4が等間隔で並んだ状態になる(図4および図7(c)参照)。このように前後に密着した状態で搬送されてきたキャリア4が、リジェクト位置Eにおいて、間隔を空けた状態で停止されるようにしたので、前記検査装置20で検査された容器2が入り味不足やキャッピングミス等により不良容器と判定された場合に、その容器2を保持しているキャリア4を、前記リジェクト装置44を作動させて搬送方向と直交する方向に簡単に取り出すことができる。
【0038】
また、検査位置Dで検査された容器2が正常と判定された場合には、第1ストッパ26によって停止されていたキャリア4を、その向かい側に配置されている固定ストッパ43によって停止させるとともに、第1ストッパ26および6個の第2ストッパ28(28A、28B、28C、28D、28E、28F)をコンベヤ6から離隔させてキャリア4との係合を外す。すると、それまで第2ストッパ28A、28B、28C、28D、28E、28Fによって停止されていた6個のキャリア4がコンベヤ6によって搬送されていく(図7(d)参照)。これら6個のキャリア4は、隣接してケーサ8が配置されている集積位置Fまで搬送されて、ロータリーストッパ58によって停止される。この集積位置Fでは、ケーサ8のロボット60によって容器2がキャリア4から抜き取られ、ケース供給コンベヤ62によって搬送されてきたケース64内に収容される。
【0039】
容器2が取り出されて空になったキャリア4は、メインコンベヤ6aからリターンコンベヤ6bに乗り移り、高速で搬送されて容器挿入位置Aに送られる。なお、前記実施例において、処理される容器2が変更され、キャリア4内における容器2の口部2aの位置が変わったときには、前記容器停止装置14(物品停止装置)のベース22の位置を調整して、停止した容器2の口部2aの位置と充填ノズルやキャップ保持チャック等を備えた処理ヘッドの位置とを一致させる。また、前記実施例では、容器停止装置14のベース22を搬送コンベヤ6の搬送速度とほぼ同じ速度で移動させたが、必ずしもほぼ同じ速度である必要はなく、搬送コンベヤ6よりも速い速度あるいは遅い速度で移動させてもよい。
【実施例2】
【0040】
図8は第2の実施例に係る容器停止装置(物品停止装置)114を示すもので、前記第1実施例と同様に、ベース122上の上流端122aに第1ストッパ126が配置され、その下流側に複数(この実施例では4個)の第2ストッパ128(128A、128B、128C、128D)が設けられている。このベース122は、前記第1実施例と同様に、ボールねじ132をサーボモータ130で回転させる移動手段124によって搬送コンベヤの搬送方向に進退動される。第1ストッパ126は、前記第1実施例と同様に、エアシリンダ136の作動によって係合爪126aをコンベヤ上のキャリア4に係合する位置と係合しない位置とに進退動される。
【0041】
この実施例では、キャリア4の間隔をあけるために第2ストッパ128を移動させる距離を異ならせるための構成が前記第1実施例と異なっている。この実施例では、4個の第2ストッパ128A、128B、128C、128Dの係合爪128Ab、128Bb、128Cb、128Dbが、それぞれ第1エアシリンダ128Aa、128Ba、128Ca、128Daによって搬送コンベヤ6上のキャリア4に係合する位置と係合しない位置との間で進退動するとともに、これら第1エアシリンダがそれぞれ取り付けられている第2エアシリンダ128Ac、128Bc、128Cc、128Dcによって搬送コンベヤ6の搬送方向に進退動できるようになっている。しかも、最も上流側の第2ストッパ128Aのストローク量をXとすると、上流側から2番目の第2ストッパ128Bのストローク量が最も上流側の第2ストッパ128Aのストローク量(X)の2倍(2X)であり、上流側から3番目の第2ストッパ128Cのストローク量が最も上流側の第2ストッパ128Aのストローク量(X)の3倍(3X)、そして、上流側から4番目の第2ストッパ128Dのストローク量が最も上流側の第2ストッパ128Aのストローク量(X)の4倍(4X)となるように設定されている。この実施例でも、前記実施例と同様に、第1ストッパ126および第2ストッパ128によって停止させたキャリア4を前進させるとともに、下流側の第2ストッパ128(128A、128B、128C、128D)ほど大きくストロークさせることにより、各キャリア4を同じ間隔を空けて停止させることができる。
【符号の説明】
【0042】
2 容器
2a 容器の口部
4 物品(キャリア)
6 搬送コンベヤ
12 処理手段(フィラ)
14 処理手段(キャッパ)
22 ベース
24 移動手段
26 第1ストッパ
28 第2ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を前後に接触した一列の状態で搬送する搬送コンベヤを備え、この搬送コンベヤ上の複数の物品と係合して停止させる物品停止装置であって、
コンベヤ上の物品と係合する位置と係合しない位置とに移動可能な第1ストッパと、この第1ストッパの下流側に設けられ、コンベヤ上の物品と係合する位置と係合しない位置とに移動可能な複数の第2ストッパとを備え、
前記複数の第2ストッパを、下流側に配置された第2ストッパほど搬送方向の下流に向けて大きいストロークで移動可能に構成し、前記第1ストッパおよび第2ストッパを物品に係合させた後、第2ストッパをそれぞれ下流側に移動させることにより、各物品の間隔をあけた状態で物品を停止させることを特徴とする物品停止装置。
【請求項2】
前記第1ストッパおよび第2ストッパを、コンベヤの搬送方向に沿って移動可能に設けられたベース上に配置するとともに、このベースを移動させる移動手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の物品停止装置。
【請求項3】
前記物品は容器を保持したキャリアであって、前記コンベヤ上に停止したキャリア内の容器に所定の処理を行う処理手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品停止装置を備えた容器処理装置。
【請求項4】
前記キャリアに保持された容器の口部の搬送方向前後の位置が変更されたときには、前記ベースの位置を変更することにより、前記処理手段に設けられている各処理ヘッドの位置に対応させることを特徴とする請求項3に記載の物品停止装置を備えた容器処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−32198(P2013−32198A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168668(P2011−168668)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】